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2022年8月19日 第7回医療分野における仮名加工情報
の保護と利活用に関する検討会

医政局特定医薬品開発支援・医療情報担当参事官室

○日時

令和4年8月19日(金)13:00~15:00

 

○場所   TKP新橋カンファレンスセンター 千代田区内幸町1-3-1 15階カンファレンスルーム15B 会議室【Web会議】


○議事

○厚生労働省事務局:それでは、定刻になりましたので、ただいまから第7回医療分野における仮名加工情報の保護と利活用に関する検討会を開催いたします。構成員の皆様におかれましては、御多忙の折お集まりいただきまして、お礼を申し上げます。
本日の構成員の先生方の出欠状況ですが、宍戸構成員が14時頃に退出予定、それから、松田構成員が遅れての御出席と伺っております。
それから、冒頭恐縮でございますけれども、私、8月12日付で政策企画官として着任いたしました山本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、本日の会議資料の確認をお願いいたします。会議資料は事前に各先生方に送付しておりますが、まず議事次第がありまして、それから、委員の名簿、それから、資料1と2、参考資料1と2まで御用意しております。不足等ございましたらお知らせください。
以降の議事運営につきましては、森田座長にお願いいたします。
○森田座長:皆様、こんにちは。お久しぶりでございます。大変暑い中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
それでは早速ですが、本日の議題に入らせていただきたいと思います。前回のこの会議から1か月半ほど経過いたしましたけれども、前回の会議では今後の検討の方向性につきましてお示しさせていただきましたところ、大変充実したディスカッションができたと思っております。
これまで本検討会では6回にわたりまして議論を進め、ヒアリングを行い、さらにヒアリングに基づいて議論を進めてまいりましたが、本日、第7回の検討会ということで、これまでの議論を一旦整理するものとして議論を集約する方向で進めさせていただけないかと考えているところでございます。
そこで、事務局のほうでこれまでの議論の整理(案)を御用意いただきましたので、それを資料1、2に基づきまして御説明をしていただき、その後でディスカッションをしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。それでは、事務局、資料の説明をお願いいたします。
○厚生労働省事務局:それでは、私のほうから資料1と資料2につきまして、続けて御説明させていただきます。
まず、資料1について御説明いたします。これは毎回お配りしておりますけれども、「これまでの検討会で頂いた主なご意見」というところで、前回の検討会で御意見をいただいた部分につきまして赤字で追記しております。パワーポイントの右下のほうにページ番号が載っておりますけれども、まず3ページ目、ここの議論の進め方というところに赤字が入ってございます。それから、少し飛びまして9ページ目です。ここに2つほど赤字を追記してございます。それから、13ページ目、同意のところで1ページ追記してございます。それから、16ページ目、17ページ目、そして、最後19ページ目に赤字で追記している箇所がございますので、御確認いただきたいと思います。
それから続きまして、資料2につきまして御説明いたします。こちら、縦書きのところですけれども、まず資料2のこの位置づけにつきまして御説明いたします。この検討会ですが、今回を入れて7回開催しております。これまでの議論の結果を整理しまして今後の検討につなげていくために、これまでの議論の整理という形で資料をまとめさせていただきました。最終取りまとめというものではございませんで、今後の検討につなげていくため、議論が後戻りしないように整理するためのものと御理解いただければと思います。
中身について御説明いたします。事前に御覧いただいているかと思いますので、ポイントだけ簡潔に御説明いたします。まずこの資料ですが、まず「はじめに」のところが、検討会の開催経緯、それから、2として、現状と課題の御説明、それから、3番目のところで課題の解決に向けた対応、そして、4のところでその課題の解決に向けた対応を取るに当たって留意すべき事項、それから、5と6ということでまとめという形で構成しております。
まず、1ページ目でございます。まず、最初の「はじめに」のところでございますけれども、本検討会が、延べ7回開催して、データの積極的な利活用の在り方など多岐にわたる論点について議論を重ねてきたことを書かせていただいております。
それから、中段のところの2の医療情報の性質と課題というところでございます。まず1つ目のところですが、医療情報、これは貴重な社会資源であるが、慎重な取扱いが必要であることを書かせていただいております。それから、この下のほうの2つ目のところですけれども、個人情報保護法を前提として考えていくことには限界があるといったことを書かせていただいております。
2ページ目に移りますけれども、2ページ目の上段のところ、例外の規定を個別に判断することなく、予見可能性を高めた上で医療情報を安定的に利用できるようにする仕組みが必要であるということを記載してございます。そして、その次の「とりわけ」と書いてあるパラグラフのところでございますけれども、利活用の期待が大きい情報として仮名化情報があり、この仮名化情報を安定的に利用できるようにする必要があるということで、利活用のケースとしてマル1、2、3、4と4点挙げてございます。
それから、3ページ目になります。仮名化情報の取扱いに関する課題といたしまして、あらかじめ本人同意を得ない限り、利用目的の達成に必要な範囲を超えた利用とか第三者提供ができないといったことを記載してございます。そして、その次、「本検討会においても」というところの箇所ですけれども、現行法のルールが、医学の進歩・発展などの点で課題が多いということ、そして、医療情報の実態としまして、利用目的等の個別の明示とか、その都度同意を得るといったことが困難であるということから、二次利用に関する特有のルールを検討していく必要があるといったことを書かせていただきました。そして、その次の「その際」と書いてあるところでございますけれども、個人情報保護法の考え方を踏まえるとともに、次世代医療基盤法とのバランスも考慮する必要があり、仮名化情報の利活用について一定の同意が得られているということを前提とした上で、現行法では同意を改めて取り直す必要があるケースについてルールを設けることが適当であるというふうに記載いたしました。
ここまでが現状と課題というところでございまして、次の4ページ目でございます。ここからが、2で挙げた課題に対応するために、仮名化された医療情報の二次利用の在り方という形で記載をしているところでございます。まず、仮名化された医療情報の二次利用につきまして、一定の同意を基礎としたルールとしていくことが適当であるということ、そして、その次の「確かに」のパラグラフでございますけれども、利活用の目的等の妥当性を判断するための具体的な仕組みを検討する必要があるといったことを記載してございます。そして、下のほうの「以上の点を踏まえつつ」といったところでございますけれども、二次利用に係る必要な本人関与が得られているということを前提に、利用目的や第三者提供先に関する個別具体的な明示がなくても、妥当性を客観的に審査して、その妥当性が認められた場合には再同意がなく第三者提供等を可能にするというルールを整備することが適当というふうに書かせていただきました。
それで、次の5ページ目になります。2行飛んで、「このようなルールとする場合」以下でございますけれども、妥当性を審査する審査体の役割が重要であるということ、そして、この審査体については、NDBや次世代医療基盤法の認定事業者の運用とのバランスを考慮する必要があるということを記載してございます。そして、「以上の点を踏まえると」の箇所でございますけれども、審査体の委員の構成、それから、国が審査基準を定める必要があるということ、そして、審査基準を定める際には、審査の視点を明示した分かりやすい基準とすべきであるということを記載してございます。
続きまして、6ページ目に入ります。そして、この審査基準につきましては、審査基準の不断の改善を図るべきということ、それから、中段ぐらいになってまいりますけれども、一定の要件を満たした倫理審査委員会の活用とその役割分担、こういったところに関する検討が必要であるということも記載してございます。それから、中段のところ、「このように」以下になりますけれども、こうした検討に併せて、二次利用を本人が事後的に拒否できることの明確化など、それから、利活用のルールの透明性の確保が重要であるということ、また、既に収集済みの医療情報を仮名化情報とする場合に、二次利用に関する同意を再度取得する必要があるかどうか、こういった点について検討する必要があるということを記載してございます。
次に、7ページ目になります。4として、本人・国民の理解促進に向けた取組というところでございます。こうした取組が仮名化された医療情報の利活用の在り方を考えていく上では、国民の理解と納得が得られるものでなくてはならないということ。そして、2つ目で「そのため」というところですけれども、そのためには、患者本人などが適切に関与できる仕組み、あるいは利活用の成果のフィードバック、それから、利活用の意義などに関する情報発信が必要であるということを記載してございます。
