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2020年1月20日 第72回医療部会

医政局総務課

○日時

令和2年1月20日(月)12:00~14:00
 

 

○場所

全国都市会館 第2会議室

○議事


○医療政策企画官 ただいまから、第72回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お昼どきの開催となり、今回、まことに申しわけございませんが、御出席くださいまして、まことにありがとうございます。
 医療部会の総委員数が24名で、定足数は3分の1の8名となっております。本日は、猪口委員、小熊委員、久喜委員、平井委員、山口委員、山崎委員から御欠席との御連絡をいただいております。
 また、井伊委員が遅れておりますが、井伊委員を含めまして18名の委員の皆様が御出席予定ということですので、定足数に達していることをまず御報告申し上げます。
 次に、議事に入ります前に、お手元の資料等の確認をさせていただきます。
 お手元に議事次第、座席表、委員名簿のほか、タブレット端末を1台ずつお配りしております。厚生労働省では、審議会等のペーパーレス化の取り組みを推進しておりまして、当部会におきましても、全ての資料につきまして、お手元のタブレット端末で御確認いただく形となります。
 操作方法で御不明な点がございましたら、事務局にお申しつけください。
 以降の進行は、永井部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 カメラ撮りは、ここまでとさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○永井部会長 それでは、議題に入りたいと思います。
 「全世代型社会保障検討会議における議論について」、まず事務局より御説明をお願いいたします。
○総務課長 医政局の総務課長でございます。よろしくお願い申し上げます。
 お手元の資料1-2に、昨年12月19日に中間報告がなされました「全世代型社会保障会議中間報告」をつけておりますけれども、資料1-1に基づきまして、それに関連する事項につきまして、議論の状況について概況を御説明申し上げたいと思います。資料1-1をごらんいただけますでしょうか。
 資料1-1の構成でございますけれども、12月19日に公表されました中間報告に関連しまして、医療提供体制にかかわる事項につきまして、中間報告を各項目別に抜粋させていただいております。それに関連して、どういうところで、当部会を含めまして、どういう議論をしていただいているかということについて整理させていただきました。
 まず、医療提供体制の改革でございますけれども、地域医療構想の推進につきましては、右側にございますけれども、地域医療構想の全体像に係る新たな工程表の具体化を、骨太2020に向けて検討を行っていく必要がございますけれども、その事項につきまして「地域医療構想に関するワーキンググループ」等において検討させていただく予定でございます。
 また、地域間・診療科間の更なる医師偏在対策につきましては、「医師需給分科会」を初め、「医師臨床研修部会」等におきまして、記載にあるような形で検討いただいているところでございます。
 また、卒前・卒後の一貫した医師養成課程の整備につきましては、シームレスな医師養成について「医道審議会医師分科会」において引き続き検討させていただいております。
 地域における看護職員をはじめとする医療人材の確保・育成につきましては、「看護職員需給分科会」において検討いたしておりまして、昨年11月の中間まとめに沿った対応を検討いたしております。また、歯科衛生士の確保につきましても、予算事業などで対応させていただいているところでございます。
 医師・歯科医師等の働き方改革、医療職種の役割分担の見直しにつきましては、現在「医師の働き方改革の推進に関する検討会」及び「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/タスク・シェアの推進に関する検討会」において検討していただいているところでございます。
 1ページめくっていただきまして、2ページでございます。外来機能の明確化とかかりつけ医機能の強化ということにつきまして、「全世代型社会保障会議中間報告」におきましては、同会議の最終報告に向けた検討とあわせて社会保障審議会等で検討し、これは社会保障審議会、医療保険部会と医療部会がございますけれども、いずれにしても、社会保障審議会で検討して、本年夏までに成案を得るということが記載されております。これにつきましては、資料1-2の該当部分を含めまして、後ほど御説明申し上げたいと思います。
 在宅医療・歯科医療の更なる深化と推進、訪問看護体制の強化につきましては、「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」において引き続き検討いたしておりますし、先ほど申し上げた「看護職員需給分科会」においても御検討いただいているところでございます。
 また、遠隔医療の推進につきましては、「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」において、引き続き検討させていただいているところでございます。
 健康づくり・早期治療・重症化予防、医療といった一貫した施策の構築、セルフメディケーションの推進、ヘルスリテラシーの向上等につきましては、昨年5月に策定いたしました「健康寿命延伸プラン」の着実な実施ということを進めているところでございます。
 また、地域における医科歯科連携を含む歯科医療機関の強化、地域における薬剤師・薬局機能の強化につきましても、「歯科医療提供体制推進等事業」において検討させていただくとともに、薬剤師・薬局機能の強化につきましては、昨年11月に成立した改正薬機法等によって施行を推進しているところでございます。
 1ページめくっていただきまして、患者中心の医療を深化という項目の中で、医療のかかり方の変容に向けた取り組み推進ということで、「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」の取りまとめに沿いまして、医療のかかり方の重要性の普及啓発などの事業を推進させていただいているところでございます。
 尊厳と意思の尊重された人生の最終段階の迎え方支援ということで、「人生の最終段階における医療・ケアの普及・開発の在り方に関する検討会」の取りまとめに従いまして、事業を進めさせていただいているところでございます。
 「かかりつけ医」・「かかりつけ歯科医」・「かかりつけ薬剤師」を通じた、また保険者を通じた社会保障教育の充実ということでございますけれども、「社会保障の教育推進に関する検討会」、他部局でございますけれども、全省的に設けておりまして、社会保障教育に関するテキストの作成、学校現場での活用等を引き続き推進しているところでございます
 さらに、1ページめくっていただきまして、4ページでございますけれども、必要な医療を迅速に国民に届けるということで、安全で質の高い先端的医療の普及ということで、「厚生科学審議会再生医療評価部会」の取りまとめに基づいて、関連するワーキングなどで引き続き検討させていただいております。
 革新的な医薬品、医療機器等が生み出される環境整備ということで、厚生労働省及び関係省庁において、研究開発税制あるいは予算の関係につきまして検討させていただいているところでございます。
 また、医療上、必要不可欠な医薬品の安定供給体制の確保ということで、臨床的に重要な医薬品のサプライチェーンの実態把握等を通じて、今後施策を検討していく予定でございます。
 そのほか、全般を通じてでございますけれども、診療報酬改定におきましては、本部会でも御審議いただきました診療報酬改定の基本方針に基づいて、中医協で現在、具体的な議論が行われているという状況でございます。
 先ほど、外来機能の明確化とかかりつけ医機能の強化ということに関して、後ほど御説明すると申し上げましたけれども、資料1-2の10ページの具体的な記述につきまして御紹介申し上げたいと思います。「②大病院への患者集中を防ぎかかりつけ医機能の強化を図るための定額負担の拡大」というところをごらんいただきたいと思います。
 その趣旨でございますけれども、中間報告上は、2番目の文章でございますけれども、医療のアクセスや質を確保しつつ、病院勤務医・看護師等の過酷な勤務環境を改善して持続可能な医療提供体制を確保するためには、先ほど申し上げましたように、地域医療構想の推進、医師の働き方改革推進、医師偏在対策を進めるとともに、地域密着型の中小病院・診療所の在り方も踏まえ、外来機能の明確化とかかりつけ医機能の強化を図ることが必要不可欠であるということで、医療のあるべき姿につきまして、地域全体で治し、支える「地域完結型」の医療に変わりつつあり、身近なところで診療を受けられる「かかりつけ医」の普及や訪問看護の充実が不可欠である。
 大病院は、充実した人員配置や施設設備を必要とする入院医療や重装施設を活用した専門外来に集中し、外来診療は紹介患者を基本とする。一般的な外来受診はかかりつけ医機能を発揮する医療機関が担う方向を目指すということが記載されております。
 また、このような考え方のもとで、外来受診時定額負担につきましては、医療のあるべき姿として、病院・診療所における外来機能の明確化と地域におけるかかりつけ医機能の強化等について検討を進め、大病院と中小病院・診療所の外来における機能分化、かかりつけ医の普及推進の観点から、まずは選定療養である現行の他医療機関からの文書による紹介がない患者の大病院外来初診・再診時の定額負担の仕組みを大幅に拡充する。
