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2022年6月30日 第6回医療分野における仮名加工情報
の保護と利活用に関する検討会

医政局特定医薬品開発支援・医療情報担当参事官室

○日時

令和4年6月30日(木)16:00~18:00

 

○場所   TKP新橋カンファレンスセンター 千代田区内幸町1-3-1 16階カンファレンスルーム16B 会議室【Web会議】


○議事

○厚生労働省事務局:事務局でございます。それでは、定刻になりましたので、ただいまから第6回の医療分野における仮名加工情報の保護と利活用に関する検討会を開催いたします。構成員の皆様方におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきまして、改めて御礼を申し上げます。
本日の構成員の先生方の出欠状況でございますが、石井構成員、中島構成員、松田構成員が御欠席、山口構成員は5分程度遅れて入られると伺っております。また、宍戸構成員におかれましては、17時半目途での御参加の予定と伺っております。
まず冒頭、恐縮です。事務局のほうで人事異動がございました関係で御紹介申し上げます。6月28日付で着任いたしました参事官の田中でございます。
○厚生労働省 田中参事官:6月28日付で医政局特定医薬品開発支援・医療情報担当参事官に着任をいたしました田中でございます。本日は御多忙のところ、第6回の検討会に御出席をいただきまして、ありがとうございます。
新たな参事官室の医療情報の部分は、医政局が所管をする医療情報に関する事務、例えば電子カルテ情報の標準化などを含めて一元化をし、医療情報の患者さんへの良質な医療の提供という一次利用に加えて、有効な治療薬などの開発等という二次利用を見据えて、効率的に情報を収集、整備を図っていく体制を整えるために新たに新設された室でございます。
患者の権利・利益を十分に保護し、国民の理解を得ることが今後の医療情報の活用には欠かせないことでございます。医療分野における仮名化された医療情報の活用の方向性及び具体的な方法等について御議論いただいている本検討会は、大変重要なものであると認識をしております。様々な課題があるとは認識をしながらも、関係省庁などと連携をしながら取り組んでまいりますので、委員の皆様方におかれましては、引き続きの御指導のほどをどうぞよろしくお願い申し上げます。
簡単ではございますが、御挨拶とさせていただきます。本日も活発な御議論のほどどうぞよろしくお願い申し上げます。
○厚生労働省事務局:続きまして、恐縮です。本日の会議資料の確認でございます。各先生方に事前にお送りをしておりますけれども、委員名簿、それから、議事次第のほか、資料1から6、また、参考資料1から3まで御用意をしております。画面に投影いたしますけれども、不足等ございましたらお知らせください。
それでは、以後の議事運営につきましては、森田座長にお願いをいたします。森田座長、よろしくお願いいたします。
○森田座長:皆様、こんにちは。早速ですが、議事に入らせていただきます。
前回の会議からほぼ1か月余り経過いたしました。前回は仮名化した医療情報の利活用に当たっての同意の在り方など、充実したディスカッションが展開されたと思っております。
本日は、最初に、次世代医療基盤法の見直しに向けたワーキンググループの状況をはじめ、この検討会で度々御指摘のございました電子カルテ情報の標準化等に向けた取組、また、データベースの状況などを簡単に御報告いただいた上で、今後の検討の方向性について、委員の皆様から闊達で忌憚のない御意見を発表していただき、御議論したいと考えております。
それでは早速ですが、最初に、報告事項3点につきまして、事務局から一括して説明をお願いしたいと思います。本日は議題も多く、また、資料も非常に膨大なものでございますので、できるだけ分かりやすく簡潔に御説明をお願いいたします。それでは、よろしくお願いいたします。
○厚生労働省事務局:事務局、厚生労働省の佐藤でございます。まず私のほうから、資料1「これまでの検討会で頂いた主なご意見」ということで御紹介を申し上げます。この場で委細に細かく御説明するような内容のものではございませんけれども、資料1、先ほど森田座長のほうからお話がございましたけれども、前回の検討会でいただいた御指摘を赤字で事務局の分析の下にまとめております。
例えば全体的なバランスを踏まえた上で議論が展開されるような、関係省庁との連携をした検討を進めていくべきだというような御指摘、これはかねてからいただいておりますけれども、そういう御指摘とか、あるいは医療分野の規律、これは医療分野の特性を踏まえたルールの在り方を検討していかなければいけないよねとか、あるいは先ほど、同意の話とか、あるいは審査の話、いろいろと多岐にわたる御指摘がございました。この辺りに関しては、12ページ、13ページ、14ページ、15ページ辺りに、主に議論のまとめといいましょうか、いただいた御指摘という形で事務局のほうで整理をしております。また、こちら、本日の議論の中で適宜御参照いただければと考えてございます。
資料1の御説明は以上でございます。
それでは、資料2について、内閣府のほうからお願いできればと思います。
○内閣府健康・医療戦略推進事務局:ありがとうございます。内閣府健康・医療戦略推進事務局の姫野でございます。
資料2につきまして、以前のこの検討会でも次世代医療基盤法の検討ワーキングを進めているということを御報告したかと思いますが、6月に中間取りまとめを行いましたので、その内容について御説明をしたいと思います。
まず1ページですけれども、こちらは御案内のとおり、次世代医療基盤法の概要でございます。カルテなどの医療情報を匿名加工することで、個人情報の保護を図りつつ、医療分野での研究開発での活用を促進していこうという法律でございます。認定事業者という、右下にございますが、厳格な審査項目に基づいて国が認定した事業者を介することで、安全に利活用を進めていくと、そういった体系になってございます。
次のページが、検討ワーキンググループの設置についてでございます。2018年5月に施行されて、施行後5年目の見直しが法律に規定されていることから、検討ワーキンググループを、宍戸先生に座長を務めていただいて、設置をしました。昨年12月から合計6回検討を重ねまして、5月30日に中間取りまとめの議論をしていただき、6月に最終的な整理をしたということでございます。今後、年内をめどに、最終取りまとめに向けた具体的な検討を進めていくという流れになる予定でございます。
次のページからが中間取りまとめの概要になります。ここにあります大きく3つの柱で議論していただきました。まず1つ目は、匿名加工医療情報の利活用をいかに進めていくのかという柱、それから2つ目が、多様な医療情報の収集を進めていくためにどうするかという観点、そして3番目が、認定事業者における安全管理措置についての議論と、こういった大きな柱で議論してきたところでございます。
次のページからより細かく記載しております。この仮名加工の検討会との関連で申しますと、一番大きなところが(1)番、(2)番になりますが、匿名加工医療情報についての見直しでございます。検討会の中で指摘された課題といたしましては、こちらの仮名加工の検討会でも同様でありますが、希少な症例を削除しなければならないケースがあるという点、また、対応表を削除しなければならないために、同一対象群について継続的・発展的なデータ提供は困難であるという点。また、(2)番にありますように、薬事目的での利用をする際に真正性の確認。こちらも対応表がなく、元データと完全に断裂されてしまうという匿名加工情報の性質上、真正性の確認ができないと、こういった課題を指摘されたところでございます。
これに対して、右側にありますように、匿名化の制度の在り方自体を大きく見直すべきだと、そういった方向性をいただいたところでございます。具体的には、右側の、少し小さい字で恐縮ですが、対応表保持などを認定事業者に認めること、利活用者に対するガバナンスなどをさらに強化する、こういったことを検討することで実現していってはどうかと、そういった方向性をお示しいただいたところでございます。その延長線上で、(2)の右側、マル1にありますように、薬事承認のためにPMDAに提出された匿名加工医療情報についても元データに立ち返りを可能とする、こういったことについても大胆に検討すべきだと、そういった方向性をいただいてございます。
次のページになります。医療情報の収集という意味では、主にこれは二次利用についての検討をしているわけですけれども、医療現場において御本人へ丁寧な通知をする、この負担をできるだけ軽減するためにどういった工夫をしていくのかと、そんな御議論もいただきました。また、(2)番、(3)番にありますように、こういった次世代医療基盤法で収集したデータベースにできるだけ幅広く医療機関の参画を求めるための方法を検討する。あるいは、(3)番にありますように、NDBとの連結、こういったところで次世代医療基盤法の外側、周辺部分との連携も強めるべきであると、そういった方向性もいただいたところで、ございます。
最後のページになりますけれども、こちらは認定事業者における安全管理措置についても不断の見直しをしていくと、そういったことも御指摘いただいたところでございます。
仮名加工のこの検討会との関連でいいますと、最初の匿名加工医療情報の根幹的な見直し、こういったところは非常に密接な関連があるかと思いますし、また、NDBとの連結とか医療機関との連携、こういったところで、次世代医療基盤法のデータベースの周辺部分との連携ということも課題になってくるかと思いますので、この辺りを中心に本検討会においても御議論を深めていただけるとありがたいと思っているところでございます。
私からの報告は以上でございます。
○厚生労働省事務局:厚生労働省でございます。それでは、資料3と資料4までまとめて一括して御説明を申し上げたいと思います。
まず、資料3でございます。「NDBのこれまでと今後について」ということでございまして、NDBの過去の変遷、それから、現在取り組んでいる取組について、こちら、御紹介ということで御報告を申し上げたいと思っております。
資料3の右下のページで申し上げますと1ページ目でございます。1ページ目、「NDBのこれまで」と、こういうスライドのタイトルを付けております。上半分ぐらいでございますが、この間の様々な制度改正によって、データの収集、また、利用に当たって利便性の向上、また、価値の向上を図ってきたということでございます。
最初の規定になりますのが、マル1とございますけれども、平成18年ですので、今から15年少々前かと思いますけれども、高齢者医療確保法。これによって、レセプトの情報をNDBに収載をする根拠となる条文を創設いたしました。それに伴って、その二、三年後だったかと思いますが、実際に始まったわけでありますけれども、医療費適正化計画の策定等に活用するほか、研究者等の第三者への提供を開始するというところが始まったところでございます。
そして、令和に入りまして、マル2でございますけれども、令和元年の健保法改正。これによって、(1)第三者提供制度の法定化。これはしっかり利用のルールを明確にしていこう、それによって民間事業者にも利用できるようにしていこうと、こういう取組をまず1点目、始めました。それから、マル2の(2)他のデータベースとの連結ということでございます。介護のデータベース等と連結できる規定、これを法令上にしっかり整備することによって、医療だけではなく、医療・介護、こういったものを複層的に分析していく、こういう仕組みを可能としたところでございます。
また、令和2年、2年前でございますけれども、社会福祉法等の一括の法改正がございました。これによって被保険者番号、この履歴を活用してデータを連結していく仕組みをつくっております。いわゆる被保険者番号の個人単位化に伴いまして、転職等々で被保番が変わってもしっかりと名寄せができるようになった。こういう形で様々な取組を進めてきたところでございます。
