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2018年9月26日 第64回医療部会

医政局総務課

○日時

平成30年9月26日(水)10:00~12:00
 

 

○場所

全国都市会館 第2会議室

○議事

○医療政策企画官 皆さん、おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから、第64回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして、まことにありがとうございます。
 医療部会の総委員数が24名でございまして、定足数は3分の1の8名となっております。本日は、安部委員、猪口委員、尾﨑委員、九喜委員、楠岡委員から御欠席との御連絡をいただいております。井伊委員が、電車の遅延の関係で少し遅れますが、もうそろそろ到着と聞いています。井伊委員を含めまして19名の委員が御出席し、定足数に達していることを御報告申し上げます。
 次に、議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。お手元に議事次第、座席表、委員名簿、医政局出席者名簿のほか、資料1~4、参考資料1、2-1~2-4をお配りしております。
 前回の医療部会以降、事務局におきまして人事異動がございました。配付の医政局出席者名簿にかえまして、御報告とさせていただきます。そのほか、資料に不足等ございましたら、お知らせいただければと思います。
 もし、カメラの方がおられましたら、ここで退室をお願いしたいと思います。
 以降の進行は、永井部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 それでは議題に入ります。初めに、欠席の安部委員の代理として森参考人、尾﨑委員の代理として家保参考人の御出席をお認めいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なしと声あり)
○永井部会長 ありがとうございます。
 では、議題に入ります。
 まず、「医師の働き方改革に関する検討会について」、事務局より御説明をお願いいたします。
○医療政策企画官 医療政策企画官の千正でございます。
 医師の働き方に関する検討会の議論について、御報告申し上げます。資料1をごらんください。
 前回、7月27日の医療部会の後、働き方の検討会は9月3日、19日の2回開催されております。
 まず、1ページをお開きいただきまして、9月3日の検討会冒頭に座長の岩村先生より、この検討会は年度末に結論を出すということになっておりますけれども、年度末に向けてどのような形で検討を進めていくかということについて、座長の御指示を受けて事務局で紙を整理したものでございます。こういう進め方で行こうということについて、検討会では共通認識ができていると承知しております。
 今後の議論について、(1)は働き方改革の議論をきっかけとして、今後目指していく医療提供の姿をどうしていくのかを検討していく必要がある。(2)は医師の特殊性や医療の特性を整理していく必要があるということでございます。(3)は医師の働き方に関する制度上の論点、宿日直、自己研鑽、時間外労働の上限時間数等々。こうした3つのトラックで進めて、医師の働き方改革を通じて医療をよくしていく大きなビジョンをまとめていったらどうかということをお示しいただきました。
 年度末までに取りまとめということから逆算しますと、年内かおそくとも年明けぐらいには、骨子という形で一定の方向性を打ち出していきたいということでございます。
 この2回の検討会で議論された論点は3つございまして、宿日直許可、自己研鑽についての労働時間該当性、医師法に定めております応召義務の整理ということでございます。簡潔に御説明させていただきます。
 4ページをお開きください。労働基準法上、労働時間とはどういうものかということでございます。1つ目の○にありますように、使用者の指揮命令下に置かれている時間が労働時間というのが、労働基準法の考え方でございます。宿日直の関係で言うと、イに書いてございますけれども、使用者の指示があった場合に即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されてない状態で待機をしているというような時間については、労働基準法の基本的な考え方は労働時間であるというガイドラインが出てございます。しかし、例外もございます。
 5ページの上から2つ目の○例外ですけれども、労働密度がまばらで労働時間規制を適用しなくても必ずしも労働者保護に欠けることのないといった、一定の断続的労働に従事する者について労働基準監督署長の許可を受けた場合には、労働時間規制を適用除外にするという仕組みがございます。
 どういう場合に、労働基準監督署長の許可を得られるのかということについて考え方が示されておりまして、その2つ下の○のところ、これは全業種についてですけれども、労働者本来の業務は処理せず、構内の巡視、電話を受けたり、非常事態に備えて待機する、常態としてはほとんど労働する必要のない勤務を許可の対象としているということでございます。
 しかし、医師・看護師についてはさらに追加した考え方が示されておりまして、5ページの一番下でありますけれども、本来の業務であっても特定の軽易な業務(定時の巡回、定時検温脈等)については、宿直勤務中に処理しても差し支えないという考え方が整理されております。この医師・看護師の宿直の考え方については、昭和24年の通知で示されておりますので、これを現代の医療現場の実態に合わせて、どのような軽易な業務が例示できるかということを具体化していこうという試みを検討会でやっております。
 9月3日に事務局から、こういった業務であれば例示として考えられるのではないかということをお示ししました。ページが飛んで恐縮ですけれども、10ページをお開きいただければと思います。
 事務局において整理をして例示としてお示ししたものは、10ページの3つ目の四角の中に2つポツが書いてあります。病棟当直において少数の要注意患者等々、やる内容としては問診等による診察、看護師などほかの職種に対する指示・確認を行うこと。もう一つは非輪番日等の外来患者の来院が通常想定されない休日・夜間において、少数の軽症の外来患者やかかりつけ患者の状態の変動について、問診等による診察、看護師等他職種に対する指示、確認を行うこと。こういうようなものであれば、労働基準監督署長が許可する業務の例示として示せるのではないかと。
 こういったことを事務局からお示ししまして、委員の皆様方から、具体的な例示があってわかりやすいという御意見もありましたし、もう少し書き方を工夫したほうがいいのではないかという御指摘もございました。ここについては、御指摘も踏まえまして、さらに精査を続けていって、最終的に検討会にお示し、御議論いただくということにしてございます。
 自己研鑽のほうですけれども、業務時間が終わっても勉強をしたいとか技術を学びたいということで、病院に残られているお医者さんがおられます。そういった時間が労働時間なのかどうかについて、どう判断するのかという論点であります。これは客観的に使用者の指示があったか。黙示の指示と裁判等で評価される場合もありますけれども、どのような場合に指示があったと判断されるのか、これも具体的な自己研鑽の内容について例示できないかという試みをしてございます。
 16ページの上から3つ目の四角にポツを2つ書いて、9月3日時点でお示ししている例示を書いてございます。病院外で行われている学会や勉強会で使用者の指示がなく時間外に任意に参加している、指示がなくて業務時間外に任意に行っている執筆活動というものを例示してございますけれども、率直に申し上げて、これはまだ明らかに労働時間ではないだろうというものをお示ししている段階でございまして、さらに事務局で精査をして、もう少し具体的な例をお示しして、今後検討会で議論していくという予定になってございます。
