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2021年8月5日 第80回医療部会

医政局総務課

○日時

令和3年8月5日(木)15:00~17:00

 

○場所   AP新橋 3階 Aルーム


○議事

○医療政策企画官 それでは、お時間になりましたので、ただいまから第80回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。委員の皆様方におかれましては、お忙しいところ、御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
 本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点からオンラインによる開催としております。会議中、御発言の際は「手を挙げる」ボタンをクリックし、部会長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言いただくようお願いいたします。また、御発言終了後は再度マイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。また、議題に対して御賛同いただく際には「反応」をクリックした上で「賛成」ボタンをクリック、またはカメラに向かってうなずいていただくことで、いわゆる異議なしの旨を確認させていただきます。
 まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、医療部会の総員24名の方、全ての皆様が御出席の予定となっており、定足数に達することを御報告申し上げます。また、平井委員より、公務のため、途中退席されるとの御連絡を頂いております。
 次に、議事に入ります前に資料の確認をさせていただきます。事前に、議事次第、委員名簿、座席表のほか、資料1から資料5、参考資料1-1から参考資料2を送付させていただいておりますので、お手元に御準備いただければと思います。
 報道の方のカメラ撮りはここまででお願いいたします。
(カメラ撮り終了)
○医療政策企画官 以降の進行につきましては、永井部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 皆さん、お暑いところ、たくさんお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 初めに、新型コロナウイルスによる感染拡大防止のため、傍聴は報道関係者のみにしておりますことを御承知おきください。
 では、議題に入ります。診療報酬改定の基本方針について、事務局より説明をお願いいたします。
○医療介護連携政策課長 医療介護連携政策課長でございます。
 資料1「診療報酬改定の基本方針について(前回の振り返り)」に基づいて説明させていただきます。
 めくっていただいて1枚目のスライド「診療報酬改定の流れ」ということで、既に皆さんは御存じではありますが、念のため、お伝えさせていただきます。診療報酬改定ですけれども、予算編成過程を通じて内閣が決定した改定率を前提としまして、この社会保障審議会の医療部会、医療保険部会において基本方針を策定していただき、その基本方針に基づいて中央社会保険医療協議会において具体的な診療報酬点数の中身や条件について審議を行うという関係になっております。ですので、来年度、令和4年度の診療報酬改定を控えまして、この社会保障審議会医療部会において、基本方針に関して、令和4年度の診療報酬改定に臨むに当たってどういう方針でやるのかということを御議論いただければと思っております。
 次の2枚目のスライドになりまして、前回、令和2年度の診療報酬改定の基本方針はどのようなものをつくったのかということを用意させていただいております。二部構成になっておりまして、一部では、改定に当たっての基本認識としまして、4つの基本認識でございます。読み上げますと「健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた『全世代型社会保障』の実現」「患者・国民に身近な医療の実現」「どこに住んでいても適切な医療を安心して受けられる社会の実現、医師等の働き方改革の推進」「社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和」です。次に、この基本認識の下、改定の基本的視点と具体的方向性ということで1から4までございます。読み上げますと、1が重点課題となっていまして「1.医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進」。そして、「2.患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現」「3.医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進」「4.効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」です。こういった4つの基本的視点とそれに基づくそれぞれの具体的方向性という形で令和2年度はまとめたということでございます。これを踏まえて、令和4年度の診療報酬改定に当たってどういう方針で臨めばいいのかということをこの会を通じて御議論いただければと思っております。
 事務局からの説明は以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの説明に御質問、御意見おありの方は御発言をお願いいたします。最初に、平井委員は途中で御退席ということですので、まとめて御発言いただければと思います。
〇平井委員 永井先生にはいつも大変お世話になっております。ありがとうございます。また、楠岡代理はじめ委員の皆様には大変すばらしいお仕事をいつも頂いており、厚労省にも事務局を本当にありがとうございます。
 今、お話がありました診療報酬のこと、あるいはこの後の法律関係のことなど、部会長のほうからお話がございましたので、まとめてお話をさせていただきたいと思いますが、診療報酬につきましては、様々な配慮をしていただいたことにまずは感謝申し上げたいと思います。
 しっかりとした議論をしていただきまして、医療従事者の皆さんあるいは医療経営がかなうように応援していただければと思いますが、特に新型コロナでありまして、様相が一変しているところであります。こういう中でしっかりとした病院経営等ができるように、これは医療法の改正等のことも含めてでございますけれども、特に小熊先生がいらっしゃいますけれども、地方の中核病院、公立・公的病院など、重要な役割を果たしているところもございます。今、新型コロナで主要な治療の受入れを担っているのはこういう病院でございますし、またワクチン接種のかなめとして人材供給あるいは個別接種、あるいは会場提供によります大規模接種等もこうした病院の役割は非常に大きいところがあります。そういう意味で、拙速な地域医療構想の議論などを進めて単なる統合あるいは再編ということにならないように、むしろこういうふうに今、真価を発揮しているような医療提供体制をもう一度しっかりと支えていただけるような診療報酬なりあるいは医療の計画等が出来上がるべきではないかと考えております。
 働き方改革なども今後進めながら、お医者さんの働きやすさをつくっていかなければならないでしょうが、医療人材がそれによって失われることがあってはいけませんし、地域において適切な医療を図れるように、ぜひ先生方のお導きを頂ければありがたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、神野委員。
〇神野委員 ありがとうございます。
 まず、この時期にこういった診療報酬改定の基本方針の議論が開始されることを大変ありがたく思っております。例年ですともう少し遅い時期にこれが出てくるということなのかなと思います。
 具体的方向性の中で1番、2番のところにICTがあるわけでありまして、この後、データヘルスの話もあると思いますが、ここのところは、今、DXの時代ですので、ぜひぜひ強調していただきたいと思っております。
 まず、診療報酬改定の方針として3つの点でお話ししたいと思います。
 1番目は、もちろん、今、平井知事からもお話があったコロナの話でございます。平時の診療報酬と、そして有事、非常時には診療報酬でいいのかどうか、私は、補助金というものを大いに絡める必要があると思うわけですけれども、その辺の切り分けというものをきちんと議論していかなければならないのかなと思うところでございます。
 2番目です。医療の機能分化のところにもありますけれども、これまで外来と入院という2つのモーメントで機能分化の話がされてきましたが、その間に、まさに今、自宅療養で話題になっておりますけれども、在宅、訪問あるいは往診といった領域が非常にクローズアップされています。往診ということになりますと、ホテルでいえばルームサービスの世界になりますので、それなりに値段というか、診療報酬上のいろんな値段設定というものもあるでしょう。一方で、頑張って救急外来に来たら幾ら、往診を呼んだら幾らということで、今後もし往診がどんどん増えていくとするならば、そこについての医療費が増大する要因を大いにはらんでいるのかなと思います。そういった意味で、在宅は大いに結構でありますが、その中での何らかの基準というものもこれから議論しなければいけないのかなと思います。
 3番目でありますけれども、基本認識の一番上に「人生100年時代」という話があります。高齢化が非常に進んでおりますし、私ども地方では物すごく進んでいるわけであります。前回の診療報酬改定で、重症度、医療・看護必要度でB項目、いわゆる認知症とかせん妄状態といったところに関しての評価が非常に低くなってしまったということになります。高齢者が救急で来たら何もするなという、国の、国民的な方針ならそれで結構です。だけど、例えば高齢者の方が心筋梗塞で入ってきたときにいろんな処置をする必要があるとするならば、そこに対して、認知症とかお持ちの方に対してきちんと処置ができる、あるいは看護の手をかざすことができるような報酬体系をもう一度、高齢化時代だから、人生100時代だからこそ考えていただくような方策というものが必要である。具体的には、例えば介護度が高い人の急性期入院をどう評価するかといったような話というのも大きな話題になるのではないかと思った次第でございます。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 楠岡委員、お願いします。
〇楠岡部会長代理 楠岡です。2点ございます。
 1点は、先ほどの神野委員と重なるところがありますけれども、今回、コロナ対応で診療報酬体系が病床確保などの意味の中でどんどん変えられていって現状にいっているわけであります。こういうものをある程度恒久的なシステムとして、どういうときにそれを発動させるか、発動させたときにはどの程度の診療報酬で対応するのかなどを恒久化することを考えておかないと、そのたびそのたびにばたばたということになるかと思います。したがいまして、パンデミック対応に関しての非常時の場合と常時の場合とを切り分けたような診療報酬体系が必要なのではないかという点が1点でございます。
 もう一点は、もう少し長い話になるのですが、今回の診療報酬の基本方針とか基本認識、あるいは基本的視点というのは、この10年間ほとんど、地域包括ケアシステムを完成させるというところにターゲットが置かれ、いろいろ診療報酬上の誘導等が行われてきたかと思います。地域包括ケアシステムはもともと平成10年に介護のほうで出てきた概念ではありますけれども、結果的には、介護、医療、あるいは健康な方々を含めて、高齢者社会における一つの医療体制のモデルとしてできたものであり、これを完成させるために今までずっとやってきたかと思います。
 ただ、2025年に団塊の世代が全て後期高齢者に入っていった後どういうような人口変化をするか、その際に医療体制をどうしていくかというある意味、グランドデザインが2040年の話以外まだ何も出されていない状況で、そういうものをある程度見据えながら診療報酬等を組み立てていく必要があり、現状のままだとまたいろんな問題が出てくる可能性があるかと思います。
 こういう点に関してはまだ厚生労働省の中でも積極的な検討はなされていないかと思いますので、今回の診療報酬改定には間に合わないとは思いますが、次の10年、20年を見据えた医療のグランドデザインをまず立てていただき、それを見据えて診療報酬体系というものをつくっていく。従来から、地域包括ケアシステムをつくるために補助金と診療報酬の二本立てで誘導していくという基本方針が示されておりますけれども、それと同じようなことをするにしても、何かそういうグランドデザインを早急に立てていただく必要があるのではないかと思います。