それと併せて、利用件数も増加をしてまいりましたものですから、いろいろと御要望をいただいております。そういう中において、足元、今こんな取組をしておりますというのが、同じ1ページ目のスライドの下半分でございますけれども、収載あるいは提供情報の拡充をしていこうと、こういう取組を進めているところでございます。それから、利便性の向上ということで、申請前の様々な支援とか、オンサイトリサーチセンターの拡充、こういった取組を進めているというのが現状でございます。
続きまして、右下のページで2ページ目、「NDBの今後」ということでございます。今後はクラウド化、それから、医療・介護等の解析の環境をつくっていくと、こういう取組を今、試行的な利用を可能とするような取組を進めているところでございます。そういう取組に加えまして、他の公的なデータベースの連結を進めていく。先ほど御紹介申し上げたように、介護のDBとか、あるいはDPC、こういう連結はもう始まっておりますけれども、その他、難病、小慢等々ございますけれども、他の公的なデータベースとの連結、こういったものも進めていくことによって、さらなる利便性の向上あるいは価値の向上を図っていく、それに向けた取組を現在進めているという状況でございます。こちらも御報告でございます。
続きまして、資料4でございます。資料4は、「医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループにおける議論について」ということでございます。こちらも、サイバーの関係のワーキンググループ、この検討会にもこのワーキンググループでお世話になっている先生方もいらっしゃいますけれども、こういう議論を進めていますよという御紹介ということでございます。
この資料4も、こちら、まず右下のページ1ページ目、電子カルテ情報等の標準化に向けた今後の進め方(イメージ)という資料でございます。これは今ちょうど真ん中の「レセプト 医事」というところに描いてある、ピンクの箱といいましょうか、ありますけれども、「電子レセプト」と書いているところでございます。薬剤情報とか特定健診情報、これについては昨年10月から、ちょうどそこから下に矢印が出ていて、「支払基金・国保中央会」というところに点線で囲っているところでございますけれども、オン資のネットワークを通じて情報のやり取りができるようにということで今取組を進めております。患者さん御自身はマイナポータルを通じて見ることができると、こういう取組を進めております。そして、今年の夏を目途に、手術とか様々な情報、こういうレセの情報についても見られるようにということで今準備を進めております。
こういうレセの情報を患者さんが見られる、また、医療機関においてももちろん患者同意の下に相互に必要に応じて閲覧ができるという環境整備を進めつつ、また、電子カルテへの標準化の取組も併せて進めているところでございます。ちょうど真ん中に「電子カルテ 診療情報」という欄がございますけれども、「2022(R4)年度」というところにありますけれども、まず、診療情報提供書、退院時サマリー、健診結果報告書をはじめとして3文書6情報、これについて標準化をいたしました。
厚生労働標準として、今後その情報を、さらにこういう形で標準化を進めていく情報を広げていくという取組を進めていくということを考えております。そして、この情報についても、これをどういう形で閲覧できるような仕組み、共有していくような仕組みをつくっていくのかというところを今後やはり検討していかなければいけないという形で、今、関係のワーキング等で御議論いただいているという状況でございます。
右下のスライド2ページ目、3ページ目でございます。2ページ目で申し上げますと、「考えられる実装方法(イメージ)」というところで、全国的に電子カルテ情報を医療機関間等で閲覧可能とするための実装方法についてどのように考えるのかということで、2ページ目の一番下に既存のオン資の仕組み、ネットワーク上でうまく活用していくというようなことが考えられないだろうかというところで、こういう観点からいろいろと御議論いただいているという状況でございます。
ただ、やはりそういうことを進めていく上でも様々な課題がございます。それが3ページ目でございます。3ページ目のちょうど一番上のほうに、現状の課題ということで(1)から(3)まで記載をしております。FHIR準拠の文書を共有するための情報基盤の整理、この辺りをどういうふうに考えていくのかというのが課題の1点目。具体的な仕組みとか、あるいは基盤を誰が開発し、運用していくのか。また、運用費用をどういうふうに負担をしていくのか。それから、ガバメントクラウド、こういうものもございますので、それをどういうふうに活用していくのか。この辺りを整理していかなければいけない。
それから、(2)共有すべき情報の整理ということで、厚労省標準規格、これを拡充していく。どういう形で進めていくのかということ。
それから、(3)電子カルテの普及ということでございます。今直近では、電子カルテは、病院で大体6割弱、診療所で5割程度の普及率でございますけれども、こういう普及を進めていくための取組を進めていかなければいけないと。
この辺りの具体的な内容については、また、関係の審議会、ワーキンググループで御議論いただいているところでございますので、併せてこういう取組も進んでおりますということを、本検討会においても御紹介を申し上げるという趣旨で今日お時間を頂戴して、御報告を申し上げるということでございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○森田座長:御説明ありがとうございました。それでは、ただいまの報告につきまして、委員の皆様から御質問等ございましたら、御発言をお願いしたいと思います。画面上でお顔を出していただいて手を挙げていただいても構いませんし、下のほうでリアクションのところで挙手のボタンを押していただいても構いません。
それでは、長島委員、どうぞ。
○長島構成員:長島です。次世代医療基盤法とNDBの現在の進捗状況について御説明いただきましたけれども、両方ともかなり、より利活用者にとっても使いやすくなると。特に次世代医療基盤のほうがしっかりと見直されると、今まで極めて使えないという不満が多かったのがかなり解決できるのではないかというふうな非常に大きな期待を持っております。そうすると、仮名加工というところのすみ分けというか、全体のバランスも変わってくるのではないかなと思っております。
私から以上です。
○森田座長:ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
特にないようでしたら、私のほうから質問をさせていただきたいと思います。これは内閣府の姫野さんに伺いたいのですが、そちらの資料でいいますと4ページになるのでしょうか。匿名加工医療情報の利活用というところで、これから具体化を進めるところで、「継続的・追加的なデータ提供を可能とするような匿名化の制度の在り方」というところです。現在の匿名化の仕方をもっと追跡が可能なようにしていくという趣旨であるならば、仮名加工情報と具体的にどういう点が違うのかが理解できなかったのですが、その点について御説明いただけますでしょうか。
○内閣府健康・医療戦略推進事務局:御質問ありがとうございます。森田先生おっしゃるとおり、仮名加工情報の定義と、継続的にデータ提供できるようにするために対応表などを保持するということになりますと、現在の個人情報保護法の定義でいきますと、仮名加工情報とかなり近い印象を持たれるかと思います。この点については、今後具体的に検討していく中で、どういう情報の位置づけと捉えるべきなのか、そういったところもよく検討していく必要があるかと思っております。
そういった意味で、この資料の中でも、匿名加工情報あるいは仮名加工情報という言葉ではなく、匿名化の制度の在り方ということで、利活用者の手元では個人特定はできない形で利活用を進める、そういった新たな仕組みについて検討するという、少し一般名詞を使った形での表現としているところでございます。そういった意味では、今後、仮名加工なのか、匿名加工なのか、どういう位置づけの情報になるのかということは、よく整理をしていく必要があるかと考えてございます。
○森田座長:ありがとうございました。一般的な個人情報保護法で言うところの匿名加工情報とか、仮名加工情報の概念というかイメージが頭の中に入っておりますと、その辺がどうなのか区別つかなかったわけですけれども、これからその辺についても検討されていくということだと思います。この名称のつけ方につきまして、個人情報保護委員会のほうもそうかもしれませんけれども、混乱がないような形で文書中では使っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○内閣府健康・医療戦略推進事務局:承知いたしました。
○森田座長:それでは、日置委員、手を挙げていらっしゃいますが、どうぞ。
○日置構成員:ありがとうございます。次世代医療基盤法の射程について少し確認をさせていただければと思います。本検討会でも、京都大学のほうの先生方から、データの収集の容易さのところと、データベースをどこが管理するのかというコスト面、運用コスト等の観点からの御意見を頂戴していたと思います。他方、今回の次世代医療基盤法は、そこに対応するようなところではなくて、今のところ、追跡とか識別のところ、そこについてフォローされているものであって、情報収集の義務がかかるとかそういうものではないという認識でよろしかったでしょうか。
○内閣府健康・医療戦略推進事務局:御質問ありがとうございます。御指摘のとおり、基本的には今、匿名加工医療情報をいかに使いやすいものに変えていくのかというところが一番大きな論点かと思っております。そういった意味では、認定事業者の仕組み自体を大きく見直すという議論は、現在のワーキンググループの中ではないところであります。
ただ一方で、資料の5ページにございますけれども、医療機関に対してデータ提供をより積極的に求めていくというところも問題意識としては多数出されております。そういった意味では、5ページの(2)番の右側にありますように、例えば医療機関に対するメリットなどの周知に加えまして、参画検討を促進するような取組とか、あるいは一定規模以上の医療機関などについてはより積極的な要請を強化するとか、こういった取組についても検討するよう求められておりますので、そういった意味では、「義務」という言葉はここには出ておりませんけれども、より積極的に医療機関をはじめとする医療情報を保有している方々に働きかけるようなことも検討課題というふうに意識してございます。
○日置構成員:ありがとうございます。今後のこちらの検討会も、1つの制度だけで運用していくものでもないのかなというところがございますので、並走しながらやっていければいいなと思っていますので、ありがとうございます。
○内閣府健康・医療戦略推進事務局:ありがとうございます。
○森田座長:よろしいですか。それでは、落合委員、手を挙げていらっしゃいますが、どうぞ。
○落合構成員:御説明ありがとうございます。私も、それぞれの御発表を聞いておりまして、幾つか並行して検討されているものを複合的に考えていくことは重要ではないかと思いました。
その観点では、例えば次世代医療基盤法のワーキングにつきましては、5ページの2の(3)などでNDBとの連結解析の課題を課題として挙げていただいております。一方で、資料3の2ページでは、ほかの公的データベースとの連結と書かれております。また、資料4の2ページでは、医療情報ネットワークに関する整備や、マイナポータルとの連携をする部分にも期待がされていると思っております。
これらの、それぞれ全体として医療情報の基盤をつくっている、法制度の面とデータベース面と双方についての議論が必要だと思います。そういった中で、特にデータベース間の連結について、資料2と資料3の先ほど申し上げた点で、NDB側の検討でも連結の話がありますし、資料2のほうでも次世代医療基盤法とNDBの連結というのがあるのですが、これらはどういう形で統合的に議論されているのでしょうか。
