ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(医療部会)> 第89回社会保障審議会医療部会(2022年8月17日)

 
 

2022年8月17日 第89回社会保障審議会医療部会

医政局総務課

○日時

令和4年8月17日(水)13:00~15:00

 

○場所   AP新橋 4階 D+Eルーム


○議事

○医療政策企画官 ただいまから、第89回「社会保障審議会医療部会」を開催させていただきます。
 まず、委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
 本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催といたしまして、傍聴は報道関係者のみとさせていただいております。
 会議中、御発言の際は、「手を挙げる」ボタンをクリックいただきまして、指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
 また、議題に対して御賛同いただく際には、「反応」をクリックした上で、「賛成(親指アップ)」ボタンをクリックしていただく、またはカメラに向かってうなずいていただくことで、いわゆる「異議なし」の旨を確認させていただきます。
 まず、委員の御異動がありましたので、御紹介させていただきます。
 今村聡委員が退任されまして、新たに日本医師会副会長の角田徹委員が就任されております。
○角田委員 よろしくお願いいたします。
○医療政策企画官 次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
 本日は、井上委員、内堀委員から御欠席との連絡をいただいております。医療部会の総委員数が24名で、定足数は3分の1の8名となっておりますので、本日、22名の委員の皆様が御出席となりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。
 次に、議事に入ります前に、資料等の確認をさせていただきます。事前に、議事次第、委員名簿、厚生労働省出席者名簿、座席表のほか、資料1から4、参考資料及び委員提出資料を送付させていただいておりますので、お手元に御準備いただければと思います。
 また、前回の医療部会以降、事務局におきまして異動がございましたので、配布の厚生労働省出席者名簿に代えて、御報告とさせていただきます。
 では、以降の進行につきましては、永井部会長にお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 よろしくお願いいたします。
 最初に、御欠席の内堀委員の代理として、井出参考人の御出席をお認めいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

○永井部会長 ありがとうございます。
 また、井出参考人より、公務のため途中離席されるとの御連絡をいただいております。
 では、議題に入りたいと思います。「現行の感染症法等における課題と対応等について」、最初に事務局より説明をお願いいたします。
○医療政策企画官 御説明いたします。お手元の資料1を御覧ください。右側に8月17日、第89回社会保障審議会医療部会資料1と付しております。その下に、令和4年8月1日、第63回厚生科学審議会感染症部会(一部改変)と書かせていただいておりまして、お手元の資料は、8月1日の感染症部会で御議論がありました資料を、一部順番等を入れ換えて医療部会用の資料とさせていただいているところでございます。
 「現行の感染症法等における課題と対応等について」ということで、現在の感染症法の課題及びその対応について議論されているところでございまして、基本的には多く感染症法に係る部分になりますので、この医療部会の所掌の範囲を超えるわけでございますけれども、医療機関、医療関係者の方々に多く影響がある話でございますので、本日、医療部会でも議題とさせていただいている次第でございます。
 では、お手元の資料をめくっていただきまして、1ページ目を御覧ください。こちらの資料の立てつけですけれども、課題と対応の方向性についてとさせていただいてございまして、まず課題でございます。我が部会長の永井先生におまとめいただきました内閣官房の新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議の抜粋が、課題ということで整理されているところでございます。
 もう一つ、対応の方向性とありますが、こちらにつきましては、この有識者会議の取りまとめの2日後、6月17日にまとめられました新型コロナウイルス感染症対策本部決定の抜粋となってございます。それぞれのチャプターごとに課題と対応の方向性ということで整理させていただいているものでございます。
 おめくりいただきまして、2ページ目でございますが、まず、感染症に対応する医療機関の抜本的拡充ということでございまして、資料をめくっていただきまして、3ページ目でございます。
 対応の方向性でございますけれども、平時において都道府県と医療機関の間で新しい感染症に対応します病床等を提供する協定を結ぶ、こういう仕組みを現在やっているところでございますが、こちらの仕組みを法定化いたしまして、感染危機発生時には協定に従って医療を提供することを考えているところでございます。医療機関に対しまして、協定に則って病床確保等々を行うことについて、履行の確保を促す措置を設けるなど、国・都道府県が司令塔機能を持つことにつきましての法律上の手当てを行うというのが大きな対応の方向性ということでございます。
 具体的な事項ということでございますけれども、都道府県が、いわゆる国の定める基本指針に基づきまして、感染症まん延時等における医療提供体制の確保に関して、入院医療とか発熱外来、自宅療養者の診療とか後方支援、人材派遣といったことについての大きな数値目標等を盛り込んだ計画というものを平時に策定する。具体的には、予防計画と、あと、私どものほうの関係で申しますと、医療計画に位置づけていくことになるということでございます。都道府県が、あらかじめ医療機関との間で、入院医療とか外来といったところにつきましての協定を締結するということでございます。
 それに加えて、各医療機関の特性を踏まえてということになりますけれども、公立・公的医療機関や特定機能病院等々につきましては、医療を提供する義務というものを課した上で、その他の病院との協定締結を含め、医療審議会において調整するといった枠組みを設けるなど、計画の実効性を担保するということで、平時からの必要な病床を確保できる体制の整備ということを考えているところでございます。
 併せまして、結んだ協定を着実に実行していただくための措置といたしまして、協定の履行状況の公表ですとか、感染症流行初期における事業継続確保のための減収補償の仕組みの創設、都道府県知事の勧告・指示、特定機能病院等の承認取消等といったものを法律上に規定することを検討しているということでございます。
 おめくりいただきまして、4ページ目、自宅・宿泊療養者等への医療提供体制の確保ということでございますが、こちらも対応の方向性のほうで御説明させていただきます。5ページ目を御覧ください。
 対応の方向性といたしましては、先ほどの入院医療と同様に、平時において都道府県と医療機関の間で協定を締結するという仕組みでございます。具体的には、先ほどと同様に、都道府県が、国の定める基本方針に基づきまして、予防計画及び医療計画に自宅・宿泊療養者に対する医療等々の数値目標等を盛り込んだ計画を策定するということでございます。
 まん延時における自宅・宿泊療養者に対する健康観察について、医療機関等への委託を推進するということ、
さらには、都道府県が医療機関との協定を結んだ上で、実際に医療関係団体に対しまして、健康観察等に関する協力要請を法律上可能にするといったこと、について、実効性を確保していくということでございます。
 さらに、健康観察、食事の提供等の生活支援について、一般市町村に協力を求めることですとか、都道府県と一般市町村間の情報共有というものを進めるスキームをつくっていくということでございます。
 現在、入院医療は公費負担医療になっておりますが、外来とか自宅・宿泊療養は公費負担療養という位置づけにはなっておりません。ただ、自己負担分について、予算上、補助して自己負担が発生しないようにしているわけでございますけれども、こちらも入院医療と同様に公費負担医療化することを考えているということでございます。
 おめくりいただきまして、6ページ目でございますが、広域での医療人材の派遣等の調整権限の創設ということで、現在、都道府県をまたいだ医師・看護師等の派遣につきましては、DMAT、DPAT、災害支援ナースといった仕組みをうまく活用しながら実行しているわけでございますけれども、こういったものをより円滑に進めていくために、感染まん延時における広域的な医療人材の派遣等々につきまして、国による調整のスキームを設けるということ。それに加えまして、都道府県知事が、逼迫時に他の都道府県知事に医療人材の派遣の応援を求めることができるといったスキームを設けることを検討しているところでございます。
 おめくりいただきまして、7ページ目、保健所絡みの関係でございますけれども、8ページ目、対応の方向性を御覧ください。感染症まん延時における保健所の平時からの計画的な準備ですとか、今、やっておりますIHEATの強化みたいなことを行うことによって、保健所の機能強化を図っていくということでございます。
 さらに、平時からの地域の関係者の意思疎通・情報共有を確保するとともに、緊急時の入院勧告措置について、都道府県知事が保健所設置市・特別区長に対して指示できる権限の創設といったものを検討しているところでございます。
 おめくりいただきまして、9ページ目でございますが、検査体制の強化ということでございます。検査体制の強化につきましては、先ほどの医療機関と都道府県の協定というスキームと類似するようなスキームを検討しているところでございまして、都道府県保健所設置市・特別区において、検査の実施能力の確保に関して数値目標を設定した上で、検査実施機関との間で協定を締結することで、計画的に検査能力を確保するといったことを検討しているところでございます。
 こちら、対応の方向性というところではないのですけれども、課題のところの2丸目を御覧いただきたいと思いますが、現在、検体採取とかワクチン接種の担い手として、医師・看護師以外の、例えば検体採取につきましては歯科医師、ワクチン接種につきましては歯科医師、臨床検査技師、救急救命士が行うことにつきまして、違法性阻却という形で対応しているという状況があるわけでございますが、この取扱いについても検討することとされているところでございます。
 10ページ目が感染症データ収集と情報基盤の整備ということでございますが、医療機関におけるHER-SYSでの発生届というものを強力に推進して、入院患者の状態等の入力を促進していくということが1つ、それに加えまして、NDB、医療保険レセプト情報等のデータベースと突合することによって、より研究・分析等々が進むようにするといったことを検討しているところでございます。
 おめくりいただきまして、11ページ目、治療薬の研究環境の整備ということでございますが、こちらも治療薬について、感染症の特性を踏まえて、より早期に開発・活用できるように、戦略的な取組を推進していくこととされております。
 12ページ目、医療用物資の確保の関係でございますけれども、具体的な対応といたしまして、サプライチェーンの把握を含めて、平時からのモニタリングというものを推進していくということ、さらに、緊急時等々につきましては、生産業者とか輸入業者に対して、生産とか輸入を厚労大臣が指示できるようにするといったことも考えているところでございます。
 13ページ目でございますが、水際対策の実効性の向上ということで、こちらにつきましても、医療機関と都道府県の医療の提供の協定と同様に、検疫所長が医療機関と協議した上で、隔離措置の実施のための病床確保に関する協定というものを締結し、宿泊施設とか運送事業者に対して、施設の提供・運送等の必要な協力を得やすくするといったことを検討しているところでございます。
 雑駁ではございますが、資料1につきまして、私からの御説明は以上とさせていただきます。