 以上の2点であります。
○永井部会長 ありがとうございます。
 井上委員、どうぞ。
〇井上委員 ありがとうございます。
 先週7月29日に医療保険部会が開催されて、そこでも申し上げたのですけれども、経済界として、今後の基本方針検討に当たっての意見を改めて申し上げます。
 今回、コロナ禍の大変難しい局面での改定となりますけれども、中長期的な視点といたしますと、前回ありました「社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和」という視点は非常に重要な観点であります。また、今般、コロナ対応で様々な特例的な措置がなされましたけれども、ほかの委員からも出ましたが、有事と平時の切り分け、保険制度として適正であるのかどうかということについてはしっかり検証しながら検討する必要があると思います。
 また、この医療部会の所掌である提供体制の関連では、1点目は、急性期の入院など、これまでも将来の医療需要の変化に見合った提供体制を目指して改定を行ってきているところでございます。これも平時と緊急時の対応をどう考えるかということも重要な観点となりますけれども、基本的には平時を前提とした際の継続性は確保し、これまでと同じような方針で改定を行っていくべきだと考えております。
 それとオンライン診療についてでございますけれども、今般、コロナでその活用の意義も一層高まったというところでございます。今後、DXの時代でございますので、こうした新しい技術をさらに活用していくということが重要でありますし、この際、対面診療との報酬の違いがどうも阻害要因になっているのではないかという御意見もありますので、そうした点についても検討していくべきだと思います。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 木戸委員、どうぞ。
〇木戸委員 前回の改定の基本方針に挙げた内容はいずれも引き続き重要性が高いものばかりですので、基本的なところは大きく方向性を変える必要はないかと思います。
 前回の重点項目としていただいた医療従事者の働き方改革のところですけれども、上限規制によってマンパワーが急速に低下することも懸念されますので、特にもともと医師が少ない地方とかそういった診療科では一気に医療の逼迫が起こる可能性があります。少なくとも2024年の実施までは引き続き重点項目として丁寧に対応するべきと思います。
 基本認識の3番目のところに「適切な医療を安心して受けられる社会の実現」とありますが、このコロナ禍で医療体制の逼迫が現実になっている今、切実な課題ですので、これは重く受け止めて、実現に向けてしっかりと取り組む必要があると思います。もちろん財源も限られていますので、難しいところですけれども、平時から現場がなかなか回らないところで有事に対応はできにくいと思います。やはり連携や役割分担、効率化など、3番目、4番目の視点も重要ですので、これも一緒に入れて取り組んでいくことが必要です。
 追加するとしたら、先ほどから有事・平時の切替えのお話がありましたけれども、困っているところ、必要なところにもっと機動的に医療職を派遣できて、限られた専門的人材を有効に活用できる仕組みもあるべきで、それを後押しする何らかのインセンティブも検討されるべきと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 続いて、佐保委員、どうぞ。
〇佐保委員 ありがとうございます。私からも2点、発言させていただきます。
 1点目は、ほかの委員からもお話が出ているように、平時と緊急時、診療報酬と運営基盤を支える方策を整理すべきではないかと考えております。コロナの治療に対する適正な評価は必要でありますが、経営が大変なので診療報酬でというのはちょっと違う気がしております。診療報酬ではない補助金や交付金などの検討が必要ではないかと考えているというのが1点目です。
 2点目は、中医協の場においても言われてきたことでありますが、診療報酬の項目や内容がどんどん複雑多岐になっており、医療機関、患者、双方にとって分かりづらくなっているのではないかと思っております。中医協の議論を促進していただくためにも基本方針として診療報酬体系の整理を掲げたほうがよいのではないかと考えております。
 私からは以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 加納委員、どうぞ。
〇加納委員 ありがとうございます。
 今、話がありましたが、実は日本の病院数の8割という比率を持つ民間病院というのが非常に認識されたかと思いますが、その8割の民間病院には補助金というものがもともとないのです。診療報酬で経営を賄っている。今回、平時と有事ということでありましたが、平時から非常に厳しい状況が続いておりまして、特に急性期の病院におきましては、利益率等が2%を切るような状況で経営されているわけで、そういった脆弱性があったということでありますので、ここらは有事に備えて平時から入院基本料等をしっかりとつけていただく必要があるのではないかと認識しております。
 もう一つ、救急医療体制も、今回、コロナに関しましても非常に大きく影響したことがあったかと思っております。我々は考えておるのですが、今回、コロナの病床の逼迫ということはあったのですけれども、この裏でしっかりと二次救急はある程度我々が、つまり民間病院主体といってしまえばちょっと言いすぎかもしれませんが、地方によっては公的病院が主体でやっている県もあるわけですけれども、その中でしっかりと救急医療体制があったからこそ、欧米みたいなコロナ以外の一般救急含めて崩壊したということがありませんでした。これはやはり今後も引き続きやっていくべきだと思いますし、今後必要な救急医療ということになると、ついついコロナの有事の感染症に関しての話が出ているかと思いますが、これからも必要な、2042年まで増える高齢者に対する高齢者救急、これは二次救急がしっかりとそれぞれの地域で守っていかなければなりません。それが地域包括ケアの根本だという認識ですし、これに対する評価になると、前回改定、実は地域医療体制確保加算というものがつくられたわけなのですが、これをさらに拡大、プラスしていただき、夜間休日救急搬送医学管理料等々の二次救急に関する点数の充実が必要ではないかとさらに思っております。
 最後に、ICTに関するものでありますが、今回もオンラインの資格確認システムの新規導入等、今後も地域医療のネットワークとか、そういったものに対して病院のほうは非常に負担を考えながらもしっかりと今、進めておるわけであります。ただし、これに対する診療報酬上の評価というものが実は全くございません。そういった経済的なバックアップもしっかりとしていくような診療報酬をお願いしたいと思います。
 以上、3つであります。
 それと一つ、大きなものと関係ないのですが、前回の診療報酬改定での積み残しであります。医療保険部会マターなのかもしれませんが、食事療養費に関しましては、昨年の介護報酬改定でプラス53円という値段がついたかと聞いております。この件をどうするかということもぜひとも御検討していただけたらと思っております。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 山口委員、どうぞ。
〇山口委員 ありがとうございます。
 2ページの令和2年度の基本方針を見ていて、このときは全くコロナが関係していなかったのだなとつくづく感じるぐらいにこの後に一変したと思っています。確かに医療に大きく影響を及ぼしたということで、今後の見直しが迫られていることもありますし、継続して見直さないといけないこと、それから、限定的というようなこともあるかと思います。診療報酬というと時限的措置も確かに今はつくられていますけれども、何人かの方がおっしゃっているように、診療報酬というのは将来を見据えながら今日的な課題を基本方針にしてきたわけですので、その辺りはきちんと分けて考える、通常の診療報酬とコロナの対策ということは分けて考える必要があるのではないかということがまず1つです。
 それから、前回の改定にもあったように「かかりつけ機能の評価」について書かれています。この後の御報告の中にもあるかと思いますが、第8次医療計画等に関する検討会、その下にワーキンググループができて、特にかかりつけ医ということが人によって患者も医療者もイメージがばらばらだということがいろんなところで皆さんの御意見が出さされています。かかりつけ医については調査事業が現在行われているということで、今、話し合われている結果、かかりつけ医ということのイメージもある程度具体性を持って統一されてくるのかなと期待しているところです。
 そういう中で、多分、かかりつけ機能ということをさらに22年度の診療報酬ではポイントにされると思いますし、外来のかかり方ということも、外来機能報告が始まることを考えると恐らくポイントの一つになってくるのではないかと思っております。例えば紹介状が必要な医療機関に紹介状を持っていかなければ自己負担が、特別料金が高くなるということである程度患者を誘導しているわけですけれども、地域によっては基幹病院がかかりつけ病院の役割を果たしているというところもあって、地域によってかなり違いがあると思っています。ですので、例えば一律200床以上は全て紹介状がなかったら5000円以上とか、そういったいたずらに患者負担を強いることばかりではなくて、本当に患者が役割分担を理解して、自分の地域であればどのように医療を受けなければいけないのかという考えに基づいて診療報酬の仕組みも考えていただきたいと思っております。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 松原委員、どうぞ。
〇松原委員 ありがとうございます。3点ございます。
 1点目は、神野委員がおっしゃいましたように、平時と有事、この区別をしっかりつけて見ていく必要があるという点でございます。
 2点目は、今回まさにコロナによって民間病院に注目が集まったわけですけれども、非営利性を徹底した民間病院、地域で求められる機能を発揮しているところに対してはしっかり手当てをしていくことがこれから必要だと考えます。
 3点目ですけれども、本日は診療報酬の基本方針に関するフリートーキングということで、その項目の中から若干離れるのですが、2040年を見据えたグランドデザインの考え方のベースということで、高額医薬品や医療品について、また医療提供体制について一言述べさせていただきたいと思います。これが3点目になります。拡大する高額医薬品や医療品に対応するために、これらを公的に見ないで民間保険に任せるべきという議論がまた最近出てきております。同じく株式による病院の資金調達を認めるべきという議論もまた出てきております。従来の仕組みのままでは駄目だという危機感は共有するのですけれども、改革の方向は市場に任せることだとなると、決してそれでよくなるというようには思いません。それは問題の解決策になりません。
 アメリカを見れば分かるとおり、医療は市場に任せますと逆に医療費が高騰してしまいます。公的保険がしっかりカバーする原則の上で初めて民間保険が活躍可能です。高いから公的にカバーせずに民間保険に任せるとなりますと、健康な人は購入できるのですが、真に必要とする人は購入することが大変難しくなります。過去のオプジーボ亡国論も、費用対効果の導入とか、後出しじゃんけんしていると非常に批判され続けましたけれども、強行した報酬改定で価格が大きく値下げされて何とかコントロールしてきました。これは公的保険の対象だったからこのようにコントロール可能だったと言えます。別に何でもかんでも保険で見ろと言っているのではなくて、ちゃんと効果が分かっているものについては見るべきだということです。
 薬などが高価だから民間や市場に任せなければと諦めてしまうよりも、医療を社会的共通資本と捉えて、公的にしっかり関与して地道に対応していくことこそ国民に寄り添った医療であって、目指すべき方向性だと考えます。そして、厚労省は地道にそれを今までやってきたと思います。それを今後ともぜひ続けていきたいと思いますし、医療提供側も簡単に株式化とかいくのではなくて、ほとんどの病院にとってはマイナスになることだと思いますので、その点、留意していただきたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 安部委員、どうぞ。
〇安部委員 日本薬剤師会の安部でございます。ありがとうございます。
 診療報酬改定の基本方針につきましては、前回の基本認識、視点と方向性について、コロナ禍の対応に追われてしまったということもありますので、大半の項目が2040年に向けてその取組を継続する必要があると考えております。
