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2020年11月5日 第76回医療部会

医政局総務課

○日時

令和2年11月5日(木)17:00~19:00

 

○場所   AP新橋 4階 D+Eルーム


○議事



○医療政策企画官 それでは、時間になりましたので、ただいまから第76回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中を御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。
会議中、御発言の際は「手を挙げる」ボタンをクリックし、部会長の指名を受けてから、マイクのミュートを解除して発言するようお願いいたします。また、御発言終了後は、再度マイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。
また、議題に対して御賛同いただく際には「反応」をクリックした上で「賛成」ボタンをクリック、またはカメラに向かってうなずいていただくことで、いわゆる異議なしの旨を確認させていただきます。
まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、小熊委員より、用務により1時間程度遅れるとの御連絡をいただいておりますが、医療部会の総委員24名全ての皆様が御出席となりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。
次に、議事に入ります前に、資料等の確認をさせていただきます。
事前に、議事次第、委員名簿、座席表のほか、資料1-1から資料4、参考資料1、2を送付させていただいておりますので、お手元に準備いただければと思います。
報道のカメラがおりましたら、ここまでとさせていただきます。
以降の進行は永井部会長にお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 それでは、ただいまから開催させていただきます。
本日は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、傍聴は報道関係者のみとしておりますので、御承知おきいただきたいと思います。
また、本日、限られた時間の中で4つの議題について御議論いただきます。御発言は要点をまとめて手短にお願いいたします。
それでは、議題に入ります。
まず、資料1-1「医療計画の見直し等に関する検討会における地域医療構想の議論の進捗状況について」事務局から説明をお願いいたします。
○医師確保等地域医療対策室長 地域医療計画課でございます。
それでは、資料1-1「医療計画の見直し等に関する検討会における地域医療構想の議論の進捗状況について」御説明申し上げます。
まず、前回の8月24日の医療部会における主な意見でございますが、15ページにお示ししてございます。
1点目、今回の新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえると、5疾病5事業があるけれども、それに加えて、新興・再興感染症の追加を医療計画の中にしっかり盛り込むべきではないか。
2点目、感染症の流行を踏まえながら、地域の医療提供体制をどう構築するかが重要である。
3点目、少子高齢化という中長期的な課題が不変である以上、地域医療構想あるいはかかりつけ医機能の強化といった取組は着実に進めるべき。
4点目、昨年9月に示された424の公立・公的医療機関等のうち幾つかの医療機関が、コロナ対応において活躍した病院となっていたという点、御意見いただいてございます。
その上で、改めまして、1ページでございますが、医療計画の見直し等に関する検討会の議論について御説明申し上げます。
2枚目でございます。こちらは現状と課題を取りまとめてございます。10月1日の医療計画見直し検討会においてお示したものでございますが、現状といたしまして、地域の実情に応じた医療提供体制の確保に関しては、各都道府県において医療計画及び地域医療構想の策定を通じて、将来の医療需要を見据えた病床機能の分化・連携に向けた取組を進めているところでございます。
一方、感染症の医療提供体制の確保に関しては、感染症法に基づく予防計画を策定し、取組を進めているところ。
今般の新型コロナウイルス感染症の対応に当たっては、これまでの医療計画や予防計画等では想定されていない事態が生じており、新型コロナウイルス感染症以外の医療連携体制にも大きな影響を受けている状況である。
課題といたしまして2点。1点目が、新興・再興感染症対応に係る医療連携体制を構築する必要があるのではないか。
2点目、入院医療・外来医療双方において、質の高い効率的な体制の確保に向けた取組を進める必要がある、となっております。
続きまして、3ページ目でございます。論点といたしまして3つ整理してございます。
1点目、医療連携体制の構築(医療計画)でございますが、医療連携体制に関し、感染症法等における今後の対応を踏まえつつ、医療計画との関係についてどのように考えるか。
2点目、将来の医療需要を見据えた病床機能の分化・連携(地域医療構想)に関し、新興・再興感染症対応の内容を踏まえつつ、今後の取組をどのように考えるか。
3点目が、外来機能の分化・連携でございます。
続きまして、4ページでございます。こちらは10月1日の医療計画の見直し検討会における主な意見でございます。
1点目、感染症法による予防計画における対応を整理した上で、医療計画の中にどれを盛り込んでいくかを考える必要がある。
2点目、感染症に関しては、医療計画に組み込むことに賛同したい。
3点目、コロナ・非コロナの受入れ体制が整備できたのは、地域医療構想調整会議の議論が進んでいたおかげである。
4点目、余力がないと、コロナ患者を受けることができない。地域医療構想は余力を削ぐ議論に近いと思われる。少なくとも何らかの形で途中で意見のすり合わせをしていかないと両立は難しいのではないか。
5点目、感染症対応と医療計画や地域医療構想について、その両者については切り離してやることは可能ではないか。
続きまして、下から4つ目、病床の確保に加えて、人材の確保に関する検討が必要である。
下から3つ目、疾病構造はコロナを経たからといって大きく変わるということではないので、この地域医療構想は粛々と進めるべし。
下から2点目、2040年代を展望した新しいビジョン検討する時期が近づいているのではないか。
また、ポスト地域医療構想の工程も示すべきであるという御意見でございました。
続きまして、5枚目でございますが、地域医療構想に関するワーキンググループにおける議論を御紹介いたします。
6ページ目を御覧ください。こちらはワーキンググループにおける論点でございますが、3点設定してございます。
1点目、感染拡大時の受入れ体制確保についてどのように考えるか。
2点目、公立・公的医療機関等に対する具体的対応方針の再検証などの取組にどのような影響があるか。
3点目、今後の人口構造を踏まえ、どのような工程で議論・取組を進めていくべきかというものでございます。
次の7ページ目、2点目でございますが、公立・公的に対する具体的対応方針の再検証などの取組への影響について御紹介いたします。
7ページ目の2番の3ポツ目でございますが、新型コロナウイルス感染症への対応状況や新興・再興感染症の感染拡大に備えた取組の検討状況を踏まえ、どのような点に留意・配慮が必要かとなってございます。
続きまして、8ページでございます。第27回地域医療構想に関するワーキンググループにおける主な意見について御説明申し上げます。
まず、議論の前提といたしまして、新興・再興感染症というのは今般のコロナだけではない。未知のものへの対応が必要である。
2点目、今後起こり得る様々な感染症流行に対応できるよう、議論の前提を整理する必要がある、となっております。
続きまして、論点1つ目、感染拡大時の受入れ体制確保についてでございますが、まず1つ目の○でございます。新興・再興感染症には、余裕がないと対応できない。
2点目、平時から感染症対応のために病床を確保しておくとすると、効率的には難しい部分が出てくる。柔軟な医療体制を作っていく必要がある。
3点目、重症例をどのように受け入れるかが最大の課題である。
続きまして、5点目でございますが、疑い症例の対応が難しい。
6点目、他の病院から医療従事者が支援に来る、また、入院患者を他の病院にお願いするといったような連携体制も考えていく必要がある。
続きまして、下から3点目、感染症患者の受入れに一般病床を多く使うということは、一般医療を圧迫するということである。
下から2点目、新興・再興感染症は、感染症病床だけではとても対応できない。予防計画の見直しや医療計画への位置づけがとても重要である。
最後でございますが、医療資源が少ない地域に対する配慮が必要であるというものでございました。
続きまして、9ページでございます。1つ目の論点の続きでございますが、1つ目の○、地域医療構想の病床必要量は、感染症等は対象としていない。
2点目、地域医療構想はあくまで将来の医療需要を見据えた病床機能の分化・連携を構築することが目的である。新興・再興感染症への対応は、医療計画と予防計画の平仄を合わせながら、しっかりと作るべきである。
3点目、地域医療構想による再編・統合を通じて、医療機関の役割を明確化するということは、結果的には感染症対応に寄与するのではないか。
続きまして、論点2点目、公立・公的医療機関に対する具体的対応方針の再検証等の取組への影響について御説明いたします。
1つ目の御意見でございますが、自治体病院の6割は、比較的小規模な人口の圏域に存在した。こうした圏域を中心に患者を受け入れたというのはリーズナブルである。一方、民間医療機関は人口規模の大きな圏域で多くの患者を受け入れていただいた。公立・公的等・民間が、それぞれ対応可能な範囲で頑張ったということである。
2点目の御意見でございますが、具体的対応方針の再検証が必要な公立・公的医療機関が公表されたが、その中には感染症への対応を行っている医療機関が多く含まれている。地域医療構想調整会議においては、今般のコロナ対応で担った役割をきちんと反映させるべきではないかという意見も上がっているというものでございます。
続きまして、10枚目を御説明申し上げます。論点3つ目、今後の工程についてでございます。
1つ目の御意見でございますが、新型コロナが収束していない状況下で、特に再検証の期限を再提示するというのは非常に難しい課題である。このまま足踏みしていても、医療需要の減少はますます加速・進行する。一歩踏み出して、具体化に向けた検討を再開するべきではないか。
2つ目の御意見でございますが、再検証を要請された公立・公的医療機関以外の民間医療機関についても、今後どのように進めていくかについての結論を得ていくべきではないか。
3点目、人口減で病床を減らさなければならないという区域もあり、また、重点支援区域のような地域も話合いが進んでいるので、新興・再興感染症対応の結論が出てからではおそらく間に合わない。感染症対応と地域医療構想をうまく整理しながら進めていく必要がある。
4点目の御意見でございます。民間医療機関の中には、今般のコロナによって大きく方向性を変えてしまう可能性がある。民間医療機関の機能が大きく変化することを十分に視野に入れながら、少し時間をかけて検討したほうがよいのではないか。
現在、コロナ対応でバタバタしている中、期限を切られてしまうと、腹を割った話合いができないのではないか。じっくりと話し合ってもよいのではないか。
下から3つ目でございます。今般のコロナ対応の再検証をする時期が来ないと、地域医療構想との関係を議論することは非常に難しいのではないか。
下から2つ目でございます。現在、実際にコロナ対応が進んでいる中、今決めると、病床数がずっと多くなるのではないかと、各病院にとっても後々大きな負荷となるのではないか。
