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2019年7月18日 第67回医療部会

医政局総務課

○日時

令和元年7月18日(木)15:00~17:00
 

 

○場所

全国都市会館 第2会議室

○議事

○医療政策企画官 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第67回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして、まことにありがとうございます。
 医療部会の総委員数が24名で、定足数は3分の1の8名となっております。本日は、相澤委員、井伊委員、井上委員、尾﨑委員、加納委員から御欠席との御連絡をいただいております。また、岩田委員、猪口委員がおくれておりますが、岩田委員、猪口委員を含めまして19名の委員の皆様が御出席ですので、定足数に達していることをまず御報告申し上げます。
 次に、新しく委員に御就任された方を御紹介申し上げます。
 公益社団法人日本歯科医師会副会長の遠藤秀樹委員でございます。
○遠藤秀樹委員 よろしくお願いいたします。
○医療政策企画官 次に、議事に入ります前に、お手元の資料を確認させていただきます。お手元に議事次第、座席表、委員名簿、厚生労働省出席者名簿のほか、タブレット端末を1台お配りしております。前回の医療部会以降、事務局におきまして異動がございましたが、配付の厚生労働省出席者名簿にかえて御報告をさせていただきます。
 また、厚生労働省では審議会等のペーパーレス化の取り組みを推進しておりまして、このため本部会におきましても、資料1-1から資料3、参考資料1-1から参考資料3につきまして、お手元のタブレット端末で御確認いただく形となります。
 操作方法で御不明な点がございましたら、事務局にお申しつけください。
 カメラ等の方は、ここまででお願いいたします。
(カメラ退室)
○医療政策企画官 それでは、以降の進行は、永井部会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○永井部会長 それでは、早速議事に入りたいと思います。
 初めに、欠席の相澤委員の代理として大道参考人、井伊委員の代理として吉川参考人、尾﨑委員の代理として家保参考人、加納委員の代理として太田参考人の御出席をお認めいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、議題に入ります。
 最初に、医師養成課程を通じた偏在対策について、事務局から説明をお願いいたします。
○医事課長 医事課長でございます。
 資料1をお願いいたします。「医師養成課程を通じた偏在対策について」でございます。
 2ページ目でございます。右下に1と書いてあるページでございますが、これが医師養成課程を通じた医師偏在対策の今後のスケジュールを示したものでございます。
 こちらが、医師の養成課程、入学時点、学部教育、臨床研修、専門研修、開業時含めまして、さまざまな時点での医師偏在の取り組みを進めておるところでございまして、実は先般の医療部会におきましても、例えば専門研修といった一部の取り組みで偏在対策を進めるようなことは問題ではないかという御指摘もありましたが、実はこのような全体的な状況で今、進めているところでございます。
 スケジュールといたしましては、全体的にはこの2018年度から進めていっておりますけれども、ここにお示しさせていただきましたとおり、2019年度、2020年度、2021年度に向けまして、着々と進めていくというような流れになっております。この全体を通しまして、医師偏在対策を進めていくという状況でございます。
 個々の状況につきましてもお示ししますが、次のページをお願いします。
 次のページが個々の政策、今、お示ししたさまざまな医師偏在対策に関しまして、どのような場で地域で議論していただき、その対策の主たる実施主体がどこであるかをまとめたものでございます。
 都道府県が実施するものも多うございますが、国のほうで厚生労働省、医学部の定員に関するところでありますと文部科学省などとも連携しながら取り組みを進めているところでございます。
 3ページ目でございますけれども、今、1ページでお示ししたものの根拠となっておりますものが、平成30年の医療法、医師法の改正でございまして、この中の取り組みを一個一個やっていっているというところでございます。
 4ページ目からが、地域枠の設置・拡充でございます。これは入学のところでございますけれども、医師の定員は現在9,420人ということでございますが、地域枠を活用しまして、その地域で従事していただく医師の確保を進めていっているというのがまず一つの対策でございます。
 これに関しましては、6ページ目でございますけれども、令和2年度以降に関しまして、将来必要な医師数を勘案しながら、個別に、また各都道府県、それから各大学が都道府県と相談しながら、実際どの程度の臨時定員等が必要かということについて、2022年に向けまして議論を進めているという状況でございます。
 7ページ目でございますけれども、都道府県の要請権限でございますが、これは都道府県と大学との関係で申しますと、法律的な権限は今、ございますけれども、ない時代から、個別に地域枠の設置などについては、従来から関係性がございましたが、これは法律を受けまして要請する権限を整理したものでございますので、必ずしもこれに該当しない場合もございまして、大学と都道府県の話し合いがつけば、恒久定員の枠の中で地域枠を設けることはできるわけでございますけれども、基本的には、医師が少数の県で、少数の二次医療圏があるというところについて、地域枠であったり地元枠、地元出身者枠を要請できると整理しております。
 8ページ目からでございます。シームレスな医師養成ということでございまして、今回、先ほど少し御紹介しました医療法、医師法の一部を改正する法律の附則の中に、大学の学生が5年目、6年目に行っている臨床実習を含めた医学教育の状況を勘案しまして、初期の臨床研修を含めて検討するという規定が法律に入っているところでございます。
 それを受けまして、10ページ目でございますけれども、現在、関係する分科会等で議論をしておりますのがこの図でございまして、先ほど申し上げたとおり、学生の5年生、6年生でやっております臨床実習をより実践的なものにしていくという取り組みを進めている中で、医学生の今、医学部で任意で行われております共用試験(CBT・OSCE)を活用することによって、さらに臨床実習を充実させていくということについて、どう考えるかということにつきまして、今、議論をスタートさせたところでございます。
 これを踏まえまして、さらに卒業後の法定の臨床研修につきましても見直しをしていくという流れになっているところでございまして、また、この議論につきましても、適宜、医療部会のほうに御報告しながらという形を考えているところでございます。
 それから、11ページからの臨床研修制度を通じた偏在対策は、いわゆる初期研修、専門研修などを通じまして、医師偏在対策を進めるという観点でございますけれども、まずは臨床研修制度の見直しが2020年度の研修より適用されることになっているわけでございまして、これは、文科省が定めております医学教育モデル・コア・カリキュラムと整合的な到達目標・方略・評価を導入することや、研修病院の指導のあり方、それから、地域の偏在を是正するために、大都市圏の募集定員は圧縮していくであるとか、そういったものが盛り込まれているものでございます。
 具体的な偏在策として13ページからでございますけれども、研修医の総数を各県に案分して、地理的な条件などを加味した上で、都道府県の上限をつくっていたわけでございますけれども、これに関して、人口分布による算出の限度、地理的な条件を加味しまして、さらに地域的な格差を是正していくというものが織り込まれているということでございます。
 それから、14ページは、2021年度の研修から都道府県に権限委譲するということになっております臨床研修病院の指定の関係でございます。今までは、国のほうで各病院の募集人員を定めておったわけでございますが、これを各県の地域の実情に応じて、県全体の数としては国が定めた数でございますけれども、各病院に何人配置するかということにつきましては、県のほうで調整することができるということも盛り込まれているところでございます。
 また、15ページには、地域密着型臨床研修病院という概念が導入されていまして、これは地域枠の方が、いわゆる初期研修のマッチングをしていく中にありまして、その圏内の病院とのマッチングがうまくいかなかったという例が過去に生じたための対応でありまして、地域枠の医師に関しましては、その地域での研修を受けることができるように、優先的にマッチングができる病院を決めていくという仕組みも考えているところでございます。
 また、16ページから新専門医制度を通じた偏在対策でございますけれども、これは専門医の要請の中で、まずは各大都市圏とその他に関しまして、専攻医が都市部に集中しないような取り組みということで進めてきたわけでございます。
 2020年4月に向けましては、さらにそれに加えて診療科別のシーリングという概念を導入して、今、専門医機構のほうで検討をし、今、各学会のほうでプログラムをつくって、それをまとめている段階でございます。そういう意味では、この専門医の段階でも地域偏在、診療科偏在という取り組みを進めていくということを今、やっているところでございます。
 偏在対策としては大体以上でございます。
○地域医療計画課長 地域医療計画課長でございます。
 1点、補足説明をさせていただきたいと思います。
 1ページ目の医師養成課程を通じた医師偏在対策の今後のスケジュールの中で、今、医事課長のほうから、主に養成課程のところのお話をいただきましたが、私のほうから、一番下にあります「外来機能の不足・偏在等への対応」というところで、今、行っております方針も含めて少し御説明させていただきたいと思います。
 今回の外来医療計画につきまして、計画の方針につきましては、各都道府県、各団体関係者のほうにはお渡しさせていただいているところでございますが、改めて申させていただきますと、今回の外来医療計画の仕組みにつきましては、まずもって医師の開業を強制力をもって制限するものではないということは最初に言わせていただきたいと思います。
 そもそも、この外来医療計画での経緯を御説明させていただきますと、医師全体といたしましては、2008年以降、医学部定員をふやし、医師の総数をふやしてきたところではございますが、地域偏在・診療科偏在は解消していないという現状があり、また、加えまして、診療所におきましても都市部に集中しているという現状から、改善が見られていないというのが今回の発端になっているところでございます。
 さらに申しますと、開業が一部の地域に集中してしまうことで、各診療所の経営上のリスクも懸念されているといったことから、医師需給分科会においてこれまで議論していただいたところでございます。
 こうしたことでございますが、そもそも需給分科会の中では、いわゆる開業制限という話もありましたけれども、一方で、憲法上の医師の営業の自由を保障するという観点から、強制というのは難しいということがありましたので、今回、外来の計画につきまして、医師が経営上のリスク等を判断できるよう、外来の医師偏在指標を定め、外来医師多数区域を設定しながら、今後の医師が開業する際の資料としていただく。これを参考に、自主的な開業の判断をいただくということで、計画をつくっていただくという趣旨で今回の計画を行っていただくことになっておりますので、重ねて申しますが、今回の計画につきましては、開業を強制力をもって制限するものではないということだけは改めて申し添えさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、御質問、御意見をいただきたいと思います。
 どうぞ。
○家保参考人 まず、1ページのところで、全体の流れについて非常にわかりやすく説明していただきまして、ありがとうございました。
 ただ、総論としてはそうなのでしょうけれども、個々の具体的なところになりますと、例えば専門研修部会のところでございますが、2019年9月に募集開始とあります。今日の時点でも都道府県には情報が一切来ておりません。募集開始まで2カ月もないのに、これから医師法16条の8に基づくいろいろな手続を本当に短期間でできるのか。十分な期間が保たれているかどうかを非常に都道府県側としては懸念いたしております。
