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2022年6月3日 第88回社会保障審議会医療部会

医政局総務課

○日時

令和4年6月3日(金)14:00~16:00

 

○場所   AP新橋 3階 Aルーム


○議事

○医療政策企画官 定刻になりましたので、ただいまから、第88回「社会保障審議会医療部会」を開催させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
 本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催とし、傍聴は報道関係者のみとさせていただいております。
 会議中、御発言の際は手を挙げるボタンをクリックし、指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。
 また、議題に対して御賛同いただく際には「反応」をクリックした上で、賛成、親指アップボタンをクリック、またはカメラに向かってうなずいていただくことで、いわゆる「異議なし」の旨を確認させていただきます。
 まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
 本日は、永井委員から御欠席との御連絡をいただいております。医療部会の総委員数が24名で、定足数は3分の1の8名となっており、本日は23名の委員の皆様が御出席となりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。なお、加納先生から、遅れて出席されるという御報告も受けているところでございます。また、内堀委員より、公務のために途中で退席されるとの御連絡をいただいております。
 次に、議事に入ります前に、資料等の確認をさせていただきます。
 事前に、議事次第、委員名簿、座席表のほか、資料1から3及び参考資料を送付させていただいておりますので、お手元に御準備ください。
 では、本日、永井部会長が御欠席のため、以降の進行は楠岡部会長代理にお願いいたしたいと思います。よろしくお願いします。
○楠岡部会長代理 楠岡でございます。本日、よろしくお願いいたします。
 それでは、議題に移りたいと思います。
 医師の働き方改革の施行に向けた準備状況調査の結果について、事務局から説明をお願いいたします。
○医事課長 医事課長でございます。
 それでは、資料1に基づきまして「医師の働き方改革の施行に向けた準備状況調査」の調査の結果について説明をさせていただきます。
 1ページ、医師の働き方改革につきましては、2024年の4月からの施行に向けまして、その規制の適用により見込まれる地域医療提供体制の影響をしっかりと把握をしつつ、取組を進めることが重要だと思っております。したがいまして、記載の調査を実施させていただいているところでございます。
 調査対象といたしましては、左側にございますとおり、都道府県、病院を対象に、右側の各項目について調査をさせていただいております。昨年度末から今年度の当初にかけて書面による調査をさせていただいているところでございます。
 調査の結果の概要について、2ページ以降で御説明をさせていただきます。順番が前後しますが、3ページ目、まず、都道府県の調査結果についてでございます。
 医師の働き方改革による医療提供体制への影響の把握に関する取組を行っていると回答した都道府県につきましては、6都道府県、13%で、今後行う予定の都道府県を含めて、28都道府県、60%という状況でございました。また、40都道府県におきまして、小児・周産期・救急医療提供体制への医師の働き方改革の影響が把握できていないという状況でございました。
 次に4ページ、病院の調査につきましては、特に労働時間の把握というのが非常に重要だと思っております。今回、回答のありました3,613病院のうち、副業・兼業先も含めた時間外・休日労働時間をおおむね把握していると回答した病院は、回答があった医療機関、1,399、約39%、また、大学病院の本院については、82病院のうち20病院という状況でございました。
 したがいまして、ページが前後しますが、2ページおめくりいただいて、結論のところに記載をさせていただいておりますけれども、現時点で時間外・休日労働時間は把握できている医療機関が4割程度という状況で、総合的にこの準備状況を評価するというのは難しい状況でございました。また、派遣に関する回答につきましては、派遣の解釈にばらつきがあることなどの課題もございました。
 したがいまして、今後、各病院における準備が進んでいくのに合わせて、改めて調査を実施し、病院の準備状況等を把握する必要があると考えております。また、その際に、様々な調査設計についても考えたいと思っております。
 そうした中で、大学病院は非常に重要だと思っておりますので、大学病院については、時間外労働時間の調査を改めて実施しているところでございます。また、進捗につきましては追って御報告とさせていただければと考えております。
 事務局からの説明は以上でございます。
○楠岡部会長代理 ありがとうございました。
 それでは、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。
 内堀委員が途中退席とおっしゃっておられますので、まず内堀委員からお願いします。内堀委員の後、全国町村会の遠藤委員、お願いいたします。それから、佐保委員、その順番でお願いいたします。内堀委員、どうぞ。
○内堀委員 楠岡部会長代理、ありがとうございます。
 公務都合で途中退席をさせていただくものですから、議題の1、2、3について、簡潔にまとめてお話をいたします。
 まず、議題の1です。
 今回の調査で回答があった病院のうち、時間外や休日労働時間を把握できている病院は4割程度のことであり、医師の働き方改革への準備がいまだ進んでいない状況がうかがえます。医師の確保が難しい地域においては、医師確保が図られないまま医師の時間外労働の上限規制が適用された場合、地域の医療提供体制に多大な影響を与えることが想定されます。ついては、引き続き医療の現場にしっかり情報を周知するとともに、都道府県や医師会への迅速な情報提供や必要な支援を行っていただいて、地域医療に影響を及ぼすことがないよう、現場の声を踏まえながら、丁寧に改革を進めていただくようお願いします。
 次は、議題の2です。
 全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大については、患者がより適切で迅速な医療を受けるために有効なものと考えています。この仕組みの意義や、どういった情報が共有されるのかなどについて、医療機関側、患者側、双方に対する十分な周知が必要であります。
 最後は、議題の3です。
 電子カルテなどの医療情報を、効率的、効果的に共有するための医療情報ネットワークの基盤整備は、より質が高い医療提供に資するものと考えています。より多くの医療機関にネットワークを普及させるためには、システムの導入経費、改修経費、更新経費などの負担が経営を圧迫することがないよう、財政的な支援が必要と考えています。
 あわせて、今回提案された基盤の整備に際しては、電子カルテの普及が前提となります。このため、電子カルテに係る経費の低コスト化に向けた取組もあわせて推進することが必要です。
 また、既存の地域医療情報ネットワークとの連携や役割分担の整理についても、今後の検討をお願いするとともに、標準化対応などの際には、地方負担が生じないようお願いしたいと思います。
 私からは以上であります。どうぞよろしくお願いいたします。
○楠岡部会長代理 ありがとうございました。
 それでは、遠藤委員、お願いいたします。
○遠藤(直)委員 どうもありがとうございます。
 医師の働き方改革については、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進する観点から、各医療関係職種の専門性の活用、地域の実情に応じた医療提供体制の確保を進めるため、長時間労働の医師の労働時間短縮及び健康確保のための措置等が重要な課題である、という改革の趣旨は十分理解いたします。
 一方で、皆様御承知のとおり、地方の町村部においては、医師不足が大変深刻であり、医師の働き方改革に伴い、資料1の10ページにありますように、大学病院等からの医師派遣が難しくなってしまうようなことがあれば、中山間地域や離島等、医療体制が脆弱な町村では、地域医療の維持が困難になるのではないかと大変危惧しております。
 地域住民が、安全・安心で質の高い医療を受けるためには、医師の長時間労働の是正が重要であることは言うまでもありませんが、この改革を通じて、地域の医療に大きな混乱が生じないよう、現場の実態に十分配慮し、慎重に進めていただくようお願いを申し上げて、発言といたします。どうもありがとうございます。
○楠岡部会長代理 ありがとうございました。
 次は、佐保委員、山崎委員、都竹委員の順番でお願いいたします。佐保委員、どうぞ。
○佐保委員 ありがとうございます。
 私から、調査結果について4点、意見を申し述べたいと思います。
 1点目ですが、スライド2の調査結果全体に対して、病院の調査結果を見ますと、全8,193病院の44%となっています。大学病院の本院は100%とのことですが、施行に向けた準備状況の把握としては、残念ながら回答率が低いのではないかと考えております。回答率を高めるといったことが必要ではないかと思いますので、よろしくお願いします。
 2点目、スライド2、スライド4に係ることですが、副業・兼業先も含めた時間外・休日労働時間の把握状況については、一定把握できているといったところもありますが、医師の健康確保や良質な医療提供体制の確保の観点から、より一層把握を促進していく必要があるのではないかと考えます。
 3点目は、スライド8の部分ですが、宿日直許可の申請・許可状況を見ると、調査時点で申請していない病院が6割とあります。勤務実態を十分に踏まえた宿日直許可の取得が適切になされるよう、しっかりと促していただきたいと考えます。
 最後に、4点目、スライド9、医師派遣についてです。
 医師派遣に対する問いでは、回答する病院によっては「派遣」の解釈にばらつきがあるなどの課題が指摘されています。今後の調査に当たっては、派遣元の病院に対する調査にとどまらず、派遣が中止、削減された場合における派遣先の医療提供体制や、派遣先地域における患者の受療機会など、地域医療への影響についても、より詳しく調査を実施してはいかがかと思います。
 今後、医師の働き方改革を着実に進めるためにも、改めて丁寧に調査を進めていただき、状況把握に努めていただきたいと考えております。
 私からは以上です。
○楠岡部会長代理 ありがとうございました。
 それでは、山崎委員、都竹委員、その後、釜萢委員でしょうか、今村委員でしょうか、その後に井上委員の順番でお願いします。山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 2つ意見があります。
 1つは、最近の各種の検討会で、調査結果というのを厚生労働省が資料として出すわけですが、この調査をする会社というのは、厚生労働省本体がやっているのか、あるいは外部機関に委託し調査をしているのかということです。
 というのは、ほかの委員会で、大分現場の実態と離れているような調査結果が出て、それが検討会資料に調査結果として出たという事例がありました。病院団体で調査してみると、厚生労働省が発表した結果と全く正反対の結果が出てきているということがあって、したがって、厚生労働省として調査結果を発表するのでしたら、どこの会社に委託して、どういう方法で調査をしたという、調査の仕方をきちんと公開するべきだと思います。それが1点です。
 それと、もう一点は、私はこの医療部会でずっと前から言っているのですが、長時間労働というのは、好きで長時間労働しているわけではなくて、医師が不足して、医療従事者が不足して、患者さんが来るからしようがなく診察するという、実態が、長時間労働につながっているので、根本は医師不足だと思っています。これは病院の労働時間の改善ということだけでは、解決できない問題です。問題は、医療提供体制自体の中で、病院勤務医と開業医とのアンバランスをどのようにするかということを含めて検討しないと、現場の病院の勤務医の働き方だけに絞っても、医療現場というのは、さらに混乱するだけだと思います。