また、資料4の検討についても、これも非常に重要な、個人情報の連携基盤になる点だと思っております。資料3のある種統計的に取られている情報とまた別に意味があるものだと思います。これと次世代医療基盤法との連携といいますか、法制度的に情報を取りやすくなるだけではなくて、実際に集まっている基盤から情報を取れたほうがより取りやすいということはあると思います。諸外国においてもそういったことは考慮されて全体の仕組みが設計されていると思いますので、これらの2点についてどのような形で御検討されているのかを伺えればと思いました。
以上でございます。
○内閣府健康・医療戦略推進事務局:御指摘ありがとうございます。厚生労働省のほうからもあるかもしれませんが、まず内閣府の立場から申し上げます。今回、中間取りまとめをする中では、やはりNDBをはじめとする公的データベースとも連結した解析についてのニーズが非常に大きかったということがありまして、そういったニーズについては厚生労働省の担当局とも共有をし、この点については実現に向けた法的・技術的な課題を解決しないといけないというところは調整をした上でこの中間取りまとめをさせていただいたところでございます。
そういった意味では、今後、NDB、それから、その他の公的データベースも含めまして、次世代のデータベースとどういった形で名寄せ・連結をしていくのか、かつ匿名性をいかに維持していくのか、そういったところはしっかりと、法的な措置も必要であれば講じていくということも含めて検討していきたいと考えてございます。
○厚生労働省事務局:厚生労働省でございます。基本的に今、内閣府の姫野参事官から御指摘あったことと重なる部分が多分にあるわけでございますけれども、NDBに関して申し上げると、基本的にこれまで公的なデータベースにおいていかにデータベースを連結といいましょうか、その範囲を広げていくのかというところをこれまではメインでやってきたわけでございますけれども、今回、内閣府の次世代医療基盤法のワーキングにおいて、そういう形で問題提起をいただいているわけでございます。
その辺り、連結する場合には、法的な整理、それからまた、技術的な整理、セキュリティー面等も含めてなんだろうと思うのですけれども、その辺り、具体的にどういうものがあるのかというところ、大きな方向性を踏まえた上で、細部をこれから事務的にもしっかりと調整をさせていただいた上で、どういう形で実現ができるのか、また、それまでのスケジュールといいましょうか、時間はどのぐらい必要なのか、その辺りもよく整理をした上で、ただ、大きな方向性としては、こういうことも検討していかなければいけないのだろうと思っておりますので、御指摘も踏まえつつ、しっかりとどういう形での検討があり得るのかということを詰めていきたいと考えてございます。
厚生労働省からは以上でございます。
○森田座長:落合構成員、よろしいでしょうか。
○落合構成員:はい。ありがとうございます。この辺りは、統合的に整備をしていかないといけないと思います。この仮名加工情報でこの後、資料5、6で検討する点も、どちらかというと、活用できるような二次利用を目指しており、一次利用も想定の範囲ではあるかもしれませんが、こういったスキームで利用されるのだと思います。匿名加工情報と違う特性はあるのですが、複数の選択肢が存在し得るのであれば、それぞれできる限り、ほかのデータベースも踏まえて使いやすいようになっていることは重要と思いますので、ぜひ統合的に議論いただければありがたいと思っております。
以上です。
○森田座長:ありがとうございました。それでは、ほかに御発言は、この件についてはよろしいでしょうか。
ないようでございますので、それでは、次に移りたいと思います。次は、本日の本題でもございます、今後の検討の方向性の議論でございまして、こちらのほうに移っていきたいと思います。最初に事務局から資料を御説明いただいて、その後でディスカッションに入りたいと思いますので、よろしくお願いします。それでは、事務局、御説明お願いいたします。
○厚生労働省事務局:事務局でございます。私のほうからまず資料5と資料6、こちら2つの資料を一括して御説明を申し上げたいと思います。
まず、資料5でございます。資料5は「諸外国における倫理審査の仕組み(追加)及び情報公開について」ということでございます。
右下のページ数で申し上げますと2ページ目からになります。2ページ目、「フランスにおける情報の取扱いの事例」ということでございます。この形での追加ということで整理を申し上げましたのは、今日は御欠席でありますけれども、松田先生のほうから、この検討会の場で何度かフランスのCNILという仕組みが非常に参考になるのではないかという御紹介をいただきましたものですから、私どものほうで確認できる範囲で整理をした上で資料化しているというものでございます。そういう趣旨で、足らざる部分もあろうかと思いますけれども、その点については御容赦いただいて、現時点で整理ができている範囲であるというふうに御理解を賜れればと存じます。
2ページ目の上の箱に書いてございますけれども、まずフランスにおきましては、医療情報を含めた個人情報の利用に関して、このCNILという、完全に同じかどうかというのはさておき、日本でいいますと個人情報保護委員会に類するような独立の機関が管轄をしているということでございます。ここのCNILにおきまして、上の箱の2つ目の丸でございますけれども、個人情報の取扱いに関する様々なルールを定めた上で、利活用に関する審査を行いつつ、また、研究あるいはイノベーションの促進という観点から、申請様式の標準化や、手続の簡素化、こういう取組も進めていると聞いております。
具体的な情報の利活用に関するフローが、右下2ページ目の右半分でございます。デフォルメして図示をしております。一番上、大学・研究機関等で情報を使いたいという場合には申請をするわけでございますけれども、最初に、CPPという倫理審査委員会、これが39あるようでございますけれども、ここで審査を行うそうです。その後に、CNIL、これは全国統一のものだと聞いておりますけれども、ここにおいて、どちらかというと利用目的とかセキュリティーとかデータの機密面、こういう点について確認をした上で、これでいずれもよろしいということであれば、実際にデータを使うということが可能になると、こういうフローになっていると確認をしております。
続きまして、スライド右下のページで申し上げますと3ページ目でございます。今申し上げたフローでございますけれども、ざっくり申し上げて今申し上げたような形になるわけでありますけれども、そうは言いながら、審査手続を簡素化するとかそういうスキームもあるようでございまして、これがスライドの3ページ目でございます。
一般的な情報の利活用のフローが上半分でございます。これ、前向き研究、後ろ向き研究という形で分けて書いてはございますけれども、基本的なフローとしては、先ほど御紹介を申し上げましたとおり、最初に、真ん中の緑の箱の部分でございますけれども、倫理審査委員会で審査をいただいて、右側、オレンジの「CNILの承認」と書いてございますけれども、ここで審査を行って、問題なければ、データが利活用できるということになります。所要時間といいましょうか、所要期間のほうが正確かもしれませんけれども、前向き研究と後ろ向き研究で倫理審査委員会での期間が若干違うようでございますけれども、大体1か月から1か月半ぐらい倫理審査委員会でかかると。CNILのほうでは大体2か月から4か月ぐらいかかるということで、単純に足し合わせると3か月から6か月近くかかるようでありますけれども、そういう形で審査を経てデータが利活用できるというのが基本的なフローのようでございます。
その一方で、同じく右下3ページ目の下半分に、点線の枠囲いで「手続きの簡素化」という形で整理をしてございます。「簡易手続き」と書いてありますけれども、人に対する介入を行う研究の場合、あるいは医療機関がデータベースを利用する場合とありますけれども、最初にCNIL宣言という、こういう形でデータを使いますという、CNILが採用した手続があるそうなのですけれども、その手続に準拠して私は使いますよという形で、御自身で宣言をするということをした場合には、CNILを承認の審査が捨象といいましょうか、割愛されるような仕組みになっているようでございます。
「手続きの簡素化」の上のほう、人に対する介入を行う研究の場合には、CNIL宣言を経た後に、倫理審査委員会で審査を行って、プロジェクトの登録をしたらデータを利用できると。それから、下の、医療機関等がデータベースを利活用する場合には、CNIL宣言を経れば、プロジェクトの登録をすればデータを利用できるということで、CNILの承認手続、大体2か月から4か月というものが捨象できるといいましょうか、その辺りが非常に大きな違いであると聞いております。もう少し細かい要件等があるのかもしれませんけれども、大ざっぱに申し上げるとこういう仕組みになっているようでございます。
4ページ目が、先ほど申し上げたCNIL宣言のフォームということです。こちらはホームページのほうで宣言を入力して、確認をするといいましょうか、提出をするということができるような仕組みになっているようであります。以上がCNILの関係でございます。
それから、5ページ目、6ページ目に情報公開の事例ということで、イギリス、それから、EUの事例を簡単に御紹介申し上げたいと思います。
まず右下のページ、5ページ目、「イギリスの事例(倫理審査委員会の審査概要の公開)」ということでございます。こちら、上の箱に書いてございますけれども、イギリスにおいては、匿名化をされていない医療情報を、住所、氏名等々を削除して二次利用をしようとする場合には、各地域に設置されている公的な倫理審査委員会、これはRECというようでございますけれども、審査委員会の審査を受ける必要がございますけれども、この審査委員会での審査の概要についてホームページで公開をされているということが確認できております。5ページ目の左下にこんな形で公開されていますよというものを少し貼り付けておりますけれども、実際にどういう方が使いますとかいうところまで公開されているようであります。
それから、6ページ目、「EUの事例(治験参加者への情報提供)」ということでございます。EUにおいては、医療情報を利活用して治験を実施した方に対して、EUの規則でまず一つ義務づけがあるようです。これはどういう義務づけかと申し上げると、分かりやすい言葉で作成したサマリーがデータベースで閲覧可能になったよということを治験の参加者に通知をしなければいけないという義務づけがあるようでございます。それとは別に業界団体においてもルールを定めておりまして、治験参加者との臨床試験の結果の共有をするようにということで業界のルールが定められているようでございます。
こちらの資料5が松田先生から御紹介のあったCNILの話と、それから、情報公開の事例ということで、私どものほうで確認できる範囲で整理した資料でございます。資料5の説明は以上でございます。
続きまして、資料6でございます。資料6は「これまでの議論の振り返りと今後の検討の方向性」ということでございます。これまでの議論を踏まえて、今後こういう形で検討の方向性、具体的な方向性を整理していってはどうだろうかということで文字に起こしているものでございます。
資料6、まず右下の1ページ目、「医療情報の性質」というタイトルをつけているところでございます。まず、医療情報はどういう性質か。非常に貴重な社会資源でありますよねとか、そういう御意見を検討会でも第1回目から第5回目までいただいたわけでございますけれども、どういう議論があったのかというところの議論の振り返りというところで、これは本当に概要でございますけれども、事務局の責任において、議論の振り返りのエッセンスをこの青い色づけしている部分に整理をしてございます。
こういう議論の結果を踏まえて、どういう形で利活用の方向性を考えていけばいいだろうかというところで、ピンク色の矢印の右側に箱を描いているところが、具体的な方向性ということでございます。
