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2019年10月21日 第69回医療部会

医政局総務課

○日時

令和元年10月21日(月)15:00~17:00
 

 

○場所

全国町村会館 ホール

○議事

○医療政策企画官 それでは、ただいまから第69回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中を御出席くださいまして、まことにありがとうございます。
医療部会の総委員数が24名で、定足数は3分の1の8名となっております。本日は、小熊委員、尾﨑委員、久喜委員、田中部会長代理から御欠席との御連絡をいただいております。また、楠岡委員からは、用務により多少おくれるとの御連絡をいただいております。楠岡委員を含めまして20名の委員の皆様が御出席ということですので、定足数に達していることをまず御報告申し上げます。
次に、議事に入ります前に、お手元の資料等の確認をさせていただきます。
お手元に議事次第、座席表、委員名簿のほか、タブレット端末を1台ずつお配りしています。
厚生労働省では審議会等のペーパーレス化の取り組みを推進しております。このため、当部会におきましても、資料1-1から1-3、参考資料1-1から参考資料1-4につきまして、お手元のタブレット端末で御確認をいただく形となります。
なお、本日、資料2につきましては、別途机上配付をさせていただいております。
操作方法で御不明な点がございましたら、事務局にお申しつけください。
もしカメラ撮りをされている方がおられましたら、ここまででお願いいたします。
(カメラ退室)
○医療政策企画官 以降の進行は、永井部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 それでは、議題に入ります。
まず「医師の働き方改革及び地域医療構想の進捗について」、事務局より説明をお願いいたします。
○医事課長 医事課長でございます。
まず、資料1-1に基づきまして、医師の働き方改革に関する議論の状況につきまして御報告申し上げます。タブレット端末の資料1-1をごらんください。
今回は、さまざまな事項の中で、1ページ目にございますとおり、右下にページが打ってありますが「地域医療確保暫定特例水準及び集中的技能向上水準の指定の枠組みについて」議論をいたしました。
内容でございます。2ページ目以降、2ページ目、3ページ目、4ページ目あたりまで医師の働き方改革に関する検討会の報告書の関係部分の抜粋をつけております。
今回議論していただきましたのが、医療機関の中で、A水準と言われる960時間というのが原則でありますが、それより長くなる医療機関について、どのように指定をしていくかという話でございます。
5ページ目の「検討の視点」というところをお願いいたします。
そういった特別な取り扱いをする医療機関について、どのような形で考えていくかというところでありまして、まず1つ目ですけれども、地域医療確保暫定特例の水準については、やむを得ず設定されるものであるので、限定する必要があるとか、医療機関のマネジメントの改革、地域医療提供体制の関係、機能分化・連携、医師の確保、国民の医療のかかり方など、そういったものも取り組んでいった上で、なお労働法令の遵守、医師の労働時間短縮に向けた対応がとられているかの確認ということであります。
3つ目の○ですけれども、医療資源が限られている地域がある中で、医療機関の指定・取り消しについてはどのように考えていくのか。
都道府県が指定を行うということで報告書はまとめておりますが、そのような形の枠組みとなっているかどうか。
医師の技能向上のための枠組みについても、適切な体制がとれるかという論点で議論をお願いいたしました。
実際に議論いただいた細かい中身としては、6ページ目からでございますけれども、まず、B水準と言われるものでございます。
都道府県が確認をするということですが、医療機関の類型としましては、6ページ目の真ん中あたりに少し色を塗っておるところがございますけれども、これは報告書の内容そのものでございます。
三次救急医療機関、二次救急医療機関かつ「年間救急車受入台数1,000台以上又は年間での夜間・休日・時間外入院件数500件以上」かつ「医療計画において5疾病5事業の確保のために必要な役割を担うと位置付けられた医療機関」、在宅医療を積極的に担う医療機関、それから、公共性と不確実性が強く働くとして都道府県知事が指定する医療機関、専門的な知識・技術や、高度かつ継続的な疾病治療・管理が求められる医療機関、こういうものは類型がありますが、こういったものをまずは指定していくということについて、改めて確認する。
その上で、7ページ目で「③地域の医療体制との整合性」を書いておりますが、これは各病院だけでそういった体制を整えていくということだけでなく、地域でそういった役割を担っているかどうかも含めて、例えば地域医療構想調整会議であるとか、医療審議会での議論と整合性をきちんと担保することの必要性についても議論いただきました。
また、医師労働時間短縮計画を作成していって、都道府県に提出していくということ。
それから、評価機能ですけれども、外部の評価を受けて、労働時間短縮の取り組みが十分されているかどうかということを含めて、B水準であるという指定を行う仕組みということです。
追加的健康確保措置というものですが、これは28時間連続勤務、9時間のインターバルというところも含めてですけれども、面接指導の実施体制について確認していくとともに、実際にできているかどうかを確認するということであります。
8ページ目の「労働関係法令の重大かつ悪質な違反がないこと」も、報告書に指定に当たって要件とすべきとなっておりましたので、具体的にどういう点について確認するかということで、今回、例示として、労働時間に関する労働基準法違反ということで過去1年以内に送検され、公表された場合については認めないということなどを書いておるところでございます。
10ページ目でございます。今度は(C)-1水準でございます。
この(C)-1、そして、後ほど御説明します(C)-2は、医師というものは技量を高めていく時期が必要であるということで、労働時間の取り扱いの特例的なものを検討しているものでありまして、特に(C)-1に関しましては、初期の臨床研修、専門研修を行っている医師が対象というものであります。
それに関して、実際、まずは初期臨床研修、10ページ目の中段以下ですけれども、これは臨床研修プログラムを策定し、それに対して医学生が応募していくというような仕組みで運用しておりますので、プログラムの中に労働時間も記載して、募集をしていただく。実際、きちんと取り組まれているかどうかの確認も都道府県が実施をするということを書いております。
11ページ目の専門研修のほうですけれども、これは日本専門医機構が専門研修プログラム・カリキュラムの時間を確認しまして、問題がある場合には改善を求めていくという流れでございます。こちらのほうも、プログラム上、時間外の時間数を明記していただくということを考えているところでございます。
13ページ目でございますけれども、(C)-2水準ということで、これは先ほどの初期研修や専門研修を修了した医師を対象というイメージでございます。
これは(C)-2水準の労働が検査のために必要であると医師のほうから申請をするという仕組みでございますが、どういった技術が対象になるのかということにつきましては、13ページの中段あたりにありますが、[基本的な考え方]ということで、高度な技能が必要で、当該技術の習得及び維持には相当程度の時間の関連業務への従事が必要で、長時間交代が困難であるとか、連続性が必要であるというところが対象になるのではないかというようなイメージでございます。
各医師から計画を提出していただいたわけですけれども、実際、それが妥当なものなのかどうかということについては、確認することが必要であるということであります。
14ページ、申請の内容でございますけれども、医師の育成が可能であるということ、つまり、高度な技術を習得したいということで、ある病院でやりたいといっても、そこで実際にできる技術なのかどうか。要するに、指導医のような体制があるのかどうかを含めて確認した上で議論するということであります。
その中で、全部の病院を個々に審査していくということについては、効率性を高めるという観点から、14ページの中段あたりの「医療機関指定後、高度特定技能育成計画を審査し」という部分でございますけれども、特定機能病院、臨床研究中核病院などについては、施設としては特に審査せずに、医師がそういったことが習得できるような内容になっているかを見るということでどうかということも出ております。
ただし、そういった医療機関だけが対象ではなく、それ以外のところでも、医療機関の審査もあわせてした上で、認められる場合もあるであろうということにもなっているわけでございます。
16ページでございます。
今のような審査、特に(C)-2の個別の技術の審査を厚生労働省のみで実施するというのは難しいということもありますので、関係領域の関係学会など専門的な知見のある関係者の協力を得て、審査する組織で判定をしていくという作業になるのではないかということで、16ページにそうした模式図も提案させていただいたというところでございます。
20ページに飛んでいただきまして、今の(B)と(C)-1、(C)-2に関しまして、これも指定をするわけでありますが、やはり指定の期間、取り消しに関しても議論をしていただいておりまして、20ページの冒頭のところですけれども、指定期間としては、医療計画の中間見直しを踏まえて3年としてはどうか。(C)-1、(C)-2に関しても、(B)の医療機関と重複するということも想定されるので、3年間としてはどうかということを提案しておりまして、議論いただいております。
また、指定の取り消しに関しましては、要件を満たさなくなったときということでありますけれども、内容、地域によっては(B)(C)医療機関が取り消されるということになると、影響が考えられますので、まずは改善の取り組みをした上でやっていくのと、あとは、指定のときに都道府県医療審議会の意見聴取を行うことにしておりますので、取り消しに対しても、地域医療への影響を考えて議論するということで、意見の聴取を行うということでございます。
このような資料で議論していただきましたけれども、またいろいろと具体的に、特に初期研修、専門研修を含めまして、幾つかの医療機関にまたがって研修を受ける場合の時間管理の方法でありますとか、検討会でもさまざまな御指摘をいただいておりまして、引き続きそうした論点につきまして整理をしていきたいと思っております。
また、本日、医療部会におきましていただいた御意見を踏まえて、引き続き検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
説明は以上でございます。
○総務課長 引き続きまして、医政局の総務課長の佐々木と申します。よろしくお願いいたします。
本日、地域医療計画課長が後ほど御説明申し上げますけれども、地方に説明会に参らせていただいておりまして、私のほうから御説明申し上げます。
資料1-2をごらんください。地域医療構想の現在の進捗状況などにつきまして、ポイントを絞って御説明させていただきたいと思います。
