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2021年12月9日 第84回社会保障審議会医療部会

医政局総務課

○日時

令和3年12月9日(木)16:30~18:30

 

○場所   AP東京八重洲 11階 K+Lルーム


○議事

○医療政策企画官 ただいまから、第84回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
 本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点からオンラインによる開催とし、傍聴は報道関係者のみとさせていただいております。会議中、御発言の際は「手を挙げる」ボタンをクリックし、部会長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は再度マイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。また、議題に対して御賛同いただく際には「反応」をクリックした上で「賛成(親指アップ)」ボタンをクリック、またはカメラに向かってうなずいていただくことで、いわゆる異議なしの旨を確認させていただきます。
 まず、委員の異動がありましたので、御紹介させていただきます。
 平井伸治委員が退任され、新たに全国知事会、内堀雅雄委員が就任されております。後ほど、御挨拶を賜ればと思います。
 次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
 本日は、山崎委員から御欠席との御連絡をいただいております。
 医療部会の総委員数が24名で、定足数は3分の1の8名となっております。本日は23名の委員の皆様が御出席となりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。
 また、井上委員、内堀委員より、用務等のため途中退席されるとの御連絡をいただいております。
 次に議事に入ります前に、資料等の確認をさせていただきます。事前に、議事次第、委員名簿、座席表のほか、資料1-1から3及び参考資料1-1から1-4を送付させていただいておりますので、お手元に御準備いただければと思います。
 
 では、カメラの方はここまでということでお願いいたします。
 以降の進行は、永井部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 それでは、よろしくお願いいたします。
 初めに、先ほど事務局から御紹介がありましたように、新たに内堀委員が就任されていらっしゃいますので、内堀委員から一言御挨拶を賜ればと存じます。よろしくお願いいたします。
○内堀委員 永井部会長、御紹介をいただき、ありがとうございます。
 今年9月、全国知事会の社会保障の常任委員会委員長を拝命した、福島県知事の内堀雅雄です。平井鳥取県知事に代わり、本部会に参加をさせていただきます。皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。
○永井部会長 ありがとうございました。
 それでは、議題に入りたいと思います。
 令和4年度診療報酬改定の基本方針案について、本日はこれまでの議論を踏まえた基本方針の取りまとめ案を事務局より提出いただいております。本日の議論にもよりますけれども、本日、当部会としての取りまとめができればと考えております。
 それでは、事務局より説明をお願いいたします。
○医療介護連携政策課長 保険局医療介護連携政策課長でございます。
 診療報酬改定の基本方針につきましては、これまで医療部会、医療保険部会で御議論をいただいてまいりました。
 去る11月29日の医療部会、それから、12月1日に医療保険部会におきまして、診療報酬改定の基本方針骨子案を出して御議論いただきました。
 本日は、そこでいただいた御意見を踏まえて修正した基本方針の案を、資料1-1及び1-2でお示ししてございます。
 骨子案からの変更点を中心に私の方から御説明をさせていただきます。資料1-2、本文編で御説明を差し上げます。
 令和4年度診療報酬改定の基本方針案で、1番として改定に当たっての基本認識でございます。
 1つ目の基本認識は、新興感染症等にも対応できる医療提供体制の構築など、医療を取り巻く課題への対応でございまして、1つ目の○につきまして、医療機能の分化・強化、連携等の前に、外来・入院・在宅にわたるという言葉を補ってございます。これは、医療保険部会で出た意見を踏まえたものでございます。
 それから、2つ目の基本認識。健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた「全世代型社会保障」の実現でございます。
 1つ目の○の最後の2行のところでございます。若干、表現として、誤解を招きかねないものがありましたので、事実関係に沿って、既に減少に転じている現役世代(生産年齢人口)は、2025年以降さらに減少が加速していく、このように修正をいたしてございます。
 2ページにお進みいただきます。
 3つ目の基本認識。患者・国民に身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現でございます。
 3つ目の○につきまして、前回医療保険部会での御指摘を踏まえまして修正をしてございます。新型コロナビス感染症の感染拡大を契機に、我が国のデジタル化の遅れが顕在化した。社会全体として、ICTの進歩やデジタル基盤の整備が進み、クラウドベースで安全かつ高速に情報を共有・連携することが可能な時代になってきており、個別にシステムを整備するよりも低いコストで運用可能となってきているという指摘もある。こうした背景を踏まえて、医療分野におけるICTの利活用をより一層進め、電子カルテ情報の標準化など、デジタル化された医療情報の活用や医療機関間における連携のための取組の推進等により、質の高い医療サービスを実現していく必要がある。こうした形で、記述を充実させてございます。
 その次の○につきましては、こちらも医療保険部会におきまして、これまで医薬品についてのみ記述をしてございましたが、医療機器についても記述すべきである、そうした御指摘を踏まえて修正いたしてございます。今般の新型コロナウイルス感染症の拡大により、医薬品・医療機器等、「等」は検査を想定してございますが、その存在意義や創薬力の重要性が社会的に改めて注目されてきており、イノベーションの推進により創薬力・開発力を維持・強化するとともに、革新的医薬品を含めたあらゆる医薬品・医療機器等を国民に安定的に教授供給し続けることを通じて、という形で修正をさせていただいてございます。
 それから、4つ目の基本認識。社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和については、特に修正は加えてございません。
 3ページにお進みいただきまして、上から3行目、4行目のところでございますが、これは、医療保険部会、医療部会ともにいただいた御指摘を踏まえまして、成長と分配の好循環、こうしたことを記述すべきだという御指摘を頂戴いたしました。社会保障の機能強化と持続可能性の確保を通じて、安心な暮らしを実現し、成長と分配の好循環の創出に貢献するという視点も重要であると加えてございます。
 なお、これは、今申し上げた4つの基本認識とは、少し次元の異なる話でございますので、あえて一行空けまして、このような文章を記述してございます。
 2ポツが改定の基本的視点と具体的方向性でございます。
 (1)として1つ目の基本的視点、新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築、重点課題でございます。
 基本的視点の2つ目の○のところでございますが、前回の医療部会におきまして、新型コロナウイルス感染症患者への対応につきまして、宿泊療養、これも重要な役割を担ったので、そうしたことの記述をすべきだという御指摘を頂戴いたしましたので、下から4行目のところ、自宅・宿泊療養患者への医療を提供する医療機関という言葉を追加してございます。
 それから下から2行目、各々の医療機関等がということで、「等」を補ってございますが、これも前回医療部会の御指摘の中で、医療機関だけでなく薬局など、様々な主体に御活躍いただきましたので、そうしたことが読めるようにすべきであるという御指摘を踏まえて、「等」を補ってございます。
 4ページにお進みをいただきまして、3つ目の○、真ん中辺りでございますが、地域包括ケアシステムに関するところでございます。
 これも前回医療部会におきまして、急変時の対応というのが地域包括ケアシステムにおいて非常に重要であるといった御指摘を頂戴いたしました。
 4行目の辺りですけれども、急変時の受入体制の確保を含め、医療機関間・医療介護間等の連携の取組を推進することが重要である。このように記載をしてございます。
 その次の○でございますが、3行目の辺り、今回の診療報酬改定においてもということで、今回のという言葉を補ってございます。
 その前に、感染拡大時の短期的な医療需要には、各都道府県の医療計画に基づき機動的に対応することを前提にという言葉を入れた関係で、医療計画の見直し自体は、まだ、これから先の作業になりますが、当然、今回の改定においても、それに先立って医療機能の分化・強化、連携等を引き続き着実に進める、これは自明のことでございますが、今回のということで、それを明確にしてございます。
 4ページの下の方、具体的方向性の例の1つ目の○の1つ目のポツでございます。新型コロナウイルス感染症患者の診療について、実態に応じた評価を行いつつというくだりですが、これは医療保険部会、医療部会ともに、これまでの特例的対応の検証に基づいて実態に応じた評価を行う、そうした趣旨を書き込むべきだという御指摘を頂戴いたしておりました。
 この件につきましては、中医協におきましても、コロナ特例の算定状況等のデータ、こうしたものを事務局からお示ししつつ、議論をいただいているところでございまして、実態に応じた評価を行う、こうした表現に尽きているということで、原案のままとさせていただいてございます。