 昨年の例で申しますと、10月9日が都道府県の意見締め切り、厚生労働省から専門医機構への意見及び要請が16日、専門医機構から厚生労働大臣への回答が10月19日、募集開始が22日ということで、淡々と進んでいるのでしょうけれども、都道府県としてはどういうふうに意見が反映されたのかという話が全然わからずに来ております。
 対応内容を知ったのが、12月の医道審の部会の資料を見て初めてわかった。専門医機構からもほとんど答えがございません。やはりこういうことだと、都道府県側としては、今回もシーリングについてもなし崩し的に進むのではないかという危惧がございます。それに対する厚生労働省のお考えを聞かせていただきたいというのが1点でございます。
 2点目、2ページのところ、都道府県としては地域医療対策協議会が非常に大きな役割を持っていると思います。その中で、例えば診療科別、都道府県別の医師数、臨床研修での偏在対策、外来機能の不足、偏在等への対策等、現場としては医療対策協議会の御意見を聞くという都道府県が多いと思いますが、厚生労働省のお考えでは○が入っていない。都道府県に任せるという意向なのか、それとも要らないと思っているのか、権限上ないので○をつけていないという話なのか、どちらなのか御説明いただきたいというのが2点でございます。
 以上でございます。
○永井部会長 事務局、いかがでしょうか。
○医事課長 医事課長でございます。
 まず、専門医研修に関する専門医機構の対応状況に関しましては、専門医機構に早急に各都道府県に対し情報提供するようにということで、申し入れをしているところでございます。
 昨年も情報提供がおくれまして、結果的に募集も相当おくれたということもありますので、今年度に関してはそういうことがないようにと考えているところでございます。
 とりあえずの対策としましては、各都道府県も地対協の日程は決まっているということで、その日程には間に合うように、情報を何とかまとめるよう指導していきたいと思っております。
 今後もまた何か機構の対応につきまして足らざるところがありますれば、医事課のほうにお伝えいただければ早急に対応するように指導してまいりたいと思っているところでございます。
 もう一点、偏在対策の表に関してでございますけれども、これに関しましては、まずこの図に関しましては、必ず協議をしていただきたいものに○をつけているということでございますが、中身によっては、議題に入れていただくことは差し支えないと思いますし、そこら辺のところは、今も適宜、Q&Aも出させていただいておりますけれども、また追加で、そういった現場の御質問に対してはお答えしていきたいと思っております。
○永井部会長 続けてどうぞ。
○家保参考人 都道府県側としましては、出した意見に対してどういう反応があったのか、また、翌年に対してどうなのかというのをきちんと専門医機構にお返しいただきたい。そうでないと翌年度以降の改善にもつながりません。当然、専攻医の方々の選考時期もありますので、全体を見通した形でスケジュールを進めていただきたい。
 大臣からの昨年の要望にはそのような中身もありましたので、その部分についてはぜひお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○永井部会長 今村委員、どうぞ。
○今村委員 私は専門医機構の副理事長という立場にもありますので発言させて頂きます。専門医機構に対する厳しい御意見はまさにそのとおりだということで、都道府県に毎年大変な御迷惑をおかけしていると思っております。
 仕組みが少しずつ変わったりして、その都度、対応が十分機構側でとれていないというのは本当に我々の責任だと思っております。
 今、厚生労働省の佐々木課長からもお話がございましたけれども、日々、情報提供をいただきながら、私どもとしても、都道府県の負担を少しでも減らせるように対応したいということで尽力しておりますので、去年のようなことがないように対応しようとは思っております。一方、残念ながら、私どもも日々改善に向け努力しているのですが、それでもまだ事務局機能が脆弱なところがございますので、厚生労働省とも連携しながら、しっかりと対応したいということだけとりあえず申し上げたいと思います。
 お気づきの点は何でも御指摘をいただければと思っていますので、よろしくお願い申し上げます。
○永井部会長 山口委員、どうぞ。
○山口委員 医師の養成ということで御説明をいただいたわけですけれども、6ページを見ますと、例えば医師養成数ということで、臨時定員をかなり細かく見ていきながら、2021年まで決まっていて、2022年以降は今後検討するということが言われていたりとか、あるいは、13ページにありますような募集定員の上限の見直しということも言われている中で、きょうは全然御説明の中になかったのが、海外で医師免許を取得し、日本で医師として働きたいと試験を受けてくる方が、数年前から毎年ふえてきているという話を聞いています。現在、1校分ぐらいになっている。それは大学が一つできたのと同じぐらいの人数になって、これは調整がきかないと思うのです。たくさんの方が海外に出て、海外で医師免許を取った人という中に日本人がかなり多く含まれているということを聞いております。そのことについて、募集定員での上限のように制限できないということからしますと、何か国として、そのことに対しての対策を現在、お考えになっているのかどうかということをお聞かせいただきたいと思います。
○永井部会長 事務局、お願いします。
○医事課長 医事課長でございます。
 今、御指摘の外国の医学部を卒業して、国内で医師として活躍されているという仕組みは現在もございまして、御指摘のとおり、100名近くになってきているという状況でございます。
 従来は、ほぼ外国籍の方が日本で医療をされたいということで国家試験を受けていただくルートとして使われてきたのですが、近年では、外国の医学部が日本人学生を募集して、そこを卒業した方が、日本の国家試験を受けるというケースがふえてきているというところでございます。
 御指摘のとおり、国内の医学部定員に関しましては、医師需給などの関係でいろいろと調整しながら、検討しているところでございます。ある一定程度の規模になってまいりましたので、少し現状を含めまして議論をしていくということが必要ではないかと思っているところでございます。また関係する部会での審議の状況につきましては、必要に応じ、この医療部会にも御報告したいと思っております。
○永井部会長 楠岡委員、久喜委員。
○楠岡委員 養成課程において、若手医師が地域の中でかなりふえていくというのはこの計画でよくわかるのでありますけれども、この方たちが一人前になるためには、指導医が必要になってくるかと思います。指導医というのは、ある一定の経験をもって、こういう若手の指導ができるような方ということですが、本当に地域あるいは病院における中堅になれる、なっている医師の方々だと思うのですけれども、この指導医の確保については、今のところ特に何も対策がないような状況で、指導医が地域から流出してしまうと、若手がいても指導する医師がいないとか、あるいは、地域内においても、指導病院に指導医を集めるということになりますと、個々の病院も結構大きな影響を受けることになるかと思います。このあたりに関して、何か今後、検討される予定があるのかどうかをお伺いしたいと思います。
○医事課長 医事課長でございます。
 医師確保・偏在対策は局内、関係課挙げて取り組んでおります。地域枠の学生さんに、地域枠だからといって医師のキャリアをきちんと積めないといった不安を抱えてもらってはいけないと思いまして、各都道府県でキャリア形成プログラムをつくって養成してくださいとお願いしております。
 その中には、何年でどういうような内容の研修をするということも書かれておりまして、そのための必要な指導医の確保であるとか、そういうこともお願いしているところでございます。その内容につきまして、また全国の動向などを見ながら、より充実したものになるように、各都道府県と一緒に地域枠の学生たちが立派な医師になるように取り組んで行きたいと思っているところでございます。
○永井部会長 久喜委員、その後、山崎委員どうぞ。
○久喜委員 先日、全国市長会のほうでこの辺の議論を地域医療対策会議でしてきたのですけれども、出てきたのは臨床実習、いわゆる5年生、6年生のときと、初期研修の違いをどのように持っていくか。昔で言えば、6年たてば卒業して、医師免許をとって、医師になって活動できるわけですけれども、それが初期研修という一つの期間を設置したということで、それが臨床実習とどのように違うのかという議論があったということ。
 あと、先ほど今村委員の話もちょっとあったのですが、専門医のいろいろなことがいろいろ進められるのはいいことなのですけれども、地方の病院をあずかる首長としては、専門以外は見ないよという現状がある程度、出てきているというのは、患者さんにとってはかなり困っているというような話も来ています。その辺のところがどうなのか。これが2つ目です。
 3つ目が、知事がある程度、ハンドリングしていくということになっているわけですけれども、それで、どれだけ都道府県が医師に対して情報収集して、的確に数を制限していくか。その辺のコントロールするところの手順を明確にしていただかないと、地域の医師不足にとっては大変難しい問題が起こるのではないかということが懸念されました。
 この3点です。
○医事課長 医事課長でございます。
 今の御指摘に関しましては、今回の資料1の1ページ目のスケジュールのところで申しますと、まさに学部教育と臨床研修のところで、共用試験とStudent Doctorの公的化等を通じたシームレスな医師養成ということで、まずは学生さんのときにやれる臨床実習をきちんと充実させることによって、それとの関係で、初期研修もいろいろと見直していこうということを考えているところでございます。
 ですので、今、御指摘いただいているような役割についてもまた整理をし直し、より充実した初期研修になるようにということで、今後、検討を進めていこうということでございます。
 それから、総合的な診療ができる医師が地域で必要だというお声はよくいただいているところでございます。政府の方針でも総合的な診療というものを行える医師が必要であるということは認識しているところでありまして、これは専門医機構の中でいえば総合診療専門医というのがありますし、また、各地域でかかりつけ医もおられます。総合的な診療ができる医師をきちんと確保していくという取り組みを進めていくというのも大事だと思っております。
 医師需給に関しましては、全国の医師の数という需給も、後ほど御説明しますけれども、働き方改革の議論を踏まえて見直しもしてまいりますけれども、まずは地域の医師偏在指標もしくは診療科別の必要数を掲げまして、まずは地域でしっかりと議論していただけるという素材を提示したところでありまして、今後、都道府県などとも意見交換しながら、具体的な医師の確保ということについて、また取り組みを進めていきたいという段階でございます。
○永井部会長 山崎委員、河本委員、釜萢委員。
○山崎委員 10ページの資料ですが、シームレスな医師養成に向けた改革全体案というところの左側の赤い四角のところに、Student Doctorの公的化による医学生の医行為の法的な担保という記載があって、CBT・OSCEといった共用試験が済んだところで、一定の評価をして、公的化をするということは、この時点で何か法的な、仮免許みたいな資格を考えているのでしょうか。
 そういうことで、法的にある程度、公的化するということは、公的な資格を与えて、臨床ができる体制をつくるということなのか、また次に臨床研修の2年をくっつけて、4年間をシームレスにするということは、5年、6年で行った病院で継続して臨床研修もするのか、あるいは、今のように卒業したと同時にフリーにどこに行ってもいいよという形にするのかということを聞きたいと思います。
 もう一つは、先ほどの質問にも関連するのですが、今の新しい卒業生は、ほとんど専門医のほうに行くわけです。ところが、一方でこれから高齢化社会を迎えたなかで地域包括ケアを中心にしていこうということに、厚生労働省は政策誘導をしているわけですけれども、その地域包括ケアを支える先生が専門医でいいのですか。私はやはり、総合診療医が地域包括ケアはまとめるべきであって、そう考えると、新卒の卒業生の全員近くが専門医に行ってしまうという方向が、将来考えている政策構想と全然外れた方向に行ってしまっているような気がしてしようがないのですけれども、いかがですか。