○永井部会長 ありがとうございました。
 この議題につきましては、本日御欠席の井上委員より、委員提出資料ということで意見書が提出されておりますので、審議の際、御参考にしていただければと思います。
 では、御質問、御意見等ありましたら、よろしくお願いいたします。
 井出参考人、どうぞ。
○井出参考人 内堀知事の代理で参りました福島県副知事の井出でございます。発言の機会をいただき、ありがとうございます。医療機関の拡充や人材確保、フェーズを踏まえた制度設計などについてコメントさせていただきます。
 1つ目、医療機関の拡充関係ですけれども、新興感染症などに対応する病床の確保であります。病原性が高い新興感染症も視野に入れながら、感染症指定医療機関及び感染症病床の拡充も含めた検討が必要と考えております。
 また、新興感染症の発生時に一般病床で円滑に患者の受入れを行うためにも、平時における感染対応のための施設整備・改修などへの補助、人材育成などの支援に対する財政支援も必要であると考えております。医療機関との協定締結のお話がございましたが、医療機関が不安なく協定を締結するためには、その前提として、感染症の初期における減収の補塡あるいは環境整備や人材配置、診療報酬の加算措置などの財政支援、さらには、対応する医療従事者へのワクチンの優先接種、治療薬や医療物資の十分な提供など、受入体制への支援が必要であります。
 また、流行時においては、一般医療を圧迫することなく、感染症患者の受入病床を確保するため、基準病床数や必要病床数の増加を可能とすること、あるいは、都道府県知事の裁量によって、一定数を特定の二次医療圏に配分できるようにするなど、弾力的な病床制度が必要であると考えます。
 次に、人材の確保に関してであります。感染拡大時においては、広域調整も重要であります。その一方で、人材そのものの裾野を広げることも大事だと考えております。DMATあるいは感染管理認定看護師などの養成の強化を行うとともに、感染拡大時においては、人材派遣を柔軟に行うための規制の緩和が必要であると考えます。
 また、DMATの活用に関してでありますが、自然災害時よりも活動期間が長期化いたします。このことから、派遣元の理解が得やすいよう、法的な位置づけや派遣に際しての支援制度の強化が必要であると思います。感染拡大時に必要とされる保健所機能を確保できるよう、保健師等の人材や施設・設備を確保するための財源措置の強化も、併せて必要と考えております。
 また、制度設計に関してですけれども、現在の感染症法では分類に応じた措置が規定されております。感染症によっては、変異などによってリスクが変化する場合がございます。慎重な対応が必要となる局面がある一方で、知見の蓄積などに基づき、対応が変化する局面も想定されます。同一の感染症でも、時期によって、分類、または求められる措置の変更を視野に入れた制度設計の検討が必要であると考えます。
 そして、地方との丁寧な協議の必要性についてでありますが、感染症への対応、いずれの取組も、都道府県等が果たす役割が非常に大きいと考えます。制度設計に当たっては、地方と十分協議し、意見を反映いただくようお願いいたします。
 私からは以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○永井部会長 ありがとうございました。
 続いて、野村委員、佐保委員の順でお願いします。野村委員、どうぞ。
○野村委員 野村です。よろしくお願いします。
 感染症法の課題と対応策ということで、法的にどうかということは、私は詳しいことが分からず、申し訳ないですし、細かい内容を医療部会で話すものではないかもしれませんが、1点目の感染症に対応する医療機関の抜本的拡充というところで、今、まさに子どもの感染者も増えていて、医療機関にかかるというときに、コロナに確定した後の病院を検索するのが私たちもすごく難しいですけれども、コロナかまだ分かっていない、発熱している段階で、なかなか受け入れてもらえるところがなかったり、同じようにかかりつけであっても、診ていただけるところと診ていただけないところがあって、今、お盆の中でなかなか厳しい状況があるかなと思います。
 ですので、医療機関の皆様も、すごくやっていただいている病院に関しては、パンクしているような状況ということをよく聞いているので、やっていただいていることは重々承知しているのですけれども、実際にかかるとなると、本当に苦労するというか、探すだけでもいっぱい、いっぱいです。子どもはコロナ以外の発熱の子もいるので、ぜひこういうことを考えていくときに、具体的なというか、現実的なレベルで考えていただけたら本当にありがたいなと思います。
 もう一点、検査対象を強化するというところでも、検査を今はおうちでできたり、薬局でできたりするのですけれども、その先のやり取りがなかなかスムーズにいかなくて、すごく困る状況が多々あると聞いております。自宅でコロナが陽性と分かっても、その先になかなか進んでいけなかったり、保健所とのやり取りもお忙しいと思いますので、状況が今すごく難しいので、検査体制を強化するときに、その後の体制もぜひ一緒に考えていただけたらありがたいなと思います。
 いつもかかりつけにかかると、本当に疲弊しているような先生たちにもお会いするので、私たち自身も国民側が今、何をやるべきなのかなというのも、皆さん、本当に困っているので、私たちがやるべきことはやるし、医療機関にやっていただくことはやっていただくということで、ぜひ考えていただけたらありがたいと思います。お願いします。
○永井部会長 ありがとうございました。
 佐保委員、お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。
 私からは、スライド12、(8)医療用物資等の確保の強化について、2点ほど申し上げます。
 対応の方向性の具体的事項として、サプライチェーンの把握を含め、平時からのモニタリングを推進するとあります。この点、把握に際しては、どのような方法で聴取されるのでしょうか。計画的な備蓄等は重要だと考えますが、感染拡大時はもちろんのこと、平時においても、現場にとっては手間がかかるケースも想定されます。運用面の検討に当たっては、現場の声も聞きながら、極力負担の少ない形式で行っていただきたいと考えております。
 また、この間、個人防護具等の多くの医療機器・資材が輸入に頼る状況にありました。現場からは、海上輸送コンテナ不足等による輸送コスト増の声があったと把握しております。現在でもカテーテル不足が続いているといった声も聞いております。医療用物資等の確保の強化に向け、国内生産をどうするかという点についても検討が必要と考えております。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 続いて、神野委員、お願いします。
○神野委員 神野でございます。
 今回の感染症の一つ一つの問題点と、それに対する解決策、対策というのがまとまっていると思います。全般的には賛同いたします。特に私のほうからは、1番の病床確保の話と、今、お話があった8番のPPE、物資の確保の話について、一言申し上げたいと思います。
 3ページに、病床確保に関しては、減収補償ということも記載されておりますが、いろいろな病床の確保とか病床整備あるいはPPEの整備というのを診療報酬の枠の中でやるのか、それともそれとは全く別の枠でやるのかということを明確にしていただきたい。どういうことかというと、非常時、例えば自衛隊とか消防というのは、ふだんは備えるばかりであります。いざというときに備えるために予算をかけて整備しているわけであります。そういった意味で、病床の確保あるいはPPEの確保というのは、日頃の診療報酬とは別枠で、ぜひきちんと整備していただきたいという強い思いでございます。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 続いて、遠藤秀樹委員、お願いします。
○遠藤(秀)委員 日本歯科医師会の遠藤でございます。ありがとうございます。
 私のほうから、9ページにある検査体制の強化のところで、今回、コロナにおける検体採取やワクチン接種に歯科医師としても参加したわけです。御協力することになったわけですけれども、今回は初めての事態であり、緊急の違法性の阻却ということでなったわけですけれども、もし今後もこういったことが想定されるのであれば、有事における法的根拠をあらかじめ議論し、制度化しておく必要があるのだろうと思っておりますので、こういった点に関しても十分協議していただきたいと思います。よろしくお願いします。
○永井部会長 ありがとうございます。
 続いて、河本委員、お願いします。
○河本委員 ありがとうございます。
 まず、今後の感染症有事に備える観点から、先ほど御説明のありました一連の仕組みを設ける必要性については理解いたします。その上で、3ページにございますけれども、感染症まん延時等における協定に沿った履行を確保するための措置として挙げられております、一定の医療機関にかかる感染症流行初期における事業継続確保のための減収補償の仕組みの創設について、意見と質問を申し上げたいと思います。
 本日の資料では、減収補償の財源は明らかではございませんけれども、私どもといたしましては、新興感染症まん延時に必要な医療機能を維持するための費用というのは、基本的に公費によって賄われるべきであると考えております。また、資料では、感染症まん延時等とございますけれども、感染症拡大時以外で協定の履行を求める事態を想定されているのであれば、教えていただければと思います。いずれにしましても、公立・公的医療機関や特定機能病院など、協定締結が義務化される医療機関と、医療審議会での調整を通じて協定に参加する医療機関に対して、感染症の流行初期にどのような役割を果たしていただくことになるのかということは、あらかじめ明確にしておく必要があると思います。
 また、協定の履行を確保するための措置としての減収補償であるということから、履行状況の公表においては、減収補償の状況や内訳も明確にすべきだと思いますし、協定を締結した医療機関名とその役割というのは、ホームページ等であらかじめ地域住民に公表しておく必要があるのではないかなと考えます。
 さらに、その新たな協定は、参加医療機関に大変重たい役割の履行を課すというものでございますから、誰がどのようなレベルでの感染症で、その履行の発動を宣言し、どういったタイミングで終了となるのか、そういった基準とか目安はあらかじめ整理しておくべきだと考えます。
 ここからは質問でございますけれども、今回の提案の仕組みは感染症法の改正が必要と理解しておりますけれども、協定締結などの具体的な枠組みとか計画というのは、第8次の医療計画で定めることになるのかどうか。現時点で想定されている今後のスケジュール等も含めて、教えていただければと思います。
 私からは以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 今の質問に対して、事務局、お願いいたします。
○医療政策企画官 2点御質問があったと思いますが、まず、1点目の御質問ということで、感染症まん延時等というところで、感染症拡大時以外で協定の履行を求める事態を想定しているのかという御質問でございますが、こちらは政府対策本部決定の書き方の問題なのですけれども、感染症まん延時等の「等」で想定しているのは感染初期ということでございまして、感染がないという状況を指して「等」と記載しているわけではないので、そういう意味では、感染拡大時以外での協定の履行を求める事態は特段想定していないということでございます。
○永井部会長 よろしいでしょうか。もう一点、8次医療計画。
○医療政策企画官 あと、2点目の8次医療計画のスケジュールということでございますけれども、御案内のとおり、現在、8次計画の計画検討会のほうで、5疾病5事業については鋭意検討を進めているという状況でございます。そんな中で、現在、こちらの政府対策本部決定に基づいた感染症法の改正というものを、あればということになりますけれども、今年の臨時国会等々で議論するというスケジュール感で、今、検討を進めているという状況でございます。
