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2022年2月28日 第86回社会保障審議会医療部会

医政局総務課

○日時

令和4年2月28日(月)15:00~17:00

 

○場所   AP新橋 3階 Aルーム


○議事

○医療政策企画官 ただいまから第86回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして、ありがとうございます。
 本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点からオンラインによる開催とし、傍聴は報道関係者のみとさせていただいております。会議中、御発言の際は「手を挙げる」ボタンをクリックし、部会長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。また、議題に対して御賛同いただく際には「反応」をクリックした上で「賛成(親指アップ)」ボタンをクリック、またはカメラに向かってうなずいていただくことで、いわゆる異議なしの旨を確認させていただきたいと思います。
 まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
 本日は、内堀委員、遠藤直幸委員、遠藤秀樹委員、野村委員から御欠席との御連絡をいただいております。
 井上委員、都竹委員、松田委員の参加が少し遅れているという状況でございます。
 医療部会の総委員数が24名で、定足数は3分の1の8名となっておりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。
 次に議事に入ります前に、資料等の確認をさせていただきます。事前に、議事次第、委員名簿、座席表のほか、資料1から3並びに参考資料1及び2を送付させていただいておりますので、お手元に御準備いただければと思います。
 では、以降の進行は、永井部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 それでは、これから始めたいと思います。初めに、欠席の内堀委員の代理として三浦参考人、遠藤秀樹委員の代理として恒石参考人の御出席をお認めいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○永井部会長 ありがとうございます。
 では、議題に入ります。
 オンライン診療の適切な実施に関する指針の改訂について、事務局より説明をお願いいたします。
○医事課長 医事課長でございます。
 それでは、資料1に基づきまして、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の改訂について御説明をさせていただければと思います。
 1ページを御覧いただけますでしょうか。
 昨年6月の閣議決定「規制改革実施計画」におきまして、初診からのオンライン診療について、原則としてかかりつけ医によるほか、それ以外に実施可能な場合について一定の要件を含む具体案を検討するとされたことを受けまして、検討会で御議論いただきまして、本年1月に指針の改訂を行っております。その概要について、本日御説明をさせていただければと考えております。
 まず初めに、「初診に必要な医学的情報」というところを御覧いただけますでしょうか。
 初診からのオンライン診療につきましては、原則として日頃より直接の対面診療を重ねている等、患者と直接的な関係が既に存在する医師。ここでいう「かかりつけの医師」が行うこととしております。しかしながら、そうした医師以外の場合でも、既往歴、服薬歴等の必要な医学的情報が過去の診療録、診療情報提供書等から把握でき、患者の症状と合わせて医師が可能と判断した場合にも実施できると整理をしていただいております。
 それ以外に、診療前相談という欄を、次に御覧いただけますでしょうか。
 そうした場合以外においても、診療前相談として、この欄の2行目の後段を見ていただければと思います。医師が患者の症状及び医学的情報を確認する行為として、診療前相談を定義しておりますけれども、適切な情報が把握でき、医師・患者双方がオンラインでの診療が可能であると判断し、相互に合意した場合にはオンライン診療を実施することが可能であると整理をされております。
 また、なお書きの次の行、下から4行目を見ていただければと思いますけれども、診療前相談により対面受診が必要と判断した場合であって、対面診療を行うのが他院である場合は、診療前相談で得た情報について必要に応じて適切に情報提供を行うことということが付記されております。
 また、最後の段ですけれども、診療前相談の費用等について、医療機関のホームページ等で示すほか、あらかじめ患者に十分な周知をすることが必要であるとされております。
 これが、初診からのオンライン診療を実施する場合について、今、御説明させていただいたものになっております。
 実際にオンライン診療を実施する場合のやり方、内容については、それ以降、症状、処方についてという形で整理をされております。
 まず、症状につきましては、オンライン診療の実施の可否の判断については、安全にオンライン診療が行えることを確認しておくことが必要であると考えておりますので、これは、日本医学会連合で作成いただきました指針等を踏まえて実施をするということが記載されております。
 つづきまして、2ページ、「処方について」でございます。
 現在行われているオンライン診療は、診察手段が限られていることから診断や治療に必要な十分な医学的情報を初診において得ることが困難な場合があり、そのため初診から安全に処方することができない医薬品があると考えております。
 したがいまして、これも同様に、日本医学会連合で作成いただきました「オンライン診療の初診での投与について十分な検討が必要な薬剤」等の関係学会が定めるガイドラインを参考に行うこととさせていただいております。
 ただし、今の特例で実施されている場合と同様に、記載の3つの医薬品の処方については初診の場合には行わないこととされております。
 最後に、「対面診療の実施体制」でございます。
 これは考え方としては、初診からのオンライン診療を行う場合もしくは行った後の対応について、基本的な考え方を整理させていただいております。
 オンライン診療を行う場合は、記載3つございますけれども、「かかりつけの医師」がオンラインを行っていない場合や、休日夜間等で、「かかりつけの医師」がオンライン診療に対応できない場合、また、患者に「かかりつけの医師」がいない場合、また、「かかりつけの医師」がオンライン診療に対応している専門的な医療等を提供する医療機関に紹介する場合や、セカンドオピニオンのために受診する場合と整理をさせていただいております。
 その上で、オンライン診療後に対面診療が必要な場合には、「かかりつけの医師」がいる場合には、オンライン診療を行った医師が「かかりつけの医師」に紹介をし、「かかりつけの医師」が実施することが望ましいとされております。また、「かかりつけの医師」がいない場合等においては、オンライン診療を行った医師が対面診療を行うことが望ましいが、医師の近隣の対面診療が可能な医療機関に紹介することも想定されるとされております。
 今、御説明させていただいたとおり、初診からのオンライン診療について、その前提条件、また、実施の内容、その後の取扱いを含めた対面の診療の実施体制について、指針の改訂が行われております。
 事務局からの説明は、以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございました。
 それでは、御質問・御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
 神野委員、佐保委員の順でお願いします。
○神野委員 神野です。ありがとうございます。
 2件お伺いしたいと思います。まず最初に、コンサルテーション機能の話が出ているわけですけれども、これは診療報酬の枠の外ということで、料金をあらかじめ決めなさいとなっているように見えます。診断とは何ぞやにかかわることですけれども、いろいろなお話を聞いて、そして、臨床推論の下で鑑別診断をしていくわけですよね。そうすると、そこで診断がないというのは大変難しいことではないのかなと。だから、いろいろコンサルテーションとしてお話を伺った上で、ある程度診断をして、そして、この鑑別のために病院に来ていただいて検査したほうがいいですねというのは、診断なのか、診断ではないのかという話になるわけですけれども、私はこの臨床推論をやっていくということも診断の一つであると思うわけです。その辺のコンサルテーション機能と診断の垣根が非常に分かりにくいし、それから、患者さんにとってどこが自費でどこからがオンライン診療の保険診療なのかというのはとても分かりにくいと思うのですけれども、その辺の違いといいますか、範囲というものをきちんと規定しているかということが一点。