まず、2ページ目「これまでの経緯」でございます。
地域医療構想調整会議におきましては、平成29年度以降、2年程度で集中的な検討を進めるということにした上で、特に公立・公的医療機関に対しては、それぞれ「新公立病院改革プラン」「公的医療機関等2025プラン」を策定していただいて、民間医療機関との役割分担を踏まえ、公立・公的医療機関等でなければ担えない分野へ重点化された具体的対応方針であるかを確認することを求めてきた次第でございます。
その結果でございますが、各都道府県の調整会議で御議論を重ねていただきまして、一定の合意はしていただいておる状況でございますけれども、その内容といたしまして、地域医療構想の実現に沿ったものになっていないのではないかというような御指摘もいただいていたところでございます。
こういったことを受けまして、ことしの骨太でございますけれども、全ての公立・公的医療機関等に係る具体的対応方針について、診療実績データの分析を行い、具体的対応方針の内容が民間医療機関では担えない機能に重点化されているか否かを、原則として2019年度中に対応方針の見直しを求めるということが閣議決定された状況でございます。
これらを受けまして、地域医療構想ワーキングにおきまして「具体的対応方針の検証に向けた議論の整理」につきまして、有識者の先生方に御議論を賜ってきたところでございます。
その上で、具体的対応方針の検証方法といたしましては、厚生労働省におきまして、これは具体的には平成29年度の病院機能報告に基づく診療実績でございますけれども、高度急性期及び急性期機能という診療実績を上げていただいている病院の当該診療実績の分析を行いまして、一定の指標に基づいて分析を行わせていただいて、一定の基準に合致した場合には、県に対して、具体的対応方針に関する合意内容が真に地域医療構想の実現に沿ったものになっているか、地域医療構想調整会議において改めて検証いただくという考え方で取り組みを進めてきた次第でございます。
2ページほどめくっていただきまして、資料の4ページでございますけれども、9月26日に対象の公立・公的医療機関名を公表させていただいたところでございます。具体的には、平成29年度の診療実績に基づきまして、急性期機能等につきまして「低実績な病院」または「診療領域が類似かつ地理的に近接する病院のある病院」につきまして、再検証を御依頼するという趣旨で公表させていただいたところでございます。
分析のイメージでございますが、がん・心疾患等々の9領域でございますけれども、急性期という機能につきまして、277病院の診療実績が特に少ないということで、病院名を含めて公表させていただいているところでございます。
また「類似かつ近接」の分析といたしましては、がん・心疾患等の6領域につきまして、地理的に近接するほかの公立・公的医療機関等がある場合におきましては、実質、競合しているということでございまして、こちらに該当するものを除きまして、147病院、区域といたしましては104区域ということで公表させていただいたところでございます。
翌27日に、改めて今回の公表の趣旨につきまして、医政局として見解を公表させていただいております。
資料の5ページでございますが、そもそも論でございますけれども、地域医療構想は地域ごとに効率的で不足のない医療提供体制を構築するという目的でございますので、それぞれの地域で次の時代に対応した医療を構築するという議論を深めていただいているところでございます。
今回、高度急性期・急性期機能に着目した一定の基準に基づきまして国からデータ提供をして、それぞれの医療機関名を公表させていただいているところでございますが、あくまで今回の分析というのは限られておりますし、したがって、3.でございますけれども、必ずしも医療機関そのものの統廃合を決めるというものでもございませんし、また、病院が将来担うべき機能や、それに必要なダウンサイジング・機能分化等の方向性を機械的に国のほうで決めるという趣旨ではありませんということでございます。
当然のことながら、今回は限られたデータでございますし、また、対象としても、急性期あるいは高度急性期という形で御報告いただいた病院の当該診療実績に基づいた限られたデータでございますので、今回の分析だけでは判断し得ない診療領域や地域の実情に関する知見も補いながら、地域医療構想調整会議の議論を活性化し、議論を尽くしていただくことが目的であるということを御説明させていただいている次第でございます。
そういう状況でございますけれども、資料1-3をごらんいただきたいと思います。
私ども、そういうことで病院、診療実績に基づく分析データの公表ということを差し上げているわけでございますけれども、その後、私どもの情報公開の方法、あるいは議論の進め方について、さまざまな御意見をいただいているところでございます。
そういうこともございまして、資料1-3でございますけれども、地方との意見交換を順次開催させていただいているところでございます。
具体的にはスケジュールに書いてございますけれども、10月17日の九州・福岡を皮切りといたしまして、今月末の中国・四国まで、表にございますような期日で、ブロック単位で説明会を順次開催させていただくことといたしております。
意見交換の流れといたしましては、私どもからの説明もございますし、医療機関、あるいは地方団体からのさまざまな御意見ということで、活発な御意見を賜るということにしているところでございます。
また、ブロック単位での開催ということを原則といたしておりますけれども、都道府県のほうで御要望がございましたら、個別に意見交換に伺うというような形で進めさせていただくことといたしております。
私どもからの説明のポイントは、先ほど御説明しました私どもとしての考え方についての御説明のほか、2番目の○でございますけれども、分析に用いたデータは平成29年度データでございますので、必ずしも直近のものではないということ、あるいはこれは平成29年度で一定の割り切りのもとでやっておりますので、既に機能転換等をされているような実情も反映されていないということもございます。
それ以外の病院としての機能等々がさまざまございますので、その点につきましては、地域における議論の際に勘案していただきたいということも御説明させていただいているところでございます。
今後でございますけれども、地方自治体からの御意見もよくお伺いさせていただきまして、かつ、国から一方的にということではございませんで、双方向で議論を積み重ねていきたいと考えております。
また、今後、正式に都道府県に再検証依頼通知というものを出す予定でございますけれども、その際の実務的なことにつきましても情報提供をする予定でございます。
関連いたしまして、次のページでございますけれども、初回の福岡におきまして当省の橋本副大臣のほうから御挨拶をいただいておるところでございます。
第1パラでございますが、このたび、厚生労働省として診療データ等の分析の結果を公表したところでございますけれども、病院名が公表されたということで、住民の皆様の不安などを招いてしまったということについては、我々としても反省しているということを冒頭にお伝えさせていただきました。
また、橋本副大臣のほうから3点といたしまして、1点目といたしましては、私どもとしては、ワーキング等々の公開の場所、あるいは都道府県説明会などで病院名を含めて公表するということは言っておりましたけれども、ただ、やはりいざ公表ということになりますと、データをお伝えするのが唐突であったという御批判もいただいております。
事前に関係者の皆さんに十分に御説明をすることができていなかったということにつきまして、真摯に耳を傾け、よく御相談させていただきながら、丁寧に取り組みを行っていきたいという旨を説明いただいております。
2点目といたしまして、既に地域ごとの実情に応じた議論や取り組みが進められてきたということに対しまして、あくまで今回のデータにつきましては、全国一律の基準ということで、各地域の実情につきましては十分に反映できておりません。
ですので、今回のデータを眺めていただきつつ、それぞれの地域の実情を踏まえた議論をそれぞれの地域で行っていただきたいという旨、また、今回、名前を公表したということが、病院機能や病院そのものについて一方的に押しつけるという趣旨ではないということで、正しく趣旨をお伝えしたいという旨、御説明いただいております。
いずれにいたしましても、第4パラ、最後のところでございますが、全国的には医療ニーズの変化と医療サービスの担い手減少という課題に着目しているということでございまして、厚生労働省といたしましては、地域の医療ニーズに即した効率的な医療機能の確保に向けた地域医療構想を、その担い手を健全に確保するための「医療従事者の働き方改革」「医師偏在対策」とともに、一体的に取り組む方向性をお示ししているところでございますけれども、各地域でそれぞれの実情に応じた形で御議論いただいて、それに対して国としても必要な御支援をさせていただくということで副大臣のほうから御説明いただいているところでございます。
地域医療構想につきましては、さまざまな形で御意見をいただいているところでございますので、今後とも地方団体あるいは医療関係者の方々の御意見も伺いながら、丁寧に進めていきたいと思っております。
説明は以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に御質問、御意見をお願いします。
遠藤直幸委員、どうぞ。
○遠藤直幸委員 先ほど公立・公的医療機関等に対する再検証の要請について説明がありましたが、具体的に医療機関の名前が公表されたということに関しては、既に住民を初め、自治体関係者や病院関係者から大きな不安や不満の声が多数上がっているというとおりです。
私もこの医療部会において、公表の仕方に十分留意願いたいと再三申し上げたにもかかわらず、一顧だにされなかったこと、まことに遺憾であり、全国町村会では9月27日に地域医療構想の進め方に関する意見というのを公表いたしました。
そういう意味では厳しく申し上げておきたいと思います。
町村における公立・公的病院は、地域に欠くことのできない基幹的な医療機関として重要な役割を担っています。住民が住みなれた地域で安心して暮らし続けるには不可欠な存在であり、近年、全国各地で頻発する災害時には地域住民の命を守る砦となっています。
例えば広大な面積を有する北海道において、再編・統合により町村内または近隣の自治体から公立病院がなくなり、通院にかかる所要時間が大幅に増えるということで、住民にとって大きな負担となります。また、救急患者の受け入れに大きな役割を担ってきた病院がなくなれば、もしもの際の安全の砦である救急医療に深刻な影響を及ぼす事態になります。
このように、個々の公立・公的医療機関については、地域の置かれた状況や立地の経緯等について、さまざまな背景を持っていることから、地域医療構想の検討を進めるに当たっては、地域の実情を十分考慮した上で慎重な議論がなされるようお願いしたいと思います。
それを踏まえて、各地区での説明会を行った上でこのような話をすべきだと私は思いますので、あえてこの場で申し上げておきたいと思います。
そして、厚労省も決して悪いことをお考えではなく、多分、人口減少が進んでいく先にはこんな問題があるのではないかという思いを持ってお話しされたのだろうと思いますが、どうか今後とも御配慮のほどをお願い申し上げて、私からの意見とさせていただきます。