ちょっと飛びまして、8ページ目になります。こちらはその他という形でまとめてございます。1つ目のパラグラフでございますが、医療情報の元となるデータの標準化、それから、ネットワーク環境の整備が不可欠であるということ、それから、次のパラグラフですけれども、次世代医療基盤法の見直しの動きと連携した上で取り組むべきであるということを記載してございます。
そして、下段のほうの最後の6で「おわりに」といたしまして、医学研究等の分野では、これ、すみません、9ページ目に移ってございますけれども、顕名の医療情報は必要がないということ、それから、治療や投薬などの有効性を確認することができる仕組み、それから、特異な値であっても、個人の権利利益、こういったものを十分に保護しつつ、利活用できる仕組みの整備、それから、良質なデータを整備して、その成果を社会に還元することが重要であるということを記載してございます。
繰り返しになりますけれども、この資料は最終的な取りまとめということではございませんで、これまでの議論を整理したものでございます。利活用に向けた仕組みづくり、あるいは同意の在り方とか、あと、審査の在り方など、こういった具体的な内容につきましては引き続き検討が必要であるということにつきまして御留意いただきたいと思います。
資料の説明は以上でございます。
○森田座長:御説明ありがとうございました。
ただいま御説明いただきましたこれまでの議論の整理(案)ですけれども、これに関しまして、ディスカッションに入りたいと思います。これまでいろいろな御意見が出まして、それを事務局で、こういう形で整理できるのではないか、論点として整理できるのではないかということで、一つの原案としていろいろさらに御意見をいただきたいということでございます。どなたからでも結構でございますし、特に部分に分けて議論する必要はないと思いますので、どうぞ御発言お願いしたいと思います。
山口構成員、そして続きまして、中島構成員、どうぞ。
○山口構成員:山口でございます。これまでの議論がすごく網羅的にきれいにまとめられていると思いました。ありがとうございます。その上で、2点ほどございます。
まず、1ページのところで、2の医療情報の性質と現行法制上の課題の1つ目のチェックの最後の「ただし」というところですけれども、「ただし、医療情報の利活用に関する同意については、同意した本人が「何に」同意したのか真に理解していない場合もあるとの指摘もある。」とあります。これだと、真に理解していないことが少なくて、まれにあるみたいに読めてしまいますので、どちらかというと真に理解していない場合のほうが多いとの指摘もあるぐらいに書いたほうがよいのではないかと思いました。
特にこういう医療分野における仮名加工情報や利活用に関する問題ですけれども、私は一般の国民にとって二重に難しいと思っています。まず自分の医療のことについて理解するということの専門性の高さからの難しさと、それから、こういった医療情報の利活用や情報セキュリティーの専門性ということもやはり難しいわけですので、この2つをクリアしないといけないという観点から、やはり国民に対しての説明はしっかりしていかないといけないと思っています。
それを踏まえた上で、7ページの4の本人・国民の理解促進に向けた取組の3つ目のチェックの具体的なことを書いてあるところのポツで書かれたところの1つ目のポツの3行目に、「一案として、例えば、学術雑誌に掲載された論文数や当該論文の概要、当該情報を用いて製品化された薬や医療機器等をホームページで定期的に開示する」という、ちょっと具体的なことがここに書いてあります。これも大事だと思いますが、もっと上の段階、国の周知の段階でも分かりやすい例示が必要かなと思います。3つ目のチェックの「以上の点を踏まえると」というところの2行目に、「行政においては、仮名化された医療情報の利活用の意義等に関する分かりやすい広報」とありますが、仮名化された医療情報の利活用の具体例を明示し、そして、その意義等に関する分かりやすい広報としてはどうでしょう。やはり具体的な例を明示していただかないと、自分の問題に引き寄せて考えるということが難しい問題だと思いますので、ぜひそういった具体例を明示していただきたいということを加えていただけたらと思いますが、事務局いかがでしょうか。
○森田座長:事務局にお答えいただきたいと思いますけれども、大変多くの構成員の方が手挙げていらっしゃいますので、一問一答をやっておりますと少し時間がかかると思いますので、まとめてということでよろしいでしょうか。
○山口構成員:はい、後でも結構でございます。
○森田座長:分かりました。それでは続いて、中島構成員、お願いいたします。
○中島構成員:よろしくお願いします。大変たくさんの議論を分かりやすくまとめていただきまして、ありがとうございます。
私からは一つだけ、このページだったと思いますが、後で同意を撤回された、あるいは非同意だったですか、場合に仮名加工情報を使わなくするというようなことを含めた説明をするということがあったと思います。ありましたよね。ちょっと私、今、手元に資料がないのですが、6ページか7ページに、後で同意を撤回した場合というところですね。仮名加工情報は、個人識別目的で再連結といいますか、それはできないと思いますので、仮名加工した後ではそれが撤回できないのではないかなと思います。その点だけちょっと疑問に思いましたので、発言しました。
以上です。
○森田座長:ありがとうございます。それでは続きまして、宍戸構成員、お願いいたします。
○宍戸構成員:東京大学の宍戸でございます。まず、事務局におかれましては非常に丁寧にこれまでの議論を整理していただき、感謝申し上げます。
先ほど御説明ありましたように私、途中で退出いたしますので、少しまとまった形で意見を申し上げたいと思います。
今回のペーパーの一番重要なポイントは、やはり3ページにありますとおり、医療分野において医療情報について、個別に利用目的や第三者提供先を明示し都度同意を取るという通常の一般法としての個人情報保護法の想定とは異なる、医療分野の文脈における情報の特質及び同意の課題に正面から向き合って、それに的確な手当てをするということを方向性として示唆したことにあると思います。そして、それを歓迎したいと思っております。
根本的には、個人情報保護法以前の問題として、プライバシーの保護という観点から考えてみたときに、患者さんの合理的な期待を裏切るような利用であるのかどうか、そこの合理的な期待を医療分野、一次利用、それから、二次利用の文脈において特定して、そして、この範囲であればやはり使っていいものだと。つまり、1回同意を得れば、個別・事前の都度同意でなくても、納得を得られたものだというふうにできる場面があるのではないかと。この点をしっかり今後具体的に深掘りしていくということが有用であるだろうと思います。
裏返して申しますと、個人情報保護法につきましては、様々な分野をまたいで情報が行き来し、様々な文脈で様々な種類の情報が取り扱われる可能性があるからこそ、個人情報の本人にとって合理的な期待を裏切る可能性が、いろいろあり得るからこそ、基本的に個別都度同意を取っておけばいい、そうしないと駄目だという話になるのでありまして、やはり医療分野においては、医療情報の特質、それから、文脈がしっかりある程度固まっている、また、一次利用、二次利用がどういうものであるのかということがきちんと固まっているということでありますれば、これは個人情報保護法の大前提を何か裏切る、言わば個人情報をオーバーライドする特別法というよりは、その文脈において特定化するという法律として位置づけることができるのではないか。個人情報保護法を、医療情報を利活用したいがために何かむちゃくちゃなやり方で緩めるとか、穴を開けるという批判には当たらないものと考えることができようかと思います。これが大きな話の1点目でございます。
2点目は、それを踏まえたときに、今言った文脈、あるいは患者さんの合理的な期待、自らの情報はこういうことで一次利用、二次利用されるという期待を裏切らないということがこの話の大前提でございまして、いわゆるデータガバナンスをしっかりするということが非常に大事であるわけですけれども、その客観性を持たせるという仕組みとして、審査体が非常に重要だというのがこのペーパーの大きな流れであるだろうと私は理解をしております。
そこにおきましては、この審査体について5ページ以降いろいろな記載があり、また、これについて、今後、詳細な検討を様々なステークホルダーのお話を丁寧に聞きながらつくっていくということになるのだと思いますけれども、一つには、国が例えば審査基準を定めるという場合であっても、その審査基準が、厳格なルールとして、あとはその適用を個々の審査体にお任せするようなイメージなのか、そうではなくて、審査基準自体、ある種弾力性があるというか幅がある、あるいは個別の審査体あるいは個別の文脈における具体化などに開かれている柔軟なルールとしてつくっていくのか、大きく方向性が2つあろうかと思います。実際にはハイブリッドではあると思いますけれども、いずれにもメリット、デメリットがあると思いますし、それに応じて、審査体の在り方、あるいは国において何らかの審査体を別途作る、あるいは審査体によって却下された場合に、国の審査体に言わば異議申立てをしてもう一度見直してもらうとかいったことが必要なのかどうかということを設計していくということになるのではないかと思われます。
ただ、いずれにしましても、審査基準があまりにも個別の審査会においてばらばらであるということになりますと、ここで議論しております医療情報の利活用、とりわけ二次利用について非常に大きな障害になるものと思われます。そうであるとすると、いずれにしましても、個々の審査体における審査基準がある種のデファクトスタンダードのような、共通的な相場感あるいは共通的な運用をそろえるようなことが同時に必要になってくるだろうと思われるところでございます。
