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2022年3月28日 第87回社会保障審議会医療部会

医政局総務課

○日時

令和4年3月28日(月)15:00~17:00

 

○場所   AP新橋 4階 D+Eルーム


○議事

○医療政策企画官 定刻になりましたので、ただいまから第87回「社会保障審議会医療部会」を開催させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして誠にありがとうございます。
 本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点からオンラインによる開催とし、傍聴は報道関係者のみとさせていただいております。
 会議中、御発言の際は「手を挙げる」ボタンをクリックし、部会長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は再度マイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。また、議題に対して御賛同いただく際には「反応」をクリックした上で「賛成(親指アップ)」ボタンをクリック、またはカメラに向かってうなずいていただくことで、いわゆる異議なしの旨を確認させていただきます。
 まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
 本日は、井上委員、内堀委員から御欠席との御連絡をいただいております。
 医療部会の総委員数が24名で、定足数は3分の1の8名となっており、本日は22名の委員の皆様が御出席となりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。
 また、相澤委員より途中出席される、遅れて出席されるとの御連絡をいただいております。
 次に議事に入ります前に、資料等の確認をさせていただきます。事前に議事次第、委員名簿、座席表のほか、資料1を送付させていただいておりますので、お手元に御準備いただければと思います。
 では、以降の進行は、永井部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 それでは、よろしくお願いいたします。
 最初に、欠席の井上委員の代理として酒向参考人、内堀委員の代理として玉川参考人の御出席をお認めいただきますようお願いいたします。よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、議題に入ります。
 「遠隔医療の更なる活用について」事務局より説明をお願いいたします。
○総務課長 事務局、総務課長でございます。本日はよろしくお願いいたします。
 資料1「遠隔医療の更なる活用について」という資料について御説明申し上げたいと思います。
 今後の進め方について共有を図り、それから現状の報告をしたいということでございます。
 1ページ目は、最近の第5回「デジタル田園都市国家構想実現会議」という会議におきまして提出させていただきました資料でございます。「遠隔医療について(1)」でございますけれども、遠隔医療は、皆様御案内のとおり、離島など医療資源が十分でない地域においても必要な医療の提供が可能となるということでございます。記載してございませんが、当然ながらICTの近年の目覚ましい進展ということが背景にございます。
 こうした中で、遠隔医療の活用促進に向けて、ICT機器の導入支援について、関係省庁が実施する関連施策とも連携しながら、都道府県を通じて一層の周知に取り組んでいくということが基本的な状況かと考えます。
 利用の場面でございますが、まず1つ目といたしまして、医師―医師間、DtoDというものがございます。左下にございますように、画像を見ながら遠隔地の医師との症例検討を行うといった遠隔相談、真ん中のエックス線写真やMRI画像など画像を送信しまして、遠隔地の専門医が診断を行うといった遠隔画像診断、画像という意味では、体組織の画像ですとか顕微鏡の映像などを送受信するなどの中で、手術中に行うような遠隔病理診断といったものもございます。ICTを使うことによりまして、リアルタイムにこうしたことが可能だということでございます。
 2ページ目でございますが、遠隔医療の2つ目の類型といたしましては、左下に書きましたように、医師―患者間、DtoP、すなわち遠隔診療(オンライン診療)といったものがございます。
 オンライン診療につきましては、これも委員の皆様方はよく御案内のとおりと思いますが、もともとは離島とか僻地といった限定的な活用を想定したものとして始まり、その後、離島とか僻地というのはあくまでも例示だとしつつ、特定の診療報酬がないという時代もございました。
 そうした中で、資料に記載されておりますように、平成30年3月に、しっかりと対応していこうということで、オンライン診療の適切な実施に関する指針というものを策定いたしました。その後、令和2年4月に、コロナ禍ということで、特例的な措置として初診からのオンライン診療が可能とされました。その後、コロナ禍における実施状況があったわけでございます。
 その上で、右下になりますけれども、令和3年6月18日に規制改革実施計画におきまして、初診からのオンライン診療について、原則としてかかりつけ医によるほか、それ以外に実施可能な場合について一定の要件を含む具体案を検討することが定められまして、それを検討会で議論させていただきまして、今年の1月に指針を改訂したところでございます。
 ちょっと恐縮でございますが、資料の右のほうに「オンライン診療の適正な実施に関する方針」とございますが、これは「指針」で、1月に指針を改訂したということでございます。
 指針の中で、5つのポツを記載してございますが、初診に必要な医学的情報、診療前相談、症状、処方、対面診療の実施体制、こういった整理を行い、申し上げました1月の改訂を行ったということでございます。
 それを踏まえまして、今後でございますが、上のほうの2つ目の○に記載をさせていただいてございます。今後は、オンライン診療のさらなる活用に向けた基本方針を策定するとともに、地域の医療関係者や関係学会の協力を得ながら、地域における活用の好事例を収集し、横展開を進めていくと整理をさせていただきました。
 4ページに規制改革実施計画、令和3年6月18日のものを掲げてございます。先ほど申し上げましたように、初診からオンラインを実施可能といたしまして、詳細を詰めるということについてはcというところに記載をしていまして、これに基づきまして1月に指針の改訂を行いました。
 今後におきまして、本日、申し上げましたのはbというところでございまして、四角囲いになっていますが、3行目ぐらいのところから、オンライン診療のさらなる活用に向けた基本方針を策定し、地域の医療関係者や関係学会の協力を得て、オンライン診療活用の好事例の展開を進めると記載をされてございます。これは、令和4年度から順次実施することとされてございます。
 これを踏まえまして、今日以降の御議論ということになります。3ページに今、申し上げましたことをまとめまして改めて御説明申し上げますと、現状といたしましては、直近では医師法20条の無診察治療の禁止との関係が中心の議論だったかと思います。そうした中で、「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」におきまして、先ほど申し上げました指針の見直しが今年の1月に行われたということでございます。改めまして、今後は地域においてオンライン診療含めた遠隔医療が幅広く適正に実施されるよう取組を進めていく必要があるだろうと考えます。