 検討をするのは構わないのですが、一方で、大局的な、総論的なところから、きちんと検討を同時にしていかないと、重箱の隅をつつくような議論ばかりしているような気がしてしようがないのです。この辺はいかがでしょうか。
 最初の質問については、事務局のほうから答えていただきたいと思います。
○楠岡部会長代理 それでは、1番目の質問のお答えをお願いします。
○医事課長 事務局でございます。
 本調査につきましては、厚生労働省が直接実施をさせていただいております。今後の調査を実施する場合、調査方法については、御指摘を踏まえて、公表する際に工夫をさせていただければと考えております。
 以上でございます。
○山崎委員 結構です。
○楠岡部会長代理 それでは、都竹委員、お願いします。その後、釜谷委員、今村委員、そして、井上委員の順でお願いいたします。都竹委員、どうぞ。
○都竹委員 ありがとうございます。全国市長会を代表して出ております、岐阜県飛騨市長でございます。
 先ほど全国町村会の遠藤町長さんがおっしゃったのと、また同じ趣旨の意見を申し上げさせていただくわけでありますけれども、今回、回答率といいますか、準備の状況としてはまだまだ進んでいないということなのですが、この常勤医師派遣の中止・削減、また、非常勤の医師の派遣の中止・削減、一定の検討している病院があるという結果が既にここで出ていることに大変懸念をいたしております。
 御案内のとおり、新臨床研修制度の導入から、大学病院の医師の引き上げがあって、全国の地域の医療機関、自治体病院もそうなのですが、大変苦境に陥って、何とかそこを乗り切ろうという形で、地域枠等いろいろな施策を講じながらここまでやってきておるわけでありますけれども、今回、この働き方改革の中で、数を合わせるような形での医師の引き上げということがあれば、ここまでの努力が水泡に帰してしまう。また、元に戻ってしまうということになりかねないということになります。それは、ひいては、地域における医療崩壊というものを招くことにつながるわけでありまして、大変ここについては重大なことだと認識をしております。
 医師の働き方改革自体は、当然推進すべきことでありますし、大いにこれは進めなくてはいけないという考えは全く同じなのでありますけれども、それが地方の医療崩壊を招いては全く本末転倒であると思っておりますので、絶対にそうしたことにならないように、厚生労働省におかれては慎重に、そして、また、細かくその実情を把握しながら、この問題に取り組んでいっていただきたいということを強く申し上げたいと思います。
 以上でございます。
○楠岡部会長代理 ありがとうございました。
 それでは、釜萢委員、今村委員、お願いいたします。その後、井上委員、木戸委員でお願いいたします。
○釜萢委員 釜萢です。
 既にこれまでにも皆様から御発言がありますように、今回の調査を見ますと、2024年の4月からの医師の時間外労働時間の上限規制の適用開始に向けて、地域医療提供体制への影響の評価を含め、準備はまだとても整っていないということが明らかであると思います。残された期間の中でどのような準備ができるのかということについては、この調査結果も踏まえて、しっかりそれぞれが考えなければいけないと考えております。
 特に指摘を申し上げたいのは、今日の資料の8ページでありますけれども、この宿日直許可が下りておるかどうかということは極めて重要な問題でありまして、例えば、大学病院に限っても、大学病院の本院で、一部その許可が申請され、あるいは許可されるという報告もあるわけですけれども、大学病院は非常にいろいろな診療科があるわけで、そのうちのどこが申請をしているか、あるいは許可されているかというようなところの細かい把握が極めて重要でありまして、大学のうちで1つの診療科だけでも、この申請が行われておると、その大学は申請しているとカウントされているようにこれは見えますが、そうだとすると決して実態を把握しているわけではないわけで、その辺りのところが極めて大事な点だろうと思います。
 この宿日直許可の申請あるいは許可状況ということについては、非常に大きな問題であると思いますので、そのことを十分注意しなければいけないということをまず指摘しておきたいと思います。
 私からは以上です。
○楠岡部会長代理 ありがとうございました。
 今村委員、どうぞ。
○今村委員 今村でございます。ありがとうございます。
 何点か御質問と要望がございます。
 今回のアンケート結果というのは、およそ予想されていた結果なのかなと思っておりますけれども、今後は、やはり働き方改革に関する都道府県あるいは病院の進捗状況ということを逐次調べていくためには、複数回調査をしていかなければいけないと思っていますけれども、厚生労働省として、その辺のスケジュール観というか、どのようにお考えになっているのかというのをまず質問させていただきたいと思います。
 それから、ただいま大学病院の重要性については、釜萢先生からも御意見がございましたけれども、当初、この働き方の議論が起こった際に、10万人の勤務医調査を行ったときに、最も長時間労働をしている先生方が多いところは大学病院だというデータがはっきり出ております。また、大学病院は勤務医の先生方が、地域医療のためにそれぞれ活躍されているという実態があるので、今回のこの大学病院の調査の回答率が低いということは大変大きな問題だと思っておりまして、この辺は文部科学省も当然御協力いただかなければいけないので、厚労省と文科省としっかりと連携をして調査を進めていただきたいと思います。
 それから、都道府県は、地域の医療確保ということについて非常に大きな役割を担っておられて、今、第8次の医療計画の議論も進んでおりますけれども、医師確保計画等も県が行わないといけませんし、また、県は、B連携病院、C1、C2の指定を行う機関でありますし、時短計画についても都道府県がしっかりと支援をしていくという立場に立っておられるので、今回のように、都道府県の現行におけるこのいろいろな取組が、行われていないというようなことについては極めて危惧を持っておりまして、厚生労働省も、しっかりと都道府県の担当の方と御議論をしていただければと思っています。
 最後に、この働き方改革について、勤務環境改善支援センターというもの、そして、医師派遣をする地域医療支援センターという、この2つのセンター機能を都道府県が運営していくということが医療法の中に記載されているわけですし、また、その両センターの密接な連携の下にということも医療法の中に規定されているわけですけれども、そういった実際の都道府県の勤改センターに対する取組、あるいは地域医療支援センターに対する取組というのは、あまり表に出てきて議論されたことがないように思いますので、次回以降の調査においては、そういった点についても分かるようにしていただければと思っています。
 以上です。
○楠岡部会長代理 ありがとうございます。
 最初の質問のスケジュール観をお願いいたします。
○医事課長 調査についての今後の予定について、お答えさせていただければと思っております。医事課長でございます。
 今後の調査につきましては、大学病院における時間外労働時間の把握が重要だということが改めて認識できましたので、そこの部分の調査については、早急に実施をさせていただいているところでございます。
 それ以降の調査につきましては、ただいま、宿日直許可の取得などの促進の取組を一定程度やらせていただいておりますので、そうした取組の進捗を見ながら、しかるべき時期に、こうした包括的な調査を改めて実施したいと考えております。
 以上でございます。
○楠岡部会長代理 よろしいでしょうか。
 それでは、井上委員、お願いいたします。その後、木戸委員、野村委員、そして河本委員でお願いいたします。
○井上委員 ありがとうございます。
 既に御指摘がございましたけれども、今回の調査結果だけを見ますと、都道府県とか病院側が、医師の働き方の現状、あるいは働き方改革の影響を十分に把握できていないというように見受けられます。2024年4月からの施行ということで、もう間近になるわけですけれども、今回のこの調査結果で、総合的な評価は困難となってしまったことに関しては、ちょっと驚きをもって見ております。
 恐らく、この調査を始める前には、厚労省としても、何らかの結果を期待して調査を行っておられたのだと思うのですけれども、結果として評価は困難というような調査結果になってしまったので、今後の改善の方向性とか、何でこういう調査結果になってしまったのかという理由などを少し御説明いただければ、次の調査にも結びつくと思います。
 例えば、そもそも時間外労働を把握できていないということは、調査以前の問題になってしまうので、調査をしたから改善されるところではないわけですから。都道府県において取組が把握できていないことも同じでございます。
 ですから、先ほど今後の予定の話がありましたけれども、調査以外にもやるべきことがあるのではないかなという感じがいたしますけれども、その辺りにつきまして、追加的にもしあれば、御説明をいただきたいと思います。
○楠岡部会長代理 事務局、いかがですか。
○医事課長 理由につきましては、今日、医療部会で様々の立場の方に御参加いただけておりますので、補足いただければと思っております。
 正直、我々の方で網羅的に何かこうした回答率になった原因というのは分析できているわけではございません。やはり、制度の周知等々、我々がもう少し取り組まないといけない部分もあると思っておりますし、あと、新型コロナウイルスの蔓延により、医療機関、都道府県にも負担がかかっていることということも承知はしておりますので、そうした状況にありこうした結果になっております。しかしながら、施行まで2年を切っておりますので、関係者、御協力いただきながら我々も取組を進めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○楠岡部会長代理 それでは、木戸委員、お願いいたします。
 あと、野村委員、河本委員、神野委員、加納委員の順でお願いいたします。
○木戸委員 私のほうからは、2点ほど事務局に質問させていただきたいと思います。
 まず、1点目ですが、調査事項の中に特例水準の指定取得の意向の有無について聞いているということなのですけれども、実際どのくらいの医療機関がB、連携B、C1、C2、それぞれの申請を考えているのか。今回の調査では、そういったことも、そもそも詳しく聞いているのか。結果が出ていれば、この資料にはないので、それを教えていただきたいと思います。
 現在、960時間を超えていても、何とか2024年まで減らせる見込みなので、うちは申請しないと考えているところもあるでしょうし、逆に960時間に収まっていっても、今後超えそうなので申請しようというところもあるかもしれませんので、やはり精緻な調査が必要かと思います。
 医療機関への指定の意向についての結果はいかがだったかというのが、1点目の質問です。
 2点目ですが、この宿日直許可を得るということであれば、基本的には、うちではもう救急には対応しませんよというスタンスでしょうから、そういう医療機関が増えてしまうと、夜間・休日の救急対応が十分できなくなってしまうのはとても心配です。宿日直とするということであれば、当然救急指定は返上するということでしょうから、そうした病院が続出することは非常に危ないと思います。
 ほかの委員の皆様もおっしゃっているように、地域医療の確保が非常に重要で、医療部会はそういったことも審議をされていると思うのですけれども、3ページ目の周産期・小児、救急医療体制への影響の表を見ると、何と医療提供が不可能になってしまうところがあるというのは、これは見過ごせない重大な問題だと思います。把握していない都道府県も入れれば、かなりこういった例があるのではないかということも懸念されます。
 労働基準監督署では、個々の医療機関の許可情報は持っていますけれども、地域全体の許可状況がどうなっているのか、それを全体として把握して、救急を受けてくれるところが残されるかどうかを、行政としてどういう仕組みで今後行うのか、あるいは実際行っているのかということについても事務局に教えていただきたいと思います。
 質問は2点でございます。
 以上です。
○楠岡部会長代理 事務局、お願いいたします。
○医師等医療従事者の働き方改革推進室長 事務局でございます。
 まず、1点目の特例水準の取得状況の移行についてでございます。