 法律が成立した暁には、具体的な8次計画の策定に向けたガイドライン等々の検討を進めていくことになるわけでございますけれども、各都道府県の皆様が令和5年に8次計画の検討の作業をされるということでございますので、なるべくその作業スケジュールに間に合うように、必要なものを整理していきたいと考えております。具体的な詳細なスケジュールについては、まだ決まっていないと言ったらあれですけれども、8次計画に間に合うようになるべく進めていくということかなと考えているところでございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。はい。
○河本委員 協定締結などの具体的な枠組みというのは、8次の計画の中で定められるということでよろしいわけですね。
○医療政策企画官 詳細については、その辺りで検討していきたいと思っています。
○河本委員 分かりました。ありがとうございます。
○永井部会長 松田委員、お願いします。
○松田委員 松田でございます。ありがとうございます。
 何点か質問させていただきたいのですけれども、1つは、医療機関に何らかの義務を課すという記載がありますけれども、もちろん医療機関として予防計画とか医療計画に基づいて必要な医療を提供する。これは当然だと思うのですけれども、諸外国を見ると、医療計画みたいなものにおいて、どこの医療機関が何をやるかということが段階的に計画されていて、今回の日本でもそうですけれども、足りないのは病床というよりも人員なのです。例えばフランスの医療計画ですと、対応施設で協力してくれる医療者、医師とか看護師をあらかじめ登録しておいて、非常時にはそこで働いてもらうという仕組みになっています。そういう、いわゆる地域版のBCPみたいなものを医療計画の中でやっているわけです。
 また、例えばカナダでは、保険医が週のうち何時間かは救急や高齢者施設での医療管理に従事するということを保険医の義務として貸しています。日本も、コロナ対応に関しては多くの保険医療機関が関与しているということで、こういう協力の在り方というものを考えるべきではないかと思います。具体的には、健康保険法等においても、感染症対応に対して保険医療機関が協力するということを明記しておくべきじゃないかなと思います。国は、それと整合性をとる形で、医療計画の中でもそういう協力の在り方を具体的に記述するように求めることが必要なのかなと思います。その点において、日本と同じような仕組みを持っているフランスの医療計画などが非常に参考になりますので、参考にしていただけたらと思います。
 あと、減収補償なのですけれども、医療機関は医療活動を継続するうえで、この支援があったおかげで非常に助かった部分があります。実際にそうした医療機関が感染症対応をやるということで社会経済が回るという効果があるわけですね。そうすると、これを全部公費負担ということよりも、恩恵を受ける国民で広く支えるという仕組みのほうが僕はいいのだろうと思っています。そうすると、平時から、これはもしかすると地域医療介護総合確保基金でもいいのかもしれませんけれども、公費、保険料を一定程度普段からプールしておいて、緊急時の減収補償に投入できる仕組みをつくっておくというのも、一つの考え方じゃないかなと思います。
 この感染症対応を現場で実際にやっている先生のお話を聞くと、今回の第7波に入って、重症の患者さんの定義が変わってきております。いわゆるコロナの肺炎によって重症というよりも、基礎疾患があって、それが今回の感染を契機に重症化している形で、やっている医療は通常医療になってきているわけです。こういう実体も踏まえて、負担の在り方をもう少し幅広に考えていただいたほうがいいのではないかなと思っております。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 楠岡委員、お願いします。
○楠岡委員 楠岡です。
 神野委員、松田委員の御意見と重なる部分もあるのですが、今回、システムとかハード面に関しては、法律等で手当てするということですけれども、実際、そこで働く人材をどう確保するかという点に関しての考え方をしっかり示していただく必要があるかと思います。
 契約した病院において人材を確保せよと言っても、実際感染が始まると、それは非常に難しいところがありますので、前もって、例えば個人ごとに契約して、いざというときには出てきてもらうような形、言うならば予備役のような形で登録していただくというもの。あるいは、義務的に出させる場合には、それについて補充をどのようにするか、あるいは、日常において、その分、過剰人員を抱えることになりますので、それに対する経営上の配慮等も必要ではないかと思います。
 今回、DMATが非常に活躍しているわけでありますけれども、DMATは本来、災害地に、災害のなかったところから援助するというシステムです。今回は全国的に一斉に感染拡大する中で、いよいよ崩壊しかけているところに対して、まだ少し余裕のあるところが援助するという形で、本来のDMATの在り方とは相当違う形になっております。これが平時の形でDMATを同じように持つとするならば、その人材確保も含めて、全般的に人をどう確保するかということもしっかり考えていただき、それについての手当てをしていただく必要があるかと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 続いて、安部委員、お願いします。
○安部委員 日本薬剤師会の安部でございます。
 私のほうからは3点申し上げたいと思っております。
 まず、4ページの(2)の自宅や宿泊療養者等への医療提供の確保に関してでありますが、現在、御承知のように、オミクロン株による爆発的な感染拡大が起きております。その中で、薬局・薬剤師は、医療機関と連携して、自宅で療養している患者さんに、コロナ感染症の治療薬や慢性疾患等で継続的に服用している医薬品を確実に提供しているところであります。また、医薬品を供給した後に、服薬状況の確認と併せて、体調変化などを継続的に確認し、処方医に情報提供なども行っているところであります。
 残念ながら、今日の資料1の5ページの具体的な事項を見る限り、自宅や宿泊療養における医療提供において、必要な薬を適正に使用するための薬剤師の関与や、医薬品提供に関する具体的な記載が抜けており、極めて問題・課題があると感じております。今後、医療資源の確保のための法律上の手当てなどの際には、平時における対応の方向性の具体的事項として、医薬品が適正に使用されるよう、薬剤師が適切に関与した医薬品提供体制の整備も含めて、併せて構築することが必要であり、都道府県との協定の締結に当たっては、薬局も含めた枠組みの整備が不可欠であります。
 そのためには、今後のコロナ感染症対策の検討に当たって、新型コロナウイルス感染症対策本部、医政局、健康局に併せて、医薬・生活衛生局の間でしっかりとした連携が取れる体制を整備し、薬剤師の適切な関与、医薬品提供の観点が、医療提供体制の確保の観点から、また議論から抜け落ちないように強く要望するところであります。これに関しましては、もし今回、コロナウイルス感染症対策本部の担当者がいらっしゃったら意見をお聞きしたい。もしいらっしゃらなければ医政局にお聞きしたいと思います。
 続きまして、(5)の検査体制の強化であります。昨年の8月以降、薬局では、行政からの要請によって、医療用抗原検査キットの販売、無料検査事業などの対応を行っております。また現在、自身で行った検査により、健康フォローアップセンターにつなぐような事業も、薬局が検査キット配布するなどの役割を担っている自治体がございます。今後、各地域において検査体制の協定などの整備を進める際には、こうした薬局の取組の実績もしっかり踏まえてもらわないと困りますので、そこはしっかり対応していただきたい。
 また、現在、検査結果をいかに活用するか、明確なルールが示されていないところもあります。これは、複数の検査キットの供給体制もありますので、そういったところにつきましては国民が十分に理解して、感染拡大防止や必要な受診、それから社会生活や経済活動の確保につながるような仕組みとすることが必要、今後の課題だと考えております。
 最後に、(8)の医療物資の確保でありますが、医薬品や新型コロナウイルス抗原定性検査キットが一時不足しましたけれども、関係団体やメーカーの協力によって在庫情報が公表されるなど、具体的な取組が進んでいます。これは、現場としてはとても有用な情報だと感じております。これらのように、薬事承認されている物資については、医政局の医薬産業振興・医療情報企画課から業界等に自主的な協力要請が行われて、その成果として現在の情報が提供されていると認識しております。こういった取組は、必要に応じて、その情報収集とか状況の把握がより円滑に行われるような仕組みを、これからさらに強化していく必要があると考えております。
 また、衛生マスクやアルコール消毒薬などについては、これまで国民生活安定緊急措置法によって転売規制の措置などが取られましたけれども、いわゆるこれらの雑品についても、必要に応じて、その調整の仕組みでありますとか安定確保の仕組みについては、しっかりと議論して、必要な措置を取る必要があると考えております。
 私からは以上であります。
○永井部会長 ありがとうございます。
 事務局、何かコメントありますか。
○医療政策企画官 1点目、薬局についても、協定の枠組みの中で、一定の役割を担えるようにということでの御発言だったと思っておりますが、現在、都道府県と医療機関が結ぶという協定のスキームの中で、薬局というものの役割はどういったものがあるのかということも改めて整理させていただき、検討させていただきたいと考えております。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
○安部委員 よろしくお願いします。局の連携をしっかりしていただいて、抜け落ちることがないように、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
○永井部会長 続いて、都竹委員、その後、井伊委員、お願いします。
○都竹委員 全国市長会を代表して出ております、岐阜県飛騨市長の都竹でございます。
 まず、全体的な意見として、市町村・基礎自治体の役割をもっと強化していただいてもいいのではないかということを申し上げたいと思います。5ページに健康観察あるいは生活支援の部分について、一般市町村との連携ということが少し出ておりますけれども、もっと広範にわたってもいいのではないかということです。今、生活支援は都道府県が一元的に行っているわけですけれども、市町村であれば、例えば食事の提供等も細かに対応できますし、地域の事情もよく分かります。そもそも都道府県が一元的にそれを実施するということ自体に無理があると思っておりまして、きめ細かな支援のためには、一般市町村の役割というのは大きいと思います。
 もっと言うと、保健所の積極的疫学調査、この後どうなってくるかということはありますけれども、こちらも本当は可能な市町村に権限を付与してもよかったのではないかと思っております。当然、個別に聴き取りもできますし、保健所から考え方とか聴き取りの指針とかを示していただければ、相談に乗っていただきつつ、その実務の部分はこなしていける。その分、保健所の逼迫ということも抑えることができるわけですし、何といっても、市町村レベルで各地域の感染動向とかトレンドの把握ができます。感染対策の呼びかけを行っているのは市町村長でありますので、そこに直結するという点におきましても、これは非常に大きな意義があるのではないかと思っています。
 それから、今、自宅療養の方が非常に多いわけですけれども、自宅療養の方の情報は、岐阜県においては保健所から私どものところに極秘情報として来ております。それはなぜかというと、災害時の避難行動と直結するからです。自宅にいると、水平避難で避難所に行くのか、自宅で垂直避難するのか。そうしたことは、市町村がその地域の具体的なハザードマップ、危険度なども見ながら判断していくことになりますので、その意味でも情報があることはとても大事なことなのですね。そうしたこともぜひ念頭に置いていただきたいと思います。
 それから、検査の件ですが、今、陽性者登録センターが各地で稼働し始めているのですけれども、これにつきましても、市町村でキットの配布とか対応ができるようにしたほうがよかったと思っています。現実に、私たちの市民病院でも、発熱外来で陽性が確認される方の3分の2くらいは、自分でキットで検査して陽性が確認された後に医療機関に行っていらっしゃいます。その分を陽性者登録センターにつなげることができれば、医療機関の負担が軽減できます。ところが、これも都道府県に一元化されてしまっているがゆえに、市町村の出る幕がなかなかないということになっています。この辺りも改善すべき点だと考えます。