○永井部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
平川委員。
○平川委員 今回のデータが出されて、地域に不安や不信感をもたらしたという状況があるかと思います。この間、私は毎回発言させていただいておりますけれども、この地域医療構想は、本来は2025年を見据えた地域の医療提供体制をどう地域の調整会議の中で検討し、病院の自主的な取り組みの中で、病院の病床数、病棟を見直していくかという議論であったはずであります。
しかしながら、私は入っていませんが、この2年間ほど、いわゆるワーキンググループというところでどういう議論があったかはよく承知していないのですが、その中で公立・公的を先行して検討していくのだというおかしな議論が出てきたと思います。
被保険者としましては、別に経営形態が公立であろうと、国立であろうと、民間であろうと、適切で効率的な医療提供体制があれば十分でありまして、経営形態によって検討内容が左右されるというのはおかしいだろうということは毎回言わせていただきました。
私は、今回の混乱の原因はそこにあるのではないかと思っています。ある新聞の社説にも書いてあるのですけれども、公立・公的だけに絞るということは、病院全体の医療提供体制の議論にならないのではないかと思います。
それはもう全国の公立・公的、民間病院の経営・設置主体別の記述を見ても明らかでありますけれども、県によっては、例えば、民間の病院の設置割合が病床数では半分以下という地域もある一方で、民間の病床数が8割以上という地域もあります。それを国のほうで一律的に公立・公的だけを先行してやるべきなのだという議論が、この議論をゆがめたと思っています。
逆に言えば、公立・公的を先に検討しなさいということ自体が、国による一方的な検討の押しつけにつながったのではないかと思っております。
もっと言えば、民間の病院の多い地域、大都市、首都圏や大阪圏も民間の病院が相当多いのですけれども、西日本の地域は民間の病院の割合が大変多いということになっています。その辺も含めてしっかりと分析をしていかなければならないと思いますし、個々の地域に応じた議論の仕方が大変重要だと思っています。
さらにもっと言えば、公立も国立もそうですが、国からの補助金が出ているではないかという議論がありますが、それは全く別の議論でありまして、公立病院につきましては、公営企業法などについて、一般会計からの繰り入れ基準も一定程度明確になってきているところでありまして、その基準がおかしければ、地域医療構想とは全く別の観点で議論すべきだと思っているところでございます。
そこで、質問でありますが、今回、データが出されておりますけれども、民間病院のデータは今後どうなっていくのか。地域医療構想を検討する際には、経営形態のあり方にかかわらず、全ての病院が同じようなデータを出して検討していくことが、検討しやすくなるということとなりますし、やがて地方自治体の不信感の解消にもつながっていくと思いますけれども、今後、その辺はどうしようとしているのかを質問させていただきます。
○永井部会長 事務局、よろしくお願いします。
○総務課長 まず、遠藤先生から厳しい御指摘もいただきました。私ども、橋本副大臣からのメッセージにもございますように、公立病院を含めまして、各地域で最後のとりでとなっているような医療機関があるということは当然承知いたしております。
その点も含めまして、私ども、ある意味、ここは機械的にデータを整理いたしまして、かつ、病院名も公表させていただきましたけれども、さまざまな御指摘を受けているところでございますので、各地域で地域医療構想の実現に向かって、さらに、私どものほうでどういうデータを出せばいいのかということにつきまして、真摯に検討させていただきたいと思っております。それがまず1点目でございます。
それに関連いたしまして、委員のほうから御質問がございました民間データの取り扱いでございます。あくまで今回、そもそも公立・公的医療機関の診療実績を提供させていただいておりますのは、データの可視化ということでございます。それを通じて、各地域の実情に応じた地域医療構想の実現に向けての御議論を積み重ねていただくということを目的としたものでございます。
そういう中では、公・民の役割分担ということに関しては、そもそも法律上の制度等々によって異なってはおりますけれども、民間データにつきましても、地域医療構想の活性化という観点から可視化をして、御議論に供せられるような状態にするということは大事だと考えております。
ただ、まず、今回の公表の手順等々でもさまざまな御議論をいただいておりますので、そこは丁寧に、どのようなデータを御提供申し上げるのが適当なのか、あるいは地方の今回の説明会でさまざまな御意見を頂戴するということを通じまして、データ提供について、こちらのほうでも検討させていただきたいと考えております。
いずれにいたしましても、民間データにつきましても、地域医療構想調整会議で御議論をいただく際には必要なデータだと考えておりますので、どういう形で、どういうタイミングでお出しできるかということについては、御意見も踏まえまして検討していきたいと考えております。
○永井部会長 平川委員、どうぞ。
○平川委員 データの公表のあり方については、診療実績の項目、それから、類似かつ近接のデータをもう既に出しているので、公立は出していて民間が出さないということになるのですか。そういうことが許されるのでしょうか。私は、議論のあり方として、そういうことが許されるかどうか大変疑問に思いますけれども、その辺をどう考えているか、もう一回お聞きしたいと思います。
○永井部会長 相澤委員。
○相澤委員 申しわけないですが、公立、民間と言っていますけれども、少なくとも民間の地域医療支援病院はデータを出しています。あそこでも載っています。私の病院なんかは、この機能がないからやめなさいというような意見を言われていると認識しています。民間も大変なのです。
今の日本の医療は、民間だの、公立だの、公的だのと言っているゆとりはないのです。オールジャパンでどうしていくのかを真剣に議論しなければいけないのに、そういうつまらない議論はしないほうがいい。それが第1点。
もう一つ、どうしても言いたいのは、地域医療構想というのは何なのですか。だって、地域医療構想の最初に書かれているのは何だと思いますか。2025年のあるべき必要病床数に収れんをさせる。これが地域医療構想だと書いてあります。そうですよね。そこには病院機能分化をどうしようとか、そういうことは書かれていません。
それに、第一、この必要病床数というのは入院医療についてです。外来医療については何も書かれていません。その中で、なぜか議論は病院の機能分化のようなところに行っていて、地方の自治体の方もよくこういう話をするのです。そこに病院機能がなかったら外来の通院が大変になる。誰も外来機能の議論なんかしていないのに、なぜそこで外来機能が出てくるのでしょうか。
もう少し議論を整理して、これから大変な状況を迎える日本の国を、地方の医療をどうしていくか。本当にみんなが真剣に考えるべきなのに、つまらないいさかいはやめましょう。それが第2点。
それと、やはりデータの出し方に偏りがあったのは否めない事実ではないかなと思います。でも、データというのはそこにある事実なのです。事実をみんなが認識するということも極めて大事なことです。これをみんなが認識し合って、何を考えていくのか。
厚労省が言うように、地域で考えてくれと。でも、考えていくためには、何を議論しなければいけないのか、何をしなければいけないのか。きちんとやらないから、こんな混乱になるのです。入院の医療、病床の機能をどうしていくかということについて議論をすべきなのか。そこが明確でないから、みんな混乱するのです。
これをもう一度最初に立ち戻って、そして、この困難な日本をどうしていくか本当に真剣に考えるということを基本にやるべきではないかなと思っているということをぜひお話をしたいと思います。
○永井部会長 それでは、平川委員、山口委員。
○平川委員 私も相澤先生の言っていることに大賛成でございまして、だからこそ議論のあり方をもう少しフラットにして、そうできるような材料をつくってほしいというのが私の意見でありますので、私も相澤先生の言っていることはまさにそのとおりだと思っていますので、同意いたします。
以上です。
○永井部会長 山口委員、どうぞ。
○山口委員 今回のことでいろいろな議論もお聞きしていて、私も、今、相澤委員がおっしゃったように、そもそも地域医療構想というのは何のためにすることだったのかということが正しく理解されていないことに一因があると思っています。
急速に人口動態も、いろいろなことが変わってくる中で、2025年に今と同じではいけないので、どうあるべきかということを住民も一緒に考えていくということが最初の出発点だったと思うのですけれども、例えば、さまざまな住民の方が、地域医療構想をつくった後の調整会議で、今、どんな進捗状況になっているのかということすら知らされていない。なので、こういうことで不安をあおるようなことになってしまって、目の前のことで、私たちはもう行くところがないのではないかという短絡的なところで不安をあおってしまっているのが原因ではないかと思います。
今回、こういう混乱にはなりましたけれども、本来、国民がどのように安心して2025年以降も医療を受けていけるかということが大事なことだと思いますので、地域医療構想とは何のためにつくったのか。今、どういったことを議論していて、何が必要なのか。今回出したことも単に統廃合することではないのですと。改めてこういうデータを使って地域ごとに必要な議論をしていただく。地域によっては公的な病院や公立病院が議論の対象になるかもしれないけれども、地域によっては、そうではなくて民間が議論の対象になる場合もあると思います。
そういったことを少し丁寧に、国民に伝わるような情報発信が必要なはずですが、今は医療機関に向けて発信していらっしゃると思うのですけれども、そのあたりの詳しい情報がなかなか伝わらなくて、もしかしたら私たちの医療を受けるところがなくなるのではないかという不安だけがクローズアップされて伝わってしまっているように思いますので、そのあたりの情報発信ということもいま一度考えていただきたいと思います。
○永井部会長 事務局、今の点についていかがでしょうか。
○総務課長 先生方の御意見を拝聴しておりまして、私どもまさに原点に返って、今回、データ提供をしましたけれども、今後の進め方、関係当事者の方々、あるいは都道府県の方々にも十分に説明を尽くすために、国民の方々に誤解を与えないように真摯に対応していきたいと考えております。
1点、民間データについて、提供しないということを申し上げているのではございませんで、議論の活性化のために必要な情報をどのような形で提供すればいいのかというのを検討させていただいているという状況でございます。
○永井部会長 加納委員。
○加納委員 先ほどからの議論は本当に大事な議論だと思っております。今回、いろいろな形で、いわゆる需要と供給の可視化という形で展開されてきている流れと、実際に地域ごとの需要の状況と、それから、日本全体での今後の医療の状況という需要のほうをもう一度認識する必要があるのではないかなと思います。
