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2022年4月20日 第3回医療分野における仮名加工情報
の保護と利活用に関する検討会

医政局総務課

○日時

令和4年4月20日(水)15:00~17:00

 

○場所   AP虎ノ門 東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11F 【Web開催】


○議事

○厚生労働省事務局:それでは、定刻になりましたので、ただいまから第3回「医療分野における仮名加工情報の保護と利活用に関する検討会」を開催いたします。
構成員の皆様におかれましては、御多忙のところお集まりいただきまして、改めて御礼を申し上げます。
本日の構成員の先生方の出欠状況でございますけれども、事前にいただいている範囲ですと、石井先生と中島先生、松田先生は急遽御欠席となったと伺っております。また、落合先生については16時頃に御入室の予定、また、宍戸構成員については16時半頃に退室の御予定と伺っております。
それでは、本日の会議資料の確認をお願いいたします。資料については事前に各先生方にお送りをしておりますけれども、次第と委員名簿のほか、資料1から参考資料2まで御用意をしております。過不足等がございましたらお知らせいただければと存じます。
それでは、以降の議事運営につきましては、森田座長にお願いをいたします。
○森田座長:ありがとうございます。
皆様、お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございます。
それでは、早速ですが、本日の議題に入らせていただきたいと思います。
前回の会議はちょうど1週間前でございましたけれども、前回はヒアリングということで、製薬メーカーあるいは現場でデータを使っていらっしゃる先生方から現場の実態、あるいはこの分野に長年関わってこられた方々からの見解ということで、大変有意義な御意見をいただいたと思っております。
そこで、本日はまず事務局にこれまでに出されました主な意見を簡単に整理していただきましたので、最初に事務局から御紹介いただき、その後、何名かの先生方もおっしゃっておられましたけれども、海外の事例、具体的には医療情報の二次利用に関する諸外国の仕組みにつきまして御説明いただきたいと思います。その後でまとめて質疑応答・意見交換に入りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
○厚生労働省事務局:事務局でございます。
それでは、資料1から御説明を申し上げます。「これまでの検討会で頂いた主なご意見」ということで、第1回目、第2回目、それぞれ各委員の先生方、また、ヒアリングでお越しいただいた方々から多岐にわたる御意見を頂戴いたしましたものですから、事務局の責任においてある程度カテゴリーを分けた上で整理をしております。
2ページ目をお開きください。議論の進め方ということで、全体的なお話を各先生方から頂戴をしておりますので、文字に起こしているものでございます。若干御紹介申し上げますと、2ページ目の一番上でございますけれども、まずそもそもこの個人情報保護法というものが大前提といいますか、一般法としてあるわけでございますけれども、個人情報保護法で定義をされている仮名加工情報の取扱いあるいはルールが医療分野には必ずしもなじまないというのが議論の出発点であって、そもそも個人情報保護法は仮名化された情報の取扱いをくまなく規律しているものではないと。こういう立ち位置に立った上で、具体的なニーズあるいは実態を踏まえて、現行法の解釈で対応可能なのか、あるいはそれだけでは不十分なのか、ガイドライン等々で明確化していくのか、あるいは立法措置を検討していくのかと、このようにしっかり順序立てた上で検討していくのがいいのではないだろうかという御意見を頂戴しております。
2つ目、先ほど森田座長からも御紹介がございましたけれども、欧米の事例等々、こういったものも参考にしたらいいのではないのだろうかとか、あるいは一番下でございますけれども、今日の午前中も次世代医療基盤法の見直しに向けたワーキンググループがございましたが、こういう関連のワーキンググループと相互に連携をして、しっかりとそれぞれの役割を的確に果たしながら議論を進めていくことが大事ではないだろうかという御意見をいただいております。
3ページ目と4ページ目、こちらの検討会の場でも各先生方からたくさん御意見を頂戴いたしましたユースケースの関係を整理してございます。まず3ページ目、こちらも非常にいろいろと御意見を頂戴しておりますので、ポイントのみ絞って御紹介申し上げますけれども、一番上、医療分野において仮名化した情報がどういう形で有用なのだろうかと、具体的なユースケースをしっかりと念頭に置いた議論を進めていくことが必要なのではないだろうかと。
2つ目のポツでございますけれども、学術研究や次世代医療基盤法に基づく利用、あるいは個人情報保護法に基づく利用など、いろいろとありますが、それぞれユースケースを整理した上で具体的な課題を整理することが必要ではないだろうかと。こういう具体例をしっかり踏まえた上での議論というもの。
また、3つ目のポツでございますけれども、共同利用のケース、こういうものもあるよねという話となります。ただ、共同利用の場合には倫理審査委員会の審査基準の問題等々もございますけれども、こういうところもしっかりと念頭に置きながらという御意見も頂戴をしております。
また、上から4つ目、個人情報保護法の仮名加工情報にあまり過剰な期待をあおるような議論はしないほうがいいのではないだろうかという御指摘もいただきました。
下2つでございますけれども、結果、実際の成果のフィードバックでありますとか、あるいはこれは先ほどもございましたけれども、諸外国における取組の事例への学び方とか、こういう御紹介もいただいております。
次の4ページ目でございますけれども、引き続きユースケースの関係でいろいろと御意見をいただいたものを文字に起こしております。上2つでございますけれども、これは個人情報保護法の公衆衛生例外や学術研究例外、こういう関係のQAも整理をされておりますが、これに関する御意見などもいただいておりました。
上から3つ目以降はヒアリングとの関係、これはたしか前回いろいろと御意見をいただいたところでもございますけれども、レジストリの話、いろいろと御意見といいますか、御紹介がございました。例えば3つ目のポツでございますけれども、大半のレジストリではデータの第三者提供が行われていない、また、実績があっても大半がアカデミアへの提供というところで、期待としては希少疾患の治験でありますとか、あるいは製造販売後調査等への利用が期待されているのだけれども、なかなか現実には利用されていないかなという御意見がありました。
肝がんのデータベース、これについても同じように世界に類を見ない貴重なデータベースなのだけれども、なかなか残念ながら創薬に関するものは一つもないという御指摘。また、製薬企業のほうも、レジストリのデータは使いたいのだけれども、なかなかそれが使えないというところが非常に悩ましいといいますか、難しいという御意見をいただいております。
そういう中で、非常にいろいろな創薬につながるようなデータはあるのだけれども、実際には創薬につながったものはほとんどないというのは非常に問題ではないだろうかと。この貴重な知財が創薬や新たな機器開発につながっていないというのは危機的ではないかという御指摘を前回の御意見でもいただいている。これが4ページ目の一番下でございます。
5ページ目、こちらは同意の関係でございます。同意の関係では、患者さんから同意を得る時点で仮名化した上で二次利用される可能性を伝えていく必要があると。そして、二次利用に関して拒否できるような仕組みも必要だろうし、そういう収集された情報がきちんと適切な形で使われているかどうか、こういうものをチェックできるような体制も重要ではないだろうかという御指摘をいただいております。
また、患者自身の同意、何に同意を与えたのかが確認できるような仕組み、それから、海外の事例なども参考にしたらいいのではないだろうかという御指摘を同意に関しては頂戴をしております。
6ページ目でございます。医療情報の利活用に関する国民の理解ということで、これは当然の話でございますけれども、NDBに関しても、しっかりとした審査を行いながら、その利活用の範囲を少しずつ広げてきたと。こういう中で国民の理解が大事でありますとか、例えば上から2つ目のポツ、法解釈だけで技巧的に対応しようとすると、国民の理解を得る機会がどうしても少なくなってしまうので、立法プロセスあるいはその前の段階でしっかりと対話の機会を設ける、こういう形で議論の過程を見える化していくことが大事ではないだろうかとか、あるいは分かりやすい言葉で国民の皆様に御理解いただけるような取組を進めていくとか、こういう話をいただきました。
最後、7ページ目でございます。その他という形で整理をしておりますけれども、検討会のこの場でも医療情報の標準化、特に電子カルテの標準化、これは別のワーキングでもいろいろと議論が行われておりますけれども、この標準化の取組をしっかりと進めていかなければいけないことでありますとか、あるいはデータベースの在り方、データのクレンジングの問題、こんな話もいろいろといただいております。
こういう形で第1回目、第2回目の御議論をいただきましたので、これを少し文字に起こした上で事務局で整理をしております。これが資料1でございます。
続きまして、資料2の説明を続けさせていただきます。資料2でございますけれども、こちらは「医療情報の二次利用に関する諸外国の仕組み」というものでございます。
