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2021年6月3日 第79回医療部会

医政局総務課

○日時

令和3年6月3日(木)16:00~18:00

 

○場所   AP新橋 3階 Aルーム


○議事

○医療政策企画官 それでは、お時間になりましたので、ただいまから第79回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして誠にありがとうございます。
 本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。
 会議中、御発言の際は手を挙げるボタンをクリックし、部会長の指名を受けてからマイクのミュート解除し、御発言をお願いいたします。また、発言終了後は、再度、マイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。
 また、議題に対して御賛同いただく際には「反応」をクリックした上で「賛成」ボタンをクリック、またはカメラに向かってうなずいていただくことで、いわゆる「異議なし」の旨を確認させていただきます。
 まず、委員の異動がありましたので、御紹介させていただきます。
 久喜邦康委員が退任され、新たに全国市長会、都竹淳也委員が就任されておりますので、御紹介させていただきます。
 次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
 本日、医療部会の総員24名全ての方が出席予定となっていますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。ただし、安部委員、楠岡委員、平井委員については、途中から出席されるという御連絡をいただいております。
 次に、議事に入ります前に資料の確認をさせていただきます。
 事前に議事次第、委員名簿、座席表のほか、資料1、資料2、参考資料を送付させていただいておりますので、お手元に準備いただければと思います。
 カメラの方はここまででお願いいたします。
(カメラ撮り終了)
○医療政策企画官 以降の進行は永井部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 永井でございます。それでは、よろしくお願いいたします。
 初めに、本日は新型コロナウイルスによる感染拡大防止のため、傍聴は報道関係者のみとしておりますので、御承知おきいただきたいと思います。
 では、議題に入ります。
 良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律の成立について、事務局より説明をお願いいたします。
○総務課長 医政局総務課長でございます。
 早速でございますが、資料1を御確認ください。
 「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」の成立につきまして御報告申し上げ、また、今後の議論について、キックオフの御提案をさせていただくものでございます。
 早速でございますが、1ページ目から資料をおめくりいただければと思います。
 まずは法律の概要が記載されてございます。これは、昨年度ずっと御議論をいただきまして成案をし、国会に提出をさせていただきました。御議論いただきまして、誠にありがとうございました。法案につきましては5月21日に成立をいたしまして、28日に公布をされてございます。
 中身はそういった次第でございますので、御案内のことかと思いますが、確認のため申し上げますと、概要のところにありますように、Ⅰ「医師の働き方改革」、Ⅱ「各医療関係職種の専門性の活用」、これは2つに分かれており、いわゆるタスクシフト/シェアの推進というものと、医師養成課程の見直しということ。Ⅲとして「地域の実情に応じた医療提供体制の確保」ということで、これは3つに分かれており、新興感染症等について医療計画に盛り込むということ。2つ目として、地域医療構想についての支援。3つ目として、外来医療の機能の明確化・連携ということでございます。最後に、Ⅳ「その他」といたしまして、持ち分の定めのない医療法人への認定制度の延長ということです。
 法案の成立についての経過は、資料の2ページのとおりでございます。2月2日に閣議決定をさせていただきまして、衆議院での議論、それに続きまして参議院での議論がございました。
 参考人の意見陳述におきましては、当部会の、あるいは関係の検討会に御参画いただいた先生方にも一部出席をいただいて、充実した審議をしていただいたと考えてございます。その節につきましてもありがとうございました。
 それでは、法案が成立したということでございますので、次にどうするかというお話でございます。
 3ページ、法律の施行に向けてとさせていただきました。それぞれの改正項目につきましては、施行期日というのがございます。それぞれの施行期日に向けて、まずはその準備をしていく、着実な施行を図るということが必要でございます。したがいまして、それはそれぞれ検討会というものを設けて、具体的な検討を行ってまいりたいと考えます。
 施行に向けて検討する改正項目を箇条書きにしてございます。
 まず、医師の働き方改革につきましては、具体的に申し上げますと、今後、追加的健康確保措置の詳細とか、医療機関勤務環境評価センターの運営に関する事項といったものを決めていくことが必要でございます。したがいまして、これは医師の働き方改革の推進に関する検討会において検討していくことにしたいと考えます。
 2つ目、医療関係職種の業務範囲の見直しは、救急外来で業務を行う救急救命士の院内研修の実施方法について検討していくということが必要です。これは救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会において検討するということとしてはどうかと思います。
 3つ目、新興感染症等を医療計画に位置づけるということにつきましては、その具体的な記載項目を検討する必要がございます。これにつきましては、第8次医療計画に関する検討の場というものを設けて検討してはいかがかと考えます。
 4つ目、外来医療の機能の明確化・連携につきましては、具体的に申し上げますと、医療資源を重点的に活用する外来、外来機能報告、地域における協議の場、あるいは医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関、こういったものについての具体的な検討が残ってございます。これは、先ほど申し上げました第8次医療計画に関する検討の場に、さらにその下にワーキンググループを設けて、両者整合する形で検討してはいかがかという御提案でございます。
 4ページ目、それぞれのスケジュールを確認したいと思います。
 まず、働き方改革につきましては、重要なのは、令和6年4月1日に全体が施行され、医師の勤務時間に上限規制というものが始まります。これに向けて、いわゆる時短計画の作成とか評価センターでの評価、個別の審査といったことが必要になってきますので、6年4月1日に向けて、3年度から4年度、5年度と検討していくということが必要になるということであります。
 医療関係職種の業務範囲の見直しは、本年10月1日施行ということでございます。
 医師の養成課程の見直しにつきましては、全体が令和5年4月1日の施行、受験資格の見直しについては、2年後の4月1日施行。歯科については、医科のそれぞれ1年後に施行という形で、これは法律上決まっておりますので、これらに向けて議論をしていくということが必要になります。
 新興感染症を医療計画に位置づけるということ、これは令和6年4月1日に第8次医療計画というものが始まります。したがいまして、逆算しますと5年度にその策定作業を各都道府県で行うことが必要になり、さらに逆算いたしますと、3年度、4年度において厚生労働省として基本方針等を作成し、あるいは改正していくということが必要になります。その検討をしていくということが重要です。
 1つ飛ばしまして、外来機能の明確化・連係につきましては、令和4年、来年の4月1日の施行でございますので、今年度施行に向けた検討が必要になるということであります。
 最後に、国会での御審議の中で附帯決議というものがありましたので、これは御参照いただければと思います。全て申し上げませんけれども、それぞれ衆議院におきましても参議院におきましても、附帯決議というものが定められてございます。これは国会として政府案、法案について了承はするけれども、こういった点についてはきちんと注意してやっていくべきであるというお考えの表明でございます。
 衆議院で定められました附帯決議が5ページ目でございます。
 10項目あります。1番のところ、例えば大学病院からの医師の引揚げということがないように、地域の医療提供体制に影響を及ぼすことがないようにということであります。
 2番、医師の夜間の勤務とか労働時間の適切な管理、こういったものをしっかりとやってほしいということでございます。
 3番は、さらなるタスクシフト、タスクシェアといったことについて記載されてございます。
 4番目に、医師の労働時間短縮に向けて、医療機関の管理者への研修等の推進ということでございます。
 5点目、医師の時間外労働、休日労働に対する賃金の支払い状況等、実態を踏まえた対応をするべきであるということでございます。
 7番目が、出産・子育てが両立できる働きやすい環境の整備。
 9番目のところは、医師の地域間、診療間の偏在の是正といったこと。
 最後に10番目として、コロナへの対応も踏まえまして、医療機関に対する財政上の支援といったことが記載されてございます。
 6ページ、7ページ目は、参議院における附帯決議でございます。
 衆議院における10項目が入っておりますし、それに加えてさらにプラスアルファがありまして、全体として21項目になってございます。
 重複するところを主に避けまして簡単に御報告申し上げますと、2番のところで、医療機関勤務環境評価センター、そういったものを指定していくに当たって、あるいはその後の動きに当たっては、現場の医師の声というものがきちんと反映されるようにといった趣旨のことが書かれてございます。
 5番目のところでは、働き方改革で地域医療確保暫定特例水準、こういったものは令和17年度末を目標に解消していくということでありますので、そうしたことについての検討。