 具体的には、以下の方向性に基づき、「全世代型社会保障会議」において最終報告に向けて検討を進める。同時に、これは当部会もございますけれども、社会保障審議会及び中央医療協議会においても検討を開始する。遅くとも2022年度初までに改革を実施できるよう、最終報告を取りまとめた上で、同審議会等の審議を経て、これは来年夏となっておりますけれども、実際のところ、ことしの夏までに成案を得て、速やかに必要な法制上の措置を講ずるということが記載されております。
 また、その下でございますけれども、その前提といたしまして、大病院・中小病院・診療所の外来機能の明確化を行いつつ、それを踏まえ、現在の選定療養費の仕組みである対象病院を病床数200床以上の一般病院に拡大する。その際、具体的な負担額や詳細設計を検討する際、患者のアクセスを過度に制限しないように配慮しつつ、病院・診療所の機能分化・連携が適切に図られるように検討する必要があるということでございまして、前提といたしまして、外来機能の明確化とかかりつけ医機能の強化ということをどういうふうに図っていくのかというのが、当部会、社会保障審議会で本年夏までに検討するということが、この中間報告で記載されているところでございます。
 説明は以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○医政局長 事務局の医政局長でございます。
 今の総務課長からの資料の説明に若干の補足をさせていただきたいと思います。
 今、委員の皆様方、タブレットで1-2「全世代型社会保障検討会議中間報告」をお開きいただいているかと思います。その資料で全体として御確認いただきたいのは、13ページ、最後のページになります。
 そも、政府として全世代型社会保障という考え方から内閣を挙げて改革している趣旨につきましては、重ねて申し上げませんが、その流れの中で内閣に設けられた検討会議において、今、御紹介させていただいたような検討の中間取りまとめが行われて、この検討会議における改革のさらなる内容は、ことしの夏の最終報告に向けて議論がされるということでございますので、私どもとしては、まずは政府全体で行われている、この議論に対応させていただくということを基本とさせていただいております。
 その中には、先ほど御紹介いたしましたように、問題意識として、医療のあり方について、もちろんそれは医療保険制度というファイナンスの問題もございますが、その前提として、医療提供について、この報告書の言葉を引用すれば、「医療のあるべき姿」というものも念頭に置いて、今後の全世代型の社会保障について、さらに具体的な方向性を議論すべきという建付になってございます。
 当社会保障審議会医療部会においては、これまでも医療の問題について幅広く御議論いただいてきたという経緯もある中、我々厚生労働省医政局事務局としては、この医療部会において、これまで御議論いただいていた蓄積を踏まえた上で、この「全世代型社会保障検討会議」の中間報告に示されたような「医療のあるべき姿」について詰めていく。
 そのためには、一から物事を全て議論するわけではなく、きょう、資料1-1として御紹介させていただきましたように、既に幾つかのテーマについては、今回、報告書に盛り込まれた内容は、当医療部会もしくは関係する検討組織において議論がされておりますので、それにつきましては、引き続き検討組織における議論を深めていただきながら、従来そうでありましたように、この医療部会に適宜御報告させていただき、全体として、この医療部会が統括していただくという形で検討を進めさせていただくというのを基本としております。
 その中で、先ほど後段で総務課長から説明させていただきましたように、外来機能でありますとかかかりつけ医機能につきましては、これまでもいろいろな御議論はありましたけれども、今般の中間報告において、とりわけ具体的に「全世代型社会保障検討会議の議論と同時に」という表現がございましたが、社会保障審議会や中医協において議論を深めるという方向性も明記されております。そこで、まず、医療のあるべき姿という全体像について、これまで御議論いただいた医療部会として、今回の議論を踏まえて、改めてどのような課題、あるいは個々の検討組織に置かれている検討に向けて、どのような御意見、御議論がこの時点であるのかということを伺わせていただく
と同時に、とりわけここで特記されております項目については、今後どのように考えていくべきか、この機会に委員の皆様方から御意見をいただきたい。そういう趣旨をもって、本日の会議に事務局として資料を用意させていただきました。そのような流れの中で、資料1-1、及びそれにとどまらない医療のあるべき姿、あるいは特に外来医療、かかりつけ医機能というものについて御意見を賜れば、我々事務局として受けとめて、次に向けての取り組みにつなげてまいりたいと思います。
 補足は以上であります。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、委員の皆様方から御意見、御質問をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
 どうぞ。
○長瀬参考人 資料1-2の11ページ、定額負担の拡大について、他の医療機関からの文書による紹介がない患者が、初診時5000円・再診時2500円以上の定額負担を求めることの対象病院を病床数200床以上の一般病院に拡大するというのがありますが、これはもう少し明確にしていただかないと、200床以上の一般病院と言いましても、いろいろな機能を持っておりますので、その辺の具体性が余りにもなさ過ぎて、ここでやらないといけないのかもわかりませんが、もうちょっときちんとしていただきたいなと思います。これは、他の病院団体の先生方も、そのように思われているのではないかと思います。
 以上です。
○永井部会長 いかがでしょうか。
 加納委員、どうぞ。
○加納委員 ありがとうございます。
 今おっしゃっていただいたとおりで、大病院をどの規模で考えるかという議論は、もともと前回までは400床のラインまではどのような形態を入れているとか、300床ではどうかとか、そういうラインの考え方があったかと思います。しかし、いきなり今回、200床というラインが出てきました。実は、今、多くの民間病院というのは、ケアミックスという形をやっております。ケアミックスというのは、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4つの機能に分かれる中で、その機能を全部または部分的に複数持っている病院であり、ときに、回復期を主体としている病院もあります。合計の病床数規模でいきますと、300床とか200床を超える病院も多くあります。
 ただ、急性期の機能は100床だけとか150床だけという、200床を切るところはあるかと思うのですけれども、それについてはどういうラインでかかりつけ医との役割分担、それが中小病院のあるべき姿かどうかはわからないですけれども、その姿をはっきりと形づけないと、いきなり乱暴にここで切るよという話に入ってしまっているような感じがします。その点は非常に危険だと思うのですが、どういう考え方で今回、200床の一般病院ということが出てきたのか、そこの流れをまずは教えていただけたらと思いますが、どうでしょうか。
○永井部会長 今の点、医政局長、お願いします。
○医政局長 事務局、医政局長です。
 率直に申し上げまして、私どもとしては、この「全世代型社会保障検討会議」における議論として、その中の委員、そして報告書には書いてございますが、並行して行われた与党における議論というものを総合的に加味して、この報告書が中間取りまとめとしてまとめられたということでございます。私どもが承知する限りにおいては、既存の幾つかの制度において、200床というところに制度的な節目があることも加味されたと承知しておりますが、私ども自身が今回、この200床を提案しているわけではないという点は、まず御理解いただきたいと思います。
 また、先ほど総務課長のほうから、御議論いただくに当たり、幅広にどういう事実が掲載されていたかということを御紹介するという意味では、今のことも含めて御披露申し上げたところでございますが、社会保障審議会には、御案内のように、当医療部会以外にも、医療保険部会等々、ファイナンスについて議論する場もございます。私どもとしては、現在の議論の状況について、先ほど御報告をさせていただいた上で、当医療部会にて御議論いただいている外来の機能というものを、医療提供の観点からどう考えるかということを念頭に御議論をお願いしたいと思いますが、当然ながら、そこについては行き来もする部分がございましょうから、本日の会議においては、保険局も含めて、事務局として座らせていただいております。
 私どもとして、責任を持ってお答えできる範囲については、事務局として対応させていただきたいと思います。
○永井部会長 加納委員、それから田中代理。
○加納委員 そもそも論として規模を決めていくということで、非常に大事な工程だと思っております。例えば前回の424病院が提示されたときもそうだったのですが、しっかりとした議論が必要だと思います。この「全世代型社会保障検討会議」においては、医療関係者の方はいらっしゃらないのでしょうか。病院を御存じの方はいらっしゃるのでしょうか。病院の状況等を認識なさる方はいらっしゃるのでしょうか。
○永井部会長 医政局長、お願いします。
○医政局長 事務局でございます。