 あわせて、令和3年度の基本方針に関しましては、コロナ禍の渦中にある中で、平時と緊急時で柔軟にその対応ができるような体制とともに、それを支える診療報酬上の対応が必要だと考えております。
 次に、2点ほど薬剤師の立場から医薬品に関する関係のものと薬局に関する意見を申し上げたいと思っております。
 まず「骨太方針2021」で医薬品のサプライチェーンの強靭化ということが明記されております。昨年9月に「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」で取りまとめられました今後の対応策を踏まえて、我が国の安全保障及び医療提供体制の確保の観点から、安定確保医薬品に位置づけられた医薬品の品質と安定供給を確保するための薬価制度上の措置の在り方についても議論が必要かと考えます。
 また、現在、小林化工、日医工等の不正に対する行政処分の影響によって、主に後発医薬品で欠品や供給調整によって必要な医薬品が薬局の現場で入手困難で、また将来の見通しも立たないというような状況になっております。現場の混乱は日々悪化している状況にあると考えております。そういった必要な医薬品がなかなか入手できない中、薬物治療に支障を来さないよう、薬剤師がお一人お一人の患者さんに様々な事情を御説明しながら、別のメーカーの後発に変更する、あるいは先発品への変更、それがかなわない場合には処方医の先生方に疑義照会をして、同種・同効薬に変更するなどの対応をしているところであります。このような取組を行うことによりまして、一方で後発医薬品の使用率が下がってしまい、在庫の増加を伴いながら診療報酬上の評価において大きなダメージを受けるということになっております。薬局薬剤師の適切な取組が調剤報酬上悪影響を受けないような、状況を踏まえた適切な対応をお願いしたいところであります。
 また、厚労省におかれましては、既にこの件に関しましては、行政処分、薬機法によるガバナンス強化、後発医薬品上市時の規制強化などを実施いただいておりますが、規制行政を強化する観点だけではなく、我が国の医療体制の確保と基幹産業としての信頼性の観点、また後発医薬品の使用促進に関する現場での取組が瓦解してしまうことがないような対応もお願いしたいところであります。
 次に、薬局に関連するものでありますが、この数年、以前も申し上げましたけれども、医療機関の敷地内薬局に、保険薬局を誘致するビジネスモデルというのが増加しております。保険薬局は医療機関から経済的、機能的、構造的に独立していることが求められるわけですが、敷地内薬局についてはこれまで専ら構造的な独立要件によって制限されていたことから、その経済的、機能的な独立性に関する具体的な要件が設定されておりません。そのため、敷地内に保険薬局を誘致し、経済的、機能的な独立性の観点から保険薬局指定を拒否するということは非常に困難であります。そういったことから敷地内保険薬局の開設が進んでしまっていると思料しております。これらの状況は、地域包括ケアシステムにおける連携の推進、医薬分業の本旨に反するものであり、保険薬局として適正性や、保険医療制度の趣旨に鑑みて、経済的、機能的な独立性に関する保険薬局の指定要件の見直し、診療報酬上の措置を検討することが必要と考えます。
 私からは以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 遠藤秀樹委員、どうぞ。
〇遠藤委員 ありがとうございます。日本歯科医師会の遠藤でございます。
 いろいろな意見もある中で、新型コロナウイルスの感染を念頭とした議論が必要だと私どもも思っております。歯科においては口腔の診療というリスクに絡む問題もあるのですけれども、一方で、健康維持のために口腔健康管理が重要であるということはかなり認識されているのではないかと感じております。そういった中で、感染症対策にも資するような、そういったことを念頭に置いた口腔健康管理を充実させることが必要であると私どもは思っております。
 もう一点としましては、超高齢社会の中では通院困難者という課題があると思います。これは過疎地だけではなくて都市部においても今後大きな問題になってくるのではないかと思われております。そういった場合にどのように医療を提供しているかといった視点での改定も必要かと思っておりますので、よろしくお願いします。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 都竹委員、どうぞ。
〇都竹委員 ありがとうございます。全国市長会を代表して出ております岐阜県飛騨市長の都竹でございます。
 大きく2項目、医療・福祉・教育の重なる部分について、僻地の医療体制の確保について申し上げたいと思います。
 まず1点目、医療・福祉・教育の重なる部分ということでございますけれども、我々、現場の市におりまして、今、頭を一番悩ませておるのが発達障害あるいはコミュニケーション・対人関係に課題のある子供たちの支援、サポートでございます。
 実は私どもの市、2万3000人の小さな町ですが、単科の児童精神科の診療所を3年前につくりまして、運営しておりますけれども、いろんな課題が見えてきております。常勤医と非常勤のドクター1人ずつという形で運営しておりますが、1年半ほどで初診予約が1年待ちになりました。今や3か月に一遍、わずかな新規予約しかできない、こういう状態に陥っております。物すごいニーズです。しかし、この運営を実際にやってみますと、診察を受けるだけではなくて、その後のカウンセリング、臨床心理士、公認心理師のカウンセリングが必要なのですが、その部分についての評価が非常に低い。前回の診療報酬の改定で小児特定疾患カウンセリング料の創設がございまして、小児科、心療内科のほうの配慮はされたのですが、児童精神科はもともと織り込まれているということなのではないかと思いますけれども、実際にはそれで回していける状況にはなっていないということです。恐らくこうしたことが全体の数が増えない原因なのではないかということです。
 それと、医療機関の中だけではこの問題は解決しませんで、非常に不安に陥っている学校の先生、保育士との連携が必要ですが、その相談を受けたときには全く診療報酬上の評価がないという状況で、ここについても経営的に非常に負担がある。したがって、これは公が税金で支えるしかないということになっておりますが、診療報酬上しっかり配慮されるべきではないかと思っておりますので、今回ぜひ御議論いただきたいと思っております。
 あわせて、医療・福祉・教育の間の問題ですと医療的ケア児の問題がございます。先般、法律が成立いたしまして、大変喜ばしいことだと思っておりますが、現実的には、学校の現場に訪問看護師が例えば入るということ、これは制度上の問題もあるわけですけれども、ここはなかなか緩和されない、診療報酬上の評価がされないということは全国的な課題となっております。また、小児に対応できる訪問看護ステーションでありますとか、在宅医療を行う医師の拡充をしていくためには、ある程度の一定の医療的ケア児をこなしている訪問診療医あるいは訪問看護ステーションに対する診療報酬上の評価をしてもいいのではないか、このようなことを思っております。また、成人移行していく場合においても、成人あるいは高齢者を診る在宅医が子供を診る際の評価もあっていいのではないかと思います。これはいずれも子供、家庭、地域全体の課題でありますので、ぜひこうしたところを御議論いただきたいということです。
 もう一点、大きな柱が僻地の医療体制の確保ということです。我々も、医師、看護師の確保は本当に苦労しておりまして、大変な状況です。できれば、医師の派遣、送り出す側の病院に対する診療報酬上の評価、加算というものがある程度行われることが望ましいと思っておりますし、あるいは医師の派遣につきましても、これは診療報酬なのか、補助なのか、両方の議論があると思います。これはどちらの議論もあると思いますけれども、何かしらそうしたところを整備していかないと、本当に地方も疲弊し切っておりますので、そうした点についての御議論も今回含めていただくと大変ありがたいと思います。
 それと、僻地における訪問診療の問題です。全体的に報酬体系を見ておりますと、やはり都市部をイメージした体系になっているのではないかと思われるところがあります。我々の地域は、市域の面積が700平方キロもあります。そこに点々と高齢者がいるものですから、回っていくのに非常に時間がかかるわけです。となると、都市部のように狭いところでざっと多数をこなすということが全くできない状況にございます。僻地の現状に配慮した在宅医療の報酬体系、こうしたことをぜひ御議論賜りたいと思います。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 河本委員、どうぞ。
〇河本委員 ありがとうございます。健保連の河本でございます。
 私からは診療報酬改定の基本方針について、数点、御意見を申し上げたいと思います。
 まず、今般のコロナ禍を通して、医療提供体制の課題として以前から指摘されていたわけですけれども、医療資源の散在ということが改めて浮き彫りになったと思います。感染症に対応できる医療提供体制を構築する、そういった視点から考えても、入院医療の機能分化・強化、連携、これは待ったなしの重要な課題であると思います。
 またあわせて、外来関係では新型コロナの診療やワクチン接種を通してかかりつけ医に対する国民の期待が高まっていると思います。国民・患者が必要なときに必要な医療にアクセスできるための外来医療の機能分化・強化、連携、特にかかりつけ医機能の強化、これについても極めて重要な課題と考えております。
 一方で、来年、2022年、いよいよ団塊の世代が後期高齢者に入り始めるわけでして、現役世代の負担が急増いたします。次回の診療報酬改定はこうしたタイミングで行われるわけでございまして、制度の安定性・持続可能性確保の観点から、効率化、適正化の取組は非常に重要であると考えております。
 また、デジタル化、データの利活用の重要性、これもコロナ禍でさらに明確になったと思います。オンライン診療の幅広く適正な活用ですとか、あるいは薬剤・医療情報の利活用、こういった医療におけるデジタル化、データ利活用を進めることによって安心・安全で質が高く効率的な医療を実現していく必要があると思います。
 最後に、新型コロナ対応についてでございますけれども、まず補助金と診療報酬のそれぞれの役割分担をしっかり整理し、またこれまでの特例的な対応の検証もしっかりと行っていただいた上で、今後の対応を検討すべきであると考えております。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 島崎委員、どうぞ。
〇島崎委員 これまでの診療報酬改定の基本方針を見ると、主に議論がヒートアップするというか、ディスカッションの中枢を占めていたのは、改定の基本的視点と具体的な方向性、特に重点課題を何にするかということだったと思います。逆に言いますと、改定に当たっての基本認識は、抽象度が高い総論的な意味合いが強かったと思います。しかし、今般の基本方針は前例踏襲というわけにいかないと思います。というのは、コロナ禍が医療の在り方そのものに対して強くいろいろな影響を及ぼしているからです。それについての基本的な認識を示さないと、医療部会としての見識を問われるというか、存在意義が問われるということになりかねないと私は思っております。
 例えば、医療提供体制に及ぼした影響は当然のこととして、それに限らず、コロナが医療機関の財務状況に及ぼした影響でありますとか、コロナの収束が見通せず何が「ニューノーマル」なのかが分からない中で書き方は難しいと思いますけれども、コロナが患者の受診行動、診療形態や診療内容に及ぼした影響でありますとか、その評価についてもできれば書くことが望ましいと思います。それから、コロナに対して多額な補助金あるいは診療報酬の特例が設けられていることは事実です。どなたかもおっしゃっておりますように、診療報酬は診療の対価であるという基本的な原則は崩すべきだとは私は思っておりませんが、診療報酬と補助金の役割分担の整理の在り方についても、やはり改定に当たっての基本的な認識のところで考え方を示すべきだと思います。
 その上で、今回の改定の基本的視点と具体的な方向性ということになると思いますが、医師の働き方改革、外来機能を含めた医療の機能分化と連携ということをはじめ、前回の4つの項目については当然重要な点ですので、これに何を肉づけしていくか、こういうことが基本になるのだろうと思います。
