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2019年4月24日 第66回医療部会

医政局総務課

○日時

平成31年4月24日(水)16:30~18:30
 

 

○場所

全国町村会館 ホール

○議事

○保健医療技術調整官 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第66回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきま す。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして、まことにありがとうございます。
医療部会の総委員数が24名で、定足数は3分の1の8名となっております。本日は、井上委員、尾﨑委員、久喜委員から御欠席との御連絡をいただいております。21名の委員の皆様が御出席ですので、定足数に達していることをまず御報告申し上げます。
次に、新しく委員に就任された方を御紹介申し上げます。
公益社団法人日本医師会副会長の今村聡委員です。
○今村委員 よろしくお願いいたします。
○保健医療技術調整官 次に、事務局ですが、医政局長、山本審議官、医療介護連携政策課長は公務のため、欠席をさせていただきます。
次に、議事に入ります前に、お手元の資料を確認させていただきます。お手元に議事次第、配付資料一覧、座席表、委員名簿のほか、タブレット端末を1台ずつお配りしております。厚生労働省では審議会等のペーパーレス化の取り組みを推進しております。このため本部会におきましても、タブレット端末で会議資料を御確認いただくといった形式をとらせていただきたいと思います。
タブレット端末をお開きいただければと思いますけれども、こちらに会議資料を入れさせていただいておりますが、資料番号を読み上げさせていただきますと、資料1-1から資料1-5まで、資料2-1から2-2まで、資料3-1から3-3まで、参考資料1-1から1-9まで、参考資料2、参考資料3がタブレット上に表示されているかと思いますが、不足等ありましたら事務局までお申しつけいただければと思います。
また、操作方法で御不明な点があれば、事務局にお申しつけいただければと思います。
カメラ等に関しましては、ここまでとさせていただきます。
以降の進行は、永井部会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○永井部会長 それでは、早速議題に移りたいと思います。
最初に、欠席の尾﨑委員の代理としまして、家保参考人の御出席をお認めいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○永井部会長 ありがとうございます。
それでは、議題に入ります。
まず、最近の医療提供体制改革として、地域医療構想の進捗等、医師の働き方改革に関する検討会報告書、医師需給分科会第4次中間とりまとめについて、事務局から説明をお願いいたします。
○総務課長 医政局総務課長でございます。本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございました。また、国会の審議等がございまして、局長等欠席しておりますことをおわび申し上げます。
まず、最近の医療提供体制改革についてということで、総括的な資料を資料1-1として用意しておりますので、この1枚をごらんいただきたいと思います。
「2040年を展望した医療提供体制の改革について(イメージ)」でございます。厚生労働省におきましては、2025年を超えて2040年がもう一つの中長期的な政策課題の目標地点として設定して、経済財政諮問会議ほかで大臣からも発言しているところでございます。
2025年までは、いわゆる高齢者の数がふえてくるということで、医療ニーズも大きく伸びていくという段階でございましたが、2025年以降2040年、正確には2042年が高齢者数のピークと言われておりますが、そこに向けましては、まさに人材不足、労働力人口が減っていく局面に入るというところでございます。そういう中で、政策課題についても新たな取り組みが必要になっているところでございます。
私ども医政局におきましても、2040年の医療提供体制をどのような形にするのか、最適化を図っていくのかにつきまして現在は足元として、また、2025年、これは地域医療構想の目標年でもございますが、ここを一つの節目として当面取り組むべきもの、それから、2040年を展望しての展開をこれから検討し、組み上げていきたいと考えております。
真ん中左にございます「現在」というところです。今の医師偏在対策、医師の働き方改革の柱を政策で立てますが、その状況につきましては、医療資源の分散・偏在、また、医療現場が疲弊しているところについての不安というものが掲げられると思います。
そういうことから下でございますが、まずは地域医療構想の実現等に向けての強力な取り組みを進めていく。そして昨年度末、後ほど御報告いたしますが、医師の働き方改革、この4月から改正労働基準法の適用になっておりますけれども、医師の労働時間規制につきましては5年間の猶予ということでございますが、その間にいかに医師の労働時間について取り扱い、また、医療現場全体の働き方改革を進めていくのかが問われているところでございます。そういうことから申しますと、働き方改革については2024年3月までにやるべきということでございます。
また、一番下の右側、実効性ある医師偏在対策の着実な推進。これは昨年の医師法・医療法の改正に基づきまして、医師偏在対策を計画立てて取り組んでいこうということになっております。後ほど御報告させていただきますが、医師少数区域、多数区域を設定いたしまして、取り組みを強力・計画的に推進していくことにしております。
下2つ、医師・医療従事者の働き方改革、実効性のある医師偏在対策につきましては、中長期的な目標といたしましては2036年を設定させていただいているところでございます。
このような取り組み、大きな3つの柱を整合性を保った形で推進することによって、2040年、人材が限られている中でも適切な医療をどこでも受けられる体制を維持していく、地域医療を守っていきたい、そして、医療従事者の働き方改革によって安全・安心な職場環境も実現していきたいと、このようなことで考えているところでございます。
続きまして、それぞれ個別の課題につきまして、担当課から説明させていただきます。
○地域医療計画課長 地域医療計画課長です。続きまして、資料1-2に基づきまして、地域医療構想の進捗等について、御説明させていただきます。
1ページでございますが、地域医療構想の実現に向けたこれまでの取り組みでございますけれども、1番すぐ下の○にありますが、これまで2017年、2018年の2年間を集中的な検討期間といたしまして、特に公立・公的医療機関において機能分化がされているのかどうか、要る機能が重点化されているのかを踏まえて、再編成を含めた議論を推進するよう要請しているところでございます。
3つ目の○ですけれども、2018年度末までに全ての公立・公的医療機関におけます具体的な対応方針を調整会議の中で合意されるよう取り組みを推進しているところでございます。
右側に円グラフがございますが、平成30年12月末のデータでございますが、今3月末のデータについては集計しているところでございます。
具体的な推進策といたしましては、まず1つ行いましたのは、例えば、手術、重症患者における治療の実績がないような病院については、高度急性期、急性期の選択を不可にするような、いわゆる定量的な基準の導入をする。もしくは、こういった地域医療構想調整会議の議論が活性化するように、アドバイザーを任命したり、または、都道府県単位の地域医療構想調整会議の設置をするということで、活発化を図ってきたところでございます。
2ページですが、こういったことを行ってきたのですけれども、今回、地域医療構想ワーキングの中でも具体的な合意について、それが本当にされているのかどうかを検証し、地域医療構想の実現に向けてさらに必要な協議を促進すべきではないかという御意見をいただいたところでございまして。「2.今後の取り組み」といたしまして、これまで合意形成していただきました具体的対応方針を検証し、さらなる構想の実現に向けて対策を打っていくことを考えているところでございます。
この考え方でございますけれども、これまでデータブック等で一定の情報は各都道府県、地域医療構想調整会議のほうにお示ししましたが、さらに、全医療機関の診療実績そのもののデータを分析いたしまして、それぞれ診療実績ごとに代替可能性があるのか、もしくは診療実績がないのかをきちんと把握いたしまして、さらに、こういった構想、いわゆる統廃合の可能性がないのかも検討していただく。特に、医師の働き方改革の方向性も踏まえまして、統合や再編成といったものを改めて協議して合意を得るように要請する予定でございます。
その分析内容につきましては(1)(2)とございますが、例といたしまして3ページをご覧いただければと思います。例えば、A構想区域の例でございますけれども、一番左上にありますが、手術実績で類似の実績があるようなパターンについて、同じような実績、もしくはD病院のように実績が少ないようなところにつきましては、D病院の少ないところをどうにかする、もしくはA、B、Cについて集中化されているのであれば、ここをある程度統廃合も踏まえて考えるといったものを検討していただくということで、こういったデータを国で解析し、各地域医療構想調整会議に都道府県を通じて提出し、考えていただくということを検討するところでございます。
参考ではございますが、4ページにはほかの治療実績ということでどういうものが挙げられるのか。こういった多方面の分析を行いながら、地域の中で見ていただくということを進めております。今年度におきましては、さらに構想を進め、来年度以降きちんと構想が進むように、国としても積極的な関与をしていきたいと考えているところでございます。
続きまして、資料1-3につきましては、今、御説明したものを文章化したものでございまして、これはまだワーキングで整理の途中でございますけれども、今、御説明したような方向性でペーパーをまとめさせていただいているところでございます。
○医事課長 続きまして、医事課長でございますが、資料1-4をお願いいたします。「医師の働き方改革に関する検討会報告書の概要」でございます。
1ページ目でございますけれども、本年3月28日にとりまとめが行われたものでございまして、大きく2つございますけれども、1つ目が基本的な考え方ということでございまして、医師の働き方改革を進める基本認識としましては、我が国の医療が医師の長時間労働に支えられていること。それから、他職種と比較しても抜きん出た長時間労働の実態があるということでございます。それから、健康への影響や過労死の懸念もありますし、仕事と生活の調和への関心の高まり、女性医師の割合の上昇等を踏まえて改革を進める必要があるという認識でございます。
なぜ医師が長時間労働となっているかにつきましては、個々の医療機関における業務、組織マネジメントの課題だけでなく、医師需給・偏在、医師の養成のあり方、地域医療提供体制、国民の医療のかかり方、さまざまな要素が絡み合っているということでございまして、規制をかけるにしても遵守できる条件整備ということで進めていく必要があるということでございます。
医師の診療業務の特殊性として応召義務が検討課題になっておりましたが、今回の報告書の整理では、労働基準法等の関係法令を遵守することが優先で、応召義務を理由に違法な診療指示等に従うなど、際限のない長時間労働を求められていると解するということは正当ではないということ、また、そういった整理を今後していくということでございます。
「2.働き方改革の議論を契機とした、今後目指していく医療提供の姿」ということで、労働時間管理の適正化をしまして、その際、宿日直許可基準における夜間に従事する業務の例示等を現代化いたしまして、医師の研さんの取り扱いについての考え方を示すということ。それから、医師の労働時間短縮のためのマネジメント、その中には意識改革だけでなくチーム医療の推進ということで、タスクシェアシフトのようなことも入っているところでございます。あわせて偏在対策を進めるのですけれども、上手な医療のかかり方の周知も進めていくということでございます。そうは言いながら、個々の医療機関がどうするのかということもありますので、ノウハウの提供も含めた助言も必要ですし、上手な医療のかかり方を広める懇談会でとりまとめた方策を、国が速やかに実施していくということでございます。
