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2020年12月25日 第77回医療部会

医政局総務課

○日時

令和2年12月25日(金)13:00~15:00

 

○場所   AP新橋 3階 Aルーム


○議事



○医療政策企画官 お時間になりましたので、ただいまから第77回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。
委員の皆様方におかれましては、お忙しいところ御出席くださいまして誠にありがとうございます。
本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。
会議中、御発言の際は、手を挙げるボタンをクリックし、部会長の指名を受けてからマイクのミュートを解除して御発言いただきますようお願いいたします。
御発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただきますようお願いします。
また、議題に賛同いただく際には、反応をクリックした上で賛成ボタンをクリック、またはカメラに向かってうなずいていただくことで、いわゆる異議なしの旨を確認させていただきます。
本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は、医療部会の総委員数24名、全ての皆様が御出席となりますので、定足数に達しています。
議題に入ります前に、資料の確認をさせていただきます。
議事次第、委員名簿、座席表、資料1から資料5、参考資料の1-1と参考資料1-2を送付させていただいておりますので、お手元に御準備いただければと思います。
以降の進行は、永井部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 それでは、よろしくお願いいたします。
初めに、本日は新型コロナウイルスによる感染拡大防止のために、傍聴は報道関係者のみとしておりますので御承知おきいただきたいと思います。
また、本日は限られた時間の中で、いつもよりも多い5つの議題について議論を行います。御発言は、要点をまとめていただきたくお願いいたします。
それでは、議題に入ります。議題の1及び2については、法改正にもつながる議題でございます。それぞれ関連する検討会で議論を行い、一定の取りまとめがなされたとのことでございますので、それぞれ事務局から御報告いただき、意見交換をお願いしたいと思います。
まず、議題1の資料1-1でございます。本年8月24日の本部会の議論を踏まえ、医療計画の見直し等に関する検討会、あるいはその下に置かれた地域医療構想に関するワーキンググループにおいて、新型コロナウイルス感染症対応を踏まえた今後の医療提供体制について議論が進められ、去る12月15日に報告書が取りまとめられております。本報告書の内容について、事務局から説明をお願いいたします。
○地域医療計画課長 それでは、地域医療計画課長でございます。資料1-1を基に御説明させていただきます。また、参考資料1-1もございますので、併せて見ていただければと思います。
先ほど会長から御説明がありましたとおり、医療計画の見直し検討会及び地域医療構想ワーキンググループにおきまして、今般の新型コロナウイルス感染症対策の位置づけについて検討したところでございます。
まず、資料1-1を開けていただきまして1ページ目、「はじめに」とございますが、ここはこれまでの経緯を掲載しているところでございますので割愛させていただきます。
資料の2ページは今回の新型コロナウイルス感染症の対応の状況でございますが、初めの○にありますとおり、当初は当該感染症の対応に関する知見がなかったということで、医療提供体制に大きな負荷がかかっていたということ。
それから、次の○にありますが、また感染拡大時により患者数が増加した段階におきましても、当該感染症の重症化リスクの感染拡大の防止等々から、一般病床の活用による対応が必要な状況となり、入院医療に大きな影響を及ぼしてきたということ。具体的には、一般病床を活用した感染症患者への対応、それからゾーニング、院内感染防止対策、マンパワーの確保等々が行われてきたというところでございまして、感染症の受入れ体制の構築を弾力的に行うための知見も明らかになってきたところでございます。
それを踏まえまして3番にありますが、新興感染症等の感染拡大時におけます体制の確保ということで、まず(1)にございます「医療計画上の位置付け」ということでございますが、○の1番にありますけれども、今般の知見を踏まえますと、やはり基本的な事項についてあらかじめ地域の行政、医療関係者の間で議論し、必要な準備を行うことが重要ではないかということになっております。
続きまして、3ページを御覧いただいて次の○のところでございますが、こうした現状と課題を踏まえますと、広く一般の医療提供体制にも大きな影響を及ぼす新興感染症等の感染拡大時における医療について、医療計画の記載事項として位置づけるのが適当と考えられるという結論を得ているところでございます。
また、今回の記載事項の追加でございますけれども、次の○の後段のほうにありますが、災害医療と類似していることから、いわゆる5事業に追加することが適当であると考えられると結語されているところでございます。
続きまして、4ページでございます。(2)にございます「「新興感染症等の感染拡大時における医療」に関する記載項目(イメージ)」ということでございますが、これにつきましては大きく2つの観点からということで、1つは【平時からの取組に必要な観点】ということ、例えば●にあるような「感染拡大に対応可能な医療機関・病床の確保」ですとか専門人材の確保等々について平時から行うようなものを具体的検討の記載事項に書くべきというような取りまとめ。
それから、5ページにありますけれども、【感染拡大時の取組に必要な観点】ということで、「個々の医療機関における取組の基本的考え方」ですとか、「医療機関間の連携・役割分担の基本的考え方」等におきまして、あらかじめ記載事項として例示をさせていただいているところでございます。
それから、5ページの(3)の「医療計画の推進体制等」でございますが、医療計画の推進体制につきましては医療計画の中に入れるということがございますので、都道府県の医療審議会の意見を聞かなければならない等、こういった体制で円滑に進めていくことが重要ではないかということで言われております。
また、6ページにありますが、【圏域設定の考え方】につきましても、5疾病・5事業及び在宅のそれぞれに係る医療提供体制を構築する際の圏域につきましては、従来の二次医療圏にこだわらず患者の移動状況、それから地域の医療資源等の実情に応じて弾力的に設定されることが必要ではないかということ。
それから、次の○にありますが、またこういった患者の受診の仕方など、住民による理解が求められるということもございますので、住民に対する周知・普及の観点も重要ということでまとまっているところでございます。
それから、6ページの下にあります4番は「今後の地域医療構想に関する考え方・進め方」でございます。
(1)は「地域医療構想と感染拡大時の取組との関係」でございますが、次の○にありますけれども、新型コロナウイルス感染症の対応が続く中ではありますが、この間も人口減少、高齢化は着実に進む。それからまた、医療ニーズの質・量は徐々に変化することも変わっていかないということ等々を踏まえますと、次の7ページの一番上にありますが、地域医療構想の背景となる中長期的な状況の見通しは変わっていないということ。
それから、次の次の○になりますが、こうしたことから感染拡大時の短期的な医療需要につきましては「医療計画」に基づき機動的に対応することを前提に、地域医療構想につきましてはその基本的な枠組み、いわゆる病床の必要量の推計ですとか考え方などは維持しつつ、引き続き着実に進めていく必要があるということで取りまとめを行っているところでございます。
大きく2番目、(2)の「地域医療構想の実現に向けた今後の取組」というところでございます。これにつきましては、今後地域医療構想の実現に向けて以下の取組を着実に進めていくということで、まず1つは【各医療機関、地域医療構想調整会議における議論】、これにつきましては引き続き議論を活性化するようなことをやっていく。
それから、【国における支援】といたしまして、これまでも行っておりますいわゆる議論の活性化に資するデータ・知見の提供ですとか、「重点支援区域」の選定、それから医療機能の分化・連携に向けた議論・合意に基づく取組に関しまして、令和2年度に創設しました「病床機能再編支援制度」につきましても令和3年度以降、引き続き消費税財源を充当するための法改正を行いまして病床の再編を支援していくこと。
それから、4つ目の●でありますが、こういった再編をするということになりますと、8ページの一番上になりますけれども、資産の取得を行った際の税制の在り方についても今後検討していく。そういったことも、引き続きやっていくべきだということでまとまっているところでございます。
大きく(3)になりますが、「地域医療構想の実現に向けた今後の工程」でございます。この工程につきましては、2番目の○にありますけれども、こうした状況を踏まえまして厚生労働省におきましては各地域の検討状況を適時・適切に把握しつつ、自主的に検討・取組を進めている医療機関や地域についてはそれを支援するとともに、新型コロナウイルス感染症の対応状況に配慮しつつ、都道府県等とも協議を行いながら、この冬の感染状況を見ながら改めて具体的な工程について検討することが適当であるということが取りまとめられたところでございます。
次の9ページですけれども、「その他」といたしまして、まだ構想につきましては課題がございますので、そういったものにつきましても引き続き検討をしていくということ。
それから、2025年まで残すところ5年を切ったということがありますので、2025年以降を見据えた枠組みについても、今後議論を進めていく必要があるということで今回報告書が取りまとまったところでございます。
以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
それでは、御質問、御意見をお願いいたします。
遠藤委員、お願いします。
○遠藤委員 地域医療構想の実現に向けた今後の工程に関して、これまで全国町村会としては、新型コロナウイルス感染症の対応を踏まえ再検証期限の設定について特段の配慮を求めてきたところであります。
今回、資料1-1の8ページに、「改めて具体的な工程の設定について検討することが適当と考えられる」と記載されているとおり、引き続き、国と地方が丁寧な議論を行えるよう、望むところであります。
○永井部会長 続いて安部委員、その後、久喜委員からお願いします。
○安部委員 安部でございます。御指名ありがとうございます。
5ページに【感染拡大時の取組に必要な観点】として、地域における外来体制の基本的な考え方という項目が示されております。感染者の拡大によって必要な病床が不足するなどの状況になってしまうと、おのずと地域の外来医療での対応が求められますので、これは必須な項目だと考えております。
その際、薬局、薬剤師は地域で医薬品の供給等の役割を担うことになるわけですが、状況に応じて適時な対応を実行するためには、あらかじめ行政や医療機関と意思疎通や連携ができる体制整備をしておくことが必要となります。
そのために1つお願いでありますけれども、医政局もしくは地域医療計画課において、今後医療計画上の外来体制の基本的な考え方について、医療計画見直し検討会において具体的な施策の検討をするわけでありますが、その際に必要に応じて医薬生活衛生局のしかるべき担当者を参加させるなど、局間の齟齬が起きないようにしっかりと省内で連携をしていただきたいと思っております。
以上、要望であります。
○永井部会長 久喜委員、どうぞ。
○久喜委員 御指名ありがとうございます。
この資料を拝見いたしまして、特に7ページの地域医療構想についてはその基本的な枠組み等々を維持しつつということが記載されているのですが、先日も全国市長会の地域医療会議が開催されまして、そこで皆さんが意見をいろいろ出された中で、この地域医療構想はやはりコロナの感染拡大というところにおいて地域医療は今、病院を再編していくということは大きな問題があるのではないか。特に、地域においてはそれぞれの病院でコロナ対応等々を公的機関等と行っているわけですから、今はまずコロナを優先する。その内容も書いてありますけれども、そういう意味でこの医療構想を進めるということ自体は、私ども市長会のほうとしても地域医療崩壊を加速させるおそれがあるのではないかということで大変懸念しております。