 5ページにお進みいただきまして、最初の1、2行目の辺りでございますが、急性期病棟について、平時からの体制・機能強化を推進というところにつきまして、これも前回の医療部会、医療保険部会の御指摘を踏まえまして、感染拡大時における対応も見据えつつといった言葉を補ってございます。
 真ん中辺り、3つ目の○でございます。かかりつけ医機能の評価につきまして、医療保険部会、医療部会での前回の御指摘を踏まえまして、1つ目のポツの2行目から3行目にかけてでございますが、個別の疾患だけでなく、患者の療養環境や希望にも配慮した診療が行われるよう、こうした言葉を補ってございます。
 それから、このかかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師の機能の評価の○の中の、4つ目のポツでございます。服薬状況等の一元的・継続的な把握としてございます。前回、服薬情報と書いてございましたが、これは服薬の状況も含めたきちんとした管理をするということを明確にすべきという御指摘を前回頂戴いたしましたので、服薬状況等としてございます
 今申し上げたところの2行下から4行下にかけてございますが、薬局、薬剤師の関係ですが、対物業務、対人業務という言葉を使ってございましたが、対物業務、対人業務を明確に切り分けることは困難であるといった御指摘を頂戴いたしました。
 対物中心の業務を適切にかつ効率的に実施することを前提に、薬学的管理などの対人中心の業務への転換を推進するための、という形で修正をいたしてございます。
 5ページの下から6行目の辺り、医師会等ということで、ここも「等」を補ってございますが、薬局など様々な主体を含み得るということで、「等」を補ってございます。
 6ページにお進めいただきまして、2つ目の基本的視点、安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進、重点課題でございます。
 6ページの下から7ページにかけまして、具体的方向性の例というのを記述してございますが、ほかの基本的視点と比べまして、この2つ目の基本的視点について、やや全体のくくり方が大くくりになっておりましたので、これまでポツとしていた事項の一部を○にするといった形で少し組み替えを行ってございます。
 具体的には、6ページの下から5行目、医療機関内における労務管理や労働環境の改善のためのマネジメントシステムの実践に資する取組の推進、その次の○で、各職種がそれぞれの高い専門性を十分に発揮するための勤務環境の改善、タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の推進。
 それから、3つ目に、業務の効率化に資するICTの利活用の推進、その他、長時間労働などの厳しい勤務環境の改善に向けての取組の評価、こうした形で再構成をしてございます。
 それから、7ページの2つ目のポツのところに、業務の効率化・合理化を推進としてございますが、これは前回、人員配置の合理化という言葉で、それについては誤解を招きかねない表現であるといった御指摘を頂戴しておりましたので、このように修正をいたしてございます。
 7ページの上から2つ目の○、看護の現場で働く方々の収入の引き上げ等に係る必要な対応のところでございますが、ここにつきまして、医療保険部会、医療部会ともに、必要かつ実効性のある対応について検討し、その効果を検証するといった趣旨を加えるべきであるといった御指摘を頂戴してございましたが、これは令和3年11月に閣議決定された経済対策を踏まえ、必要な対応について検討するという文言にしておるところでございますので、原案のままとしてございます。
 7ページの真ん中より少し上から、3つ目の基本的視点、患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現でございます。
 具体的方向性の例の2つ目の○の1つ目のポツ、オンライン診療でございます。下から5行目から4行目にかけましてのところでございますが、前回、医療部会、医療保険部会の中で、11月19日の経済対策、この中では、オンライン診療、服薬指導の適切な普及促進を図ると書かれているので、そうした趣旨を盛り込むべきであるという御指摘があった一方で、前回医療部会におきまして、これから医療へのアクセスが徐々に悪くなってくる中で、患者の医療ニーズに適切に応えるための普及促進、そうした文脈であるべきでないかといった御指摘もございました。
 そうしたことを踏まえまして、患者ニーズを踏まえた適切な普及促進を図る中で、こうした文言を補うとともに、次のポツにおいて、オンライン服薬指導についても同様にということで記述をしてございます。
 7ページの下から8ページにかけましては、先ほど基本認識のところで少し記述を厚くしたところ、そこに対応する形で、医療情報の標準化、ICTの活用等を通じて医療連携の取組を進めるとともに、医療の質を向上させるため、データを収集・利活用したエビデンスに基づく評価を推進してございます。
 8ページの上から4つ目の○のところ、ここは服薬状況と、あるいは対物中心の業務、対人中心の業務、再掲ですので同様に修正をしてございます。
 8ページの下から4つ目の基本的視点、効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上でございます。
 9ページにかけて、特に修正はございませんで、10ページにお進みいただきます。
 10ページの1つ目の○のところで、ここも対物中心の業務、対人中心の業務、同様の記述でございますので、再掲で同様に修正をしてございます。
 3番の将来を見据えた課題につきましては、1つ目の○の後段につきまして、医療保険部会のほうで出た御意見を踏まえて、その際以下を加筆してございます。
 「保険者とかかりつけ医等の協働による加入者の予防健康づくりに関するモデル事業」も実施されているところであり、今後、その結果や、かかりつけ医機能を含む外来機能の明確化、連携等をさらに進めていく方策の検討等も踏まえつつ、地域資源の実情を踏まえた取組を推進すべきであるとしてございます。
 2つ目の○におきましては、これは前回医療部会の御指摘を踏まえまして、補助金等というところに、国や地方自治体のという言葉を補ってございます。
 それから、最後の○の部分でございます。
 最後のところで、国民に対して医療制度に関する丁寧な説明を行っていくことが求められるとしてございました。前回医療部会でも私のほうから御説明申し上げたとおり、最終的にこの文章、医療部会、医療保険部会のクレジットでおまとめいただく文書ですので、そうした先週段階の案でも、政府に対して注文をつけるようなニュアンスで記述をしておったものでございますが、その意図がより明確になるように、下から3行目のところ、政府においてという言葉を補った上で、診療報酬制度を分かりやすくするための取組を継続していくこと、また、国民に対して医療制度に関する丁寧な説明を行っていくこと、こうしたことが必要であると修正をいたしてございます。
 これが本文編でございますが、横置きの資料1-1、診療報酬改定の基本方針案の概要でございます。
 概要におきましても、基本認識のところ、4つの基本認識の下に、先ほど御説明申し上げました、社会保障の機能強化と持続可能性の確保を通じて、安心な暮らしを実現し、成長と分配の好循環の創出に貢献するという視点も重要という記述を補ってございます。
 それから、先ほど御説明申し上げました2つ目の基本的視点。安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進のところにつきましては、幾つか項目の再構成を行ってございますので、この具体的方向性の例の1つ目の○から3つ目の○の記述がそれに伴って変わってございます。
 この概要につきましては、こうしたことを盛り込むべきだといったような御意見、医療部会、医療保険部会でも頂戴いたしましたが、基本認識、基本的視点、それから具体的方向性の例の○のレベルの項目を記述するという方針で編綴をしてございまして、こうした形で記載をさせていただいているところでございます。
 私からの説明は、以上でございます。よろしくお願いします。○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、御質問、御意見のおありの方は、発言ボタンを押してください。いかがでしょうか。
 内堀委員、御退席とのことですが、どうぞ、内堀委員からお願いいたします。
○内堀委員 永井部会長、ありがとうございます。
 公務都合で、途中で退席をさせていただく関係で、ただいまの議題の1と、それから3について、コンパクトにまとめて発言をさせていただきます。
 まず、議題の1についてです。
 今回の基本方針案については、これまでの議論を踏まえた内容となっており、賛同させていただきます。
 改定の基本的視点の1つとして、新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で、質の高い医療供給体制の構築を重要課題として位置づけていただきました。
 現在、オミクロン株が国内でも確認をされるなど、予断を許さない状況が続いています。
診療報酬を含めた適切な対応が重要です。引き続き、特段の御配慮をお願いします。
 次に、議題の3です。
 全国知事会等による要望を踏まえた御対応に感謝をいたします。初回接種においては、医療従事者の確保が全国的に大きな課題となりました。追加接種においても、医療従事者の確保に向け、引き続き、潜在看護師の掘り起こしや、各種団体への派遣の働きかけを行うとともに、国立病院の人材活用や自衛隊医官等の派遣などについて、御支援をお願いいたします。
 私からは、以上です。どうぞ、よろしくお願いいたします。
○永井部会長 ありがとうございました。
 それでは、井上委員、お願いします。
○井上委員 ありがとうございます。
 今回、お示しをいただきました方針案の本文につきまして、これまでの意見を丁寧に盛り込んでいただきまして、これに賛同をいたします。事務局の皆様の労を多としたいと思います。