 6番目は、長時間労働となる医師に対する面接指導についての注意ということでございます。
 少し飛ばしまして、12番のところでは、大学病院での医師の働き方の諸課題があるので、文部科学省と厚生労働省で連携して、必要な支援ということが必要であるということでございます。
 最後に、21番のところでは、医師の働き方改革、偏在対策、地域医療構想、外来機能の明確化、その他につきまして、都道府県の業務体制の強化というものを推進すべきであるということでございました。
 以上が法律の成立につきまして、あるいは今後のキックオフにつきましての御説明であります。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございました。
 それでは、御質問、御意見がおありの方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
 神野委員、どうぞ。その後、佐保委員。
○神野委員 ありがとうございます。神野でございます。
 これは法律が通っておりますので、意見というか注文ということになると思うのですけれども、特に外来医療の機能の明確化・連携というのが、令和4年4月施行ということですので、今年1年でいろいろなものを決めなくてはいけないということになるのかなと思います。
 この外来機能の明確化・連携ということに関しては、「地域の患者の流れを明確にする」という本質が参考資料のところにも書いてございました。そうするならば、病院だけではなくて、やはりかかりつけ医とかかかりつけ医機能をどこが持っているのかということを明確にしないと、患者目線では非常に分かりにくい制度になってしまうのではないかと思います。
 これを明確化することなく、今、医療保険部会で議論されておりますし、やはり同じく来年度の診療報酬に関係するのだと思うのですけれども、定額負担のみを先行して議論することはやはりナンセンスであると強く思うわけであります。
 特に、病院の医療資源を重点的に活用する外来の機能と、どこのクリニック、どこの病院がかかりつけ医、かかりつけ医機能を持っているか、どういうかかりつけ医機能を持っているかというのをセットで考えていただくように、今後のワーキンググループで検討いただきたいと思います。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 佐保委員、次いで今村委員、加納委員の順でお願いします。その後、島崎委員。
○佐保委員 御指名、ありがとうございます。
 この法案の成立によって、医師・医療従事者の働き方改革や、地域医療構想の実現に向けた医療機関の取組に対する支援強化など、地域の実情に応じた良質で効率的な医療提供体制の構築に向けての一歩前進ということで評価しております。また、衆参両院の厚生労働委員会において附帯決議がされていますが、附帯決議に基づき適切な措置を講じるよう、具体的な検討に入ることも重要だと考えています。
 参議院厚生労働委員会の附帯決議十七で、地域医療構想について触れていますが、検討に当たっては地域の様々な設置主体の医療機関の参画を促すこととあります。しっかりとした検討が必要ではないかと考えております。
 そこで、事務局に質問が1点ございます。
 地域医療構想についての各地域での検討、取組はもちろん重要なことではありますが、一方で、日本全体としての医療提供体制の在り方というのをどうしていくのでしょうか。将来的な展望に立って、具体的なビジョンを今のうちから深く議論することがより重要ではないかと考えております。人口減少、少子高齢化社会を踏まえて、また、新型コロナのような感染症拡大を踏まえて、日本全体の医療提供体制の在り方というのが重要であると考えております。
 公民問わず、医療は国民の命と暮らしを支える大切な社会インフラであるということで、診療所、公立・公的病院、民間病院の役割分担、バランス調整、医師の偏在対策、医師・医療従事者の働き方改革など、全体としてどう見直していくのか、新型コロナ禍で大きく問われているのではないかと考えております。
 現在までにこうした全体的な検討を行っているのかどうかと、それから、行っているのであれば、どういう状況かということをお聞きしたいと思っております。よろしくお願いします。
○永井部会長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
○総務課長 ありがとうございます。
 今の御質問というのは、医療提供体制全般、偏在もありますし働き方改革もありますし、病床の課題、外来の課題、いろいろ多岐にわたる医療提供体制の在り方、全体を包含し、かつ、具体的なビジョンとしてどういう議論がされているのか、あるいは進めていくのかということだと思います。
 結論的に申し上げますと、特に今回は、それぞれのパーツ、パーツで御提案をさせていただいております。
 法案が成立しましたので、外来についてはワーキンググループで、あるいは医療計画は、8次計画に向けた検討の場を置きたいということであります。
 すなわち、それぞれ具体的なタスクがございますので、それぞれのパーツについて議論をしながら、関連する周辺分野を捉えて、例えば外来については、先ほど神野委員からは、外来報告という議論だけではなくてかかりつけ医の課題について議論すべきではないかという御提案もありましたので、そういう意味では、それぞれのパーツを議論しながら、その周辺について取り込んだ形で議論していくというのが今のスタイルだと思います。
 そして、全体というのは、むしろこの医療部会の場で、どちらかというとそのときそのときの御議論の中で、高い視野からあるいは広い範囲から各委員の御議論というものをいただきたいということだろうと思います。
 したがって、医療提供体制全体のビジョンを語る場や何か特別なセッションというものを創設するものではございませんが、ぜひそういう形での議論をいただければと思います。
 また、委員の御指摘としては、そういう場を設けるべきではないかということではないかと思いますので、一旦そういう御意見については受け止めさせていただきたいと考えます。
○永井部会長 佐保委員、どうぞ。
○佐保委員 御回答、ありがとうございました。
 そういうことであれば、しっかり今のうちから議論をするということが大事であると思います。この医療部会の場がそうであるとすれば、しっかり議論をしていきたいと思います。ほかの医療保険制度とか診療報酬とか、いろいろなところに関わってくると思いますので、深い議論をお願いしたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 次いで、今村委員、加納委員の順でお願いします。
○今村委員 ありがとうございます。
 今日の御説明にもありましたように、3月24日の衆議院厚生労働委員会で、日本医師会としての意見も述べさせていただきました。この後、先ほど御紹介いただいたように、決まった法律に附帯決議が多数ついております。特に医師の働き方改革については、衆参で併せて18も附帯決議がついていることで、これほど附帯決議がつくケースはあるのかなと思うぐらいのお話で、これは今後の日本の医療の大改革というか、非常に大きな改革になるわけです。
 実施までの残りの年数も限られておりますし、先ほど御紹介いただいたように厚生労働省の検討会で審議をすることについて、追加的健康確保措置の話と医療機関勤務環境評価センターの運営というような具体的なことも書かれておりますが、御存じのとおり、今、これ以外にまだまだ課題が山積している中で、限られた時間の中で様々な取組をしていかなければいけませんので、これは医政局だけではなく労働基準局も含めて、厚生労働省は全省を挙げて取組の支援、様々な現場の支援を引き続きしていただきたいというお願いを改めて申し上げたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 加納委員、どうぞ。
○加納委員 ありがとうございます。
 1点はお礼と、3点お聞きしたいことがございます。
 まず、1点のお礼は、認定医療法人、これは本当に遅ればせながらですが、成立していただきましてほっとしております。ありがとうございました。
 次の3点なのですが、まず、外来医療の機能の明確化に関しましては、先ほど神野先生がおっしゃったように、200床以上の病院の負担等の問題ではなくて、やはり外来と言えば、診療所の状況をどのようにしていくかというのは非常に大事なことだと思っております。かかりつけ医は、今回のコロナの対応においてもいろいろな問題が出てきたかなと認識しておりますので、それらの議論をしっかりと一緒にしながら対応をぜひとも今後考えていくようにしていただきたいと思っております。
 二つ目、働き方に関しましては、今回、先ほどもありましたように、附帯決議に多くの働き方について考え方が表明されており、衆参の1番目には、ここに書いてありますように、決して大学病院等から地域の医療機関からの医師の引揚げがないようにということがまず第1項目として上がっているかと思います。この点は、今回、コロナ禍でもいろいろな形で地域医療を守った都会の二次救急におきましては生命線でありますので、大学からの派遣、連携B水準というものが今後どう扱われるかということが非常に大事だと思っております。この議論をしっかりとしていただいて、地域医療が崩壊しないように、ぜひともお願いしたいかと思います。
 最後にコロナのことなのですが、これ実は、医政局から出た資料が発端といったらおかしいですが、明らかに民間病院の受け入れが少ないような資料が出まして、以来、コロナに対応する話が全てゆがんだような形に私はなったのではないかなと思っております。
 例えば大阪は病院が9割民間病院なのです。その状況下、今回、第4波のあの急峻なコロナ入院患者増加の対応をしなくてはいけなくなったわけでありますが、中等症の病院でも重症患者を診るというような臨機応変に、これにはもう公も民も一緒になって頑張って乗り切ったかなと思っております。
 その裏側で大事なのは、コロナの患者さんを受け入れると同時に、救急受け入れにおいて、コロナ外の一般救急患者が、第1波、第2波、第3波においてはコロナ患者の10倍、第4波でも4~5倍はあったかと思うのですが、その一般の二次救急の患者さんをしっかりと守り抜いたという事実があるわけなのです。このことから決して、今からの議論が変な形となり、病院の集約化、巨大病院づくりの話にすり変わってしまうことがないように、しっかりと今回の起こった現場の状況を検証していただきたい。事細かに説明すると非常に時間を取るのですけれども、実際に中小の病院を含めて対応できたかなと思っています。その検証していただいてからの議論にぜひともしていただきたいかなと思っておりますので、よろしくお願いします。