 したがいまして、今後の取組というところで基本方針の検討ということがありまして、それを本医療部会において御議論いただけないかということでございます。
 検討の視点は(例)ということで、掲げさせていただきました。1番は地域の医療提供体制の確保において遠隔医療が果たす役割、2番は国、都道府県、医療関係者、それぞれが取り組むべき内容、3番は患者・住民の理解を進めるための取組、4番は個人情報の取扱いや情報セキュリティの在り方といったものが検討の視点ではないかということで、中身は当然ながら御議論をいただきながら進めていきたいと思います。
 あわせまして、最後に2つ目のポツになりますが、規制改革実施計画の中にも書いてございますけれども、地域の医療関係者や関係学会の協力を得て、遠隔医療の活用に関する好事例を収集するとともに、横展開に向けて都道府県等を通じて周知ということでございます。
 全体的には閣議決定ではオンライン診療ということで書いてございますけれども、我々といたしましては、様々な類型があると思いますので、遠隔医療という形で全体的にはまとめさせていただいておりますので、その点についても付言させていただきます。
 私からの説明は以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの説明に御質問、御意見をいただきたいと思います。
 まず、山崎委員、次いで遠藤委員、お願いいたします。
○山崎委員 オンライン診療の話の前に、こういういろいろな政策の変更が行われていますが、最近の傾向を見ていますと、経済財政諮問会議とか規制改革会議の民間議員が発言して、それを閣議決定して官邸主導で厚生労働省に下ろしてきて、厚生労働省に下ろしてきた課題について、検討委員会とか専門委員会をつくってそこである程度の結論を出したものを社会保障審議会の医療部会にかける。こういうその政策決定の在り方自体が私は非常に問題だと考えています。
 例えば医療とか介護について、規制改革会議の民間議員がどれだけの見識を持って提案しているかというと、どちらかというとビジネスモデルみたいな話で、政策を変更してしまうということに対して、大きな危惧を感じております。
 それと、この社会保障審議会の医療部会が、もう決まったことなのだからガス抜き機関みたいな委員会になってしまっているのではないかと感じています。というのが、先日、医療法人の報告のデジタル化の問題がありましたけれども、これも病院団体は全部反対していたのに、医療部会でこれは決まりましたからということで、あたかも決定事項のように厚生労働省は説明をして、どんどん関連の法律事項を変えていこうとしているわけです。そういうことは果たしていいことなのでしょうかというのが1つです。
 もう一つは、今日のこのオンライン診療の話にしても、例えば最初の例示のDtoD、ドクター・ドクターの話とドクター・ツー・パーソンの話というのは全然別立てのものです。遠隔診療でDtoDというのは、確かに離島などを含めて非常に大事な方法だと思いますが、DtoPの話というのは非常に大きな問題があると考えています。
 例えば、六本木の診療所でオンライン診療で沖縄の僻地の患者さんを診療して、処方したときに、準夜、深夜で急変した場合はどこに相談するのでしょうか。相談するところというか、恐らく診療所の先生は準夜、深夜の対応はほとんどしていないわけですね。これは別にオンライン診療に限らず、精神科の場合も、昼間しか診察していない心療内科の患者さんの準夜や深夜の対応というのは、各地区の精神科病院がほとんど対応しているわけです。そういう問題がさらに公立病院を含めて、そういう急変時の対応を全部病院が引き受けなければならないというリスクの下に、オンライン診療はどんどん進める話なのでしょうかということを厚生労働省に聞きたいと思います。
○永井部会長 ありがとうございます。
 事務局、いかがでしょうか。
○総務課長 ありがとうございます。
 まず、経済界発の政策なのではないかという御指摘でございました。私どもも御意見として受け止めをさせていただいて、重要なのは、この医療部会におきまして、医療の実態を踏まえた丁寧な議論、案件によっては診療科ごとにも状況は違いますし、その地域で患者さんと先生の間の信頼関係等、いろいろ組まれていると思いますので、そういう実態を踏まえた議論をしっかりとしていくべきなのだろうと考えています。
 委員の御質問は、オンライン診療を進めるときの国の考え方ということでございますが、これはもう御案内のとおりでございまして、まず、やはりオンラインを使うということで、ICTの機器の技術がかなり急速に進展しているという中で、それを使って、逆に地域では如何に必要な医療を適切に届けるかが当然ながら求められている中で、どういうふうに技術の進展を果実として患者の皆様にお届けするのか、そういうことがどうやったらできるのかという観点で、オンライン診療というものを考えて、その適切な普及なり発展を願っておるということでございます。
 その際には、当然情報のセキュリティの問題ですとか、新しいものであるがゆえに留意しなくてはならないといった点もあると思いますので、単純に進めていくということでもなかろうかと思いますが、やはり重要なのは技術の進展をいかにその地域の患者の皆様にお届けするのかという観点で議論しているということでございます。
 したがいまして、本件につきましては、この医療部会ならではの現場の実態に即した議論を行っていただきたいと考えます。
 それから、私どもの説明につきましては、しっかりと本筋を外さないような御説明を今後とも気をつけてまいりたいと思います。
○永井部会長 山崎委員、よろしいでしょうか。
○山崎委員 オンライン診療時における患者さんの急変対応というものについてはどういうお考えなのでしょうか。例えば、精神科の場合は、自殺企図の患者さんが非常に多くて、向精神薬をオンライン診療で処方して、準夜帯に死にたくなってしまったというのは、患者さんはどこに相談すればいいのでしょうか。
○永井部会長 お願いします。
○医事課長 事務局、医事課長でございます。
 オンライン診療を行った患者の急変時の対応ということで、現行のオンライン指針におきましても、対面診療の組合せの重要性や、急変した場合、そうした対面診療をやる医療機関との連携については一定の記載をされているものと考えています。その上で、医療提供体制においてどう活用していくかは、まさに今日、キックオフとしてこの部会でまた御議論、御意見をいただきながら進めていければと思っております。
 以上でございます。
○山崎委員 これは確認なのですが、最初にオンライン診療が診療報酬に入ったときは、オンライン診療を受けるドクターと患者さんの距離、何分以内に患者さんが診療所に駆けつけられるといったある程度の距離制限があったと思いますが、今回の診療報酬ではそれが外れていると私は解釈しているのですが、オンライン診療の患者さんとドクターとの間の距離制限はまだついているのでしょうか。
 厚生労働省に聞いています。
○医師養成等企画調整室長 事務局でございます。
 診療報酬上、距離要件は今回の改定でなくなったと聞いておりますが、今、医事課長が申し上げましたとおり、指針上の中で、例えば対面診療が必要になった際の実施体制といったものについては整えた上でやるようにという指針上の記載になっておるというのが現状でございます。
○山崎委員 結構です。
○永井部会長 次に、遠藤委員、お願いします。
○遠藤(直)委員 どうもありがとうございます。
 今日、私は町村会を代表しまして、今回の遠隔医療のさらなる活用について一言申し上げたいと思います。