先ほど遠藤委員がおっしゃったように、本当に地方における問題、最後のとりでだった病院をどのようにしていくかというのは、これはこれで最大限考えますが、かといって、今後の日本の医療を考えたらこうなるのだという需要の状況も、おさらいのごとく、もう一度確認することが必要だと思います。
また、一方で、先ほど出ましたが、大都会において民間病院が頑張っている状況があります。先ほど公と民との補助金のどうのこうの、基準がおかしいという話も少し出てきましたが、私は、これは基準がおかしくて、大都市において8割ほどは民間病院が頑張っているエリアで、公的病院には、同じようなことをしながら大きな金額が流れています。これはもう基準の見直しをしなければいけない段階であって、総務省での地方交付金のあり方の問題を議論しなければいけない時代になっているのではないかということを考えた上で、公と民とのいろいろなあり方を考えるべきではないかなと思います。
実際、日本の医療というのは何が必要なのかということになると、75歳以下の医療というのは医療費がどんどん下がってくる段階になっていますし、75歳以上、これから100年時代の高齢者を中心とする日本の医療では、これから2042年にピークアウトするまでの20年間、どのようにやるかというのがやはり一番ポイントだと思います。
いろいろな需要が地域によって違うということで、対策を練らなければいけないということです。その中で、今、都会で起こっているのが、前にも申しましたように、地域医療構想の統廃合の名のもとに大きな公的病院が統合されて、例えばこの前聞いた話では、県立病院と市立病院の400床と200床クラスが統合されて、508床と気持ち少なくなるのですね。ダウンサイジングはするのですけれども、いままで400床だった公的病院が新しくなって、1.5倍の巨大病院になってしまう。そうすると、その周りの今まで頑張っていた民間病院がどのような状況に陥るかというのは、もう見える話だと思うのです。
一方では、今までどおり交付金が入りながら、これがどんどんやられてしまうと、せっかく今まで地域医療を守っていた民間病院が潰れてしまうということも起こり得る話にも現状はなっているかなと思います。
いろいろな面で、供給の可視化だけではなくて、もう一度需要のほうの可視化もしっかりすべきではないかなと考えるのですが、どうでしょうか。
○永井部会長 山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 もともと地域医療構想を考えるときに、我が国の医療は、政策医療を公がやって、政策医療を補完する形で民間病院というのがあったはずです。したがって、公立病院は赤字でやってもオーケーだよというエクスキューズとは、政策医療をするから、しようがないよというコンセンサスがあったと思います。
この資料でいうと34ページになりますが、地域医療構想策定ガイドラインで、ア、イ、ウ、エ、オと、高度急性期から始まって、広域的な医師派遣の拠点とするという政策医療をするところは公立病院に限定すべきはずです。
それが、7対1が急に締めつけられてきつくなった時から、今度は地域包括ケア病棟をとって逃げるとか、というのはすごくおかしいと思っています。
したがって、公立病院のベッドとは、あくまでもここに書いてあるア、イ、ウ、エ、オに限定すべきだったと思いますし、反対に、公的医療がするような政策医療を地域で提供している民間病院は、イコールフッティングにして、公的病院と同等の補助金をつけるべきだと思います。、
国民目線でいったら、いい医療を誰が提供してくれるかであって、公であっても、民であっても構わないと思います。
したがって、補助金云々の話がありましたが、民間病院だって、政策医療を提供できるのであれば、全て公立病院並みの補助体制をつくらなければだめだと思います。
○永井部会長 河本委員。
○河本委員 ありがとうございます。
先ほどから、公表のやり方等に関する御意見が出ておりますが、私は、今回のデータと病院名を公表したことについては、それぞれの地域において、将来を見据えた病院のあり方を考えるきっかけになったという点で、一定の意義があったと考えております。
今後、公表されたデータが示すメッセージを、住民など医療を受ける側も含めた関係者が受けとめて、地域医療構想の推進に向けた各地域の協議を活性化させていく。それこそが重要なことだと思っておりますので、いろいろ問題はありましたが、意義はあったと私は考えております。
以上です。
○永井部会長 楠岡委員、どうぞ。
○楠岡委員 今回の地域医療構想というのは、もともと地域包括ケアシステムをいかに構築するかというところから出発していて、本日は欠席ですけれども、田中滋先生が中心となってまとめられた地域包括ケアシステムの概念からもう10年以上たつにもかかわらず、国民一般にその考え方が浸透していない。
今までと同じような医療提供、あるいは介護・福祉のシステムが続くという前提のもとで、今回のような情報が提供されると、それは大反対、不安が起きるのは当然なわけですけれども、まずは、先ほど山口委員の指摘もありましたように、これからは地域包括ケアシステムという形でないと、医療も介護も福祉も維持できない。先ほど相澤先生がおっしゃったようなことを国民全体に早く知ってもらって、そのプロセスとしてこういうものが出てきて、確かに非常に痛みを伴うところもあるかもしれないですけれども、それを受け入れてもらわなければ、今後、少子高齢化社会における健康、あるいは医療は成り立たないということを知ってもらうというのが非常に大事な点と思います。この点に関しましては、この10年間、厚生労働省は何もしてきていないと言っても過言ではないような状況で、まずはそこをしっかりやっていただく必要があるのではないかと思います。
○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。
事務局、今、いろいろ意見がありましたけれども、いかがでしょうか。
○総務課長 御指摘を踏まえて、さまざま反省することもございますし、きちんと取り組みを進めさせていただきたいと思っております。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
この問題は非常に重要で、出し方とか分析の仕方でいろいろな見方があると思います。そのためにもいろいろな角度からデータを出す必要があります。2013年に社会保障改革国民会議の報告書が出ましたけれども、「データに基づいて議論しましょう」と書かれていました。
それはなぜかといいますと、日本の医療は、市場原理でもなく、また、国家管理で全て行われているわけではないので、どうしてもコントロールが難しい。そうすると、データに基づいて関係者が協議するしかないわけです。紆余曲折があると思いますけれども、まずは第一歩が始まったと感じております。
それでは、事務局におかれましては、本日の議論を踏まえて、ぜひ必要な対応をお願いしたいと思います。
では、次の議題に参ります。「診療報酬改定の基本方針(案)について」です。
○山口委員 済みません。働き方改革のところで1つ質問があります。先に2つ目にいってしまったので、1つ目の質問ができなかったのですが、1つだけ質問してよろしいですか。
○永井部会長 どうぞ。
○山口委員 資料1-1の16ページのところに審査組織ということで挙げられているのですが、1つ質問したいのは、働き方の検討会の中で、審査する組織としてどこか具体的な既存の組織ということを想定して話し合われているのか。
というのは、今、既存の団体でどこができるのだろうということを考えたときに、なかなか出てこなくて、学会をいろいろ全部把握しているとしたら日本専門医機構かと思いますが、専門医制度のことで手いっぱいでいらっしゃるのではないかなと思ったときに、どういったところを想定されているのかということがちょっとわからなかったので、教えていただきたいと思います。
○医事課長 医事課長でございます。
16ページ目の審査組織の点でございますけれども、現時点で、具体的にどこの団体ということを特定しておるわけではございません。本日も、さまざまな御指摘もいただいておりますので、今後、それらも踏まえて、対応できる体制というのを検討会で議論していただきたいということでございます。
以上でございます。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
それでは、次の議題「診療報酬改定の基本方針(案)について」説明をお願いいたします。
○医療介護連携政策課長 医療介護連携政策課長でございます。
ペーパーレスの中、大変申しわけございませんが、資料2につきましては、お手元の紙で御用意させていただきましたので、資料2をお開きいただけますか。参考資料のほうはペーパーレスという形でありますが、メーンの資料2は紙でやらせていただきます。
前回の議論を踏まえまして、次期診療報酬改定に向けた基本認識、視点、方向性につきまして、またブラッシュアップしてまいりましたので、お願いいたします。
1枚おめくりいただきまして、まず「改定に当たっての基本認識について」です。
前回は3つの柱でお伝えしましたが、黒三角4つに整理をしております。
最初の黒三角ですが「健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた『全世代型社会保障』の実現」ということで、我が国は、国民皆保険やすぐれた保健・医療システムの成果により、世界最高水準の平均寿命を達成し、人生100年時代を迎えている。
一方で、2025年にはいわゆる団塊の世代が全て後期高齢者となること、また、2040年にはいわゆる団塊ジュニア世代が65歳以上の高齢者となって、高齢者人口がピークを迎えるとともに、現役世代が急激に減少していくということになります。
このような中、社会の活力を維持・向上していくためには、健康寿命の延伸により、高齢者を初めとする意欲のある方々が役割を持ち、活躍できる社会の実現と「全世代型社会保障」を構築していくことが急務の課題ではないか。
続きまして、2番目の黒三角なのですが「患者・国民に身近な医療の実現」ということで、可能な限り住みなれた地域で、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、地域包括ケアシステムを構築する。
また、疾病構造やニーズの変化・多様化、医療需要がふえる中での働き手の減少、厳しい財政状況など、医療を取り巻く社会経済状況を踏まえると、我が国の医療制度にかかわる全ての関係者が、医療のかかり方の観点も含め、担う役割を実現することが必要。
続きまして、3つ目の黒三角なのですけれども、患者・国民に身近な医療を実現するためには、医療の環境もより改善していく必要があるということで、医師等の働き方改革の推進ということを掲げております。
2つ目の○なのですが、医師等の働き方改革については、将来の医療ニーズの変化や現役世代の減少、医療技術の進歩等も踏まえつつ、医療の安全や地域医療の確保、患者や保険者の視点にも留意しながら、医師等の負担軽減を図ることが重要ではないか。
最後の4つ目なのですけれども、医師の働き方改革を推進する基盤として「社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和」ということを掲げております。