○医事課長 まず、1点目の医師養成の関係でございます。
 10ページにありますシームレスな医師養成に向けた改革全体案のところでございますが、Student Doctorの公的化と医学生の医行為の公的な担保につきましては、まずは今、臨床実習の中身は大学教育にも関係がありますので、文科省にも参加をいただきまして、CBT・OSCEをどう位置づけていくかというところを含めた検討を始めたところでございます。
 具体的にどのようなところまでやっていただくかという議論を詰めた結果として、法的な担保が必要であるということであれば、そういった法的な担保に向けまして、法制的な対応が必要になると考えておりますが、現時点でどの程度のものというところまで具体的なものを考えているというわけではございません。また適宜、この医療部会にも御報告したいと思っております。
 また、初期研修との関係につきましても、どのような実習、どこまでやってもらうのかということと、今、やっている初期研修の中身との関係を整理した上で、どこで研修を受けてもらうかということにもつながってくると思いますので、またこれも議論の結果を適宜御報告しながら、医療部会でもまた御意見を賜りたいと思います。
 最後に、総合診療を担う医師という御指摘でございますが、我々といたしましても、総合的にいろいろな患者様の御相談に乗っていただく医師が必要というのは御指摘のとおりでございます。そういった医師をふやしていかなければいけないとは思っております。
 もう一つが、全ての医師が専門医にならなければいけないかというのは、実は一昨年来の専門医機構、専門医制度1年延期という流れの中でもたびたびやりましたが、これは全員が専門医になるかどうかという意味で言うと、義務化になっているわけではございません。今、結果として初期研修終了医師の方のほとんどが専門医を選ばれているということでございますので、そういった状況を踏まえながら、専門医制度につきましても、専門医機構と連携しながら、いろいろ検討もあわせて進めてまいりたいと思っているところでございます。
○山崎委員 関連でもう一つ。
 そうすると、CBT・OSCEが済んで共用試験が済んだ段階で、医行為の公的化をして、臨床を5年、6年でさせるということになると、当然、医師国家試験の改革も行わなければいけないかと思います。現状は、6年の前期から受験勉強に入ってしまって、ほとんどベッドサイドから外れて、6年の1年間を受験勉強をやっているというのが現状なのです。
 したがって、医師国家試験を根本的に変えて、6年になってもきちんと6年の12月ぐらいまでは臨床実習ができるという形にしていかなければ、この仕組みは成り立たないというのが1点。
 もう一つ、Post CC OSCEというのが令和2年度から開始されるとなっていますね。そうすると、Advanced OSCEのようなことをきちんと平均化すれば、医師国家試験は要らなくなるのではないですか。Advanced OSCEを医師国家試験のかわりにすればいいわけで、CBT・OSCEの共用試験のところで基礎的なことはクリアしているわけですから、そうすれば、5年、6年で臨床研修やったことだけをAdvanced OSCEでやれば、現在のような6年になったらフルに受験勉強をしなくてもいいような仕組みにしなれば、せっかく制度改革をしても意味がないと思います。
○医事課長 この臨床実習の見直し、それから初期研修の見直しという議論と並行して、実は国家試験の検討も同時並行で動いておりまして、そういった意味では、全体の流れを通じますと、結果として国家試験を少し手直ししていくということもあり得るかと思っています。いずれにしましても、全体的には連携した話という理解をしております。
○永井部会長 河本委員、どうぞ。
○河本委員 ありがとうございます。
 先ほど山崎委員もおっしゃいましたが、総合診療専門医は地域包括ケアシステムの要であるとともに、地域偏在あるいは診療科偏在の解消に向けても、かなりプラスになるのではないかと私どもは期待しているところですが、昨年度からスタートした総合診療専門医の養成では、2.2%ぐらいの方しか応募がなかった。それ自体、大変残念な話なのですが、こういったことを踏まえたときに、どの診療科を選ぶかは医学部生や研修医の方の自律的な選択が基本ですが、医師の養成課程においても総合診療専門医をPRするといった、総合診療専門医を増やすような取り組みを強化してもいいのではないかと思います。
 総合診療専門医を目指す若手医師が必ずしも多くない理由として、ロールモデルが不在、あるいは教育研修体制の未整備のような御指摘があるとも伺っております。いずれにしても、そういったことを踏まえて地道にしっかりと対応していただき、総合診療専門医が増える方向に、できるだけ迅速に導いていくことが必要なのではないかと思います。
 例えば、教育プログラムの中にかかりつけ医機能や総合診療に関する教育プログラムを充実させるとか、一例でございますけれども、そういった取り組みも必要なのではないかと考えるところでございます。
 意見です。
○永井部会長 釜萢委員。
○釜萢委員 総合的な診療能力を有する医師の議論が出ておりますが、日本医師会は、全国医学部長病院長会議ともう随分前から協議をして、CBT・OSCEが終わった後の診療参加型の臨床実習と卒後2年の臨床研修、この4年間をしっかりやることによって、あまねく医師は総合的な診療能力を身につけてほしいということを強く打ち出しております。厚労省も、そのことについては同意をしていただいていると理解をしています。
 専門に関する件で一番問題になるのは、例えば自分は内科医で循環器の医師だから、消化器は一切見ないというような対応をする場面が全国のいろいろなところで起こると、それは患者さんに対して非常に迷惑をかけることになるわけであります。自分の専門の領域を持っていたとしても、基本的に患者さんの訴えをしっかり受けとめて、交通整理をするということは全ての医師ができなければならないだろうと感じます。
 その点について、日本医師会はかかりつけ医機能の研修というのをしっかりやって、地域包括ケアのシステムに対応できる医師を毎年しっかりふやしてきております。これから医師になる方が、今、年間9,000人ぐらいいるわけですけれども、その中で、総合診療を担う医師をすべて新たに養成するということでは、とても必要な数を確保することは無理でありまして、既に医師として働いている人の中でしっかり役割を担う、いわゆるかかりつけ医機能研修をしっかり身につけた人をふやしていくというほうが現実的だろうと考えます。
 総合診療専門の領域を今後、日本専門医機構でどのように整理するかというところは今、検討中ですけれども、総合診療専門医というものに対して抱いておられるイメージが人によってかなりいろいろ違うので、そこを整理して、日本専門医機構が養成する基本領域の総合診療専門というのはどういうものなのかというところをもう少し明確にしていただくようにお願いをしているところです。
 以上は、特に御回答は結構ですが、現状について日本医師会の見解を申し述べました。
 次に質問ですが、2ページの一覧表の中で、診療科偏在対策というところに○がついている項目があります。医師確保計画については、都道府県が今、策定に着手をしていただいているわけですが、どの診療科の医師が何人必要だということと、これはお願いレベルですけれども、できれば具体的な病院名と診療科と必要な医師の数が明確に都道府県のほうで公開できる形になると、さらに改善につながるだろうなと感じているわけです。少なくとも、診療科と必要な医師を医師確保計画の中で提示されるということが国のほうから示されているわけです。質問内容は、その医師確保計画の中で、県が策定した診療科の医師をどのように確保するかということになると、新たにきょうの一番のテーマである医師養成課程を通じた偏在対策ということがぜひ必要になってくるわけでありまして、その養成課程からどのように必要な診療科の医師を確保するかということについてのイメージが、まだ国から余りはっきり示されていないように思います。
 具体的には、例えば地域枠の中で不足している診療科を選択してくれる医師を、特に奨学金等で優遇しようという動きは各県にあるわけですけれども、それだけで十分なのかどうか。そのあたり、養成課程から、この県ではこの診療科が特に足りないよねということは共通認識として持ってもらって、そこでずっと働いていく人たちが、積極的にその診療科を選択するということをしないと、なかなか解決しないだろうと思うのですけれども、事務局としてはそのあたりについて、都道府県に何かお示しになる具体的な方策等がありましたら教えてください。
 以上です。
○永井部会長 事務局、お願いします。
○医事課長 医師確保計画の関係で申しますと、今、具体的に取り組みをお願いしているのは産科と小児科になると思います。
 御指摘のとおり、まずは地域枠の使い方で、地域の限定と診療科の限定ということでありまして、まず一つ具体策としては、診療科を限定した学生募集という形が現状ございます。
 具体的に言うと、それではありますけれども、一つ今、あわせて議論をしていただいているものの中では、専門医機構が提示をしている専攻医の採用の上限というあたりのことも関係してくるかと思いますので、これをまた具体的にどのような形で都道府県の計画の中で書くかということについては、また個別に各都道府県の御相談もお受けしながら、その地域に合った計画を立てていただけるように助言してまいりたいと思っております。
○永井部会長 今村委員。
○今村委員 2点ございますけれども、まず、専門医制度の中での細分化した専門医についての問題点を御指摘いただいたと思います。
 今、厚労省の専門医の在り方に関する検討会で決まったことを前提にものごとが進んでおります。私の立場で言うのが適切かどうかという思いもありますが、これまでの専門医という名称と新専門医制度での専門医の定義との間に問題があるなという印象です。過去の専門医と言う言葉は、まさしく本当に専門化した従来の専門医という意味合いでしたけれども、今回の専門医制度での定義は、標準的な医療がその領域で行える医師であるということを検討会報告書で書かれています。したがって、本当に消化器しか見ませんよ、循環器しか見ませんよということではなくて、内科ならば内科領域においては、ほとんど全ての内科領域を見ることができる医師を専門医と言っているという現在の定義との齟齬があります。
 御指摘いただいたような意味での専門医については、サブスペシャリティーという分野の領域になって、例えば内科だったら、呼吸器内科を基本領域の上の専門医としてさらに2段階目に認める。ただし、機構のほうの指針でも、その医師であっても、基本領域の科は全て見ることができるということを前提にしているということになります。
 サブスペシャリティーの議論は、医道審議会の医師分科会医師専門研修部会で今、さまざまに議論されているところですけれども、従来のような細分化された専門医の養成は極めて慎重にということが大前提だということで御理解いただければと思います。
 それから、厚労省に御質問なのですが、医師の偏在対策は非常に大変なことで、これだけいろいろ議論が起こるわけですけれども、現在、医療の中で、医師だけで完結する医療は多分ないわけです。地域包括ケアの中で、本当に多職種の医療関係者が連携をしながら医療を行っていくという状況の中で、医師の偏在は一定程度、第一歩が始まったと。しかしながら、地方の声を聞いていると、看護職員不足だ、あるいは薬剤師が偏在しているというさまざまな医療関係種の偏在があるわけで、この偏在対策というのを今後検討されていくような方向があるのかどうか。
 それから、医療従事者の需給に関しては、医師、看護職員、理学療法士と限られた職種について、今検討しているわけですけれども、例えば人口当たりの薬剤師はOECD加盟国の中で一番数が多い。なおかつ、薬学部の定員自体は1万3000人になろうという状況の中で、国家試験の合格率が非常に低いという問題について財政審の中でも資料が出ているという状況です。この薬剤師の需給等についても、これは薬剤師に限らず、ほかの医療職の需給についてもですが、検討されていくような方向性があるのかどうか。そこを教えていただければと思います。
○医事課長 医事課長でございます。
 具体的な偏在の検討というのは、医師が中心で進んでいるというのは御指摘のとおりでございまして、ほかの職種につきまして十分できているかというのはまだこれからでありますが、理学療法士、作業療法士に関しては、今、需給の検討を進めている中で、地域によって人数のばらつきがあるという御指摘もいただいているところでございます。