続きまして、2ページでございますけれども、具体的な時間外労働の上限規制の構成でございます。文字でいろいろ書いておりますけれども、図でお話ししたほうがわかりやすいと思いますので、4ページをお願いいたします。「医師の時間外労働規制について(1)」でございますけれども、2024年4月から3つの労働時間の規制を考えていくということで、A病院は標準でございますけれども、年960時間。それ以外に、Bは地域医療確保暫定特例水準、年間1,860時間を上限としてやっていきます。それから、C-1、C-2と書いてありますが、初期研修や非常に高度な技術を学ぶ若手を中心とした医師の働く時間ということで1,860時間を上限としていくということでございますが、この場合には本人の発意ということで、計画を作成して審査するという仕組みを導入していくということでございます。長時間の1,860時間という医師に関しましては、連続勤務時間制限28時間、勤務間インターバル9時間を確保していくことと、それがとれない場合には代償休暇を義務にしていくことで制度をつくっていくということでございます。
そして、将来的には今お話ししたうち、地域医療確保暫定特例水準を廃止してAを目指し、C-1、C-2も将来に向けて縮減の方向にしていくという全体的な構成になっているところでございます。
また2ページですけれども、B水準の医療機関に関しましては、四角で色づけしておりますけれども、救急医療提供体制及び在宅医療提供体制ということで、5疾病・5事業という観点で医療機関の類型を例示しておりまして、こういったものを対象に各地域で指定していくということでございます。
そのスケジュールに関して3ページですが、医療計画の期間ごとにB・Cの水準に関しましては、適宜実態調査を行いながら検証していくという体制になっているところでございまして、今後、具体的な制度設計、関連するタスクシフトの議論なども行っていく予定にしているところでございます。
続きまして、資料1-5をお願いいたします。「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会 第4次中間取りまとめ 概要」でございます。
これは、平成31年4月に施行される改正法の改正事項について、医師偏在指標等々の制度の詳細等について議論してまとめたものでございます。この検討に当たっては、地域医療構想や医師の働き方改革等々を念頭に置いてやっていくことが前提でございます。
1ページの下から(1)として医師偏在指標について書いておりますけれども、従来の人口10万対の医師数から医療ニーズ、人口構成等々を勘案してやっていくということでございまして、医師少数区域、医師多数区域を定めていくということでございます。
2ページですけれども、医師偏在診療科に関しては、差し当たって周産期・小児ということで医療計画上の政策的な医療、それから、一定の前提のもとに診療科と疾病・診療行為との対応整理可能ということで、産科・小児科について診療科別医師偏在指標を示していくということでございます。
医師偏在指標は、医師確保計画と同様に3年でございますが、初年度は4年でございますけれども、見直しをしていく規定にしております。
(2)医師偏在指標の目標年としましては、地域枠等の設定を新たに2022年を念頭に見直しをしますので、その時点からの地域枠の要請ニーズが最大と見込まれる2035年度を医師偏在是正の目標年としております。
(3)医師少数区域等/医師多数区域等の定め方に関しては、医師偏在指標を二次医療圏別に並べまして、下位の33.3%を医師少数と定義としております。
(4)医師確保計画でございますか、都道府県においては医師確保計画を立てることになっておりまして、都道府県における医師の確保の方針や医師偏在の度合いに応じた医師確保の目標、具体的施策などを定めることになっております。
3ページでございますけれども、医師少数区域については医師をふやすことを基本として、偏在是正の観点から医師の多寡の状況に場合分けをした上で、医師確保を定めるということもまとめられております。
二次医療圏の医師確保方針については、地域医療構想の方針、交通網の整備状況を加味した上で、実情に応じた判断をするという記載もしております。
これも医師確保の目標は3年間ということで、医療計画の中間的な見直し年を念頭に置いておりますが、初年度は4年間ということでございます。
目標医師数達成のために必要な施策の記載をするとなっておりますけれども、モデル・コア・カリキュラム、医師国家試験、プライマリ・ケア、教育等の重視等々、こういった政策について計画の中に盛り込むということでございます。
4ページでございますけれども、(5)医学部における地域枠・地元出身者枠の設定でございますが、これは調査結果で十分活用されていなかったことが判明したことを記述しておりまして、今後、文科省と厚労省が連携しながら確実に運用されるようにしていくと書いております。
地域枠と地元出身者枠という定義をしておりまして、地域枠は診療科の二次医療圏の偏在を調整するという機能がありますが、地元出身者枠は都道府県間の偏在を是正するとしております。
これも各圏域ごとの医師の不足の度合いを見ながら、今後2022年からの地域枠の設定を各県で検討していくということが書いておりまして、これも厚労省と文科省と連携して対応していくということでございます。
5ページの(6)診療科ごとの将来必要な医師数の見通しの明確化ということで、診療科別の必要医師数の一つの案をこの中で提示しております。つくり方としては、急性期領域における実際の診療データを用いまして、専門医制度の基本18診療領域と疾病の対応表をつくりまして、それによって将来必要となる専門診療科別の医師数を示したということでございます。これに関しては、都道府県別の診療科ごとの必要医師数の見通しの算出をさせていただきまして、各都道府県において何人養成する必要があるかということも数字として出し、専門医制度の中でどう使うかということを今、専門医機構の中で議論されているということでございます。
6ページの(7)産科・小児科における医師偏在対策ということで、先ほども御説明いたしましたが、二次医療圏ではなく周産期医療圏・小児医療圏ごとに算出することにしておりまして、実際この計画を策定する際には大学・医師会との連携が必要であるということを書かせていただいております。
7ページの(8)地域における外来医療機能の不足・偏在等への対応ということで、5要素を加味した人口10万対診療所医師数を用いてデータを公表したところでございます。これを踏まえながら、地域において議論をしていただく形を考えているということでございます。これはデータを実際の開業を検討しているような新規開業者に提供・公表して参考にしてもらうとか、地域の議論で役割を担っていただくという形で議論を進めていただくということでございます。
(9)医師が少ない地域での勤務でのインセンティブとなる認定制度ということで、厚生労働大臣が認定する医師についての記載がございまして、医師少数区域等で一定期間の勤務をすることによって認定することになっております。1年以上という議論もございましたが、最低必要なのは6カ月という議論になっているところでございます。
現状のインセンティブとしては、いろいろ議論がございましたけれども、将来的に引き続き検討していくということが書かれております。
9ページ、マクロ需要推計との関係ということですけれども、全体の医師に関しては医学部定員増ということでやってきたわけですが、偏在対策が十分でなければ地域の医師不足の解消にはつながっていないというところで、2022年以降の医学部定員について検討を進めるために、これも2036年を目標年として対策を行っていくと書かれているところでございまして、医師の働き方改革の結果も踏まえて、また見直しをする必要があるか検討いたしますけれども、全体的な需要と供給を踏まえながら検討していくという記述になっております。
説明は以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございました。いろいろ内容がたくさんありますけれども、いかがでしょうか。御質問・御意見をいただきたいと思います。
山口委員。
○山口委員 御説明ありがとうございました。
一番最初の地域医療構想のことでお伺いしたいことがございます。2025年までもう6年を切ってきまして、調整会議自体が都道府県によって結構ばらつきがあったり、なかなか進まないところがあったりすると聞いております。どうしても調整会議だと、見える関係の中で問題点の抽出はできたとしても、調整にまでなかなか至らないことが多いと。国としては現状はこうだという、例えば、資料1-2の手術や、この地域ではこんな治療をしているところがということで見える化を図ってくるという努力までされたことはよくわかりました。さらに国として関与していくというお話があったのですけれども、行司役というか、もう少し強く調整をやっていかないことには進まなくて、6年を切っていて、これは調整するだけではなくて、この地域の住民の方に2025年にどんな医療体制になるのかを理解していただく必要もあると思っているのですが、国としては関与していくというのは具体的にどのようなことを今想定されているのかを質問したいと思います。
○永井部会長 どうぞ。
○地域医療計画課長 御指摘ありがとうございます。
先生がおっしゃるとおり、これまではワーキングの中でもそうだったのですけれども、関係者が多いのでなかなか議論が進まないという御意見もございました。ですので、一つ行ったのは、先ほども御説明しましたが、アドバイザーという形で第三者的にものを申せるような方を中に入れていただいて、議論を活性化できないかというのがこれまでの議論でございます。
プラス今回は、さらに詳細な見える化のデータを出しまして、印象というわけではなくて、データに基づいて、きちんとこことここの診療機能が競合している、もしくは診療実績が少ないということを見える化することによって、もう少し突っ込んだ議論が行われるのではないかと。そういったところに対しまして、国といたしましても積極的に関与していきたいと。具体的なやり方はまだ検討中でございますけれども、例えば、そういった会にこちらから出向くということも視野に入れながら、少してこ入れができないかということを今後検討したいと考えております。
○山口委員 住民の方が理解するまでには結構時間を要することと、周知の方法というのもなかなか難しい問題があると思いますので、ぜひ、そのことも視野に入れて都道府県にはお伝えいただきたいと思います。
○永井部会長 ありがとうございます。ほかにございますか。
平川委員どうぞ。
○平川委員 今の地域医療構想の関係ですが、基本的な私の考え方は以前にも言いましたが、地域医療構想の議論の仕方が、結局は公立・公的病院のプラン策定に終始していて、民間病院についてはほとんど議論がされていないというのが最大の問題だと思います。
なぜかというと、そもそも地域医療構想というのは、その区域において病床の機能の分化や連携について議論していくという話になっています。ところが、公的・公立病院のプランに終始する話となると、どういう地域医療構想の議論になるか私は全く理解不能です。公的・公立、国立も含めてですけれども、急性期病院がかなり多いです。結局は調整会議では急性期病院のことばかり議論していて、そのほかの回復期の病床のあり方については全く議論がされない。つまり、議論の仕方のバランスが崩れているというのが実態で、それが結局、民間病院にしてみれば他人事のようにとられてしまうということがあるのではないかと思います。調整会議の議論のあり方、今回のやり方については、私は疑問を提示させていただきたいと思っているところです。患者や被保険者の立場に立ってみれば、民間病院であろうと公的病院であろうと、経営形態の違いによって病院機能を区別するのではなくて、病院の能力・機能に応じて病院の位置づけを明確にすべきだと、私はそれが原則だと思います。
