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2021年10月4日 第81回医療部会

医政局総務課

○日時

令和3年10月4日(月)15:00~17:00

 

○場所   AP新橋 3階 Aルーム


○議事

○保健医療技術調整官 ただいまから第81回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。委員の皆様方におかれては、お忙しい中を御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
 本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点からオンラインによる開催としております。会議中、御発言の際は「手を挙げる」ボタンをクリックし、部会長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は再度マイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。また、議題に対して御賛同いただく際には「反応」をクリックした上で「賛成」ボタンをクリック、またはカメラに向かってうなずいていただくことで、いわゆる異議なしの旨を確認させていただきます。
 まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、都竹委員、野村委員から御欠席との連絡をいただいております。また、井上委員、平井委員、山口委員、松田委員より、用務より少々遅れるとの御連絡をいただいております。
 医療部会の総委員数が24名で、定足数は3分の1の8名となっており、本日は22名の委員の皆様が御出席となりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。
 次に、議事に入ります前に資料等の確認をさせていただきます。事前に、議事次第、委員名簿、厚生労働省出席者名簿、座席表のほか、資料1及び資料2、参考資料を送付させていただいておりますので、お手元に御準備いただければと思います。
 前回の医療部会以降、事務局におきまして異動がございました。
 医政局長の伊原でございます。
 また、審議官の大坪は公務により遅れて参加いたします。
 また、同じく審議官の間が保険局に異動しております。
 その他は配付の厚生労働省出席者名簿に代えて御報告させていただきます。
 冒頭のカメラ撮りはここまででとさせていただきます。
(カメラ撮り終了)
○保健医療技術調整官 以降の進行は永井部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 よろしくお願いいたします。
 最初に、本日は新型コロナウイルスによる感染拡大防止のため、傍聴は報道関係者のみとしておりますので御承知おきください。
 では、議題に入ります。
 令和4年度診療報酬改定の基本方針について、事務局より御説明をお願いいたします。
○医療介護連携政策課長代理 医療介護連携政策課でございます。
 資料1を御覧ください。
 令和4年度診療報酬改定の基本方針の検討について御説明いたします。
 右下のページ番号1と書かれたスライドを御覧ください。
 まず、令和2年度、前回改定の基本報酬においては、基本認識に続きまして、基本的な視点と具体的な方向性というものを示してございます。これまでの改定の視点としては、基本的にはこれまでの改定でも継承されてきており、それに加えて、そのときそのときの医療を取り巻く状況を踏まえた重点課題というものを追加してきたところでございます。
 今回は、新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえまして、新型コロナをはじめとする新興感染症等への対応の強化というのが重要なテーマになってくると考えてございます。また、2040年を展望し、健康寿命の延伸、「全世代型社会保障」の実現、社会保障の持続可能性の確保についての取組や議論というものが進められている状況にございます。加えて、患者・国民に身近で、どこに住んでいても適切な医療を安心して受けられる社会の実現、医師等の働き方改革の推進、医療のICTの利活用なども引き続き重要なテーマになってくると考えてございます。
 こうしたことを踏まえまして、構成としては、次の2ページ目を御覧ください。
 基本認識といたしましては、具体的には、1点目として新型コロナウイルス感染症をはじめとする新興感染症等に対応できる医療提供体制の構築を記載してございます。
 また、2点目として、健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた全世代型社会保障の実現。
 3点目として、患者・国民に身近で、どこに住んでいても適切な医療を安心して受けられる社会の実現、医師等の働き方改革の推進。
 それから、4点目として、社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和というものがあるのではないかと考えてございます。
 下に参考として前回改定時の基本認識を記載してございますが、コロナを除く点については前回改定の基本認識を踏襲したような形になってございます。
 次に、3ページ目を御覧ください。
 基本的視点と具体的方向性として整理しております。
 まず、1点目のコロナ関係といたしましては、右側の方向の例として、当面、継続的な対応が見込まれる新型コロナウイルス感染症への対応と、医療計画の見直しを踏まえた新興感染症等に対応できる医療提供体制の構築に向けた取組といった方向が考えられるのではないかと記載してございます。
 2点目の視点として、医療従事者の負担を軽減し、医師等の働き方改革を推進する視点。方向の例としては、厳しい勤務環境を改善する取組の評価や救急医療体制等の評価、業務の効率化に資するICTの利活用といったことを記載しております。
 また、3点目の視点として、医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進に関する視点として、効果的・効率的で質の高い入院医療の評価、それから、外来機能の明確化・連携の推進、かかりつけ機能の強化、そして、質の高い在宅医療・訪問看護の確保、地域包括ケアシステムの推進といったことを方向の例として記載してございます。
 4点目の視点としては、患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療を実現する視点を記載しておりまして、方向の例としては、患者が安心して医療を受けられる体制の評価、アウトカムに着目した評価、また、重点的な分野として、不妊治療の評価というものを挙げてございます。それから、口腔疾患の重症化予防、歯科医療の推進、そして、薬局・薬剤師業務の対人中心への転換の推進や、医療におけるICTの利活用というものを例として記載しております。
 そして、最後の視点として、効率化・適正化を通じて、制度の安定性・持続可能性を高める視点については、後発医薬品やバイオ後続品の使用促進等の医薬品の適切な使用の促進や費用対効果評価制度の活用、市場実勢価格を踏まえた適正な評価といったものを例として記載してございます。
 4ページ目は、過去の診療報酬改定の基本方針における視点を示したものになります。
 また、5ページ目は、前回令和2年度診療報酬改定のスケジュールを参考として載せさせていただいてございます。
 以上が説明になりますが、この同じ資料で医療保険部会でも議論を開始しております。簡単に御紹介いたしますと、基本認識や視点、具体的方向性の大きな方向としては異論はないとの御意見をいただいております。また、個別事項については様々な御意見をいただいておりますが、例えば新型コロナを踏まえて医療機能の分化・連携の重要性が再認識されたとの御意見や、ワクチン、治療薬などイノベーションの推進や医薬品の安定供給の確保が重要であるなどの御意見をいただいております。
 私からの説明は以上になります。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御説明に御質問、御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
 では、釜萢委員、佐保委員、神野委員、木戸委員の順番でお願いいたします。
 釜萢委員、どうぞ。
○釜萢委員 釜萢でございます。ありがとうございます。
 既に御説明がありましたけれども、新型コロナウイルス感染症に対するこれまでのいろいろな対応の中で、問題点も多く出てきたと感じております。共通の認識として持っておきたいと思いますことは、医師あるいは医療従事者が自分の専門に関わらず、必要に応じて新たに知識や技術も身につけながら、なるべく幅広い領域に対応できるようにしていくということが、今回のような有事では極めて大事であったこと、また、それを引き続きしっかり継続できるようにするには、そのための適切な評価が必要なことです。
 まず、感染症対策がしっかりそれぞれの医療機関で行えるということは基本中の基本でありまして、感染症対策をしない、それができない医療機関が医療を提供することは不可能であります。コロナに対応していない医療機関等を批判されるようなマスコミの報道もありますけれども、感染症対策ができなければ、いらっしゃる患者さんはコロナかどうか分からないわけですから、対応ができないということで、感染症の対策が今後も全ての医療機関でしっかり実施できるように、平時から診療報酬上も配慮をしていく必要があると感じます。
 それから、特に病院においては、病床の準備の状況がどうなっているのかということをリアルタイムで調整本部などにしっかり報告する仕組みが随分できてきましたけれども、この取組がさらに進むように、地域で病床の状況が共有された場合の診療報酬上の評価について、中医協で検討していただきたいと思います。さらに、コロナの急性期の治療が終わった後に、いわゆる下りと言われている部分で引き受ける回復期等の病床の確保も非常に大事でありますので、その辺りの一連の流れを地域でしっかり把握、共有できるような仕組みをぜひとっていただきたいと思います。