 その上で、総括的なコメントでございますけれども、本文においてしっかりと記載をいただいておりますけれども、今回のコロナ禍で、やはり明らかになったことは、デジタル化の遅れでありますとか、オンライン診療の効用、あるいは創薬力、イノベーションの重要性、こういったことであったと思います。
 とりわけ、オンライン診療につきましては、ぜひともその適切な普及に向けまして、診療報酬においても、対面診療と同内容、同水準で実施される行為につきましては、同等の水準で評価するなどということが重要だと思います。
 また今回、成長と分配というコンセプトが指摘をされたことも評価をいたします。これに関連しまして、経済対策で示されました看護現場の方々の収入の引上げということが実施されていくということだと思いますけれども、その成果がしっかりと現場に回るような仕組みでお願いをしたいと思います。
 と同時に、この収入の引上げというのが継続的に行われるためには、やはり現場での様々なICTの利活用でありますとか、本当に人手をかけなければいけないことに特化をしていく、メリハリのある改定が必要だと思いますので、ぜひお願いをしたいと思います。
 次に、大変恐縮でございますけれども、途中で退席をさせていただきますので、2つ目の議題でございます、医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループにおける議論につきまして一言だけ申し上げます。
 先ほどの基本方針の中にもICTの利活用が様々出ておりました。ぜひ、このデータヘルス改革の推進につきましては、工程表に基づいて、スケジュールどおり着実に進めていただきたいと思います。
 私からは、以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 神野委員、お願いいたします。
○神野委員 ありがとうございます。
 今回の基本方針骨子案については、前回いろいろ私も、あるいは各委員から指摘の件につきまして、いろいろ修文されているところを評価したいと思いますし、これについては賛成したいと思います。
 そして、後で御説明のあった横長の概要版のほうでありますけれども、これも前回申し上げましたけれども、恐らく、この概要版が多くの人で議論され、この概要版が独り歩きしていくと思われます。
 その中で、基本方針骨子案のほうでは、実は連携という言葉が38回出てきております。基本方針の最初から医療機能の分化・強化、連携、あるいはその後のコロナに関しても、役割分担、連携ということが書かれているわけでありますけれども、この概要へ行きますと、1個も出てきていないということなのです。
 やはり、この基本方針の中で38回出てきた連携というものを、もちろん、医療提供体制の構築の中に含まれているのかもしれませんけれども、ちょっとここを、例えば(1)のところで、外来医療の機能分化、連携とか、あるいは、その上の入院医療についても連携とか、そういうものを少し入れ込んだほうが、より分かりやすいのではないのかなと思います。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。今の点、いかがでしょうか。
○医療介護連携政策課長 概要につきましては、先ほど御説明申し上げたとおり、事務局といたしましては、考え方としては、基本方針案の具体的方向性の例の○をそのまま記載するという形にしてございます。
 神野先生おっしゃることは非常によく分かりまして、ただ、また、そういうことで修正をしだすと、あれも重要、これも重要といった御指摘もあろうかと存じますので、私どもとしては、こうした整理でお示しをさせていただいているというところでございます。○永井部会長 よろしいでしょうか。
 それでは、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員 ありがとうございます。
 基本方針を視野に書かれている基本認識、基本視点と、具体的方向性について、文言の修正等の意見ではございませんが、1件だけ申し上げたいと思います。
 5ページの上から3つ目の○、かかりつけ医等の機能の評価について記載がございますが、患者、被保険者の立場からは、例えば、受診した際に確実に診ていただけること、かつ質の高い医療を提供していただけることを評価することが重要と考えます。
 私からは、以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 河本委員、お願いいたします。
○河本委員 ありがとうございます。
 前回申し上げました修正意見については、おおむね反映をしていただいております。感謝申し上げます。
 本日の基本方針案に異論はございませんけれども、2点コメントをさせていただきたいと思います。
 まず、1点目ですけれども、7ページの2つ目の○、看護の現場で働く方々の収入の引上げ等に係る必要な対応、ここにつきましては、前回指摘させていただいたように、実効性のある対応が求められていると考えておりまして、修文云々ではございませんけれども、やはり事後の効果検証の仕組みをしっかりと構築して、実行するということかと考えております。
 また、具体的な検討に当たっては、患者負担や保険財政の影響、これも十分に踏まえるべきと考えます。
 最後に、総括的なコメントをさせていただきたいと思います。
 次期改定につきましては、私どもといたしましては、新興感染症にも強い、効率的・効果的な医療提供体制、これを再構築するために、配分の見直しに主眼を置いた、めり張りのある改定とすべきと強く主張しております。
 今後、具体的な配分の議論は、政府が決定する改定率ですとか、あるいは基本方針を踏まえて、中医協において議論されると承知しておりますけれども、入院、外来などにおいて、コロナ禍の教訓を踏まえて、評価のめり張りをつけるなど、国民、患者の納得を得られる議論、これを行っていただくように、強くお願いをするところでございます。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 では、山口委員、お願いします。
○山口委員 ありがとうございます、山口でございます。
 この基本方針については、いろいろな御意見があった中で、非常に網羅的にまとめていただいて、本当にありがとうございます。
 非常に細かい指摘で恐縮なのですけれど、これだけ力を入れて修文されたので、ちょっと日本語として整理したほうがいいかなと思った箇所が1か所ございます。
 10ページのところの将来を見据えた課題の1つ目の○の後半のところで修文された最後の行ですけれども、明確化・連携等をさらに進めていく方策の検討等も踏まえつつ、地域資源の実情を踏まえたと、踏まえ踏まえが2つ出てきていて、ちょっと日本語としてどうなのかなという気がしました。そこで、方策の検討等も踏まえつつ、地域資源の実情に即した取組をと、そのように少し変えではどうでしょうか。せっかくの力作だと思いますので、日本語としてすっきりするようにしていただければと思いました。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 続いて、釜萢委員、どうぞ。
○釜萢委員 ありがとうございます。
 この基本方針に賛成を申し上げます。これまでの診療報酬の改定に当たっての基本方針の取りまとめに比べて、今回は特に丁寧にいろいろな議論を重ねる中で、今日お見せいただいた形にまとめられたことに、大変感謝を申し上げたいと思います。
 今後、中医協において、またしっかり議論がなされて、適切な改定につながることを願うわけですけれども、やはり今回のコロナ禍を通じて、コロナに対する医療をしっかり構築するとともに、コロナ以外の様々な疾病に対する体制が十分確保されるという前提がないと、国民の皆さんにしっかり安心していただける医療提供というのはできないというのを痛感しているわけでありまして、そのために、今回のこの基本方針を踏まえて、また、中医協での議論がしっかり実り多いものになっていただくということを願うものであります。
 私から、以上、申し上げます。ありがとうございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 加納委員、お願いします。
○加納委員 ありがとうございます。
 今回の基本方針は、本当によくまとめていただけたかなということで、まず先に感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。
 その中で、4ページの○の3つ目、少し具体的な内容になるかと思いますが、いわゆる地域包括ケアシステムの構築の中で、在宅以外に急変時の受入体制の確保ということを明記していただいたこと、こちらも感謝を申し上げたいと思います。1点だけこの受入体制というのは、例えば、概要のほうには(2)において地域医療の確保を図る観点から早急に対応が必要な救急医療体制等の確保という言葉になっておりますので、できましたら、この急変時の受入体制の受入体制というのは、救急医療体制という文言に変えていただくほうがいいのではないかと思っております。その点に関して、少しお願いを申し上げたいと思っております。いかがでしょうか。
○永井部会長 では、事務局からお願いします。
○医療介護連携政策課長 前回の御指摘を踏まえまして、急変時の受入体制としてございます。今、先生おっしゃられたのは、救急医療体制という言葉ですかね。2つ目の基本的視点のところでは、地域医療の確保を図る観点から早急に対応が必要な救急医療体制等の確保としてございますので、例えば、ここを急変時の救急医療体制等とすることは、そうした御趣旨であれば可能かと存じます。○加納委員 できましたら、そのほうが分かりやすいのではないかなと思っております。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 ありがとうございました。
 安部委員、お願いいたします。
○安部委員 安部でございます。
 まず、この基本方針につきまして、種々意見を申し上げたところ、それを取り入れていただきましてありがとうございます。