ですから、今後コロナ禍が収束するまでは少し停止するほうが望ましいのではないかという意見も出されており、委員の市長会のほうでも共通認識となりました。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
平井委員、佐保委員、井上委員の順番にお願いします。
平井委員、どうぞ。
○平井委員 ありがとうございます。
永井部会長様、または田中代理様をはじめ、先生方の日頃の御指導に感謝申し上げたいと思いますし、永井学長におかれましては私どもの地域の医療を自治医大のほうで支えていただいておりますことに心から感謝を申し上げたいと思います。
今も久喜委員のほうからお話がございましたが、今、地域医療は非常に逼迫した状況にあります。昨日も、東京で888という陽性者が出た。全国では、3,700を超えています。年末年始、どういうふうにこれを乗り越えていったらいいのか。我々は、最前線で本当に毎日寝られないような状況でございます。
その中核を支えているのが地域の公的、あるいは公立の病院でございまして、それ以外のところは正直なかなかコロナ患者の受入れというのは難しいというのが一般的な状況であります。
この時期に、地域医療構想ということを進めることがあるにせよ、かつて言われていたような再編整理みたいな議論というのは全く本末転倒であります。ぜひここは立ち止まっていただき、コロナが収束するまで皆様のお力をいただいて、ぜひ大きな見地で見守っていただく必要があるのではないか。
私たちは、実は今、年末年始に向けて病床の確保をしようと一生懸命なわけであります。その病床の確保をしようとしている相手方の病院の皆様に、再編整理の話を持ちかける、あるいは調整するなどということは全くナンセンスであります。
ですから、そういう意味で今これについては時期を見極めていこうと、進度調整を図ろうという方向が出てきまして、迫井局長をはじめ厚労省の考え方に私どもは評価したいと思いますが、ぜひここはよくお考えをいただきたいと思います。
また、併せまして外来診療についてでありますが、これも永井先生もよく御案内のように、例えば自治医大の卒業生が行かれるような地方の中山間地の病院などに行きますと、これは入院もありますけれども、最初のかかりつけのお医者さん的な要素もあるわけですね。ですから、単純になかなか割り切れないという実情があります。
方向性としては、こういうことで役割分担の機能を果たしながら医療全体の高度化と効率化を図ろうということには賛成をするものでありますけれども、具体的にどういうふうに適用していくのかにつきましては現場の状況、地域の状況にしっかりと寄り添った対応が必要だと思います。ですから、運用においては十分に御注意をいただく必要があるのではないかと考えているところであります。
実は、この後、私は県のほうのコロナ対策本部が開催をされますので中座することをお許しいただきたいと思います。そういう意味で、今後の議題につきましても若干だけコメントして失礼をさせていただきたいと思います。
医師の働き方改革については、これはお進めをいただくこと、実際にこうした志を持った医療従事者にとって重要なことであります。それについては評価をしますし、進めていただくことについて異論はございません。
ただ、現場の病院が人材確保に困るようなことにはしていただきたくない。この辺をよく御注意いただければありがたいと思います。いろいろと知恵を出して、医師の働き方改革と、それから現場における医師の確保と、両立が図られるようにお願いを申し上げたいと思います。
また、今日報告をされる中でマンモグラフィの件がありました。これにつきましては、地方分権の課題として申し上げていたことを取り上げていただき、感謝申し上げたいと思います。今、検診で一般的になっていますマンモグラフィのようなものにつきましては、必ずしも医師の立会いはなくてもよいのではないか。これがむしろ乳がんの発見につながるわけであります。この点につきましては、評価をいたしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
○永井部会長 ありがとうございました。
それでは、佐保委員、井上委員、その後、河本委員お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。
新興感染症等の感染拡大時を想定して、平時から準備しておくことは必要であり、そのため地域の行政、医療関係者間で議論し、連携をとっておくことは重要だと考えております。
病床の確保も大事ですが、携わる人材がいなければ患者への対応ができないと思っております。地域の診療所も含め、幅広く医療機関の間でどう対応するのか、それぞれの地域や都道府県での議論と取組が大切だと考えております。
また、感染が落ち着いている都道府県から感染拡大都道府県への派遣といった都道府県間での連携について現在も行われていますが、その課題の検証を含めて議論が必要と考えます。
地方では、公立・公的医療機関が新型コロナウイルス感染症患者の受入れ、治療に当たっている状況を踏まえた医療提供体制の議論も必要であると考えます。今回の新型コロナウイルス感染症で、医療提供体制の課題が改めて浮彫りになったと思っております。人口減少、少子超高齢社会の中で、様々な垣根を超えて今後の医療提供体制をどう構築するか、大きな議論、取組が必要と考えます。
なお、人材確保のためには医療従事者の処遇改善や働き方改革など、働きやすい職場作りが重要であるということは言うまでもないと思っております。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
それでは、井上委員どうぞ。
○井上委員 ありがとうございます。
まず、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に関しまして、医療関係者の皆様、厚労省の皆様方の御尽力に、心より敬意を表したいと思います。
足元の感染拡大を何としてでも防ぐべく、昨日経団連の会合におきましても菅総理、田村大臣、西村大臣からも、本日午前中は小池都知事からも、静かな年末年始につきまして直接の御要請がありました。経済界としても、さらなる徹底を呼びかけてまいりたいと思います。
その上で、資料1-1につきまして意見を申し上げます。
今後、人口動態が大きく変化する中で、限られた医療資源をいかに効率的に活用していくかが非常に重要となってまいります。今回、2025年に向けた地域医療構想につきまして、病床の必要量の考え方など、基本的な枠組みを維持しつつ、着実に取組を進めていく方針が示されたことを評価するとともに、着実に進展をさせていただきたいと期待しております。
また、新興感染症等の感染拡大時における体制確保でございますけれども、これも同様に医療の資源の最適活用を図る必要があると思います。その手段の1つとして、有事の際に自治体を超えて迅速に病床を確保すること、あらかじめ医療機関間の役割や調整の方法を整理していくことが必要でございます。
圏域につきましては、従来の二次医療圏にこだわらず弾力的に設定と記載されておりますけれども、とりわけ大都市圏等におきましては都府県を超えた連携も念頭に置く必要があるかと思います。
その際、重要となってまいりますのは、感染症の拡大につきましてリアルタイムで情報共有するということだと思いますので、このあたりにつきましても対応をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
では、河本委員、続いて神野委員お願いします。
○河本委員 ありがとうございます。
現在、新型コロナの感染が拡大しているという厳しい状況にはございますけれども、今後も人口構造の変化、そういった構造的な問題は変わらないわけでございまして、地域医療構想の枠組みを維持して引き続き着実に推進していくべきであると考えております。今回、こうした認識が確認された意義は大きいと考えております。
また、地域医療構想の具体的な工程の明示が見送られたのは、現在の状況下ではやむを得ない面もございますけれども、やはり残念でございます。厚労省においては、重点支援区域をはじめ、自主的な検討、取組を行っている都道府県や構想区域への支援を継続していただくとともに、具体的な工程の検討については今後の感染状況を見ながら適宜再開をしていただきたいと考えております。
また、繰り返しになりますが、中長期の人口構造の変化は変わらないという点ですとか、また第8次医療計画の策定も見据えて、2022年度中を目途に地域医療構想の実現に向けた地域の議論が進められることが重要と明示していただいておりますが、この点については、評価したいと思います。
以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
それでは、神野委員お願いします。
○神野委員 神野です。今、河本委員からもお話があったように、人口構造の変化という大きなお荷物を抱えながら私たちコロナという大きな嵐の中にいるわけであります。そういった意味では行政、医療関係、それから国民、皆さんで一致した行動が必要なのかなと思います。その中で、地域医療計画の中の6事業目としてこの感染症対策が入ることを評価いたします。
ただ、感染症対策が地域医療計画に入った以上は、診療報酬の枠とは別の念のための病床、あるいはPPE等についてやはりきちんと計画を作っていくことが必要ではないかと思います。
もう一点だけ、先ほど来、コロナ対策で公立・公的病院という話がございましたけれども、実際に厚生労働省の地域医療構想に関するワーキンググループの資料を拝見いたしますと、実際に受け入れている病院は公立、公的、民間、同じ数のコロナ感染症患者を受け入れているということで、ここだけミスリーディングがないように申し上げたいと思います。
以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
加納委員、お願いします。
○加納委員 ありがとうございます。
先ほど神野委員からもおっしゃっていただいたのですが、実際に受け入れているのは公的や公立ばかりではなくて、民間もかなり主体的に動いていることの認識をぜひともお願いしたいのと、逆にコロナは受けていないが地域医療を守っている点があります。例えば二次救急等ですね。コロナの対象患者数というのは、救急車の台数でいきますと10台中1台くらいの割合で、残りの9台は普段の通常の救急なんです。コロナは受けていないが、地域医療をしっかり守っているのは民間病院が主体ということなので、大都会では頑張って救急を担っていますので、その点の評価もぜひとも考えていただいて、感染症に対する根本的な仕組みを考えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○永井部会長 ありがとうございます。ほかによろしいでしょうか。
島崎委員、どうぞ。
○島崎委員 今回、新興感染症等の感染拡大時における医療を5事業に追加をするということについては、私を含めておそらく誰も異存はないと思います。
ただ、具体的に何を盛り込むのかということがより重要になってくると思います。この検討については、医療計画の中に盛り込むということであれば、医療計画の見直し等に関する検討会で基本的に議論が行われると思います。もちろんこの検討会には見識の高い立派な先生方が構成員として入っていらっしゃるのは重々承知していますが、内容的には災害医療と似た面もありますし、それから救急医療との関係の議論を欠かすことはできませんので、救急・災害医療の検討会とも緊密な連携をとって進めることが必要なのではないかと思います。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。ほかによろしいでしょうか。
よろしければ、今の問題はここまでとさせていただきます。本報告書を踏まえて、医療計画の記載事項追加、あるいは地域医療構想の推進に向けた支援策の充実など、法改正が必要となる内容があるということでございますので、厚生労働省におかれましては必要な法案化の作業を進めていただければと思います。
では、次に資料の1-2にまいります。「外来機能の明確化・連携、かかりつけ医機能の強化等に関する報告書」について説明をお願いいたします。
○総務課長 医政局総務課長でございます。
まず、委員の皆様方におかれましては、現在、新型コロナ感染症の拡大で多かれ少なかれいろいろな影響があると思いますが、これまでの活動に感謝を申し上げたいと思います。