それから、1つ質問なのですけれども、今回、地域医療構想、手術の件数とかいろいろな分析データが出されました。全ての医療機関に対してのデータを明らかにすることに関してはいいと思いますけれども、この活用もしっかりと公立と公立、もしくは公立と民間だけの比較だけではなくて、地域医療構想全体について議論していくということからも、当然民間と民間の比較についても使うことについて確認したいと思いますけれども、それはどうでしょうか。
○永井部会長 事務局、お願いします。
○地域医療計画課長 御質問ありがとうございます。
これまで急性期を中心とした、いわゆる政策医療で地域の中できちんと行わなければいけない医療ということで、公的・公立医療機関には役割を担っていただいているところでございます。そういったところをきちんと議論していただきながら、最終的には回復期、慢性期も含めた議論の流れをつくっていただかないと、最初から慢性期というわけにはいかないだろうと考えているところでございまして、そういった議論の流れをつくりながら、今回新たに手術や治療法だけではなくて、これ以外にも病床の関係、さまざまなデータを各県にお流ししながら議論を進めていただきたいと考えているところでございます。また、こういった中で、だんだんと議論が進めば、急性期だけではなくて慢性期、回復期の議論にも進んでいくものだという認識でいるところでございます。
こういったことを進めることによりまして、最終的には、そもそも地域医療構想というのは、その地域の中でどのような医療資源、どのような診療が必要なのかという全体像を議論していただいて、それに向かって各病院がどういう役割分担をするのかということを議論していただいているところでございますので、そういった流れの中で今後とも、今回これだけでというわけではないのですが、引き続き各地域医療構想の議論をサポートしながら、最終的なあるべき姿にどうやったら持っていけるかを地域の中で話し合っていただく、そういったことを活性化する手助けを我々としてはしていきたいと考えているところでございます。
○永井部会長 山崎委員。
○山崎委員 今の議論ですが、地域医療構想というのは、もともと公立病院がどれくらい政策側の医療を地域で展開しているのか、またしていない部分についてどのように集約してくということで始まった議論のはずです。したがって、公立と民間と同時進行ということではなくて、国公立がターゲットになったのは、公費で赤字補填を多額にやっているので、効率的に政策医療を提供するという話で地域医療構想は始まったはずなので、最初に公的・公立病院を検討することは当たり前ですよね。政策医療として、資料1-2の1ページにありますように、地域医療構想の実現に向けたこれまでの取り組みというところで、公立病院ではこういう機能ということで新公立病院改革ガイドラインができて、高度急性期や山間僻地、救急・小児、がん、循環器といった医療について、どう整理していこうかという話のはずです。
ただ、例外的に右下にあります奈良県の例のように、地域に公立病院しかないところというのは、急性期と回復期、慢性期まで含めて公立病院が担うということはわかるのですが、大都市部において公立病院が回復期や慢性期のような、民間病院ができるような医療までをする必要は全くないと思うので、その辺の考え方の整理が大事だと思っています。
○永井部会長 加納委員どうぞ。
○加納委員 山崎委員がおっしゃったとおりだと私も思っておりまして、例えば、資料1-2の2ページ(1)診療実績A、B、C、D病院診療実績のデータ分析では、Aは公立・公的病院、Bは民間病院となっています。同じような実績があって、実は片一方のA病院、これは公立病院であれば、一日あたり1ベッド1万円近い補助金を受けているわけです。それを議論しないで、実績だけで比較するというのもちょっとおかしな話だと思います。もともと地域医療構想のガイドラインの中でも、一般会計、繰入金をちゃんと念頭に置いていろいろ議論していこうという話がありました。そういったことも含めて公と民のあり方をしっかりと議論すべきということで、私も先ほど山崎委員がおっしゃったとおりの感想です。
例えば、同じ大都会で、先ほど回復期リハが奈良県に必要だったという話で奈良県の例が出ていますけれども、実は奈良県は3つの病院が機能分化した地域にも民間病院があるのに、あの中の数には入れられずに議論されています。都会において民間が十分に機能を担っているところで、公が果たしてそちら側のみの仕分けだけで良いのかどうか、それらをしっかり議論して、民間のあるべき姿が議論されていくべきではないかと私も思います。
○永井部会長 河本委員。
○河本委員 私どもは、医療保険者という立場で地域医療構想調整会議の議論に参加させていただいておりますが、私どもとしても、地域医療構想の検討の進捗は不十分と考えております。そういう意味で今回、診療実績データの分析を通じて再編統合の必要な医療機関を明らかにする取り組みの意義は大きいのかなと考えております。
ただ、厚労省による十分な支援がなければ、地域医療構想調整会議での協議が膠着状態に陥ることも懸念されるため、国が進捗管理や議論のサポートを重点的に行い、さらには検証事例の横展開まで行っていただくべきと思っております。
それから、今回、公立・公的病院の再編統合の検討を進めていく上で、先ほどステップ論というお話がございましたが、それはある部分理解いたします。ただ全体に時間軸がある中で、公立・公的で再編統合の検討が必要な医療機関がない地域での地域医療構想の議論をどのタイミングでどう進めていくのか。ここが余りおそくなってもまずいのではないかと思っております。そのあたり事務局としては、どうお考えなのかお伺いしたいと思います。
○地域医療計画課長 御指摘ありがとうございます。
さまざまな委員の先生方から御指摘をいただきました。山崎委員からは、もともと公立・公的については赤字の関係から始まったのではないかという御説明もありましたが、そもそも論として公立・公的につきましては資料にありますとおり、公立・公的でないと担えないところを中心に行っていただくのが前提になっています。そういったところを踏まえてこれまで議論していただいておりましたが、データが足りないということもありますので、さらに詳細なデータを考えながら提示させていただきたいと思っております。
また、加納委員からは、一般会計の関係のお話がありましたが、先ほどの資料1-3には入っているのですけれども、公立・公的の補助金等の活用につきましても今回の検討には必要ですが、まだ十分に可視化されていないという御指摘もあるところでございます。こういったものを可視化するための必要な対策についても、我々としては検討させていただきまして、なるべくさまざまな角度からのたくさんの情報を各地域にお示しし、議論の活性化を図っていきたいと思っているところでございます。
河本委員からは、ステップ論、時間軸もきちんと考えなければいけないのではないかという御指摘をいただきました。先生がおっしゃるとおり、時間軸というのは十分に考えなければいけないと思っているところでございます。とはいえ、こういったものにつきましてできるところがあるのであれば、先ほどの急性期・高度急性期がある程度おさまっているところについては、回復期もしくは慢性期を議論していただくといった流れになっていくのだろうと思っているところでございますけれども、まだ高度急性期・急性期の議論が不十分ということであれば、そこを強力に今後我々のデータをもとにして議論していただくことが重要ではないかと考えているところでございます。
○永井部会長 相澤委員。
○相澤委員 まず1つは、三位一体の改革とおっしゃっていますが、全然三位一体になっていないのではないかと思います。まず、1つは医師の過不足。これは医師数をどういうカウントでやっているかというと、そこにいる医師全体です。別に病院に勤めている医師ではありません。一方、地域医療構想は病院の問題です。病院の医師をどうするのか、その機能分化をどうするかです。ですから、ここは病院の医師がどうかという議論をしなければいけないのに全くそれがない。これは三位一体どころか、バラバラ改革だと私は思っているところです。
そして、今、地方ではすごい勢いで人口の変化が始まっています。ですから、これまで基本が二次医療圏ごとと言っていますが、その二次医療圏が崩壊しています。それにもかかわらず、旧態依然の二次医療圏という地理的な範囲を一つの単位として議論している。一緒になったほうがいい二次医療圏あるいはお隣の二次医療圏とどう協力するかを考えなければいけない二次医療圏があって、その中で地域医療構想をすすめていくというのは、非常に現実とギャップがあって現場の病院は混乱しています。それが第1点。
そして、この地域医療構想はもともと病床機能分化なんです。病床機能分化が報告制度では病棟に変わっていますので、病棟機能なんです。ですから、現実の病院では病棟で病院機能を担っているわけではありませんので、病棟が幾つか集ってそこで機能を展開しているんです。ところがいつの間にか、病棟ではなくて病院機能分化にすりかえられていて、そのときに今度は手術数だとか、がんの患者云々という、まさに急性期の患者さんばかり扱っているんです。
そして、資料1-2の2ページに類似の診療実績A、B、C、D病院というのがありますけれども、この病院は地域ではどうなっているかというと、手術の患者さんを診ているだけではないんです。御高齢の誤嚥性肺炎の患者さんも診ていれば、尿路感染症の患者さんや、あるいは軽症と言ってよい心不全の患者さんとか、あるいはちょっとした脳梗塞の患者さんとか、みんな受けているわけです。その中で手術をやっていたのですが、残念ながら手術が必要な働き盛りの患者さんがどんどん減ってきて、むしろ治療とともに生活支援を必要とするような患者さんがどんどんふえていく。そのバランスが今こういう状況になっているわけで、これをどう整理していくかといったら、多分急性期だけを整理してもだめで、急性期と回復期あるいは地域包括ケアをどうしていくのかということを一緒に整理しなければいけないにもかかわらず、それと違う方向にいっているのではないか。
ですから、正直言って、現場の病院は非常に混乱していて、何をやっていったらいいのか、次から次へとあれやれ、これやれ、そして、そこに医師の働き方改革まで押しつけられて、病院はもう大変な混乱状況にあると。これを終息するようなことを考えていただかないと、病院団体を預かっている会長として今、非常に大変な状況にあるということだけお伝えして、ぜひ、そこをきちんと整理してやっていただきたいということをお願いしたいと思います。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
島崎委員。
○島崎委員 今、相澤委員からお話がありましたとおり、これが三位一体かどうかはいろいろ議論があるにしても、少なくとも地域医療構想と働き方改革と医師の偏在対策が関連していることは間違いないと思います。さらに加えて言えば、市町村が中心になって進めている地域包括ケアとどうやって接合させるかとか、あまり直接的ではないように見えるかもしれませんが、実は国民健康保険制度の改革ともリンケージしているという、非常に複雑な様相になっているのだと思います。
その中でも特に医師の働き方改革の影響というのは非常に甚大であり、率直な印象を申し上げれば、これまでとは相当次元が異なる局面に入ったと思っております。比喩的に言えば、複雑な多元連立方程式を解くような話なのですけれども、しかも、それぞれの地域によって事情が全く違うので、1つの解ではなくて、それぞれ個別の多元連立方程式を解いていくのと似たような状況になっているのではないかと思います。
そこで私の質問なのですけれども、もちろん国がいろいろサポートしていくにしても、地域の実情が違う中で、それぞれに国の職員を配置するというのはできない話なので、一義的には都道府県の職員が企画・調整等の役割を担わなければいけないと思うのですけれども、それについてどうお考えになっているのか。かねてからそこの人材育成の必要性が強調されていたわけですけれども、その点について時間軸との関係でどうお考えなのか。
それからもう一つ、きょうは尾﨑委員がお見えになっていないので申しわけないのですが、代理で家保参考人がお出になっていらっしゃいますので、知事会としてそのあたりについてどう受け止めていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○永井部会長 では、いかがでしょうか。事務局からお願いします。