 中山間地域や離島等の条件不利地域では医師不足が深刻化しており、今後始まる医師の働き方改革により、大学病院等からの医師派遣が難しくなることで、ますます医師確保が難しくなるのではないかと懸念しております。このような大変厳しい状況の中、先般の指針改訂により、初診からオンライン診療が可能となったことは、受診機会を確保する観点からも、今後のさらなる活用に期待するところであります。
 また、医療資源が乏しい町村部においても、オンライン診療を含む遠隔医療が有効活用できるよう、基本方針などのソフト面の整備に加え、通信環境の整備といったハード面についても、関係省庁と連携して推進していただきたいという点を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 野村委員、お願いします。
○野村委員 お願いします。野村と申します。
 私は、4ページの今後の取組というところで、患者・住民の理解を得るための取組ということでお話しさせていただきます。
 遠隔医療ということで、医師、患者間というのは、できることもすごく増えて、地方にいてもより高度な医療が受けられるということも理解しております。
 ただ、すごく幅広く壮大なイメージに感じておりまして、こういうことを理解はできていても、今後、実際にこれを運用していくために、国民の私たちはどういうことを知っておかなくてはいけないのかとか、対面がオーケーなものと遠隔がオーケーのものとか、一つ一つ運用していくに当たって、いろいろ複雑なことを決めていかなくてはいけないのかなと思います。
 高齢になればなるほど、こういうものはすごく取っつきにくかったり、本当に使ってほしい人たちが使えるのかとか、本当に使いたい人が使えるのかということがすごく複雑かなとも思っています。ICT技術が向上していることも理解しておりますが、使う側の私たちの準備も必要だと思うので、地域によって状況も違うと思うので、その中でどうやってこれを運用していくかというのを丁寧に説明していって、多分すごく大きな改革になるのではないのかなと思っているので、ぜひそれが有効に運用されていくように説明とか理解を得るための取組はしていただきたいなということを思い、発言させてもらいました。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 佐保委員、どうぞ。
○佐保委員 ありがとうございます。
 人口減少、少子高齢化社会が進む中で医療人材の一層の不足が懸念されます。また、医療資源について、都市部と地方といった地域間格差も拡大するのではと予想されます。そうした状況を考えると、遠隔医療の推進により専門的な医療を受けられる可能性が向上することが期待されますが、懸念点もございます。その上で、私からは簡潔に5点について述べたいと思います。
 1点目は、診療の質の担保、安全性が課題であります。データ等の誤りで誤診が起き、人命に関わる事故が起きることは、患者やその家族にとって重大な問題であると考えます。遠隔医療を推進する上で、安全性の担保は必要不可欠であると考えます。
 2点目は、遠隔医療を実施する医師と身近で診療してくれる医師の連携強化です。専門的な医療を行う場合、ふだん診療を受けている医師とは違う地方の医療機関と専門的な医療機関が遠隔医療を実施する場合も想定されますが、そうした遠隔医療を行う医師とふだん診療を受けている医師との連携も必要であると考えます。
 3点目は、遠隔医療の活用について、患者と医療機関の双方への周知啓発が必要であると考えます。患者の安心のため、正確な情報を周知していくことが求められます。
 4点目は、遠隔医療を行うに当たっては、設備の導入や操作する人材の育成が必要であり、そのために必要な支援について国に求めたいと思います。
 5点目は、遠隔医療の実施状況の検証です。遠隔医療を進めることで、同時に成果と課題も蓄積されると考えます。効果検証を行いながら、さらなる検討が必要であると考えます。
 私からは以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 神野委員、お願いします。
○神野委員 ありがとうございます。神野でございます。
 今日のこの会議へのミッションということで、好事例を収集して横展開する、基本方針をつくるという3ページにあったことですけれども、これについては賛成といいますか、この方向で行っていただきたいと思います。
 さて、今日の資料の1ページ目、2ページ目は一つの例ということなのだろうなと思いますが、例えばこのDtoDにつきましても、もちろんこれだけではないと思いますし、いいところもあるし悪いところもあるというのも重々承知しますが、ここで言葉のことをぜひきちんとしていただきたいと思います。
 例えば1ページ目に遠隔相談とあります。相談ということですので、これはきっと診断とは関係ないということなのですね。前回のこの部会でも、診療前相談ということがあったと思いますけれども、遠隔相談。それから、遠隔画像診断と遠隔病理診断ということになると、診断ですので、診察して病状を判断するということになります。ただし、治療はないよねということであります。
 そして、次の2ページ目に行きますと、遠隔診療でありますので、こうなってくると、診察、診断プラス治療というものが加わってくる。この辺の言葉の定義というのをきちんと分けていただきたいと思いますし、例えば、1ページの遠隔相談ですけれども、これは相談だけではなくて、もしかしたら、その次の段階の遠隔診断もできるのではないですか。この画像とか病理と同じように、遠隔地にいる医師がDtoDでその患者さんの傍らにいらっしゃる地元の地域の医師と一緒に診察をすることによって、診断もできるのではないですかということもありなのかなと思います。この相談、診断、診療といったものをきちんと定義して今後の好事例を分けていっていただきたいなと強く思います。
 先ほどお話があったように、医師の地域あるいは診療科偏在の解決策として、遠隔診断あるいは遠隔診療というのは、私はやはりありだと思いますし、実際にこの部会も、私も遠隔地におりますけれども、東京に行かなくても意見を出すことができるという恩恵を被っているのも私たちだということで、それは有効に使えるところで私たちは工夫をすることが重要なのかなと思いました。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 今の点、いかがでしょうか。診断と診療と相談。
○医師養成等企画調整室長 事務局でございます。
 御指摘いただきましたとおり、使い分けを今後しっかり気をつけたいと思っております。先生のおっしゃるとおり、例えば、遠隔相談ですと、医師が医師に対する助言などを想定している例示として書かせていただいておりますし、遠隔画像診断や遠隔病理診断などにつきましては、例えば読影レポートを院内で行ったり、手術中の迅速検査など病理医が手術室から離れてやるものの発展したものになるかという形になりますけれども、今後、様々な事例を整理していく中で、相談、診断、診療等をしっかり区別しながら書き分けをするようにしたいと思います。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 次に、遠藤委員、お願いいたします。
○遠藤(秀)委員 ありがとうございます。日本歯科医師会の遠藤でございます。
 遠隔医療における歯科の現状と要望を少し述べたいと思います。