 それからもう一点だけ。参考資料の20ページ辺りになりますけれども、D to P with Dとか、D to P with N、すなわち訪問看護等のナースが横にいてオンライン診療するとか、あるいは、専門医が遠くにいて、かかりつけ医と患者さんとオンライン診療するとか、あるいは、実際、私どもの病院でもやったのですけれども、ドクターが濃厚接触等で病院に出て来られなくなった場合に、患者さんは病院にいるけれども、ドクターはお家からオンラインでお話をするといったような、いろいろなパターンがあり得ると思っております。
 そういった意味でそのパターンの整理、それから、全て認めるのか認めないのか等々についても、厚生労働省としての御意見をお聞かせいただければと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
○医事課長 医事課長でございます。
 2点御質問をいただきました。診療前相談とその後の診療に関する御質問が1点目だと思っております。御指摘のとおり、これは実際に実施する場合には、一連の行為の中で行われてくることになろうと思いますけれども、考え方としては、改めて、1ページを御覧いただければと考えております。先ほど、私が説明を割愛した部分にも関係するのですけれども、診療前相談は、オンライン診療が実施可能かどうかについて、医師・患者双方が判断をし、合意をするというプロセスであると考えております。
 なお、診療前相談というのは、診断、処方等の診療行為は含まない行為として、考え方としては整理をさせていただいているという状況でございます。これが1点目でございます。
 2点目の場の議論につきましては、指針本文でも記載をさせていただいておりますが、医師は必ずしも医療機関においてオンライン診療を行う必要性はないとさせていただいておりますけれども、この議論は、いろいろな議論、御指摘があろうところと思いますので、この辺りは、御指摘いただきながら、一定程度、整理をしていければと考えております。
 以上でございます。
○神野委員 ありがとうございます。
 1番目の回答が分かったような分からないような、皆さんお分かりでしょうかね。
 以上です。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
 では、佐保委員お願いいたします。
○佐保委員 ありがとうございます。
 新型コロナウイルス感染症の感染状況にかかわらず、初診からオンライン診療を利用できるようになり、患者にとって利便性が向上することを期待いたします。
 一方、診療の質の担保は課題があると考えます。オンライン診療の利便性だけが強調され、オンライン診療を行う医療機関の質が担保されなくなるのでは本末転倒になると思います。
 また、患者には、自分にとってはかかりつけ医の医師が分からない場合も少なくありません。患者がオンライン診療を実施している医療機関を選択できるよう、適切な情報提供を徹底いただきたいと思います。
 また、オンライン診療後に、必要に応じて適切な対面診療が受けられるよう、安全性の担保に十分御留意いただきたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 河本委員。
○河本委員 ありがとうございます。私からは意見と要望を申し上げたいと思います。
 今般、オンライン診療の指針改定も踏まえ、中医協において診療報酬上の対応が議論され、2月9日に改定内容が答申されましたが、オンライン診療は、患者の利便性向上だけではなくて、現役世代が働きながら必要な治療を効率的・継続的に受ける上で有用な手段だと認識をしています。コロナ禍にあって、感染リスクを避けながら必要な医療を提供できるメリットも明らかになったと思います。私どもとしては、今回の指針の改訂と診療報酬改定を通じて、オンライン診療が適切に普及していくことを期待しています。
 一方で、一連の対応が医療提供体制や患者の受診行動にどのような影響をあたえているのかはしっかりと見極めるべきだと思っておりまして、今後、医政局、保険局の双方において実態把握をしていただいて、この医療部会に対してもその結果を報告し、必要に応じ議論ができるようにしていただくようお願いしたいと思います。
 私からは以上です。
○永井部会長 ちょっと声が途切れ途切れだったのですが、分かりましたでしょうか。事務局よろしいですか。
(医事課長首肯)
○永井部会長 ありがとうございます。
 楠岡委員、どうぞ。
○楠岡委員 楠岡です。
 全体の方向性あるいは内容に関しては、特に問題はないと考えております。
 平成30年に出されたときの指針から大きくというか変わった点として、1つは、かかりつけ医というものを入れ、前の指針では、必ずしもかかりつけ医というものはなかったのに対して、今回、かかりつけ医というものを基準に置いたということ。
 それから、前回は、医師と患者だけだったのが、間に看護師とか他の医師が入っている場合を想定したということ。
 そして、通信環境について、時代の変化を踏まえて、さらに詳細に区別、検討したという、その3点が大きな変更点と考えてよろしいのでしょうか。
○永井部会長 事務局、いかがでしょうか。
○医事課長 これは、指針の改訂につきましては、数次重ねているかと考えておりまして、今回の改訂につきましては、ただいま御説明させていただいた初診の部分の取扱いについて、直近の改訂では、内容の変更をさせていただいているというものになっております。
 以上でございます。
○楠岡委員 分かりました。かかりつけ医が入ったことによって、初期の頃の指針からは大分制約が増えたような感じを受けるのですが、その点に関しては、最初の頃は、保険診療でないものに関してかなり自由度があったのが、今回、そこはかなり絞り込まれたという判断でよろしいのでしょうか。
○医事課長 事務局でございます。
 これは他の委員からもぜひ御意見をいただきたいとは思いますけれども、初診の取扱いにつきましては、今回のところで、かなり実施できる範囲ということを明確化した上でさせていただいておりますので、範囲としては実施できるところはかなり増えてきているのではないかとも考えております。
 以上でございます。
○楠岡委員 ありがとうございました。
○永井部会長 島崎委員、どうぞ。
○島崎委員 御説明を聞いておりまして、今回の措置はいろいろ御苦労の跡がうかがわれる内容だったと思います。それから、私は、オンライン診療ないしは遠隔医療については推進すべきだという立場です。そういう前提で感想を申し上げたいと思います。
 我が国のオンライン診療あるいは遠隔医療につきましては、無診察診療を禁じた医師法20条との関係で検討されてきたという経緯もあってか、遠隔医療の是非や要件は、医師が対面診療と同等の診療を行えるかどうかという解釈論にベースを置いてきたと思います。
 しかし、オンライン診療ないしは遠隔診療の適正性を確保する観点からは、要件の該当性について、個々の医師に全ての判断を委ねるのではなくて、医師が属する医療機関が一定の関与をすべきではないかと私は思います。
 それから、先ほど楠岡委員の御発言の中にもありましたとおり、通信技術の高度化とか複雑化に伴いまして、組織体として、個人情報とかデータのセキュリティ担保に対応することが重要になっていると思います。特に、なりすましの防止とか、送受信への侵入防止などの徹底というようなことも考えていかなければいけないと思いますので、個々の医師の対応の問題もさることながら、医療機関のコミットメントをもうちょっと高めていく観点が必要になってくるのではないかなと思います。
 さらに申し上げれば、今回は議論の対象になってないと思いますけれども、AI診断といったことをどう考えていくとかという、そういうこともいずれ必要になってくると思います。そういうことを踏まえますと、これまでの医師法20条の解釈の問題というよりも、もうちょっと広がりがある検討が必要ではないのかという印象を持ちました。
 私の意見は、以上のとおりでございます。
○永井部会長 ありがとうございます。医療機関のコミットメントと言うと、具体的にはどういうことをお考えでしょうか。
○島崎委員 例えば、データセキュリティの関係で言えば、個々の医師が対応するということではなくて、医療機関という組織体として、なりすましの防止とか、データの送受信についての妨害行為とか侵入防止措置を講じるといったことです。また、医療機関として、個人情報の流出を防止するための措置を体系的に講じていくとか、あるいは、個々の医師がデータセキュリティの自主的に勉強したり研修を受講するということではなくて、組織体として、医師及びその情報の取扱いを行う関係者に対して教育を徹底していくことが必要になってくると思っているということです。
○永井部会長 ありがとうございます。
 今村委員、お願いします。
○今村委員 ありがとうございます。
 私、オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会に参加しておりましたので、本日ここに御報告いただいたことについてはおおむねこういうことだという理解はよくしております。今日は、ちょっと医政局へのお願いということで。