私からは、外来機能の明確化・連携、そしてかかりつけ医機能の強化ということでございます。
資料は部会長もおっしゃられましたように、資料1-2が報告書でございます。加えまして、便宜上、私からは参考資料1-2を基に御報告したいと思います。参考資料1-2、一番後ろについていると思いますが、御確認いただければと思います。それに併せて、資料1-2をお手元に御用意いただければと考えます。
参考資料1-2の1ページにその報告書、12月11日医療計画の見直し等に関する検討会におきまして取りまとめられたものが記載されてございます。この中では、主要議題として外来機能の明確化・連携ということを議論させていただきました。
そこに(現状及び課題)というところがございますが、キーワードで申し上げますと人口減少、高齢化、さらには外来医療の高度化が進展しているということでありますし、あるいは2つ目の○にありますように高齢化の進展によってかかりつけ医機能の強化ということがますます課題になっているという認識でございます。
その上で3つ目の○にございますように、患者さんが医療機関を選択するに当たりまして、外来機能について情報が十分得られているという状況とは言えない。そして、患者にいわゆる大病院志向がある中で、患者の紹介・逆紹介が十分進んでいないこと等により、一定の医療機関の外来患者が多くなって患者の待ち時間や勤務医の外来負担といったような課題が生じているということでございました。
これまで医療関係者の自主的な取組で進められてきたものではございますが、地域によっては取組が進んでいないところもございまして、これをさらに進めていくことが重要であるという認識でございます。
具体的にはどういうことかということで、方策・取組でございます。
「(1)全体の枠組み」といたしまして、まず紹介患者を基本とする外来として「医療資源を重点的に活用する外来」、これは仮称でございますが、こういったものに着目して議論をしていこうということでございます。
具体的には2つ目の○にございますように、各医療機関から都道府県に医療資源を重点的に活用する外来に関する医療機能を報告いただく。その報告を踏まえまして、地域における協議の場で必要な調整を行う。
こうしまして3つ目の○にありますように、この「医療資源を重点的に活用する外来」というものを地域で基幹的に担う医療機関を明確化する。それによって、患者の流れがより円滑になり、病院の待ち時間の短縮、あるいは勤務医の外来負担への軽減、さらには医師働き方改革に資することが期待されるということでございます。
この「医療資源を重点的に活用する外来」というものにつきましては、(2)の1から3、例えばということで以下の機能があり、その上で具体的にはさらに検討していくとされているものでございますが、1番は「医療資源を重点的に活用する入院の前後の外来」、2番は「高額等の医療機器・設備を必要とする外来」、3番は「特定の領域に特化した機能を有する外来」、いわばこれらは紹介患者に対する外来ということであろうということでございます。
なお、その次の○にございますが、この呼称につきましては今後国民の理解が得られるように、国民の目線での分かりやすさという観点からさらに検討するというふうにまとめられてございます。
次のページを御確認ください。具体的に報告をいただくということでございますが、「外来機能報告」、これも仮称ではございますけれども、2つ目の○にございますように、今、病床機能報告というものがございます。それに合わせまして外来についても報告をいただこうということで、報告いただく対象医療機関としては病院、それから有床診療所、そして無床診療所については任意という形でございます。
(4)に「地域における協議の仕組み」としてまとめてございます。こうして医療資源を重点的に活用する外来というものを抽出し、さらにそれを地域で基幹的に担う医療機関を明確化するということ、その方法として上記の外来機能報告という中で医療機関に御報告いただく。すなわち、これは医療機関による手挙げが出発点であるということでございます。
その上で、その次の○にありますように、先ほど1から3というものを示しましたが、それらの割合等を国が基準として一定程度示しまして、それを参考に地域の協議の場で確認をいただくということで、地域の実情を踏まえた仕組みにしようというものでございます。
加えまして2番にありますが、外来機能の議論に加えましてかかりつけ機能の強化、それから多職種の役割、さらには国民の理解の促進ということも重要な課題でございます。
「かかりつけ医機能の強化」につきましては幾つか書いてございますが、事例の調査研究、好事例の横展開、実践事例の国民への周知といったものを掲げてございます。
「外来医療における多職種の役割」、これも極めて重要でございまして、多職種が連携してそれぞれの専門性を発揮する。そのために、チームとしての役割・連携を推進していくということでございます。
さらには(3)にございますように、「外来医療のかかり方に関する国民の理解の推進」、すなわち周知・啓発等を図っていくということでございます。
以上、報告書の概要でございますが、参考までに医療保険制度における取扱いを共有させていただきたいと思います。同じ参考資料の6ページに進んでいただければと思います。
6ページにございますのは、定額負担の対象病院の拡大という資料でありまして、これは医療保険部会のほうで議論されているものでございます。これまで皆様御案内かと思いますけれども、特定機能病院、そして200床以上の地域医療支援病院につきましては、紹介状なしでかかった場合の義務的定額負担の対象となってございます。これにつきまして、200床以上のその他の病院に拡大をしていくという議論が医療保険部会においてなされてございました。
その中で今、議論されていることといたしましては、私どものほうで外来機能の連携、明確化というものを考えているわけでございますが、そうした集約物としての医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関、これらは紹介患者への外来を基本とする医療機関として、こうした医療機関のうちの200床以上に今、申し上げたような定額負担の対象を拡大していくという議論がされているということを紹介させていただきます。
他方、私ども当医療部会、あるいはその下におけます検討会における議論は、あくまでも外来の在り方という機能面での御議論をいただいて、その面から取りまとめをいただいたということを申し添えたいと考えます。
資料についての説明は、以上でございます。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 ありがとうございます。
それでは、御質問、御意見をお願いいたします。
山口委員、どうぞ。
○山口委員 ありがとうございます。山口でございます。
今の資料1-2で御説明いただいた6ページの次のところについてお聞きしたいと思います。
特定機能病院と現在は200床以上の地域医療支援病院に紹介状を持たずに初診で行った場合の特別料金ということを、今回定額負担と記載されて、先ほどのご説明でもそう表現されました。しかし、これは最低料金を示されているのであって、例えば今5,000円のところもあれば1万円のところもあるということを考えると、定額負担という言い方は誤解を招くのではないかと思います。表現がちょっと異なるのではないかということがまず1つです。
そして、医療保険部会で話し合われたということで、次の7ページのところにどのような変化が起きてくるのかという図が書いてございます。私のようなこういう会議に数多く出ている立場ですら、このポンチ絵を見て意味が理解できなかったんです。これは、今後、選定療養ということで少し拡大をして最低額を一定の金額以上にして増額していくということのようですが、この分かりにくい仕組みをどのような形で国民に説明していくのか。その説明の在り方ということが、説明を受けても分かりにくいと思うんですけれども、どういう場で、どういう人を介して、どんな説明をしていくのか。今もし予定されていることがあれば教えていただきたいということと、分かりやすく説明できるのかどうかということも含めてですけれども、話し合われた結果があれば御説明いただきたいと思います。
以上です。
○永井部会長 いかがでしょうか。
○保険課長 保険局保険課長でございます。御指摘ありがとうございます。
まず、定額負担という名称でございますけれども、参考資料の7ページ目のところにありますように、通常医療保険の場合はかかった医療費について定率の患者負担があるということの対比で定額負担という名称にしてございますけれども、御指摘のとおり、この額については病院によってまちまちでございますので、そういった点も踏まえまして分かりやすい呼称などについてもよく検討していきたいと考えてございます。
また、この仕組み自体が分かりにくいのではないかという御指摘もいただきましたが、医療保険部会におきましてもこの仕組み自体は、本来は7ページの図の中にも書いておりますけれども、日常的な診療については身近な医療機関で受け、そして必要に応じて紹介を受けて他の医療機関を受診し、また逆紹介によって戻る。こういった流れを円滑にするための仕組みであるということをしっかりと周知していくべきであるということも、医療保険部会の中で御指摘をいただきました。
この具体的な仕組みについては、今後中医協の中でしっかりと具体化に向けて検討していくことになりますので、国民に分かりやすい周知の方法も含めましてよく検討していきたいと考えているところでございます。
○山口委員 国民に対して外来のかかり方を説明していくときに併せて、もしそのとおり紹介状を持っていかなかったらどういうことになるのかということも分かりやすくしていただきたい。今までのほうがまだ分かりやすかったので、分かりやすくということをぜひお願いしたいと思います。
○永井部会長 ありがとうございます。
たくさん手が挙がっていますが、今村委員、野村委員、井上委員の順番でまずお願いします。
では、今村委員どうぞ。
○今村委員 ありがとうございます。今村でございます。
参考資料1-2の下にあります(2)の「医療資源を重点的に活用する外来」ですけれども、そこに※で、「(2)~(4)において、「今後さらに検討」とした事項」、これは次のページにもあります「外来機能報告」であるとか「地域における協議の仕組み」も含んで、今後地域医療の担い手も参加しながら患者の立場も考慮して専門的な検討の場において検討するという記載がございます。
このことは非常に重要なことだと思いますけれども、この部分につきまして、これは来年の2021年の初頭の通常国会に医療法等改正法案が提出されて、改正法が成立後、6月、7月に関係通知も発出され、都道府県で外来医療計画の見直しの検討等が2022年4月にスタートするというスケジュールでありますし、今後の診療報酬改定の時期ということを考えると非常にタイトな予定になると思われます。
この医療計画の見直しに関する検討会の報告を踏まえ、特に「医療資源を重点的に活用する外来」(仮称)の機能を検討するに当たりましては、拙速に結論を出すということがないように、慎重な議論をきちんと行えるように、ぜひとも厚生労働省にはお願い申し上げたいと思います。
要望です。以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
野村委員、井上委員、山崎委員の順でお願いします。
○野村委員 野村です。御指名ありがとうございます。
国民への理解という点で、私たち国民が医療を多く受ける時期というのは、乳幼児期や高齢者になる頃など、特別な慢性疾患等を持っていなければ小児科を卒業した後はなかなか少ないかと思います。
私自身も、また会に参加される20代から40代の保護者たちも、自分自身のかかりつけ医は持っていないとか、なかなか病院にかかることもない中で、健康診断とかで異常が見つかって初めてどこにかかろうかと悩むことが多いと思います。
そのため、若い世代のうちに学校での教育もそうなのですけれども、例えば子供を持つ保護者にはぜひ何度も小児科に子供を連れてくる中で、かかりつけ医とはこういうものなんだよとか、医療というのはこういうふうなんだよと、今の新型コロナの状況で日々変化している受診の仕方とかも含めて、医療資源を重点的に活用する外来とこういう診療所とは何が違うかとか、またこういう場で議論されて決まった制度などを啓発していくことも必要かと考えます。