 応召義務については医事課長のほうから。
○医事課長 医事課長でございます。
 17ページからの応召義務に関してでございます。
 医師法第19条に医師の応召義務が規定されていまして、診療に従事する医師は正当な事由がなければ、患者からの診療の求めを拒んではならないとされています。これに関連する通知を累次出しておりますけれども、何が正当な事由であるかは、それぞれ具体的な場合において、社会通念上、健全と認められる道徳的な判断によるべきものと解釈されています。
 18ページですけれども、正当な事由のある場合とは、医師の不在又は病気等により事実上診療が不可能な場合であると解されるとあります。また、地域で医療体制が整っていて、そちらのほうで対応するということであっても、医師法19条の第1項の規定に反しないことも書かれておりますが、症状が重篤である等、直ちに応急の措置を施さなければ、患者の生命、身体に重大な影響が及ぶおそれがある場合に診療に応ずる義務があるという通知も過去に出しております。
 19ページですが、法的性質としましては、応召義務は医師が国に対して負担する公法上の義務でありますが、罰則は規定されていないという関係であります。医師法上、行政処分はあり得るものの、実例は確認されていない状況でございます。
 20~21ページに、応召義務の法的性質について図示させていただいたものであります。21ページのほうはシンプルでございますが、20ページは医療機関、勤務医という関係がありまして、患者さんとの関係では医療機関としては診療契約(民法上の準委任契約)であることなど、一応整理したものがまとまっているところでございます。
 22ページでございますけれども、これまでの医療提供体制の変遷からの応召義務の規定時以降の流れでございます。もともと応招義務が制定された当時は、医療体制の量的確保が求められたということで、連携と医療供給体制が整っていなかったということでありまして、累次の医療法改正ということで、計画的に進んでまいりました。
 23ページに参りまして、一方、応召義務は医師の公共性、医師による医業の独占、生命・身体の救護という医師の職業倫理などを背景に訓示的規定として置かれたということでございますが、23年当時、医療提供体制のシステム化がまだなかったこともありまして、確保していく必要があったのですけれども、現在は機能分化・連携により高度化・専門化を進めている状況でございます。そういった状況で、これまでの応召義務の解釈が、現在における応召義務のあり方という整理ができてないということで、新たな解釈を示すことが必要となっております。
 その前提としまして、応招義務は医師法に基づき医師が国に対して負担する公法上の義務であるけれども、罰則はないと。応召義務は私法上の義務ではなく、医師が患者に対して直接民事上負担する義務ではないこともまとめております。
 24ページ、今後の方向性でございますけれども、これまで整理したとおり、医師個人の民刑事法上の責任や医療機関の医師の労働契約等に法的に直接的な影響を及ぼすものではありませんけれども、実態として職業倫理・規範として機能してきたということであります。その背景として、応召義務について、純粋な法的効果以上に医師個人や医療界とって大きな意味を持って、過重労働につながってきた側面もありますけれども、当然、長時間労働を求めていると解することは正当でないと議論しています。
 こうしたことを踏まえまして、具体的な個別ケースごとに改めて体系的に内容を示していくと考えているところでございまして、今後、応召義務の考え方について 応召義務の対象・範囲、当事者が誰か、当事者の状況、応召義務の問題か否か等、正当な事由の範囲等を議論して整理をしていく予定でございます。
 25ページ以降は、具体的な判決がついております。それから、参考資料の1の13ページには、諸外国の状況などもおつけしているところでございます。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、御意見、 御質問、いただきたいと思います。木戸委員。
○木戸委員 1ページ目にあるように、検討会が非常に多くの複雑な問題をうまく整理して、働き方改革を通じて医療をよくしていくといった建設的なビジョンを持って進んでいくということで、期待が持てる内容になっていると思います。
 この中で、今後の進め方の表にある(3)の宿日直につきましては、今後の夜間・休日の診療体制のあり方にもかかわってくるので、むしろ左の(1)の「今後目指していく医療提供の姿」に直結する問題として、今後丁寧に議論していただきたいと思います。
 例えば8ページには、寝当直とありますけれども、これは非常に誤解を招きやすい言葉で、救急患者が来たら対応するという、もともとの契約であれば、結果的に1件も救急がなくても、枕を高くして休むことはできません。家族と離れて病院内で待機することは、医師にとって心身に非常に負担であることに変わりありませんし、オンコールについても同様です。タイムスタディなどの数字には出ないような、目に見えないような負担感をどう評価して、医師の心身の健康をどう今後確保していくかということについて、議論を進めていただきたいと思います。ですから、今後、現場の医師たちの意見や改善への提案をできるだけきちんと聞いていただいて、議論を進めていただきたいと思います。
 以上が要望です。
○永井部会長 ありがとうございます。山口委員、どうぞ。
○山口委員 16ページに「『自己研鑽」に係る議論の視点」がございまして、3つ目の□に、具体的に自己研鑽に当たるのではないかという例示が2つされています。
 上の「病院外で行われている学会や勉強会で、使用者の指示がなく業務時間外に任意に参加しているもの」は、自己研鑽でとてもわかりやすいのですけれども、下の「使用者の指示がなく、業務時間外に任意に行っている執筆活動」が、自己研鑽に当たるのかと疑問に思いました。
 例示を見て、これが自己研鑽だとこれから判断していくとすれば、まだ、議論の途中だということですので、もう少し明確に自己研鑽に該当するものを例示したほうがいいのではないか。執筆活動というと、研究でされているか、個人的に何か依頼をされて執筆をするということが一般的に考えられると思いますので、もし解釈が誤っているのであれば、これはこういう意味ですと教えていただければと思います。もし、そうでなく例示されているとしたら、もう少し自己研鑽の判断ができやすいものを例示したほうがいいのではないかと思いました。
 以上です。
○永井部会長 いかがでしょうか。なかなか難しい問題なのですが、書いて初めて勉強になるということもあるのですが。
 そのほかのことで。山崎委員。
○山崎委員 私は病院は医師と労働契約を結んでいるわけであって、病院の収入に直結しない行為は自己研鑽だと思います。診療をするという契約をしているわけですから、それに直結しない執筆活動は契約外の行為なので、自己研鑽だと思います。
○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。
 加納委員、どうぞ。
○加納委員 先ほど説明があった10ページの3つ目の□ですが、さらに精査するということでしたので、これから変わってくると思うのですが、2つ目のポツのところの「非輪番日等の外来患者の来院の通常想定されていない休日・夜間において」ですが、「非輪番日等の」が必要なのかどうかということです。輪番制があるところとないところがもともとありますし、大都会において輪番制という言葉を使っていない地域があるので、これをあえて書く必要があるのか。もし必要がなければ、削除いただいたらどうかと思うのですが、どうでしょうか。