 これは、特に代表的な調査結果というところで、今回少し絞らせていただきましたけれども、御回答いただいた医療機関のうち、960時間超えの医師がいると見込まれる医療機関、そうした医療機関の中の方においては、約67%の医療機関の方が特例水準を受けるというような回答を得ております。そして、これは文部科学省の医学教育課においては、大学病院に対しまして、特例水準の移行についての確認を、ほぼ同時期、3月にしているというところで、我々のほうとも情報連携させていただいております。
 そうした結果で、全公立、私立、大学病院本院の81病院のうち、特例水準の指定の意向があると回答された病院が71病院、未定と回答された病院が10病院、指定の意向はないと答えた大学院は0病院という結果になっております。
 1点目については以上でございます。
○医事課長 2点目について、宿日直許可の取得に伴う地域医療への影響についての御質問かと思っております。
 恐らく、医師の働き方改革の施行に伴う影響としては、派遣の引き上げ以外にも、先生の今御指摘のあったような影響が生じ得る、可能性はあるということだと思っておりまして、したがいまして、これは各都道府県なり各地域において、個別の医療機関がどうかというよりも、各圏域としてどういう議論が必要かということにもなってこようと思いますので、次回以降、都道府県に対する調査も回数を重ねていきたいと思いますので、どういった調査ができるかを含めて検討させていただければと思っております。
 以上でございます。
○楠岡部会長代理 それでは、野村委員、お願いいたします。あと、河本委員、神野委員、加納委員、相澤委員の順でお願いいたします。
○野村委員 野村です。よろしくお願いします。
 以前より、医師の働き方改革に関しては、様々な議論を続けている中で、本当に非常に大切なことだということは認識しております。だんだん実際に運用される時期に近づいていく中で、2ページにもありましたように、都道府県の調査の結果でも、85%が小児や周産期や救急医療で把握できていないという報告になっております。私たちの会のエリアでも、やはり大学病院の先生方の御協力を受けて夜間はやっていただいている部分もありまして、やはり、現在でも、今後それがどうなるかというのはやはりまだ分かっていない状況にあります。
 今後、この働き方改革の中で、縮小されていく部分をもちろんあるかもしれないという中で、医療の質も下げずに、十分保ったままとなると、やはり私たち国民側の、医療を受ける側の準備も同じように進めていかないと、それに代わるものであったり、私たち自身もちゃんとできるようにしなくてはいけないこととか、今まで診ていただいていた部分が、急に、今日から診られませんよとなったりすると、やはり不満が募って、それが医療者の方に向かれてしまうと、結局、せっかくの改革も台無しになってしまう部分もあります。
 最悪な場合は、事故が増えたりすることで、この影響が悪いほうに転がってしまうのはよくないので、私たち国民への周知も同じように流れていけるといいのかなと思います。実際に、この働き方改革をすると、私たち国民にどういう影響が来るのかなということの現実感がまだまだ少し薄いのかなというのは感じております。
 私たち国民が、医療を受ける側も、この改革に置いていかれないように、どういうことを学んでいったらいいのかとか、一緒に準備を進めていけるようにするといいのかなと思うので、ぜひ同じように流れていけたらと思うので、発言させていただきました。
 以上です。
○楠岡部会長代理 ありがとうございました。
 それでは、河本委員、その後、神野委員、加納委員、相澤委員、島崎委員でお願いいたします。
○河本委員 ありがとうございます。健保連の河本でございます。
 医師の働き方改革については、救急医療などに従事する勤務医の負担軽減のみならず、医療の安心・安全を確保するための重要な課題と認識しているわけですけれども、こうした認識の下で、令和2年度、4年度の診療報酬改定では、医師の働き方改革への対応というのは重点課題に位置づけられたという経緯がございます。そういった診療報酬改定の議論の中でも、私どもは真に緊急性が高くて、救急医療など厳しい労働環境にある勤務医の負担軽減、医療安全の向上につなげていただきたいということを求めていたわけですけれども、最終的には、改定率とか基本方針を踏まえて、直近2回の改定で相応の財源が充てられることになったと承知をしております。
 診療報酬での対応というのは、すなわち患者、国民の負担による改革の後押しということでもあるわけでございまして、そのコストは、診療報酬を通じて、国民、患者が負担をしている、そういう中で、勤務医の負担軽減あるいは医療安全の向上に向けた取組というのが進んでないということでは、負担する側の理解とか納得は得られないと考えます。
 厚生労働省におかれては、診療報酬のみならず、これまでの様々な取組の効果を検証すると。そういった意味も含めて、取組状況をまず適切に把握するということです。それだけではなくて、準備の加速化に向けて、改革に取り組む医療機関、これをしっかりとサポートをしていただくように強くお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○楠岡部会長代理 ありがとうございました。
 それでは、神野委員、その後、加納委員、相澤委員、小熊委員でお願いいたします。
○神野委員 神野でございます。
 私のところは、石川県で総合病院をやっておりますけれども、ちょうど昨日の夜、石川県の勤改センターの方が、オンラインで私たちの勤務医に対して詳しく説明していただきました。感謝いたします。
 さて、今回、結果というのを見せていただきますと、やはり副業・兼業を含めた時間外を把握しているのが40%ということがとても問題になってきますし、それから、派遣の解釈にばらつきがあるという課題が示されたわけであります。
 派遣というのは、結局、地域の病院が、大学なら大学病院にお願いをして、そして、それに対して医師を派遣するという形かなと思いますけれども、ただ、今後のいろいろな実態を把握するというときには、今申し上げました、お願いして派遣するという解釈のほかに、最近は、空いた時間をどう使うんだと、これは雇用契約上大丈夫かという話があるかもしれませんけれども、間に、人材派遣会社、医師を派遣するようなリクルート会社が入って、空いた時間をどこかの病院に紹介するような形もあるようです。そうすると、これは大学病院等ではなかなか把握できないということも起こってくるかもしれません。
 実態を把握するためには、もうちょっと広い範囲で、派遣先に対してもいろいろ聞くというような形、これは先ほど、事務局から、今後も調査するというお話がありましたので、派遣先とかもうちょっと広い範囲で調査というのが必要かなと思いました。
 以上でございます。
○楠岡部会長代理 ありがとうございます。
 それでは、加納委員、その後、相澤委員、島崎委員、小熊委員、松原委員でお願いいたします。加納委員、どうぞ。
○加納委員 よろしくお願いします。
 まず、私からは、先ほども木戸委員がおっしゃった、二次救急なら取れないという話、これはまず間違っているという認識をぜひとも持っていただきたいと思っております。
 救急といえば、よくテレビで見られる三次救急の救命センターのイメージがあって、全てそういうような状況では寝られないという話はもちろんあるのですけれども、二次救急の現場では、我々が睡眠時間等をビーコンで確認しましたところ、結構取っていることも実態でありますし、我々ももちろん、病院に来ていただいている先生方の勤務に対する負担の軽減というものをしっかりと考えながら、安全性も踏まえて対応しております。
 大阪では、もう既に年間7,000件救急を受け入れている病院も、実際に、今回の宿日直基準を取られた病院もあります。それはそれで、当直人員数の問題とか、そういう数の問題とかいろいろな工夫をしながらしっかりと取っていかないといけないということを認識していただきたいと思うのです。
 地方は地方で、いろいろな意味で、今回の働き方の影響はあるのですけれども、もう一つは、今後日本で一番大事な、高齢者が増える中で、高齢者の救急に関しましては、都会も同じような問題が起こるわけで、大阪の宿日直基準が二次救急病院で取れなかったら、全て止まるというデータも出ているのです。これはなぜかといいますと、大阪の救急病院の夜間の当直に関しましては、働き方の検討会でも以前出させていただいた資料ですが、4割が大学からの派遣なのです。そういう意味で、ちゃんと働き方の根本である勤務医の負担軽減を考えながら対応することによって、全ての全国の二次救急が可能な限りの努力をして、宿日直基準を取るべきだと私は思っております。
 私の病院でも、今、厚労省から御助言をいただきながら、何とか宿日直基準を取っていこうということであり、年間5,000台の救急をこなしております。それは、いろいろな形での対応をしながら、勤務医の負担を軽減しながらやっていこうと考えでおるわけであります。
 一方で、大学における意識が少ないというのが今回のデータで出たということでありますが、もし、まだまだ大学の認識が少ないのであれば、今後、地方でしっかりとそういった形で当直勤務を提供している大学に関しましては、しっかりと連携Bを取るべきだということも、指導していただきたいかなと思っております。
 本来、私は連携Bという名前が適切ではなくて、本来は連携Aにすべきだということを前から申し上げておったのですが、我々にとりましては、大事な二次救急を守る生命線でありますので、ここはお互いしっかりと、いろいろな問題をこなしながら、今回の形をしっかりつくって高齢者医療を守っていく、それがやはり一番大事ではないかなと思っております。
 その点で先ほどから申します、宿日直基準に関しましては、いろいろな問題に関してのアドバイスを厚労省からいただきながら、しっかりと全国の二次救急は取るべきであると思っておりますし、これに関しましては、4月1日からですが、先ほど木戸委員がおっしゃったように、私どもの病院でも、労基の担当者から、二次救急病院は取れないでしょうなどと冒頭から言われたことはあります。
 そういったことを含めて、しっかりと、そうではないですよというエビデンスを出しながら説明していける場所をつくってほしいということでお願いしましたら、4月1日から、一応駆け込み寺的な形で、厚労省の中で、私もびっくりしたのですけれども、本来、厚生労働省は縦割りで厳しいかなと思っていましたら、相談窓口をつくっていただけたわけです。そこを利用して、我々はしっかりと、二次救急に関しましては、今後、地域において、地域医療を守るために宿日直基準を取っていく、片や大学では連携Bを進めていただく、この2つをぜひともお願いしたいと思っております。よろしくお願いします。
○楠岡部会長代理 ありがとうございます。
 それでは、相澤委員、お願いいたします。その後、島崎委員、小熊委員、松原委員、お願いします。
○相澤委員 どうもありがとうございます。
 日本の医師は、もう御存じのように、OECD諸国に比べて、人口当たりの医師数は圧倒的に少ないわけです。そして、かつ、病床当たりの医師数になるともっともっと極端に少なくなるという状況なのです。この中で、医師の働く時間をどんどん短くすれば、病院はもう大変になる。その地域でどう医療を提供してくのかというと、逼迫することは目に見えているわけです。これをどうしていくのかということになりますと、何とかみんなで工夫しながら乗り切っていくしかないというのが、多分、現状なのだろうと思います。
 そういう中で、今、私が疑問として思っているのは、そういう中でやらなければいけないのだから、当然、1つの病院が頑張って、あるいは病院、個々が頑張って何かをしていこうというのは、もう大変な話になると。そうすると、地域にある病院群が、いかに協力しながら、あるいは役割分担をうまくしながらどうやって乗り切っていくのかという工夫をしなければいけなくて、それこそ医療供給といいますか、医療提供体制をどうしていくのかという根幹の部分をともに考えていかなければいけないのだろうと思います。
 その中で、これまで、大学から来るお医者さんは、宿日直は宿日直であって、そこで働いた時間というのは時間外だとは誰も思っていないのです。思っていなかったと思います。それで、それが労働時間に入ると言われた途端に、さあどうしようかという、非常にそこで困惑が来ていることが第1点。
