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2019年12月9日 第71回医療部会

医政局総務課

○日時

令和元年12月9日(月)15:00~17:00
 

 

○場所

全国町村会館 ホール

○議事

○保健医療技術調整官 ただいまから、第71回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中を御出席くださいまして、まことにありがとうございます。
医療部会の総委員数は24名、定足数は8名となっております。本日は、井上委員、小熊委員、尾﨑委員、田中部会長代理、山崎委員から御欠席との連絡をいただいておりますので、19名の委員の皆様が御出席ということで、定足数に達していることをまずは御報告申し上げます。
なお、楠岡先生については、先ほど御連絡があり、少しおくれるということでございます。
次に、議事に入ります前に、お手元の資料等の確認をさせていただきます。
お手元に議事次第、座席表、委員名簿のほか、タブレット端末を1台ずつお配りしております。審議会等のペーパーレス化の取組の推進の中で、資料1-1から4-3、参考資料1-1から3-2につきましては、タブレットで御確認いただく形となります。
操作方法等、御不明な点がございましたら、事務局にお申しつけください。
報道の方、カメラのほうは、ここまででお願いいたします。
(カメラ退室)
○保健医療技術調整官 以降の進行は、永井部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 それでは、議題に入りたいと思います。
「令和2年度診療報酬改定の基本方針(案)について」、本日はこれまでの議論を踏まえた基本方針の取りまとめ(案)を事務局より提出いただいております。本日の議論にもよりますけれども、本日、当部会としての取りまとめができればと考えております。
では、事務局より説明をお願いいたします。
○医療介護連携政策課長 保険局医療介護連携政策課長でございます。
お手元のタブレットで資料1-1「令和2年度診療報酬改定の基本方針(案の概要)」という1枚紙をお開きいただきたいと思います。
おかげさまで、3回、この医療部会で皆様方から貴重な御議論をいただきまして、その議論を踏まえまして、このたび診療報酬改定の基本方針(案)を取りまとめて、皆さんに御提示させていただきます。その前に、この案の概要で、基本方針(案)がどのような構成になっているのかを簡単に御紹介させていただきたいと思います。
大きくは、3つ段落、章があります。最初の章が「改定に当たっての基本認識」ということで、診療報酬改定をするに当たって、現在の医療はどうなっているのかということの基本認識、また政策の方向性をまとめております。これは、4つに分けてあります。1つは、健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた「全世代型社会保障」の実現。2つ目は、患者・国民に身近な医療の実現。3つ目は、どこに住んでいても適切な医療を安心して受けられる社会の実現、医師等の働き方改革の推進。4つ目は、社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和というふうに並べております。
次に、第2章としまして「改定の基本的視点と具体的方向性」。前章の第1章の基本認識を踏まえて、では、令和2年度診療報酬改定に当たって、どのような視点で、またどのような具体的な方向性で臨むべきかということを4つまとめております。1つが、医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進。今回、これを重点課題と整理しています。2つ目は、患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現。3つ目が、医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進。4番目は、効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上。この4つに整理しております。
その上で、第3番目、この資料にはありませんけれども、後で本文を御紹介しますが、将来を見据えた課題ということで、この診療報酬の改定を超えて、今後、医療政策をどうしていくべきかということを将来の課題ということで整理しています。このように3つの章に分けて整理しているというものでございます。
そこで、次に、資料1-2「令和2年度診療報酬改定の基本方針」の文書をお開きいただきたいと思います。過去3回、皆様方ごらんいただいている内容だと思いますので、今回の説明に当たっては、前回、第3回として、先月行われ、皆さんに見ていただいた文章から変わった点、またその変わった理由について詳しく御紹介しながら説明させていただきたいと思います。
まず、1ページ目、○が上から6つあると思いますが、上から3つ目の5行目の「また」のところから追加しています。「また、医療を取り巻く環境の変化や多様な国民のニーズに柔軟に対応することが重要である」。これは、皆様方の議論や医療保険部会の議論などを通じていただいた意見を反映しています。
次に、4つ目の○に「そのためには」というところがありますが、その次の行の「国民一人一人の予防・健康づくりに関する意識を涵養し」ということを入れております。予防とか健康についても、非常に大事だという御意見がありましたので、これを追加しております。
続いて、同じ1ページの一番下の○で「また、疾病構造のニーズや変化・多様化」というところの3行目に「国の医療制度に関わる全ての関係者」の中に括弧書きで、「住民、医療提供者、保険者、民間企業、行政等」と書いてあります。これは、前は「保険者」ということを書いてありませんでしたので、保険者の役割も大変重要という御意見をいただいて、これを追加しております。また、順番も「住民、医療提供者、保険者、民間企業、行政」としております。
続きまして、次のページに行っていただきたいのですけれども、一番上から2行目です。「また、診療報酬制度の基本的仕組みやそこから見える医療の方向性について、住民に丁寧に理解を広めていく必要がある」としております。これは、前の医療部会、さらにその前の医療部会のほうで、診療報酬制度の役割をもう少しきちんと丁寧に説明し、理解されるようにしていかないといけない。プロだけの目ではないだろうということをいただきましたので、こういった言葉を追加しております。
続きまして、飛びまして、2ページ目の下からです。「改定の基本的視点と具体的方向性」の下の○が2つあるところの2番目の○の最後の行からです。「効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上を図ることが重要である」というのを追加しております。これは、前の文章では、2ポツのところでは(1)から(4)までのことに触れて書いてあるべきはずなのに、(4)のことが書かれていなかったので、こういったことをちゃんと追加するということで、文書の体裁を整えて書いております。
次に、(1)医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進の「(具体的方向性の例)」と書いてあるところの最初の○の表題を変えております。「医師等の長時間労働などの厳しい勤務環境を改善する取組の評価」としております。前までは「医師等の負担軽減等につながる取組の評価」としておりました。ですけれども、こちらの部会でもそうですし、医療保険部会のほうでも、医師等の負担軽減につながる取組となると、それは全てにわたるのではないか。そうではなくて、今、働き方改革がとても大事で、今までの病院や診療所も含めた医師や医療従事者の働き方を全て見直さないといけない。また、それだけではなくて、患者さんの動きも当然変わっていかなければいけない。
そういった厳しい状況の中、また限られた財源の中、どのようなところに重点を置いて診療報酬で支援していくのかということを、もっとはっきりと書いたほうがいいという厳しい御意見をいただきましたので、我々としまして「医師等の長時間労働などの厳しい勤務環境を改善する取組の評価」という形で表現させていただいております。
続きまして、4ページ目は○が5つあると思いますけれども、上から2つ目の○の「患者にとって必要な情報提供、相談支援等の評価」のところの3行目です。「生活習慣病の増加等に対応する効果的・効率的な重症化予防の取組」ということで、今までは単に「重症化予防の取組」と書いてあったのですけれども、何の重症化予防なのか、具体的に書いたほうがいいという御指摘をいただきましたので、このようにしています。
続きまして、6ページの上、「患者の状態や、医療の内容、住まいの状況等を考慮し、効果的・効率的で質の高い訪問診療、訪問看護、歯科訪問診療、訪問薬剤管理等の提供体制を確保」としております。これも、訪問看護だけじゃなくて、訪問のケア、診療や歯科訪問診療や訪問薬剤管理も含めた在宅医療がすごく大事だという御意見をいただきましたので、このように明記しております。
あわせて「地域包括ケアシステムの推進のための取組」の次の行ですけれども、「医療機関間や医療機関と薬局等との連携」の後に「医科歯科連携」ということを明記しております。これは、医療保険部会での御指摘を踏まえて、このようにしております。
続きまして「(4)効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」のところでございますが、前ありました「医薬品の適正使用の推進」という内容について、7ページに移して、このように表現させていただいています。今まで「医薬品の適正使用の推進」ということで、物の話の適正化・効率化の話が書いてあったのですけれども、これは物の話だけではなくて、もっと言うと、医師・院内薬剤師や薬局薬剤師と協働して、これに取り組んでいかないといけないということでございますので、具体的に「医師・院内薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組による医薬品の適正使用の推進」と明記しているということでございます。