まず1ページ目、検討を進める上での基本的視点ということでございます。医療情報は機微性の高い情報でありますので、もちろん慎重な取扱いが必要。その一方で、医療情報をうまく使っていくことによって、現世代だけではなく将来世代にも成果が還元されることが期待できる。そういう意味では貴重な社会資源であるということでありますので、それを踏まえると、具体的な方向性のイメージ(案)というところでございますけれども、医療分野の研究開発といった国民に利益が還元をされ得る一定の目的のための医療情報の利活用について、医療情報特有のルールの在り方を具体的に検討していくという形で整理をしております。
続きまして、右下のページ数で申し上げますと2ページ目以降でございますけれども、2ページ目と3ページ目が同じ塊になります。2ページ目は、「期待される医療情報の利活用方法」ということです。これは、いろいろな先生方、それから、ヒアリング等々も行いましたけれども、まず2ページ目は、こんな意見がありましたよねということを、こちらも事務局の分析の下に抽出をしているものでございます。
ここは細かい部分を割愛しますけれども、そういうことを踏まえてこういう形で整理をしていったらどうだろうかというところが3ページ目でございます。「期待される医療情報の利活用方法(続き)」というタイトルになっておりますけれども、3ページ目でございます。こちらも具体的な方向性のイメージというところをだけ御紹介申し上げますと、先ほど申し上げましたとおり、医療分野の研究開発に資するケース、この辺り、医療分野特有のルールをつくっていくということをさらにかみ砕いた上で、精緻な分析に必要なデータの正確性とか、あるいは治験の紹介など、患者本人の希望に応じた還元の必要性等に鑑みて、実際に利活用をしようとする情報が仮名化された医療情報である必要がある場合について、二次利用――ここで言う二次利用というのは、他の目的での利活用や、第三者提供でございますけれども、これに関する特有のルールを具体的に検討していくということで整理をしてはどうかということで文字に起こしているものでございます。こちらが3ページ目でございます。
それから、4ページ目、5ページ目でございますけれども、現行法制との関係ということです。ここは端的に申し上げますと、個人情報保護法、あるいは先ほど議論もありましたけれども、次世代医療基盤法との関係をどういうふうに考えていくのかということでございます。
こちらも5ページのみ御紹介を申し上げる形にしたいと思います。5ページ目のちょうど上半分ぐらいでしょうか、検討を進める上での基本的視点ということでございます。まず1つ目の黒丸でございますけれども、仮名化された医療情報を二次利用する必要があるケースについて、現実の利活用の局面を想定した場合に、利用目的とか第三者提供先を一個一個個別に明示をした上で、都度同意を得るということは困難である場合も多いと、こういう実態としてはあるだろうと。そういう中において、医療情報の性質を踏まえた二次利用に関するルールを検討していくことが必要なわけでございますが、その際には、一般法の個人情報保護法あるいは次世代医療基盤法とのバランスをどういう形で考慮していくのかということでございます。
それで、5ページ目の下半分に具体的な方向性のイメージということで書いております。最初の黒丸、仮名化された医療情報の二次利用については、まず一般法の個人情報保護法でありますけれども、これが本人の同意を基本としながら、法律上の規定がある場合にその例外を定めていると、こういう法体系になってございます。また、次世代医療基盤法でございますけれども、これは現行の法律としては、本人との関係では、匿名性を維持した上で、丁寧なオプトアウトの手続を前提としながら実際に情報を使っていくという方向性で今見直しが検討されているという状況でございますので、この辺りをどういう形でバランスを取った制度体系を考えていくのかということをやはり考えていかなければいけないだろうと。
そういう中において、5ページ目の一番下、「具体的には」という黒丸でございますけれども、具体的には、仮名化された医療情報の二次利用について、医療分野の研究開発のために利活用するということについて一定の同意が得られているということを基礎にしながら、現行法では再同意が求められるケースについて、法律上のルールを設けることとしては、どうだろうかということで整理をしてございます。
その関係が、具体的には6ページ以降、右下のページ6ページ目から9ページまででございます。その同意の在り方をどういうふうに整理をしていくのがいいだろうかというところでございます。こちらも文字が多くて大変恐縮でございます。具体的な方向性のイメージ、同意の整理の仕方の方向性のイメージということで、8ページ目、それから、9ページ目をこの場で御紹介を申し上げたいと思います。
まず8ページ目、同意の在り方をどういうふうに整理をしていくのが適当であろうかというところで文字に起こしてございます。8ページ目、上の黒丸、仮名化された医療情報の二次利用については、本人からの明示の同意を基本とする。そうは言いながらも、同意の範囲はいろいろとあると思いますので、どういう形で同意を取っているのかということを少し場合分けした上で、そういう場合にのっとった上で二次利用を可能とするというふうに整理をしてはどうだろうかということで記載をしてございます。
マル1からマル4まで4つのケースに分けてございます。まずマル1、利用目的、あるいは第三者の提供先を個別具体的に明示して同意を得て、その範囲で利用しようとするときでございます。これは今の個人情報保護法で何ら問題なく使える話でございますので、その同意に基づいて仮名化された医療情報の二次利用が可能ということで整理できるものであろうかと考えてございます。
それから、マル2でございます。ちょっと字が多くて大変恐縮でございます。例えば「××病に有効な治療方法等の研究開発のため」という形で仮名化された医療情報の利用目的を明示している場合、すみません、ちょっと資料の文字が読みづらくて恐縮ですけれども、資料のほう訂正をいたしますけれども、仮名化された医療情報の利用目的を明示している場合であって、××病の類縁疾患とか、あるいは他の疾患の治療方法等の研究開発にも同じ情報を利活用することが医学的にも有意であると推定される場合、同じ情報をほかのいわゆる類縁の疾患にも使ったらよいのではないかと考えられる場合については、マル2の下に矢印を描いておりますけれども、仮名化された医療情報を最初に個別具体的に明示をしていない疾患の治療方法等の研究開発に活用することの妥当性について客観的に審査をして、その妥当性が認められた場合には、本人の再同意を改めて得ることなく利活用を認めると、こういう形に整理をしてはどうだろうかと整理をしてございます。
それから、マル3でございます。利用目的は最初に同意を取ったときに明示したものと全く同じでありますけれども、第三者に提供する場合に、その提供先が最初に同意を得たときに明示した範囲には含まれない場合。例えば最初同意を取ったときには、A研究機関に提供しますという形で同意を取りましたけれども、実はB製薬企業でも同じ情報があると創薬等々に活用できるという場合においては、これも同じように、マル3の矢印で整理をしてございますけれども、当初個別具体的なイメージに基づく同意を得ていない提供先にも情報提供することの妥当性について客観的に審査をした上で、それで妥当性が認められれば、本人の再同意を改めて得る必要なく第三者提供を認めると、こういう形で整理をしてはどうだろうかというふうに記載をしてございます。
それから、マル4でございますけれども、これはマル2とマル3のハイブリッド的なものでございます。最初に、利用目的とか、あるいは誰に情報を提供するという情報の提供先を個別具体的に明示した上で同意を得たものの、実際に明示された利用目的以外の目的で情報を利活用する、そして、同意を得た提供先以外に提供するということが非常に医学的にも妥当といいましょうか、意義があるというふうに考えられるケースでございます。
これもマル4の一番下の矢印に書いてございますとおり、医療分野の研究開発に情報を使ってほしいと、こういう趣旨・目的に関して本人がしっかり明示で同意を得ているということを踏まえつつ、仮名化された医療情報を最初に明示した利用目的以外の目的で利活用すること、また、同じように、同意を得た提供先以外の方に提供することの妥当性について客観的に審査をした上で、その妥当性が認められた場合には、本人の再同意を改めて得ることなく第三者提供を認めると、こういう形に整理をしたらどうだろうかと記載をしてございます。
続きまして、右下のページ、9ページでございます。今申し上げた8ページ目の続きでございますけれども、具体的な方向性明示の続きということです。なお、一旦同意した場合であっても、その同意を事後的に撤回できることを、これは将来効として撤回できるということを明確化するというふうに整理をしてはどうかとしております。
それから、さらに議論する必要がある点ということでございます。過去に本人同意を得た上でレジストリとかデータベースにいろいろなデータが集積されているわけでございますけれども、こういう情報について、仮名化した上で二次利用しようという場合に、本人にもう1回遡って再同意を取る必要があるかどうか、その辺りをどういうふうに整理すればいいだろうかという点については、さらに今議論する必要があろうかと考えてございます。これが同意の関係のパーツでございます。
それから、審査の関係のパーツでございますけれども、これは右下のページで申し上げると10ページから11ページでございます。こちらも、恐縮ですが、字が多いものですから、右下の11ページのみ御紹介を申し上げます。審査に関しまして、11ページに整理をしてございます。具体的な方向性のイメージということで黒い丸3つで整理をしてございますけれども、黒丸3つのうち2つは考え方の整理でございます。
最初の黒丸でございますけれども、仮名化された医療情報の二次利用に関する審査については、その利用方法に合理性があるか、あるいは妥当性があるかということを客観的に判断することがまず求められるわけでございます。そういう意味では、客観性を担保されるような仕組みを構築しつつ、また、審査がばらばらになってはいけないので、そういう工夫をしなければいけないというのが1つ目の黒丸。
それから、2つ目の黒丸でございますけれども、そうは言いながらも、また同時にということでございますけれども、仮名化された医療情報の二次利用を推進するという観点からは、利活用に関する申請が適切に行われることはもとより、かつ円滑に行える仕組み、こういうものも考えていかなければいけない。
そういうことを踏まえると、仮名化された医療情報の二次利用に関する申請の在り方としては以下のとおりとしてはどうかというところで、11ページの下半分、マル1からマル3で整理をしてございます。
まずマル1、審査の客観性という観点でございます。この客観性を担保するために、二次利用に関する審査体の委員構成、これは中立性が十分に確保されたものでなければなりません。その際にバランスを考える上では、例えばNDBの第三者提供に関する審査体制とか、あるいは次世代医療基盤法の審査体制の要件、こういうものも参考にしながら、中立性が十分に確保された仕組みを考えていく必要があるだろうという形で整理をしてございます。
それから、マル2でございます。これは審査の運用がばらばらにならないようにという趣旨で、統一的な審査基準を定めるべきであるというふうに整理をしてございます。ただし、「具体的な「審査基準」は今後検討を深めていく必要があるが」と書いてございます。審査基準は実際にいろいろとやりながら修正をしていかなければいけない部分も往々にしてあろうかと思いますけれども、具体的にどういう目的で使うのか、あるいは誰に提供するのかによってまたいろいろと変わってくる部分もあろうかと思いますので、その辺りに関しては、柔軟な運用が可能となるような基準にするということも考えられるとしてございます。