先ほど座長から御紹介がございましたけれども、諸外国の議論を少し事例なども参考にするといいのではないだろうかという御指摘、これは先ほどの議論の御紹介でもいたしましたが、そういう御議論を基に私どもで調べられる範囲で現時点で整理をしているものを文字に落とし込んで資料にしているものでございます。
資料の全体像としては、2ページ目でございますけれども、目次ということでつけております。日本における医療情報を利活用する際のフロー、海外の事例、欧州における倫理審査委員会の構成、参考資料という全体の流れでございまして、時間も限られておりますので、ポイントのみ御紹介を申し上げます。
3ページ目でございます。「医療情報に適用される法令の全体像」ということで、第1回の検討会でお示しをした資料と全く同じものでございますので、詳細は割愛いたしますけれども、顕名の個人情報が一番上の左側の縦の列にあって、真ん中に仮名加工情報、右側に匿名加工情報、それぞれ現行法、いろいろと整理をしておりますけれども、ちょうど今、一番下の点線の黄色い部分ですか。ここについては空白になっているという状態でございます。
4ページ目でございます。これは前回のヒアリングの結果、また、ヒアリングのときに各先生方とお越しいただいた先生方あるいは団体の方々からいろいろとやり取りがございましたけれども、そういうやり取りを通じて想定される仮名化した医療情報の主なユースケースと。これは前回ヒアリングでお越しいただいた方もおっしゃっていましたけれども、個人名などを使うことは基本的にはないと。そういう中で、さはさりながら、医療情報というものを使っていかなければいけない。その場合のユースケースを御紹介いただきました。
○1から○4まで整理をしておりますけれども、まず1点目、ある医療機関や研究機関、こういうところで特定の疾患に係る創薬の研究でありますとか、治療法の開発目的で医療情報を取得することが往々にしてあるわけでございますけれども、それを医療情報を取得した後にほかの医療機関あるいは研究機関と共同で、また、最初に情報を取得する際にどの疾患に使うかを特定するわけでありますけれども、その最初に特定した疾患には該当しない別の疾患の創薬研究や治療法開発に活用したいと。こういうケースがユースケースとしては想定される。もちろんこれは本人の再同意が取れれば特に問題ないわけでありますけれども、どうしても一定期間が経過してしまうと現実的には御本人に再度御説明をして同意を取ることが難しいケースが往々にしてある。こういうケースがまずあるねというお話がやり取りを通じてあったかと存じます。
2点目でございますけれども、学会等が保有する質の高いレジストリデータ、これを仮名化した上で製薬企業に提供し医薬品の研究開発に活用するようなケース、もちろん学術研究に該当する場合には問題ないわけでありますけれども、学術研究例外、この対象とならないようなケースもあるというやり取りがあったかと存じます。
3点目、希少疾患や難病に効果を発揮する治療薬を開発し、PMDAに対して薬事承認の申請を行う際に、その後製薬企業が持っているデータと医療機関が持っているデータ、これが本当に一致しているのかどうか。データの信頼性という言葉を使っていたと思いますけれども、それを確認できるような形で使いたいと。こういうケースがユースケースとしてはあるのではないだろうか。
それから、その他ということで、ほかにもケースとしては恐らくあるのだと思うのですけれども、そういうケースが仮名化された形の医療情報としてあるのではないだろうかということがやり取りの中からは浮き彫りになってきたのではないかなと思います。もちろん現行の個人情報保護法の枠組みであればこういう使い方はできないわけでありますけれども、ユースケースとしてはこういうものがあるのではないだろうかということではないかと思います。
5ページ目以降でございますけれども、翻って、まず5ページ目においては、日本において医療情報を利活用する場合の基本的なフローということで、非常に分かりやすく図示をしたものでございます。もちろん一番上の黒い枠囲みに書いてありますけれども、個人情報保護法あるいは倫理指針、これに基づいて二次利用に関する患者さんからの同意を取得している場合には、それぞれ倫理審査委員会がございますので、そこで審査を経て、大学や研究機関等々に提供されるという大きなフローがございます。基本的なフローが5ページ目の上半分でございまして、左側に「仮名化した情報」と書いてありますけれども、要すれば、お名前や住所などは普通使いませんので、そういう意味において仮名化した情報という形で整理をしてございますが、基本的なフローは上の濃い青い矢印のほうですね。御本人から利用目的を明示した上で二次利用に関する同意を取得して、各研究機関等に設置されております倫理審査委員会で審査をし、そこを経た上で最終的に一番右側、大学等に医療情報の利活用という形で使われるということになります。
上半分のすぐ下の薄い青い部分ですけれども、当初に同意を取得した利用目的の範囲外、かつ御本人から再同意を取っていないような場合については、いわゆる目的外になりますので、この場合にはバッテンというところで使えないというのが現行の日本の仕組みになっております。もちろん公衆衛生例外や学術例外というものはありますけれども、その辺りはこの図からは、※で書いてございますが、詳細は捨象をさせていただいて議論できればと思っております。
下のほう、一方では次世代医療基盤法、こういうスキームもございます。次世代医療基盤法については最終的には認定事業者から匿名化した情報を大学・研究機関等に提供するわけでございますけれども、医療機関においては丁寧なオプトアウトを実施した上で認定事業者に顕名の形で情報を提供し、匿名加工した上で、最終的には第三者提供すると。こういうものが日本における医療情報の利活用に関する基本的なフローであるというものでございます。
6ページ目から8ページ目、諸外国の事例、私どもで現段階で調べられている範囲、把握できる範囲で見ていこうという趣旨の資料でもございますけれども、整理をしてございます。まず6ページ目、イギリスでございます。イギリスに関しましては左側からずっと見ていただければと思いますけれども、大きな2つの矢印がございます。まず上の濃い緑の線でございますけれども、こちらは日本の先ほどのラインと同じになりますが、利用目的を明示した上で二次利用に関する同意を取得する。その上で、ちょうど真ん中になりますが、各地域に設置をされている公的な倫理審査委員会、ここで倫理審査を行い、問題がなければ大学等に情報提供し、医療情報として利活用されるということになります。
下のほうですね。薄い緑の部分でございますけれども、匿名情報の利用では十分ではなく、かつ同意の取得が現実的には難しい場合には、ここは倫理審査が2段構えのようになっている仕組みがございます。これは先ほどの各地域の倫理審査委員会でまず審査を経た上で、ちょうどその倫理審査の右側、中央設置の公益性審査委員会というところがございますけれども、ここにおいて二次利用に関する公益性の審査ということで二重に倫理審査を行い、これで問題がなければ医療情報を利活用すると。こういう仕組みがございます。これがイギリスにおける基本的なフローでございます。
7ページ目でございます。アメリカでございます。アメリカに関しては大きく3つございます。一番上の濃い赤い部分については、これも基本的に患者さんから利用目的を明示した上で同意を取って、倫理審査を行って、医療情報を利活用すると。これが基本的な流れでございます。ただ、この倫理審査に関しては二次利用者側、情報を使う側に設置されている倫理審査委員会で審査をするということがイギリスとは異なっている部分でございます。
ちょうど真ん中の薄い赤い部分でございますけれども、患者さん御本人から同意の取得が現実的には困難な場合については、ここは倫理審査を二重に課すような仕組みになっておりまして、まずは二次利用者側、情報を使う側の倫理審査委員会で倫理審査を行い、その後に情報提供元、医療機関等で設置されている倫理審査委員会でも倫理審査を行って、医療情報を利活用するというのが2つ目の情報のフローでございます。
一番下でございますけれども、同意を取得しないで、かつ16個の個人識別情報を削除すると。いわゆるリミテッド・データ・セット、※を下につけておりますけれども、名前、住所、電話番号、ファクスの番号、メールアドレス等々、こういう情報を削除した場合については、患者さんの同意を得なくても倫理審査を経て、かつ情報を持っている情報保有者とデータを使う二次利用者との間でデータの利用契約を締結すれば、情報としては利活用できるというフローになってございます。これがアメリカでございます。
8ページ目でございます。ドイツとオランダを整理してございます。上半分のドイツでございますけれども、こちらも2本矢印がございますが、上の矢印については、先ほど来、イギリス、アメリカ、日本もそうですけれども、同じように利用目的を明示して患者さんから二次利用に関する同意を取得し、倫理審査を経て、医療情報を利活用するという仕組みでございます。ドイツの場合には、この倫理審査というのは各地域に設置されている公的な倫理審査委員会ということになっております。
ドイツのほうは若干特徴的なのがその下のフローの矢印の部分でございまして、二次利用に関する広範な同意の取得という方法があるようでございます。※に書いてございますけれども、同意を取る時点では具体的にその時点では確定できない内容も含めた研究目的、具体的にこんな研究をやるよということを同意取得時点では確定できないものであっても、倫理審査委員会を経て外部提供されるでありますとか、あるいは同意の撤回可能性、またはドイツの法律の下に取り扱われるということを明示した上で同意を取れば、ちょうど真ん中の倫理審査、同じく各地域の倫理審査委員会でありますけれども、ここの場合については同意の取り方や同意書のフォーマット、こういうものについてもドイツの政府当局がかなり関与する形でつくっている。こういう形で倫理審査を行った上で、最終的には問題なければ医療情報を第三者に提供するというフローがございます。