最後に「将来を見据えた課題」のところです。○が4つあると思いますけれども、2つ目の○の3行目の真ん中から「あわせて医療に係る財源は、保険料、公費及び患者負担等によってまかなわれていることに鑑み、医療機関等の経営に携わる者は、社会に対する説明責任を果たしていくことが求められる」と追加しております。これは、この医療部会のほうで、経営の透明性の話、また医療機関の経営の財源というのは、公のお金が使われているということをちゃんと明記したほうがいいという御指摘を踏まえて書いております。
また、最後の○、「予防・健康づくりやセルフケア等の推進が図られるよう、住民、医療提供者、保険者、民間企業、行政等の全ての関係者が協力・連携して国民一人一人を支援するとともに、国はこうした取組に向けた環境整備を行うことが必要である」ということで、こういった健康づくりについても明記しているということでございます。
変わったところは以上でございますが、一方で、御意見をいただきながら、具体的な文章のところで変更していないところについて、どうして変更していないのかというところをお伝えしたいと思います。
これは、医療保険部会のほうでもありましたけれども、看護の必要度の看護師の業務負担軽減をということなのですけれども、先ほど私がお伝えしたとおり、医師等の長時間労働などの厳しい勤務環境を改善する取組の評価のところに具体的に読めますので、そのような形でちゃんと整理しております。
もう一つ、有床診療所の活用についてありました。文言として有床診療所を書いていないのですけれども、一方で、地域包括ケアシステムの推進にとって、有床診療所は非常に大事な役割がございますので、中医協でもきちんと評価していく、そういった議論を中医協でしていくことで対応するということでございます。
また、前回ありましたけれども、病院の給食の話がございました。この話は、大変大事な話として御指摘いただきました。残念ながら、この基本方針に一つ一つ書くことになると、ものすごい膨大な話になります。結果として、中医協での大部な資料と変わらない状況になってしまいますので、ここについては具体的に書かない形になっております。一方で、この御指摘を踏まえまして、先日、中医協で病院給食について論点として御議論させていただいています。議論をしていくことにしておりますので、それで御了解いただければと思っております。
また、最後に一番大事なところとしまして、重点課題として働き方を取り上げていることについてどうなのかというところと、あと、一体何をしようとしているのかをもっと明確にということがありましたけれども、先ほどの2ページの具体的方向性の例としまして、今までは「医師等の負担軽減の取組」ということであったものを、しっかりと「医師等の長時間労働などの厳しい勤務環境を改善する取組の評価」と書かせていただきました。まさにこの医療部会のほうで、この診療報酬の基本方針以外のところも含めて、長時間労働の議論をしていただいている。それ長時間労働をどうやってなくしていくかということを議論していただくといったことを、我々としても診療報酬できちんと支援していくといった政策ツールとして使っていくということでありますので、御理解いただければと思っております。
以上の話が、前回からの変化や、また前回からの御質問に対しての私どもの回答でございます。事務局からの説明は以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの説明に御質問、御意見をお願いします。
木戸委員。
○木戸委員 今の基本方針に関しては、特に異論はないのですけれども、1点だけコメントさせていただきます。
診療報酬制度について、住民に丁寧に理解を進めていくというのは、非常に大切なことだと思います。これは、もちろん行政だけではなくて、メディアも一人一人がやるべきことはたくさんあると思います。昨今、新聞やテレビで、診療報酬の本体部分は医師の人件費などであるとよく報道されていますが、直接対面で受けた診療行為に支払うのが診療報酬と、一般の国民はどうしても考えてしまうのですけれども、実はそうではなくて、医療提供の全体に係る経費ということは余り理解されていないようです。
例えば、私どものような周産期でも、赤ちゃんとお母さんを救うためには、5分10分を争うような緊急性の高い医療をしているのですけれども、そういうときに迅速に対応するには、例えば患者さんが夜、1人も来なくても、ドクターとか助産師とか、みんながそろって待機している。そういったことにコストがかかっているということがなかなか理解していただけないことがあります。そういう体制を整えておくということをきちんと評価して、診療報酬で加算をつけて、みんなの命を守るインフラが支えられているということを国民にしっかり理解していただきたいし、働き方改革でそれがどういうことになっていくかということも、ちゃんと説明していかなければいけないと思います。
未来の医療をよりよくしていくということで、こうやってみんなで集まって議論して診療報酬のあり方を決めているということを、報道機関のほうもきちんと正確に報道していただきたいと思いますし、行政も啓発をきちんと進めていただきたいと思います。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございました。
加納委員。
○加納委員 先ほどの説明では、給食に関して、具体的に書かない形になっているとのことですが、今後しっかりと議論していく、ということでよろしくお願いしたいと思います。
それと、もう一点、7ページの「将来を見据えた課題」というところで、上から○の2つ目です。国民一人一人の生活が多様化する等々が書かれている中で、あわせて医療に係る財源ということの中に、いわゆる診療報酬等の状況を見るに当たって、いくつか書かれていると思いますが、この前の424病院等の地域医療構想に関連して、総務省の自治体病院にかかわる一般会計繰入金等もこの中に含まれているという解釈でよろしいでしょうか。こういったことの社会に対する説明責任が必要であるということも含めての内容であると理解していいかどうかだけ、確認させていただきたいと思っております。
○医療介護連携政策課長 事務局でございます。
まさに、保険料、公費及び患者負担となりますが、この公費については2種類あります。国民健康保険や後期高齢者医療、また協会けんぽの保険料に対しての公費の負担、または公費の補助、これらについて公費が入っていますということとともに、今、加納先生がおっしゃられたように、病院によっては、何らかの公費の支援という形で、例えば救急といった不可欠な医療をしていただくことに伴う、市町村や都道府県などの設置者からの公費の負担というのもあると思いますので、こういったことも含めて書いているということでございます。
○加納委員 よろしくお願いしたいと思います。社会に対する説明が必要な部分は、そこも見える化していただきたいと思っております。
よろしくお願いします。
○永井部会長 山口委員。
○山口委員 先ほど木戸委員がおっしゃった診療報酬の本体部分について、医師の人件費に相当という言い方でメディアで繰り返し紹介されていることに、私もとても違和感を覚えておりましたので、全く同感です。
今回の2ページの2行目から3行目にかけて、国民に対して診療報酬の何を伝えないといけないかということを、非常に基本的な、具体的な文言を入れていただいたことに感謝申し上げます。こういうことを広めていく必要があると書いていただいたのですけれども、ぜひを実効性を持って具体的にどう広めることができるのかということを、今後具体的に形にしていただきたいということをお願いしたいと思います。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょう。
猪口委員。
○猪口委員 ありがとうございます。
先ほど、病院の給食についてのお話が少し出てまいりましたが、中医協で議論するということもうれしく思いますが、それにちょっとコメントさせていただきたいのは、昨今、病院だけではなくて、介護施設でも朝・昼・晩、3食を出すために、朝の早い5時、6時から、夜は片づけが終わると10時まで、これを職員が仕事をしながらやらなければ食事が出てこないわけです。ところが、昨今、その仕事をする方たちが不足してしまっている。多分、近年中に、給食の業者そのものが立ち行かなくなるぐらい、今、人がいないのです。
ですから、ぜひこういう場で、医療だけではなくて介護施設もそうですけれども、給食はなくてはならないものですので、そこのシステム。例えば、ただつくるのではなくて、セントラルキッチンのようなものとか、もしくは出来合いのものを少し利用していくとか、何か工夫していかないと、今後、給食が立ち行かなくなるというのが現実に起きておりますので、ぜひそのことを、今回これに書くというよりも、将来的な課題として挙げておきたいと思います。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
河本委員。
○河本委員 ありがとうございます。
これまで何度も申し上げてまいりましたけれども、私ども、過酷な勤務実態にある一部の勤務医の方々の働き方改革が重要な課題であるということは、重々認識しております。しかし、団塊の世代が75歳、後期高齢者に到達しはじめる、いわゆる2022年危機がまさに目前に迫っている。制度の持続可能性の確保が喫緊の課題になる中で、この働き方改革に関する項目だけが重点課題とされている点については、正直残念でございます。これまでの主張を繰り返すことは控えますけれども、診療報酬での対応は、真に緊急度が高くて必要な部分に明確に限定すべきだということを申し上げておきたいと思います。
以上です。
○永井部会長 佐保委員。
○佐保委員 基本方針(案)の4ページの具体的な方向性の例の2つ目の○の2ポツでありますが、明細書無料発行の取組等の推進について、改定の一つとして盛り込まれたことは、患者・国民にとって身近な医療を実現するという観点でこれまでも求めてきたことであり、評価したいと考えます。