 事実関係として、済みません、資料に欠落してございますが、この中間報告を取りまとめられた会議の構成員におきましては、いわゆるメディカルドクターの方はおられないと承知しておりますけれども、この間、会議における議論の過程では、医療関係者の方々からの御意見も聞き置かれた上で、また参考人として参加された上で、最終的には取りまとめられたという経緯を承知しております。
○永井部会長 手短にお願いします。
○加納委員 我々病院団体のほうは、これに関しては、一切そういう意見を聞いてもらえたような認識はないので、そういったところが急にこのような漠然とした数字が出てきた理由かなと思っております。
 以上です。
○永井部会長 田中部会長代理、その後相澤委員。
○田中部会長代理 局長が、この部会では何を話すかと先ほど言われました。そこは重要な観点です。資料1-2の10ページの②のタイトルは「かかりつけ医機能の強化を図るための定額負担の拡大」となっていますが、これは文章としては成り立たないですね。定額負担を病院側でとると、なぜかかりつけ医機能が強化されるかという論理は、特に成りたたないはずです。大病院あるいは中規模病院に行きにくくなるとしか書いてなく、本来の医療部会的な目的で言えば、かかりつけ医機能を持つ中小病院並びに診療所の外来機能をどのようにしたら強化できるかが、こちらの部会に与えられた使命なのに、定額負担は機能強化の話ではなくて、行きにくくすると言っているだけですね。
 この話は医療保険部会で大いに議論していただいてもいいし、ここでも先生方、主張しておいたほうがいいと思うのですけれども、それよりも一応の不満は聞いた上で、医療部会の話としては、かかりつけ医機能を強化するにはどうしたらいいか、それを住民の方々に知っていただくのにどうしたらいいかを取り上げるほうが、この会に与えられた使命であると私は考えます。
○永井部会長 相澤委員、どうぞ。
○相澤委員 まず、この報告書の問題の一つとして、国民、それから医療界が全て同じ考え方、基準を持って話していないということです。大病院・中小病院の区分はどこにもありません。これは、診療報酬でたまたま200床以上と200床未満で加算がついたりするのが違うということがあります。そして、その中で、前回診療報酬改定で、400床以上の地域医療支援病院と特定機能病院について報酬を変えたというのがございます。これについては、大病院・中小病院ではないのです。特定機能病院と地域医療支援病院の400床というところでみんなが納得したわけです。
 そして、今、議論されているのは、200床の地域医療支援病院に対して、またこの定額負担をしようということになっております。したがって、200床以上、以下が中小病院なのか大病院なのかは、どこにも規定がありませんし、私、厚生労働省の言葉の定義というところを調べてきましたけれども、中小病院・大病院のことは何も書いてありません。それが第1点で。要するに、皆が違う土俵に乗って話をしていたのでは意見が全く合いません。だから、ここをきちんとすべき。
 それと、ここにも地域密着型の中小病院と書いてありますが、地域密着型の病院という概念はどこにも書いてありません。どんな定義なのかも全くありません。そうすると、地域密着型の病院という概念が違っていれば、そこで違ってしまいます。事ほどさように、私は病院機能について、きちんと議論する場がこれまでなかった。だから、病院機能についてきちんと議論した上で、次に進めていただきたい。ぜひそういう場を僕は設けていただきたいというのが第1点です。
 第2点、病院は外来機能ばかりで成立するわけではありません。今、行われている地域医療構想というのは、入院機能について、どう分化するかということです。しかも、これは病院の機能分化ではなくて、病棟をどう分化させるかということの議論であります。これは、病院の機能分化になっていません。ですから、この外来機能というのは、病院全体の機能のうちの一部で、ではどうしていくのかといったときに、この全体の病院の機能を議論せずに、外来の機能だけを取り出して議論したら、私は大変間違った方向に行くのではないかと思いますので、これについてもぜひ議論する機会を設けていただきたいなと思っております。
 医療法においては、地域医療支援病院と特定機能病院だけは法律できちんと位置づけられている病院機能であります。そのほかの病院は、病院機能としては位置づけられていません。ですから、こういう点を配慮して、私は地域医療支援病院に外来の受診費の定額負担はやむを得ないと思っているのですが、これを全ての病院に拡大するというのは非常におかしな話だと私は思っておりますので、一度こういうことを本当に皆が真剣に議論して、これからの将来、日本の病院機能をどうしていくのか。これについて議論する場を僕はぜひ設けていただきたいということを強くお願いしたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 では、野村委員、それから楠岡委員。
○野村委員 ありがとうございます。
 先ほどの外来の役割の明確化やかかりつけ医の機能強化というところで、資料1-2の10ページの「かかりつけ医機能の強化を図るための定額負担の拡大」という言い方は、先ほどもおっしゃられたように少し違和感があるのですけれども、こういうことを私たち国民も同じように意識して、医療のあり方といったことを自分たちのこととして捉えていくことはすごく必要だと思います。
 ただ、定額負担の拡大が受診の抑制にならないようにということと、あと、初めから賢く上手にかかれるということはなかなか難しいと思うので、こういうかかり方とかを、今も多分いろいろな動きが厚生労働省のほうでもあると思うのですけれども、何度もかかるかかりつけ医で自分たちの受療行動を見直すきっかけがあったり、そういうことを振り返って教えていただく時間をとりながら、信頼関係を築けているかかりつけ医でできることとして、こういう機能強化をしていただけたら、すごくありがたいなと思い、発言させていただきました。
○永井部会長 楠岡委員、その後、織田参考人、お願いします。
○楠岡委員 現在議論されている地域医療構想は、病院の入院機能に関しての議論でありますけれども、これを導き出すに当たっては、DPCデータとか人口動態統計、病床機能報告と、いろいろなデータを組み合わせて、かなり緻密に組み上げられて、2025年の目標値が設定され、妥当性のあるものと受け止められ、医療界におけるコンセンサスは得られているかと思います。
 一方、今回の外来機能とかかかりつけ医機能に関しては、今まで一切そういうデータが調べられていないというか、診療所とか病院の外来等のレセデータはNDBにあるとか、あるいは有病率調査とかワンデー調査はありますけれども、その中でそれぞれの診療所あるいは病院の外来にどういう方がどういうふうにかかっているかというデータが全くありません。その中で、一律に200床がどうのこうのとか、あるいはかかりつけ医機能をどうやって評価するかという議論をするのは、非常に危険というか、単なる空想の上で、仮定の上に乗っただけの議論になりかねない。
 ついては、まず、データがどこにあるのか、それをどう整理するのかというのをきっちり確かめ、その上で、もし200床でこういう負担を導入すれば、その結果、どういう受療構造の変化が出てくるのかというシミュレーションをしっかりした上でないと受け入れかねますし、また新たな地域医療の崩壊の引き金になりかねないと思います。まずはエビデンスをはっきりさせていただきたいと思います。
○永井部会長 織田参考人、その後、今村委員、それから遠藤委員、お願いします。
○織田参考人 ありがとうございます。
 今、議論にも出てきたのですけれども、そもそも大病院・中小病院という定義がない中で、こういう文言が出てくると非常に驚きがあります。もともと選定療養費が入ったのは、大学病院みたいなところに外来が集中しないようにということもあって、外来と入院機能を分けたほうがいいのではないかということから始まっているのではないかと思います。そういう意味では、200床というのはもともと中小病院に入る部類で、しかも先ほどありましたように、機能が急性期だけじゃなくて、回復期とケアミックスの病院が非常に多い。そういう中で、地域のかかりつけ医的な役割をしているところが結構あります。そこで、何の議論もなく200床を持ってこられるというのは、非常に危険だと思います。
 それと、基本的に200床クラスだと、地方になると、診療科によっては周囲になくて、そこに患者さんが集中することがあります。ここにほかに標榜がない場合は検討すると書いてありますけれども、初診料が診療科によって違ってくるということ自体が非常に難しい。その辺に関して、これまで選定療養費を取ってこられた病院の分析等が行われてきたのか、お聞きしたいと思います。
○永井部会長 事務局から、今の点、いかがでしょうか。
○医政局長 ある程度委員の方々の御意見を伺った上で、まとめてお答えさせていただく形をお許しいただきたいと思います。
○永井部会長 では、今村委員。
○今村委員 ありがとうございます。
 幾つかの確認と意見を述べさせていただきたいと思いますけれども、この1-2の中間報告というのは、あくまで最終的な報告を出す前の中間的な報告という位置づけで、当然のことながら、これからさまざまな現場の御意見を聞いて、それをきちんと反映した形で報告が最終的にできるという理解でよろしいかどうか。
 つまり、この医療部会というのは非常に重い会であって、医療提供体制にとって一番権威のある会議ですから、そこで出た意見というものがきちんと最終報告に、医療者がいらっしゃらないところでの会議に反映していただけるように、厚労省としていろいろ働きかけをしていただけるということが大前提だろうなと思って、今の意見を伺っておりました。そのことについて教えていただきたい。