それから、11ページ目のマル3、誰が審査をするのかという観点でございます。一定の要件を満たして倫理審査委員会――倫理審査委員会は今約2,200強あるという資料を前回か前々回かにお出しをしてございますけれども、それ全てということではなく、一定の要件を満たした倫理審査委員会に加えて、仮名化されて医療情報の利活用に関する審査を専門に行う審査体を設けるというふうに整理をしてございます。ただ、この具体的な要件とか、あるいは役割分担についても、さらに検討する必要があるだろうということで整理をしてございます。これが審査の関係でございます。11ページまででございます。
12ページ目と13ページ、これは本人や、国民の理解促進に向けた取組ということでございます。医療情報の利活用を推進するために国民の皆様の御理解が不可欠であるという点は、この検討会の場でも重ね重ね御指摘をいただいているところでございます。そういう中においてどういう仕組みが考えられ得るだろうかというところで、具体的な方向性のイメージとして、右下13ページの下半分に整理をしてございます。具体的な方向性のイメージで黒丸を4つ記載してございます。
最初の黒丸、行政はしっかり広報や、情報発信を行うと。これは当然のことでございます。
こういうことに加えまして、2つ目の黒丸でございますが、仮名化された医療情報を利活用する者に対しては、情報をどのように利活用し、また、どういう成果が得られたか等の情報を分かりやすく開示をしていくということを求めていくということ。また、同じ黒丸の「また」という2段落目でございますけれども、仮名化された医療情報は、他の情報と突合することによって本人を同定することが可能でございますので、患者御本人の希望に応じて治験等の情報を提供していくということを求めてはどうだろうか。
それから、13ページの下半分の上から3つ目の黒丸でございます。同じく仮名化された医療情報を利活用する者に対して、今申し上げた情報、どういうふうに使って、どういう成果があったのかという情報を、情報の提供元、例えば学会等にもフィードバックをした上で、情報の提供元においても、誰に情報を提供したのか、あるいはその結果どういう成果だったのかということをホームページで開示をしていくことを求めてはどうだろうかというふうに整理をしてございます。
それから、13ページ目の一番下、患者本人が自分自身の情報がどう利活用されているのかを把握できるようということで、情報の提供元に医療情報を提供する医療機関に対しても、情報提供先一覧をホームページで開示をしていくということを求めてはどうだろうかということで整理をしてございます。
最後、右下14ページでございますけれども、その他ということで整理してございます。先ほど御紹介申し上げました報告をした事項でございますけれども、これもこの間様々御指摘いただきました電子カルテ情報の標準化、医療情報ネットワーク基盤の在り方等々についてですが、これは関係の審議会、検討会でも議論が重ねられているところでもありますので、そういう取組をしっかりと行っていただいて検討を深めていただくということ、また、次世代医療基盤法の見直しの関係、先ほど御報告いただきましたけれども、その辺りもしっかりと関係省庁で十分に連携をした上で、どういう形でルールを考えていくのかということの検討を深めていくと、こういう形で整理をしてはどうだろうかというふうに整理をしてございます。
ちょっと説明が長くなりまして、恐縮でございますけれども、事務局からの説明は以上でございます。
○森田座長:大変詳細な御説明ありがとうございました。この検討会の本題に当たるかと思いますので、ただいまいただいた御説明につきまして御議論をいただきたいと思います。御意見のある方はぜひ手を挙げて御発言をいただければと思いますが、いかがでしょう。最初に、山口構成員、どうぞ。
○山口構成員:山口でございます。御説明ありがとうございました。
まず、資料5のところで2つ質問がございまして、フランスのCNILですけれども、政府から独立した委員会だという御説明があったのですが、権限というのはどこから付与されるというか、託されているのか。政府から独立している委員会ということで、その辺の位置づけというか、権限の持ち方がどうなっているのかが気になりましたので、それがもし分かっていれば教えていただきたいというのが1つ目です。
2つ目として、3ページのところに従来のフローがあって、手続の簡素化されたフローがあるのですけれども、これはどちらがメインになっているのでしょうか。もうほとんど簡素化のほうが使われているのか、あるいは、特別なときだけ簡素化のほうを使うということになるのか。この辺り、どちらがメインなのかなというようなことが気になりましたので、その2つが質問でございます。
それから、意見も含めて、質問もあるのですけれども、資料6についてです。まず、具体的な方向性のイメージということで、1ページにあるイメージ、3ページにあるイメージ、そして、5ページにある具体的なイメージについては、こういう方向性でということについては、私は賛成でございます。
その上ですが、この5ページのところに、「具体的な方向性イメージ(案)」の1つ目の大きめの丸のポツの2つ小さいポツがあって、その次に、「医療分野の研究開発に資するという目的に照らしつつ、情報の性質」と書いたその後の括弧書きに、「仮名化された情報か、あるいは匿名化された情報か」とございまして、先ほども匿名加工情報と匿名化の話があったのですけれども、以前、次世代医療基盤法ができる前は、匿名化するということは、今で言う仮名化するということとほぼ同じ意味で使われていたことが多くてというふうに聞いています。その結果、いまだに次世代医療基盤法の匿名加工情報は匿名化された情報だと思っている研究者の方もいらっしゃるという中で、ここに「仮名化された情報か、あるいは匿名化された情報か」と書いてあるのが、厳密に単なる仮名化なのか匿名化なのか、仮名加工情報なのか匿名加工情報なのか、用語によって、人によってもイメージが違ってきますし、具体的に正確にはどっちだろうというのがちょっと分からなくなって、ここはどういう意味で使われているのかが気になりました。
そろそろ、用語の使い方をこの会議の中できちんと定義づけしていかないと、いろいろなイメージがばらばらになってしまっているような気がしますので、ここの部分については、どういう意味で使われているのかということを教えていただきたいと思います。
それから、11ページの仮名化された医療情報の二次利用に関する審査のところの具体的な方向性のイメージ。ごめんなさい。二次利用に関しては、8ページに書いてあるような、マル1は当たり前ですけれども、マル2、3、4というのは、きちんと審査ということがあれば、私は、これはここに書いてある方向性でいいのではないかと思っております。ただ、その審査の在り方なのですけれども、今、IRBとかCRBが数多くできてきているわけですが、中身に結構ばらつきがあるということが問題になっています。
それと同じようなことにならないように、ここで審査する審査体を設けることになれば、審査の内容を確認するような、どんな審査が行われているか、一定レベルが全て保たれているかどうかということを確認するような、そういった手段というか組織というか分かりませんけれども、そういったことを一緒に考えていかないと、二の舞になってしまうのではないかなということを危惧いたしました。
最後に、13ページの本人・国民の理解促進に向けた取組なのですけれども、ここに具体的な方向性のイメージということで4つあるうちの2つ目、3つ目、4つ目ですけれども、こういったことで使いこなせる国民というのは本当に一部じゃないかと思いました。ですので、取組として、まずは、基本的なこの情報の利活用ということについて、用語もそうですし、今どういうふうなことが行われていて、どんなことを利活用するとどういういいことがあるのか、そんなことを含めたもっと基本的なところから始めていかないといけないのではないかなという気がいたしましたので、その方向性でも御検討いただければと思います。
以上でございます。
○森田座長:ありがとうございます。1つずつ事務局にお答えいただいてもいいのですけれども、かなり時間がかかりそうですので、重複するところもあろうかと思いますが、お二方か、お三方質問を出していただいて、その後で事務局にお答えいただきたいと思います。
それでは、日置構成員から先に御発言いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○日置構成員:よろしくお願いいたします。
まず、事実関係の確認をと思います。資料5のほうのCNILの件ですが、CSPに基づきCNILが承認等を行うとあるのですが、ここの承認なのですが、基本CNILがやっていることは個人情報、個人データの関係なので、今であればGDPRとかの関係があると思うのですが、ここで言う承認手続では、GDPRの観点も踏まえた処理の適法性とか、セキュリティーの関係や、こういったものを検証するものなのか、それとも、報告、CSPの観点からものを見ているのか、あるいは、これらの平仄というのをどう取っているのかというところの確認が1点。
もう一点は、CSPに基づいて健康データをホスティングする場合とあるのですが、この次のページ、今映していただいているのですが。失礼。変わってしまったのですが、手続の簡素化と言われているところのHDH、全て承認を得たものというのはこちらに組み込まれていくものなのか、どういう取組なのかというところと、どういう制度なのかというところ、もしお分かりであれば御教示いただきたいというのが1点でございます。それは日本でのルール化を考えるときに参考になるのではという観点からお伺いする次第です。
2点目は資料6のほうですが、大きな方向性については特段、今、コメントを差し上げるところではないのですけれども、8ページ、9ページの辺りで、こちらについて、ここから1から4まで挙げておられるところと、次のページの既存データ、過去に収集したデータとの関係なのですが、この過去に御本人様の同意を得てデータベースに収集・格納されているデータについては、先ほどの8ページのマル1からマル4には当たらないようなケース、どういったものを想定されておられるのでしょうか。ここで作成しようとしているところの対象となるところがどこなのかというのを確認するために、少しお伺いできればと思います。
関連して、ここで言うところのデータベースは、NDPとかそういったものではなくて、幅広くというところなのかというのも御示唆いただければと思います。
以上でございます。
○森田座長:ありがとうございます。今、長島委員のほうからチャットで、「審査体が最も重要です。情報提供は専門性と中立性が必要なので、倫理審査とは別の組織が必要です」という御意見が述べられておりますが、それも含めまして、ここで、幾つか質問が出ておりますので、事務局のほうから、整理した形で結構でございますので、御回答をお願いいたします。
○厚生労働省事務局:事務局でございます。山口委員また日置委員から、関連する御質問としてCNILの関係がございました。
まず、山口委員から、CNIL、これはどういう形で独立機関が監督をしているのかということでございますけれども、総じて申し上げると、我々もなかなか把握が不十分な点があるので、また確認をした上で整理をしたいと思いますが、法律上にCNILを設置するという趣旨の法律があるようでございまして、それに基づいて監督をしているというのが、法体系としてはそのようになっているというふうに理解をしております。
ただ、実態においてどういう形で監督をされているのかという点については、我々もまだ十分整理ができていない、確認ができてない部分がございますので、この辺りは改めて確認をした上で御報告を申し上げたいというふうに思っております。
それから、これは日置委員からお話がございましたCNILの審査、どういう観点でものを見ているのかというところでございますけれども、こちらも私どももホームページ等々で拝見をして調べている部分でございますので、もしかしたら理解が正確でない部分、誤っている部分があるかもしれませんが、あくまでも、法令との適合性でありますとか、個人情報の管理とか、そういう観点でチェックをするのがこのCNILの役割であるというふうに理解をしております。倫理審査というよりはデータの管理でありますとか取扱い、こういう観点でチェックをしているというふうに今現在のところは理解をしておりますけれども、こちらはもう少し我々のほうでも把握、整理をしなければいけない部分だろうと思いますので、もう少し整理をした上で、また改めて御報告を申し上げたいというふうに思っております。