 歯科医療の現場というのは、薬剤の処方を行うケースはそう多くなく、小外科処置が多くを占めておりますので、オンライン診療等を行うに当たっても医科とは少し趣が異なる面があろうかと思います。在宅や医療・介護の現場での歯科衛生士等の医療スタッフ、また介護スタッフへの指示や摂食等に関わるリハビリ相談等が主たるものになるのではないかと考えております。
 こうした中で、令和2年からは、歯科におけるオンライン診療の可能性を探るべく、厚労省委託事業としてICTを活用した医科歯科連携等の検証事業の検討会などを開催、周術期や介護における口腔衛生管理や専門性の高い摂食に関わるリハビリ等のモデル事業が実施されているところです。
 また、歯科のある病院というのは全体の2割程度ですので、歯科のない病院との連携においてもモデル事業を実施しております。さらに、医政局の歯科保健課においては「ICTを活用した歯科診療等に関する検討会」が設置され検討されております。本会においても議論を重ねており、オンライン診療における適切な診療内容を検討すると共に、僻地等のアクセスや環境に係る問題、都市部においても患者自身の課題としての通院困難者等の社会的ニーズへの対応などを基本的な考え方として捉えております。
 今後は、モデル事業等で検証された項目について、さらに検討会でブラッシュアップし、かかりつけ歯科医の関わりを重視するとともに、入院中の周術期の患者や施設・在宅等における療養者への口腔機能管理、摂食嚥下機能に係る対応や疼痛管理、口腔衛生指導管理等も含めた有用な活用を目指しております。
 特に、今回のコロナ禍の特例として、歯科における電話等再診においては処方を原則としているのですけれども、歯科においては口腔衛生指導等が有用であり、医療従事者のみならず、患者及び家族等にとっても有効な方策を探りながら、歯科における遠隔医療の在り方についても医政局を中心に整理をお願いしたいと思っているところです。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 では、河本委員、お願いします。
○河本委員 ありがとうございます。健保連の河本でございます。
 私は2点、意見と要望を申し上げたいと思います。
 今後、基本方針を検討していく上では、遠隔医療活用の目的を明確にしておく必要があると考えています。医療におけるデジタル技術の活用というのは、医療資源が十分でない地域の利用にとどまることなく、今後、生産年齢人口の減少が加速していく中で、医療の質の向上とか効率的・効果的な医療提供を担保するための有用な手段になり得ると認識をしておりますので、こうした点も検討の視点になると考えているところでございます。
 また、3ページの今後の取組でございますけれども、基本方針の検討と好事例の収集、横展開を分けて記載をされておりますが、検討する場合には、DtoD、DtoPのいずれにおいても、先進的な好事例を踏まえて検討することが建設的な議論につながると考えております。事務局におかれては、できるだけ速やかに好事例を収集して、議論の場に供していただきたいと要望したいと思います。
 私からは以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 井伊委員、お願いします。
○井伊委員 ありがとうございます。日本看護協会の井伊でございます。
 まず、医療資源の少ない地域、あるいは通院が困難な患者にとって、遠隔医療・遠隔看護は大変重要だと考えています。既に遠隔モニタリング加算という形で、医師・看護師によるCOPD等への遠隔モニタリング及び保健指導に対する診療報酬上の評価もなされていますが、今後さらに高齢化・人口減少が進む一方、IT技術が向上することを考慮しますと、看護師が遠隔で看護を提供することも含めて基本指針を策定する必要があると考えます。
 具体的には、COPDの急性増悪による救急外来の受診や予定外の再入院を防止できた事例、あるいはがん患者の薬物療法でのモニタリングで皮膚障害の発見、観察支援を行って皮膚障害を改善に導いた事例など、私どもでは紹介ができるところです。
 また、新型コロナ患者の自宅療養におきましても、行政と連携をして健康観察をするときに電話ではなくICTを活用することで呼吸状態などを観察できるという事例もございます。こういった実績を踏まえて、遠隔医療についての基本指針については、看護師が遠隔看護をすることも含めて議論していただく必要があると考えています。
 資料の3ページに、今後の取組として「好事例を収集」とありますので、看護の好事例も入れていただきたいと考えます。
 以上でございます。ありがとうございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 山口委員、お願いします。
○山口委員 ありがとうございます。山口でございます。
 今日、冒頭に山崎委員がおっしゃった政策決定のプロセスのことは私も全く同意見でございます。ここ数年、本当に政府のいろいろな会議体から、もう既に答えが決まったかのように降ってくる案件がとても多いと感じておりますので、やはりきちんと政策決定のプロセスをゆがめないようにしていただきたいということを私からもお伝えしたいと思います。
 その上で、まず1つ質問があるのが、今日この医療部会での遠隔医療についての議論ですけれども、ここで出てきたことは今後どのように展開されていくのでしょうか。例えば、私も入っておりますけれども、「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」といったところでより具体的なことを話し合っていくことになるのか、今日、ここで議題が出されていることについての位置づけみたいなことを事務局にお尋ねしたいと思います。
 それと、今後の取組というところでお願いしたいことですけれども、このオンライン診療については、保険医療機関でされている場合はかなり慎重にされている医療機関が多くて、特に初診からできるということになったことでも、やはり限界がありますので、6%ぐらいの医療機関しか初診からは手がけていないことで危険なことを防げていると思います。
 ただ一方で、美容医療も対象になっていますので、非常に目を覆いたくなるような宣伝がホームページでなされていて、こういった美容医療についての問題点をどのように規制していくのかということも、同じ医療法の中で位置づけられていますので、指針についても同じものが運用されているわけですけれども、こういったところの問題点をどう解決するかということも今後の課題ではないかと思っています。
 3ページの今後の取組の3つ目の患者・住民の理解を進めるための取組ですけれども、今、特に忙しくてなかなか受診できない人に便利だとか、直接医療機関に行かなくてもいいからという理由で利用される方が割といらっしゃるのですけれども、対面が必要な場合というのがどういうときなのか、どんな病気なのか、その理由であったり、あるいは対面をしないことの危険性といったことも国民にはしっかりと伝えていく必要があるのではないかと思っております。
 最後に、好事例を収集すると書いてあるのですけれども、恐らく私が「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」に入っているからだと思いますが、いろいろな取組をされているところから連絡があって御紹介をいただくことがございます。
 その中で2つほど、長野県で行われている、車に必要な機材を積んで患者さんのお家に看護師さんが乗っていって、そこからオンライン診療をつなぐ。それによって、DtoPwithNということをされている。可能な人は車椅子で出てきてもらって、車の中で看護師さんが横についてオンライン診療をするので、患者さんがいつもは寝たきりだったのに、ちょっと車椅子で出るのだというだけで身なりを気にしたり、とても楽しみにされたりということで、患者さんにとってもプラスにつながっているという事例を御紹介いただいたことがありました。こういったことも、看護師の取組として、さきほど井伊委員がおっしゃったことの一つなのかなと思って御紹介いたしました。
