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2019年11月18日 第70回医療部会

医政局総務課

○日時

令和元年11月18日(月)15:00~17:00
 

 

○場所

厚生労働省 専用第22会議室

○議事

○医療政策企画官 ただいまから第70回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中を御出席くださいまして、まことにありがとうございます。
医療部会の総委員数が24名で、定足数は3分の1の8名となっております。本日は、井上委員、遠藤直幸委員、尾﨑委員、楠岡委員から御欠席との御連絡をいただいております。20名の委員の皆様が御出席ということですので、定足数に達していることをまず御報告申し上げます。
次に、新しく委員に就任された方を御紹介申し上げます。
日本労働組合総連合会総合政策推進局長の佐保昌一委員でございます。
○佐保委員 連合の佐保といいます。どうぞよろしくお願いいたします。
○医療政策企画官 ありがとうございます。
次に、議事に入ります前に、お手元の資料等の確認をさせていただきます。
お手元に議事次第、座席表、委員名簿のほか、タブレット端末を1台ずつお配りしております。
厚生労働省では審議会等のペーパーレス化の取り組みを推進しております。このため、当部会におきましても、資料1-1から3-2、参考資料1-1から3-2、全ての資料につきまして、お手元のタブレット端末で御確認いただく形となります。
操作方法で御不明な点がございましたら、事務局にお申しつけください。
カメラ撮りをされている方がいらっしゃいましたら、ここまででお願いいたします。
(カメラ退室)
○医療政策企画官 以降の進行は、永井部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 それでは、議題に入ります。
初めに、欠席の井上委員の代理として酒向参考人、尾﨑委員の代理として家保参考人の御出席をお認めいただきますようお願いいたします。よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○永井部会長 ありがとうございます。
それでは、議題に入ります。
まず「診療報酬改定の基本方針(案)について」、事務局から説明をお願いいたします。
○医療介護連携政策課長 医療介護連携政策課長でございます。
お手元の資料1-2をお開きいただきたいと思います。これまで、医療部会の皆様方に過去2回にわたりまして御議論いただきました。その議論を踏まえまして「令和2年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)」という形で用意させていただきました。
この骨子案は3部構成となっています。1番目としまして、改定に当たっての基本認識、2番目としまして、改定の基本的視点と具体的方向性、3番目としまして、将来を見据えた課題の3つに分けて、構成させていただいております。
中身なのですけれども、まず1枚目のスライドでございますが「改定に当たっての基本認識」でございます。4つの括弧に分けていますが、第1番目は「健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた『全世代型社会保障』の実現」としております。
最初の○の真ん中から、2025年にはいわゆる団塊の世代が全て後期高齢者となり、2040年ごろにはいわゆる団塊ジュニア世代が65歳以上の高齢者となって、高齢者人口はピークを迎えるとともに、現役世代(生産年齢人口)が急激に減少していく。
3つ目の○ですけれども、我が国の医療制度は、人口減少が進展する中で、地域医療の確保、少子化への対応といったさまざまな課題にも直面している。これからの課題に総合的に対応しながら、世界に冠たる国民皆保険を堅持し、あらゆる世代の国民一人一人が状態に応じた安全・安心で効率的・効果的な質の高い医療を受けられるようにすることが必要不可欠である。
そのため、来る人口減少社会に備えた将来の医療体制の展望を見据え、健康寿命の延伸により長寿を実現しながら、患者・国民にとって身近でわかりやすい医療を実現するとともに、医師等の働き方改革を推進することが必要である。あわせて、効率化・適正化を進め、制度の安定性・持続性を確保しつつ経済・財政との調和を図る観点も重要であるということにしてあります。
続いて、2番目の柱は「患者・国民に身近な医療の実現」ということで、最初の○ですが、患者にとって身近でわかりやすい医療の実現のためには、地域の実情に応じて、可能な限り住みなれた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、地域包括ケアシステムを構築するとともに、かかりつけ医機能や患者への情報提供や相談・支援を充実することが必要である。
続きまして、我が国の医療制度にかかわる全ての関係者(住民、医療提供者、行政、民間企業など)が医療のかかり方の観点も含め、それぞれの担う役割を実現することが必要である。診療報酬制度が果たす役割について、住民に丁寧に理解を広めていく必要があると書いてあります。
2枚目のスライド、3番目の柱としまして「どこに住んでいても適切な医療を安心して受けられる社会の実現、医師等の働き方改革の推進」と整理しています。
最初の○なのですけれども、2040年の医療提供体制の展望を見据え、地域医療構想の実現に向けた取り組み、実効性のある医師偏在対策、医師等の働き方改革を推進し、総合的な医療提供体制改革を実現していくことが求められている。
4番目の柱が「社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和」ということで、最初の○なのですが、制度の安定性・持続可能性を確保しつつ国民皆保険を堅持するためには、国民各層の制度に対する納得感を高めることが不可欠であるとともに、医療政策においても経済・財政との調和を図っていくことが重要であると書いております。
続いて、2番目の大きな柱は「改定の基本的視点と具体的方向性」、これも4つに分けております。
最初は2ページ目の一番下なのですが「(1)医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進」ということで、3枚目のスライドになりますが、重点課題としまして、その考え方としまして2番目の○なのですけれども、医師等の働き方改革に関しては、2024年4月から、医師について時間外労働の上限規制が適用される予定であり、各医療機関はみずからの状況を適切に分析し、労働時間短縮に計画的に取り組むことが必要となる。
また、診療報酬においては、これまでタスク・シェアリング/タスク・シフティングやチーム医療の推進等、医療機関における勤務環境改善に資する取り組みを評価してきた。時間外労働の上限規制の適用が開始される2024年4月を見据え、今後、総合的な医療提供体制改革の進展の状況、医療の安全や地域医療の確保、患者や保険者の視点等を踏まえながら、適切な評価のあり方について検討をする必要があると書いてあります。
続きまして、「(2)患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現」ということで、基本的視点としまして、患者自身が納得して医療を受けられるよう、患者にとって身近でわかりやすい医療を実現していくことが重要と書かせていただいております。
飛びまして5ページになりますが「(3)医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進」ということで、基本的視点の2番目の○なのですが、医療機能の分化・強化、連携を進めるとともに、在宅復帰等につながるよう、質の高い在宅医療・訪問看護の確保や、他の医療機関等との連携、介護サービスとの連携・協働等が必要であるとしてあります。
次のページが「(4)効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」ということで、基本的視点としまして、国民皆保険を維持するため、制度の安定性・持続可能性を高める不断の取り組みが必要である。医療関係者が共同して、医療サービスの維持・向上とともに、効率化・適正化を図ることが求められるとあります。
それぞれ(1)から(4)までの改革の基本的視点とともに、具体的方向性については、それぞれのところで具体的に書いてございます。
最後に7枚目のスライドをおめくりいただきたいのですが、3番目の柱は「将来を見据えた課題」です。これも読み上げますと、団塊の世代が全て後期高齢者となる2025年、団塊ジュニア世代が65歳以上の高齢者となる2040年と、高齢化の進展にあわせてサービスの担い手が減少する超高齢化・人口減少社会が到来している。また、地域に生きる一人一人が尊重され、その可能性が最大限に発揮できる「地域共生社会」の実現に資する取り組みが求められている。このような中、我が国の医療制度が直面するさまざまな課題に対応し、「全世代型社会保障」を実現するためには、診療報酬のみならず、医療法、医療保険各法等の制度的枠組みや、補助金などの予算措置など、総合的な政策の構築が不可欠である。
加えて、住民、医療提供者、行政、民間企業等の関係者がそれぞれの役割を自覚しながら、保健・医療にかかわることが重要であり、国民全体の医療制度に対する理解を深めていくための普及啓発も含め、国民に対して丁寧に説明していくことが求められているという形で、最後を締めているところでございます。
事務局から、骨子案について読み上げる形になりましたけれども、過去2回の皆様方の御議論を踏まえて用意させていただきました。これをもとに、また御議論いただければと思います。
事務局からの説明は以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの御説明に御質問、御意見をお願いいたします。
山口委員。
○山口委員 ありがとうございます。
1つ質問というか確認ですけれども、1ページの最後に「診療報酬制度が果たす役割について、住民に丁寧に理解を広めていく必要がある」と書いてあるのですが、これは具体的に何を指しているのでしょうか。恐らくこの文章からすると、診療報酬の項目や内容について理解してくださいとは読めなかったので、診療報酬制度が果たす役割だけでは具体性に欠けているような思いがしましたので、そこを教えていただければと思います。
○医療介護連携政策課長 ありがとうございます。
これは前回、医療部会で委員の方から御発言をいただいて、診療報酬制度が単に医療を提供する側だけのものであってはいけなくて、こういったことがあることによって、今まで全部自分で、自腹で払わなければいけなかったことが、診療報酬の体系に組み込まれることでそれなりの値段になり、しかもそれなりの割合の自己負担で受療することができるようになったということ。
また、これまで受療していた者からすると、今までよりも負担がふえたと実感するかもしれないけれども、一方で、今までなかった医療サービスを身近な医療機関で受けることができるということにもつながるという発言もございましたので、これを踏まえまして、単純にこういう医療に対して何点ついたかということではないのは、まさに山口委員がおっしゃるとおりでございますけれども、診療報酬というのが、患者の立場、もしくは患者にならなくても自分の子供などに何かがあったときに、実は役に立つということを理解してもらうことが必要なのだろうと。
それには、医療のかかり方も含めて、診療報酬が住んでいる方々にどういう影響があるのか。また、どのようにありがたいことなのかということをわかってもらうといった思いで前回おっしゃったのではないかと思いましたので、このように記載しましたが、より具体的にということであれば、そういった御指摘も踏まえながら、どうすればいいか考えたいと思います。