 現状では、緊急を要する医療体制の整備に対し補助金等が設けられたり、診療報酬上も通常の点数の加算の取扱いが行われているものがありますが、これはずっと継続できるわけではないと思いますので、全体の整合性をとりながら、今後、必要なものをきちんと継続していくということが必要だろうと思います。
 それから、1つ質問を申し上げたいと思いますが、3ページの患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療を提供する視点というところに、患者が安心して医療を受けられる体制の評価という文言と、アウトカムに着目した評価の推進というのがあります。内容は理解できるのですが、非常に漠然としておって、取りようによってはいろいろとれるかなというところもありまして、この点についてもう少し事務局から具体的な御説明をいただきたいと思います。特にアウトカムに着目した評価ということになると、治療の効果がまずかった場合には評価が下がるのかというようなこと等について、どういうイメージを持っておられるのかお示しいただきたいと思います。
 私から以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 ただいまの点、事務局、いかがでしょうか。
 医療課長、どうぞ。
○医療課長 保険局の医療課長でございます。
 ただいまいただきました御質問ですが、患者が安心して医療を受けられる体制の評価、アウトカムに着目した評価の推進とはどういうことなのかということでございましたが、いずれにいたしましても、具体的な項目、今御指摘がありましたように、アウトカム評価をするものが適しているところもあればそうでないところもある。実際、それについては中医協で個別の議論をすると。ただ、一般的な考え方といたしまして、ここの基本方針の中で患者が安心して医療を受けられる体制を評価していく、アウトカムを評価していくというような方向性ということだと思っております。ここで議論いただくのはあくまでも一般的な御議論ということで、それぞれの考え方がどういった点数に合致するのか、適しているのかというのは中医協の中で個別に議論いただきたいと思っております。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
○釜萢委員 どうもありがとうございました。
 課長から御指摘の内容はよく分かっておるところなのですけれども、ここがこういうふうに書かれたことによるいろいろな縛りが当然生じてくるだろうと思いますので、書きぶりについては少し配慮が必要なのかなと思いまして発言をした次第です。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 佐保委員、どうぞ。
○佐保委員 ありがとうございます。
 改定に当たっての基本認識で例示されています、新型コロナウイルス感染症をはじめとする新興感染症等に対応できる医療提供体制の構築が重要であると考えております。医師の偏在対策、医師・医療従事者の働き方改革とともに、しっかりと今から取り組むことが重要であると思っております。
 感染症拡大を考慮しつつ、外来を含め、あらゆる設置主体の医療機関の参画による地域医療構想の再検討とともに、社会インフラとしての日本全体の医療提供体制の回復につながる報酬改定を検討していく必要があると考えております。その際、人口減少、超少子高齢化が進む状況に変わりはありませんので、効率的な医療提供体制の構築により、医療費の増加抑制にも努めなければならないと考えております。
 また、各地域での地域医療構想調整会議において、被保険者、住民の参画促進を図り、十分な検討を行うようにお願いをしたいと思います。病床や医薬品、医療機器などの確保に加え、それらを支える人材の確保まで含めた体制整備が不可欠であると考えております。有効求人倍率なども示しているように、新型コロナ禍で医療従事者の確保が課題となっていますが、疲弊する医療現場からは、働きに見合った処遇を求める声を聴いております。基本方針に盛り込む必要があるのではないかと考えます。
 さらに、前回の部会でも発言いたしましたが、複雑化している報酬体系の整理が必要と考えています。中医協での議論を促進していただくためにも、基本方針として診療報酬体系の整理を進めることを再度お願いしたいと思います。
 私からは以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 神野委員、どうぞ。
○神野委員 神野です。
 ささいな質問が1つと、2つ意見を言わせてください。
 まず、2ページの基本認識でございます。一番下にあります令和2年の改定に当たっての基本方針の3番目は「どこに住んでいても適切な医療」、今回の基本認識は「患者・国民に身近で、どこに住んでいても適切な医療」となってございます。ここで「患者・国民に身近」と「どこに住んでいても適切な」、同じような話を2つ重ねた心というのが何かあるならば教えていただきたい。国語力がないので分からないのだけれども、あえてここを追加した意味というのをお教えいただきたいなと思います。
 それから、意見ですけれども、3ページ目であります。上から4つ目の左側の視点の例のところに、身近であって安心・安全で質の高い医療というのが書いてございます。例えばこの方向の例を隠して4番目の質の高い医療を実現する視点ということを考えると、上から3番目の医療機能の分化・強化とか、その中に質の高い医療や質の高い在宅医療などがあるわけなので、上から4番目と右の方向の上から3番目が重なり合っているのではないかなという思いがございます。質の高い医療のところに口腔疾患とか薬剤・薬剤師の話がありますけれども、そうなのかなということで、上から3番目と4番目は統合したほうが分かりやすいのではないかなと思った次第です。
 もう一個だけ意見を言わせていただきます。3ページの上から2番目の医療従事者の話でありますけれども、これは中医協マターの話、診療報酬に関わる話なので、やはりタスク・シフトとかタスク・シェアというところに対する報酬ということを考えるならば、やはりタスク・シフティング、タスク・シェアリングというものを例の中に入れていただいたほうがいいのかなというのが意見でございます。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 今村委員、先ほどの釜萢委員との関係の御発言でしょうか。もし関係があれば先に御発言いただきたいと思いますが、今村委員。
○今村委員 ありがとうございます。
 別の意見でございますので、順番どおりで結構です。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 それでは、木戸委員、どうぞ。
○木戸委員 ありがとうございます。
 改定の基本認識、視点、方向性については、いずれも現時点での重要な課題が漏れなく含まれていますので、基本的に内容に関しては異論はございません。
 その上で、内容についてコメントをさせていただきます。
 視点の1番目に新興感染症等とありますが、それだけではなくて、やはり大規模災害やテロなど、いつ何時でも平時から非常時モードに変わるリスクがあると思います。感染症に限らず、より広い観点から非常時を想定して対応を構築していくべきと思います。今回の新型コロナのパンデミックでは、救急車の中であちこち電話をかけても、何時間も受入先が見つからないとか、非常に苦しい中、不安な気持ちで過ごした患者さんも多くおられると思います。やはり医療従事者の一人として大変残念に感じております。国民が命の危機に直面しても、必要な医療を受けられないという事態となったのは、一つには、やはり平時から医療現場自体にゆとりがないことがあると思います。長時間労働で人手不足を補っているところに少し負荷がかかれば、現場は容易に逼迫してしまいます。このことから、視点の例の1番目と2番目は密接に関わっており、ともに今回ぜひ掲げておいたほうがいいと思います。
 あと、方向の例のところでは、ICTの利活用という言葉が複数書いてありますが、これは今ある医療資源を最大限に活用する、まさにキーワードと言える言葉だと思います。先ほど釜萢先生もおっしゃっておりましたけれども、やはり救急患者さんの応需の際に一つ一つ電話をかけまくるのでは非常に効率が悪いので、この重症度の患者さんならこの病院で対応できるとか、できるだけリアルタイムにマッチできる仕組みの整備というのが非常に重要ですし、あと、医師不足の地方にどれだけ医師が供給できるかとか、いろいろな仕組みでこのICTの利活用はますます重要になってくると思います。ぜひコストと時間をかけてでも構築していくべきと思います。今回は個々の視点における方向のところにそれぞれ記載されていますが、将来的には基本的認識や視点のほうに格上げして、全体に共通した問題として捉えて、取組をぜひ推進していくような重要な項目と考えるべきと思います。
 私のほうからは以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 小熊委員、どうぞ。
○小熊委員 ありがとうございます。小熊でございます。
 釜萢先生と神野先生の御意見にちょっと重なるのですが、またそれもちょっと違うのですが、今般のコロナを通じて、日本の医療というのは地域によって医療体制といいましょうか、医療環境が非常に違うということが明らかになったと思うのです。それから、今後、第8次医療計画でもいろいろなことが地域に中心に執り行われようとしているという状況だと思うのですが、安全・安心で質の高い医療を実現するのは当然なわけですが、そういったことに加えて、地域間の差というものがこのお示しいただいた文面では一つも出てこない。私はそう思っております。
 ちなみに、参考資料を見てみましたら、19ページの平成26年度のところには「地域の実情に配慮した評価」という文言が入っております。これは、先ほども申しましたように今後の医療体制の構築は地域によっていろいろ変わりますので、安全・安心、それから、質の高い医療というのは前提でございますけれども、それが地域ごとに違う可能性がございますので、そういった文面をぜひ入れておいていただきたいと思います。
 先ほど釜萢先生からは、書かれていることに縛りを受けるというお話がありましたが、逆に縛りをかける意味からも、今後の我が国の医療を検討するに当たっては、地域というものを尊重するような文言が欲しいと私は思います。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 井上委員、どうぞ。