 薬剤師の立場から医薬品の安定供給確保に、今、問題があるということを申し上げました。現在も、その状況がよくなるどころか、少し悪化している状況でありますので、この基本方針で、安定確保の状況を踏まえつつと記載していただきました。現在の状況、これからの状況を踏まえて、中医協でしっかり議論をしていただきたいと考えております。
 以上であります。
○永井部会長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 遠藤秀樹委員、お願いいたします。
○遠藤秀樹委員 ありがとうございます。日本歯科医師会の遠藤でございます。
 基本方針に関しましては賛成いたします。コロナ禍で、歯科においても重症化予防や、口腔機能の維持、向上といったことを書き込んでいただいて感謝申し上げます。
 現在のコロナ禍等においても、この感染症予防に関しましても、こういったこと、重症化予防や口腔機能の維持というのは重要だと思いますので、こういった書き込まれた内容について、しっかり実行していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。ありがとうございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。ほかに御意見ございませんでしたら、基本方針としての取りまとめを行いたいと思います。
 その際、社会保障審議会医療保険部会においても、基本方針の議論を行っており、本日いただいた御意見あるいは医療保険部会との調整も含めて、最終的な基本文案については部会長に御一任いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○永井部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
 ほかに御意見がなければ、この議題については、これまでとさせていただきます。
 それでは、続いて医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループにおける議論について、事務局より説明をお願いいたします。
○研究開発振興課長 医政局の研究開発振興課長でございます。
 資料2によりまして、医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループの議論について御説明申し上げます。
 こちらは、8月の本部会におきまして、医療情報ネットワーク基盤に関するワーキンググループを立ち上げる旨を御報告したところでございますが、その後、11月10日に第1回のワーキンググループを開催いたしましたので、本日は、その御報告でございます。
 2ページを御覧ください。
 こちらは、8月の、この医療部会に出させていただいた資料ですが、下の2つの○がある囲みを御覧いただきますと、ネットワーク基盤に関する議論を行うワーキンググループを設置と、ワーキンググループでは、工程表に従って基盤の在り方、具体的には主体、費用、オンライン資格システムですとか、政府共通基盤との関係や、運用の開始時期等や技術的な案件について、令和4年度までに調査検討して結論を得るというところでございます。
 1ページをおめくりください、3ページでございますが、今申し上げた工程表が、こちらでございます。青で囲んでおりますが、赤い文字のところ、医療機関、介護事業所等における情報共有とそのための電子カルテ情報、介護情報の標準化の推進を工程表にのっとり、改革を着実に推進するというところがデータヘルス改革の基本方針、骨太に書かれているところでございますが、そのうち、電子カルテ情報等の標準化に関するものを整理しましたが、4ページでございます。
 こちらは、ネットワークの基盤に関するワーキンググループということで、時間軸に沿って書いておりますが、令和3年度、こちらは、1から4番について論点の整理を今年度中に行うというものでございます。
 具体的には、電子カルテ情報の標準化ですとか、地地域医療連携ネットワークの現状、それから2番は、中央に集約する情報、あるいは施設間で交換する情報の検討、3番目が共有・交換に関する手続と方式の検討、4番が普及方策並びに情報化基金の要件の検討でございます。
 こうしたものを踏まえまして、令和4年度におきましては、そういった現状整理した上で、標準化した交換様式を、そうしたものを実装した電子カルテの導入をするための方策を検討する。
 さらに、中央に集約する基盤の要件・仕様、運営主体、費用負担等を含むことや、開始時期の検討や、中央に医療情報を集約する基盤について検討し、令和5年度以降につなげていくというものでございます。
 次の5ページでございますが、同じようなことでございまして、論点整理をこの3回程度で行いたいというところでございます。
 以下、6ページ以降は、第1回のワーキンググループで御説明した資料でございます。これは初回の会議ということでしたので、これまで既にオープンになっている資料を中心に説明して、幅広い観点から御意見をいただいたものでございますので、参考までに説明をいたします。
 最初が共有する医療情報についてと、診療継続のため複数医療機関等で利用する一時利用を主眼にということでございますが、8ページを御覧ください。電子カルテシステム等の普及状況。
 上のほうが電カル、下がオーダーリングシステムでございますが、電カルについては、病院の病床規模によって、それぞれ異なった状況でございます。
 続いて9ページを御覧いただきますと、保険情報の閲覧の仕組みということで、1、2とございますが、1はマイナポータル等を通じて、保健医療情報を本人または本人同意のもとに医療機関が共有できる仕組み。
 2については、医療機関間で電子カルテ情報を相互に閲覧できる仕組みということでまとめております。
 10ページは、そのうちの1番の確認できる仕組みについてでございます。
 11ページを御覧ください。11ページは、HL7 FHIRについて、HL7、インターナショナルとはと、規格と、メリットとしては普及しているウェブ技術を採用して短期間でのサービスの立ち上げが可能ということと、既存の医療情報システムを活用した総合運用性を確保できるということが期待されるというところでございます。
 また、電子カルテ情報及び交換の標準化については、12ページを御覧ください。電子カルテの標準化の進め方、手順でございますが、1から5番の順番で検討を進めておるというところで、今のところは3番、仕様について、規格として採用可能かどうか、産官学で連携をして標準化を、規格化を行うというところの状況でございます。
 また2番は、電子カルテ情報の交換を行うための規格や項目のイメージということでございますが、まず、データ交換は、先ほど申し上げましたHL7 FHIRの規格を用いて接続する仕組みをあらかじめ実装稼働できるということを検討するということと、具体的な交換する情報としては、医療情報、傷病名などの1から6、また文書としては、診療情報提供料、キー画像等を含む、退院サマリーなどを含む、1から4の4つの文書ということでございます。
 13ページを御覧いただきますと、これは、どういう検査情報、生活習慣病関連の情報を共有するのが有用であろうかというところでございますが、救急時の有用な検査情報は救急医学会、生活習慣病については関連の6臨床学会において、検査項目を出していただいていますので、それに添って検討していってはどうかということでございます。
 14ページの標準化に向けた進め方は、先ほど申し上げたとおりでございまして、現在、HELICS協議会と書いてございますが、これは学会、事業者ということで産学官が連携をして、厚生労働省の基準、規格化を目指すというものでございます。
 最後、医療情報の地域医療情報ネットワークの現状ということで、16ページを御覧ください。
 多くの都道府県で実施をされ、全県的に行っているものが青、二次医療圏単位、市町村単位で行われているものが橙という状況、こんな状況でございます。
 また、効果については17ページで、様々な効果について報告をされているというところでございます。
 今後、こうした論点を踏まえて、今年度中の論点整理というところにつなげてまいり、工程表に沿った検討を進めてまいりたいと考えております。
 私からの御説明は、以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、御質問、御意見をお願いいたします。
 神野委員、お願いいたします。
○神野委員 ありがとうございます。2点ございます。
 まず1点目は、最後に挙げていただきました診療情報ネットワークのお話でございます。
 これは、もう随分前から経産省あるいは厚生労働省の補助金をたくさんいただいて全国各地でやられてきたわけでありますけれども、今回、効果というものが出ていましたけれども、恐らくうまくいっているところと、そうではないところあるのですね。なので、好事例だけではなくて、うまくいかない事例というものをきちんと出していただくことで、今後の展開に供することができるのではないのかなと思いますので、その辺のところをお願いしたいというのが1点目でございます。
 それから、2点目でありますけれども、正直申し上げまして、私、経済産業省あるいは内閣官房のIT戦略本部等の委員を昔やったことがございます。その当時と、どこが変わったのといったら、あまり変わっていないのではないかというのが、申し訳ないですけれども正直なところであります。
 いろんなステークホルダーの方がいらして、その方々の話あるいはいろいろなメーカーさん、業者さんもいらっしゃって、その方々との調整ということを考えると、とても大変だとは思いますが、ここは誰が音頭を取るかということは別にして、今のICT技術、イノベーションを基にしてゼロからできないかという検討というのは、このワーキングがどうか分かりませんけれども、ここは、厚労省が音頭を取っておやりになる時期ではないのかなと強く思います。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 では、楠岡委員、お願いします。
○楠岡委員 楠岡です。
 今回提示されている全体の流れに関しましては、私も賛成であります。