オランダについては、基本的には患者さんの同意、これを前提とした情報のフローのみが用意をされているというものでございます。もちろん各GDPRの国、公共の利益に資する場合等には本人の同意を得なくても利用可能とするという規定はございますけれども、それは日本と基本的に同じでしょうから、このフローにおいては割愛をしております。
最後、9ページ目でございます。諸外国における倫理審査委員会の構成や審査内容ということでございまして、現時点で把握できる範囲で整理をしてございます。イギリス、アメリカ、ドイツ、オランダということで、一番上に「設置主体」と書いてございますけれども、アメリカは民間といいますか、各組織設置でございますが、その他の国については公的な機関あるいは公的な機関が何らか関与する形で倫理審査委員会が設置をされていると。それに応じて数についても公的なものについては2桁の倫理審査委員会でございますが、アメリカは非常に多い。また、倫理審査委員会の人数や委員の構成については、例えばドイツやオランダなどはかなり細かく決まっているようでございますけれども、それぞれ法令に基づいて定められているということでございます。審査件数については、イギリス、オランダ、イギリスであれば2,800件、ちょっと古いですが、2018年のもの。オランダについては約1,500件という形であると承知をしております。
10ページ目以降も参考資料を添付しておりますけれども、時間の関係もございますので、説明としてはここまでとさせていただきたいと思います。
事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○森田座長:御説明ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明を踏まえまして、御質問、御意見等がございましたら御発言をお願いしたいと思います。手を挙げていただきまして、私のほうで指名をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、順番で、最初に長島委員、それから、日置委員、山口委員の順番でお願いいたします。長島先生、どうぞ。
○長島構成員:長島でございます。
資料2の4ページ、「ヒアリング結果等から想定される仮名化した医療情報の主なユースケース」とありますが、ここで特に2番の学会のレジストリを仮名化した上で製薬企業に提供というものがありますが、これらはまず本人同意、患者さんの同意はどうなっているのか。例えば製薬会社というのは第三者には相当しないのか。このマル1、マル2、マル3に関して、それぞれ同意と第三者の扱いはどういう想定でしょうか。
○森田座長:事務局、お答えいただけますか。
○厚生労働省事務局:事務局でございます。
これは今の枠組みで申し上げますと、今は個人情報保護法が使われる枠組みでございますので、もちろんこういう形で例えば情報を取得し、情報を提供する場合には御本人の同意を取ることが大前提になっておりますので、そういう意味では今の仕組みであれば当然同意を取っているというものだろうと理解をしております。こういうケースがあり得るのではないだろうかということで、例えば前回の検討会でもいろいろとヒアリングいただきましたけれども、前回は製薬協さん等々から御要望をいただきましたが、それはもちろん現行の法律の中でまずは運用するのが大前提でありますので、その中で使われるものであれば、当然同意を取得した上で使われることになるのだろうと思っております。
以上でございます。
○長島構成員:では、その前の3ページの二次利用の「仮名加工情報は本人の再同意なく内部分析等に利用可能」というのと全く合わないのですが、そこはどうなのですか。
○厚生労働省事務局:事務局でございます。
3ページ目のお話でございますけれども、「本人の再同意なく内部分析等に利用可能」とございますが、これは例えば共同研究等々の場合には、御本人に一個一個再同意を取らなくても、あくまでも内部分析の範囲であれば仮名加工情報という形で共同研究も含めて利用可能という仕組みになっておりますけれども、これを外部に提供する場合には、もちろん御本人の同意がなければ今のルール上は提供ができないとなってございます。
○長島構成員:したがって、この2番の学会のレジストリデータを仮名化して第三者である製薬企業に提供するというのは、これはどういうつもりで書いているのですか。
○厚生労働省事務局:事務局でございます。
これは前回ヒアリングの中でいろいろとやり取りがあったわけでございますけれども、こんなお話があったかなと理解をしております。学会で非常にいろいろな世界に冠たるという言い方が適当かどうか分かりませんけれども、世界に誇るようなデータベースがあるのだけれども、それを創薬に使えているかというと、使えていない。一方で、データを使う側からするとレジストリのデータというものがあって、もちろんお名前などが必要なわけではありませんけれども、そのデータを仮名化した形で自分たち、例えば製薬企業であれば製薬企業にいただいた上で、それを創薬に使いたいと。だけれども、今の仕組み、今の法律の体系ではそういうものが使えないから、なかなか難しいのだよねと。そういう御意見があったかと我々としては理解をしておりますので、それを文字に起こしているというのが2番目の趣旨でございます。
○長島構成員:そうすると、今の法律ではこれはできないけれども、ユースケースであれば、法律を変えてこれを可能にしたいという考えですか。
○厚生労働省事務局:今の法律の枠組みではこれができないというのは、まさに長島委員のおっしゃるとおりだろうと思います。そういう中で、一方でヒアリングの中でこういう○2のようなケースがいろいろと現場といいますか、例えばデータを使う側の方々からすると、こういう使い方が本当はしたいのだけれどもなかなかできないのだよねという御意見もいただいたものですから、今の仕組みを前提とした場合にどういうことができるのか。それは法律ということもあるのかもしれませんけれども、この辺り、どう考えていけばいいのだろうかというところを忌憚なく御意見を賜れればということを考えてございます。
○長島構成員:さっきのお話だと、今の仕組みではできないのですね。ということは、今の仕組みでできることを前提にしてというのは間違いですね。
○厚生労働省事務局:4ページ目にユースケースと書いてございますのは、分かりにくくて大変申し訳ございません。こちらはいずれも現在の仕組みではできない仕組みでございます。
○長島構成員:これは非常に誤解を招く書き方なので、全面的に書き方を修正していただきたいと思います。これは非常に誤解を招きます。例えば学会等が保有する質の高いレジストリデータが極めて重要であるということは、誰も議論がないところかと思いますので、まさにそれを使うためには次世代医療基盤法の活用で、現在の仕組みだと使いにくいのであれば、それをもっと使えるような形に変えていくというのが本筋だろうと思います。とにかく4ページの書き方が明らかに誤解を招きかねないので、ここは修正をぜひお願いします。
以上です。
○森田座長:事務局、それで検討していただけますか。
続きまして、日置委員、お願いいたします。
○日置構成員:日置でございます。
事務局におかれましては、これまでの論点整理等々をいただきまして、ありがとうございました。非常にクリアになったと思います。
私からは大きく4点です。1つ目が資料2の4ページにいただいているようなところで、先回のヒアリングの結果も踏まえながら少し思っていたところではあるのですが、例えば創薬ということで薬事承認の申請まで含めて考えたときでも、創薬の研究段階からとか、開発段階とか、様々なフェーズがあろうかと思います。そのフェーズに合わせて必ずしも現行法でいうところの個人情報保護法を含めて各法令で全てができないというわけではないのではないかというのがあるかと思います。ですから、仮名加工情報、ユースケース、出てくるものがあるのかというところは、細かく場面を区切りながら見ていくということで、法改正等は時間もかかりますし、それだけの承認プロセスがありますので、できることからやっていく方向がよろしいのではないかなと思います。
特にページ4の3つ目ですか。その辺りのPMDAの申請審査のところで、データの信頼性というところでボトルネックになりかねないから仮名加工情報を使えないみたいなお話があったのですけれども、一つはもともと病院と医療機関等の保有しているデータにアクセスできるような形にするですとか、あるいはルールですとか、あとはデータの仕様ですね。こういったところのトラストを保持するための標準化というルール整備で対応できる部分もあるのではないかなと思いました。また、もしそれでは足りないのだという話があるのであれば、法令に基づくとか、審査機関から病院側へアプローチできるとか、あるいは個人情報保護法が、それでも識別行為の禁止義務が仮名加工情報や匿名加工情報にはありますので、そういったところがボトルネックになるというのであれば、法令に基づくだけではなくて、もう少し制度自体を変えられないのかというところも検討することになろうかと思いました。
2つ目なのですけれども、製薬の話が多くあるわけなのですが、医療関係の情報といったときには、例えば病院のDXですとか、あるいは医療系の機器ですとか、リハビリテーションであるとか、様々な機器もあろうかと思いますし、AIの開発もあろうかと思います。フレイル予防や予後の関係など様々あるかと思いますし、予後ということであれば、その後、食事系のサービスですとか、そういう一般的なサービスとの連携もあろうかと思います。ですから、必ずしも製薬のみではなくて、もう少し広く視野を持って検討は行ったほうがよいのではないかと思いました。