若干宣伝になりますが、国立情報学研究所におきまして、喜連川所長の下で、研究者のための個人情報の活用のためのハンドブックを今般作成して公開させていただきました。これは医療情報に限らず、広く学術分野における研究者目線での個人情報の取扱いについての考え方を整理したものであります。例えばこういったものをそのまま使うかどうかは別として、何か統一的なハンドブックのようなものを作っていくということを考えていったほうがいいのではないかと思っております。
すみません、長くなっておりますが、3点目を申し上げます。7ページの本人・国民の理解促進に向けた取組でございます。恐らく仮名加工情報という個人情報保護法上の制度ではなく、仮名化された医療情報という、また別のものを今ここでお考えになっているという前提ではあるわけですけれども、その周知啓発は多分なかなか簡単にはいかないだろう。併せて申しますと、8ページで的確にも御指摘いただいておりますように、次世代医療基盤法の見直しをするというときに、またこれについても国民に周知啓発をしなければいけないということが議論されていたと記憶をしております。
そうしますと、患者さんあるいは国民に対して、新しいこの仮名化の医療情報のルールの周知啓発と、それから、次世代医療基盤法の周知啓発が2つ同時に走るということになり、であれば、これは一体として、皆さんの患者さんの医療情報はこういうふうに使います。まず、大きくビッグデータとしてするときにはこういうふうに、次世代医療基盤法の今ある枠組みを延長したもので使います。そうでないものには、しっかりした審査体によって、正当な目的で正当な範囲内でしっかりガバナンスが利いた形で一次利用、二次利用するということになります。これについて御了解ください。それを上回るような、ちょっと合理的な期待を超えるような個別のことがあれば、それについてはちゃんと事前に同意を個別に取らせていただきますので御安心くださいといったような形でまとめた周知啓発をしっかり行うということを、これは厚労省様もそうですし、健康・医療戦略本部もそうですし、場合によりましては、これに関わられる、何よりも医師や病院の方々の御負担もありますし、また、これによってメリットを受けられるステークホルダーの方々、全体一体となって普及啓発を進めるという戦略を立てていくということが重要ではないかと思っております。
すみません、長くなりましたが、私からは以上でございます。ありがとうございます。
○森田座長:ありがとうございます。どんどん御発言いただいてもいいのですが、事務局のほうも回答が大変かと思いますので、この辺りで一通りまとめて回答いただけますでしょうか。突然お願いして恐縮ですが、難しいようであれば、もうお一方かお二方か御発言いただきますが。
○厚生労働省事務局:では、事務局から。1点目の山口構成員からの御意見につきましては、そのとおりだと思いますので、追記といった形を考えたいと思います。
それから、中島先生のところの、6ページ目の「このように」からのところでございますが、ここは仮名化された医療情報の二次利用に係る同意と客観的な審査を適切に組み合わせるということで、個別具体的な明示の同意がないというところを書かせていただいたところでございますけれども、ただ、二次利用を本人が事後的に拒否できることの明確化といったルールが必要かどうか、こういったところも検討課題であるというふうに述べさせていただいたところでございますので、ここは他の取扱いとかそういったところも踏まえながら検討してさせていただきたいと思ってございます。
回答は以上でございます。
○森田座長:宍戸構成員の質問については。よろしいですか。
あと、中島先生の御質問についてですけれども、これは、将来効のことを触れられていたのではないかという気がしたのですけれども、そういうことではないですか。要するに、二次利用を本人が拒否することができても、それまでの研究そのものは生きるということですね、この書き方は。
○厚生労働省事務局:事務局でございます。すみません、座長御指摘のとおり、将来効について記載させていただいているということでございまして、仮名化された医療情報という新しいものを取り扱う際には、こういったようなことも明確化しないといけないのではないかという問題意識で記載させていただいているところでございます。
○中島構成員:中島です。理解しました。ありがとうございます。
○森田座長:分かりました。
それでは続きまして、石井構成員、日置構成員、そして、医師会の長島構成員にお願いいたします。
〇石井構成員:石井です。ありがとうございます。宍戸先生の御発言とかぶる点もございますが、2点ほど発言させていただければと思います。
まず1点目は、確認です。検討会のタイトルは仮名加工情報という用語が使われていますが、今後の検討は、仮名化された医療情報ということで、仮名加工情報と一線を画すということで理解しておりますが、次世代医療基盤法の見直しの議論とかなり調整しなければならないところが出てくるかと思っております。次世代医療基盤法の検討状況も、仮名加工情報ではなくて、仮名化された医療情報をいかに利活用するかという議論が進んでいるのかという点、次世代医療基盤法の見直しのほうの議論状況について御教示いただければと思いました。
2点目は、審査体の審査対象のところで課題があるかと思う点があります。仮名化された医療情報を利活用するときの正当化理由としては、一つは、利用目的に公益性があるということと、もう一つは本人の合理的期待を裏切らないような保護措置を講じるという、個人情報、個人の権利利益が不当に侵害されないような手当てを講じるということがあり、それらが審査対象になってくると思います。ただ、ほかの審査体の議論でも時々問題になりますが、目的の公益性とか社会的な重要性とか、この辺りは審査体ではなかなか判断しにくいところがあろうかと思います。
実際何を審査できるかというと、個人の権利利益が不当に侵害されないような保護措置がどの程度講じられているのかという点で、用途の制限、公益性のある用途をいかに適切なものに制限するか、研究の社会的な重要性や公益性の評価をどのようにつくり込んでいくのかが課題になるかと思いました。社会的重要性や公益性の評価を審査体に任せると、実際は審査できないということになるのかとは思います。
その関連で、審査体の性質について、意見を述べる組織なのか、あるいはマル・バツを決めてしまう、最終的な判断まで行える、そのような権限を持つ組織になるのかという点も、ガバナンス体制を築く上で大分大きく影響するかと思いますので、その辺りも今後の調整で御検討いただければと思いました。
以上です。
〇森田座長:ありがとうございました。それでは、日置委員、お願いいたします。
〇日置構成員:よろしくお願いいたします。細かな点が1点と、あと、大きな点が2点ございます。
細かい点なのですけれど、すみません、まずは、これまでの議論を丁寧におまとめいただいてありがとうございました。また、実現可能な形に落ち着くように、今のところある論点を網羅的に書いていただいたと思いますので、非常によいまとめになっているのではないかなと思います。
細かな件から申し上げますと、まず2ページですが、現状の問題点のところで、今のところ必ずしも顕名の医療情報は必要とされないという御指摘と、あと、特異な値を削除するというようなところで、追跡しというところはあるのですが、これは仮IDとか、現行の匿名加工情報で仮名加工医療情報のところを加味しながら書かれているところかと思うのですが、もう一つ、ヒアリングをした際に御指摘いただいていたものとしては、再識別、再度の特定というところの利用というのが一定必要になる場面があるというお話だったかと思いますので、その辺りは、例外的なところとしての取組の程度で結構ですので、記載いただいたほうが今後の議論には資するのではないかと思われます。細かな点が1点でございます。
大きな点なのですが、1つ目が、現行法制や現行上ガイドライン・指針等で出ているものとの平仄、こちらについてです。2点目が、審査体の関係で少しコメントさせていただきたいと、この2点になります。
1点目ですけれども、個人情報が関連するために、やはり現行の個人情報保護法が関係してくると。また、医療情報の研究利活用というところで、次世代医療基盤法が関係してくると。こことのすみ分けというのがどうしても現行法との関係で対応が必要になってくる。今のところ、新法の制定という話までには至っていませんけれども、今後、仮に法令、新法を制定するという話になれば、現行法との関係が問題になりますので、その辺りとの調整が可能となるような検討が必要になろうかと思います。
個人情報保護法との関係では、基本的に、個人情報の取扱い云々というだけではなくて、研究というところの目的がございますので、ほかのところで同意の対象というような話もありますけれども、あくまでも研究というものの実施、これに関するところですよというところで個人情報保護とのすみ分けというのは可能なのかなと思います。また、次世代医療基盤法との関係では、次世代医療基盤法は必ずしも研究目的があれば全てに適用される法令ではありませんので、広く研究に関して医療情報を活用するときに対応するべき法令として立てつけるのであれば、こことのデマケも整理し得るのではないかなと考えております。
また、デマケの関係で、少し現行の制度との調整が必要になる、あるいは一体化して運用していかないと現場の混乱がなかなか収まらないのかなというものの中で2つあるかと思います。一つが、医療情報の取扱いという話になりますので、3省2ガイドライン、こちらのほうが関係してくるかなというのが気になっております。2点目は、医療指針、倫理指針、こちらとの関係も整理していかないと、なかなか現場の混乱は収まらないかと思いますので、今後議論を進めるに当たっては、この辺りの取組と平仄を取っていっていただきたいなというのが、大きな点の1点目です。