○井上委員 ありがとうございます。
 9月22日の医療保険部会でも経団連委員から発言があったと思いますけれども、私からも経済界の立場で何点か申し上げます。
 まず、2ページ目の基本認識の例示につきましては大きな違和感はございません。ただ、医療制度というのは国の基本政策でございますので、短期的視点ではなくて、高齢化、現役世代の減少という大きな変化に加えて今回のコロナ禍で明らかになった課題への対応を着実に医療制度の中に取り入れていくという視点が重要だと思います。もっとも、それが診療報酬なのかどうかというのはよく見極めながら進める必要があるとは思います。
 経済界の視点からは、示されている例の4つ目にございます経済・財政とどのように調和させていくかという点は非常に気がかりなところで、これは医療制度を超えて国全体の経済情勢でありますとか、所得分配というものに関わる重要な課題であるということを御認識いただきたいと思います。
 次に、3ページ目の視点の例の1つ目でございますけれども、医療提供体制は言うまでもなく、今回のコロナ禍で明らかになった最大の課題でございます。医療機関の間の役割分担や連携が必ずしも十分でなくて、本来は重層的な面で対応すべきものが、今回、点での対応に終始してしまったということが言えるのではないでしょうか。この課題は個々の医療機関の問題でなく、まさに医療提供の全体としての体制、セーフティーネットワークの形の在り方という問題ではないかと思います。この点、コロナ禍以降、診療報酬の上乗せで様々な対応がされておりますけれども、今後は個々の対応ではなくて、全体の体制として個々の医療機関の機能の在り方というものを再整理していくことが重要であると思います。この辺りは特に視点の3つ目とも重なる話だと思いますので、医療機能の分化・強化、連携といったことは明確に書き込むべきことだと思います。
 視点の3つ目にございますとおり、平時からやはり機能分化・強化、連携の必要性というのは当然あるわけでございまして、やはりこれに加えて集約化という観点も重要ではないかと思います。方向の例の1つ目に、「医療機能や患者の状態に応じた効果的・効率的で質の高い入院医療の評価」という記載がありますけれども、これは評価するために入院医療の機能分化・集約化をどうやって推進していくかという視点で進めるべきだと考えます。
 また、外来におきましても、病診における役割分担、あるいは医療機器の分散でありますとか、検査の重複等といった課題がこれまでも指摘されているところでございますので、この点も踏まえまして、外来に関する記載につきましても機能分化・集約化というものも必要と思います。
 さらには、これは今回のコロナで明らかになったことですけれども、やはり身近なかかりつけ医というのが重要であるということが国民的な合意に近くなってきているのではないかなと思いますので、ぜひかかりつけ医機能の強化、推進も重要な課題であるという認識で進めていただきたいと思います。
 視点の5つ目、効率化・適正化に関してですけれども、方向性の例として記載が薬剤に関連した事項のみになっておるわけでございますけれども、当然この効率化というところではやはり外来、入院、調剤、歯科、様々な視点から検討が加えられるべきです。
 戻って、4つ目ですけれども、コロナの中でワクチンとか治療薬の開発で、この分野はやはり国の中でのイノベーションというのが重要だという認識が深まったと思います。これは国の競争力にも関係しますし、安全保障にも関連する課題だと思います。こうしたことからも、やはり創薬力の強化やイノベーションの適切な評価といった検討の必要性もあると思います。
 さらに、ICTの利活用というのは今後の医療のキーワードでございますけれども、それに関連いたしまして、オンライン診療もコロナで浸透して、今後のポストコロナにおいても非常に重要なものになっていくと思いますので、対面診療との報酬差というのをどう考えるのかと。それが阻害要因になっているということであれば、そういった点の解消も重要な視点であると思います。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 安部委員、どうぞ。
○安部委員 安部でございます。ありがとうございます。
 今日の資料1についてであります。印象としては、前回の資料に新型コロナウイルス感染症と新興感染症に対応できる医療提供体制を構築する視点というものを付け加えたということについては、前回の議論どおりでありますので、十分に理解しているところでありますけれども、その他の部分に関しては、8月5日の資料が示されましたが、その文言や記載位置を若干変更したにすぎないような印象を持ってしまっております。といいますのは、8月5日の医療部会でも様々な意見を申し上げているわけでありますが、その意見がどこに具体的に反映されているのかが明確ではないと感じているところであります。進捗がないのではないかという印象を持っているわけであります。ですから、今後、様々な議論がされますけれども、意見をどのように具体的にこの視点や方向性に取り入れているか、どうやって読み取れるようにしていくかということについては、事務局にどう調整するのか確認をしたいと思っております。
 前回申し上げましたので、前回の内容を繰り返し申し上げることは避けますけれども、例えば3例目の視点の医療機能の分化・強化の視点の中に、かかりつけ機能の強化でありますとか、地域包括ケアシステムの推進のための取組ということが方向性の例として載ってございます。一方で、その観点と裏腹の関係にあるような、前回も申し上げました敷地内薬局のビジネスモデルの問題というものをどういうふうに取り扱うかということについては、どこかで読み取れるようにしていただきたいなと思っているところであります。
 また、視点の4つ目で、患者・国民にとって医療を実現する視点というところからしますと、医療技術や医薬品のイノベーションの評価、安定価格医薬品等の医療提供に不可欠な資源の安定供給、それから、骨太にもありますサプライチェーンの強化、強靭化等をどのように推進していくかというところも、視点、方向性として重要なのではないかと。これは、もしかしたら新型コロナとか新興感染症、また、先ほど御意見があったように、災害というときと平時のときと並行して考える必要があるのではないかと思っております。
 事務局、どのように調整していただくのかということについて、方向性をお示しいただければと思います。
○永井部会長 今の点、いかがでしょうか。お答えをお願いします。
○医療介護連携政策課長代理 事務局、医療介護連携政策課でございます。
 今回は基本認識と、それから、基本的視点、具体的方向性、大きなくくりとして御提示させていただきました。前回8月5日の議論もそうですし、今日この場で御議論いただいたことを、もう少しこの基本認識、あるいは基本的視点のところに書き込んだものを次回以降御提示したいと考えております。その際には、様々ないただいた御意見というものも踏まえながら検討していきたいと考えてございます。
○安部委員 ありがとうございます。ぜひ取り入れるものはしっかり取り入れていただく、溶け込むものは溶け込ませていただくというところで、私も含めて、せっかくいただいた意見については反映していただければと考えております。よろしくお願いします。
○永井部会長 では、遠藤秀樹委員、どうぞ。
○遠藤(秀)委員 ありがとうございます。日本歯科医師会の遠藤でございます。
 今回示された基本的な方針はおおむね賛同できる内容と思っております。その基本方針の中でも、今回、新興感染症への対応がうたわれておりますが、新型コロナウイルス感染症の下での診療現場においては、感染防止策を含め、緊急を強いられた対応が続いているものと思っております。
 特に我々歯科においても、無症状の陽性者が多いとされる中で、患者さんはマスクを外した状態で口腔内処置をしたり、エアロゾルを出しております。ハイリスクと言われております。ただ、幸いにして診療行為に伴う感染事例はほとんど報告されておりませんけれども、感染防止に細心の注意を払いながら、健康寿命の延伸のための口腔健康管理といったものを提供する診療が続いております。
 ただ、この9月いっぱいで診療報酬上の特例が今回廃止になりましたが、この感染症が一時的に収束傾向にあったとしても、医療機関としては今後も継続して負荷のかかった状態の診療が続くものと考えております。今回の改定においても、こういったパンデミックに対応できる診療報酬体系を十分に配慮しながらつくっていただきたいと要望いたします。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 続いて、井伊委員、どうぞ。
○井伊委員 ありがとうございます。
 本日の資料の2ページ目の「基本認識」、それから3ページ目の「基本的視点」は、いずれも重要なことだと考えており、異論はございません。その上で意見を3点申し上げたいと思います。
 まず、1点目の「新型コロナウイルス感染症をはじめとする新興感染症等に対応できる医療提供体制を構築する視点」ですが、新型コロナウイルス感染症の対応においては、一人の患者に医師、看護師等多くのスタッフが関わる必要性があります。そういう中で看護師が不足するという事態も生じたと認識しています。そういうことから、平時から人員配置にはある程度の余裕がないと緊急時には対応できない。これが医療現場の実感だろうと思いますので、そういった方向性を示すべきだと考えます。特に人工呼吸器やECMOを装着した患者への対応に当たるICUには、人員的に手厚く、かつ専門性の高い看護師の配置が必要だと思います。それから、この感染症に関連しまして、一般の医療機関や地域の介護施設等も含めて、クラスターの発生を抑止できるような、地域における感染管理の水準の底上げについても、ぜひ挙げていただきたいと思います。
 それから視点の2つ目、「医療従事者の負担を軽減し、医師等の働き方改革を推進する視点」ですが、これに関しましては、医師の働き方改革推進のためにも、看護師から看護補助者へのタスク・シフト、タスク・シェアの観点が重要だと考えます。看護補助者については確保が困難だという現状もございますので、看護補助者の確保・定着に寄与するような、例えば処遇の改善や研修の充実等につながる何らかの措置が必要だと考えます。