 オンライン診療は保険診療が注目されておりますけれども、この指針は、保険診療だけではなくて、自由診療にも適用されるということになっております。保険診療の場合、今回の中医協でも、答申書附帯意見として、要するに、オンライン診療の実態をきちんと確認しながら、不適切なものについては、それを改めるような取組を行うことがきちんと書かれており、一定程度の確認ができます。問題は、今回のこの指針の改訂の前から、自由診療の部分は本当に野放し状態になっていて、結局、保険局では、保険診療のチェックはできるけれども、自由診療の部分のいわゆる問題のあるものについては、消費者庁なり何なり厚生労働省以外のところで、いわゆるネットパトロール的に見ていくみたいなことしかできないわけですね。
 逆に、自由診療の中で、かなり国民の生命にかかわる、あるいは健康に悪影響を及ぼしそうな、糖尿病のお薬を瘦せ薬としてオンライン診療で販売するとか、ネットを確認すると、本当にいろいろな問題のあるものがたくさん出てくるわけです。
 医政局として、この指針を所管している以上、何らかの形で厚生労働省の中で協働して、そういった不適切なオンライン診療が国民の健康に悪影響を与えないように、しっかりと取組をしていただきたいというお願いをさせていただきたいと思います。
○永井部会長 ありがとうございます。
 つづいて、三浦参考人どうぞ。
○三浦参考人 ありがとうございます。
 初診からオンライン診療が可能となったことについては、患者にとっての利便性向上、特にへき地などの医療過疎地においても受診機会が確保されるという観点から、有効な活用を期待します。
 なお、実施に際し留意していただきたい点が2点ございます。
 1つ目は、医療の安全の確保が最優先であることです。オンライン診療に適さない症状や処方内容等があることについて、診療を行う医師が本指針を熟知し、適切に診療できるよう、関係団体などを通して十分周知していただき、医療の質を確保した上での実施となるよう御配慮いただきたいと思います。
 2つ目は、診療前相談に係る周知です。かかりつけ医がいない場合等の診療前相談については、医療現場で混乱が生じないように、十分な周知を図っていただくようお願いをいたします。
 私からは、以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 山口委員、お願いします。
○山口委員 ありがとうございます。
 私も、先ほどの今村委員と同様、この指針見直しの検討会でずっと議論を重ねてまいりました。今現在は、時限的措置ということで行われておりますけれども、非常に紆余曲折があった検討会でして、2年前の4月に、面識のない初診ということに対しては、やはり安全性からやってはいけないという結論に至った検討会の結論が覆されて、時限的措置ということで、全て面識のない初診もオーケー、それにとどまらず、電話でもオーケーだというようなことになってしまっている現状がございます。これについては、初診からオンライン診療をやっている医療機関が全体の6%にすぎないということで、前線の医師たちの安全性を考慮した対応によって危険なことが予防できているのではないかなということで、そこが防波堤になっているのですけれども、実際に、この改訂された指針が使われるのは、時限的措置が終わってから恒常化してガイドラインになるのだというふうに私は解釈しております。
 そうしたときに、今、時限的ということで、この2ページにある麻薬や向精神薬の処方は駄目だとか、基礎疾患の情報が把握できていない患者に対しての安全管理が必要な薬品とか、あるいは、基礎疾患の情報を把握できていない患者に対する8日以上の処方はダメということについては、現在、初診からオンライン診療をやっている医療機関が都道府県に届出をして、そして、検討会でその結果を報告していただくことになっております。
 実際、そこで違反している医療機関が毎回毎回同じぐらいの数ずつ出てきているのですね。これが、ガイドラインが恒常化したときに、こういったチェックが継続して行われるのかどうか。そのことを事務局に確認させていただきたい。そのことを検討会のときにも確認してなかったなという気がしましたので、この場でも確認したいと思います。
 それから、先ほど今村委員もおっしゃったのですが、自由診療については、今現在でもきちんと報告するということがなし崩しになっているのではないかと、そんな気がしております。自由診療についても、今の報告ということが実際にできているのかどうかということを改めて確認したいことと、ガイドラインが恒常化したときに、こちらはどのような対応をなさるのか、その辺りの今行うとされているところの確認を事務局からお聞きしたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
○医事課長 事務局でございます。
 どういったものが実施できるかどうかも含めて、よくよく考えていく必要性があるかと思っております。今回、指針を改訂させていただいて、様々な御意見を今日いただいておりますので、今後、どういった取組が必要か、指針の改訂を数次行っておりますので、時代の流れとともに、技術の進歩とともに、必要な取組は検討したいと考えております。現時点で、明示的にちょっとお答えできないところがあるのは申し訳ございませんけれども、どういったことが必要か、改めて検討をしていきたいと考えております。
 以上でございます。
○山口委員 では、決まってないことの1つで、いつから実施になるかも、たしか、いつ時限的措置が終わるかということも含めて決まっていないと思っておりますが、それで間違いないでしょうか。それから、電話で初診ということについては、ガイドラインが実施されてから廃止になると聞いておりますが、時限的措置で長くなるのであれば、電話ということは見直しが必要ではないかと、私は思っております。
○永井部会長 今の点、よろしいでしょうか。
○医事課長 事務局でございます。貴重な御意見、誠にありがとうございます。
 オンライン診療は本当に様々な課題があると認識しておりますので、引き続き、繰り返しになりますけれども、医療現場の実情や技術の進歩に応じて必要な取組をさせていただければと思っております。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、この議題についてはここまでとして、次に、医師需給分科会第5次中間とりまとめについて、説明をお願いいたします。
○医事課長 医事課長でございます。
 それでは、資料2に基づきまして、「医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会第5次中間とりまとめ」について、御説明をさせていただければと思います。1ページになっておりますけれども、御覧いただけますでしょうか。
 この中間とりまとめにつきましては、令和4年1月の合同会議において議論いただいて、先般、2月7日にとりまとめを行ったものになっております。大きく5つの項目がございますけれども、1.「はじめに」で、背景を記載させていただいているものになります。本検討会は平成27年から、かなり回数を重ねて御議論いただき、また、その中で4つの中間とりまとめを公表していただいています。その中で、今回のとりまとめにつきましては、これまでの取組を総括するとともに、令和5年度の臨時定員を含めて、今後の医師需給の考え方について整理を行っていただいております。
 2.その内容の1つのポイントとして、「医師の養成数と医師需給推計について」は、全国レベルで、医師数は毎年3,500~4,000人程度増加をしている。そうした中で、今後の需給につきましては、令和11年頃に需給が均衡し、その後人口減少に伴い将来的には医師需要が減少局面になるため、今後の医師の増加ペースについては見直しが必要であるとされております。
 また、3.については、詳細は割愛させていただきますけれども、後ほど本文を御覧いただければと思いますが、これまで実施しております様々な医師偏在対策について記載をしております。
 その上で4.将来の医師需要に関する考え方ということで、中長期のマクロ需給推計の見通しに大きな変化はないと考えられるが、新型コロナウイルス感染症の流行のような事態にも対応できる医療提供体制の構築が求められているとされております。
 また、今後は、地域医療構想の推進やマクロの需給推計に基づく医師養成数の見直しに加えて、改正医療法により位置づけられた新興感染症対策が盛り込まれた医療計画とその一部を構成する医師確保計画等の作成を通じて、適切な医療提供体制や適正な医師の配置について議論を深め、必要な措置を講じていくことが重要となるとされております。
 その上で、令和5年度の医学部定員については、いわゆる歯学部振替枠を廃止して、地域枠臨時定員として活用していくということとされ、また、令和6年度以降の医学部定員につきましては、先ほど御説明させていただいた医療計画の策定を通じた医療提供体制や医師配置の適正化とともに検討する必要性があるため、「第8次医療計画等に関する検討会」等におきます検討状況を踏まえて、検討する必要があるとされております。