3つ目なのですけれども、薬事承認の申請などを見ていると、例えば海外で子会社を持ちましたと。そこがこれまで治験をやっていたのだけれども、各国で承認申請をしたいというときとか、日本だけの話ではないのだと思っています。ですから、データの二次利用ですとか、もろもろも含めてなのですけれども、国際的な標準というところ、今回お調べいただいておまとめいただいている各国の制度やフローですね。そういったものも踏まえつつも、標準化するような形で検討はしなければいけないのではないかというのが気になってございます。ルールもあって、フローはどうなっていて、法令だけの問題なのか、それともプラスアルファして説明の内容が標準化されなくてはいけないのかとか、データの内容ですとか、あるいは同意の取り方ですとか、様々あろうかと思いますので、複合的な観点で見ていったほうがよいのではないかなと思っております。
4つ目なのですけれども、二次利用を想定したときに、どうしても長期間データを持ちたいとか活用したいというところと、何かイベントが起こると思うのです。病気になられるとか、投薬されたとか、その予後であるとか、事後調査も含め長期間、御本人のライフステージにも合わせながら見ていかなくてはいけないということもあろうかと思います。そのときに、どうしても長期にわたって最初に取った同意が有効なのかという問題もあろうかと思います。そうすると、今度は個人情報保護法あるいは次世代医療基盤法のことを思うと、仮名加工情報、匿名加工情報、匿名加工医療情報があるわけなのですが、識別行為の禁止義務がついていますので、もう一回御本人にアプローチすることが法制度上できない。そこが問題になってくるので、なかなか壁はあるのかなと思います。
先ほども改正の話もしましたけれども、それだけで対応できるものでもないのかなと思いますし、一つは同意を取ってどう対応するのか。まとめていただいたところでいくと二次利用に関する同意取得というところで、ドイツのような形など様々あるのかなと思いますし、対応を考える。コンセントマネジメントという形で長期間の対応ができるようにするというのも一つかと思います。他方、それだけではなかなかデータ利用は進まないというのがありますので、法令に基づくなど別途検討する必要があるのかという形で考えていくのがよろしいのかなと思います。そのとき、どうしても本人のコントロール、人格権、プライバシーの権利、利益、そういったものもありますので、どういった形、仕組み化するのがよいのかというところも併せて御検討いただくのがよろしいかなと思いました。
以上でございます。
○森田座長:ありがとうございました。
事務局のほうで今の御発言にコメントはございますか。
○厚生労働省事務局:事務局でございます。
今、日置先生から二次利用の同意の話がございました。参考資料でございますけれども、参考資料2「整理・検討すべき事項等」ということで、1ページおめくりいただきまして、画面表示していますけれども、今日、資料として御用意しておりますのが、先ほど長島先生からいろいろと御指摘をいただきましたが、ユースケースとして整理をしたもの、それから、医療情報の二次利用に関する基本的な流れ、基本的なフローを御用意しております。それとは別に実際に諸外国において二次利用に関してどういう形で同意を取っているのか、あるいは同意の範囲なども含めてだと思うのですけれども、その辺りは別途我々でもしっかり整理をしているところでございますので、ある程度資料を整理した上で、改めて次回以降御議論いただけるような場を御用意していきたいと考えてございます。
コメントとしては以上でございます。
○森田座長:それでは、山口先生、お願いいたします。
○山口構成員:山口でございます。
先ほど長島構成員が引っかかられた4ページのところなのですけれども、私の理解としては、現在の仮名加工情報ではできない、そして、匿名加工情報を使った次世代医療基盤法でもできない、でも、ユースケースとして期待できるとしたら、使えるようにするなら仮名化した医療情報ということで使えるのがこういう場合ではないかということが書いてあるのだと思います。
ただ、特にこの会議や次世代医療基盤法の会議に私も参加しているのですけれども、恐らく混乱することの一つが、4ページの「ヒアリング結果等から想定される」の後に「仮名化した医療情報の主なユースケース」と書いてあるのです。「仮名化した医療情報」を仮名加工情報と受け止めてしまうと、何で今こんなことができるのだという誤解につながるのではないか。だから、そこで問題としては「仮名加工情報」「匿名加工情報」「仮名化された医療情報」という言葉の違いを整理して使わないと非常に混乱を招くのではないかなと思っています。ですから、もし資料を分かりやすく書き換えるのだとしたら、今はできないけれども期待されるユースケースとしては仮名加工情報ではなく仮名化した医療情報のこのような使い方だということがきちんと分かるような書き方にしたほうがいいのではないかなと思いました。そういう理解で間違っていないかどうかということを事務局には確認をしたいと思います。
それと同じなのですけれども、各国のところで「匿名化されていない医療情報を」と全てのページで書いてあるのですが、この場合の「匿名化」というのは匿名加工情報のことを指しているのか。「匿名化されていない医療情報」は生データのことなのか、それもこの辺の文言の使い方についてはっきり分からないなと思いましたので、そこを明確に教えていただきたいと思います。
9ページのところで「諸外国における倫理審査委員会の構成・審査内容等」とあるのですが、ドイツの場合ですけれども、審査委員会の人数が「30名以上50名以内」と書いてありまして、私も数多く会議に出ておりますが、30名以上となるともうほとんど議論は成り立たないと思うのです。これはどのようなことで30名以上50名以内ということになって、どんな議論の展開の仕方をしているのか。その辺りがもし分かっておられるようであれば教えていただきたいと思いました。
最初に申し上げたように、用語の整理をきちんとしないことには、国民への周知をしていくときに、今のままでは研究者でも混乱していると聞いております。ですから、まずは言葉の整理ということ、使い分けをしっかりできるようにするのか、言葉自体を整理するのか、そこが必要ではないかなと思いました。
諸外国のことですけれども、聞き及んでおりますのは、同じ言葉を使っていたとしても結構背景によって使い方が異なっていると聞いていますので、あまりこの国はこれだということも特定できないのではないかなと思っております。その辺りもおまとめになったところで感じていらっしゃる印象などがあれば、それも教えていただければと思います。
長くなりましたが、以上です。
○森田座長:ありがとうございました。
それでは、事務局、今の御疑問の点につきましてお答えいただけますか。
○厚生労働省事務局:山口先生から大きく3点御指摘をいただいたと思っております。まず1点目の4ページ目、先ほど長島先生からも御指摘いただいた用語の使い方の部分でございます。そこに関しては私どもが資料作成あるいは説明に当たって不十分な部分、大変申し訳ございません。まさにこれは長島先生のときにも申し上げましたけれども、現行の法律ではもちろんできない仕組みでございまして、それを前提とした上で、ヒアリングをした上で、いろいろと期待されるものとしてという趣旨で書いているのですけれども、言葉の使い方、表現ぶりが分かりにくいというのはまさにおっしゃるとおりでございますので、どういう表現がいいのかというのはまた工夫をしなければいけないと思いますけれども、その点についてはしっかり修正をした上で、分かりやすく説明していけるような資料づくりに努めていきたいと。見出しの部分ですね。特に「ヒアリング結果等から想定される仮名化した医療情報」という部分、ミスリードしないような形での書き方を少し工夫していきたいと考えてございます。これが1点目でございます。
2点目でございますけれども、「匿名化されていない医療情報」という形で私どもで整理をしております。これはまさに山口先生から御指摘のとおり、国によっていろいろと言葉の使い方はまちまちであるというのはおっしゃるとおりでございますので、そういう意味では「匿名加工情報」と申し上げますと、これは日本の個人情報保護法における匿名加工情報という定義でありまして、これが諸外国において「匿名加工情報」という言葉を使っているかというと、そうではないというわけでございます。そうは言いながらも、諸外国においても氏名ですとか、そういうものまで一個一個入った形で二次利用の場面で使われているわけではどうやらないということは確認できておりますが、用語としてどういう形がいいのだろうかというところは、言葉の使い方がまちまちでもありますので、そういう意味でイメージといいますか、より分かりやすくという趣旨で「匿名化されていない」という趣旨で書いているものでございます。
3点目でございます。資料2の9ページ目、ドイツにおける運用でございますけれども、この辺りは若干我々のほうでもお時間をいただきまして、諸外国においてどういう形で実際に運用されているのかという部分についてもう少し調べた上で、この場で御報告できるような形にしていきたいと思います。これらの点についてはお時間をいただいて、整理をした上で、また議論に資するような形で資料等々で御提供、御提示できるようにしたいと考えてございます。
以上でございます。
○森田座長:山口先生、よろしいでしょうか。