2点目の審査の関係ですが、ここのところは、現状もなかなか必ずしも現場がうまく動けているところではないと思いますので、国の審査基準なのか、あるいは審査体なのかというところはありますが、うまく組み合わせて運用していく必要があろうかと思います。また、これに関連するというところになると、制度的に組み込む必要もあるでしょうし、さらにファンクションの問題、ペナルティーの在り方もセットで議論されるべきかと思いますので、ここは、実際に運用して、かつデータの利活用に資するような形でお話を詰めていかれるほうがよろしいのかなと思っております。
以上でございます。
〇森田座長:ありがとうございました。それでは、長島構成員、どうぞ。
〇長島構成員:日本医師会の長島でございます。ただいま御指摘があった、いわゆる情報の追跡性とか、特異な値の削除というのは、次世代医療基盤法の見直しのほうでもまさにターゲットになっているというところです。そのほか、非常に多くの部分が、次世代医療基盤法の見直しがどうなるかというところはかなり大きな影響があると考えられますので、次世代医療基盤法の見直しが、どの程度具体的な方向性が決まるかというところがいつ頃になりそうか、ある意味、そこを見ないと本検討会の議論が次のステップに進めないのではないかなというので、その辺りのスケジュール感というのをひとつ教えていただければと思います。
もう一つが7ページで、本人・国民の理解促進ももちろん重要ですけれども、次世代医療基盤法の事業者の経験を踏まえますと、やはりそれと同じぐらいに、医療機関、医療者の理解もまだまだ不十分ですので、ここも同時に進めないといけないと。特に臨床の側と、あるいは研究の側、あるいは利活用する側というのもまだまだ理解が十分ではないかなと思います。したがって、その取組もぜひお願いいたしますが、そのときに、やはり次世代医療基盤法も見直されるということで、そこと一体的に医療情報の理解促進という形で進めないと、恐らく混乱が起こってしまうと思いますので、ここのところもやはり次世代医療基盤法の見直しと共にされるということが重要かと思います。
それから最後に、審査体に関しては、NDB、MID-NETあるいは次世代医療基盤法などを考えると、一つは個人識別性に関しては、ある程度客観的な数字で何人未満とかそういうふうに出せるところもあるし、あるいは基本的な理念とか考え方に基づいて個々に判断しているというところもあると思います。また、例えば用途・目的に応じて必要最小限な情報は何かというような考えをするとかということもしておりますので、そういったものが参考になるかと思いますが、これはやはり、いきなり全国各地でやるというのは極めて難しいので、やるのであれば、最初、国で一つモデル的な事業として実際に始めてみて、それを参考にだんだんしっかりと構築していくというのが現実的ではないかなと思っております。
私からは以上です。
〇森田座長:ありがとうございました。それでは、落合構成員、手を挙げていらっしゃいますので、どうぞ。
〇落合構成員:ありがとうございます。私のほうは何点かございます。コメントを申し上げる事項が多かったこともありまして、最後に発言させていただきました。
一つ、まず御質問事項です。長島構成員がおっしゃられましたが、どういう形で最終的にこの検討会の出口が出てくるのかが少し分からない部分もございます。恐らく内閣府の次世代医療基盤法のワーキングには御報告される、もしくはそちらの法整備と併せてといったようなことも含めてお考えになられているのではないかとは思いますが、どういったスケジュールでどういった出口が出てくるかについてお伺いしたいと思いました。
続きまして、コメントが数点ございます。全般としてはまず、非常に前向きに取りまとめていただきまして、個人情報保護法との関係でこういった形で新しい制度を、特に匿名加工情報に至らないような情報の利活用について、積極的に特別法をつくることを意図して議論を進めていただいたと感じております。現実的な必要性を踏まえて議論が進んだことについては改めてすばらしい検討会だったと思います。今回の取りまとめについても、全般としては、非常にこれまでの議論を踏まえて、現在できるであろうと実現について固く見ていただいた範囲では十分反映していただいていると思いますし、最終的に今日議論して取りまとめられる結果が、しっかりと今後の政策に反映されることが重要だと思います。
その上で、個別の項目についてです。まず、取りまとめ案の1ページについてでございます。1ページの部分で2番の「医療情報の性質と……」との記載があります。冒頭の部分でございます。ここの部分で、もとより、医療情報は機微性が高いというので、その一方で、例えば個人の基礎疾患はということで書かれてございます。実際この記載の内容自体がどうかということではなく、内容自体はそのとおりではありますが、全体としてこの検討会で目指してきたことは、情報を利用できるようにしようという視点で議論してきてたものではあると思います。文面自体は変えていただく必要はないと思いますが、先に利活用が必要であり、一方で配慮が必要であるという、こういう文章の構成に御修正いただくことができないでしょうかというのが、これがまず1つ目でございます。
2つ目の点ですが、こちらは全般的な議論について、今後のためということもあってコメントさせていただきたい点がございます。個人情報保護法の中で同意が重視されていることを踏まえて、そこをかなり尊重して今回の取りまとめをしていただいていると思います。ただ、同意だけが必ずしも絶対的な利用者保護の、本人保護の手段ではないということだと思います。同意以外の方法を活用することによって、実質的に個人の権利を保護しつつ、利活用を図る制度というのも、しっかり考えていくことはまた改めて必要ではないかと思っております。
こういった点は、例えばヒアリングをした中でも、鈴木先生とか米村先生なども様々御指摘があったように思いますし、同意がなくても利活用できる場合を、公衆衛生例外といったような形ではなく、より明確な形でしっかり法整備をする機会が今後来ると良いのではないかと思っております。
同意に関して言いますと、今回の取りまとめの中で、同意に関する整理が入っているのもそれはそれで一つの整理だとは思います。一方で、その同意について考える際に、やはり現場で個々に同意を取っていくことになると非常に現場の負担も大きいかと思いますし、できる限り情報利用できる仕組みをつくろうとするときに、仕組みが分かりにくかったり、現場の負担があると進みにくいのは、この検討会の中でも何度か議論も出てきたことだと思います。そういった点をしっかり考慮していただくことが実際重要だろうと思っております。
今回の取りまとめの中にも書いていただいておりましたが、一次利用における同意の在り方も含めて今後明確化していくことが必要と思います。そういった際には、山口委員や宍戸委員がおっしゃられていたように、しっかり周知啓発をしていくことは非常に大事であります。また、長島委員がおっしゃられていたような、医療現場にもしっかりお伝えをしていくことは、今回の制度もそうですし、今後、同意自体のより抜本的な検討をする機会をつくるときに、そういったことがより一層必要になってくるのだろうと思っております。
続きまして3点目で審査の部分についてです。5ページから6ページの部分でございます。審査の部分は、個人情報保護条例の2,000個問題と対比されるような3,000個問題について、しっかりまとめていただいたと思っております。その審査体制の中で、こういった一元化や集約化をすることで利便性が高まってくることが重要だと思います。利便性といいますか、迅速に処理ができるということが大事であろうということだと思います。
その際に審査基準において十分配慮することを書いていただいていると思うのですが、審査基準もそうですが、それに加えて、やはり体制整備なども含めてしっかり強化することが必要と考えております。現実には1つの機関に審査体制が変わっていないのに審査案件が集まってしまうと、むしろ1年ぐらいかかってしまうようなことになり、また今回の議論の実益が出てこないことになるかとも思います。そういった意味では、今回の整理の目的として、迅速な審査が進むことが重要であることが大事だと思います。もちろん適切な内容であるということは当然の前提でありますが、そういう目的があることを追記していただいた上で、体制整備についても重要であるということもぜひ追記をいただけないかと思っております。
続きまして、あと2点ほどです。一つが、仮名化された医療情報についてです。3ページなどになりますが、次世代医療基盤法での整理も踏まえてこういう概念をつくられている部分があるとは思っております。ただし、この検討会の議論の中でも、仮名加工情報との関係では、類型が増えて分かりにくくなる可能性もあるのではないのといった議論も上がっていたとは思います。その部分はやはり重要ではないかと思いますし、今の時点でも既に、匿名加工情報、仮名加工情報、倫理指針における匿名化、こういった様々な用語が既に存在するところではあります。実際に制度整備をしていかれる際に、区別がそれぞれ分かりにくくならないように、むやみに仕組みが乱立し過ぎないようにすることもあると思います。仮名化された医療情報に当たる場合をできる限り分かりやすくすることが重要という点も追記をいただければと思っております。
これが最後でございます。3ページの最後の段落で、「その際、一般法である個人情報保護法の考え方を踏まえるとともに、次世代医療基盤法とのバランスを考慮することも必要である。」という箇所がございます。今回の場合は、仮名加工情報そのものでもないという点は先ほども議論させていただきましたが、仮名加工情報と匿名加工情報と今回の仮名化した医療情報というのは、それぞれ権利侵害のリスクが国民に対してどのくらいあるのかを実質的にもう少し評価をした上で、そのリスクを踏まえて規律の最終的な整理を行っていくことが重要ではないかと思います。そういった意味では、ここで考慮する点が、各種類の情報の加工の類型に応じたリスクも考慮しつつといった点も記載をしていただき、また機会があればそういった点もしっかり議論を詰めていただければと思っております。