 また、最後は、今後の偏在対策に関する提言としては、恒久定員を含む医学部定員に、地域の実情に応じて地域枠の設置・増員を進めていく必要があるとされております。
 また、医師需給分科会で議論を進めてきた医師確保計画・外来医療計画については、今後は、「第8次医療計画等に関する検討会」において一体的に議論されることが望ましいとされております。
 3つ目の○で、診療科の偏在につきましては、総合的な診療能力を持つ医師の育成が重要であるとされております。
 最後に、今後はICT・AIの進歩、タスク・シフト/シェアの推進、仕事と家庭の両立のための勤務環境の改善といった医師の働き方改革をめぐる要因も踏まえる必要性があるとされております。
 事務局からの説明は、以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御説明に、御質問・御意見をお願いいたします。
 最初に、山崎委員どうぞ。
○山崎委員 ありがとうございます。
 このとりまとめの下線のついている部分ですが、令和11年頃に需給が均衡し、その後人口減少に伴い将来的に医師需給が減少局面に入るということで、将来推計を出していますが、先だって一部の報道であったように、昨年の医学部の入学者が、女性が男性を上回ったと報道がありましたね。多分、10年後は、女性医師のほうが多くなるのですよ。そういうことを考えて、この需給推計をしているのでしょうか。女性医師が増えるということは、出産、育児といった時間が取られるわけですし、それから、当直はできません、子供が病気になれば休みますというふうないろいろな制約がかかるわけですよね。女性医師が増えるという前提でこの将来推計はしているのかということを、これは厚生労働省にぜひお聞きしたいのです。
○永井部会長 お願いします。
○医事課長 事務局でございます。
 詳細は、手元にございませんが、基本的には、直近の傾向、状況を踏まえた仮定を置かせていただいて推計をしております。将来どう変わっていくのかというのはいろいろな議論があろうと思いますが、今行っている推計は直近のものを踏まえてというものになっております。
 以上でございます。
○山崎委員 少なくとも女性医師が増えるということは、通常の病院勤務医師が一定時間相当少なくなるということを考えなければいけないわけですよね。そうしたらば、女性の医師が少なくなる分だけの男性の医師は、そのカバーをする分だけ当然増やさなければいけないのに、医師の需給の在り方の中では、地域枠をだんだん削減していくというふうな話をしているわけですよね。
 この問題は、例えば薬剤師などの場合は、先日OECDの発表によると、10万人当たりの薬剤師は131人で世界でトップですよ。反対に医師は、OECDの水準で言うと半分ちょっと行ったぐらいです。こういうふうなのは国際基準で考えた場合、医師の総数は全然足りないわけですよね。それなのにこういうふうな議論をしているのはよく分かりません。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、安部委員お願いします。
○安部委員 ありがとうございます。
 資料を読ませていただきました。医師の養成数、需給偏在対策等の取組や医療計画等の関連については、これまで長年の取組と議論を重ねてきた結論でありますので、非常に具体的かつ適切な考え方が分かりやすく示されていると感じました。
 その上で、この報告に関連いたしまして、薬剤師の視点から意見と要望を申し上げたいと思います。
 薬剤師につきましても、この中間とりまとめに示されているような需給、地域偏在等々の問題が存在しております。特に病院に勤務する薬剤師の不足は、地域医療における課題となっており、医療機関の関係者の方々より薬剤師会に対して、病院薬剤師の不足、偏在の改善を求める声をたくさんいただいているところであります。
 医療従事者の確保に関しては、医療計画の基本方針の重要な項目として位置づけられているわけでありますが、これまで医療機関に勤務する薬剤師の確保については、基本方針に明確な記載がなく、その結果、都道府県の医療計画策定の際にも医療従事者確保の取組対象として薬剤師が議論の俎上にのらない、もしくは不確実な取扱いとなるという状況になっております。
 日本薬剤師会としては、医療計画を通じ、地域に必要な薬剤師が確保されるよう、「第8次医療計画」に向けた検討に当たり、医療従事者の確保の具体的な対象として、従来のかかりつけ薬剤師の確保と併せ、医療機関に勤務する薬剤師を加えていただくことが必要だと考えておりますので、この点については、医療部会の委員の方々に御理解を賜りたいと思っております。
 なお、薬剤師の需給偏在、不足等の課題については、医薬・生活衛生局の「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」において議論されております。令和3年6月にとりまとめが行われており、その結果を踏まえた薬剤師確保に関する調査、検討も継続しております。現時点では、この医療部会に対し、このような取組に関する報告は行われておりませんが、医薬・生活衛生局の検討会が行った議論の成果を医療計画等にも反映できるよう、医薬・生活衛生局と医政局の垣根を越えて連携をいただくよう、ぜひお願いしたいと思っております。
 また、この医薬・生活衛生局の検討会では、薬剤師の需給について様々な要素を考慮しても、将来的には薬剤師の供給が過剰になるという推計がされております。今後、薬剤師が供給過剰にならないような対応が必要になりますが、現時点では、医学部、歯学部のように、学部定員などをコントロールする仕組みを整備するために必要な政策が定められていないという状況にございます。この点は、日本薬剤師会として厚生労働省及び文部科学省の検討会等で引き続き議論しながら、医療提供体制整備における過不足のない薬剤師の確保の観点から、薬学部入学定員を需給実態に応じて抑制できる、実効性のある仕組みが必要であると考えております。この点につきましても、医療部会の委員の方々にはぜひ御理解をいただきますよう、重ねてお願いをいたします。
 私からは以上になります。
○永井部会長 ありがとうございます。
 では、加納委員お願いします。
○加納委員 ありがとうございます。
 私も、この検討会であります「医療従事者の需給に関する検討会」1月に行われましたのに参加しておりましたので、そのまとめ等は大体理解しているつもりであるのですが、そのときに出ていました概要と今回出てきた概要がどのように違うのかということを1点お聞きしたいと思うのです。
 というのは、中間とりまとめの本文である参考資料2の6ページの下から3つ目の○のところの下から2行目に「医療を取り巻く状況の変化を踏まえて」と追加で記載され、医療を取り巻く状況の変化も併せて、改めて、医学部定員について検討する必要があるということが、このときの検討会の意見として最終的に変更点として出されて反映されたかと思うのですね。これは先ほど山崎委員がおっしゃっていた女性の医学部の入学定員の割合等の変化が起きています。これは本当に今、大きな変化になってこようとしておりますし、また、あの検討会でも議論されていました偏在では、開業医と勤務医との間における偏在等、いろいろな問題が、今、山積みになっています。その中で、先程の追加は今どんどん変化してきているのではないかなという要素が大きいので、という議論があのとき大きな意見があり、最終的に変更された点だと私は認識しております。
 この点について、今回中間とりまとめの概要の方においては、おそらく、前の概要と同じ内容の概要だと思っているのですが、この前の検討会で追加された意見の変更に関しては、この概要の方には書く必要はなかった、という理解でこれをまとめられているのか、その点を少し教えていただきたいと思うのですが、よろしくお願いします。
○永井部会長 事務局、お願いします。
○医事課長 事務局でございます。
 今、これまでの議論を踏まえた概要の修正についての御質問だと思っております。基本的には、概要のほうは修正は行っていない状況でございまして、本文のほうは議論の過程を通じて行っておりますが、概要を変えるところまでの修正ではなかったという形で、今のところ概要のほうは修正しておりません。
 基本的には、今後の医学部定員については、先ほどお話しさせていただいたとおり、「第8次医療計画」等に関する検討等を踏まえて、改めて考えていくという結論は変わっていないかと思っておりますので、表現ぶりは少し修正させていただきましたが、概要のほうは修正していないという状況になっております。
 以上でございます。
○加納委員 分かりました。私、本当はここも修正すべき大きなことだと認識しておりましたので、変わっていなかったのでこういう発言をさせていただきました。ありがとうございます。
○永井部会長 では、三浦参考人お願いします。