 ただ1つ懸念事項は、共通基盤にいろいろな情報を集めるにおいて、病院の中で電子カルテとして持っている情報をそのまま外に出せるかというと、そこには必ずワンステップが発生いたします。
 と申しますのは、病院の電子カルテでは、その病院独自のコードで作っているところがほとんどでありますので、それを外に出す場合には標準コードに転換する必要があります。これは対応表を作って置き換えて外へ出すということで、そうでなく全く異なったコード様式でデータを集めても何の役にも立たないということになってまいります。
 これが結構大変な作業でありまして、今、臨床研究中核病院で、それぞれの電子カルテで持っておられるデータを共通化するような作業を進めているわけでありますけれども、これに相当な人手と時間、そしてお金がかかっております。もし、このようなことをさらに進めるとするならば、電子カルテからデータを提供する病院には、そのコードの標準化に必要な作業、バリデーションとかの費用に関して何らかの手当がないと、なかなか進まないのではないのか、補助金なり何なり要るのではないかと思っておりますので、その点への配慮も十分していただきたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員 ありがとうございます。
 患者情報の外部流出防止といった基本的なことを踏まえたうえで、医療情報を必要に応じて連携できるように基盤整備を行うことは重要と考えます。
 そのために、都道府県が市区町村や医師会等と連携して取り組むことも重要と考えます。
 一方で、医療保険分野でデジタル化が加速していますが、新型コロナ対応も含めて、多くのシステムがそれぞれ整備されている、もしくは整備されようとしていて、外部の者から見ると、コストとか、作業の煩雑さとかは大丈夫なのかと感じています。
 現場で使用する範囲、業務、人員が違うのでしょうが、もう少し合理的、統合的なシステムなどを考えられないものかと思っています。
 もちろん、それぞれ情報の保護という点で統合できないものもあろうかと思いますが、オペレートする人間が同一だったりすると、それぞれの操作、入力方法がばらばらだったら面倒ではないかと考えます。
 そうした様々なシステムの統合化という視点でも、検討が必要ではないかと考えております。
 私からは、以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 ここまでのところで何か、事務局からコメントはありますでしょうか。
○研究開発振興課長 御指摘ありがとうございます。
 画期的なというか、そういった大きな視点を踏まえての検討が必要ではないかという御意見をいただきました。
 これにつきましては、もちろん、より革新的なものを生み出していくということは重要でございますが、一方で、目の前の課題をしっかり取り組む、工程表に基づいて適切に取り組んでいく、現在の状況を、ある意味前提とした上で、これまでの様々な議論がございますので、それを踏まえた議論をしていくということが非常に重要かなと思っておるところでございます。
 その中で、さらに進めていくべきことというのが何なのかというところは、しっかりと受け止めさせていただいて議論につなげていきたいと思っております。
 また、コードの構造化、標準化というところにつきましては、9ページの2の番のところでも御説明を、ちょっと簡単に御説明させていただいたので、省略をいたしましたけれども、やはり、標準フォーマットで出力するものというところをしっかり作っていくということが重要であるということは御指摘のとおりだと思っております。
 また、そのコストについて、どういう形で何をやっていくのか、先ほど申し上げました地連の実態を踏まえて考えるべきだという御指摘、ごもっともだと思います。中央でやるものがどういうものでということを考えていく中で、コスト面も含めてどういう形でやっていくのがよいのかということを、今後の、この基盤ワーキングのまさに課題でございますので、しっかりと対応してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○永井部会長 木戸委員、お願いします。
○木戸委員 この資料の最後の17ページにありますように、このネットワークの効果として、患者サービスの向上とか、様々なメリットが挙げられています。
 このページの中ほどにありますように、診療所と中核病院が相互にサポートが受けられる、これは現場において、実は大きなメリットです。
 実際、私の勤務先でも、医師を交代制勤務とすることで、日中どうしても医師が足りなくなるときに、妊婦健診を地域の診療所の先生方にお願いする、いわゆるセミオープンシステムを運用して病診連携で乗り切っています。
 その際に、地域周産期情報ネットワークを用いて、周産期電子カルテを共有することでスムーズに情報連携ができて、ここに書いてあるような中核病院にとっての診療所の支援が受けられるというメリット、そして、その下に書いてあるような業務全般の負担軽減、医師の負担軽減というところを、まさに実感しており、こうしたネットワークのさらなる推進を行うべきと考えます。
 そのネットワークを推進している立場から、課題と思われることが2点ございます。
 1点目としては、やはり患者さん本人の同意の取り方です。医療情報の中には、センシティブな情報が含まれていることも少なからずありますので、やはりセキュリティの万全な確保が最重要かと思います。
 今は、登録の際に書面で同意をいただいていますけれども、そういったセキュリティを具体的にどう確保しているのか、どの範囲の情報をどれだけ共有するのか、データ分析などの二次利用の可能性などについてまで、実際細かく踏み込んだ詳細なところまでは、なかなか御説明できていないところも現場では悩んでいるところで、できれば、ある程度共通の説明書やフォームなどがあるといいかなと思っております。
 2点目の課題としては、電子的記録をいつまで保存するか、そして、それをきちんと更新していくこと、メンテナンスをどういう仕組みでやるかということです。
 例えば、私のところは産科ですので、お産が終わって一定期間経ったら、その妊婦さんの情報連携を終了させて、切っておりますけれども、お産と違って一般の診療では、ここで終わりというには、なかなかいかないと思いますので、やはりこの情報の保管期限や適切なメンテナンスについても、何らかの検討が必要かと思います。
 最後に資料の13ページに、救急時に有用な検査情報及び生活習慣病関連の検査情報と書いてありまして、幾つかの例が挙げられています。
 今後、学会や関連団体において、標準的な項目を取りまとめると書いてありますので、既に御検討されているかと思いますが、1つだけコメントさせていただきます。
 救急科だけではなく、小児や周産期も夜間、休日の診療対応が大変多い診療科です。夜間にかかりつけのクリニックが閉まっていて、必要な情報が問い合わせできなくて非常に困ることがあります。ときには、命に関わる緊急性を要する情報も少なからずあります。
 安心して子供を産み育てる社会に向けて、一般の救急のみならず、やはり小児、周産期分野についても、ぜひ、できれば考慮していただければと思います。
 私のほうからは、以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 山口委員、お願いします。
○山口委員 ありがとうございます。
 私も最後の地域医療情報連携ネットワークのところですけれども、情報の連携というのは、やはり患者の願いでもあり、実際に患者に連携している効果が実感できて、初めて意味が生じてくるのではないかと思っています。
 このネットワークの効果というのが、その次のページに書いてあって、この効果、アンケートみたいなことですけれども、複数回取っている内容を見ていると、これはやはり医療側の意見しか書かれていないわけです。
 ですので、例えば、マイナポータルで自分の情報を閲覧するということは、まだ始まったばかりで、これからだということですけれども、こういった既に早くから進めてきた地域医療情報連携ネットワークということを考えますと、実際に、それを利用している人がどんなことにメリットを感じて、何が足りないと思っているのか、ぜひ、そういう患者側の声ということも、ぜひ進めていく中で拾い上げていただくというようなことも重要ではないかと思います。そういったことというのは、事務局の方にお聞きしたいのですが、ワーキンググループの中では、予定はされていないのでしょうか。
○永井部会長 いかがでしょうか。
○医療情報技術推進室長 医療情報技術推進室でございます。
 御指摘いただいた地連については、現在、委託事業において、各地連の中で少し調査を進めているところでございますので、いただいた御意見を踏まえて、対応が可能かどうかの検討をし、このワーキングにおいて御紹介をさせていただきたいと思います。
 また、この地連については、日医総研のほうで、かなり流れにわたって調査をしていただいておりまして、どういった情報にアクセスが多いのかとか、広く調査をいただいている内容なども御紹介をいただく予定にしております。
 御意見ありがとうございました。
○山口委員 ぜひ、患者の声というのを拾い上げていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 では、河本委員、お願いします。
○河本委員 ありがとうございます。
 本日は、電子カルテの話が中心であるとは承知をしておりますけれども、10ページに、医療情報を患者全国の医療機関で確認できる仕組みの資料、これがつけられておりますので、ちょっと一言、申し上げさせていただきますと、この10ページの仕組みの前提となっております、オンライン資格確認の医療機関での普及が大変に遅れている状況にございます。このままでは、この仕組み、絵に描いた餅ということにもなりかねないと考えておりまして、国をはじめ、関係者の皆様方には、早急に普及の見通しを立てて実行に取り組んでいただきたいと考えているところでございます。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 松原委員、お願いします。