 視点の3つ目の「医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進に関する視点」では、「質の高い在宅医療・訪問看護の確保」を挙げていただいています。特に在宅療養を支える体制整備については、これまでも重要だと言われてきましたが、整備において困難な状況がございます。私どもでは、訪問看護ステーションの量的確保と機能強化が、これまで以上に重要だと思いますと同時に、医療機関、訪問看護ステーション等の関係機関が必要な情報、これは診療情報だけではなく、看護の情報を共有するということが必要だと考えます。
 さらに、今、オンライン診療等が進んでいますけれども、オンライン診療時の看護職によるオンライン指導を推進することが加えて必要だと考えます。
こうした必要な措置を図るとことが大事だと思っておりますので、そういった方向で今後御検討いただきたいと考えます。
 以上でございます。ありがとうございました。
○永井部会長 ありがとうございます。
 松原委員、どうぞ。
○松原委員 ありがとうございます。
 地域医療で医療がちゃんと完結できるような体制をしっかり構築するということは重要ですけれども、一方で医療逼迫が起きたときには、その地域全体自体が逼迫しているわけですから、医療圏や都道府県を越えて患者さんまたは医療従事者が移動できる体制の構築も必要だと思います。一々救急隊が電話をしてお願いするのではなくて、ITを使ってオールジャパンでどういう機能を持ったところが今どれだけ逼迫している、空いている、あと、先ほど委員からお話がありましたように、看護師の情報も含めて、オールジャパンで状況を把握できる体制、なおかつ、場合によっては都道府県を越えて移動ができるという体制を構築していくことが必要だと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 加納委員、どうぞ。
○加納委員 ありがとうございます。
 まず、基本認識に関しましては、1つ目で新興感染症に対する今後の対応ということと、2つ目には、高齢化社会を考えたもの、3つ目には患者・国民に身近でということで、最近、我々病院団体が申し上げています地域密着型に近いような表現が出ているのが非常にいい形ではないかなと認識しております。
 次に、3ページ目の改正の基本的視点と具体的方向性に関しましてですが、コロナの感染に関しましては、一番最初に書かれていますように、平時と有事ということがありますが、平時においてはやはり余裕を持った平時をつくっていかなければいけないという考え方からのものだと考えておりますし、また、さらに有事にはどうするかということを考えていかなければいけないということだと思っております。
 その中で、今回のこれはあくまでも診療報酬においてということで、どのようにしていくかということですが、有事のときは補助金等の体制も踏まえた形で対応するということも重要だと考えております。また、新興感染症に対応できる医療提供体制の構築という形で文中出てきているのですが、やはり新興感染症のみならず、今回の感染に対するコロナの受入れもそうだったのですが、その裏で、不要不急でない、いわゆる一般の二次救急患者さん等の急性期患者の対応もしっかりやってきたということも分かるように、先ほどの1つ目と2つ目の視点の中とリンクする救急等に関しては、何かの形で明記できないでしょうかという意見でございます。
 2つ目に関しましては、これは神野先生もおっしゃったのですが、今回、働き方に関しましては、勤務環境を改善するためにいろいろな仕組みが入ってきております。先ほど出ましたタスク・シフト、シェアリングに関しての診療報酬における評価に関しても考慮していくということをできたら明記していただきたいということであります。また、そこにICTの利活用の推進ということで、これについて書いてあるということは、診療報酬等で何らかの負担に関しましても考慮していただけることだと考えております。
 次に、3つ目の分化・強化、連携に関しましては、外来機能の明確化・連携の推進等でかかりつけ医の機能の強化ということであります。これに関しましては、今議論しています外来機能の明確化の中で診療報酬において何らかの評価がつくのかどうかということで、この点についてはどういう形で評価していこうということが分かっておるようでありましたら、後でお答えいただきたいかなと思っております。
 4つ目のところ、先ほどと重なるのですが、医療におけるICTの利活用に関しましては、これに対する負担等にしっかりと診療報酬の評価を考えていただきたいかなということで、しっかりとこの点も明記していただければありがたいかなと思っております。
 最後に、後発医薬品の適切な使用促進等、冒頭にも厚労省のほうからも出ましたが、本当に今、供給が非常に不安定になっております。ドミノ倒しのごとく次から次へ後発医薬品が不足しているということが出てきて、病院現場ではそれの対応を行っているというのが現状であります。これに関しましては、ちょっと不安になります。後発医薬品全体の安全性に対する不安も出てきますので、厚労省のほうは現場の混乱をどのように理解しているか、何らかの情報があるようでしたら教えていただきたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 今の点、いかがでしょうか。事務局から何かお答えできますでしょうか。どういうところを重点的に対応するかとか、いかがですか。まだ時期は早いということなのでしょうか。
○加納委員 外来機能等に対しては方向性として考えていると理解してよろしいのでしょうか。
○永井部会長 医療課長、どうぞ。
○医療課長 外来機能のところについて答えさせていただきます。
 昨年度、医療保険部会でも検討がなされて、機能分化をしてその評価をということになっております。今まで逐次診療報酬改定ごとに外来機能の評価というのはされてきておりますので、今般、今までの議論を踏まえまして、どのような形がいいのかというのが中医協の中で議論されるということだと思っております。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
○加納委員 ありがとうございます。
 それと、後発医薬品の混乱状況というのは、厚労省としてどのように理解されているのか、もし分かるようでしたら教えていただきたいと思います。
○永井部会長 どうぞ。
○経済課長 経済課長でございます。
 今、委員御指摘のように、後発医薬品については、これまでどちらかというと国の使用促進策というのもございまして、先発品からの置換え効果による量的拡大というところを最優先として考えてきたと。その結果として、価格競争というものが相当程度進んで、まだ販路を拡大できる段階であればよかったのですけれども、8割ぐらい使用割合というのが進んだことに伴って、量的拡大だけでは質の確保ということが難しくなってきているというのが現状であろうと認識しております。
 そういった中で、御案内のとおり、一部の後発医薬品メーカーによる不適正な事案というのも報告されてございまして、それを受けて、後発医薬品の品質確保と安定供給というのが今大きな課題になっているという認識でございます。
 診療報酬についてどういう形でやるかというのは今後の中医協での議論だと認識しておりますけれども、私ども経済課としては、メーカー側とも協力しながら、新しいビジネスモデルを構築するということも含めて、安定供給に向けた取組というものを進めていきたいと考えてございます。
 具体的な事案については今承知しておりませんので、総論として申し上げさせていただければと思います。すみません。
○加納委員 命に関わる薬剤もございますので、それの供給が急に不安になるということは、現場は非常に混乱しますので、よろしくお願いしたいと思います。
○永井部会長 ありがとうございます。
 相澤委員、どうぞ。
○相澤委員 どうもありがとうございます。
 それでは、まず最初に新興感染症に対応する点についてですが、先ほどから意見がありますように、やはり今、診療報酬で病院はぎりぎりに絞られておりまして、ゆとりがないのです。その中でこういう緊急事態に対応しようと思っても非常に無理だと。その辺を国はどう考えているのかという基本的な方向が分からないのです。それは少し明らかにしていただきたい。特に施設、設備、人材に関しては、急にやれと言っても無理なわけですから、平時からどう準備しておくのか、準備しておくゆとりあるいは伸びしろと言っていい部分はどうしていくのか。ここの国の方針が明確でないということ。
 第2点は、この感染症で分かったことは、平時からできていないことはできないのだという明確なことです。例えば医療連携にしても、ふだんからできていないからできていないわけで、それが今回一番問題になったのは、僕は病病間連携だと思うのです。これは病病間の連携についてはほとんど書かれていませんので、ここで書き込むのか、3番目に書き込むのかどうか分かりませんが、病院と病院間の連携というのは極めて大事なのに、これまであまり扱われてこなかったので何とかしていただきたいということが第1点。
 第2点は、医療従事者の負担を軽減するということで、ここで様々な加算をつけていただいて、様々な補助、例えば医師事務作業補助、あるいは看護補助とつけていただいて、本当にありがたいのですが、残念ながら、この基準に沿って人を雇用すると赤字になります。人件費分が出ていないのです。それは経営実態調査でも明らかになっていて、人が増えて、人件費が増えているのですが、病院の収入は増えていない。だから、病院はほとんど赤字になってしまう。この悪循環は何かで断ち切らないと大変なことになると思いますので、医療従事者の負担を軽減するということで様々やってくださるのはありがたいのですが、それが医療経営の負担にならないようにぜひ考慮をしていただきたい。
 それから、4番目に、神野委員から発言があったように改定の視点の例3、4項目はなかなか分かりにくいので、これは整理をもう少し上手にしたほうがいいのではないかなと思います。医療機能の分化・強化、連携というのは何のためにやるかというと、国民にとって安心で安全な医療を提供するためにやるわけですから、そこが2つに分かれていることで非常に分かりにくくなってしまっているので、これは何とかしていただきたいなと思います。