○三浦参考人 ありがとうございます。
 第5次中間とりまとめに記載のあります医学部定員の在り方や医師の偏在対策、将来の医師需給推計などは、地域の実情に応じた医療提供体制を構築する上で、大切な論点であります。特に医学部定員の在り方においては、恒久定員内での地域枠の設置を要件とすることなく、地域に必要な医師が十分に確保されるまで、医学部臨時定員増を延長するなどの対応を行うことが必要であると考えております。
 医療現場では、医師不足で苦労しており、将来、充足する見通しが立たない不安の声もあることから、「第8次医療計画等に関する検討会」等において検討を進める場合は、都道府県における地域医療の実態を十分に把握しながら、引き続き議論していただくようお願いをいたします。
 私からは、以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 井上委員、どうぞ。
○井上委員 ありがとうございます。
 先週、人口動態統計の速報値が公表されましたけれども、2021年の自然減が60万人ということは、恐らくこれから数十年にわたって、毎年100万人近くの人口が減っていくという世界が来るのだと思います。このとりまとめの中にありますとおり、人口構造の変化やその地域の実情に応じた医療提供体制を構築するということが最も重要だと思います。
 さらに、人口構造の変化等に対応する医療の提供体制のためには、医療機能の分化・連携や、集約化も重要な課題と思います。医師の需給を考える際にも、こういった今後のあるべき医療提供体制も考えながら、どのような医師がどのような役割を地域で担っていくかということも一緒に考えていく必要があると思います。
 とりまとめの最後のところにも、地域医療構想との一体的な議論とか、総合的な診療能力を持つ医師の育成が書かれておりますけれども、この辺りは非常に重要だと思いますので、ぜひ、しっかり議論を継続していただきたいと思います。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 佐保委員、どうぞ。
○佐保委員 ありがとうございます。
 これまで当部会において、新型コロナウイルス感染症と新興・再興感染症への対応を含め、地域での医療提供体制の在り方を議論するだけでなく、日本全体の医療提供体制の抜本的な見直しを議論すべきだと発言してきました。第8次医療計画や地域医療構想と一体的に議論をすべきということに異論はございません。各地域で、良質で効率的な医療提供体制の構築に向けて適正な医師の人数はもちろん、機能に着目した医療機関や病床の数、勤務医と開業医のバランスなども含め、外来を含めあらゆる設置主体の医療機関の参画により、地域の実情を踏まえて議論すべきであると考えます。
 なお、医療機関の雇用問題が生じないよう配慮すべきであるとも考えます。
 また、医療崩壊といった緊急事態などに対して、政府・自治体が医療機関へどういった関与を行うかも併せて議論すべきではないかと考えます。コロナ禍では、自宅療養を余儀なくされ、死亡するような痛ましい事例が発生しています。再発防止に向けて、保健所の体制強化を図るとともに、有事には政府や都道府県の強力なリーダーシップの下、必要な医療提供体制を確保できる仕組みを御検討いただきたいと思います。
 私からは、以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 都竹委員、お願いします。
○都竹委員 ありがとうございます。
 医師の需給の問題は、我々の立場からすると、医師不足ということになるわけですけれども、本当に深刻でありまして、日々頭を悩ませておるわけでございます。その中で書かれておりましたが、地域枠の活用は非常に大きなポイントだろうと思っておるわけでありますけれども、地域枠の運用の仕方ですね。私どもは岐阜県ですけれども、岐阜県も長く取り組んでおるのですが、なかなか目に見えた成果が出てこないということで、3年ほど前から「岐阜県コース」というコースをつくって、市町村長の面接・推薦を出すと。そこで入ってきた学生については、卒業後7年間のうち出身市町村圏域で4年以上働かなくてはいけない、そういったことの導入をされました。
 それによって、ここ3年、私どもの小さいまちでも、毎年一人ずつそれで地域枠に入ってくれる学生が増えてきております。皆さん、事前に地域の医療事情を非常によく勉強していて、こういうへき地あるいは医師不足の地域の医療に貢献したいということを非常に強く言ってくれて、大変望ましい動きではないかと思っておりまして、こうした地域枠の具体的な運用の仕方も大いに御議論いただいて、実効性のあるものにしていただきたいなということを思うわけでございます。
 それに関連して、もう一つ言えますのは、地域枠は一つの都道府県の単位で行われているわけですが、これは全国の市長さん方と話をしております中でも、生活圏が県をまたがっているところが非常に多い。そうしますと、隣の県の地域枠に頼りたいというお話は結構たくさんございます。私どもの岐阜県飛騨市も同じでありまして、富山に非常に近いので、そういった位置関係にございます。なので、そうした県を越えた地域枠の活用というようなことについても、ぜひ御議論をお願いしたいと思います。
 それから、診療科の偏在の話でありますけれども、確かに、産科あるいは小児科の不足は深刻でありますが、特に産科は、これは全国どこもそうだと思うのですが、自治体が巨額の予算を投じて、非常に高額な人件費、給与を払って来ていただくというのが常態化していると見ております。マネーゲーム、パワーゲーム的になっている側面は現実にございまして、決していいことだと思ってないというのが全国の自治体の長の立場ではないかと思われます。こうした問題もぜひ認識をしていただいて、本当に適正な形での医師偏在、診療科偏在の解消が行われるように、ぜひ御議論をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 河本委員、お願いします。
○河本委員 ありがとうございます。
 私からは質問と意見を申し上げたいと思います。
 資料の5.の「今後の偏在対策等に関する提言」の中で、「幅広い地域のニーズに対応できる総合的な診療能力を持つ医師を育成することが重要」とございます。この必要性・重要性は私どもも従来から主張しておりますけれども、総合診療専門医の養成が始まった2018年度以降、専攻医の数は毎年200名程度にとどまっていると。22年度も250名、全体の2.6%程度と報じられております。少子高齢化の傾向が不変な中で、総合的な診療能力を持つ医師の確保は、必要な医療を効率的に提供する上で極めて重要でございますけれども、先ほどのような状況を聞くと、心配せざるを得ないというところでございます。
 都道府県の医師確保計画の策定に向けた国のガイドラインを見ますと、都道府県ごとの診療科別の将来必要な医師数の見通しの活用を促す一方で、総合的な診療を担う医師の役割については、別途、検討を行うことが必要となっております。次期医師確保計画の策定を見据えたガイドラインの改正、これは今後の議論を経て、令和4年度中に行われる予定と聞いておりますけれども、総合診療専門医の確保に向けた厚生労働省内の検討状況についてお伺いをしたいと思います。
 また、もしも総合診療専門医の養成一本やりでは、必要な総合診療を確保できないということであれば、2022年度、2023年度に行われるであろうかかりつけ医機能の明確化、ここに向けた議論の中で総合的な診療機能をどのように位置づけるのかということを検討して、また、次期医療計画においても、それをどう確保していくのかということを議論すべきだと考えております。
 以上でございます。
○永井部会長 それでは、今の点いかがでしょう。
○医事課長 医事課長でございます。
 総合医の養成に関する検討状況ということで、これは本当に、ぜひ、ほかの先生方からも御意見をいただければと思っております。本当に難しい議論であると認識しております。ベースとしては、臨床研修のところできちんとそれを身につけるという議論から始まり、その一方で総合診療専門医の議論もあると思っておりまして、こうしたところについては、我々も実務として、養成に現場で取り組んでいただきながら、専門医機構等々でも検討をしていただき、また、我々も研究班等でも御議論いただいているという状況です。そうした検討の状況やこうした意見を踏まえて、次の取組を検討していきたいと思っておりまして、今、明示的にこうしたものかというところを方向性をお話しできなくて恐縮ですが、でも、いずれにしても非常に重要なテーマだと思っておりますので、継続的に取り組んでいきたいと思っております。
 以上でございます。
○都竹委員 よろしくお願いいたします。
○永井部会長 小熊委員、お願いします。
○小熊委員 ありがとうございます。小熊でございます。
 私どもは地方の医療を幅広く担当しているという自治体病院でございますので、そういったものから見た今の不満を、あるいは、需給の在り方、偏在のあり方、不足というのをどう考えているかということをちょっとお話しさせていただきたいと思います。