 それから、同じ検査体制で申し上げますと、コロナ禍になって、この2年半近くの間、都道府県は保健所を有しているということで、いろいろな検査体制を取られるのですね。昨年の今頃は、県庁所在市の繁華街で道を歩いている人にPCR検査をやるということもありました。しかし、実際にそういったことをやるよりも、各地のそれぞれの地域の実情が分かった市町村が、例えば抗原検査のセンターを設けるとか、PCRのセンターを設けるということができれば、もっと細かくできるわけです。
 それから、介護施設、障害者施設へのキットの配布も、市町村がやればもっときめ細かにできるわけです。このように、全体的に都道府県偏重になっていることで、きめ細かな対応を妨げている部分があるのではないかということも思っておりますので、今後の御検討に当たって、基礎自治体・市町村の役割というものもぜひ強化を図っていただくようなことでお願いいたしたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 今の点、私も一言。内閣官房の有識者会議でも、感染症法における市区町村長の役割が明らかでないということが指摘されておりました。検査センターの充実ということも全く同意見だったと思います。ありがとうございます。
 では、井伊委員、お願いします。
○井伊委員 ありがとうございます。日本看護協会の井伊でございます。
 私からは2点、発言したいと思います。
 まず、1点目は、「(3)広域での医療人材の派遣等の調整権限創設等」についてですが、具体的事項として大きく2つ挙がっていまして、国による調整の仕組みづくり、それから都道府県知事が求めることができる仕組みということ、またDMAT等の派遣・活動の強化のことにも触れ、かつ、その次のページにはIHEATのことも取り上げられております。昨年度は日本看護協会にも御依頼があって、看護師の派遣の調整をいたしました。こういったことからは、人材派遣調整のために仕組みが複数立ち上がることになるのではないか。そうなると、それぞれの役割を相当分かりやすく整理して示していただく必要があると思いますので、この点はしっかりと検討する必要があると思います。これが1点です。
 次は、「(4)保健所の体制とその業務に関する都道府県の権限・関与の強化等」についてです。私からは、特に保健所の体制強化について発言したいと思います。このことについては、平時からの準備が大変重要だということは、自明のことです。令和3年から4年度の2年間で、全国の保健所で感染症対応業務に従事する保健師を900名増員するということで、地方財政措置が講じられていりますが、これにつきましては、他の担当の保健師の振替ではなく、確実に保健所保健師数が900名増えるように、しっかりと取り組む必要があると思っています。現在、保健所は468か所ですので、900名増えても平均2人も増えないということも、単純計算で出てきます。ですので、これは最低限の増員だと思いますので、しっかり取り組むべきと思っています。
 その上で、IHEATの強化が、「対応の方向性」として掲げられております。これはこれで重要だと思いますが、IHEATは自治体職員以外の学会や団体等に所属する保健師や、その他の職種も含めて、登録している人を活用する仕組みです。現在、登録者が3500名程度ということです。一方、市町村には3万人以上の常勤の保健師がいます。IHEATの強化も重要ではありますけれども、この市町村保健師との連携強化が本来なされるべきだと考えますし、IHEATよりもはるかに即応性があると思います。
 先ほど都竹委員からも御発言がありましたが、5ページの下から2つ目の○に、健康観察や生活支援について、一般市町村に協力を求めると記載がありますけれども、私どもも、市町村の協力というのは、これにとどまらず、幅広くあるべきだと考えます。地域の情報を保健所と市町村で共有して、必要な連携ができるような方向で検討を進めるべきだと考えます。また、そういったことも鑑みますと、先ほど900名の保健師の増のことを申し上げましたが、それとは別に、感染症まん延時期に大量かつ多種多様な業務を効率的に進めることができるように、各保健所には総合的なマネジメント・指導を担う保健師の配置が必要だと考えます。ぜひこういったことも検討していただきたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 ちょっと時間が押してきましたので、要点をお願いします。
 加納委員、山口委員の順でお願いします。
○加納委員 ありがとうございます。
 私から、3ページの下から2つ目の○、今回、都道府県であらかじめ医療機関等で協定を締結という方向性になったわけです。都道府県によっては、こういった公立・公的・特定機能病院だけでカバーできるところもあるかと思うのですが、多くの大都会では今回の感染に関しましては、例えば大阪を例にとりますと、7割を超える割合で民間病院が3波以降、受けているという状況下で、民間病院の役割をどういうふうに今後考えていくかということになります。そうでないと、大阪では民間以外の3割の活動ではカバーできないのが現状でありますので、都道府県によっては、そういった意味での民間病院の役割というものをしっかりと議論する場はあるのでしょうかという質問です。
 その中で1つ大事なのは、多くの公立病院はもともと政策医療という形で感染症が入っていて、ふだんから補助金等が一般会計繰入金で入っているわけですが、民間病院にはそういったものがないわけですから、これに参加するとしたときに、どのような考え方で対応していただけるのかということをちょっとお聞きしたいと思います。その中で、初期においては減収補償の仕組みという形で、これは概算請求なのか、どういう形なのか分かりませんが、何らかの仕組みを考えられているかと思うのですが、民間病院の参加に関しましては、どういった考えを持っていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
○永井部会長 事務局、お願いします。
○医療政策企画官 今回は、民間病院、公立・公的病院など、特に別なく、次の感染症に対応するという観点で都道府県と協議していただいた上で、協定というスキームで、どういうふうな役割、入院医療だったらどのぐらいの病床を確保していただくとか、そういったものを協定という形で結んでいただきたいと思っておりますので、まさにそういう地域での議論の場面の中で、公立等のみならず、民間病院にもそういった次の感染症に対する対応をお願いしたいと考えているところでございます。
 こういったことで、平時から、例えばこういうふうに協定を結んでいただくような医療機関に対して、感染症指定医療機関と同様に、設備整備等々に要する費用の財政支援といったことも併せて考えているところでございますので、協定を結んでいただいて、一定の役割を果たしていただく医療機関であれば、そういった補助の対象になってくるという形で考えたり、整理していきたいと思っております。
 事業継続確保措置も、そういう意味では協定の延長線上にある世界かなと思っておりまして、地域で初期から基幹的な役割を果たしていただくような医療機関というところを、普通の協定に加えて、より中心的に役割を果たしていただくような協定を結んでいただこうと考えておりますので、各地域の医療機関の特性に応じて、どういったところをそういう基幹的なところにするのかというのは、協定のフレームの中で議論していただきたいと考えているところでございます。
○加納委員 ありがとうございます。
 第8次の医療計画の中でもまた議論するかと思うのですけれども、今回、協定したところには義務という形があるわけですが、我々民間病院というものは経営を自分でやっていかなければいけないという背景がありますので、その辺のしっかりとした考慮があって、その中での協定という形であれば、義務と補償が表裏一体なのは分かるのですが、いろいろな形で我々が対応しやすい内容にしていかないと、実際にパンデミックが起こったときには、民間病院の参加がなければ非常に危険な状態になるということは認識できると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○永井部会長 山口委員、お願いします。
○山口委員 ありがとうございます。
 先ほど都竹委員、井伊委員がおっしゃった件、住民の立場からしましても、市町村という住民が把握できる範囲でしっかりと対応していただくということは、私もとても重要なことだと思います。
 その上で、質問が1つございます。今回の対応の具体的事項の中に、数値目標が2つ出てきます。9ページには検査の数値目標ということで、検査に関しては、どれぐらいの感染者が出てきたのかで、検査はこれぐらい必要だという数値目標は立てやすいかと思うのですが、5ページの具体的事項の1つ目に、オンライン診療、往診・訪問看護等の数値目標ということが書かれています。どのような感染症なのか、あるいは感染力がどれぐらい強いのか、あるいは重症度も、入院が必要な患者さんがどれぐらいで、自宅療養が可能な人がどれぐらいかということを平時に想定できにくいのではないかと思います。
 例えば、指令系統を明確にして体制を整えて柔軟に対応するということは大事だと思うのですけれども、具体的な数値目標を現実的に立てることが可能なのかと疑問に思いました。例えば、オンライン診療や往診・訪問看護ということで言うと、感染拡大したときを視野に入れて、平時から実施できる数を増やしていくという意味での目標なのか。その辺り、どういったことを想定して数値目標と書かれているのかということを事務局にお尋ねしたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 お願いします。
○医療政策企画官 難しい御質問だなと思いましたが、現在、例えば往診であれば、健康観察診療医療機関というものを2.2万医療機関ぐらい担っていただいているところでございます。要は、そういう往診に対応できる医療機関ということで、どのぐらいの数を見込むのかとか。あとは、オンライン診療も同じだと思いますけれども、オンライン診療に対応できるような医療機関の数をどのぐらいにするのかといったぐらいのレベル感なのかなと考えております。数値目標といっても、何人の患者に1日当たり、どのぐらい対応できるのかみたいな細かいことが設定できるわけではなくて、恐らく先生がおっしゃったような地域の医療提供体制の中で、そういう機能を担っていただけるような医療機関をどのぐらいの数にするのかといった目標を現状では想定しているところでございます。
○山口委員 分かりました。突然できることばかりではないと思いますので、そういったことも都道府県が計画を立てるとしたら、分かるようにぜひお伝えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 ありがとうございます。
 山崎委員、お願いします。
○山崎委員 現在の精神科の病棟とは、9割が民間病院で医療を提供していますが、しかも精神科病院の多くは単科の精神病院が多数です。したがって、病院でクラスターが発生したときになかなか転院ができないということがあったり、あるいは中等症であっても2以上にならないと一般科に転院させてくれなくて、自院で治療を含めて継続入院という形になってしまっています。
 したがって、今回の騒動が一段落した段階には、精神科医療における感染症病棟の整備をどういうふうに行うか。少なくとも都道府県に数か所、平時においても感染症病棟を整備していくことを考えなければいけないと思っています。この中で、従来の精神科病棟を改築して感染症病棟を造る改築補助金とか、あるいはそこに付随する医療機器とか、そういうものの補助金の整備をきちんとしていただきたいというのが1点です。