○山口委員 今回の改定に当たってということの骨子ですので、今回のことに特化するとしたら、どういったことを理解してもらいたいのかということがもう少し見えたほうがいいと思いました。今のお話だと、診療報酬というものがこんなものですという全体的なところを理解してくださいとおっしゃったように聞こえましたので、そのあたりは何かもう少し具体的に書き込んでいただけたらと思います。
○医療介護連携政策課長 ここは改定に当たっての基本認識なので、令和2年度の診療報酬改定の具体的な項目ということを念頭に置いているわけではないのですけれども、一般的に診療報酬というものが、皆さんもそうですが我々プロの間ではわかっているかもしれませんけれども、そうではない方にとってみると、一体何を議論しているのか、遠い世界の話というふうになるのではなくて、実は物すごく大事なことで、その診療報酬という制度の持つ役割が一人一人にとってどういう影響があるのかということを理解していただきたい。そういったことを、個別の点数という意味ではなくて、広げていきたいという趣旨でございます。
○山口委員 今、おっしゃっていただいたとおりのことを少し加えていただくと、わかりやすいかと思います。
○医療介護連携政策課長 わかりました。
○永井部会長 ほかにいかがですか。
河本委員、どうぞ。
○河本委員 ありがとうございます。
前回の部会でも申し上げましたけれども、団塊の世代が後期高齢者に到達する2022年を見据えれば、次期改定に向けては効率化・適正化、それを通じた制度の安定性・持続可能性の向上が喫緊かつ重要な課題であり、効率的・効果的な医療提供の促進こそ基本方針の軸に据えるべきだというのが、私どもの基本的な考えでございます。
過酷な勤務実態にある医師の働き方改革が大事な課題だということは、重々認識しておりますけれども、なぜこれだけが改定の重点課題なのかということについては、正直いまだに理解できません。
前回申し上げましたけれども、まずは働き方改革の前提である医療提供体制における三位一体改革の進捗状況を踏まえて、段階的に診療報酬上の対応が必要か検討する必要性が書き込まれるべきではないかと考えております。
また、こうした観点から、次期改定では、医師の働き方改革に関する検討会で示された病院の勤務医の実態を踏まえて、主に急性期を担う勤務医の負担軽減と医療安全の向上、かつそれが最終的に費用を負担する患者のメリットにも明らかにつながる措置に限るべきで、診療報酬における対応の範囲を明確に書き込むべきではないかと思います。
さらに、働き方改革には、地域医療確保総合確保基金も当然活用可能でございますが、こういった基金などの補助金の有効活用も前提としつつ、診療報酬との役割の分担を図っていくことについても明記すべきではないかと考えます。
あと、4ページ目の調剤関連で、対物業務から薬学的管理などの対人業務へのシフトのことを書かれておりますが、これは効率化・適正化ともかかわりますので、これについても視点4に再掲すべきではないかと考えます。
6ページ目の(4)の「医薬品の適正使用の推進」という中に、医薬品の効率的かつ安全で有効な使用を推進とございます。これは私どもの理解としては、平成28年度の改定でも講じられた湿布薬の処方70枚制限等をさらに見直すといった措置も、こういった考え方の中に含まれるのだろうと思っておりますが、残薬が生じないように、次期改定に向けてこうした具体的な検討も行っていただきたいと思います。
最後の「将来を見据えた課題」で、先ほど診療報酬の意義やその役割について国民の皆様にわかりやすくというお話は全くそのとおりだと思いますけれども、診療報酬制度が費用を負担する患者・国民にとってわかりやすいものにしていく観点から、診療報酬の簡素化や包括化の推進に向けて取り組みを進める必要性もあるということを、将来を見据えた課題の中に書き込んでいただいきたいと考えております。
以上でございます。
○永井部会長 たくさんのことを御指摘いただきましたけれども、事務局いかがでしょうか。
○医療介護連携政策課長 ありがとうございます。
まず、3枚目のスライドの重点課題のところなのですけれども、確かにおっしゃるとおり、働き方改革について、診療報酬だけで全てを対応するということは、事務局としても考えてはおりません。まさに3枚目のスライドの基本的視点に3つ○を書かせていただきましたけれども、総合的な医療提供体制改革の進展の状況とか、医療の安全や地域医療の確保、患者や保険者の視点等を踏まえながら、適切な評価のあり方について検討する必要があると書かせていただいているとおり、そういったことを経て、具体的にどうするのかという認識をしております。
一方で、ではなぜ令和2年度なのかというところにつきましては、前の○なのですけれども、もう2024年4月から、医師についての時間外労働の上限規制が適用されることが決まっていて、単に医療を提供する側だけではなくて、医療にかかる患者さんも含めて、どうやって医療を守っていくかということも考えていかないといけないということもありますので、そういった観点から、今回、重点課題とさせていただいているところでございます。
続いて、5枚目のスライドで、薬局について適正化の観点もあるので再掲すべきということなので、これはいただいた御意見を踏まえて、再度対応したいと思います。
次に、7枚目のスライドで、簡素化ということなのですけれども、将来を見据えた課題の2つ目の○で、国民一人一人の生活が多様化する中、患者・国民にとって身近で安心・安全な医療を実現していくためには、診療報酬制度をわかりやすくするための取り組みを継続していくことが求められる。これは前回、医療保険部会のほうでも御指摘がありまして、このように書かせていただいておりますけれども、これを簡素化と読んでいただけるかどうかについて、今いただいた御意見を踏まえて、また検討したいと思っています。
以上です。
○永井部会長 よろしいですか。
○河本委員 繰り返しになりますけれども、一番過酷な勤務状態におられるのは、急性期を担う勤務医の皆さんということだと思いますので、どこを対象にするのかということをもう少しわかるように書き込むべきではないかというのが私どもの意見でございます。
○永井部会長 安部委員、続いて今村委員、加納委員。
○安部委員 今、対物業務から対人業務への移行というところを(4)に再々掲するべきという御意見をいただきましたけれども、これにつきましては既に、具体的な方向性の事例として3~4ページにかけて記載をされ、さらに5ページにおいて、薬局の地域におけるというところで再掲されているところでもありますし、対物業務から対人業務への移行というのは、決して効率化・適正化というジャンルに入れるものでもないと私は認識しておりますので、再々掲まで必要があるとはとても思えません。3ページ、4ページ、5ページにしっかりと書かれているところを御理解いただいて、同じ項目を3回、この報告書の中で書くということはちょっとあり得ないと認識しております。
よろしくお願いします。
○永井部会長 今村委員。
○今村委員 先ほどの、重点課題が1つだけというのはおかしいという御指摘ですが、ここに書かれていることは全て重点だとは思います。
私の理解は、なぜこの働き方改革が重点課題になっているかというのは、今まで全くなかった話、つまり医療機関で働く人たちの勤務環境を改善しましょうというのは前からあった話ですけれども、今回の働き方改革の一番の問題は、労働時間の上限規制がかかって、なおかつその時間を超えたら罰則がかかるという全く違った質の改革がいきなり起こってきたということです。
なおかつ今、御指摘のとおりこれは勤務医ですから、当然のことながら病院の医師のことを言っているのですけれども、医師の労働時間を減らしていこうとすると、当然タスク・シフト/シェアが大変重要な要素になります。看護師さんや薬剤師さん、あるいはその他の医療関係職種に、新たに今まで医師が行っていた業務の負担が行くということは間違いなく起こるわけで、これは医師だけではなくて、医療機関で働く全ての職種に影響します。
もう一つ重要なことは、これは医療関係者の問題ということではなくて、先ほども事務局からありましたけれども、医療を受ける国民に大きく影響の出る話だということです。これは海外でも、フランスでも医師の働き方改革をやったときに、救急車の受入台数が極端に減って、国民の受ける医療に大変大きな影響が出たということもございますし、国の検討会の中でもこのことが随分言われて、医師は適正な働き方になりました、しかし受け入れる救急車の数は激減しました、緊急手術が受けられなくなりましたということで、本当によいのかどうかという議論がありました。これは、医療を受ける患者さんの医療の質や量に密接にかかわることなので、やはり重点だという意味で、事務局が取り上げられていると私は思っております。
そういった御理解をしていただければ、何もここが重点だから、そこにだけ財源が行くとかいう話ではないということだと私は思っています。
以上です。
○永井部会長 加納委員、どうぞ。
○加納委員 ありがとうございます。
今、今村委員がおっしゃったように、本当に欧米の巨大病院では、ERで受診待ちが起こり、救急車で来られても並んで待っている姿が必ずあります。あれを見ると、そういう形をつくってはいけないぞと。これから高齢者の医療が中心となる日本において、何が必要かということはしっかりと見極めていただきたいと思っております。
もう一点、お願いしたのですが、実調での直近の内容を見ますと、まだ一般急性期の経営状況というか、運営していくに当たって非常に厳しい状況が続いております。働き方に関しましては、既に4月から一般の職員の働き方に関しては始まっておりまして、本当に今、人員不足がひどくなってきております。
その中でも、給食に関しましては本当に人が足りない状況下で、人件費の高騰により運営難が続いております。入院時の食事療養費に関しましては、1995年から、1日当たりの単価で計算しますと1,920円がずっと続いているという状況です。25年間もこの値段がずっと一律で据え置かれているのはどういうことかということをお聞きしたいと思うのです。
我が郷土が誇る大阪の551の豚まんですと、95年では130円だったのが今は190円、1.5倍に上がっているのです。これをなぜこの単価で据え置いているか、御説明いただけたらと思います。
○永井部会長 事務局、いかがでしょうか。
○医療課長 入院中の食事療養費の関係につきましては、平成9年に消費税の対応として20円増額されております。その後の引き上げはないというのは、そのとおりでございます。ただ、標準負担額ということで、患者さんに対しては平成29年より順次引き上げられているという状況にございます。
入院時の食事療養費の増額については、非常に財政影響も大きいところから、患者さんに払っていただきます標準負担額の整理を含めて、慎重に検討しなければいけないという課題だとは認識しております。
給食提供体制の維持というところには、労働人口の減少の影響が特に強く出ているということについては、非常にお聞きしているところでございます。
私どもとしては、医療従事者の負担の軽減と効率化という視点から、今、給食の関係に関して、病院の方々から丁寧にお話をお聞きして、まずは効率化できる帳簿類の整理や規制の一部の整理といったところにつきまして、今、整理をさせていただいておるところでございます。
また、具体的な要件や金額の引き上げ等については、中医協において議論されて、決定されるものであろうと考えているところでございます。
以上です。
○永井部会長 よろしいですか。
井伊委員、どうぞ。
○井伊委員 基本方針全体については特に異議はなく、よろしいかと思っております。
毎回で済みませんが、人員配置の合理化のことにつきましては、人員配置の合理化という言葉の中に、人員配置の強化・手厚い配置も含まれると理解すればよろしいということだと理解しています。
2点確認でございます。
1つ目は、3ページの具体的方向性の例のタスク・シェアリング/タスク・シフティングという中には、特定行為研修修了看護師の活用も含まれていると思いますが、それでよろしいか。私どもとしてはぜひ積極的に推進すべきであると思いますので、申し上げたいと思います。