○山口構成員:確かに欧米のことを教えていただくのもいいのですけれども、言葉の混乱を逆にまた来してしまうようであれば、日本でどうすれば利活用をうまく進めていけるのかということに議論の焦点を当てたほうがいいのかなと私は思っております。今の法律ではなかなか進まない薬の開発であったり、そういった問題があると思いますので、どうすれば進まないところが進められるのかという視点で考えていくことができればいいのではないかと思います。特に仮名加工情報については、内部でしか使えないということになると非常に限定的なユースケースしか今はないのではないかと思いますので、その辺り、次世代医療基盤法の改正と併せてどんなことができるのかを考えていくといいのではないかと思います。
○森田座長:ありがとうございました。よろしいでしょうか。
長島構成員、お願いいたします。
○長島構成員:まさに今の4ページのことで、これはある目的のために必要とされる医療情報は何かと。それが現行の例えば次世代医療基盤法とか、仮名化とか、そのうちのどれが提供できるのかとまとめていただくのが一番分かりやすいかと思います。例えば薬事審査を通るためとか、あるいは希少疾患とか、そういうところのためにはこういう内容のこういう性質の医療情報が必要であると。例えばそこで個人情報のうち、どれはどれが必要でどれが必要でないか、あるいは再識別が必要かという必要性、それぞれが例えば次世代医療基盤法ではこれはできるけれども、これはできないと。今回の仮名化ではこれはできるけれども、これはできないと。そうすると、これを目的にするためには、今、できないことが何かが明確になって、それを実現するためにどの方向で対応すればいいかが分かるので、そういう形でまとめていただくと非常に分かりやすいと思いますし、現行の法律で可能なこととどのような方向で改正が必要かという方向性が分かると思うので、そのようなまとめ方をぜひお願いしたいと思います。
以上です。
○森田座長:ありがとうございました。
今の御要望ですけれども、事務局、よろしいでしょうか。理解されましたか。
○厚生労働省事務局:もちろんこれは前回のヒアリングでもいろいろと御意見をいただきましたところでもございますけれども、分かりやすくどういう形で整理をしていくのかというのは非常に重要なところだと思いますので、しっかり検討していきたいと思っております。
以上でございます。
○森田座長:ありがとうございました。それでは、ほかにいかがでしょうか。
宍戸構成員、お願いいたします。
○宍戸構成員:宍戸です。遅れまして大変失礼いたしました。
3点だけ申し上げさせていただきたいと思います。遅れて入りましたが、基本的には、日置先生がおっしゃったこと、長島先生がおっしゃったこと、山口先生がおっしゃったことを含めて、私もいずれもごもっともなお話だろうと思います。
その上で、ソリューション志向で少し資料ないし論点を事務局においてはぜひ御整理をいただきたいと思います。特に、例えば創薬であったり、あるいは研究であったりで、こういう目的でこの医療情報の活用をしたいと思う。ただ、現行法ではそれが使えるのか。使おうと思うと現行法の、例えば個情法の定義との関係で駄目なのか、あるいは取扱いの規制との関係で駄目なのかというように整理すると同時に、もしできるようであれば、ほかの国の法律でそれができているのだとすると、それはどういうルールの当てはめでできているのか。それが見えてくると議論はしやすいのではないのかというのが1点目でございます。
2点目でございますけれども、倫理審査委員会のお話がございましたが、例えば倫理審査委員会を通じての医療情報の取扱いを、そこで信頼性を担保した上でやれるようにしていくことは非常に重要なことだと思うのです。そこで例えば倫理審査委員会の在り方をどうするか、あるいは何か法的な規律、枠組みの中でやっていくことが必要なのか、あるいは相当なのか、委員の数が30人だと議論にならないのではないかということも含めて、実際、大変難しい作業であるとは思うのですけれども、様々な機関において医療情報の倫理審査をどうされていて、例えばそのときに1年間にどれぐらいの件数があるのかとか、どれぐらいの処理期間がかかるのか。実際にAという機関では通ったのだけれども、Bという機関では通らなかったという話を、経験則的に私たちは伺うことはあるのですけれども、どちらかというとストーリーにとどまりまして、具体的な数字などでそれはどうなっているのかは私は不勉強で拝見したことがないものですから、その種の具体的なファクトを整理いただいて、倫理審査をかましてやることが実際にできるのか、そのときに法的規律が必要なのかどうかといったことについて御議論いただくのがいいのではないか。これが2点目でございます。
3点目は、この場の検討会のスコープとあるいはずれるのかもしれませんけれども、今日の午前中、この場にお集まりの先生方も大勢おいでになる形で次世代医療基盤法の検討ワーキンググループが開催されたところでございます。その際に電子カルテの問題、正確性とかいろいろな議論がございまして、それについては森田先生が取り仕切っておられる健康・医療・介護情報利活用検討会で十分御議論いただいてきた点でもあるし、そことの有機的な連動が必要ではないかということを私は主査の立場で申し上げたのですけれども、ここでの議論においても次世代基盤法の検討WGとの連携も重ねて、そちらの情報化担当参事官室でおやりになっている検討とも適切な連動を見える形で図っていただくと、3つの組織での検討が非常に有機的に、また役割分担ができていくのではないかと思います。その点をぜひ森田先生の御差配も含めてお願いしたいと思います。
私からは以上でございます。
○森田座長:ありがとうございました。
3番目の点につきましては、また事務局と相談させていただきたいと思いますけれども、今の宍戸構成員の御意見については、事務局、コメントはよろしいでしょうか。
○厚生労働省事務局:事務局でございます。
今、森田先生から御紹介のございました3番目の点、宍戸先生からございました電子カルテ等々の関係でございますけれども、ちょうど今、画面表示してございますが、こちらも先ほども触れさせていただきました参考資料2でございます。下半分に点線で枠囲いがございます「今後の進め方」というところで現在予定しております進め方は考えてございますけれども、下半分の点線の枠囲いかつ右側の点線の枠囲いで整理してございますが、電子カルテ情報の標準化に関する議論の状況、これは宍戸先生からも御紹介がございましたけれども、森田先生あるいは長島先生、中島先生にも御参加いただいております利活用検討会でありますとか、あるいは基盤のワーキンググループ、こういったものもございますので、その辺りの議論の状況などは改めてこの場でも御報告を申し上げたいと考えてございます。
それ以外の例えば資料のつくり方あるいはファクトについて、宍戸先生から御指摘がございましたけれども、どういう形で整理できるかを含めて、一旦事務局で検討させていただきたいと思っております。
以上でございます。
○森田座長:ありがとうございます。
ほかに御発言はございませんでしょうか。
私自身、気になりましたのは、宍戸先生も触れられましたけれども、倫理委員会と本日の資料には書かれているわけですが、それが日本の倫理委員会を連想させるとしますと、それでいいのかなという疑問でございます。私自身は海外に何回もこの調査に行きましたけれども、日本の場合ですと各大学とかいろいろなところに倫理委員会が置かれています。ある研究者の方によりますと全部で3,000ぐらいあるのではないかということですが、そうしますと年間でどれくらい倫理審査をしているのか、山口構成員からもお話がありましたけれども、かなりの数に上るのではないかと思うのですが、この資料で見る限り、外国の場合、人口規模を想定したとしても数が少ないし、倫理委員会の数も少ないわけですね。これも訳語の問題かなと思いますけれども、担っている機能がかなり違うのではないかと思います。日本のような形での個別的にかなりきめ細かい倫理審査ではなくて、もう少し包括的といいましょうか、一般的な形での審査をしていると考えられるのではないかと思いました。
この辺りは実は本日御欠席の松田先生がお詳しいかなと思うのですけれども、例えば中島先生、長島先生もそうですが、御存じだったらその辺の情報も提供していただけると大変ありがたいと思います。
長島先生、手を挙げていらっしゃるようですね。失礼いたしました。どうぞ御発言ください。
○長島構成員:次世代医療基盤法に基づく匿名加工情報の場合は、法律でもガイドラインでもあるいは認可のときにも極めて厳しい縛りがあるし、制度としてもすごくしっかりしていて審査委員会もあるという形で、仕組みがばっちりできている。そういう意味で、ある意味で質が担保されているのですが、一方、仮名加工にはそのようなものが今のところは全くないというので、仕組みはしっかりとつくっていただかないと安全性は担保できないと思います。
一方、どうしても午前中にこの次世代医療基盤法の話をして、そのときに仮名加工の話もするし、ここでするとどうしても次世代医療基盤法の話をするので、これは省庁が違うから難しいかもしれないのですが、一度合同で開くとか何かの機会がないと非常に効率が悪いと思うので、先ほど宍戸先生から御紹介のあったそれぞれの法律なり制度でここまではできるとか、ガイドラインではここの縛りがあるというのを両方でマトリックスとしてつくっていただいて、それに少なくとも一つの資料に基づいて両方がやるか、理想的にはどこか切りがいいところで合同で一度やっていただくというのをぜひお願いします。
以上です。
○森田座長:ただいまの御提案について、事務局、どうでしょうか。
○厚生労働省事務局:先ほどこれまでの議論の御紹介でも整理をしました。もともとこの検討会の場でも言われましたし、内閣府の検討会の場でも御意見がございましたけれども、相互の検討会における議論の状況は適宜報告しながらということは言われておりますが、具体的な運営の方法についてはそれぞれの座長あるいは関係省庁の中でもしっかり検討しながら、どういう形でやっていくことができるか、また中でしっかりと検討させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○森田座長:これはここでやると言ってできるものではないと思いますので、事務局のほうで御検討いただきたいと思います。