 以上です。ありがとうございました。
○永井部会長 ありがとうございます。
 続いて島崎委員、その後、井上委員、どうぞ。
○島崎委員 島崎です。
 医療計画の5疾病・5事業に1事業追加し、新興感染症への対応を書き込むということについては、誰も異存ないと思うのですけれども、問題はその実効性だと思います。
 これについては、いろいろ申し上げたいことがありますが、時間の関係もありますので、本日は保健所の役割・位置づけを含め、感染症予防法に基づきます予防計画と、医療法に基づく医療計画の関係につきまして意見を申し上げるとともに、1つお尋ねしたいと思います。
 というのは、医療計画と予防計画というのは整合的でなければいけませんが、医療法及び医療法に基づきます医療計画は、基本的に都道府県行政なわけです。つまり、政令指定都市、中核市や特別区の特例はありません。
 一方、感染症予防法及び同法に基づく予防計画は、保健所というものを非常に重視しています。そして、その結果、保健所を設置する政令指定都市、中核市、保健所政令指定都市とか特別区が前面的に出てくるわけです。実際、今回の新型コロナでも、保健所は本来業務であります疫学調査のほかに、ほかにやるべき機関がなかったからという理由もあるとは思いますけれども、コロナの陽性者の入院調整等の業務も保健所が行い、その結果、医療機関の側から見ますと、複数の保健所あるいは、都道府県のほかに、政令指定都市、中核市や特別区といった複数の自治体から五月雨式に入院調整の照会とか依頼が生じて、非常に現場で混乱が起きました。
 また、感染者数の報告なども保健所単位で行われて、マスコミの場でも、一体こういう場における県と市の関係は一体どうなっているのだというクレームが生じたのも事実です。
 有事の際は、指揮命令系統の輻輳化は絶対に避けるべきであり、国は医療計画に新興感染症への対応を追加する基本方針を策定するに当たりましては、以上申し上げたような観点から、特に感染拡大期における都道府県と政令指定都市等との権限の調整、指揮命令系統の一元化について、きちんと基本から議論をすべきだと思います。これは意見ですが、事務局の御所見もぜひ伺いたいと思います。よろしくお願いします。
○永井部会長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
 どうぞ。
○地域医療計画課長 地域医療計画課長の鈴木でございます。
 先生御指摘のとおり、今回のコロナの関係におきましては、やはり県と保健所政令市等の業務というのがかなり混乱したところもあったというのは聞いております。こういった反省を踏まえまして、次期医療計画に今回の新興感染症の計画を入れる場合につきましては、こういった経験も踏まえまして、なおかつ、我々、医療計画の中に入れる、今回、追加する際には、先ほど説明がありました下のワーキンググループだけではなくて、きちんと結核感染症課、いわゆる健康局との意見交換もしながら、きちんとした体制整備をどうやっていくかについて、今後検討していきたいと考えております。
○島崎委員 ぜひ、よろしくどうぞお願いします。
○永井部会長 それでは、井上委員、どうぞ。
○井上委員 ありがとうございます。
 今般の改正法が無事成立ということで、関係者の皆様の御尽力に敬意を表したいと思います。
 今回の法改正を基に、今後、紹介患者への外来を基本とする医療機関の明確化というものが図られていくわけでございますけれども、地域ごとの状況に即して医療提供体制を構築するという視点で、最大限効果が発揮できるような形で取り組んでいただきたいと思います。
 この制度は、もともと議論の最初のときには、定額負担を追加的に求める仕組みということを考えながら始まった議論でもございますので、ぜひその視点も忘れずに、医療保険制度の持続可能性という面も忘れずに議論を続けていただきたいと思います。
 また、ほかの委員からもありましたけれども、この外来機能の明確化・連携につきましては、取りも直さず、かかりつけ医の機能の明確化ということにもかかると思いますので、ぜひこの点につきましては、一度で終わるということではないと思いますので、継続的に検討していくということが重要だと思います。
 また、法改正とは関係ありませんけれども、中長期的な視点、高齢化と生産年齢人口の減少というこの状況は、コロナの後も変わりはございませんので、この点も忘れずに医療保険制度の持続可能性につきましても、しっかりと問題意識を持って続けていっていただきたいと思います。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 井伊委員、どうぞ。
○井伊委員 ありがとうございます。
 外来医療の機能の明確化・連携についてでございます。
 私、これまでもこの部会で発言をしてまいりましたので、繰り返しになりますけれども、患者の状況に合った質の高い外来医療を提供する観点から、外来機能を検討する際には、外来における看護の機能についても検討する必要があると考えております。
 各県が作成をした外来医療計画を見ましても、看護に関わる検討課題を挙げている都道府県が幾つかございます。したがって、これからワーキングで様々周辺状況も検討するということでございましたが、その際には、看護の機能や課題についても、データに基づいてしっかり議論をしていただきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございました。
 それでは、野村委員、その後、木戸委員、お願いします。
○野村委員 野村です。よろしくお願いします。
 私は、外来機能の明確化と連携というところで、令和4年の4月から施行ということで、その中の医療資源を重点的に活用する外来ということで、まず、私たち医療を受ける側は、まずかかりつけ医にかかって、そこから専門的な治療が必要だったら紹介されて、専門的な治療が終わったら逆紹介されて、また地域のかかりつけ医に戻るという、その流れは、今までもそういう流れであったのかなと思いますし、本来そういう流れが受ける側にとってもいいのかなと思います。
 今回、法案が成立されたということで、今後、こういった拘束力というか、これがさらにパワーアップしていって徹底されるものになるのかなとも考えているのですけれども、私たち医療を受ける側もやはり意識を変えていかなくてはいけないのかなと思いまして、今回、外来機能報告等の実施や外来医療ガイドラインの見直しの検討とか、外来医療計画の見直しの検討とかがいろいろ挙げられているのですけれども、やはり私たち受ける側の意識も変わっていかなくてはいけないのかなと思い、そこへのアプローチも何かあるといいのかなと思いました。
 かかりつけ医というものが、やはり受ける側にとってより魅力的でというか、視点は人それぞれ違うのかもしれませんけれども、そういった魅力的な部分があるといいのかなと思ったのと、あと、もう一点だけ、参考資料にありました事業内容の中に、かかりつけ医機能の強化とか活用の好事例の収集というものがありましたので、私はこれは個人的にすごく見てみたいなと。どういうのがあるのかなというのもあるので、きっと地域ごとに求められているかかりつけ医の役割というのは様々であると思うので、地域ごとにあると、それが私たち受ける側にとっても見てみたいなと思いますし、医療機関にとってもすごく参考になるのではないかなと思ったので、ぜひ進めていただきたいなと思いました。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、木戸委員、その後、相澤委員、お願いします。
○木戸委員 ありがとうございます。
 勤務医、そして女性医師の立場から、今回、勤務医の時間外労働にまだまだ一般よりははるかに高い水準ではありますけれども、まずは上限規制ができたということは画期的なことで、私としては大変歓迎しております。
 ただ、実際目の前に患者さんがいて、対応しないといけない状況であれば、つい時間を超えて働いてしまうことは容易に想像できます。今回、国会の厚生労働委員会の議事録も拝見しましたけれども、やはり医師が足りないところにいかに応援を出すか、そういった医師派遣の仕組みの重要性が複数の参考人から指摘されていました。それをセットで考えていかなければ、やはり医師の健康と地域医療の両立は現実的には難しいと思います。
 参考資料の16ページには、特例水準の指定に当たっての流れの図がありますけれども、ここの中ほどには、評価結果を踏まえて、都道府県が多様な支援の提供を行うとありますが、ここが今回の働き方改革が成功する肝になるところと思います。
 やはり医師の派遣をやめるとか、診療を縮小するとか、そういった地域医療の影響が出てからでは遅いので、その前にきちんとそういった動きがあれば、モニタリングして、それを阻止できる仕組みも必要と思います。
 いずれにせよ、都道府県の果たすべき役割は格段に今後重要になってきますけれども、やはり国として、そういったいろいろなシステム的なところはしっかりと議論すべきと思います。できれば、この推進検討会議のところで取り上げて議論していただきたいところではありますけれども、少なくともどこかでは検討していくべきと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、相澤委員、その後、釜萢委員、お願いします。
○相澤委員 どうもありがとうございます。
 私は、新興感染症についてと外来医療のことについて、意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、大きく捉えて、この国の一番の問題点は、大きなグランドデザインが出来上がっていないというところに私はあると思うのです。外来医療だけを切り離して議論することはできません。入院医療だけを切り離して議論することはできません。これは一体のものです。一体としてどうしていくのかということを、まず大きな写真、絵を描かないと駄目なのに、パーツを何かこなしていけば全体像になるなどということはあり得えません。だから、まず大きな図をどう描いていくのか。これは国民全般を巻き込んだ議論を一度やらなければいけないのではないかと私は思っています。