もう一点、3ページの下の地域医療の確保を図る観点から、早急に対応が必要な救急医療体制等の評価につきましては、救急外来に看護師の配置に関する規定がなく、また診療報酬の評価も若干あるのですけれども、ほとんどないに等しいという状況だと私どもは認識しておりまして、看護師が必要数配置されていないことは大きな課題だと思っています。ですので、必要な救急医療体制等の評価の中には、そういったことも含まれるということでよろしいかということの確認をさせていただきたいと思います。
○永井部会長 事務局、いかがですか。
○医療課長 委員がおっしゃるとおりと考えております。
○永井部会長 まず島崎委員、山崎委員、野村委員、佐保委員の順でお願いします。
○島崎委員 先ほどから議論になっている医師の働き方改革を重点課題とするかどうかということについては、前回この医療部会でも賛否いろいろあったわけです。それから、資料1-3を見ますと、医療保険部会でも御議論があったと書いてある。さらに言えば、本来は基本方針については、医療部会と医療保険審議会の議論を踏まえて中医協で議論するという話になっていますけれども、実態は中医協の議論が先行しているわけで、だからこそいろいろ問題になっているわけです。
そういうことで言えば、今回の御説明にあたっては、前回の部会で重点課題について議論があったわけであり、事務局としてはそれを踏まえてどのように判断したのかということについて説明すべきだと私は思います。
その次に、働き方改革が今後の医療政策の重要なキーとなる課題であることについては誰も否定しているわけではなくて、論点はなぜそれを診療報酬の重点課題として取り上げることが必要なのかということなのですから、具体的な中身について、例えば中医協ではその後、こういう議論があったとか、そのくらいのことは紹介してもらわないといけないと思います。建て付けとしては、基本方針が先にあって中医協で議論するという形になっているので、少なくとも全く白紙で議論するのであればともかく、前回それをめぐって賛否の議論が出ているわけですから、きちんと説明していただきたいなと思います。
○永井部会長 今の点、事務局いかがでしょうか。
○医療介護連携政策課長 ありがとうございます。
まさに重点課題としているということにつきましては、先ほど河本委員から言われたことに対する私の回答のとおりでありまして、この重点課題としているのは、医師等の働き方改革は2024年4月に確実にやってくる。これは医療を提供する側だけではなくて、医療を受ける人たちも含めて、みんなで考えていかなければいけない話なのだと。だからこそ、こういった大きな問題を広く国民に理解してもらうため、また理解してもらうだけではなくて、行動を変えていただくということにもつながるために、重点課題と整理をしているというのが事務局の考えでございます。
あわせて、中医協の議論につきましては、医療課長のほうから説明します。
○医療課長 中医協における議論について御報告させていただきます。
働き方改革につきましては、秋から3回議論させていただきまして、9月の最初には、働き方改革全体の概要、そしてどういうところが診療報酬に影響するのかというところについての簡単なディスカッションをさせていただきました。
10月、11月につきましては、10ページに目に挙げておりますような改定の基本的視点と具体的方向性、そこに具体的方向性の例と書いてあるところがございますけれども、まず10月においては、医師等の負担軽減に対する取り組みについて、医療機関内のマネジメントをきちんと推進することにかかるコストとその負担について、入院基本料との関係について議論がございました。その議論につきましては、それぞれに賛否あったということでございます。
また、11月につきましては、そこにありますように、医師負担の軽減の中でも、特にタスク・シフトにかかわる部分、医師事務作業補助者の体制を拡大や充実させる必要があるのではないかという御意見、それから看護師等の負担軽減の中でも、特に大事な看護補助者の部分に関しての充実についての議論、また、そこにありますように業務の効率化に資するICTの利活用及び今まで診療報酬の規程で求めております人員の配置について、簡素合理化についてどのような形で考えていくのかについて、議論をさせていただいたところでございます。
○永井部会長 山崎委員、それから野村委員、佐保委員。
○山崎委員 先ほどの加納委員の関連質問ですが、先程はスルーされてしまったのですが、病院給食は非常に大事な話です。患者さんが入院して、一番楽しみなのは病院給食です。
その給食費が、1995年に算定された時は1,920円、1食が640円ですよね。640円から四半世紀も1銭も上がっていないというのは、すごくおかしいと思います。
また、この四半世紀の間に、食事療養費で2つ改革をやっています。1つは、それまでは1日あたり全額給付、3食で給付していたのを、食べた分しか給付をしないということを平成18年に変えました。その後、今度は患者さんに負担してくださいということで、現在、1食640円のうちの460円は患者負担になっています。3食算定を1食算定にして、1食当たり460円を患者負担にしただけで、巨大な財源があるはずです。そういう整理をしたのならば、どうして1,920円の単価を上げるということをしなかったのでしょうか。ほかに財源が吸収されてしまって、吹き飛んでしまっていて、病院給食費はそのまま上がらないというのは、すごく変だと思います。
しかも今、病院は半分が外注で半分が自営です。外注業者が結託してしまって、人件費が上がったから、上げないと引き上げると、今、北海道から九州までこの話で大騒ぎになっています。
したがって、今回の骨子案の概要の2番目、患者・国民にとって身近であって安心・安全な質の高い医療の実現のところに、適切な病院給食の評価という項目を必ず入れるようにしてほしいと思います。
あと、先ほど声が小さくてよくわからなかったですが、1,920円で25年間も据え置かれた根拠というのは何なのですか。大きい声で答えてください。
○永井部会長 いかがですか。
○医療課長 先ほど御説明させていただいたのは、確かに上がっていないということが1点目。
2点目については、引き上げるに上がって、今、先生がおっしゃるとおり患者さんに負担を求めているということから、それはどうするかという議論をしなければならないということで、慎重に検討しなければいけないというのが2点目。
3点目については、金額についてそういう状況があるので、給食関係で特に人手が必要な部分とか、非常に不合理な帳簿のつけ方をしなければいけないとか、いろいろな規制に関して緩和をするための策ということについては、今、内部でも整理させていただいておりまして、そこについては今後、中医協でも議論させていただきたいということをお話しさせていただいたところでございます。
○山崎委員 きょうのこれで診療報酬改定の基本方針になっているわけですから、この骨子案に病院給食費の検討をきちんとするという項目を入れてもらわないと、病院給食というのはもう危機的状況になってしまっているわけです。
外注といっても、皆さんわからないと思いますが、病院で給食のスペースの建築費を償却したり、水道光熱費も全部1,920円から払っているわけです。したがって、1,920円自体が給食の実費として使われているのではなくて、このうちの4割ぐらいは償却部分あるいは水道光熱費というものに充てられてしまっているわけです。
したがって、原材料費が1,920円という話には全くならないという事と、一方では、適時適温できちんと決められた時間に温かい給食を支給しろとか、検査で給食の時間が1時間おくれたら、チンをして給食をやってはだめだとか、新しく全部つくれとか、いろいろな規則がついているわけです。そういうことも含めて、今、規制緩和と言ったけれども、そういう細かい規定も現実に合った形に変えていかないと、病院給食自体が破綻してしまいます。
終わりです。
○永井部会長 野村委員。
○野村委員 基本方針は、私は特に述べることはありません。
将来を見据えた課題というところで、○の2つ目と3つ目の診療報酬制度をわかりやすくというところや、国民全体の医療制度をというところで、私たち国民もそのようなことをきちんと学んでいかなくてはならないということもわかりました。
そういうところを、今後、具体的にどういうタイミングで私たちは学んでいくのだろうかというところが、私の周りの人たちのことだけで申しわけないのですけれども、生きてきた中で、診療報酬制度や医療制度というものを余り考えるきっかけがなかったり、すごくありがたいことに、子供は医療費が無料というわけではないと思うのですけれども、窓口負担は自分で出すということがない中で、なかなか診療報酬というものへ関心が向きにくいのではないかと、私の主観ですけれどもそういうことも思って、今後こういうことを伝えていく中で、伝え方や学び方など、一歩間違えると医師の働き方改革などの問題もすごく大事なのですけれども、逆効果になりかねないということもあるので、これは将来を見据えた課題なので、今後も検討をしていきながら、継続して私たちも一緒に学んでいきたいなと思いますので、少し発言させていただきました。
以上です。
○永井部会長 佐保委員、その後、相澤委員お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。
医療の質や安全を確保するためにも、病院での働き方改革は極めて重要な課題として考える必要があり、かつ、確実に進めていかなければならないと考えております。
この観点からも、医師や看護師を初めとする医療従事者全体の働き方改革という視点で、病院における働き方改革に確実につながる診療報酬のあり方についても、検討することが重要だと考えております。
そうした観点で、働き方改革については、骨子案に記載されている具体的方向性をより明確にした上で、医師に限らず医療従事者全体の働き方改革に確実に資する評価のあり方も検討していただきたいと考えております。
また、患者・国民にとって身近な医療を実現するという観点で、この間、普及促進が行われてきた診療明細書が果たしてきた役割は非常に大きいと考えております。患者が全ての保険医療機関において、例外なく診療明細書を無料で受け取れることが重要であり、そのためにも資料1-2の4ページに記載されているとおり、今回の改定でも明細書無料発行の普及促進をさらに推し進めていただきたいと考えております。
以上です。
○永井部会長 相澤委員、どうぞ。
○相澤委員 まず、今、どうしても認識しなければいけないのは、働き手が減っているということです。働き手が減っていることによって、一人一人の人件費が確実に上がってきています。特に最近では病棟補助者、一部では病院薬剤師の給料を上げないと来てくれない。そして、先ほどから話題になっている給食の調理師さんも、給料をたくさん出さないと来ないという状況になっています。
そのコストがどんどん上がっているということは経営実態調査でもわかっておりまして、コストが上がったために病院の経営ができなくなるというのは国民にとって大変不幸なことでございますので、ここは何とか考えていっていただかなければいけないだろうと思います。
ICTやAIによって、なるべく少ない人数でやろうという努力はしますけれども、人件費が上がっていくということは病院経営を非常に圧迫していることは間違いございませんので、ぜひこの点について、働き手が減っていくということは書いてあるのですが、それがコスト増につながっているということはどこにも書いていないので、そこはぜひ何か書き込んでいただけると非常にありがたいなと思います。
これまでは、コストが上がっても薬価を切り下げて、薬価で下がった分のお金がそちらのほうに回していたのですが、もう薬価がこれ以上切り下げられないという状況では、これからますます厳しくなっていくという実態があるということを、ぜひ知っていただきたいと思います。