大病院の専門性の高い外来と、町の診療所の役割の違いなどを、身をもって体験できる時期に啓発することも有効ではないかと思います。こうしたことというのは、なかなか今すぐ成果が出ることではないのですけれども、今の若い世代は後々の高齢者になっていくので、きっと今もたくさん啓発してくださっていると思うのですが、ぜひ今のうちから全ての人に届くような啓発を継続していただけたらと思います。よろしくお願いします。
○永井部会長 井上委員、どうぞ。
○井上委員 ありがとうございます。
今回の検討に基づきまして、今後「医療資源を重点的に活用する外来」(仮称)の基準につきまして国のほうで検討されるということになると思いますけれども、ぜひともこの報告書1ページから2ページの「現状及び課題」に示された項目を効率的に解決できるような基準を検討していただきたいと思います。
また、報告書の3ページの中に、この外来機能の明確化・連携の枠組みは一つの前進で、まさに取組の第一歩と書いてありますけれども、この取組状況を検証しながら引き続き改善を図っていただきたいと思います。
以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
山崎委員、河本委員、釜萢委員の順でお願いします。
では、山崎委員どうぞ。
○山崎委員 この件につきましては、かかりつけ医の議論は相当の回数をしているとは思うのですが、そもそもかかりつけ医というのは何をもってかかりつけ医とするのかという定義が全く決まっていないわけです。
例えば、私たち高齢者はいろんな病気を持っているわけです。血圧は高いし、足は痛いし、眼科にもかかるし、背中がかゆければ皮膚科にもかかるわけです。そうすると、1人の高齢者が内科のかかりつけ医、整形外科のかかりつけ医、眼科のかかりつけ医、皮膚科のかかりつけ医というのを全部作るという話なんですか。それとも、イギリスのGPのように地域でその患者さんをトリアージするような機能を持った、一般的にその患者さんを判断できるものを作って、これからそういう人をかかりつけ医とするという議論なのかがはっきりしない。
もう一つは、高齢者が一番困るのは、準夜、深夜帯に急変したときなんです。準夜、深夜帯で急変して救急車がすぐに来てくれれば良いですが、救急車が来ない場合はどうしようもないでしょう。そうすると、結局昔みたいにかかりつけ医の先生のところに行って電話をするなり、玄関をたたけば先生が出てきて診療をしてくれるというイメージがかかりつけ医だと思うんです。
ところが、現在の医療提供体制というのは診療所と自宅が離れている事が多く、9時-5時診療所で診療している先生が多くなっています、ここでかかりつけ医の議論をするのであれば、昔の何でも屋のような先生をどう作るかという話なのか、地域でどのような役割を果たす先生を作るのかという議論になるかと思います。
もう一つ、精神科関連で言わせてもらえば、精神科の救急をしていると心療内科の患者さんが夜に来るんです。心療内科の先生は大体ビル診なので、午後6時から次の日の9時までは患者さんと全然接触しないわけです。そうすると、1日分の薬をくれと言って真夜中の1時頃病院に現れるわけですが、この時点で患者さんの情報が全く分からない状態で我々精神科の病院というのは救急対応しなければいけないわけです。そういうふうな余計な苦労をしなくてもいいような制度というか、そういう情報の交換ができるようなものをきちんと作らないと、かかりつけ医の議論と患者情報をどうやって共有できるシステムを作るかというのは同時並行に考えていかなければいけないかと思います。
○永井部会長 ありがとうございます。
では、河本委員お願いします。
○河本委員 ありがとうございます。
まず、今回の報告書の内容については、かかりつけ医機能を含めて外来機能の在るべき姿を議論し、医療資源の効率的な活用につなげていくための新たな一歩として、一定の評価をしております。
ただ、重点外来については、今後、国が示す基準を参考にしつつ、手挙げ方式により調整会議での協議、確認を経て決定されるということでございますけれども、この仕組みで重点外来がきちんと明確化されるのかというところについては、やや心配な点があると思っております。
例えば、基準に該当するものの、重点外来としては報告されなかったケースなど、調整会議の協議内容や結果を事務局で集積、分析していただいて、場合によっては必要な対応を検討するといったことも必要かと考えております。
それから、外来機能の分化という観点からは、かかりつけ医機能の強化というのも重要な課題であると認識をしております。検討会では、重点外来と比べてこのかかりつけ医機能に関する議論が必ずしも十分ではないのではないかという声も上がっていたと伺っております。「外来医療に関するデータの蓄積、分析を行って、その上でかかりつけ医機能を含めた外来機能の在り方を明らかにしていく」そういう方向性は理解いたしますけれども、一方で団塊の世代が全て後期高齢者となる2025年まで、残された期間は少ないということを捉えますと、NDB等の既存のデータの活用もして、できるだけ早くかかりつけ医機能を含めた外来の在り方を議論すべきだと考えております。
以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
それでは、釜萢委員、佐保委員、楠岡委員の順にお願いします。
釜萢委員、どうぞ。
○釜萢委員 釜萢です。ありがとうございます。
今後の医療法改正の審議や、医療保険部会、中医協で議論すべき内容は、選定療養の拡大は単に一般病床が200床以上の病院ということではなく、紹介患者への外来を基本とする医療機関として報告された医療機関のうちで、一般病床200床以上の病院であるとされるべきであります。
紹介患者への外来を基本とする医療機関は、あくまでも地域医療構想調整会議等の協議の場で関係者による協議の結果、医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担うとされた医療機関であるべきであります。紹介患者への外来を基本とする医療機関には、紹介外来だけではなく、状態が落ち着いたら逆紹介により再診患者を地域に戻す役割も担うべきであります。
以上、意見を申し上げます。
○永井部会長 ありがとうございます。
佐保委員、楠岡委員、相澤委員の順にお願いします。
○佐保委員 御説明ありがとうございます。
外来機能の明確化、連携、かかりつけ医機能の強化等に関しては、地域医療構想、医師の偏在対策、医療従事者の働き方改革の三位一体改革にもつながっていくものとして評価するとともに、今後制度がスタートした後はどういう効果があったか、どういう課題があったかについて検証することが重要と考えます。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
楠岡委員、お願いします。
○楠岡委員 楠岡です。この一連の入院、外来の機能の検討の流れの中で、まず入院機能については高度急性期のような割と漠とした概念の下で、病床数というような形で一通り整理がつき、外来機能に関しては医療資源というところに着目した区分けがなされているところです。けれども、この医療資源というのは当然のことながら入院でも外来でも共用される資源でありますので、そこに着目して十分な検討を行わないと齟齬を来たす可能性があるという点です。それから、そもそもこの考え方は地域包括ケアに基づいての考え方なので、外来機能の先には訪問診療とか、場合によっては介護まで含めた一連の総合的な調整が必要なのではないかと思います。
現在の議論ですと、入院機能、外来機能、ばらばらに議論していて、将来的な総括的なものに関してどのような形にするのかがまだ十分見えていないような気がいたしますので、ぜひその点の検討をお願いしたいと思います。
以上です。
○永井部会長 相澤委員、神野委員、加納委員の順にお願いします。
相澤委員、どうぞ。
○相澤委員 どうもありがとうございます。
まず1つ、最初にお聞きしたいことがございます。かかりつけ医機能というのは、医療機関の機能なのでしょうか。それとも、医師の機能なのでしょうか。厚労省の考えを教えてください。
○永井部会長 いかがでしょうか。
○総務課長 医政局総務課長でございます。
かかりつけ医機能につきましては、報告書の中で6ページのところに書き込んではございますけれども、日本医師会・四病院団体協議会合同提言の中で一定の機能が示されているということでございますが、他方で行政的な検討というものはそこまで進化しているという状況ではございません。
今回、こういうような外来についての改革の第一歩がなされたという中で、引き続き私どもとしても検討すべき課題とは考えておりますけれども、現在のところ行政としての定まった考え方というものをお示しできている状況にはないということで御理解いただければと思います。
○相澤委員 私の質問とずれているので、なぜ私がこんな質問をしたかということをお話ししたいと思います。
病院の外来は、科ごとに非常に差があります。同じ病院でも、外科は高度なことをやっている。しかし、小児科は一般医療を普通に受けているということがあります。そうしますと、かかりつけ医機能というものをその医療機関の機能とすると非常にそごが起こってくるわけです。したがって、かかりつけ医機能というのは医師の機能でなければおかしいと思うわけです。
地方の病院では今、申しましたように外科は高度なことをやっていますが、小児科は一般の医療をやっているということになりますと、これから調査しますように、病院の外来機能を丸ごと評価されても非常に困ります。地域医療が崩壊します。
ですから、先ほどかかりつけ医というのは医師の機能かどうかを聞いたわけです。医師の機能であるとすれば、科ごとに調べなければおかしくなるということであります。
その上で、1つ私の意見を申し上げたいのですが、この大病院の患者集中を防ぐために紹介状なしの患者さんに選定療養費ということで負担をいただくということで、本当にこの外来機能の分化が進み、そして患者さんにとって非常に有用な外来が地域で行われるかどうかということについて、私は甚だ疑問だと思っています。
なぜならば、かかりつけ医を持っていない人が半数近くいらっしゃるわけです。この人はかかりつけ医がいないわけですから、最初にどこへ行けばいいのか全く分からない。そうすると、まずはかかりつけ医というものは何であって、どこにその人がいるのか分からないと、その人は行けないわけです。ですから、ここのお金でいろいろな区分していくことはできない。まず仕組みと、そしてかかりつけ医とは何かということを明確にしない限り、先には進めないのだろうと思っています。
その上で、もう一点です。
○永井部会長 ちょっと手短にお願いできますか。
○相澤委員 もう一つだけ言わせてください。大事なことです。すごく大事なことです。
これまで行われてきた大病院の患者集中を防ぐための定額負担の議論を見ていますと、このままでいったら明らかに健康保険法違反です。これは十分に認識をして、しっかりと検討していただきたいということをお願い申し上げます。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
それでは、神野委員、加納委員、手短にお願いします。
○神野委員 今、相澤委員がおっしゃったように、重点外来があってお金を取るのが診療科によって違うという事態をやはり私も強調したいと思います。
あとは、かかりつけ医ですけれども、医政局の医師臨床研修部会で地域医療の定義をしています。患者が営む日常生活や居住する地域の特性に即した医療(在宅医療を含む)ということです。そういった意味で、地域医療と、それからかかりつけ医機能というのをもう一度きちんと定義することが必要でありますし、その中での議論というのがこれから必要であると思います。
外来機能の分化という話については一部納得していくわけですけれども、金目の話をするにはまだ尚早だと思います。
以上です。
○永井部会長 加納委員、どうぞ。
○加納委員 ありがとうございます。
先ほどの参考資料1-2の6ページの上の欄であります。今回、200床以上の病院に関して医療資源を重点的に活用する外来を持つ病院に関しては、この選定療養費の負担があるということでありますけれども、横に書いてあります特定機能病院、地域医療支援病院等々には、今日は保険課長が来られていますが、本来、診療報酬上の評価をつけて紹介外来を専門的にやるという形にしたかと思います。その場合、今回拡大される200床以上の病院に関して保険的な、先ほどコストの話が出ていましたけれども、そういったものも考えておられるのでしょうか。この点をお聞きしたいと思います。
○永井部会長 どうぞ。
○保険課長 保険課長でございます。御指摘ありがとうございます。