 その上で、この感染症については、先ほど御意見もございましたように、まず、そもそも予防法が保健所マターになっているわけです。これは感染症法の予防計画に決められているわけです。これと医療計画は全く合いません。なぜなら、予防計画は保険所の区域でやります。医療計画は、今ほとんどが2次医療圏ごとにつくられています。全く区域が合いません。そうしますとガバナンスも違います。どうするのか。これは大きな写真を描かないと駄目だと思います。
 特に高度の機能を持つと言われている、重症患者さんを診られると言われているICU、HCU、救命救急病棟、これも集中治療科学会の先生がお話ししているように、2対1の看護配置というところと4対1という看護配置がある。しかも、この病床を県ごとにみると、例えば一番少ないところは人口10万当たりに6.4床しかない。ところが、かたや22.9床もある。この国は一体どうなっているのかということをしっかりと議論していかないと、感染症にも対応できません。
 感染症の前に、平時の医療をどうするのかということがあって、そして、感染症の蔓延時は、一般的に使っている病床を感染症に切り換えなければいけないわけですから、そこをどうやっていくのかという根本的な議論をしてほしいと思います。
 今度は外来機能に関してです。
 これはもうこれまで意見があったように、かかりつけ医というのは、どこで働いているのか。診療所だけではないのです。病院でも働いています。では、このかかりつけ医が大学病院で働いてもいいのか。病院機能というのとかかりつけ医の機能というのは、しっかりと一緒のものとして議論していかないと全く合いません。
 そして、かかりつけ医機能と紹介機能というのは、これも全く切り離せませんが、診療所同士の紹介だってあるのです。大病院からかかりつけ医への先生の紹介もあるのです。ですから、紹介機能というのは一体何なのか。本当にこの国は基本的な議論をきっちりとした上で、ではどうするのということを決めていかなければいかないのに、もう来年の4月に決めるのですか。外来機能は。
 そして、来年の4月から始めるのは、外来機能報告をやって、外来機能がどうなっているのかデータを集めるのですよねというお話を申し上げているのですが、前回も明確な答えが返ってきませんでした。この計画で言うと、もう4月から外来機能を明確化していくのだということになっていますので、私はこんな拙速なことをやっていったら、この国の医療がもうめちゃくちゃになる。物すごく心配しているということだけ申し上げて、私の話を終わらせていただきます。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 続いて、釜萢委員、その後、松原委員、お願いします。
○釜萢委員 どうもありがとうございます。
 私は、新興感染症等の感染拡大時における医療提供体制の確保に関する事項の医療計画への位置づけについて、指摘をしたいと思います。
 これは法律の施行が令和6年であります。第8次の医療計画に向けてということですけれども、現在の新型コロナウイルスに対する対応はもうずっとやっていかなければならないわけで、既にいろいろな計画の変更等も自治体ごとに行われているわけですが、この8次の医療計画に向けての対応とともに、前倒しで現状における改善について、既に取り組んでいいただいておりますけれども、しっかりそれをやっていく必要があるということであります。
 その上において、既にもう委員から指摘があったところですけれども、従来の感染症以外の医療と新興感染症、現状ではコロナですけれども、新型コロナに対する医療の提供をどのような割合でどのようにその地域で行っていくかということを、合意を形成しながらしっかり計画を立てていくということはなかなか容易なことではなくて、限られた医療資源をどのように配分するのかという大変厳しい現実に直面しているわけであります。ですから、そのことについて、やはり現状の計画をしっかり明らかにして、どういう方向でやっていくのかということについて、それぞれの自治体ごとの方針が、自治体というか主に都道府県ですけれど、都道府県ごとの方針が、必ずしも明確に分かりやすく示されていないように感じます。ですから、この点については、第8次の医療計画の策定よりも前に、現状における状況をさらに明らかにしなければいけないと思います。
 病床の利用に関する件は、本年の4月末まで、また、5月末までに取りまとめるということで、その様子がまた国からも示されるものと思っていますけれども、それぞれの地域の実情を反映した形で、よりよい計画が出されるようにさらに努力が必要だろうと思いますので、指摘を申し上げます。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 松原委員、その後、河本委員、お願いします。
○松原委員 2つございます。
 1つ目は、新型コロナのような有事の際の指揮命令系統の明確化というのが大変必要で、その際に、加納委員がおっしゃったように、今回、各病院がどういった機能を果たしていたのかということの検証を急ぐ必要があると思います。
 2つ目は、働き方改革のところの地域医療の維持向上、この実現のためには、やはり財源の確保というのが欠かせないとなります。そのためには、国民の信頼に応える体制整備が必要で、非営利性の徹底と経営の透明化というのは大変重要だと考えております。その意味で、今回の持ち分なし医療法人への移行計画、認定制度の延長は大変必要なことで、ぜひ周知徹底をお願いしたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 続いて、河本委員、それから山口委員。
○河本委員 ありがとうございます。
 何人かの委員の先生からかかりつけ医機能の明確化の話が出ておりますけれども、私もこのコロナ禍で顕在化した様々な課題、機能分化と連携ということが一つのキーワードになるとは思うのですけれども、かかりつけ医というのがどんなものなのかと。あるいは、発熱時の対応にしても、あるいはワクチンの接種にしても、かかりつけ医というものに対する国民の関心が今ほど高まっているというのもないのではないかと。そのぐらい、今、そこに国民の関心が集まっているのではないかと考えております。その意味では、かかりつけ医機能の話をしっかりと。でも一方で、足早に検討していく必要があると考えているところでございます。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 続いて、山口委員、その後、小熊委員、お願いします。
○山口委員 ありがとうございます。山口でございます。
 私もかかりつけ医は必要だと思っていますし、きちんと安心できるかかりつけ医を持ちましょうというようなことを、活動を通してもこれまで言ってまいりました。ただかかりつけ医という公的な定義がない中で、イメージが人によってとても異なっていて、専門家の方の中でも結構ばらばらというような感じがございます。
 患者の中でも、開業医さんだけではなく、地域の病院でもなく、例えば大学病院にかかっている方は、そこのドクターがかかりつけだと思っている方もいらっしゃるので、そのあたりの明確になっていないところが私も問題だと思っています。
 その中で、今回、この外来医療の機能の明確化・連携ということで、これはある意味漠然と出てきた問題で、具体的な必要性が明確ではないままに議論を繰り返してきて、なかなか議論が集約しないままにずっと話合いをしてきたというような印象を持っています。
 そんな中で、議論するのであれば、コロナのことも出てきていますので、外来機能ということで、どういった新たな問題点があるのかということも併せて話していかないといけないのではないかと思っています。今回、4ページの資料を見ていましたら、先ほどから令和4年4月に施行するということ自体拙速ではないかという御意見もあったのですけれども、施行に向けた検討をこの1年で行って、1年というと半年ぐらいしかないわけですけれども、その後「外来機能報告等の実施」と書いてあるのですが、その下に「外来医療ガイドライン見直し検討」とあるのです。見直しを検討ということは、もう既にガイドラインがあるということが前提ではないと見直しにならないと思うのですが、そんなものは今まだ存在していないと思うのですが、一体この外来医療ガイドラインというものを、いつどこで策定するということを前提にして書かれているのか。いきなり見直しが出てきているのはどういうことなのかということを事務局にお尋ねしたいと思います。お願いいたします。
○永井部会長 今の点はいかがでしょうか。
○地域医療計画課長 御質問、ありがとうございます。計画課長でございます。
 ここにあります「外来医療ガイドライン」というものにつきましては、この後にあります外来医療計画を各都道府県が策定するためのいわゆるガイドラインということで、これについては、外来の計画をつくっていただいたのが、前回、中間見直しのときにありましたので、そこのときに国のほうからは示させていただいているところでございます。
○山口委員 ということは、都道府県が策定するためのガイドラインということですね。それを今回そのままでいいのかどうか、見直し作業を1年後からするという理解でよろしいでしょうか。
○地域医療計画課長 はい。御指摘のとおりでございます。
○山口委員 分かりました。
 外来医療を行う上でのガイドラインというのがあたかもつくれるかなと思ってしまいましたので、こういったことを書かれるときには少し注意が必要かなと思いました。ありがとうございました。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、小熊委員、お願いします
○小熊委員 ありがとうございます。
 ただいまいろいろな先生方からもっともな御意見をたくさん頂戴いたしました。私どもといたしましては、そのいずれもが非常にリーズナブルな御意見だと承っておりましたが、病院を預かる我々の立場、しかも私ども自治体病院は、地方における医療をしなければならない立場でございます。そういった意味で、今までお触れにならなかったことを1つだけお願いしたいと思います。
 1つは、働き方改革にしましても地域医療構想にしましても、それから外来機能につきましても、やはり一丁目一番地は医療人材の不足、偏在、これを解決すること。それが基本になければならないと思っております。