その上で1点、要望したいと思います。明細書無料発行に言及している項目の表題が「患者にとって必要な情報提供、相談支援等の評価」となっていますが、それらは本来、報酬上の評価の有無にかかわらず、当然に行うべきことではないかと考えております。それをあえて評価するということであれば、表題の前半部分の「患者にとって必要な」という文書を「患者本人の医療のための」に修正すれば、その趣旨がより明確になるのではないかと考えておりますので、御検討していただきたいと考えております。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
もしよろしければ、ただいまの基本方針の件、御意見いただきましたけれども、細かいところの調整を含めて部会長に御一任いただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○永井部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
では、次の議題に参ります。「眼の水晶体に係る被ばく限度等の見直しについて」、事務局から説明をお願いします。
○地域医療計画課長 地域医療計画課長でございます。
それでは、資料2-1に沿いまして「眼の水晶体に係る被ばく限度等の見直しについて」、御説明させていただきます。
あけていただきまして、1ページ目には、カテゴリーとして3つのカテゴリーに分けさせていただいております。
まず、3ページをごらんいただければと思います。これまでの水晶体の線量限度引き下げの流れでございますが、ICRPの2007年の勧告後、2011年4月にソウル声明におきまして、眼の水晶体の等価線量限度につきましての勧告が出ております。これを踏まえまして、日本では原子力規制委員会におきまして議論が進められてきたところでございます。
次に、4ページをごらんいただきたいと思います。我が国におきましては、ICRPのソウル声明を受けまして、ここにあります平成29年6月から、原子力規制委員会の放射線審議会におきまして具体的議論がおこなわれ、平成30年3月に厚生労働大臣を含む関係行政機関の長に対して意見具申が行われたところでございます。
その意見具申の概要は5ページになりますが、全体的には詳細な意見具申がございましたけれども、厚生労働省関連の特に医療法に関するものについては、おおむねこの2つが今回、意見具申の概要になります。
1つは、新たな水晶体の等価線量限度の取り入れということで、これまでは年間150mSvだったものを、今回、水晶体の等価線量限度を5年間平均で20ミリシーベルト/年、かついずれの1年においても50ミリシーベルトを超えないこととするということ。
それから、2番目にあります、水晶体の等価線量を算定するための実用量といたしまして、(1)と(2)がありますが、(1)といたしまして、3ミリメートル線量当量による個人の外部被ばくに係る測定及び水晶体の等価線量の算定に関することと、(2)としては3ミリメートル線量当量による場所に係る測定に関することの2つでございます。
続きまして、具体的に医療法の中で、この線量につきまして、どういう規定がされているかということを少し御紹介させていただきますと、7ページをごらんいただきたいと思います。医療法におけます医療放射線の管理につきましては、第4節の管理者の義務の中の第30条の18におきまして、放射線診療従事者等の被ばく防止ということと、第5節の限度というところの第30条の27で線量限度というものが規定されているところでございます。
次の8ページでございますが、具体的な内容でございますけれども、30条の18におきましては、ここに書いてあるとおりでございますけれども、第2項の第1号に、外部被ばくによる線量の測定というものが、1センチメートル線量当量及び70マイクロメートル線量当量を、放射線測定器を用いて測定することにより行うこととなっているところでございます。
また、次の9ページでございますが、その線量の限度ですけれども、特に水晶体につきましては、30条の27第2項第1号にありますが、眼の水晶体については、4月1日を始期とする1年間につき150ミリシーベルトで、緊急放射線診療従事者等に係る眼の水晶体の等価線量限度は、300ミリシーベルトになっているところでございます。よって、先ほどの測定のところ、それから、ここにあります限度のところに関して、今回、放射線審議会の意見具申を受けまして変更することになります。
具体的な変更内容としては10ページでございますが、変更箇所にアンダーラインを引いておりますけれども、それぞれ被ばくの防止、線量限度というものについて、今回新たに変更を行うものでございます。
また、ちょっと飛びますけれども、今後のスケジュールの13ページをごらんいただければと思います。今回、社会保障審議会、この医療部会におきまして了承していただいた後、厚生労働大臣から、この方針に沿いまして、原子力規制委員会にあります放射線審議会のほうに諮問・答申という形にさせていただいて、令和2年3月下旬に省令・告示の公布をおこない、施行は、周知期間を含めて1年後になりますけれども、令和3年4月1日からにさせていただきたいと思います。
ただし、今回行う措置につきましては、研修や防護用品の開発等々ございますので、下にありますとおり、周知期間を含め一定の経過措置というものを設けさせていただきたいと思っておりまして、施行後の経過措置期間2年間ということで、一定の医師につきましては、眼の水晶体における等価線量の限度を1年につき50ミリシーベルトを上限とするということでございます。
それから、今回の管理につきましては5年間ごとに管理していきますので、残りの3年間につきましては、本来であれば、今回の改正におきましては5年間平均で20ミリシーベルトですので、5掛ける20ミリシーベルトで100ミリシーベルトになるのですけれども、経過措置を設けることによりまして、残りの3年間につきましては、年間20ミリシーベルト掛ける3ということで、60ミリシーベルトを上限とするということ。それから、1年間につき、50ミリシーベルトが限度ということで経過措置後の対応として考えているところでございます。
雑駁ではございますが、説明は以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
この検討には、私、座長で参加しておりましたけれども、実態調査を行った上、このような方針を決めさせていただきました。現場で気づくのは、医療者の被ばくは、エックス線からよりも、患者さんの体から飛んでくる散乱線によるという基本的なことが余りわかっていない。当然、防護板の使い方の問題もあるし、装置の使い方などの基本的な研修をしっかりすれば、この基準はかなりクリアできるだろうと思います。これをいう調査で確認したうえで導いた結論です。ただ、教育・研修の徹底や防護の道具の改良がまだしばらく必要だろうということで、経過措置を置くことにしました。
いかがでしょうか。管理責任がこれから問われるようになるということ。また、一部のスター的な医師、特にインターベンション等で非常に多くの件数を行っている医師の場合には健康管理や働き方改革も必要という、幾つかの問題が今後出てくる可能性がありますので、ぜひ注目していただければと思います。
いかがでしょうか。
佐保委員。
○佐保委員 今回の見直しの方向性について、特に異論はございませんが、被ばく線量の管理において、副業・兼業している場合や、複数の現場を持っている方については、それぞれで受けた線量が通算できるのかどうか。もし可能であれば、複数の現場の線量を通算した上で、高いと言えるかどうかという観点もあるのではないかと考えております。副業・兼業の観点も必要ではないかという点が少し気になりましたので、一応指摘しておきたいと思います。
以上です。
○永井部会長 事務局、この点についても、いろいろな意見が出たと思います。
○地域医療計画課長 御質問ありがとうございます。
ほかの施設において行っているものについて通算できるかどうかということでございますが、これにつきましては、今、原子力規制庁のほうで研究班を立ち上げて調査しているということを聞いておりますので、その結果も踏まえまして、どのような形でできるかというのを検討させていただきたいと思います。
○永井部会長 はい。
○加納委員 ありがとうございます。
多分御議論あったかと思うのですが、今後、脳卒中の治療では、tPAよりは血管内治療が主体になってくるかと思いますが、その指導をできる人がまだまだ少ないということもありますので、この経過措置の期間だけで大丈夫なのかなという不安が1つあるのですが、これは大分議論なされた結果の答えということでよろしいでしょうか。
○永井部会長 これは、先ほどお話ししたように、教育・研修、あるいは道具の基本的な使い方、知識を指導すると、それまで被ばくの多かった医師たちもかなり被ばくが減ります。研究班をつくって途中で調べましたので、まず教育・研修を徹底していただくことが大事と思います。
はい。
○加納委員 もう一つ、防御マスクや防護板の開発だと思うのですが、これもぜひとも推奨していただいて、ドクターが少しでも被ばく量が減るような形のことを厚労省のほうでも進めていただけたらと思います。
○永井部会長 業界はどういう対応をしていますか。
○地域医療計画課長 業界のほうの関係でございますが、参考資料の12番をごらんいただければと思います。2ページ以降は、労働基準局のほうで検討会を行ったときの関係資料でございますが、この中でも、関係学会のほうには、どういう被ばく線量なのかということをきちんと聞いております。
また、3ページ目にございますが、現在ある防御方法につきましても、防護眼鏡のところでございますけれども、何パターンか使いまして、実際には調査しているところでございます。
また、防護用品の開発につきましては今後もやっていかなければいけないということがございますので、そこにつきましては、メーカーのほうには労働基準局のほうからきちんと申し入れをしていると聞いているところでございます。