 また、資料1-1というのは、現在、厚生労働省として、既に1-2の中で書かれていることについて、こういう取り組みもしています、あるいはこれから引き続きしていきますという整理だという御説明だったわけですけれども、例えばそこの中で、1-2に書かれているのだけれども、厚労省としてはまだ取り組みがないというものについては、先ほども幾つかこういうものを検討してくださいという御意見があったと思うのですけれども、今後、そういうことが行われていくという理解でよろしいのかどうか。
 非常に細かい話ですけれども、1-2の中では、例えば健康寿命の延伸のところで、セルフケア・セルフメディケーションの推進と書いてあるのです。セルフメディケーションというのは、あくまでセルフケアの一部であって、自らが健康のためにさまざまな運動とか、あるいは睡眠とか禁煙とか、いろいろやっていく中の一部にセルフメディケーションというものがあるということですが、今まで厚生労働省を始めとして、セルフメディケーションということが前面に出ていて、この取り組みについてもセルフメディケーションのことはやっていますということですけれども、セルフケアのことというのは、厚労省として何か取り組みをされているのか。
 その同じ流れで、社会保障教育というものが今まで余り行われてこなかった。保険者やかかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師等が、いわゆる社会保障教育ということですけれども、学校教育の現場では引き続き行っていくと記載があるのですけれども、私が知る限り、学校の現場で社会保障教育が十分行われているという理解はしておらず、このことは文部科学省の中で、昨今、健康教育ということで、一部、がん教育とか、そういうことが行われていますけれども、社会保障全体に対する教育というのは、日本の国民はほとんど受けていないのではないかと思っていまして、これは非常に重要なことなので、ぜひ文科省とも連携をとってやっていただきたい。
 最後に、ちょっと長くなりましたけれども、かかりつけ医の機能のお話ございましたけれども、これは診療報酬の議論、いわゆる中医協とも連携しながらと書いてあるのですけれども、私も中医協の委員なので、中医協の議論は、かかりつけ医機能をどう評価するかという視点ではありますけれども、結局、診療報酬というのは、限られた財源の中での議論になるので、例えばいろいろな施設の要件であるとか、算定するための要件を設ける仕組みのため、実際にはかかりつけ医機能を発揮している、地方の1人で頑張っておられる高齢の先生、その地域住民全体の健康を預かっているような先生たちが、実は診療報酬では評価できないような仕組みになっています。
 したがって、こういう機能の話と診療報酬の話を余り結びつけてしまうと、実は実態に合わないことになってしまうのではないかと思っていますので、日本医師会と四病協の間でかかりつけ医機能というのは何かという、大きな定義はしているのですけれども、もう少しそういうものを細かく定義していくということになろうかと思いますけれども、そういう議論を引き続きできる場をいただければと思っています。
 以上です。
○永井部会長 遠藤委員、どうぞ。
○遠藤(直)委員 ありがとうございます。
 大病院への外来受診に対する患者の定額負担の拡大を検討する際には、病床数による単純な対象拡大を行うのではなくて、各地域の医療機関が実際に担う役割や地理的条件、患者の受診行動等を幅広く考慮し、引き続き丁寧な議論をお願いしたい。
○永井部会長 ありがとうございます。
 松原委員、それから佐保委員、どうぞ。
○松原委員 医師の働き方改革にせよ病院の再編にしろ、いろいろ財源の確保が必要な中で、国民の理解はますます必要になると思います。そういう中、先ほど今村委員がおっしゃったように、社会保障教育の問題は重要です。。私が大学で教えるようになって一番驚いたのは、社会保障に対する理解がないのではなくて、非常に誤解が大きい点です。特に、いわゆる意識高い系という学生ほど非常に誤解していまして、マスコミから一生懸命情報をとっている学生ほど誤解がひどい。社会保障が日本の経済を壊すとか、社会保障が悪だとか、それぐらいの偏った情報で自分の価値観を構築しているところがあって驚きました。
 社会保障こそ資本主義経済のエンジンです。その点を国民に理解してもらっていかないと、負担していくことばかりふえて、このままだと対立構造が増すばかりと思います。社会保障を守っていくためにも、変革すべきは変革する一方で、国が責任を持って、社会保障について小中高、大学で教育する制度を構築することは緊急の課題だと考えております。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 佐保委員、どうぞ。
○佐保委員 私からは、地域医療構想についてお話をさせていただきます。昨年11月の部会でも発言させていただきましたが、地域医療構想については、医療の効率化の観点から、地域差の是正が非常に重要と考えております。その上で、厚生労働省が、公立・公的病院の統廃合を含めた再編の検討を求めて、具体的な病院名を昨年9月に公表し、また、先週、1月17日には、改めて再検証等について通知を発出したと認識しておりますが、民間医療機関を含めて、構想が実現した後の姿をエビデンスとあわせて国民にきちんと示すことによって、国民が抱いている根拠のない不安感を払拭することにつながると考えております。
 そもそも、公立・公的病院の施設数は、病院総数に占める割合が2割弱に過ぎず、その限られた範囲だけで議論しても取り組みの実効性は上がらず、構想はなかなか進まないのではないかと考えております。こうした観点から、地域医療構想を着実に実現するためには、患者の受診行動の変容を促すことを含め、民間医療機関も含めた地域一体の主体的な取り組みが欠かせないと考えております。そのためにも、政府の骨太の方針2019にもあるように、都道府県知事の権限を強化することによって、適切な進捗管理と病床の機能分化を積極的に進めていく必要があると考えております。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、遠藤委員、それから河本委員、井伊委員。
○遠藤(秀)委員 ありがとうございます。
 かかりつけ医機能と外来機能の明確化ということで、関連で歯科に関する意見と質問を1つしたいと思います。
 1-1の資料の主な検討項目の2枚目に書いてありますけれども、下段のほうに医科歯科連携についても一部書かれております。歯科においても、高齢社会の中で、全身疾患を伴うような患者さんの歯科医療が増大しており、従来型の個々の診療所で完結する歯科医療だけでなく、医科歯科連携や介護連携等、地域で完結するような歯科医療も重視されております。こうした中では、地域の核となるような病院歯科のあり方、また病院歯科と歯科診療所の連携や役割分担、また研修機関としての位置づけ等の議論も今後さらに必要ではないかと考えております。厚労省においては、このような議論の場の設置に関して、何かお考えがあればお聞きしたいという点でございます。
 よろしくお願いします。
○永井部会長 河本委員、それから釜萢委員。
○河本委員 ありがとうございます。
 今回、中間報告で外来機能の明確化とかかりつけ医機能の強化が明記されておりますが、私どもも、今後、複数の慢性疾患を抱える高齢者の方が増える中で、身近なかかりつけ医で継続的・一元的に診察していただくことは、医療資源の有効活用の観点のみならず、高齢患者にとっても望ましいあり方だと考えております。
 中でも、生活習慣病を含めた一般的な外来については、患者さんがかかりつけ医やとか総合診療専門医の中から、身近な医療機関を選択して、できるだけ診療科横断的に受診できる体制が望ましいと思いますし、これがある種機能分化の一つの前提になってくるのではないかと考えております。いずれにしても、プライマリーケアとしての外来医療のあるべき姿を検討する際には、医療を受ける側の声も十分に踏まえて検討されるべきだと考えております。
 それから、提供体制の話から若干それますけれども、患者中心の医療という視点で考えますと、患者の費用負担を適切なものにしていくことが重要になります。この関係で若干コメントさせていただくと、政府の改革工程表2019では、骨太の方針を踏まえて、生活習慣病治療薬の費用面も含めた適正な処方のあり方について、2020年度の診療報酬改定において必要な見直しを実施とございますけれども、先般の中医協で、次期改定でのいわゆるフォーミュラリーの試行導入が見送られたと聞いております。
 フォーミュラリーによる医薬品の有効かつ効率的な利用推進は、何も生活習慣病に限った話ではございませんが、裾野が広がれば患者の負担軽減にもつながるということから、医療機関の自主的な取り組みに委ねるだけでいいのかという問題意識を、私どもは持っております。改定の基本方針でも、効率化・適正化の視点の中に、医学的妥当性や経済性の視点も踏まえた処方を推進という記載がございます。中医協では後発医薬品の使用促進をもって基本方針に対応するという御説明があったと聞いておりますけれども、これは既存政策の延長線上の対応でございまして、必ずしも十分とは言えないのではないかということを、この場を借りて申し上げさせていただきます。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 井伊委員、釜萢委員、それから今村委員。