 もう一つは、外来医療に関してなのですが、我々病院勤務医にとっては、休日・夜間に病院救急外来を訪れる一般患者さんの、極端なことを言いますとコンビニ受診というものが働き方改革の阻害因子になっております。それから、そういった救急医療体制に対する医療の在り方というものが、はっきり申し上げて、かかりつけ医機能として不足し過ぎていると思っております。
 かかりつけ医というものであれば、自分の外来にかかっている患者さんの責任をきちんと果たすべきものではないかと思います。それが病院外来における医師の働き方改革にもつながるということですし、先ほど一般の方が、野村さんがおっしゃったように、そういったことを普通の方に分かっていただけるような仕組みづくり、説明、それが必要不可欠だと思っています。
 ですから、今、皆様がおっしゃった様々な課題に加えて、そういった観点を、ぜひ今後の検討会、ワーキングで取り入れてディスカッション、改善を図っていただきたいと思って発言させていただきました。ありがとうございました。
○永井部会長 ありがとうございます。
 ただいまの外来に関することを最後に総務課長からお願いいたします。
○総務課長 様々な委員の皆様から、外来に関する御意見、とりわけかかりつけ医あるいはかかりつけ医機能に関する御意見が多かったように思います。改めまして確認をさせていただきたいと思います。
 まず、外来機能の明確化・連携といった論点につきましては、法律上は医療資源を重点的に活用する外来というものをつくっていくということで議論が始まりつつ、同時に、それはかかりつけ医、あるいはかかりつけ医機能の強化とセットで議論していかなければならないということで、昨年の12月にもそういう意味ではセットでの報告書ができてございます。
 その中で、法律上は、申し上げましたように、医療資源を重点的に活用する外来というものの制度化ということで、それは外来機能報告を求めるとか地域における協議の場をつくって、あるいはあるものを活用して議論するとか、そういった枠組みを定めたということでありますので、来年の4月に、そういう意味で施行するのは、外来機能報告をいただくこと、あるいは地域における協議の場で議論いただくということになります。したがって、まずはその議論が必要です。
 ただ、最初に申し上げましたように、そのときには、そもそもの大きな考え方として、かかりつけ機能の明確化、強化とセットで議論していくべきだということであったかと思いますので、そういったかかりつけ医機能の明確化、あるいは普及といったものについては、まず資料で言うと参考資料になってしまうのですが、59ページに、今年度、かかりつけ医機能の強化・活用にかかる調査・普及事業、委員の皆様からも一部御指摘いただきました、そういった新しい事業を設けまして、かかりつけ医についての機能強化、活用についての好事例の収集とか議論の強化というものをしていきたいと考えます。
 同時に、患者側からのアプローチということでは、上手な医療のかかり方というものが、今までも展開している事業としてございますので、そういったものをしっかりと進めていきたいと考えます。
 その際、看護の議論もしっかりとしていくべきだという御議論もありましたので、議論の中では、そういった点も含めて、あるいは様々な御意見が今日もありましたので、そういった御意見を考えながら議論していきたいと思います。
 また、別途、医療計画の中には外来医療計画というものがございまして、そのためのガイドラインというものも、これはまた別途の議論として必要だということで、これは所定のスケジュールで議論していきます。
 そういった形で、基本的には普及啓発、調査の事業を今年度やりながら、あるいは外来機能の報告を中心とする、ワーキンググループを立ち上げて議論をさせていただきながら、かかりつけ医機能の明確化あるいは普及ということについて、次第次第にしっかりと議論をしていきたいと考えますので、引き続き委員の皆様方の御意見をいただきたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。相澤委員、手をお上げでしょうか。
○相澤委員 よろしいでしょうか。
○永井部会長 どうぞ。
○相澤委員 ただいま厚労省から説明があったのですが、私、前に質問したように、かかりつけ医機能は何ですかというときに、はっきりとした決めはないけれども、日本医師会・四病院団体協議会のかかりつけ医の定義と機能が58ページに書かれていますが、これによると在宅医療というのが書かれているのです。在宅医療を推進をするときに、在宅医療は外来機能かという話をしたのですが、厚労省からは、いや、それはどうでしょうかというので明確な答えがなかったのです。
 これでいきますと、かかりつけ医は在宅医療を推進するということです。そうすると、在宅医療というのも進めなければいけませんし、医療計画の中には、在宅医療をどうしていくのかということを書き込むことになっているのです。そうしたら、かかりつけ医機能というのは、在宅医療も一緒に含め、通院してくる外来も一緒に含め、しっかりと議論をしなければいけないのです。
 そうすると、どう考えても、厚労省の論調ですよ。課長は違うと言うかもしれませんけれども、もう初めに医療資源を使う外来というのだけを区分しようと。要は初めからそういう下心があって、下心を知らない人は、このまま議論していたらそちらへ誘導されると、こういうような方向性がもう明らかに見えていると思うのです。
 私は、これはもう一回ゼロベースできちんと議論すべきだと思いますし、外来機能の報告制度はやればいいのです。でも、それは外来機能をきちんと見ていって、その結果として正しいデータをつくり、そして、それを分析してどうするのかということを決めていくためではないかなと私は思うのです。
 以上、私の考えをお話しさせていただきました。
○永井部会長 ありがとうございました。
 これは慎重に進めていきたいと思います。
 よろしいでしょうか。何かほかに。
 松田委員、どうぞ。
○松田委員 松田でございます。
 いろいろと、今、いろいろな方からお話を聞いていて思ったのですけれども、既存のデータがほとんど活用されていないのです。ナショナルデータベースで、SCRとかいろいろなものが出ていて、それぞれの地域でどういう外来を診療所がやっているのか病院がやっているのか、大体もう見えています。そうすると、それぞれの地域でどういう、例えば小熊先生が言われたみたいに、北海道の地方に行くと、小さなその地域の病院が外来もやり入院もやりという形でやっている。でも、それはそういう形でやるしかないわけです。そうすると、この外来機能の在り方というのは、恐らくそれぞれの地域ごとによって違うのだろうと思います。
 そうすると、今あるナショナルデータベースのデータを使いながら、やはりそういう類型化という作業をまずやらないといけないのだろうと思います。それぞれの地域の状況に合わせた外来の在り方、それを診療所と、あるいは病院でどのように分担していくのかということを多分考えなければいけない。恐らく外来機能報告だけをやっても、多分、それを誰かがある視点で分析をするということをやらなければ、方向性は出てこないだろうと思います。
 そういう意味では、今、出ているナショナルデータベースのデータ、それから、あと、非常に重要なのが病床機能報告のデータです。病床機能報告のデータを見ますと、例えば、救急関連で言うと、夜間どのくらいの方が外来受診をされているのか。夜間・休日にどのくらいの方が受診されているのか。それから、どのくらいの方が実際に入院されているのか、そういうデータが施設ごとに出ています。
 そういうデータと、今あるデータを併せて、それぞれの地域における外来の状況の記述というのをやはりまずきちんとやるべきではないかなと、今、お話を伺っていて思いました。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 ぜひ、データを基にして議論ができるように準備をお願いしたいと思います。
 よろしいでしょうか。
 山崎委員が手を挙げていらっしゃいます。山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 最初のかかりつけ医の話ですが、かかりつけ医の議論は、何年前からやっているのか分からないくらいです。厚生労働省の文章には、かかりつけ医、かかりつけ医とよく書かれていますが、実際にその地域でかかりつけ医というのは誰を指してかかりつけ医と言っているのか全然分からないのが現状です。実態がない先生方を指して、かかりつけ医、かかりつけ医と言っていますが、私は3年か4年前から社会保障審議会で問題提起をしています。それに対して、政策的に、地域でこういう先生をかかりつけ医をという規定もないし、また、かかりつけ医をどのように養成するか、かかりつけ医と思われる総合診療科が専門医機構の中でもはっきりいない状態で、かかりつけ医は一体何を言っているのでしょうか。この辺の整理をしないで政策だけが先走っても動くはずがないじゃないですか。この問題を整理したいと政策あって受けてなしにあります。
 それと、今回のコロナの問題で、民間病院が協力していない、コロナの患者さんに対応をしていないというような報道が一部であって、加納先生あたりは大分怒って反論されていたわけですが、例えば精神科などの場合は、外国では精神病床というのは、急性期の治療対応病床だけを精神病床と言っているのです。したがって、日本で言うと、スーパー救急の精神科病床、急性期治療精神病床等を、精神病床と言っていて、緩和だとかリハビリとか長期入院の病床は、精神病床としては定義していないのです。
 それを厚生労働省は、全部引っくるめて三十何万床もあるなどと言うから、WHOからおかしなことを言うのかなとなっていて、外国の定義で言う精神病床というのは、日本では4万床ぐらいしか実質はないのです。それを32万床というような間違った報告をしている厚生労働省にも大きな問題があると思っていて、この辺の問題というのは、実は精神病床だけではなくて、外国でその病床というのは、急性期対応の病床を病床と言っているのではないですか。病院も、だから本当に高度急性期の病床を病院と言っているので、日本にあるようなリハビリとかあるいは長期療養の病床というのは、多分、外国で言う病院の定義に当たらないと思います。
 こういうような病床の基準というのを、外国の基準にして議論をするのだったら、病床の定義とかそういうものを含めて、きちんともう一回整理をし直さないと、話が全然違う方向に行ってしまうような気がしています。