○永井部会長 どうぞ。
○医療政策企画官 事務局でございます。
今、加納委員が御指摘いただいた内容は、実は9月3日の検討会でも同じような御意見が出ました。そういった御意見も受けとめて、さらに検討していきたいと考えています。
○永井部会長 ほかにいかがでしょう。
 はい、島崎委員、
○島崎委員 応召義務に関してお尋ねします。応召義務をめぐってはこれまでも社会情勢の変化に応じて解釈を見直すべきだという議論は、かねてよりあったと思うのですけれども、これまでの基本的なスタンスというのは、個別・具体的な事案に即して判断するということだったと思います。
 今日の資料を拝見すると、例えば23ページに「これまでの応召義務の解釈・通知等のみでは、現代における応招義務のあり方を整理することは困難であるため、新たな解釈等を示すことが必要」と、かなり踏みこんだ形になっているように思います。
 確認も含めて2つばかりお伺いしたいのですけれども、きょう、ここでプレゼンテーションされているということは、新たな解釈を示す用意があるということなのでしょうか。これが質問の第1です。
 2つ目は、資料の19ページや後ろのほうに裁判例が載っており、これらの地裁の裁判例は先例拘束性を有しないというのはそのとおりだと思いますし、私も基本的に書かれていることについて違和感はありません。けれども、これまで一定の地裁の裁判例があったことは事実ですし、学会の中でも、そのことの当否は別にして、言ってみれば公法上の規定をよりどころにして民事上の請求の根拠のひとつとして使ってきたのも事実だと思うのです。そういうことを考えてみたときに、法学会の中で、今日ここで書かれていることが本当に強いコンセンサスとしてあるのかどうかということについて、せっかく本日は岩田先生がいらっしゃるので、その点について御所見をお伺いしたいと思います。
○永井部会長 岩田委員、いかがでしょうか。
○岩田委員 ありがとうございます。
 どこから申し上げるかというと、実は御存じかもしれませんけれども、19日にあった働き方改革の検討会で、応召義務について、私が厚生労働科学研究費をいただいて検討し、取りまとめをしようとしていますので、御報告させていただきました。
 前置きが長くなりますが、基本的に応召義務があるから、ここにも書かれているように、際限なくお医者さんが過重労働しろという誤解があるのでないかということだったので、それは違いますと強調したのです。
 その上で、会議の後に何人かの先生から、だったらどんどん患者を断っていいのかと言われたのですけれども、そんなことは当然なくて、法的な義務はなくてもお医者さんは患者を助けるためにいるので、医療倫理の基本として国と自治体が第一次的には義務を負うのですが、お医者さんも協力して体制を整えることが重要なのですとお伝えしたのです。
 島崎先生がおっしゃってくださった従来のやり方は、割と広い義務をお医者さんのほうに課しておいて、あとは正当事由ということで事後的にこういう場合は大丈夫ですという言い方をしていたのですけれども、それは時代の背景もあって、医療体制が十分ではなかったとか医師数が十分ではなかったところで、そういう体制をとったのだと思うのですが 後ほど事務局のほうから御報告があるかもしれませんが、ここで私たちがしようと思っているのは、事後的に、しかも法学者もしくは裁判所がこういうものは認められるとか認められないというやり方だと、お医者さんと医療専門家の方たちも困るのではないか。だから、具体的にこういうものは確実に正当事由として認められます、こういうものはだめでしょう、そもそも応召義務の問題ではないということを何らかの形で示したい。先ほどの話にもありましたけれども、要するに具体的にどういうことを考えれば大丈夫なのかというメッセージを与えようというのが、私たちの求めている方向性です。
 その上で、法学会でコンセンサスはあるのだろうかということなのですが、医療の専門家の先生方はよく御存じだと思うのですけれども、法学会もいろいろな人がいらっしゃるので、そういう意味では一枚岩でないことは確かです。
 医事法学会という、こういう問題についてやる学会があるのですが、そのメンバーでもないので、本当は代表して言うことはできないのですが、私以外にも協力してくださる医事法や民法の専門家の先生が研究班に入っていただいて、その先生方と一緒に調べた限りでは、応召義務について法的な検討が、これまで法学の中ですごく関心が高かったかというと、余り高くなかったというのが事実です。そういう意味では、多くの法学者はこの問題に余り関心を持ってこなかった。その少数の中で幾つかの論文を見たりした上で、先ほど言ったような話なので、今のところ見る限りでは、事後的に出てくるかもしれませんが、有力な議論として大きな異論はないと理解しております。
 最後に長くなりましたが、裁判例については確かに実際上、裁判で医療機関が負けた事例はあります。1つ目は、医師個人に応召義務が課されているのですが、医師個人の責任が問われた事例はないので、そういう意味では医師個人が心配する必要は多分ないだろうと。特にここで私たちが強調したのは、裁判例が幾つかある中で、論理が法的な議論として十分なものだったかというと、その論理は飛躍があるような形なので、そこは考えなくてはいけません。だから、むしろ応召義務の法的な論点というよりは、過失一般の論点なので、応召義務があるから責任があるとか責任がないというよりも、置かれた当時の状況において、医療救急体制を見た上で、さらに医療機関内で、例えばほかの患者に対応中とか、そういう個別の事情見た上で、きちんと判断して同じような結論になり得ることは少数だと思いますけれども、あり得ると思います。ただ、それは応招義務が直接的に影響するというよりも、一要因としてはあり得るけれどもということで、論理をもう少し精緻にすべきだと考えているということです。
 長くなりました。済みません。
○永井部会長 事務局、いかがですか。今の点。
○医事課長 今、岩田委員からもお話ありましたが、検討を進めておりまして、きょう医療部会でいただいた御意見を踏まえて検討を続けまして、何らかの整理をしていきたいと思っているところでございます。
○永井部会長 山崎委員。
○山崎委員 応召義務の問題というのは、資料にありますように、70年前につくられた医師法で縛られて応召義務があるわけですけれども、当時の医療提供体制とは随分違っているわけです。
 また、今回の検討の中で、最初に医師法に応召義務ありきでもって、検討が進んでいると思います。今回は検討するなかで、諸外国ではどういう法体系の中でこれに近い考え方が入っているのかというのを1回整理してみて、必ず医師法にこういう条項が必要なのか、あるいはほかの法体系の中で緩和した考え方を入れていくかというのも、70年たっているのだから、整理したほうがいいと思いますが、いかがでしょうか。
○永井部会長 事務局、いかがですか。
○医事課長 御質問にお答えいたします。
 参考資料の1の13ページに、諸外国の状況と関連するものについて整理をしておるところでございます。まだ、これは完成形というわけではありませんが、こういった現時点版の資料も踏まえながら、今、研究班や検討会でも議論を進めておるところでございますので、きょうの御指摘を踏まえまして、引き続き議論をしていきたいと思っております。
○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。平川委員、どうぞ。
○平川委員 ありがとうございます。
 私は宿日直の関係で発言させていただきます。
 10ページに論点を含めてまとめられていますけれども、これで医師の労働負担が本当に軽減されるかどうかというところについては、まだまだ議論が不足しているのではないかと思っています。