○井伊委員 ありがとうございます。
 外来機能の明確化ということについては、これから検討すると受けとめましたが、そのときに、私どもでは、看護外来の強化についてもぜひとも取り上げていただきたいと思います。慢性疾患の重症化予防について、セルフケア能力の向上とか生活習慣の改善支援等で、効果を上げている看護外来の例は多数あります。ですので、この外来機能について、看護外来というのは非常に大きく貢献すると思います。必要な情報は提供させていただきたいと思いますので、取り上げていただきたいと思います。
 よろしくお願いします。
○永井部会長 釜萢委員、それから今村委員、お願いします。
○釜萢委員 資料1-2の9ページ、「医療」に関するところで、人生100年時代において国民の安心を確保するための医療を取り巻く課題の中で、これは1-1にももちろん書かれていますが、働き方改革に対応した医師の職場環境の変化と、地域医療の確保の両立という項目があって、ここは非常に大事だと思いますが、医師の働き方改革の検討は、現在進行中であります。その改革の結果、医療提供体制が実際にどのように変わるのか、継続できるのかというところの検討が、まだ余り見えてこないというか、十分行われていないように感じております。
 この働き方改革の結果、現在では医師をいろいろなところに提供あるいは派遣しているところからの医師の派遣ができなくなってきた場合に、どうなるのかということ、あるいは病院に勤務する医師の給与は、働き方改革の結果、どのようになるのかということについての検討が、現時点ではまだ不十分であると感じます。ですから、この「全世代型社会保障検討会議」がまた報告を出すわけですけれども、当医療部会としては、そのあたりのところをしっかり指摘して、それらを盛り込んだ形の検討結果になるように強く希望するところであります。
 以上です。
○永井部会長 今村委員、それから井上委員、安部委員。
○今村委員 ありがとうございます。
 余りここで中医協の議論の再燃はしたくないのですけれども、中医協の議論を御存じない方もいらっしゃると思うので、一応簡単に先ほどの河本委員からの御指摘について、お話をしたいと思います。
 いわゆる安全性・有効性、そして価格を考えて、医療機関がどういったお薬をどういったときに使うか。そういうルールを決めていきましょうということで、フォーミュラリーと呼んでいますけれども、中医協では「使用ガイド付きの医薬品集」という名称だったと思います。これを特定機能病院で評価するというお話でした。特定機能病院というのは、ほとんどが大学病院なので、これからの医師を養成する機関である。
 つまり、そういった医師が、ある限られたお薬しか使えないというルールをつくることは、医師としての経験値を非常に低くすることですし、また高価ではあるけれども、新しいお薬で、これからいろいろ評価されていくというお薬に触れる機会がなくなるということもあって、先ほどの御指摘のような、患者さんの費用だけを考えてルールをつくるということはよくないということもありますし、まだフォーミュラリーのつくり方についてのいわゆるルールがない中で、これを診療報酬で評価するということは時期尚早という御意見、これは1号側もおっしゃっています。
 我々医療側は、そもそもそういうことは医療機関が独自に経営上の判断で既に行われていることなので、診療報酬で何か評価する必要はないのではないかという議論になりました。したがって、価格を考えていないのだということでの誤解はないようにしていただきたいなと思っています。
○永井部会長 井上委員、お願いします。
○井上委員 昨年、「全世代型社会保障検討会議」が設置された背景には、社会保障制度が今後の人口動態や地域の状況とマッチしていない中、現行の審議会の検討だけではスピード感がないため、これをもっと加速しましょうという政府全体としての危機感がおそらくあったのだと思います。そのため、こうした政府全体の危機感を医療部会でも共有し、スピード感を持って議論していくべきです。
 とりわけ提供体制につきまして、医療部会で検討すると理解しています。なかでも重要な課題は、都道府県などの自治体の役割をさらに発揮させることです。自治体ごとに状況は異なっているため、自治体の役割をよく考えながら検討していく必要があります。また、データに基づいて、しっかりとしたエビデンスを持って施策を検討していくことも重要です。
 
○永井部会長 安部委員、どうぞ。
○安部委員 外来機能の明確化とかかりつけ機能の強化に関連しまして、薬剤師の立場から意見を言わせていただきます。
 地域完結型の医療提供体制をこれから構築し、進めていく中で、薬局薬剤師に関しましても、フリーアクセスに配慮しつつも、かかりつけ機能を有する薬局薬剤師が一元的な薬学管理を実施して、処方医を初めとする多職種の方々としっかり連携するといったことを実施していく必要があると思っています。そのためにも、そういった機能を持っている薬局薬剤師を的確に選択・活用できるよう、薬局薬剤師自身もしっかりと患者の皆さんに説明していくということが不可欠でありますが、先ほど来、御発言があったように、制度として社会保障の教育を充実させ、国民・患者さんがそういったことをしっかり理解できるような取り組みが必要だと感じております。
 また一方で、最近では比較的大きな医療機関の敷地に保険薬局を誘致するようなビジネスモデルが進んでおります。そういった薬局については、基本的にはかかりつけ機能や一元管理などを強化するという方針と逆行した絵姿と思っておりますので、そういった意味では、私どもとしては、そういった薬局がふえることに大変大きな懸念を持っておりますし、遺憾であると考えております。
 薬機法の改正の議論は行っておりますが、敷地内薬局については、薬機法の中での議論ということでは必ずしも解決できないところもありますので、そういったことが妥当であるかということについては、しっかりと議論する場を設けていただきたいと要望いたします。
○永井部会長 ありがとうございます。
 もう少し御意見いただきたいと思いますが、これまでのところを少しまとめていただいて、事務局から御回答、御説明いただけるところをお願いいたします。
○保険局総務課長 保険局の総務課でございます。
 まず、先ほどの資料1-2の10ページから11ページにかけましての定額負担の拡大にかかわる項目で、多くの委員の方から御懸念あるいは御心配の御意見を伺いました。その背景には、当然この中間報告は、方向性のみでありまして、今後具体の議論が進んでいくということがありますし、もう一点としては、先ほど今村委員の御発言の中にもございましたけれども、医療提供体制あるいは医療法の体系の中で、あるべき姿としてどういうことを考えていくのかということがあって、その上で、それは医療保険あるいは診療報酬の中でどういうふうに評価していくのかという段階があったときに、診療報酬の世界では、ある程度一定の外形的な基準で決める部分がございます。
 そういう意味で、医療提供体制としての議論と、診療報酬の議論と、必ずしも完全にきれいにそぐわない部分も出てくるのかもしれません。いずれにせよ、今後の具体の議論でありますので、御指摘いただいた御懸念の点等については、当然そういう御懸念の声があると思いますので、今後の議論の中できちんと御理解いただくということだろうと思います。
 その御疑問や御懸念の点についての回答というわけではございませんけれども、現行の仕組みにつきまして、幾つか各委員の方からお話ございましたので、医療保険における、この項目が念頭に置いている仕組みについて、現在の仕組みを御説明させていただきます。特に11ページの2行目に「選定療養である現行の他の医療機関からの文書による紹介がない患者の大病院外来初診・再診時の定額負担の仕組みを大幅に拡充する」ということが書かれてございます。
 これは、現在、医療保険の選定療養という仕組みのもとで、まず一般病床200床以上の病院につきましては、任意で定額負担を徴収することができるという仕組みがございます。これは、任意の仕組みとしてございます。それは、200床以上ということでしております。その上で、療養担当規則という保険上の責務規定として、特定機能病院、いわゆる大学病院と400床以上の地域医療支援病院につきましては、このような選定療養の仕組みのもとで、別途定額負担を徴収することを責務として定めているという仕組みになってございます。
 ですので、今回のこの議論の中では、先ほど医政局長から既存の仕組みを参考とされたのではないかということがありましたけれども、参考とされた現行の仕組みとしては、任意で200床以上の病院について、選定療養として定額負担を徴収できるという仕組みがあって、特定機能病院及び400床以上の地域医療支援病院については、責務として定められているという仕組みを参考として、取りまとめられた部分というのもあろうかと思います。
 いずれにせよ、こうした既存の仕組みがあった上で、この10ページ、11ページの記載の中では、定額負担の仕組みを大幅に拡充するという記載がございますので、まさにこの記述に沿いまして、今後、拡充、どういうふうにやるべきかということを、社会保障審議会及び中医協の中で議論していくということになろうかと思います。回答というよりは、現状の仕組みの説明でございますけれども、そのような状況になっています。