 その上で、あえて申し上げれば、私は、診療報酬というのは医療提供体制の改革に当たっての極めて重要な方法だと思いますが、診療報酬が改革手法の全てではありませんので、できることならば、全体の医療提供体制の課題それぞれについてのビジョンを示した上で、診療報酬というのは一体その中で改革手法としてどういう位置づけになるのか、つまり、ほかの補助金的な方法であるとか、計画的な方法であるとか、ほかにもいろんな方法があるわけで、その上で診療報酬がどこの部分を後押しすべきなのかということについてきちんと考え方を書き込む、こういうことが必要なのではないかと考えております。
 私の意見は以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 相澤委員、どうぞ。
〇相澤委員 どうもありがとうございます。
 コロナ禍で明らかになった日本の医療の課題というものを明確にすることがまず第一に必要なのではないかと思います。このコロナ禍で一つ明確になったこととしまして、病院の経営状況はそんなに悪いのか、昨年の4月に我々が医療経営の実態を示したところ、皆さんからそういう声が上がりました。これは外来ではなくて入院です。入院に対しての評価というものはどうすべきなのか、どうあるべきなのか、今、何が問題なのかを明確にしなければいけないのだろうということが第1点です。
 第2点は、コロナ禍でやはり病院の機能分化ができていない、連携ができていないということが明確になったと思います。それでは、これはなぜできていないのか、どこが問題なのか、何を改善すべきなのか、これを明確にしない限り次の答えが出てこないと思います。これを十分に書き込むべきではないかと思います。
 コロナ禍で大きな問題になったもう一つは高齢者の救急医療です。御高齢の方がコロナに感染したときに、どこの医療機関も救急搬送に対して難色を示した。それで御高齢の方がなかなか行く先が決まらなかった。これから人口が増えてくる御高齢者の救急に対して何も言及がないというのはどうなのかと思います。
 そして、もう一つには外来医療です。今回も問題になったのは、コロナの陽性の患者さんが在宅療養するときに一体誰が診るのか。感染症という病気ですので、誰かが診なければいけません。主治医あるいはそれを診る医師というのを決めなければいけませんが、ここが十分にできていない。それを考えていったときに、この国の在宅医療というのはどうしようと思っているのか、どういう方向で行こうと思っているのか、それが見えてきません。
 その上で、財務省の方が言っている発言を見ますと、診療報酬は、行為への単純な評価とか、あるいは物だとか薬に対する単純な評価ではない、非常に複雑なものがそこに入っているから単純に割り切ることができないというようなことをおっしゃりつつ、診療報酬で医療提供体制や機能分化を誘導すべきだということを言っておられます。これは非常に誤った方向に行く可能性が強いと思っています。最初にいろいろな先生がおっしゃっておられたように、将来の医療のグランドデザインがしっかりと描かれた上に、それをどうしていくのかということを補完していくのが診療報酬であるべきだと思っていますが、これについてこの国はどうしていきたいのかということがないということは大変心配なところであります。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 野村委員、どうぞ。
〇野村委員 ありがとうございます。
 診療報酬の基本方針と具体的方向性という4点の項目に対しては大変すばらしくありがたく、継続していただきたいと思っております。
 診療報酬というものに対して、私たち国民にとっては、医療を受けたとか、やっていただいた医療というものに対して支払うものという認識の中で、目に見えるものであったり、分かりやすくしていただけるとすごくありがたいと思います。今、包括されているものが多くて、そんな単純なものではないのかもしれませんが、診療報酬を取る側も取られる側も分かりやすいものであるといいかと思います。
 例えば、小児かかりつけ診療料に関しては、同意書などを取ってお母さんたちに説明するのですが、取る側も取られる側も、これで何が変わるのか、同意書を書いてかかりつけ医登録をすると何が変わるのかといったときに、どうしても何となく不思議な空気になるというか、すごく分かりづらいときがあるので、診療報酬というものはもしかしたらすごく複雑なものかもしれないのですが、私たち国民にとって少しでも分かりやすいものになるといいのかなと思い発言させていただきました。ありがとうございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 松田委員、どうぞ。
〇松田委員 ありがとうございます。
 1点だけです。いろんな委員の方がおっしゃいましたけれども、高齢化が進んで医療と介護が複合化してきています。私たち、医療と介護のレセプトをつないで分析しているのですが、例えば、要介護度が悪化する原因というのは、大体、肺炎だったり心不全の悪化であったり、あるいは脳梗塞の再梗塞であったり、介護領域で医学的なマネジメントをどうやるかというのが非常に効いてきます。逆に、医療のほうも、介護の状況、リハの影響を受ける。医療と介護の複合領域がかなり大きくなってきていますので、そういう意味で今回の2ページ目のところですけれども、医療と介護の複合領域のところをどのように評価していくのか、そこの連携部分をどういうふうに評価していくかということが高齢化が進んで医療と介護が複合化している状況では非常に重要だと思います。まさに今回、コロナでその部分が非常に問題として顕在化したわけですので、先ほど相澤委員がおっしゃったような在宅の問題というのはまさに医療と介護の複合的な部分が重なる部分ですので、そこに対する配慮もしていただけたらいいなと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 ほかに御発言される方はいらっしゃいませんでしょうか。よろしいでしょうか。御意見なければこの議題についてはこれまでとさせていただきます。
 では、続いて、改正医療法の施行に向けた検討状況について、事務局より説明をお願いいたします。
○地域医療計画課長 地域医療計画課長でございます。
 それでは、資料2につきまして御説明させていただきます。
 開けていただいて1ページ目です。前回、令和3年6月3日の医療部会でお出しした資料でございますけれども、このたび令和3年5月21日に医療法の一部改正が行われたところでございます。
 2ポツ目にありますが、医療法等改正法の着実な施行に向けた準備を行っていく必要がございますので、各種検討会におきまして、改正項目の施行に向けた具体的な検討を行ったところでございます。
 中身につきましては、大きく3点ありますけれども、今回は1点目と2点目につきまして御報告させていただきたいと思っております。
 3ページ目を御覧いただければと思います。3ページ目からが改正救急救命士法の施行に向けた検討についてということでございます。
 4ページ目ですが、改正救急救命士法の検討につきましては、これまで「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」におきまして、救急救命士の資質活用に向けた環境整備等に関する議論を行って、最終的には今回の法改正につながったところでございます。
 4つ目の四角にありますが、今回改正されたものにつきましては、1つは、第2条第1項におきまして、いわゆる救急救命処置について、行う場所といたしまして、従来は病院もしくは診療所に搬送されるまでの間でしたが、それに加えまして、重度傷病者が病院もしくは診療所に到着し、当該病院もしくは診療所に入院するまでの間に当該重度傷病者に対して行われるものということで、場所の拡大がされているところでございます。
 さらに、改正後の救急救命士法におきましては「病院又は診療所に勤務する救急救命士は、(中略)あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、(中略)厚生労働省令で定める事項に関する研修を受けなければならない」となっておりまして、この厚生労働省令で定める事項につきまして、今回検討しているところでございます。
 6ページ目です。検討につきましては「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」で行っておりまして、後でまた御説明いたしますが、この検討会につきましては、もともと救急・災害に関する検討を行っておりました。その中で医療計画についても検討を行っておりましたが、今後、医療計画の救急・災害部門におきましては「第8次医療計画等に関する検討会」の下に専門的な検討の場を設け、引き続き検討させていただきたいと思っております。また、そのほか、この検討会の中で、救急外来等への看護師配置につきましての問題提起がされておりまして、それにつきましては、引き続き、研究の成果等を踏まえまして、新たな検討の場の設置を含めて今後検討する方針としているところでございます。
 7ページ目でございます。今回検討した内容につきましては、大きく3点ございます。今回、医療機関に新しく所属する救急救命士の資質及び当該救急救命士が行う業務の質を担保するということで、大きく3つについて取りまとめているところでございます。
 まず1点目は、救急救命士を雇用する医療機関は、当該救急救命士に救急救命処置を実施させる場合につきまして、救急救命士による救急救命処置の実施に関する委員会を設置するということでございます。この委員会の設置につきましては、委員構成等、それから救急救命処置に関する規程、当該医療機関におきまして、どういう救急救命処置を行うのか、また指示を行う医師は誰なのかということにつきまして、あらかじめ定めておくこととしているところでございます。
 続きまして、2点目ですが、当該委員会におきまして、国が示す研修項目につきまして、あらかじめ当該医療機関において救急救命士に対して実施する研修内容に関する規程を定め、医療機関はそれに基づく研修を実施することとしております。この研修につきまして、まずは研修の規程及び研修状況の管理ということで、どういう研修を行うのか、いつ行ったのか等につきまして、きちんと保存することなどを定めるとともに、最終的には救急救命処置の検証に関する規程を置きまして、当該救急救命士が行った業務につきまして、きちんと検証を行うこととしているところでございます。
 8ページ目ですが、3点目、どういう研修内容を行うかにつきまして示しているところでございます。救急救命士につきましても、原則、カリキュラムがございまして研修しておりますが、今回、特に医療機関内に所属する救急救命士に対するということで、従来の救急車でカバーできなかった事案につきまして研修を行うということでございますので、それにつきましては、医療安全、感染対策、チーム医療の3つの項目について、あらかじめ規定しておくということにしているところでございます。なお、具体的な内容等につきましては、今後、学会等がガイドラインを示すこととしておりますので、ガイドラインに基づいてきちんと研修が行われるということで取りまとめているところでございます。こういう方針を立てながら、今後、きちんとした救急救命士の研修等を実施する規程を厚生労働省のほうで整備させていただきたいと考えているところでございます。
 9ページ目「第8次医療計画等に関する検討会」の設置についてということです。
 10ページ目でございます。従来でありますと医療計画等に関する検討会で検討しておりましたが、今回、第8次医療計画の策定につきましては「第8次医療計画等に関する検討会」を中心に検討を行います。その検討会の下に3つのワーキンググループ、ここに書いております「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」「外来機能報告等に関するワーキンググループ」「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」を設置して、今後検討する予定にしているところでございます。
 また、今回新しく入りました新興感染症等に関する対応につきましては、従前、感染症対策として別途、厚生科学審議会感染症部会のほうで行っているところでございますので、そういった検討の場と密に連携する観点から、双方の検討会及び検討会の場の構成員が合同で議論を行うような機会を設けながら、第8次医療計画と整合性を取りながら今後検討していきたいと考えているところでございます。
 なお、先ほど申しましたが、救急医療、災害医療につきましても、別途ワーキンググループを今後設置させていただきたいと考えているところでございます。
 11ページ目は、全体の流れのイメージでございます。最終的には、都道府県が令和6年(2024年)から第8次医療計画を開始することが決まっておりますので、その前の2023年には各都道府県におきまして医療計画の策定を行っていただくということになります。それに合わせまして、逆算するような形で医療計画全体、これにつきましては、新興感染症、地域医療構想、医師確保計画、外来医療計画につきまして、間に合うようなスケジュール感で今後検討させていただきたいと考えているところでございます。