最後でございますが、第8次医療計画の策定は2023年度に行われることになっている。2025年まであと5年を切った中、今後の具体的な工程の議論を進めておく必要があるのではないかという御意見でございました。
追加で御説明申し上げる事項といたしまして、17枚目でございます。10月29日に地域医療確保に関する国と地方の協議の場で議論をさせていただいております。その中におきまして、地方団体から出された意見について御紹介申し上げます。
1点目、厚生労働省において、地域医療構想の進め方について、現状を踏まえて軌道修正されているということについて、一定の評価をしている。
3点目でございます。公立・公的医療機関等に対する再検証要請について、一定の期限を設定する必要があるという課題があることは理解するが、現在は非常事態である。思い切ってスケジュールの見直しをするべきだ。
4点目、地域医療構想においては、有事の体制の議論が十分考慮されていなかったのではないか。しっかり議論していただきたいという御意見をいただいてございます。
私からは以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございました。
それでは、委員の皆様から御質問、御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
平井委員、どうぞ。
○平井委員 ありがとうございます。
今いろいろと皆様方の御意見、私どものほうでも共通の思いが伝わってまいりまして、まず審議に感謝を申し上げたいと思います。
実は今日、私ども全国知事会議を開催したところでありますが、この地域医療構想につきましても、1つ、皆さんと議論をさせていただいたところであります。
現状を申し上げますと、北海道で100人を超える新型コロナの感染者が出ました。また、地方でも滋賀県で久方ぶりに10人を超えるということになりました。現在の状況は、東京や大阪等、大都市のみならず、地方部におきましても、新型コロナの感染が広がる気配が出てきているところでありまして、正直申し上げまして、非常に注意すべき段階に入りつつあるのではないかと考えております。
今、我々が優先すべきなのは、この新型コロナという世界中が向き合っている敵と戦うことでございまして、健康や命をしっかりと守ることであります。特に治療に当たるところは、こうした新型コロナの治療の能力のある公立・公的病院、中核を担う病院が主流であります。それが大都市だけでなくてそれぞれの地域にあることで、感染の拡大を防ぎ、また、指導を行うことができる体制になっていますし、検査等も十分にできるような体制にもつながってくるわけであります。
そういう意味で、この地域医療構想を進めること自体に我々地方部が反対をするということでは決してないわけであります。もちろん医療のこれからの適正な資源配分であるとか、そうした整備を行っていくことに反対するものでは決してありませんが、今は優先すべきは新型コロナ対策である。このことを現場の声として、ぜひ政府に受け止めてもらう必要があるだろう。そういう意味で、審議会としてもそうした考え方をまとめていくことに私も賛同するものでございます。
また、後ほど出てくるような医師確保であるとか、あるいは医師の働き方改革、そうしたことにも関連をしてくるものでありますが、こうした一連の課題が、今とても現場でそういうことを議論できるような状況ではございませんので、一旦先送りをするのが分かりやすい今の判断ではないかと思います。それで、時宜を得て、また改めてそうした体制が整ってきたところで、本当に実りのある議論をするのが妥当ではないかと考えておりますので、御理解いただければと思います。
○永井部会長 ありがとうございます。
それでは、遠藤委員、佐保委員、神野委員の順番でお願いします。
○遠藤委員 それでは、私のほうから申し上げます。
新型コロナウイルス感染症が全国的に拡大した当初、医療用マスクをはじめ個人防護具が不足するなど現場が混乱する中で、自治体と地域の医療機関が連携しながら懸命に対応したところです。とりわけ、中山間地域や離島等の条件不利地域においては、医師や看護師などの医療従事者が大変深刻化している中で、院内感染やクラスター等の発生により、医療崩壊を招くことのないよう対策を講じているところです。
このような、かつていない事態を経験したことにより、地域における医療提供体制の確保が極めて重要であることが広く国民に再認識されました。また、従来の地域医療構想の議論では十分に想定されなかった新興・再興感染症への対策や、自然災害が発生した際の受入れ体制の確保など、新たに検討すべき課題が浮き彫りとなりました。
短期的に解決することが難しいこれらの課題については、地域医療構想調整会議において、丁寧かつ慎重に議論すべきであることから、再検証期限の設定については特段の配慮をお願いします。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
それでは、佐保委員、神野委員の順でお願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。佐保です。
感染拡大時の受入れ体制について、地域ごとに人口や年齢構成はもとより医療資源の状況が異なっているため、それぞれの地域でどう受け入れるか、治療体制を議論し、地域医療構想の内容を見直す必要があると考えます。地域の医療機関、自治体が一体となった取組が重要だと考えます。
人口減少、少子超高齢社会での地域医療ニーズを考えつつ、いざというときのための平時からの備えは必要であり、各地域でバランスを考えながらの検討となるではないかと考えます。
地方では、公立・公的医療機関が新型コロナウイルス感染症患者の受入れ、治療の中核を担っている状況を踏まえて、具体的対応方針の再検討において、今後の再流行や新たな感染症対策を見据えた検討が重要な観点だと考えます。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
続いて、神野委員、その後、加納委員、お願いします。
○神野委員 神野です。ありがとうございます。
先ほど平井知事がおっしゃったように、有事において、立ち止まって地域医療構想を見直すということに関しましては、御英断だと思っております。
ただ、もともと地域医療構想の考え方というのは、地域における人口減少、人口構造の変化というところが非常に大きいわけであります。その中で、コロナのときの余裕のある病床、人員、PPE等の念のため需要にどう対応していくのか。そしてまた、実際に今回の御意見というところにもありましたけれども、今後起こり得る様々な新たな感染症流行にも備えるということになりますと、地域医療構想の枠の中で、この余裕、念のための医療需要を考えていいのかと。それから、そういった余裕に対して診療報酬上きちんと手当てできるのか、経営的に成り立つのかということまで考えますと、私は、地域医療構想とは別枠の、余裕、念のため需要といったものを国としてきちんと決めて、そこには経営的にも手当てするという考え方が必要なのではないかと強く思います。
以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
加納委員、その後、久喜委員、どうぞ。
○加納委員 ありがとうございます。
今回、新型コロナ禍の中で日本が医療崩壊しなかったのは、まず、新型コロナが増えた8つの地域では、普段から二次救急を民間医療機関主体でやっており、さらに人口密度が高いところは今もしっかりと民間医療機関が二次救急を守り、このことが、今回、役割分担という意味で、しっかりと新型コロナを診る病院と、ノンコロナと言われています新型コロナを診られなかった病院に分かれたことです。PPE、手袋はない、マスクはない、消毒薬はない状況で診ていたら、連鎖反応的に、欧米並みの医療崩壊していたわけなのですが、この役割分担がうまくできたということが、日本で医療崩壊しなかった大きな理由だと考えております。
普段から急性期を担う部分について、考え方はいろいろあるのですが、地方で人口密度の少ないところでは、公的・公立医療機関、地域の中核病院と先ほどから話が出ていますが、そういった病院を中心に対応せざるを得なかったのですが、もしそこでコロナの院内感染を起こしておれば医療崩壊していたわけであります。逆に、人口密度が高いところは新型コロナ以外の救急患者が新型コロナの患者さんの10倍近く実際にはあったわけで、それをしっかりとノンコロナの病院が受けていたことによって医療崩壊しなかったという現実もあります。その辺りを考えながら、先ほど神野先生がおっしゃったように、地域医療構想の数の問題を含め、しっかりと検証して考えるべきではないかと思っております。よろしくお願いします。
○永井部会長 ありがとうございます。
それでは、久喜委員、その後、河本委員、お願いします。
○久喜委員 御指名いただきましてありがとうございます。
今回、コロナで地域のほうでも結構いろいろクラスターが出たりして、一番怖かったのは、救急患者がそこに入ったときに、PCRという形でできればよかったのですが、それがなかなか行き届かなくて院内感染ということが一番怖いところでございます。
地域医療構想を見たときに、病院を再編成するという考え方でいった場合に、やはり今のコロナの時では、地域医療構想は少し待って、延期して、まずはコロナでしっかり医療体制を整えて、その下で再編成していくべきではないかと思っています。
病棟内で発生した場合には、ほかの病院をコロナ専門の病棟にしようと私のほうで考えたところもあるのですが、そこまで至らなかったということなのですけれども、これからさらに起こってきた場合に、公立病院をコロナ専門病棟にしていくということも必要であり、また、こういう時期に至っては、やはり地域医療構想を少し延期して、コロナということにしっかり対応していくべきだと私は思っています。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
河本委員、どうぞ。
○河本委員 ありがとうございます。
人口構造の変化という構造的要因が変わらない中で、やはりこの地域医療構想の検討というのは粛々と進めていくべきだと思います。コロナ禍において、医療機関の役割分担と連携の重要性はさらに浮き彫りになったと思います。地域医療構想の検討を再開して、その役割分担と連携の検討を進めていく必要があると考えております。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
井上委員、どうぞ。
○井上委員 ありがとうございます。
新型コロナウイルス感染症への対応の経験を踏まえながら、医療提供体制を整えていくことは本当に重要な課題であると思いますけれども、今、委員からありましたが、やはり人口動態の変化というのは変わらない大きな流れでございますので、この中でどうやって医療資源を効率的に有効活用していくかということから考えますと、コロナとは別に、やはり2025年に向けた地域医療構想は粛々と進めていくべきではないかと思います。
以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
相澤委員、どうぞ。
○相澤委員 御指名いただきありがとうございます。
今は、ともかく新型コロナウイルス感染症にどう対応するのか、今後どうなっていくのか、先も見えないわけですね。また、今、インフルエンザが流行したときにどうしていくのかと、そういう医療提供体制を構築しようとしているところでございますので、今、地域医療構想を云々するのは、私はよくないと思っております。新型コロナウイルス感染症に対する対策をきちんと行い、その後に、その対応がどうだったかいうことを反省し、情報をしっかりと収集した上で、それを併せて地域医療構想を構築していくのが、私は望ましいと考えております。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