 時間外労働の上限規制との関係で、労働時間にカウントするのかどうかという問題意識は一定程度理解しつつも、もともと医師の長時間労働をどのように改善していくかという議論をしてきていることでありますので、その観点が少し弱いのではないかというのが率直な意見としてございます。
 タイムスタディ調査も行われておりますけれども、この10ページの中に、「特殊の措置を必要としない軽度の又は短時間の業務」とはどのケースに当たるのかということが、よくわからないと感じています。
 3つ目の□の1つ目の「病棟当直において、少数の要注意患者の状態への変動の対応について」とありますけれども、患者数が少なければ実労働時間が少ないかというと、必ずしもそうではないということもあり、さらにこの辺は慎重に検討していく必要があるのではないかと思います。
 宿日直や当直の議論をした際に、当直明けの勤務のあり方を工夫してはどうかという提案もあったかと思いますけれども、それらの論点についても過重労働の解消に役立つのではないのかと思っていますので、今後の議論の中に検討の一つとして入れていただければと思います。
 自己研鑽の関係でありますけれども、自己研鑽とは何かというのを明確にしていく必要があります。他の職種においても労働か否かというのは、なかなか完全に切り分けができていないという状況がありますけれども、例示やヒントを示した上で、最終的には実態を見て判断していくべきものではないかと考えているところであります。
 以上、意見として言わせていただきます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 山崎委員。
○山崎委員 働き方改革で危惧をしているのは、今まで過重労働と言われる労働でもって、医療現場は回っていたわけです。働き方改革で労働するほうの量を少なくするならば、今度はそれにかわる新しい人を必ず加えなければ、そこはパンクしてしまうわけです。
 医師の働く時間を短くしたならば、短くした分の医師を補充しなければならなくなって、医師の不足状態は当然強くなりますし、後期高齢者がこれからどんどんふえていく中で、もっと医療ニーズはふえてくるわけです。どのようにして増加する需給に連動させていくのか、全然議論されていないような気がします。
 実際、今の医療現場で既に医師が少なくて、いろいろなサービス業者、紹介業者から紹介を受けて、やっと病院が回っている状態なのに、そこに働き方改革で労働制限をかければ、ほかの医師をまた探さなければならないということにならないですか。
○永井部会長 事務局からお願いします。
○医事課長 医事課長でございます。
 恐らく医師需給の観点での御質問と思います。医師の働き方改革の議論と医師需給の関係はリンクしていると認識しておりまして、今後、医師の働き方改革の議論の進捗に合わせまして、医師需給の検討も議論をしていく予定でございます。
○永井部会長 どうぞ。
○山崎委員 関連なのですが、私が危惧しているのは、例えば聖路加病院に監査が入った結果どうだったかというと、十数億円の労働の賃金を支払えという話から始まって、自己研修時間も労働時間に入るとされ、ケースカンファレンスができなくなりますし、夕方の7時以降に家族に病状説明するのも残業になるからだめだとか、土曜日にやっていた外来も対応できるだけの体制がつくれないとだめになったし、眼科、耳鼻科、皮膚科のスタッフは当直体制を組めるような人数ではないので、当直からはずれています。明らかに聖路加病院の診療体制は悪くなってしまっているのです。
 このように、働き方改革を急速に進めることによって、医療現場が崩壊したときに誰が責任をとるのでしょうか。すごく危惧しています。
○永井部会長 吉田局長、どうぞ。
○医政局長 医政局長です。山崎委員の御指摘、ありがとうございます。
 本日の医療部会で御報告しておりますのは、まさに議論をいただいております働き方に関する検討会における議論の状況でございますので、きょういただきました御指摘も踏まえて、検討会のほうでさらに議論をさせていただくというのは基本的スタンスだと思います。
 ただ、先ほどの資料の1の1ページ目でもごらんいただけましたように、検討会における委員の方々の考え方も、この世の中において、お医者さんにおいても働き方改革を進めなければならないという基本認識の上で、今、御指摘いただきましたように、その結果、地域医療にどういう影響があるかとか、あるいは医療界としてもタスクシフティングなり、勤務環境改善の関係からいろいろと今までの医療の中から新しい方向を踏み出していただく必要があるのではないかという視点、さらには患者さんや国民の側から見ても医療のかかり方についていろいろと議論し、検討していくべきではないか。いわば複合的な連立方程式の中でこの問題を解いていこうということですので、一つ一つの要素について御指摘いただきました影響を、十分、我々事務局として委員の皆様方の御検討を踏まえて、次なる政策を考えていきたいと思いますが、大きな流れとして、働き方改革を進めながら、結果として日本の医療をよくしていくことをどうやったら実現できるかというところについて、今までのルールあるいは実態を見直すことが議論の出発点と認識していますので、いろいろな御指摘をこれからもいただきながら、検討会として御議論をいただき、事務局として受けとめたいと思っております。
○永井部会長 よろしいでしょうか。加納委員。
○加納委員 山崎委員の追加になると思うのですが、医療の現場、特に病院の状況下における医師の働き方改革の結果によっては、確かに山崎委員がおっしゃっているように医師需給は逼迫するという可能性がありますので、今後、医師の需給の検討の中でしっかりとこのことを反映させていただくようにお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○永井部会長 よろしいでしょうか。相澤委員。
○相澤委員 先ほど吉田局長からお話をいただいたのですが、そもそも医療における働きき方改革は何なのかという原点にもう一度戻って考えなければいけないと思うのです。
 そのときに、できるだけ早く対応しなければいけないことと、少し時間をおいて本当にしっかりと議論しないと困ることとを分けて考えて対応していただきたいと、心よりお願いを申し上げます。
 過重労働で医療の質が落ちたり、そこで働く人の健康被害をどうしようかという概念と、日本の医療の質をきちんと担保しつつ、国民が本当に日本でこういう医療があってよかったと思うことは、必ずしもすぐには一致しないと思うのです。遠い将来は一致していかなければいけないと思うのですが、そこの観点をまず持ってほしいと思います。
 そういう中で、ここの議論の中で全く抜けているのは、私たちは時代を担う若い人を育てていかなければいけないことです。育てていくというのは、単なる机上の空論ではだめで、実際に患者さんを診てもらって、指導医なりがしっかりと教えていくということが極めて大事で、そのためには皆がそこに時間を使っているというところを、忘れないでこの中に入れていただきたい。どこにも入っていないので、お願いをしたいと思います。
 例えば、私たちの教育病院では、専門医としての資格を取るために必要な症例は必ず記載されています。そうすると、症例を経験してもらいたいために、こういう症例が来たから手術をするからどうかと言ったときに、それは命令なのか、相手に全てを委託しているのか、私はちょうど中間ではないかと思うのです。来いよと言っているのと、来たほうがいいのではないか。それはお互いの状況を見て判断しているわけで、教育という観点、次代の人を育てていくのだという観点を持っていないと、現場は非常に大変になると申し上げたいと思います。