 もう一つが、愛知県がんセンターで、今年の4月から実施されるのですけれども、オンライン診療システムを活用したリモート治験を始められるそうです。既にプレスリリースされていますので、御覧になった方もいらっしゃるかもしれませんけれども、愛知県がんセンターで行っている治験について、その情報を知り得たドクターが研究参加者として参加し得る人にこういうのがありますよということを紹介して、もし治験に参加したいということになると、DtoPwithDということで、かかりつけのドクターがその患者さんのサポートをしながら治験を受けていくということが始まるそうです。これはお話を伺って非常にいい取組だなと思ったのですけれども、4月からですのでまだ好事例が出てきていない。こういったことも追跡されてはどうなのかなと思って御紹介をいたしました。
 冒頭の質問だけ御回答いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 ありがとうございます。
 冒頭はこの課題の今後の展開ということでよろしいでしょうか。事務局からお願いいたします。
○総務課長 総務課長でございます。
 山口委員の御質問はいろいろな要素が含まれているかもしれませんが、まずは全体的な、総論的なことで申し上げます。
 まず、既にそのオンライン診療の適切な実施に関する指針というものがあって、それがこの1月に改定をされている。それは、検討会の中で議論して行われたところでございます。この指針は、基本的にはこのオンライン診療を進めるに当たってのルールとかガイドラインといったものを定めるということでございました。
 他方、今回はそれとは別に、基本方針としてオンライン診療の活用を進めていくための基本方針を定めようということでありますので、推進していくという観点で、まずは基本的な方針をつくるのだという宿題への対応でございます。
 こちらにつきましては、この医療部会において議論していきたいと思います。遅くとも年度内ですし、いろいろなタイムスケジュール、我々としては2024年に大きな第8次医療計画というのも始まりますので、今年度にいろいろな文章をまとめていくという意味では年内ぐらいかもしれませんけれども、そういうスパンで基本の方針を医療部会において決めていきたいと考えてございます。
 その議論の中で、場合によってはもう少し規制というのでしょうか、ルールというのでしょうか、ガイドラインというのでしょうか、そういったものの見直しが必要だということになれば、それは指針の議論になり得るということでございますが、まずはこの基本方針をつくっていくということで、この医療部会において議論をしていきたいと考えています。
 以上です。
○山口委員 今、熊木課長がおっしゃった年度内というのは22年度ということですか。
○総務課長 大変失礼いたしました。今年度ではございませんで、来年度内ということでございます。
○山口委員 分かりました。
○永井部会長 では、島崎委員、お願いします。
○島崎委員 今の熊木総務課長の説明である程度分かったのですけれども、まず確認の意味も含めて1つ質問させていただきます。
 今の説明だと、オンライン診療の適切な実施に関する指針というのは、どちらかというとレギュレーションというか、安全性を確保するための規制的な側面が強く、一方、遠隔医療のさらなる活用に向けた基本方針というのは、遠隔医療を進めていくための様々な施策を振興するための方策について議論するという話だったと思うのですけれども、そういう理解でよろしいのですか。
 それから、振興策という話になりますと、例えば診療報酬でそれをどうするかという話も当然出てくるのだろうと思います。もちろん、診療報酬は医療部会の所掌外というか、局で言いましても保険局の所掌なので、診療報酬の事細かな点数をどうするかというのは口を差し挟むべきではないかもしれませんが、どういう経済的な誘導策があるのかということについては、ここの医療部会でも議論できるという理解でよろしいのでしょうかこれがまず質問の1つです。
 質問ごとに区切ってお答えいただければと思います。
○永井部会長 今の点はいかがでしょう。
○総務課長 基本的に委員のおっしゃるとおりかと思います。
 繰り返しますけれども、既存の指針というのはもともと特に無診察治療との関係においてどういう条件の下でそれは可能なのかという観点もあったと思いますので、そういう意味でこういうことであれば可能なのだということが書かれている。そういう意味でレギュレーションなり、規制なりというものであると思います。
 今回は、オンライン診療のさらなる活用に向けた基本方針ですので、そういう意味ではより広いということと、委員の言葉を借りれば、振興策ということを含むということなのだと思います。
 振興策を含むと申し上げましたが、当然ながら重要なのは先ほど申し上げましたように適切な普及ないし発展ということだと思いますので、必ずしも安全性の確保とか情報セキュリティというものは一切触れないということでもないのだろうと思います。そういう意味において振興策を含むと申し上げましたけれども、全体としては推進のための基本方針なのだということでよろしいかと思います。そうしますと、診療報酬なり誘導策ということも、当然その議論の射程には入ってくるということだろうと思います。
 その上でこれはまた委員の御案内のとおり、診療報酬についてはとりわけ中医協というセッションがございますので、その中でのすみ分けは我が方において、会議体の運営としては考えなくてはいけない部分もございますけれども、まず今申し上げたような大方針の下でどういうやり方があるのかというのは、御自由に御議論いただいて御意見をいただければ幸いでございます。それをどうやって役所として受け止めて、どういう形でまとめるかにつきましては、引き続き検討し、相談し、議論していきたいと思います。
○島崎委員 今の御説明はそれで分かりましたが、関連して、もう一つ質問があります。
 先ほど、神野委員が質問されたことともちょっと関係するのですけれども、例えば、資料の2ページ目の左側の図のところに「遠隔診療(オンライン診療)」という言葉が使われています。私が承知している限りは、遠隔医療ではなくて遠隔診療という言葉を使い、それがイコールオンライン診療という書き方をしたのは初めてなのではないかと思いますけれども、いずれにせよ、概念の整理はきちんとしていただきたいと思います。
 その上で、あえて申し上げますけれども、オンライン診療の基本指針の中では、医師―医師間、つまりDtoDの場合についてはオンライン診療の指針の対象外とされていますね。
 これはなぜかというと、患者との関係で一義的な責任を持っているのは、その患者を直接診ているお医者さんであるという考えに立っていると思われます。しかし、例えば遠隔画像診断において、地元の医師が患者さんの画像を専門の読影医がいる大学病院に送稿したときに、その画像を読影した専門の読影医は、1ページの資料に書いてありますように、読影結果を登録して、そのレポートを地元のお医者さんに送るわけです。これは明らかな診療行為なわけです。読影医の行為は医学的な判断をしておりますし、そしてその結果の所見レポートは文章で送付しているのであり、単なる助言とは言えないのだろうと私は思います。しかし、オンライン診療の基本指針では、これは単なる助言だということで、この指針の適用外としてしまったわけです。