 それから、第2点は、もう医師の先生方はお分かりだと思いますが、大学の診療科がありますね。そこと、派遣というか、頼まれて日当直に行くお医者さんというのは、必ずしも大学病院の診療科ごとではないのです。昔ながらの、例えば神野先生などはお分かりでしょうけれども、何とか外科、第一外科、第二外科という、そういうくくりの中でお医者さんを派遣しているのです。そうすると、その診療科に聞いても分からんという話になるわけですよ。これは大学に聞いても分からんという話になるのです。では、一体どこに聞くのか、誰がちゃんとそれを把握しているのか、これは本当に大変な問題で、多分、僕などは、大学にこういう答えを強要してなかなか出てこないのではないかと心配をしています。
 では、どうやってその事実、今起こっている事実というのを把握するのかと。これは創意工夫をしなければいけないのだろうと思っておりますので、その辺はぜひお願いをしたいと思います。
 そして、もう一つは、先ほど神野先生の話にあったのですが、意外と分かっていないのが、病院で働いている働き手である医師が、この労働時間を厳密に見ながら、自分は労働者である、労働をしている者であるという意識があるかというと、残念ながら非常に乏しいです。私の病院も、常勤医が127名いるのですが、何というか、非常にその辺は意識が乏しいというか、いいかげんというのがございます。その中で、本当に正確な勤務時間を把握していくというのは、恐らく大病院になればなるほど、大学病院になればなるほど、極めて難しい作業をしなければいけないと。
 そうすると、これをどうしていくのかを、やはりきちんとみんなに分かってもらいながら進めていかないと、そごが起こってしまうということが起こるので、その辺はしっかりとやっていかなければいけないのではないかなと思っています。
 そして、一方、これだとちょっと労働時間が多くなってしまうなとなると、空いた時間や休みの時間を使っていくのは自由だから行ってねと。その辺は、では、もう働いている時間は把握できないかなということで、僕は、働く時間をちゃんときちんと取るというよりは、逆の方向にどんどん行くのではないかと思ってすごく心配しています。
 それから、もう一点は、管理するほうのお医者さん、恐らく診療科ごととか、先ほど言いました、何とか教室を仕切っている人がやるのでしょうけれども、ここの人たちも、きちんと意識をしないと、実は働いているお医者さんと管理するお医者さんの差というのは物すごく差があるのです。これをどう埋めていくのかを、ぜひやっていただきたいということをお願い申し上げて、私の発言させていただきます。どうもありがとうございました。
○楠岡部会長代理 ありがとうございました。
 それでは、島崎委員、その後は小熊委員、松原委員でお願いいたします。
○島崎委員 島崎です。
 まず、この調査の結果を見て、失礼な言い方をすると、何か他人事のような回答であることに大変驚きました。
 実は、私もいろいろな病院に対し準備の状況を折に触れて聞いているのですけれども、非常に詳細に労働時間の把握し、対応についてもいろいろ検討されているところがある一方、あと2年を切っているのに勤怠管理すらきできておらず、一体どう対応しようとしているのか心配になる病院もあるのが実情です。
 医師の働き方改革について、元々いろいろな議論があったことは十分承知しておりますし、そういう議論の対立を乗り越えて、一定の方向・結論を報告書としてまとめ、そしてそれをベースに法律も通ったわけですから、あと2年しかない中で、一生懸命知恵を出して頑張るよりほかないのだと思います。
 相澤委員もおっしゃったように、これだけ大きな改革をやれば、地域医療に軋轢が全くないなんてことはあり得ないわけですが、だからこそ。いろいろな予測をしながらリスク管理をしていかなくてはいけない。そして同時に、関係者がそれぞれの立場で知恵を出してリスクを最小化する努力をしていかなくてはならないと思います。
 そういう意味では、先ほど野村委員が、患者側もやるべきことをしていかなければならないので、きちんとした情報提供をしてほしいと発言をされたことは、非常に重要な意味を持ちます。もちろん、それだけではなくて医療の提供側も知恵を出さなくてはいけない。そして都道府県もそうです。都道府県側もいろいろ言い分はあると思います。どこからどうやって手をつけていいかどうか分からないという御意見もあるかもしれません。しかし、都道府県はB水準やC水準の指定をする気はないのかとさえ言いたくなります。
もちろん、医師の働き方改革はいろいろ複雑な要素が絡み合ってあり、複雑な連立方程式を解くのと似たようなところがあります。それから、地域医療構想の推進をはじめ医療政策の仕事が大きくなっている中で、医療政策を担う人員が足りないという問題も恐らくあるのだろうと思います。そうであればこそ、厚生労働省もきちんと自治体のほうに対して、こういうことだからと言って人員の確保を要請するとか、それから、連立方程式を解きほぐすように、どこから手をつけていけばよいのかということをきちんと示すことが必要です。それから、宿日直許可の話も非常に大きな問題だと思いますけれども、例えばこういうデータを揃えて労基署にこういう説明をすれば議論の余地があるといったことをきちんと積み上げていくとか、また、例えば小児医療とか産科医療などの関係学会も心配しているわけですから、各学会とも十分話し合い知恵を絞るとか、あるいは、公的医療機関、例えば日赤、済生会や厚生連、国立病院機構もちろんそうですけれども、それらの団体のトップから地方にもきちんと働きかけるとか、いろいろ知恵を出していくことが必要なのだと思います。
 そういうことを申し上げた上で、後ほど小熊委員から話があるかもしれませんが、私が心配していることを1つだけ申し上げたいと思います。僻地の病院では院長自らが宿日直をしているケースがあります。小さな病院でありましても院長は組織のトップとして使用する側ですから労基法上の労働者には当たらないと思います。そうすると、副院長以下を助けるために院長が宿日直の回数を今以上に増やすといった事態も生じる恐れがあることを危惧しています。もちろん、だからといって、そういう病院にもっと医者を送り込めということを申し上げているわけではなくて、だからこそ、ではどういう知恵があるのか、ネットワークを強化し地域の医療提供体制をこのように組み替えていくといった議論をぜひ早急にやっていくことが必要なのではないかなと思っています。
 いずれにしても申し上げたいことは、他人事のような姿勢ではなくて、あと2年しかないのですから、しかも影響が大きいわけですから、各々が知恵を絞って改革を成就させていくという気構えをもって取組をぜひ進めていくべきだということを申し上げたいと思います。
 以上です。
○楠岡部会長代理 ありがとうございました。
 では、引き続きまして、小熊委員、そして、松原委員までとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○小熊委員 ありがとうございます。自治体病院の小熊でございます。
 ただいままで、いろいろな先生がいろいろな御意見をお話しいただいて、特に、今、島崎先生がおっしゃったように、今、我々自治体病院というか病院団体はたくさんあるのですけれども、自治体病院のことを申し上げますと、既に数年前から、個々の病院として何ができるか、何をしなければいけないかという問題を話し合ってきて、少しずつ改善に向かってきているという現実ですが、その中で、どうしても個々の病院だけでは解決できない問題というのがやはりございます。いろいろな問題があり、大きく言えば、医師が不足している、それから、医療提供体制に問題がある、それから、患者さんというか住民が、要は大病院志向でコンビニ受診しているわけですから、そこはそれを断ってはいけないという片方で言いながら、片方で宿日直というのは患者を診てはいけない。簡単に言えばそういうことを労基署が言っているわけですよ。そんな状況で、我々病院サイドは、個々の病院でどうできるかということを必死に考えてきていました。今も考えています。これからも考えます。
 でも
、今回、お示しいただいた、厚労省のこのアンケートの結果というのは何なのでしょうか。今、島崎先生もおっしゃいましたけれども、我々の思いと厚労省の思いが乖離しているように私は受け取りました。もっと、国、厚労省、都道府県というものが、それぞれの地域にとって医療を崩壊させないで、医師の働き方改革を進めるにはどうしなくてはいけないかということを、やはり真剣に考えていただかなくてはいけないのではないかと思いました。
 個々の病院だけが考えて、我々、自治体病院のことを言って恐縮ですけれども、以前の過剰勤務の勤務時間のオーバーがどんどん減ってきています。それでも、なおかつ、今でもまだB水準に行かなければいけない人もいる、それを超えなくてはいけない人もいるというところに、何が問題があるかということは、それは、個々の病院だけではなくて、先ほど言った医療全体の問題だということで、それはやはり都道府県なり国なりが、地域ごとの医療のありようというものを考えてもらわないといけないのではないかと。そうしない限り解決しないのではないかと私は思っております。
 ですから、今回のこのアンケートで、例えばこのように非常に問題ですというのは分かりますけれども、問題だったら、それをどうやって直していけばいいかということを真剣に考えていただきたいということでございます。
 それから、大学なども、今頃になっておたおたしていますけれども、私から言わせれば大学の対応も遅いのです。それは国がしっかりと指導しないからです。そういうことをしっかり。ちょっと厳しい言い方をさせていただいて恐縮ですけれども、それが国のあるいは都道府県の今しなければならないことではないかなと私は思っております。よろしくお願いします。
○楠岡部会長代理 ありがとうございました。
 松原委員、お願いいたします。
○松原委員 私も同じ意見なのですけれども、まず、病院のほうで、この働き方改革を対応しようと考えても、大学がどう出るのかなというのが分からないので、手の打ちようがないというところも実感しているところです。
 私も、自治体病院のお手伝いをさせていただいていて、この議論になるのですけれども、大学病院の様子が分からない。大学病院に聞いても分からないという答えが返ってくると。今回の調査の結果を見ても把握していないというところが多いということで、まず、調査をする前に、文科省と連携をして、何月何日までにこういうこと把握しておくようにということやってからまた調査をしないと、同じことの繰り返しなのではないかなということを危惧しています。
 実態を踏まえて、初めて、次、ではどうしたらいいのかなということになると思いますので、その実態把握、その前の前提条件として、いつまでにこれを把握するようにというような徹底ですね。あと、それと併せて、野村委員がおっしゃったように、国民に対しても、今どういう状況にあるのか、資源というものが限りがあるのだということを訴えていく、併せたそういう取組が必要だと思います。
 以上です。
○楠岡部会長代理 ありがとうございました。
 あと、私から1点、今まであまりC1水準の話がなかったのですけれども、これまでのいろいろな調査によると、研修医の評価をしますと、大体1,100時間ぐらいの超勤を含んだ研修をしないと、一番いい結果にならない。それよりも短い1,000時間以下とか、あと、やたら長い1,200時間以上でも、いずれもあまり結果はよくない。そうしますと、1,100時間、すなわちC1水準、臨床研修では、それをやらざるを得なくなってくる。その研修プログラムに関しましては、これも厚生労働省のほうで見ておられるので、もし、より効率よく1,100時間以内で、今までと同じ効果が上がるのであれば、そういうプログラムをぜひ指導いただきたいと思いますし、どうしても1,100時間は必要であるとならば、C1水準に関して、プログラム等のカップリングをよく見て進めていただきたいと思っております。
 非常に貴重な御意見をいっぱいいただきましたが、あと2つ議題がございますので、この議題に関しましてはここで一旦終了させていただきたいと思います。
 それでは、次に移らせていただきます。次は、全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大の進捗について、事務局より説明をお願いいたします。
○医療情報技術推進室長 医政局研究開発振興課医療情報技術推進室でございます。
 それでは、資料2について御説明をさせていただきます。