○総務課長 それぞれ3つの柱についての御意見を賜りました。まさに、その3つ、三位一体という形で表現はさせていただきましたが、相互に連関しているものについてどう整合的に組み上げていくのか、これはまさに相澤委員から御指摘がありましたように、課題だととらえておりますので、御指導いただきながら組み上げていきたいと考えております。
また、まさに地域医療の関係の3つの柱、個別の対応、地域の多様性に対する対応は、国が全てできるわけではないというのは島崎委員の御指摘のとおりでございます。そういう中で、私どもといたしましても、知事会を初め自治体の関係者の方々との意見交換も積極的に行いたいと思っております。例で申し上げますと、去る3月14日でございますが、3本の柱について説明会もさせていただき、御意見も賜るということをさせていただきました。それ以外にも、機会を通じて医療政策の研修会や地域医療構想のアドバイザー会議というところでも、都道府県の実務担当者の方との意見交換も行っておりますし、また、個別の都道府県に対しても、担当官を派遣して周知、意見交換を積み重ねているところでございます。そういうところで、都道府県の医療政策人材の養成・確保につきましても、国ができることは何かを率直に意見交換させていただいて、予算事業として必要なものにつきましては研修事業という形での予算化、制度的な対応につきましては市町村もしくは都道府県の権限等についての検討、そのような形で多元的に検討を進めたいと思います。
いずれにいたしましても、地方自治体が主体的に取り組んでいただく部分が多うございますので、そういうところから私どももできる限りの支援をさせていただくという姿勢で取り組んでいるところでございます。
○永井部会長 では、先に家保参考人どうぞ。
○家保参考人 尾﨑知事ではないですが、県側としてのコメントを答えさせていただきたいと思います。
知事会としましては、持続可能な社会保障制度の構築に向けた知事会の有識者会議を開催するとともに、各優秀な事業を都道府県間で横展開するということを推進するために、21の分野についてワーキングチームをつくり、全ての都道府県が知恵を持ち寄って、できるだけいい事例を展開しようということで進めております。
その中には、先ほど島崎委員がおっしゃったような、地域包括ケアや地域医療構想、医療の担い手、重症化予防など幾つかの部分がございますので、それについては積極的に取り組もうということで、今後いろいろな場面をつくっていきたいなと思っております。
特に地域医療構想は、先ほどお話がありましたように、国保の都道府県化ということで、保険者としての役割が都道府県はできましたので、きちんと取り組んでいかないといけない。保険あり・サービスなしというのは本末転倒ですので、従来以上に取り組んでいき、かつ地域包括ケアも含めた観点で県全体として取り組もうということで考えております。
当県におきましては、個々の構想会議の下にもう少しフランクな形で各医療機関の意見を聞いて、調整するような場を設けないことには、なかなか前に進まないということがございますので、地道にいろいろなお話を聞いて進めたいという状況でございます。その際には当然、働き方改革の問題というのは大きなテーマになりますので、そのあたりの状況も含めて一体的に取り組んでいきたいと考えております。
あくまでも知事会の総意というよりは当県の取り組みということでお話しさせていただきました。
○永井部会長 ありがとうございます。
では、木戸委員どうぞ。
○木戸委員 先ほど相澤委員がおっしゃっていましたけれども、私も産科医として我が国の少子化は非常に予想を上回るスピードで進んでいることを肌で実感しています。人口動態統計で見ますと、ここ数カ月は前年比月当たりで5,000出生減っているという非常に深刻な状態になっています。働き方改革に関しましても、これまで勤務医の働き方に関しては何の規制もありませんでしたが、今回初めてこのように改善の方向性が出されたことは勤務医としては画期的と考えております。
ただ、改革を先送りして5年後から適用とか、過労死の2倍水準でいいと言っている場合ではないと思います。今をどうしのぐとか、目先のことにとらわれず、10年、20年先を見据えた、もっと危機感とスピード感を持った改革を進めていかないと、本当に現場を支える人材がいなくなって取り返しがつかないことになりかねないと思います。
医師は一般職の例外にはなりますが、あくまでも働き方改革の原点に立ち戻って適用を考えるべきで、すなわち多様な働き方を可能にして、女性でもシニアでもいろいろな人が働き手になれるように、少子化による労働力不足をみんなで支え合う仕組みを、もう少し真剣に考えなければいけないと思います。
特に、注意点が必要なこととしては、C-1水準と宿日直のところです。研修中で未熟で非常に弱い立場の人が、本人の発意と書いてありますけれども、そういった方にしわ寄せがいかないように十分配慮したシステム設計をしないと過労死は防げないと思います。また、夜間・休日に働く人の待遇をしっかりと改善する方向で、宿日直についてはむしろ医療提供が手薄な時間帯の人員を十分確保できるように、手厚くできるような方法で考えていただかなければいけないと考えております。
以上です。
○永井部会長 田中部会長代理。
○田中部会長代理 別の論点で、外来医療について質問します。資料1-5の7ページです。
外来医療は大切です。外来医療の機能分化の方針については「地域ごとに協議を行い」と書いてありますが、具体的に外来医療の機能とはどんなことを考えていらっしゃるのでしょうか。下には在宅医療、初期救急、公衆衛生などと書いてありますが、在宅医療はここでは外来医療の機能に入るのですか、それとも別なのでしょうか。
それから、ここでは外来医療を診療所医師だけで考えていますが、中小病院の医師は地域包括ケアの考え方の中でも、外来医療も在宅医療も担うことが当然考えられています。ここで診療所医師だけに限っている理由は何なのでしょうか。
機能についても、在宅医療は1つだけの機能ではないです。在宅医療患者の中にはがん末期の方もおられるし、状態は安定しているけれども要介護状態で外来に来られない外来代替の在宅医療もあるし、医療的ケア児の在宅医療もあるし、たくさん機能があります。ここではどのくらいの機能を国として考えていらっしゃるのでしょうか。
○永井部会長 事務局からお願いします。
○地域医療計画課長 御質問ありがとうございます。
外来の関係につきまして、もともとの議論の出発点は、いわゆるクリニックという外来を中心にやっているところが都市部の中心部に非常に多くなってきていることから、そういったところを見える化することがまず先決ではないかということで始まったのが、今回の議論になっております。
御質問がございました外来の機能につきましては、先生がおっしゃるとおり、在宅医療といってもいろいろな機能があるのは承知しておりますけれども、そういった機能も含めまして一応外来で、通常のクリニックだけではなくて在宅も行っていきたいですとか、救急も行っていきたい、そういった機能を少し担っていただけるようなことを求めてはどうか。さらにもっと突っ込めば、在宅の中でもう少し細かい機能もやっていただきたいと思っておりますけれども、どこまでレベルを細かくするのかというのはあるのですが、とりあえず考え方として在宅医療を行っていただけないかということで、今回例示として挙げさせていただいているというのが実情でございます。
○田中部会長代理 病院の外来はどうなのでしょうか。
○地域医療計画課長 今回、病院の外来につきましては、もともと外来の機能分化・偏在の対応というのは、クリニックの偏在から主眼でいっておりますので、今回のいわゆる偏在の指標の中には病院の外来については含まれておりません。ですので、あくまでもいわゆる単独のクリニックだけということで出していただいているところでございます。そこで、病院と診療所で外来がどのくらいの比率でやられているかということについては計算しておりますけれども、見える化するところの今回指標化しているところは、あくまでもクリニック系がどれくらいの量で行われているかを指標として出させていただいたところでございます。
○田中部会長代理 まずはそこからスタートする、しかし、もっと先もあり得ると理解しました。
○永井部会長 今村委員。
○今村委員 今の田中部会長代理の御質問ですけれども、この議論に参加しておりましたので御説明を若干させていただきたいのですけれども、先生の御指摘のとおり、例えば、在宅に関しても中小病院や大病院あるいは診療所みんな担っているわけですけれども、その地域地域によって、どういった医療機関が在宅を担っているかというのは多分相当違っていると思います。ここに書いてあるように、地域に必要とされるというのは、まず見える化をして、この地域では診療所にこういった機能をもう少し担ってほしいねといったところで、数としては外来は十分な医療機関があるけれども、十分にその機能を果たせていないのだったら、そこで開業していただく先生には、こういった機能もこの地域では不足しているので、ぜひそういうことも参加していただきたいという働きかけをするという意味で書いてあるということですので、それぞれの地域ごとに、まずは自分たちの地域の外来機能はどのような形で提供されるか、今まで余り見える化がされていなかったと思うので、そこをまずやりましょうと。そして、開業する先生に不足している医療について参加していただくような認識を持っていただくことが大事ではないかということで書かれているということだと思います。
○永井部会長 それでは、家保参考人。
○家保参考人 私のほうは、医師需給分科会の第4次中間とりまとめについて、コメントさせていただきたいと思います。
今回、地域ごとの医師の多寡を評価する指標として、単に人口10万対の診療従事者医師数ではなくて、幾つかの要素を考慮した指標として医師偏在指標がとりまとめられたことは、偏在の状況を客観視するためには有用でございますけれども、検討会の場で森田座長もおっしゃっていましたが、一定の仮定を置いた上で出したものであり、現時点での中間的なとりまとめである、一定の期間のうちには見直すことも考えるとか、数字がひとり歩きするなどの誤解を招かないようなことは十分留意すべきであるとおっしゃっていました。国や関係者は、その活用に当たってこういう点は留意すべきという理解でよろしいかをお聞かせ願いたいと思います。
また、参考資料1-4の1ページに、医師偏在指標を活用しました全国の状況がございます。全国が238で、下位の医師少数区域とされる15都道府県、青字になっているところですけれども、32位の宮崎県210.6以下が不足県でございます。全国値238を仮に100とすると、指数をまた指数化するのは邪道だというのは十分わかっておりますが、一般の方に説明する際に、やはり100を基準にして説明するほうがわかりやすいので、仮にそうしますと、一番低い岩手県が偏在指数で169.3ですので全国を100にしますと71.1、境目の宮崎県が88.4と10%くらい低い値になっているということで、これは医師不足が目で見えるような形できちんと表現されているのかなと。こういうところは医師確保の取り組みを強化することは当然です。
一方、医師多数区域の16都道府県の中で、トップの東京都329を指数化、全国を100とすると138です。約40%近くふえているというのもありますが、同じ多数県の16位の滋賀県は243です。全国を100とすると102.1、2%しか上がらないです。これで多数県と言われますと非常に違和感を覚える住民の方もいらっしゃると思いますので、一体どう説明していったらいいのかというのは、ぜひ教えていただきたいと思います。3分の1、3分の1の割り切りというのはそうかもしれませんけれども、地域の協力を得るためには、きちんと根拠に基づいて説明することが必要かと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。
私自身は、少数県が標準の90%であれば、逆にいうと110以上を多数県にするというのも一つの手かと思います。それでも多分、都道府県は異論のあるところはあると思います。
詳しく申しますのは、医療介護総合確保基金の配分について医師多数区域は制限を加えられる。3月29日付の改正法の施行通知によりますと、これは記事ですので正確かどうかわかりませんが、医師少数県の都道府県は、基金を使った医師確保の取り組みを大幅に重点的に用いるべき。医師多数県では、基金を使った医師確保の取り組みを大幅に見直すべきとされておられます。今までのことでは同じように継続するというのはOKだという話になりましたけれども、基金をこう書かれますと、若手の医師や医療機関の関係者は非常に心配してまいります。一旦、医師の確保が崩れますと二度と戻ってきませんので、ぜひこういう点には地域の状況を配慮していただきたいと思います。