それでは、ほかに御発言はいかがでしょうか。
中島先生、お願いいたします。
○中島構成員:院内の会議で遅れまして、大変申し訳ありません。
話を聞いていないために、重複するようなことを申し上げるかもしれませんけれども、2017年までは、我々は個人情報、および、今でいう仮名加工化レベルの名前を変え対応表を持ったままの匿名化情報、そして今は匿名加工情報と言われるような完全匿名化情報、この3つの情報を病院では意識していて、もちろん研究に対しては倫理指針の下で、そういう仮名加工情報程度の匿名化情報と完全匿名化情報を用いていたわけです。
研究以外の活動でも、病院間で医療情報をベンチマークするような活動として、経営に関してあるいは医療安全や感染対策について話し合う場が結構地域でありまして、あるいは地域連携パスというクリニカルパスを用いた業務改善活動などもありまして、2017年以前は匿名化したら個人情報ではなくなっていたので、そういう情報を持ち寄ったベンチマークなどかなり活発にできたのですが、2017年以降はそれが個人情報扱いになったので、統計情報を持ち寄るしかなくなってしまったわけです。
特にクリニカルパス活動は、アメリカではラーニングヘルスシステムと言われる手法の一種なのですけれども、工学で言うPDCAサイクルですね。いつからいつまでという期限を決めずに継続的に改善を続けるための仕組みですが、そのような割と自由な討論をする場にデータを持ち寄れなくなってしまったというか、アメリカでも倫理的に課題ができてしまっているということを、これは東京大学の医科研の倫理の専門の井上悠輔先生がおっしゃっていました。
ですから、これは決して米国でできていて日本でできていないというわけではないのですけれども、2017年の個人情報保護法の改正前では匿名化情報を研究以外にいろいろな病院管理などに対しできていたことが、できていないことが増えたのです。今でいうところの仮名加工情報レベルの解析で、これを病院間で共有できれば2017年より前の元の状態に戻れるのですけれども、これはできないということとなり、つまり匿名加工ではなくて匿名化情報の中で病院間でやっていた研究ではない活動ができなくなったことが2017年の改正個人情報保護法の大きな影響かなと思っておりますので、ここを何とかしていただいたら米国にも負けない制度になっていくかなと思います。
以上です。
○森田座長:ありがとうございます。
先ほどのユースケースの話とも関わってくるかなと思いますけれども、研究サイドから見てできるだけいい研究をするためにはそうした形での可能性を開くべきであるという御意見だったと思います。
○中島構成員:すみません。研究ではなくて研究以外の面ですね。研究はもう倫理指針の下、倫理審査を受ければ、ある意味、匿名化レベルでもできるのですけれども、そうでないところがやりにくくなってしまったということになります。
○森田座長:分かりました。失礼いたしました。ほかに御意見はいかがでしょうか。
それならば、私から重ねてといいましょうか、また質問をさせていただければと思います。私もいろいろ見てまいりましたが、日本でデータ利用のときに同意を取るというのは、どの時点での同意と考えられていて、現実にそれが行われているのかということについて、実はあまりはっきりしていないような気がいたします。
ヨーロッパの事例は必ずしも全部を知っているわけではありませんけれども、私が何回か見ていろいろ調べた範囲でいいますと、北欧諸国であるとかイギリスなどもそうですけれども、最初にそれらの国におきましては、いわゆる電子カルテといいましょうか、患者さんの情報がそのまま国等のデータベースに格納されることになっているわけです。その時点である意味で同意のようなものが行われているという法律的な扱いになっていると思われるのですけれども、我が国の場合は、その辺りも含めてどの時点でどう同意を取るのか。しかも、個人情報保護法の同意ですと、先ほどの日置先生のお話がありましたけれども、再同意を時間がたってから取るというときに、本人が追跡できない可能性のほうが多いわけですから、その場合どうするのか。法律上はどうしてもできないときにはなくてもいいということがQ&Aでも出ていたと思いますけれども、そうしますと、制度の本来の趣旨がまさに無に帰してしまう気もいたしますので、その辺りについてどうなのか。この仕組みを必ずしも皆さん同じイメージで考えていらっしゃるのかなという気がしまして、これはまた事務局にお願いする話なのかもしれませんけれども、データがどう発生して、どう使われていくのか。
その中で、一つはまさに医療ですので、その情報を利活用することによって個々の患者さんに対するサービスとしての医療の質が高くなると同時に、創薬や医学研究が進んでいくという本来のこの情報が持つ価値を最大化するという効果があると思います。他方におきましては、それによって患者の個人情報が漏れる、プライバシーが侵害されるリスクも発生するとなりますと、両方を視野に入れながらバランスを取って考えていかないと、個人情報保護制度の話ばかりに集中してしまっていますと別の面の比較といいましょうか、別の面のメリットといいましょうか、その辺りが十分に考慮されないのではないかと思われるのです。今の中島先生のお話を伺っていてそう感じたのですけれども、その辺りについていかがでしょうか。私の問題提起の意味は御理解いただけましたでしょうか。
事務局、どうぞ。
○厚生労働省事務局:同意に関しては、先ほど少し御紹介申し上げましたけれども、別途二次利用の同意については資料整理をしておきたいと思っております。その上で、森田先生から御紹介がありましたように、同意、一次利用、二次利用それぞれ整理をした上で、この場でまた御紹介したいと思っております。例えば一次利用に関しても地域医療連携ネットワークの中で同意を取る場合には、私がA病院に行った場合に、そこは院内掲示、いわゆる黙示の同意のようなケースもあるでしょうし、それで実際にB病院に行ったら、B病院であなたの情報を取っていいですかというときに明示の同意を取るとか、いろいろなやり方がございます。あるいは、今だったらマイナンバーカードを持ってオンライン資格確認という仕組みがございますので、いろいろとその情報のやり取りをする場合には一個一個同意をするしないという画面もこういう形で御用意しているということもあります。その辺りは少し整理をした上で、二次利用に関しては実際問題としては包括同意であったり、あるいは一個一個同意を取るとか、いろいろとやり方はありますので、そこは実態がどうなっているのかも含めて整理をした上で、議論に資するような形で資料としては御用意をしていきたいなと考えてございます。
事務局からは以上でございます。
○森田座長:ありがとうございます。
長島先生、どうぞ。
○長島構成員:地域医療連携ネットワークの場合は、一つは例えば初診のときに包括的にこの地域全体で情報を共有することに同意を取る場合と、2つの医療機関の間で情報を共有するという実際の場面で改めて取る場合、それから、そもそも一次利用ということなので、このように使っていますということをきちんと提示した上でオプトアウトという形をしている場合といろいろあります。それから、次世代医療基盤法では、初診のときに書面でお渡しして丁寧に情報をお伝えした上でのオプトアウトということをしています。
以上です。
○森田座長:ありがとうございました。
中島先生、どうぞ。
○中島構成員:法律の先生方が多い前で間違えたことを言うかもしれないですけれども、基本的に日本で同意を取るタイミングが、医師法の24条に診療録はその医療機関の管理者、つまり、院長が管理者になって5年間保存することになっているために、今、調剤薬局を含めて24万か所ある医療機関の管理者がこれを管理しないといけないので、それを使う場合には基本的には同意を取っていかないといけないと。一次利用の場合はいろいろありますけれども、連携の場合はですね。それが結構大変なのかと思っています。ですから、先ほど森田先生が国によっては一元化しているところもあるとありました。確かにそのとおりですけれども、日本では1905年につくられた旧医師法からこの法律がずっとつながっているのです。これにずっと縛られているといいますか、当時は紙カルテさえしっかりしていなかったので、それをしっかりするためにつくった法律が改正なしにずっとここまで来ているということも一つの問題かと思っています。こういう法律を改正するというのは大変かもしれないのですけれども、医師法の改正なども本当はやらないといけないような時代になってきているのではないかと思います。
以上です。
○森田座長:ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。法律の専門家の方から御意見がございましたら、落合先生も入られましたので、今までの議論がフォローできないかもしれませんけれども、今の点だけでも御意見がございましたらお願いいたします。
○落合構成員:ありがとうございます。
途中からでしたので、的外れなところがあれば申し訳ございませんが、今回議論している中で特別法といいますか、別途の法令の中で具体的なユースケースを踏まえて医療分野については法整備をしていくことが重要ではないかと考えております。米国のHIPAAなどは特に著明ではございますけれども、欧州においても前回の会議でも議論させていただきましたが、医療分野については特有の法令の存在があるかと思います。