 「全国の医療機関等が確認できるレセプト情報」という紙になっておりますが、令和3年10月からレセプト記載の薬剤情報をオンライン資格確認システムを用いて、医療機関等で確認できる仕組みの運用が始まっているところでございます。また、データヘルス改革工程表に基づきまして、今年の夏を目途にこの情報を拡充する準備を進めております。拡充される情報が、この表にございます(1)と(2)の部分でございます。
 次のページを御覧いただきまして、これらの取組につきましては、令和3年6月18日の閣議決定された文書におきまして、手術の情報など、対象となる情報を拡大し、2022年夏を目途に確認できるようにすると書かれているところでございます。
 これを踏まえて、この拡充の中で、現在、薬剤情報と診療情報、この両方を併せた同意画面で、患者様から同意を得て、その上で医療機関に情報を提供するという仕組みの構築を進めてまいりました。
 そのような中、この拡充に当たって、特に手術情報については、特段の配慮が必要だという御指摘をいただき、また、あわせて、どういった情報が手術情報に含まれるのかといった十分な周知を行うことの重要性についても御指摘をいただいたところでございます。
 3ページ目、それらを踏まえ、厚生労働省では、こちらにございますような措置を講ずる方向で検討をしたいと考えております。
 1つ目の○でございますが、医療情報を患者や全国の医療機関等で確認できる仕組みのうち、手術情報の医療機関や薬局での情報共有については、個別に同意を得る仕組みを構築した後に、令和5年5月を目途に運用を開始する。先ほど申し上げたとおり、一括の同意画面ではなく、手術につきましては、別の画面で同意を取るという仕組みの構築をした後ということでございます。
 また、手術情報以外の情報につきましては、本年9月より予定どおり運用を開始する。なお、マイナポータルを通じた患者が自身の保健医療情報を閲覧できる仕組みについては、手術情報も含めて、本年9月より予定どおり運用を開始する。このような措置の方向で行わせていただきたいと考えております。
 4ページ目、今まで、このACTION1の仕組みにつきまして御説明をさせていただいた資料でございますが、下のほうに、医療機関と薬局の手術情報の部分について、十字のマークをつけて、赤字で今申し上げた内容について追記をして、今後もこの仕組みの説明に使っていきたいと考えております。
 資料2については以上でございます。
○楠岡部会長代理 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 それでは、御質問、御意見をお願いしたいと思いますが、まず、これに関しましては、参考資料として日本医師会より要望書を本部会宛てにいただいているということでございます。今村委員、釜萢委員よりコメント、御説明をお願いしたいと思います。
○今村委員 ありがとうございます。
 ただいま、事務局に十分御説明をいただいたものだと思いますけれども、永井部会長宛てにこの要望書を提出させていただいているところです。
 要望書の趣旨としましては、患者さんの同意の下で医療機関等にて情報が閲覧可能になるべく構築を進めておりました情報につきまして、全てを一まとめに、包括同意ということではなく、特に機微性が一段高い手術情報については、個別同意による取得をする仕組みというものを要望させていただきました。
 手術情報につきましては、病名に直結する可能性が高いということで、万一に意図しない第三者に漏えいした場合に、当該患者様に大変大きな悪影響を与えてしまいます。さらに、患者さんが情報の重要性を十分に理解されないままに同意をしてしまって、トラブルとなるというようなことが起こったときに、医療者と患者様の間の信頼関係が損なわれる自体も懸念をされているところです。そのため、今回の要望を行わせていただいたということでございます。
 今回、事務局にてお示しをいただいた改修によって、成長戦略の工程よりも遅れてしまうということになるということを伺っております。手術情報を同意することの意味を、国民の皆様と一緒に考え、理解するための必要な期間と考えております。患者さんが意図しない同意をしてしまうことのないように、国や政府が、医療情報を患者さんや全国の医療機関等で確認できる仕組みの意義や、また、リスクについて十分な周知・広報をお願いしたいと思っております。
 患者さん、医療関係者の理解が進む、このことは、今回の国のデータヘルス改革を着実に進めていくための足がかりとなると考えておりますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思っております。
 以上です。
○楠岡部会長代理 ありがとうございました。
 ほかに御意見はございますか。
 それでは、遠藤委員、神野委員、山口委員の順でお願いいたします。遠藤委員、どうぞ。
○遠藤(秀)委員 ありがとうございます。日本歯科医師会の遠藤でございます。
 医療情報のネットワーク化ということについては重要な課題であり、このような仕組みについては賛同しており、この推進については、歯科においても推進に努めているところなのですけれども、ただここに来て義務化というお話が出てきて、大変危惧しているところでございます。
 また、療担規則での対応という話も聞こえており、現場の医療機関からは不安と心配している声というのが大分聞こえてきております。
 スタートとなるカードリーダーの申込みについても、診療所レベルで言えば6割程度であり、その中で実際に運用に進んでいるのは2割程度であろうと思っております。実際、各医療機関に聞きますと、カードリーダーがあっても端末が不足していたり、ベンダーの工事が間に合わないということで、開始したくても開始できないケースも、現在多数見られております。こうした中で、期限を切っての義務化という話は拙速ではないかと思っております。
 補助金制度につきましても期限が迫っております。こうした中で、厚労省としては、このようなスケジュールでの義務化に向けてどのような対応をしていくつもりなのか、教えていただきたい。その点について、よろしくお願いします。
○楠岡部会長代理 事務局。
○医療情報技術推進室長 御意見、ありがとうございました。
 今御質問いただいた内容につきましては、医療保険部会のほうでも保健局のほうから御説明をさせていただき、様々な御意見をいただいたと承知をしておりまして、その中では今後、中医協等での議論を経て、しっかりと議論していくという回答をしていると承知をしております。そちらの中で、今後しっかり議論されていくものと考えております。
○楠岡部会長代理 よろしいでしょうか。
○遠藤(秀)委員 よろしくお願いします。
○楠岡部会長代理 それでは、神野委員、山口委員、野村委員、河本委員でお願いいたします。神野委員、どうぞ。
○神野委員 神野です。
 今の遠藤委員の義務化の話は、私は義務化も今後はあり得ると思います。しかし、それに伴う費用といったところについて、きちんと後ろ盾をいただきたいと思ってございます。
 さて、今日の議題ですけれども、今、資料見せていただいて、最後の資料の右上にありますように5月17日の健康・医療・介護情報利活用検討会、これは座長は森田先生でしょうか、そこで十分議論された内容だと思いますが、「が」であります。今回、この手術情報だけ別枠にすることについて、先ほど今村委員からお話がありましたけれども、ちょっといかがなものか。なぜならば、それを言うならば、手術情報だけではなくて、放射線治療の情報はどうなの、あるいは画像はどうなの、一つ一つについて機微な情報である。あるいは検査情報、薬の情報、これはみんな個人情報に伴う機微な情報であって、一つ一つをばらばらに同意するという形になってしまうのではないのか。
 私たちは、これまで包括同意ということでやってまいりました。そして、問題は、この見た方の責任、見た方は守秘勤務がかかっているわけですから、見た方に対して罰則を強くしろというようなお話ならば、私は納得するのですけれども、手術だけ別枠にすることについては、ちょっと違和感を覚えてしまうというのが正直なところでございます。
 以上です。
○楠岡部会長代理 ありがとうございました。
 それでは、次に山口委員、その後、野村委員、河本委員、都竹委員でお願いいたします。
○山口委員 山口でございます。
 幾つか質問と確認と意見もございます。
 まず、資料2の1ページのところで、今回新たに追加される、2022年9月から追加の(1)、(2)というのがありますけれども、これは現在もう既に始まっている3年分の医薬品、そして、特定健診は過去5年分という、どれだけさかのぼるかが明確に示されているわけですけれども、今回出てきている(1)と(2)というのは、どれぐらいさかのぼることになるのかということが、まず1点目の質問でございます。
 それから、2つ目として、実はたまたま私がこの間受診した医療機関で、オンライン資格確認システムが導入されていたので、マイナンバーカードを使って、実践いたしました。そして、本人確認ということで顔認証をしたら、マスクをしていたので顔認証できなかったので暗証番号で入ったわけです。その後、特定健診、医薬品の同意画面が出てくるのだと思っていましたら、そこで終わってしまいました。聞くところによると、そこの医療機関はそこまでしかやっていなくて、医薬品の共有を選んでいなそうです。私はこのシステムを導入すると、医療機関あるいは薬局は、3年分の医薬品、そして5年分の特定健診は、必ず同意を迫られるのだと思っておりました。
 さらに今回この、(1)、(2)ということが入ってくるということを考えたときに、これらを患者が同意するかどうかということを、項目を選ぶのは医療機関なのか、それとも、全体的に同じ方向に行こうとしているのか、その辺りのところがちょっと分からなくなってしまったので、確認をしたいというのが2点目です。
 そして、3つ目としてですけれども、これは随時増やしていくのはいいのですけれども、患者がついていけるのだろうかと正直心配しています。というのも、何を同意しないといけないかを理解して、同意するかどうかを考えて、意思表示をしないといけないわけです。
 例えば(2)の内容を見ると、放射線治療とか画像診断、病理などということを見ると、診断結果かと思ってしまう患者さんも結構いらっしゃると思うのです。でも、これはレセプト情報なので、受けたかどうかというようなことしか恐らく出てこない、その辺の理解ということも、やはり説明しないといけないと思っているのですが、周知についてはまだほとんど始まっていないではないかと思います。
 そこに加えて、来年の1月から、このオンライン資格確認システムによる電子処方箋も始まってきます。そうすると、医療機関と情報を共有することを同意した人は、併用禁忌や重複投薬があるとアラートが出る仕組みになるそうですけれども、それは同意したからオーケーだと。ところが拒否をした場合でも、どの医療機関で出された、どの薬かということは分からないけれども、併用禁忌や重複投薬があるとアラートは出ると聞いています。そうすると、私は同意していないのに、何でそういうことが分かるのですかというような、十分な理解をしていないと、そこでトラブルが発生するのはもう目に見えていると思っています。そういった場合に、どのように国民に分かりやすく説明をしていくのか、その準備が、期間として私は短いのではないかなと思っているのですけれども、その辺りの見解も併せて事務局からお聞かせいただきたいと思います。
 以上です。
○楠岡部会長代理 事務局、お願いいたします。
○医療情報技術推進室長 まず、情報の蓄積でございますが、(1)、(2)の情報につきましては、3年間情報を蓄積することにしております。また、9月の運用となっておりまして、本年6月分のレセプトから蓄積を開始いたしますので、運用開始時点では、3か月分の情報しか閲覧は難しいところではございますが、その後、蓄積されて、最大3年と。
 ただ、3年でも、レセプトの枚数が非常に多い場合には、件数の上限がございますので、全ての方が3年分というわけではない。ただ、十分な件数を確保しているというのは聞いております。
 それから、周知について、各病院の設定のことについて、受診をした際に、オン資の仕組みで資格確認をした後に、この特定健診と薬剤情報の同意画面が出なかったという点につきましては、情報の連携をするために、例えば院内のシステムの改修等が必要に、ケースによってはなります。そのシステムの改修を行っている医療機関、それから、行っていない医療機関があるのは実際、事実でございまして、その設定は各病院ごとに行えることになっております。当然、私どもとしても、そういった連携できる仕組みを進めていただくように、これから働きかけをしていくというところではございますが、各医療機関ごとの設定になっているという状況でございます。