○松原委員 医療情報の連携につきましては、先ほど神野委員もおっしゃっていたように、ずっと前から経産省を中心に取り組んできたと思うのです。それがなかなか実現できなかったことに対して、今回はHL7ということで、ベンダーがオープンにしないというところの壁を乗り越えることができると伺っておりますので、進めていただきたいと思います。
 一方で、個人によっては共有されたくない情報というのはあると思いますので、その点に対してきめ細かい対応をお願いします。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 加納委員、お願いします。
○加納委員 質問が1つと、もう一つはお願いをしたいと思っております。
 1つの質問ですが、16ページの地域医療情報ネットワークの現状ということで、218のネットワークが、今、使われているということですが、これは地域を超えて互換性があるというのは、この中でどの程度あるのでしょうか。
 たしか、以前、これに関してお聞きしたときには、218のシステムでほとんど互換性がないと聞いておりましたが、進歩はしているのでしょうか、その点をまずお聞きしたいと思っております。
○永井部会長 事務局、いかがでしょう。
○医療情報技術推進室長 ありがとうございます。
 実際に、ネットワークを越えて、今、相互に運用しているところというのは、まだ、ほとんどないと思っていますが、互換性があるか、ないかと言われると、まさに採用しているベンダーが一緒かどうかというところで、同じシステムを使っていれば、当然、ある一定の連携は可能というのがベンダーの中での認識と承知しております。
 それぞれのネットワークが、どのベンダーを、どの電子カルテを採用しているかということは調査ができておりますので、まさにそれを結ぼうと思えば結べますけれども、今はそういう状況にはないというところでございます。
○加納委員 ありがとうございます。まさにそのとおりで、218あれば218の種類のものができてしまっているということで、また費用負担というものが、それぞれでまたかかっている、イニシャルコストもすごい額でかかっているでしょうし、ランニングコストもかかって、かつ互換性がないものができてしまっているというのが現状だという認識で考えさせていただきたいと思います。
 同じことが、やはり今も回答にあったのですが、電子カルテでも、ベンダーごとに違いますし、ベンダーの中でも違う場合があるかと思っております。
 そういう意味で、14ページの最後に、厚生労働省標準規格化ということが、今回の大きな目的だと思っておるわけなのですが、前回も、たしか申し上げたと思うのですが、今、電子カルテに関してのコストで我々の売上に対する占める率ということで申し上げますと、約3%という数字がある団体での答えだったと聞いております。ランニングコストとイニシャルコストを含めて5年単位で調べてみた結果だということで、そうしますと、急性期の病院ですと売上の利益率というのは、今年のWAMの数字では1.8%、それは補助金入れてもらって1.8%という数字が出ていたと思うのですが、それを超える、その倍ぐらいの負担が実際の現場にはかかっているということです。ですから、この単なる標準規格化という言葉だけではなくて、やはり経費の軽減、合理化とか、そういった文言をしっかりと加えていただくというのが、一番大事ではないかなと思います。
 そういう意味では、そういう文言を加えた形での今後、この会議の進め方の上において、方向性として入れていただくことも、ぜひともお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○永井部会長 ありがとうございます。
 これは、先ほども楠岡委員から、コードの標準化にはコストがかかるのだという御指摘がありましたけれども、この辺り、単なるシステムだけではなくて細々としたコスト負担をどうするかという問題があると思うのですが、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。
 相澤委員、お願いいたします。
○相澤委員 この医療情報の標準化というのが、何のためにするのかというところが、みんな違うと思うのですよ。厚労省を含めた行政が集めたいデータと、それから、研究者が研究をしていくために集めたいデータと、我々は臨床の現場で患者さんに対応するために何が必要かと、すごく違うような気がするのです。
 ここに載っていないのですが、私のところは、診療所とのネットワークを構築して、診療所のカルテは全て病院で見られる、病院のカルテは診療所で見られるというのを作ったのですが、残念ながら、診療所の先生は、膨大な電子カルテのデータなどは見ないのですよ。無駄だというのです。
 結局、病院のデータを開示する、見ていただくというシステムで、今はもうほとんど、それでうまく病診連携が進んでいるのです。だから、僕は、病診連携はそれぐらいの、要するに、お互いにここに書いてあるように、閲覧できるという仕組みを作れば、僕は解決してしまうような気がするのです。
 ところが、ビッグデータを集めようとすると、先ほど言った標準化をして同じにしないと集められないのですよ。ですから、これは向いている方向によって、全然やることが違うような気がします。それが第1点。
 第2点、病診連携で何が一番よろこばれたかというと、画像なのです。胸の写真、CT、MRIの画像、そして心電図、それから検査の結果、これですよ。そうすると、何が重要なのかというのも、どういうデータを必要とするか、臨床の現場で何を必要とするかというので、全然違ってくるということも考えてやらないと、これは、本当に絵に描いた餅になりますし、それから、先ほど、お話がありましたように、診療所も含めた電子カルテの普及率が30%、40%、そして、一人の患者さんにそれを集めるとすると、恐らくマイナンバーカードで集めるしかないので、このマイナンバーカードが30%しか普及していないところでどうやるのと、一番基盤となることをもう一回きちんと始めてから進まないと、何か電子カルテをみんなで使えるということの幻想で、何かよいことだということで進んでいった結果がうまくいかないとなるのではないかと、物すごく心配をしているということだけ、ちょっとお伝えをしたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 小熊委員、お願いします。
○小熊委員 ありがとうございます。
 私は、医療情報の標準化が行われて、日本全国でいろいろなデータが一定の方向性をもって進むということは非常によろしいことではないかと思っているのですが、ところが残念なことに、私が伺っている限りでは、今までも、先ほど神野先生が、松原委員がおっしゃったように、同じことをやろうとして、その行為がつぶれているのですね。
 今回このお話を見ていますと、非常に令和4年、令和5年以降順調に進んでいくというような予定でいらっしゃるのですが、大変失礼な言い方をして申し訳ないのですけれども、今までと、何が、どこが違うのだろうかというのは、私は非常に危惧しております。
 要は、これは、ばらばらで標準化を求めないベンダーがいて、言うこと聞かないというのが、最大原因ではないかなと私は思っているのですけれども、もちろん資金や人の問題もありますけれども、そういったところを、従来と違ってきちんと、ここが違うからこうやって安心して進めるのですというようなことが教えていただけると、私としては非常に安心いたします。それが第1点です。
 もう一点は、セキュリティの問題だと思います。
 今、ハッカーと言うのでしょうか、ハッキングをされて、我々小さな自治体病院が全く診療できない状態になったりしています。万が一ですよ、この日本共通の標準化された仕様ができて、そこに入り込まれるというようなことがあったら、日本の医療が崩壊しますので、そこらのことをどうお考えになっているのか、今のお考えだけで結構なのですけれども、私のような素人に分かるように、ちょっと簡単に御説明いただけませんでしょうか。
○永井部会長 事務局いかがでしょうか。
○研究開発振興課長 御質問ありがとうございます。
 今までいただいた御意見も含めて、お答えさせていただければと思いますが、まずは、いろいろな閲覧できる仕組みを進めていくに当たって、マイナンバーカードの普及が、これは前提条件だねというのは、おっしゃるとおりでございまして、これについては、私どももそうでございますけれども、政府一丸となって、これは取り組んでまいるということが、まず1つでございます。
 その上で、患者さんの説明ですとか、あるいは共有されたくない情報といったところ、先ほど委員からも御指摘いただきましたけれども、まさに患者視点で、どういうシステムを作るかというところは、ここはやはり、どんなシステムを作るにしても、そこは必須であると考えております。
 また、どういう情報を共有していくのかというところ、これは非常に重要でございます。いろいろな御意見があるわけでございますが、当然、研究や、ビッグデータみたいな二次利用ということも非常に重要な視点ではございますけれども、今回のワーキンググループで検討しているのは、タイトルのところにもございましたが、まずは一次利用の中で、どういうことができるのだろうか、必要なのだろうかということを考えていく。
 そのためには、やはり共有すべき情報というものについても、12ページに書いておりますが、こういったことをしっかりと掘り下げて、役に立つ情報にしていくということが大事だというのは御指摘のとおりだと思っております。
 また、今までとどう違うのかというところについて、ベンダーごとの壁というところのお尋ねがございました。
 11ページの一番下のポツでございますが、このHL7 FHIR、このメリットとしまして、個々の電子カルテシステムのデータ格納方式にとらわれず、総合運用性を確保できるというところがポイントでございまして、それをいかに進めていけるかというところが、今の議論でございます。
 やはりそれぞれのベンダーで、もうこれはできないのだよというのが今までの反省点だったと思いますので、それを生かしていくということが重要だなと思っております。