ほかに御発言いかがでしょう。よろしいでしょうか。
御発言なければ、この件はここまでとさせていただきます。
それでは、資料1-2「医療計画の見直し等に関する検討会における外来機能の明確化・連携、かかりつけ医機能の強化等の議論について」事務局より説明をお願いいたします。
○総務課長 では、資料1-2を御確認いただければと思います。医政局総務課長でございます。
本件、外来機能の明確化・連携、かかりつけ医機能の強化といった議論でございます。
これは、大きな病院に患者が集中するのを防いで、かかりつけ医機能をどのように強化するのかということで議論が開始されたものでございます。医療部会におきましては、医療提供体制のあるべき姿について議論をする。それから、医療保険部会におきましては、保険制度における取扱いを議論するということで、両者連携して議論をしているというものでございます。
その後、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いまして、一時議論がストップしてございましたが、8月24日の当医療部会におきまして、改めて議論を再開しようということになりまして、その下にあります医療計画の見直し等に関する検討会で議論を進めることとされたものでございます。10月30日にその検討会が開催されましたので、その資料に沿いまして、本日は御説明させていただきたいと思います。
1枚めくりまして、2ページ以降は、10月30日の検討会ではいろいろな資料がございましたけれども、その中で議論のための論点ペーパーとして事務局が用意したシートでございます。
まず、2ページにありますのは、新型コロナウイルス感染症を踏まえた外来医療の課題全体をどのように考えるかということでございます。○の2つ目にありますように、先ほども御意見がありました個人防護具の確保等の課題、あるいは今後はインフルエンザの流行も見据えて対応していかなければならないといったような課題があると考えてございます。その上で3つ目の○にありますように、患者の受診控え等もあるということでありました。
したがいまして、矢印にありますように、引き続き、新型コロナウイルス感染症に対する外来医療体制を構築していく必要があるという中で、具体的な感染状況に応じた対応の在り方については関係審議会において検討しようといった整理をさせていただいてございます。
続きまして、その次のページは外来医療の課題全般のその2でございます。これにつきましては、最初の○にありますが、中長期的に言えば、人口減少、高齢化、あるいは担い手の減少、需要の変化といったものが見込まれる。加えて言うならば、最後にありますように、外来医療の高度化も進展しているということであります。
そこで、次の段落になりますが、新型コロナウイルス感染症に対応する中でも、今回、地域の医療機関が役割分担・連携をして、必要な医療を面として支えているということが明らかになった。そういった中で、外来機能の明確化・連携をしっかりと進めていくことが課題ではないかということでございます。
2つ目の○にありますように、また、高齢化の進展によりまして、複数の慢性疾患を抱える高齢者も増加しているということでありますので、同時にかかりつけ医機能の重要性が高い。段落を超えまして、そうした中で、患者にいわゆる大病院志向がある中で、勤務医の外来負担、あるいは病院の外来患者の待ち時間の長さ、こういった課題も生じているということでございます。
3つ目の○で、外来機能は多様ではございますが、これまでデータを含めて議論の蓄積が少ないということを指摘してございます。そうしたことを踏まえまして、矢印にありますように、外来医療につきまして、感染症の影響にも留意をしながら、4つぐらいの大きな束について議論していくべきではないかと。1つ目が外来機能の明確化・連携、2つ目がかかりつけ医機能の強化、3つ目が外来医療における多職種の役割、4つ目が外来医療のかかり方に関する国民の理解の推進ということでございます。この辺りの点につきましては、検討会におきまして、大きな特段の御異論はなかったと承知をしてございます。
4つの課題を掲げましたが、その中で中核となる外来機能の明確化・連携については、さらに3つの論点を示してございます。
4ページ目はそのうちの1つでございまして、「医療資源を重点的に活用する外来」(仮称)に着目して、地域の外来機能の明確化・連携を図るということ。さらに言えば、それに併せてかかりつけ医機能の強化を議論するということが、外来医療全体の議論を進めていくために必要な第一歩ではないかということでございます。
具体的に「医療資源を重点的に活用する外来」とはどういうものであるのかについては、さらに検討の場を設けて検討することとしてはどうかとしつつ、基本的には、ということで3つ箇条書きにしたものでございますが、医療資源を重点的に活用する入院の前後の外来、高額等の医療機器・設備を必要とする外来、紹介患者に対する外来、そういったものが考えられるのではないかとしてございます。
このシートの下、小さい字で書きました部分は、その前の3月の時点での御議論を踏まえて整理したものでございます。この小さい字は省略させていただきまして、その次のページが論点の2つ目の外来機能の報告というものでございます。
地域において外来機能の明確化・連携を進めていくに当たって、やはりデータに基づく議論を進める必要があるということで、病床機能報告を参考に、外来機能報告を行ってはどうかということでございます。その際、そうした報告の対象となる医療機関の範囲についてどう考えるかということで議論がありました。これについていろいろな御意見がございましたので、後ほど紹介をさせていただきます。
次のページが、外来機能の明確化・連携の3つ目の論点、地域における協議の仕組みでございます。これは外来機能報告を踏まえまして、各医療機関が自主的に行う取組の進捗状況を共有するということで、地域における協議の場を設けまして、その中で必要な調整を行うことがよいのではないかということでございます。
そうした結果、2つ目の○にございますように、「医療資源を重点的に活用する外来」を地域で基幹的に担う医療機関が明確化されることを目指すということであります。
その基幹的な医療機関については、3つ目の○にございますが、国が示す基準を参考にして、地域の協議の場で確認することによって、地域の実情を踏まえることができる仕組みとしてはどうかということでございます。
次の論点といたしましては、9ページ、かかりつけ医機能の強化でございます。
これは先ほど申し上げたように、高齢化の進展に伴って、よりかかりつけ医機能の重要性が高まっているのではないかということを基に、以下の方策が考えられるのではないかといたしまして、3つの具体的な点を挙げさせていただいております。
1つ目、かかりつけ医機能については、日本医師会・四病院団体協議会等の提言がございます。あるいは地域における実践の実例というものがあります。これらを踏まえまして事例等を調査・研究した上で、好事例の横展開を図っていく。
2つ目、かかりつけ医機能を強化するための研修等についての情報収集を行い、さらに国民に周知をしていく。
3つ目、医療機能情報提供制度というものがございますが、そういったものの中での周知に取り組んでいく。そういったことを記載してございます。
10ページ、その次の論点として、外来医療における多職種の役割でございます。
外来医療においては、地域や医療機関・薬局等で、多職種が連携して、それぞれの専門性を生かし、チームとして役割を果たしているということでありまして、これらをさらに推進していく必要があるということであります。そうした中で、歯科医療、薬剤師、薬局、看護師、そうした多職種の役割をさらに推進していくことが重要であろうという議論をしてございます。
論点の最後といたしましては、外来医療のかかり方に関する国民の理解の推進がございます。これまでも上手な医療のかかり方といった取組を進めているところでございますが、さらに現在におきましては受診を控えるという事態も見られますので、引き続きしっかりとした広報に取り組む必要があるだろうということでございます。
以上が論点でございました。
これから少し進め方についてのシートを用意させていただいておりますけれども、12ページは、検討会におきまして、このように進めていこうということで議論したものでございます。下のほうにありますが、まず11月、本日でございますが、検討会の状況をここに報告させていただきまして、検討会においてさらに整理をしていき、12月には一定の議論を集約し、当部会にその報告をしていきたいということでございまして、こういったスケジュール感の下に、検討会においてさらに議論を進めていくということでございます。
最後に、10月30日の検討会での御意見を簡単に紹介して、締めたいと思います。
13ページ「ご意見について1」という資料でありますが、最初の3つは全体に関わる御意見でございました。全体の進め方については、先ほど申し上げましたように、特段大きな御異論はなかったと承知をしてございます。
その次に、外来機能の明確化・連携につきましては、さらに3つぐらいの論点があると申し上げましたが、それぞれの論点ごとにかいつまんで御報告いたします。
まず、仮称でございますけれども、「医療資源を重点的に活用する外来」につきましては、1つ目の○、2つ目の○は、そうしたものに着目して取り組むことは一定の合理性がある。あるいは一つの切り口としての理解ができるという意見でございました。
他方で、3つ目の○にございますように、外来機能の明確化の目的をさらに明らかにすべきではないかといった議論がございましたし、下から2つ目、「医療資源を重点的に活用する外来」については3つほど機能の例示をさせていただいてございましたが、一定程度説得力もあるものの、さらに検討する場で議論をして、その際は慎重に、よく議論をしていくべきではないかといったことでございました。
さらに、最後の○にありますけれども、患者さんが理解できるような名称を考えていく必要があるということでございました。
2つ目の論点の外来機能報告につきましては、主にその対象についての意見があったように思います。
1つ目の○は、病床機能報告で対象になっているのが、病院及び有床診療所でありますので、基本的にはそれが対象になるといった議論かと思います。
他方で、3つ目の○でございますけれども、有床診療所については手挙げで行うのがよいのではないかという議論もありましたし、4つ目の○で、外来機能報告はまず病院から始めることがよいのではないかという議論もございました。
さらに、5つ目の○ですが、重装備の診療所も外来機能報告の対象とすべきではないかといったような形でございましたので、ここは様々な御議論があったということでございます。
3つ目の論点、地域における協議の仕組みにつきましては、これも全般的に言うと、最初の○に尽きるかと思いますが、こういう地域の場で総合的に議論をして調整していくといった仕組みは、地域性を考えるとよいのではないかといった議論でございました。
さらに、次の15ページはその続きで、個別の論点を含めたものでございます。15ページの最初の○にありますのは、「医療資源を重点的に活用する外来」を地域で基幹的に担う医療機関については、地域医療支援病院との関係がどうなるのかということについて、よく整理していこうではないかといった複数の御意見がございました。
最後に、かかりつけ医機能の強化等につきましては、最初の○で、かかりつけ医機能とはどういうものか、役割をもっと整理していく必要があるのではないかといった議論。
他方で、その次の○にありますけれども、かかりつけ医機能には様々な考え方があるので、議論には時間とデータの蓄積が必要ではないかといった御議論でございました。
私からは以上でございます。ここでの、また部会での御議論を踏まえまして、さらに検討会における議論を進めていきたいと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。