 もう一つは、第8次の医療計画の中に、緊急時において、民間病院を含めて感染症病棟として一時期使うという何らかの義務ということが書かれているわけですが、そうだとしたら、これから新築する病院は、病棟全体のゾーニングでなくて、1つの病棟でゾーニングができるような構造体の病院を造っていくということが大事なのではないかと思っています。今回、一番問題になっているのは、病棟をどうやってゾーニングするかということで、例えば精神科の病棟はなかなかゾーニングできないのです。そうすると、その病棟ごとゾーニングしてしまえみたいな話になって、その病棟の感染症が収束するまでは、病棟ごとでずっとゾーニングしっ放しみたいになるわけです。
 したがって、8次医療計画の中で、新築の病院の病棟については、感染症が流行するということを予想して、ゾーニングしやすいような病棟を造っていくことが大事ではないかと考えています。よろしくお願いします。
○永井部会長 ありがとうございます。
 では、相澤委員、小熊委員、松原委員、お願いします。
○相澤委員 ありがとうございます。
 まず、1つ、基本的に感染症法ですから、感染症に特化しているのは分かるのですが、医療機関からいいますと、通常医療を守りつつ感染症の医療もやらなければいけないという大変さがあるのですね。そうすると、感染症が拡大してきたときには、1つや2つの病院ではどうしても駄目で、ある地域の病院群がみんなで協力し合わないと駄目だ。そういう概念がこの感染症法の中には全然入っていないような気がするのですね。
 たしかいろいろな報道では、感染症法はこれまでどおり、都道府県を単位として、いろいろ考えているという話であったのですが、先ほどの都竹委員のお話にもあったのですが、どういうことに対応するかによっては、もう少しきめ細かに、例えば生活のほうが中心になってくるんだったら市町村とか、あるいは二次医療圏とか、どういうことをやったら感染症対応がきちんとできるかという考え方を持ってつくっていったほうがいいのではないかということが第1点です。
 第2点は、ここに余り書かれていないのですが、感染症は病気ですが、入院治療が必要な方は入院しますが、入院治療の必要がなくなれば、できれば療養できるところに移動してほしいわけですね。要するに何を言いたいかというと、治療ばかりではなくて、隔離をする施設も私は必要だと思うのです。そうすると、ここの中に宿泊療養施設というのが書かれているのですが、隔離という言葉がいい言葉なのかどうか知りませんが、隔離する施設。本当に軽症だったり、あるいは症状のない方がいる場所の確保というのをしていただく。
 例えば、今、我々が困っている、御高齢の方が入院してきて、少しすれば症状が落ち着いて退院なのだけれども、他者にうつす可能性があるために病院にずっといるということが続いていまして、そうだとすると、そういう方が暮らすことのできる療養施設にどんどん移していくことで、流れがスムーズになることによって、医療も円滑に行えるようになってくるのではないかなと私は思っています。
 それから、もう一つ、クラスターに対してどう対応するかというのがすごく大事な問題で、ことに老人施設、それから先ほど山崎先生のお話にもありました精神科病院のところ。クラスターに対してどうするのか。それに対しての記載は、私はきちんとしたほうがいいのではないかなと思います。
 最後に、こういう協定を結んだ医療機関が協定をしっかり果たす義務があるということが書かれているのですが、義務を課すのだったらちゃんと支援をしてほしい。感染症が発生したら一般医療を抑えるわけですから、当然そこの具体的な支援は当たり前としても、準備をする段階においても、私はきちんとした支援をすべきだと思います。先ほど山崎先生がおっしゃったように、施設とか設備とか、あるいは少なくとも1か月間のいろいろな感染症に対応する様々な勤務医をしっかり用意しておくとか、それは、こういうことをやったらしっかりと支援するということをしないと、医療機関としては一方的に押しつけられて、何だという話になって、関係性が甚だよい方向に向いていかないと思いますので、これはぜひお願いしたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 小熊委員、お願いします。
○小熊委員 ありがとうございます。
 今、いろいろな先生からいろいろな報告がなされました。意見が出されました。先ほど御説明があったことにつきましては、コロナに対しても、あるいはこれから起きるであろう未知の新たな感染症に対しても、総論としてはやむを得ない。あらかじめ推測して、それなりの医療体制を整えて、それを稼働していくことが必要だと思います。ですから、総論としては仕方ないと思いますが、今回、コロナの第7波ではっきりしたことは、コロナであっても、比較的重症化して命に関わってくるものと、今回のように無症状の人が多い。コロナでなくて、ほかの病気で亡くなるような方が多い。そういった感染性とか病原性が非常に違っているのだということを認識しなければいけないのではないかと思っています。
 例えば、今、コロナをインフルエンザ並みに5類にしたらどうかという意見も出ていますが、これは非常に感染性の低い、病毒性の低い場合はオーケーかもしれませんが、そうでない、重症性が高まるコロナでは、そんなことをしたら大変なことになると思っています。ですから、そこの違いによる体制の差というものを十分考えなければいけないのではないかと私は思います。
 いずれにしましても、先ほどから御意見がございますように、病院の施設とか人員配置が医療ということに関しては非常に重要なポイントになるわけでございますが、それは人員を確保するといっても、特定の地域に起きる災害とは違いまして、日本国中で一斉に起きる感染症ですから、余裕を持って人を回すということもかなり難しいと思います。それから、感染症として重篤なものを隔離する必要のある場合と、隔離しなくてもいいようなものと分かれると思うのですね。ですから、そういったことに関して、非常に細かな検討策を具体的にお立てになる必要があるのではないかと私は思います。
 あと、もう一つ言わせていただきたいのは、発熱外来とか検査外来というものを委託しているわけですけれども、現実にもうパンクしている状況で、そういった当初立てたプランがパンクしたときにどうするのかということを追加して考える必要があるのではないかと思います。病床に関しては、沖縄はいっぱいですけれども、それ以外は病床が余っていても、そこで働く医療者がいない。学校なりで子供が感染して、それからナースがうつってしまう、医療者がうつってしまう。それで病院に出てこられない。そういう事態に今は直面しているわけで、その事態、事態に分けて、もっと細かに対応をお考えいただく必要があるのではないかなと私は思っております。
 私からは以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 最後に、松原委員、お願いします。
○松原委員 お示しいただいた資料については、おおむね賛成しております。一方で、こうしたハード面を動かすためには、ソフトの部分の充実も同時に図らなければいけないと思っています。具体的には、例えば1つの病院で感染症に対してしっかり対応できる体制ができても、そこでクラスターが起きればとても対応できなくなりますので、先ほどからお話がありますように地域で診るとか、またはその地域全体で、一時期の大阪みたいに感染が非常にひどくなっているとなったら、別の都道府県まで含めて検討することができる体制構築が求められます。
 例えば、実際に患者が重度になった場合には救急車を呼ぶことがあると思います。そのときに救急車が一々電話して、どの病院が大丈夫なのか確認するのではなくて、救急車自体がベッドの空いている状態とか人の状態とかを把握できるようにする。これで随分とスムーズに患者も流れやすくなると思うのですね。そういうソフト面も同時に検討していく必要があると思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございました。
 以上といたしますが、本日いただいた御意見のうち、幾つかは医療部会の所掌を超える御提案だったように思います。この点につきましては、私から事務局に指示いたしまして、関係部会に伝えさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

○永井部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
 続いて、「遠隔医療の更なる活用について」、事務局より説明をお願いいたします。
○総務課長 医政局の総務課長でございます。
 資料2のほうを御覧いただければと思います。「遠隔医療の更なる活用について」ということで御用意しております。
 おめくりいただきまして、2ページでございますが、遠隔医療につきましては、医療部会のほうでも3月に一度御議論いただきましたけれども、更なる活用に向けた基本方針というものをまとめていきたいということで御議論をお願いしているところございます。そういった中で、今日は1つ、個別のイシューということではありませんが、規制改革のほうから検討を求められている点につきまして、先生方から御意見をいただきたいということで資料を用意しております。
 3ページのほうでございますが、2つほど事項がございまして、1つは規制改革の実施計画ということで、ここに記載のように、通所介護事業所や公民館等の身近な場所での受診を可能とする必要があるとの指摘があることや、患者の勤務する職場においてはオンライン診療の実施が可能とされていることも踏まえ、デジタルデバイスに明るくない高齢者等の医療の確保の観点から、オンライン診療を受診することが可能な場所や条件について、課題を整理・検討し、結論を得るということでございます。
 それから、もう一点、関連しまして、こちらは成長戦略のフォローアップということでございますが、こちらに書いています、いわゆるMaaSということで、医療と連携したMaaSというものについて、自動車を活用してオンライン診療を行う場合の課題や事例を整理し普及を図るということを閣議決定として検討していくことになっております。
 おめくりいただきまして、4ページ以降、規制の現状というのを簡単にまとめさせていただいております。
 4ページでございますが、1つは医療提供の場に関する規制ということであります。ここに記載の医療法のほうで、病院等々、その他の医療を提供する施設か、医療を受ける者の居宅等ということで、居宅その他厚労省令で定める場所というものにおいて、医療は提供されなければならないということで、その他の厚生労働省令でということがその下にございますが、1号から4号については、各種の老人ホームということがあり、5号におきまして、医療を受ける者が療養生活を営むことができる場所であって、医療提供施設以外の場所というものが規定されているということでございます。
 3つ目の○、補足でありますけれども、公衆又は特定多数人のために医業を行う場所については、病院なり診療所で、開設・管理等について様々な規制が行われているということでございます。
 もう一つは、オンライン診療という観点からの規制でございますが、5ページにございますように、医師法の20条で無診察治療というのは禁じられておりますけれども、オンライン指針のほうで、最低限遵守する事項を遵守した場合には抵触しないという整理がされているということでございます。
 指針につきましては主な内容をここに書いておりますけれども、指針のほうで、オンライン診療の定義とか、実施に当たっての基本理念ということで、オンライン診療を実施するときに、どういうことが基本的に大事なことなのかということが3点ほど整理されているということでございます。
 それから、具体的な運用として、医師と患者の合意でありますとか、本人確認あるいは急変時の対応等々が規定されているということでございます。
 次の6ページからは詳細になってしまいますので、概略にいたしますけれども、この指針の中で、より具体的に、医師の所在については、下線、太字にしておりますけれども、騒音のある状況等々、患者の心身の状態に関する情報を得るのに不適切な場所で行うべきではないでありますとか、医療機関に居る場合と同等程度に患者の心身の状態の情報に関する情報が得られる体制を確保しておくべきでありますとか、公衆の場でオンライン診療を行うべきではないということで、患者のプライバシーに配慮するといったことについて、あるいは物理的に外部から隔離されるといったことも含めて、そういった環境が必要ではないかということが書いてあります。