以上でございます。
○永井部会長 今の点、事務局はいかがでしょうか。
○地域医療計画課長 2点御質問いただきました。
1点目は、順位のつけ方になると思いますが、今回参考資料で出させていただいておりますが、これは家保参考人からも御指摘いただきましたけれども、そういった指数を指数化して順番をつけるという方法も一方であると思いますが、今回につきましては47都道府県を順番で上から何番目、下から何番目という形で、少数県もしくは多数県ということで示させていただいたところでございます。特に低いところについては重点化させていただきたいということで、こういった設定の仕方にさせていただいたところでございます。
それから、基金の関係でございますけれども、事務局といたしましては、もともと少ない県に重点的に政策を打っていただきたいと考えているところでございまして、一定程度の濃淡はつける必要があるのではないかと思っております。ただし、これまでやっていたものをゼロにしろというわけではなくて、濃淡のつけ方があるということで考えているところでございます。
○永井部会長 では、手短にお願いします。
○家保参考人 濃淡のつけ方は今までの経緯があって進んできていますので、その点は十分に御配慮いただきたいと思います。
以上でございます。
○永井部会長 それでは、最後に山崎委員、お願いします。
○山崎委員 今回の医療従事者の医師の数は、どういう計算に基づいてしているのでしょうか。というのは、例えば医師の場合、普通の病院に勤務している人、開業医、介護・福祉分野で勤務しているドクターもいれば、産業医もいるし、行政にもいるし、いろいろな分野にいるわけです。そういうものを含めて全ての精神科医でカウントしているのでしょうか。
もう一つ、2月18日に精神科の将来推計で出したときに、2016年では254人余っていて、2036年では1,688人余るという数字が出て、こんなばかな話はないから、もう一回計算し直せと言ったら、3月22日には実は860人足りません、2036年になって初めて500人余りますという、1カ月の間に1,000人くらい必要な医師数が違っているんですよね。こういうずさんな計算方法で政策をつくられたのではかなわないというのが1点です。
もう一つ、先ほど地域で不足している部分を新規で開業する先生にお願いするという希望的観測がありましたけれども、地域で開業している先生方の中には、医師会にも入らないで、学校医もやらなければ、集団健診もしないし、予防接種もやらないし、准看護学校の講師もやらない、そういうことを全然やらない医師が開業しているんですよ。実際問題として、そういう人に地域で不足している機能を期待できるのですか。
○永井部会長 では、手短に今村委員。
○今村委員 ありがとうございます。山崎委員はいつも実現可能性についておっしゃるのですけれども、今までは全くそんな要請もしないで、先生がいつもおっしゃるように、業者さんに誘導されて開業されている先生がほとんどですけれども、今後は本当に地域の協議会に参加していただいて、そういうお願いをするということですので、今までよりそういった働きかけを強くするということだと思います。ただ、これは先生が御持論でおっしゃっているように、いきなり強制的に何かをするということはできないわけですから、まずはできることからやってみて、その効果の検証をするとはっきり書かれていますので、それを見ていただきたいということでございます。
○永井部会長 釜萢委員どうぞ。
○釜萢委員 まず、資料1-1は今回初めて出てきたのだと思いますが、これは確認ですが、事務局から提案いただいたものということでよろしいでしょうか。というのは、例えば、2036年を目標年ということはいろいろ議論されてきましたけれども、2040年を見据えてどうこうということは、いろいろな部会で積み重ねられた議論ということではないように思っておりまして、今回はあくまでも事務局が現時点でこのような方向を打ち出されたということでよろしいのではないかと思っております。
もう一点、個別の問題ですが、医師の確保計画というのは都道府県が策定するわけですが、これは診療科ごとの話ではなくて、医師全体の数をどうするかというふうに理解しています。きょうの第4次のとりまとめの中に書かれている診療科ごとの必要医師数という議論は、比較的最近提示されましたが、いろいろな要素が加味されていることは理解しているのですけれども、なかなかこれを私どもが検証する手段がありません。エビデンスということが盛んに言われますが、果たしてエビデンスに基づくものなのかどうかが十分まだ納得できていないところがあるので、そこは今後しっかり幅広く検証して、このやり方についての皆さんの合意形成がなされることが必要だろうと思っておりますので、そのことに触れておきます。
○医事課長 簡潔に御報告いたします。
今のお話は、参考資料1-6の都道府県別診療科ごとの将来医師数の見通しでございます。これは1ページについておりますけれども、いろいろな前提条件を持ったものであることは間違いございません。かつ、医師需給分科会でも数字がコロコロ変わるという御指摘もありましたけれども、議論の結果を踏まえて見直しを行ったものですので、そういう意味では一定の仮定を置いているという前提がございます。これにつきましては、こういう案をもとに今、各学会からの意見などもいただきながらやっておりますし、今後さらに精緻化につきましては、いろいろな議論を経ていくものということですけれども、一定の前提のもとでの試算をお出しして議論を進めてきているところでございます。
○永井部会長 では、事務局どうぞ。
○地域医療計画課長 残りの質問でございますが、山崎委員から偏在指標の医師数はどういう医師が対象となっているのかという御質問でございますが、これにつきましては医療機関に従事しているドクターの数字をもとに、それぞれ年齢や性別といったもので働く労働時間で補正して、最終的には数値化しているところでございます。
また、釜萢委員から医師確保計画の関係の御質問でございますが、基本的には医師確保計画につきましては、医師全体の計画をつくっていただくのが基本でございます。ただし、診療科別の中でも特に産科と小児科につきましては、今回偏在指標をつくるに当たりまして、指標は一定程度、診療科とドクターとの関連がかなり密接になっているものができました。ただし、産科・小児科は全体的にドクターが少ないので、特に少ない地域において医療圏の見直しといったさまざまな施策も含めて、どういう対策で確保、もしくは対策を行っていただくかを計画の中につくっていただくということで考えているところでございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
まだ、いろいろ御意見あおりかと思いますが、ぜひ事務局にお寄せいただきたいと思います。また、事務局におかれましては、本日の議論を踏まえて必要な対応をお願いいたします。
次の議題にまいりますが、身寄りのない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドラインについて、事務局から説明をお願いいたします。
○保健医療技術調整官 資料2-1を用いて御説明させていただきます。
まず、1ページ目ですけれども、今回のガイドラインを作成するに至った経緯について御説明させていただきます。
経緯としましては2つの文脈があります。左側の部分になりますけれども、ひとり暮らしの高齢者が増加する中で、身元保証や日常生活支援、死後事務などに関するサービスを提供する新しい事業形態が生まれてきています。これに関して指導・監督に当たる行政機関が必ずしも明確ではなく、実際に事業者が経営破綻し、サービスの提供が受けられず、預託金も返還されないといった事態も生じております。
こういった背景を踏まえまして、消費者委員会から建議がなされ、厚生労働省に対しては2つの宿題が提示されているわけですけれども、左下の(1)身元保証人のいないことのみを理由に入院・入所を拒むなどの取り扱いをすることのないよう措置を講ずること。(2)病院・福祉施設等が身元保証人等に求める役割などの実態を把握し、その必要性、その役割に対応する既存の制度及びサービスについて対応できるものがあるのであれば、それをしっかりと病院・都道府県等に示すことという宿題を提示されております。
もう一つの文脈が右側ですけれども、平成29年3月に成年後見制度利用促進推進基本計画ができております。この中で、医療・介護等を受けるに当たり意思を決定するのが困難な人が、円滑に必要な医療・介護を受けられるようにするために、成年後見人がどういった役割を果たすことができるのかということを整理して示しなさいと、この2つの宿題をいただきましたので、厚生労働省として研究班を立ち上げ、取り組んできております。
2ページですけれども、研究班は平成29年度に立ち上げておりますが、一昨年度は実態把握をしております。昨年度につきましては、ヒアリング調査も行いながらガイドラインをつくり上げています。
3ページがガイドラインの概要になりますけれども、本日は研究班の代表者である山縣先生にお越しいただいておりますので、この詳細については後ほど山縣先生から御説明させていただきたいと思います。
4ページですけれども、研究班で今回ガイドラインをつくりました。この内容につきましては平成31年3月、成年後見制度利用促進専門家会議がありまして、そこでお諮りさせていただいております。その会議体でも御指摘いただいておりますので、その御指摘を踏まえて、修正した内容を本日医療部会にお諮りさせていただきたいと思います。
本日の議論を踏まえ必要な対応をした上で、今後ガイドラインを都道府県を通じて医療機関に周知させていただきたいと考えております。
事務局からの説明は以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
このガイドラインは研究班で検討されまして、きょうは研究班代表者の山縣然太朗先生においでいただいておりますので、内容について御説明をお願いしたいと思います。
○山縣参考人 山梨大学の山縣でございます。
身寄りのない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドラインにつきまして、きょうは説明する時間をいただきまして、ありがとうございます。資料2-2で御説明いたします。
まず、1ページに研究班がありますが、これは医師を初め法医学、弁護士を含めた研究班でございまして、田宮先生は高齢者医療の専門家ですし、篠原先生は社会福祉士でございますので、あらゆる分野の方々と一緒にやったものでございます。
さらに、検討に当たりまして、先行事例として愛知県半田市において作成されましたガイドラインも参考にしております。
さらに、実際に実務を担うことの多いメディカルソーシャルワーカーの団体である公益社団法人日本医療社会福祉協会にも御協力いただきながら、いわゆる身元保証・身元引受等がない場合の医療機関の対応の方法につきまして、関係者の理解が得られるように最大限努力して本ガイドラインをつくりました。
2ページをごらんください。なお、記載のページに関しましては、ガイドライン本体のページでございます。
まず、ガイドラインの背景と目的ですが、先ほど、医政局の方より御紹介がありましたとおりでございます。この目的に合わせまして、本ガイドラインの読み手としては、医療機関で働く職員の方を想定して作成しております。
3ページをごらんください。次に、本ガイドラインの支援の対象者等についてです。本ガイドラインの支援の対象者としましては、身寄りがない人に加えて、例えば、(1)家族や親類へ連絡がつかない状況にある人。(2)家族がいても家族の支援が得られない人も対象になり得ると想定しております。
また、医療機関がいわゆる身元保証、身元引受等という言葉で実際に求める機能や役割としましては、平成29年度の研究班におきまして実態調査等を踏まえて、資料の中ほどにあります6つの機能の役割に整理してあります。(1)緊急の連絡に関すること、(2)入院計画書に関すること、(3)入院中に必要な物品の準備に関すること、(4)入院費等に関すること、(5)退院支援に関すること、(6)(死亡時の)遺体・遺品の引き取り・葬儀等に関することでございます。