すみません、長くなりましたが、以上でございます。
〇森田座長:詳細な御意見ありがとうございました。
それでは、日置委員がまた手を挙げていらっしゃるのでしょうか。
〇日置構成員:はい。
〇森田座長:それでは、どうぞ、お願いします。
〇日置構成員:先ほど少しお話したところよりも先々の話というところにはなるのですが、もし今後何かしら法整備をしますとかいうお話になったときに、どうしても現行法、個人情報保護法があり、次世代医療基盤法があり、第三の法令をつくる、あるいは何か整理していくという話になりますと、フォーカスされるのが研究というところになろうかと思います。
そうしていくと、医療情報あるいはもう少し幅広にヘルスケアという分野でのデータの二次利用、さらなる利用というところを考えますと、今回集めた、対応していく法制度ではフォローできない部分が出てくるかと思います。ですので、今後のデータの利用の拡大も視野に入れながら、今回の法対応というものがあった場合には、その法対応でどこまでフォローするのか、また、フォローしたところから外れるところについては利活用の道があるのか、仮名化すればいいのか、匿名化すればいいのか、または個人情報保護法のルールに戻るのかとか、そういったところも併せて検討していっていただくほうが、今後の医療・ヘルスケア分野の拡大・発展に資するのではないかと思いますので、検討事項として挙げておいていただければと思います。
以上でございます。
〇森田座長:ありがとうございました。大変重要な御意見がまたたくさんありましたけれども、この辺り、事務局のほうから少し見解をお話しいただけますでしょうか。
○厚生労働省事務局:事務局でございます。
まず、石井先生からいただきました、次世代医療基盤法の見直しのワーキングと、この検討会において、仮名加工情報について検討を深めているのかどうかという点についてですけれども、どちらも個情法上の仮名加工情報そのものをどう見直すのかという点というよりは、その利活用に関する課題を踏まえながら、医療分野における仮名化された医療情報といったようなものをどのように利活用できるのかというところについて、それぞれ検討を深めているという状況でございます。
また、審査体における、利活用の目的の審査の部分や、どこまで最終利活用の可否を決めるのかといったようなところにつきましては、引き続き今後とも検討させていただきたいと考えております。
また、日置先生から御指摘いただきました、再識別等のところも課題があるといったようなことも追記が必要という点につきましては、確かにおっしゃるとおり、ヒアリングの場でもそういう話もあったと思いますので、最終的に御相談させていただきながら追記について検討させていただきたいと思います。
あと、個情法や次世代医療基盤法等とのすみ分けといったようなものももちろん今後検討が必要になってくるという御指摘ですけれども、それはまさしくそのとおりだと考えております。御指摘いただいたような3省のガイダンスとか、あと、倫理指針との関係も踏まえながら、実際の制度化に当たって検討を進めていきたいと考えている次第でございます。
また、審査体の審査について検討する際には、御指摘いただいたように、現場の運用の点も十分に鑑みた上で内容を詰めていきたいと考えております。
最後に御意見いただきました今後の法整備の部分につきましても、確かにヘルスケア分野のデータの利用の範囲は非常に日々刻々と拡大していると認識しておりますので、そこも検討の中でしっかりと考慮した上で、どういう制度が望ましいのかというところを考えていきたいと考えております。
そして、長島先生から御指摘いただきました、次世代医療基盤法の見直しが今後どのように進むのか、こちらの検討会にも大きく影響があるというところですが、次世代医療基盤法の見直しのワーキンググループは6月の初めに中間取りまとめを公表しておりまして、現在それに基づきながら検討が進められていると理解しておりますところ、今後の具体的な見通しというところで具体的なスケジュール等々は、現時点では、すみません、まだこの場で把握しているものではございませんけれども、そちらとも当然ながら十分に連携を取りつつ、検討を進めていきたいと考えている次第です。
また、国民等の理解の促進の部分につきまして、医療者の方々、利活用者側についても理解の促進を図るべきだというところについても確かにおっしゃるとおりだと思いますので、その点につきまして、御指摘いただいいただいたように、次世代医療基盤法等との関係もありますので、医療情報の利活用全体として関係者の理解促進を図っていきたいと考えております。
また、審査体の在り方につきましては、引き続き、どの主体がどういった形で置くのかというところは検討が必要だとこの整理案でも示させていただいているとおり考えているところではございますが、確かにおっしゃっていただいたように、最初は国でモデル的に設置をした上で、今後それの在り方を踏まえながら広げていくという考えももちろんあり得るものだと思いますので、その点も踏まえて引き続き検討していきたいと考えております。
最後に落合先生から幾つか御意見いただきました。まず、最初に御意見いただいた、検討会の出口について、次世代医療基盤法のスケジュールの話も先ほどお話しさせていただきましたけれども、最終的な検討会の出口につきまして、現時点で予断して申し上げることができない状況ではあるのですが、当然ながら次世代医療基盤法の見直しのワーキングの議論とも密接に関係してくる話だと思いますし、あと、そもそもの検討の内容によっては、個情法そのものの規律ともかなり関係してくる部分が多分にあると思いますので、今後の具体的な検討を進めていく過程の中で、実際の出口やスケジュールについては引き続き精査していきたいと考えている次第でございます。
また、1ページ目の医療情報の性質と現行法制上の課題のところのパラグラフの1つ目につきまして、利活用に関して検討してきた検討会ということですので、順番を、保護の部分と利活用の部分を逆にしてはどうかという話もございましたが、この点につきましては、確かに検討会の趣旨としては、最終的に利活用をどのように進めるかというところに主眼が置かれていて、当然ながら、その前提として、個情法では要配慮個人情報に当たるような医療情報については慎重な取扱いが検討に当たっても必要ということを書いている文章になりますので、そこの順番は、もしよろしければ、御指摘のとおり反対のほうにさせていただくような形で調整ができればと考えております。
また、今後のいろいろな場面で利活用の検討を進めていく中、同意以外の方法の活用とか、あとは、同意についてやはり都度同意というものが現場にかなり負担がかかっているというところで、それを考慮した形で何かしら制度を考えるべきではないかというところにつきましても、その点も含めて、利活用の在り方が現時点でどういう形が望ましいのかというところを引き続き検討させていただきたいと考えております。
また、審査体の部分につきまして、実際に適切に審査するといったものと同時に、円滑に審査が行われるようにするために体制の整備も大事という点につきましては、確かにおっしゃるとおりでございまして、検討会のこの整理案の中でも、円滑に行われる仕組みとすることも重要だということを記載しておりますので、その点において円滑に行われる、しっかりとした体制を整備するというようなことも留意して進めていきたいと考えております。
また、仮名化された医療情報を含め、情報のカテゴリーが幾つもあって少し分かりにくい部分があるという話につきましても、確かにその点も留意しながらしっかりと、分かりやすくなるように整理をしていきたいというところにつきまして、それも検討に当たって留意していきたいと考えている次第でございます。
あと最後に、3ページ目のところで、類型に応じたリスクを考慮した上で最終的にどういう制度の在り方が望ましいのか考えていかなければならないという点につきましても、確かにその点も御指摘のとおりだと思いますので、その点につきましても読めるように調整できればと考えている次第でございます。
すみません、駆け足で恐縮ですけれども、以上でございます。
〇森田座長:ありがとうございます。ただいまの事務局のお答えにつきまして、さらに何か御質問、御意見ありますでしょうか。よろしいですか。
それでは、まだ構成員で御発言いただいてないのが松田構成員かと思いますが、松田先生、コメントをお願いできますか。
〇松田構成員:ありがとうございます。ほかの委員の先生がいろいろ指摘されたとおりだと思っております。
長島構成員が途中言われておりましたけれども、何かモデル的な審議みたいなものを少しやったほうがいいのかなと思っています。NDBのときがそうだったのですが、実際にモデル的なことをやって、そうすると、その中でいろいろな問題点が見えてきます。恐らく一回モデル審査のようなものをやって具体的に少し動かしたほうがもっと具体的な問題点が見えてくると思います。本事業を回すうえでは、審議体の在り方及び検討方法が一番大事だと思いますので、審議体のところのモデル的なものを一回早めに始めたほうがいいのではないかなと思っています。
それとあとは、これは医療情報を対象としているわけですけれども、医療情報の範囲がかなり曖昧になってきています。例えば行動変容に関するようなアプリみたいなものが薬事審査で通ってくるということになると、今、一般的にいろいろな企業が集めているような行動に関連する情報みたいなものと組み合わせて云々という話も出て来ると思います。そういう意味で少し、経産省なんかがおやりになっているようなPHRの事業などとの兼ね合いも含めながら少し議論をしていったほうがいいのかなと思いました。
以上でございます。
〇森田座長:ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