 私は過剰なレギュレーションをすべきだということを申し上げているわけではないのですけれども、DtoDの場合、一切オンライン診療の基本指針から外してしまうことについては問題があるとかねがね思っているのですけれども、その点については見直しをされるお考えはないのでしょうか。
○医事課長 医事課長でございます。
 御指摘いただいた遠隔での読影・診断を他の医師がやっていくということについての責任の所在についての御質問かと思います。オンライン診療の指針は、先ほど総務課長からお答えさせていただいたとおり、こうした議論の中で見直しが必要な場合については改めて検討させていただければと思っています。いずれにしても、診療共同でやっていく中でそれ相応の医師に責任が生じてくるものだとは思っております。
 以上でございます。
○島崎委員 なぜそんなことを申し上げているかというと、今後、医療技術が発達していきますと、例えば画像が送られてきた大学病院等においても、AIでそれを分析、解析をしてスクリーニングするとかいろいろなことが起こってくるはずです。現にそういうことが起こっているかもしれません。そういうことなども踏まえると、DtoDの場合、それは大学病院等の読影のお医者さんが地元のお医者さんに対して「助言」しているにすぎないとして、オンライン診療の基本方針から外してしまうというのは考えものだと思いますので、今後ぜひ検討をお願いしたいと思います。意見は以上のとおりです。
○永井部会長 ありがとうございます。
 では、今村委員、次いで釜萢委員、続けてお願いします。
○今村委員 ありがとうございます。
 まず、今回、厚労省から出された資料の中で、好事例を集めてこれを資するようにするというのはもう全くそのとおりで、賛成したいと思います。ただ、好事例ばかりではなく、やはりいろいろな課題も多分出てくるので、課題の検証も改めて付加していただければと思っております。
 それから、先ほど厚労省の御説明の中で、遠隔医療の振興策という言葉が何度も出ておりましたけれども、振興策という言葉は、産業政策の言葉だと私は理解をしています。国民の医療の質を高めるとか、医療へのアクセスを改善するためにこういった遠隔医療が使われるべきだということでありますので、推進策という言葉で言っていただきたいなと思っています。
 それを踏まえた上で、何点か申し上げたいことがありまして、まず1ページのいわゆるドクター・ツー・ドクターの遠隔医療は、今後の日本の医療にとってもう絶対に進めなければいけないものだと思っております。先ほどからお話がありましたように、医師の偏在、医療従事者の偏在であるとか、あるいは医師の働き方改革というのはこれから大きな課題になってきますので、これは進めていくべきだと思います。ただ、こういう例示が、画像診断、病理診断と、先ほど神野委員からもお話がありましたけれども、非常に限られておりますが、例えば、コロナの感染症に関して日本の集中治療の課題が一部現れました。そういった中で、遠隔のICUであるとか様々に医療従事者同士が連携するための手段としての遠隔医療の重要性はどんどん増してくると思っております。
 また、今、島崎委員からお話のあったAIの活用というのも、もう避けては通れない問題だと思っております。今、内閣府で、いわゆるSIP事業の中でAIホスピタルという事業が展開をされていて、日本中どこでも活用できるようなAIシステムの構築が言われております。そういった事業が進む中で、この間の参議院の予算委員会の中で岸田総理もこれに触れられて、今後、国を挙げてこういったAIのシステムを支援していくことをおっしゃっていますので、これは遠隔医療と非常に親和性の高いものだと思っております。こういうことも少し触れていただいたらよいのではないのかなと思っております。
 2点目は、先ほどから山崎委員、山口委員もおっしゃったように、どこで何を決めていくのかということが非常に問題になっていると思います。この指針の検討会にも、本当に様々な立場の方たち、医師や医療従事者だけではなくて、多くのいわゆる企業の方たちとか規制改革の方たちも入って議論をして、真摯な議論の上にいろいろなことを決めたわけですけれども、突然また別のところから違った結論が出てくるということが起きました。こういう物事の決まり方は、国のそれぞれの審議会の役割について疑問を抱かせることになりますので、ぜひこの点も厚生労働省はしっかりと、どの検討会で何を決めて、それ決まったことをどのように実行していくのかを明確にしていただければと思っております。
 もう一点は、先ほどこれも山口委員がもう既におっしゃったことなのですけれども、自由診療の問題です。これは当初から指針の検討会でも私も申し上げたのですけれども、保険診療の中は相当に厳しいルールがいろいろありますので、何か不都合なことが起これば監査を受けるということあるわけですけれども、自由診療は正直、野放しといってもよいような状態になっている。そして、国民の健康に非常に悪影響を及ぼすようなことがオンライン診療の中に起こっていて、先ほど山口委員がネットで見るとものすごい数がということですが、指針で初診からのオンライン診療が認められた後に、恐らく相当な数の医療機関が初診からオンライン診療で糖尿病の薬をやせ薬として送りますというような宣伝をしている。もともと日本人の女性の方たちは、別に太っているわけでもないのに美容のためにこういったやせ薬を使うみたいなことが起こる。国民の生命や健康にも悪影響を及ぼすようなことを、結局、きちんとした規制をかけられないという大きな問題があるわけです。
 だから、当然のことながら日本では保険診療というのが医療の中心であるということはよく理解していますので、それを中心に議論することは当然だと思いますけれども、国民の方たちが医療の情報の非対称性が非常に強い中でこういった健康被害を受けるようなことは、結局、新しいイノベーションが起こって、それが本来の利用すべきところでないところでどんどん広がっていくという非常に大きな問題だと思っておりますので、この点についてもぜひ厚生労働省は積極的に関わるようにしていただければと、これはお願いでございます。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 それでは、釜萢委員、お願いします。
○釜萢委員 ありがとうございます。
 今回の医療部会において、遠隔診療について集中的に議論がされるということですが、既に皆様からお話がありますように、この問題はいろいろな検討会でさまざまな角度から議論が行われてきたことだと理解をしています。その中で、今後さらに遠隔診療を進めていく場合には、遠隔診療を受けられる方への留意事項の周知が不可欠です。冒頭で遠藤町長さんがお話しになられたような場面で遠隔医療がさらに役立つというのは、これはぜひ必要なことで、進めていかなければならないわけですが医療を提供する側からしますと、患者さんを直接診察する場合と、遠隔でオンラインで診療する場合とでは、オンラインの場合には多くの制約があって、直接対面で診療するのとは得られる情報量に大分違いがあります。そのことによる対応の限界について、遠隔診療を受けられる皆さんがしっかり踏まえられることが重要です。例えば、忙しい勤務をしておられる方が、生産性の向上を図るために利用されるという場面を想定して、遠隔診療の限界というか、無理な部分についての理解がしっかりなされた上で実施されることがぜひ必要だろうと思いますので、もう一度その点を指摘しておきたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 では、酒向参考人、お願いします。
○酒向参考人 ありがとうございます。