○永井部会長 ありがとうございます。
それでは、御意見、御質問をいただきたいと思います。
田中委員、それから山口委員、どうぞ。
○田中部会長代理 ありがとうございます。会場におります田中です。
「医療資源を重点的に活用する外来」とはすごい名称ですけれども、これについて少し発言します。
外来機能を明確に分けていく目的は、基幹的医療機関に患者さんが殺到しないようにするためだと理解しています。紹介患者を中心にすることが目的だとすると、下手をすると「資源を重点的に活用する」などの呼び方は、この病院のほうがいいのではないかと誤解を与えてしまうので、名称は考える必要があります。ここは、良い医療機関の名称ではありません。役割を担っているということを明確にすべきです。一方、患者さんの中でも高齢患者で、特段専門的医療を必要としていない方々にとって、探している医療機関は、かかりつけ医であり、地域包括ケアシステムを担っている外来医療機関です。歯科や介護、訪問看護と連携しているなどの情報が大切です。専門的な医療を探している場合には、重点的に資源を投入するとの表現は分かりますけれども、多くの高齢患者は、要は在宅生活を見てくれる医療機関を探しているはずです。したがって、重点的云々だけが表に出ないように注意し、かつ、名前も気をつけていただくといいのではないかと考えております。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
では、山口委員、どうぞ。
○山口委員 山口でございます。
私は、地域医療の見直し等に関する検討会の構成員を務めておりますので、「医療資源を重点的に活用する外来」のことなどについては、発言したことを先ほどまとめて御紹介いただきました。今、田中部会長代理がおっしゃったように、私も、もう少し分かりやすく、国民が理解できる名称が必要ではないかと思っております。
その場でも申し上げたのですが、「医療資源を重点的に活用する外来」というと、特定機能病院と地域医療支援病院にほぼ重なる部分があって、そうではないところがどういうところなのかということを次回以降、明確にしていただくということを検討会の中でお願いした次第です。
外来については、私たち構成員も、そして医療部会に上がってきても、一体何をここで話し合うのだということが非常に漠然として分かりにくかった面があったのですけれども、今、医療機能分化ということが進み始めている中で、漠然としているところを明確にしていこうということだと、今回ようやくそういう理解ができたところです。
ただ、地域での協議ということが今回も出ていますけれども、これまで地域医療構想の中で、協議の中にほとんど外来は議論されていなかったという御報告も、医療計画の見直し等に関する検討会ではございました。先ほどから新型コロナの負担ということが地域医療構想の中でお話しされている中で、さらに負担が増えないように、そういった配慮が必要ではないかということを感じました。
1つ、かかりつけ医に関することなのですけれども、かかりつけ医を持っているかどうかということを聞かれたときに、何かあったときに行くところが決まっているレベルから、本当に慢性疾患で何か主たる疾患があって、かかりつけ医機能として1人のドクターに診てもらっているという方。患者によってかかりつけ医というときのイメージが違ってきていると思います。どういった人をかかりつけ医と言うのかということをある程度明確にしていくことと、それから、例えば今、いろいろとかかりつけ医機能を持ったドクターの研修が行われていますけれども、そういう方がどこにいるのかという、実はかかりつけ医を選ぶだけの情報がないという声が一般の方からはよく聞かれるところです。そういったことをきちんと情報提供できる仕組みについても併せて構築していただきたいということをお願いしたいと思います。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
幾つか手が挙がっています。佐保委員、神野委員、井上委員の順番でお願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。佐保です。
外来機能の明確化・連携、かかりつけ医機能の強化等に関しては、地域医療構想、医師の偏在対策、医師・医療従事者の働き方改革の三位一体改革にもつながっていくものとして、評価したいと考えます。
さらに、新興・再興感染症に対して、地域の医療機関が連携して対応していくことにもつながっていくのではないかと考えております。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
神野委員、どうぞ。
○神野委員 ありがとうございます。
まず、全世代型社会保障検討会議で200床以上の病院の外来に定額負担の話が出ておりますけれども、これはここで議論する話ではないことはよく存じ上げております。ただ、この話に対して、今回、新たな仕組みを出していただいたことに関しては、私は高く評価するものであります。
その中で、先ほどもありましたけれども、地域医療支援病院というのが「重点的に活用する外来」に当てはまるのかもしれません。ただ、地域医療支援病院のほかにも、重点的な外来診療所は結構あるなというのが頭の中で出てくるわけであります。また、その外側に一般外来があるということであります。
これを国民目線で見たときに、一部の病院だけの外来機能を明確にするというのは、私はいかがなものかと。全ての外来機能が明確にされるべきでありますし、一般の診療所におきましても、かかりつけ医機能を持っている診療所もあれば、専門医療をやっていらっしゃる診療所もあるわけです。それから、一般の診療所に見えますけれども「医療資源を重点的に活用する外来」機能持っている診療所もあり得るということですので、ここで病院だけに外来機能報告するということに関しては、私はいかがなものかと思いますし、国民目線で全てに分かりやすいという意味合いからすれば、全ての外来機能に対して報告してもらうというのが筋ではないかと思います。
以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
その後、井上委員、楠岡委員の順でお願いします。
○井上委員 ありがとうございます。
外来機能の明確化・連携につきましては、大病院への患者の集中を防いで、かかりつけ医機能を強化するために非常に重要な取組だと思っております。
外来におきまして、それぞれの機能の明確化が図られることで、患者の状態に合った質の高い医療の提供も可能となりますし、また、医療資源のより有益な活用や医師等の働き方改革にもつながるものだと思います。名称はともかくとして、「医療資源を重点的に活用する外来」という枠組みにつきましては、賛同させていただきたいと思います。
その際、議論の起点となります外来機能報告につきましては、少なくとも病床機能報告の対象となっている病院、有床診療所は対象とすべきだと考えております。また、重点的に活用する外来と同時に、かかりつけ医につきましても、双方、国民の理解を促進する取組もお願いしたいと思います。
以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
楠岡委員、井伊委員の順でお願いします、
○楠岡委員 楠岡です。
前にも申し上げたと思うのですが、都市部では、大概の病院にほとんどの外来というか診療科がそろっているのに対して、地方においては、病院において、例えば眼科とか皮膚科というような科に関しては、外来機能もほとんどなく、もちろん入院も十分にできない。むしろその地域にある、有床診療所のことも多いのですけれども、そういう診療所の外来が、その地域における皮膚科、眼科とか耳鼻科の診療機能を担っているというケースも多々あります。そのような機能を地域の中でどう位置づけるか、あるいは地域医療構想、地域の計画の中に位置づけるかというのが、今の議論の中では少し欠けているように思います。そういうものも含めた形で、地域全体で診療機能をどこがどう分担するかの中に、そういう特定の外来機能を持った診療所等も入れていく必要があるのではないかと思います。ぜひその辺も検討していただきたいと思います。
以上です。
○永井部会長 井伊委員、どうぞ。
○井伊委員 ありがとうございます。
外来機能報告についてですけれども、データに基づく議論を進めるために、病院機能報告を参考に外来機能報告を行うということについては賛同いたします。
その上での意見ですが、現行の病院機能報告では、外来部門の看護師の数などは把握できますが、専門性の高い看護師の配置や、現在なされている療養指導、相談対応等の看護機能は分かりません。外来機能報告の項目を具体的に検討する際には、領域別の専門認定看護師等の配置や看護機能について、項目に入れていただきたいと思います。
資料1-2の15ページに記載いただいてますけれども、外来医療のかかり方や、外来における看護の役割機能についても国民に周知をする必要があると考えます。看護に関するデータ収集、情報提供の仕組みをつくることが重要と思いますので、重ねて発言いたしました。よろしくお願いします。
以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
加納委員、島崎委員の順でお願いします。
○加納委員 ありがとうございます。
先ほど神野委員がおっしゃっていた点なのですが、私は医療計画の見直し等の検討会でも委員ですので、そのときも発言させていただいたのですが、この手元の資料の78ページを見ていただきますと、無床診療所の医療資源を重点的に持っている外来の割合が3%、病院が23%と出ているかと思います。これを絶対数で考えていただきたいのです。絶対数で考えていただくと、無床診療所の数は10万あるのです。病院の12倍以上あるわけで、このパーセントを単純に掛けても、医療機関の数で言ったらはるかに無床診療所の重点医療機関の数のほうが多いわけなのです。
果たしてこれから議論が始まるかかりつけ医と専門外来という議論の中で、やはりこの絶対数、病院より多い重点医療機関の数になりますから、これを議論なしで話を進めるというのは余りにも矛盾した話ではないかと思います。今後、重点的な医療資源が何かという議論も含めて議論するに当たって、病院だけを議論するのはいかがなものか。先ほどの200床の問題もあったのですが、今、コロナで病院は大変なのです。大変な上に追い打ちをかけることにならないように、こういった議論はしっかりと考えて進めていただきたいと思っております。お願いします。
○永井部会長 ありがとうございます。
それでは、島崎委員、どうぞ。
○島崎委員 島崎です。ありがとうございます。
まず、事務局に簡単な事実の確認をしたいのですけれども、7ページの3つ目の○に報告に当たっては国の示す基準を参考にして、と書いてありますが、ここの意味は、報告に当たって、その報告の中身が地域の実情を踏まえて決められるということなのでしょうか。それとも、そもそも報告の対象となる医療機関そのものが、地域の実情を踏まえて決められるということを意味しているのでしょうか。重要な点なので、事実の確認をしたいと思います。
○永井部会長 事務局、いかがでしょう。
○総務課長 医政局総務課長でございます。
報告する事項というものは、基本的には地域によって変わるということではなくて、一定程度義務化するものでございますので、項目を決めるということだと思います。
その上で、地域で基幹的に「医療資源を重点的に活用する外来」を担う医療機関は、国の基準を参考にして、地域の協議の場で確認して明らかにするという仕組みはどうかという趣旨で、この記載をしているものでございます。
○島崎委員 分かりました。そうすると、そのような医療機関を決めることの法的な効果がどういうことなのかということとも関係すると思います。先ほど来のお話を聞いていると、全世代型社会保障検討会議の200床以上の病院の定額負担の話と絡むのであれば、ある県ではこうした医療機関をどんどん指定していく方針をとり、ある県では極力それを限定するような方針をとると、国民の側からしますと、同じような外来機能の医療機関でありながら、ある県では対象になり、ある県では対象にならないということが生ずるのではないかと思います。