2番目の○なのですが、保険料などの国民負担、物価・賃金の動向、医療機関の収入や経営状況、保険財政や国の財政に係る状況等を踏まえるとともに、医療資源の効率的な配分、医療分野におけるイノベーションの評価を通じた経済成長への貢献を図ることが必要ということを書いております。
続きまして、この4つの基本認識を踏まえまして「改定の基本的視点について」としまして、2枚目の資料なのですが、視点を4つに整理しております。視点1から視点4まででございます。
また、重点課題としまして、視点1として「医療従事者の負担を軽減し、医師等の働き方改革を推進」というところを位置づけているところでございます。
それぞれにつきましては、もう一枚おめくりいただきまして、3ページ目なのですが、まず、視点1「医療従事者の負担を軽減し、医師等の働き方改革を推進」するということでございます。
○が3つありまして、3番目の○なのですが、時間外労働の上限規制の適用が開始される2024年4月を見据え、今後、医療の安全や地域医療の確保、患者や保険者の視点にも留意しながら、総合的な医療提供体制改革の状況等も踏まえて、より適切な評価を行う必要があると整理をさせていただいております。
これらの視点を踏まえた【考えられる具体的方向性の例】につきましては、下の四角の中に書いてあるのがそれぞれの例でございます。
続きまして、視点2「患者・国民にとって身近であるとともに、安心・安全で質の高い医療を実現」というところでございます。
最初の○なのですが、医療技術の進展や疾病構造の変化等を踏まえ、新たなニーズに対応できる医療の実現の評価を進める必要がある。また、患者自身が納得して医療を受けられるよう、患者にとって身近でわかりやすい医療を実現していくことが重要と書かせていただいております。
これらについての【考えられる具体的方向性の例】は省略しますが、四角の中に書いてあるとおりに整理しているところでございます。
続きまして、視点3「医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進」ということで、○が2つありますが、2つ目の○、医療機能の分化・強化、連携を進めるとともに、在宅復帰等につながるよう、質の高い在宅医療・訪問看護の確保や、他の医療機関などとの連携、介護サービスとの連携・協働などが必要であると書いております。
最後に、視点4「効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」ということで、高齢化や技術進歩、高額な医薬品の開発などによって医療費が増大していくことが見込まれる中、それでも国民皆保険を維持するために、制度の安定性・持続可能性を高める不断の取り組みが必要だということを書かせていただいております。
また【考えられる具体的方向性の例】としまして、この四角の中に書いてあるとおりでございます。
説明は以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
それでは、御質問、御意見をお願いいたします。
今村委員、どうぞ。
○今村委員 ありがとうございます。
非常に重要な基本認識、あるいは基本的視点だと思っております。内容については、おおむねこれで妥当だと私は考えておりますけれども、今回、これを取りまとめられると、いつごろ中医協のほうにこの方針が示されることになるのでしょうか。おおよそのスケジュール感を教えていただければと思います。
○医療介護連携政策課長 毎年、この基本方針は12月上旬をめどに取りまとめさせていただきまして、中医協のほうには翌年1月の早々に取りまとまったものを御説明するということを考えております。
○今村委員 ありがとうございます。
何度もこの場で出ておりますけれども、中医協でかなり具体的な議論がもう行われている中で、特に前回の中医協でも、医師の働き方改革については、相当に意見が対立するということがございました。
特に働き方に関して、具体的な個別の項目についての議論だったと思っておりますけれども、こういった方針のもとに議論が進まないと、無駄な議論になってしまうなとちょっと思っております。
これはすぐに発表の時期をことしから変えるということはできないと思うのですが、医療部会、医療保険部会でまとめたこういう大きな方向性に基づいて、それを前提として議論をしていただかないとちょっと困るなと思っておりますので、まとまった形ではなくていいにしても、こういう意見が医療部会でまとまっているのだということを何らかの形で中医協の議論の中でお示しして、きょうは医療課長もお見えになっておられますけれども、なかなか時間がない中で大変だとは思うのですが、重要な議論の場合には、こういう方向性が出ているのだということをお示しいただければ大変ありがたいと思います。
以上です。
○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。
野村委員。
○野村委員 今回、この会の立場の発言と、私は小児の一次医療機関の医療者としての両方から発言させていただきたいのですが、今回、基本方針がたくさん出ている中で、本当にすごくいろいろなことが網羅されていて、これが本当に全部できたらすごいなと思っているのですけれども、この基本方針を具体的に議論するのはここではないかもしれないのですが、今後、こういうことを議論していく中で、これをぜひ見える形のもので反映していただければうれしいなと私は思います。
私たちは、お母さんの立場として、何となく診療点数をとられるというのは、余り知らないこともたくさんあって、それが実際に診療報酬をとることで、ちゃんと医療として変わっていくというものになったらいいなと。
今回、先ほどの議論の中でも、医療がすごく大変な時代になってくるということも含めて、やはり私たちも賢くなっていかなければいけないと思いますし、そういうことが何となく小児かかりつけ医の加算だったり、機能加算も2016年や2018年から始まっていると思うのですけれども、意外とこれが私たちの個別のところでは見えにくかったり、知らないままということもたくさんあるので、これを投薬したから、こういう処置が入ったから、こういう点数というような感じで、こういうことをやったから診療点数がとられているということがお互いにちゃんとわかったほうがいいのかなと。
医療が今回いろいろ変わっていく中で、私たちも変わっていかなければいけないということなので、今後、議論をしていく中で、ぜひ見えるもので反映していただけたらなと思って、発言だけさせてもらいました。
○永井部会長 ありがとうございます。
木戸委員、どうぞ。
○木戸委員 今回の改定の基本的視点の1番のところに、医療従事者の負担軽減と働き方改革の推進が重点課題と書いていただいて、位置づけられていることは、勤務医の立場からは非常に賛意を表したいと思います。
実際、この働き方改革をするには、人をふやすにも、ICT活用、業務効率化を図っていくにも、先立つものがなければ改革は進んでいかないと思います。
そこで、やはりきちんと投資して、勤務環境に取り組んでいる医療機関を評価しなければいけません。一見、医療従事者のための働き方改革に見えますけれども、ひいては医療安全を向上させて地域医療を守るという、患者さんのため、地域住民のための取り組みですので、適切に評価していただきたいと思います。
勤務環境の改善に手をこまねいていますと、医師は長時間労働ということで悪いイメージが定着して、実際に医学部志願者が激減しています。今、働いている医療従事者の勤務環境改善も大変重要ですけれども、やはり医療の仕事が魅力ある職業として、将来、少子化になっていっても担い手がしっかり確保できるということで、そういった未来に対する責任という意味での観点も大切だと思います。
以上、意見でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。
井上委員、それから、井伊委員、どうぞ。
○井上委員 ありがとうございます。
前回、社会保障制度の持続可能性でありますとか、経済・財政との調和という点を指摘させていただきまして、今回、基本認識に入れていただきまして、大変評価をさせていただきます。
いずれにしましても、2040年を見据えて全世代型の社会保障制度を考える場合には、医療のみならず、他の年金、介護においても安定的な経済成長が大前提になりますし、安定的な経済成長がなければ、やはり社会保障制度も持続可能になりませんし、当然、今回の報酬改定というところでもなかなか難しい局面になってしまいます。
また、社会保障制度改革を進めることで、国民の安心感が高まって、経済成長も生まれていくという好循環をぜひ実現するような改定にしていただきたいと考えます。
あと、気になったところですが、最後の視点4の「効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」というところで、これは前回も申し上げたのですけれども【考えられる具体的方向性の例】の中を見ますと、医薬品の記述だけになっていますので、他の視点1、2、3にもちりばめられてありますが、持続可能性の確保のための効率化・適正化というのは、必ずしも薬だけではなくて、外来、入院、調剤、報酬全般において求められるところだと思いますので、その点は今後の検討によく反映していただきたいと思います。
以上でございます。
○永井部会長 井伊委員、どうぞ。
○井伊委員 全体としてはよろしいかと思いますし、前回申し上げました認知症のこととか、重症化予防のこととかを書き込んでいただいて、ありがとうございます。
しかし、視点1の【考えられる具体的方向性の例】の1つ目の○の3ポツのところに「人員配置の合理化の推進」という文言がございまして、これは前回も意見として申し上げましたが、今回、特にここが重点課題ということになるのであれば、やはりこの「合理化」という言葉は適切ではないのではないかと思います。
医師等、医療従事者の負担軽減の取り組みということでしたら、人員配置については、手厚くする部分もあり、そうではない場合もあるかと思いますけれども、前提として患者の安全が担保できるということからすると、合理化ばかりが強調されるというのはいかがかということで前回発言をさせていただきました。
ここについては「適正化」のほうが文言としては適しているのではないかと思いますので、修正をしていただきたいと思います。
○永井部会長 事務局、今の点はいかがでしょうか。
○医療介護連携政策課長 御意見を踏まえまして、事務的に検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○永井部会長 河本委員。
○河本委員 ありがとうございます。
まず、基本認識ですが、前回、制度の安定性・持続性、その確保の重要性について項目立てしてほしいというお願いをさせていただきましたが、基本認識の冒頭にも書いていただいた上で、項目立てしていただいた点については、感謝をしております。
ただ、その書きぶりについて、やはり2022年以降の将来展望を見据えて国民皆保険を維持するためには、改定においても効率化あるいは適正化を図ることが喫緊の課題であるといった認識を明記していただきたいと考えます。