宍戸構成員はもう退出されますか。あるいは、これまでの議論を踏まえて一言。
〇宍戸構成員:いや、特にございません。先ほど冒頭で申し上げたとおりでございますけれども、やはり具体的に実証というか、机上演習でもいいのかもしれませんが、現実にやってみるということも非常に重要かなと思います。
同時に演習を待ってということだけでもなくて、どういう審査体があり得るかということについては、具体的な深掘りの検討をしていく。それから、法制的な手当ても、法律が必要であれば、必要な部分について考えると。ただ、その法律を具体的に実施する上でどのような課題があるかという実証も同時にやっていくということでよろしいのではないか。やはり進めていくということが大事かなと思っております。
また、この場で幾つか御指摘いただきましたけれども、健康・医療戦略室のほうでの次世代医療基盤法の見直しの関係につきましても、私も一応主査でございますので、今日いただいた御指摘をよく踏まえて、健康・医療戦略室と相談しながら、またこの場にフィードバックできればと思っております。ありがとうございます。
〇森田座長:ありがとうございました。ほかに御発言いかがですか。
もしよろしければ、実はこの検討会は結構いろいろな方が御関心をお持ちのようでして、私のところに、非公式なものが多いのですけれども、いろいろとコメントとかこの委員会での議論についての評価が伝わってまいります。
その一つは、ここでいろいろと議論されている、特に仮名化された医療情報ですけれども、それについて議論をしているけれども、この検討会が、要するに、最終的に何をアウトプットとして出すのかと。先ほど落合先生が御指摘になったところとも関連しておりますけれども、要するに、着地点はどこなのかという、それがよく見えないで、難しい議論のみしているのではないかという、そういう御指摘をいただいております。
もう一つは、次世代医療基盤法について、仮名加工情報等を可能にする場合には、それは相当しっかりした仕組みでやらないと駄目なのではないかというような御意見もいただきました。
他方では、こちらのほうが多かったのですが、これまで参考人の方からいろいろ御意見を伺い、また、内閣のほうもそうですけれども、コロナ禍におきまして特にそうですけれども、やはり医療情報をもっと活用しないことには駄目なのではないかと。新しいお薬の開発もそうですし、さらに言いますと、それぞれの患者さんが最善の治療を受けられるようにするためにはこうした医療情報をもっと利活用すべきではないかと。欧米のほうでは、そういう形での動きというのが大きいと思います。しかしながら、冒頭の先ほどの1ページの2のパラグラフのところにありましたけれども、非常に機微性の高い情報であり、これが不適切に扱われるということについては大きな問題があるというのはそのとおりであります。
その意味で言いますと、今日、重要な概念だと思いますけれども、宍戸構成員と石井構成員からございましたように、それぞれの国民のいわゆる合理的な期待というのは一体どういうものであって、それを保護するということがどういうことなのかということについてもう少し深掘りする必要があるのではないかと思います。今まで、医療に関わる情報であり機微情報だから保護するといいましょうか、そういう考え方でしたけれども、先ほど申し上げましたように、多くの患者さんは、最善の医療を受けるために自分の持っている医療情報をもっと活用してもらいたいと思っていらっしゃるのではないか。今年5月に出ましたけれども、ヨーロッパにおけるEHDS、ヨーロピアン・ヘルス・データ・スペースなどの考え方だとそういうこともかなり言われているわけでして、この辺りのことをどのようにこの中で理解をしていくのか、という話も指摘を受けております。
それに関連して申し上げますと、次世代医療基盤法と個人情報保護という、これはそれ自体が非常に慎重な審議を経てつくられた法律ですので、それ自体は現行法として尊重しなければならないことは言うまでもありませんけれども、やはりそこでの限界が出ているのではないかと思います。特に研究サイドの方で医療情報を活用されている方からいいますと、やはり次世代医療基盤法が出来て、それによって、3年間に行われた研究が十数件しかなかったというのはここでも報告されましたけれども、毎年全国でどれぐらい医学研究が行われているか分かりませんけれども、この数というのは果たしてこの制度が活用されているとは言えないのではないかと。私もそう思います。
そうしますと、今度これを仮名加工情報まで拡大することによって、さらにこの制度が利用されて日本の医学研究が進むのかどうか、その辺りについて少し違う分野から、もちろん正確なことは予測ですから言えないと思いますけれども、見通しを立てて議論をいたしませんと、仮名加工情報か匿名加工情報かということに収斂して議論しているだけでは必ずしも生産的ではないのではないかという気がしているところでございます。
特に日本の医療分野におけるデジタル化というのは、数年前のデータでいいますと、OECD三十何か国の間の最下位だったわけです。少し上がったという話もあるようですけれども、いずれにしましても、最先端を行く国から見ますと相当これは劣後していると思われますので、そういうことも考えて、もっと情報というものを、そこにもございましたけれども、貴重な社会的資源としていかに活用していくか。活用するにもかかわらず、御本人の権利としての合理的な期待もきちんと満たしていく。そういう観点からこの制度を見直してはどうかというような御意見もいただきました。
私としましては、そういうことも含めてここで構成員の方に検討をしていただきたいと思うのですが、そういった御意見もあるということを踏まえまして、さらに利活用ということを考えるとそういうことになろうかと思いますけれども、いかがなものでしょうか。時間がまだ残っておりますので、外の方から見た、私のところへ伝わった意見を、バイアスがかかっているとは思いますけれども、お伝えさせていただきました。これについていかがでございましょうか。どなたか。
長島構成員、どうぞ。
〇長島構成員:次世代医療基盤法に関係している立場から申しますと、今までは、ある意味助走の期間で、やっとシステムを構築してきて、データがだんだん蓄積されてきたということで、これからがやっと活用の場面だと思います。これまでのところ残念ながら実際に少ないというのは、まさにその助走の期間であったからというふうに思っているというところと、確かに実際にいろいろ使いづらい部分があるということも運営を始めて分かったので、現在見直しがされているというところなので、これから実際の活用が広がるし、見直しがされてさらに広がるだろうということで、そういう観点で見ていただく必要があるかなとは思っております。
以上です。
〇森田座長:ありがとうございます。ここでディスカッションをするつもりはありませんけれども、これ、今議論になっております、現行では匿名加工情報でなければならないのを、仮名化された情報を使えるようにすることによってそれが格段に拡大するということは想定されるのでしょうか。その辺りちょっと、関わっていらっしゃる長島先生にお伺いしたいところですが。
〇長島構成員:特に創薬とか薬事関係でいうと、それに非常に使いにくい部分があると。さっき言った追跡とか再識別とかいうところとか、非常に症例数が少ないところが扱えないというので、それをまさに今次世代医療基盤法の見直しのところで改正しようという動きなので、そこが改正されるということになるとかなり違ってくるのではないかなと感じています。
〇森田座長:そうですか。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
〇長島構成員:もう1点ですけれども、次世代医療基盤法でいうと、日本医師会が関係しているところでは、弘前市、さらに逗子市が情報提供いただいて、それを地域の住民に還元するという契約が既に締結されていますし、ほかの自治体からもいろいろ声をいただいているので、まさにこれから自治体の活用も始まるものというふうに期待しているというところで、そういう意味ではまさにこれからだろうと思っているというところです。
以上です。
〇森田座長:ありがとうございます。ついでに伺うというわけではありませんけれども、その場合に自治体で活用されるというのは、地域における医療政策において活用されるということでしょうか、研究政策面ということであれば。
〇長島構成員:一つは、自治体で健康増進政策等に活用されるということもあるでしょうし、地域の様々な企業等が地域における事業活動に活用されるということも十分想定されると思っています。
〇森田座長:ありがとうございます。
関連していかがでしょうか。山口構成員、どうぞ。
〇山口構成員:ありがとうございます。私も匿名加工情報や仮名加工情報ではなかなか使い勝手が悪いということが、今回のまとめの2ページの1から4のところに出てきていると思います。今までのヒアリング等を含めますと、匿名加工情報や仮名加工情報ではなくて、仮名化された医療情報を使うことによってこの辺りのところがクリアできるのではないかというような御意見が多かったように感じています。
ただ、今、座長がおっしゃったように、これが果たして仮名化された医療情報になったときにどれだけ研究が進むのかというのが私も見えないなと思っているところでして、そういった現場の声を確認する手段みたいなことを、事務局として何か可能性としては考えていらっしゃるのでしょうか。アンケートなのかどうか分かりませんけれども、やはりそういった現場の研究をやっていらっしゃる方の実現可能性についての意見を今後は確認していく必要があるのではないかなと思いますが、その辺りいかがでしょうか。
〇森田座長:事務局、お答えいただけますか。