 もともと、いろいろな法的なことが発生するのは、患者さんと医師が契約を結んだから発生するのです。患者さんをどうするかということに対応するのは、契約を結ぶ前の話です。契約を結びますか、どうですかというところで来たと。そこのところをどうやっていくのかが重要で、日本の医療にとって、極めていい状況をつくり出せるのかどうかということは考えないといけない。私が心配するのは、これからITによる診察が始まるわけです。そうすると、そこも十分に考えていかないと、どこまでが医師と患者の契約なのか、契約を結ぶ前に、契約しますかどうしますかという問題と整理をするのが、私は応召義務の整理の一つの考え方になるのではないかと思うので、検討をお願いしたいと思うところです。
以上です。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
 まだ、御意見はあるかと思いますが、後ほどお寄せいただくことにして、ただいまの御意見を踏まえて対応をとっていただければと思います。
 続いて、「救急・災害医療提供体制の在り方に関する検討会の議論」について、説明をお願いいたします。
○地域医療計画課長 地域医療計画課長でございます。
 それでは資料2に基づきまして、御説明をさせていただきます。
 「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会について」という資料でございます。
 1ページ目でございます。この検討会の趣旨でございますが、平成30年度から各都道府県におきまして第7次医療計画が策定されて、救急医療体制については地域連携の取り組みや救急医療機関の充実に向けた見直しを、災害医療体制についてはコーディネート体制とか連携体制、そういったものの構築に向けた見直し等を進めているところでございますが、さらにこれらの医療の充実を図っていく必要があることを踏まえまして、この検討会を開催させていただいているところでございます。
 検討スケジュールのところにございますが、これまで、全7回行っておりまして、途中、第6回7月6日時点で、「これまでの議論のまとめ」をつくらせていただいております。
 まとめを作りましたのは、緊急に対応するもの、もしくは予算要求に対応するものとがございましたので、暫定的に議論の方向性を委員会の中でまとめていただきました。
 2ページ目をごらんいただきたいと思います。その当時、7月6日にまとめたものの議論の整理がございまして、今後、さらに議論が進むという前提ではございますが、ここにあります3つのことにつきまして、一応、方向性についてまとめていただいたところでございます。
 1つは、「DMAT事務局の体制強化について」ということでございます。現状と課題にありますとおり、体制につきまして応援体制も含めて脆弱であるという課題があるので、これらの方針につきましては、事務局の人員増強、事務局のあり方の見直し、支援団体等に置きます応援体制の確立、研修の創設というものが方向性として示されております。
 これを踏まえまして、お配りしております資料4「平成31年度概算要求の概要」の8ページの5番にあります「災害医療体制の充実」で、今回これを踏まえまして、DMATの体制整備事業を前回よりも予算を倍増して、体制整備をする予算を計上させていただいていることになっております。
 もとの資料に戻っていただきまして、2番目が「災害時を想定した平時における燃料等の供給の確保について」でございます。これにつきましては、本年度、福井県等におきます豪雪の事例をもとに、当時、燃料の不足等の事例が発生しております。今回の北海道におきましてもそのような事例が発生しましたが、これを踏まえまして、今回、方針といたしまして拠点病院の指定要件のほうに、食料、飲料、医薬品と同様に燃料についても優先的に配給されるような体制の整備等につきまして、今回、通知のほうを改正させていただいているところでございます。
 実際に改正された通知が3ページ以降に書かれておりますが、9月5日付で通知を改正させていただきまして、災害拠点病院の基準のところに、要件を抜粋しておりますが、ここに燃料という言葉を加えさせていただいたことと、その他につきまして、要件を満たしていないものついて平成32年3月までに整備するということで、この部分について改正させていただいております。
 それ以外にも、その下にあります災害拠点病院以外の医療機関につきましても、こういった災害時において診療ができるように、食料、飲料水、医薬品、燃料について、特定の業者が被災等で配送ができなくなる事態に備え、災害時にも優先的に燃料等の供給を受けるための平時からの複数の業者等と協定を結ぶことは必要である旨の通知とか、都道府県におきましても、業者や地域の関係団体に対しまして、必要な情報を提供する役割を担うことは期待される旨を周知することで、今回、通知を改正させていただいております。
 戻りまして2ページの3番目にあります、「病院前医療の提供手段について」でございます。これにつきましては2つございまして、1つは「病院前医療の効率的な提供に係る地域の協議について」でございます。これについては、現状と課題にありますとおり、地域間の救急医療関係者の協議が十分でないこともございますので、今回、メディカルコントロール協議会または下に設置された部会を活用して、地域で運用ですとか、事後検証を含めた一体的な協議を実施するような体制の整備を行っていただくと。
 2番目にドクターヘリの安全運航につきまして、平成28年神奈川県のドクターヘリ落着事故発生を踏まえまして、ドクターヘリの安全な運用・運航に関する検討が必要ではないかというような課題に対応するため、今回、ドクヘリの安全な運用・運航のための医療クルーの安全教育、それから情報の共有を含む安全管理体制を確立する方針が出されたところでございます。
 これを踏まえまして、次の4ページからになりますが、通知を改正いたしまして、以下のような内容の通知を新たに発出しているところでございます。安全管理体制につきましては、これまで運航調整委員会はございましたが、必要に応じてこの下部に安全管理部会をつくっていただきまして、運用の手順書ですとか、インシデント・アクシデント情報の収集・分析、ドクヘリの安全管理に関する調査・検討を行って、その旨を調整委員会のほうに報告する新たな組織をつくる、もしくは調整委員会のほうでこのような業務を担っていただく体制の整備を図ることが第1点でございます。
 2点目が5ページ目でございますが、安全運航の関係について、今ありますドクターヘリ運用要領に加えまして、新たに運用手順書をつくっていただいて、日常業務の手順及び運航手順をきちんとあらかじめつくっていただくことを通知のほうで規定したということ。
 3点目に医療クルーの安全教育ということで、搭乗前の安全教育に加えまして、継続的な安全教育も含めて、こういったものを整備していただく。具体的な内容については、先ほどの安全管理委員会で決定していただくことを、今回、通知で書かせていただいております。また、それ以外に、多職種ミーティングということで、多職種に起きます待機開始時のブリーフィング、待機終了時のブリーフィングについても実施していただくとしております。
 情報の関係ですと、6ページになりますが、「インシデント・アクシデント情報の報告について」で、これにつきまして情報の流れを明確にしたところでございまして、1つの流れといたしましては、通常の報告とインシデントが起こった場合について、赤の矢印で書いておりますが、速やかに報告を受けるものとするものと、2つに分けましてインシデント情報を収集することで、今、考えているところでございます。
 インシデント情報につきましては、今回、新たな予算といたしまして、こういった症例を収集するような事業について来年度から行うよう、予算要求をしているところでございます。