この定額負担の仕組みにつきましては、先ほども申し上げましたとおり、今後具体化に向けては中医協の中で具体的な基準なども含めて検討していくことになります。今、御質問がありました診療報酬の部分につきましても、中医協の中で十分に議論していきたいと考えてございます。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
○加納委員 そのことが、先ほどから病院においての外来というのは科別においていろいろな形で運営しているわけなので、一方で科によっては専門でなく一般の医療を普通に受ける役割をしているところも分担をしなければいけない。そういった面を考えながら経営しなければいけなくなるということがありますので、いろいろな形での配慮が必要かと思っております。よろしくお願いします。
○永井部会長 島崎委員、お願いします。
○島崎委員 時間がないので、いろいろ申し上げたいことはあるのですけれども、1点に絞って申し上げたいと思います。
この定額負担に関しては、今でも結構いろいろな問題が起きています。例えば定額負担を徴収している病院は今もあるわけですけれども、現場で徴収をめぐるトラブルが起きると、例えば救急車を呼べば紹介状がなくても対象外になるのかということで、一旦病院の外に出てそこから救急車を呼ぶようなケースもあると聞きます。それはちょっと極端な例かもしれませんが、現実にはそれに類するトラブルが至るところで起きているというのが実情のようです。
それから、私がもう一つ危惧しますのは、今後定額負担の金額を上げていきますと、例えばかかりつけ医がいないケースなどを対象とする、いわゆる紹介状の「書き屋」みたいな形態が出てくる懸念もあります。実際にあるかないかというのは今日この場で申し上げませんけれども、何を申し上げたいかというと、今後、制度を具体的に詰めるに当たっては、本来の政策意図とは全く異なるようなことが現場で起こり得るということに十分配意していただきたいと思います。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
時間の関係で、御意見のある方は後ほどお寄せください。本報告書を踏まえて、外来機能の明確化・連携に向けて外来機能報告制度の創設等、法改正の必要な内容があるということでございますので、厚生労働省におかれましては必要な作業を進めていただきたいと思います。
では、議題2にまいります。「医師の働き方改革及びタスク・シフト/シェアの推進について」でありますが、医師の働き方の推進に関する検討会及び医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会において検討が行われ、取りまとめが行われておりますので、事務局より最初に説明をお願いいたします。
○医事課長 医事課長の伯野でございます。それでは、早速資料に沿って御説明をさせていただきたいと思います。
資料2-1を御覧いただければと思います。「医師の働き方改革及びタスク・シフト/シェアの推進について」という資料でございます。
2ページを御覧いただければと思います。こちらは、「医師の働き方改革の全体像」でございます。これは当然でございますが、上のほうにございますとおり、医師の働き方改革を進めていく上では各医療機関で適切な労務管理、労働時間短縮に向けた取組を進めていく必要があるということでございますが、そうした取組を進める上では、医師の確保という観点で非常に大きな課題になったり、あるいは住民の適切な関わり方という観点もございます。そうした面で、医療機関のみならず住民、そして各都道府県、様々な関係者が様々な取組を進めていく必要があるというものでございます。
続いて、3ページを御覧いただければと思います。医師の時間外労働規制の枠組みをお示ししたものでございます。2024年の4月からというところが医師の時間外労働規制の枠組みでございます。向かって左側が一般則でございますが、Aのところをごらんいただきますと、医師の年間の時間外労働の上限は960時間ということになっております。
一方で、全てここということになると、救急など地域医療の確保に必要な医師でやむを得ず960時間を超えてしまうという方々が一定程度いらっしゃるという現状がございますので、Bの地域医療確保暫定特例水準というものを設けさせていただき、それについては年間の時間外労働の上限を1,860ということにさせていただいているところでございます。
また、自施設ですと960以内なんだけれども、兼業、副業によって960を超える場合についても一定程度あるということでございますので、連携Bということで、そういった枠組みについても同様に年間1,860時間の上限を設けているということでございます。
さらに、向かって右側のほうにCというものがございます。こちらは、C-1が臨床研修・専攻医でございますが、さらにC-2についてはそれ以降の方々で高度技能の育成等で必要な場合ということで、こちらも同様に1,860時間の上限を設けているということでございます。
こうした枠組みでございますが、このままですとやはり相応の過重な労働を強いる可能性がございますので、真ん中より下にございますとおり【追加的健康確保措置】ということで、月の上限を超える場合に面接指導を行うこと、そして必要に応じて就業上の措置を加えること、また連続勤務時間の制限、勤務時間間のインターバル、代償休息、こうしたことをB、Cについては義務を設けるということでございます。
そして、将来的には、これは一定の目標、指標でございますが、2035年度末をめどにBについてはなくしていくことを目標にし、Cについては減らしていくということを目標に掲げているところでございます。
続いて、4ページを御覧いただければと思います。こちらは細かいので簡単に申し上げますが、1つの医療機関でもいろんな医師の働き方がございます。例えば、A水準の業務、960以下に収まる医師と、救急医療に従事しているB水準、そして臨床研修のC-1の方々などなど、こうした混在する場合についてはそれぞれの指定を受けていただくということをお示ししたものでございます。
5ページを御覧いただければと思います。医師については、時間外労働の上限規制の適用が2024年4月からということになっておりますが、そうしますとB、Cの指定を、それまでに都道府県による指定を受けていただく。そのためには、逆算していきますと第三者評価による評価というものをその前に受けていただき、さらにその前には各医療機関で時間短縮の計画を策定し、PDCAで回していくというプロセスになっているところでございます。
こうした取組を進めていくということで、来年度の通常国会に医療法の改正法案の提出を目指しているということでございます。
次のページ、「タスク・シフト/シェアの推進について」でございますが、7ページを御覧いただければと思います。医師の時間外労働の縮減を実施していくに当たっては、タスク・シフト/シェアというのは大変重要でございますので、別途検討会を立ち上げ、これまで議論してきたところでございます。
7ページはプロセスでございます。関係団体から提案をしていただいて、資格に付随する業務か、技術基盤の上に乗る業務か、安全性が担保できるか、そういった観点で議論をしていただき、合意が得られたものというのが8ページを御覧いただければと思います。
これは法令改正を伴うもので、タスク・シフト/シェアを推進していくものということで、大変多くの項目を取りまとめていただいているところでございます。これは、一つ一つ申し上げるつもりはございませんが、こうしたことによって医師の働き方改革に資するものを進めていくということでございます。
続いて、9ページでございます。現時点でも、法令改正を伴わなくても推進できるものがございます。そういった観点で、特に推進するというものを整理していただき、こうしたものについても今後しっかり推進していきたいと思っております。
10ページでございます。制度的な枠組みを変えたとしても、やはりなかなかそれが実行に移されないということが問題でございますので、そういった意味で普及推進策をどうしていくべきかということで意識、技術、余力という観点からそれぞれアプローチを整理していただいて、今後こうした取組を進めていきたいと思っております。
11ページを御覧いただければと思います。タスク・シフト/シェアと働き方改革との関連で申し上げますと、こうしたタスク・シフト/シェアの好事例を我々厚労省としてもしっかり収集をしていって、各医療機関に周知していくことが大変重要だと思っておりますし、また評価機能が評価していく上でそうした好事例を把握した際には各都道府県の勤改センター等に情報を提供し、各勤改センターが医療機関の支援に役立てていただく。こうしたことによって、医師の働き方改革を進めていきたいと思っているところでございます。
最後に、当初からコロナで非常に大変な時期ということ、そして医療従事者、特に医師は非常に過重な労働に置かれている状況があるということがございます。我々としては、だからこそしっかり平時での医師の働き方改革を進めていく必要があると思っております。
一方で、こういう状況の中、現場の負担をなるべく軽くしてほしいというようなことについては、我々も大変重要なことだと思っておりますので、なるべく簡略化できるところは簡略化しつつ、こうした平時での医師の働き方改革をしっかり進めていくということをやっていきたいと思っております。
以上でございます。
○永井部会長 いかがでしょうか。
今村委員、佐保委員、それから山崎委員の順にお願いします。
○今村委員 ありがとうございます。今村でございます。
今、伯野課長からも御説明いただいたように、多くの医療機関が新型コロナウイルス感染症対応のために一般病床の活用を余儀なくされたり、医療提供体制自体に大きな変化が生じているということがございます。多大な経営上の影響も生じておりますし、今後も医療提供の質、量、ともに低下が続く懸念もあります。
そういう環境下で、一方、新型コロナウイルス感染症の収束に向けて全力を尽くしている医師をはじめとする医療従事者がいる。こういった方たちの健康確保をしっかりと行うことが非常に重要だと思っています。時期を見て、また地域医療に何が起こっているかということを医療圏ごと、あるいは医療機関ごとにきめ細かく繰り返し調査をすることをお願いしたいと思います。
現状では、「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会」で決められた内容について着実に準備を進めなければならないということでございますけれども、一方、とにかく予定どおりに始めようということで拙速な議論になることだけは避けていただきたいと思います。
もう一点、今回の取りまとめで、地域医療提供体制は一人の医師が複数の医療機関に勤務することで成り立っているという現状がある中で、派遣先の医療機関が派遣元医療機関の医師派遣の縮小等により診療体制の維持が困難となるような場合に、地域医療支援センターや勤務環境改善支援センター等に報告、相談して対策を講じる仕組みが設けられるとされております。
このことは非常に重要なことなのですが、まだまだ地域医療支援センターや勤務環境改善支援センターがそういった役割を十分に担えていないのではないかという危惧を持っておりますので、ぜひともその点は厚生労働省がこういった役割を現場のセンターにしっかりと認識していただくように改めて働きかけをしていただきたいと思っています。
今、現場の病院では、こういった勤務環境改善支援センターではなくて、医政局の所管ではありませんけれども、労働基準監督署に相談に行かれた場合、監督署が国のこういう大きな政策の変更の理解について、若干齟齬を生じているようなこともございます。これは医政局が基準局と協調しながら、国のルールというものを確実に現場に通知をしていただく、理解をしていただく取組をしていただければと思います。
こうした仕組みで、エビデンスをまず十分に集積をして、地域医療提供体制や医師の働き方に影響が出た場合には柔軟な見直しも検討していただきたいと思っております。
最後に、医療現場での総合的な人的、財政的支援の拡充や、その他の必要な措置については、引き続きお願いをしたいと思います。ありがとうございます。
○永井部会長 佐保委員、どうぞ。手短にお願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。
今回、医師の働き方改革、タスク・シフト/シェアについて取りまとめられたことについて評価したいと思います。
その上で、働き方改革について意見を2点、タスク・シフト/シェアについて質問を1点したいと思います。