違う例で、先ほどどなたかがおっしゃった地域医療支援病院の例で言いますと、御承知のとおり、地域医療支援病院が二次医療圏の中に一つもない地域が数多くある一方で、あえて名前を出しますが、北九州や福岡は二次医療圏の中に地域医療支援病院が10以上もあります。単に名称だけの話ならともかく、診療報酬上、入院診療加算が初日に1万円つくわけで、医療財源の配分まで歪めているという問題もあります。ですから、もちろん地域の実情を一切無視すべきだと申し上げているわけでありませんけれども、医療資源重点外来についても、その辺のことについてよく考えるべきだというのが私の意見です。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
それでは、今村委員、河本委員の順でお願いします。
○今村委員 ありがとうございます。
まず1点、先ほど山口委員から、かかりつけ医と称する医師がどこにいるか分からないというお話がございました。現状として、日本医師会と四病協がかかりつけ医の定義をしているわけですけれども、国民、患者さんから見たかかりつけ医像というのは、まさしく山口委員がおっしゃったように様々、幅があると思います。かかりつけ医という医療提供者側の考えではなくて、やはり患者さんが自分がかかっている、かかりたい医師というのが起点だと思っています。
その際に、その先生がどういう機能を持っているのかというのは、現状では都道府県で医療機能の報告制度というものがあります。これで1つ問題点は、前から言われているように、47都道府県で記載の内容が完全にそろっていないということもありますけれども、私は東京で診療所をしておりますが、基本的には診療所の持っている機能についてはかなり細かく報告をしております。まず、国民や患者さんがしっかりと自分がかかりたい医師を探すためには、その地域の中のどの医療機関がどんな機能を持っているかというのは、そういった制度をしっかりと活用していただく。上手な医療のかかり方のお話にもつながると思いますけれども、そういったものを利用して、今の御自分にとって、かかりつけ医はこの機能を持っている先生だという選択をしていただくことが非常に重要だと思っています。
さらに、先ほど今回の報告制度のお話というのは、何を求めて報告をしていただくかというと、結局「医療資源を重点的に活用する外来」を分けるために報告してもらうということが多分一番の目的になっているのだと思います。先ほど4ページにもありましたように、入院前後の外来であるとか、高額等の医療機器・設備を必要とする外来とか、いわゆる紹介患者に対する外来ということを、保険診療所、レセプトとかを活用して見ていくという話になっています。
そうだとすると、もともと厚労省の資料にもありますけれども、入院医療と一体的に議論する観点であるとか、あるいは医療機関等の負担軽減の観点から、レセプト情報、特定健診情報等のNDBを活用することで報告していただくということで、医療機関の負担を減らすことを考えますと、いずれは全ての医療機関がこういった機能を報告することが重要なのだと思いますけれども、今回の目的を鑑みれば、まずは病院や手挙げした有床診から始めていただくというのが、本来、入院医療と一体で考えるという意味では必要な観点ではないかと思っております。
通常の診療所では、今、この3つの要件に当てはまるようなところはあまりないと思っています。もちろん一部の診療所では、かなり高額な医療機器を使用した外来などを専門的にやっておられるとこもあるので、もしそういうところを対象にするのであれば、手挙げ等で何らかの形で報告をしていただくという形でよいのではないかと思っております。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
続いて、河本委員、その後、相澤委員。
○河本委員 ありがとうございます。
先ほども申し上げましたが、人口構造の変化に伴い、外来医療においても役割分担と連携を進めていくということは不可欠です。そのためには、かかりつけ医機能の推進を前提として、地域における基幹的な外来機能を明確化する。その上で他の医療機関との連携をとっていくという進め方がよろしいのかなと思います。
その意味で、まず「医療資源を重点的に活用する外来」に着目することについては、医療資源の投入量が大きくて、かつ、先行して取組を行っている入院医療と関係が深い外来機能からまず着手していこうという趣旨だと思いますので、一定の合理性があると考えます。
それから、外来機能報告の対象となる医療機関の範囲については、やはり少なくとも病床機能報告の対象となっている病院と有床診療所は対象とすべきと考えます。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
それでは、相澤委員、その後、釜萢委員、お願いします。
○相澤委員 どうもありがとうございます。
先ほど今村先生がおっしゃっていたように、医療機能情報提供制度で、ほぼ医療機関の機能は分かっていると思うのです。そうすると、むしろそれをどう国民にしっかりと知ってもらって、それを活用してもらうかということを考えることが、国民の視点で考えていく上では一番重要ではないかと思います。
その上で、先ほどから話があるように、基幹的な医療機関に患者が集中することを防ぐという意味で考えますと、そういう病院の外来機能を明確にしていくことが必要だと思います。ただし、病院一括でなされても非常に困るわけです。病院はいろいろな科がありまして、例えば産婦人科は紹介患者さんを受けられるけれども、小児科は受けられないとか、科ごとに物すごく違うわけです。それをきちんと把握してやらないと、病院一括でやるということは、その地域の医療提供体制を壊していく可能性があるので、そこは重々注意しながらやっていかなければいけないと思っております。
その上で、私は、単に重点的な外来機能を担うということだけではなくて、やはりその病院が紹介を受ける、あるいは逆紹介をするという機能についても同時に把握すべきであると思っていますし、それも科ごとに見ますとかなりのことが分かってくると思いますので、単に重点的な機能を使うということだけではない、その面も一緒に把握していただきたいと強くお願い申し上げます。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
釜萢委員、どうぞ。
○釜萢委員 釜萢です。どうもありがとうございます。
外来機能報告、また、外来機能の明確化・連携という今回のテーマについて、いろいろな目的があるということで、その目的について、何にこれが使われるのかということの御懸念もお持ちの方がおられるのだろうなと思いながらお話を聞いていました。
その中で、外来機能を明確化することは重要でありまして、そのことに取り組むことは必要ですが、地域医療構想を考えたときと同様に、まずその地域に不足している外来機能は何なのかというところを明確にするところから取り組むべきであって、この地域には重複したものもいろいろあるというのが見えてきて、そして、徐々にそれが効率的にある程度集約されていくということはよろしいと思いますけれども、まず、その地域に不足している外来機能があるのであれば、その辺りが明らかになり、そこの手当てが行われるところから取り組むということが私はぜひ必要だろうと思いますので、発言をいたしました。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
木戸委員、どうぞ。
○木戸委員 ありがとうございます。
手術後に5年、10年たってもずっと大病院にかかり続ける方がいて、医師としては頼られるというのは大変嬉しいことではあるのですけれども、やはり働き方改革の面でも、医療資源の有効活用という意味でも、それは望ましくないことかと思います。
大病院の機能というよりは、むしろこういう場合には大病院に行ってはいけないとか、こういった場合はかかりつけに行くべきだということを示したほうが、患者さんにとっては分かりやすいのではないかと思います。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
松原委員、どうぞ。
○松原委員 ありがとうございます。
国民からすると、病院と診療所の違いさえも分からないのが実情だと思います。ほとんどの方にとっては医療機関とは全部病院ぐらいに思っている中で、病院だけでなく診療所も含め、外来でどういう機能を発揮してくれているのかというのは重要な情報だと思います。たとえば診療所が看取りまで見てくれるのかとか、歯科とも連携してくれるのかとか、そういう情報も含めて必要な情報を開示していくのは重要だと考えております。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
久喜委員、どうぞ。
○久喜委員 ありがとうございます。
今回このような形で外来機能をいろいろ議論していくことは、我々外来を持っている者としても大変うれしく思いますし、その中で、神野委員が言われるように、やはりいろいろなパターンがあると思うのです。外来に専門化するところもあるだろうし、有床診療所もあるだろうし、かかりつけ医専門にやっているとこもあるだろうし、そういうところでいろいろな形があるので、あまり縛らないで、外来機能にある程度自由度を持たせた形でこのようなことを進めていただければなと思うのです。それによって外来の医院の個性というものが出てくると思いますし、そのようなところで議論していっていただきたいと思います。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
御意見なければ、次に進めさせていただきます。厚生科学審議会感染症部会における議論について、事務局から説明をお願いいたします。
○結核感染症課長 健康局結核感染症課長を務めております江浪と申します。私から、資料2に基づきまして御報告を申し上げたいと思います。
今般の新型コロナウイルス感染症に関しましては、先ほど御議論の中でもございましたけれども、現在も感染拡大の地域がございまして、そういった意味で、まず対策に全力を挙げていくというところでございます。
新型コロナウイルス感染症の発生を踏まえました今後の対策に関しましては、新型コロナウイルス感染症の収束を踏まえた検証に基づいて、しっかり行われるべきものということではございますけれども、こういった新型コロナウイルス感染症対策をやっている中でも、必要な議論については並行して進めていく必要があるだろうという観点から、厚生科学審議会感染症部会におきまして、議論を行っていただいているところでございます。
今回御報告申し上げますのは、資料2の2ページ目にございますけれども、10月28日に厚生科学審議会感染症部会におきまして、新興感染症などの感染拡大時における医療提供体制の確保について御議論いただきました内容の御報告でございます。
まず、現状・課題というところでございますけれども、今般の新型コロナウイルス感染症の対応では、類似の感染症対応に関する知見がない中、感染症病床のほか、一般病床などでも多くの感染症患者を受け入れていただくなど、広く一般の医療提供体制にも大きな影響がある状況ということでございます。
今後、今般の新型コロナウイルス感染症で得られた知見を踏まえまして、新興感染症などの感染拡大時に必要な対策が機動的に講じられるように、基本的な事項についてあらかじめ地域で議論して、必要な準備を行うことが重要だと考えております。
感染症の医療提供体制の確保に関しましては、国が感染症法に基づき定めます基本指針に即して、各都道府県におきまして、法律に基づく予防計画を策定していただくということでございます。一方で、地域の医療提供体制の確保に関しましては、国が医療法に基づき定める基本方針に即して、各都道府県において医療計画を策定していただくこととなっているということでございます。