この点については、個人情報保護法自体については、それ自体に重要な体系がありますので、医療分野の個別の事情であまり解釈で曲げ過ぎていくというのも、整合性や全体としての分かりやすさの関係からしても必ずしも適当ではない部分があるかと考えております。そういう意味では医師法というお話もありましたが、合うような話であれば次世代医療基盤法のような法令で書いておくことも考えられます。医療分野の特別法の一つではありますのでそのように申し上げましたが、もっとも別にこの次世代医療基盤法にこだわるというよりは、そういった既存の法律を使ったほうが法改正として早いのであれば、そういう形でやっていただいたほうが迅速かつ適切に進められる部分があると考えております。
もう一点が、今回、海外の例をお示しいただいている中で、今後さらに深められる部分ではあると思いますが、倫理審査の在り方やガバナンスの在り方についての議論が入っております。同意に頼った構成であると情報の利用が進まないというのは、今日の会議でも御指摘があったのではないかと思いますし、従前の2回の会議でもあったところだと思っております。一方で、同意が単純になければよいというだけでは、情報の利活用に当たってのガバナンスとして適切ではありません。この意味で倫理審査のフレームワークも取り上げていただいていることも、そういうガバナンスの一部について考えられているのだろうと思います。また、体制の整備、情報を利用する場合のルートの在り方、情報開示、こういったものも含めて適切な義務と責任を同意以外の形で整理した上で議論が必要と考えられます。詳細の設計はまたさらに今後議論すべきことだとは思いますが、そういった観点で整備をしていくことが必要なのだろうと考えております。
最後に第3点として、倫理審査の点について、個人情報保護法において2000個問題ということが言われて、令和3年個人情報保護法改正において一定の整理がされているところです。一方で、倫理審査委員会についても3000個問題という言い方をされることもあるかと思いますが、ばらばらな運用の基準もそうでしょうし、審査のレベル感等々も、たくさんの機関があるとそれだけバラエティーが出てしまうことはどうしても避けられないことと思います。その部分については運用としてはできるだけある程度集約したような形で、運用や予見可能性が見えやすいような形で運用していくことは大事なと考えます。
ただ、この点の予見可能性等について議論するときに、基準を必ずしも別に軽くしていただくということを意味するものではありません。基準を一定のレベルに保った上で、一方で、判断の基準であったり、指摘するべきところは指摘するが機関毎に異なるものではないという運用をしていただくことが重要と考えます。一方で、そこの運用の面は現実的に使い勝手に致命的な影響を与える可能性がありますので、そういった視点でもまた議論させていただければと考えております。
本日の議論から外れているところがありましたら申し訳ございませんが、以上でございます。
○森田座長:ありがとうございます。
ついでにと言ってはなんですけれども、落合先生は海外のこの辺の事情もお詳しいと伺っておりますが、海外の場合の倫理審査委員会ですね。本日の資料では倫理審査委員会という名前になっておりますけれども、実際に国の規模と数から見て日本とはかなり事情が違うのではないかという気がするのですが、海外ではどういう形でどのように審査をされているのかということについて、御存じでしたらお聞かせいただけませんでしょうか。
○落合構成員:その部分につきましては、かなり各国によって違う部分もあるのかなと思いますので、また改めて整理してというほうがあまり不適切な形にはならないのかなとは思いますけれども、国によっては例えばフィンランドのデータの二次加工法のようにFindataのような機関をつくって運用する場合もあると承知しております。本日いただいている資料の中でも、米国はともかくとして英国、ドイツ、オランダ等もそれぞれ日本よりは当然ながら人口ベースでいくと半分以下ではございますが、日本が3000個問題と言われていることに比較しますと100個以下の倫理委員会になっているということでありますので、1桁ぐらいは異なるような形である程度集約された形で運用されている部分があるのではないかと思っております。この辺りは、全体として利活用に当たってあまり細かいハードルがいろいろなところにあると現実的に進まなくなるというのは日本に限らずというところではあろうかと思いますので、そういった点などは本日いただいた資料の中でも出ていることだと思いますし、ぜひ考慮していただけるといいのではないかと思っております。
○森田座長:ありがとうございます。
皆様のところには届いていると思いますけれども、宍戸先生が移動中で発言できないということですので、メッセージがチャットに書き込まれております。傍聴されている方もいらっしゃるかと思いますので、趣旨を報告させていただきますと、個人情報保護法の核心は利用目的の特定とその目的への拘束にあると理解しています、利用目的がずれるのであれば同意を取る、あるいは改めて同意を取るということになると思います、医療情報の利活用を進めるためには、公益性を加味して抽象的な利用目的でその後の利用の変化に対応できるものとするか、別途法律で新たな枠組みをつくっていくべきだと思います。また、日置先生がおっしゃるとおりですけれども、実効的な同意マネジメントやプライバシーリスクのガバナンスを組み合わせるのがよいかと思いますということでございます。
私自身、なるほどと思いましたのは、公益性を加味して抽象的な利用目的でその後の利用の変化に対応できるものとするという点です。これはある意味でいいますと非常に広範な包括的な同意といいましょうか、先ほどのドイツの例でいうと広範な同意という形になるのではないかと思いますけれども、現在の個人情報保護法でいいますと、できるだけその目的を特定して、それ以外の目的の場合には再同意という考え方であると思いますが、こうした医療、公益性を持っている事業に関しては非常に幅広い包括的な同意、広範な同意ですか、そういう考え方があるのかなと思います。
これにつきまして、日置先生に御発言いただこうと思ったら手が挙がっておりますので、お願いしたいと思います。余計なことを言いますとヨーロッパの国の場合、ドイツでは明示されておりますけれども、私の認識しているところでも、そういう形での同意は少なくとも医療や社会保障の分野については制度として考えられるという気もいたしております。お待たせました。どうぞお願いいたします。
○日置構成員:ありがとうございます。
宍戸先生のおっしゃるとおり、包括的な同意という形で公益性を加味して抽象的な利用目的で云々というところもあるかと思いますが、その公益性をデータを利用しようとする各主体がどのような基準で判断するのかですとか、曖昧なところもあろうかと思いますし、またそれで使い勝手が、ほかのところと共有しよう、共同して何かをしようとするときにはおのおのの判断が異なるですとか、様々なこともあろうかと思いますし、その判断が緩やかになれば、今度は本人に何らか影響があるのかもしれないというところの問題はあろうかと思います。包括的な同意という話をされるときには、併せてその後の別途の法律の枠組みの話ですとか、あるいは同意取得のもう少しマネジメント的なところですね。コンセントマネジメントみたいなところも検討するというのが、まずは方向性としてはよいのではないかと思います。
以上でございます。
○森田座長:ありがとうございます。
あまり立ち入った細かい議論はもうこのくらいにしておきますけれども、いわゆる実効的な同意マネジメントであるとか、あるいは先ほども御意見がございましたが、落合先生が発言されると思いますが、同意なくしてきちんとした形でプライバシーを保護するような形での制度の在り方も考えられるのかなという気がします。
失礼しました。落合先生、どうぞ。
○落合構成員:ありがとうございます。
同意を広く取るという方法も、実際、現行法に基づいて運用していくということであれば、そういった方法もあるのかなと思いますし、今、国が進めているデータベースの中でもそういう形で整理をしようとされているようなものもあるようには思っております。ただ、そのような場合についても、同意を広く取ることはその分予見可能性を欠くということはありますので、その分のガバナンスを、同意を全く取らない場合に比べてどうなのかということはあろうかと思いますけれども、そこの部分はいずれにしても議論が必要なのだろうと思います。
コンセントマネジメントによって、特に電子的手法を用いることによって解決できる場合もあろうかと思いますが、一方で、それだけではなかなか連絡が取れなくなってという場合などもあると思いますし、そうするとどうしてもデータ群の一部について落ちてきたりということに対してどう評価するか、そういう用途の場合もあろうかと思いますので、宍戸先生におっしゃっていただいた方法によって、実質的ガバナンスの強化も考慮することによって解決できる場合もあろうかとは思いますけれども、それだけではないのではないかと。これは宍戸先生も同じく御提示いただいていたところだとは思います。一方で、宍戸先生におっしゃっていただいたことは早めに進めるという観点があるのであるとすれば一つの方法なのだろうと思いますが、ただ、それだけで全ての解決ではないということもあると思いますので、今後の議論の進め方に当たって両論あってもいいのかなと。ただ、いずれにしてもガバナンスについてはしっかり整備しながらということだと思っております。
以上です。
○森田座長:ありがとうございます。
長島先生、どうぞ。
○長島構成員:御指摘の方向性でそもそもつくられたのが次世代医療基盤法であるかと思いますが、そこでまだかなり使い勝手が悪いところがあるというのであれば、先ほど落合先生も御指摘されましたけれども、この次世代医療基盤法を基盤にそれをもっと現実的に使いやすくしていくなどの方向性は、既にある法律なので現実的ではないかなと考えています。