 その上で、医療におけるICTの利活用とありますが、御存じのように、今、オンライン資格確認等により医療のデータを集めて、それを安全な医療、そして、医療の質の貢献にしていこうと。そのためにはデータの標準化というのは避けられないわけで、そのためにはいったいどうしていくのかという国の方針が絶対に必要だと私は思います。それこそが今後の医療を乗り切り、ここで書いてあるような安心・安全で質の高い医療を目指していく一番切り札なのに、そこが全然書き込まれていないというのは非常におかしい気がしますし、それに対して国がどういう方針でどう支援をしていくのか、診療報酬でいくのかほかの方法でいくのかは別として、医療におけるICTの利活用という簡単な言葉で済ませないでいただきたいなと。
 その上で、先ほど感染症の対応のところでもありましたけれども、やはりデータの共有化、そして、その共有化したデータの利用ということを少なくとも医療機関間できちんとできるという仕組みを講じないと、多分今回でも感染症の情報があまり伝わってこない、よその病院がどうなっているか分からないために疑心暗鬼になってしまったというところがありますので、ぜひそういう情報あるいはデータの共有化ということと、これを利活用する仕組みというものをどうしていくかということもぜひ考えていただきたいなと思います。
 以上です。どうもありがとうございました。
○永井部会長 ありがとうございます。
 今村委員、どうぞ。
○今村委員 ありがとうございます。
 私のほうからは、基本認識に関する意見1点と、具体的な方向の例というところで3点ばかり申したいと思います。
 まず、1点目の基本認識のところで、今回の新型コロナウイルス感染症、これは多くの委員から様々に御意見がありましたけれども、こういった形で加えるというのは当然のことかと思います。
 残りの3点についても全体的には全く異論はないのですけれども、ただ、このコロナに比べて、残りの3点の基本的な認識というのは、今回の令和4年度の改定に限った話ではなくて、医師の働き方に関してはゴールが2036年と考えてよいと思うのですけれども、残りのものについてはかなり長期的に関わってくるお話で、これを毎年の改定の基本方針として議論するのかというのはどうなのかなと思っています。もちろん、その折々に新たに付け加えるべきだというような御意見があって変えることはいいと思うのですけれども、例示として挙げるものとして毎回挙げるようなものではないのかなと感じております。
 それから、方向の例で、文言のことで細かいことを申し上げるのは恐縮なのですけれども、まず1点目、視点のところで医療機能の分化のところ、先ほど加納先生からもございました外来機能のお話なのですが、これは「明確化」という言葉になっております。長年外来の機能については、特に病院の外来と診療所の外来だとか、大変大きな幅広い議論をしなければいけないものを、明確化という言葉で、今、医政局等で議論しているのは、一部の外来の機能について議論をしております。それに診療報酬がどのように寄り添うかという話だと思いますけれども、明確化というようなところまでこの令和4年度でできるのかというのはありますので、ここは文言として気になるところと申し上げておきます。
 それから、最後の効率化・適正化のところで、これも加納先生からあった後発医薬品のお話ですけれども、これは医療現場は大変困っている、あるいは薬局・調剤薬局でも困っているという声を聴きます。安定供給の問題も一つあるのですけれども、実は日本医師会も全国の医療機関に対して10月1日付で長期処方について見直してほしいという話を文章として出させていただいています。つまり、欠品が生じているようなものを3か月処方というようなことで出すと、本当に全く患者さんにお薬が届かない状況になっているという声を聴いておりますので、こういったときの長期処方の在り方というようなことについても、ぜひ考えていただきたいと思っております。
 最後に、「費用対効果制度の活用」という文言があります。これは日本では長年の議論に基づいて費用対効果が薬価制度の中に加算の調整ということで取り入れられたわけです。品目をどうしていくのか、増やしていくのかというようなことが議論の対象になっているのですけれども、活用という文言になると、費用対効果を加算のところの調整ではなく、もっともっと幅広にどこかに使うというふうにも読み取れてしまうわけです。費用対効果の制度の現行のものを充実していくということが正しい表現ではないかと思っておりますので、私のほうから意見として言わせていただきます。
 ありがとうございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 平井委員が途中で御退席ということですので、ちょっと早めに御発言をお願いいたします。
○平井委員 失礼いたしました。ありがとうございます。
 永井良三先生をはじめ、委員の皆様には日頃から大変お世話になっていまして、ありがとうございます。
 永井学長におかれましては、このたび、皇室の件でも大変な御苦労をされたようでありまして、先日の報道にも載せさせていただきました。
 今日は医療の関係でございますけれども、今、例えば小熊委員もおっしゃったわけでありますが、地域によって様々なアプローチの差がある。そういう中で新型コロナと対峙していることをぜひ御理解いただきたいと思いますし、今後の検討の視点の中に加えていただければと思います。
 新型コロナにつきましては、現在、大分全国的な収束に向かってきていると言ってもいい状況になりました。沖縄県も人口10万人当たり25人を切ってくるということになりまして、全都道府県がステージ3以下に入ってきているところでございます。しかし、今までの感染の波を見ていますと、必ずウイルスの変異が入れ替わっていって、それで新しい感染力の強いウイルスが波を起こすというものであります。次にまた厳しい感染の波がやってこないとは決して限らないわけでありまして、この新型コロナに対する体制というのは維持していかなければなりません。そういう意味で、3ページにございますが、新型コロナウイルス対策についてしっかりと今後も配慮していこうというのは重要な事項だと思います。医療の関係者がある意味非常に犠牲を払ってやっている、そういう状況をやはり診療報酬等でも支えていかなければなりません。また、関連の様々な医療分野ということも当然あるわけでございます。
 あわせて、やはり地域における公立・公的病院というところが果たした役割というのは、今回の新型コロナ対策の中で非常に大きいものがございました。大学病院など、そうした大きな視点で高度な医療を提供してくださったところ、自治医科大学などございますけれども、それと併せて、今までその存在について統廃合も含めて議論があった公立・公的病院の意義というのは、当然見直されなければいけない状況になってきているのだと思います。これから新しい医療の在り方を考える上で、感染症対策など、こういう医療の危機管理をやっていけるだけのものを埋め込んだ形で報酬など諸制度が組み込まれていかなければならないと思います。
 また、今回、オンラインの遠隔診療など、このコロナの中でも大活躍をしているところでございます。こういうことも大都市のみならず、地方におきましてもそうした対応が可能なように評価を充実していくことが重要かと考えております。また、今、新型コロナの関係で考えますと、在宅で療養している人が相次いで命を落とされるという残念な事象が見られます。これは保健所機能と一体化してコロナ対策を積極的な医学調査や、あるいは入院調整など、充実を図らなければならず、それが重要なことは論をまたないわけでありますが、それと併せて、やはり在宅においても訪問診療や訪問介護、あるいはかかりつけ医の対応等もあるわけであります。こうしたところの評価についてもより充実させていくということが引き続き重要になってくるのではないかと思います。この辺は医療機能の分化・強化、あるいは地域包括ケアシステム等の観点で述べられているところでありますが、ぜひこうしたことにも意を配していただければありがたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
○永井部会長 ありがとうございました。
 それでは、河本委員、どうぞ。
○河本委員 ありがとうございます。
 私のほうからは4点ほど意見を申し上げたいと思います。
 まず1点目、2ページ目の改定に当たっての基本認識のところでございます。一番上の新興感染症等に対応できる医療提供体制の構築というところでございますけれども、今回のコロナ禍で医療資源の散在とか、あるいはかかりつけ医に対する国民の期待の高まりといった医療提供体制の課題が顕在化したということを踏まえると、医療提供体制の構築というところで止まるのではなくて、この文言に続けて、効果的な入院医療体制の強化とか、あるいは安全・安心で効率的な外来医療体制の構築といった文言も書き加えていただければなと思います。
 また、3ページ目の基本的視点と具体的な方向性のところですけれども、これも1つ目の視点の方向の例の中にも、入院医療の機能の分化・強化、連携のさらなる推進、あるいはかかりつけ機能の強化といった内容を記載していただけたらなと思います。3つ目の視点の中に同様の記載がございますけれども、こちらはいわば平時対応ということです。そういうお話でもあるので、両方に記載をしていただいてもいいのではないかと考えております。
 加えて、コロナ禍にあっても少子高齢化の傾向は変わらないわけですので、視点あるいは方向の中に、感染症に対応可能な医療提供体制の構築とともに、人口、疾病構造の変化に対応し、患者のニーズに添った効率的・効果的な医療提供体制の構築を進めるといった趣旨とか、あるいは医療資源の重点配分、高齢化とか高額医薬品の登場などによって医療費の増大が見込まれる中で、医療資源の重点配分が必要であるといった趣旨を書き込んでいただければなと思います。
 また、診療報酬は医療行為の対価として患者負担を伴うものでございますから、新興感染症対応についても、まずはこれまでの臨時的、特例的な対応を検証して、その上で今後の対応としての効果が確実に期待されるか否かと。それはエビデンスに基づいて検討するという視点が重要である。言わずもがなではございますけれども、それも改めて指摘をしておきたいと思います。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 島崎委員、どうぞ。
○島崎委員 ありがとうございます。島崎です。
 今般のコロナ禍に対する基本認識のところで、今、河本委員も言及されましたけれども、診療報酬は診療の対価であるという大原則を、書き方はともかく何らかの形で書くべきだと思います。端的に言えば、診療報酬を減収補填に使ったらどうかという意見もありますけれども、診療報酬は何にでも使える便利な「お財布」ではないということを再確認すべきだと思います。