 また、少し細部にわたりますけれども、周囲に同様の病院があるような場合、現行どうなっているのかという御指摘がございましたけれども、現行の仕組みの中では、特定機能病院及び400床以上の地域医療支援病院について、徴収を責務としていますけれども、その場合に料金の徴収を行うことが認められない事例として、救急の患者などを除外した上で、さらに病院の判断で金額の支払いを求めないことができるものとして、例えば地域にほかに当該の診療科を標榜する保険医療機関がないような場合は、徴収を求めないことができるということも制度として設けているところでございます。これは現行の仕組みでございますので、御参考までに御紹介させていただきました。
 以上でございます。
○永井部会長 相澤委員、どうぞ。
○相澤委員 医療を専門にやっている人の回答とは、到底思えません。
 まず、第1に、今、間違っていたのは、一般病床200床と言っていましたが、ここには一般病院と書いてあります。一般病床と一般病院は全然違います。一般病院というのは、厚労省が出している言葉の定義というところを見ていただければ、精神病院以外の病院も一般病院と言っているのです。だから、一般病床とは全然違います。それが第1点です。
 それから、今、おっしゃっていたのは、あくまでも診療報酬で、どうやったら患者さんに余り負担がかからなくて、そして診療報酬でもそれほど負担しなくてもいいかというバランスの中で決めてきたわけで、別に200床、400床が、今、言ったようにしっかりと決まっているということは全くないのです。ですから、そこが病院団体としてはおかしいのではないか。もうちょっと病院の機能というものをちゃんと見て、ここに書き込んでいただきたいと私たちは思っているわけです。
 そういう意味において、病院団体は、病院の機能分化をしたり、診療所との機能分化をしながら、お互いに連携したり、共同したりして地域を守っていくのは、全くやぶさかではないと思っているわけですね。ですから、ここの書き方が、いかにも機能分化をしていくことはどんどん進めていかなければいけない。すばらしいことだと言いながら、あるところから急に機能から規模に変わっている。ここに物すごい違和感があるわけです。
 ですから、私がさっき言ったように、ぜひ皆でしっかりと、これからの医療をどうやっていくのか。病院という機能をどうもっていくのか。その議論をする場をぜひ設けていただいて、その議論の中から日本の国の病院機能をどうしていくのかをやっていただきたいというお願いをしているわけで、そこに我々は物すごい違和感があるということだけをお話をしたいと思います。
○永井部会長 ありがとうございます。
 島崎委員、どうぞ。
○島崎委員 今の保険局の説明は、簡単に言えば、現行制度を拡大するという趣旨だったと思うのですが、あえて言うと、それほど単純な話ではなくて、患者の負担額を引き上げ、その増額分については公的医療保険の財政負担の軽減に充てられる形になっているわけです。これは、これまでとかなり本質的に異なる話であり、現行制度の単純な拡大とは性格が違うのだということは、ちょっと申し上げておきたいと思います。
 そのことは別にして、先ほどの機能分化との関係の問題ですが、私は、いわゆるかかりつけ医機能を普及し、病院との役割分担を明確化していくということについては賛成です。けれども、方向性が正しくても、ある施策をとったときにいろいろな副作用が生ずるということは、十分考えておかなければいけません。
 例えば、本件に関して言うと、救急搬送の場合は特別な負担を求めていないとすると、実際にそういうことがあるかどうかは別にしまして、初診の5000円を増額したときに、救急搬送の救急車を呼ぶことが増える可能性がないのか。こういう問題も、医師の働き方改革が2024年度から始まったときに、救急医療をどうやって維持していくかが大問題ですから、患者の負担の増額がどういう影響を及ぼすのか、プラスあるいはマイナスに影響を及ぼすかということも考えなければいけない問題だと思います。
 今年の夏の全世代型社会保障検討会の最終報告に間に合わせるという話になるとすると、時間はかなりタイトですけれども、そのタイトなスケジュールの中でやるべきことが非常に多い。それに加えて、関係する審議会も、社会保障審議会といっても医療部会のほかに医療保険部会もありますし、選定療養のスキームを使うということになれば、中医協でも議論しなければいけない話だろうと思います。したがって、その辺の審議会の役割分担等も含め、どういう形で検討を進めていくのかということについて、ぜひきちんと整理していただきたいと思います。
○永井部会長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ。
○歯科保健課長 歯科保健課でございます。
 先ほど遠藤委員のほうから、歯科医療の提供体制に関する検討の場の設定ということで御質問いただきました。現在、歯科医療提供体制につきましては、予算事業の中で検討を行っているところでございますけれども、今後、この事業の結果等を踏まえながら検討会を実施していきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。
 木戸委員、お願いします。
○木戸委員 実際、現場で状態が落ち着いた患者さんに、次回からクリニックで受診するようにお話をすることがよくあります。ただ、ずっとここにかかっていますので、選定療養費を払ってでも受診したいという方も少なからずいらっしゃって、私どもの負担軽減になかなかならないのですが、医療提供体制側のほうからの都合で患者さんに動いてもらうのではなくて、患者さんにとってかかりつけ医、近くのクリニックに行くことが何らかの目に見えるメリットがないと、お金だけで動くものではないと思います。
 患者中心の医療を深化するということもありますので、あくまでも患者さん目線で、患者さんにとってメリットがあるのはどんなことかということを明らかにするということで、この外来機能の明確化というのは、患者さんに向けて、そういったことを明確化するべきことではないかと思います。
 以上です。
○永井部会長 今の点、非常に大事だと思いますが、何かコメント。
 では、どうぞ。
○植木参考人 失礼します。
 地域医療構想の推進に向けて、病床機能の分化・連携ということを改めて検証するということで、方向性を出すために地域医療構想の調整会議の中で議論を進めてまいりますけれども、外来の医療機能については、議論に、なかなか取り組めていない部分だと思います。外来医療計画の策定におきましても、医療機器の共同利用でありますとか、あるいは新たに診療所を開設される際の対応などを盛り込むようにとガイドラインでなっておりますけれども、それぞれ病院が担っている入院機能だけではなくて、外来機能のあり方についても地域の実情がかなり違っていますので、丁寧な議論が必要ではないかと思っております。
○永井部会長 いかがでしょうか。先ほどの患者さんにとってのメリットという点については。医政局長。
○医政局長 事務局の医政局長です。
 今、お話ございました患者目線という点、我々は何よりも基本だと思っております。先ほど来、委員から御指摘いただいておりますように、そも、病院機能というものから議論すべきではないかという機能論の議論と、具体的に中間報告取りまとめに書いてある負担の問題というものが若干行き来してございます。私ども、先ほど島崎委員のほうからの御指摘もございましたように、あと、冒頭、私のほうから申し上げましたように、社会保障審議会の中でも、この医療部会、特に医療提供体制に重きを置いて、これまで御議論を積み重ねてきていただいたと思っておりますので、この中間取りまとめの中でも、特に医療提供体制の中で、きょう、資料1-1でお示ししたように、あるいはここで御議論いただいておりますように、外来機能について、今までほかの検討組織で行われていなかった部分があるとすれば、そこをより深掘りする必要があるのではないかという問題意識から、きょうのような資料になっているところでございます。その際には、何よりも医療提供体制を考えている我々でございますので、質の高い医療を、残念ながら社会的制約のある中で、どのように効率的に提供していくか。それも、地域の実情も踏まえながら提供していくか。
 その上で、何よりも患者さんにとって、それが適切な医療につながるように、受療行動であっても、あるいは社会資源の使い方としてでも、患者さん目線に立った上での検討が必要ではないかということから議論する必要があるのではないかというのが、まず総じて問題意識。これは、「全世代型社会保障検討会議」での報告書を受けた、我々としての問題意識と申し上げてもいいのかもしれません。
 その上で、先行している地域医療構想あるいは外来医療計画というものもございますが、先ほど来ございますように、この際、外来だけでなく、病院機能というものを議論した中で、とりわけ先行している地域医療構想とか外来医療計画というものがありますので、それとの整合性も考えながら、さらに外来あるいはかかりつけ医機能について議論を深めていただく部分があるのではないかという点について、議論していただければと思います。
 いずれにしましても、その際には、委員何人かから御指摘ございましたように、必要なエビデンスでありますとか、あるいは、今まで何が、どんな蓄積があるのかという点についても、改めて私どもとしては準備させていただいて、また委員の方々からの御指摘や、委員の方から提供いただいた資料もあわせて、この議論の場において俎上に乗せていただきながら議論を深めていただくというやり方があるのではないか。
 具体的な進行につきましては、部会長あるいは部会長代理ともよく御相談させていただきたいと思いますけれども、今日いただきましたいろいろな問題意識、またこれからいただくであろう委員の皆さんからの問題点を踏まえた上で、それぞれ先行しているところで整理できるもの、そして先行したところでは整理し切れないものを、私どもなりにまた整理して御議論いただけるよう準備したいと思います。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