 全ての職種、全体的にということが、どこまでできるかというのがありますが、また次の議題でも少し御説明しますけれども、医師の働き方改革に対応したタスク・シフトということの中で、医療関係職種にどのような働き方をしていただくかということの議論をあわせまして、そういう観点でもどういった職種がどういう形で必要になってくるかということにもつながってまいると思いますので、そういう意味では、今後、いろいろな情報などをまずはきちんと事務局のほうで整理してまいりたいと思います。
○永井部会長 小熊委員。
○小熊委員 一言だけお願いがあります。医師の偏在指標とシーリングの問題です。
 医師の偏在指標を診療科別、地域別に厚労省がつくられたと。それに基づいて需給対策を考えようと。これは私どもは非常に賛成しているところでございますが、現場の声をちょっと聞きますと、どうも現場の感覚と合わないところがある。
 例えば、偏在指標にしましても、私どものところは少数区域だと思ったのに、普通の区域に入れられてしまった。あるいは、あるひどいところでは、少数区域だと思っていたのに多数区域になってしまったとかいった例もあります。
 それから、偏在指標や医師の必要数に基づいて専門医のシーリングをやるということになったときに、あるところでは、うちは足りないはずなのにシーリングがかかってしまったとか、そういう現場感覚と合わない例もあるということで、その差は一体何なのかということとか、現場の声を、どうしてそういうことになってしまったのかということを詰めていただくと、次につながっていくのではないかということを私どもは思っているところでございまして、その点をぜひ御検討いただければと思っているのです。
○永井部会長 事務局、お願いします。
○医事課長 医事課長でございます。
 御指摘の中で、特に専門医のシーリングの問題でございますが、これは実は医師の偏在指標とは直接関係がございませんで、現在の各診療科を担っている診療のボリュームを将来の人口に直して推計し直したというものでございますので、必ずしも偏在指標と関係はございませんということをまず御説明したいと思います。
 あと、御指摘のとおり、いずれにしましても、今回、我々は一定のデータということでお示ししているところでございますので、各都道府県でこれから計画づくりもしくは地対協で議論していくに当たって、いろいろな御疑問、御質問が出てまいると思います。それらに対しては我々としては一つ一つ、きちんと回答、必要なデータの提供もしながら、地域でしっかり議論していただけるように支援してまいりたいと思っております。
○永井部会長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○地域医療計画課長 地域医療計画課長でございます。
 医師偏在指標の関係でございます。医師偏在指標につきましては、これまでの人口10万単位という指標ではなくて、需要側といたしましては、各地域の中の人口構成といったものも加味しつつ、供給側といたしまして、医師の年齢、業務量等も加味しながら、どういった物差しでやったらいいのかということで現在、機械的につくらせていただいたものでございます。
 これにつきましては、機械的につくった物差しを、多いところから少ないところに順番に並べたという中で、下位3分の1が少ない医師少数区域となっているところでございますが、必ずしも少数区域でないところであっても、需給のバランスがとれているかということについては別問題となっておりまして、ただ、少数のところを底上げしていかないと、どんどん格差が広がってしまうだろうという、いわゆる偏在をどうしていきますかという観点でつくらせていただいた指標であるということを御理解いただければと思います。
○永井部会長 ありがとうございます。
 まだ御意見がおありかと思いますが、後ほどお寄せいただくことにしまして。何かまだ。
○医政局長 医政局長です。
 このセッションを終わるに当たって、きょう幾つか意見を賜りましたことを一つ一つ受けとめさせていただき、今後の検討につなげるもの、そして、我々自身がもっと丁寧にいろいろなところで御説明をする、発信をしなければいけないこと、府分けをして対応させていただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、全体を通じての医師養成課程を通じた偏在対策というのが非常に重要な問題であり、喫緊の問題である。そのために、昨年の法改正も行い、その施行もし、実務に当たっていろいろな方々の御意見を伺いながら今、進めさせていただいているということの中で、現場の意見あるいは先ほど皮膚感覚、温度感というお話もいただきましたが、我々自身もそこを丁寧にコミュニケーションをとらせていただき、我々の中に取り込めること。また、我々がきちんと発信しなければいけないことを進めさせていただきたいと思いますので、引き続き、当部会におきましても、さまざまなお立場から御意見をいただければと思います。
○永井部会長 そういうことで、引き続き、検討をよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、次の議題に参ります。医師の働き方改革の推進としまして、医師の働き方改革の推進に関する検討会、タスク・シフティングに関するヒアリングの開催、医療を取り巻く状況の変化等を踏まえた医師法の応召義務の解釈に関する研究等について、事務局から説明をお願いいたします。
○医事課長 医事課長でございます。
 まず、資料2-1をお願いいたします。医師の働き方改革の推進に関する検討会でございまして、これは医師の働き方に関して、2024年4月から時間外の上限規制が適用されるということで、それに関連して、医師の働き方改革の推進に関する検討会を開催して、3月に報告書をまとめたところでございます。
 その中で、医事法制、医療政策における対応の検討が残っておりましたので、その具体的な中身を詰めていくためにこの検討会を開催しているということでございます。
 検討事項のところにありますとおり、地域医療確保暫定定例水準及び集中的技能向上水準の対象医療機関の特定にかかる枠組みであるとか、追加的健康確保措置の義務化及び履行確保にかかる枠組み等々が対象になっているところでございます。
 メンバーは、次のページの別紙にあるとおりでございます。
 この検討会の中で検討していくものにつきまして、いろいろあるということでございますけれども、参考資料が4枚目以降についております。まず、医師の働き方改革の今後の進め方をごらんいただけますでしょうか。これは今後のスケジュールを概括したものでございますが、本年3月28日の検討会報告書をまとめた後、医事法制に関する対応ということで、先ほどから御説明を始めております検討会がスタートしているところでございます。
 これは、年内に検討いたしまして、その検討会の報告に関しまして、催促で来年の通常国会に法安を提出するということで検討を進めたいという予定でございます。
 これと関連するものとしまして、その次のページに行っていただきますと、参考資料の2ページ目でございますが、2024年に向けまして、時間外規制の体系をまとめたものでございますけれども、A水準とB水準、C-1、C-2がありまして、A水準というのは960時間ということで、これが原則でございますが、地域医療確保のために1,860時間、それから初期研修専門研修や特別な技能を習得するという方につきまして、C-1、C-2という形で1,860時間が決まっておりますけれども、この数字に関しましては1ページお戻りいただきまして、時間外労働の上限規制というのは労基法の省令でありますので、この省令改正に関しましては、労働政策審議会のほうで議論が行われる予定なのですが、医事法制、先ほど来、新たな検討会で検討するという内容、それを受けました法律的な対応がなされた後に、労働政策審議会で議論されるということでございますので、当面、医事法制における議論が先行するという関係性でございます。
 また資料をお戻りいただきまして、検討を要する論点(案)というところ、3枚目になると思いますけれども、まず、1点目としましては、医師の労働時間の上限規制に関して、医事法制・医療政策における措置を検討するということで、先ほど申し上げた1,860というのが上限になりますBとCの対象医療機関をどのように特定していくかということ。そういうことに関しまして、最後まとめていくという作業が一つあります。
 それから、この上限1,860というBとCに関しては、追加的な健康確保措置ということで、28時間、連続勤務9時間、インターバルというものにつきまして義務がかかりますので、それに関する義務と、その履行をどうやって確保していくかということにつきまして、これも報告書に書いている内容について細部を詰めていくということをやってまいりますということです。
 それから、4枚目ですけれども、(3)医師労働時間短縮計画、評価機能にかかる枠組みということで、各医療機関で医師労働時間短縮計画をつくっていただくことになっておりますので、これに関して、策定の義務の対象であったりとか、進捗管理などにつきまして検討していく。
 それから、評価機能ということで、そういったものについて第三者的な評価の担い手をどう考えるかということであります。
 もう一つ大きなものとしましては、医師の時間外労働の実態把握でありまして、前回、10万人調査を行ったわけでございますが、今回、本年9月に新たな調査を実施するということで、検討を進めているところでございまして、そういったデータを加味しながら議論を進めていくという状況でございます。
 また、具体的な検討状況につきましては、この両部会にも適宜御報告し、そして御意見をまたこの検討会に反映しながら、成案づくりに向けて進めてまいりたいと思っているところでございます。
 もう一点でございます。資料2-2をお願いいたします。タスク・シフティングに関するヒアリングでございます。これは、医師の働き方の中で、労働時間を管理し、短くしていくということも取り組んでいくわけでございますが、その一つの重要な要素として、医師しかできないような業務について専念していくということが重要ということでありまして、その中で、タスク・シフトというものの議論をしていく必要があるわけでございます。現在、各関係する団体から、事務局がお話をお聞きするというのを公開で実施しているところでございます。6月17日に第1回、7月17日、昨日第2回を開催しまして、第3回は来週金曜日に開催するということでございます。
 内容としましては、タスク・シフトの具体的な業務内容、量、質、諸問題、先進事例などをお尋ねしているところでございまして、ヒアリングの御協力をいただいている団体は、その次にページにありますとおりの団体でございます。こういったことも開催しながら、検討を進めているというところでございます。
 もう一つ、最後に資料2-3でございますけれども、応召義務に関するものでございます。医療を取り巻く状況の変化等を踏まえた医師法の応召義務の解釈に関する研究というものがまとまっておりまして、それの御報告でございます。
 主任研究者は岩田先生にお願いしておりまして、研究協力者にはここに記載の先生に入っていただいているところでございます。現代の状況に合った形でということでの議論を進めていったわけでございます。
 資料の右肩2ページでございますけれども、研究報告書の主な内容ですが、医師法19条、これは非常に古い時代からあるというものでありますけれども、医師法に基づいて、医師が国に対して負担する公法上の義務であるけれども、刑事罰は規定されておらず、行政処分の実例も確認されていないということなどが確認されております。
 検討の方向としましては、具体的にどういう場合に応召義務というものが問題になってくるかということについて、過去の裁判例なども見ながら検討を進めてきているところでありまして、ポイントとしましては、地域の医療提供体制を確保しながら対応するということであるとか、過重な労働を強いることのないようなケースを示すことが必要ということで議論を進めてまいりました。
 さらなる議論の結果が右下のページ数で3のところですけれども、主な内容といたしまして、現代における診療しないことの正当化ということで、過去にもさまざまな通知や裁判例があったわけでございますけれども、一番大事なのは四角囲いの青のところでございます。最も重要な考慮要素は、患者について緊急対応が必要であるか否かであるということ。それから、緊急の対応が必要である場合であっても、医療機関の専門性、その対応の状況などを考慮しながら、事実上不可能である場合など、著しく限定される。患者に緊急の対応が必要となる場合というのは、比較的緩やかに判断するということなどがまとめられております。