 併せて言えば、これまで診療報酬を安易に政策誘導に使ってきたきらいがあります。もちろん一切診療報酬を政策誘導に使うということを否定するわけではありませんが、診療報酬の法的な性格はあくまでも診療の対価であり、患者の窓口負担も診療報酬の一部です。したがって、コストがかかっているからといって、その全てを診療報酬で補填すべきだということには必ずしもならない。これは改めて書くかどうかという話はともかく、そこは再認識すべきだと思います。
 それから、今回のコロナの影響は非常に多方面に及んでいます。例えば、特にコロナの対応を積極的に行った医療機関の場合では、コロナ患者の病床を確保するために、ほかの患者が押し出され、その結果、いろいろな疾患の患者の混合病棟、あるいは混合病室と言ったほうがよいかもしれませんけれども、そういう状態になっていることも実際に現場ではみられます。
 私が申し上げたいことは、先ほど今村委員がおっしゃった、この基本方針というのは来年の診療報酬の基本方針なのか、長期的なビジョンを示すのかということとも関係します。今回のコロナ禍を通じて、医療機関の機能分化や連携の重要性を確認されたということはまったくそのとおりなのですが、その一方で、今申し上げたように医療現場でかなりの混乱があるのも事実です。したがって、大きな方向性と具体的に次の診療報酬改定で何をするかということは、ある程度切り分けて考えたほうがよろしいのではないかと思います。言い換えれば、コロナ禍のなかで、中長期的な方向と現下の状況も考えどこまでやるかどうかということは、丁寧に見定めたほうがよろしいのではないかと思います。
 以上のとおりです。
○永井部会長 ありがとうございます。
 では、山口委員、どうぞ。
○山口委員 ありがとうございます。今日は遅れての参加で申し訳ございませんでした。
 3ページの改定の基本視点と具体的方向性というところで、3つ目の医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進はこれまで何年にもわたって取り上げられてきた問題だと思います。このたび、入院だけではなく外来も報告制度を導入することが話し合われている最中ですけれども、こういったことを診療報酬の改定で位置づけていきますと、医療現場での動きはかなり進むわけですが、どうしても国民の理解が追いつかないという状況がございます。これは今回の診療報酬の改定に限ったことではないのですけれども、そろそろこの改定のことでどんなことを国民に伝えたいのかというようなことをセットで伝えていただくようなことをしていただかないと、同じように患者・国民が、こういうふうに医療が変わってきたから、今、自分たちはこういうふうに考えて行動しなければいけないということがなかなか伝わってこないと思いますので、その辺り、厚労省として診療報酬の改定だけではなくて、国民へのメッセージということも併せて考えていただきたいということがまず1点目です。
 4つ目の例のところに、医療におけるICTの利活用とあり、恐らくこれはオンライン診療のことも関係してくるのだと思います。オンライン診療は思ったほど進まないと言われている中に、やはり診療報酬の点数が低いということも原因として挙げられています。実際に、私たちのところで電話相談を受けておりまして、こういうコロナ禍にあって、例えば在宅で訪問診療を受けている方が、自分も感染するかもしれないし医師に感染させるかもしれないので、ドクターにオンライン診療にしてほしいとお願いしたところ、点数が低いからそれは変えることができないと露骨に言われたというような話も届きます。
 ですので、利便性や患者にとって有益なオンライン診療がぜひ進むような形にしていただきたいという一方で、今回、コロナの時限的措置ということで、面識のない初診の患者にまで全面的に解除されています。これは幸い、全医療機関の6%の医療機関しか初診からの電話やオンラインということは手がけてこなかったことで、私は安全性が何とか保たれている、守られているのだと思っています。ぜひこの辺り、診療報酬の点数の中で安全性を確保するような工夫をしていただくことができないだろうかと。そういったこともぜひ御検討いただければと思っております。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 楠岡委員、どうぞ。
○楠岡委員 楠岡です。
 全般的な意見なのですけれども、基本認識にある全世代型社会保障の実現というところですが、いろいろ見てみますと、全世代型社会保障とは何ぞやというところが、厚生労働省にしろ、政府にしろ、はっきりした明確なものがなく、言葉としては分かるのですけれども、その実現としても何を実現するかがよく分からない。唯一あるのは、全世代型社会保障検討会議の中間報告とか最終報告ですが、そこに書かれていることは結構細かいことで、例えばコロナに対応するような医療体制をつくるというのもその中に既に書き込まれているような状況になっています。
 したがいまして、全世代型社会保障の実現という言葉だけが独り歩きして、具体的なものが示されないのであれば本末転倒でありますし、逆にその言葉の細かい具体的なものとして検討会議の報告書等をベースにするのであれば、ほかの幾つかのここに挙げられていることがほとんど包括的に含まれてしまっているような状況で、構成的に若干変な形になってしまっているのではないかと危惧するところで、この点に関しましてはまた事務局から説明があればと思っております。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 ありがとうございます。
 では、山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 ありがとうございます。
 基本的視点と具体的な方向性のところですが、今回、新型コロナ感染症が発生して、急性期の対応ができる病床をつくれとマスコミのほうから盛んに言われたわけです。世界に冠たる病床数を持っているのにどうして急性期の対応の病床をつくれないんだという非難が大分あったわけですが、そもそも日本の病床は定義が外国と違うのです。外国の場合は、急性期対応の病床を病床としており、日本のようにリハビリとか慢性期の病床というのは外国では病床と言っていないわけです。これは精神科でもそうなのですが、長期入院の病床を含めて全部病床と言っていて、精神科の病床は30万床もあってとんでもないみたいな話になる訳です。したがって、病床の定義をきちんと外国のように急性期に対応する病床を病床と定義し、慢性期、長期病床の表現を変えないとなかなか国民の理解が得られないと思います。
 それと、医療従事者の負担の軽減ということはここ数年ずっと言っていて、将来的にしていこうということなのでしょうが、医師は好きで長期間の労働をしているわけではないでしょう。結果として医師が少ないから長期間労働になってしまうわけです。それなのに、一方で、医学部の定員を削減するなんて言っているわけです。言っていることとやっていることが全然違うわけです。したがって、医師の長時間労働を改革するなら、医師の数を増やさなければどうにもならないのに、一方では削減する方向でどんどん進んでいるって、物すごく矛盾していると思います。
 また、業務の効率化に資するICTの利活用ですが、、電子カルテの世界は業者の言いなりです。毎年メンテナンス費というのを何百万と払って、しかも、新しい電子カルテを導入しても、5年ぐらいでライセンスが切れるから、また新しいものを買えと言って、今度は数億円払うわけです。これらの費用は全然診療報酬に入っていないわけです。ICTの利活用を推進しろと言うのなら、国が標準の電子カルテを作るべきです。国が標準のきちんとした電子カルテを作って、しかも、メンテナンス費は国が負担するといった抜本的なことをしないで、文言だけきれいに書いてもしようがないと思います。
 もう一つは、最後の後発医薬品の話です。私の病院も厚生労働省の言うとおり、どんどん後発医薬品に変えたので今回の後発医薬品不足になってしまっているのです。しようがないので、今、先発品に変えているところです。リスペリドンというのは精神科でメインで使う向精神薬なのですが、後発の医薬品が入ってこないので、先発品のリスパダールに変えて使っているということが現実なのです。しかも、一般報道によりますと、この供給体制が改善するのに3年ぐらいかかるといった報道が一方ではあるわけです。したがって、潤沢にきちんと後発の医薬品が使えるような方策を厚生労働省としては至急考えてほしいと思います。この後発医薬品について、担当課のほうからもっと明確な情報を欲しいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、この件はここまでとさせていただいて、また追加で御発言のある方はメール等でお寄せください。
 では、次の議題に参ります。
 国家戦略特区における最先端医療に係る病床特例の全国展開について、説明をお願いいたします。
○地域医療計画課長 地域医療計画課長の鷲見でございます。
 お手元の資料2に基づきまして、国家戦略特区における最先端医療に係る病床特例の全国展開について御説明申し上げます。
 まず1ページ目でございますけれども、特区病床特例の概要でございますけれども、まず現行の医療法では、病床の整備について、病床過剰地域から非過剰地域へ誘導することを通じて、病床の地域的偏在を是正し、全国的に一定水準以上の医療を確保するため、基準病床制度を設けております。病床過剰地域においては、公的医療機関等の開設・増床等は許可しないなどの対応を行っているところでございます。
 また、国家戦略特別区域法に基づき、国家戦略特区における世界最高水準の高度の医療であって、国内においてその普及が十分でないものを提供する事業(最先端医療)について、内閣総理大臣の認定を受けたときは、病床過剰地域であっても、当該事業に必要な病床の設置が可能となる特例(特区病床特例)が設けられているところでございます。
 また、平成26年の制度開始以降、認定を受けているのは10事業者でございまして、お手元の6ページ目に一覧表が載っておりますが、これまで4区域7自治体10事業者を認定しているところでございます。