 今までにもいろいろな検討がなされて、対策もなされて、確かに少しずつは医師が増えてきているということは言えるのですが、まだまだ絶対的に足りないと思います。
 1つは、医師の需給を算定する方法が、今いろいろなことをおやりですけれども、まだまだ甘いと。必要な医師数あるいは医療の内容にとって、どれだけのものがそれぞれの地域で要るかということをもっと厳しく見つめなければいけないだろうと私どもは強く感じております。先ほど山崎委員がおっしゃったように、男女の問題とか、年齢の問題とか、それから、医療の進歩、専門性に基づくいろいろな必要な数というものをもっと厳しく算定しなければいけないのではないかと私どもは思っております。そういう専門医もそうですし、総合診療医もそうであります。それに基づいて地域枠も当然決まってくると考えているところであります。
 もう一つは、病院勤務医がある程度年齢がたちますと、皆さん開業に移っていきます。その開業に移っていくというのはなぜかということをもう少し真剣に考えていただきたいと思います。病院の勤務の実態が厳しいから、それが1つあると思います。もう一つは、開業することが経済的にも時間的にも楽だからです。はっきり言います。そういったことを解決しないで、自由に開業していいですよと、病院を辞めて、いつでも開業していいですよと、そういうようなやり方をしている限り解決されないと我々は思っております。少なくとも一人の医者をつくるのに1億円ぐらいかかるわけですよね。そういった中で、地域の本当に必要な状況を無視して走ってしまう。中には、かかりつけ医の機能も捨てて、9時-5時の楽な勤務でたくさん経済的にお金が入るというような、そういうシステムです。それに惑わされている方がたくさんいるのだと思います。そこを改めないで、いろいろなことを検討したところで、これは駄目だと私は思っております。
 ですから、そういったことをもっと抜本的に考えていただかないと、出生数が今はもう80万ぐらいですから、その中で9,330人の医者を今後毎年養成していくわけにはいかないわけですから、そういったことをよくよく国は腹をくくって考えるべきではないかと私は思っております。非常に乱暴な危ない意見であるかもしれませんが、こういう考えを持っているのもいるのだということを御理解ください。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 松原委員、お願いします。
○松原委員 女性医師が増えたので、出産とか育児とか子供の病気などで休むことも多いから、それに対応できるように需給を考えなければという御意見が出ていると思うのですけれども、女性とか男性とか関係なく、子供が生まれたらちゃんと育休を取る、子供が病気をしたら休むと、こういう人間らしい生活をしながら、全力で地域医療を守る、そういうことができる体制づくりを目指すべきなのだと思います。
 こういうことを言うと、理想と現実は違うのだと笑われるかもしれませんけれども、このままでは、先ほどおっしゃったように、1億円もの公的資金を1人の医師を育てるのに使いながらも、結局、現場でいくら頑張っても報われないと。で、離れていってしまう。こういう現実をしっかり直視して、女性が過半も増えたから、もっと医師を増やさなければと、そういう考えではなく、そもそも人間らしい生活をしっかりしながら、地域医療をしっかり守る、そういう大切づくりを目指していただきたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 木戸委員、お願いします。
○木戸委員 私は最初のほうで山崎委員から、女性医師の増加の件についてお話があったところで、ちょっと誤解のないようにコメントをさせていただきたいと思います。
 女性が男性を上回ったというのは、あくまでも医学部の合格率の問題で、全体における受験者の数はまだまだ男性のほうがずっと多いために、合格者の数自体はまだ男性のほうがずっと多いです。ですから、女性が半数を超えてくるのは、恐らく我が国ではまだずっと先になると考えます。これまでも受験者数自体が少ないところ、合格率もかなり恣意的に低く抑えられていたということもありますので、今の女性医師の全体での割合は2~3割程度ですけれども、確かに、御指摘のように、これからはどんどん増えていくことが考えられると思います。
 私が心配しておりますのは、むしろ性別のことよりも、医師の高齢化だと思います。国民も高齢化していきますが、医師も高齢化してきます。高齢になれば、もちろん男性も当直免除になりますし、体調が悪くてお休みになることも出てくると思います。私ども産科では御指摘がありましたように、なかなか人材不足で、夜間・休日に働く医師を確保するのは現場では大変難しいです。私自身ももう還暦近くですけれども、まだ月に4回程度当直している状況ですが、女性であっても、高齢であっても、制約があるとされる医師が能力を生かして働けるような、そういった制度設計をすることは十分可能です。それは私どものところではやっております。これまでのように、若い男性医師を酷使して現場を回していくという仕組みは、今後の人口減少社会では、まず、そこから変えるべきと思いますし、そういった意味で働き方改革が進められていると理解しております。
 働き方改革でマンパワーが減るという試算になっていますが、むしろ、有効なマンパワーを働き方改革によって増やすこともできるはずです。ですから、そうした観点から、より精緻な制度設計とか働き方の工夫、それから、医師養成のシミュレーションを行うべきだと私は思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 相澤委員、お願いします。
○相澤委員 誰もおっしゃらないのであえて言わせていただきますけれども、私は決して若くないのですが、若い医学を目指して頑張っている人の立場に立って考えますと、人口の少ない地域で医師になる教育を受けるということ自体にも不安を感じております。御存じのように1県1大学構想を進めてきて、いまや、人口が50万、60万の県に1医学部があるわけですよ。そうすると、50万、60万て、東京の1つの区よりも少ない人口のところで、本当に臨床経験を十分に積むことができるかといえば、そこはもう心配なのですね。若いうちは、なるべく早く卒業して、早く臨床経験を積める地域に異動しようと思っていることは、間違いのない事実なんです。
 ですから、これからは基本的に医師を育てるという大学がどうしていくのかということも非常に重要なことになっていくということをぜひ考えて、基本的に言うと、人口何百万に1つくらいの大学をつくって、そこを充実させていくという、本当に抜本的な改革を考えないと、へたをすると、若い人は医学部に入らなくなるということが起こってくるだろうと思います。
 それと、もう一つは、先ほど働く場にも問題があったのですが、働く場というのを本当に国の施策としてそういうところを準備しているのか、準備しようとしているのか。そして、そういうグランドデザイン、青写真を描いているのかといったら、私は今描かれてないと思うのです。社会の構造がどんどん変わっているにもかかわらず、これはちょっと語弊がないようにしていただきたいのですが、医学部の体質は昔のままです。そこの物すごいギャップが起こってしまっているのですね。ですから、これも本当に抜本的に変えていかないと、私はこの国はうまくいかないと大変心配をしておりまして、今、るる、いろいろな個々の話がありましたけれども、大きな仕組みを社会構造の変化に合ったものに変えていく。これをやらない限り、私は大変なことが起こるのではないかと思っているということだけ申し上げたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 釜萢委員、どうぞ。
○釜萢委員 先ほど、今後、特に若年人口が減っていく中で医療従事者をどう確保していくかという御議論があったこと、また、総合的な診療能力を持った医師をしっかり養成していく必要があるという御指摘があったことについて、意見を申し述べます。
 医療従事者を今後もどんどん増やしていくということは不可能でありますので、いかに働き方を考えながら、現有の勢力がさらに力を発揮していくということが極めて大事になるだろうと思います。
 その中で、総合的な診療能力を持った医師の養成はぜひ必要ですが、これは総合診療専門医の数を増やすことではなくて、臨床研修までの段階で、6年までの参加型の臨床実習と、その後の初期研修を含めて総合的な診療能力をいかにより多くの人にしっかり身につけてもらうかというところで解決すべき問題であると思います。それぞれの医師は専門の領域を持って、そこを極めていくということは皆さん非常に強く希望されていくところなので、それはぜひ実現が図れるようにする必要がありますが、そのこととは別に、地域において総合的な診療能力は若い時期から、そしてまた、ずっと生涯を通じて研さんを積んでいく必要があります。日本医師会が行っております生涯教育研修の機会提供という役割は、今後もぜひ必要になると思います。総合診療の専門医を養成すれば問題が解決するわけでは決してないだろうということを指摘しておきたいと思います。