 このようなことの結果としまして、具体的な例を過去の例からまとめたものが4ページ以降でございまして、緊急対応が必要なケースでも診療時間内と診療時間外に分けまして、どういう場合が診療しないことが正当化されるかということについて、この場合分けをしておりますし、同じような事例が5ページにも書かれております。こういったものにつきまして、今後、具体的に公表というか周知をしてまいりまして、応召義務の理解をきちんとしていただけるようにということを考えております。
 具体的な対応は8ページでございますけれども、この解釈通知を発出して、全国に示していくということもこの報告書に書かれているところでございます。
 9ページ以降は報告書そのものでございますので、御参考にしていただければと思います。
 御説明は以上でございます。
○松井部会長 ありがとうございます。
 それでは、御質問、御意見をお願いいたします。
 野村委員。
○野村委員 野村と申します。
 医師の働き方や時間外の上限規制などのことで、今回、御説明いただき、私も一国民というか患者として、すごく大切なことだと思いました。
 その中でも一定の基準や医師の質も保ちつつ、私たちも安心して診察していただける医師にしていただきたいということも望んでしまうのが事実かと思います。
 それと並行して、2024年の上限規制に向けて、私たち一国民もきちんとやるべきことというか、上手に、適切に医療を受けるということを考えていかなければいけないと思いました。
 私たちの団体も乳幼児を育てている保護者が対象なので、その方々が今後高齢者になっていく中で、今、学んでいくことが必要ではないかということをすごく思いました。
 今年度、上手な医療のかかり方を広げる懇談会もあって、それが今後動いていく中で、どこか資料の中の一文にもありましたけれども、それをぜひしっかり定着していくというか、投げかけるだけではなくて、きちんと行動できる、実行できるレベルまでしていくということをぜひお願いしたく、今回発言させていただきました。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、そちらの遠藤先生からどうぞ。
○遠藤秀樹委員 ありがとうございます。
 1点、応召義務の義務に関して質問したいのですけれども、応召義務に関しましては、我々歯科医師においても同様の課題があろうかと思いますが、対応として同じような対応をお考えでしょうか。
○医事課長 医事課長でございます。
 これは医科の医療機関、歯科の医療機関問わず、同様の医療機関での対応ということが参考になるような形で通知等を出させていただく予定でございますので、それをまず見ていただきまして、御不明な点があればまたお問い合わせいただければということでございます。
○永井部会長 よろしいですか。
 それでは、遠藤委員。
○遠藤直幸委員 私のほうからは、医師の働き方改革の推進についての中で、中山間地域や離島など、医療機関自体が限られている中で、医師の派遣を受けながら地域医療を維持しており、医師がひとりで診療所を運営しているところがございます。その医師が休むと休診になるという事例もある。
 医師の働き方改革をはじめ、地域医療構想の実現、医師偏在対策を進めるに当たっては、地域医療提供体制に影響が生じないようお願いしたい。また、地域医療構想の実現に向けた取り組みにおいて、各医療機関の診療実績から他の医療機関による代替可能性がある、または再編・統合の必要性について特に議論する必要があるとされた公立病院、医療機関を公表する際には、地域医療提供体制に混乱が生じないよう、十分留意していただきたい。
 
○永井部会長 よろしいでしょうか。
 山口委員、どうぞ。
○山口委員 応召義務のことについてお聞きしたいと思います。
 私たちは約30年電話相談を受けてまいりまして、時折、応召義務があるのに何で診てくれないのだというような相談が結構届きます。
 きょういただいた資料の応召義務のところ、6ページを見ますと、先ほど公法上の義務という御説明があったのですけれども、この図を見ますと、勤務医というところに、医師法上の応召義務とあって、これは国とつながっているところに書いてあります。
 この応召義務ということを私たちが正しく理解するとすれば、医師は誰に対してこの義務を負っているのかというところを明確に教えていただけますでしょうか。
○永井部会長 いかがでしょうか。
 岩田委員にお願いしたいと思います。
○岩田委員 十分理解しているかどうかわからないですが、基本的には、ここに書いてあるように公法上の義務ということなので、患者さんに個人的に責任を負っているということではなくて、国との関係で責任を負っているという説明以上に、もう少し説明をしたほうがよろしいということですか。そのぐらいで大丈夫ですか。
○山口委員 私は、応召義務というのは医師の矜持かと思っていまして、医師として働く以上はそのような意識を持った人だということで、義務が定められているのかと思っていましたら、今回こういう図が提示されました。医師免許を取得したということは、国に対してそういう義務を果たすのだということを誓うというか、義務を持つという解釈でよろしいということでしょうか。
○岩田委員 ちょっとうまく御説明になるかどうかわからないのですけれども、諸外国などの状況を見ると、確かに今、言われたように、倫理上の義務として応召義務みたいなものを捉えているところが結構あるのです。日本の中でもそのような捉え方をすべきだという議論も伝統的に相当あるのですけれども、医師が専門家としてそういう義務を担うべきかどうかというのは、むしろお医者さんのほうなり、医療専門家の中で各自考えていただくほうがいいのだろうと。
 法律上の義務としては、何か罰則のようなものがあるわけではないけれども、医師になる以上は、先ほど言われたように専門家として免許が与えられている以上は協力をするような、広い意味での義務があるということだろうと思います。
 ちゃんとお答えになっているかどうかわかりませんが。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
 ほかにいかがでしょうか。
 局長さん、どうぞ。
○医政局長 事務局の医政局長です。
 研究班の主任をしていただいた岩田先生のお言葉につけ加えるのもなんですが、私どもとしてはまさに今回、応召義務という言葉をまず法的に、法律論としてどう整理できるか。これも実はいろいろな御議論が学会の中でもあるように伺っておりますものを、丁寧に実例を踏まえて、岩田先生のところで整理をいただいたものとして私どもは受けとめさせていただいています。
 実はこの議論をしておりますと、いろいろな反応がありまして、患者さんの立場からすると、お医者さんが自由に、言葉は悪いですけれども離れてしまって、逃げてしまっていいのかという立場からの御疑問もあれば、お医者さんの側からすれば、逆に言うと、我々はこの応召義務を心の支えに頑張ってきたのに、それはないのかというお伺いがありまして、それは先ほど山口委員の御質問の中にありましたように、法的な議論と職業倫理としての話、あるいは医師患者関係における信頼の中においてどのような行為をとっていただくか。実はいろいろなフェーズがある中で、この言葉が位置づけられたり、扱われているのが実態だと思っております。
 そういう意味では、今回のこの研究班からいただきました報告書につきましては、まずは法的に整理をしていただいたということでございますが、これをきちんとお伝えすると同時に、今、申し上げた医師患者関係における思いですとか、ドクターの皆さん、もっと言えば医療関係者かもしれませんが、職業倫理であったり矜持であったりという部分は余り混乱のないように、正しくメッセージが伝わるように、行政として受け取らせていただいたものを、発信する際には留意をしてまいりたいし、工夫もしてまいりたいと思います。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
 島崎委員、どうぞ。
○島崎委員 応召義務ですけれども、私も岩田先生の報告書を読ませていただきました。
 資料の2枚目、研究報告書の主な内容のところで、「整理の際には、医療の現場において、応召義務は一定の行為規範として現実に機能していること、組織として医療機関が診療拒否した場合に民事上の責任が生じることに留意が必要」ということが書かれています。確かに昔の個人で開業していた場合と医療機関という組織がやっている場合、応召義務の規定ができたときと本日の状況とは違うことを踏まえての見解だと思うのですけれども、この「組織として医療機関が診療を拒否した場合に民事上の責任が生じる」という部分なのですけれども、ここはなぜそういうことになるのか。つまり、応召義務の規定から医療機関が診療拒否をした場合に民事上の責任が生じるという解釈が導き出されるのか、それとも、応召義務とは無関係にというか、直接は関係なくて、診療を拒否したときには何らかの民事上の責任が生じるという、それが不法行為責任なのか、契約締結拒否のようなことで責任が生じるのか、その理由付けがどういうことになっているのか、がわかりにくい点だと思いました。
○永井部会長 岩田委員、お願いします。
○岩田委員 済みません。うまく答えられないかもしれません。
 今、島崎先生におっしゃっていただいたように、そもそも応召義務という言葉を使うべきかという議論も、実はこの検討班ではしたのです。
 民法の先生などに言わせると今、島崎先生が言われたように、法学の中でいわゆる不法行為と言われる、お医者さんとか医療機関の責任を問う部分の分野の法律が民法の中にあるのですけれども、それで、要するに過失かどうかとかいうことの中身の一つとして応召義務ということも考慮するように考えるほうがよくて、応召義務を前面に出すのは余りよくないのではないかという議論が結構強力になされました。
 ただ、きっと裁判所がそういうものを使ったのは、何か詩文の結論を強く印象づけるために、そういう言葉が割と簡単に使えるものですから、使ってきた経緯があったのではないか。
 実際に応召義務という言葉を前面に出して、裁判例で医療機関の責任を大きく認めたのは多分本当に少数の例なので、そういう意味では広がりは相当少ないので、裁判所のほうも、応召義務だから自動的に医療機関であったり、医師の責任を認めたことはほとんどないと思いますけれども、そういう形で割と粗い議論をすることは多分ほとんどなくて、現実の医療の場面で置かれた地域の状況とか、お医者さんの状況とか、先ほどあったように緊急かどうかとか、診療時間以内かどうかというような、さまざまな考慮をした上で、最終的に総合的に過失があったとかないとかという判断をしているので、そちらの本論のほうを注目すべきなのではないかというのが、この報告書の中心的なテーマです。
 ただ、先ほど事務局の方が言われたように、実際には応召義務という言葉でお医者さんなり医療専門家の方たちが、それが一種の医療の倫理の一つにもなっているので、あえてここでその言葉を全て消してしまうことがいいことなのかどうかということは議論がありまして、一応ここには言葉を残してあるということでございます。
○永井部会長 ほかに御発言はございませんでしょうか。
 久喜委員、どうぞ。
○久喜委員 応召義務をこういう形で議論していただくのは非常にありがたいと思います。地域でいろいろ医療を支えていただいている医師が、こういうきちんとした形が示されることによって安心して医療が展開できるのではないかということで、この資料を事前にいただいて、読ませていただいても、かなりありがたいなという印象を持ちました。
 あと、時間外の規制のことなのですが、これは市長会のほうでも話題になったのが、地域医療のことで、2024年4月からということになって、地域医療がこれによってかなり負担がかかって、ただでさえ医者がいない。先ほどの専門医の話ではないですけれども、そのような状況になっている。そういう状況ですと、地域としても大変厳しい状況になるのではないかということは、先ほど御質問があったとおりでございます。
 ですから、臨床研修医制度をしっかり構築しておいて、その上で実施していくか、そのようなことをきちんと踏まえた形でやっていただきたいというのが意見として出ていました。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