 そういうことを含めて、一回、抜本的に、相澤先生がおっしゃったように、原点に戻って、地域医療計画をどうするかということを含めて、考え直さなければいけないと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 今の点はいかがでしょうか。
 よろしいですか。
 いろいろな論点があるかと思いますが、これからだんだん煮詰めていく必要があるということだと思います。
 よろしいでしょうか。
 それでは、特に御意見なければ、この課題はこれまでとさせていただきまして、今までの議論を踏まえまして、事務局で必要な対応をお願いしたいと思います。
 続いて、ワクチン接種会場への看護師派遣について、事務局より説明をお願いいたします。
○看護職員確保対策官 議題の2つ目のほうをよろしくお願いします。看護課の田中と申します。
 資料2を御覧ください。
 恐縮ですが、こちらは4月13日の労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会で配付した資料をつけさせていただいております。
 新型コロナのワクチン接種に係る看護師等の労働者派遣についてでございます。
 こちらの資料の経緯でございます。現状のところに書いてございますが、医療機関への看護師等の労働者派遣につきましては原則禁止でしたが、地方分権対応として行った政令改正、こちらは昨年11月にこの医療部会でも御相談の上、その後、労働政策審議会のほうで御議論いただき、本年4月1日から分権対応として行った政令改正で、へき地の医療機関については、看護師等の労働者派遣が可能となっておりました。
 こうした中で、へき地以外におきまして、新型コロナのワクチン接種会場において看護師等の労働者派遣を可能としてほしいという御要望が、全国知事会、また、中核市市長会などからいただきました。新型コロナのワクチン接種に係る医療従事者の確保に当たって、その選択肢の一つとして、へき地以外の地域でも看護師、准看護師の労働者派遣を可能としてほしいという御要望でございました。
 対応といたしまして、一番下に四角で書いてございます。コロナ禍の特例措置といたしまして、看護師、准看護師につきまして、場所をワクチンの接種会場と。また、期間につきまして、令和4年2月28日ということで限定をした上でワクチン接種会場への労働者派遣を可能とするということで、労働者派遣法の省令改正ということで、既に4月23日に改正省令を公布、当日施行という形で対応させていただきました。
 本来であれば、事前に御相談の上、労政審のほうで御議論いただくという流れがあるべきでしたけれども、時間の関係上、事実上、事前に個別に御説明をさせていただいておりましたけれども、事後の御報告ということで本日御報告をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○永井部会長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。ここで平井委員が入られましたので、何か御発言があれば先にお願いしたします。
○平井委員 また後ほど、議題2の中で議題1についても発言します。
○永井部会長 よろしいですか。
 それでは、ただいまの説明について、加納委員、よろしくお願いします。
○加納委員 ありがとうございます。
 これそのものは、本当にワクチン接種には必要だということで、こういう形でのへき地への派遣というのは大賛成だと思います。
 ただ、ちょっと確認したいのですけれど、日本は打ち手に関してどの程度不足しているのでしょうか。それを厚労省のほうはどういう形で御認識なさっているのか。というのは、歯科の先生方にもお願いしなくてはいけない、打ち手として歯科の先生方にもお願いしてもらっているという状況が出ているかと思うのですけれども、私が聞いた話では、潜在看護師さんをはじめたくさんの看護師さんいらっしゃる中で、その人たちを含めた制度の中で講じていくということであれば、十分そういう人たち、つまり看護師さん、准看護師さんにお願いするという形と、また、医師を含めて十分対応できるのではないかと認識しているのですけれども、なぜそういう拡大しなくてはいけないという状況になっているのか教えていただきたいと思うのです。
 また、もう一つは、これは賛成なのですけれども、例えば今回の今の話にも関わってくるかと思うのですけれども、紹介会社さんが入って、人材派遣をするとかというような形になるのでしょうか。ワクチン接種に関しては、会場づくりから全て丸投げなさっている行政もあると聞いておるのですけれども、それも特定の会社で行なうのであれば、やはり大きな問題だと思っておりますし、そこらも含めて何かお答えいただけたらと思うのです。よろしくお願いします。
○永井部会長 いかがでしょうか。
○看護職員確保対策官 最後のところですけれども、今、御説明しましたのは、ワクチン接種会場における労働者派遣ということですので、その派遣を行う事業者というのは、労働者派遣事業者としての許可を受けた民間事業者になります。
 ただ、この施行の際にも、自治体に対しましては、あくまで御要望を受けた選択肢の一つとしてということでありまして、直接雇用による方法、また、ナースセンターやハローワーク等の活用といったようなことも併せて周知をさせていただいたというところでございます。
○加納委員 よろしいですか。
○永井部会長 どうぞ。
○加納委員 多分、井伊委員がおっしゃるのかなと思うのですけれども、ナースセンターとかそういった、いわゆる看護協会のお力を借りるとか、そういう話はないのでしょうか。もうそういった派遣会社に頼んでしまう中での今回の決まりということで、今の件に関しましては。
 あと、もう一点は、本当に日本は海外のように打ち手不足なのかどうかいうことも、少し答えを教えていただけたらと思うのですが。
○永井部会長 では、医事課長から。
○医事課長 医事課長でございます。
 正確な数字は手元にはございませんけれども、予防接種の体制のところで、様々な市町村からの調査、あるいは聞き取りはなされていると思っております。
 4月に行われた調査でも、医師、看護師等もやはり不足、また、検討中というところが一定程度あったかと思っております。そうした中でも、議論に出ていましたが、かなり地域差があるだろうということで、一定程度充足しているところもあれば、やはりまだ困られている市町村の方々もいらっしゃるということで、そうしたところで、きめ細やかに省として対応させていただいているところだと考えております。
 もう一点、予防接種につきましては、一連の流れが重要だと思っておりまして、予診や薬剤の充塡、接種行為そのもの、また経過観察、その流れの中できめ細かな体制づくりが必要ということで、それも省を挙げて取り組ませていただいているところでございます。
 以上でございます。
○永井部会長 よろしいですか。
○看護職員確保対策官 よろしいでしょうか。
○永井部会長 看護課。
○看護職員確保対策官 もう一つ補足させていただきますと、自治体が募集する際に、民間事業者を活用する場合もありますけれども、看護協会でやっていただいておりますナースセンターのほうもかなり活用いただいておりまして、ナースセンターのほうでもワクチン研修を行いながら、求職希望者を募り、ワクチン接種業務への積極的なマッチングというのを行っておりまして、自治体のほうにもぜひナースセンターのほうの活用を検討してほしいということで、総務省とも協力しながら周知をさせていただいているところでございます。
○永井部会長 加納委員、どうぞ。
○加納委員 本来そうすべきだと私は思いますし、看護協会は非常に頑張っておられると聞いておりますので、潜在看護師さんの方とかそのような方々で十分準備はできているということは、この前、NHKの『日曜討論』等でもお話があったかと思います。いきなり株式会社のような紹介会社がどんと入ってくるという作業手順はちょっといかがなものかなと思って質問させていただきました。
○永井部会長 ありがとうございます。
 では、神野委員、どうぞ。
○神野委員 ありがとうございます。
 本件に関しましては、今は国難でありますので、私は何の異存もございません。
 その派遣事業者というのではなくて、私たち病院あるいは病院団体へお願いしたいというような要望もたくさんございます。我々病院団体としても、各会員病院に対してワクチンを積極的に打てという指示を発しておりますし、自院に関しましても、今、ワクチンの枠をどんどん広げて、とにかく早く打てという話で進めているわけであります。
 その中で、この集団接種会場に、例えば病院の看護師を出す、医師を出す、あるいは薬剤師を出すという事例もこれからたくさんあると思われます。そのときに、いわゆる副業として出てしまったときに、労働時間はどうなるのということがちょっと気になっております。
 このワクチン接種は、最初に申しましたように国難でありますので、この労働時間は副業として行っても外すべきだと私は思うのですけれども、その辺のところの御見解を伺えればと思っております。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 看護課から。
○医師・看護師等働き方改革推進官 医師・看護師等働き方改革推進官をしております安里と申します。
 今、御質問いただきました件ですけれども、労働基準法は、33条に災害等の場合の特別扱いの規定を設けております。災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合の時間外や休日労働について、事前に労働基準監督署長の許可を得る、もしくは、事前の許可が間に合わない場合には、事後に遅滞なく届け出ていただくことで、可能とするものです。新型コロナにつきましては、QAを既に厚生労働省のホームページに示させていただいておりますが、旧来より新型コロナへの対応が、この33条の要件に該当し得ることを示させていただいておりましたが、今般、ワクチン接種を、今、急速に進めていこうという状況下であることを踏まえまして、このQAを改定いたしました。
 新型コロナワクチンの接種の実施に関する業務についても、ワクチン接種は新型コロナウイルス感染症の発症を予防し、死亡者や重傷者の発生をできる限り減らすために実施されるという観点から、迅速かつ大規模に接種が実施されるような状況下、まさに今の状況だと思いますけれども、こういう場合には原則として要件に該当するものと考えられますという考えを示させていただいております。