 説明は以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、今の御説明に御質問、御意見をお願いしたいと思います。佐保委員、どうぞ。
○佐保委員 ありがとうございます。私から2点、発言させていただきます。
 1点目、救急救命士の資質活用については、救急医療時における医師の負担軽減と人材確保策の鍵として活用が期待されているかもしれませんが、今のところ、医療職と明確になっておらず、医療機関で雇用されるときに権限をどう持たされるのか、その処遇関係はどうなるのかといったこともまだ検討段階ではないかと思っております。救急救命の分野に当たっていくということであれば、相応の対応、処遇等の検討と、きちんとした研修の確保、質の担保といったものが必要ではないかと考えております。
 2点目は「第8次医療計画等に関する検討会」の設置について、医療計画等に関する検討会や地域医療構想のワーキンググループなどの中に医療機関を受診する立場である患者や被保険者の代表が入っていないと思っておりますが、なぜ入っていないのでしょうか。第8次医療計画や地域医療構想などの検討に医療を受ける立場の代表が入っていないというのは不合理ではないかと考えております。こうした検討を行う際に、患者、被保険者の声は聞かなくてもよいと思われているように感じます。事務局において検討会の構成バランスを考えた構成員の御検討を強く求めたいと思います。
 私からは以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 今の点、事務局、いかがでしょうか。
○地域医療計画課長 御質問ありがとうございます。
 まず第1点目、救急救命士の関係でございます。今回、救急救命士につきまして、新たに各医療機関において雇用できる状態になってきたということになります。救急救命士は一応、医療関係職種でございますので、医療機関の中で、一部ではございますが、医療行為を行えるということになった際に、研修等につきましては、今回の結論もしくは学会等のガイドラインを参考にしながら、各医療機関の中できちんと定めていただく。そういったものを踏まえながら、各医療機関の中で処遇関係についてもきちんと考えていただきたいと考えているところでございます。
 第8次医療計画の各種ワーキンググループにおきまして、被保険者、患者等の団体が入っていないのではないかという御指摘でございますが、今回、ワーキンググループにつきましては、専門的な検討を行っていただき、なおかつ、これらの検討の結果につきましては「第8次医療計画等に関する検討会」という親会のほうに必ず報告がされ、その親会の中できちんと検討されるというような観点で考えているところでございます。親会につきましては、被保険者や患者団体等が含まれているところでございますので、そういった中で検討され、目を通していただきながら御意見を賜りたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
○佐保委員 親会の検討会のほうにも入っていないというのはいかがなものかなと考えております。ワーキンググループが専門的な話で、そこに患者、被保険者の代表が入れないというのは、それはそれでやむを得ないかもしれませんが、もともとの医療計画の検討会の中に入っていないというのがそもそもおかしいのではないかと思いますので、引き続き御検討方をよろしくお願いします。
 私から以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。よろしくお願いします。
 それでは、井上委員、どうぞ。
○井上委員 ありがとうございます。
 9ページ以降の「第8次医療計画等に関する検討会」の関係で発言させていただきます。
 先ほど申し上げましたけれども、コロナで非常に様々な課題が指摘されているところですけれども、今後の医療計画の検討は、原則として中長期の高齢化・生産年齢人口の減少という中で医療体制をどうしていくかということが一番重要な観点になると思います。そういう意味で、第8次医療計画に向けた検討においてもその点を中心にお願いしたいと思いますし、資料の10ページ、11ページにありますけれども、2025年に向けた地域医療構想及び診療所を含む外来機能の明確化・分化が着実に進展するように取組を行っていただきたいと思います。
 その上で、感染症への対応につきまして、感染症対策に関連する検討の場との連携が重要と思いますし、今回のコロナ禍の経験を踏まえて検討することは必要ですけれども、平時より感染症の拡大に備えて常に病床を確保しておくということではなくて、今回明らかになったようなことも含めまして、感染の拡大時における医療資源の有効な動員の仕組みをどういうふうに考えるのか、あるいは都道府県を越えた連携とか調整を行う体制をどうしていくのかということを検討した上で、それでも何か足りないのかというような観点で、今回のコロナの事象をよく検証しながら検討を進めていただきたいと思います。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 続いて、小熊委員、どうぞ。
○小熊委員 ありがとうございます。小熊でございます。
 今般、医療法が改正されたわけでございますが、その中に様々な項目が盛り込まれております。先ほどから話が出ていますように、2040年を見据えた持続可能な医療提供体制というのが維持されるには、この医療法改正に基づいて盛り込まれた項目が確実に実行されることが大事なのだと考えております。働き方改革もそうですし、医療計画もそうですし、その他もろもろ、一つ一つ乗り越えていくことが持続可能な未来の医療提供体制につながると考えております。ですから、先ほど診療報酬のところでは申し上げませんでしたけれども、こういった項目の改正に向けて診療報酬もきちっと重点化して対応していくべきだと思いますし、我々医療者あるいは国民の皆さんも含めて、こういった項目がしっかりといい方向性を持っていかなければいけないと思っております。そういうことを伝えさせていただきました。ありがとうございました。
○永井部会長 ありがとうございます。
 今村委員、どうぞ。
○今村委員 ありがとうございます。
 救急救命士に関して1点だけ御質問というか、御要望させていただきたいと思っております。救急救命士の資格を持っている方が多数いらっしゃるけれども、救急用の自動車の中で働ける方には定員もあって、全ての方がそこで働けるわけではない。養成された救急救命士の方を医師の働き方改革の中でタスク・シフトの視点も含めながら、いわゆる医療現場で働いていただく。これはこれで救急救命士の方の有効活用ということで大変意味のあることだとは思います。しかしながら、生産年齢人口の減少というお話が先ほどもございましたけれども、少子化の中でだんだん生まれてくる方たちが少ない中で、養成数をどうするのか、他の医療従事者もそうですけれども、需給の問題を考えないで働ける場を拡大すると、またさらにどんどん養成されるということが往々にして起こってまいりますので、こういったそれぞれの医療資格者がどの程度必要かという全体としての医療需給のバランスを考えていただきたいということで、この救急救命士のお話があったときもそういうことを申し上げていますけれども、ぜひとも需給等についても十分配慮していただければと思っております。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 ありがとうございます。
 相澤委員、どうぞ。
○相澤委員 どうもありがとうございます。
 私は、ここの検討会で一番心配するのはスケジュールです。取組の全体的なイメージが、外来機能報告等に関する取りまとめが12月にまとめられるということになっています。この短い期間で外来という極めて複雑なものが取りまとめられるのかどうか、大変危惧しております。普通考える以上に外来は極めて複雑怪奇でございまして、例えば再診とか初診ということをどう捉えるかも医療機関によって様々ですし、あるいは個々における判断も非常に様々であるかと思っています。また、ここでこれまでは初診の患者さんをどうコントロールするかということが主たる課題であり、紹介状がある初診と紹介状がない外来を区別していこうというようなことが中心で行われていたと思いますが、紹介状を持ってこようにも周辺にそういう紹介状を書いてくれる医療機関がない、自分の病院が全て初診から再診まで全部やらないとその地域の医療がもたないという病院もあるわけでございます。では、それをどうやって区分していくのか、方向が全く見えないというのが私の危惧するところです。
 それと、細かいことで申し訳ありませんが、紹介状を持ってこない外来患者さんに関しては、ある一定、負担いただくということが決まったように思います。それは誰が徴収するのかということは、たしか中医協の中というふうに思っておりますが、ここは本当に慎重に議論していただきたいとお願い申し上げたいと思います。
 外来機能報告の4ポツ目に「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関」ということで、外来機能と医療機関の機能を基幹的かどうかということで区分しようという方向に見えるのですが、そういうふうに外来は簡単に割り切れないと思っておりまして、ここは慎重に議論していただかないと日本の医療の崩壊につながると心配しているということだけを申し上げておきたいと思います。
○永井部会長 ありがとうございます。
 山口委員、どうぞ。
○山口委員 先ほどの佐保委員の2つ目の御質問に対して、今のままだと誤解のままになってしまうと思いますので、事務局から言ってくださらないので私から発言したいと思います。「第8次医療計画等に関する検討会」、その下にあるワーキンググループの中の「外来機能報告等に関するワーキンググループ」、この2つとも私、構成員を務めておりまして、患者一般の立場での委員だと認識しております。及ばずながら患者の立場としての意見を申し述べているところですので、誤解なきようにお願いしたいと思います。
○永井部会長 ありがとうございます。
 ほかに御発言いかがでしょうか。よろしいでしょうか。加納委員、どうぞ。失礼しました。
○加納委員 6ページの左下のところなのですが、救急外来等への看護師の配置に関する基準等については新たな検討の場の設置を含めてというのは、まだ設置ということは決まっていなくて、これから今回の科研の結果で考えるということでしょうか。それの確認だけお願いします。
○地域医療計画課長 御質問ありがとうございます。
 御指摘のとおり、研究の成果がまだ出ておりませんので、それを踏まえてまた事務局で検討させていただきたいと思っております。
 以上です。
○永井部会長 よろしいでしょうか。ほかにございませんでしょうか。
 それでは、次の議題に参ります。データヘルス改革に関する工程表及び今後の検討について、事務局より説明をお願いいたします。
○研究開発振興課長 研究開発振興課長でございます。
 それでは、資料3に基づきまして、御説明させていただきます。
 今回、データヘルス改革に関して、2点、御報告を申し上げたいと思います。
 まず1点目は、1ページ目でございますが、データヘルス改革に関する工程表を厚生労働省の推進本部において策定したという御報告でございます。国民の皆さんが生涯にわたって御自身の保健医療情報を把握できるようにするということと、医療・介護提供者側も患者さんの同意とニーズを踏まえて最適なサービスを提供することを可能にするために、この方針の下で令和3年6月の厚労省のデータヘルス改革推進本部にて工程表を策定したものでございます。
 工程表に含まれる主な取組は、患者さん御自身が情報を閲覧できる仕組みの整備、医療・介護分野での情報利活用の推進等、全体で4つでございます。
 そのうちの情報利活用のところについて御説明させていただきたいと思います。4ページを御覧ください。利活用については大きく4つに分かれております。
 一番上が医療機関等で健診やレセプト等の患者さんの情報を閲覧できる仕組みでございます。これは、患者さん御自身が閲覧できる仕組みと同じように、データヘルスの集中改革プランに基づいて進めているところでございます。この6月にまとめた工程表の後の状況としまして、一番上の2022年度のところに電子処方箋情報を2022年夏から閲覧可と書いておりますが、実は状況の変化、入札の不調がございました関係で、2023年の1月になる予定でございます。2022年度ではありますが、そういう状況がございます。