それから、1ページの一番下に「全ての関係者(住民、医療提供者、行政、民間企業等)」と、前ですと診療報酬に民間企業が入ってくることはほとんどなかったと思うのですが、なぜわざわざ民間企業を入れたのかが私はよく理解できない。
同じことが、7ページの最後の○にも「加えて、住民、医療提供者、行政、民間企業等」と書いてあるのですが、住民、医療提供者、行政等ではなくて、民間企業をここに入れた意図や思いなどが何かおありになるのでしょうか。診療報酬という方向を考えたときに、民間業者を入れるというのは何か非常に違和感があって、読んでいてちょっと違うのかなという気がしたのですが、これについて質問をしたいと思います。
○永井部会長 今の点、いかがでしょうか。
○医療介護連携政策課長 ありがとうございます。
確かに違和感があるという御指摘はそのとおりかもしれませんけれども、私どもが事務局として参考にさせていただいたのは、上手な医療のかかり方を広めるための懇談会のほうで「『いのちをまもり、医療をまもる』国民プロジェクト宣言!」というのが出されていまして、読み上げます。
特に、医療の危機と現場崩壊は深刻で、「いのちをまもること」「医療をまもること」は日本にとって喫緊の課題です。これは、国、自治体、医療提供者、民間企業、市民社会などをはじめ、医療の恩恵を被る「すべての人」が考え、参加し、行動すべき、国民的プロジェクトだと我々は考えています。
このようなことがあったものですから、こういったことも、医療にかかわると理解しています。もっと翻って言いますと、ここでもそうなのですけれども、当然、民間企業の方々も、健康保険の保険料という形でお支払いをいただいております。こういった方々も含めて、医療にかかわっていただいて、どういう形で医療を守っていくのかということを考えていただきたい。そういう思いを持って、こうやって書かせていただいております。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
それでは、参考人の方、最後に松原委員。
○家保参考人 ありがとうございます。
地方といたしましては、国民皆保険制度の現状で、どこに住んでも適切な医療を安心して受けられる社会の実現を明示していただいたのは非常にありがたいと思っております。
現実的には、高齢化が進んでいるところは、医療従事者の高齢化も進んでおりまして、開業医の先生をはじめとして診療所で医師がいなくなって、実際保険料は納めているけれども、なかなか医療が受けられないという状況がございます。
ちょうど2020年3月に現行過疎法の期限が切れまして、今後、国会で過疎法の延長等についての議論が出てくると思いますけれども、法制度、財政だけではなく、医療機関の経営は診療報酬が基盤になりますので、僻地やなかなか効率化が進まない地域については、一定の配慮をぜひお願いしたいと思います。
今回、離島・僻地と書いてある項目はこの基本方針の中では5ページの1行、しかもICTの活用ということで、根本的に僻地、医療環境が厳しいところについての対応は見えませんので、ぜひともその点は御配慮いただければというのが意見でございます。
以上でございます。
○永井部会長 酒向参考人、その後、松原委員。
○酒向参考人 参考人でございますが、発言させていただきます。
まず、先ほどなぜ民間企業が入っているのかという話があったのですが、私どもは余り違和感がなくこれを読んでおりまして、払い手でもありますし、健康増進にきちんとコミットするということで、日本健康会議にも参加させていただいておるところでございます。
あと、細かい点でございますが、5ページ目に、今、言及いただいたことなのですけれども、医療におけるICTの利活用というところがございます。この中にオンライン診療なども含まれるかどうか確認をさせていただければと思います。
もう一点が、先ほど調剤報酬の適正化について、3カ所も書くのはどうかという御意見があったのですけれども、重点化・適正化という項目の中で、4番目の項目に整理していただいても違和感がないのではないかと我々は考えております。
最後でございますが、医師の働き方改革は非常に重要な課題であるというのは我々も考えているところではございますが、診療報酬上でどこまでできるのかといった観点から、今後、中医協のほうでもいろいろ議論いただくという形になると思います。
その点で、先ほどなぜ医師の働き方改革だけが重点項目なのかという御発言があったところでございますが、それはひとえに診療報酬でどこまでできるのかといったところもあわせての御発言だと思っております。
以上でございます。
○永井部会長 松原委員、どうぞ。
○松原委員 ありがとうございます。
日本の医療を守るという意味でも、先ほどから何度もお話に出ております医師の働き方改革とか、病院給食の話とか、これらは全て報酬を上げていく話だと思います。必要なものは上げなければいけないというのはわかります。報酬を上げるということは、国民・地域住民に負担を強いていくということですよね。将来世代に借金のつけ回しをしない以上、私たちの現在の、負担をふやしていくということになります。
また、医師の働き方改革の議論からも十分わかるとおり、国民の医療へのかかり方に関しても大きく変えていかねばならない必要があるかと思います。こういう国民全体への負担を求めなければいけないであろうという中で、やはり求められるのは、医療にかかわる機関の経営の透明化であると思っています。
今回の令和2年度の診療報酬改定に直接的にかかわることではないのですけれども、今後、中期的なことを考えれば、必ずやこの点は徹底していく取り組みが必要であると考えております。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
最後に小熊委員、お願いします。
○小熊委員 3ページのところに、適切な評価をする、それから地域医療の確保をするというふうに書いてあるのですけれども、皆様のお話を聞いていても、私個人としては、今、評価をきちんとしなければ、急性期医療、救急も含めて壊れてしまう、提供できなくなってしまうと思っております。
それをどのように評価するのかということが、これは基本方針ですから具体的なことは書き込めないのかもしれませんけれども、ここに力を入れますよということぐらいは明らかに書いていただきたい。
例えば、急性期あるいは救急をやっている病院、私どもはそういう病院がたくさんありますので、その実態は今、ここに書かれているようなことをいろいろ言われていますけれども、診療報酬がきちんとした評価がされないと全く対応できないということを、本当に認識していただいているのかというのが私の思いです。
今のまま、診療報酬をどんどん下げていって、そして、これもやれ、あれもやれ、人もいない、物もない、お金もない、それで救急をやれ、医師の働き方改革もやれと言われても、それは非常に厳しいということを認識していただいているのかというのが私の偽らざる思いです。そういう認識があれば、今、言ったような項目に対する適正な評価ということが、文字として出てこなければいけないのではないかと思うのですが、その点どうでしょうかという思いでございます。
○永井部会長 いかがでしょうか。
○医療課長 おっしゃるところについては、先ほど議論になりましたけれども、重点課題という中で、働き方というところの中の例えば具体的な方向性の例の中で、地域医療の確保を図る観点から、早急に対応が必要な救急・医療体制等の評価という形で書かせていただいております。
これはまさに先生がおっしゃる地域の医療の中で、どうしても必須な部分について、早急に対応しなければいけないという思いがあり、そこに書かせていただいたものでございます。
○永井部会長 最後に久喜委員、どうぞ。
○久喜委員 全国市長会のほうから来た者ですが、診療報酬の基本報酬は大体納得はできておりますけれども、地域医療のことが今、大変厳しい状況で、働き方改革が全面に出ていくと、結局地方では医者が足りない状況の中で、逆の方向の動きになるのではないかということが、いろいろ心配になるのです。ですから、医師の働き方改革も重要なのはよくわかるのですが、そういう中において、病院全体でそれを行っている、医療スタッフも含めた形での改革をきちんと提示はしてありますけれども、1というだけではなくて、そういうところでももう少し言葉遣いをうまく入れていただければなと思うのです。
それと、今回のこの中で、ICTはもちろんいいのですけれども、どなたかが言われましたが、私も外科医で、技術に関しましてはそれぞれ評価されるべきものだと思うのです。ですから、ICTとかそういうものも大切なのですけれども、きちんとした医師の技量、前よりは随分よくなっています。私が開業したときよりは随分よくなっていますけれども、もう少しその辺にきちんと光を当てていただいて、ただでさえ外科医が足りなくなっている、技術を使うところの科が少なくなってきている以上、そういうところにもきちんと目を向けた内容、そういう内容が一つも言葉として出ていないので、それに対しましては、きちんとした技術、経験を積んできたというところの者に対して評価していただけるようなものを提示していただきたいと、印象としては思いました。
○永井部会長 ありがとうございます。
まだ御意見がおありかと思いますが、時間が押してきましたので、後ほどお寄せください。
事務局におきましては、本日の議論を踏まえて、必要な対応をお願いしたいと思います。
続いて「最近の医療提供体制改革について」、事務局より説明をお願いいたします。
○医事課長 医事課長でございます。
まず、資料2-1、2-3までを用いまして、医師の働き方関連の御説明を申し上げます。
お手元のタブレット資料の2-1をお願いいたします。毎回この医療部会で御報告申し上げておりますが、今回は直近の回の内容につきましての御報告です。評価機能につきましての御報告でございます。
評価機能といいますのは、1ページを見ていただきますと、医師の働き方の中で、医療機関が医師の時間の短縮の計画といったもの立ててやっていくものにつきまして、医療機関の外の専門的な立場で中身を評価して助言をするという機能の話でございます。これに関しまして、具体的にどのようなものをつくっていくかという議論をしたのがこの回でございます。
具体的な議論はどういうものを行ったかというところを御説明申し上げます。5ページに飛んでいただきますと「評価技能の役割・業務について(案)」が出ております。この中で、まず評価機能の役割ですが、冒頭で少し簡単に触れましたけれども、医療機関が策定した計画、その削減、取り組みを評価する。それから、評価をする人はそれなりに知識・技能が要るでしょうから、講習を実施するということも議論しています。
また、評価の業務につきまして、具体的にどういう項目について評価していくかということに関しましては、6ページ目、具体的にどういうところについて評価機関の専門家が行うかということですが、ストラクチャー、プロセス、アウトカムと書いておりますけれども、医療機関の中での医師労働時間短縮計画の項目、このようなものの中で、特に労務管理、労務実態やさまざまな実際の働きの状況も含めまして、これを確認して、それに対する助言を行うというイメージでございます。
それから、7ページ目、評価技能の役割・業務についての続きでございます。既に都道府県に医療勤務環境改善支援センターというのがございまして、各医療機関における勤務環境改善に対して、いろいろな相談、助言を行うというものがあります。評価機能の役割分担に関しましては、実際の評価をこの評価機能が行いまして、具体的な支援につきまして助言を行うということでございます。ですので、評価機能は中立的な立場から評価を行うということで、客観的評価をし、実際の支援は医療勤務環境改善支援センターが行うという議論を今、しているところであります。
8ページ目、評価結果に関しましては、公表して、医療機関や都道府県に通知するということで提示していますが、公表のタイミングや内容などにつきましては、少し議論が出ているところでございます。