 島崎委員、どうぞ。
○島崎委員 ずっと同じことを言い続けているのですけれども、働き方改革のインパクトというのは非常に大きい。なぜかというと、日本の場合、あえて勤務医と申し上げますが、勤務医の過重労働によって、いろいろな医療ニーズを吸収してきたわけですけれども、それができなくなると、今まで、比喩的に言えば巨大なスポンジで医療ニーズという大量の水を吸収したのが、大量の水が一挙に医療市場に吐き出されてしまうわけです。それをどこが受けとめるかという話になったときに、先ほどどなたかから御発言があったように、患者サイドのほうも一定程度それを受けとめなければいけないにしても、全部受けとめ切れるかというと、そこは受けとめ切ることができない。なおかつ、お医者さんをもっと大量に雇用して、養成していけばいいかということでもない。
 そうなると、医療資源を再配置していかなければいけないという問題が生じます。これは「言うは易く、行うは難し」の典型みたいな話であり、関係者はそのことは覚悟していかないといけない。答弁は求めませんけれども、医師の働き方改革により医療政策は今までとは全くディメンションが違う場面に入ってるということは申し上げておきたいと思います。
 もう一つですけれども、タイムスケジュールの関係で、早ければ次期通常国会に法案をという話なのですけれども、タスク・シフトの関係はどういうタイムスケジュールを考えておられるのでしょうか。
 私は医療関係のメディア情報以上のものは見ていないのですけれども、かなり思い切った要望も出されていると聞きますけれども、それをこの後どのように検討・消化していくのか、今後どのように進めていこうとされているのか、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
○医事課長 医事課長でございます。
 タスク・シフトに関しましては、きょう御紹介いたしましたとおりヒアリングを開催しているところでありまして、我々のほうもいろいろなことを調べていかなければいけないのですが、まずは関係団体のほうでお持ちの情報や御要望なりを聞いているということであります。まずはヒアリングを行った上で、どういうことが必要になるのか少し考えるということかと思っています。
○島崎委員 結構です。
○永井部会長 山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 この働き方改革の議論ですが、もともと自主申告による労働時間の調査というのがあって、2,000時間以上の過重労働をしているという実態に基づいて働き方改革が行われたわけですが、実際、医師として働いている時間をどのようにきちんと意味づけするというか、学会出張だとか、ほかの本来の診療業務にかかわっていない時間を含めて計算していたというきらいがかなりあるのが実態です。
 したがって、労働の定義をきちんとした上で、再調査をして、実際にどれぐらいの過重労働になっているのかという、きちんとした分析をした上で働き方改革の検討をしなければおかしいと思っています。もともと医療費亡国論で医師の数を制限して、それで医師が現場で少なくなり、今度は地域枠をつくって、初期臨床研修制度をつくって、大学の医局を崩壊させておいて、離島とか地域の民間病院に勤務する先生の数が少なくなって、救急現場での医師不足になった。医師が少ない救急病院で過重労働になってくるのは当たり前なのです。
 過重労働になったら、今度は過重労働というところに目をつぶって、当分の間は過重労働を放置したままで、1,860時間までは認めましょうという形で、話がずるずる変な方向に行ってしまっているような気がしてしようがありません。働き方改革を論じるのならば、医師が余っている状態で過重労働なのだから働き方改革をしろというのならばわかりますが、明らかに医師が少ない状態で働き方改革を進めれば、もっと過重労働になると思うのですが、この辺は誰も言わないし、何でそんなに早急に働き方改革をしなければいけないのかということが、まずわかりません。
 働き方改革をするのならば、当然、その労働力をどうにかしなければいけないというと、今度はタスク・シフティングでやりましょうというわけですけれども、医師の労働はそんなにタスク・シフティングで補完できるはずがないわけです。したがって、どうもこの議論はどんどん医療崩壊を進めるような格好になって、結果としては、国民の医療需給に大きく影響してくるような気がするのですが、このままこういう流れで、この話は進行してしまっていいのですか。
○永井部会長 事務局、いかがでしょうか。
○医事課長 まず、3月末の報告書で1,860時間というのを考えるに当たっては、10万人調査ということで実施したデータを用いて議論をしていただいたものでございます。
 それはそれとしまして、先ほど新しく立ち上げました検討会におきましても、さらに最新のデータが必要だろうということで、実態調査をすることになっておりまして、これも前回実施した調査と同様の規模で実施をし、データを分析して、また、医療機関の働き方について再度確認をするという予定でございます。
 そういう意味では、前回の調査で少し細かく労働時間の中身を見ていくということができなかったことについては、新しい調査で対応できるような形で少し見直しをしておるところではありますので、そういったものを見ながらやっていくということだと思います。
 もう一つ、これは医療現場の皆様方の御協力が必要であると思っておりますのが、今まで医師の労働時間の管理というのは十分されてこなかったと思いますので、まずは現状どのぐらい働いているのかを管理していだたくのと、その中で実際、どういう労働の中身かというのは、各医療機関の中でもそういったことを考えていただくという機会にも使っていただきたいと思います。そういった調査の結果や、医療機関の現場での取り組みを見ながら、この2024年に向けてどう進めていくかということも、またこの部会でも御報告しながら議論していただければと思っております。
○山崎委員 1,860時間というのは、過労死ラインの倍の時間ですね。過労死ラインの倍の時間を当分の間働けというのも変な話ですし、今まで医療がもっていたというのは、救急は特にそうでしょうけれども、医療従事者がサービス残業でずっとやっていたわけですね。そのサービス残業のところにスポットを当てたということで、今回はパンドラの箱を開けてしまったわけです。しかも、大学病院を中心に、無給医局員が2,000人ぐらいいたという実態が暴かれていて、それもほとんどサービス勤務でしていたわけで、無給医局員にきちんとした給料を払うということを文科省と厚労省で考えて、無給医局員の定員分の財源というのを来年度はつくるのですか。
 もう一つはサービス残業についてです。きちんとした給料を払うという話になれば、入院基本料を含めて相当な金額を、来年度の4月の診療報酬改定に載せなければいけないのですけれども、そういう診療報酬の増額分を含めて今回の改定をしようということなのですか。
○永井部会長 いかがでしょうか。
 医政局長から。
○医政局長 事務局であります医政局長です。
 今、山崎委員からおっしゃっていただいたように、まさに幾つか御指摘をいただいた、例えば医局という問題からすれば、医師の派遣調整機能のお話でありますし、へき地ということになれば、まさにそれぞれの地域医療をどう確保していくかというお話になりますし、労働時間、あるいは大学における、今回報道されて、文科省のほうで調査をされた無給医の問題など、日本の医療をめぐるいろいろな問題について、今回あらゆる角度からいろいろな指摘がされているものを、一つ一つ、しかし同時につながった形として立ち向かい、取り組んでいかなければいけないと私どもは基本認識として思っております。
 なので、もちろん先ほど島崎委員からお話がございましたように、その中でも労働時間の問題というのも、マグニチュード、インパクトというのは非常に大きいという御指摘もかねてよりいただいておりますし、私どももそのように受けとめております。
 少し長くなりますが、山崎委員がおっしゃいましたように、労働時間について非常に早急にというお話をいただきましたが、これは御存じの上で申し上げて恐縮でございますけれども、社会全体はこの4月から適用になっている働き方改革について、5年というものを、医師あるいは医療の特殊性というのを踏まえて時間がいただけている。そこに取り組む余地があるということを踏まえた上で、同時に幾つかの課題を並行して取り組みながら、それに向けて取り組む。その上では、偏在というものについて言えば偏在対策を、養成を含めてやらなければいけませんし、へき地の医療をどう確保するかということで見れば、地域医療構想を初めとするこれまでの地域医療計画というものについて、より着実な歩みが必要になります。
 もちろん全体にすれば、診療報酬というお金の問題にも帰着していく部分はあろうかと思いますので、全体としてどうなるかというのはこれからでありますが、中医協の場においても、今回の働き方改革について織り込んだ議論が同時並行的に始まったと承知をしております。
 我々としても、全てこの形で行けば完全に物事が解決するという見通しを持っているわけではなく、働き方改革自身も、先ほど医事課長から申し上げましたように、直近の、足元のデータも把握しながら、その間における医療関係者の方々のお取り組みも入れ込みながら進めるという意味では、走りながら物事を進めているという点においては、御懸念いただいておりますように、あるいは現場からいろいろなお声をいただいておりますように、大丈夫だろうかと。地域医療や、それぞれお医者さん一人一人の健康に影響を与えないことを十分考えながらやるというお話をいただいていると思っておりますので、それを受けとめながら幾つかの項目について、同時並行的に一つ一つのソリューションを見出しながら進めさせていただきたい。
 そういう意味では、いろいろな御意見もいただきたいでしょうし、そのソリューションの間のつなげ方について、ここの輪が弱いのではないか、ここの部分が遅いのではないか、ここはもっとこうしたらいいのではないかという御意見は、きょう初めから御紹介していますように、それぞれの検討組織、研究会、検討会、分科会における議論も集約させていただきながら進めさせていただきたいと思いますし、当部会において、全体を見通した上での御指摘をいただきながら進めさせていただきたい。このように思っておりますので、ダイレクトに山崎委員の御指摘に対して、こうですというお答えにはなっておりませんが、今、言っていただいたような御指摘を踏まえながら、全体を進めさせていただきたい。医療行政としてはそのような、今、非常に大きなポイントのところに立っているという認識でおります。
○永井部会長 手短にお願いします。
○山崎委員 もう一回、済みません。
 今の話なのですけれども、例えば病院で一般職が過労死ラインの倍働いていたら、基準監督署から物すごいお叱りを受けますね。医師だけは過労死ラインの倍働いていてもしようがないという話になるわけですか。
○医政局長 まず、事実関係として、1,860というのも、全ての方がドクターであれば働いていただくということではなく、36協定における許容範囲だということは御理解いただいた上での御発言と受けとめました。
 本来から言えば、私どもとしてこの1,860というのも、きょう御報告した中でそこまでの時間は申し上げませんでしたが、将来的には、もっと具体的に言うと、今の報告書においては、2036年においては一般の労働者と同じように、いわゆるA水準と言っておりますが、960時間を目指すという中での経過措置です。ただ、それにおいても、その間において、お医者さん方についは、一般労働者の方々よりも長い労働時間を許容する仕組みを提案させていただいておりますので、それに見合うだけの追加的な健康確保措置ですとか、お一人お一人に対しての、健康に対してのアラームを鳴らすことによって、最大限の配慮はさせていただこうと思いますが、山崎委員がおっしゃっておられるように、当分一定の医療について、あるいは、医療の現状を地域医療の確保との間の両立ということを考えた際に、一般の労働者の方とは違うルールを今回、報告書に基づいて提案をさせていただき、より具体的な中身について詰めさせていただいております。
 私どもとしても、いろいろな課題はありましょうし、地域医療の心配をしていただいている、あるいは現場のほうからの声も十分踏まえさせていただいて、なるべく早くに、一般労働者と同じような労働時間で日本の医療が、そしてお医者さんが回るようにさせていただくように、最大限の努力をさせていただきたいと思いますし、それまでの間の期間をなるべく短くするには何をしたらいいか、いろいろな御意見をいただいて、取り組んでまいりたいと思っております。