 どうぞ、織田参考人、お願いします。
○織田参考人 今のお話は、よくわかるところがあります。
 1つは、今まで大病院と中小病院とか、量的なベッド数、病床で全て括られている部分があって、本来は機能を交えないといけないだろうと思います。特に、高度急性期、急性期をやっている病院は連携が必要ですから、当然、外来機能は考えなければいけない部分だろうと思います。ですから、病床の基準だけじゃなくて、その機能を加味しながら、こういうものは進めていかなくてはいけないのではないか。だから、実際、大病院・中小病院の定義もないままにこういうふうに書くのではなくて、地域医療構想が進んでいますから、その辺を加味した上での基準を用いるべきではないかなと思います。
○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。
 松原委員、どうぞ。
○松原委員 かかりつけ医の件ですけれども、フランスでかかりつけ医を促進しようとしたときには、負担とかお金、ファイナンスの話よりも、かかりつけ医を皆が持つことによって、いかに医療の質がよくなるかということを一生懸命PRして、割とソフトランディングできたと記憶しております。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
 まだ御意見おありかと思いますが、後ほどでも結構ですので、事務局にお寄せいただければと思います。また、事務局におかれましては、本日の議論を踏まえて、必要な対応をお願いしたいと思います。
 では、次の議題に参ります。「令和2年度予算案・税制改正の概要について」、説明をお願いいたします。
○総務課長 お手元の資料2-1に基づきまして御説明申し上げます。
 来年度の予算案につきまして、今国会に提出されておりますので、医政局にかかわります予算の概略につきまして簡単に御報告申し上げたいと思います。
 1ページ目でございますけれども、医政局の来年度予算案、2414億円でございまして、今年度の補正予算と合わせますと2450億円余りということでございます。昨年度の予算案との比較でございますけれども、当初予算案ベースで218億円程度、補正予算を含めますと250億円程度の増額ということになっておりまして、非常に厳しい財政状況の中で所用の予算の増が図られているという理解をいたしております。
 2ページほどめくっていただきまして、主要施策につきまして、金額が大きいもの、あるいは新規の事業を中心に御説明申し上げたいと思います。
 まず、1点目「地域医療構想の実現に向けた取組の推進」でございます。
 地域医療総合確保基金でございますけれども、公費ベースで1194億円程度ということでございます。重立った区分といたしまして、地域医療構想、2025年に向けまして、これまでの区分Ⅰというものでございますけれども、公費ベースで560億円余りを確保している。
 それと、区分ⅡとⅣということで、地域医療構想に基づく人材確保あるいは在宅医療の推進ということでございますけれども、昨年度に比べまして合計27億円余りの増ということになっておるところでございます。
 また、勤務医の働き方改革ということで、勤務環境改善に取り組むための新たな事業区分を定める予定でございます。こちらにつきましては、公費ベースで143億円という予算で、都道府県において勤務医の働き方改革を推進するために、地域医療において特別な役割があり、かつ過酷な勤務環境になっていると都道府県知事が認める医療機関を対象といたしまして、診療報酬とのすみ分けを行った上で、医師の労働時間短縮に向けた総合的な取り組みを支援するための予算確保をしているところでございます。
 あわせまして、その次でございますけれども、地域医療構想の実現を図る観点から、医療機関の病床ダウンサイジング、あるいは統廃合に向けた病床廃止ということにつきまして、全額国費、定額の支援ということで、構想の実現に向けた取り組みを一層促進させるための新規の予算を確保しているところでございます。
 少し飛ばしますけれども、3ページでございます。「医師の地域間・診療科間偏在の解消など医師偏在対策の推進」でございます。昨年度に成立いたしました医療法・医師法改正によりまして、都道府県におけます医師確保計画が策定されることを踏まえまして、この実施を図るための予算といたしまして、1番目でございますけれども、認定制度を活用した医師少数区域における勤務の推進事業ということで、認定を取得された医師が医師少数区域で診療を継続される場合に、そのために必要な支援を行う経費を確保しているところでございます。
 また、1つ飛ばしますけれども、総合診療医の養成支援ということで、総合診療医を養成・育成するための、大学医学部におきまして拠点を整備いたしまして、一貫した指導体制のもとで、医学教育から卒後の専門研修以降のキャリアパスまで継続的に行うような予算を新規で確保しているところでございます。
 あわせまして、次のページの4番目でございますけれども、医師分科会におきまして、医師のシームレスな育成について御検討いただいているところでございますけれども、OSCEの模擬患者・評価者の均てん化ということを図るための予算を、新たに2億9000万円余りを確保しているところでございます。
 続きまして、「医師の働き方改革の推進」ということでございますけれども、先ほど御説明しました勤務医の働き方改革の推進で、新たな基金の創設と加えまして、タスク・シフティング等医療勤務環境改善支援ということで、モデル的な取り組みを行われる医療機関に対する支援ということで、21億円余りを予算確保しているところでございます。
 また、1個飛びますけれども、妊産婦モニタリング支援事業ということで、医師不足あるいは勤務環境が厳しい産婦人科につきまして、核となる周産期医療センターにおきまして、ICTにより集中的に妊産婦と胎児をモニタリングして、現場の若手医師に対する適切な助言等を行うような新たな事業ということで、5億5000万円余りを確保しているところでございます。
 また、引き続き、特定行為に係る看護師の研修制度の推進ということで、必要な予算額の充実を図っているところでございます。
 それと、6ページの(2)の1番でございますけれども、現在、医師の働き方改革につきましては、「評価機能」について御議論いただいておりますけれども、「評価機能」の設置に向けまして、制度準備等を支援するための新規の予算を確保しているところでございます。
 少し飛びますけれども、新規予算といたしましては、9ページの令和2年度における調査研究事業の③ICTを活用した医科歯科連携の検証事業ということで、歯科医師がいない病院におきまして、ICTを活用した歯科医師による口腔管理機能をモデル的に実施するということで、重症化予防の効果とか、医師の負担軽減に資する医科歯科連携の運用・活用方法を検証するということを,新規事業として、3100万円でございますけれども、新規予算として計上させていただいております。
 以降、データヘルスの推進で重点的に取り組む事項といたしまして、「医療・介護現場での情報連携の推進」につきまして、全国的な保健医療情報ネットワークの構築に向けました実証事業の成果を踏まえまして、費用対効果あるいは技術動向等を踏まえた検証を実施するということで、この保健医療情報を医療機関で確認できる仕組みを着実に進めるための予算を確保しているところでございます。
 10ページは補正予算になりますけれども、新たな取り組みについて御紹介申し上げたいと思います。下の点線囲みの2番目でございます。へき地医療拠点病院等の非常用発電設備及び給水設備の整備ということで、これまで災害拠点病院等の受水あるいは非常用電源の整備を進めておりましたけれども、新たにへき地医療拠点病院あるいは災害拠点精神科病院につきまして必要な経費を補助するということで、補正予算で計上させていただいているところでございます。
 少し飛びますが、13ページをごらんください。新規・充実する予算といたしまして、歯科口腔保健・歯科保健医療体制の推進ということで、都道府県や保健所設置市に加えまして、拠点的な市町村の歯科対策のための8020運動・口腔保健推進事業を支援するということで、2.8億円余りを充実しているところでございます。
 それと、研究開発の関係でございますが、16ページをごらんください。リアルワールドデータ研究利活用基盤整備事業ということで、臨床研究中核病院において整備が進められていますデータベースとつなぎまして、プラットフォームを新たに整備するための必要な検討を行う経費ですとか、あるいはリアルワールドデータを用いた研究の推進ということで、医療実用化総合支援事業ということを充実しているところでございます。
 最後、17ページでございます。「医療の国際展開の推進」ということでございまして、外国人患者が安心して医療を受けられる環境の整備ということに加えまして、過去に医療費の不払い等がある外国人に対して、厳格な入国審査を実施するための仕組みの構築ということで、所用の予算を充実しているところでございます。
 また、18ページでございますけれども、死因究明の推進ということで、現在、死因究明基本推進法ということで、内閣府において担当していた死因究明の推進に関する企画立案業務が厚生労働省のほうに移管されますので、必要な予算額を確保しているところでございます。
 主な充実項目あるいは新規予算項目については、説明は以上でございます。