それから、これは山口委員、日置委員共通の御質問であったかと思いますけれども、CNILの手続の簡素化といいましょうか、実態としていわゆる標準的なケースが多いのか、あるいは簡素化されたケースが多いのかという趣旨でございます。この辺りは、申し訳ありません、我々、今まだ十分この辺りは調べ切れておりませんので、実際の形でどういうふうに運用されているのかというところをもう少し整理をした上で、またこちらも御紹介、御報告を申し上げたいというふうに思っております。
CNILの関係、すいません、なかなか十分調べ切れてない部分がございますけれども、その点については御容赦いただいて、確認をした上で、また御報告を申し上げたいというふうに考えてございます。
それから、資料の6の関係でございます。まず、山口委員から御指摘がございました仮名化・匿名化の部分でございます。ページで申し上げますと、5ページですかね。5ページ目、資料6の5ページ目、下から4行目ぐらいでしょうか。個人情報保護法とか、あるいは次世代医療基盤法に基づいてバランスの取れた制度体系を構築するというときに、仮名化された情報か、あるいは匿名化された情報かという、こういう形で記載をしてございますけれども、この趣旨でございますが、もともとは、「仮名加工情報」あるいは「匿名加工情報」と申し上げた場合には、これは個人情報保護法の中に「仮名加工情報」や「匿名加工情報」という法律上の定義がございまして、その用語を指すものになるというふうに理解をしております。
ここで申し上げたかったものは、もちろん、例えば、次世代医療基盤法でございましたら、「匿名加工医療情報」という形で法律上の定義があるわけでございますけれども、そういう形で厳格に匿名化をされているというのが次世代医療基盤法の仕組みでございます。一方で、厳格に匿名化された情報というものについては、この検討会の場でもいろいろと御議論ありましたし、また、内閣府のほうからもワーキングの御紹介がございましたけれども、結局、名寄の難しさとか、あるいは、とがった情報がどうしても丸められてしまうとかいう点において、現実のいろいろな研究開発等々の側面においては使うのが難しい面もあるということで、この「仮名加工情報」と言いますと、個人情報保護法との関係でどうしてもまたいろいろと混乱を生じる部分もあるものですから、「仮名化された情報」ということに文字としては落とし込んでおりますけれども、そういう意味では、例えば、名前を消したりとか住所を消したりとかしつつ、とがった情報であれば、それをわざわざ丸めたりはしないという趣旨の仮名化された情報という趣旨で記載をしてございます。
ただ、これは山口委員もさることながら、ほかの委員からも度々御指摘いただいております。分かりやすい言葉でしっかり整理をした上で書くべきではないかという御指摘、これはまさにおっしゃるとおりでございますので、具体的にルール化していく上で、例えば法律事項があるのだとすれば、どこの法律に整理をしていくのか、あるいは、法律じゃなくても、例えばガイドラインとか運用でやっていくのだとしても、どういう法令に基づいて、文書、通知であったり事務連絡であったり、そういうものを書いていくのか。少し政府、関係省庁を含めて、法的な言葉の使い方をしっかり整理をした上で表現していかなければいけないというような御指摘はおっしゃるとおりだと思いますので、その辺りはしっかり心した上で対応していきたいと思います。
資料に書いた趣旨の文言としては、あくまでも匿名化された情報というのは、厳格な意味での匿名加工情報と同じ趣旨ではあるのですけれども、法律との関係で「匿名化された情報」と書いたものでありますし、「仮名化された情報」というふうに書いたという趣旨でございます。
○山口構成員:すみません。そのことについて、ここのページでは、仮名化と匿名化、違いはどのように読めばよろしいですか。
○厚生労働省事務局:匿名化と言いますと、ここで言う「匿名化された情報か」というのは、次世代医療基盤法の匿名加工医療情報を念頭に記載をしております。ですので、次世代医療基盤法においては情報を完全に匿名化しておりますので、そういう趣旨で「匿名化された情報」というふうに書いてございます。
一方で、この「仮名化された情報」というのは、この検討会において、もともと、仮名化した情報をどうやって使い勝手がよくしていく、使うようなルールをつくっていけばいいだろうかということを御議論いただいている検討会でございますので、そういう趣旨で、もともとの検討会における議論の発射点といいましょうか、スタートラインであります仮名化された情報というものを発射台として、ここの文字としては記載をしているというものでございます。
匿名化された情報だと、もう少し厳格な意味において、個人がマスキングといいましょうか、匿名化されておりますので、そういう意味において、規制の粒度といいましょうか、そういうものが違っていくべきものではないかという御意見はもちろんあろうかと思いますので、仮名化と匿名化において少し規制といいましょうか、そういうものに段差があってしかるべきではないだろうかということも踏まえた上で、文字として落とし込んでいるという趣旨でございます。
それから、日置委員から、同じく資料6の9ページ目でございます。さらに議論する必要がある点ということで再同意の話、過去に本人同意を得た上でレジストリやデータベース等に収集されている医療情報についてということでございますけれども、これはどちらかというと、NDBとかを念頭に置いているというものではなく、例えば、学会ですとか、あるいは、それ以外にもいろいろとデータベースがあろうかと思いますけれども、そこで収集されている、例えば、顕名、あるいは、実質的には仮名化されているデータベースのほうが多いかと思いますけれども、そういうデータベースを念頭に置いております。
もともとは、患者さんの情報、例えば、学会であれば学会のデータベース、それ以外の研究者へのデータベースに提供する際においては、その学会であったり研究者であったり、そういう研究において使ってくださいという形で御自身は情報を提供しているわけでございますけれども、そういう貴重なデータベースであったりレジストリというものがある中において、例えば、それを新しくルールを整理した上で、仮名化して二次利用できるような仕組みをつくった場合に、過去に取得した同意というものをどういうふうに考えていけばいいのか、まさに経過措置的な位置づけだと思うのですけれども、その辺りをどう整理していけばいいのかということで問題提起をさせていただいているというところがこの資料9ページ目の文字の記載の部分でございます。
事務局の趣旨としては以上でございます。
○森田座長:御質問なさった山口委員、日置委員、よろしいですか。
○日置構成員:確認だけさせてください。対象としては特段、8ページ目は、対象は別にデータベース、どこのものとかそういうのは限っていない。9ページのほうは、別にNDBとかではなくて、よく各学会とかが管理されているようなものも含めてどうするのかというのを見ていますとおっしゃっている。あとは、8ページと9ページで、そんな質的な検討課題としての差があるのかというところはどうお考えなのかだけ補足いただけますでしょうか。
○厚生労働省事務局:事務局でございます。
8ページ目については、例えば、新しいルールというものをしっかりと整理した場合に、ルールの施行以降の話になりますので、そこにおいては、きちんとルールを決めてしまえば、そのとおりに運用していくということだろうと思います。
9ページで申し上げましたのは、もちろん、NDBの場合には完全に匿名化されているデータでございますので、実際には仮名化された情報がデータベースとして入っている場合において、それを第三者提供するということをもともと想定しておらずに本人から同意を取ってデータベースとして集積をされている、あるいは、レジストリとして集積されている場合において、新しいルールが仕上がった、施行された場合に、もう一回、元の情報の保有主である患者さんに再同意を取り直す必要があるかどうか。その辺り、いろいろと議論があるところかと思いますので、その辺りはどういうふうに考えていくのが適当であろうかということで、少し文字に起こした上で、さらに議論すべき点というふうに整理をしているということでございます。事前に予見可能性があったか、なかったかというところかなというふうに考えております。
以上でございます。
○日置構成員:ありがとうございます。法整備の検討とかをされる際に、もろもろ包括して対応できるようにすればよいところのようにも思われますので、議論していければと思います。ありがとうございました。
○森田座長:ありがとうございました。長島委員からはチャットのほうで幾つか御意見が述べられていると思います。また、音声が回復しましたら説明いただきたいと思いますけれども。一応、皆さん目を通していただければと思います。
時間も少し押してまいりましたので、先ほどから手を挙げていらっしゃいます落合構成員に御発言をお願いしたいと思います。どうぞ。
○落合構成員:ありがとうございます。まず、全体としては、これまで議論をしてきた内容を踏まえて、論点については大きく拾っていただいていると思いますので、まず、これまで議論を進めていただいたことに感謝を申し上げます。
一方で、今回の議論において、製薬協や医学研究者、法学の有識者も含めて、利活用を本当にできるような枠組みをどうしていくかという議論があり、かなり強く要望されていたと思っておりました。そういう観点では、しっかりもう少しメッセージとして利活用に倒していくようなメッセージが発信できるようにしていくことが必要ではないかと思います。
なお、これは個人情報ですとかプライバシーに配慮しつつ、適切な立法を行いつつということは当然の前提ではございます。とはいえ、やはり一定のメッセージを明確に発信していくことが必要なのではないかと思っております。
そういった意味で、まず、1つ目ですが、全般としては、1つの視点として、医学研究、医薬品開発などの、どちらかというと二次利用について、本日は特に方向性が寄った議論を提示していただいたところがございます。特にこういった場面について、本人に対して不利益があるのかどうか、これは鈴木先生などもお話があったようなところだと思います。こういった点がしっかり担保されるかを踏まえながら、本人に不当な働きかけがあるようなことは、同意がないのにもかかわらずというのはあってはならないことでございます。こういったことは、ガバナンスの規律としてしっかり整備しなければいけないことではあると思います。一方で、そういった本人の不利益にならない範囲で、情報を利用できるように、同意がなくとも利用される範囲をしっかり設定して、利用できるようにすることが必要なのではないかと思います。
一次利用と二次利用についてそれぞれ述べたいと思います。一次利用について、今回の案の取りまとめの中ではあまり触れられていないように思っております。そこは患者からデータを取得して実際に同意を得ていくことが一次利用の場面で出てくる話だとも思います。また、次世代医療基盤法の前提となる情報のデータ、データベースと本来は連携して次世代医療基盤法なども運用されるとよいのでしょうし、そういったことを考えた場合に、本当に同意がない形でも、まず、一次利用のベースで情報が連携できるような範囲をしっかり設定できないのかという点があると思っております。
実際に細かい同意を現場で取り始めた場合に、共通して同じような同意を取っていくことは、なかなか難しい場面があると思っております。そういったときに、なかなか実効性がないような形になることも心配があります。次世代医療基盤法の見直しの議論のほうでも、現場での負担や不統一が生じるようなものでは、十分に制度が利用できないこともあるかと思っております。そういった部分を踏まえて考えますと、同意がないものが重要ですが、一方で、同意がないことはどういうことかを考えた場合、もともと黙示の同意というのが医療分野においては認められているということもございます。これは、例えば、ほかの個情法のガイドラインがつくられている分野では、例えば金融分野ですとか通信分野であれば、到底許されない。むしろ情報の利活用の必要性というのは、もともと医療分野においては十分考慮してこういった黙示の同意が整備されていたという部分があると思います。