○永井部会長 太田参考人、どうぞ。
○太田参考人 今の質問とも関係するのですけれども、いわゆる働き方改革がこれからかなり急速に進んでいく中で、先ほどあった医学部定員数、医師養成数の話にどうしても絡んでくると思います。医師需給分科会で今まで議論されてきて、令和4年以降の地域枠の設定が議論されてきたのですが、先日いろいろと聞いてみると、例えば働き方改革がほぼ終わっているヨーロッパ諸国、例えばドイツですが、ドイツはもう働き方改革が終わっているのです。女性医師の比率が5割ぐらいになっています。今、日本もことしの医学部入学者数はかなり女性の比率が高まって、大分環境が変わってきていると思いますが、その状態で8000万人の人口のドイツでは、養成している医師数が1万2000人で、またさらにふやすという状況に実際なっているわけであります。
 当然のことながら、さまざまなシミュレーションをして、今後の医師の養成数、医学部定員数の議論が行われてきたのはわかるのですが、ここ最近、かなり大幅に環境が変わってきていると思っております。ですので、先ほどの、前の資料に戻るのですけれども、令和4年以降の医師の定数に関しては、またしっかりと検討いただいて、本当にこの数のままで、医師の働き方改革、さまざまな変革を乗り切れるかどうかというのは、ぜひ慎重に御検討いただけたらと思っております。
 意見です。以上になります。
○永井部会長 ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。
 それでは、木戸委員。
○木戸委員 本日、個別には触れられていませんけれども、参考資料1-1から1-4までに、行政から非常に重要な通知が出ているのを拝見いたしました。
 特に参考資料1-4というのは、7月1日に出されたということで、拝見しますと、女性医師の立場からこういった通知が出されることを高く評価して、とてもありがたいと思っております。
 この通知の文面には、保育が職員だけではなくて、地域住民も利用できる仕組みについて、きちんと行政と連携しながら進めるという非常に重要な考え方が書いてあります。出生数減少が、人口減少ということで非常に加速していますけれども、こうした取り組みが社会全体、自治体の人口減少を食いとめるためにも有用な施策だと思いますので、ぜひこちらは緊急に取り組みを進めていただきたいと思います。
 ただ、保育には多くのコストがかかりますので、なかなか病院は取り組みに腰が重いと思います。何らかのインセンティブをつけていただくとともに、ぜひ今後の整備状況を、引き続き行政としてモニタリングしていただき、好事例を挙げて 、ほかの施設の取り組みにもつなげるように強く働きかけていただくなどを、強く要望したいと思います。
 どの医療機関で、どこでどういう保育が受けられるかというとこを私たちが知りたくても、なかなかそういった情報がありませんので、ぜひそういったリストをつくっていただいて、女性医師が復帰しやすいような環境づくりをより進めていただきたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございました。
 まだ御意見はおありかと思いますが。
 どうぞ。
○猪口委員 1つだけ質問なのですが、ちょうど今、7月1日に出ました基準の通知についての質問なのですけれども、宿直の規定について、医師看護師等と書いてあるのですが、この「等」というのは一体どこまでを指すのかということを教えていただきたいと思います。
○永井部会長 事務局、お願いします。
○医療勤務環境改善推進室長 医療勤務環境改善推進室長の安里でございます。
 労働基準局の労働条件政策課の医療労働企画官も兼ねておりまして、この通知の「等」の範囲について解説させていただきます。
 まず、こちらの宿日直許可基準でございますが、今回、医師の働き方改革での議論を受けまして、通知の中の表現が古いということで現代化を図って、改めて通知したものでございます。
 通知の範囲については、これまで出しておりました通知の範囲と変えているところはございませんで、「等」に入っておりますものとしては基本的には、例えば診療放射技師、臨床工学技士、臨床検査技師、薬剤師、保健師、助産師など、医療関係の業務に携わる方をイメージしております。
 一連の患者対応に携わらなくて、電話対応や会見などのみを行う事務職の方、一般の事業場と同じ働きをされる事務職の方が、必ずしも通知の対象となるものではないと思っておりまして、これまでもこうした事務職員の方には、一般的な宿日直評価の基準がございます。それをもとに許可を得ている例が多いかと思いますが、その取り扱いが今回、何か変わるものではございません。
○猪口委員 そうしますと、医療的な資格のある方と理解すればいいのですか。
 例えば、看護補助という方だったらどうなるのでしょうか。
○医療勤務環境改善推進室長 実際にどのような働き方をされているか。看護補助と一口に言いましても、病院の中での働き方の実態がさまざまだと思いますので、実態を確認させていただきながら、各監督署のほうで対応していただく話になってくるかと思います。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
 ちょっと時間が押しましたので、また後ほど御意見をお寄せいただければと思います。
 それでは、次の議題に参ります。「経済財政運営と改革の基本方針2019」「成長戦略(2019年)」及び「規制改革実施計画」についての説明をお願いいたします。
○総務課長 お手元の資料3をごらんいただきたいと思います。総務課長の佐々木でございます。よろしくお願いします。
 6月21日に閣議決定されました、いわゆる骨太の方針、あるいは成長戦略規制改革実施方針に関連しまして、当局に関連する部分につきまして、簡単に御紹介を申し上げたいと思います。
 資料の2ページをごらんください。骨太の基本方針の中で、主に当局に関連するものといたしまして、災害派遣医療チームに強化された司令塔機能の強化ですとか、死因究明体制の強化、健康寿命延伸プランの推進ということに関連いたしまして、生涯を通じた歯科検診等の記載がございます。
 3ページでございますけれども、医療福祉サービス改革プランということで、IT、ロボットの活用等によりまして、2040年における医療福祉分野の退院サービス提供料について5%向上、医師については7%向上という目標水準が設定されております。
 同ページの中ほどでございますけれども、データヘルス改革の推進ということで、レセプトに基づく薬剤情報や特定検診といった患者の保健医療情報を、患者本人や全国の医療機関等で確認できる仕組みに関して、所定の記載がございますような期間を目途に稼働させるということで、来夏までに工程表をつくるということになっております。
 また、先ほど来から御議論を賜っております医療提供体制の効率化ということに関しまして、地域医療構想の実現に向けた取り組み、医師偏在対策、医療従事者の働き方改革をまさに三位一体で推進し、総合的な医療提供体制を実施するという記載がございます。
 続きまして、それの関連といたまして、医療提供体制の効率化の文脈で、地域医療介護総合確保基金の配分について、大幅なめり張りづけの仕組みや、PDCAサイクルを構築ということで、真に地域医療構想の実現に資するものとする観点から、必要な場合には消費税財源を活用した病床のダウンサイジング支援の追加的方策を講じるということになっております。
 あわせまして、先ほど来から御議論いただきました2つ目のポツでございますけれども、医師偏在指標を活用し、臨床研究や専門研修を含む医師のキャリアパスを含めた実効性のある地域及び診療科の医師偏在対策を推進するということが記載されております。
 あわせまして、文脈は変わりますけれども、5ページ目でございます。イノベーションの推進ということで、医薬品の創薬力の産業構造の転換ということと、薬価の抜本改革に向けた基本方針に基づいて、国民負担の軽減と医療の質の向上に取り組むということ、あるいは、バイオ医薬品の研究開発の推進、バイオシミラーの普及の推進、あるいは後発医薬品の使用比率の拡充ということが記載されています。
 成長戦略につきましては、基本的に、先ほど口頭で御説明した内容のことを、書き方は変わりますけれども記載されているということでございますので、説明は割愛させていただきたいと思います。
 10ページで、関連しまして規制改革実施計画も同時に閣議決定して、内閣の方針として策定されているところでございます。少し医政局の中で検討課題となっていることにつきまして、項目だけ御紹介したいと思います。
 データ利活用のための標準規格の確率ということで、検討期限といたしましては、令和元年度検討、結論、措置ということ。あるいは、データを活用した最適な医療サービス提供のための包括的な環境整備ということにつきまして、今年度中に検討を開始しまして、来年度中に結論を得る。あるいは、地域医療ネットワークにおける患者の情報共有者の同意のあり方ですとか、診療録の本人開示の適切なあり方、あるいは、そのほかの分野でございますけれども、各種国家資格等における旧姓使用の範囲拡大ということで、資格証におけます旧姓使用の拡大ということにつきまして閣議決定されております。
 お手元のほうに、関連する施策につきまして、参考資料2という形で別途関連資料を配付させていただいているところでございます。
 説明は以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、御質問をお願いいたします。
 平川委員、どうぞ。
○平川委員 ありがとうございました。
 今日の議論のいろいろな課題が、かなり集中的に今後の課題として入っているのかと感じました。特に医師の働き方改革は、最大でも1,860時間でありますけれども、当面、さらに圧縮をされていくのだという課題も含めて、労働時間の上限設定の方向というのは不可逆的なもので、絶対後戻りしてはいけない課題だということがあるかと思います。
 その上に立って、働き方改革も含めた地域医療の体制をどう見直していくのかというのも大変大きな課題だと思います。先ほど島崎先生がおっしゃいましたけれども、今まで医師や労働者の献身的な努力で培ってきた地域医療の体制ですけれども、それをどうやって守っていくのかということも大変大きな課題だと思います。
 その意味で、地域医療構想や医師の偏在対策というのは、何とか地域医療体制を維持していくための大変重要なポイントだと思いますし、それが今回の骨太の中で改めて明記されているというのは大変大きな意義があると思います。これはしっかりと体制整備をしていく必要があるのではないかと思います。
 そういった中で、この骨太の方針の中で課題が記載されておりますけれども、これまで私のほうでずっと言ってきたのは、地域医療構想が公的もしくは公立病院の再編や見直しに偏っているがために、全体の地域医療構想が進まないという弊害があるのではないか、ということです。骨太方針2019には初めて民間医療機関もしっかりとこの地域医療構想に参加しなさいということについて明記がされたということは、大きな意義があることと思います。
 ただ、問題は、ここに来てようやくこの問題が顕在化したということで言うと、私としては時間的にはかなり遅いと思っているところでございます。そもそも地域医療構想は、経営形態が何であろうと、患者にとってみれば、もしくは被保険者にとってみれば、経営形態にかかわらず、地域における医療提供体制を真摯に議論していくということが本来の趣旨であったわけであります。それは、社会保障と税の一体改革の議論においても、もしくはガイドラインをつくるときにおいても別に経営形態がどうだこうだという話は全くありませんでした。それがなぜか途中から、公的・公立という経営形態だけを先にやるのだと。民間は必要ならば、やるかやらないかわからないけれどもみたいな話がずっと続いてきたわけでありますけれども、それが、この地域医療構想の議論の進捗をおくらせてきた要因だと私は思っています。
 もっと言えば、地域における公立・公的病院の割合というのは、地域によっては本当に2割とか3割とか、それしか割合がないのに、そこだけに焦点を当てるような議論をしてきたということについては、私はこれまでの議論のあり方に問題があったと思います。