 それから、周知につきましては、まさに御指摘のとおり、この情報の拡充についての周知もしっかりと取り組むということで、今、準備を進めておりまして、7月ぐらいになってしまうのですけれども、7月ぐらいからまさにこのACTION1の周知は行っていくというところ。また、電子処方箋につきましても、あわせて薬局のほうでしっかりと取り組むというのは聞いているところでございます。国民への理解、それから詳細なところを御理解いただけるような工夫をぜひしてまいりたいと思います。また、電子処方箋の周知、このACTION1の周知とばらばらにならないような、そういった工夫もぜひしていきたいと思っています。
 以上でございます。
○山口委員 ありがとうございます。
 結構複雑なのに、医療機関によってもばらつきがあるとなると、患者としては混乱することになってしまうと思いますので、できるだけ同じような対応と、しっかりとした周知をお願いしたいと思います。ありがとうございました。
○楠岡部会長代理 それでは、野村委員、お願いいたします。
 その後、河本委員、都竹委員、相澤委員、小熊委員、次の議題もございまして、そこまでお願いしたいと思います。よろしくお願いします。野村委員、どうぞ。
○野村委員 お願いします。
 このACTION1に関しても、すごくいろいろなものがつながっていく中で、本当に医療の質が上がるということもすごく理解はできているのですけれども、一番最初に、やはり医療を受ける人の同意が必要ということで、これはどれぐらいの人が、私は本当にこの同意をされるのかというのが、あまりイメージが湧かなくて、何割ぐらいの人がやることを想定というか予測しているのかなということで、すごく困っているか、すごくお得なことではないと、なかなか同意は、今は若い人は特にしないのではないかなということで、やはり情報がどんどん共有されて、つながっていくことのほうが、これをやることのメリットより強ければ、なかなか進んでいかないのかなというのは少し感じています。
 ただ、医療機関にかかったときに説明をされると思うので、先ほど言っていたように、周知をされていて、こういう医療情報が全国の医療機関で確認できる仕組みが始まっていますよというのは聞いていても、そこの医療機関で説明を受けたときに、説明をされる人の説明の仕方というのも、この結果にはすごく重要なのかなと思っていて、やはり説明をする側のスキルというか、どういう感じで説明をしてくれるかによって、同意をしようかなとか、これはまたでいいよとなるのかというのはあると思うので、これだけいろいろなものが壮大につながっていって、いいものであるならば、みんながこれをシステムを運用していくために同意して、少しでも、みんながいい環境の中で質を高めていくといいかなと思うので、ぜひ説明をする人の説明の仕方も、一緒に運用に合わせて考えていっていただけるとすごくいいのかなと思いました。
 以上です。
○楠岡部会長代理 ありがとうございました。
 それでは、次、河本委員、都竹委員、相澤委員、小熊委員でお願いいたします。
○河本委員 ありがとうございます。
 今回の手術情報の取扱いについては理解はいたしますけれども、医療機関等での情報共有が遅れるということは、やはり残念であります。医療情報の拡大は、医療の質の向上、効率化、これにつながるものでございますので、これ以上遅れることのないように着実に実施をしていただきたいと思います。また、それ以外の情報共有とかマイナポータルでの閲覧、これについては予定どおり9月からしっかりと実施をしていただきたいと思います。
 以上でございます。
○楠岡部会長代理 ありがとうございました。
 それでは、都竹委員、どうぞお願いします。
○都竹委員 ありがとうございます。
 今ほど周知の話も野村委員からあったのですが、まず、全体としては大変結構なことで、これは推進していただくべきことだと思うのですが、他方で、こうしたことの同意をしたり、どのように使われるかということのメリットのイメージ、これが本当に患者さん側、国民の側で十分なイメージを得られないのではないかと、これが非常に大きな問題だと思っています。
 特に患者本人はマイナポータルを通じて見るわけですが、当然マイナンバーカードが要るわけですけれども、我々、地方自治体の現場でマイナンバーカードの発行に奮闘している感じからしますと、マイナポイントをつければ、あるいは健康保険証をマイナンバーカードにすればいいのだということではなくて、そうしたら一体何がメリットなんだと。何が御利益なんだということが分からないものですから、ちっとも進まないという現実が他方であるわけです。
 そうすると、今回のこうした議論は、当然、皆さんそれは使うんだという、特に国民レベルで、医療機関の中は別ですよ、薬局とは別ですが、自分たちで使うんだという前提で、どこまでどうするのかと議論になっているわけですけれども、そもそも使うイメージがない人たちに、使う議論してもなかなか進まないのではないかと思うわけです。
 したがって、もう9月からというような形で運用も開始されていく中で、一体こうした医療情報を自分たちで見ると何が起こるのかと。どういうことが分かって、どう役に立つのかということを分かりやすく周知をする。また、そのためにはマイナンバーカードが必要なわけですから、マイナンバーカードの取得というものも他方でやっていただく。
 また、マイナンバーカードを取得しなくても、医療機関なり薬局の中でこのように使われて、だから同意ということも出てくるんだというようなことを、とにかく丁寧に分かりやすく、実感が持てるような形での周知啓発ということを、ぜひ同じぐらいの力を入れて行っていただきたいと思います。
○楠岡部会長代理 ありがとうございました。
 それでは、相澤委員、お願いいたします。
○相澤委員 ありがとうございます。
 そもそも、この情報の共有は何のためにやって、そして、我々が臨床医として患者さんを診察する、あるいは診断をする、あるいは治療するときに役立つのかどうかという、そこの視点で考えないと、仕組みはつくったけれども誰も使わないということになってしまいそうな感じが私はするのです。
 そのときに、個別に一個一個同意を取って、その情報というのはちゃんと集めておかないと見られないわけですから、そのようにしていくのか、それとも、多分、神野先生のところでやっていたような気がするのですが、個人の情報として、個人の情報の財布をつくって、その中に医療情報を全部ためておいて、そして、その方が医療機関に行ったときに、この情報は見てもいいですよと言って、そこで見てもらうようにするということをしたほうが、臨床家にとっても患者さんにとっても遥かに望ましい仕組みだと思うのですが、なぜこのような複雑怪奇な、よく分からない仕組みになっているのか。
 それから、患者さんの気持ちは、そのときは同意したのですが、またしばらくしたら考えが変わったりすることがあるわけですか、それをどう捉えていくのか。何のためにこれはやるのか、そうすると何が必要なのかという議論がちょっと欠けているまま、どんどんどんどん先に進んでいって、混乱を今後さらに引き起こすのではないかということを、私は大変心配しているということだけ申し上げたいと思います。
 以上です。
○楠岡部会長代理 ありがとうございました。
 それでは、小熊委員、お願いいたします。
○小熊委員 ありがとうございます。
 ただいま相澤先生がおっしゃったように、この診療情報というのは何のために使うのか、そのメリットは何なのかということを、やはりきちんと考えなくてはいけないのではないでしょうか。
 例えば我々医療をする者にとっては、患者さんの今までの病気とか、今使われているお薬とか、そういうのを見れば、大体今のこの患者さんの状態が分かるわけですよね。患者さんが病院に来るということは、診療を希望していらっしゃるわけですから、自分の今までかかった病気が診てもらうドクターに分かっても当然ではないのでしょうか。ですから、変に同意を取るとか、個々の状況で同意を取って進めるということではなくて、診療情報は、必要な医療者だけがちゃんと見るのですということをきちんとうたって、今後の医療の方針として、デジタルトランスフォーメーションの一環としてやるのですという国の政策にして、国民に納得してもらったらよろしいのではないかと私は思っております。
 以上です。
○楠岡部会長代理 ありがとうございました。
 まだ御意見があるとは思いますが、もう一つ議題がございますので、そちらのほうへ進めさせていただきたいと思います。
 それでは、3番目でありますが、医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループにおける議論につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○医療情報技術推進室長 それでは、資料3「医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループにおける議論について」の資料を説明させていただきます。
 現在、私どものところでは、電子カルテの情報についても医療機関間で共有するための仕組みを構築するための議論を進めているところでございます。そのために必要なプロセスの一つが、交換方式を標準化すること、それから、文書の電子的仕様を定めるというところでございますが、これは昨年度3月に、電子的な仕様が3文書6情報について定まったところでございます。
 1ページ目の真ん中辺りでございますが「電子カルテ」と書いてあるところの診療情報提供書、退院時サマリー、健診結果報告書、これは医療機関の間で非常にやり取りの多い有用な文書ということで、その下に書いてございます6情報について含んだ文書でございます。これらの情報をどのように医療機関間でやり取りをするのかというところを、今、議論をしているところでございます。先ほどのレセプトの情報は、赤字のところで記載をしてございますが、オンライン資格確認等システムの中に情報をためて、今、閲覧をするという形式になっております。
 2ページ目、全国的に電子カルテ情報を医療機関間で閲覧可能とするための、実際に実装するためのネットワークの考え方をお示ししております。
 左の方に新規部分として、青の点線で囲っている部分でございますが、医療機関から、先ほど申し上げた3文書、これが電子カルテから出ていくと。次の医療機関に提供される間に電子カルテ情報交換サービス、これは仮称でございますが、そういったサービスを通って、医療機関のほうで本人同意の下に提供されると。
 こういった仕組みをつくるに当たっては、既に既存のオンライン資格確認等システムネットワークを使って、こういった情報のやり取りをすることが効率的ではないかということで、このワーキングにおいて、このシステムの方向性で今後詳細を詰めるということで御議論いただきました。
 右の部分の既存部分は、先ほど申し上げた電子レセプトの仕組みなどについて、既存部分として参考で書いているところでございます。
 今後、このネットワークを使うということは決まったのですが、実際に、ではこの仕組みを誰が運用をし、誰がコストを負担して今後進めていくかとか、どのような機能を、この文書のやり取りの間に入れていくのかと、そういった具体的な議論が必要になります。
 そこで、3ページでございますが、現状の課題として、FHIR準拠の文書を共有するための情報基盤の整理、それから、共有するべき情報の整理、電子カルテの普及、こういった大きな課題がございます。先ほど先生方からも御指摘をいただいたと思いますけれども、まさにどういった情報をやり取りするのが現場で有用なのか、患者様にとっても有用なのかということもしっかりと議論する必要がございます。
 今、こちらの医療情報ネットワークの基盤に関するワーキングでは、3ページの下段のほうに※で書いてありますが、アカデミアの、ネットワークとかそういったことに詳しい先生方に議論を行っていただいておりますが、今後はこういった全体的な仕組みの議論、それから、基盤や費用負担の考え方などを議論するということでございまして、これらの検討に当たっては構成員の見直しを行った上で、改めてこちらに記載してあるような内容について議論を行いたいと考えております。こちらは親会でございます利活用検討会のほうでもこの方向性で御了承いただいたところでございます。