医療分野においては、感染症法ですとかがん登録法といったような情報の連携に関して、特別法の整備もありますので、もちろん、形式的な同意に頼ることだけでは患者さんに分かってもらえない場合があり、それに対応する枠組みを整備することも含めて、同意に頼らないガバナンスをこれまで議論され、整備されてきたものだと思っております。もちろん、同意がない場合に、簡単にそのまま利用して放置してよいということを申し上げるつもりは全くなく、むしろより厳しく、ある種ガバナンスの部分は厳しい要件を同意以外の部分に相当かけていくという、こういうこととトレードオフになるようなものだとは思っております。一方で、この同意の部分が、どうしても情報の均質な利用につながるような収集がなかなかできない原因になっている部分もあると思いますので、こういった点については御検討いただければと思っております。
二次利用の関係でも、一次の部分も含めてですが、明確な同意が原則であると書いていただいているところがございます。そういう点で見ていきますと、二次利用の前に、一次利用のときに明示的な同意について、幾つかのパターンに分けていただいています。しかし、なかなかそろった形で同意を取れないのではないでしょうか。もともと連携して研究しているような場合でもなければ、取れていない可能性がかなり高いのではないかと思います。そうすると、実運用においてかなり複雑なものになることもあると思いますので、あまり細かく分け過ぎるのは運用の明確性を欠く、つまり、利用されない可能性というのも惹起してしまう可能性があるのではないかと思っております。
もちろん、審査委員会については、専門的な機関で整備をするなど、前向きに整理していただいていて、ここは非常によい方向性を示していただいていると思います。しかし、また同意を前提とするとは言いつつも、仮名化をすることによって利用できるという御整理をいただいておりますので、基本的には利用できるようにしていきたいというお気持ちでまとめていただいているのだと思います。しかし、もう一歩踏み込んで議論していただいたほうが現実に実際使われるものになるのとは思いますので、そういった観点でまた御検討いただけないかなと思いました。
長くなりまして申し訳ありませんでしたが、以上でございます。
○森田座長:ありがとうございます。長島委員、よろしくお願いいたします。
○長島構成員:長島です。まず、全体像、バランスが重要なので、医療情報に関して、NDB次世代医療基盤法、個情法の学術例外、そして仮名加工、これらを患者さん、医療機関、二次利活用者の視点から見るとどのようなものかというような全体像を今後ぜひつくっていただきたい。例えば、二次利活用者がこの目的のためにはどれを選択すれば一番いいのかというような全体像というのはぜひお願いしたいと思います。
次に、もうチャットに書いたので、ポイントを。とにかく審査体が最も重要。同意の取り方についても、この審査会で個別にしっかりチェックしていく。ただし、なるべく早くタイミングでそれをやってあげる、そして、中央の審査体を1つつくって、それで全国の質のチェックと支援をしていく。これが重要だと思います。
以上です。
○森田座長:ありがとうございました。それでは、日置構成員、再度手が挙がっております。どうぞ。
○日置構成員:今回、事務局から出ている同意の取り方についてのところは、これまでの個人情報保護法の例外は、デフォルトルールではなく例外でしょうというところ、二次利用するためにどういったルール、ボトルネックをなくしていくのかというところの観点から必要だというところが1点と、もう一つは、ルールの一元化というのですかね。統一的なルール、運用によってデータの利活用を推進したいという、そういうところに主眼があるものだと理解しております。今後、細かなところの作り込みは必要ですが、方向性については賛成するということを申し上げておきたいと思います。
以上でございます。
○森田座長:ありがとうございました。
それでは、落合構成員の御発言、新しい視点の御指摘もあったかと思いますけれども、それも含めまして、事務局のほうで回答をお願いいたします。
○厚生労働省事務局:事務局でございます。明確なお答えにならない部分も多分にあるとは思うのですけれども、もちろん、我々としては、最初の検討会の趣旨で申し上げましたとおり、いかにデータを、情報を二次利用しやすくするかという観点から、この検討会においていろいろと御議論いただいてきたという経緯がございます。その一方で、個人情報保護法とか次世代医療基盤法とのバランスというものも考えていかなければいけないという中において、例えば、あまりにあまり作り込まないほうがいいのではないかというのは、おっしゃるとおりだろうと思います。
そうはいいながらも、しっかり審査体でしっかり審査をしていくような仕組みというのはもちろん大事だろうと思いますので、今回、同意に関して幾つかケース分けをしておりますけれども、これらは考え方をしっかり整理しなければなかなかの議論も進まないだろうと思いますので、こういう形でたたき台的にこういうケースがありますよねというふうに議論は整理しましたが、個々の同意や、しっかり患者さんといいましょうか、情報の持ち主たる御本人の意に沿うものなのかどうなのか、その情報の使い方、御本人に不利益が生じるものではないのかどうかというところは、審査体のところでしっかりとチェックをしていくことになるのだろうし、そこは杓子定規に運用するということはなかなか現実的に難しいと思いますので、そこは実態を踏まえながら運用していくということなのだろうと思います。
ただ、その場合において、患者さんといいましょうか、御本人の視点というのは当然大事だろうと思いますし、客観性が担保されるような仕組み、この辺りは実際にどういうふうにしていくのかというのは、今後検討していかなければいけないところだろうと思います。
今回は、あくまでも二次利用という観点である程度議論を整理し、もともと二次利用という観点で今回の御議論をお願いしてきた検討会でもございますので、そういう観点で整理をしておりますけれども、もちろん、一次利用もいろいろと課題といいましょうか、論点としてあるだろうというふうには思っております。
そこまでいろいろと議論をしていくと、また、なかなかいろいろな論点があるところもございますので、まず、足元、二次利用を進めていく上においてどういうふうにしていけばいいのだろうかというところをまず整理したいということで、こういう形で今後の検討の方向性ということで整理をさせていただきました。
長島委員から全体像という話がございましたけれども、やはりいろいろな法律、いろいろなルールがある中において、そもそもどういうルールがあるのか、その辺りをきちんと我々のほうでも整理し、また、情報を使う側、また、国民の皆様にしっかり分かっていただけるような取組というのは当然必要だろうと思います。これはかねてから山口委員からも度重なる御指摘いただいているところでもございますので、これはもちろん我々もそうですし、関係省庁、内閣府であったり個情委であったりとしっかり連携をしながら、全体の見取図を分かりやすくつくっていくということは取組としてしっかりと取り組んでいかなければいけない部分だと思っておりますので、その点については、また引き続きしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
抽象的なお答えばかりで大変恐縮でございますけれども、事務局からは以上でございます。
○森田座長:ありがとうございました。落合構成員、さらに追加的な御発言、コメントございますか。
○落合構成員:ありがとうございます。情報を利用する方向で方策を考えていくということでお話いただいたと思っております。その点は、多分、参加しているメンバー全体で共通かと思っております。
その中で、運用の部分でカバーする部分もどうしても出てきてしまうのは、医療分野が非常に広いので、やむを得ない部分もあろうかとは思いますが、できるだけ個人情報保護法の観点でも、条例の部分を一元化したりですとか、ルールをなるべく少なくしたりしてということを整理していることを踏まえて頂きたいと思います。法令で決めることによって、いろいろなルールが細分化しないようにすることで、全体としてルールを明確な形にしていくという方向性をぜひ目指していただけるといいと思いますので、また今日も、残りの議論も聞きながら、また発言できるところがあれば発言させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○森田座長:ありがとうございました。
時間が大分押してまいりましたけれども、今、宍戸構成員が参加されたようですので、これまでの議論は聞いていらっしゃらないのですけれども、既に資料のほうは目を通していらっしゃるかと思いますので、そちらの観点から御発言があれば、よろしくお願いいたします。
○宍戸構成員:森田座長ほか構成員の皆様、あるいは事務局の皆様、遅れまして大変失礼いたしました。東京大学の宍戸でございます。いろいろばたばたしておりまして、大変失礼しました。
1つは、既に事務局から御紹介があったことと思いますけれども、参考資料2、次世代医療基盤法検討ワーキンググループにつきましては、既にこの場におられる皆様にいろいろな御支援をいただきまして、ひとまずの中間取りまとめをさせていただいたところであります。こちらでの検討ときっちり同期を取り連携して、認定匿名加工情報の仕組み、これまでの個人情報保護法上の匿名加工情報制度と違う形での、認定されたガバナンスを受けた機関を通じた匿名化という形での医療情報のあるべき利活用とその効用をしっかり発揮し、しかし、守るべき患者の権利・利益を守っていくということで議論をしてきております。この場での検討も、基本的にはそれに整合するような形で、しかし、同時に、役割分担をする。あちらはビッグデータ、こちらはそうではなくて、第一次利用、それから、もちろん第二次利用もございますけれども、これまで、同意の在り方等についていろいろ御議論がありましたけれども、そういった観点からしっかり御議論いただいてきたものと資料6を拝見していて思います。
その意味で申しますと、今、途中から入って、落合構成員がおっしゃったことにも関わるのですけれども、例えば、資料6の8ページなどで、同意を個別的に分類して、分析をしていったということは、まずボトムアップでの分析として非常に有用な分析であるだろうと思います。
それをした上で、どうやってルールとして明確で、1つには、関係する機関がしっかりコンプライできる、かつ、医療情報の効用を発揮する、かつ、患者さん等から見ても不安のないというのにはどうしたらいいか、このボトムアップの分析を踏まえてどうやってくくっていくか、あるいは、手続規律によってどうやって確保していくかが重要であるだろうと思います。
とかく、この種の問題は、同意あるなしとか、同意の密度ということになりますけれども、より根本的に、OECD8原則などに立ち返ってみれば、本人関与、本人参加がまず基本的に大事であり、その本人関与、本人参加を事柄の性質に応じてどう組み立てていくか。そして、組み立てるときに本当に実効的なパーティシペーションと言えるようにするために、事業者の側に、あるいは関係する機関の方にどういうガバナンスが求められるか。要するに、これの組合せをうまく適切に組んでいくということが事柄の性質に応じて大事だろうということをずっとこれまで議論してきたことだと思いますので、この8ページの同意の話だけが言わば一人歩きするようなことにならないように、資料の11ページ等にお示しいただいている、例えば、審査の在り方とうまく結びつけて、また同時に、審査については、個別の判断、それこそ審査機関何千個問題みたいなことにならないように、どうやったら実効的にできるのかということをさらに議論を深掘りし、両者が連動しているのだということを意識して議論を深めていく必要があるかと思っております。