9ページ目は、評価結果を受けて行う都道府県の取り組みということで、これは以前の部会でも御報告申し上げましたが、実際の医療機関が今後、地域でさまざまな指定をされてくるということがありますので、それとの関係もありますけれども、医療機関だけでは取り組みができないということにつきましては、地域でのさまざまな医師確保や医療体制の見直しを、このデータを受けた都道府県としては行うということがあるのではないかということが議論されています。
10ページ目、これも既にお話ししましたが、この評価結果につきまして、医療機関の分担といいますか(B)と(C)ということで、長時間の時間外を認める、医療機関の指定に使うということですが、具体的なイメージとしましては11ページでございまして、(B)や(C)という長時間の時間外を認める医療機関になる前提として、評価機能による評価を受け、その内容を踏まえた形で都道府県に対して申請をし、内容については都道府県が、医療審議会等の関係するところの意見も聞きながら、実際に指定を行っていくという流れを考えております。
実際に評価を行う評価機能をどういうところが行うのかということにつきましては、実際に出向いて、評価を行うということを想定するという議論もしておりますし、実際のスタッフについては、社会保険労務士や医師または看護師等の体制が要るのではないかということも議論しております。また、所要の財政基盤につきましても必要なのではないかということも議論しています。
13ページでございますけれども、評価の頻度も毎年ということではなく、評価に関しては3年に1回ということや、実際にどこかの機関に依頼する場合の議論につきましては、14ページでございますけれども、現在のところまだ決定はしておりませんが、厚生労働大臣からどこかの機関を指定して、依頼する、またはさまざまな能力のあるところを登録してもらって、それを活用するということについて引き続き議論しております。
いずれにしましても、引き続き議論を続けているところでありまして、評価機能に関しましては、次回の検討会でも議論をしていく必要があるという状況でございます。
続きまして、資料2-2は、医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会を新たに立ち上げたという御報告でございます。先ほどの議論でもございましたが、医師の働き方改革を進めるためには、院内の医療従事者の協力を得ながら進めていく必要があります。具体的に、どのような業務につきましてそういった対象になるのかということの議論を行うための検討会でございます。
実際の進め方に関しましては、資料2-2の3ページ以降になります。まず、もとになっておりますのが医師の働き方改革に関する検討会の報告書でありますが、今回、具体的に検討を要する点ということで、7ページ目に、この検討会で検討していく視点ということで幾つか書いております。これはまさに24年に向けた取り組みということで、まず現行制度下でできるということを最大限推進し、そして多くの医療専門職がそれぞれの労力を生かしていけるようにしていく。
進め方としましては、実際、関係する団体、学会などのヒアリングを本年6~7月に3回に分けて行っておりまして、そこの中でさまざまな立場からの御提案をいただいております。それを用いまして仕分けをするという形で今、議論を進めていっているというところであります。
これが1回目の資料でございます。
資料2-3がタスク・シフト/シェア検討会の2回目のものでございます。「具体的な検討の視点」というのがついておりますけれども、実際にどのような形で進めたかということにつきましては、2ページを見ていただきますと、先ほど関係する団体からヒアリングを行ったものを、事務局のほうで整理させていただきまして、現行制度のもとで実施可能な業務、現行制度で明確に示されていない業務、現行制度では実施できない業務という中で、場合によっては法改正が必要というものにつきまして仕分けをし、そして議論をするということでございます。
その中で、2回目の会議では、3つ目の現行制度では実施できないのではないかとされているものにつきまして検討を行いました。その内容が7ページの次のページから、8ページ以降見ていただきますと、一覧表がずっとついております。左側に業務内容、タスク・シフト/シェア先等々ついているものがありますが、こういう形で、先ほど来、関係団体の提案を整理し、それに関して、法改正に必要な事項というところで整理をしてまいりましたのが17ページ以降になりまして、この中で、また19ページから一覧表になっておりますけれども、現行法令の書きぶりと提案内容について、該当するのではないかとか、しないのではないかということを書き、そして研究班で検討しておりますけれども、それによって、どのぐらいの医師の業務が減らせるかという推計の数字も入れる。これを議論いたしました。
今、作業的には、これが医療安全や提案された団体、提案する内容につきまして、関係する学会や団体に意見を聞いているということでありまして、今後、その意見を踏まえまして、この内容についてまた改めてタスク・シフト/シェアの検討会で議論するという形でございます。
今後も具体的な議論を進めまして、年内に議論のまとまった時点のものは取りまとめるということで、とりあえずスタートしているという御報告でございます。
以上でございます。
○地域医療計画課長 続きまして、地域医療構想について御説明をさせていただきます。資料2-4「地域医療構想に関する地方との意見交換について」でございます。
9月26日に公立・公的医療機関につきまして、特に高度急性期・急性期についての分析を行ったデータを各都道府県に提供させていただいた後、都道府県、関係者の方々からは、唐突過ぎた、今回の趣旨をきちんと説明すべきという御意見をいただいたところでございましたので、2ページ目以降ですけれども、今回、国のほうにおきましては、各ブロックにおきまして、担当者が今回の趣旨等につきましてきちんと御説明し、意見を交換するような場につきまして設定させていただいたところでございます。
スケジュールにありますが、10月17日の九州を皮切りに、10月30日中国四国まで計7カ所におきまして、それぞれブロックとして会議を行うことと同時に、次の○にありますが、現在、都道府県の要望に応じ、個別に意見交換も行っているところでございます。
主な意見といたしましては、2ページにまとめさせていただいておりますけれども、データの関連の問題、公表の仕方の問題等々についての御意見をいただいたところでございます。それに加えまして、ここに書いてある以外のこともさまざまな御意見をいただいているところでございますし、最後のほうにも載せておりますが、今回の方向性について、きちんとしっかりフォローしていただきたいという御意見もいただいているところでございますので、こういった御意見を踏まえまして、今後、地域医療構想について進めさせていただきたいと考えているところでございます。
なお、最後の3ページ目につきましては、前回も資料をつけさせていただきましたけれども、今回の地域医療構想の実現に向けまして、きちんとした方向性について1枚でまとめ、厚生労働省のステートメントとして出しているものでございますので、これにつきましては参考としてつけさせていただいているところでございます。
説明は以上です。
○永井部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に御意見をいただきたいと思います。
井伊委員、その後、家保参考人。
○井伊委員 タスク・シフトの検討会に関してです。これはまだこれから検討が進むと認識していますが、本日、資料2-3の14ページに、救急救命士のタスク・シフト(院内)といったことをお示しいただきましたので、あえて申し上げたいと思います。
日本看護協会といたしましては、救急救命士が院内で診療の補助を行うことについては反対でございます。救急救命士は医療機関に搬送されるまでの間に応急的に救命救急処置を行うということでできている職種ですので、そのための資格制度であり教育の体制をお持ちだと理解をしておりますので、そのまま「(院内)」でも可となるというのは、資格制度として理解しにくいと考えております。
一方、看護師につきましては、救急医療の現場で医師が診察に注力できるよう、検査や処置の介助を行うだけではなく、バイタルサインのチェック、患者さんの全体像を把握し、緊急度や重症度によって治療の優先順位を判断するという役割、それから不安定な状態でお越しになる患者さんや家族の方々の精神的なサポート、あるいは最近、御高齢の患者さんの搬送がふえていますので、そういった方々へのケアを担っているという状況でございます。
ですので、タスク・シフトの検討を進めるに当たりましては、現行の法律内でできることを最大限にして、それができる体制についても、そういったことを踏まえて今後御議論いただきたいと考えております。
○永井部会長 家保参考人、その後、加納委員、猪口委員。
○家保参考人 ありがとうございます。
地域医療構想に関してです。国からの公的・公立病院のデータ発表以降、いろいろな意見がございまして、ブロック別の意見交換会や県ごとの意見交換会など、開催していただきまして、まことにありがとうございます。
基本的な方向は、国も地方も地域医療構想を推進する上で、データに基づいてきちんとやらなければいけないということですので、それに基づいては役割分担を明確にしていくことは大切だと思います。あくまでも公立・公的病院のみならず、民間も含めた、地域全体の医療の将来像について、関係者で丁寧に議論を行うことを前提として、データを出していただいたのだと思いますけれども、出し方にいろいろな意見があったということでございます。
今後、二次医療圏または県単位の構想調整会議で将来像を議論するときには、公立・公的、民間を含めて、データに基づいての議論が必要になってまいりますので、あとは出し方の部分で、今回と同じようなことにならないように、いろいろな意味で関係者の意見を聞いていただいて、丁寧かつ慎重にやっていただければと思います。
あとは、財源のことなどいろいろございますが、それは知事会のホームページのほうに書いてございますので、ここでは割愛させていただきます。いろいろな意味で国と地方が一緒になってやっていかないといけませんので、その点には、今後ともよろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
○永井部会長 加納委員、猪口委員、安部委員。
○加納委員 先ほど日看協のほうからのお話だと思うのですが、今、救急・災害検討委員会でこの議論は進めておりまして、もともと救命士に関しましては、例えば心臓マッサージをしながら、病院に入った瞬間にやってはいけない。これは本来はあり得ない状況ではないかと思っておりますし、そのことに関しましては、今、検討会でしっかりと議論させていただいており、矛盾しているところや、直すべきところは直していくという形で、決して院内に入った途端に救急行為がとまるわけではないので、そこも含めてしっかり議論して、結論を出させていただきたいと思っています。
それと質問なのですが、資料2-1の12ページになるかと思うのですけれども、今回の評価機能に関しましては、受審をすれば医療機関より手数料を徴収ということが書かれているのです。これは適切な徴収額になるではあろうと思うのですけれども、しっかりと考えていただかなければいけないかなと。医療機関から徴収するということをきっちり明記されていますと、機能評価機構のときもそうですが、負担というものが発生し医療機関にとって重荷になるということですので、そこの点をしっかりと考慮していただきたいと思っております。よろしくお願いします。
○永井部会長 猪口委員。
○猪口委員 幾つかに話が分かれているので、順番にと思います。