 7ページが今後の予定でございますが、これまで取りまとめていただいたものもございますが、それ以外にも、ここにありますとおり、EMISの関係から災害医療コーディネーター、DPAT、災害拠点精神科病院等々につきまして、今後とも議論を行う予定にしております。また、今回、赤字で追加させていただきましたが、この議論を行っている間に、ことしの夏、大きな被災がかなりありましたので、そういった状況を踏まえまして、急性期から回復期におけます医療支援の課題とか、いわゆるEMISの関係、今回、北海道でブラックアウトしたことによってEMISがなかなか使えなかったこともございますので、そういった情報の流れといったものも、適宜、秋ごろをめどに一度議論をしていただいて、方向性を出したいと考えているところでございます。
 説明は以上になります。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは御質問、御意見をお願いいたします。
○家保参考人 今回、御説明ありましたDMAT事務局の体制強化など、災害時の医療救護体制の強化が、31年度当初予算の概算要求で大幅の増額を求めていただいたことは、7月に全国知事会で決議されました「巨大地震に備えた医療救護体制の抜本強化に関する緊急提言」に応えるものであり、非常に評価できるものだと思っております。
 加えて、国では、大規模災害時の医療需要に対する供給の過不足の定量分析にも取り組んでおられると聞いておりますので、ぜひとも、早急にDMATの数など、必要なところを明らかにしていただいて、都道府県や関係機関等に提示して、計画的に養成することをお願いしたいと思います。
 あわせて、被災県としては、受援計画を各都道府県で整えないといけないとわかっておりますが、全国的にDMAT以外に日赤救護班、日本医師会のJMATなど、多数の支援をしていただいている皆さん方がいらっしゃいますなかで、その全体像を国レベルで調整して明確にしていただきたいと思います。各都道府県では難しい部分でありますので、そういうところも御議論いただければありがたいと思っております。
 ○永井部会長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。小熊委員。
○小熊委員 実はきのう、うちの病院のDMATの隊長と話したのですけれども、この間の北海道地震で、透析と透析以上に困ったのは呼吸器をつけている人をブラックアウトしても稼働できる病院に運ぶ必要があるということで、うちのDMAT隊長は消防に救急車を貸せという話をしたらしいのです。
 救急車を持っていって、必要な患者さんを必要な病院へ運ぶと。実際に札幌医科大学に待機して、1日60人ぐらい運んだと言うのですけれども、運ぶ救急車が足りないと。消防に対して救急車を回してくれという話をすると、消防署からは断られたと。
 先ほど、課長が御説明した中に、DMATカー導入促進事業というのが書いてあるのですけれども、今回の地震では、停電に伴う医療機器を必要とする方を運ぶという運搬の手段が非常に困ったと、うちのDMATの隊長が言っていました。消防と災害時のDMATとの間で、DMATだけではないのかもしれませんけれども、何かできないのだろうかという質問を投げかけられたことを御報告したいと思います。
○永井部会長 今の点、事務局は何かコメントございませんか。
○地域医療計画課長 今回の北海道の地震におきましては、やはり電力はなくなったということがありまして、通常の災害に加えまして、特に人工呼吸器の患者さんをどうするかが非常に問題になったと認識しております。
 我々といたしましては、それは2通りのアプローチをしまして、1つは病院サイドから特に在宅の人工呼吸器の方の安否確認と、業者、メーカーを通じた安否確認をやりながら、必要に応じて電源車の配付ですとかバッテリーの配付みたいな整備というものも確認したところでございます。
 ただ、おっしゃるとおり、今後につきましては、そういったものを踏まえて、また、先生がおっしゃっていた、通常の緊急ではないのですが、患者を輸送しなくてはいけない人たちの搬送体制という問題があると認識しておりますので、今後こういった検討会の中で議論をさせていただきたいと思っているところでございます。
○中川委員 今の課長のお答えですが、何となく頑張りますからとしか聞こえないです。
 例えば、2ページの2ポツの「災害時を想定した平時における燃料等の供給手段の確保について」。方針の1つ目と2つ目ですが、「拠点病院の指定要件に」とあって、さらに「災害拠点病院以外の医療機関に対しても」と、書いてあるのだけれども、やはり具体的にどうするかを早急につくらなきゃだめです。
 これだけ災害が頻発しているのだから、災害は日常的なものだと認識しなくてはだめです。今度、起こった時のためにしっかり議論しましょうでは、何もしていないと同じですから。
 担当課長として、業者も含めてシミュレーションというか、実際にこの地区でこうあったらどうするのだとか、例えば首都直下型なんかがあったらどうするのですかと、具体的にそういう計画をつくる作業というか、具体的な議論をすぐ始めてください。決意のほどを。
○地域医療計画課長 具体性がないという先生からのお叱りと認識しております。我々も具体性がわかるような形での議論、それから我々の対応というものを行っていきたいと考えているところでございます。
○永井部会長 加納委員、どうぞ。
○加納委員 中川委員が御指摘の拠点病院に燃料をという件ですが、この検討会が始まったときに、災害拠点病院以外はどうなるのかということで、実は燃料を入れていただいたのです。
 病院というところで何百人という患者さんを診ているわけですから、災害を受けた状況となれば、非常に大きな問題として対応してもらわなくてはいけないと認識していただいていると思っております。ぜひ、今後ともよろしくお願いしたいと思います。
 もう一点、先ほどの救急車が足りなかったことですが、実は岡山のときにはAMATが出動しました。現地の消防署等とで合意しまして、通常の消防の救急は行いながら、例えば避難所からの災害拠点病院へ、例えば熱中症の患者さんが出たときですが、基本的にAMATは各病院の救急車を持っていくというのが原則となっていますので、それを非常に活用していただいたという実績があります。
 そういったことも、今回、最後のところに急性期から慢性期へといった流れの中で、それぞれの救急派遣に関する隊の役割もしっかりと明記、認識、評価をしていただいて、考えていただきたいと思っております。今後も検討議題の大事なことだと思っておりますので、よろしくお願いします。
○永井部会長 どうぞ。
○森参考人 ありがとうございます。
 災害拠点病院等に医薬品を優先的に供給される体制整備は、確かに重要だと思います。そのためには、被災地に医薬品を供給できる体制を整備しなければなりません。東日本大震災を含めて卸がガソリンに困ったということがあります、何回かの災害の経験で、今、被災地へも医薬品を届けられるルートができてきましたけれども、どのように医薬品を確保していくのかということも、ぜひ、この中で考えていただきたいと思っております。
 以上です。
○永井部会長 中川委員。
○中川委員 こういう議論をするときに時々気になるのですが、医療機関は特別なのだと言い過ぎないことも大事だと思います。まずは災害拠点病院が第一だとか、その次にそれ以外もと。今回の北海道のブラックアウトにしても、全道民がそういう目に遭うのですから、医療機関だけが特別なのだから優先しろということを余り言い過ぎないことも大事だと。ぜひ、謙虚にしっかりと強く主張していただきたいと思います。
○永井部会長 ありがとうございます。相澤委員。