○永井部会長 参考資料の6ページにありますけれども、こういう防護板を置く位置とか向きとか、あるいはフレームの数を減らすとか、そういう教育がかなり重要だということ。それでも、防護眼鏡については、もっと改良する必要があるということですね。
いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、事務局におきましては、御意見を踏まえて必要な対応をお願いしたいと思います。
続きまして、「臨床研究中核病院の承認要件の見直しについて」、事務局から説明をお願いいたします。
○治験推進室長 説明いたします。
「私のiPadへ」の上から4番目、04、資料3-1「臨床研究中核病院の承認要件の見直しについて」というファイルをあけてください。よろしいでしょうか。
2ページ目をあけていただければと思います。臨床研究中核病院の承認要件の見直しにつきましては、現在、この審議会とは別の厚生科学審議会臨床研究部会というところにおきまして、臨床研究・治験の活性化に係る方向性の議論を進めていたところでございます。その中で、我が国の臨床研究や治験を行う拠点、すなわちこの臨床研究中核病院のあり方につきましても議論を行って、その中で現在の承認要件の見直しについても検討を行って、その結果がまとまりましたので、今回、この医療部会のほうにも報告するという趣旨でございます。
その次のボックスの承認要件の見直しに係る考え方でございますけれども、ポイントは2つございます。
1つは、我が国の臨床研究・治験全体の向上に資する承認要件の見直しということで、1つ目のポツですけれども、いわゆる実施件数の見直し。また、論文実績におけるプロトコール論文や筆頭著者の所属に関する取扱いの整理をしたこと。2つ目のポツですけれども、いわゆる臨床研究中核病院の主要な役割であります、研究の支援業務の考え方を整理するとともに、実績の計上方法の見直しを行ったこと。3ポツ目ですけれども、患者申出療養の申請機関としての役割など、こういった体制の整備を評価するようにしたことでございます。
2つ目のポイントは、臨床研究が進みにくい領域における研究を推進するため、特定領域の臨床研究を主として実施する臨床研究中核病院というものを位置づけまして、それについての承認要件の見直しを行ったという点です。具体的には、小児疾患や神経難病を想定したこと。2つ目のポツですけれども、多施設共同治験の支援実績について、国内の研究者や研究機関と連携した研究を推進する観点からは、通常の臨床研究中核病院と同等の実施を要件化したという点。3点目でございますが、特定領域に関する研究者をつなぐ役割を求める観点から、治験・臨床研究のネットワークを利用した研究実施の調整を行う事務局機能の設置を要件化したという点でございます。
次のページをあけていただきますと、現在の臨床研究中核病院の要件の概要がございます。
その次の4ページを見ていただきますと、見直すとこうなりますという見直し後の臨床研究中核病院の承認要件の概要がございます。この太字の部分が変わる点でございます。ポイントだけ御説明します。
まず、一番左側の実施体制の2つ目の○、担当部門・責任者の設置、手順書の整備等を規定のところです。
1つ目のポツの臨床研究支援体制につきましては、特定領域にかかる治験・臨床研究実施・調整事務局の設置を含めた支援体制整備ということを追記しております。
4つ目のポツ、認定臨床研究審査委員会での審査体制につきましても、特定領域にかかる技術専門員の配置・育成等を含めた体制整備というものを追記いたしました。
そして、一番最後のポツ、患者申出療養及び先進医療の相談・申請・実施等に係る体制整備というものを追記しております。
真ん中のカラムは、実績に係る要件になります。
一番上の○ですが、自ら行う特定臨床研究の実施件数。医師主導治験のところ、これまでは4件という条件でしたが、これを8件ということで、実態に鑑みて、また同時に、全体としての水準を引き上げております。
また、真ん中のところ、論文数でございます。45報以上という条件は変えておりませんが、計上の仕方について一部変更がございます。2つ目のポツでございますが、これまでは、いわゆるファーストオーサーの所属機関が当該申請機関である場合の論文しか計上できなかったのですが、これにつきましては、研究責任者の所属機関が当該申請機関である場合も計上できることにしております。
また、その次のポツですけれども、論文にもいろいろな種類がございますが、我々が重視しているのは、いわゆる主解析論文でございます。実際には、それ以外にもプロトコール論文というものがございまして、これらについては、特に上限等を設けておりません。これにつきましては、主解析論文を主として考えるという観点から、プロトコール論文につきましては、6報以内という上限値を定めております。
その下です。臨中の主要な役割でございます、他の医療機関が行う特定臨床研究に対する支援件数につきましては、これまでは支援施設数としての15件以上ということでございましたけれども、今回、支援業務数として15件以上に変えております。これはどういうことかといいますと、例えば15施設からなる多施設共同研究があったとした場合に、そこでモニタリングなどの一つの支援業務を行うと、その場合には15施設ありますから、それで15件というカウントができてしまうことになります。それではおかしいのではないかという指摘がございまして、これを是正すべく、特定臨床研究ごとの支援業務数で15件というカウントの仕方に変えました。
ですから、例えば15施設からなる多施設共同研究において、もし何か1つ支援業務を行っても、それは1件というカウントになります。しかし、例えばモニタリングを行って、さらにプロトコールの作成支援を行いましたというように、2種類の支援業務を行った場合には、2件というカウントになるということでございます。
一番右側でございます。人員要件をごらんください。
まず、薬剤師さん、看護師さんの人数でございますが、これは職種としての特性を考えた業務を考えた場合に、現在、薬剤師さんであれば10人というところは、5人で対応できるということで5人に改めております。また、看護師さんにつきましても、15人という要件のところを10人という形に改めております。その分、下の臨床研究の実施支援者を今まで12人だったところを24人として、組織全体としては拡充させております。
その理由は、今まで、特に非医療職の方、実際に臨床研究に携わる方が現場におられて働いておられるのですが、そういう方たちの定義づけが明確にされていなかったという点がございまして、今回、これを機にそれをきちんと定義づけることを行いました。具体的には、その下に太字で書いてありますけれども、スタディーマネージャー、治験・臨床研究調整業務担当者、研究倫理相談員、臨床検査技術・品質管理者、研究監査担当者、メディカルライターといった職種を新たに加えております。
また、その2つ下でございますが、臨床研究・治験の信頼性を確保するためには、生物統計家の存在が必須です。今、これにつきましては、専従2人という要件でございます。ですが、専従の場合にはエフォート0.8を指します。そうすると、残りの0.2で個人の学術活動を行うわけですが、それでは論文が書けない、なかなかキャリアアップにつながらないという強い要望が部会等からございまして、今回、これを専任2人。ですから、エフォート0.5、残りの0.5で学術活動をやっていただくという形に改めております。
ただ、これだけだと要件の緩和になってしまって、信頼性の確保という点ではマイナスになりますので、常勤換算でエフォート合計2人という条件を課しまして、現在の水準を保ったということでございます。
次のページをお願いします。これは要件ではないのですけれども、継続的な取組の評価について、今後こうしたいということでございます。現在、臨床研究中核病院に承認されますと、年1回、業務報告書というものを厚生労働省に提出していただきます。事務局でそれを確認して、ホームページで公表するということをしておりますけれども、これについて、厚生科学審議会の臨床研究の場で、実績について、必要な施策等の意見を継続的にいただくことにしたいという点です。
さらに、その中で、業務報告書の内容について、もし万が一、承認要件を満たさないようなケースがあった場合、これについては、次の対応をしたいということでございます。
まず、臨床研究部会におきまして、改善に係る意見というものを取りまとめて、社会保障審議会の医療分科会に報告する。報告を受けた社会保障審議会医療分科会のほうでは、その病院の開設者に対して改善計画を求める。さらに、期限を定めて、是正結果の報告を求めるということです。それでも是正が図られない場合には、承認の取り消しに係る議論を行うということでございます。また、初めから要件を満たさない程度が相当あって、これはどうしても改善が難しいという場合には、初めから承認取り消しの議論を行うということにしたいと思います。
また、その他、法令違反とか重大な不適切事案が認められた場合におきましても、是正措置とあわせて、適正な体制確保についての確認というものを行うとともに、必要に応じて承認取り消しの議論を行うことにしたいと思っております。
以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの説明に御質問、御意見いただきたいと思います。
いかがでしょうか。
久喜委員。
○久喜委員 ありがとうございます。
これは、事前に電話でも説明を聞いて感じたこととして、小児疾患と神経難病ということに限定してフォーカスしていったところの経緯について、ちょっとよくわからないということと。
そして、それ以外にも、たくさんの患者さんが求めている最先端の医療、例えばiPS関係等々のことはどうなのかということを考えさせられる内容かなと思ったものですから、その辺の経緯等々を教えていただければありがたいと思います。
○治験推進室長 まず、小児疾患、神経難病を想定したという点でございますけれども、実は現在の条件で特定疾病領域、これは難病、希少疾病、小児疾患、あと新興・再興感染症。当時、臨床研究中核病院の制度をつくったときに、こういった特定疾病領域については、具体的な要件を別に定めた仕組みがございます。ただ、それを適用した臨床研究中核病院というのは、実際にはまだございません。