 それから、小熊先生からお話がありました開業医がどんどん増えていくということについては、東京を御覧いただければお分かりのとおり、開業医の数がどんどん増えているわけでは決してないのであります。しかし一方で、病院を離れていかれるということの御懸念を指摘されたのだろうと思いますけれども、職業を自分でどういうふうに選択し、一生の中でどういうキャリアをつないでいくかということは、それぞれの医師が非常に大切にしているところなので、そのこともしっかり担保しながら、地域において果たすべき役割が明確になって、それにマッチした形でやっていかなければいけないと考えております。
 医師養成にかなり公費が投入されるということは、医療が社会的な共通資本で、社会にとってぜひ必要だから、国がそのために医師養成に支援しているわけで、医師を目指す人はしっかりそこのことを認識する必要があるだろうというのは御指摘のとおりだろうと思います。
 今後、まだ解決が難しい課題が多いわけですけれども、私どもとしては、今申し上げたようなことに沿って粛々と進めていく必要があると考えております。
 以上、意見を申し述べました。
○永井部会長 ありがとうございます。
 では、山口委員お願いします。
○山口委員 ありがとうございます。
 先ほど河本委員が総合診療専門医のことをおっしゃったのですけれども、私も、超高齢社会でこれから高齢者がますます増える中で、総合診療専門医という領域ができたことを初めはとても期待をしておりました。実際に専門医制度が始まって、予想していたよりも実際に総合診療の専門領域に入っていく人が少ないという現実があるわけです。私は、若い方たちで専攻医の方たちとお話をする機会があって、とても地域医療に関心があるとか、総合診療に関心がある、そういう人が専攻医として総合診療専門医を選んでいるかというと、実は選んでいないのですね。理由を聞くと、キャリアパスが見えないというようなことをおっしゃいます。
 ですので、今、釜萢委員のお話を聞いていても、総合診療をする人はみんな総合診療専門医でなくていいのだというような御発言があったように、そもそも総合診療専門医を目指すというのは、何を目指す人なのかということが明確に示されていないのではないかなと、そんなふうに思っております。
 実際に総合診療専門医になったとしても、例えば、ある病院の総合内科というところで勤務していて、その次にどこかでというときにポストがない。そういう現状を見ていると、総合診療専門医を選ぶという選択肢が若い人の中にないのではないかと思いますので、せっかく19の領域の中に入れた以上は、この総合診療専門医を目指す人というのを、具体的にこういうふうな人を考えているのであって、その人のキャリアパスはこうなんだということをもう少し明確に示さないと、数は増えてこないのではないかなと私は思っております。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。大変な貴重な意見をありがとうございました。
 よろしいでしょうか。
 それでは、この件はここまでとさせていただいて、次に、特別措置病室に係る適切な防護措置及び汚染防止措置の基準について、お願いいたします。
○地域医療計画課長 地域医療計画課長の鷲見でございます。資料3に基づいて、御説明をさせていただきたいと思います。「特別措置病室に係る適切な防護措置及び汚染防止措置の基準について」という資料でございます。
 まず1ページ目でございますが、「放射線医薬品による放射線治療について」でございますが、現在、塩化ラジウム、こちらは前立腺の一部に投与されるものですが、そのほか塩化ストロンチウム、そして、左下のヨウ化ナトリウム、塩化イットリウム、こうしたようなものが放射線医薬品として承認されており、患者さんに投与されていると、そんな状況でございます。
 1ページおめくりいただきまして、2ページ目ですが、「治療を受けている患者の入院制限について」ということでございます。放射線医薬品等による治療を受けている患者の入院については、ほかの患者や放射線診療従事者等の放射線防護の観点から、原則、放射線治療病室に入院することとされていると。これは医療法の施行規則で規定されております。
 一方、2つ目の○でございますが、適切な防護措置及び汚染防止措置を講じた場合には、この限りではないとされておりまして、適切な防護措置及び汚染防止措置を講じた一般病室等(「特別措置病室」という。)に入院することができるとされております。
 また、放射線医薬品を投与された患者が、放射線治療病室等から退室する場合の基準、退室基準につきましては、指針におきまして、公衆の線量限度(1mSv/年)及び介護者の線量拘束値、こうしたものを上回らないことが担保されるよう定められているところでございます。
 1ページおめくりいただきまして、今申し上げたことを図にしますと、このような形でございまして、患者入院制限に関する現行の運用についてということでございますが、治療を受ける患者さんにつきましては、右上が、ほかの患者の被ばくが1.3mSv/3か月以下と見込まれる場合は一般病室にそのまま入れるわけですが、下にございますように、1.3mSv/3か月を超えるおそれがある場合には、先ほど申し上げましたように、放射線治療病室に入院、ないしは特別措置病室に入院をするということでございまして、この上で、退室基準というものが定まっておりまして、この退室基準を満たした場合には退室できると、こんなような流れでございます。
 次のページをお願いします。4ページ目でございますが、こうした中、放射線治療病室等に関する課題でございます。現行の放射線治療病室に関する基準については、適切な放射線防護の観点から継続することが妥当と考えられる。これはこれまでどおり、特に変えるという必要はないということでございまして。
 2つ目でございますが、例えば131Iの治療数は年々増加している中で、新たな放射性医薬品の開発が進んでいるが、一方で、放射線治療病室は初期投資や維持費が極めて高いという指摘があり、その病床数が不足しているという状況でございます。
 こうしたことから、また、特別措置病室については、使用する場合、特別な防護措置及び汚染防止措置を講じることが求められているものの、先ほど申し上げたとおりでございますが、これまで放射線防護上の基準や手続等について十分に示されてこなかったと、こうした課題があるということでございます。
 こうしたことを受けまして、次のページでございますが、5ページ目でございます。こちらは、昨年の6月24日において、「医療放射線の適正管理に関する検討会」において議論されまして、こちらの赤字に書いてありますような特別措置病室の基準はこうしたことでどうかということで議論がなされまして、今般、医療法の施行規則を改正するという形で、今回、御報告させていただくものでございます。
 例えば、行政手続におきましては、設置時届出のみが必要と。あとは、濃度限度が、右に書いてありますように、核種ごとに定まる基準、そして、空気中の濃度限度、こうしたものも定められている。また、構造設備基準としましては、遮へい構造、標識、内部の壁、床、そして、出入口付近の設備、洗浄設備、排水設備というものなどが基準として設けられるものでございます。
 例えば、今申し上げました洗浄設備、排水設備につきましては、例えば、放射線治療病室におきましては、こちらに書いてありますように、廃棄施設の排水設備に連結していることが条件になっておりますが、この特別措置病室におきましては、その代わりにポータブルトイレとか、畜尿容器等を使用するというような形で、基準を定めているものでございます。
 また、解除時の除染措置・基準でございますけれども、通常、放射線治療病室には、治療を受けている患者以外の入院は禁止のため、この解除の基準は定まっていないところでございますが、一方で、今回の特別措置病室の基準におきましては、この解除がなされれば一般の患者さんも入院することができるということでございますので、この解除の除染措置の基準としまして、核種ごとに別表第5に掲げる濃度。別表第5というのは、細かく核種ごとに定まっているものでございますが、その濃度の10分の1、また、空気中の濃度限度につきましても、核種ごとに別表第3第2欄の10分の1と、こうしたような形で基準を定めるとしているところでございます。
 次のページでございますが、ページ6でございます。こちらは、先ほど申し上げましたように、6月24日に検討会で基準が定められながら、今までどうしてこのような形で時間がかかったのかという御質問もあるかと思いますが、昨年の6月において議論がなされまして、その当時、ルテチウムが薬事法で承認がなされたところでございます。それを使うに当たりまして、この8月の時点で、「放射線医薬品を投与された患者の退室に関する指針」の改正通知を発出しております。こちらは15ページに参考資料としておつけしておりますが、また、これは後ほど御覧になっていただきたいと思いますけれども、こうした形で退室基準について通知を発出すると。