○相澤委員 前から国にはずっとお願いをしているのですが、残念ながら、全てを仕切る、コントロールをするところがないのです。ですから、例えば今度もそうだったのですが、北海道で燃料がないと。では、船に積んで持っていけばいいのではないか。でも今、そういう危ないものを船に積むのはだめだと。災害のときに何を言っているのだと、これは誰が命令するのかと。災害のときだから行けよと言うのが普通の国の当たり前のことです。当たり前のことができない日本のおかしさは、ぜひ早く解消してもらいたい。
 それは、ガバナンスをどう効かして、誰がコントロールするのかがないから。それはずっと病院会もお願いしているのですが、一向に解決されない。早急にそれを立ち上げないと、何か大きな災害が起こったときは非常に大変なことになると私は思っております。形ではなくて、実際にどう動くか、ぜひ、お願いしたい。
○永井部会長 木戸委員。
○木戸委員 この議論で抜けているのは国民の視点で、いざ、災害が起こったときに、自分の住んでいるところでけがをしたらどこにかかったらいいかとか、そういった情報提供をふだんからしておかないと、非常に混乱になると思います。
 それから、ちょっとしたけがの人よりも重症の人が優先されるとか、そういったトリアージが有限な医療資源の中で行われていることも、あらかじめわかるように啓発を進めることも重要だと思います。
○永井部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。どうぞ。
○審議官 発言を1つお許しいただきたい。災害担当もしておりますので、まずは一言御礼を申し上げたいと思っております。
 北海道に限らずこれまでも、先ほど中川委員からお話がありましたが、幾度となく災害がございまして、そのたびごとに急性期の被災地医療のみならず、今回の場合、北海道でございますけれども、日常的に必要となる医療、救急医療の確保にさまざまな方々から全力で御支援をいただきましことにつきまして、まずもって御礼を申し上げたいと思っております。
 私自身も発災翌日から北海道庁に詰めまして、さまざまな対応をさせていただきましたし、道庁を初め地元自治体は、被災するわけでございますし、被災者であると同時に支えていく立場でございますので、私どもも本省に担当課長がおりますけれども、夜を徹しての対応でございましたが、ひとえにそういったことを行うためにも、普段から医療の関係の方々、そして今、木戸委員からもございましたが、一般の方々からの御支援もありましたので、そのことも御礼を申し上げたいと思っております。
 1つ、2つだけ追加でお話をさせていただきますと、今回、北海道の地震につきましては、さまざまなことを経験させていただきました。私たち社会が、特に医療については、いかに電力に依拠しておるかということでございまして、電力が供給できないがためにガソリンが供給できない、ガソリンが供給できないがために水が運べないみたいなことが連鎖で起きましたので、私自身も三、四日、北海道庁に詰めましたが、全く食料が得られず、自分の食べ物についても困窮する事態の中で、改めて、先ほどもお話ありましたが、ふだん、透析医療とか人工呼吸器については配慮が当然あるのですが、在宅の医療につきまして、今回、バッテリーの確保でございますとか、バッテリーを得るため病院に患者さんが来られる。そうすると、日常診療の妨げになってしまうことも、今回、改めて学習いたしましたので、そういったことを含めて、さまざまな御指摘をいただきました。
 今後の計画についても遺漏なきように、私ども局を挙げて、あるいは省を挙げて対応させていただきたいと思っております。いろいろ御指摘をいただきましてありがとうございました。
○永井部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 ただいまの御意見をよく踏まえて、また対応をお願いしたいと思います。
 続きまして、「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)に関する取組状況について」、事務局から御説明させていただきます。
○地域医療計画課長 地域医療計画課長でございます。
 資料3「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)に関する取組状況について」という資料で御説明させていただきます。
 1ページ目でございます。「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」は29年8月から行っておりまして、30年3月23日に取りまとめは行われたものでございますが、主な取りまとめの内容を見ていただきますと、「人生の最終段階における医療・ケアについて、事前に繰返し話し合う取り組み(ACP)が医療・介護現場だけでなく国民一人一人の生活の中に浸透するよう、一層の普及・啓発が必要であること(リーフレットの作成や国民になじみやすい名称の検討等)」と取りまとめがされたところございます。これを踏まえまして、本年度以降に行われました取り組みについて御説明させていただきます。
 2ページ目は、「経済財政運営と改革の基本方針2018」に載っているものでございまして、この中にも関係団体を巻き込んだ取り組みや周知を行うとともに、本人の意思を関係者が随時確認できる仕組みを優先的に推進すると。それから、先進・優良事例を分析し、その横展開を図るということで言われております。
 これを踏まえまして、1つ目でございますが、その下にございますACPの普及・啓発のためのリーフレットということで、このACPの普及・啓発を図ることを目的といたしまして、厚生労働省ホームページにリーフレットを作成させていただいて、これにつきまして、都道府県や医療・介護団体に対し広く活用していただくよう、周知を図ったというところでございます。
 2点目が4ページ目でございます。4ページ目はACPの愛称ということで、先ほどなじみやすい名称ということがございましたので、今回、「ACP愛称選定委員会」を設置させていただきまして、国民一人一人の生活の中に浸透しやすくなるよう、この委員会を設置して、これにつきましてこの名称を一般公募させていただいているところでございます。一番下にスケジュールがございますが、公募期間につきましては9月14日で終了しておりますが、約1カ月間、公募させていただきまして、事前選定が今後行われて、最終的には愛称の決定につきましては30年11月を予定しているところでございます。
 それ以外にも、資料4の10ページ目の7番にありますけれども、人生の最終段階における医療の体制整備ということで、今回、このACPを普及できる人材の育成をするための都道府県向け研修ですとか、各団体と共同した広報を行うということで、環境整備をさらに進めるための予算要求もあわせて行わせていただいているところでございます。
 ACPに関しましては以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、御質問、御意見をいただきたいと思います。山口委員。
○山口委員 ACPについて、最近、いろいろなところで聞かれるようになってきましたが、ほとんどが医療者の集まりの中で話されることで、一般の方にはなかなか浸透していないのが現状ではないかと思っています。
 こういうリーフレットをおつくりになって都道府県に普及を促すということは、もちろんいいことだとは思うのですけれども、広く広報するための方法までお伝えになっているのかどうか。というのは、各都道府県がこれを工夫してつくって、ダウンロードしてくださいということだけであれば、一般の方が各都道府県のホームページを通常見ることは余りないことだと思いますので、本当の意味で普及していけるような方法をきちんと発信していただきたいことが1つ。