 7ページでございますが、患者の所在ということは、先ほど申し上げた点に重なりますが、オンライン診療であっても、医療提供の場所というのは、医療提供施設かその患者の居宅等ということでございます。ですので、患者のプライバシーに十分配慮するという点でありますとか、清潔保持とか安全といったものに対して配慮ができるようなところでやっていくということが規定されています。
 8ページ、最後のページですが、今日御議論いただきたいことでございますが、先ほど申し上げましたような閣議決定とか現状の規制を踏まえまして、1つは、デジタルデバイスに明るくない高齢者の医療の確保の観点といったことで、オンライン診療を受診することが可能な場所とか条件、これは監督方法も含むかと思いますが、どういうふうに考えていけばいいのか。例示に挙がっているような通所介護事業所とか公民館などの身近な場所というものについて、どう考えるかということでございます。
 2つ目は、医療MaaSと申し上げましたけれども、自治体でも実例が挙がってきているようでありますけれども、自動車を活用してオンライン診療を行う場合に、どういった効果なり課題があって、どういうふうに普及を図っていくべきか。
 この2点について、今日は御意見を頂戴したいと考えております。
 説明は以上になります。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、よろしくお願いいたします。御意見いかがでしょうか。
 井出参考人、神野委員の順にお願いします。
○井出参考人 ありがとうございます。井出でございます。公務の都合で途中退席とさせていただきます。そのため、今の遠隔医療と、議題の3番にあります働き方改革について、まとめて発言させていただきます。
 まず、遠隔医療の関係ですけれども、オンライン診療は、過疎・中山間地域など、医療資源が少なく、医療機関へのアクセスが困難な地域に暮らす患者さん、そして、通院が困難な患者さんの受診機会を確保する観点から、有効な手段であると考えております。高齢者によっては、自宅でオンラインのアクセスができない方がいらっしゃいます。このことから、オンライン環境が整った公共の場や通所先などにおいて受診ができるよう、選択肢を広げていただくことは非常に重要と考えております。この場合においても、医療の安全、質の確保、あるいは患者の個人情報や医療情報の保護などに留意した検討が必要であると考えております。
 次に、働き方改革関係でありますけれども、今回の調査結果を踏まえて、大学病院をはじめとして、各医療機関の状況に応じて、医師労働時間短縮計画の作成に向けたアドバイスなど、きめ細かな支援を行っていく必要があります。引き続き、医療機関、都道府県及び医師会など、関係者への迅速な情報提供、そして、大学病院の医師派遣機能を維持するために、県がその大学病院を支援するような必要な財源措置を講じていただくなど、地域の医療提供体制に多大な影響を与えることがないよう、現場の声を踏まえながら丁寧に改革を進めるようお願いいたします。
 私からは以上です。よろしくお願いします。
○永井部会長 ありがとうございます。
 神野委員、お願いします。
○神野委員 神野です。
 第8次医療計画の検討委員会で、75歳以上高齢者の31.5%が要介護、85歳以上高齢者の57.8%が要介護だというデータが出ておりました。まさに病院に通えない患者さんがこれからどんどん増えていくということを背景にすると、いろいろなところにオンラインというのは、私は大いに賛成するところであります。ここにいらっしゃる方も、どういうところで今、参加されているか分かりませんけれども、皆様方の表情とか顔色がよく見えます。それと同じ環境があれば、オンラインはできるのではないかなと思います。
 そして、その中でMaaSの話がありましたけれども、自動車が診療所であってもいいわけですし、それからMaaSを使って送迎といった形もあるのかなと思います。
 そして、論点のところにありましたけれども、例えばwith N、訪問看護師さんが現場に行って、オンライン診療を医師と患者さんと訪問看護師さんと一緒にやる。あるいは、ウイズヘルパーさんといった形も大いにあるべきかなと思いますが、ヘルパーさんの場合は、そのときの訪問介護の費用、あるいは訪問看護の費用とオンライン診療というものをきちんと算定できるような、これは診療報酬のほうかもしれませんけれども、そういう構造が必要なのかなと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 佐保委員、その後、角田委員、お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。
 私からも、スライド8の検討に際しての論点に関して発言したいと思います。
 論点1点目に関して、例示として挙げられた公民館等は、場所によっては壁が薄いなど、物理的に外部から隔離された空間とは言いがたいところもあります。僻地や離島での必要性は理解するものの、指針にある「第三者に患者の心身の状態に関する情報の伝わることがないよう」という観点からも、適切とは言えないのではないかと考えています。
 また、論点2点目の、自動車を活用してオンライン診療を行う場合、いわゆる医療MaaSに関しては、医師が不足している地域に限るなど、一定程度の制約を設けるべきではないかと考えます。実証事業が行われていると認識しておりますので、こうした事業で判明した課題も丁寧に拾い、検討を進めることが必要ではないかと考えます。
 なお、最近、オンライン診療のCMも見かけますが、患者の利便性向上につながる一方、誤ったメッセージ発信につながることにならないよう、注意が必要ではないかと考えております。
 私からは以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 では、角田委員、その後、遠藤委員、山口委員、お願いします。
○角田委員 ありがとうございます。日本医師会副会長の角田と申します。
 まず、私ども日本医師会としては、オンライン診療を含む医療DXにおいては、御高齢の方だけではなくて、国民・医療者の誰一人取り残さないということが重要だと考えております。その上で、今の部分、御指摘させていただきます。
 まず、資料2の5ページの3段目にオンライン診療の実施に当たっての基本理念が出ております。まず、1つ目は、日常生活の情報を得る。これによって医療の質のさらなる向上に結びつけるということ。2番目としては、医療に対するアクセシビリティを高めて、よりよい医療が得られるということ。3番目は、患者の治療に当たって治療効果を最大化すると指摘されております。
 一方で、8ページの論点を見ますと、まず、通所介護事業所、公民館は、理念の1である日常生活の情報を得ることは難しいと考えております。もともと医療を提供する場所については、資料の7ページの2の3番目に出ておりますけれども、特定多数の人に対する医業又は歯科医業を提供する場所は病院又は診療所であり、オンライン診療であっても同様であるため、特定多数人に対するオンライン診療を提供する場合には、診療所の届出を行うことが規定されております。そういった通所介護事業所、公民館等、これらが特定多数人に対する診療を提供する場所には該当しないと考えることは、無理があると考えております。
 一方で、指針で会社について記載がありますけれども、これは日常生活の事情によって異なることを大前提とした上で、労働を行う場所として日常診療に関する情報を得るものとして認められているものであります。理念2に照らして考えると、通所介護事業所、公民館等に移動できる方々は、医療機関に通うこともできるのではないでしょうか。よって、アクセシビリティの解決にはならないと考えられます。
 デジタルデバイスに明るくない方への補助といったことを目的とするのであれば、これは医療従事者でなくてもできます。オンライン診療支援者、そして患者が情報通信機器の使用に慣れていない場合等に、円滑なコミュニケーションを支援するものと定義されています。そして、これは職種を問いません。つまり、在宅でも、技術的な面でも、補助は柔軟に行うことができると考えております。
 一方で、離島・僻地など、訪問看護ステーションがない、または不足している地域もあります。このような地域については、巡回診療の通知等を参考に、簡易な手続でオンライン診療を実施できるようにすることが、患者さんの医療へのアクセシビリティをよくすると考えております。オンライン診療はあくまで医療であります。医療法の適用があります。医療提供の場について、医療法や規則にしっかりと書かれています。これを無理に解釈・変更しなくても対応できるものと考えております。
 また、2つ目の論点、自動車を活用してオンライン診療を行う場合について。自動車で患者さんの自宅のすぐ傍らまで来るのであれば、その御自宅からオンライン診療ができるような体制を取るのがよろしいかと思います。患者さんを自動車に移動させることにこだわる必要はないと考えております。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 遠藤秀樹委員、お願いします。
○遠藤(秀)委員 日本歯科医師会、遠藤です。
 まず、今回、2点ほど御意見申し上げたいと思いますけれども、今、委員からも御説明ありましたけれども、オンライン診療における医療提供の場ということで、現在議論されているところでございますが、これらの条件については、在宅医療についても同様の議論が必要なのではないかなと思っております。特に、次の改定は医療と介護の同時改定というところで、医療と介護の連携を密にする上でも必要かなと思っております。
 特に、歯科においては、訪問診療に様々な器具・器械を使用する診療が多くて、こういった場合には、自宅のベッドサイドよりも、ある意味通所等のところで条件が整えば、そういったところが可能になるのであれば、現場の要望というのは結構上がっております。どういったところが適切かということは今後議論になるかと思いますが、オンライン診療同様、在宅も併せて御検討いただければと思っております。
 2点目としては、オンライン診療の形式でありますが、8ページにD to P、医師と患者さんという関係が基本でありますが、先ほど神野委員からも御意見ありましたように、歯科においては、実地の指導や清掃が伴う場合、実地の活動が伴いますので、ウイズナースまたは歯科衛生士ですね。介護職の方の患者対応が要るケースということも、有用なケースとして上がっておりますので、ぜひそういったことも検討に加えていただきたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 山口委員、お願いします。
○山口委員 ありがとうございます。
 医療MaaSについてですけれども、この実証実験についてかなり詳しく話を伺ったことがございます。そのお話を聞いて、医療MaaSが有効だと思ったのが、例えば通院困難、医師不足の地域です。そういったところに付添家族がいないとか、それから、在宅医療の患者さんが増えると、ドクターが訪問するのに非常に時間がかかってしまう。そこで、看護師さんが車を運転して、患者さんの自宅の敷地内に行って居宅扱いにするということで、ドクターとオンラインでつないでD to P with Nでオンライン診療をおこなう。車椅子で移動できる患者さんはリフトで車の中にやってくる。
 その結果ですけれども、医師からは、急変対応の患者をお昼に診ることができるようになって、必要に応じて病院に紹介できるようになったとか、介護との連携が取りやすくなったといった医療側のプラスのことに加えて、患者さんもいつも寝ているだけだと、訪問に来てもらっても、自分から何かするということはなかなかしないのが、車の中に移動するだけでも、ちょっと身なりを整えるとか外に出るという楽しみもあって、すごく生き生きするという家族の話をお聞きしたこともございました。ですので、そういったニーズのある地域では、こういったことを進めていくことが有効ではないかなと私は思っています。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 続いて、遠藤直幸委員、お願いします。
○遠藤(直)委員 どうもありがとうございます。私からは、全国町村会の立場でお話しさせていただきます。
 オンライン診療の活用については、医療資源が少ない町村にとって、地域住民の医療が確保される観点から有用であり、心強いものであるということをまず申し上げたいと思います。その上で、2つほど要望しておきたいと思います。