 最後御指摘いただきました、セキュリティのところは、これはもう、どんなシステムを導入するにしても、これは、もう必須でございますので、このセキュリティの問題というのはしっかりと考えていく必要が大前提であるという、患者さんの同意とか、患者さんの視点ということと同じぐらいセキュリティというのは大前提であると思っております。御指摘ありがとうございます。
○永井部会長 松田委員、お願いします。
○松田委員 松田でございます。
 今まで委員の先生方が言われた問題点、そのとおりだと思います。ここまで、地域共通電子カルテとか、いろいろやろうとしてきて、できてこなかったというのが現状だと思います。
 先ほど相澤委員からもお話がありましたけれども、なぜ、進まなかったかと幾つか理由があると思いますけれども、やはり、それがなくても皆さん何となく仕事が回ってしまっていたというところが、多分、一番大きいのだと思います。
 要するに、患者あるいは医療者にとって必要な情報が何なのかというところが明確ではない状況で地域の電子カルテをつなごうとしたところに、いろんな課題があったのだろうと思います。
 その中で、相澤委員がおっしゃられたように、また、以前、楠岡先生が言われたとおり、一番役に立つのは、やはり検査値と画像なのです。ただし、諸外国の共通カルテの作り方を見ていると、最初の作業として、例えば、画像所見とか検査所見の記載方法の標準化というのをやります。前提として、検査値の標準化も、もちろん当然なのですけれども、記載方法を構造化するということを各学会がやって、それに基づいて所見を書くという、その手続をやらないと、結局、情報の共有が難しくなってしまいます。
 オーストリアが一番いい例だと思いますけれども、オーストリアは、そういう書き方の標準化というのを各学会でやっている。したがって、我が国でも、こうした記載方法の標準化も併せてやっていかないといけないのだろうと思います。中途半端な段階でつなげてしまうと、書き出しのほうは交換規約で標準化してきますので、外と連結することはできます。しかし、内容に整合性がないということがおこります。このときに、まさに書き方の標準化の問題が起こってくるわけです。
もう一つ、今の日本の状況を考えると、津々浦々にある電子カルテを共通化するということは、これはかなり難しいだろうと思います。
 そうすると、その入れ物を標準化するということが第一で、それは何かというと、各患者さんが持たれるだろうとPHRだろうと思います。そうすると、PHRの様式、PHRに何をどのように記録するのかということの様式をそろえるという作業が一番大事だと思います。この書かれる内容、そのPHRに何を書くかというところの標準化をやるというのが一番重要であると思っています。その意味では今回の方針は大筋でよろしいのだろうと思います。
 手前みそですけれども、DPCで比較的早くいろんなものが進んだのは、やはり様式1というもので、退院サマリーを標準化したからだろうと思います。様式1という電子カルテの外側にある共通の書類が標準化されて、全てのレセコンやカルテからそこに書き出せるようにした。同様に電子カルテや電子レセプトの外側に連結する記録簿としてのPHRの標準化をやっていただくということが、一番大事なのではないかと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 楠岡委員、お願いします。
○楠岡委員 今の松田委員のお話にも、ちょっと重複するところがあるかと思いますけれども、私もこの関係のところ、20年以上関わってきて、いろいろな状況を見ておりますけれども、やはり最初は、電子カルテそのものを標準化しようという話があったために、全く進まなかったというところがあるかと思います。
 今回の体制は、電子カルテ情報の標準化で、電子カルテはそれぞれ独自の形で持っていても構わないけれども、そこから出す情報に関しては標準化しましょうという話になっていて、それは確かに外へ出すための、先ほど申し上げた手間暇はかかるわけですけれども、それであれば、今まで各病院が持ってきた電子カルテを大きく変える必要はないと、そこが1つのポイントになるかと思います。
 2番目は、これまでの医療部会でも申し上げましたけれども、全部のデータが閲覧できるということは、逆に閲覧する側に責任が発生いたします。すなわち、どこかにあるアレルギー情報を見落としたとかいうことがあって、そのアレルギーが患者さんに起こったりした場合には、責任を問われるというところになってしまいます。それで非常に膨大なカルテデータを見るというのは大変ですので、先ほど相澤委員から御指摘がありましたように、見ることが可能であっても、みんな見みないという、その状態になってしまう。
 今回のシステム、体制は、そのキーになる情報だけを取り出して、それは確かにアレルギー情報であるとか、非常に大事な情報だけを集めている。
 したがって、そこにない情報に関しての問題が発生したときには、ある意味、それはこの責任を問われないという、そういうような限定的なところも含まれている。
 そういう意味では、今までのいろいろな問題をある程度解決してきているところにあるかと思います。
 ただ、検査データのように、コードをそろえたら済む問題と、紹介状の情報のように、文字データがあるので、その辺りをどう規格化していくかという問題はあるかと思いますけれども、それらは、今、かなりの技術が蓄積されておりますので、あとは、それぞれの医療機関がどれだけ頑張るかというところと、それに対する手当がどれだけあるかというところになってくるかと思います。
 今度は逆に、山口委員が御指摘されたように、患者さんの側の立場からすると、患者さんが実際に見たい情報が、実はそのキー情報の中になければ、あまり役に立たないということになって、それだったら電子カルテそのものを見たいという話になると思います。これは、今、PHRという形がありますので、2つのシステムをそれぞれ使い分け、メリット、デメリットを認識して発展させるのがいいのではないかと思います。そういう意味を含めまして、私、最初に申し上げましたように、この方式はいいと思って賛成するというところでございます。
 ちょっと繰り返しになって申し訳ありませんけれども、以上であります。
○永井部会長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。私もこの問題については、少し意見があります。こうした情報の標準化のような大きなシステムを作るというのはなかなか大変で、いきなり大きな事業を始めると大体挫折するのではないかと思うのです。
 先ほど、相澤先生がおっしゃられたように、やはりこういうことの大事さを患者さんに、あるいは社会に示しつつ、全体の事業を進める必要があるのではないかと思います。
 例えば、青函トンネルを掘るときに、地質を調べながら試掘坑を掘っていったわけですね。そこでいろいろな調査をして、そして、それをまた後でも使う、あるいは、その重要性を社会、患者さんに示しながら本工事を始めていくというような、何かそういう構えというか、いきなり大きなことを始めるのではなくて、意味を示しつつ事業を進めるということが大事ではないかと、個人的には感じております。
 何か事務局から、コメントをいただけますでしょうか。
○医療情報技術推進室長 御意見ありがとうございます。
 非常に大事な視点だと思っております。今まで進まなかった理由は様々あると思うのですが、やはりそれぞれの立場でメリットが見えにくかった、国民が、これを導入すると何がよくなるのかとか、医療者がこれを導入すると何がよくなるのかということが実感できなかったということが、やはり、1つ理由としてあるのかなと。いただいた御指摘を踏まえて、それぞれの立場でどんなメリットがあるのかということをしっかりとお示しをして、議論を進めたいと考えております。引き続き、御指導いただければ幸いでございます。
○永井部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 ほかに御意見なければ、この議題については、これまでとさせていただきます。
 続いて、ワクチン接種会場への看護師派遣について、事務局より説明をお願いいたします。
○看護職員確保対策官 看護職員確保対策官の草野と申します。よろしくお願いいたします。資料3に基づき御説明いたします。
 資料3の1ページを御覧ください。
 こちらにございますように、医療機関への看護師等の労働者派遣については、原則禁止とされてございます。
 地方分権対応として行いました政令改正によりまして、本年4月からへき地の医療機関に限りまして、看護師等の労働者派遣が可能になってございます。
 これによりまして、へき地のワクチン接種会場への看護師等の労働者派遣は可能となってございます。
 一方、コロナワクチンの1回目、2回目の接種がございますけれども、こちらについては特例を設けてございます。
 1回目、2回目の接種については、約1年間の間に1.1億人の方を対象に予防接種を実施すると、非常に大規模に実施するということでございますけれども、接種を行う看護師等の確保ということで、人員体制の整備を図る必要がございました。
 また、全国知事会さんなどから、1回目、2回目の接種に係る医療従事者の確保に当たりまして、へき地以外の地域においても、へき地と同様に看護師及び准看護師の労働者派遣を可能とするという要望をいただいていたところでございます。
 こちらにつきましては、医療部会の委員の先生方に事前にお話した上で、最終的に労働政策審議会労働力需給制度部会のほうの議論を経て決定されたものでございますけれども、ワクチン接種会場の人員確保のための選択肢の1つとして、コロナ禍の特例措置として、従事者を看護師、准看護師と、それから場所をワクチン接種会場と、期間を令和3年4月23日から令和4年2月28日と限定した上で、ワクチン接種会場への看護師及び准看護師の労働者派遣を可能としているということでございます。
 適切に業務を実施していただくという観点から、右下にございますけれども、適切な実施を確保するための措置ということで、へき地でも事前研修を実施していただいていますけれども、同じようにへき地以外のワクチン接種会場への派遣にあたっても、同様の事前研修の実施を求めているというものでございます。