それから、基本的視点と具体的な方向性でございますが、視点が4点挙がっておりまして、どれも大変重要な項目だと思います。ただ、診療報酬改定の視点であるということを踏まえますと、医師の働き方改革は極めて重要な課題だということは重々認識しておりますが、そもそも医師が地域間で偏在している問題、あるいは先ほどから出ている地域医療構想の話など、根本的な課題が依然としてあり、国全体として地域医療構想、実効性のある医師の偏在対策、働き方改革を三位一体で推進し、現在は、効率的な医療提供体制の構築に向けての取組がまさにこれから本格化する段階にあると認識しております。診療報酬改定のほかにも重要な課題がある中で、医師の働き方改革を重点課題とするのは、正直、違和感を覚えます。
これまでの改定では、勤務医の負担軽減のために医療クラークの配置などを診療報酬で評価し、一定の効果を上げている部分もございましたが、やはり診療報酬上の評価による働き方改革への効果というのは限定的なものなのかなと思っております。
以上を踏まえ、医師の時間外労働規制が適用される2024年に向けて、次回の改定では、これまでの取組の延長線上で効果のエビデンスが明らかな取組を中医協で検討していただき、次々回の改定で、三位一体改革の進捗状況を踏まえた勤務医の労働実態を検証していただいた上で、診療報酬改定で何ができるのか、何を支援するのかを議論するのが筋ではないかと考えます。
また、私どもからすれば、2022年を見据えた診療報酬改定の支援ということであれば、視点4も、あるいは視点2も3も、どれも重点課題なのではないかなと考えております。
以上です。
○永井部会長 今村委員、どうぞ。
○今村委員 ありがとうございます。
今の河本委員の御意見は、中医協の中でも非常に議論になったところであります。おっしゃることはよくわかるのですけれども、もともと「三位一体」という言い方は、結果として三位一体になっているのであって、その発生はそれぞれ別個のものでした。確かに3つが密接にかかわっているという意味では、そのとおりだと思います。
ただし、例えば医師の偏在対策も、医療法、医師法が改正されて、非常に緻密な計画が立てられてはいるものの、その実効性がどこまで実現可能かというのは、2036年がゴールになっておりますので、この3年間、4年間の間に大きく何かが変わるということはそう簡単には予想されない。
しかしながら、この働き方改革は、2024年、もうすぐに行われる。これは医師だけではなくて、医療機関内全ての働き方につながってくることです。タスク・シフト、タスク・シェアが起これば、当然、医師の業務を受けとめる看護師さん、あるいは薬剤師さん、その他さまざまな医療関係職種の働き方に密接にかかわってきて、そういった方たちの負担をどうするのかという医療機関全体のマネジメントにかかわる問題であります。
木戸委員が先ほどおっしゃったように、このことは結果的には今まで長時間労働の医師のもとで医療を受けておられる国民の方の医療安全につながるものだということで、将来の日本の医療に大変大きな影響を及ぼすものであります。
したがって、もう2年たって、偏在対策の進捗状況を見てなどということを待っているような状況ではないということを御理解いただきたいと思います。
私は、今回の改定の中でも最も重要なものだということは間違いないことだとかたく信じております。
○永井部会長 遠藤秀樹委員、どうぞ。
○遠藤秀樹委員 ありがとうございます。
改定の具体的方向性の中で、歯科においても口腔機能の重症化予防というようなことを取り上げていただいて、評価できると思っております。
ただ、具体的に言えば、全身疾患との絡みのある歯周病の管理や口腔機能低下の管理、これらのより効果的な管理のあり方を検討した上で、さらに充実させていただければと思っております。
あと、医科との連携の中で実施されて、普及が進み始めている周術期の口腔機能管理においては、入院患者さんや、外来での化学療法等をされている患者さんの感染予防やQOLの確保ということで役立っていると思っているのですけれども、主に病院歯科の中で実施されております。
ただ、病院の中では歯科のある病院は約2割程度でございます。さらに、歯科医師1人のみの勤務ということで、マンパワーが不足しているケースも多々ございます。
そういった中では、周術期管理実施の妨げとなっている部分である、マンパワーの足りない病院歯科や歯科のない病院との地域における連携、特に地域の歯科の診療所との連携等も重要かと思いますが、ここはなかなか難しいところで、実効性のある連携のあり方を検討されるとともに、充実させていただきたいと思っております。
意見でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
島崎委員、それから、平川委員。
○島崎委員 先ほど今村委員からあったように、ここの基本方針の位置づけがそこまで非常に重要なものだということだとすると、ちょっと一言申し上げなければいけないと思って、発言したいと思います。働き方改革が今後の医療政策の最も重要なテーマの一つであることについては、全く異論がありませんし、そのことについては危機感を私も持っております。ただ、診療報酬の重点課題かという話になると、率直に言えば、そうなのかなという気がします。なぜかといえば、釈迦に説法になりますけれども、診療報酬というのは診療の対価です。厳密に言うと療養の給付の対価なわけで、一言で言えば、かかった診療のコストを補塡するというのが本来の建前なわけです。
そうだとすると、ここの視点1の医師の働き方改革を推進するというフレーズは、どういう意味合いで使っているのでしょうか。つまり、医師の働き方改革を進めるということは重要だから、そのような方向に持っていくための政策誘導の手段として、今回、そういう位置づけをしたいという意味で書かれているのか、そうではなくて、医師の働き方改革を進めようとすると、中身によりますけれども、一定のコストがかかるから、それを補塡するのだということなのでしょうか。そこは似ているようで、本質は全然違います。
例えば「考えられる具体的方向性の例」のところに書いてある、届け出・報告の簡素化をすると、本来は結果的にはコストは削減されるはずですが、もしそこのところに一定の点数をつけるという話になると、なぜその部分を患者側が負担しなければいけないのかという議論にもなります。そのあたり、あえてそこのところを重点課題と位置づけをされたのであれば、その点についてはきちんと説明すべきだと思います。
○永井部会長 いかがでしょうか。どうぞ。
○医療課長 島崎委員の御指摘については、基本的に政策誘導などを考えているわけではありません。基本的には病院の必要なコストという形で考えております。
その中で、ここに挙げております具体的な方向の例というのはございますが、その中で、当然、届出・報告の簡素化にコストが何かかかるかというと、それは確かに必要ありませんが、ここに挙げているような人員配置の合理化とか、そういうことに関しても、それぞれのサービスとか、それに必要なものを勘案した形で報酬の値段というのはつけていくと考えております。
ただなお、全体として、どうしても病院の中でかかるコストに関しては、先ほどありましたように、医療安全の推進ですとか、質の担保といった視点から、必要なコストを診療報酬の中で考えるべきだろうということで、ここの中の「推進する」という言葉を使わせていただいているということでございます。
○永井部会長 どうぞ。
○島崎委員 相当苦しいと思いますけれども、では、もう一つあえて聞けば、「地域医療の確保を図る観点から早急に対応が必要な救急医療体制等の評価」というのは、どうして医師の働き方改革を推進するという項目の中に挙がってくるのですか。救急医療の確保が地域医療の観点から非常に重要だということであれば、視点2であるとか、視点3であるとか、そちらのほうがむしろなじみます。
繰り返しになりますけれども、診療報酬改定に当たって、医師の働き方改革を推進するという意識をもつことについて否定しているわけではないのです。しかし、医師の働き方改革を推進するために、一定の評価をする、診療報酬の用語だと「評価」というのは通常はそこに点数をつけるということですが、そのことと医師の働き方改革を推進するということがきちんと対応関係にあるのかということを聞いているのです。これ以上お答えにならなくても結構ですけれども、その点については、きっちり整理をしないといかがなものかなと思います。以上、意見です。
○永井部会長 なかなか奥の深い問題なのですが。
それでは、平川委員、猪口委員、お願いします。
○平川委員 中医協のときの議論と同じになってしまいそうなのですけれども、済みません。
私は、医師の働き方改革は大変重要であり、しっかりとやっていかなければならないと思うのですが、それを診療報酬で評価するということに対しての議論が、どうも中医協の議論でもそうだったのですけれども、具体的にどう評価すべきか、何をどう議論していいのかわからないというのが率直なところです。
医師の働き方改革そのものは、先ほど意見がありましたように、大きな柱としては、地域医療構想との三位一体改革の中で進めていくのだということがあると思います。今回のものはそれとは全く別なのか、それとも一体なのかというのもわからないですし、今回の緊急的避難は診療報酬の中で何をどう評価していくのか。評価していくには具体的にどのような理屈があるのかという議論がほとんどないまま「負担軽減等につながる取組の評価」という表現になっているということについては、大変違和感を覚えます。
今までの診療報酬の中でも、私は、医師事務補助体制加算などは効果があるかと思いますけれども、そのような項目で一つ一つ詰めた内容に対する議論がないままに、ただ単にマネジメントが重要だからということで、評価しますよということだけでは全く議論不足だと思っているところであります。
意見として言わせていただきます。
○永井部会長 猪口委員、どうぞ。
○猪口委員 中医協でも同じような議論をしていたので、このことについては触れたくないと思います。
私が言いたいのは、非常に重要な課題である医師の働き方等々が、2024年を目指してやっている段階で、具体的にそれぞれの医療機関がこういう方法でやろうというのがまだ絞れていないというのが現状だと思います。
例えばいろいろな課題にしても、全てが出切って全てが決まっているわけではないという段階で、次期診療報酬については、ここ数カ月で大体決まっていくわけなので、もしできれば次期診療報酬改定だけではなくて、もう少し中期的もしくは長期的な方向性を何らかに盛り込んだものをまず示していただいて、それを次期だけではなくて、その後も引き続きやっていくのだということにしないと、診療報酬改定は確かに2年に1回で非常に忙しいのはわかるのですけれども、細切れになってしまってはいけないと思うのです。もう少し長期的にこう持っていくのだというところを盛り込んでいただいたほうが、今後の議論でもう少し実のあるものをつくれるのではないかなと、そのような気がしております。
○永井部会長 ありがとうございます。
今村委員、どうぞ。
○今村委員 ありがとうございます。
今、猪口先生が中医協の議論を蒸し返したくないという話で、私も余り何度もしたくないのですが、初めて聞かれる方もいらっしゃると思うので申し上げておくと、先ほどから三位一体の話がありますけれども、結果的にこれは結びついているという話であって、政策的に結びつけたわけではないのですよね。