 2番目の医療機関間における情報共有を可能にするための電子カルテ情報の標準化ですが、電子的なやり取りは様々なニーズがございます。もちろん医療機関が紹介あるいは逆紹介をしていくというような一次利用、それから、患者レジストリなどの二次利用など、いろいろございますが、それについてカルテ情報閲覧可能とするための基盤の在り方を調査検討し、結論を得る。こちらについてどのような情報を共有していくのか、誰が主体となったシステムにするのか、どのようなシステムで費用分担をどうするのかというような課題がございます。
 オレンジのラインが3つございます。今、一番下のところを御説明しましたが、一番上は、医療機関間でデータを共有(交換)する規格を定め、実装に向けて、今、いろいろ検討を進めているところでございます。2022年度に医療機関ネットワークへの組み込みというのは、医療情報化の支援基金なども活用しまして、医療機関に実装していただくという流れでございます。
 先ほど1点目に申しました様々な基盤の在り方の調査検討をデジタル庁とともにしていくということにつきまして、これが2点目の御報告でございます。7ページを御覧ください。検討するための医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループを設置するということでございます。先ほど申し上げました様々なニーズがある中で、どういう規格で、誰がどのようにそういう基盤を整えるのかということについて「健康・医療・介護情報利活用検討会」の下に、今、申し上げましたワーキンググループを設置し、令和4年度までに調査検討して関係審議会等に報告を行い、結論を得るということでございます。先ほど申し上げましたように、患者さん御自身も閲覧できる仕組みや利活用、ゲノム医療の推進、基盤の整備といったようなことについて進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、御質問、御意見をお願いいたします。まず、楠岡委員、続いて河本委員。
○楠岡部会長代理 PHRを進めていただくことは大変結構なことだと思うのですが、いつも申し上げているように、その成果を医療機関側に強制する、閲覧を強制するというようなことはないようにお願いしたいと思います。もしそれを行うならば、資料3ページの「電子カルテ・介護情報等」の欄にアレルギー情報というのが挙げられておりますけれども、こういうような診療上クリティカルな情報に関しては必ず記載ができるよう、閲覧ができるような体制をつくった上で初めて医療機関側で利活用できるということを理解いただき、一概にとにかく使えという話にならないようにお願いしたいと思います。
 もう一点は、先ほど4ページのところで電子処方箋の情報の共有化のところが入札不調で延期になったという話がございました。不調になった原因はよく存じませんが、今、一番の問題は処方箋の標準様式が何ら定められていないということであります。10年以上前に医療安全の観点から1回処方と1日処方においては1回処方に切り替えようという話を厚生労働省の研究班あるいは検討会で決定したにもかかわらず、一向に進んでいない。したがいまして、これを電子的にやり取りするにも、標準様式がないところでどうやってやり取りをするのかというのが基本的な問題と考えております。この点につきましては、この10年間、全く進んでいないことに関して厚生労働省としてどういうふうにお考えなのか、ぜひ御説明いただきたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 今の点、いかがでしょうか。
○医療情報技術推進室長 研究開発振興課医療情報技術推進室長でございます。御指摘ありがとうございます。
 電子処方箋についてお尋ねがございましたので、お答えさせていただきたいと思います。
 1点目、遅延の理由でございますが、これは主にシステムとして改修を行う必要がございますので、そのシステム設計に当たり、入札という形で事業を進めておりますけれども、その点につきまして、具体的な事業が定まるまでしばらく一定お時間を頂くという御報告でございまして、当初の予定より遅れていることをおわび申し上げたいと思っております。
 また、その経緯の中で、最終的に電子処方箋の稼働を考えますと、従前の御報告は来年の夏から順次というお話がございましたが、そこの延長ということもありますけれども、その中でどういった形で処方様式を定めていくことが電子処方箋の安全性等も含めて有効であるかというところも含めて議論する予定でございますので、そちらにつきましても経過を逐次こういった形で御報告させていただきたいと考えております。
 以上でございます。
○楠岡部会長代理 追加でよろしいでしょうか。
○永井部会長 どうぞ。
○楠岡部会長代理 今の処方箋の標準化に関しましては、1回処方に切り替えるにしても電子カルテ等のオーダリングシステムの大幅な改造が必要になる可能性も考えて、6年間の猶予期間を置いて、要するに、各病院等で電子カルテを切り替えるときに1回処方に切り替えていく、そういうような方針で猶予期間を求めたような形になっております。今、ベンダーのほとんどは、1日処方、1回処方、いずれも切り替えられるとおっしゃっていますけれども、それを切り替えるとなると結構大きな作業になってまいりますので、いきなり「来年の1月までにそれをやれ」と言われるとまた大混乱が起こると思いますが、この辺に関しましても十分な検討をお願いしたいと思います。
○永井部会長 よろしいでしょうか。よろしくお願いします。
 それでは、河本委員、どうぞ。
○河本委員 ありがとうございます。私からも何点か意見を申し上げたいと思います。
 データヘルス改革の推進については賛成でございますけれども、こうした取組が所期の成果を発揮するためには基盤となるインフラの整備がきちんと進んでいるということが大前提になると思います。
 一例を挙げますと、工程表に記載されている中では、特定健診情報とか薬剤情報等々、本人が閲覧し、また本人同意の下で医療機関でも閲覧できるというのがございますけれども、こういった一連の仕組みが有効に機能するためには、その基盤となるオンライン資格確認への医療機関の参加、あるいはマイナンバーカードの普及が大前提になるということだと思います。オンライン資格確認は、本年10月からの本格運用に向けて、現在、プレ運用期間中ということでございますけれども、現状の参加されている医療機関あるいは参加の準備が完了している医療機関はごく一部にとどまると伺っております。オンライン資格確認については、10月の本格運用開始時にはきちんとしたスタートが切れるように環境を整えていただくということが重要と考えますけれども、単にシステム開発が完了したから所期の成果が出るというわけではなくて、こうした基盤整備を並行して着実に進めていただくことが大変重要だと、そうでないと絵に描いた餅に終わってしまうということも改めて申し上げたいと思います。
 それから、7ページ目に医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループ設置というお話がございます。こういったワーキンググループを設置して医療情報ネットワーク基盤の在り方、技術的な要件を調査検討するということでございますが、これは極めて重要な内容だと思いますので、途中経過も含めて検討状況を適宜報告していただきたいと考えております。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 続いて、神野委員、どうぞ。
○神野委員 ありがとうございます。神野でございます。
 医療情報ネットワークの話が今も出ておりましたけれども、これまで既に10数年前あるいは20年ほど前からずっとこれはやっていて、なかなか前に進んでいないというか、うまくいっていないと思ってしまいます。
 特に4ページですが、いろんな方向性があるのですけれども、医療のICTに関しては宗教というか、宗派というか、いろんな人のいろんな思いがあって、どうも総花的にあれもこれもと入っているような気がしてならないのです。そろそろきちんとこれでいくという方針というものを議論する時期なのではないかと思っています。
 診療情報は誰のものかと考えると、患者さんのものである。とするならば、患者さんを中心に情報を集める。パーソナル・ヘルス・レコードで健康情報、生活情報、医療情報、介護情報をその利用者を軸にして集めて、そして患者さんの同意の下で連携する、共有するというような形がベストではないのかと思っております。
 医療・介護、両方の利活用等を単なる情報ネットワークで全部解決するというのは、恐らく金銭的にもあるいはシステム的にも難しいと思います。その辺の考え方をそろそろ一回整理して、これ一つでいくのだ、一本でいくのだというのはこの国にとっては重要なことではないのかと強く思いました。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 今村委員、どうぞ。
○今村委員 ありがとうございます。私からは2点、申し上げたいと思います。
 まず1点、先ほど河本委員からオンライン資格確認のお話を頂きました。スケジュールが非常に重要だというお話で、まさしくそうだとは思います。しかしながら、顔認証の機器等、私のところにも搬入が非常に遅れたということもございます。また、今、医療現場は、今日もコロナの患者さんが5000人を超えたという本当に危機的な状況にあると思いますけれども、医療現場は、ワクチン接種も毎日毎日、住民の方からの依頼の電話が鳴りやまないという状況でもあります。また、そういった中で発熱の患者さんに対する抗原定量だとかPCRの検査等をやりつつ、こういった新たな機器を搬入して、機器を搬入すればそれでできるという仕組みではありませんので、いわゆるレセコンであるとか、あるいは電子カルテとの間の連携を図るという非常に手間のかかる作業も現場に発生いたしますので、スケジュールについては少し余裕を持って見ていただければありがたいと思っております。
 もう一点、データヘルス改革に関しましては、2ページの患者さん御自身が保健医療情報を閲覧できる仕組みの構築というのは非常に重要なことだと思っております。日本医師会は、国民の皆さんが生涯の健診情報等を御自分で把握して、それを活用する、自分の健康のために活用するということは非常に重要だということを以前から申し上げていて、生涯保健事業ということの重要性を主張しているところであります。
 御存じのとおり、2ページに書かれている健診・検診情報というのは、主体が厚生労働省であったり、文科省であったり、あるいは自治体であったり、保険者であったり、企業であったり、実施主体も様々ですし、データの保存期間もそれぞれにばらばらになっているということがございます。当然、実施主体がデータを持っておられる間はマイナポータルで簡単に確認することがすぐできるのだと思いますけれども、問題は、膨大な医療情報、健診情報等をずっと持ち続けることはどの実施主体も不可能です。したがって、民間の事業者がPHR事業者としてそういったものを持つ、こういう構図になっていると思いますが、実施主体の実際の保存期間が終わった後にどのようにそのデータがそれぞれの事業者に渡されるのかということがよく見えません。保険者なら保険者が民間事業者と契約して、本人同意した上でそのデータをお渡しするのか、本人に渡されたデータを御本人が民間事業者と契約して持つのか。
 例えば、保険者を異動すれば複数の民間事業者にデータを預けるようなことにもなりますし、これだけ健診・検診の種類が多いといろんな情報がばらばらにいろんなところに持たれるということになると、結局のところ、国民から見ると、先ほどもお話があったように、本当に役に立つものになるのか。ただでさえ、マイナポータルを見て、こんなに大量の情報以外にマイナポータルで税の情報だとか様々な情報を見るという仕組みになってくると、国民の皆さんが本当に簡単に利用できる仕組みにしていただかないと絵に描いた餅になってしまうという危惧を持っています。
 これを見ますと、2ページの最後の行に「より利便性の高い閲覧環境の在り方の検討」というものがあります。ここから2~3年後までヒストリカルなという、いわゆる継続したデータが、どういう保険者を替わった、あるいはだんだん年齢を経ていろんな情報が増えてきた中で継続して見えるための検討はしますというお話ですけれども、この工程表というのは、少なくとも今の健診・検診をやっておられる機関が法的に持たなければいけない期限の中のスケジュール感でありますので、これが切れた後に、今後、一生涯、国民の皆さんの情報をどのようにしてシンプルな形で持つことができて、それを簡単に見ることができるということは早急に検討していただかないと、データ改革はしましたけれども、誰も利用しませんみたいなことにならないようにぜひしていただきたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 佐保委員、どうぞ。