 そういったことから、今回、改めて民間病院についても地域医療構想の中で議論の対象にしていくのだと。民間病院の皆さんもちゃんと参加してほしいという意思がこの中に入っていると思っているところであります。
 その意味で、質問でありますけれども、この骨太方針を受けて、民間の議論も含めた地域医療構想の検討のあり方は、これからどのように展開をしていくのかということをお聞きしたいと思います。また、県の権限が記載されていますが、どういう権限を想定しているのか。また、それに向けてどのような検討を進めていくのかということもお聞きしたいと思います。
 もう一つ、長くなって申しわけありません。医療介護総合確保基金の問題であります。これは、別の検討会で指摘をしておりますけれども、公立だ、公的だ、民間だという使い道というのは、私は意味がないと思っていまして、あくまでも地域医療構想に資する使い方をすべきだと言っておりますけれども、なぜかこれも民間だ、公立だという話になっております。地域医療構想の使い道について、今後、どのようなチェックをしていくのかということをお聞きしたいと思います。
 私はチェックする中で、例えば地域医療構想に余り関係のないものにお金が使われているのではないかと。場合によっては、ICTに資するとか、もしくは民間病院のCTが古くなったから買いかえましょうとか、そのような使い方も私は散見しております。今後の総合確保基金の使い道のあり方について今後、どのような検討を進めていくのかということについても質問させていただきたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 事務局、いかがでしょうか。
 どうぞ。
○地域医療計画課長 地域医療計画課長でございます。
 まず、第1点目の、今後の医療提供体制の効率化に関しまして、骨太の中でも書いておりますけれども、それを具体的にどうやってやっていくかという御質問だと思います。
 公立・公的医療機関等に対しまして、これまでは急性期機能ですとか救急承認、周産期、災害、精神など、再三、特殊部門にかかわる医療提供を求めてきたという経緯がございまして、こうした分野への重点化をまずは図っていく観点から、民間に先んじて、具体的対応方針について議論を進めてきたというのがこれまでの経緯でございます。
 しかしながら、公立病院、公的医療機関ともに急性期からの転換がなかなか進んでいないということも、今回の調査でわかりましたので、そういったものを含めまして、具体的対応方針の検証を行う必要があるというふうに考えているところでございます。
 それにおいて、細かいデータの分析等を行いながら、地域の医療提供体制の検討を行っていただくことになりますけれども、それに当たりましては、民間医療機関の参画も重要だと考えておりまして、地域医療構想調整会議におけます議論も踏まえつつ、改めて、対応方針策定を求めるということで、調整会議の議論が進むように、我々としても努力していきたいと考えているところでございます。
 それから、都道府県知事の権限のあり方ということでございますが、先般の法改正のときに都道府県知事の権限を新たに追加して、いわゆる病床の規制に関して知事の権限の追加をしたところでございます。それ以上、今回、地域医療構想を進めるに当たって、どのような権限の付与が適切なのかどうかにつきましては、今のところ、まだ具体的なものはないところでございますが、こういった地域医療構想の進捗を我々としても進めていく中で、どういった権限があるべきなのか、もしくは、あったほうが進むのかということについて、逐次検討しながら、早急な措置を講じるということで考えていきたいと思っているところでございます。
 地域医療総合確保基金の配分の関係でございますが、昨年もそうだったのですけれども、やはりこういった基金につきましては、地域医療に資するという観点から、めり張りをつけるということで、各都道府県の進捗に合わせた一定程度のめり張りを昨年度からつけさせていただいておりまして、今年度につきましても、そのような同様な方針で行くこととしておるところでございます。
 ただ、中身の細かい事業につきまして、先ほど御指摘いただいたような本当に地域医療に資さない、もしくは地域医療構想に資さないようなものがないのかどうなのかということにつきましては、事務局の中でも逐一点検をさせていただくとともに、そういったところになるべく配分する、もしくは進んでいるところの都道府県になるべく配分するような方針で、我々も今後、きちんとした基金の使い方を行っていきたいと考えているところでございます。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
 平川委員、その後、山崎委員。
○平川委員 これから頑張るということですけれども、もう少し具体的な地域医療構想の議論が進むようなインセンティブというか、そういうものをしっかりと検討していくべきだと思います。
 特に、都道府県は国保の財政的な新たな保険者になったという機能を持っておりますし、いろいろなことも活用しつつ、このインセンティブをしっかりと進めていかないと、先ほど言った地域医療、もしくは医師の偏在がさらに進んでいくのではないかという危機感を大変強く持っておりますので、ぜひともよろしくお願いいたしたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 山崎委員、それから今村委員、手短にお願いします。
○山崎委員 医療提供体制というのは、本来、公民の住み分けをきちんと整理することだと思います。したがって、公は民ができないことをすべきであって、当然、公というのは、政策医療に特化した医療提供をすべきだと考えています。
 したがって、政策医療をする事で、すごい赤字補填というか、財源補填をして、公的医療が成り立っているわけで、民業を圧迫するような政策医療は本当はあってはいけない話です。
 したがって、民ができることを公がしているとしたらば、公の役割は地域医療構想の中できちんと整理をしていくべきだと考えています。
 今回、公的病院を整理して、一番の問題点が、病院を閉鎖して合併したときに、閉鎖した病院の従業員をどこに持っていくかということで、各自治体がすごく苦労しているのが実態です。組合の圧力で、病院は閉鎖したのだけれども、閉鎖した病院の従業員をどこに配配置転換するのかで大変な混乱が起きています。
○永井部会長 今村委員、最後に田中委員。
○今村委員 資料4ページの1行目なのですけれども、地域医療介護総合確保基金の配分で、基金創設前から存在している事業も含んで大幅なメリハリをつけるとの記載がございます。ある程度、事業にメリハリをつけるというのは理解できることだと思いますけれども、もともと基金の制度ができる前からあった大変重要な事業を基金に振りかえているという事情がございます。例えば、先ほど申し上げたような看護職員の養成もこの基金に振りかわっているということです。今、看護職員不足がある中で、そういうものも含めて、メリハリという名のもとで削減ということが起こらないように、ぜひ厚労省にはしていただきたいと思っています。
 基金のあり方については、本当に地域医療を担っていく上で非常に重要な基金だと思います。これは消費税増税を国民にお願いして、その財源を使ってやっているわけですから、地域医療の中での重要な問題だと思っていますので、もちろんルールをもって基金を配分するということは、ある意味、当然のことかもしれませんけれども、余りがちがちに、これしか使えないというような基金の使い方は、結果的によくないと思うので、そこはぜひとも厚労省も財務省との協議の中で頑張っていただきたいと思います。
 もう一点、最後に長くなって恐縮ですけれども、医療介護総合確保促進会議という、この基金の配分等がどのようになったかという御報告をいただく会議がございますけれども、これは年に1回しか開催されず、ほとんど細かい議論がされないで、ただ報告を聞くという会議になっておりますので、ぜひとも基金の配分等についても、議論できるような形で会議を開催していただくことを、改めてお願いしたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 最後に田中部会長代理。
○田中部会長代理 時間が過ぎているのに済みません。
 骨太の資料の3ページ、一番上の段に生産性を上げると書いてあります。この骨太の話は、みんな抽象的なのですが、ここだけすごく具体的に、単位時間サービス提供料を5%向上させ、医師については7%向上させると書いてあります。これを厚労省、特に医政局がどう受けとめるかの話ですが、介護のほうは要介護者がふえ続けるので、労働者の生産性を上げる必然性はまだ理解できます。しかし2040年に例えば医師が手術量を7%増加させる事態はあり得ないし、外来患者を7%増加させる意味での生産性向上もないと思うのです。
 単位時間サービス提供料を上げる目標は、分析的に言うと余り意味のある指標ではなくて、先ほどの働き方改革やタスク・シフティングを通じて、医師や介護分野の働く人たちの間接労働時間をへらして、直接労働時間をふやす意味の生産性向上ならばわかりますが、提供量をふやす計画は間違った方向に行きかねないので、医政局ではこれをしっかりと政策に入れるときに読みかえていただくと、よいのではないでしょうか。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
 最後に楠岡委員。
○楠岡委員 データの利活用のところなのですけれども、いろいろなデータを集めてビッグデータとしてそれを解析する、分析していろいろな施策に応用するということは当然のことだと思うのですが、今度、個人レベルで1人の患者さんが複数の医療機関に20年、30年、もう電子カルテを使っていますから、そうすると膨大な個人のデータがあるのですけれども、それを実診療にどう生かすか。1人患者さんが来たときに、20年分の電子カルテを全部見るというのは不可能なのです。かといって、その中にあるアレルギー情報を見ようとしたから事故が起こったときに責任を問われるというのもまた難しい話なので、個人レベルでのそういう蓄積したデータをどう利活用するかについての方針をぜひ考えていただかないと、現場ではむしろ見ないという逆方向に働きかねないと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○永井部会長 最後に安部委員、どうぞ。
○安部委員 手短に。
 骨太方針の内容ですので、内容を変えろということではもちろんありませんが、3ページ目の医療福祉サービスの改革プランのところで示された、レセプトに基づく薬剤情報の活用に関し、これはこれで進めていただいてよろしいかと思うのですが、レセプト情報の活用というのは、かなりのタイムラグがある情報を活用します。現場で今、目の前の患者さんがどうなっているかということを見られるものではありませんので、そこをミスリーディングがないよう、レセプトデータを活用しつつも、リアルタイムのデータもしっかり活用するようなリードをしていただきたいと思います。
 よろしくお願いします。
○永井部会長 ありがとうございました。
 ちょっと時間を過ぎましたので、また御意見をお寄せいただければと思います。
 また、事務局では、本日の議論を踏まえた対応をお願いいたします。
 最後に、事務局から何かありますでしょうか。
○総務課長 参考資料3でございます。
 前回の医療部会のほうで、身寄りがない人の入院及び医療にかかる意思決定が困難な人への支援に関するガイドラインの発出について御説明、御報告させていただきましたけれども、6月3日にお手元の参考資料3にございますような形で通知を発出させていただいております。私ども医政局といたしましても、こういった方々の医療の確保ということで、関係自治体のほうにさまざまな機会を捉えて周知を図っておりますけれども、委員の先生方にもぜひ御協力をいただきまして、身寄りがない方々の医療の確保ということについて、格段の御尽力をいただければ幸いだと思いまして、御紹介をさせていただいた次第でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 ほかに連絡事項をお願いいたします。
○医療政策企画官 次回の日程等につきましては、詳細が決まり次第、改めて御連絡をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 それでは、これで終了いたします。長時間ありがとうございました。

 

 

(了)

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