最後の○のところでございますけれども、今後、今般の新型コロナウイルス感染症のような新興感染症などの感染拡大時に、広く一般の医療提供体制にも大きな影響が及ぶことを前提に、必要な対応を機動的に講じられるように、予防計画と医療計画との間で整合性を確保しながら、行政と医療関係者などが連携した取組を進めていく必要があるということでございます。
次のページ、対応の方向性でございますけれども、新興感染症などの感染拡大時は、医療計画により整備される一般の医療連携体制にも大きな影響を及ぼす中、医療機関や行政など地域の幅広い関係者により必要な対応が機動的に講じられるように、感染症部会での議論も踏まえて、社会保障審議会医療部会におきましても必要な取組について御議論を進めるよう求めることとしたらどうかということで、先日、感染症部会のほうに御相談を申し上げました。
具体的には、医療計画の記載事項に新興感染症などの感染拡大時における医療を追加した上で、医療法に基づく基本方針などについて、感染症法に基づく基本指針と整合を図りながら、医療計画においても必要な内容が記載されるよう見直しを行うことなどが考えられるのではないかということで、御相談を申し上げたところでございます。
3枚目の資料の一番下の○でございますが、今般の新型コロナウイルス感染症対策に関しましては、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく基本的対処方針に従って進めているところでございまして、当面、感染拡大防止などの取組を進めながら、事態が収束した段階で、対策の評価と併せて、感染症法に基づく基本指針などの見直しにつきましても検討を行うことが考えられるのではないかということで御相談を申し上げたところでございます。
今回、10月28日の感染症部会におきましては、対応の方向性2点について御相談申し上げまして、この2つの点につきまして部会のほうで御了承いただいたということで、本日は、この医療計画の関係で医療部会におきまして議論を進めていただきたいということで御報告を申し上げるものでございます。
私からは以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
それでは、御質問、御意見をいただきたいと思います。いかがでしょう。
加納委員、どうぞ。
○加納委員 ありがとうございます。
今回、新型コロナの対応において、感染症に関する部会からいろいろな今までの対応とか、そういった問題が今後どのように検証されるかということになると思います。我々はそれを監督する医療部会という立場だと思うのですが、今回、初期の段階からどのように対応するかという検討の中で、病院がどのように対応していくか、きっちりと対応の措置を決めておかなかったということが1つ考えられるのではないかと思っております。
こういった新興・再興感染症が起こったときに、次はどうするかというときの議論の中に、感染症部会の中に病院の代表をぜひとも入れていただきたいと思います。これからどう対応するかという議論のそもそも論で、我々の意見も聞いていただいて、議論をして、その中身をまた医療部会のほうで議論するという形にしていただければと思うのですが、どうでしょうか。
○永井部会長 事務局、いかがでしょうか。
○結核感染症課長 結核感染症課長の江浪でございます。
感染症対策を議論していく上で、感染症対策を進める上での医療提供体制のことにつきまして、厚生科学審議会感染症部会のほうで議論をしていくことになります。そういった中で、どのように病院関係者の方々の御意見を反映していくかということに関しましては、本日いただきました御意見も踏まえて、しっかり検討していきたいと考えております。
本日、感染症部会の議論の結果として御相談申し上げておりますのは、実際に感染症の医療を行う際に、どうしても感染症医療という範囲だけではなくて、一般医療に関しましても非常に幅広く影響を及ぼすものであるという観点がございますので、そういった観点におきまして、医療計画の中でもあらかじめ議論をしていただきたいという観点の下で御報告に参ったということでございます。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
続いて、相澤委員、相澤委員の後に山口委員、どうぞ。
○相澤委員 ありがとうございます。
医療機関直接ではないのですが、今大きく問題になっているのは、老人施設や老人の集合住宅で感染症が発生したときにどうするのかという基本的な指針や方向性が決まっていないと思います。これに関しては早急に、地域ごとでいいと思いますが、体制をつくっていただきたいと思います。御高齢者ですので、命にも関わる問題になると思います。
それともう一つ、在宅医療で訪問看護師さんが訪問している介護度の重い方々がいらっしゃるのですが、ここに行く訪問看護師さんが感染しますと、そこでの訪問看護ができなくなってしまうということで、特に介護度4、5の在宅で療養している方々が困ってしまう。これに対して、いかに地域としてその医療を守っていくのかということもぜひ検討していただかないと、在宅療養の方に大変な迷惑がかかりますので、ぜひこの辺についても検討をお願いしたいと思います。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
では、山口委員、その後、井上委員、お願いします。
○山口委員 ありがとうございます。山口でございます。
事務局に質問をさせていただきたいのですけれども、今回、感染症のことを医療計画の中に入れるかどうかという議論があると思うのですが、もともとこの感染症法に基づく基本指針というものがあって、新型コロナウイルスの感染拡大があったときに、感染症法に基づく基本指針だけでは十分ではないというようなことが見えてきた部分が具体的にあるのかどうかということと、それを例えば医療計画の中に盛り込むことによって、こういった不十分だったところがきちんとできるようになるという視点があれば、その辺りのところを教えていただきたいと思います。
○永井部会長 いかがでしょうか。
○結核感染症課長 結核感染症課長の江浪でございます。
今回、御説明に用いました資料2の中に書いてございますけれども、感染症対策を議論する際に、感染症法の中では、どうしても感染症を病原性、感染力の強さ、重篤度に応じて分類をした上で、そういった感染症に対してどのように感染症病床を整備した上で対応していくかということで、ある意味、感染症に対する医療という分野の中でなるべく議論をしていこうという構造になっているところでございます。
しかしながら、今般の新型コロナウイルス感染症の関係では、今日この場にいらっしゃる先生方は皆様御存じのとおり、感染症病床以外にも、一般病床でも非常に多くの患者さんを受け入れていただくという中で、また、今回御提案させていただいている中で想定される記載事項を書いてございますけれども、幅広く、医療機関における感染防護具の備蓄をどう考えるかということであったり、院内感染対策についてどう考えるかということも含めて、あるいは検査体制もということでございますけれども、一般医療の中でも非常に大きな影響があったというところで、それについては一般医療全体を議論する計画である医療計画の中で御議論いただければということで、今回、感染症部会の中でも議論があって、本日、御相談申し上げているということでございます。
○永井部会長 山口委員。
○山口委員 ということは、感染症法の中にとどまらないような、こういった感染症法に基づいての医療機関だけではなくて、今回のように幅広くなったときに、医療機関全体でどう対策を取っていくかというようなことを計画の中に盛り込むという理解でよろしいでしょうか。
○結核感染症課長 そのようなことでお願いしたいと考えてございます。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
では、井上委員、その後、神野委員、お願いします。
○井上委員 ありがとうございます。
産業界においても、有事の際のBCP、ビジネス・コンティニュイティ・プランというのは非常にどの社も入念に整えているところでありまして、今回御提案のあった医療提供体制についても同じような形だと思います。
やはりキーとなるのは、異なる医療機関間の連携と、その間のデータの利活用、共有ということになると思います。あらかじめ医療機関間の役割分担、調整の方法を整理しておくとか、あるいはそのデータにつきましても、G-MISとかHER-SYSをもっと普及・活用していくということが非常に重要になってくると思いますし、もう一つ、都道府県を超えた連携というのも非常に重要だと思いますので、そういう視点もぜひ盛り込んでいただきたいと思います。
以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
神野委員、どうぞ。
○神野委員 たびたびすみません。ありがとうございます。
1番目の議事のときにもお話ししましたけれども、今回の感染症部会からのお話は、医療計画に書いてよろしくねというような感じに受け止めてしまうのですけれども、もちろん医療計画あるいは地域医療構想の中でも必要ですが、ただ、やはり新興感染症拡大のときには、余裕、余力、念のための別途病床、それから機材、資材というものは、まさに石油とかガスの国家備蓄基地のように、国家として別途確保すべき事案もあるのではないかと強く思います。
以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょう。よろしいでしょうか。
それでは、今の議題につきましては、医療計画に関する内容でありますので、今日の議論、御意見を踏まえて、医療計画の見直し等に関する検討会でさらに詳しい御検討をいただくことにいたします。
次の議題です。医師の働き方改革について説明をお願いいたします。
○看護職員確保対策官 医事課の室長として説明します。田中と申します。資料3を御覧ください。
医師の働き方改革についてということで、3ページを御覧ください。医師の働き方改革につきましては、医師の働き方改革の推進に関する検討会におきまして検討をいただいております。1月29日のこの部会で議論の状況を御報告したかと思います。検討会の開催状況を右下に書いてございますが、その後、一旦中断はいたしましたが、8月末に再開して、検討を進めていただいております。
めくっていただきまして、4ページ、医師の勤務実態調査についてでございます。現在医師についての1,860時間という水準につきましては、平成28年に実施した勤務実態調査、いわゆる10万人調査を踏まえてのものでございます。今般改めて、昨年、研究班のほうで同規模の勤務実態調査を行っていただいております。
5ページを御覧ください。結果でございます。病院の常勤勤務医の週労働時間の区分別の割合でございます。オレンジが前回で、緑色が今回の棒でございます。1,860時間というのは、前回調査の上位10%のラインを踏まえて検討したものでございますが、今回調査の上位10%の時間外は、右下に赤囲みで書いてございますが、年換算で1,824時間という結果でございました。この結果につきまして、検討会のほうでは、1,860という現在検討している水準を変更していく必要性はないというような方向で御検討いただいております。
6ページを御覧ください。医師の働き方改革の地域医療への影響調査でございます。1月のこの部会でも、副業・兼業している場合の地域医療への影響についての御指摘をいただいたかと思います。今般、研究班で、2大学6診療科におきまして、上限規制の適用による大学から関連病院への医師派遣への影響、それから、副業・兼業先の病院におけます勤務への影響などについて調査を行っております。