○佐保委員 ありがとうございます。
 最初に、山口委員、先ほどの発言ありがとうございました。私の認識不足ということで大変失礼いたしました。
 データヘルス改革によって自身の保健医療情報を把握できるようになって、国民が生涯にわたり自身の保健医療情報を把握できるようになること、個人の健康への寄与が進むことについては評価できます。このデータヘルス改革や整備された個人の情報が個人のためであるという大前提がいつの間にか置き去りになるようなことがないようにお願いしたいと思います。
 さらに、データヘルス改革の中でも、レセプト情報ではない診療情報、カルテ情報の開示は患者や患者家族の知る権利にとって大変重要なポイントだと思っております。知る権利は以前よりさらに重要になってきていると感じております。そのことに応えられるよう、きちんと閲覧できるよう、検討をお願いしたいと思っております。
 私からは以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 井上委員、どうぞ。
○井上委員 ありがとうございます。
 世界一の超高齢社会でございますので、このデータヘルス改革は、DXの推進を通じまして、個々人のウェルビーイングとか健康寿命延伸につながる重要な取組だと思います。プライバシーの保護とか以前ございましたけれども、データは基本的には本人のものという考えの下でデータの収集、連携、利活用を図っていくということで、この工程表の内容について遅れが出ないように着実に進めていただきたいと思います。
 また、様々な委員から御意見がありましたけれども、政府だけでは把握し切れない部分が非常に多いと思います。ぜひ民間も含めた幅広い関係者の意見も取り入れながら検討を進めていただきたいと思います。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 ちょっと時間が押してきましたので、手短にお願いします。安部委員、どうぞ。
○安部委員 ありがとうございます。
 データヘルス改革、医療におけるICT化とデータの利活用ということに対しましては、進めなければいけないものでありますし、薬剤師会としましても、各種の委員会等で意見を申し上げ、現場で進めるための取組にも協力していきたいと考えております。
 その上で、意見と質問でありますが、まず、2ページ、3ページの仕組みは、先ほど今村委員からも御指摘があったように、マイナポータルを国民が活用していることが大前提となっております。その活用には、マイナンバーカードを持っているだけではなくて、国民がその利活用に対して理解して、医療情報のひもづけの登録をするということも必要な仕組みとなっていると考えております。
 コロナワクチンの接種の予約時に薬局で多くの相談や苦情もお聞きしましたけれども、そういった状況を踏まえると、医療利用度が高い高齢者等にこれらの作業と受診時の際の持参などが可能であるかというのは心配されるところであります。マイナポータルでも相当なサポート体制がなければ利用者は増えないのではないかと危惧しております。
 医療機関や薬局での当面の課題としては、マイナポータルを活用する人としない人で医療機関や薬局での業務手順などが二重化することが大きな負担や現場での混乱が生じることになる。ひいては医療の質や効率に悪い影響をもたらすことも懸念されるわけであります。そうなると、この仕組みは使いづらいという評価になりかねませんので、まず国としてマイナポータルの活用に対して積極的な対応が必要であると考えますが、どのように準備されているか、お聞きしたいと思います。
 それから、今後、2ページから3ページの仕組みが大きな2つの柱として現場でも対応することになると思うのですが、その際、現場で二重三重のインフラ整備が必要とならないように、厚労省の関係部局の連携を図って、共通のプラットフォームで様々なデジタル化でありますとか情報の利活用を円滑に運用できるような仕組みとしていただきたいと思います。
 より具体的な要望を申し上げれば、サービス開始時の時間差があることについては理解いたしますけれども、最終的に、薬局薬剤師の資格確認証があれば一連の情報利活用に容易に1台の端末からアクセスできる、またベンダーの別によって業務のシステムと連携できるような制度としていただきたいと思っています。そのようなイメージで進んでいるのか確認したいと思います。
 もう一点、今日は工程表でありますので、工程表を見ると、それぞれ巨大なシステム開発や業務運営を委託することになろうと思いますが、それぞれの業者が異なることが原因で連携できなかったということが起きないようにする必要があると考えております。この工程表は時間軸の説明でありますので、これはこれで理解いたしますけれども、厚労省のどの部局がどのデータやシステムに関わっているのか、それぞれのシステムは共有するのか、独立で存在するのか、そういったものの時間軸ではない資料を今後整理してお示しいただければと思っております。質問と要望であります。
○永井部会長 今のマイナポータルの件、いかがですか。
○研究開発振興課長 御質問ありがとうございます。マイナポータルの活用というのは政府全体として進めてまいりたいと考えておりまして、「デジタル・ガバメント実行計画」は政府としての閣議決定でございますが、医療は準公共分野の1つとしてしっかり進めていくということがございます。厚労省内はもちろんでございますが、デジタル庁とも連携して、そこはしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
○安部委員 テレビの地デジ化をしたような大転換が必要なのかなと思っております。とはいえ、個人情報保護や個人の意思を尊重しなければいけないというところも踏まえながらしっかりと対応していただければと思います。
 以上です。
○永井部会長 加納委員、どうぞ。
○加納委員 ありがとうございます。
 先ほどもちょっとお聞きしましたのですが、データヘルス活用によって利便性が高まる、国民のためにということは重々分かっております。我々もしっかりと進めてまいりたいと思っているのですが、そもそも論で先ほどもお話が出たのですが、電子カルテがベンダーごとによっていまだにいろんな共有化ができないという現実があります。また、費用的な負担が非常に大きくのしかかっております。
 例えば、患者さんへ情報をどうのこうのという、閲覧ができる仕組み、これを現在、入れようとしますと、病院に関しましては数千万円の負担がまた出てくる。そういった意味もありますので、内容的にはしっかりと4ページ中心部の枠内に、主体、費用、オンライン資格確認等、真ん中に費用というものを書いていただいていますが、費用をしっかりと厚労省のほうで注視していただき、一元化させて、なるべくベンダーの勝手な動きが出ないようにぜひともしっかりと見ていただきたいと思います。また、こういった負担に関しましては、先ほどお話しさせていただきましたオンライン資格確認システム新規導入の際に、補助金等も含めた、ベンダーに対するいろんな対応というものを厚労省主体でしっかりとやっていただけたらと思っております。よろしくお願いします。
 もう一点だけ、すみません。ちなみに、現時点で電子カルテに関しましては、病院の売上げに対しての費用負担は3%を超えるような状況であります。普通の企業ですと、こういったデジタル化に関する費用というのは1%以下と聞いております。銀行と医療界だけが何かベンダーの自由になっているようではまずいと思っておりますので、その点、含めて御検討をよろしくお願いします。
○永井部会長 ありがとうございます。
 野村委員、どうぞ。
○野村委員 ありがとうございます。
 データヘルス改革に関しましての利点は理解しております。私自身もまだまだ不勉強で、この医療部会を通してデータヘルス改革を知ったものでして、私の周りでもまだまだ浸透していないと感じております。今後に向けて、このように工程表に沿っていると思われるのですけれども、私たち国民もこのシステムに対して準備というか、知るということが必要ではないかと思います。乳児健診等ももう始まっているのですけれども、まだなかなか浸透していないと感じております。4ページの医療・介護分野での情報利活用の推進は、本人同意というものがあったりする中で、個人情報の問題もあるかと思いますので、せっかくこのようなすばらしいシステム、きっとたくさんのお金もかけてやられることなので、本当に活用して、それが医療者にとっても国民にとってもいいものであるといいと思うので、ぜひ皆さんが同意して活用したくなるような啓発を続けていっていただければと思います。よろしくお願いします。
○永井部会長 ありがとうございます。
 松田委員、どうぞ。
○松田委員 ありがとうございます。
 全ての情報を共有することは無理だということは、前回の地域共通電子カルテでも明らかになったのだろうと思います。そういう意味で、何を共有するのか、誰と共有するのかということを定める必要があると思います。恐らく、どういう判断に基づいて、何をやって、その結果どうなったのかということが共有できればいいだろうと思います。
 これに関しては、インターナショナル・ペイシェントサマリー・プログラムというプロジェクト、国際的に患者情報共有のフォーマットに関する研究が欧米で進んでいます。日本もこれから海外の労働者が入ってくることを考えると、そういうものを片方で踏まえながら、どういう情報を標準化していくのかということをやらないといけないと思います。記述の仕方とフォーマットの標準化をやらないと、特に介護の場合は、今、記述の標準化もできていない状態なので、そこのところをぜひ検討していただけたらと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 最後に、相澤委員、どうぞ。
○相澤委員 ありがとうございます。
 私は、一番基となる考え方をもう一度みんなで確認することが重要だと思います。先ほど神野委員の発言がありましたように、この情報というのは患者さんのものなので、患者さんが本来だったら自分で持つべきものを誰かが代わって持つ。そして、そのデータや情報をどう活用していくのかということをしなければいけないのですが、例えば2ページ目の健診・検診のところを見ていただきましても、健診・検診の情報というのは非常にばらばらです。データの電子的標準化もフォーマットの標準化も全然進んでいません。その基本的なことをやらずして、もう来年度からシステムを改修してやっていく。こういうのはまさしく拙速だと思うのです。最初の基盤をしっかりとしてやらないととんでもないことになる。つくったけれども、誰も利用しない。結局、無駄なお金をいっぱい使う。これだけはやめていただきたいということをぜひお願いしたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございました。
 よろしければ、ここまでとさせていただきたいと思います。
 続いて、専門医に関する広告について、事務局からお願いいたします。
○総務課長 医政局総務課長でございます。
 資料4を御覧ください。専門医に関する広告につきましては「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」というものがございまして、一定の方向性が出たところでありますので、御報告させていただくものです。
 資料の1ページは、平成25年の別の専門医の検討会でございまして、この中で、新しい専門医に関する仕組みについて、まず、専門医の認定と養成プログラムの評価・認定は中立的な第三者機関が統一的に行う。左側に書いてあることでございます。あわせまして、広告につきましては、これを見直して、基本的に第三者機関が認定する専門医を広告可能とする。こういう方向性でございました。
 もう少し詳しく述べたのが2ページ目でございます。抜粋したものですが、まずは、専門医制度を持つ学会において、制度の統一性あるいは質の担保に懸念があるということが示された上で、広告につきましては、先ほど申し上げましたように、新たな仕組みの構築に併せて見直す。今後、第三者機関において認定する専門医を広告可能とすべきである。第三者機関以外の学会等が認定する資格名、これは現在、医師について56の領域がございますけれども、その広告の取扱いについては引き続き検討するということでございました。
 なお、下のほうに図がございますが、新しい専門医制度といたしましては、基本領域19領域と、さらにそれ以外にサブスペシャルティ領域というものがあるということでございます。
 3ページ目が今般の検討会での議論の経過でございます。