そういったものが前提にあった上で、国としてもいろいろな支援等は行っていくのですけれども、研究開発がなかなか進みにくい領域に対して、特に小児疾患や神経難病については、臨床研究部会等からいろいろ意見等もございまして、まずはこの2つの領域から新しい仕組みをつくってはどうかと。その実態を見てから、それ以外の領域に対して必要性を見ながら、この制度を拡充していきたいという趣旨で、まずはその2つの領域から始めたいということで、こういう形をとらせていただいております。
また、最先端の医療、イノベーションとの関係ですけれども、臨床研究中核病院は、そもそも設定したときの大義名分として、新しい治療法とかの開発のための臨床研究、質の高い治験を行うための病院ということで設定されているのですけれども、臨床研究中核病院の役割としては、それだけではなくて、既存の治療法の改善であるとか最適化といったものが非常に重要な点でございます。ですから、現在の臨床研究部会での議論におきましても、臨中の役割としてはその2つのバランスが必要だということを言われておりまして、今回、それを踏まえた上での要件の見直しをさせていただいているところでございます。
御回答になっていますでしょうか。
○久喜委員 そうなりますと、考えられている施設というのは何施設ぐらいでしょうか。
○治験推進室長 現在、普通の臨床研究中核病院としては12施設が承認されております。これに対して、特定領域を中心に臨床研究を行う臨床研究中核病院として、例えば小児疾患あるいは神経難病、それぞれに対して1施設ずつを想定しているところで、ございます。
○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、本日の議論を踏まえて、必要な対応をお願いしたいと思います。
次に「医師の働き方改革について」、事務局、説明をお願いいたします。
○医事課長 医事課長でございます。
今、お手元にございますタブレットの資料の05の4-1から07の資料4-3を用いまして御説明申し上げます。
まず、05、資料4-1をお願いいたします。こちらの資料は、12月2日に開催されました第5回「医師の働き方改革の推進に関する検討会」の資料でございます。この回では、前4回の会議でございました議論につきまして回答するという形でやっているところでございます。その中で主なものを御説明申し上げます。
まず、1つ目が、ページで申しますと、右下のほうに小さい数字が入っておりますけれども、3ページにございますとおり、(c)-1水準、いわゆる初期研修であれば専門研修という方々のプログラムの届け出に関して、どこの都道府県が担当するのかということに関してでございます。原則は、基幹型臨床研修病院が所在している病院の県に対して申請を行うのですけれども、4ページ目にございますとおり、プログラムの中で他県、今回はG県を対象としますけれども、H県の病院にも研修で回る場合にどうするかということでございます。
これに関しては、おのおのの病院の所在地ということではなく、基本的にはX病院、基幹病院がおのおのの県に申請するということであるわけですけれども、H県にY病院というものがございますが、そのY病院のほうから代行申請することも可能ということで提案して、議論いただいたところでございます。
あとは、追加的健康確保措置というところでございますけれども、何人ぐらいの面談の人数が必要か、5ページ目になりますが、面接指導を行う医師が1万5000人ぐらい要るのではないかと御提案したり。これは、産業医だけでなく、臨床医もかかわっていただくというのを想定していますが、その方が受けていただく場合の研修、6ページにありますけれども、総論とか健康管理、追加的健康確保措置の内容につきまして、こういった内容のカリキュラムを受講していただくというイメージでございます。
また、評価機能に関しましては、8ページにありますタスク・シフト/タスク・シェアに関しまして、これも後で御説明しますが、別途の検討会をやっておりまして、8ページ目に書いておりますのは、各医療機関が設定いたします計画等におきまして、どのようなものを書いていくかという点であります。
これに関しましては、9ページ目、10ページ目に「タスク・シフト/シェアの推進に関する検討会」の資料をつけておりますけれども、おのおの、いろいろな項目について、現行制度上もタスク・シフト/シェアができるということになっているものにつきまして、各医療機関でどう取り組んでいるかということをちゃんと記載していただくということを考えています。
続きまして、16ページからが複数医療機関に勤務する医師に対する追加的健康確保措置の取扱いでございます。これに関しましては、複数の医療機関に勤務しておられると、主たる勤務先と、兼業先というか、複数勤務されておられる医師の方がおられますので、その方の健康確保をどうしていくかという議論でございます。
その中で、特に今回、健康確保措置と言いますのは、長時間労働される方について、面接指導であったり、□の2つ目、勤務間インターバルとか代償休息をとっていただくことを義務化ということで考えておりますので、それに対しては、別途、医事法制で対応することで議論が必要であるとしております。
その中で、具体的にどうしていくかということに関しましてですけれども、19ページをお願いいたします。面接指導・就業上の取扱いということでございますけれども、まずは、(B)水準、(C)水準、長時間労働することを想定されている医師につきましては、兼業とか複数医療機関に勤務されているか、されていないかということにかかわらず、月100時間以上となるということが想定されますので、基本的には面接指導等をしっかり受けていただくということにしてはどうかと提案しております。
(A)水準、960時間未満となられるであろうという方につきましては、超えることが想定されるという場合について面談するということであります。そういうことにつきまして、今回提案しております。
そして、21ページに行きますと、複数の医療機関に勤務されている場合に、どこの医療機関が面接指導に責任を持って担うのかということに関しましての議論もしていただいたわけでございますけれども、「■」が3つほどありますけれども、(A)水準と(B)(C)水準に勤務する場合には、(B)(C)水準、長時間労働になるであろう内容の業務をしておられるところのほうで面接指導をすることとしてはどうか。
複数の医療機関、(B)(C)、それから(A)という場合には、それは医師と医療機関が相談して、どこで実施するかを決めたらどうかという提案をしています。
それを模式化したものが22ページでございまして、複数勤務の場合で、勤務されている医療機関の状況によりまして、このような形で分けて、責任を持ってやるところを決めてはどうかという議論をしています。
23ページに行きますと、連続勤務時間制限・勤務間インターバル・代償休息の取扱いということであります。これは、実際どのような形でとっていただくかということにつきましては、基本的には面接指導という機会で状況が確認されているわけでございますけれども、複数の医療機関に勤務する場合には、他の医療機関の勤務時間を考慮して、疲労が蓄積されないように配慮する必要があるということで、これは現状で我々も案があるというよりは、どうすればいいかという形で御議論いただいているという状況でございます。
あとは、26ページは、今までの毎回の議論のまとめのような表でございますけれども、指定に係る労働時間の確認に関する各機関ということで、都道府県であったり、関係するところであったり、評価機能や審査組織がおのおのどのような形でかかわるかというのをまとめたものでございます。
これが資料4-1でございまして、続きまして、06、資料4-2をお願いいたします。これは評価機能のところでございまして、同じく12月2日の資料でございます。評価機能に関しましては、数回議論しておりますけれども、1ページ目、右下に小さい数字ですが、ページ数を打っております。
今回の提案として、評価機能の組織体系ということで、評価機能というものに関しまして、医療機関に対する訪問調査のコスト等を考慮しまして、中央事務局に加えまして、ブロック単位等で地方の事務局が必要である。
あとは、中央事務局には、中立性を担保するため、第三者委員会を設ける。
あとは、評価機能から訪問調査へ行く方々が、地域の実情をしっかり把握できているというのがなかなか難しいケースもありますので、地域医療構想アドバイザーというものが今、地域医療構想の関係で、各都道府県で指名されておりますので、そちらの方にも実際の評価の際にはかかわっていただく、意見を聴取するという形を提案しております。
あと、具体的にどの程度の作業ボリュームなのかにつきまして、具体的なイメージがなかなかわかないという御指摘もありましたので、2ページ以降でございますが、実際に1つの医療施設に厚生労働省の職員が出向きまして、ヒアリング、評価の模擬的なことを実施したということの御報告であります。
3ページにございますとおり、さまざまな内容につきまして聴取を行ったわけですが、全体で250分程度かかった。医療機関サイドは、30時間程度、準備に時間がかかったということでありました。
医療機関の感想としては、4ページにありますけれども、資料の準備に手間がかかるので、負担軽減についてよく考えてほしいとか、医療機関のみの評価でなくて、地域との関係性、医師養成の事項もあわせて評価すべきじゃないかという御指摘もありました。
今回、これは1施設での試行でありましたけれども、今後、厚生労働省で研究班を立ち上げまして、より多くの施設を対象として検証を継続していくということでございます。
5ページ以降は、その評価機能・評価結果通知書のイメージとして提示させていただいたものでございます。これは、また御参照いただければと思います。
「医師の働き方改革の推進に関する検討会」は以上ですが、続きまして、資料07、4-3の「タスク・シフト/シェアの推進に関する検討会」に関しましても御報告申し上げます。こちらは、11月20日に実施いたしたところでございます。