まず、タスク・シフトについて、今も救急救命士の話がありまして、これも救急・災害の検討会でいろいろと細かく議論しているところですので、院内でも救急救命士の活躍できる場をつくることによって、タスク・シフトが進むと思っております。これには多分、法改正が必要になります。法改正が必要なものは、今回は法改正を見据えて、議論を進めていただきたいと思っております。これは救急救命士だけではなく、まだほかのところにもあるように思いますので、そういう形でお願いできたらと思っております。
あと、地域医療構想の話も出ておりましたので、それについて1点、申し上げたいのですが、今後、民間病院のデータを出すという話が今、出ております。今回の公立・公的病院に関しての指標というのは、例えばがんや産科、小児科、救急など、いわゆる医療計画に書かれている中核病院としての主に公立病院がなすべき仕事をどれだけやられているかということが指標になっているのだと思います。
それに対して、民間病院というのは、サイズもそんなに大きいところが多いわけでもありませんし、非常に地域に密着して、自分たちの得意なところはちゃんとやれることをやって地域に貢献しているという病院が多いので、今のままの指標を使うと、ほとんどそれは満たされていないということになってしまいます。ですから、民間病院のデータを公表するに際しては、民間病院のあり方、やっている医療というものを十分に調査した上で分析を行っていただきたいと思います。今のままの形の指標での公表は、ぜひやるべきではないと思っております。
○永井部会長 安部委員、その後、久喜委員どうぞ。
○安部委員 資料2-3の8ページ以降に、ヒアリングで聴取された情報を事務局として整理していただいたものをお示しいただいています。2ポツに薬剤関連のタスク・シフトが載っております。そこの中の業務内容という項目に示されている事例で、処方や投薬などの用語が記載されているわけでありますが、今後、より具体的に業務内容を検討する際に、さまざまな医療の場面や職種の違いによって、用語の解釈に誤解やイメージのばらつきが起きないように、丁寧に整理をしていただきたいということが一つ要望であります。
もう一点、薬剤関連につきましては、7月17日にヒアリングに参加いたしまして、タスク・シフト/シェアの取り組みで成果が上がっているような事例を紹介した上で提案をしております。この際、成功事例等をもとに、資料に記載された業務内容を検討することについては、妥当だと考えますが、これらの提案をもとに、新たに多くの医療現場でこの仕組みを導入するに当たっては、業務内容の項目に示された事例を表面的にコピー・アンド・ペーストするというわけにはいかないと思っております。
先進的な成功事例においても、タスク・シフティングやシェアの導入に至るまで、各職種に必要な体制整備や連携のあり方、現場で生じたさまざまな課題やその解決にどのように対応が必要であったかなど、相当な時間をかけてプロセスを構築してきているのだと認識しております。
そういう意味では、新たにタスク・シフティング/タスク・シェアに取り組む現場で、着実な推進に必要な準備を効率的に行ってもらう観点から、これらの先進事例で構築した経験やノウハウを情報収集して、実際に事例として示すなどの対応が必要なのではないかと思いますので、そういったことも御検討いただきたいと思います。
○永井部会長 久喜委員、どうぞ。
○久喜委員 先ほどの2つのことでお話しさせていただきます。
先ほどの救急救命士のタスク・シフトは、やはり法令改正してまでも、救命救急士は病院内でもそれぞれの継続した行為はするべきだろうと。特に地方においては、スタッフが少ないという中で、そういうところのニーズがかなりあります。そういう意味でも、ぜひ御検討いただきたいということをお願いしたい。
もう一つ、地域医療構想なのですが、全国市長会のほうで地域医療確保対策会議というものを年に4回ぐらい行っております。そこでの議論としては、今回の発表は余りにも唐突過ぎて、地方自治体をあずかる首長としては、これはいかがなものかということでかなりの議論がございました。
特に注目したのが指標という点で、距離的な問題だけなのですけれども、北海道の首長から出たのは、雪が降った場合どうするのかと。距離ではないのだと。北海道は、雪の場合には移動に相当な時間がかかるので、近くても大変な状況があり得る。だから、指標に関しましてはかなり議論をしていただきたいと思いますし、また、公表におきましては、できるだけいろいろな形で協議を重ねた上で行うべきかと思います。いずれにしてもファシリティマネジメントという点では必要なことだということはよくわかりますが、出し方、方法論に関しては、かなり難しいということを御理解いただきたいと思います。
○永井部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
釜萢委員。
○釜萢委員 まず、タスク・シフト/シェアの検討会は私も構成員でありますが、医療部会で皆様に情報を共有していただきたいと思って発言をいたします。
一つは、検討の時間がそんなにないなという感じがあります。今、御意見が出ているように、この問題は今後もしっかり検討を重ねていかなければいけないけれども、第1段階のある程度の取りまとめをすべき時期が、先ほど医事課長からお話があったように、まず今年じゅうでありますから、それに向けての議論をしていかなければいけないだろうと思います。
ヒアリングによって、それぞれの団体から出た御意見を大いに参考にすべきだと思いますが、すぐに実現可能なものと、将来にわたって検討が必要なものもあるので、そのあたりのところをよく考えながらやっていく必要があると思います。
この場でぜひ申し上げたいことは、それぞれの医療関係職種の現有の人数がどのくらいいて、どのくらいの業務量をタスク・シフトすることができるのかということをよく考えながらやらないと、せっかく検討しても余り意味がないものになりかねないので、現有の勢力がどのくらいいて、その人数が適正なのかどうかということについて、常に考えながらやらないといけないと思います。
長くなりますが、平成10年の柔道整復師の判決以降、国が要請数についてしっかりコントロールすることができにくいということがあります。しかし、必要な関係職種が足りなくならないように、また、増え過ぎないようにということは、国としてしっかり把握して、どういう対策をとったらよいかということは常に考えていただきたいと思います。
医師については、需給推計をかなり厳格にやっていますが、医療関係職種がみんなそういうふうになっているわけではない。薬剤に関しては今後、薬剤師の検討が始まると伺っていますけれども、そのあたりのところをしっかりやっていく必要があるだろうと思います。
地域医療構想については、既にお話が出ましたが、具体名を出された医療機関にとっては、どうしてという思いが非常に強かっただろうと推測いたします。その中で、当初の混乱もありましたけれども、きょうの資料の最後の部分に、厚労省に現在の方針をおまとめいただいたものが出ております。これをしっかり読むと、いろいろな混乱のことは大分収束に向かうのではないか。ずっと議論の様子を見ておりますと、当初の混乱もあったかもしれませんけれども、このことによって地域医療構想調整会議の議論が深められるという肯定的な御意見もしばしば耳にしておりますので、調整会議での議論がしっかり深まっていって、その地域に合った形のものが大事だろうと思います。
先ほど猪口委員から御指摘があった民間の医療機関の扱いについては、それぞれの地域で医療機関がどういう役割を担っているかということをしっかり踏まえた上で、ご議論が進められることが望ましいわけで、先ほどご指摘のように、ただ単に同様の指標を出せばよいというものではないだろうと思いますし、出された医療機関の経営を非常に圧迫するようなことになってもいけないので、そのあたりは、地域の医療構想をうまくよい方向に持っていくために必要な情報を出しながら検討するという姿勢をお願いしたいところでございます。
以上、意見を申し述べました。
○永井部会長 山口委員、その後、佐保委員。
○山口委員 資料2-1の評価のことについて、事務局にお尋ねしたいと思います。
先ほど加納委員から、費用を徴収されるという話がありましたが、先ほどから人手不足という話もあるように、今、医療機関では人が少ない、忙しいということで、患者と向き合う時間が本当にとれなくなってきている。そこに第三者評価も受けなければいけない。いろいろな報告事項もかなり重なって出していて、医療現場の方々がそういう事務的な作業を含めたところに非常に時間がとられて、ますます患者に向き合えなくなるということが実態としてあると思います。
それを非常に懸念しているのですけれども、その中で今回、評価も3年ごとに受診しないといけなくなってくるということで、またその評価のために働く人手が必要になってくるということの懸念について、この検討会の中で実際に出てきていれば、教えていただきたい。そこは、これ以上負担をかけないようにしていただくことが、患者のためにもなるのではないかと思っています。
それから、評価の質についても書いてあるのですけれども、今、実際に第三者評価をしている団体に私もかかわっていますが、何年もやってきている団体でも、評価の質ということでは疑問を抱くようなことも中にはあるので、質をきちんと担保することが必要だと思います。また、どこが評価を実施するのか全然決まっていないという話ですけれども、それがうまくかみ合っていくのかどうかということを懸念しておりますので、そのあたり、どうやって質を担保するのかということをどう考えておられるのかということもお聞きしたいと思います。
○永井部会長 事務局、お願いします。
○医事課長 医事課長でございます。
2点、御質問いただきました。
まず、この評価を受ける、もしくは実施することによる医療機関の負担等に関しましては、検討会でも議論になっておりまして、例えば調査の内容、申請様式などさまざまなものをできるだけ簡素化し、かつ、データに関しても、さまざまな既存のデータを使うことができるようにということで、これは検討していこうと思っているところでございます。そういった意味で、働き方改革の対応のために、業務が加重になるというのは問題であるという意識を持って検討会では議論されているということです。
もう一つ、評価の質に関しましては、まずは評価者につきまして、国のほうで研修を実施し、一定の標準的な対応ができるようにしていくということもありますが、実際に行われた結果どうだったかということにつきましても、何らかの形で評価をしていく必要があるのではないかという御指摘もいただいています。
具体的な対応は今後また検討してまいりますが、御指摘の点についても検討会では焦点になっているということでございます。
○永井部会長 佐保委員、それから今村委員、山崎委員。
○佐保委員 地域医療構想については、医療の効率化の観点から、地域差の是正が非常に重要と考えております。その上で、地域医療構想を着実に実現するためには、患者の受診行動の変容を促すことを含めて、民間医療機関も含めた地域一体の主体的な取り組みが欠かせないと考えております。
政府の「骨太の方針2019」にもあるように、都道府県知事の権限を強化することによって、適切な進捗管理と病床の機能分化を積極的に進めていくべきと考えております。
以上です。
○永井部会長 今村委員、その後、山崎委員。
○今村委員 山口委員のおっしゃったことで、私も委員会に参加しているので、今の課長からの御説明に加えさせていただきたいと思いますけれども、先ほど加納委員からも、受審費用のお話がありました。受益者負担的に、受審をする病院が手数料を支払うという記載にはなっておりますけれども、全額病院が負担するというのは、問題があるのではないかと思っており、できるだけ、何らかの公的な支援があるべきではないかという意見も申し上げております。
また、評価について、中身がどの程度、簡素化されるものなのか、あるいは調査の医師、看護師等と社労士を含む2人ペアで現場に行くというたてつけにはなっていますけれども、その作業自体が一体どの程度になるかということが全くはっきりしない中で、全国1,500医療機関、割る3年で、1年間500医療機関の評価を行うという仮定になっていますが、まずはモデル事業をきっちりと実施していただいて、今、考えているものでどの程度の作業量になるのかということをしっかりと把握した上で、具体的に考えていただきたいということも申し上げています。