 離島や中山間地域等の医療機関が少ない地域では、オンライン診療では対応できない急病や急変時に、患者が速やかにアクセスできる医療機関の体制整備が難しいことから、救急搬送体制の強化等についても御検討いただきたいと思います。
 また、オンライン診療を実効性のある運用とするため、各種医療機関等、関係機関への周知徹底や、遠隔医療の基盤整備に対する財政支援をお願いしたい。併せて、住民が安心してオンライン診療を活用することができるよう、情報保護の観点からセキュリティ環境を整備いただくとともに、デジタルの専門人材確保等、きめ細かな支援をお願いしたいということであります。よろしくお願い申し上げます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 井伊委員、お願いします。
○井伊委員 ありがとうございます。
 遠隔医療に関しては、医療資源の少ない地域、それから家からは出られるけれども、交通手段がない方々など通院困難な患者等にとって大変重要だと思います。3ページに記載のMaaSの実証結果などを見ましても、看護師が同席するD to P with Nの形式には、今後、様々な可能性があると考えています。例えば、with Nでしたら、患者さんのケアもできますし、一定の処置や、あるいは医療機器の使用もできます。さらに、診療環境の整備ということも機能としては持てるのではないかと思います。
 そうしたことからは、条件がきちんと整うという前提で、通所介護事業所等々につきましても、進めていくことに意味があるのではないかと思います。オンライン診療の受診の場が拡大する方向で検討いただきたいということです。
 2つ目は、その際に、看護師がどういう形で出ていくのかということについては、それはそれで1つ課題があると思いますので、そこも含めて御検討いただければありがたく思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 島崎委員、お願いします。
○島崎委員 ありがとうございます。
 私が関わっている県のことなのですけれども、医療過疎地で開業医が廃業してしまい無医地区になるので、公立病院に対して医師の派遣をしてもらえないか、あるいは、それが難しい場合に、巡回診療をしてほしいという要請が行われているケースが現実にあります。公立病院も医師が潤沢なわけではありませんので、医師の派遣はもとより巡回診療も移動の時間などを考えますとなかなか難しいのですけれども、そうした場合、オンライン診療で対応できないかどうか検討しています。そして、それをオンライン診療でやる場合、ITリテラシーが低い高齢者等も現実におりますので、公民館に集まってもらって、その職員、別に医療職でも介護職でもない事務の職員がその手助けをすることで、パソコン操作等のトラブルを回避できないかどうかということも検討している実例があります。
 私は、こうしたケースについては、反対しようと思えばいろいろな理屈は立つと思うのですけれども、オンライン診療の実施場所として認めていくべきだと思います。そして、それをさらに拡大・一般化することについて問題がないかどうか、どんな条件を付せばよいのかということを検証していくのが現実的な進め方ではないかなと思っております。
 私の意見は以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 続いて、都竹委員。
○都竹委員 ありがとうございます。
 今回の御提案、大変すばらしいと思っておりまして、我々もできることならすぐにでもやりたいというくらいです。私どもの町も過疎地ですので、独居の高齢者が非常に遠いところに住んでおられるケースがかなりあって、通院するたびに足もない、市営バスの本数も少ないという中で、特に雪深い冬などは大変苦労されながら病院に通っている。しかも病院に通っても、基本的には定期的に診察を受けて薬をもらってくるだけという方も相当おられます。その意味では、そうした負担を下げる意味でとても有効だと思っています。
 それで、御懸念のオンライン診療を行う場所については、先ほどと同様、基礎自治体・市町村と連携していただければ、我々のいろいろな場所の提供、公民館も含めて、そうしたことは容易にできますし、また、それに適した場所の選定というのも、地域が分かった市町村ならすることができます。
 また、バスの利用の話がありましたけれども、マイクロバスなんかをスクールバスで使っているケースがあって、そういったところは医療機関に通うのがなかなか難しい高齢者の方がおられたりします。そうした地域において、例えばマイクロバスを少し改造してオンライン診療の会場にしていくということも十分可能だと思われます。いずれにしても、そうした手配は、市町村にとってはお手の物ですので、ぜひ基礎自治体と連携していただきながら、大いに推進していただきたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 加納委員。
○加納委員 ありがとうございます。
 先ほどから出ておりますように、過疎・僻地、それから医療資源の貧しいところ、今もお話がありましたように、地域医療を守るために、提示いただいた形での展開が非常に大事だと認識しております。そういう意味では、場所等も含めて、先ほどの御意見どおり、私も地域に任せるところは任せてというのが1つ基本かなと思っております。
 ただ、今回のオンライン診療に関わることの原点は、一番大事なところは、平時はそういう形でできるかと思うのですが、急変・急病時に対応、先ほど遠藤委員もおっしゃったように、救急搬送等の受け入れ等についての対応・連携がしっかりと担保されていないというオンラインの展開はどうかなということがあります。また、変な形での制限なきオンラインとなると、東京一極で全国をやってしまうような形もできてしまうという可能性もありますので、地域医療を守るという原則をしっかりと規定していただくことが必要かなと思っております。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 最後に小熊委員、お願いします。
○小熊委員 ありがとうございます。
 ただいま加納先生もおっしゃいましたけれども、オンライン診療については、我々公立病院サイドとしては推進したいと思っています。
 ただ、ここで2つ申し上げたいのですが、1点は、初診患者さんですね。全く事情が分からない人をいきなりオンラインというのは、これはちょっと考えものだろうと思います。特別な事情を除くと、患者さんの状況がよく分かって、医療側と受診側がお互いに理解できる条件が必要だと思っています。
 第2点目は、先ほど加納先生がおっしゃったように、救急医療に関してですが、はっきり申しますと、今、急に具合が悪くなったら病院に行けばいいのだ、救急外来へ行けばいいのだというのが一般的な国民の考え方だと思います。そこにオンライン診療を活用できるのではないかと私は思っております。まずは、かかりつけ医の先生が、例えば1人じゃ大変でしょうから、チームなどをつくって、急変時にもオンライン診療で患者さんと接触する。そうすることによって、軽症患者はそのレベルでとまりますし、軽症を超えた患者については、地域の基幹的病院にそのまま情報を使ってもらう。そこまでオンライン診療の情報が使えるようにしてやると、交通整理が相当できるのではないかと思います。ですから、そういったこともオンライン診療の利用価値としてお考えいただければと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございました。
 この件はこれまでとさせていただきます。ありがとうございます。
 続いて、「働き方改革の実態調査について」、事務局より説明をお願いいたします。
○医師等医療従事者の働き方改革推進室長 それでは、事務局より、「医師の働き方改革の施行に向けた準備状況調査 調査結果」について御説明申し上げます。
 資料3をお手元に御用意いただければと思います。
 1ページおめくりいただきまして、2ページ目で本調査について御説明申し上げます。こちらは、本年5月から7月にかけて行われました大学病院調査の結果について御報告したものになります。背景といたしましては、一番上の四角で囲っておりますけれども、本年3月から4月にかけて行いました「医師の働き方改革の施行に向けた準備状況調査」におきまして、大学病院における副業・兼業先も含めた時間外・休日労働時間の把握が、82病院中20病院であったという結果でございました。この結果を踏まえまして、特に大きな影響が想定される大学病院等におきまして、改めて調査を行うこととしたものがこの結果になります。
 調査方法等につきましては、左に示しておりますけれども、調査対象82病院のうち2803診療科に対して、本年5月25日から7月8日まで行いました。
 調査事項につきましては、所属医師数、及び自院・他院を含めた時間外・休日労働時間の把握の有無。そして、時間外・休日労働時間数が年通算1860時間以上となる医師数について調査を行っております。
 調査結果につきましては、右にお示ししておりますけれども、82病院、2803診療科全てから回答をいただいております。対象となる医師数につきましては、4万3718名となっておりまして、時間外・休日労働時間数の把握状況につきましては、自院・他院の勤務予定は100%把握していただいておりまして、他院の勤務実績につきましては、90%の把握となっております。今回の調査結果の中で、年通算1860時間以上の医師数につきましては、4万3718名中1034人、2.4%であったという結果となっております。
 準備状況調査の報告につきましては、以上になります。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの件について、御質問、御意見いかがでしょうか。
 本議題につきまして、御欠席の井上委員より、委員提出資料ということで意見書が出ております。審議の際、御参考にしていただければと思います。
 では、木戸委員、加納委員、山口委員の順でお願いいたします。
○木戸委員 1点、手短にコメントさせていただきます。
 1860時間を超える医師の割合が、最も厳しい働き方をしているはずの大学病院でわずか2.4%というデータですが、これが事実であれば大変結構なことでありますけれども、にわかには信じがたいものがあります。資料4ページの診療科別の集計を見ても、産婦人科はB水準を超える医師の割合が最も多い診療科ですけれども、それでもたった7%です。例えば、日本産科婦人科学会の委員会で、全国10大学で一昨年にタイムスタディーを行った精緻なデータがございますが、これは学会ホームページにも公開されています。指示のない業務とかオンコール、自己研さんなどを全て除いて計算しても、B水準を超えていた割合が平均して30%、少ない大学でも15%、何と多いところでは60%でした。この表の7%とは相当の乖離があります。
 恐らくは、一定時間を超過したら、もうカウントしないことにしているとか、何らかのルールがあるようなところも含まれていると思いますので、必ずしも実態をこの数字がきちんと反映しているとは限らないので、注意が必要と思います。特に、医師不足の地方で地域医療を支えている地方大学は、より厳しい状況にあると思いますので、この全国平均の数値だけ見てしまうと、見えにくい課題もあると思います。今回の結果を見て、もう大分よくなっていると気を緩めることなく、関係者には引き続き危機感を持って対応していただきたいと思います。
 私からは以上です。
○永井部会長 ありがとうございました。
 加納委員、お願いします。
○加納委員 ありがとうございます。
 今の御意見に追加ですが、2.4%、少ないと取るか、まだ2.4%いらっしゃるという形で取るかということになると思います。我々のような二次救急病院においては大学からの派遣に依存するという大きな問題がありまして、最終的には多くの大学病院ではしっかりと連携B水準を取っていただくということであれば、この1860時間を超える先生方もきっちりと対応していただきたいかなと思っております。私ども二次救急に関しましては、宿日直基準をしっかりと取って、連携Bを取った大学の先生方と地域医療を守っていくという形で頑張っていきたいと考えております。