 また、6ページに戻っていただきたいのですが、8月の時点では※にございますように、検討会での議論を踏まえまして、特別措置病室の基準等について示した関係学会のマニュアルを周知すると。このような形で、実際にはルテチウムは使えるような形で動いているところでございますが、今般、令和4年2月の今日でございますが、医療部会に報告をさせていただいて、こうした基準については、医療法の施行規則として適切に定めることが必要だというような観点から、今回、改正医療法施行規則の交付に向けた報告とさせていただいているところでございます。
 7ページ以降でございますが、こちらは改正案として幾つか書いておりますが、先ほど私が申し上げました基準のものを施行規則の改正案としてお示ししたものでございますので、御覧になっていただければと思います。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、御質問・御意見いただきたいと思います。
 山崎委員。
○山崎委員 基本的な質問ですけれども、放射線治療病室と特別措置病室は、日本全国にどれぐらいあるのでしょうか。
 それと、いろいろなシーベルト(mSv)で基準が設けられていますけれども、これは、多分、国際基準みたいなものに沿った形で決めたと思いますが、基になった国際基準はいつ頃決められたものですか。
 この2点ちょっとお聞きします。
○地域医療計画課長 まず、第1点目でございますが、現在、放射線の治療病室でございますが、全国で約150のベッドがございます。また、特別措置病室につきましては、現在10弱あるという状況でございます。
 もう一つの御質問につきましては、今、ちょっと調べておりますので、後ほど回答をさせていただきたいと思います。
○山崎委員 どうしてそういうことを聞いたかというと、この基準が厳し過ぎるのではないかという気がします。というのは、神経内分泌がんの治療でPRRTという放射線の治療法がありますが、それを国内で受けようと思ったら受けられません。患者団体が2005年ぐらいに厚生労働大臣宛てに要望書を出しましたが厚生労働省からはなしのつぶてだったようです。私の妻はスイスのバーゼルまで行って、PRRTという治療を2回受けました。この時にPRRTを我が国でも入れなければおかしいだろうということを強く申し上げました。妻がバーゼルで治療したときは、PRRTは、治療した次の日は病室にいて、その次の日は、もうオープンスペースに出ていい。その次の日は退院していいという、合計で4日でした。
今回の改正で防護措置の話がありましたがPRRTを導入する場合、PRRTをする基準が厳しくて、既存の大学病院につくれない可能性がある事を心配しています。二重排出をやらなければいけないとか、1週間はその病室内に隔離されてしまうという話があったり、特別措置病室を含めて放射線治療室も大幅に不足しています。がんセンターで、今、治療待ちの患者さんが60人、それと、医科歯科大学では42人の患者さんが待っているという報告があります。また治療の間隔が長過ぎるので、1年間に治療できる患者さんの数に限界があるという事もあります。
 したがって、補助金をつけて病床を大幅に増やすか、規制緩和をして病室を増やすかといった工夫をしないと均等に国民が希少がんに対する治療が受けられないというのが起こりかねません。少なくとも各大学病院で大幅な改装をしなくても、こういう特別措置病室をつくれるような基準まで緩和しなければ意味がないと思いますが、いかがでしょうか。
○永井部会長 お願いします。
○地域医療計画課長 山崎委員ありがとうございます。
 山崎委員がおっしゃったように、現在、放射線治療を行っている患者さんたちが数か月治療を待っているという状況があるのは私どもも承知しているところでございます。まさに、そうした背景があったことから、今回のような対応をまずはルテチウムオキソドトレオチドにおいて取っているという状況でございます。
 冒頭、御質問がございましたような国際基準等に照らしてどうなのかという御質問でございますが、現在の基準は、1990年のICRPの勧告に基づいているもの、また、2007年として改訂を行っているものではございますけれども、原則は、ICRPの1990年の勧告に基づいて行っているものでございます。
 また、全体といたしましては、先ほども申し上げましたように、治療病室が足りないという状況の中で、一般病室でも対応ができるように。ただし、それは実施を行うに当たっては、放射線治療病室と同等の基準で対応できるような形で、構造設備基準などを設定したというところでございますが、引き続き、そうした新しい技術が今後も進歩していくという中で、私どもとしてもどういった対応が取れるのかということは、しっかりと考えていきながら、進めていきたいと思います。
 ありがとうございます。
○山崎委員 せっかく今回こういうふうな大幅な見直しをするのでしたらば、1990年、30年前の勧告に従ってでいいのですか。
○地域医療計画課長 先生すみません。その1990年の勧告に基づいていると申し上げましたが、2007年に改訂はされていますが、多くは改訂されていないものですから、特に科学的な問題があるということではないと理解しております。ただ、いずれにしましても、新しい知見が出てくれば、当然、それに合わせて私どもも考えていく必要があると思っておりますので、その点については、私どももしっかり勉強しながら進めていきたいと思います。
 以上です。
○山崎委員 はい、ありがとう。
○永井部会長 山口委員、どうぞ。
○山口委員 これまで基本的には放射線治療病室を使っていて、緊急時等に一定の適切な汚染防止・防護措置を講ずれば、特別措置病室でもよくなっていて、今回もその基準を決めたというふうに理解しておりますが、ちょっと基本的なことを教えていただきたいのは、今後、放射線治療の中で、どちらでもいいということになるのか、この治療については放射線治療病室でないと駄目とか、そういった基準みたいなものは一緒につくられているのでしょうか。
○地域医療計画課長 ありがとうございます。
 まず、今回の特別措置病室につきましては、現時点では、まず、ルテチウムオキソドトレオチドを想定しているものでございます。理由といたしましては、ルテチウムオキソドトレオチドにつきましては、呼気の中に出ないということでございまして、そうしたようなことから、現在のこのお示ししたような基準を満たすことが可能だということでございますが、実は、それ以外の核種におきましては、呼気に出てくるというようなことがございますので、現時点では、そのまま特別措置病室を適用することは難しいと、そんなような状況でございます。
 以上です。
○山口委員 分かりました。そうすると、安全性の担保ということから、呼気中に出るものについては放射線治療病室を従来どおり使っていって、そこが安全性がクリアできた、呼気に出ないものについては特別措置病室でもいいという、そういう理解でよろしいでしょうか。
○地域医療計画課長 おっしゃるとおりでございます。
○山口委員 分かりました。ありがとうございます。
○永井部会長 楠岡委員、どうぞ。
○楠岡委員 教えていただきたいのですが、今回、特別措置病室に関して基準を定められた中で、洗浄設備、排水設備の項目があるわけですけれども、ここで出てきた排泄物等の事後の処理を考えると、実際は、放射線治療病室を持っている施設でないと特別措置病室をつくれないのではないかという気がするのですが、その辺りはどのような形になっているのでしょうか。
○地域医療計画課長 ありがとうございます。
 必ずしもそうではございませんでして、ポータブルトイレを、例えば畜尿容器等において排泄物等を保管して、それを廃棄をするという過程において、例えば、日本アイソトープ協会に廃棄を委託する等の廃棄物に対する適切な管理がなされれば、必ずしも放射線治療病室を持っている医療機関でなくても対応が可能だというふうに私どもとしては考えております。
 以上です。
○楠岡委員 ありがとうございます。
○永井部会長 ほかによろしいでしょうか。
 ございませんでしたら、本日の議事は以上でございます。
 事務局から、連絡事項等をお願いいたします。
○総務課長 総務課長でございます。
 どうもありがとうございました。
 本日は一般傍聴の制限をしてございますので、議事録につきまして可能な限り速やかに公表できますよう、事務局として校正作業を進めてまいりたいと存じます。委員の皆様方におかれましても、御多忙中とは存じますが、御協力をいただきますようお願い申し上げます。
 次回の医療部会の詳細につきましては、決まり次第御連絡させていただきます。
 以上です。
○永井部会長 それでは、本日はこれで終了いたします。
 お忙しいところをありがとうございました。
 

(了)

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