極めて限られた時間の中ですので、そういうモデル的なことがどの程度できるかという問題はあろうかとは思いますけれども、頭の中で考えただけでやるというのは危険が大きいと思っているところです。
○永井部会長 山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 こういう制度をつくるときに、今、文科省で英語検定が問題になっていて、受験料が8,000円から3万円まで幅があって、どれでもいいという形になっていますけれども、きょうの資料2-1の21ページを見ると、特定機能病院が日本医療機能評価であると大体250~450万、JCI認証440~780万、次が300万となっていて、有効期間が3年、5年と分かれているわけです。
したがって、これを義務化してつくるのであれば、ある程度、受験料をきちんと決めなければおかしいと思うのと、左に書いてあるように、措置費で第三者評価を受診する場合は加算がついているということなので、受診を義務づけるのであれば、そのときに診療報酬でこの受診料を負担できるような制度を入れなければおかしいと私は思います。
○永井部会長 何かありますか。
○医事課長 さまざま、この部会でもいただいた御指摘を踏まえて、検討を引き続き行ってまいりたいと思います。
○永井部会長 最後に、小熊委員どうぞ。
○小熊委員 ありがとうございます。
先ほど猪口先生と釜萢先生から、民間に対する地域医療構想の評価ですけれども、今回の公的と別にしたらどうかという御意見をお聞きしたと思うのですが、公表された我々自治体病院と公的病院はどうなるのだということを一つ申し上げたいと思います。
といいますのは、あれは比較的高度な急性期の指標、総合病院的な体制を必要とする指標で判断したわけで、公立・公的病院といえども、地域密着型の、地域になくてはならないけれども、あの指標で再検証しなさいと424も現実に出されたわけです。それをもし別の指標でやるのであれば、私どもとしてはそれをもう一度、公立・公的にも適用していただきたい、前回のをキャンセルしていただきたいという意見もきっと出てくると思います。そのことは、担当の方々に一つ覚えていただきたい。
もう一つは、では民間だけ、公的でもいいですけれども、そういう特殊な事情を考えた単科的な病院の指標を大いに取り上げたときに、それが地域医療構想調整会議の活性化につながるのであろうかということが、私としてはちょっと疑問が残る。
ですから、地域全体の総合的な判断をする、人口100万人以上の地域は手をつけられていませんけれども、そういったところで単科的なものもあれば、総合的なものもあれば、いろいろな要因があるので、例えば病床数100~200床ぐらいの比較的中小の民間を救うような指標だけで、地域医療構想調整会議がうまくいくのだろうかという心配が私はどうしても湧いてまいります。そういったことをよくお考えいただけたらとあえて言わせていただきます。
○永井部会長 今の点、大分いろいろな方から指摘されているかと思いますが、いかがでしょうか。
どうぞ。
○総務課長 総務課長でございます。
地域医療構想の関係で、民間医療機関のデータ提供の関係につきまして、異なる立場から御意見がございました。
私どもは、今回の公表を地域医療構想の活性化ということのために、一定の割り切りで急性期あるいは高度急性期の2年前の診療実績ということで、公立・公的医療機関について出させていただいているところでございます。
もちろんこれも今回の資料にございますように、ある意味、機械的なデータでございまして、公立・公的につきましても1断面の資料でございますので、さまざまな形で公立病院あるいは公的医療機関、急性期だけではなくて、別の機能で実態を把握していらっしゃるということもございますので、そこの点も含めまして、まず地域の中でよく御検討いただくということが、この資料の扱いの第一前提でございます。
また、民間医療データにつきましても、地域医療構想調整会議の議論の活性化のために、今回、いわゆる競合という形の医療機関の実態も分析しておりますけれども、そういうものの中で、必要なデータについては地域医療調整会議において議論に足りるような形で提供させていただきたいと思っております。
ただ、公表に当たりまして、さまざま御意見をいただいているところでございますので、提供の手法あるいは手順につきましては、関係者、地方もそうでございますし、医療機関のほうの関係者ともよくよく御相談申し上げて、丁寧に事を進めていきたいと考えております。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
この件は非常に重要ですので、引き続き本日の議論を踏まえて対応をお願いしたいと思います。
最後に「医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会の中間とりまとめについて」、御説明をお願いします。
○看護職員確保対策官 看護職員確保対策官の岩間と申します。
本日は、医療従事者の需給に関する検討会看護職員需給分科会において、昨10月21日にこの分科会の議論を一旦了承いただきまして、中間取りまとめとなりました看護職員の需給に関することについて御説明、御報告申し上げます。
資料3-1概要という資料を御参照ください。まず1ページ目、これまでの経緯というところです。看護職員の需給に関しましては、おおむね5年ごとに、これまで7回にわたり、従来は病院の意向などを全数調査で都道府県に確認いただいて、その数字を積み上げる方法で需給を見通してまいりましたが、骨太方針2015におきまして、地域医療構想との整合性の確保や地域間偏在など是正などの観点を踏まえた医師看護職員等の需給について検討するとされました。
この方式を受けまして、従来の積み上げ方式ではなく、新しい推計方法を検討するということで立ち上がったものでありまして、平成28年3月に設置をし、そこから議論をいただいてきまして、推計方法をまず定めるというところから開始いたしました。
同じく1ページの下のほうでありますけれども、国は、次の基本方針に基づく推計手法を策定させていただきました。
現在の病床数、患者数、看護職員数をもとに、医療需要当たり看護職員数を設定し、医療需要については、一般病床及び療養病床については2025年の地域医療構想における病床数の必要量、介護保険サービスにつきましては介護保険事業計画におけるサービス見込み量、その他の事項につきましては一定の仮定を置いた推計ということで、国が推計ツールを定め、都道府県に試算をお願いいたして、需要を見積もりました。
また、供給につきましては、現就業者数や新・再就業者数を見通し、離職率の動向を踏まえ、各都道府県に推計をいただいております。
こうした数字を国において取りまとめ、集約をし、これに短時間勤務者の増加に伴う常勤換算対実人員の比率を加味した上で、ワーク・ライフ・バランスを現在よりも充実・拡充させるという方向で推計を定めましょうと。この分科会で意思決定されたことを受けまして、看護職員の労働環境の変化に対応して3通りの幅を持たせた係数処理を行わせていただくということで、次の2ページにおける結果が取りまとまった次第でございます。これは全国単位のものであります。
2ページの上を御参照いただきたいのですが、都道府県間の報告、需要に関しましては、全国単位で180万人必要であろうとされました。これに対しまして、同じく2ページの左下の箱をごらんいただきたいのですが、看護職員の方々の超過勤務が、全ての看護職員について1カ月における超過勤務時間が10時間以内に圧縮され、有給休暇を5日以上とるというのがシナリオ1、同様の考え方で10時間以内と10日以上というのがシナリオ2、シナリオ3というのは全ての看護職員が超過勤務時間がなく、1年当たりの有休取得が20日とられるということを前提として置かれた数字でありますが、こうした3通りの幅を持たせて推計したところ、188万人から200万人需要が見込まれるとされました。
また、供給推計に関しては、175~182万程度と見込まれるという結果が出ました。これが全国単位の状況であります。
次に、同じく資料3-1の5ページを御参照いただきたいのですが、全国単位とは別に、地域の実情、特性が非常に出ております。こちらに関しましては、都心部や東北地方では依然として都道府県内全体として需要数が供給のそれを上回るという結果になっておりますが、一方で、地域医療構想上の将来の必要病床数と足元の病床数のギャップが大きいところについてはまた違った形の結果となっており、こちらからは各都道府県、地域の実情に応じた看護職員の対策が重要となっているということがうかがわれる結果となりました。
次に、6ページは厚生労働省医政局看護課において、この分科会の議論に資するようにお示しさせていただいた数字であります。A県とされているところは西日本のとある県でございますが、二次医療圏別に分けてみますと、一般的に在宅介護分野に勤務をいただく看護職の需要が高どまりをし、今後も確保が求められていく、プラスの数字はそういう意味でありますけれども、医療に関しましては、基本的に医療から在宅介護分野に移行を図っていくことが政策的に求められていくであろうということが全体の状況である一方で、二次医療圏のf、hというところでは、医療分野に従事していただく看護職員の方も介護分野、在宅分野で活躍いただく方も両方必要だということもありまして、こういった特性が出てきているというところがうかがわれました。
次に、7ページのB県は首都圏のとある県でございますけれども、こちらにおきましては、全ての領域、分野において看護職員の確保が重要な課題となっているということがうかがわれる数字という結果になりました。
これを踏まえまして、この分科会では、今後どういった対策を打っていくべきかということに関しても御議論いただきました。それが8ページと9ページでございます。
8ページにおきましては、一般的な看護職員確保対策はこれまでも、いかに看護の道を志していただき、看護の資格を取っていただき、看護の道に入っていただくか、養成という観点と、復職支援、ライフイベントや各種御事情によって一時看護職を離れられた方が職場に円滑に戻ってこられるための対策、そして定着促進と申しまして、一般的に離職を防止していくといったことを従来からも取り組んでまいりましたが、9ページをごらんください。先ほど申し上げました地域別の実情の違いに鑑みますと、医療分野から訪問看護や介護保健施設への就労の移行に関して、どういう施策が求められるであろうかと。
また、地域別に関しても一定の偏在が状況としてうかがわれる結果となりましたので、今後、こういった地域別の状況をよりよくしていくためにはどうしていくべきかということに関しても御議論をいただき、報告書として取りまとめたものであります。
次に、今後これを受けましてどう取り組んでいくのかという点につきましては、資料3-2というもう一つのファイルを御参照いただけますでしょうか。まず13ページをごらんいただければと思います。
まず、需給推計ということに関しましても、この推計は2025年、地域医療構想の実現を前提とした状態での看護職員の需給のあり方を示す内容でありますので、その取り扱いや今後の確保策の取り進めに関して留意いただきたいことについても分科会で定められました。
例えば、令和元年時点で全ての都道府県におけるナースセンターの求人倍率は1.0を下回る県が一つもなく、足元、現在は看護職員不足の対応はなかなか厳しかろう。それに対する目下の対応は、地域を問わない課題だろうということを前提としつつ、この推計は位置づけられているものであり、2025年に、またこういった地域別の実情の違いを踏まえて、それぞれの重点的なウエートの置き方などが変わってくるということの確保策の中身とともに、次に○がありますけれども、地域医療構想の実現にかかる進捗度合いにも影響を受けるということについても留意が要るのではないか。