これも「これまでの議論のまとめ」ということで、資料がタブレットの2枚目からついております。これは、さまざまな御議論をいただいたところでありまして、議論の幅が広がり過ぎないように、ちゃんと成果が上がるようなことについて議論するべきではないかとか、データを出して実効性もきちんと検証すべきじゃないかという御意見であったりとか。
ページが右下で、これは少し大き目で濃い数字で1、2とついていますが、2ページ目に参りますと、タスク・シフト/シェアに関しまして、いかに実効を上げるべきかとか、いろいろな御指摘をいただいているところでございます。
あと、3ページ目に参りますと、医師の指示との関係ということで、判断を伴って実践できるかということであったり、包括的指示との関係という御指摘もいただきました。
また、医療安全の視点でも、医療行為の責任を明確にしながらタスク・シフト/シェアができるのか議論をすべきである等の意見をいただいたところでございます。
4ページ目は、看護師の特定行為研修に関する議論でございまして、これもパッケージ化をいたしましたので、それの影響に関するデータを出すべきということであったり、医師の指示との関係であったり、こういった御指摘もいただいているところでございます。
その他、5ページ以降には、各職種につきましての議論に関しての御意見もいただいているという状況でございます。
議論に関しましては、今回、検討会でありましたのは、8ページを見ていただきますと、具体的な検討の視点の中で、現行制度の下で実施可能な業務、それから現行制度では明確に示されていない業務は、内容を整理した上で通知とかで明確化し、タスク・シフト/シェアを推進することとしてはどうかと書いてある内容につきましての議論をしていただいたというものでございます。
9ページの次のページからが資料2になっております。わかりにくくて恐縮でございますけれども、資料2が「タスク・シフト/シェアの推進について」ということでございます。これに関しては、いろいろとまとめておりますけれども、ポイントとなりますのが、具体的にどうやって取り組んでもらうかということに関しての議論が資料2でありまして、過去にも、タスク・シフト/シェアに関して、チーム医療に関して通知とかを出したわけでございますけれども、なかなか進んでこなかったということもあります。
ですので、まずは資料2の2ページ目、①実施の可否が不明確な業務についての実施可能な範囲等の明確化に関しましては、具体的な内容を整理して厚生労働省から通知を発出し、今後、研修を受講する等により、タスク・シフト/シェアが進むと考えることができる業務についても明示していくということで、これは現行の制度でも対応可能なものについて、お示ししつつ、3ページ目からでございますけれども、普及のための方策ということで、働き方改革の中で、医療機関のマネジメントの研修とか、いろいろなところでこういった内容について周知するとか。
臨床研修医の業務評価ということで、医師がやるべき仕事をきちんと整理してやっているかどうかということで、既存の制度の中で評価するような仕組みを導入してはどうかというのが資料2の内容でございます。
そして、これもわかりにくくて恐縮ですけれども、この資料2の10ページの次からが資料3でございます。通しのページを打っていなくて申しわけないですが、「現行制度上実施可能な業務について」ということでありまして、これは、7月までに3回ほど開催しましたヒアリングにおきまして、各関係学会・団体から御提案のあったものにつきまして、現行制度で実施可能な業務を「○」、看護師の特定行為に該当する業務を「●」で記載し、今回、並行して走っております研究班の中で、効果の時間が見込めるものについて時間数を記載したものが、資料3の2ページ目からずっと続いております。
資料3の2ページ目を見ていただきますと、左方に職種、例えば助産師と書いてありまして、どこの場で実施するとか、その効果の時間を何時間ということが職種・行為ごとに並んでおりまして、これに関しまして、今回、この議論をしていただいているということであります。
そして、資料4でございますけれども、「現行制度上実施可能かどうか明確に示されていない業務」ということで、例えば2ページ目を見ていただきますと、先ほどの参考資料の項目の番号と、行為ができる条件、効果の時間を全部書いておりますが、こういう形で整理させていただきまして、これについても、このような形で進めていいかどうかということについて、医療安全上の課題について各関係団体にも確認しながら、今後、これを具体的にどうするかという議論を進めていくということでございます。
ということで、具体的にどういう形で議論を最終的にまとめるかということにつきましては、まだはっきりと決まっておりませんけれども、そういう意味では、少しずつ具体的な項目について整理を進めているという段階でございます。
説明は以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。
どうぞ。
○楠岡委員 ちょっと確認させていただきたいのですが、今回の勤務時間の(A)水準、(B)水準等を決めるときのもとになった、医師の勤務実態、労働時間調査の中には、自己申告かもしれないですけれども、兼業先での勤務時間も含めて上限を決めたと解釈してよろしいわけですね。
○医事課長 医事課長でございます。
御指摘の点はそのとおりでございまして、各医師に記載いただくときには、兼業先も含めて期間内の労働時間を記載するように依頼したということでございます。
○楠岡委員 そうしますと、今回、水準が決められて、(A)水準の病院、(B)水準の病院、どの病院に勤めるかによって、上限に違いが出るかもしれませんけれども、少なくとも兼業先への影響というのはないと考えてよろしいわけですか。すなわち、今まで兼業していて、960なり、1800の中で、もちろんそれを超えている人がいるわけですけれども、それを押し込めても、結果的にそれによって兼業ができなくなって、兼業先に医師が行かなくなるという可能性は非常に少ないと考えてよろしいわけでしょうか。
○医事課長 医事課長でございます。
今の御指摘に関しましては、現在のデータでも約2万人の方が1860時間を超えております。その方々がまず1860時間未満にならなければならないということからすると、例えばタスク・シフトなどのさまざまな取組をしなければいけないということであります。単純に地域での役割分担そのままで、医療機関のやっている業務に影響がないかということで言うと、何もしなければ影響が出てしまうと思います。そういう意味では、2024年に向けまして各医療機関の取組と、それから、今回の検討会でも出ております地域での取組というものを両方していただく必要があると理解しています。
○楠岡委員 どうしてこういうことをお聞きしたかというと、1つは、今まで医師の供給を受けていた機関が、派遣がなくなるということで心配されているという話が既にありますけれども、もう一点、医師の生活のことを考えると、要するに、本来勤めているところは非常に給料が悪い施設で、兼業によって収入を得ていて生活している医師がいた場合に、それがタスク・シフトで実働の時間は短くなるけれども、給与面において影響がないのであればいいわけですけれども、もしそれが給与に直接反映すると、生活ができなくなってしまう若い医師が出てこないかというのがちょっと気になったので、質問させていただいた次第です。
○永井部会長 回答は。
○楠岡委員 多分データがないので、すぐに回答は難しいかと思いますが、その視点も考えていただかないと、健康面では確保できたけれども、収入面が確保できないという状況が起こってしまうと、また問題になりますので、そこをどうバランスをとるかも考えた上で行わなければならないのではないかということの指摘と捉えていただければいいかと思います。
○永井部会長 松原委員。
○松原委員 特に大学病院は、ほとんど給料がないような状態で勤務している医師が少なくない中で、そこで何とか経営を保っている。そういう方々がこの上限を課せられて生活できるのか。独身なら何とかなるかもしれないですけれども、家族を持っている医師にとっては、大学病院をやめざるを得ないようなことが起きてくるのではないか。中山間部で大学病院が地域の最後のとりでになっているような地域において、そんなことが起きると、本当に地域医療が崩壊しかねないのではないかという懸念もあるかと思いますので、ぜひその辺の生活が成り立つのかというところと経営とのバランスのシミュレーションをしていただきたいなと思っております。
今回の医師の働き方改革は、医療経営の視点から見ると、黒船がやってきたぐらいのところがあり、これによって、地方の医療はすごく厳しい局面に立たされることが多くなるのではないかと思われるのですけれども、これをいかに乗り切っていくかというのは、今まで日本の医療が抱えていたさまざまな問題、人口当たりの病床数、人口当たりの病院数が、アメリカを大きく引き離して世界トップとか、医療機器がやたら多いとか、検査件数も多いとか、いいところもあったけれども、デメリットもあったところを乗り越えるチャンスになるのか、このまま自滅していくのかという瀬戸際のところじゃないかと懸念しておりますので、ぜひ検証をお願いしたいです。
もう一つ、例えば海外において、病院へのアクセスはどれぐらいが平均なのか、今後の一つの参考になるのかなと思います。
あと、地域住民を交えた議論というのも非常に重要になってくると思います。ここにマスコミの方もいらっしゃると思いますけれども、変にセンセーショナルに日本が大変なことになると書くよりは、賢い医療のかかり方などどうやって乗り越えていくのかという前向きな、建設的な伝え方。それのために、みんなでどう知恵を絞るかという伝え方の工夫もあわせてお願いしたいと思っております。
意見です。
○永井部会長 ありがとうございます。
加納委員、どうぞ。
○加納委員 ありがとうございます。