1点目は、医師の時間外労働規制の暫定特例水準の解消について、目標とされた2035年度末に向けて可能な限り前倒しで特例水準の見直しの検討を行うなど、積極的な対応をお願いしたいと思います。
2点目は、医療機関がそれぞれの水準についての指定を受けるため、都道府県に届出を行うことになりますが、早期かつ着実に医療機関が労働時間の短縮を進めていけるよう、支援等の強化をしていただきたいと思います。
また、各医療機関から届出を受ける都道府県には、相当量の事務が発生すると思われます。労働時間短縮に向けた取組が遅延なく実施されるよう、財政支援を含めた対応をお願いしたいと思います。
なお、フリーランスの医師については、労働時間の把握や届出をどうやって行うかが課題になってくるのではないかと考えております。今後、そういったルール作りについてお願いをしたいと思います。
タスク・シフト/シェアで8ページ目、救急救命士の救急外来においても実施可能とすることについて、消防署が行っている救急搬送についても同様の扱いなのか、事務局にお聞きしたいと思います。
○永井部会長 今の点は、いかがでしょうか。
どうぞ。
○地域医療計画課長 御質問ありがとうございます。
委員の御指摘はごもっともでございまして、やはり救急隊員につきましては救急の現場で救急搬送ということを十分やっていきたいと思っておりますが、今回は救急の消防隊員も含めて、一般的な救命救急士がこういったところで業務を行えるというようなことで考えているところでございまして、消防機関が行う救急業務に支障が出ないように十分配慮してまいりたいと考えているところでございます。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
○佐保委員 分かりました。次の救急搬送に支障が出ることがないように配慮をお願いしたいと思います。
以上です。
○永井部会長 山崎委員、手短にお願いします。
○山崎委員 これは大きな問題を含んでいまして、今回も中小の一般病院、それから精神科の病院というのは非常に危機感を持っております。
というのは、そもそも医師数というのはOECDの平均でいうと3割足りないんです。日本の医師数というのは、OECD平均で3割足りないでみんなが頑張っているところを、働き方改革で働いてはだめだよと言ったらもっと現場は混乱する話だということを先生方はよく認識してほしいと思っています。
具体的には、大学病院からの出張で日勤当直、あるいは当直、日勤で来る先生がいます。そういう先生は、大学の勤務から連続して入ってきて、当直だけやって次の日の朝に帰る先生と、そのまま勤務形態に入って夕方まで勤務して当直日勤と、それの逆に日勤をやって日勤の形態から当直に入って日勤当直というふうな形態があります。
それともう一つ、もっと大きな問題は、東北とか北海道の田舎の病院ではお医者さんがいませんから、スポット勤務で対応しています。スポットで勤務をするときに、土曜日の当直から入って日曜日の日勤をやって、日曜日の当直をやって月曜日の朝帰るという勤務形態を取っているわけです。
こういう病院はスーパー救急をやっていないので、ほとんど病院にいればいい宿直体制のような形での勤務ですが、このような土曜日当直、日曜日日勤、日曜日当直というような3連続に近いような形態というのは今度のこの規制で可能なのか、アウトになるのかということを医事課長に聞きたいと思います。
○永井部会長 いかがですか。
○医事課長 医事課長でございます。
今回、法律を改正した場合、土曜日に入って月曜日の朝に帰るような当直が可能かということでございます。これは個別で議論になるかと思いますが、先生が今おっしゃられた事例というのは恐らく業務的にはほとんど発生しないような当直だからこそ、恐らく現行でも2泊3日いけるのではないかと思います。ですので、そうした業務が発生しないような場合には宿日直の許可を得ていただく。そうしたことによって可能になる場合が多いのではないかと思いますが、いずれにしても個別に事例を見て判断ということになっていくかと思います。
以上です。
○山崎委員 追加ですけれども、宿日直の許可というのはどこにお願いするわけですか。
○永井部会長 どうぞ。
○医師・看護師等働き方改革推進官 医政局医師等医療従事者の働き方改革推進室次長をしております安里です。
私は基準局のほうにも併任がかかっておりまして、今、話題になっています宿日直とかの関係ですけれども、これは労働基準監督署に許可を申請していただいて、許可をされればそのような時間が労働時間の外という整理になるものでございます。先ほど今村委員のほうから、なかなか現場で混乱があるのではないかというような御指摘をいただきましたけれども、そうした混乱については把握する都度、基準局のほうの担当課と共有しておりましてそれぞれ対応しておりますのと、監督署側にも、それから勤務環境改善支援センター側にも、今後さらに分かりやすいような資料を出しながら、現場の理解も進めていきたいと思っております。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
○山崎委員 もう一つお願いします。手短にやります。
最初にお話をしたように、大学の勤務から直接病院の日勤にきて、当直に入り、次の日の日勤まで連続して夕方までの勤務、あるいは日勤して当直して次の日の朝までという勤務は可能なのでしょうか。
○永井部会長 お願いします。
○医療・看護師等働き方改革推進室 そのような労働が不可能になるものではございませんで、可能ではあります。
○永井部会長 では、会場の山口委員どうぞ。その後、加納委員、木戸委員、井伊委員からお願いします。
○山口委員 ありがとうございます。
先ほども少し出ていましたけれども、救命救急士のことについて、タスク・シフト/シェアの一環ということで、救急外来での活動も可能になる。これは、私は以前も患者の状態維持のために患者搬送の連続性ということから大事なことだということで賛成いたしました。
ただ、これまでにない院内活動をするということになったときに、例えば今回、新型コロナということで感染症の問題などが出てきていて、恐らく救命救急士になるまでに学んだことで足りない部分というのが幾つか出てくると思うのですけれども、そういうことについて追加の研修など追加が必要なことが既に考えられているのかどうか。そこをちょっと確認させていただきたいと思います。
○地域医療計画課長 計画課長でございます。
御指摘ありがとうございます。先生がまさにおっしゃるとおり、今回の内容につきましては、処置が行われる場所の変更というところはございますが、行っている処置については変更しない。
ただ、場所を拡大するということになりまして、やはりこれまでやっていなかった医療機関内での処置ということがありますと、多職種との連携というのも十分必要だというふうに我々も考えているところでございます。
ですので、そういった医療機関内で働くことを想定した知識につきましては、医療機関に所属する場合等についてはきちんと就業前に医療安全ですとか感染対策、それからチーム医療に関する研修を必須とするというようなこともやはり求める方針として今、考えているところでございます。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
続いて、加納委員どうぞ。
○加納委員 ありがとうございます。
お手元の資料でいきますと、資料2-1の4ページのところを見ていただいたら分かるかと思うのですが、連携Bの在り方なのですが、これはやはり大学からの副業に関しましては、我々、二次救急、大阪ですとほぼ100%大学からの派遣によって救急体制が確保されています。当直のシェア率でいくと、4割を超える形でのシェアになっています。もしこれがなくなれば、たちまち大都会、大阪においても二次救急が崩壊するという状況でありますので、この連携Bの考え方に関しましてはしっかりと現場に合わせて、地域医療が崩壊しないような配慮をぜひともお願いしたいと思います。
特に、Bとは根本的に違うものでありますので、次の5ページに書いてありますような時短計画等の義務化とか、そういったものの内容も、やはりこれはBとはまた違った意味で、大学はあくまでも連携Bを届出しやすくするような配慮を得るような形でやっていただかなければ、2024年度を過ぎますと急に罰せられるとか、そういった労基における厳しい罰則も出てきますので、ぜひとも慎重なる配慮をお願いしたいということです。
もう一点は、先ほどから議論が出ています宿日直基準です。これは、働き方改革の推進に関する検討会でも議論がありましたけれども、睡眠がしっかりと6時間くらい取れれば十分ではないかといういろいろな捉え方の配慮ですね。実際に我々は労働基準局の届出をするわけですが、そこで今回の医師に関する働き方はこういうふうになったということの認識を共通化していただいて、宿日直基準を我々がしっかりと取りやすいようにぜひともお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○永井部会長 ありがとうございます。
木戸委員、どうぞ。
○木戸委員 今回の検討会の中間取りまとめを拝見しまして、大変短い期間に検討すべき事項や留意点などがきちんと分かりやすく整理されています。期待以上の充実した内容かと思います。これは検討会の委員、厚労省の担当者の皆様が真摯に議論された成果が十分に現れていまして、感謝申し上げたいと思います。
特に第4章の「おわりに」のところでは、今も現場で奮闘している医師たちに向けて勇気と希望を与えるようなメッセージがこめられており、読んで心を打たれるものがありました。今後、必要な法改正の整備や推進体制の構築など、まだまだやるべきことはたくさんあるでしょうけれども、この報告書を一人でも多くのドクター、そして医療を受ける国民にも目を通していただいて、関係者が一丸となって医師の勤務環境を一日も早く、よりよいものとするように、本格的な取組が進んでいくことを強く期待しております。
以上です。
○永井部会長 井伊委員、どうぞ。
○井伊委員 ありがとうございます。
先ほど山口委員のされた御質問に関連して、意見です。救急救命士の関連ですけれども、搬送中に救急救命処置を行う救急救命士を救急外来でも救命処置ができるようにして、院内でタスク・シフトを進めていくということにつきまして、医療の質及び安全の観点から私どもは反対をしてまいりました。それは、今も変わりません。
そのことを前提としまして、救急救命士法を今後改正することになると思います。その際、救急救命士と救急救命行為の定義は変更するのでしょうか。するとしたら、どうされるのかというのを伺いたいと思います。
定義を変更するということであれば、これは新しい資格をつくるに等しいと考えます。そして、さらに教育の問題は大きいと思います。搬送中に救急救命処置を行う救急救命士の基礎教育は、搬送中の救急救命処置を行うことに特化しています。医療機関で不可欠な医療安全、感染、薬剤、チーム医療に関する教育は含まれておりません。先ほども感染症の例を一例として挙げていただきましたけれども、搬送中は接する患者さんは1名です。ですので、救急救命士自身が患者から感染しないための感染予防は学んでおります。
しかし、院内で複数の患者さんが同時並行で治療する中で、院内感染を防いでいかないといけない。こういったことは極めて重要なわけですけれども、搬送中に特化した現在の教育ではこれらの内容は含まれていません。これでは、安全・安心な医療を提供することはできないと考えます。
私どもは、救命救急士に関連するこのたびの提案には反対ですが、それでも実施するというのであれば、医療の質、患者の安全を守るために、少なくとも必要な研修を厚生労働省が定め、研修を修了しなければ医療機関では救命救急処置ができないようにすべきだと考えます。ぜひ御検討をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
今の点についてお願いします。
○地域医療計画課長 御質問ありがとうございます。
今回、救命救急士におきましては、2条の中では救命救急士が行う業務とともに、救命救急士が行える場所の指定についても記載しているところでございます。今回の取りまとめも踏まえますと、基本的には救命救急士が行える行為については変更することはしませんが、ただし、定義の中にあります救命救急士が救命処置が行える場所につきましてはやはり一定の変更等も考慮することを考えているところでございます。
また、先ほどの山口委員のお話にもありますが、今回救命救急士につきましては御指摘のとおり、これまでは病院前ということでございましたが、今度は院内でも、特に救急外来においてこういった救急処置を行うということがございますので、様々ないわゆる院外のものと違う状況になるということも加味して、少なくともそういった必要な研修につきましては必ず受けていただくというようなことで今、考えているところでございます。