 また1ページ目に戻っていただきまして、今回、全国展開に向けた検討を行うということでございます。今年6月18日に閣議決定が行われた成長戦略フォローアップの中で、方針としまして、国家戦略特区における規制の特例措置の全国展開ということで、病床規制の特例による病床の新設・増床の容認ということでございます。こちらは2021年度中に検討し、結論を得るということから、今回医療部会にかけさせていただいているところでございます。
 次に2ページ目でございますけれども、そもそも医療法において特例制度というものがございまして、特区病床特例と同じように、病床過剰地域であっても、国に協議の上、特定の病床の設置が認められる全国的な制度として医療法第30条の4第11項に基づく特例制度、特定病床の特例というものがございます。具体的には、がん、救急、治験等の特定の病床について、病床過剰地域であったとしてもその設置が可能となるというものでございまして、8ページ目を御覧になっていただきたいと思いますけれども、こちらはその特例の一覧表としまして、1から13まで書かれているところでございますが、こうしたものにつきましては設置が可能となるというものでございます。
 2ページ目に戻っていただきまして、特定病床特例の流れということで下にポンチ絵がございますけれども、1から6の流れで認められるというようなことになっているところでございます。
 3ページ目でございますけれども、全国展開の考え方について御説明申し上げます。
 全国展開の対応方針としましては、全国展開に際して、これまでに成果が見られた特区病床特例の趣旨を継続しつつ、より地域の医療提供体制に適合する形にしていくことが必要。
 こうした観点も踏まえると、特区病床特例と類似の医療法上の全国的な制度である特定病床の特例、先ほど申し上げましたようなものでございますが、こうした特例に新たな区分として最先端医療を追加するという対応が考えられるのではないかと。
 また、その留意点といたしましては、真ん中に2つ記載させていただいておりますが、最先端医療の対象が不明確であって、それに該当していることについての客観的な担保に乏しいというような点であるとか、当該病床の特例を受けられる期間などが不明確であるといった留意点について考慮した上で対応する必要があるだろうと。
 最後、全国展開に当たっての取扱い案でございますけれども、今申し上げました留意点を踏まえまして、最先端医療の該当性について、例えば関係学会の推薦を得たものであって保険収載されていないものなど、対象を明確化する必要があるだろうと。また、2つ目でございますが、当該特定病床の特例の適用を受けてから、一定期間病床の設置を認めることとして、その期間が経過した場合には特例の適用を受けない場合の病床数への変更を求めるなど、地域での効率的な医療提供体制の構築を前提とした対応を行うというものでございます。この期間につきましては、現時点では都道府県において設定をするということを考えているところでございます。また、期間を経過する場合であっても、引き続き継続して当該病床で最先端医療を提供する必要があると認められる場合や、特定病床の特例のその他の事由に該当する場合には再度特定病床の特例の申請は可能であるとするものでございます。
 今後の進め方でございますが、本日の医療部会の議論を踏まえまして、10月以降に行われます国家戦略特区ワーキンググループにおいて議論を行いまして、さらにこの年度内におきまして、医療部会においてそれまでの議論を踏まえて方向性を決定したいということでお諮りするものでございます。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、御質問をお願いいたします。いかがでしょうか。
 加納委員、佐保委員、どうぞ。
○加納委員 ありがとうございます。
 最先端の医療をどんどん取り入れていくということで、これは今までの経過から見ても加えていくべきものかと思うのですけれども、幾つか気になるところがあります。
 まず一つは2ページのところであります。今回、医療機関からの申請があれば、知事が確認して、厚労省へ協議して、同意して決めていくというパターンで、その中に都道府県医療審議会の意見聴取というものがあります。これは本当に必要な最先端医療であれば、このとおり推移すればいいということだと思うのです。しかし、昨今見ていますと、場合によっては本当に最先端なのかどうかという確認をしていく必要があるのではないかと思われるものもあります。どうしても箱物としてそういったものがつい動くような懸念がありますので、都道府県の意見を聴取するということでありますが、これは医療審議会で止めることはできません。そうなると知事判断でということで推移してしまえば、止めることはできないという非常に危険なものがあるかと思います。
 その点、一番大事なのが、3ページ目に書いてあります留意点の幾つかの中にあったのですが、取扱い案として出ております関係学会の推薦はやはり必要事項にしていただきたいかなと思います。えてして首長さん判断でこれは最先端だということでやってしまうと、非常に歪な形での使いようがあるのではないかなと懸念されますので、ぜひともここはしっかりと関係学会の推薦を得たものでないと認められないということで、いわゆる学術的、あるいは本当に世界的な最先端かどうかという確認をお願いしたいと思います。
 それと、特例を受けられる期間等が必要であれば、やはり期間をきっちりと明記して出すべきではないかと思います。どうしても最先端の機械が入っている医療機関というものは、非常に周りの病院に影響する可能性が高いかと思います。そういう意味で、本当に必要だという認証と、また、期間の設定というものが必要かと思います。
 過去の事例が幾つかあったかと思いますが、例えばダヴィンチですと今は多くの病院に入っているかと思います。これが最先端というものではもうなくなっているのであれば、やはりそういった意味での期間というものを今後ぜひとも考慮していただいて決めていくということが大事かと思っておりますので、その点、よろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 佐保委員、どうぞ。
○佐保委員 ありがとうございます。
 最先端医療を受けたくても遠方で受けづらい患者さんにとっては、全国展開によって利便性が向上されると思っております。ただ、取扱い案では、最先端医療の該当性について関係学会の推薦を得たものであるということになっておりますが、関係学会も多種多様な学会があるのではないかと私のほうで認識しております。学会の活動によって日本の医療レベルが向上されているのだと考えておりまして、学会のされていることに水を差すつもりは全くありませんが、それぞれの学会における推薦基準にばらつきが生じるおそれがあり、推薦基準が甘いところと厳しいところがあるといったことが生じるのではないかと考えています。関係学会の推薦を得たものの審査を行う機関、もしくは国において会議を設置することや、推進基準に不均衡が生じないように国で調整する等、何らかの調整が必要ではないかと考えております。
 私からは以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 楠岡委員、どうぞ。
○楠岡委員 楠岡です。
 すでに加納委員が指摘されたことですけれども、やはり期間をしっかり限定するということが大事だと思います。ダヴィンチ手術とかハイブリッド手術が認定されてから10年近くたっている現代において、あちこちでやられている以上、やはり陳腐化するというか、最先端でなくなった場合にはその病床は取り消すということをしないと、単に病床数を増やすだけということになってしまうかと思います。
 あと、今回は特例に関して最先端医療でありますけれども、それ以外の特例に関しましても、ある程度の検証は必要ではないかと思います。例えば我々は治験に関わっておりますけれども、治験に関わる病床ということで特例的に増床されていても、現在、ほとんど治験をされていなくて使っていないという病床も実際にはあるように聞いております。一定期間後検証して、本来の使用目的が達せられないのであれば、それは取り消すという手続は必要であると思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 神野委員、どうぞ。
○神野委員 お先に失礼いたします。
 先ほど加納委員、楠岡委員がおっしゃったとおりで、全く同じ思いであります。国際競争力をつける、あるいは国民に最先端医療の場を提供するという意味で、この最先端医療に関わるものというのはあっていいと思いますが、今お話があったように、やはりこの最先端医療には鮮度というものがあるということで、やはり鮮度が過ぎたものに関しては、確かに病床を増床するということはそれなりに設備投資が必要かもしれませんけれども、それは覚悟の上で、期間を決めて返還いただくというのが筋なのかなと思いました。
 以上です。
○永井部会長 今村委員、どうぞ。
○今村委員 ありがとうございます。
 全ての委員の先生方と共通の思いでありますけれども、改めての確認ですが、これは国家戦略特区の病床特例を医療法の中の特例制度とリンクさせて提案されているということだと思うので、大前提は国家戦略特区の物の考え方になると。世界最高水準の高度の医療で、国内において普及が十分でないということが前提だとすると、先ほど御指摘いただいたように、最高水準の高度の医療って何なんですかという議論も当然起こってくるわけで、佐保委員もおっしゃったように、学会と言っても本当にいろいろありますので、やはり関わっている学会だけではなくて、例えば日本医学会などもきっちりと認めるみたいなことをしないとまずいのではないかなと思っております。
 それから、参考資料の中に10の医療機関が国家戦略特区でこの特例として病床を認められていいますが、先ほど御指摘のように、ダヴィンチのように今や当たり前のものだということがあります。そもそもこの国家戦略特区で病床を増床したことによって、日本国民にどのような恩恵が得られて、ここでやった医療が実際にどの程度の効果があったかという検証がきちんとなされないといけないと思っていて、今回、医療部会の議論を受けて国家戦略特区ワーキンググループにおいて議論していただくということですけれども、ぜひ医療部会の意見として、この10の病院のやっておられたことが本当にどの程度の成果があったかということを改めて検証していただきたいと思っています。これだけ病床を増やしたわけですから、それが本当に日本の医療にとって貢献したのかどうかということも改めて確認をいただければと思っています。