先ほどの楠岡委員から出てきたことは、逆の意味で、我々民間病院において、特に先ほどの僻地の問題もあるのですが、これから人口がふえる、高齢者がふえる大都会においては、二次救急病院、例えば大阪ですと、8割は民間病院がやっております。その中で、この前の働き方の中でも出されたデータでいきますと、いわゆる当直医に関しましては、4割は大学からの派遣に頼っているというのが現状であります。このことによって破壊されるのではなくて、兼業を認めていただいて、何とか維持をお願いしたいというのが現状でありますし、我々も(A)水準、(B)水準、(C)水準であれば、(A)を目指してきちんと対応していくという考え方の中で、兼業というものをしっかりと認めていただきたいと思います。
我々としても、医者を育てるに当たって、経験も積んでもらえますし、夜間の当直の給与も支給します。それで生活を支えていただいている場合も多いかと思いますので、そういった状況が急に破壊されるようなことがないように、ぜひともこの議論のほうを進めていただきたいと思います。もちろん、健康をそれぞれでしっかりと守っていくという体制の中での話だと思いますが、そういう意味での兼業というものをしっかりと考えていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
○永井部会長 遠藤先生。
○遠藤(直)委員 ありがとうございます。
医師の働き方改革について、住民が安心して医療を受けるために、タスク・シフティング/タスク・シェアリングを通して改革を推進することには、一定の理解はできます。
一方で、中山間地域や離島等の条件不利地域においては、医師や看護師をはじめとした医療従事者の不足が大変深刻化しており、人材確保は最重要課題となっております。タスク・シフティング/タスク・シェアリングを推進したくてもできない医療機関が存在するのではないかと感じております。
そのような状況の中で、2024年4月から、医師に時間外労働の上限規制が適用されますと、地域医療が崩壊に向かうのではないかと危惧しております。地域医療の崩壊は、自治体存在の危機と言っても過言ではございません。地域から人が離れてしまうような事態は、あってはなりません。我々町村長は、地域医療を守るために日々努力していく所存でありますが、医師の働き方改革を推進するに当たっては、人材確保に係る十分な支援・施策をお願いします。
○永井部会長 今村委員。
○今村委員 ありがとうございます。
先生方の御意見の繰り返しになるかもしれませんけれども、先ほど楠岡先生から、1860時間、10万人調査の中にいわゆる兼業・副業が含まれているのか。これは、マクロデータでは含まれていることになっています。
問題は、例えば個々の先生方がぎりぎりの時間でおさめているときに、これを超えてしまったら、管理している大学病院の管理者に罰則が行くという仕組みになっているので、ぎりぎり成り立っているとしても、大学とすれば、派遣するときに相当余裕を持って、謙抑的に時間がおさまるようにということになりますので、よほどしっかりとした制度をつくっていただかないと、そういう派遣ができなくなるという危機感を民間病院の先生方は持たれるでしょうし、若い先生方の給与の問題も当然出てくると思っています。
私は、何を申し上げたいかというと、こういう問題というのは、今までいろいろな医療提供体制の中の課題がある。それはみんなわかっているのだけれども、パッチワーク的にそれぞれ手当てしてきて、結局、今回働き方改革で、松原委員おっしゃったように、物すごい大改革になって、いろいろなところにパッチを当ててきたけれども、それがばりばりと全部裂けてしまうのではないかという危機感を正直持っている。医療提供体制を議論する、この医療部会ではあっても、結局働き方改革のお話は労働基準局の話だし、要するに全体を議論する場がないのです。こういう社会保障の医療全体がどうあるべきかをきちんと議論する場がなくて、それぞれ個別のことで議論していて、結局全体がなかなか解決しない状況だと思います。
強いて挙げるのであれば、社会保障審議会だと思いますが、現在は開催回数が限られていてこういう医療全体をどうするかというのをする場が本当にほしいなというのが、正直な感想です。でないと、ここで幾ら言っても、今、言われたことは何も解決しないだろうなという非常に危機感を持っておりますので、ぜひ事務局におかれても、どういうふうに言っていかれるかというのは、厚生労働省の中の仕組みの問題だと思いますけれども、本当にそういう議論ができるようにしていただきたいなと思っています。
以上です。
○永井部会長 相澤委員、安部委員。最初に相澤委員から。
○相澤委員 最初にきちんとやらなければいけないのは、医療提供体制をいかにするかです。それなしにして、働き方改革とか医師の養成数とか看護師の養成数をやっても全く意味がありません。自分の病院の話をして何ですが、私たちの病院は医師に給料をきちんと払って、十分に生活できると思うのですが、周りの病院から頼まれて、しようがなく行かざるを得ない。行っている医師は、この病院に行かなくてもいいのではないかと言いつつも、依頼されて、どうしても出ていくというのが地域の病院に結構多いのです。私たちの病院は、医師が休みの日に自由に行ってもらうとしておりまして、これも時間にカウントされると完全にオーバーフローするのです。
だから、そこの地域の医療に本当に必要なのかということを見ていかないと、大変なことが起こってきまして、私たちの地域の病院でも、あの病院、そんなに医師は要らないのではないのと言いつつも、大学は、これまでの関連と、地域の自治体の方がおられて申しわけないですが、そこの自治体との関係で、自治体の長に来てくれと言われると、行かなくてもいいなと思いつつ、行っているという現状もある。だから、何を言いたいかというと、医療の提供体制、本当にそこは必要なの、余分なの、違う方向でやってもいいのということをまず最初にきちんと議論しなければいけない。
なのに、それをやる前にほかのところに、木で言ったら枝葉の末梢のことばかりどんどんやるものですから、本当の幹が見えなくなっているのが日本の現状だと思っていまして、このまま行ったら危ないということを全国各地で私は講演するようにしております。本当に危ないと思います。ですから、そこのところをぜひきちんと議論できる場をつくって、そこからスタートしていただきたいと、心よりお願いしたいと思います。
以上です。
○永井部会長 安部委員、どうぞ。
○安部委員 タスク・シフト/シェアが可能な業務内容が示されておりますけれども、先ほど佐々木課長のほうから関係団体としっかり確認すると発言がありましたので、一定の安心をしているわけですが、ここは丁寧にやっていただきたいことと、厚労省内でも医薬・生活衛生局と医政局がしっかり連携してやっていただきたいということがお願い、1点であります。
それから、業務内容の中でさまざまな整理がついてきた中で、こういったものが医師の負担軽減に資する項目だということが整理されると思うのですが、それを現場の中でしっかり運用していくには、きょうの資料の13番、参考資料3-1。私、この検討会の前、参考人として出席させていただいたときに、このプレゼンテーションをお聞きしたのですが、こういった観点が重要かと思いますので、業務内容をしっかり議論するのとあわせて、こういった取組も進めていく必要があるのではないかと思います。
よろしくお願いいたします。
○永井部会長 事務局。
○医事課長 検討の場等につきまして御指摘いただきましたので、少しお話し申し上げます。
医師の働き方に関しましては「医師の働き方改革の推進に関する検討会」で検討しておるところでございますが、この医療部会におきましても、その内容につきまして、直近の検討会の状況については御報告申し上げ、意見をいただいているところでございます。今日も御指摘を多々いただきましたので、それに関しましては検討会の議論の中でご照会し、その結果も医療部会に御報告し、成案に向けましては、何回か機会があると思います。医療部会での御意見も踏まえながら検討を進めてまいりたいと思っているところでございます。
○永井部会長 井伊委員。
○井伊委員 具体的なことの確認で済みません。タスク・シフト/シェアの推進に関する検討会資料を見ますと、例えば医師労働時間短縮計画の項目例とか、あと資料4-3の中の資料5については御説明がなかったのですけれども、医療機関の取組の評価項目案が挙げられておりまして、既にできるとされていることも今後盛り込んで、こういったことを検討していくという御説明だったのでしょうか。
平成19年に「医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担の推進について」という通知を厚生労働省が出しておりまして、その中に、採血や検査説明は臨床検査技師が、薬剤の在庫管理やミキシングは薬剤師がなど、既にできるとして通知されている項目がございますが、こういったことは当然この短縮計画とか評価項目等に入ってくると理解してよろしいのでしょうか。
○医事課長 医事課長でございます。
既存の通知等で明らかになっているものでも、現場でなかなか取り組まれていないものもあるというのも承知しております。今回、新たな点についてもいろいろな項目を整理していこうと思っておりますが、各医療機関ごとには、既存の通知等の中で明確になっているものについても、新たに取り組むということであれば、それを短縮計画に書いていただくということを想定しております。
○永井部会長 久喜委員。
○久喜委員 ありがとうございます。
私も、この内容を見たときに、医師の働き方改革ということになりますと、地域医療の崩壊につながるのではないかと、すごく心配している。そういう中で、医師がとにかく地方では足らないという状況を解消するというのは大きな命題だと思いますが、それに対して逆の方向のような力を感じるというものがあります。
そういう中で、私、もう一つ疑問なのが、県で行う地域医療支援センターの中でも、どれだけ医師を派遣できるのかという具体的なところが見えてこない。現状、あるのはあるのですけれども、それが実際どの程度機能しているかというところが、地方の病院を預かる者として非常に心配されるところでもあります。