地域医療構想の議論をしているときに、医師の働き方の話はなかったわけで、全然違うところで、日本の国の労働者の働き方改革の中で医師の話が起こってきて、結果的にはこれは偏在にも結びついているよねと、地域医療構想にも主に関係あるよねとなっているものです。この働き方というのは、今まで医師は一般の労働者と同じであったわけですけれども、誰もお医者さんはそんなことを知らないで、ものすごい過重労働で働いていたわけです。それにふさわしい時間外手当ももらっていなくて、診療報酬もそれに見合っていなかったわけです。
そういった問題が一遍に顕在化して、では、これは密接に関係しているから、一緒になって取り組んでいきましょうという話になっているという前提がそこにあるということをまず理解していただきたいということです。
それから「医師の働き方」という言い方がよくないと思っていて、医療機関全体の働き方、国民の方たちは、先ほどからあるように、今の医療の現状をどこまで理解していただいているのか、医療機関の中でどういう職種がどのような働き方をしているのかということについての理解がないまま進んでいます。
したがって、夜中に徹夜で手術をした先生に、次の日にまた診療を受けるということが当たり前に起こっている医療は、国民にとってもよくないので、これは何とか変えていかなければいけないという動きだと思っています。
何に対する対価か。「マネジメント」という言葉は、マネジメントをするのは当たり前でしょうと思うかもしれないのですけれども、これは大変な技術だと思っていて、特に医療機関の管理者が今まで医療機関の中で働いている人の働き方をきちんとマネジメントできていたのか。恐らくそんなにちゃんとやっていたところというのは、ごく一部の病院だと思います。
したがって、きちんと全ての医療機関の中の働き方をマネジメントしていくということ自体が、医療機関の機能をしっかりと発揮できる体制にとって大事だし、そのことが国民の受ける医療の安心・安全につながると思っているので、このマネジメントを重要視していきましょうと、それに取り組んできちんとやっているところを評価しましょうということは、十分に論点としてあり得ると思っているということを申し上げたいと思います。
○永井部会長 いかがでしょうか。
相澤委員。
○相澤委員 一般の方は余り知らないでしょうけれども、ほとんどの病院では医師の働き方の管理というのはほとんどしていなくて、医師が勝手に書いた時間、この時間働いていたというものだけを頼りに時間外をつけていたのです。
私のことを言って申しわけないのですが、そういう時間外をつけるやつはばかだと思っていて、医者の風上にも置けないと思っていたのですが、今考えてみると、私のほうがおかしかったと、ちゃんとつけるべきだったと。
本当に医師の習慣みたいなものがあったのは事実なのです。それを変えるためには、医師がどういう働き方をしているかという、その時間の把握、データの把握と、どこで何をやっているのかをきちんと見なければいけないのです。
これがある場所で働いている人だったらいいのですが、皆さんもうおわかりだと思うけれども、医師は外来で働いている、検査のところで働いている、病室で働いている、手術室で働いている、いろいろなところで働いて移動します。場合によっては、やっているところだと、往診をして働くというようなことまであります。これを全部管理するというのはかなりの労力で、少なくともまずそこだけきちんと把握をしないと、次のステップを踏めないと私は思っているのです。
ほとんどの病院は人事課というきちんとしたところがなくて、正直、総務課のどこか1人か2人がちょこちょことやっているのが現実です。ですから、そういうことを踏まえても、まず、ここをきちんとしなければいけない。
そこに関しては、私は厚労省の方にも、少なくとも1人ぐらいは職員を専門に雇用しないとどうしようもないので、それぐらいは何とかしてくれないかというお願いをしたことがあったのですが、そういう現実が今あるということを御承知いただいて、何とかしろよと言っていただくと、非常に病院は助かるということだけ申し上げたいと思います。
○永井部会長 今回の診療の対価、あるいはマネジメントの対価によって、働き方は本当によくなるのでしょうか。そこはまた別の仕組みが必要なように思うのですが、その辺の議論はどうなっているのでしょうか。
○相澤委員 少なくとも把握をきちんとしているかと言われると、各病院、どうなのでしょうか。きっちりと把握しているところは、そんなにないのではないかと思います。
ですから、まずそこから始めないと、どこで何をやっているのということも、厚生労働省さんがアンケートをとったのですが、あれも誰か1人が後ろについていて、きちんと一分一分やったというものではないと思うのです。
そうすると、そういう把握をどうやっていくのか。それを人的にやるのか、それとも位置のセンサーをつけて、どこに行っているのかを見て、その時間を見るとか、多分、さまざまなことがありますけれども、今までどおりのやり方ではもう絶対にだめなことは間違いがなくて、そこを把握しないと、次のステップが踏めないのではないかなと私は思っています。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
島崎委員。
○島崎委員 これは今言ってもしようがないのかもしれませんけれども、もともと私は、この診療報酬の基本方針が医療部会と医療保険部会とで全く同じものにならなければいけないのかという疑問を持っております。
どうしてかというと、医療保険部会はファイナンスのサイドからどう考えるかという視点の部会であり、こちらの医療部会とは本来役割が違うわけです。つまり、医療の提供体制のあり方というのは、こういう方向を目指すべきであり、それとの関係で、例えば計画的な方法であるとか、あるいは教育であるとか、意識改革であるとか、あるいは補助金的な方法でも、ここまではできるけれども、ここの部分については診療報酬がなじむのではないか。本来はそういう立て方の議論をするのが医療部会としてのミッションなのだろうと個人的には思います。ですから、当然、そこで出てくる基本方針が全く違うものだというのは好ましくないにしても、全く同じものに収れんしなければいけないのかということについては、個人的には非常に疑問を持っています。
ただ、こんなことを今申し上げても詮方ないので、そこはぜひ事務方のほうで、あるいは引き継ぎなりをしていただいて、将来的にどうあるべきかについては、一度考えたほうがいいのではないかなというのが意見です。
それから、もう一つ申し上げると、先ほどの三位一体の理解なのですけれども、そこは論理必然的に3つがバインドされているかどうかということに関して言うと、あるいは同時並行的に進めなければいけないかどうかということについては、今村委員がおっしゃるとおりだろうと私も思います。
ただ、これを現実の問題として考えたときに、2024年4月という時期はもう確定日付を打たれてしまったわけで、繰り返しになりますけれども、その時点で罰則つきのレギュレーションがかかってしまうわけです。
当然のことながら、それを遵守しようと思うといろいろな問題が起こってくるということを踏まえて考えてみると、私は、今回の地域医療構想の関係の混乱というのは少なからず心配をしています。
確かにおっしゃるように、これが一つの契機になって地域医療構想の議論が活性化されるという面があるのであれば、いろいろなことは耐えがたきを耐えて頑張っていただきたいなと思うのですが、ただ、一方で、例えば、424病院以外は何もしなくてもいいのだとか、そういう説明をしていないのは重々承知していますけれども、一般の方からしますと、そういう受けとめられ方をされたのは間違いがないし、それから、もう一つは、厚生労働省は地域医療構想について、本来、地域の望ましい医療の提供のあり方を考えるための手段だという説明をしておきながら、実際に出てきたものを見ると、急性期の、しかも比較的小さな病院がやり玉に上がっているではないか。結局、何だかんだいっても、急性期病院の病床潰しなのではないかと受けとめられた面があることは間違いないのだろうと思います。
三位一体との関係では、地域医療構想が緩んでしまうと何が起こるかというと、例えば、お医者さんのリソースをどこにどのように配分するかが決まってこないわけで、全体がうまく進まないのではないかということを強く危惧します。
これは診療報酬の話に限ったことではないのですけれども、2024年4月の働き方改革の施行が待ったなしだということを前提にして、いろいろな施策の手順を含め丁寧な説明とかということをしていかないと、非常にゆゆしい事態が起こるのではないかということを懸念しております。
○永井部会長 今村委員、どうぞ。
○今村委員 ありがとうございます。
まさに島崎委員のおっしゃったとおりだと思います。2025年待ったなしということなので、これはもうほかの施策がどう進もうが、とにかく必ず取り組まなければいけないものだと。
そのメッセージが間違って、地域医療構想の進捗に変な影響が出るという発想は今まで余り持っていなかったのですが、今言われてなるほどと思ったのですけれども、とにかく日本中どの医療機関であっても、2025年には新しいルールを守らなければならないということだけはどうしようも動かしがたい事実でありますので、これに向けて、別に私は診療報酬だけで全てをやろうとか、そんなことを申し上げているわけではありません。ただステージの違う改革をやろうとすれば一定のコストがかかるということだけは、多分、先生方も御理解いただいていると思うのですけれども、そのことだけは申し上げたいと思います。
○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。あるいは全体を通じてでも結構ですが。
松原委員。
○松原委員 ありがとうございます。
島崎委員のファイナンスは、保険部会のほうでといった御発言の後でちょっと言いづらいのですけれども、まさに診療報酬はかかるコストを補塡するということで、どういうことにコストをかけるべきなのかという議論は必要なのだと思います。
今回の医師の働き方改革の期限が切られている中で、実現していくという中で、供給体制の仕組み、マネジメント、患者の意識改革や受療行動など、抜本的な取り組みが必要だと思います。ただ、その中で、例えば、医師だけがサービス残業をしていた職種であるわけではなくて、日本中でサービス残業が行われてきたわけです。それがここ数年の流れの中で急に大改革がなされてきた。
では、ほかの一般企業はどうしているかというと、今まで管理していなかった部分、サービス残業をしていた部分を管理し始めましたが、その管理のためだけに、新たに売り上げが上がるとか、そんなことは全く関係なく実施していることなので、医師の働き方を管理するということに点数をつけなければとかいうことは、一般産業から見ると、違うのではないかと思うのです。
そうではなくて、徹夜の先生が診療するような状況を是正するための措置や仕組みづくりなど、まさにかけなければいけないところのコストについて、見合った報酬になっているのか、どういうことがコストとしてあるべきなのかという議論が必要と考えます。