あまりたいしたことは申し上げられませんが、最後に、参考資料3について一言申し上げたいと思います。こちらは、例のコロナ室における新型コロナウイルス感染症に対する政府の対応についての検証をした、永井先生に座長をお務めいただいた会議の基本的な取りまとめでございます。
これの基礎となるエビデンスについては膨大な資料がございますけれども、こちらにおいて、基本的に医療DXが遅れてきたことが非常に、今回、コロナという形で顕在化した問題があり、その結果として、いろいろ問題があったことを踏まえて、医療DXをここで現実に起きた課題を踏まえて進めていくべきだ。さらに、医療に関連する情報利活用も、政府の公的な政策などをしっかり検証し、しっかり手を打っていく。まさにEBPMの本来ど真ん中のところにここはあるはずの話ですけれども、これについてしっかりやっていくべきだというのは、政府全体に投げかけられた検証の結果だろうと思います。もちろん、いろいろなところでそれぞれに対応し、例えば、感染症法の在り方などの議論もあるとは思うのですけれども、あれはあっちの話、公衆衛生の話ではなくて、ここでの話に密接に関わるものだと私は検証に参加したメンバーとして思いますので、ぜひこちらも、この議論を最終的にまとめていく際に御意識いただいて議論をまとめることになればと願っておりますので、一言申し上げさせていただく次第でございます。
私からは以上でございます。
○森田座長:ありがとうございました。特に事務局コメントございますか。よろしいですか。ありがとうございました。大変貴重な御意見だと思います。
それでは、残り時間が少なくなってまいりましたけれども、さらに何か御発言、御希望のある方は簡潔にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。落合構成員、どうぞ。
○落合構成員:ありがとうございます。倫理審査委員会の関係について、方向性のイメージをちょっと伺えればというふうに思いました。
こちらのほうにつきまして、資料6のページ11かと思います。投影ありがとうございます。こちらのほうで、一応、この審査の枠組みについて統一化するということで、これまで様々なところに分かれている課題を整理していただいたと思っております。これはどういう場面でどう使われるかが重要かと思いますが、最初に初期的に研究をされたりするときは、また別の医学的な意味で審査をされると思っております。これはあくまで情報が既に一定の場所に集まっているものをさらに同意を不要とするような場合の審査について、この倫理委員会の審査を1回通すことで、それだけでもって要件の部分のある種同意の代替手段の1つというふうに捉えていくという位置づけで置かれているということでよろしいのでしょうかというのが1つです。もう1つとしては、この利用目的や第三者提供先に応じて柔軟な運用となるような基準というのもありまして、これはそういうものが必要な場合もあるのだとは思います。しかし、例えば、一定の資格や、一定の機関の中で既にしっかりした審査を受けた場合には、2回目以降の審査などのときには、それをある程度ファストトラックでできるようにすることなども今後検討していく可能性があり得るのでしょうかという、その2つでございます。
○厚生労働省事務局:事務局でございます。
まず、1点目でございますけれども、1点目、落合先生の基本的に同意が要らないというか、再同意不要というところを審査委員会で担保するのだよねという点については、おっしゃるとおりでございます。ここを審査委員会、審査体のほうでしっかりチェックといいましょうか、確認をしていて、そこに問題がないというところをしっかり見ていくということだろうと思っております。そうでなければ、もう一回同意を取ることになってしまいますので、そういうところを代替するものとして審査体というものを機能させていけばよいのではないかなというふうに考えています。これが1点目です。
それから、2点目。例えば、1回目、かなりしっかりと審査を行って、2回目以降、同じような使い方をする場合においてはというのは、もちろん、運用のやり方としていろいろとあるのだと思います。その辺り、もう少し我々も、たしかこれは前回か前々回か松田先生からもいろいろと、審査のグラデーションみたいな話、松田先生からも御指摘あったように記憶をしておりますけれども、例えば、どういう形で情報を使うのか、誰に情報を提供するのか、それが1回目なのか、ルーチン化されているのかどうかということだと思うのですけれども、そういう辺りも踏まえた上での運用というのはもちろんあるのだろうと思っております。
その辺りは我々ももう少し研究しなければいけない部分もありますし、あるいは、諸外国における運用、この辺りも研究しなければいけないと思っておりますけれども、そういうことを加味した上で、しゃくし定規にならないような対応というものが現実的に運用していく上では重要な視点だろうと思っておりますので、そういう観点でまたこれから検討していかなければいけないといいましょうか、いく必要があるかなというふうに思っております。
事務局からは以上でございます。
○森田座長:落合構成員、よろしいですか。
○落合構成員:ありがとうございました。
○森田座長:時間が残り少なくなってまいりますが、よろしいでしょうか。
もし特に御発言なければ、私も2、3コメントをさせていただきたいと思います。
1点目は、これは大変難しい問題につきまして、事務局のほうで、我々が発言したこと、また参考にという形でお話しいただいたことについて、丁寧に整理してまとめていただいたことについて、その努力は感謝したいと思います。随分論点が整理をされていると思います。
ただ、そうはいいましても、逆に、いろいろな議論を細かく整理したがゆえに、非常に複雑なものになってきているような気がいたします。例えばですが、具体的に同意というのはどこで得るのかといいますと、先ほど落合構成員からもお話がございましたが、医療現場で患者さんからこの同意を得るというときに、果たして、仮名加工情報と匿名加工情報の違いというようなことについて、どういう形で理解をしていただくのか。個人情報保護法における仮名加工情報と匿名加工情報と、また、次世代医療基盤法におけるそれとが違っていて、しかも、次世代医療基盤法における匿名加工情報については、追跡が可能なような形で、仮名加工情報に近いような形での考え方も入ってくるということになりますと、恐らく、今日の議論に参加してこの資料を読んでらっしゃる方は理解できると思いますけれども、多くの方はその違いを理解することは難しいと思います。これを一般の患者さんに説明して、仮名加工情報に使っていいでしょうかというような形で説明して同意を得るということが、果たして本当に患者さんの利益、あるいは、情報の利活用にとってプラスになるのかということは、もう一度考えてみる必要があると思います。
特に、高度に専門的なこと、医学的に専門的なことに加えて、法律上も相当難しい問題点でございますので、これは多分、裁判でこういう議論をするのはいいと思いますけれども、診療の現場で行為規範としてこれを適用するときに、果たして使えるものなのかどうなのかという点、8ページの概念といいましょうか、同意についての整理であるとか、今日の議論を伺っていて感じた点が1点目です。
そういう意味で言いますと、過度に同意を重視するということがデータを取った側の免罪符のように使われている感もなきにしもあらずで、そういう指摘は海外でもあるのですけれども、そうではなくて、本当にその人のプライバシーであるとか患者さんを保護するための法的な手段として、同意以外の方法もあるという落合構成員の御指摘はそのとおりだと思います。それについてもう少し検討する必要があるのではないかと思いますし、同意の在り方についても、工夫の必要があると思います。
その点について、きちんとした形で、では、利活用しながら個人情報といいますか、プライバシーを守るためにどうするかというときに、やはり審査機関の役割が非常に重要になると思いまして、この点につきましては、しっかりしたものを中央に置いて、そこが基準をつくってシンプルに適用していくというのは、長島先生のおっしゃるとおりだと思います。
ただ、実際にどういう形で審査をするのかというときに、それにかかるコストについても考える必要があるだろうと思います。フランスも、今日、CNILの例が出ておりましたけれども、審査機関の件数にしても日本よりも遥かに少ないわけですし、審査件数についてのデータはなかったのですけれども、それを比べたときに、例えば、審査機関1つ当たり、審査員1人当たりどれくらいの件数を処理しているのかということを比較してみると、かなり大きな差が出てくると思います。そこで一体何をしているのかというのは、もう一段、事務局に御負担をおかけしますけれども、調べていただければ大変ありがたいと思っておりまして、多分、この審査機関がしっかりしているというのが重要になってくるかと思います。
同じような形で権利保護と考えたとき、これは行政法のほうでどのように議論されているか知りませんけれども、政策論の場合には、いわゆる人の行為をコントロールするという方法と、人そのものの資質をコントロールする方法と、対象になるものとか情報をコントロールする方法などいろいろなやり方があると思います。同意という場合、利用目的という場合には、行為をコントロールするということですけれども、これは実際にはなかなか難しい。
そこで考えられる方法は、いわゆる資格を持った人、きちんとした管理ができるような人を、その資質等を審査して、その人にはかなり自由にデータを使わせるようにする。その代わり、しっかりとした責任も負ってもらう。そういう仕組みも考えられるのではないかという気がしまして、この事務処理の手続と件数の多さを考えたときに、いわゆる審査体制も、余程効率化しない限り、実際にはそこでスタックしてしまう可能性がかなりあるのではないかと感じました。
長くなってすみませんけれども、3点目もちょっと言わせていただきますと、先日、ある方から指摘を受けたのですけれども、がん登録法の場合には、顕名でもって、しかも、登録自体は医療機関に義務づけられています。違っていたら訂正していただきたいと思いますけれども。そして、5年間はそのままデータを保存し、データの活用については、きちんと管理をする仕組みになっていると思いますけれども、そちらのほうは、今日議論している個人情報保護法であるとか次世代医療基盤法のデータの扱い方から比べますと、かなり個人情報について活用できるような仕組みになっている。しかも、しっかりとした形で管理されているとしますと、今日議論しました、一般的な医療情報とがん登録法の仕組みの関係というのはどのように考えたらいいのだろうかということついて、これはどなたか法律の御専門の方に教えていただければと思った次第です。
いろいろこういう点はどうなのかという質問はしましたけれども、今日この場でお答えは結構ですが、コメントだけさせていただきました。
ということで、司会者の特権でかなり勝手なことを申し上げましたけれども、ほぼ時間が尽きておりますので、もうこの辺りで終了ということでよろしいでしょうか。
そうしたら、進行のほう、最後ですので、事務局のほうにお返ししたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○厚生労働省事務局:事務局でございます。本日も闊達な御議論を頂戴いたしまして、誠にありがとうございました。
次回の会議でございますけれども、座長とも相談の上、また追って御連絡を申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日も長時間にわたり御議論いただきまして、誠にありがとうございました。引き続き、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。
○森田座長:ありがとうございました。大変難しい議論でお疲れだと思いますけれども、ありがとうございました。失礼いたします。

(了)

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