それから、コメントとしてもう一つ申し上げますと、この面接をするのは産業医になろうかと思いますが、産業医にこういう負担をかけていっていいのか。実際に私も産業医で講習を毎回受けているのですけれども、医者が医師を診断していく、面接していくのは非常にストレスを感じるところであります。ですから、そういうところでもきちんとしたものを出していかなければいけない。
そして、どなたかおっしゃっていましたけれども、若き医者が時間制限で働く場が制限されると、収入減ということになると大変な状況で、私も若いころ、特にそれを痛感したのを、今、改めて思い出されたときに、そういうところのきちんとした収入確保という面でも、この医師の働き方改革をきちんと据えた形でやっていかなければいけないということを改めて思いました。
○永井部会長 山口委員。
○山口委員 この医師の働き方改革の具体的なことが決まるにつれて、日本一律にこれを当てはめるということは、先ほどから御意見がいっぱい出ていますけれども、私も危険な状態になる地域がたくさんあるのではないかと、とても危惧を抱いています。
そういった中で、2024年から医師に対しても適用される。そして、守らないと罰則がついてくることになると、一度決まったことというのは、もう一回考え直しましょうということができないことだと受けとめています。そうなったときに、例えば自分たちの住んでいる地域の医療が激変してしまって、それに対してとても困るのは国民だということを考えると、かなり慎重に考えていく必要があるとずっと思いながら見ていますし、何か時短ばかりが話し合われていて、多様な働き方改革という視点に余りなっていないようなところにも疑問を感じています。
2024年ですけれども、事務局に確認したいのは、今、話し合われている内容が実際にいろいろな地域で適用されたときに、その地域がどうなるのかという検証をするスケジュールというのは設けられているのでしょうか。
○医事課長 医事課長でございます。
検討会の資料でも出したところでございますが、まずは、そもそも医療機関で医師の勤務時間をしっかり管理することができていないところもございます。ですから、まずはそういったことをきちんとやっていただく。そして、その医療機関ごとに短縮計画を立てていただいて、2024年に向けて、どういう部分について、例えばタスク・シフトするとか、そういうものをある意味、先に準備でどんどんやっていただく。それから、毎年、それを検証していただくというプロセスも念頭に置いております。
ですので、具体的にどういうふうにしたらいいのかとか、当然、計画そのものをつくること自体も初めてですので、いきなり丸投げすることは難しいと思っておりますので、この検討会でも御指摘いただいておりますが、できるだけわかりやすいマニュアルとか具体例についてしっかり準備し、それをお示ししながら、その取組を進めていただく。そういう取組をしながら2024年を迎えるということを念頭に置きながら、今、議論していただいているところです。
○山口委員 実は、別の検討会で日本産婦人科学会が、ある県でこれが当てはめられるとすると、半数ぐらいの基幹になっている病院が立ち行かなくなるという試算をされたということを聞きました。こういったことを各地がきちんとやっていかないことには、結果が出てから、これは無理でしたということでは通らないのではないかと思っています。
ですので、あと5年を切っているわけですけれども、日本は1つではなくて、地域によってかなり違いがあって、これは当たり前のことですけれども、医師の人数、偏在の問題が今、同時進行で話し合われていますけれども、地域ごとにしっかり検証していく必要があると思います。それだけに、本当にそのまま進んでいいのかどうかということも丁寧に考えていく必要があるのではないかと思います。
○永井部会長 今村委員。
○今村委員 ありがとうございます。
先ほど医事課長のほうから、それぞれの検討会で検討されたことについては、この医療部会にきちんと報告して、各委員の御意見をいただくという手続のお話がございました。あえてこの場で申し上げるのですが、いくつかの検討会の中でも、兼業・副業の話はかなり意見が出ていました。実はまだ一般の労働者の兼業・副業の問題についても何の結論も出ていない。労働政策審議会では、現在議論中ですというお話ですけれども、医師の兼業・副業を一般の労働者の兼業・副業と同じように取り扱うのかどうか。これは、大変大きな課題だと思っています。
一般的な原則で言えば、医師だけを特別にするということは多分ないということだとすると、医師の意見が反映しない形で労働基準局の分科会で議論されている。委員の先生方は、医療の特殊性ということは理解の上で議論されているように伺っていますけれども、我々とすると、本当にこの問題で決まったことによって、相当大きな影響が出るという危機感を持っています。
この医療部会というのは非常に重い会だという理解をしています。そこから、労働基準局の議論の中で、医師の働き方に関してのことについて、何らかの形で、例えば意見を言えるような場であるとか、何かをつくっていただかないと、我々が除かれた中でそういうルールが決まることについて、危機感を持っているということを申し上げておきたいと思います。
○永井部会長 私も1つ意見を申し上げたいのですが、働き方の問題というのは、恐らく大局的に見たときに、現実にある医療提供体制と医療資源の配分・量のミスマッチの問題だと思うのです。ですから、いろいろなファクターが関係している。相澤先生がおっしゃったように、医療提供体制自体の問題もここに関与するわけですので、確かにこれを分割して議論するというのはなかなか問題が多いのではないか。むしろ弊害が出てくるわけで、全体の構図とかメカニズムとか、可視化して共通認識を持ちながら議論しませんと、改革がかえって改悪になる可能性が十分あるわけです。
極めて複雑な、また生々しい問題をたくさん含んでいますので、ぜひそうした研究をしつつ進める。それから、余りに大胆なことを一気に進めると弊害が出ます。そういうことをぜひ注意していただきたいと考えています。
松原委員、どうぞ。
○松原委員 今の供給体制だけを前提に考えると、、物すごいことになってしまうと思いますけれども、そもそも地域において、医療、介護、福祉それぞれがどういう機能を発揮すべきか、病院はどういう機能を持っているべきだとか、改めて考え直し、例えば、かかりつけ医の機能がもっと発揮されるようになるとか、介護・福祉との連携がもっとよくなるとか、そうした新たな供給体制の構築に向かっていくという方向性が打ち出せるのであれば、今回の大危機が、日本がいい方向に変わるすごいチャンスになる可能性も秘めていると思います。
否定的にばかり捉えずに、まさに相澤委員、永井部会長、今村委員もおっしゃっているように、供給体制のあり方を、今の延長線が全ていいというわけでは決してなくて、既にさんざん指摘されてきている問題の解決策のになるような持っていき方は、どういうものがあるのかなという視点が大切と思います。
○永井部会長 島崎委員。
○島崎委員 今まで各委員がおっしゃったことと重なるのですけれども、私もこの働き方改革の影響は大き過ぎて、相当丁寧に対策を練っていかないと危ないと思っています。前にも申し上げたかもしれませんけれども、比喩的に言えば、医療ニーズを水に例えますと、巨大なスポンジ、医師の無尽蔵の労働でそれを吸収してきたわけです。しかし、労働時間の上限規制によりそれができなくなれば、今まで吸収してきた水も含めて市中に吐き出されるわけです。
外国との比較が適切かどうかわかりませんが、先ほど松原委員がほかの国ではということでおっしゃったのであえて申し上げますけれども、スウェーデンは、人口は約1,000万人で、日本の1.2倍の面積があるのですけれども、病院は101しかありません。外来の年間受診回数も日本は約13回ですが、スウェーデンは3回も行っていません。もちろんスウェーデンみたいにすべきだということを申し上げているわけではありませんが、今までとは相当違うのだという覚悟をしていかなければならないということがまず1つです。
国民も、今までとは前提条件が違うのだから、ある程度ここのところは我慢するということがないまま、全てのところを医療の提供体制の問題として片づけようとするのは相当無理があるということです。
もう一つは、先ほど相澤先生がおっしゃったように、患者のほうが全て受けとめることが無理だとすれば、医療資源を再配置するしかないわけです。ただ、その前提条件の地域医療構想が思ったように進んでいないという問題があります。ですから、いろいろ御意見があることは十分承知しておりますけれども、地域医療構想の議論を地域ごとに丁寧に進めていくことが必須だろうと思います。
最後、もう一つ、私、働き方改革の推進検討会のほうで、いつも兼業の問題について労働部局はどうなっているのかということを申し上げています。これは、省内でいろいろな議論があるだろうということは承知しておりますけれども、先ほど今村委員がおっしゃったように、一般原則のところがどうなるか。それは、医師の働き方改革を議論するときにも非常に重要な前提となる部分なので、その点については、ぜひ医政局のほうからも労働関係部局のほうに、せっかく一つの省になったのですから、ぜひその点について議論の促進を働きかけていただきたいなと思っております。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
いろいろ御意見が出てきて、だんだん盛り上がってきましたけれども、切りがないところもある。ぜひ厚生労働省で全体像を把握しながら、上手にコントロールしていただければと思います。
いかがでしょうか。大体時間になってきたのですが、よろしければ事務局から今後の予定等を御連絡いただければと思います。
○保健医療技術調整官 御議論ありがとうございました。
次回の医療部会の日程につきましては、詳細が決まり次第、改めて御連絡させていただきます。
○永井部会長 それでは、本日はここまでといたします。
どうもありがとうございました。
 

 

 

(了)

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