○厚生労働省事務局:すみません、事務局でございます。確かに仮名化された医療情報を用いられるようになることで、従前の匿名化された医療情報という形以上にどれだけ実際に現場にとってインパクトがあるのかというところにつきましては、まさにどういう制度をしっかりと形作って利活用できる状態に実際になるかというところと共通するといいますか、大分そこに影響がある部分だと思っております。
実際に、現時点では、ヒアリングの場で製薬協等の方々からも御指摘いただいたように、やはり一定のメリットというものはありますということは御紹介いただいているわけですけれども、山口先生もおっしゃっていただいているとおり、実際どれだけ現場にとって効果があるのか、上がっているのかというところは引き続き、それはどういう手段で確かめるのかというところは、例えばヒアリングを重ねるとかアンケート取るとか、そこは様々なものが考えられると思いますけれども、そこは引き続き制度の検討の場面においても、あとは、実際もしつくるとなった際には、制度をつくった後の施行の状況を踏まえて把握しながら、最終的に国民等の理解の促進につなげるためにもそこの把握というのは必要だと思いますので、何かしらの形で把握しながら対応していきたいと考えております。
以上です。
〇山口構成員:ありがとうございます。聞くところによりますと、研究者自身でも、例えば次世代医療基盤法の匿名加工情報というのが、従来の、今で言う仮名化された医療情報と勘違いしていらっしゃる方がいまだにいらっしゃると伺っていますので、やはりその辺りをしっかり整理した上で、アンケートなどを取るのであれば、今はこういう範囲しかできないけれども、例えばこうなったらどうでしょうみたいなことが分かりやすいように聞いていかないと、聞いたことが実態とまたそぐわないようになってしまうのではないかなと思いますので、その辺りは留意しながらやっていただきたいなと思います。
〇森田座長:ありがとうございました。それでは、落合構成員、手を挙げていらっしゃいますので、どうぞ。
〇落合構成員:ありがとうございます。そうしましたら、私のほうも今後についてです。こういう制度をつくったことによっての成果があるかが重要だと思います。情報を利用すること自体も今回の場合だと成果だと思いますが、それによってさらに関係者の業務や研究開発の向上が図られていくことがあると思っております。
しっかりと成果を計測する際に、次世代医療基盤法のほうで法改正がされることによって、ニーズがその改正で吸収されるかもしれないこともあるかもしれませんが、いずれにしても仮名化された医療情報の制度だけではなく、幾つかの制度というのが同時並行的に整備されることもありますので、そういった中で、本当に成果が上がっている部分はどういうもので、さらにどういう手当てが必要なのかといった部分については、全体としてしっかりと目標を設定した上で、それを計数的にフォローアップしていくというようなEBPM的なものも、可能であれば実施していただけるといいように思います。
その際には、今回も内閣府などと連携して進めていただいておりますが、医療情報の利活用について、しっかりと司令塔機能を誰かに担っていただいて、それで全体として整備していくことが、諸外国の先進例を見ているとそういう形で進められている場合が多いかとは思います。そういったものも参考にしてより体制を強化しながら進めていっていただけるといいと思っております。
以上でございます。
〇森田座長:ありがとうございます。ほかに御発言いかがでしょうか。
あとは、今のお話で、先ほど、仮名化された医療情報にすることによってどれくらい研究が進むのかというお話がございましたけれども、もう一つ同じようなことで研究者の方から聞かれたことは、匿名化した情報をいわゆる仮名化することによって、どれくらい個人情報といいますか、個人の権利が侵害されるリスクが高まるのでしょうかという質問も来ました。
これはもちろん定量的に測定することは難しいと思いますけれども、この辺につきましては、どうしてもこの次世代医療基盤をつくるときに、やはり匿名化でなければならないという議論が随分あったかと思いますけれども、その辺りについて事務局のほうでお分かりならば、あるいはどなたか、法律の御専門の方いらっしゃいますので、御存じならば教えていただきたいところですけれども、仮名化されることによってどれくらい具体的なリスクが増えるのか。
このことは、逆に言いますと、研究がどれくらい進むかということと兼ね合いになっていることだと思います。研究は進むけれどもリスクも拡大するということになりますと、これはどの時点で調整するかということになりますけれども、リスクだけ増えて研究が進まないとしますとやることの意味がないわけですし、逆にマトリックスでいいますと、それほどリスクが増えないで研究が増えるならば、これは無条件にどんどん進めていくべきだということにもなりかねない。
それほど事態は単純ではないのは分かるのですけれども、どうしても個人情報の個人の権利が侵害される可能性といったときに、定量的な測定は無理だとしましても、あまりにも論理的に、名前でその人の医療情報がつなげることによって確実に漏れるという話ではないわけですし、それが確実に権利の侵害に結びつくというわけではないのではないかという、これは一般の方からいいますとそういう疑問も出てきて不思議はないと思うのですけれども、これについてどのように答えたらいいかという、私も聞かれていてちょっと困ってしまったものですから、ここでお尋ねするところですけれども、その辺りについてもいかがでしょうか。
すみません、石井構成員、どうぞ。
〇石井構成員:どの程度リスクが上がるかについて回答できるわけではありませんが、日置先生、落合先生が御回答されるまでの間の前座としてコメントさせていただければと思います。GDPRの考え方ですと、仮名化された程度では、やはり個人データとして識別性があるものとして扱うべきという整理になっています。かつ、今回取り扱うのが医療情報で機微性が高い分野であるということは間違いないかと思いますので、基本、仮名化された医療情報は個人情報であるという前提の下で制度設計していくのが一つ考え方としてあるかとは思いました。
ただ、仮名化することによって、具体的な個人に結びつくリスクは一定程度下がるだろうという点は正当化理由の一つにはなってくると。ただ、それだけだと使っていい訳ではなく利活用される側が受容できる用途が何であるのかを詰めていくという話と、仮名化を安全保護の一つと捉えた上で、提供範囲を絞ったり、個別の事例において権利利益が損なわれないように、個人の合理的な期待を裏切らないような措置が何かについて、審査体の審査対象との絡みで要件を絞って検討していくとことが考えられると思います。
仮名化された医療情報は個人情報ではないとは言い切れないと思います。機微性の高い医療情報であることを踏まえて、基本、個人識別性があるものとして考えておくのが方針として考えられるかと思いました。ほかの先生方の御意見次第で柔軟に御検討いただければと思います。以上です。
〇森田座長:それでは、落合先生、お願いいたします。
〇落合構成員:ありがとうございます。今のリスクの点については、法制上の評価としては、日本でも仮名加工情報は必ずしも個人情報の該当性を失っていないという整理と思います。仮名された医療情報となった場合にどうなのかというと、実際どういう加工をされるのかもあるでしょうし、また、情報の性質もあるとは思います。もともとのデータ自体がどういうものだったのかによっても特定のしやすさなどは変わると思いますので一律には言えないとは思います。しかし、仮名化がされたとしても、ある程度個人情報に準じるといいますか、先ほど石井先生おっしゃられたような、安全管理措置として意味があることであること自体は間違いないと思う部分もございます。ただ、それによって劇的にどこまでリスクが下がるのという部分はあるのだと思います。
そういう中で、宍戸先生や石井先生も議論されていた、合理的期待をしっかり形成して、その範囲をどうルールを定めるのかがやはり非常に重要な話だと思っております。そのためには、制度の周知であったり、法整備の形でされていること、こういったことが非常に重要な部分になってくると思います。
もちろんそのほかの別途の保護手段、いろいろ議論されていたものはあったと思いますが、それも組み合わせて、単純に利活用だけに偏らない形にするということは確実に必須と思います。今回の検討会では、個人情報にかなり近いと思われる情報に、ある種同意の例外のようなものをつくったということについては、これは今までに中々ない部分で、踏み込んでいただいた部分もあると思います。また、さらにその次につながるような議論にもなっていると個人的には思っております。
〇森田座長:ありがとうございます。それでは、日置先生、どうぞ。
〇日置構成員:ありがとうございます。座長から先ほど少し御指摘のあった再識別みたいなところですけれども、匿名加工情報を私が平成27年度の当時に担当していたときに、あくまで私の認識ですけれども、適切に加工をして、規則に基づく加工をして適正加工義務を守り、削除等の情報に対して安全管理措置を講じ、特段、再識別の目的なく、匿名加工情報同士とかを照合していって、そこの蓄積の過程でふとしたきっかけで再識別してしまうというところについては、法令上、それによって何か違反する、違法であるという整理はしていません。ただ、気づいたら消しましょうねというような運用を想定しておりました。なので、そこまで気をつけながら、絶対に再識別してはならんところではないわけです。意図して、悪意を持って対応するのだったらそれは禁止ですよということにはなっていますがという形になります。
仮名加工情報の位置づけは、石井先生おっしゃったように、GDPR上は個人データですし、個人情報保護法上もかなり限定されたとき以外はいわゆる非個人情報ではないではないという整理の下で制度設計されています。ですので、医療情報の活用というのを考えたときに、何かしら仮名化して有益な情報、有意なデータを活用するという話ですと、個人情報としてどういう手当てをしていくのかというところがポイントになると思っております。