以上です。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
ほかに御意見がございませんでしたらここまでとしまして、厚生労働省においては必要な法案化の作業を進めていただきたいと思います。
では、資料の3にまいります。資料3-1「医療機能情報提供制度の報告項目の改正について」、資料3-2「医療広告規制の見直しについて」、説明をお願いします。
○総務課長 よろしくお願いいたします。医政局総務課長でございます。
資料3-1「医療機能情報提供制度の報告項目の改正について」でございます。
めくっていただきまして1ページ、この検討は医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会において検討をしてまいりました。
2ページ目、「医療機能情報提供制度について」でございます。これは御案内のとおりかと思いますけれども、医療を受ける方が選択できるように、医療機関等に対して都道府県への報告を義務づける。都道府県は、その情報を集約して分かりやすく提供するという制度でございます。
なお、現在、外来の報告書に記載してございますが、このシステムは全国的な運用に向けて検討しておりまして、3次補正において必要な経費を盛り込んでいるところでございます。
続きまして、これについて本日の御提案ということで4つの項目でございます。早速項目にいきたいと思いますが、4ページ目で最初の項目、「外国人の患者への対応」というものについての情報提供でございます。これは、細かく分けますと3つございます。1、2、3と真ん中辺りに書いてあると思いますが、「外国人の患者の受入れ体制」として1番目は「対応することができる外国語の種類」、2番目は「多言語音声翻訳機器の利用の有無」、3番目は「外国人の患者の受入れに関するサポート体制の整備」といったものを今後は御報告いただくということでございます。
なお、報告義務の範囲が右側に書いてございますが、基本的に病院、診療所、歯科診療所、助産所という区分けをいたしますと、このサポート体制の整備につきましては、性格上、病院にのみ義務づけることが適切だという整理でございます。
続きまして、少し飛びます。7ページになりますが、2つ目の御提案はやはり外国人患者の関係でございますが、「外国人患者を受け入れる拠点的な医療機関」として現在厚生労働省及び観光庁で連携をいたしまして都道府県において選出をいただいております1,450程度の医療機関がございます。これらにつきまして報告をいただくというものでございます。いずれにしても、現在新型コロナの関係で外国人の患者の皆さんが多いということではございませんけれども、今後こういった情報提供が患者さんの選択に資するというふうに考えてございます。
3つ目の項目は、10ページになります。10ページをお開きください。「受動喫煙を防止するための措置」でございます。これは、健康増進法が改正されてございまして、現在病院、診療所におきましては屋内ですとか施設内ではなく、敷地内禁煙というカテゴリーになってございます。
ただし、屋外で受動喫煙を防止するために必要な措置が取られた場所に喫煙場所を設置することができるというふうにされておりまして、すなわちこの情報提供制度におきましては施設内全面禁煙であるのか、それとも特定の屋外の喫煙場所の設置をしているのか、それについて御報告いただくということでございます。
最後に4点目、12ページをお開きください。「産婦人科(産科)以外の診療科での妊産婦の診療に積極的な医療機関」の情報提供でございます。これは、妊産婦の方への診療体制を充実させていくということでございます。その中の一環としまして、産婦人科以外の診療科におきまして、以下の1から4の全てを満たす場合に御報告いただくというものでございます。
1、国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」の情報等を活用するなど、文書を用いて患者さんに必要な説明をしているということ。
2、母子健康手帳についてプライバシーに配慮しつつ確認をしているということ。
3、妊産婦の産婦人科の主治医の方と連携をしっかりと取っているということ。
4、そこにありますような妊産婦の特性を勘案したような診療を実施している産婦人科以外の診療科の医師を配置しているということを要件としてございます。
以上、4点が医療機能情報提供制度の報告項目の見直しでございました。
続きまして、次の資料3-2をお開きいただければと思います。先ほどのものは医療機関に義務を課すものでございましたが、今度のものは広告ということでございまして、これについても同じ医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会で議論をさせていただきました。
その中で、今回議論をいたしましたのは1つの項目でありまして、3ページ目を御確認いただきたいと思います。これは、看護師が特定行為を手順書によって行っているという場合、その特定行為についての広告でございます。医師の指示をその都度、受けるというものではなく、事前の包括的な指示に基づいて特定行為を行っているケースにつきまして、その業務の内容について広告可能としてはどうかというものでございます。
対応方針にございますように、その業務内容について広告可能とする上で2番目にありますように、この広告は専門性資格に関する広告ではないということでございまして、これらが明確となるようにチーム医療や医師の働き方改革等を推進している旨を併記することとしてはどうかということです。
その上で、業務内容に関しまして3番に書いてございますが、氏名等も含めて広告することは差し支えないということで、下側に広告のイメージ等々を掲載してございます。
具体的に少し細かくはなりますが、次のページか、もしくは1つ前のページがよろしいかもしれませんけれども、告示上に、いろいろなカテゴリーが広告可能事項として掲げられておりまして、最後に15として「その他1~14に準ずるものとして厚生労働大臣が定めるもの」とございます。この厚生労働大臣が定めるとして、今回のものを位置づけていきたいと考えています。その上で、医療広告のガイドラインに必要な改正を盛り込みたいということでございます。
少々駆け足の御説明にて恐縮でございますが、以上でございます。
○永井部会長 いかがでしょうか。御質問、御意見をいただければと思います。
田中委員、どうぞ。
○田中部会長代理 今回の今の資料の2つについては、特定屋外喫煙場所を備えている場合は該当しないという点を除き、賛成します。本当は屋外喫煙場所もなくすべきだと考えますが、それは別として賛成します。これから考えるときに先ほど楠岡委員も言われたように、、医療完結でない時代にもかかわらず、今回の段階ではまだ介護部門との連携がどちらも薄いですね。例えば、老健や、介護医療院や、通所リハや、訪問リハとの関係性もこういうところで議論していくあり方を次の段階に求めておきたいと考えます。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
加納委員、それから神野委員の順でお願いします。
○加納委員 ありがとうございます。
今の資料3-2の4ページのところでありますが、特定行為を手順書により看護師が実施している業務の内容が広告可能に関してですが、この特定行為ができる看護師さんの数というのはまだまだ少ない中で、このようなことを可能にすると、1つは特定看護師さんを養成するのに非常に今は負担がかかるという現実があります。これは、経済的な負担と、時間的な負担もかかってやらなければいけません。その結果として、なかなか今は普及していない中で、特定行為に関してどうしてこのように表示をしなければいけないのかということを教えていただけたらと思います。
○永井部会長 事務局、いかがでしょうか。
○総務課長 まず特定行為研修を受けられている方ということで、参考資料の11ページにその修了者の推移がございまして、現在2,646人まで徐々に拡大をしているということでございます。
加えまして、今後とも厚生労働省におきましても研修ですとか医療機関、研修者に対する支援というものを引き続き行い、拡大に努めてまいりたいと思います。
なぜこれが広告可能というふうにしたかという背景でございますが、1つにはこの流れとしては医師の働き方改革の推進、あるいはチーム医療の推進という文脈がございました。特定行為を手順書において行うということで、都度、指示を受けるということではなく、包括的な指示に基づいて活動するということで、医師及び看護師、双方に時短、労働時間が減るというエビデンスがございます。
それから、患者の視点も重要だと考えておりまして、患者からしますと、ある看護師が都度指示を受けているのか、していないのかということがある中で、ある程度そういった情報は研修を受けていらっしゃる方であるということは知っておく内容としてあり得るだろうということでございました。
そういった観点から、今回のものについて広告の対象とする。ただし、今、申し上げたような趣旨でございますので、チーム医療の推進ですとか、医師の働き方の推進といった旨を併記するといったような形を広告の内容としてはどうかということで総合的な調整が図られたものでございます。
以上です。
○永井部会長 それでは、神野委員、相澤委員、お願いします。
○神野委員 神野です。今の話とちょっと逆になりますけれども、私は大賛成いたします。
今の特定行為研修ですけれども、既に働きながら特定行為研修を修了できるようなスキームもできておりますので、あとは各看護師さん、あるいは病院、医療機関のニーズによってどんどん誕生させるべきものなのかなと思いますし、今、事務局からお話がありましたように、患者の視点ということでスピーディーな医療ができるということでもよろしいのかと思います。
この広告のイメージのところですけれども、今回の広告はいわゆる営業的な広告ではなくて、私どもの病院では特定行為修了看護師がこういうことを実施しますということを明示する必要があるわけなので、そういった意味では広告という形になっておりますけれども、特定行為研修修了看護師が仕事をしているということを明示するという意味で広告として認めることに賛成いたします。
以上です。
○永井部会長 それでは、相澤委員、井伊委員の順でお願いします。
○相澤委員 相澤です。どうもありがとうございます。
資料3-1の2ページですが、この医療情報提供制度は住民の方に知ってもらいたいんです。もう何回も私はこの場で申し上げていますが、この情報がどこにあるのか、どこに掲載されているのか、県民、住民は全然知りません。医療関係者も、どこにあるのか分からない。これが、本当に医療提供の情報を住民に知らせるつもりで作っているとは思えないんです。内容は分かりやすくても、どこにあるのか分からなければ住民は分からないわけですから、まず知らせるということ、住民が誰でも簡単にアクセスができて情報を入手できる。まずこれを最初にやっていただきたい。
以上です。
○永井部会長 今の点、よろしいでしょうか。
○総務課長 御指摘のとおりだと思いますので、しっかりと周知に努めていきたいと思います。
また、全国的なシステムとすることでさらに使い勝手をよくし、その際にその機会を捉えて周知をしていくということにも取り組んでまいりたいと考えます。ありがとうございました。
○永井部会長 井伊委員、どうぞ。
○井伊委員 ありがとうございます。
特定行為を手順書により行う看護師が実施している業務内容を広告可能とすることは、ぜひお進めいただきたいと思います。患者、家族に対して医療の質の向上、効率的な医療の提供という意味合いで患者さん、家族の皆さんにとって有用な情報になると考えています。
現在の養成状況ということで先ほど御紹介がございましたが、本格的な養成が開始されて3年半くらいで2,600人以上、もう3,000人近い人たちが活躍する状況にございます。そして、養成機関も増えているという状況ですので、ぜひお進めいただきたいと思います。
以上でございます。
○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、この議題はここまでとさせていただきまして、次に「乳がんの集団検診(マンモグラフィ)における医師の立会いを不要とする見直しについて」、説明をお願いいたします。
○医事課長 医事課長の伯野でございます。
それでは、資料4を御覧いただければと思います。