 また、税制につきましては2点ございまして、医療継続に係る相続税・贈与税の猶予措置の特例措置の延長ということで、持分なき医療法人のほうに移行される場合の相続税・贈与税の期限の3年間の延長ですとか、あるいは長期検討課題といたしまして、社会保障診療報酬に係る事業税非課税の取り扱いにつきまして、引き続き検討ということでございます。
 来年度の予算あるいは税制の関係につきましての説明は以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの説明に御質問をお願いいたします。
 加納委員。
○加納委員 ありがとうございます。
 まず、税制に関しては、認定医療法人に関しての延長、非常にありがたいことだと思っております。
 それで、予算に関しまして、少しお聞きしたいことが3点あります。
 1点目、2ページ目の一番上、今回できました医師の働き方改革推進、これは先ほども議論がありましたように、働き方に関しましては、救急等を重視していただいて、予算配分のほうをよろしくお願いしたいと思います。
 2点目、その下の地域医療構想の実現を図るための病床ダウンサイジング支援。これは、日本全国、人口が減ってきており、地域によっては過疎化が激しくなっております。これまで非常に頑張って地域を支えてきた医療機関が、もう経営的に成り立たなくなってきています。この度のダウンサイジング、これは医療の減反政策かなという感じで認識しております。
 ただ、この中で、この84億円のお金がどのような形で使われるか、非常に危惧しております。もともと公立病院等も含めて、多くの税金を投入してでき上がった病院を、また税金でダウンサイジングするのかというのは少し考えものかなと思います。民間病院は、ほとんどが税金における補てんがなく、逆に税金を支払っているほうであります。どうしてもやむを得ず病床を削減していかなければいけない状況になったときに、ダウンサイジングのときの優先というか、まずそういったところに充てるべき予算かなと思っております。その点を含めて、教えていただきたいかなというのが2つ目であります。
 3点目は、11ページになります。救急医療体制の推進ということで、救急医療体制の整備を図るということで、この予算が出ているわけですね。これに関して、重篤な救急患者と書かれているのですが、救急医療というのは、前から申しますように、二次救急病院が九十数%受け入れているわけで、残りの数%が三次救という認識でおる中で、三次救のみに予算が行くというのはどうかなという考えがあります。その中で、例えば11億5700万円について、二次救のほうへ、比率的にどの程度行くのかということがわかれば教えていただきたいと思います。
 同じようなことは、その1つ前の災害医療体制の推進のところもそうですが、救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会等でも、災害拠点病院だけではなく、例えば首都直下型とか南海トラフで大都市で大きな震災が起こったときには、二次救急病院、先ほどから申しますようなところが、災害支援病院等で活躍しなければなりません。そういったところへの予算が今回も配慮されていないのではないかというところも懸念しますので、そういったことも含めて、もしお答えいただけるようであれば教えていただきたいと思います。
 よろしくお願いします。
○永井部会長 今の点、よろしくお願いします。
○地域医療計画課長 地域医療計画課長でございます。
 まず、2点目のダウンサイジング支援の関係でございますが、参考資料は後ろのほうに載せさせていただいているところでございまして、予算の資料の一番最後のほうに、今回のダウンサイジング支援ということで、横でポンチ絵をつけさせていただいております。
 今回につきましては、2つの大きなメニューがございまして、1つは、ここのグリーンですが、病床削減に伴って行いますものでございまして、病床を削減した病院に対しまして、いわゆる逸失補てんとして出すものが1つございます。
 それから、2つ目がブルーのところでございまして、再編統合に伴う財源支援ということでございますが、これにつきましても中身が2つございまして、1つは、統廃合に伴う場合のさまざまな関連費用が発生しますので、そのコストに充当するために、関係病院全体で廃止病床1床当たりに単価を設定して配付するもの。それから、廃止した病院が持っております、いわゆる残債を残る病院が引き受けた場合につきまして、金利への利子補給、この2つを考えているところでございます。
 これの予算につきましては、今後ダウンサイジングなり統廃合が行われるケースについて対象とするということを考えておりまして、それについては、公立・公的、また民間の差異はつけないということで、今、考えているところでございます。
 それから、11ページの救急、10ページの災害の関係で、いわゆる二次救とか民間の災害拠点病院について、どれだけの額というものにつきましては、済みません、今、手持ちにございませんので、後ほど資料を集めて御回答させていただければと思います。
 以上です。
○永井部会長 佐保委員。
○佐保委員 質問というより意見ですが、来年度予算案で地域医療介護総合確保基金の積み増しが行われたことは評価したいと考えております。
 来年度予算案に盛り込まれた医療機関・病床のダウンサイジングや、統廃合で病床を廃止する際の支援については、これを契機として、全国で適切な医療を受けられる体制の確保を前提に、民間医療機関を含めた一体的な地域医療構想の実現を期待しております。
 以上です。
○永井部会長 ほかにいかがでしょう。
 河本委員。
○河本委員 ありがとうございます。
 地域医療総合確保基金、1200億円という巨額の費用を投じることについて、昨年秋の医療介護総合確保促進会議のときにも、この確保基金を使って行われた医療情報連携ネットワークが一部の県で使われておらず、会計検査院の監査で問題になったという新聞報道があったことを踏まえ、基金の効果検証をきちんとやるべきだと申し上げました。他にも、委員さんからは、医療介護総合確保促進会議の開催数を増やすことも考えたらいいのではないかといった御意見もあったと思います。効果検証あるいは医療介護総合確保促進会議の開催頻度の見直しについて、事務局は検討しているということを当時おっしゃったと思うのですけれども、検討状況がどうなっているのか、教えていただければと思います。
 以上です。
○永井部会長 事務局、お願いします。
○保険局医療介護連携政策課長 保険局医療介護連携政策課長です。
 まさに、昨年秋、「医療介護総合確保促進会議」をさせていただきまして、御参加いただきまして、ありがとうございます。そのときに申し上げましたとおり、医療で1200億円、介護で800億円強のお金が各都道府県に配られていて、その評価をしっかりしていくということも同時に御指摘いただいたところでございます。年に1回というのは、さすがに間隔があき過ぎだということも同時にいただいております。これらを踏まえて、まさに今年度の評価がどうなっているのかということを、しっかりと次の会議でできるような形で調整してまいりたいと思います。
○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 何か全体を通じて御発言いただけますでしょうか。
 加納委員。
○加納委員 先ほど説明がありました統廃合に関してですが、基金の使われ方、今、河本委員がおっしゃったように、どのようにして検証するか。この前の基金の検討会でも議論があった、美原構成員がおっしゃったと思いますが、事例として出てきた県の事例が、「この回に出てきたのは好事例なのでしょうか」という表現をなさったと思います。あれが好事例ではなく悪い事例であれば、今後、ああいう形の失敗をしないようにしないといけないかなと思います。特に、この統廃合というのは非常に気をつけて運営しないといけないかなと思っておりますので、その点、検証にあたっては、チェックをする方法があるのかどうかということも含めて、御検討をよろしくお願いしたいと思います。
○永井部会長 相澤委員、どうぞ。
○相澤委員 地域医療構想そのものがベッド数をどうするかということなのです。これは、本当はベッド数さえ減らせればいいではないのですね。地域の医療をどうみんなで守っていくか。そのために病院が機能分化しながらやっていこうというのにもかかわらず、ベッド数を減らせばいいということで、今、御発言があったように、例えば600床と300床の病院が一緒になって700床に減らして、そこで高度な医療だけがんがんやって、地域は本当に守れるのかということを、加納委員は言いたかったのだろうと思うのです。
 だから、地域医療構想は、ベッドを減らすだけじゃないのだ。では、何のためにお金を使うのか。ここの目的と手段を間違えたらいけないと強く思っていまして、厚労省はぜひこのことについてしっかりとウオッチしていただきたいと心よりお願いします。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 ほかによろしいでしょうか。
 もしございませんでしたら、本日予定した議事は以上でございます。事務局におかれましては、ぜひいろいろなきょう出された意見を踏まえて対応をお願いしたいと思います。
 事務局から連絡事項等、お願いいたします。
○医療政策企画官 次回の医療部会の日程につきましては、詳細が決まり次第、改めて御連絡をさせていただきます。
 どうもありがとうございます。
○永井部会長 それでは、本日はこれで終了いたします。
 どうもありがとうございました。

 

 

(了)

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