 先ほど総務課長から、今回の基本方針は遠隔医療の活用を進めるための方針であると明言いただいたところでございます。この策定に当たりましては、オンライン診療を含めた遠隔医療についてのメリットをぜひきちんと打ち出していただければと思っております。例えば、患者さんや医療提供者の選択肢が拡大するとか、医療の質が向上するとか、医療を取り巻く現行の例えば働き方改革の問題などに対応ができるといったメリットをきちんと打ち出すということが大事ではないかなと思っております。
 続きまして、3ページの検討の視点の中の1ポツの果たすべき役割といった点でございますが、一つの果たすべき役割として期待されるところといたしましては、地域医療の提供体制の確保といったところが一番大きいのではないかと思っております。先ほど健保連の方からも御指摘があったところでございますが、効率的な提供、医療機能の分化、連携、集約化などに寄与するといったところも果たすべき役割ということで打ち出していってはどうかと思っておるところでございます。
 検討の視点の2つ目のところで、国、都道府県、医療関係者、それぞれが取り組むべき内容といったところがございますが、まず、新しい技術が非常に有用なものであることをそれぞれが御認識いただいて、積極的に取り入れていこうといったマインドを持っていただくということをぜひお願いしたいと考えております。
 また、そのための横展開も重要だと思っておりまして、最後のポツでございますが、今後の好事例の横展開に当たりまして、国民一般にも広く最新の動向を周知していくことが非常に重要であり、それにより理解を促進していくことを実施していくべきだと思っております。
 その意味から、好事例につきまして、特に医療の提供される側からの視点も重要でございますが、先ほど山口委員からもご紹介のあったような、「患者さんがこういう反応がございました」といった患者さんの視点からの好事例についても幅広く整理をしていただくとよろしいかと思っております。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 楠岡委員、お願いします。
○楠岡委員 楠岡です。
 まず、遠隔医療においての基本としまして、最初に佐保委員からも指摘がございましたように、患者さんの医療安全というのは基本であって、まずそれをベースにいろいろ考えていく必要があるということをしっかり押さえておく必要があるかと思っております。
 その中で、現在の遠隔医療は、指針の中ではあまりまだ取り上げられていないかなり先駆的なもの、ICTとかIoTがどんどん進むことによって、例えば治療機器を遠隔で操作するとか、あるいは極端な場合はダヴィンチのようなロボット手術を遠隔で行うような場合、既に厚生労働科研で行われておりますけれども、集中治療室の医師、専門医が少ないということで、集中治療室をリモートである程度運営するという方法とか、どんどんそういうところが進んでおりますし、こういうものは非常に進展が早い部分がございます。そうしますと、指針が後追いになってしまう。あるいは指針に書かれていないために実施できないという指針が障壁になる可能性もありますので、ぜひ指針の検討の部分におかれましては、先々を見て、十分それに対応できるようなところも含んでつくっていっていただきたいと思っております。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 都竹委員、お願いします。
○都竹委員 ありがとうございます。
 遠隔医療でございますけれども、医療資源が不十分な地方、僻地においては医療水準を確保していくために大変有用で、一つの光明と言えるものではないかと思っておりまして、大いに推進をしていただきたいと思います。また、オンライン診療のみならず、今日の論点にありますようなDtoDといった点につきまして取り上げて議論されたのは大変有意義なことだと思っておりまして、ここは大いに進めていただきたいなと感じております。
 好事例の収集ということで今後取り組んでいくというお話もあるわけでありますけれども、特に僻地における利活用について、大いにお調べをいただきたい。私どもの地域においても、市民病院において、画像の診断をいただく、助言をいただくということもございますし、精神科医の専門病院との症例カンファレンスということも実際行われております。そうした事例はたくさんあると思いますので、ぜひそうしたことをお願いしたいということです。
 もう一つは、在宅医療の現場における活用事例の収集ということでございまして、在宅医療の現場でリアルタイムに病院のドクターから指導いただく、あるいは研修医の方が指導医からの指導いただく、そういったこともあると承知しております。また、多職種での情報共有ということも行われていると承知しておりまして、こうした在宅医療における活用ということについても、大いに情報収集をお願いしたいと思います。
 また同時に、課題の収集ということも重要でございまして、課題がまとまってこその次の対策、政策というものが出てくると思いますので、好事例とともに課題を同じぐらいのウエートでしっかりと収集をしていただいて、そこから次の課題の議論につなげていくということもお願いをしたいと思います。
 また、好事例の横展開の方法でありますけれども、単に紹介にとどまらず、具体的にこれを周知して、よし取り組んでやろうという流れをつくるための手法についても、一つ論点として議論いただければと思っております。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 安部委員、お願いします。
○安部委員 日本薬剤師会の安部でございます。
 私からは少し細かいところでありますけれども、2ページのDtoPのところの処方に関連したことでお話をさせていただきたいと思っております。
 今回の指針では、初診以外の場合には、原則オンライン診療をもって麻薬や向精神薬の処方が可能ということになります。その指針の中では、推奨される事項として、医師は患者に対しかかりつけ薬剤師、薬局の下、医薬品の一元管理を行うことを求めることが望ましいとあって、不適切な事例としては、向精神薬、睡眠薬など、医薬品の転売や不正使用が疑われるような場合には処方することがあってはならないと規定しているわけであります。
 これがきちんと現場で運用されれば、一定の安全性が保たれるとは考えておりますが、一方で、向精神薬、睡眠薬という薬の特性からすると、いわゆる濫用目的で入手したいということが今でもあるわけであります。
 そういった意味では、今回の指針に基づいて可能となった処方で、遠隔診療というアクセスのよさを利用して不正使用の元凶になったり、そういったもののビジネスモデルにつながってしまっては困るわけであります。
 先ほど今村委員、山口委員のほうから、現状のネットでの様々な問題点を御指摘いただいていますし、私もさんざんそういうものを見ておりますけれども、それと同じようなことが仮に自由診療で向精神薬をたくさん入手するというビジネスモデルになってしまっては大変なことになります。そういった意味では、それをどうやって監視・指導等をしていくのか、管理していくのかということ、そして、この指針に基づかないような事態が起きたときに、何をもってコントロールするのか。この指針に違反している場合に行政が何らか対応ができるかというところも含めて、好事例を集めるというのと一緒に、先ほど今村先生もおっしゃった課題というか問題事例というものもしっかりと把握する。これは併せてやっていかなければいけないのではないかと思っております。
 以上であります。
○永井部会長 ありがとうございます。
 木戸委員、どうぞ。
○木戸委員 ありがとうございます。