 私からは以上です。
○永井部会長 では、島崎委員、どうぞ。
○島崎委員 皆さんがおっしゃったことと重なりますけれども、実際問題として、ある都道府県で知事が国家戦略特区的な地域を設定して、国際的医療拠点を整備したいと思えば、実現できてしまうという気がします。
 ほかの方との重複は避けますけれども、資料の3ページで「最先端医療の対象が不明確であり、それに該当していることについての客観的な担保に乏しい」と書いてあって、下の取扱い案のところでは「関係学会の推薦を得たものであって保険収載されているものなど対象を明確化する」と書いてあります。言葉尻を捕らえるようで申し訳ないのですけれども、明確化すると言っておきながら「など」というのはどういう意味なのでしょうか。それから、関係学会の推薦を得たものであってというのは、1学会でもよいということなのでしょうか。先ほどから議論がありますように、学会と言っても一様ではありませんので、都合のよい学会の推薦状を1つでももらえばよいというでは、要件・歯止めとしていかがなのかなという感じは正直に言ってします。以上のうち特に保険収載されていないものなどの「など」にはほかに何があるのでしょうか。
○永井部会長 事務局、いかがでしょうか。
○地域医療計画課長 ありがとうございます。
 後ほど全体をお答えさせていただきたいと思いますけれども、こちらはあくまで例示として書かせていただいておりますけれども、この内容につきましては、今後、しっかり具体的な運用について検討していく必要があると思っておりまして、先ほどの学会にばらつきがあるであるとか、1学会でもいいのかとか、その辺りについてまさに議論していきたいと思っております。ですので、この時点では、特にこちらで決定していて、案として明確なものをお示ししているわけではございませんでして、今後議論していきたいというもののたたき台ということでございます。
 以上です。
○永井部会長 松原委員、どうぞ。
○松原委員 今回の件で、今まで先進医療にアクセスしていなかった患者さんがアクセスできるというのは非常に喜ばしいことだと思います。一方で、これをどんどん認めることによって、混合診療がなし崩し的に一般化していって、先進医療はどうせお金持ちしか受けられないよねという白けた、皆保険に対して信頼を失うようなことがないように留意した運用をしていただきたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 私からも一言発言したいと思います。
 最先端医療といっても、医療としての有効性が明らかなものと明らかでないものがあります。そういうものは医療と呼ぶべきではないかもしれませんけれども、この制度を使って研究医療ということになると、本来の趣旨とは違ってくるのではないかと思います。そういう意味で、学会というのは研究医療を推進するところですので、関係学会の推薦は必要ですけれども、それだけでは十分ではないのではないかと思います。利益相反が起こらないようにしないといけないということです。推薦があったとしても、やはり審査はきちんと行わないといけないと思いますし、倫理問題が起こらないように十分気をつけて進めていただく必要があると思います。
 以上です。
 事務局、いかがでしょうか。
○地域医療計画課長 委員の先生方、ありがとうございました。
 今、最後に永井先生がおっしゃったような点も踏まえて今後議論していきたいと思いますが、一方で、判断に時間がかかってしまうことによって申請事業が最先端医療の対象外になってしまうようなことにならないように、簡便かつスピード感を持った手続であることも同時に必要であるだろうと考えております。ですので、こうしたことは、きちんと両者のバランスをとりながら議論を進めていきたいと思っております。
 また、冒頭、加納先生などからもお話がございましたが、都道府県においてはこの最先端の判断は難しいのではないかという話がございましたけれども、基本的には地域における協議につきましては、最先端医療の提供に多数の医療資源を投入する場合、人材確保など、地域の医療提供体制の影響が懸念される可能性がある中で、地域の医療提供体制の確保に大きな影響がないことを御説明いただくということを目的としているものでございまして、必ずしも医療が最先端医療に該当するかどうかということは地域において御審査いただくということを目的としているわけではございません。ですので、最先端医療に該当するかどうかの判断につきましては、先ほどから申し上げさせていただいておりますように、適切なプロセスで判断するような形でまた検討させていただきたいと思っております。
 あと、これは一定程度期間がたった後に検証する必要があるのではないかと。また、今回、この特区制度についてもきちんと検証する必要があるのではないかという御指摘につきましては、まさにワーキングにも報告させていただきたいと思いますし、内閣府と適切に議論していきたいと思っております。
 いただいた御質問は、ざっとでございますけれども、基本、この先端性についてどういった形で判断をするのか、学会との関係、利益相反などがないように、あと、ばらつきがあるのではないかという御指摘などを踏まえながら、改めて事務局、そして、内閣府などとも議論していきたいと思っております。
 以上でございます。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
 予定した議事はここまででございますが、何か追加で御発言等ございませんでしょうか。
 加納委員、どうぞ。
○加納委員 コロナ対策は今どんどん、今回も次の診療報酬改定で議論という形で真っ先に出ているわけなのですが、我々、実は現場で非常にいろいろな形でコロナの対応をしております。
 ただ、この前、10月1日ですか、医政局の医療経理室から出たQ&Aの中に、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(医療分)について、10月以降はどのようになりますかという答えの中で、実は、コロナワクチン接種に関しては11月末までの対応とし、それ以外の事業による必要な支援は令和3年12月末までとし、令和4年1月以降の対応は今後の感染状況、執行状況等を踏まえて検討することとしていますという回答がありました。
 ということは、今の我々福祉保障を含めた支援金は12月末まではちゃんと確保していただいているということなのですけれども、実はこれ、裏腹でいきますと、来年1月以降は現時点では確保してないよ、今後の推移で見るよという話でございます。
 そうすると、今は第5波が少し落ち着いてきている状況でありますが、誰が考えても明らかに今回第6波が来るであろうと言われている12月末を持って切れてしまうという背景があって、我々はどのように対応していいのかどうか、本当に非常に現場は混乱している状況であります。
 これはぜひとも今後、例えばもしこのまま福祉保障がなければ、やはり我々、今、病院、重点医療機関等で1病棟単位でやっておれば、それを撤収するのに非常に長い間時間がかかるのです。例として、私の病院でありますと回復期リハを48床丸ごと出しておりますので、これをベッドを普通に戻していくには1か月以上、少なくとも2か月近くかかるのではないかなと思われるわけです。そうすると、12月末で切れるという判断をしなければいけないのだったら、もう撤収作戦をしなければいけない。今、第6波の状況が分からない状況下で、我々も現場としてどうすればいいのかということを非常に悩んでいる状況でありますが、これに関しまして、第6波の状況、今後の財務との話合いとかいろいろなことが考えられる中で、今すぐに答えはないかと思うのですが、非常に現場が混乱しているという認識をぜひとも持っていただきたいかなと思っております。
 厚労省のほうから何か御発言をいただけるようでしたらいただきたいと思うのですが、状況的には対財務の話だということで、非常にデリケートな話だということも認識しておりますので、そういうこともぜひとも考慮していただきたいという意見として言わせていただきました。
○永井部会長 ありがとうございます。
 事務局から何か。
 総務課長、どうぞ。
○総務課長 医政局の総務課長でございます。
 コロナへの対応ということで、医療現場の皆様方には本当にこれまで長い間、そして、引き続き御苦労いただいているところでございます。
 加納委員がおっしゃられましたように、現時点では12月末までは確実に確保されていますが、これは、すなわち12月末で切れますということを申し上げているというよりも、その後の対応については引き続き検討するとお考えいただければと思います。つまり、基本的には病床確保料がないと医療機関での病床確保は非常に難しいということが当然ながらございます。病床を確保するための補助金は、病床を確保するためにはやはり必要な手立てなのだろうと考えています。他方で、その上で、だんだん状況は平常化していくということもあるだろうということだと思いますので、在り方というものを不断に検討するということは当然ながら必要なのだろうと思います。
 できるだけ今おっしゃられたこと、そういう経済的な状況が分からないと、どういうふうに対応していいか分からないと。それが現場の混乱につながるということは全くそのとおりだと思いますので、できるだけ早く御安心いただけるように政府部内でよく検討させていただきたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。
 ほかによろしいでしょうか。
 もし御発言がなければ、本日はこれまでとさせていただきます。
 事務局から連絡事項をお願いいたします。
○保健医療技術調整官 本日は一般傍聴の制限をしていることから、議事録につきまして、可能な限り速やかに公表できるよう、事務局として校正作業を進めてまいります。委員の皆様におかれましても、御多忙中と存じますが、御協力をいただきますようお願い申し上げます。
 また、次回の医療部会の日程につきましては、詳細が決まり次第、改めて御連絡させていただきます。
 事務局からは以上になります。
○永井部会長 ありがとうございました。
 それでは、これで終了させていただきます。本日はお忙しいところ、ありがとうございました。
 

(了)

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