なお、調査では、身元保証・身元引受等の役割に医療行為の同意を期待している事例もありました。そもそも医療行為の同意につきましては、本人の一身専属権が極めて強いものであり、第三者には同意の権限がないものと考えられていますので、この部分につきましては本ガイドラインでは別途整理しております。後ほど御説明いたします。
その上で、本ガイドラインでは、いわゆる身元保証・身元引受等がいない方への対応として、医療機関で働く職員の目線に立ち整理いたしました。すなわち、(1)判断能力が十分な場合、(2)判断能力が不十分で、成年後見制度を利用している場合、(3)判断能力が不十分で、成年後見制度を利用していない場合に分けて整理しております。
4ページをごらんください。判断能力が十分な場合につきましては、本人に意思決定・意向を確認した上で、それぞれ対応していただくことになります。詳細は省きますが、いずれの場合も「本人の意思決定・意向」の確認が重要となります。
5ページをごらんください。判断能力が不十分で、成年後見制度を利用している場合につきましては、本人に意向を確認した上で、成年後見人等と相談しながら、それぞれに対応していただくことになります。詳細につきましては省きます。
6ページをごらんください。判断能力が不十分で、成年後見制度を利用していない場合につきましては、少し詳しく説明いたします。
まず、(1)緊急の連絡先に関することにつきましては、親族や友人・知人の有無を確認し、本人に意向を確認した上で、緊急連絡先となれる人がいるか、親族等が患者にかかわる意思があるかなどにつきまして確認し、それぞれに対応していただくことになります。
(2)入院計画書に関することにつきましては、本人が理解できるようわかりやすく説明を行うとともに、本人の意向を確認した上で、親族等へ情報提供をいたします。また、本人が理解できないと認められるほど判断能力が不十分な場合には、親族等への説明を行うことで対応いたしますが、いない場合には本人へ説明を試みた上で、その旨をカルテに記載するということで対応いたします。
(3)入院中に必要な物品の準備に関することにつきましては、自分で準備ができない場合、本人の意向を確認した上で、緊急連絡先となる人に相談しますが、いない場合はボランティア団体の利用やリース等で対応いたします。
(4)入院費等に関することにつきましては、可能な限りふだんどのように金銭の管理をしていたのかを聞き取り、本人の意向を確認した上で、管理にかかわっている人に連絡をとります。生活が困窮していると考えられる場合には、速やかに自治体へ相談いたします。また、未払いを防ぐ工夫として、入院時に本人の保険証を確認する方法等も具体的に記載しております。
(5)退院支援に関することにつきましては、ケアマネジャー等のかかわりの有無を確認し、市町村等の窓口につなげるなど必要な対応をします。また、本人をサポートするチームづくりをしていく過程で、成年後見制度の相談窓口への相談も必要となります。
(6)死亡時の遺体品の引き取り、葬儀等に関することにつきましては市町村が行うこととなります。特に、親族等がいない場合は、本人が高齢者なのか、障害者なのか、生活保護受給者なのか、経済的に困窮するおそれのある人なのかなど、状況や状態に応じた市町村等の窓口へ相談しながら対応していくことが大切となります。
7ページをごらんください。成年後見制度利用促進基本計画で求められている事項への対応部分です。
医療に係る医師決定が困難な場合に求められることといたしまして、(1)医療・ケアチームや倫理委員会の活用等、(2)成年後見人等の具体的な役割をまとめています。
特に本人の意思決定が困難な場合は、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」の考え方を踏まえ、何よりも本人を中心に据え、関係者や医療・ケアチームの中で慎重な判断を行う必要があるとしております。具体的なプロセスにつきましては、7ページの上段の四角の中に記載しておりますので、御確認いただければと思います。
なお、直ちに救命措置を必要とするような緊急の場合には、柔軟な対応をする必要があるとしております。緊急時にはプロセスに縛られることなく、本人にとって最善の方法をとることを基本に対応すべきものと考えております。
また、本人の意思決定が困難な場合における成年後見人等に期待される役割を大きく(1)~(4)に整理しております。(1)契約の締結等、(2)本人意思の尊重、(3)身上保護、(4)その他として、親族への連絡調整などです。これらの役割を果たすことで、患者本人が円滑に必要な医療を受けられるようにしていくことが重要であると考えております。
なお、ガイドラインの本体は23~27ページに詳細がございますので、御確認いただければと思います。
研究代表者といたしましては、身寄りがなくても安心して必要な医療を受けられる環境が整うことを切に願っております。
本ガイドラインの説明は以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございました。
それでは、御質問を。山口委員どうぞ。
○山口委員 研究班のメンバーを拝見いたしますと、専門家の方もさることながら、半田市のガイドラインをつくられたところであるとか、日々こういう方々に対応していらっしゃる医療ソーシャルワーカーの協会の方が入られたということで、非常に現実に即した内容になっているのではないかと思っています。
私たちは実は29年間、患者・家族の相談を6万件以上お聞きしてまいりまして、特に最近、保証人がいないということで入院を断られるという相談も年を追うごとにふえてきています。それ以上にふえているのが、ひとり暮らしで保証人になってもらえる人がいないということで、この先どうしていけばいいのだろうという不安の声です。
今回このガイドラインをおつくりになって、これは医療機関に対して普及していくということで、それもとても大事なことだと思うのですけれども、この研究班の中で国民へのメッセージとして、例えば、そういう不安のある方に今からどんな準備をしないといけないのかという話はあったのかどうかを確認したいと思います。もし、そこまでのミッションではない研究班であったとしたら、国としてそういったことを発表していかれる準備があるのかどうかを事務局にお伺いしたいと思います。まず、研究班にお伺いしたいと思います。
○山縣参考人 ありがとうございます。
これをやるに当たりまして、直接医療機関等へヒアリングに参りましたときに今と同じ話がありました。ただ、そういう中で比較的うまくいっているのが、例えば町立病院のように、市役所と非常に連携がとりやすいようなところは住民のことがよくわかっていて、身寄りがなくても上手にものが運んでいるということがわかりまして、そういう意味ではいわゆるソーシャルキャピタルのようなものがしっかりしている地域の中では、孤立しないような仕組みが自然にできているというのも感じました。ただ、一方でそれも一部でありますので、今後それに関しましては、十分に検討していく必要があるのだと思いました。
○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。平川委員。
○平川委員 地域で単身の高齢者がふえつつあって、本当に身寄りのない方が多くいるという中で、この取り組みは大変重要だと思いますけれども、ただ、ガイドラインの中身はいいのですが、活用について、例えば、単身の高齢者に対する支援ということで言いますと、地域包括支援センターとか、介護保険を使っていればケアマネさんとの連携を含めて、病院の内外のさまざまな職種との連携という観点が極めて重要だと思います。しかし、その辺の記載が余り無いようですが、その辺はどうなのか、これは事務局にお聞きしたいと思います。
○永井部会長 お願いします。
○保健医療技術調整官 今回、ガイドラインを研究班でつくっていただいたわけですけれども、読んでいただければわかると思いますが、市町村、特に介護も含めて福祉関係部局の役割が非常に重要になるといった内容となっております。我々、医政局から都道府県を通じて医療機関に周知するわけですけれども、それだけではなく、福祉関係部局とも連携をしながら、市町村の福祉部局のほうにもしっかり周知を図っていきたいと思っておりますし、また、厚生労働省で市町村セミナーもありますけれども、そういった場を通じながら市町村にしっかりと伝えていくということが重要だと思います。また、そういったことを通じながら、地域の住民の方々にもどうやって市町村として地域の体制をつくっていくかということを伝えていくことが、普及啓発においては非常に重要なポイントとなろうかと思いますので、そういった方策をしっかりと考えながら対応していきたいと考えております。
○永井部会長 小熊委員どうぞ。
○小熊委員 先ほどから公立病院のいろいろ議論をされているのですけれども、今の意思決定が困難な老人、これこそまさに公立病院にまず要求される機能なのだろうと思っていますが、恐らく公立病院にまず運ばれるだろうと。そのときに今、事務局が言われたように、社会全体としてその人をサポートするようなシステムができていないと、公立病院に運ばれたとしても非常に難しい局面に陥ると思いますので、ぜひ国が都道府県、市町村に対して、それをサポートする体制を早急につくっていただくように進めていただきたい、私どもとしてはそう思います。それがなければ、これからたった1人で住まわれる老人の方が多くなるわけですから非常に問題化するだろうと思いますので、よろしくお願いします。
○永井部会長 猪口委員どうぞ。
○猪口委員 実際、臨床の現場におりますと、成年後見の方とお話をしなければいけないことが多々あるのですが、基本的には法的に言うと財産を守るというか、処分できるという立場の方なのですけれども、我々にしてみると、いわゆる御本人の代理人として何かものをやっていただけるのではないかという期待をするわけですけれども、法的には多分そこは今のところできないことになっているので、結局そこが一番難しいところになっていると思います。今後、成年後見制度を諸外国のように、財産のこと以外に本人の意思の代理者としての決定権をある程度持たせるような方向に進んだほうが、この問題はいいのではないかと常々思っているのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
○永井部会長 事務局、いかがでしょうか。
○保健医療技術調整官 成年後見人制度に関しては検討する会議体があるわけですけれども、そこでもいろいろな議論があるわけですが、今回は既存の制度を前提に整理させていただいて、成年後見人に関しては、業務の過程の中で患者さんの個人情報を知り得る機会は当然ありますし、その中で御本人がどういう思いで生活をしていたのか、どういう治療を受けていたのかという知った情報をしっかりと医療・ケアチームに伝えて、医療・ケアチームでしっかりと話し合って決めていくといった前提でガイドラインはつくっていただいているところです。制度論では本当にさまざまな議論がありますので、なかなかすぐに解決というか、1つの解が出るという話ではないと思いますが、現状はそういった状況にあります。
○永井部会長 岩田委員どうぞ。
○岩田委員 今、小熊委員と猪口委員が言われたことと重なりますけれども、成年後見制度についてはさまざまな制度的な課題があって、これは厚生労働省だけでできる問題ではないのだと思いますが、成年後見制度自体は基本的には財産管理なので、医療同意みたいなことはなかなか難しいということだと思います。他方、これだけ単身の高齢者の方がふえてきている中で、利用がふえているにしても多分20万ぐらいとかなので、何百万人もいる認知症患者の状況には、何年たっても永久にこのまま対応できないような状況になるのだと思います。現状を考えると、成年後見制度はそんなに評判がいい制度かというと、そんなこともなくて、中にはすごく真摯にやってくださる弁護士さんなどもいらっしゃる一方、ほとんど本人にも会わないような人もいるので、日常生活のきちんとした本人の意思を尊重するようなことを、ガイドラインに書かれているような期待できるような人ばかりかというと、そうなっていないように思います。ですから、厚生労働省だけに言うのは非常に酷だと思うのですが、まさに国全体として多分、成年後見制度だけでは対応できないような話だと思いますので、その中身の充実も必要だと思いますし、それ以外の支援対策についても、ぜひ早急に御検討いただければと思っています。