 私からは2点コメントさせていただきます。
 医療部会としては、やはり医療提供体制における全体的な観点から、時間的、空間的な制約を乗り越えて医療資源の偏在を是正して有効活用につなげる、この方向性と活用すべき目標をしっかりと明らかにした上で、この遠隔技術をもっと前向きに考えるべきだと思います。
 現場では、先ほど楠岡委員からお話がありましたように、ロボット手術など遠隔手術も実際に可能となっており、国境を越えた場所から術者が手術に参加するといった事例も既に現実になっています。プライバシーやセキュリティーの確保などクリアすべき課題もまだまだ多いと思いますけれども、あまりにも慎重になり過ぎて、石橋をたたいても渡らないでいますと、せっかくの技術が国内で育たなくなってしまい、海外から技術を輸入せざるを得なくなり、結局コストが高くついたり、あと海外にプライバシーを含む情報が流出するといった危険も高くなって、安全保障上のリスクが危惧されます。
 もう一点ですが、この資料の3ページにある今後の取組の2番目に、国、都道府県、医療関係者、それぞれが取り組むべき内容とありますが、ここでもう一つ、ぜひ理工系の技術者も重要な関係者として入れていただくことを要望したいと思います。いろいろな有望な技術があって、現場で活用できるものもいろいろあると思うのですが、まだ知られていないものもたくさんあると思います。ぜひ医療側と技術側がもう少しお互い歩み寄って、どんな技術があって、現場ではどんなニーズがあるか、協力して我が国でよりよい技術、システムが開発されて、みんなの役に立つものになっていくといった可能性があると思います。
 私からは以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 今村委員どうぞ。
○今村委員 また御発言の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。先ほど申し上げることを忘れてしまったことも含めて申し上げたいと思います。
 通常、医学がどんどん進歩すると、まず大学病院等、いわゆる大きな教育機関などで様々に医療が行われて、それが中核病院に広がり、だんだん病院、そして診療所への医療に広がっていくというのが一般的だと思っております。
 ただ、このオンライン診療につきましては、日本の大学病院でオンライン診療を行っているというところはすみません私の聞く限りでは、あまり伺ったことがありません。病院でもあまり聞いたことがない。徐々にはあるのかもしれませんが、どちらかというと一部の診療所でこういった医療が行われているということになります。別にそれが悪いことだと思いませんし、その思いのあるかかりつけの先生が自分の患者さんのために、質を上げるためにオンライン診療を上手に利用していくということは良いことだと思うのですけれども、医療安全のことも含めて、医学教育の中で、こういった遠隔医療あるいはオンライン診療について教育というのは行われていないのではないかと思います。厚生労働省としては、ぜひ文科省としっかりと連携をしながら、全ての医師がこういった新しいイノベーションに対しての理解を深めていただくような、いわゆるカリキュラム的なものを大学教育の中できっちりとしていただく必要があるのでないかなと感じております。
 それから、オンライン診療の場合に、今回、新たな指針で大きな改訂は、初診からそのオンライン診療が行えることになったことが一番大きな要素だと思っています。つまり、ずっと継続して診ている患者さんを対面診療とオンライン診療を上手に組み合わせて、医師対医師、あるいは患者さんの側に看護師さんだとか様々な方が一緒にいて協力しながら在宅医療なりを行っていく、あるいは難病のお子さんを遠方で離れた専門医の先生がかかりつけの先生の下で患者さんを診るというような利用の仕方というのは、もともと指針の中でもきちんと検討されていたわけですけれども、特に初診に関しては非常に課題が多いと思っております。
 釜萢先生がおっしゃったように、医療機関に患者さんが来られれば、医療機関、医師の判断で何をすればいいかという必要な検査、道具が自分の手元にあるのです。ですけれども、初診の患者さんが自宅から先生のところに診てもらうときに、その患者さんの側に必要な道具は何があるのかといえば、血圧計か体温計か、昨今であれば酸素飽和度を測るようなものがあるぐらいで、入る情報が極めて限られているわけですね。そういった中で、どういった疾病、どういった症状だったら初診から診ていいかということを医師の裁量で行うことになっていますけれども、医師の責任も非常に重いわけで、そういった意味で、山口委員がおっしゃったように、保険診療の中では軽々に医師もなかなかそういうものをやっていかないということはあります。
 そうは言いつつ、指針の検討会の中で、初診からオンライン診療を行っている方たちのデータの検証を見ると、東京の先生が北海道にお薬をいきなり送ったりといったことがやはり一部ではありますので、これは保険診療の中でも中医協の中で実態をしっかりと検証しながら、不適切な事例があればそういったものを改めていくという仕組みもあるようなので、そういったものをきちんと見ながら、適切に広くオンライン診療が進められるようにということをみんなで合意しながらやっていくことになろうかと思っております。
 私からは以上です。ありがとうございます。
○永井部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
 私からも、これは遠隔医療に限ったことではありませんけれども、やはり質の担保が非常に重要だと思います。こういうネットを使って、特に根拠のない医療が入り込む可能性が結構あるのではないかと。例えば、AI医療にしてもAIでこういうからとか、あるいは先端医療ですら本当に根拠があるのかないのか、そこをしっかり見極めていく必要がありますので、ぜひ質の担保ということを心がけていただければと思います。
 松原委員、どうぞ。
○松原委員 遠隔医療がやりやすくなるということは、今までアクセスに何らかの理由で問題があった方々にとって大変朗報で、いいことだと考えています。
 一方で、外野で遠隔診療を推進したいと言っている方々の思惑としては、これによって医療費抑制が達成できるとかそういう考え方がちらほら見え隠れします。ただ、世界的にはまだ遠隔医療に医療費抑制効果があるという実証研究はないと認識しています。いろいろ委員がおっしゃっているように、質の問題で大きな問題もございます。ぜひこれを実施するに当たって、効果とか悪影響とか医療費抑制はどうなのだとか、必要上に使われていないかという検証をしっかり行っていただきたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 本日の議題は以上でございますが、よろしいでしょうか。
 もしございませんでしたら、本日はここまでとさせていただきたいと思います。
 では、事務局から連絡事項等をお願いします。
○総務課長 事務局でございます。
 本日は一般傍聴の制限をしてございますので、議事録につきまして可能な限り速やかに公表できるように、事務局として校正作業を進めてまいります。委員の皆様方におかれましても、御多忙中とは存じますけれども、御協力をいただきますようお願い申し上げます。
 次回の医療部会の詳細につきましては、決まり次第、改めて御連絡させていただきます。
 以上です。
○永井部会長 それでは、本日はこれまでとさせていただきます。お忙しいところありがとうございました。
 
 

(了)

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