 また、下のほうにございますが、医療部会、医療保険部会には、上記の議論につきまして、適宜御報告をさせていただきたいと考えております。
 資料3については、以上でございます。
○楠岡部会長代理 ありがとうございます。
 それでは、御質問、御意見をお願いしたいと思います。
 まず、山崎委員、その後、加納委員、それから、今村委員、釜萢委員、安部委員、佐保委員の順番でお願いいたします。山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 この電子カルテの問題は、そもそも今までの電子カルテは、いろいろなメーカーが勝手に開発して、市場で売っていて、それで、電子カルテ同士の互換性というのはほとんどないわけです。こういうマーケットというのを10年、20年という間に野放しにつくっておいて、いまさらオンライン資格確認とか諸々のデータを、制度の中に突っ込んでいくというのは、僕は非常におかしいと思っています。
 そうならそうで、民間病院の電子カルテは、全部国が負担して設置すべきでしょう。国公立の病院は当然国庫でやっていますから、国が負担しているわけじゃないのですか。民間病院は、微々たる診療報酬の利益の中で買って、しかも、5年ぐらいすると、もうそれは使えなくなるということで、また数億円かけて、新しい電子カルテを導入して、年間のランニングコストというのが1000万ぐらいかかるわけです。こういう負担を民間病院にかけておいて、そういう現実がありながら、なおかつこのような、電子カルテを中心に医療政策を進めていくというのならば、民間病院と公立病院の電子カルテの負担については、イコールフッティングにすべきだと思いますが、事務局、どうでしょうか。
○楠岡部会長代理 事務局、どうぞ。
○医療情報技術推進室長 ありがとうございます。
 まさに先生が御指摘のとおり、今、この電子カルテは医療機関ごとにばらばらでございまして、お互いに情報の共有ができないという状況がずっと続いてきたと。その中で、今回、先ほど申し上げたように交換方式を定め、その文書の電子的仕様を定めることで、両方でやり取りができる基盤が今整いつつあるというところでございます。
 まさに電子カルテが高額であるというのは、本当にいろいろなところから御指摘をいただいておりまして、それが医療機関の負担が過度にならないように、まさに標準化することで、そういったところに寄与するということも私どもとしては考えているところもございますので、引き続き今のやり方で進めていくというところだと思っています。
 費用については、すみません、現状お答えできるところはないということでございますので、御意見いただいたということでお願いします。
○山崎委員 この電子カルテの互換性をつくらないというのは、メーカーの販売戦略なのですよ。消費者の囲い込みのために、自分のところの電子カルテをずっと使うように囲い込んできたわけです。そういうことをずっともう20数年間野放しにしておいた状態で、急に、いろいろな思惑があるメーカーが、マーケットにあるのに、共通のツールをつくるといいますが、実際につくれるのですか。それだけの指導力というのが、厚生労働省あるいは通産省が、メーカーに対して持っているのでしょうか。僕は甚だの疑問です。
○研究開発振興課長 お答えいたします。研究開発振興課長でございます。
 先ほど、ベンダーごとに異なる情報で互換性がないというところによって、各医療機関間での情報のやり取りが合理的にできていないというところ、それを出発点としまして、ベンダーが異なる医療機関間でも情報を交換できる仕組みとして、現在、HL7 FHIRを用いた規格を用いて導入をしていこうということを進めてまいりたいと考えております。これはベンダーが異なっていても使える仕組み、共有できる仕組みということを進めてまいりたいということが1点でございます。
 また、資金について、情報支援基金、今後どのように活用していくかということを通じて、御負担ということについても議論を深めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○楠岡部会長代理 ありがとうございます。
 時間が限られている中で、今10人の方が手を挙げておられますので、簡潔な御質問をお願いしたいと思います。それでは、加納委員、お願いいたします。あと、釜萢委員、今村委員、安部委員、佐保委員の順でお願いいたします。加納委員、どうぞ。
○加納委員 ありがとうございます。
 先ほど発言できなかったのですが、先ほどのシステムは本当に意味があるのか、よく分からないシステム、それを導入するのに、我々はシステムの改修をしなくてはいけない。また、今回の入り口でありましたオンラインの資格確認に関しましても、当初は非常に厳しいベンダーからの経費負担を要求されておりました。
 山崎委員が先ほど申されたように、実は我々の収入の3%、病院の利益率が2%ぐらいですから、それを超える1.5倍ぐらいの負担をしながらやっているわけなのです。その点に関しましては、先ほどの熱い議論のとおりで、我々現場からしますと、費用負担に関しましてはしっかりと考えていただくのが大事だと思っておりますし、今度のこのシステムになれば、ベンダーの我々に対する経費要求が減るのかどうか、金額的なことも含めて、そういう可能性があるのかどうかもしっかりと議論していただきたいかなと思っております。よろしくお願いします。
 もう一点なのですが、実は、これらの、先ほどの細かいいろいろな形でのデータのやり取りをするということは、我々が今一番危機に面しておりますサイバーセキュリティーの問題も出てきておりまして、これに関しましても早急なる答えをお願いしたいなと考えております。
 我々の仲間の先生方にも既にランサムウェアの攻撃があって、毎日、データを保管して、ちゃんと安全なところでやり取りしなくてはいけないことも出てきますし、結局、そのウイルスがなかなか消えないのです。消すためにはまた買い替えなければいけないと、そういったことも起こってきているわけです。全てがコスト負担につながることなので、先ほどの問題に関しましては、しっかりと考えていただくということをお願いしたいと思っています。よろしくお願いします。
○楠岡部会長代理 ありがとうございました。
 それでは、今村委員、釜萢委員、お願いしたします。
○釜萢委員 釜萢から先に申し上げます。
 課題についてですが、今、議題になっているところのネットワークですけれども、全国で既に地域医療情報連携ネットワークとして、かなり活発に活動しているところも多いわけです。その中で、診療情報提供書、それから、退院時サマリーなどは、既にそのネットワークの中ではかなりやり取りをしているわけで、それらの活動と今回のネットワークとの間でうまく整合が取れるように、将来的に融合していけるような方向性をぜひ模索する必要があると思います。今回の費用負担が、これに伴って発生しないようにということはそのとおりで、申し上げるまでもないと思います。
 それから、今、加納委員が言われましたセキュリティーの問題は、非常に多くの懸念を抱いているところですけれども、そのセキュリティー対策をするためには、かなりお金がかかるので、それをどのように捻出したらいいかということをしっかり考えないと、とてもセキュリティー対策はできないので、そのことを強調しておきたいと思います。
 以上です。
○今村委員 今村でございます。
 今の釜萢委員、それから、加納委員と同様の趣旨でありますけれども、オンライン資格確認のシステムについては一定程度セキュリティー対策が取られているという理解をしておりますけれども、院内でオンライン資格確認後のレセコンや、あるいは電子カルテとの院内の連携というのは、それぞれの医療機関ごとに多分様々に違っていると。その部分にサイバーセキュリティーが影響を与えるということもあって、その際には、取得した他の病院のデータが違う病院から出てしまうということになりかねないので、そういった医療機関ごとの対応に対する考え方、手当等、そういうものも含めて御検討いただければと思っています。
 以上です。
○楠岡部会長代理 ありがとうございました。
 それでは、次に安部委員、その後、井伊委員、島崎委員、山口委員でお願いいたします。安部委員、どうぞ。
○安部委員 日本薬剤師会の安部でございます。
 資料3に関連しまして、簡潔に3点ほど質問と確認事項がありますので、事務局からお答えいただければと思います。
 まず、1点目でありますけれども、資料3の1ページの中段に、HL7 FHIR準拠の3文書6情報のやり取りとして、(1)から(4)が示されております。また、2ページ目のポンチ絵では、その連携が、医療機関等の連携と書いてあるわけでありますが、そこで確認でありますが、この最初に申し上げました、1ページ目の(1)の「医療機関-医療機関」という表記がございますけれども、これは薬局が含まれているということで理解をしておりますが、その理解で間違いないかどうかを確認したいと思っております。これは事務局、いかがでしょうか。
○医療情報技術推進室長 ありがとうございます
 1ページ目の(1)から(4)の部分につきましては、今後、有益な情報を随時拡充するということで、どういった間でやり取りをするかという例示をさせていただいている部分でございまして、そのうちのまずは(1)というのが2ページになっておりまして、「医療機関等」の中に薬局は含まれているかという御質問でございますが、まさにここの部分について、どこに情報を提供するかということについても、今後しっかり議論していく必要があると思いますが、オンライン資格確認のシステムの中では、薬局も含めて情報共有がされていると承知をしております。
○安部委員 それであれば、今後議論を進める上で、「等」の中に薬局がしっかり入っているということが、どこかで明確に読み取れるような資料にしていただきたいと思います。これは要望ですので、ぜひ今後の検討の際に、欄外でも、ポチで、米印で示してもいいですので、そのような扱いをしていただきたいと思います。
 それから、2点目であります。
 2ページ目で、オンライン資格確認等システムネットワークの新規部分に、3文書6情報を、HL7 FHIR準拠の文書を共有する情報基盤を構築することと示されています。これらの情報は、薬局薬剤師が薬学的な管理や、処方監査という薬剤師の業務を実施する上でも極めて重要な情報でありますので、本人同意が前提ということでありますが、必要な情報が利活用できるということが必須であります。これについては、先ほど「等」に薬局が入るというところをしっかりやっていただければ、その部分については十分利活用はできるようになると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 その上で、この新規部分に関して、薬局から医療機関への情報提供について確認をしたいと思います。
 これまでも、薬局薬剤師から処方医に対して、調剤情報、服薬情報のフォローアップの情報、在宅・居宅訪問管理指導の報告書など、薬剤師が持っている情報、薬歴関連情報をお渡ししているわけでありますが、これについては、特定の様式や伝達方法が決められておりませんでしたので、文書を郵送したり、ファクスしたり、メールでお送りしたり、様々な媒体が利用されているというのが実情であります。
 医療機関の先生方も、情報を受けた場合、薬局から文書で提供された情報をカルテに転記する、また、今後、電子カルテになった場合には、それをデータとして取り込まなければいけないという作業が必要になりますので、極めて多大な労働集約な手間とか経費がかかるということになります。
 また、今後、薬剤師の業務として、薬局では、薬機法改正等によって、薬剤使用期間中の患者さんのフォローアップの情報を主治医に報告するという機会がさらに増えるということは確実になっておりますので、この医療情報ネットワークの基礎を構築する、今の機に、薬局から医療機関への情報提供についても準備をし、対応しなければ、今後も、未来永劫、紙の報告書を医療機関に提供するということになりますので、そうなりますと、オンライン資格確認ネットワークや電子カルテが進んだとしても、情報共有の連携の充実や効率化にはつながらないということになります。