○島崎委員 手短に申し上げると、今おっしゃったこととも重なるのですが、このガイドラインそのものについて、どうこう申し上げるつもりはありません。しかし、この問題は入院といったような限られた話ではなく、「氷山の一角」という比喩が適切かどうかわかりませんけれども、そういう構図の問題だと思います。
例えば、本当の独り身であれば、アパートの入居契約ができないとかいろいろな問題があるはすだし、行政や医療機関等がいろいろな資料を送ってもそもそも全く理解できないとか、相談する人さえいないということもあるわけです。それから、成年後見人の数も足りない、質も十分ではないところをどうやって広げていくかという話もあるでしょうし、それから、日々の買い物をどうするのかとか、あるいはゴミ出しをどうするのか、まさに日常的な家族のかわりを地域の中でだれがどうやって果たすのかという問題なのだと思います。したがって、医政局だけで全部引き取るのではなくて、厚生労働省の中でも例えば社会・援護局の行政の中できちんと位置づけ、なおかつ関係省庁と議論を重ねていくということでなければ、本質的な問題の解決にはならないと思いますので、ぜひ、そういう取り組みをしていただきたいと思います。
○永井部会長 事務局どうぞ。
○総務課長 認知症対策について、さまざまな御質問をいただきましてありがとうございます。前職で老健局というところがあるのですけれども、基本的に認知症施策につきましては政府全体で取り組むということで、まさに認知症サポーターの養成も含め、関係省庁で連携してやっているところでございます。今いただきました医療部会での御意見、また、このガイドラインをどう活用していくかにつきましても問題意識を持ち、また老健局を初めとした関係部局にも情報提供をして一緒に議論して、政策を組み上げていきたいと思います。ありがとうございます。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
それでは、事務局におかれましては、ただいまの議論を踏まえて対応をお願いいたします。また、山縣先生にはお忙しい中、御説明ありがとうございました。
では、ちょっとおくれておりますが、次の議題にまいります。災害医療コーディネーター活動要領、災害時小児周産期リエゾン活動要領等、訪日外国人旅行者等に関する医療の提供に関する検討会における議論の整理、また人生会議に関する取り組み状況について、事務局から説明をお願いいたします。
○地域医療計画課長 それでは、資料3-1で「災害医療コーディネーター活動要領及び災害時小児周産期リエゾン活動要領等について」ということで御説明させていただきます。
1ページでございますけれども、災害医療コーディネーター体制の経緯とありますが、もともとは東日本大震災のときにいろいろな医療チーム、保健チームが入ったときに、それらを束ねるコーディネート機能が十分に発揮できる体制がなかったのではないかということが発端になっております。それ以降、平成24年にはコーディネート機能を十分発揮できるような体制をつくっておくこと、そのために平成26年から災害医療コーディネーターの研修をいたしましたし、また、災害の中でも小児周産期につきましては、特別に平成28年度以降そういった養成研修の予算化を行ってきたところでございます。
2ページでございますが、熊本地震が起こった後でございますけれども、こうした医療チーム派遣の協力を得て、避難所や救護所も含めて医療体制の確保・継続を図るものとして、こういった災害医療コーディネーターを十分活用したほうがいいという御指摘をいただいたところでございます。
これを踏まえまして、これまで災害医療コーディネーター及び災害時小児周産期リエゾンにつきましては、どのような活動を行うのかが明文化されていなかったことがございましたので、このたびそういったことを活動要領としてとりまとめたところでございます。
3ページは、全国におけます災害医療コーディネーターの任命状況。
4ページにつきましては、そのうちの災害時小児周産期リエゾンの任命状況でございまして、必ずしも全県に配置されているわけではないというのが現状でございます。
また、5ページにつきましては、そういったコーディネーター及びリエゾンがきちんと防災訓練に参加しているかということでございますけれども、必ずしも参加されていないということもございますので、こういったところを活動要領の中でしっかり担保して、今後きちんと災害時に動ける体制をつくるべく、活動要領ができたということでございます。
6ページが、災害医療コーディネーターの活動要領でございますけれども、右側に簡単な絵を描いておりますが、基本的には都道府県におきまして保健医療調整本部ができることになりますので、そういった本部長を支えるという意味で、災害医療コーディネーターもしくは災害時小児周産期リエゾンに働いていただくということを想定して活動要領をつくっているところでございます。
左側にあります「第3 災害時の活動」ですけれども、特に「2 災害医療コーディネーターの業務」ということで、基本的には彼らが自分たちで手足となって動くわけではなくて、本部長が行う指揮命令系統の中で本部長に対してきちんとサポートするといった体制を組んでいただくのが基本になっております。
小児周産期リエゾンにつきましても同様でございますが、7ページに書いておりますけれども、同じような活動で、保健医療の中でも特に小児に特化した関係者になっていただいて、きちんとした体制をつくっていただく。もしくはコーディネーターの助言をしていただくという体制を今後充実させていきたいと思っているところでございます。
今回そういった活動要領を定めましたので、8ページ、9ページには、これまで研修を行っておりますが、こういった研修内容も適宜見直しをしながら、今後とも災害医療コーディネーターもしくは災害時小児周産期リエゾンが、実際の災害が起こった場合にきちんと活動できるような体制の充実を図っていきたいと思っているところでございます。
続きまして、10ページでございますが、災害の関係でもう一つ、今回、災害拠点精神科病院の指定要件を定めさせていただいております。
11ページにございますが、熊本地震のときに精神科病院が被災した際に、大量の精神科の患者さんを他県やほかの精神科の病院に搬送するといったことが起こりましたが、こういったことを踏まえて、精神科の災害医療体制の整備を進めるべきだということで意見をとりまとめていただきました。
これを具体化するために、災害が起こったときの拠点となる精神科病院のあり方、もしくはそういった施設の要件を今回検討してとりまとめたところでございます。
内容につきましては、14ページをごらんいただければと思いますが、今回の指定要件を策定する際の基本的な考え方でございますが、災害拠点病院と災害拠点精神科病院につきましては、一部の機能については類似しておりますが、大きく違うところがございます。両者の指定要件につきましては、共通点が多くなる部分もありますけれども、下にあります4つの事項につきましては精神科に特化したものと考えておりまして、例えば、精神科医療提供のため整備する事項といたしまして、どのような患者さんを主に受け入れるのか、重症な精神疾患を有する患者さんをどのような施設で受け入れるのか。それから、医療を継続するためにどのような自発の能力が必要なのか。DMATと同様にDPATというものが精神科災害のときに派遣されることになりますけれども、どういった人たちがDPATとしてなり得るのか、もしくはどういう人たちを整備しなければいけないのか。最終的には大量の患者さんの搬送もございますけれども、患者の受け入れ、搬送能力をどう考えるのかという議論をしていただいたところでございます。
それをまとめたのが15ページ以降でございますが、まず、精神科医療のため整備すべき事項といたしまして、対応すべき患者像でございますけれども、アンダーラインを引いておりますが、基本的には医療保護入院、措置入院等が必要な患者さんを主に引き受けていただくといったことを災害拠点精神科病院に行っていただく。したがいまして、こういった患者さんの受け入れに必要な施設が施設要件に絡んでくるだろうと考えております。
ハード面につきましては、自活の能力につきまして、災害拠点病院のように大型機器といった電力を非常に消費するような機材が想定されないことから、災害拠点まではいかないけれども、診療施設や入院施設等々が運営できるくらいの容量で、なおかつ3日間程度の燃料備蓄をお願いしたいと考えております。
続きまして、16ページは先ほど申しました、災害時に避難所等で活躍していただくチームといたしましてDPATを今設定しておりますけれども、こういった者につきましては一定程度こういった病院にも配置していただくということ。
それから、患者の受け入れ・搬送能力につきましても、地域で多数の精神疾患が発生した場合や大きな精神科病院が被災して運営できなくなった場合を考慮して、耐震性のある既存施設を活用する、もしくは近隣に活用可能な耐震性が確保された施設を選定して、病院ではなくてそういったところで一時避難ができるような体制もつくっていただく。搬送につきましては、どちらかといいますとDMATや自衛隊といったところにも依頼するということもありますので、特別車両は推奨しないということで考えているところでございます。
19ページになりますけれども、災害拠点精神科病院を県内でどれくらいの箇所を整備していただくかでございますが、災害拠点病院につきましては、原則都道府県に1カ所の基幹災害拠点病院で、二次医療圏ごとに原則1カ所の地域災害拠点病院ということで、いわゆる救急の関係もありますので、そういったところで今整備しているところでございます。
ただし、精神科の場合ですと、精神科医療圏につきましては多くの県が三次医療圏、いわゆる県全体で行っていることが多く、ただし、地域の自治体の中では二次医療圏と一致する、もしくは別に精神科医療圏を設定しているというさまざまなケースがございますので、今回、災害拠点病院のように階層構造を構成するのは困難であると考えておりまして、そういったことから、人口規模や地理的条件、都道府県における精神科医療の提供体制の実態などを踏まえて、必要数を整備していただく。ただし1カ所以上は拠点病院として指定していただくということで今考えているところでございます。
それを文章化したのが20ページ以降でございまして、こういったものを今年度から各都道府県に通知させていただいて、都道府県で拠点病院の要件に合うところについて指定していただくということを今後行いたいと考えているところでございます。
説明は以上です。
○永井部会長 続けてお願いします。
○総務課長 それでは、引き続きまして、資料3-2でございます。時間の関係もございますので、1ページをごらんいただきながら、お聞きいただければと思います。
訪日外国人旅行者に対する医療の提供に関する検討会につきまして、昨年11月から開始いたしまして、それぞれの論点について整理いただいたところです。政府全体といたしまして、訪日観光客の増加を目標として観光ビジョン構想会議というものを設定しております。2020年には4,000万人、2030年には6,000万人という目標を掲げていますし、既に3,000万人を超えているという状況の中で、医療機関もしくは医療の体制をどうとればいいのかについて、それぞれの議論をしていただきました。
目次に書いてございます、大きく7つの分野で項目をもって議論の整理をしたところでございます。
概略について言いますと、1番の医療機関の整備につきましては、まずは、どういう医療機関が外国人に対応しているのかという情報が非常に重要であるということで、受け入れの拠点となる医療機関をリスト化していこうという方向で進めるべきであるということになっております。現在、都道府県に対して拠点となる医療機関はどのようなものであるか、また重症の方はどこで受け入れるのか、軽症の方はどこで受け入れるのかについて少し整理してほしいということで依頼しているところでございます。
また、2番の医療機関向けマニュアルにつきましては、案の作成を昨年度行いました。医療機関がどのように訪日外国人を受け入れるのか、それぞれの論点です。意思疎通や費用の支払いについても整理したマニュアルを作成いたしましたが、今年度、都道府県向けのマニュアルもつくろうということで作業を進めているところでございます。