以上です。
○森田座長:ありがとうございました。
あと30分ほど残っておりますけれども、非常に重要な論点について御議論をいただいていると思いますので、さらに御発言がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
また次回以降、この問題について御議論をいただく予定でございますし、その中には次回はたしか同意についてですか。それについて検討するということですので、それはそれとしてまた事務局で資料等を準備していただきますけれども、それも含めていかがでしょうか。
今日出た御意見、整理をするほどの能力は私にはございませんけれども、聞いているところでは、現行の法律の中で何ができるかということも考える必要があると思います。そこでできることはガイドラインなりなんなりの手当てをして、個人情報を保護しつつ利活用を進める可能性もあるかと思いますけれども、どうも印象といたしましてはなかなかそれだけでは難しいとしますと、法改正を含めてきちんとした形でデータの安全性を担保しつつ医療情報を利活用する。そのための法制度も考えていくべきではないかという御意見もかなり出ていたと思います。宍戸先生の場合には、その辺りの可能性を探ってみるべきだ、そのためにはガバナンスの仕組みを考えていかなくてはいけないという御意見だったと思います。
そうなりますと、大変といいましょうか、今、考えて現行法の中でどうするかというよりももう少し大きな議論になるかと思いますけれども、コロナ禍もありましたし、いろいろな観点で親の検討会でもそうですが、医療情報の在り方というものが非常に重視されているところだと思います。それこそワクチンの追跡もそうですし、新しい治療薬の開発もそうですけれども、そうした社会的な要請にどのようにして応えていくのがいいのか。そのためにはどういう形でこのデータをうまく使っていくのがいいのか。そのときに個人のプライバシーなり権利というものをどうやって保護していくのか。
私も必ずしも詳しくはございませんけれども、ヨーロッパのほうでもその辺りについて、例えばEuropean Health Data Spaceですか。そうした形でのデータの集積と利用の仕組みを作ろうという動きも見られるようですし、日本だけでこう使うという話ではなくなってきて、これから創薬とか医学研究もそうですけれども、海外とのデータの相互利用みたいなことも射程に入れて考えていくことになりますと、現行制度だけを前提にしてそういうことが本当に可能なのかどうなのか、その辺りについても事務局で検討していただきたいと思います。事務局に負担をどんどんおかけして申し訳ございませんけれども、そうした形での視点も必要ではないかと感じたところでございます。
というところで、沈黙が続いておりまして、司会者ばかりしゃべっているのもよくないので、どなたか御発言はございませんでしょうか。
中島先生、データ利用の観点とか、先ほど医師法のお話も触れられましたけれども、データの海外への提供とか、日本へ提供してもらうとか、そういう可能性も含めて、今までの議論を踏まえていかがでしょうか。
○中島構成員:中島ですけれども、先ほど以上のことはなかなかないのですが、もう一つは、今日は仮名加工情報の話だとは思うのですけれども、新しい同意の取得の方法として、今、スマートフォンが普及して、eコンセントをスマートフォンで取っていくダイナミックコンセントという手法があって、これは普通にAmazonとか、楽天とか、そんなものでとっくに購買情報に関しては実名でやっているわけです。今まで要配慮個人情報である健康・医療情報ではできなかったのが、まず倫理指針の改正でできるようになって、個人情報保護委員会が商用にもやっていいということになったので、もう既にできるわけなので、本来オプトアウトのような、これはオプトアウトでも仕方がないことはあるのですけれども、そういう同意の取り方よりもダイナミックコンセントで本当に直接同意を取っていく、あるいはダイナミックコンセント上でオプトアウトもできますので、通知をしてオプトアウトするということが、これももう一つの道としてしっかりと進めていくべきだろうと思うのです。
といいますのが、九州大学病院みたいな大学病院に関しては、急性期の患者さんがやってきて、大体数か月九大病院で治療して、地域連携でもう来られないことがあるわけですね。そうすると、その間で同意を取る機会は非常に少ないのですけれども、スマートフォンあるいは個人端末を登録することによってずっとつながることができて、後で例えばデータを利用するとき、あるいは亡くなっているか、元気か、まだ治療中かということを、また1年たった後、2年たった後も最初にスマートフォンでの連絡を許していただいていれば、こういうものをダイナミックコンセント同意と我々は呼んでいるのですが、そのダイナミックコンセントのアプリを使っている同意を得ていれば、ずっとつながっていくわけです。本来こういうことをどんどん進めていくべきではないかなと。これは実名、顕名のデータ利用に関しても、匿名あるいは仮名加工情報の利用に関してもそうではないかなと思っております。
もう一つ、国が何らかの大きな仕組みをつくったときに、例えば国が統一的な医療連携システムみたいなものをつくったときに、これはなかなか大きな話なのですが、国がオプトアウトすることをできないのかなと思っていて、というのが、フランスが今年の1月に、これは日医総研の原先生という方から聞いたのですけれども、私の健康日記、言ってみればPHRなのですが、このポータルを国がつくって、そこで全国民、フランスは大体日本の半分の国民がいるのですけれども、それぐらいの規模で全国民に対して設置するとしているのです。オプトアウトで設置したくない人は言ってくださいと言っていて、1月に始まったので、どれぐらいのオプトアウト率が発生するのかというのは非常に興味深く見ているのですけれども、先ほど言いましたように24万か所医療機関があって、そこで一つ一つ同意を取っていくというのがかなり大変な作業になったりするわけですので、こういう国の単位など大きな単位で同意が取れるようなことができると、もちろんきちんと説明した上で、納得した上でのオプトアウトをしないといけないというのは確かなのですけれども、そういうことがないと一気に進むということにはなかなかいかないのかなとは思っています。
以上です。
○森田座長:ありがとうございました。
ちなみに、フランスの場合どれぐらいオプトアウトかという比率というのは。
○中島構成員:まだその結果を聞いていないのですが。
○森田座長:分かりました。ありがとうございました。
それでは、ほかにいかがでしょうか。
もし差し支えなければ、今までの構成員の方の議論を聞いていた上で、個人情報保護委員会あるいは内閣府の方で何かコメントはございますでしょうか。
個人情報保護委員会、いかがですか。ございませんか。
○個人情報保護委員会事務局:個人情報保護委員会事務局でございます。
抽象的になってしまいますが、今日の議論でもありましたけれども、なかなか一般法である個人情報保護法の中で、利活用の有用性も非常に高い一方で、情報の機微性も非常に高い特殊な医療分野のルールまで一律のルールで規律していくのは大分難しくなっているなというのは、個人的にございます。そういった意味でも、この検討会と、もう一個並行して行われています次世代法のワーキングでの具体的な議論が深まるよう、我々もオブザーバーとして協力してまいりたいと思っております。
以上です。
○森田座長:ありがとうございました。
内閣府はいかがですか。
○内閣府健康・医療戦略推進事務局:内閣府健康医療戦略推進事務局でございます。
本日の議論の中でも今日の午前中にありました次世代医療基盤法のワーキンググループとの連携などについていろいろと御意見をいただきましたので、当検討会の事務局である厚生労働省ともよく調整をしながら、分かりやすい資料の作成も含め、連携して取り組んでいきたいと思ってございます。
以上です。
○森田座長:ありがとうございました。
それでは、まだ少し時間が残っておりますが、特に御発言がなければ、少し早めですが、この辺りで終了ということでもよろしいでしょうか。事務局、いかがでしょうか。
○厚生労働省事務局:それで大丈夫です。ありがとうございます。
○森田座長:幾つか事務局のほうの宿題、論点も出たと思いますので、それは次回にまた整理をして、アジェンダとして設定していただきたいと思います。
それでは、この辺で終了させていただきまして、最後になりますけれども、事務局に進行をお返しいたしますので、よろしくお願いいたします。
○厚生労働省事務局:本日も闊達な御議論を頂戴いたしまして、誠にありがとうございました。
次回の会議でございますけれども、次回は5月11日水曜日の17時からを予定しております。次回は有識者からのヒアリングでございますけれども、いろいろと今日も御指摘、資料のつくり方等々含めて、あるいは宿題も含めていただきましたので、それはそれできちんと整理をいたしまして、恐らく次々回、ヒアリングの後の会議でしっかり資料として御提示できるようにしたいと思っております。同意の在り方等々だと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
それでは、本日の会議でございますが、これで閉会といたします。
先生方、本日はお忙しいところを誠にありがとうございました。また引き続き次回もよろしくお願いいたします。
○森田座長:それでは、本当にこれで閉会といたします。
どうもありがとうございました。またよろしくお願いいたします。

(了)

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