 2ページを御覧ください。
 その上で、御案内のように、11月15日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の議論に基づきまして、コロナワクチンの追加接種、3回目の接種が12月1日から開始することとされておりまして、予防接種法に定められた臨時の接種期間、もともと令和4年2月まででございましたけれども、これが令和4年9月30日まで延長することとされました。
 10か月の間に1.1億人の方を対象に、予防接種を実施するということで、接種を行う看護師等の確保のための対応が必要となってございます。
 また、これに関しまして、先ほど内堀委員からございましたが、全国知事会さんから御要望をいただいてございます。4ページを御覧ください。
 4ページの上でございますけれども、緊急提言ということで、1回目、2回目と同様に、人材確保が課題となるため、へき地以外への看護師、准看護師の労働者派遣を可能とする省令の期間延長についての提言をいただいてございます。
 1回目、2回目の接種のときに、どのように看護師の確保が行われたかというのが、4ページの下でございます。
 ここに方法が4つございますけれども、自治体または委託業者が直接雇用する、これはナースセンターですとか、ハローワークなどを活用して、自治体さんとか、委託業者さんが直接雇用するという形で、1,183市区町村、約10万人確保されています。それから、その下の欄、これは医師会さんですとか、管内の医療機関等から看護師を出していただくということで、この方法で1,273市区町村、約38万5,000人確保されたということでございまして、これらが基本となってございますけれども、先般の特例を受けまして、派遣という形も1つの活用方策として実施されていて、一定程度活用されているということで、へき地以外のワクチン接種会場で120市区町村、21,684人の看護師が労働者派遣で確保されています。
 もう一回2ページにお戻りいただきまして、対応方針案とございますけれども、こういう状況を踏まえまして、ワクチン接種会場の人員確保のための選択肢の1つとして、コロナ禍の特例措置として、現在、従事者を看護師、准看護師と、場所をワクチン接種会場と、期間を令和4年2月までと限定しております。こういう枠組みは維持した上で、コロナワクチンの追加接種の実施に伴って接種期間が延びてございますので、これに合わせて、期間のみ、令和4年9月30日まで延長してはどうかということにしてございます。
 現行と同じように適切に業務を実施いただく必要があるということで、右下にございますけれども、引き続き、へき地以外のワクチン接種会場への派遣に当たっても、今まで同様の事前研修の実施を求めるということでございます。
 最後、3ページを御覧ください。
 今後の進め方ということで、へき地以外のワクチン接種会場への看護師及び准看護師の労働者派遣に係る特例措置の延長の実施については、最終的に労働政策審議会の御意見を伺う必要がございますので、今後は労働政策審議会で議論いただくこととして、今回の医療部会での議論の内容を御報告した上で、労働政策審議会のほうで最終的な結論を得ていただくということにさせていただければと考えてございます。
 説明は、以上となります。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、御質問、御意見をいただきたいと思います。
 佐保委員、お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。
 ワクチン接種会場への看護師派遣については、新型コロナウイルス感染症拡大を防止するため、あくまでワクチン接種が進まない中での緊急的な措置として、期間を区切って認められたものだと認識しております。
 ワクチン接種が本格的に始まってから10か月近くが経過し、この間、接種人員の確保や、接種の効率化など、自治体においても知見やノウハウが蓄積されたのではないでしょうか。
 議論の前提として、人員確保や効率化のために、各自治体でどのような取組がなされたのか、また、ワクチン接種会場など、現場での課題があったのであれば伺いたいと思います。
 その上で、冒頭述べたような趣旨で、限定的に認められた経緯を踏まえれば、3回目の接種を理由とした延長の議論が当然のようになされることには違和感を覚えます。
 看護師確保を含めた医療人材の確保は、医療政策において直接雇用などの取組を進めるべきであり、安易に派遣期間を延長するのではなく、しっかりと人員確保を行っていただきたいと考えております。
 私からは、以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 では、井伊委員、お願いいたします。
○井伊委員 ありがとうございます。
 このワクチン接種会場への看護師派遣を可能とするというのは、これは特例措置ということで、時限措置です。
 その期間を延長する必要があるというのは、現時点では理解できますので、反対ではありませんが、あくまで時限措置ということにしていただきたいと思います。
 日本看護協会といたしましては、看護師の人材確保は、直接雇用が基本であると考えています。看護師の労働者派遣には、そもそも賛成ではありません。
 過去の私どもの発言の繰り返しになりますが、派遣される看護師には、適切な労務管理や、事前研修等が行われることが必要です。
 本日の資料の4ページには、ワクチン接種会場への派遣実績等は示されておりますが、今後、へき地の医療機関への派遣実績や、それから労務管理や事前研修等で問題が生じていないかについて、把握をお願いしたいと思います。
 私からは、以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 加納委員、お願いします。
○加納委員 ありがとうございます。
 今、井伊委員のお話で、多分確認できたかなと思うのですが、今回の人材派遣に関しては、いわゆるナースセンターは動かなかったということで、認識としていいのでしょうか。今の日看協の立場としては認めないという話であれば、ナースセンターは動いてなかったと。それで人材派遣会社に委託したということになったのでしょうか。この2万3720人の確保という人数でありますが、そこを少しお聞きしたいです。
 また、先ほどから出ていますように、質の問題、管理の問題、労働条件の問題とかがあるかとは思うのですが、人材派遣会社、我々紹介会社に関して、たしか厚労省のほうでも、丸適マークではないですが、適した派遣会社とか、そういったことの認識を確認するための委員会等も運営なさっているかと思うのですが、そういったものも絡んでいるのかどうか、この2点を少しお聞きしたいのですが。
○永井部会長 いかがでしょうか。
○看護職員確保対策官 まず、1点目でございますけれども、4ページで御説明した中では、直接雇用の部分でございますが、これはナースセンターを通じて直接雇用に結びついているケースが含まれています。派遣というのは、派遣会社のほうでやられているもので、ナースセンターが動いたものは、直接雇用の中にカウントされている、こういうものでございます。○永井部会長 よろしいでしょうか。
○派遣・請負労働企画官 派遣・請負労働企画官でございます。
 
先ほど、丸適マークの関係での言及がございました。厚生労働省で労働者派遣事業を行う優良な事業者さんについて認定する制度を設けておりまして、現在約150事業者を認定させていただいております。
 また、これら事業者と今回の看護師派遣に関連する情報は、今、持ち合わせてはいないのですが、そのような認定制度を運用させていただいているところです。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 では、釜萢委員、お願いします。
○釜萢委員 ありがとうございます。
 今日の参考資料の4ページに、この一覧をお示しいただきまして、非常に全体像がよく分かるようになったと思います。
 ナースセンターのことについては、私自身も看護協会と一緒にやっていますけれども、それぞれナースセンターは、かなり役割を大きく担っているので、加納先生には、ぜひその点の御理解を賜りたいと思いますが、さらに、それは役割をしっかりやっていかなくてはならないと思いますけれども、全体のボリューム感が、これでよく分かるというところは大事で、今回の議題については、あくまでも特例的、そして期間を限定してということであるということを、もう一度強調しなければならないと思いますし、知事会から要請があったということも承知していますけれども、全体の貢献していただいた実績は、こういう割合になったのだということで、今後、なるべくこういう人材派遣に頼らない形でも、しっかり必要な人材が確保できる方向に、さらに力を尽くす必要があるということを指摘しておきたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、このワクチン接種会場への看護師派遣につきましては、事務局において、ただいまの部会の議論を、労働政策審議会に御報告をお願いいたします。
 ほかに何か、全体を通じて御発言はございませんでしょうか。
 もし、ございませんでしたら、本日は、これまでとさせていただきます。
 事務局から連絡事項等をお願いいたします。
○総務課長 本日は、誠にありがとうございました。本日は、これまで同様、一般傍聴の制限をしてございます。したがいまして、議事録につきましては、可能な限り速やかに公表できるように、事務局として校正作業を進めてまいりたいと存じます。委員の皆様方におかれましても、御多忙中と存じますけれども、何とぞ御協力をいただきますようお願い申し上げます。
 次回の医療部会の日程につきましては、詳細が決まり次第、改めて御連絡させていただきます。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございました。
 それでは、本日はこれまでとさせていただきます。
 お忙しいところ、ありがとうございました。
 

(了)

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