 副業・兼業の場合も、労働基準法は労働時間を通算して適用され、通算した労働時間について、労働時間の上限を守っていただく必要があるのですが、この33条がございますので、上限を気にされて、この派遣といいますか、副業・兼業を抑制するといった必要はないかと思っております。ただし、過重労働は避けていただく必要がありますので、長時間労働になった方には十分な休息が確保できるような配慮をしていただければと思っております。
○神野委員 ありがとうございます。
○永井部会長 佐保委員、その後、井上委員。
○佐保委員 御指名、ありがとうございます。
 希望する住民に1日でも早く接種していただくためには、今回の看護師等の労働者派遣について、ワクチン接種に限り、期間を区切って認める特例的な措置として受け止めております。
 ただ、派遣された看護師等が接種に関わる業務以外の業務を行うことがないよう、自治体、医療機関及び看護師に対する周知の徹底を行うとともに、接種以外の業務をさせられていないかどうか、派遣された看護師等からの報告を含め、適宜チェック機能が果たされるようお願いしたいと思っています。
 また、コロナのワクチン接種では、希釈していない原液のまま、あるいは逆に希釈し過ぎたワクチンを打ってしまったり、使用済みの注射器を再使用してしまったりという報道も見受けられております。不慣れな接種会場、不慣れなチームで従事することも一因ではないかと思われます。
 現在、ワクチン接種の現場で御尽力されている皆さんに水を差すつもりは全くございませんが、今後、職域でのワクチン接種といったこともスタートしていくと思いますので、再発防止に向けた対策を徹底していただきたいと思っております。
 ところで、連合が5月に実施した調査によれば、医療現場、介護現場ともに、命を預かる働きに見合った報酬が欲しいといった回答が7割を超えております。人手不足の解消を望む声も多数寄せられています。今般のコロナ患者への対応やワクチン接種の対応をきっかけに、一時的に復職される潜在看護師等も多数いらっしゃると思いますが、希望すれば本格的に復職できるように、医療機関等による研修機会の拡充と労働環境の整備について、政府としても積極的に御支援いただきたいと思っております。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 続いて井上委員、どうぞ。
○井上委員 ありがとうございます。
 新型コロナウイルス感染症の拡大からもう1年半近くということになりまして、国民も事業者もぎりぎりのところに来ているというのが実態だと思います。諸外国の例を見ましても、やはりこのトンネルから抜け出すのはワクチンの接種による集団免疫の獲得しかもうないと考えられますので、政府で、今、総理は1日100万回という目標を立てていますけれども、やはり冬を迎える前に、ぜひこの集団免疫の獲得を目指すと。一気呵成にワクチンの接種を進めるべきであると思います。
 そのためには、本日、御参加の皆様の御協力と、我々の企業、職場での接種とかワクチン休暇とか場所の提供とか、可能な限り協力させていただきたいと思っておりますので、ぜひ早期のワクチンの普及に協力したいと思います。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 平井委員、その後、今村委員、どうぞ。
○平井委員 ありがとうございます。
 永井部会長をはじめ、皆様も大変な御協力で、このたび、このような看護師についての特例を認めていただきましたこと、感謝を申し上げ、今いろいろな議論がございますが、若干の御説明も申し上げたいと思います。
 それに先立ちまして、議題1のほうでありますが、今日は小熊会長もおみえでございますけれども、自治体の病院などでも医師の確保などが難しいところがあります。したがいまして、今回、様々な制度改正がなされるわけでございますけれども、ぜひ、働き方改革に当たりまして、大学の医局も協力をして、しっかりとした人材調整が今後も進められるように御配慮いただくとか、特に感染症です。新型コロナでその必要性が非常に高まってまいりました。こういうところの人材育成あるいは外来の問題など、今回のこの改正をてこにして取組を深めていただければとお願いをいたしたいと思います。
 それで、この議題2につきましては、基本的にはお礼のつもりでございます。
 私、途中から入りましたのも、まさに、今、ワクチン接種の体制をめぐりまして、今日は県医師会と丁々発止議論をしてきたところであります。都竹市長や遠藤町長もいらっしゃっておられますけれども、市町村の現場はいろいろな工夫をして人材確保をしているわけでございます。その一環で、今回こうした看護師派遣についてのお願いを全国知事会や、あるいは中核市の市長会でも行ってまいりました。
 へき地につきましては、そこでの看護師派遣については、つい先年、緩和がなされたところなのですが、今回、実際にワクチンを接種するときに、大体病院等で場所も設けてワクチン接種をするというのが非常に多くなされています。そういうところに、ただ看護師の人材が、例えば接種レーンをたくさん設ける場合などで足りなくなるとか、当然ながら薬剤を調整する、また、注射針を用意すると。ファイザーであれば、それを生理食塩水で希釈して、例えば6人分取るというようなことをやったりします。それから、調子の悪いことにならないように、アナフィラキシーショックの関係で、現場で見守る看護師さんなども必要なわけです。したがいまして、皆様が想像する以上に、実は現場で人が必要でありますが、通常、例えば病院の中にいる人材では足りないということも起き得たりします。
 同じようなことは、臨時的に診療所にする、集団接種会場、そこでも当然同じようなことはあるわけでございますが、何せ今、100万人に打てと行っているわけでございまして、こういうことを考えますと、とてもではないけれども実は手が回らないということです。
 我々鳥取県は、比較的全国でも、3、4位ぐらい接種率が高いところでありまして、そういう工夫をしていますが、それでもやはりお医者さんが足らないとか、看護師さんを何とか調整しようとか、それで、私どもも看護協会に走ったりしまして、相当の努力をして今の接種水準をつくっているというのが実情であります。ですから、一時的なものでございますので、ぜひ特例として、こういう今回の国難においてのワクチン接種、これについての労働者派遣の緩和、これについては大変現場で役立つところもありますので、各先生方の御理解をいただければ幸いであります。
 また、あわせまして、厚生労働省をはじめ関係先様につきましても、いろいろな意味で、この労働者派遣以外にも、例えば国立病院にもっと協力していただきたいとか、あるいは自衛隊、何で大都会のところだけで予防接種するのかなと。田舎のほうにも看護官とかを回してもいいではないかとか、現場の声はいろいろあります。とにかく人材不足を補っていかないと、菅総理がおっしゃるように、予防接種が円滑に進むことには到底ならないと思います。
 掛け声だけでなくて、やはり人をそろえる努力を厚生労働省をはじめ政府のほうでもお願いを申し上げたいと思います。ありがとうございました。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、今村委員、その後、安部委員、お願いします。
○今村委員 ありがとうございました。
 このワクチン接種会場への看護師派遣ということについては認めたいと思っております。皆様方おっしゃっているとおり、今、ワクチン接種に全力を尽くすというのは、全ての人たちが同じ考えだと思います。個人的にも、本当に1週間で何百人という、今まで土日も使って接種しております。同じように尽力されている先生も各地域でたくさんおられるので、急速に接種率が上がっており、今後、1日100万件ということも、非現実的な数字ではなくなるのではないかなと思っています。
 そういった中で、これから企業内接種ということも進んでいくと思いますけれども、先ほどからございますように、接種というのは必ずしも打ち手だけではなくて、受け付けをして、しっかりと問診をして、さらに薬液の充塡をして、接種をして、その後に経過を観察するという、様々な方たちが関わって進みます。 今の平井知事のお話で、自治体による接種のスキーム作りと実行について、大変御苦労されておられることと思いますけれども、企業に比べれば比較的に慣れておられるということで、企業では、単に打ち手の医師や看護職員だけを探すということではなくて、幅広くチームで接種体制をつくるということを意識していただきたいと思っております。
 冒頭、加納委員から、そんなに打ち手がいないのかというお話もございました。今、平井知事からは、打ち手に限らず不足があるというお話もございましたけれども、我々、現場からすると、例えばここにも医師がいる、ここにも看護師がいるというのに、事務局からもマッチングというお答えがありましたけれども、これまではマッチングが機能していなかったと思われます。厚労省が「医療のお仕事Key-Net」という新型コロナウイルス感染症拡大を契機に開設した求人情報サイトに、三千数百名の医師が手を挙げております。あるいは日本医師会にも女性医師バンクという女性医師のための無料職業紹介事業がございまして、そこではあっという間に、800名も協力してもいいという女性医師が集まっております。しかしながら、どこからも協力要請が入ってこないとのことです。つまり、どこにどんな医師がいるのかということを、ほとんどの自治体の方がなかなか御存じないという状況です。
 これは自治体が悪いということを言っているわけでは決してないのですけれども、そういったマッチングシステムみたいなものについて、これを契機に、やはり厚労省のほうでしっかりとした周知方法や活用方法を考えていただくことが重要です。「医療のお仕事Key-Net」を作ったのは良いのですが、それをほとんど知らないというのが実態なのだと思います。自治体や企業内接種などで必要とする人材と、協力のために手を挙げている医師をはじめとした医療関係職種のみなさまと、何とかうまくつながるような仕組みを、これから早急に立ち上げて普及していただければありがたいと思っています。