 6月と7月に議論を行いまして、4ページ目が7月8日の検討会で示された一定の方向性でございます。これはその際の資料でありますが、論点といたしまして、平成30年から新専門医制度が開始されており、今年の秋から日本専門医機構が基本領域(19領域)の専門医についての認定開始予定である。他方で、サブスペシャルティ領域の議論の整理には一定の期間を要する見込みであるということを踏まえまして、対応案といたしまして、1つ目、日本専門医機構が認定する基本領域の専門医については、認定開始となることを踏まえて広告可能としてはどうか。サブスペシャルティ領域については、今後の詳細な整理を受けて、その在り方について検討する。2つ目といたしまして、歯科領域についても同様に取り扱う。3つ目といたしまして、日本専門医機構は、今、申し上げたような設立の趣旨があり、国民から見て分かりやすいものとする観点を踏まえまして、機構が認定する専門医の広告を基本とする。学会等が認定する資格名の広告につきましては、当分の間の経過措置として位置づけるとともに、新規の広告の届出については適切に取り扱うということでございます。また、同一領域の専門性があるものについては、日本専門医機構認定専門医に限って広告する。すなわち小児科といったような領域につきましては、学会が認定するものもございますが、日本専門医機構が認定するほうを広告するという内容でございます。
 以上を御了承いただきまして、次のページはそれを具体化する告示のイメージ案でございます。今、申し上げたとおりでありまして、基本領域においては機構の認定する専門医を広告可能とするというものを第一条二号で記載しております。附則におきまして、施行期日、これは〇〇と書いてありますが、秋からの適用を考えています。あわせまして、経過措置といたしまして、附則第二条第一項につきましては、これまでの学会認定の専門医の取扱いについて、当分の間、広告可能であるとともに、第二項におきまして、日本専門医機構が認定する医師が広告する場合については、旧広告、すなわち学会のこれまでの広告についてはしてはならないということ、これは引き続き条理的な検討をさせていただきますけれども、以上のようなイメージのものを現在、検討しているということでございます。
 説明は、簡単でございますが、以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、質問はいかがでしょうか。釜萢委員からどうぞ。
○釜萢委員 ありがとうございます。日本医師会の釜萢でございます。
 今、御説明いただいたとおりで、方向としては私も賛成です。やはり患者さんが実際に受診されるのに役立つ内容が広告として出てくればよいのであって、あまり細かい専門性の高いものを広告として出しても実際に患者さんの受診の役には立たないということがありますので、その辺りをしっかり踏まえて議論していただきたいと思います。
 先ほど御紹介のあった検討会の方向性で私は賛成ですけれども、今後、日本専門医機構が第三者機関としての役割をしっかり担っていただいて、そして基本領域から、またそれ以外のサブスペシャルティの領域を考えていく場合に、必要最小限に絞る、あまり増やさないという方向でやっていただくのがよいのではないか。それ以上に細かい部分については、それぞれの医師が紹介するときに、この先生の専門領域がどうかというのはよく分かるわけでありますから、直接患者さんが受診するのに資する内容が広告として出てくれば十分だろうと思います。専門医機構あるいは厚生労働省におかれましては、ぜひその辺りのところを踏まえて考えていただきたいというのが私のお願いです。
 以上です。
○永井部会長 島崎委員、どうぞ。
○島崎委員 4ページの方向性については異論はありません。19領域について専門医としての広告をできることにすべきだというのはそのとおりだと思います。サブスペシャルティについては様々な考え方がありますので、拙速に走らずにきちんと議論を重ねていただきたいと思います。
 もう一つですけれども、医療法上、専門医としての広告以外に診療科名を広告できることになっていますが、この基本領域の中で総合診療については診療科名の広告はできません。まず、事実としてこれは正しいですね。
○総務課長 現在、そのようになっています。
○島崎委員 それはなぜなのでしょうか。非常に分かりづらくなっていると思うのです。つまり、診療科名として総合診療は標榜できないが、専門医として総合診療医は広告できるというのは、一般の国民からしてみると非常に分かりづらくなっていると思います。その辺りの整理も含めてきちんとしていただきたいと思います。今、その理由について説明できるのであれば、この際、説明していただきたいと思います。
○総務課長 今後、必要な整理をさせていただきたいと思います。現在でも御案内のとおり、専門医全てが標榜できるというものではございませんが、一定の整理が必要であるならば試みてみたいと思います。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
 それでは、神野委員、どうぞ。
○神野委員 1点だけ、事務局に対しての質問です。4ページの学会認定専門医の広告ですけれども、当分の間の経過措置はいつまででしょうかということをはっきりさせておかなければいけないのかなと思います。5年、10年、20年、30年、100年、いかがでしょうか。
○総務課長 通常、こういう「当分の間」と書きました場合においては、期限を具体的に示すことが難しいものをこのような取扱いにしているところでございます。実際には学会の資格を持っていらっしゃる方が機構の資格の認定を受けないというケースが多分あろうと思いますので、個別にいうと結構いろいろなケースがあると思います。ここまでだというものはなかなかお示ししにくいということで、今回、当分の間とさせていただいたところでございます。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
 ほかになければ、次の議題に参ります。「経済財政運営と改革の基本方針2021」「成長戦略(2021年)」及び「規制改革実施計画」の概要について、説明をお願いいたします。
○総務課長 改めまして、医政局総務課長でございます。
 資料5につきまして、御報告申し上げます。
 いわゆる骨太方針、成長戦略、規制改革実施計画、いずれも6月18日に閣議決定しているものであります。毎年この時期にこういったものを政府全体として、医療分野にかかわらず、様々な項目について決定させていただきまして、その後のその年度の施策に反映していくというのが習いとなっております。
 今日は簡単に御報告申し上げたいと思いますが、まず、1ページは、新型コロナウイルス感染症の克服ということで、言わばコロナ対応についての医療部分について抜粋したものでございます。大きく申し上げますと、病床、宿泊療養施設、こういったものをしっかりと確保していく。その際には支援をしていく。その上で、ワクチンとか治療薬、治療法についての開発、研究をしっかりと進めていく。さらに今後のいろいろな検討について考えていく。こういったことが書かれております。
 2ページ目の第2章は、例えば先ほど安部委員からございました経済安全保障の確保ということで、サプライチェーンの強靭化が重要といったことが書き込まれております。
 2ページ目の第3章のところは、感染症、コロナを踏まえた、今後、着実に行うべき平時の対応というイメージの項目でございます。平時と緊急時で柔軟に切り替えるような仕組みの構築や、病床機能の分化・連携、キーワードだけ申し上げますと、地域医療構想の推進、かかりつけ医機能の強化・普及、外来機能の明確化・分化、タスク・シフティング、医師偏在対策、産科医療の確保といったことを記載しております。
 3ページ目は、それに続きまして、上手な医療のかかり方や、医療機関に対して減収への対応を含めた経営上の支援、病床確保・設備整備等の支援、診療報酬や補助金・交付金、先ほどすみわけの議論は必要だという議論があったと思いますが、こういったことについて、今後、在り方を検討するという旨が記載されております。そのほか、後発医薬品のさらなる使用促進等についての記載がございます。
 4ページ目は、電子カルテ、プログラム医療機器の開発、医療法人の事業報告書の開示のシステムの在り方、G-MISの活用、オーラルフレイル対策、歯科口腔保健、歯科衛生士・歯科技工士の人材確保といったことが記載されております。
 5ページ目は省略させていただきますが、地域医療構想の協議の促進、情報の共有の在り方、公表の在り方といったものが記載されております。
 6ページ目からが成長戦略でございます。これは、経済成長に資する項目が掲載されているものでございます。この中では、今回かなり医薬品産業部分について書き込みがなされておりまして、研究開発の強化、創薬ベンチャーの支援、国際共同治験の推進、国内バイオ医薬品産業の強化といったことが記載されております。その他、医薬品の安定の確保、先ほど申し上げたとおりでございますが、そういったことも書いてあります。あるいはバイオシミラー、セルフケア・セルフメディケーションの推進といった項目となっております。
 7ページ目は、後半は先ほどデータヘルスで工程表の説明がございましたので、省略させていただきます。
 8ページ目もよろしいかと思います。医師の働き方改革の推進といったこと、あるいは歯科疾患対策といったことが記載されております。
 最後、3つ目の規制改革実施計画でございます。項目だけ申し上げます。医療分野における電子認証、治験の仕組み、患者の医療情報アクセス、歯科技工業務の在り方、オンライン診療についての恒久化ということであります。
 最後のオンライン診療の恒久化につきましては、内容がそこに盛りだくさんに書いてあります。初診からの実施について、かかりつけ医による実施を原則としつつ、診療録とか診療情報提供書等々の情報がある場合も含まれるということ、さらにはオンライン診療に先立って、別に設定したオンラインでのやり取りの中で情報が把握できる場合には相互の合意の下でオンライン診療を認めるといったことが書き込まれているところでございます。
 駆け足で大変恐縮ではございましたが、以上、御報告させていただきます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。神野委員、どうぞ。
○神野委員 たびたびで申し訳ございません。ここでいろんなことを言っても詮ないところもあるのかもしれませんが、4ページ目の第3パラグラフの「医療法人の事業報告書等をアップロード」、これですけれども、「感染症による医療機関への影響等を早期に分析できる」と書いてあるわけです。この事業報告書というのは次の年の5月か6月の決算を終わってからできるわけで、それを「感染症による医療機関への影響を早期に分析」とつなげるのはちょっと意味不明なのですけれども、その辺のところがお分かりになれば教えていただきたいと思います。
○総務課長 特段の強い意図があるものではございません。実際に電子化していくということで一般的に言うと報告についての早期化というものがなし得るということだと理解しております。
○神野委員 感染症による早期影響とつなげること自体がナンセンスなのかなと思って発言いたしました。どうも失礼いたしました。
○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。佐保委員。
○佐保委員 ありがとうございます。
 骨太方針にも、医療提供体制の見直しについて記載がありますが、今後を見据えた日本の医療提供体制の構築を新型コロナ禍である今だからこそ検討し始めないと、課題を踏まえた議論にならないと考えております。時間が過ぎてしまうと、私たちの中から経験や、課題と思うこと、気づきの多くが忘れられていくのではないかと懸念しております。早期の検討開始をお願いしたいと思います。
 私からは以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 御意見がなければ、ここまでとしたいと思います。
 それでは、事務局からそのほかに何かございますでしょうか。
○保健医療技術調整官 本日は一般傍聴の制限をしておりますので、議事録につきまして、可能な限り速やかに公表できるよう事務局として校正作業を進めてまいります。委員の皆様におかれましても、御多忙中と存じますが、御協力いただきますようお願い申し上げます。
 また、次回の医療部会の日程につきましては、詳細が決まり次第、改めて御連絡させていただきます。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございました。
 委員の皆様、長時間にわたりありがとうございます。本日はこれまでとさせていただきます。どうもありがとうございました。
 

(了)

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