 これらの問題を解決して、情報を受ける医療機関での負担軽減や有効活用ということを考えると、薬局から医療機関に提供する情報についても、3文書と同様に、オンライン資格確認ネットワークシステムの基盤上でHL7 FHIRを準拠した情報として、薬局から医療機関に提供する仕組みを構築することが極めて重要かと思っておりますが、この点について、事務局の見解を確認したいと思います。
○研究開発振興課長 研究開発振興課長でございます。
 御指摘いただきました点も含めて、先ほど室長から(1)から(4)というのは例示ということで出させていただきましたけれども、どういう情報をどういう形でやっていくのかというところを、イメージとしてはこういう形でございますけれども、どういう場面でやっていくのか、そして、これは順次拡大していくものでありますので、まず、何をやって、その次に何をやってというところの検討を、御指摘のようにしっかりやっていきたいと考えております。
○安部委員 プライオリティーの理解はしますけれども、その構造的にそれが入らないと実現できないわけでありますので、基本構造の中に、薬局から医療機関への情報提供というのをしっかりと考慮した上で制度設計をしていただきたいということであります。優先順位がいろいろあるということは理解をいたしますけれども、基本設計のほうにしっかり入れていただきたいということです。
 それから、最後、今の確認にも関連するわけでありますが、オンライン資格確認システムネットワークで、薬局から情報伝達をする上で、現時点では薬局薬剤師が薬歴として記録している情報を、処方医に提供するわけでありますが、その際の電子化の様式とか、HL7 FHIR準拠の基盤というのはまだできていないわけであります。これは、医科もできていないわけですが、電子カルテだけではなくて、電子薬歴等に関しても、併せてその標準化の検討・実施というのは非常に重要かと思っております。
 これにつきましては、先ほど、委員の方々から、様々なものにベンダーや、システム開発にお金がかかるということもございましたので、国も主導的にベンダーを指導していただくのと、情報化支援基金等を活用するなどして、電子薬歴の普及、オン資ネットワーク上で薬局から医療機関に情報提供できるような基盤というものをつくっていただきたいということであります。この点に関しては、要望でありますが、厚労省からまたお考えをお聞かせいただければ幸いです。
○研究開発振興課長 今御指摘のところにつきましても、電子カルテ情報を標準化していくというところを進めていく中で、ユースケース、どういったケースで、どういったところとの間の情報共有をより優先して取り組むのかということを、今まさに検討しているところでございますので、今の御質問も踏まえて、今後、利活用検討会の各ワーキングで検討を深めてまいりたいと思っております。ありがとうございます。
○安部委員 ぜひ検討を深めていただいて、電子カルテに紙を貼るというようなことがないようによろしくお願いしたいと思います。
○楠岡部会長代理 それでは、佐保委員、お願いいたします。あと、井伊委員、島崎委員、河本委員、松田委員までとさせていただきます。佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員 ありがとうございます。
 私からは1点だけ。
 スライド3の議論する会議体の案として、医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループが挙げられていまして、「検討に当たって構成員の見直しを行う」とありますが、どのような見直しをいつ行うのか教えていただければと思います。早期の議論開始と被保険者の参加が必要だと考えております。
 以上です。
○医療情報技術推進室長 ありがとうございました。御意見、承りました。
 メンバーの見直しにつきましては、今検討中でございます。次回のワーキングから、新たなメンバーで議論を開始したいと思っております。
○楠岡部会長代理 それでは、井伊委員、お願いいたします。
○井伊委員 ありがとうございます。
 診療情報提供書や、退院時サマリー等の情報の共有に関連して、2点、要望でございます。
 まず1つ目は、訪問看護ステーションについてです。
 令和6年5月からは訪問看護のオンライン請求が開始され、オンライン資格確認についても、それを念頭に準備が進められていると、私どもでは理解しています。訪問看護や介護施設等におきましても、診療情報提供書や退院時サマリー等の情報を共有するということは重要です。オンライン資格確認等システムネットワークを活用した情報共有は、今後、随時拡充していくということですので、訪問看護ステーション等でも情報が共有できるよう、着実に準備を進めていただきたいと思います。
 それから、2つ目ですが、本年4月の診療報酬改定において、通称、看護情報提供書と呼ばれる様式50「看護及び栄養管理等に関する情報」が大幅に改定されました。継続療養や支援に必要な情報が整理、構造化されたところです。将来的には、こうした看護情報もネットワークで共有できれば、大変有益だと思っております。
 そうしたことも視野に入れて、今後御検討いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 以上です。
○楠岡部会長代理 ありがとうございました。
 それでは、次に島崎委員、お願いいたします。
○島崎委員 島崎です。
 先ほどの議題の2ともちょっと関係するのですけれども、レセプトは請求書ですからレセプト由来の情報はどうしても限界があります。例えば薬剤の情報の共有といっても、療養病棟の場合は基本的に入院基本料に包括化されてしまっているので、医療用麻薬以外の薬剤の情報をレセプトで確認することはできないと思います。もしこの認識が間違っていたら教えていただきたいと思いますが、私が質問したいことは、この議題の3だと、電子カルテシステムでもいろいろな情報を共有化していく方向が示されています。ということは、レセプト由来の情報の共有は、いずれは電子カルテのこの情報共有に取って代わっていくということなのでしょうか。つまり、レセプト由来の情報の共有は、そういう意味では過渡的なものなのか、その辺の考え方について御説明いただきたいと思います。
○楠岡部会長代理 事務局、お願いいたします。
○医療情報技術推進室長 先生が御指摘の点、療養病床における薬剤の確認というところでございますが、御指摘のとおりということで、詳細な薬剤情報までレセプトの情報から確認することができないというのが現状でございます。一部の薬剤については確認が可能というところでございます。
 申し訳ございません、2点目をもう一度御質問いただいてもよろしいでしょうか。
○島崎委員 レセプトからは把握できない情報があるわけですね。そうすると、その分は電子カルテ情報でいずれは代替されていくのか。つまり、電子カルテ情報がきちんと整備されていけば、レセプト由来の情報の共有システムは、いずれはなくなるということなのかということを聞いているのです。
○医療情報技術推進室長 現状ではそこまで議論をしていないです。そこの部分について、つまり両方で補完をし合うと我々は思って。
○島崎委員 相互補完していく形なのですか。要するに言いたいことは、レセプト情報というのは請求書の情報なのですから「擬似的」な情報ですよね。カルテのほうが詳細情報なのですから、いずれはカルテ情報システムに取って代わっていくことになるのか、両方が併存していくのだとすると、それはどうして併存しなくてはいけないのかということをきちんと議論してほしいということです。今日は、これ以上は申し上げません。
○医療情報技術推進室長 承知いたしました。
○医政局長 よろしいですか。医政局長ですけれども、今お話に関して言うと、レセプトは、基本的に全ての患者さんに対して作られています。それに対して、電子カルテ情報に関して言うと、現段階で、全ての医療機関で導入されて、全てこのネットワークに載るというところまでの意思決定とか合意はされておりませんので、当分は、やはり全ての患者が持っているレセプト情報は、確実に医療機関の間で共有されたり、あるいは、先ほども相澤先生からお話がありましたが、全てのPHR、だから、患者は自分で確認できると。そこはしっかりやっていくということにしております。
 電子カルテ情報のほうは、まさに普及率もまだまだですので、今後広げていくと。こういう状況ですから、当分の間、両方は併存していくと考えています。
○島崎委員 わかりましたが、そうであれば一言だけ。レセプト由来の情報についても、先ほど申し上げたような限界があるということは、きちんと国民に対して説明すべきだと思います。
以上です。
○楠岡部会長代理 ありがとうございました。
 それでは、河本委員、お願いいたします。
○河本委員 ありがとうございます。
 電子カルテ情報の情報共有というのは、医療の質の向上の観点から重要であると思いますけれども、今後、どのような費用が必要になるのかとか、あるいは導入によって医療機関や患者にどういった影響があるのか、そういったことも含めて、具体的な効果の把握、これが必要であると考えております。そうした点を踏まえて、運営主体や費用負担についても慎重に検討すべきであると考えます。
 また、今回、ワーキンググループの構成員の見直しの話がございましたけれども、こうした検討の場には、保険者もぜひ参加させていただきたいと考えております。これは要望でございます。
 以上です。
○楠岡部会長代理 ありがとうございました。
 松田委員、手を挙げておられたようですが、いらっしゃいますか。
 いらっしゃいませんか。
○松田委員 おります。
○楠岡部会長代理 松田委員、どうぞ。
○松田委員 すみません。別の用が入ってしまったので、手短に言います。
 電子カルテが高額になるとか、共有をするところで非常に問題になることの一つが、実は診療報酬のほうで要求されている、いろいろな細かい事項に電子カルテが合わせていくというところで、すごくお金がかかっています。
 諸外国の電子カルテに比べて、日本の電子カルテがすごくお金がかかってしまうというのは、診療報酬で要求されている事項に物すごく合わせなくてはいけないというものが多過ぎるというのがあるのです。そういう意味で、電子カルテをシェアをするということを前提に普及させるのであれば、診療報酬で要求されているいろいろな事項と電子カルテの記載事項ところの整合性に関する議論をぜひ検討をお願いしたいと思います。実際、僕自身が医療情報部長をやっていたときに、電子カルテの対応ですごく困りました。
 実際、共同使用のときは、そこのことを指摘されるのです。要するに電子カルテで記載されていることと、記載できることと、特に時系列などはそうなのですけれども、それと診療報酬制度で要求されていることが合わない。そこを合わせようとすると、いろいろなロジックを組んでいかなくてはいけなくて、結局、それが電子カルテを高額化させているので、そういう意味で、電子カルテを普及させる視点から、診療報酬との整合性についても、一度どこかで検討していただけたらと思います。これは要望です。
 以上です。
○楠岡部会長代理 ありがとうございました。
 私からは、このオンライン資格確認システムネットワークに、いろいろな情報が今後載ってくるかと思うのですけれども、医療機関にしろ患者さんにしろ、何らかの一覧性をつくっていただかないと、結局どこにどんな情報があるか分からないということになってしまいますので、その点に関する配慮もぜひお願いしたいと思います。
 まだまだいろいろ御意見があるかと思いますが、もう時間も過ぎておりますので、これまでとさせていただきたいと思います。
 それでは、事務局から何かございますか。
○総務課長 本日も事務的な御連絡でございます。
 本日、一般傍聴の制限をしてございます。議事録につきまして、可能な限り速やかに公表できますよう、事務局として校正作業を進めてまいります。委員の皆様方におかれましても、御多忙中と存じますけれども、御協力いただきますようお願い申し上げます。
 また、次回の医療部会の詳細につきましては、決まり次第、改めて御連絡させていただきます。
 以上です。
○楠岡部会長代理 ありがとうございます。
 本日も活発な御意見をいただいた結果、ちょっと時間が超過してしまいまして申し訳ございませんでした。本日はこれまでとさせていただきます。大変お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございました。
 

(了)

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