あと、最初の話に戻ってしまうのですけれども、医療の提供体制の持続可能性を実現する、医師の働き方改革も何とか実現しなければいけないという中で、どうしてもやはり必要病床数に収れんさせるということは必要になってくると思います。医療というのはあくまで生活に密着していますので、きめ細かい対応は必要で、現場の声を徹底的に聞く姿勢というのは求められると思っていますが一方で、トライ・アンド・エラーを許さない文化だと、改革というのは実現できないと思うのです。日本が22025年に向けて、また、もっと先、2040年に向けて大改革していかなければいけない中で、今回、2回目の項目で出てきましたけれども、データの出し方とか、反省すべきは反省しつつ、現場の声を聞くということを徹底しつつ、ぜひ、活発な議論のためにひるまずどんどんデータを出していってほしいなと、取り組んでいってほしいと考えております。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
ほかに御意見はございませんでしょうか。
島崎委員、どうぞ。
○島崎委員 この間、地域医療構想の関係であのような発表があって、議会との対応を含め自治体のほうでもいろいろな取り組みに忙殺されていると承知しています。
さらに、それだけで終わったわけではなくて、地域医療構想そのものに議論や検討も進めていかなければいけないし、それから、医師の働き方改革の対応も、いきなり2024年にぽんと飛ぶわけではなくて、その前段階としていろいろな取り組みをしていかなければいけないわけです。そのときに、どこまでの分が都道府県の業務になるかどうかということの線引きはともかくとして、都道府県の業務がふえることは間違いないわけです。
それから、医師の偏在是正の話にしましても、基本的な偏在市場というのがあったとしても、それを実際にどのようにやっていくのかとか、あるいは医師のキャリアパスをどのようにつくっていくのかということを、丁寧なつくり込みをしていかないと、絵に描いた餅になってしまうという面があると思います。
何を言いたいかというと、都道府県の職員の質と量を確保していかないと、2024年に向けていろいろな政策課題が目白押しなのですけれども、少なくとも厚生労働省のほうで全部一元管理できるわけがないし、また、それができないということが今回はっきりわかったのだろうと思います。
ということになると、都道府県の職員が質も量もまだ十分ではない。ちょうどこの時期になりますと、来年度の都道府県、市町村もそうですが、来年度の人員、組織の体制をどうするかという話になるので、少しおくれぎみなのかもしれませんけれども、機会があれば、きょうは知事会なりの代表の方がいらっしゃれば申し上げようと思っていたのですが、厚生労働省のほうからどういう働きかけをするのがいいかわかりませんけれども、ぜひそこはやはりやるべきだと思いますので、意見として申し上げたいと思います。
○永井部会長 相澤委員。
○相澤委員 島崎先生は「地域医療構想」という言葉をお使いになりますよね。地域医療構想というのは何ですか。地域の医療をこうしたいという青写真ではないですか。その青写真というのはあるのですか。私はないと思っています。
地域の病院に行って話すと、将来の姿が見えないと。どんな姿をつくっていいのかわからないと。厚労省から示されているのは2025年の必要病床数だけだと。そうしたら、何をやればいいかと。皆さん、本当に議論をどう進めていっていいのかわからないのです。
いや、本当にそういう質問を受けるのです。この地域にどんな医療をどうやって提供しているのか、青写真があるのですか。それを誰も示していない。その中で地域医療構想をつくれと。どうやってつくるのですか。私は、そこが今一番大きなやられていない議論のような気がするのです。
その青写真さえあれば、その青写真ではこの地域はうまくいかない、ここはこう変えなければいけないという議論が起こるのですが、それがないまま、言うなれば、病床数だけ何とか数値合わせすればいいのではないのというところに行ってしまう。これだったら、これから大変な日本は乗り切れないのではないかなと私はすごく心配をしています。
○島崎委員 単なる病床の数合わせではいけないということを言われているのだと思うのですが、それはまことにおっしゃるとおりだし、それこそ最後の地域包括ケアシステムとの接合の部分に関して言うと、都道府県と市町村がよく話し合って、そこから積み上げていかない限り、うまくいかないのです。
ということになると、そこは相澤先生も同感だと思いますけれども、だからこそ、そこのところを引っ張っていく、あるいは知恵を出すなり、あるいはこういう議論の展開がないのかということを示していく人が必要なのです。
もちろん、それはメディカルドクターでも構わないし、ほかの職種でも構わないのですけれども、そこはやはり行政の職員もそれに対応したレベルに達しないと、うまくいかないですよねということを申し上げているのです。
○永井部会長 まさに市場原理でもなく、国家管理でもない医療というのはそういうことなのだということだと思います。
山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 働き方改革で心配しているのは、要するに、医師が少ないから、みんな残業をしているわけですよね。そこで残業するなということになると、明らかにこれからの少子高齢化に向かって医療ニーズはふえるわけですから、残業するなという話になると、新規の医師をたくさん供給しなければ、総量としての医療提供体制は下がる事になります。
外来対応で言えば今まで10人診ていたのが8人しか診られないということになったり、更に労働時間を制限すれば6人しか診られないということになるわけでして、働き手を供給しないで働き方改革だけをやったら、これは結果的には国民に迷惑がかかることを議論しているということでいいのですね。
○永井部会長 どうぞ、吉田医政局長。
○医政局長 事務局の医政局長でございます。
本日の会議の冒頭、別の業務によって失礼をしておりましたので、きょうの会議の最初から続いております地域医療構想や三位一体の改革について、十分フォローし切れていない部分はお許しをいただきたいと思います。
今、山崎委員から御質問のような形での御発言と受けとめ、永井部会長からの御指名をいただきました。
先ほど来、お話がありますように、少なくとも三位一体と言っております働き方と今の医師偏在、医師不足の問題については、既に御案内のとおりだと思いますけれども、マクロにおける医師数については、32万人に毎年9,000人から9,400人のニューカマーが来ているという、我が国として見れば、これまで過去ないような養成数となっている中で、地域によって、あるいは診療科によって、目の前の医師不足が解消していないということです。山崎委員がおっしゃっていただいたように、マクロの医師数について、働き方改革要素を考えれば、従来の推計シミュレーションも見直しながら考えるべきだというのは、そのとおりですし、我々もそのように計画をしております。
マクロだけではなくて、偏在対策をしっかりやっていかなければいけないという問題意識の下で、3つの柱のうちの1つを医師偏在対策としています。広くは医療職、看護職についても、地域別あるいは領域別に見たときの丁寧な議論が必要だと思っておりますが、そのようなことの中で、働き方と医療職の偏在是正というものが一体となっている。
その上で、先ほど相澤委員からお話がございましたように、地域医療構想なるものがあったとしても、それが本当の意味で地域の最終的な絵柄になっているかどうかという深い問題提起をいただきました。
私どもとしても、残念ながらと申しましょうか、今、道半ばの中において、それぞれの地域が完全に自分たちの地域の今後を見通した地域医療の姿を、病床数あるいは病床機能という地域医療構想で掲げられたものにプラスアルファをして、在宅でありますとか、外来、あるいはかかりつけ医機能というもの全体を絵に描き切れているものではないということが多くの地域ではないかと懸念をしております。
ただ、そういう思考を持って、そういうことが必要だということについては、きょうお集まりの委員の方々がそれぞれの地域において、あるいは現場において御発信いただくことにより、わかってはきた。わかってはきているけれども、それがまだ形になっていない。また、形にしたとしても、そこに向けるための具体的な道順なり、方法論がまだみんな議論の最中だというのが現状ではないかと思っております。
そういう意味では、地域医療構想という政策課題にしても、今回の424の流れにつきましては、先ほど総務課長から申し上げたと思いますが、発表の仕方やそこに至る丁寧な説明不足の点については反省しながらも、単に病床数の数合わせという御批判だけではなくて、それぞれの地域資源の中で、どう組み合わせながら質の高い医療をしていくかという大きな大義の中で、各地域において御議論いただく。
その中には、島崎委員がおっしゃるように、東京の厚生労働省だけで一律にし切れるものではないという自覚が我々もございますので、地域、地域において御議論いただくための仕掛け、あるいはツールについてのさらなる工夫と理解、働きかけをさせていただく。それは言うだけではなくて、支援策とあわせて行うということが必要だと思っております。
山崎委員からの御質問をきっかけに、少し余分なことまでお話しさせていただきましたが、そういう全体の構図の中で、これからの地域医療、2025年、2040年に向けて、非常に難儀ではありますけれども、委員の皆様方の御意見をいただきながら、そして、地域の関係者の方々の御理解をいただきながら進めなければいけない。そういう局面に我々は今あると事務局としては認識してございます。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
それでは、最後に、加納委員。
○加納委員 局長に整理していただいて、ある面、よくわかったのですが、やはり先ほどから議論があるように、地域医療構想そのものがいわゆる供給の見える化ということでスタートしていまして、結局、急性期など機能分化されたベッド数の確認という形で進んでいる中で、それぞれの地域ごとにどんな需要があるかというのはかなり違いがあります。今回の424の病院でも、地域の違いがあるから意見が出てくるわけなので、やはりそこはもう少し見える化で我々も主張できるような形で、それぞれ地域対応できるようにお願いしたいと思います。
ある面、そこの地域で需要と供給が平穏に保たれているところに、前から申していますように、今回の地域医療構想の名のもとに変な巨大な病院ができ上がって、一気にその地域を破綻させてしまうとか、そういったことが現実的に今起こりつつあります。
そういった懸念を持ちますので、地域の需要の見える化をどういう形でやっていくかというのは非常に難しいと思うのですが、それが地域医療構想の根源ではないかなと思っていますので、そこらもまた御配慮いただけたらと思います。
○永井部会長 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
それでは、大体時間になりましたので、本日はここまでといたします。
事務局から連絡事項等をお願いいたします。
○医療政策企画官 次回の日程につきましては、詳細が決まり次第、改めて御連絡をさせていただきます。
以上です。
○永井部会長 お忙しい中、ありがとうございました。これで終了いたします。
 

 

 

(了)

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