そのときに、少し御指摘がどなたかからありましたが、必ずしも個人の同意を得ることで何かしらの個人情報の保護とか個人への権利利益侵害というものを全体として排除できるものではないと思います。そういったところも加味しながら、本人関与という条件をつけるのか、あるいはその他の対応していくのかというところを御検討いただくのがよろしいのかなと思います。以上でございます。
〇森田座長:ありがとうございます。私のところへ聞こえてきた声というのはどういうことかといいますと、この場もそうですし、いろいろなところで仮名加工情報にするか、匿名加工でなければいけないかということで皆さん物すごいエネルギーを投入して議論をされているわけですけれども、実質的にそれがもたらすものが一体何なのかというのはよく理解できないというのが一般の方の御質問の趣旨でしたので、それをお伝えしておきます。
お待たせしましたけれども、中島先生、お願いいたします。
〇中島構成員:今の件にも関連するのですが、匿名加工情報と、それから、仮名化された医療情報のリスクの差というのも重要なことなのですけれども、役割が違うと思うのですね。特に次世代医療基盤法では、まず顕名で収集して名寄せをしてビッグデータにして、その後に匿名加工化をしていくということが大きな機能であります。つまり、先ほど長島先生が言われたように、例えば弘前市みたいなところでみんなに入ってもらう、医療機関にたくさん入ってもらって、患者さん1人がいろいろな医療機関を使っても、それが一つの大きなビッグデータになって使うというのが次世代医療基盤の大きな利点なわけです。
一方で仮名化された医療情報というのは、1つの医療機関から出てくるものということで、名寄せができるわけではありません。つまり役割が違うわけです。このことが整理されないまま、リスクが違うということだけどんどん周知されていくと、混乱します。例えば九大病院のような研究機関であってもなかなか議論に追いつかないのですが、一般的な病院は、じゃあ、うちは次世代医療基盤法に対応しようとか、うちは仮名化した医療情報を出そうとか、その病院のリスクとして検討しできることを選ぶみたいなことに、もしなってしまえば、どちらのデータを選んでもまだらの状況になってしまうわけです。基本的には役割が違うわけですから、先ほど森田先生言われたように、資産としてどんどん使っていくということであれば、どちらにも対応することが重要であり、次世代医療基盤法にもぜひ対応して、そして、仮名化された医療情報もどんどん出していくというような形に医療機関を導くということが必要ではないかなと考えます。以上です。
〇森田座長:ありがとうございます。ほかに御意見はございますか。ちょっと私が余計な問題提起をしたかと思いますけれども。
実際データを使って御研究されているという意味では、松田構成員、何か御発言いただけませんか。よろしくお願いいたします。
〇松田構成員:もう今、中島先生が言われたことと同じようなものであります。ただ、実際にやっぱりやってみないと分からないというところがあって、そういう意味でも、早めにモデルをやらせていただければいいのかなと思います。今まで何回か、例えばナショナルデータベースにしても、介護データベースにしても、それから、DPCにしても、それを一般に公開する前に、うちの教室がそういうデータを扱ってきたということがあって、それを実際に模擬的にやらせていただきました。
それでやってみると、やっぱり想定しなかったようないろいろな問題点が出てきます。それはいろいろな法律のそごの問題とか、実際に想定していた基盤と実際に大学が持っているような基盤のそごとか、最初はいろいろなことが出てきますので、そういう意味では、まずやってみて、小さなもので、ダミーデータでいいと思うのですが、やってみて、どういう問題点があるかということをやってみるほうがいいのかなと思っています。実際にナショナルデータベースもそうですけれども、ずっとやってみると、いろいろな問題が出てきて、今みたいに割と早くいろいろな情報が出せるようになるまでには、多分5年ぐらいかかっているのですね。当初想定しなかったようなことがいっぱい起こってきますので。そういう意味では、少し具体的にまずやってみて、それでいろいろな問題点をその都度洗い出していって整理していくという作業が必要なのかなと思います。
それとあとは、もう一つはやはり同じような情報の使い方というのを諸外国はかなりやっています。それが文書となっていろいろ出ているところが、例えばフランスとか台湾とかは出していますので、そういうものも参考にしながら少し検討される、実際の使うところでの議論はしたほうがいいのかなとは思います。以上です。
〇森田座長:りがとうございます。ほかに、構成員の方で御発言はよろしいでしょうか。
事務局は、今の議論につきまして何かコメントございますか、あるいは、個人情報保護委員会とか内閣府の方で御発言ございましたらお願いしたいと思います。よろしいですか。事務局、よろしいですか。
○厚生労働省事務局:すみません、事務局でございます。今回の整理の案もさることながら、今後の検討につきましては、先生方からもろもろ御指摘いただきましたので、御指摘も踏まえながら進めていきたいと思っております。ありがとうございます。
〇森田座長:ありがとうございます。それでは、予定された時間は一応15時まで皆さんにお取りいただいているということでございますけれども、特に御発言がなければこの辺りでおしまいということにしたいと思います。
先ほども申し上げましたけれども、この検討会で何を議論して何を最終的に出すのかということについて、今日もそうだと思いますけれども、公開されておりますので、聞いていらっしゃる方がいろいろと疑問をお持ちで、また、御意見もおありであるようですので、その辺りもできるだけ反映する形で、次回以降になるかと思いますけれども、着地点といいましょうか、それは具体的な次世代医療基盤法の改正なり何なりに資するような結論を出すことに限定するのか、あるいはより広く、医療情報に関する法制度の原則のようなものについてもきちんと発言をしていくのかというようなことも含めてですけれども、始まってからそういうことを議論するというのも少し違和感あるのですが、いずれにしましても、今まで御発言、御議論を聞いている限りでは論点が非常に大きく深く及んでいるように思いますので、その辺りのことについて事務局のほうで整理をしていただければと思っております。また、構成員の先生方も、ここでは発言しなかったけれども、後で御意見がということであれば、事務局のほうにお伝えしていただければと思っております。
それでは、よろしいでしょうか。何か暑い季節に一段と熱い議論になったような気もいたしますが、お許しいただきたいと思います。
それでは、今日の議論を踏まえた形で、この文章の修正もそうですけれども、これから議論をさらに進めていっていただきたいと思いますが、そういうことでよろしゅうございますか。ありがとうございます。
それでは、本日の会議はこれくらいにしたいと思います。事務局に進行をお返しいたしますが、よろしいでしょうか。
○厚生労働省事務局:本日も闊達な御議論をいただきまして、ありがとうございました。
それで、本日お配りいたしました、これまでの議論の整理、資料2ですけれども、これから本日いただきました御意見を踏まえまして修正作業に入りたいと思いますけれども、修正の内容などにつきましては、座長と御相談の上進めさせていただくということで、構成員の先生方、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、そのように進めさせていただきたいと思います。
今後、本日御指摘いただきました様々な論点につきまして、具体的なところにつきましては、事務局におきましてさらに詳細を検討した上で、改めてこの検討会で御議論いただきたいと思っております。
それでは、閉会に当たりまして、参事官の田中より一言御挨拶申し上げます。
○厚生労働省事務局(田中参事官):構成員の皆様におかれましては、全7回5か月にわたって本検討会において活発な御議論をいただきましたことについて御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
皆様の御協力を賜りまして、医療情報の利活用について、まずは中間のまとめということで、本日お示しした資料を今後修正しながら中間まとめをさせていただきたいと思っております。
ただ、森田先生からも御指摘がございましたが、この最終的な目的、着地点をどこにするかということをある程度見据えた形で皆様にお示しをさせていただければと考えております。また、実際に現場でどのようにこの情報を使っていけるのかとか、本当に有益なのか、非常に重要な視点だと思います。多くの御意見をいただいたものが、ぜひ利活用に確実につながる仕組みにする必要があると。そして、国民の皆様の権利保護にしっかりとつながるものなのだということを御実感いただくことは非常に大事だと思っています。厚労省として、今後御提言いただいた内容を具体的な施策に反映できるよう検討してまいりますので、引き続き御指導いただきますようお願いを申し上げます。
簡単ではございますが、御挨拶とさせていただきます。長きにわたりまして御議論いただきましたことを重ねて御礼を申し上げます。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
○厚生労働省事務局:それでは、次回の会議でございますけれども、座長とも御相談の上追って御連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。

(了)

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