都道府県によっては、看護職員が充足しているように見えるところもありますが、そのようなところにおいても対策が要らない、確保策が不要とはならないのではないか。特に地域別、領域別の偏在など検討すべき重要な点があって、今回の推計結果は、各都道府県が実情に応じた取り組みを丁寧に綿密にやっていくための素材として活用いただくことが重要ではないかと。
訪問看護事業所の事業推計に関しましては、精神障害に関与した地域包括ケアシステムの構築に伴う基盤整備量の目標をもとに、便宜上、まだ方針が全体として定まっていないという難しさがありますが、推計を行っていくこともまた重要なことで、機動的にやらないといけない課題でもあるので、便宜上、訪問看護により対応するものと仮定したものということであるということを留意した上で、最後に、今後という意味合いで、23ページにおきまして今回、中間取りまとめという形で取りまとめられたのは、まだエビデンスがわかっておらず、推計の中で織り込めていない各種事情があるがゆえということで、こういったものを踏まえて、改めて推計について必要が生じれば、また第二次となりましょうか、中間取りまとめを行うことも踏まえた前提を置いたものであり、機動的に看護課題の諸課題に取り組んでいただくための必要性から、今回、中間取りまとめとしているということを定めた上で、各都道府県においては、医療計画の見直しの機会などにおいて、それぞれ施策を推進していただければと思っておりますし、我々も必要な連絡調整は都道府県向けにもさせていただくということを予定しています。
また、国においても、今回の報告書、取りまとめを踏まえまして、制度面や財政面を踏まえて、必要な環境整備を行ってまいりたいという形で考えているところです。
報告は以上となります。
○永井部会長 ありがとうございました。
ただいまの件について、御質問、御意見をお願いいたします。
井伊委員、どうぞ。
○井伊委員 看護職員の需給については、いろいろ意見はあるのですけれども、1点だけ申し上げたいと思います。
2025年、令和7年の時点で、割合的にも差が一番大きいのは訪問看護のところでして、どのシナリオを見ても12万人前後が必要であるのに対して、現行では5万人を切っているという状況です。
日本看護協会としては、訪問看護に従事する看護職員の具体的な確保策を示す必要があるということで、訪問看護の総合的な確保計画を国としても策定していただきたいということを、これまでも申し上げているところです。12万人を確保するにはどうするかということについて、早急に何らかの検討会等を立ち上げていただき、確保策を定めていただきたいと思っています。
以上でございます。
○永井部会長 今の点、事務局はいかがですか。
○看護職員確保対策官 ありがとうございます。
今回の需給推計におきましては、訪問看護については約12万人必要という結果となっておりますけれども、このうちの4万人程度につきましては、先ほど御説明申し上げたとおり、精神病床からの基盤整備分という形で、全体としての方針ということは別途、今後の課題となっている一方で、看護職員のところの需給推計においても一定の機動的な取り組みを進めていく観点から、指針が要るであろうということから一定の仮定を置いて推計をせざるを得ないということで、全て訪問看護に移行する仮定のもとで推計したものであるということについては御案内のとおりかと思います。
こちらの訪問看護の確保策に関しましては、分科会の報告書の中でも有識者の先生方からるる提言をいただいておりますので、厚生労働省としても、そういった取り組みを都道府県などと連携し、取り進めていく予定と考えております。
現在においても、各都道府県においては医療計画や、市町村においては介護保険の計画の中でも、訪問看護に総合的に取り組まれているかと思います。今回の報告書といったものを踏まえましてどのように取り組んでいくのかは、今後も我々としても引き続き検討してまいりたいと思っております。
○永井部会長 加納委員、どうぞ。
○加納委員 ありがとうございます。
過去7回の需給分科会の結果は、どちらかというと看護師さんが余るよという話が多々あった時期もあったかと思います。今回は、非常に厳格に計算されているのだなということで、確認させていただきたいのですけれども、我々の病院に関しましては、看護師さんを雇うのに実態は紹介料を払いながら、会社から紹介していただいている状況でありますし、海外からの看護師さんもコストをかけながら集めているところであります。
本来ですと、ナースセンターというのが非常に活性化されて、ただコストなしであったかと思いますし、我々に看護師さんを紹介していただけるシステムとして活動するのではないかということを期待していたのですけれども、ここにもたくさんの補助金が入りながら、まだ活性化されていないなというところがあるかと思います。
これらについては、今後どのように考えられているのでしょうか。教えていただければと思います。
○看護職員確保対策官 ありがとうございます。
看護職員に関しまして、中途で離職されて、新しく入られるいわゆる転職のところが、ナースセンターが取り扱うところの主要どころかと思っております。
全体としましては、10万人程度転職があるとして、ハローワークとナースセンターを合わせて半分程度は公的の無料職業紹介部門が占めており、その他の部分については有料職業紹介ということと聞いております。
そういった意味合いにおきまして、看護職員の確保において手数料が生じるといった確保の方策などにおいて負担感があるということは、我々も各方面からお聞かせいただいているところでありますし、そういったことについては承知しております。
厚生労働省全体としましては、先般、職業安定法令の改正におきまして、有料職業紹介事業の手数料の明確化、開示に関しまして、あるいはいわゆるお祝い金に関しての法令の規制も定められており、その法令の周知徹底あるいは遵守ということも踏まえまして、職業安定行政とも連携をしながら、またナースセンターの機能強化ということも今回の報告書の中では重要な施策として打ち出されているところでありまして、そこの取り組みに関しても、厚生労働省医政局としても鋭意、職業紹介の地域における実効性を高めるような施策を進めていくことによって、現場の負担感を極力割けていくように努力してまいりたいと思っております。
○加納委員 ぜひともお願いしたいと思います。
まだ看護師さん不足が続いている状況下ですと、先ほどの救命士も含めたタスク・シェアリングといった形も我々は考慮しなければいけないという要因になっているかと思っておりますので、よろしくお願いします。
○永井部会長 今村委員。
○今村委員 お時間のないところ、本当に恐縮です。
看護の需給については、新たに非常に精緻に計算されているのだなと思いますけれども、先ほど釜萢委員から、医療関係職種の需給は非常に大事だという御意見があって、事務局にぜひ伺いたいのですけれども、薬剤師の需給については研究が進んでいるというお話がございましたけれども、私はもう既にそういう研究レベルの話ではないと思っていて、もともと医師の需給については、厚生労働省医政局と文部科学省が両方相まって需給を検討するという話になっています。
医政局だから、薬剤師の話は関係ないのだと、医薬食品局の話なのだということなのかもしれませんけれども、医療関係職種の中で、薬剤師はとても重要で、病院と薬局、さらには地域の偏在があるということも明確にわかっている中で、一体どれだけの薬剤師が日本に必要なのかという需給をきちんと計算していただく必要があると私は思っています。
何となくやります、やりますで結局ずっと何も決まらないまま来ているように思うのですけれども、その辺の進捗状況についてはいかがでしょうか。
○総務課長 総務課長でございます。
まず、現状について、少し御説明申し上げます。
前々回に今村委員から、薬剤師の需給の関係につきまして御質問を承りましたので、現状を含めまして御説明申し上げます。
薬剤師の需給につきまして、昨年度、2018年度におけます現状につきまして、厚生科学研究において需給動向の予測を研究班で行っております。調査結果でございますが、現状37万人の需要に対して、供給数37万ということで、ほぼ需給均衡に立っているというのが研究班の検討結果でございます。
ただ、今の薬剤師さんの業務が変わらないという前提で、ある意味、機械的に現状、2018年~2043年の25年後の姿を見通した推計でございます。
その結果でございますが、先ほど申し上げたように、2018年度では需給均衡でございますけれども、中長期的に見ますと供給が需要を上回るという推計結果になっております。2043年段階で言うと、約40万の需要に対して供給数のほうが上回っているという推計結果でございます。
この研究班での検討結果でございますが、先ほどの看護と同様でございますけれども、地域偏在ということもございますので、詳細な検討が必要だという研究班の報告になっております。
したがいまして、局は違いますけれども医薬・生活衛生局のほうで、来年度の予算におきまして、調査費用ということで、都道府県あるいは二次医療圏ごとの詳細な薬剤師の需給状況について、まず調査をするということで、予算要求をさせていただいております。
また、研究というベースを超えているのではないかという御質問を承りました。まずは先ほど申し上げたような需給の推計が必要だと思いますが、データの整理をした上で、具体的な施策としてどうするのかということにつきましては、医薬・生活衛生局のほうも問題意識を持っているという話でございますので、必要な検討をさせていただくというふうに考えております。
○永井部会長 山口委員、それから佐保委員。
○山口委員 今の御説明の中の薬剤師の数ですけれども、それは病院薬剤師、薬局、両方合わせてでしょうか。病院はかなり不足しているような気がするのです。
○総務課長 説明が不足しておりました。
37万というのは、病院薬剤師、薬局の薬剤師さんあるいは製薬企業等々に就職されている全体数の話でございます。
病院と薬局で申し上げますと、現状の薬剤師調査結果においては、薬局では17万、病院・診療所等では5万8000人の就業数という状況でございまして、残りはそのほかのところで勤務されている方という状況でございます。
いずれにしても、薬局と病院薬剤師の不足感という問題はちょっと状況が異なっておりますので、地域別の問題あるいは就業先ということも含めまして、今後どうあるべきなのかということを需給推計するというふうに伺っております。
○永井部会長 最後に佐保委員、どうぞ。
○佐保委員 時間がない中で申しわけございません。
都道府県から報告された今回の供給見通しがやや控え目だったという結果は、地方の人口動態や産業構造を反映して、都道府県が必ずしも看護職員の確保にだけ注力することはなかなか難しいという実情を反映しているのかもしれません。そうであるとすれば、訪問看護を含めて、看護職員の確保対策は一層重要だと思っております。
取りまとめの最後に、「国においても」とありますが、勤務時間や勤務環境改善については、研究にとどまらず、制度面や財政面で看護職員が安心して働き続けられる環境整備に引き続き積極的に取り組んでいくことを求めたいと思います。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。大体時間になりましたので、事務局から、その他連絡事項等をお願いいたします。
○総務課長 特にございません。
○永井部会長 ありがとうございます。
どうぞ。
○医療政策企画官 次回の日程につきましては、詳細が決まり次第、改めて御連絡をさせていただきます。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
それでは、本日はこれまでとさせていただきます。どうもありがとうございました。
 

 

 

(了)

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