1ページを御覧ください。こちらは経緯でございますが、2番を御覧いただきますと、今は診療放射線技師法上、マンモグラフィ検診というのは医師の立会いがなければ実施できないということで、一方で医師の確保が難しいということで検診の実施の支障になっているというので、この医師の立会いというものを不要でも実施できるようにしてほしいという地方からの提案がございました。
その上で、2ページを御覧いただければと思います。こちらは、病院、診療所以外の集団検診の場においては平成26年の6月に胸部のレントゲンについては医師、歯科医師の立会いを求めないという改正を行っているところでございます。
一方で、当時はマンモグラフィ、乳がんの検診については視診と触診が含まれていたということもありまして、従来どおり医師、歯科医師というものがもともと必要であろうということで、この当時改正はしていないという実態がございます。
一方で、平成28年の2月に検診の指針について改正がございまして、視診、触診は推奨しないということにされているところでございます。こうした状況を踏まえて、どうしていくかということを検討してきたところでございます。
3ページを御覧いただきまして、一方で現時点でもマンモグラフィの検診を例えば子宮頸がん検診のようにいずれにしても医師の立会いが必要である検診とセットで行っている場合がほとんどであれば、これをあえて改正しても余り政策的な効果はないという御指摘もあり、今回調査をさせていただいております。市町村に対して集団検診の実施方法について調査をさせていただき、単独での検診というものがやはりこちらにございますとおり3割強あるということでございました。
そういうことで、5ページを御覧いただければと思います。「対応方針(案)」でございます。
最初の○でございますが、先ほど申し上げたとおり、がん検診の受診率を向上させる観点、そして先ほど申し上げたように一定程度ニーズがあることから、医師の立会いなく実施することを認めることとしてはどうか。
一方で2番目の○にございますとおり、そうした実施する上では医療安全上の配慮というのは大変重要だと思いますので、こちらにございます1から4という留意事項を示した上で、こうした医師の立会いをなくす実施ということを認めてはどうかと考えているところでございます。
6ページは、現行の法令を載せさせていただいております。これは、省令改正が必要な事項になってくると考えております。
以上でございます。
○永井部会長 それでは、御質問をどうぞ。
遠藤委員、どうぞ。
○遠藤委員 どうもありがとうございます。それでは、申し上げます。
中山間地域や離島等の条件不利地域においては、医師不足は大変深刻化しており、立会い医師の確保が困難であることや立会い医師への報酬が高額であることから、検診回数が限られてしまい、受診率向上の弊害となっております。
このような状況の中で、医師の立会いが不要となれば、検診回数を増やすことが可能となり、がん検診の受診率向上に寄与し、がんの早期発見・早期治療が期待できます。本分権提案については、全国町村会においても、「積極的に検討いただきたい」と意見を述べており、胸部エックス線検査と同様に、診療放射線技師が医師の立会いなく実施することが可能となるようお願いします。
○永井部会長 それでは、久喜委員、井伊委員とお願いします。
○久喜委員 今の内容等々、全面的に賛成でございます。医者の負担を減らすということとともに、あとは検診者の受診率を向上させるという意味で非常に重要だと思いますので、賛成をいたします。
以上です。
○永井部会長 井伊委員、どうぞ。
○井伊委員 ありがとうございます。
この見直しについては、賛成です。そして、5ページに対応方針(案)が示されており、それについても賛成ですが、乳がん検診を受ける女性の立場から、それからマンモグラフィという検診の特徴からすると、女性の診療放射線技師であることが望ましいと考えています。これは、結果的に受診率にも関与するかと思います。ですので、何らかの配慮をお願いしたいと思います。ぜひ御検討ください。よろしくお願いします。
以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、この件はここまでとしまして、最後の議題でございます。「全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大及び電子カルテ情報及び交換方式の標準化について」、説明をお願いいたします。
○研究開発振興課長 研究開発振興課長の笠松でございます。資料5によりまして、この議題を御説明させていただきます。
本件は、前回の部会以降、健康・医療・介護情報利活用検討会を3回開催いたしまして、その議論の現時点での状況について御説明をさせていただくものでございます。
このタイトルにございます全国で医療情報を確認できる仕組み、これは患者さん御自身が自分の情報をという場合と、全国の医療機関が患者さんの本人同意を前提に患者さんの情報をというところがございますが、まず2ページを御覧ください。患者さん御本人が確認できるレセプト情報についての整理の案でございます。
こちらは、【目指すべき姿】というところの矢羽根の2つ目でございますが、患者さんが確認できるレセプト情報については当面、原則として患者さんに交付される明細書の内容としてはどうかというものでございます。具体的には、この表の赤で囲んであるところでございまして、例えば下から4番目のように初再診等、診療行為などの情報などなどについて内容としてはどうかというものでございます。
一方で、全国の医療機関が確認できる情報につきましては3ページを御覧ください。こちらは、患者さん御本人が確認できる情報のうち、この表の1・2、具体的には薬剤情報と合わせまして1の過去の受診医療機関への紹介が可能になるような情報、2の今後の診断、検査、治療方針等の検討に有用と考えられる情報、この2つを確認できる情報としてはどうかというものでございます。
なお、下の注にございますが、傷病名につきましては患者さんへの告知を前提とするということが必要ではないかという意見がございました。これについて、改めて提供の仕組みを検討した上で実装について検討したいと考えております。
続いて、4ページを御覧ください。救急時の情報閲覧の流れということでございます。四角に囲んでありますように、救急時であっても原則はマイナンバーカードを持参していただいて、本人確認・同意を得た上でというのが当然の原則でございますが、ただし、救急の場合、マイナンバーカードを持っていらっしゃらない場合、または本人の確認・同意ができない場合が考えられますので、その場合の状況を4ページ、5ページで整理したものでございます。
4ページは、患者さん御本人の確認・同意ができない場合、カードはあるけれども、それができない場合ということですが、その場合につきましては赤の四角で囲んでおりますマイナンバーカードによる照会、これは救急専用端末のみで場所を限定して対応するということと、見ることができる医療従事者については救急医療に携わる有資格者を限定し、事前にその人に限ってできるようにするということ。さらには右側、閲覧をした状況については利用状況のモニタリングを行うということで、セキュリティー、プライバシーに配慮した仕組みとしてはどうかというものでございます。
また、5ページはカードがない場合でございますが、カードを持参していらっしゃらない場合、これも救急で必要な場合に限定してではございますが、赤の四角、点線でございますが、救急専用端末のみで対応する。または、セキュリティー、プライバシーに配慮してモニタリングを行うとともに、患者情報の登録の状況等を事後的に点検するということで、そういったカード持参本人の確認・同意が得られないという状況で、しっかりプライバシーを担保するということとしてはどうかというものでございます。
最後に6ページを御覧ください。電子カルテ情報と交換方式の標準化についてでございます。この議論につきましては、電子カルテの標準化の進め方につきましては、6ページの1番に1から5まで、こういった手順で進めてはどうかというところでございます。データ交換を行うための規格、具体的な電子的仕様、3で標準規格化、4がベンダーによる開発、5が基金等を活用した普及ということでございますが、このうち1と2につきましては2番を御覧ください。
1つ目のポツが、1の1に相当いたします。データ効果につきましては、連携が非常に容易なHL7 FHIRの規格を用いて接続する仕組みをあらかじめ実装・稼働できるように検討してはどうかということ。また、具体的な電子的仕様につきましては具体的にはということで、2つ目のポツで医療情報、1の傷病名から6の生活習慣病関連の情報と、上記を踏まえた文書情報、診療情報提供書など、こうした情報から標準化を進めて段階的に拡張してはどうかというところでございます。
御説明は、以上でございます。
○永井部会長 いかがでしょうか。
山口委員、どうぞ。
○山口委員 ありがとうございます。
今の6ページの電子カルテの標準化ですけれども、これは医療部会の中でも過去に何度もこのことが出てきて、私もぜひ進めていただきたいと思っておりました。
今、PHRのことがまず先に話し合われていますけれども、PHRもさることながら医療機関同士の情報連携のEHRは患者にとってさらに有益だと私は思っていますので、ぜひこれは早急に進めていただきたいと思います。
以上です。
○永井部会長 楠岡委員、佐保委員、お願いします。
○楠岡委員 楠岡です。やはり6ページのところでありますけれども、前回も申し上げましたが、電子カルテが参照できるからといってやたらと情報があってはかえって問題になるということです。今回この2番に示されたような情報というのは本当にコアな情報であり、どのような診療現場においても必要になる情報であるということで、こういうところに絞り込んでいただけるというのは結構なことだと思います。
ただ、1つは病院ごとにそれぞれがこういう掲示を出すと、またそれを全部見なければいけないということがありますので、可能であれば個人ごとにこういう情報を集約するシステムを作っていただきたいという点です。
2点目は、こういうものを誰が入れるかという責任の所在、あるいは義務化に関しましてもぜひ御検討いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 佐保委員、どうぞ。
○佐保委員 御指名ありがとうございます。
私も同じく6ページ目なのですが、データ交換についてインターネット回線に接続した際にハッキングなど、外部から侵入されて交換するデータのみならず、当該医療機関が保有する電子カルテデータが流出するといった懸念があるのではないかと思っております。
現在もセキュリティーについて研究、検討されていると思いますが、さらに議論されて安全な運用方法が構築されることをお願いしたいと思います。
以上です。
○永井部会長 加納委員、どうぞ。
○加納委員 ありがとうございます。
私も6ページのところなのですが、先ほど楠岡委員がおっしゃったように、誰を入れるかということと、どういう負担が病院にかかってくるかということを非常に懸念しております。
また、費用負担のほうも1の5にはそういった形で配慮するということが書かれておりますが、ぜひとも配慮のほうをよろしくお願いしたいと思います。
電子カルテを我々が維持するために、病院にとりましては我々の収入の3%を占めるという非常に大きな率が占められております。これ以上増えないように、逆にこれをいかに縮小していただくかということで、その点を懸念しますのでぜひともよろしくお願いいたします。
○永井部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
御意見がなければ、本日はこれまでとさせていただきます。
事務局から連絡事項等をお願いいたします。
○総務課長 総務課長でございます。
本日は、一般傍聴の制限をしてございますので、議事録につきまして可能な限り速やかに公表できますよう事務局として校正作業を進めてまいります。委員の皆様におかれましても、御多忙中とは存じますが、御協力を何とぞいただきますようお願い申し上げます。
また、次回の医療部会の日程につきましては、詳細が決まり次第、改めて御連絡させていただきます。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございました。
それでは、本日はこれまでとさせていただきます。お忙しいところありがとうございました。

 

(了)

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