 ちなみに、日本医師会は、女性医師支援センターというバンク事業をやっていますけれども、先ほど御紹介したように800名が手を挙げて下さっております。このことについて、たまたま東京都の担当の部長さんとお話をしたところ、都内の接種会場で、ぜひ活用させていただきたいということとなりまして、今はマッチングをしている最中であります。要するに、現状では、人を十分に活用できる体制になっていなかった、ということも御理解をいただければと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 安部委員、その後、井伊委員、どうぞ。
○安部委員 日本薬剤師会の安部でございます。
 東京都の場合は築地に大規模接種会場を設置して、6月8日から30日までの間、接種をやられるようであります。どんな仕組みでやっているのかなということでホームページなどを見てみますと、今回、派遣可能にしたことによって、この築地会場の例においても、紹介予定以外の派遣の臨時雇用という形で、民間の派遣会社が看護師の確保の役割を担っているというようなことになっているようであります。そういった意味では、全国知事会や中核市長会の要請に基づいて、へき地以外、東京でもこういった派遣を可能にした意味があったと思っております。
 一方、今村先生がおっしゃったように、地域のそもそもの専門職、医師、歯科医師、薬剤師、看護師の方の協力、我々薬剤師の場合でありましたら、先日の検討会で、予診のサポート、ワクチンの溶解、充塡、接種後の経過観察などに尽力するということで整理がされたわけでありますけれども、地域の薬剤師会で、そういった会場での作業に依頼に対して手を挙げて参加することになります。
 そういった地域の中のマッチングというのが非常に重要です。こういった国難の中で、派遣ルールを変えて、看護師さんの供給をするということは有用であると思いますけれども、一方で、従来の人材というもののマッチングというものも非常に重要なことでございますので、市区町村の事業ということではありますけれども、国としてもそれをサポートしていただければと思っております。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 井伊委員、どうぞ。
○井伊委員 ありがとうございます。
 このワクチン接種会場への看護師派遣につきましては、私どもも、これは時限措置ということで理解をしております。
 そして、これまでも御発言いただきましたけれども、各都道府県看護協会では、既に潜在看護師の研修等々を相当数実施しております。つい先日も、東京都看護協会が400名、既に研修が終了したということで、しかしながら引き合いがない、マッチングがないということも併せて報道がなされたところです。ですので、そうしたことを厚生労働省からも、各市町村に、このナースセンターの活用等々、しっかりとさらなる周知をしていただければ、人材についてはもっと活用できる部分があるだろうと思っております。
 それから、もう一つ、先ほど佐保委員が御発言くださいましたけれども、潜在看護師の皆さんの中で、この研修に参加した方々の中には、これを機に復帰を考えているという方も少なからずいるということを都道府県看護協会ではつかんでおります。そこからさらに看護職として活躍できるつなぎになるような、何らかの御支援等々を一緒に考えていただければありがたいと思っております。
 7潜在看護師は70万人とも言われておりますけれども、どうやってこの人たちが職場に戻ってこられるかというのは、これからも課題だと思っておりますので、それも含めて、まずは周知をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 ほかに御発言はいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 よろしければ、これまでとさせていただきます。
 総務課長から。
○総務課長 ただいま、委員の皆様からいろいろな御意見を頂戴いたしました。
 特に、ワクチン接種における人材の確保についての全般的な御意見が多かったように感じました。
 私どもとしては、先ほどの説明でもございましたように、ワクチン接種というものがかなり一連の予診から接種、そして接種後の状態の確認と、行為、業務でございますので、その中で医療従事者がそれぞれの専門性を発揮して、全体として効果的で効率的で迅速な接種というものが進んでいただけるようにということをまず考えてございました。
 とりわけ人材の確保につきましては、実際には協力できると言っている方が多くいらっしゃる一方で、自治体のほうで求人が出ていないという課題もありましたので、Key-Netにせよ様々な活用できるツールにつきまして、国から自治体に周知を行っており、さらに人材が足りないというところに、総務省と一緒になって、サポートチームをつくりまして、個別に状況をお聞きして、実際にそのマッチングというところの支援というところまで行ってございます。
 私自身も、ある非常に接種が遅れている都道府県で、状況確認するために国立病院に確認させていただきましたが、コロナ病床を確保した上で、さらにワクチン接種についても協力していくと。全面的に協力していくということでございました。非常に心強く感じた次第でございます。恐らく様々な病院、医療機関、看護師の皆さん、そういうお気持ちを持っていらっしゃるということだと思います。
 ふだんのネットワークが、自治体と医療関係者の間でできている地域というのは、とりわけ取組が一歩進んでいるように感じます。そういう意味で、その地域全体の力というのが、こういうところで発揮されているとも感じております。
 申し上げたいのは、人材の確保、要請、そして、財政的な支援、個別の支援も含めて、国としてこのワクチン接種については、今、最も重要な課題と考えておりますので、全てのことを行ってまいりたいと思います。特例的ないろいろな措置も含めまして考えてきましたので、また、考えていきますので、引き続きよろしくお願いしたいと考えます。
 以上です。
○永井部会長 医政局長から説明があります。
○医政局長 時間も押しておりますが、いろいろ御意見をいただきました。ありがとうございました。
 重ねてですが、5月21日に改正法成立をしていただきました。これまでの様々な皆様方の御協力のたまものと思っております。改めて御礼申し上げたいと思っております。
 非常に多岐にわたる中で、幾つか重要な御指摘もいただいたので、限られた時間ですけれども、少し時間をいただいて私どもの受け止めをお伝えしたいと思っております。
現場の医療提供体制は、現に動いているものでございますので、全てを止めてオーバーホールというわけにはなかなかいきません。実際、医療計画は今も動いております。法改正を受けて、この施行に向けて、冒頭御紹介しましたが、様々な検討をさらに続けていくことが求められておりますので、その点についてぜひ御協力をいただきたいと思っております。それは次の第8期の医療計画につなぐ作業であり、かつ、働き方改革をはじめとした工夫、様々御指摘いただいたことを実現するためにどうしても必要なプロセスですので、その点について重ねて、本日御指摘をいただいた点はしっかり受け止めさせていただいて、それぞれの検討で反映させていただきたいと思っております。
 大きく2点ほどコメントさせていただこうと思っています。
1つは、相澤先生が御指摘の、かかりつけ医機能、外来の関係、これはほかの方も御指摘がありましたけれども、しっかり議論すべきであるという話でございます。おっしゃるとおり、そのとおりだろうと受け止めております。
 特に、在宅の取り扱いについての御指摘がありました。これは昨年度の議論のときに、私も追加でお話をさせていただいたつもりなのですが、形としては入院、それから、入院外の中に、特に通っていただく通院の部分を外来と俗に呼びますけれども、居宅に訪問して診療するわけですので、これは外来というよりも別のカテゴリーだろうと思いますが、それらを含めて提供体制でございますので、在宅の医療の計画も含めて、これは医療計画に入ってございます。
 そして、それをしっかり担っておられるのはかかりつけ医であり、かかりつけ医機能だというのは御指摘のとおりだと思いますので、そこの点はしっかり議論させていただきたいと思っております。
 それから、もう一つ、これは非常に多くの方、そもそも原点に返るべきとか、それから抜本的な議論をすべきであるというお話をいただいております。御指摘の点は本当に重く受け止めて、しっかりやりたいと思っております。
 重ねてですが、医療は、体制全体、常に動きながらやる話でございますので、全てを止めてゼロからということよりも、原点を意識しつつ、しっかり議論させていただきたいと思っております。
 その際、重要なのが、これも重ねての御指摘ですが、データに基づくというお話ございました。既存のデータもしっかり活用する、それから、場合によっては、御協力いただいた新たなデータも少し分析をしてみる。こういったことは非常に重要だと思っております。
 これはもともと永井部会長が、常々エビデンスに基づく議論が重要だという御指摘そのものと思いますので、その点について、なかなか概念がしっかり定まっていないものはデータを取るというのも、鶏と卵ですので難しいところあるのですが、そのあたりは少し御議論いただきながら、重ねてですけれども、今日いただいた御意見を踏まえて、第8期の医療計画策定に向けて新たな区切りとして、今後の御協力をぜひ賜りたいと思っております。
 重ねて、これまでの様々な御指摘をありがとうございます。そして、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、事務局から連絡事項等をお願いします。
○総務課長 それでは、事務的な連絡でございます。
 本日、一般傍聴の制限をしてございますので、議事録につきまして、可能な限り速やかに公表できるように、事務局としても校正作業を進めてまいります。
 委員の皆様方におかれましても、御多忙中とは存じますが、御協力いただきますようお願いを申し上げます。
○医療政策企画官 次回の医療部会の日程につきましては、決まり次第、また御連絡させていただきます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、本日はここまでとさせていただきます。
 お忙しいところ、ありがとうございました。
 

(了)

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