 ちなみに、私どもの病院、年間5000台を超える二次救急病院でございますが、5月の時点で6月の頭に3人当直という体制で宿日直基準を取ることができました。そういった形で、我々、二次救急病院もしっかりと宿日直基準を取る体制を考えております。これは、勤務医の先生方に御負担をかけないように、いろいろな工夫をしながらやっていくということと、大学病院においてはしっかりと連携Bを取っていただいて、我々と一緒に地域医療を守っていただきたいと考えております。よろしくお願いします。
○永井部会長 ありがとうございます。
 山口委員、お願いします。
○山口委員 ありがとうございます。
 先ほどの木戸委員の疑問のお声もあったのですけれども、資料の4ページに今回の調査結果の診療科別の数が出ているのですけれども、地域差や1860時間を超えている医師がどのような立場なのか。経験年数などは、今、見えてきているのでしょうか。あるいは、これから先、そういったものもきっちり細かく見ていく必要があると思うのですけれども、調査の結果で今後御報告いただくようなことは想定されているのでしょうか。事務局にお尋ねしたいと思います。
○永井部会長 いかがでしょうか。
○医師等医療従事者の働き方改革推進室長 御指摘ありがとうございます。
 今回の調査の結果につきましては、1860時間以上の医師ということで、特にどういった属性の医師が1860時間以上の方であったかということについては、伺っていないところでございます。ただ、おっしゃるように、地域の特性や診療科ごとの特性で、どういった方が1860時間以上であるかといったことについては、今後検討していく必要があるのかなと思っております。
○山口委員 ありがとうございます。
 先ほど木戸委員がおっしゃっていたように、カウントする時間数のルールみたいなものも併せて尋ねていただければ、より詳細なことが分かるのではないかなと思いますので、よろしくお願いいたします。
○永井部会長 では、佐保委員、お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。
 2024年4月の時間外労働の上限規制の施行まで2年を切りました。7月29日開催の医療介護総合確保促進会議では、地域医療介護総合確保基金における区分の6、勤務医の労働時間短縮に向けた体制の整備に関する事業の執行率が低調であることを示す報告がされております。着実な施行に向け、こうした基金の活用なども含め、取組を進めることが重要と考えます。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 小熊委員、お願いします。
○小熊委員 ありがとうございます。
 ただいま、大学のデータが発表されたわけですが、今年の最初の発表と違って、随分変わったなという印象です。恐らく、これは大学に勤める医師の意識改革と行動変容が起きたのだと私は考えます。木戸先生のように、時間外に算定する条件がおかしいのではないかという考え方もあるかと思いますが、恐らくドクター個人個人の行動が大分変わってきたのだと私は思っています。
 ちなみに、我々自治体病院でも調べましたけれども、1860時間を超えるのは1%以下です。特定の診療科、特定の個人に偏っております。ですから、地域の事情とか診療科の事情もあるかもしれませんが、医師個人の行動の仕方がほとんど影響しているのだと思います。それ以外の地域の事情とか診療科の事情というものに関しては、そこを重点的に対策を立てれば、働き方改革がなお一層進むのではないかと私どもは考えております。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 最後に、島崎委員、お願いします。
○島崎委員 すみません。このデータの評価については、ぜひ精査をきちんとしていただきたいと思います。私の感想で言うと、確かにこのパーセンテージの具体的な評価については分かれるかもしれませんけれども、特に兼業・副業先で宿日直許可が本当に取れるかどうかという確認をどの程度まできちんとしているかどうかということが、非常に重要なポイントの一つではないかなと思っています。
 その関係で申し上げると、先ほど加納委員もおっしゃいましたけれども、いろいろ工夫の余地があろうと思います。例えば3人で夜勤する場合、通常の対応は3人のうち2人で行えば、1人の分については宿日直許可が下りるかもしれませんし、例えば救急患者も深夜帯には減る場合は、深夜帯のみについて限定的な許可申請を行うとか、いろいろな工夫の仕方があるのだろうと思います。まだそうした対応が現場で必ずしもきちんと浸透していない面がありますが、宿日直許可は非常に重要なポイントですので、ぜひその徹底を図っていただきたいと思います。
 それから、ちょっと余計なことを申し上げるかもしれませんけれども、医師の働き方改革については、せっかく医師の働き方改革の推進に関する検討会が設けられています。しばらく開かれていないのですけれども、いきなり医療部会に上げてくるのではなくて、この検討会の場でしっかり関係者が議論することが必要なのではないでしょうか
 併せて申し上げると、この二、三年、医療計画の施行でありますとか、地域医療計画とか、かかりつけ医機能の話とか、医師の働き方改革の施行もしかり、いろいろな問題が山積しており、それぞれの検討会で様々な議論がされているわけです。最終的にこうなりましたという報告ではなくて、中間的な段階で医療部会のほうに報告いただいて、全体を俯瞰して議論していくことが必要なのではないかと思います。検討会とこの部会の上下関係とか、そういうつまらないことを申し上げているわけではなくて、医療部会の運営の在り方というか、審議事項の選択を含めて、事務局のほうでちょっと御検討いただきたいなと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。ほかに御意見がなければ、この件はこれまでとさせていただきます。
 最後に、1件、報告事項がございます。「経済財政運営と改革の基本方針等の閣議決定について」、説明をお願いいたします。
○総務課長 総務課長でございます。
 報告事項ということで、簡単ではございますが、政府関係の決定の関係を御報告します。資料4を御覧いただければと思います。
 おめくりいただきまして、最初がいわゆる骨太方針ということでございます。1ページ目でございますが、コロナに関しては、感染状況等々、細心の注意を払いながら、一日も早い経済社会活動の正常化を目指し、取り組んでいくということが書かれております。その上で、先ほども御議論いただきましたけれども、当面の対応をしっかりやっていくということと同時に、一番最後のところですが、これまでの対応を評価した上で、中長期的な観点からの必要な対応を取りまとめていくということが書かれているところでございます。
 2ページを御覧いただきまして、こちらについては全世代型の社会保障の構築ということでございますが、特に中段の辺りであります。今後の医療ニーズでありますとか人口動態、あるいはコロナ禍で顕在した課題を踏まえて、機能分化と連携を一層重視した医療・介護提供体制の国民目線での改革を進めるという中で、かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行うとともに、こういった地域医療構想を推進していくということを書いております。併せて、先ほど御報告しましたような働き方改革の円滑な施行に取り組むといったことを書いているところであります。
 それから、今後につきましては、2040年を視野に入れながら、課題というものを全世代型の社会保障構築会議で整理して、中長期的な改革事項を工程化して、政府全体として取組を進めるということでございます。
 3ページでございます。こちらに関しましては、一番最初に書いてあります医療・介護分野でのDXというものをしっかり進めていくということ。具体的には4行目辺りですが、オンライン資格確認というものを進めていく。それから、真ん中、3分の1ぐらいのところにありますが、全国医療情報プラットフォーム、電子カルテ情報の標準化、診療報酬改定のDXといったことで、こういった情報化、医療情報の利活用といったことをしっかり進めていくということでございます。
 次の4ページのほうでございますけれども、改定によって措置された取組の検証をしっかり行っていくと同時に、下のパラグラフのほうでありますが、歯科に関して、生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)と書いていますが、こういったものの具体的な検討といったことが記述されているということでございます。
 5ページからは、新しい資本主義の関係、いわゆる成長戦略関係ということかと思いますが、こういった記述でございます。
 最初に書いてあります人への投資ということで、処遇改善でありますとか、2番目に書いてありますゲノム医療の推進。
 それから、一番下は医療のDXということで、先ほど申し上げたような取組を進めていくということでございます。
 それから、6ページでございますが、1番は、さっき申し上げた働き方改革ということで、来年4月の上限規制導入に向けてしっかり取り組んでいくということでございます。
 それから、下のほうはイノベーションを進めていくという中で、再生医療等安全性確保改正法案というものでありますとか、臨床研究法の改正法案といったものの早期の国会提出を図っていくということが書いてございます。
 それから、7ページのほうは、新型コロナの対応を含めた感染症の治療薬の開発でありますとか、2つ目のポツであります抗菌薬といったものについてもしっかり取り組んでいくという記述がされているところでございます。
 それから、8ページでございますが、先ほどの医療DXというものに加えまして、最近、いろいろな事案が起きておりますけれども、サイバーセキュリティーというものを医療機関に関してしっかり考えていく必要があるのではないかということ。
 それから、今日も御議論いただきましたような、遠隔医療の更なる活用のための基本方針を策定していくということを書いているところでございます。
 9ページ以降は、規制改革の実施計画ということですので、項目を簡単にお話ししますけれども、最初はコロナの関係の検査・診療体制の整備。
 それから、10ページから11ページにかけて、オンライン診療なり服薬指導といったもののさらなる推進を図っていくということでございます。
 それから、12ページでございますが、電子処方箋の普及でありますとか、さっき申し上げたオンライン資格確認を含めた、医療分野における資格確認なり本人確認の円滑化ということ。
 それから、13ページでございますが、タスクシフト/タスクシェアというものを推進していく。あるいは、地域医療構想会議、調整会議の透明性の向上といったことが記述されているということでございます。
 14ページは、医療現場の負担軽減ということで、様々な手続がございます。この辺りについて、どうやって現場の負担軽減を図っていけるのかということが検討事項になっております。
 15ページでございますが、創薬に向けて医療データというものをしっかり利活用していくということが検討事項に掲げられているということでございます。
 以上、簡単でありますけれども、6月に政府のほうで決定されました各種取組に関する決定事項を御報告申し上げました。以上になります。
○永井部会長 ありがとうございました。
 本日の議題は以上でございます。何か全体を通じて御発言等ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、事務局から連絡事項等をお願いいたします。
○医療政策企画官 本日は一般傍聴の制限をさせていただいておりますので、議事録につきましては、可能な限り速やかに公表できるよう、事務局として校正作業を進めてまいります。委員の皆様におかれましても、御多忙中とは存じ上げますが、御協力いただきますようお願い申し上げます。
 次回の医療部会の詳細につきましては、決まり次第、改めて御連絡させていただきます。
○永井部会長 それでは、本日はこれまでとさせていただきます。お忙しいところ、ありがとうございました。

(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(医療部会)> 第89回社会保障審議会医療部会(2022年8月17日)

ページの先頭へ戻る