このページの真ん中ほどから下、調査結果1と書いてございますが、左下に棒グラフをつけております。調査対象の6つの診療科いずれも、大学病院だけでの労働時間では、時間外・休日労働時間年間契約60時間換算で平均週60時間を超えておりませんでした。一方で、兼務先を加えた時間で見ますと、4つの診療科においては平均で週60時間を超えていたという結果でございます。また、これの右のプロットを見ていただきますと、右上にはみ出しているように、1,860時間を超えて勤務する医師も一定数存在したという結果でございます。
7ページを御覧ください。調査結果2とありますが、1,860時間を超えている医師について、宿直・日直中の待機時間を除外すると、相当程度が1,860時間以内に収まってくるという結果を表しております。この表の一番右の欄ですけれども、宿直・日直中の大学病院、兼務先、それぞれの診療時間の割合ということでございます。
3は飛ばしまして、下の調査結果4というところを御覧ください。上限規制が適用された場合に医師が追加で何人必要かというシミュレーションでございます。いずれも1名、あるいは1名以下という結果でございます。
8ページを御覧ください。調査結果のまとめと研究班からの問題提起ということでまとめております。下の緑色で囲ってございますところが問題提起でございます。こちらの中に書いてございますが、大学病院だけで960時間以内であっても、兼務先と通算しますと960時間を超える医師が多いことから、そうした場合に、通算で960時間を超えないようにするために、兼業させないといったようなことがないようにする必要があるとの提起をいただいております。
以上が調査結果です。
なお、この地域医療影響調査につきましては、今回、2地域2大学での調査でございました。検討会でも御指摘ございまして、上限規制適用までの間に引き続き地域を増やして調査を行っていくこととしております。
9ページ、10ページは、勤務実態調査におけます副業・兼業の状況でございます。
10ページを御覧ください。棒グラフに色をつけてございますが、青い部分が主たる勤務先では960時間以下であるものの、兼務先を通算すると960時間を超える医師の割合ということで、大学病院につきましては23.3%という結果でございます。
これらを踏まえました検討会での方針として御検討いただいている内容は、12ページを御覧ください。(B)水準の対象となる医療機関機能という表題の資料でございます。
(B)水準の対象となる医療機関に、従来検討していたものに加えまして、この中で赤文字にしておりますように、医師の派遣を通じて地域の医療提供体制を確保するために必要な役割を担う医療機関ということで、個々の医療機関における時間外を年960時間まで認めるような類型、いわば兼業型(B)というような類型を追加してはどうかという方向で御議論をいただいております。
最後に13ページですが、その場合も、こうした(B)水準の指定を受ける医療機関での労働時間短縮計画の策定を求めるということと、その際の留意点について御議論をいただいております。
検討会では、次回以降、取りまとめに向けた検討を進めていくこととしております。
以上でございます。
○永井部会長 いかがでしょうか。
加納委員、それから木戸委員、佐保委員の順でお願いします。
○加納委員 たびたびすみません。
我々は、実は先ほど申しました新型コロナでも頑張っている二次救急で、例えば大都市の二次救というのは、大阪がいい例ということで働き方委員会にも資料を出させていただいて、使っていただいたと思うのですが、ほとんどの二次救急病院が大学から当直医の派遣をお願いしています。割合的にはもう40%を超えているという状態であります。これがもし、安易な形での対応をされて、決まり切った形での対応をされますと、それが潰れるということで、新型コロナどころか救急も受けられなくなってしまうという状況になるのではないかと懸念します。やはり地域医療を守るということもしっかりと考えていただいて、やっていただくということになっていますが、重ねてその点を慎重にお願いしたいと思っております。よろしくお願いします。
○永井部会長 では、木戸委員、どうぞ。
○木戸委員 勤務医の立場から、一言この議論について申し上げたいと思います。
先ほどの実態調査の結果からも、実態に即したスキームをつくっていくことは、地域医療への影響を考えますと、今の検討会での議論の進め方はある程度は容認できると思います。ただ、(A)水準の960時間というものも、(B)や(C)と比べると大分少なく見えますが、一般則に比べれば相当な長時間労働で、やはり医師の働き方は極めて異常であるという認識に立って、今後も議論を進めていただきたいと思います。仕事が終わって家に帰って寝るだけではなくて、子供を産み育てるとか、時間的・経済的な余裕が必要です。兼業して長時間働かなければやりくりできないような生活では、ワンオペ育児を誰かに押し付けなければとても無理な話です。医療提供体制の確保ももちろん大切ですけれども、過労死する仲間をこれ以上出さないためにも、少子化対策のためにも、やはり働き方の改善と、大学病院などの医師の処遇の改善について、具体的な取組をぜひ先延ばしせずに早めに進めていただきたいと思います。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
佐保委員、どうぞ。
○佐保委員 ありがとうございます。
資料3のスライド13の中で副業・兼業先の労働時間短縮について記載がありますが、時短の実効性を確保するためにも、メインの働き先医療機関と兼業・副業先の医療機関で雇用管理をする部署間での連携が重要であることや、それ以外の場合の時短の協力要請等は誰がどのような内容で行うかなどを、医師労働時間短縮計画策定ガイドライン等で示すことが適当ではないかと考えております。
さらに、副業・兼業における労働時間の把握は、医療安全にもつながる重要な問題であることから、第8回医師の働き方改革の推進に関する検討会で示された医師労働時間短縮計画策定ガイドライン案で、副業・兼業先の労働時間の状況も踏まえた勤務シフトの管理という項目が設けられているものの、副業・兼業時の契約の際に、長時間労働にならないよう、労働時間管理の方法や健康配慮等について定めることなど、より詳細を記載することが必要ではないかと考えております。
なお、フリーランスの医師については労働時間の把握が課題となってくるのではないかと考えますが、考えている対応策等があれば、事務局の考えを教えていただきたいと思います。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
事務局、いかがでしょうか。
○医師養成等企画調整室長 医事課の室長をしています加藤と申します。
フリーランスの医師に関しましては、フリーランスの医師であったとしても基本的には医療機関との雇用契約の下、勤務していただくことになりますので、複数の医療機関において勤務している方々の労務管理等の課題は当然ございますけれども、今回お示ししているとおり、大学病院においても4か所以上兼業・副業している方たちもいらっしゃいますので、共通した問題かと思っています。多数の医療機関で働かれている方の労務管理の仕方に関しましては、今後も検討させていただきたいと思います。
○永井部会長 ほかにいかがでしょう。よろしいでしょうか。
それでは、次に参ります。へき地の医療機関への看護職員等の派遣及び福祉・介護施設におけるは看護師の日雇派遣について、説明をお願いいたします。
○看護職員確保対策官 看護職員確保対策官の田中です。
資料4を御覧ください。めくっていただきまして、まず、へき地の医療機関への看護職員等の派遣についてでございます。徳島県をはじめ、地方から提案いただいた地方分権改革に関する提案募集に対する対応でございます。
提案内容は、へき地におけます医療従事者の不足の中で、医師について認められておりますへき地の医療機関への労働者派遣につきまして、看護師、准看護師、薬剤師、臨床検査技師、診療放射線技師についても認めるようにという内容でございます。これにつきまして昨年12月の閣議決定の中で、下に記載のように、検討について記載をしております。
2ページを御覧ください。対応方針案でございます。
2つ目の○に書いてございます。医師につきましては、地域によって医師の確保が困難という中で、医師確保のための選択肢の一つとして労働者派遣を認める必要性があるということで、平成18年から、へき地の医療機関への派遣につきまして、例外的に労働者派遣を認められているという状況でございます。
今般、地方分権改革に関する地方からの提案を踏まえまして、看護師等につきましても、チーム医療への支障を回避しつつ、へき地における看護師等の確保を図る観点から、へき地における医師の労働者派遣の枠組みと同様に、具体的には下に点線囲みをしておりますように、労働者派遣を行うことが可能なへき地の範囲ですとか、派遣元におけます事前研修、派遣先での教育訓練といったような、医師における枠組みと同様な枠組みによって、へき地の医療機関への看護師等の派遣を可能としてはどうかという対応方針案でございます。
3ページが今後の進め方でございまして、医療部会での検討の結果の報告を行った上で、最終的には労働政策審議会において議論をしていくという進め方を想定しております。
4ページを御覧ください。福祉施設・介護施設におけます看護師の日雇派遣についてということで、規制改革実施計画の取組事項への対応についてでございます。
こちらにつきましても、令和元年6月の閣議決定の中で、福祉施設・介護施設における看護師の日雇派遣に関するニーズの実態調査について記載されております。また、7月の規制改革実施計画、閣議決定の中で、福祉施設・介護施設における看護師の日雇派遣に関する検討について記載をしております。
5ページを御覧ください。福祉施設・介護施設におきましては、緊密な連携が必要な高度なチーム医療が一般的に行われないことから、看護師が行う業務について、現在、労働者派遣事業を行うことは、一部のサービスを除き可能とされております。一方で、日雇派遣につきましては、必要な雇用管理がされない、派遣労働者の保護に欠けるといったような問題から、原則禁止の中で禁止をされております。
こうした状況の中で、一定日雇派遣で働くことを求める声もあり、また、ニーズ調査の結果、日雇派遣に対する一定のニーズがあるということが確認されたことを踏まえまして、3つ目、4つ目の○にありますように、適切な雇用管理が確保されるかといったような観点から、福祉施設・介護施設への日雇派遣の可否についての検討を進めていく必要があることと、一方で、業務内容の観点からは、福祉施設・介護施設におけます看護師が行う業務というのは、入所者の日常的な健康管理業務が中心で、派遣労働者である看護師を特定できないことに伴う業務上の支障が少ないと考えられることから、現在、労働者派遣を行うことが可能とされているということで、日雇派遣につきましても、この考え方は基本的に当てはまると考えられるのではないかということで記載をしております。
進め方につきましては、下に書いてございますが、福祉施設・介護施設における雇用管理の観点ということから、具体的な検討は労政審で検討を進め、最終的な結論を得ていくことを想定しております。
説明は以上になります。
○永井部会長 ありがとうございます。
それでは、御発言をお願いいたします。安部委員、佐保委員、井伊委員、遠藤委員の順でお願いします。
○安部委員 安部でございます。御指名ありがとうございました。
へき地医療に関する派遣について、意見を1点と要望を2点、質問を1点させていただきたいと思います。
まず意見でございますが、日本薬剤師会、日本病院薬剤師会といたしましては、へき地医療の確保という観点から、今回の資料に示されたようなへき地の範囲に限定した薬剤師等の派遣を可能にするという御提案については賛同させていただきます。