また、3番の自由診療における診療価格は、訪日外国人の方にどのような形で費用を請求しているのか、また、そのときの費用請求の算定の考え方につきまして、東京大学の医療経済政策学の田倉智之教授に検討を依頼しまして、費用構造と算定方法、例でございますが、こういうものを自由診療でございますので自由にやっていただく前提のもとで、中身の構造を明らかにさせていただくという成果を得たところでございます。
また、4番の医療通訳者等々につきましては、医療通訳の養成について、研修についての一定のレベルを確保するための認定制度についての原案までを組み立てているところでございます。今後、各方面で医療通訳を養成するに当たりましての基本的な骨格をつくり、今後、運用に努めていくということでございます。
5番、ICTツールをどのように確保するのかにつきましては、今年度の私どもの予算事業で、いわゆるタブレットの配付を事業として行っております。この検討会の中では、いわゆるICTツール、タブレットではなかなか限界がある部分もありますので、それを補う医療通訳という位置づけの組み合わせが大事であるという指摘もいただいているところでございます。
6番の医療コーディネーターにつきまして、まさに医療機関でどのような形で確保し、質を高めていくかが論点になっております。
7番のその他で、キャッシュレス対応、旅行保険の加入、都道府県でのワンストップ窓口の設置につきましても論点として出していただき、これについては、方向性が定まっているわけではございませんが、議論の対象になっております。
この検討会につきましては、今年度も引き続き検討を進めていこうとしておりますので、御指導等をいただけますよう、よろしくお願いいたします。
○地域医療計画課長 続きまして、資料3-3「人生会議(ACP)に関する取組状況について」ということで御報告させていただきます。
前回のこの会におきまして、ACPにつきましては名称がわかりづらいということがございましたので愛称をつくるということで、前回「人生会議」という愛称で決定したことを御報告させていただいたところでございます。
その後、資料の2ページですけれども、人生会議につきましてロゴマークを今回設定したということで、その御報告でございます。また、前回と同様今回につきましても委員会を立ち上げまして、その委員会の中で議論していただき選定の結果、ACP、人生会議ということでオレンジ色のリボンになっているようなものを今回決定させていただいたところでございます。
今後は、「ACP」ではなくて「人生会議」という名称もあわせて、普及啓発に一層の努力をさせていただきたいと考えているところでございます。
説明は以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
それでは、御質問・御意見をお願いします。山口委員。
○山口委員 2つございます。まず、災害医療コーディネーター、これだけ毎年いろいろな災害が起こっている中で非常に大事だと思うのですが、資料3-1の3ページを見てみますと、地域によってかなりばらつきがあって、人口に比しているのかと思ったらそれもまた違うということで、一生懸命取り組んでいるところと、そうではないところの差が出ているのかなと思うのですが、任命されるのは同じレベルの方なのでしょうか。というのも、機能するかどうかは残念ながら災害が起こらないと結果が出ないということもありますので、一定の基準で任命されているのかどうかをお聞きしたいと思います。
もう一つは人生会議ですけれども、恐らく名称を決められた会議の方たちは、その過程の中で納得して「人生会議」という名前になったと思いますけれども、一般的に「人生会議」と言われても何をすることなのかなかなかわからなくて、ACPというのはもともと本人と家族と関係する医療者たちが継続的に話し合いをしていく過程が大事だと聞いています。これをどこかの会議でお話ししたら、ロゴマークでわかりやすくするのだと言われて、今回ロゴマークが出てきたのですが、これが何を説明しているのか、正直私はガッカリしてしまいました。これはお願いですが、ACPのちゃんとした意味をきちんと説明していただかないと、名称とロゴマークでは一般的にはわからない結果になっているということをお伝えしておきたいと思いました。
以上です。
○永井部会長 事務局どうぞ。
○地域医療計画課長 御指摘ありがとうございます。
ACPの御指摘につきましては、確かにおっしゃるとおり、名称やロゴマークが先行しないように、きちんとした意味が伝わるように説明なり研修会なりをさせていただきたいと思っております。
災害医療コーディネートの任命状況につきまして、都道府県で若干差があります。一定の基準で任命されているのかということでございますけれども、一応こちらといたしましては研修を行っておりまして、その研修に基づいて都道府県に任命していただいていると認識しているところでございますが、やるべきことが必ずしも明確ではなかったところがございましたので、今回、活動要領をきちんと定めてやるべきこと、活動要領の中にはだれが任命するのか、何かあったときの弁償や補償をどうするのかといったところも含めて今回マニュアル化、要領化させていただきますので、今後この要領に基づいてきちんと都道府県で任命もしくは運用がされるものと考えているところでございます。
○永井部会長 野村委員どうぞ。
○野村委員 1つだけ質問させていただきたいのですけれども、災害時の小児周産期リエゾンの任命状況で、先ほどのお答えにもあったかと思うのですけれども、ばらつきがある中で、すごくたくさんあるところとゼロの差の原因、理由として、例えば周知問題だけなのかというところを聞きたいのと、もう一つ、今後これは全国的にある程度の水準の人数が確保されるような流れになるのかどうかを教えていただきたいです。
○地域医療計画課長 御質問ありがとうございます。
1点目の小児周産期リエゾンにつきましては、医療計画の中で位置づけられてまだ日が浅いところがございますので、都道府県の差がかなり出ているのではないかと思っております。これも今回、やるべきことについてきちんと明確化しているということがございますので、県に、計画でもきちんと位置づけていただいて養成していただく、もくしは任命していただくということを期待したいと思っているところでございます。
済みません、2点目は。
○野村委員 今、お答えいただいた今後ふえていくかどうかなので、ありがとうございました。
○永井部会長 安部委員。
○安部委員 資料3-1の6ページについて発言をしたいと思います。
右側のポンチ絵ですが、大規模災害時の保健医療活動に係る体制のモデルが示されています。このモデルは熊本地震の活動において情報連携が十分に行われず、保健医療活動が効率的に行われなかった場合があったといった反省や検証に基づいて、平成29年7月5日に医政、健康、医薬・衛生局長等の通知で示された中の資料と認識しております。災害が起きた場合には、都道府県の災害対策本部の下に保健医療調整本部を置いて、医務、保健衛生、薬務、精神保健を主管とする行政と、保健医療活動チームが相互に連携する仕組みが示されております。新たな災害に備え、大変有効な体制整備であろうかと思っております。
ただ、資料の右上に、救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会で示された資料と記載がございます。残念ながら、この検討会には薬剤師での立場での参加がございません。平成23年の災害医療等のあり方に関する検討会、これと同じような検討会があったわけですが、その際には東日本大震災での活動に基づいて薬剤師も委員として参加して、災害に関する薬剤師の役割や連携のあり方に関して意見を申し上げているところです。このポンチ絵にも示されているように、保健医療調整本部において、医務、保健衛生、薬務、精神保健を主管する行政と、保健医療活動チームが相互に連携することが示されている中、ここに薬剤師の意見が反映されないというのは極めて残念なことであると思っております。
熊本地震の際も、医薬品の供給や薬剤師の派遣に対してさまざまな課題があったこともありますので、ぜひ、その必要性については事務局にも御理解いただきたいと思いますし、事務局からコメントがあればいただきたいと思います。
○永井部会長 事務局お願いします。
○救急・周産期医療等対策室長 発災時にさまざまなチームが対応する中、薬剤師の活躍も非常に重要であるということは我々としても認識しているところでございます。先生から御意見をいただきました、救急災害の検討会の委員ということですけれども、どのような形があるかも含めて検討したいと考えてございます。
○安部委員 よろしくお願いします。
○永井部会長 では、牧野委員どうぞ。
○牧野委員 今、全く同じことを申し上げようと思っておりましたが、薬剤師が入っていないように歯科医師も入っていないのでございます。歯科では、自主的に災害歯科コーディネーターの研修制度を立ち上げまして6年やってきて、やっと国から災害医療チーム等養成支援事業ということで災害歯科保健、医療体制研修会を認めてもらったところでございますが、そういう重要性がわかっていながら救急・災害医療体制等の在り方に関する検討会に、薬剤師とともに歯科医師が入っていないというのは非常に残念なところでございまして、同じように今後とも検討していただきたいと思います。
○永井部会長 事務局、よろしいでしょうか。
○救急・周産期医療等対策室長 歯科につきましても、非常に重要な役割を果たしていただいていると認識してございます。どのような連携のあり方が考えられるのか検討させていただきたいと思います。
○永井部会長 では、猪口委員。
○猪口委員 1つだけ確認させてください。資料3-2の訪日外国人旅行者等に対する医療の提供に関する検討会の内容を見させていただいたのですが、片一方で、これは内閣府ですか、首相官邸ですか、訪日外国人に対する適切な医療等の確保に関するワーキンググループというものが行われております。こちらは省内で、こちらは内閣ということになるのでしょうか。そこの連携や関係、我々も両方に顔を出すので、その辺について少しはっきりとさせていただかないと今後の対応がわかりづらいので、よろしくお願いいたします。
○総務課長 実は、政府全体のワーキンググループは、今まさにこの時間帯に内閣官房で行われております。私どものほうは、政府全体の取り組みについては昨年6月に総合対策という形で、観光、経済活動も含めて全体の絵柄が描かれています。そのうちの医療の部分につきましては私ども医政局で、この検討会の中でやっております。この検討の成果もしくは整理につきましても、言ってみればこの部分はこちらが担当して、それを向こうに反映させるという構造でさせていただいていますので、相互に連携して進めているところでございます。
○永井部会長 では、最後に小熊委員。
○小熊委員 災害拠点精神科病院のことですが、専門の山崎委員がいらっしゃる前で私が話すのは間違っているかもしれませんが、今、精神科医療というのは急性期が非常に苦しいと。急性期を担当する病院が非常に少なくなっていて、その中から災害拠点精神科病院をさらに進めるというのは、相当難しいことになるだろうという思いを持っています。と言いますのは、災害拠点病院で精神科を持っているのは全精神科の3%しかない、そんなレベルです。それと一般の精神科急性期対応が可能なところはどんどん減っていっていますので、そういった意味でこれは非常に重要なことだと思いますので、本腰を入れてやっていただかないといけないのではないかと私は思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○永井部会長 ありがとうございます。まだ、いろいろ御意見がおありかと思いますが、時間になりましたので、ぜひ御意見は事務局にお寄せいただければと思います。また、事務局は必要な対応をお願いいたします。
では、最後に、事務局から連絡事項をお願いいたします。
○保健医療技術調整官 次回の医療部会の日程につきましては、詳細が決まり次第、改めて御連絡させていただきます。
○永井部会長 ありがとうございました。
それでは、本日はこれで終了いたします。
 

 

(了)

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