その上で要望でありますが、派遣先となるへき地の医療機関の多くでは、そもそもへき地でありますので、薬剤師、人員が不足していることが想定され、派遣された薬剤師が担う業務が多岐にわたるということになります。そのため、派遣される薬剤師は、幅広い薬学的な知識と経験、また医師や他職種と良好なコミュニケーションを取ることができるような能力も求められます。
一方で、派遣される職員に関しては、派遣先が履歴書とか面接などで選考することができないという労働者派遣に特有の法的な縛りがございます。そのため、安全な医療や地域医療に支障が生じない体制が確保されるように環境を整備した上で薬剤師等の派遣が行われる仕組みとすることを要望させていただきたいと思います。
要望の2点目でありますけれども、今回御提案の労働者派遣の仕組みは賛同いたしますが、この仕組みだけでは、根本的にへき地の薬剤師不足を解消することは難しいと考えております。例えば国で策定する医療計画等の際に、病院薬剤師の偏在や人員不足などの課題についても、医師確保等への対応と併せて議論を行うような環境を整備していただくことを要望いたします。
最後に質問でありますけれども、平成18年に医師のへき地医療派遣が認められた際に、翌年の平成19年12月に「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令の一部を改正する政令等の施行について」という通知が医政局長と職業安定局長の連名で出されておりますが、今般の多職種のへき地派遣に関しても、仮にこれが実施される場合には、どのような議論、取扱いをするかを質問させていただきたいと思います。
以上です。
○永井部会長 ただいまの質問はいかがでしょう。
○看護職員確保対策官 今回対象地域として御説明したのは、資料で言いますと2ページにありますようにへき地でございます。19年はさらに地域を拡大したときの取扱いかと思いますが、今回の御要望に対して対応するということで対応方針として持っておりますのは、こちらに記載のへき地における労働者派遣ということになります。そういうことでよろしかったでしょうか。
○安部委員 いずれにせよ、様々な通知などの細かいところは再度議論になると思いますので、関係職種団体としっかりと協議をしながら詳細を決めていっていただきたいと思いますし、薬剤師に関しましては、病院薬剤師派遣の話でございますので、日本薬剤師会、日本病院薬剤師会と丁寧な議論を重ねて、この仕組みを有効なものにしていっていただきたいと最後に要望させていただきます。
○永井部会長 ありがとうございます。
それでは、佐保委員、井伊委員の順でお願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。佐保です。
へき地の派遣、日雇派遣ともに、医療の質の向上という観点と、労働者保護という観点の両面から、慎重に検討すべきだと考えております。
まず、へき地の医療機関への看護職員等の派遣については、派遣労働は臨時的・一時的が基本原則であり、雇用の原則は直接雇用であると考え、対応方針案には賛成しがたい面があります。ただ、その一方で、へき地での医療提供体制を考えれば、どうしてもやむを得ない状況とも考えております。やむを得ず都道府県の関与や派遣元と派遣先の事前の綿密な調整など一定の要件の下に、看護職員等のへき地への派遣を認めるとしても、今後、要件を緩和し、安易な拡大につながらないよう、極めて限定的な運用とすべきではないかと考えます。
また、派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針、派遣先が講ずべき措置に関する指針などの法令遵守はもとより、派遣された者の労働状況の把握、必要な対策や派遣元での他の看護職員等の労働状況の検証などの対策を講じることが必要であると考えます。
なお、派遣を受ける医療機関については、派遣での対応が常態化しないよう、人材確保策の継続が重要であるということは言うまでもありません。
次に、福祉・介護施設における看護師の日雇派遣については、へき地の医療機関への看護職員等の派遣よりさらに厳しい考えを持たざるを得ません。日雇派遣という雇用形態においては、雇用管理が十分なされていないという実態を踏まえれば、労働者保護の点から問題があると考えます。医療においてもチーム医療が重視されているのと同様に、福祉・介護分野でもチームケアの重要性が議論され、現場で取り組まれてきたということは周知のとおりであります。介護の質の確保という観点からも問題ではないかと考えます。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
それでは、井伊委員、その後に遠藤委員、お願いします。
○井伊委員 ありがとうございます。日本看護協会の井伊でございます。
まず、へき地の医療機関への派遣について申し上げたいと思います。現在、医師をへき地等の医療機関へ派遣しているものを看護師等に拡大するものと理解しています。これを行うに当たって幾つか要望を述べたいと思います。
まず、看護師の人材確保は施設による直接雇用が基本ですので、へき地の看護師確保の手段が労働者派遣に偏ることがないようにしていただきたい。また、派遣の実態を把握していただきたい。こうしたことによって、どのくらい、どこがどう助かるのかということは明確にしていただきたいと思います。
それから、へき地への労働者派遣は、へき地医療拠点病院または事業協力病院とへき地医療機関の間で実施されることを前提としていただきたい。そして、現在、へき地に医師を派遣する場合の取扱いや留意事項等については、先ほど安部委員もおっしゃっていましたが、国の通知に示されておりますけれども、看護師等を派遣する場合も同様の枠組みとしていただきたい。例えば、派遣される看護師等には事前研修や派遣先における必要な教育訓練を行うこと。適正な就業条件を確保すること。そして、適正な労務管理を十分行うということと、加えて、派遣先での業務が派遣時に看護師等の同意を得た範囲で適切に行われるよう、業務管理を実施できる体制をつくっていただきたいと思います。
最後ですけれども、各都道府県にはナースセンターがございます。このナースセンターとも適宜連携を図って行っていただきたいと、以上要望いたします。
次に、看護師の日雇派遣についてです。看護師の業務につきましては、例えば、特別養護老人ホームでは、点滴、インスリン注射、服薬管理等の医療行為が発生する場合があり、夜間対応や緊急の業務が発生する場合もありますが、安全衛生上の問題が起こらないように留意する必要があるというのが看護業務です。
これが日雇となりますと、派遣される看護師は、ほかに医師も看護師もいない中で、他のスタッフとの意思疎通や十分な申し送りがなないまま業務に当たらざるを得なかったり、事前に定めた業務の範囲を超えて役割が求められたり、そういったことを拒否できないというようなことも懸念されます。
配付された参考資料2にある調査結果からは、医療安全上の課題が「特になし」というのは26%にとどまっており、7割以上が不安を感じています。また、同じ調査結果を拝見いたしまして、日雇派遣について多大なニーズがあるとは言えないということではないかなとも思います。そもそも看護師の日雇派遣につきましては、必要な雇用管理がされず、派遣労働者の保護に欠ける等の問題があり、派遣労働者の保護の観点から原則禁止をされています。したがって、本会としては、看護師の日雇派遣に積極的に賛成ではありません。それでも行われるのであれば、労働環境を整備する必要があると思っておりまして、5点申し上げたいと思います。
まず、就業規則、処遇、業務内容など、適切な雇用管理が確保されるように整備をしていただきたい。
それから、医療安全の観点から、日雇派遣の看護師が行う業務は、入所者の日常的な健康管理業務の範囲内に特定をしていただきたい。
派遣元による事前のオリエンテーションと、派遣先における必要な教育訓練を行っていただきたい。
派遣先施設の利用者に混乱や不安が生じないよう、派遣先において必要な説明等を行っていただきたい。
最後ですが、適切に派遣が行われることを、労働局による監査等により確認すること。
以上5点が必要だと考えます。意見として申し上げました。
以上でございます。ありがとうございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
では、遠藤委員、その後、島崎委員、お願いします。
○遠藤委員 大変ありがとうございます。
本分権提案については、全国町村会においても積極的に検討いただきたいと意見を述べております。中山間地域や離島等の条件不利地域においては、医師不足はもちろんですが、看護師などの専門職の確保に大変苦労していることから、へき地の医療機関への派遣が可能となるようお願いします。
○永井部会長 ありがとうございます。
それでは、最後に島崎委員、よろしくお願いします。
○島崎委員 島崎です。
事務局に1つだけ確認させていただきたいのですけれども、派遣と在籍出向の違いです。
出向の中でも特に在籍して出向する場合は、派遣と外形的にはかなり似かよるのではないかと思います。なぜそのようなことを申し上げているかというと、私は、へき地の医療機関への派遣に限らず、医療職の人材育成の観点から人事交流はむしろ積極的に行うべきなのではないかと思っています。例えば病棟看護師が実際に訪問看護を行うことによって、病棟看護と訪問看護の意識の垣根を低くするとか、自分の適性を再考するといった、いろいろなプラスの効果があると思います。私は、したがって、単にへき地への派遣ということだけではなくて、そういう人事交流をはじめ人材育成機能を公立病院等はむしろ積極的に果たすべきなのではないかと思っています。
その点でお尋ねしたいのですけれども、そうした人事交流等を在籍出向で行う場合には、先ほどおっしゃったような派遣に伴ういろいろな規制は直接関わらないと理解してよろしいでしょうか。それと、冒頭申し上げた在籍出向と派遣の相違、もちろん契約関係が違うということは私も理解しているつもりでいますが、何が決定的に違うのかという点について御説明いただければと思います。
○永井部会長 事務局、お願いします。
○派遣・請負労働企画官 職業安定局需給調整事業課の堀と申します。よろしくお願いいたします。
今、先生がおっしゃっていただいた在籍出向と労働者派遣との関係でありますが、大もとは職業安定法において、労働者供給という形で、自己の支配下にある者を他人の使用に供するという労働者供給は禁止となっております。その例外として、一つは派遣法に基づく労働者派遣がございます。
今御指摘のように、在籍出向と労働者派遣は、その形は似ていますが、これを業として行う場合には、労働者供給として禁止となっております。ただ、今おっしゃったように人材育成の観点からですとか、そういった観点から、供給元との間の雇用関係を保ちながら別のところに労働者を行かせるといった形での在籍出向は、業として行うものではないということで認められるということになりますので、派遣法に基づく労働者派遣とは違う取扱いになっているということでございます。
以上です。
○島崎委員 分かりました。結構です。
○永井部会長 ほかによろしいでしょうか。
もし御意見がなければ、大体時間になりましたので、本日はこれまでとさせていただきます。
事務局から連絡事項等をお願いします。
○医療政策企画官 本日は一般傍聴の制限をしておりますので、議事録につきましては可能な限り速やかに公表できるよう、事務局としましても校正作業を進めてまいります。委員の先生方におかれましても、御多忙中とは存じますが、御協力いただけますようお願いいたします。
また、次回の医療部会の日程につきましては、詳細が決まり次第改めて御連絡させていただきます。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございました。
たくさんの御意見をありがとうございます。
それでは、これで終了いたします。どうもありがとうございました。

 

(了)

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