 それから、ACPは繰り返し継続的に話し合うことが大事だと思っているのですが、最近、傾向として意思表示を書面に書くところに力を入れているような医療関係者の方もいるやに聞いています。愛称をつくって広めていくとことも結構なのですけれども、ACPとは何かという本題のところを、人の気持ちはやはり変化をするものでもありますので、継続的に多職種の方々と話し合いながらいろいろな意思表示をしていく、あるいは自分が意思表示をできなくなったときにどういう人に託すかということを、ACPの中身をきちんと広報していただきたいと思っています。
 いろいろな活動をしておりまして、自分の最終段階をどうするかという話は私たちも取り上げるテーマなのですが、こういうことに関心を持つ方というのは、一部の層の同じ人たちなのです。一般の多くの方はそういったことはなかなか考えていない傾向にあると思いますので、時代がどんどん高齢社会になっていって、こういったことを一般の人が考えないといけないのだということにもう少し力を入れていただきたいことと、ぜひ、文科省と共同して教育の中にも組み込んでいくことも考えていただきたいと思っております。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。島崎委員、どうぞ。
○島崎委員 2ページのところに、本人の意思を関係者が随時確認できる仕組みの構築を推進するという骨太の方針の抜粋があるのですけれども、随時確認できる仕組みだけではなくて、法律的な意味での規範性をどうやって持たせるのかということについて検討をしていただきたいと思います。
 どういうことかというと、例えば、実際、在宅医療の場面でもあるのですけれども、ACPのプロセスを経て本人の意思の確認をしたという文書を仮に作成していたとしても、その人が例えば倒れて苦しんでいて家族が救急車を呼ぶと、救急隊員や救急医からすると、救急車を呼んだ時点で延命治療を望んでいるのだろうと推定せざるを得ないことになります。せっかく丁寧なプロセスを経てそういう意思決定をしておきながら、それが役に立たないということになると、一体何のためにACPのプロセスを経てつくっているのかという問題が起きると思います。
 ご専門の岩田先生を前にして私がこういうことを申し上げるのもいかがなものかと思いますが、アメリカでもやはりそういう問題が起き、事前指示書だけでは法的な拘束力が弱いということで、生命維持治療に関する医師の指示書、POLSTというものができてきた経緯があるわけです。
 日本の場合に法制化が必要であるかとか、あるいはアメリカ的ないき方がよいかどうかという議論はもちろんあるにしても、ACPのプロセスを経て実際につくられたものが一定の法的規範性をもつのか、どういうふうに本人の意思が救急の現場等々できちんと反映されるのかという仕組みについては、国民的な運動の喚起と並行して、ぜひ詰めていただきたいと思います。
○永井部会長 岩田委員、どうぞ。
○岩田委員 私が答えられる立場にはないのですけれども、以前ももしかすると御紹介したのかもしれませんが、今、消防庁のほうで、「傷病者の意思に沿った救急現場における心肺蘇生の実施に関する検討部会」というのが開かれていまして、そこで法的な議論について十分できるかどうかはわからないのですが、法学者は刑法の先生とか民法の先生も入って検討しておるところです。
 そこでは、消防の方々にとっては、むしろ患者の命を助けることが自分たちの使命だと思っているので、心肺蘇生をしないということについてむしろ気がかりに思っている方が多いので、それは法的には大丈夫なのですということを言えるような形で、検討会でちょうど議論をしておりますので、何らかの形で今年度中には方針みたいなものが出てくるだろうと思っております。
 以上でございます。
○永井部会長 ほかに。相澤委員。
○相澤委員 この間、NHKのテレビを見ておりましたら、在宅で御高齢の方がお風呂に入っていて、そこでお亡くなりになっている状況を家の方が発見した。主治医の先生に電話したらいなかった。次に出た行動は、救急車を呼ぶことだったのです。
 これは何かおかしいなと思っていて、そういう人が家でしっかりとお亡くなりになれる社会的な仕組みの整備というのが、私はある程度必要ではないかと思うのです。
 せっかく、このACPでみんなで話し合っていて、こうしようねと言っても、最後のときをどう迎えたらいいのか、あるいはどう迎えられるのか、そこに仕組みというのが必要で、例えばかかりつけ医の先生がそのときに何らかの都合でいらっしゃらないことは結構あるのです。そういうときに救急車を呼ばなくても、何とかできる仕組みというものをつくって、それを皆さんに知ってもらうことも、ACPが生かされることにもなっていくと思いますので、整備とそれを国民の方に知ってもらうということを進めていくことも大事ですから、両面作戦でお願いをしたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 どうぞ。
○中川委員 私、この件に関して思うのですけれども、今、相澤先生がおっしゃったことは理想だと思います。ただ、家族がそういう場面に遭遇してパニックになるのは当然だと思うのです。そのときに救急車を呼んでしまった。ACPで本人が思っていないのに、何であなたは救急車を呼んだのと、家族や周りが責めるなんてことはあってはならないことだと思うのです。
 救急車を呼んだとしても、救急隊が着いたときにACPでどうなっていますかと言えるような余裕を持てる仕組みといいますか、そういう環境整備をすることがやはり近道ではないかと思うのです。この医療資源の少ないときに、救急車なんて簡単に呼んではいけないと責めるような論調は、余り今はないのですけれども、ないようにしたい。包容力のある救急体制でありたいと思います。
○岩田委員 呼んではいけないと言っているわけではなくて、例えばそういう整備というのが、本当に優しい日本として必要ではないかと思っているわけです。
 例えば、私のところでやっているのは、かかりつけ医の先生がいらっしゃらなかったら、それを補完する仕組みは絶対必要で、そうすると、それは本当に優しくて温かくて畳の上で死にたいと思っている人と、それから、家族が慌てなくても、そこへ連絡すれば何とかなるのだと思ってもらう、そういう仕組みというのは、理想かもしれないですけれども、私はあったほうが優しい国・日本らしいと思ってしていることで、何も呼ぶのはいけないと言っているわけではありませんので、誤解なさらないでいただきたい。
○永井部会長 わかりました。阿真委員、どうぞ。
○阿真委員 最初にお聞きしたいと思ったことは、この愛称はとても大事だと思うので、どのくらいの公募が集まって、結果的には決定するのは11月だということですが、どういった方からの応募があったかということを聞きたいということと、今、相澤先生がおっしゃっていたことで、ここの議論ではなく消防庁の議論だと思うのですけれども、救急隊の選択肢が少しあるといいと前から思っていて、違う場所でも言っていますが、電話を救急隊にかけると来るというだけではなくて、もう1つ、選択肢があるといいと私は思っています。かけるという安心感はあると思うのですけれども、それに対して必ず救急車が来なくてもいいのではないか。まだ先の話ですけれども、救急の中の違うもう1つ選択肢がふえるといいのではないかと思っています。これはまた別の会の話なのですけれども。
 最初のことについてお答えいただけると嬉しいです。
○永井部会長 はい。
○地域医療計画課長 応募の関係でございますが、応募につきましては1070件来ております。属性等につきましては、今、集計している段階なので、詳細はわかりませんけれども、今後はこれらをまとめまして、委員会にかけて、最終的な愛称の決定をさせていただきたいと思っております。
 以上です。
○永井部会長 山崎先生。
○山崎委員 今までの議論を聞いていると、急変したときにどうするかみたいな議論が中心になっているわけですけれども、私は終末期の意思表示というのは、介護保険を受給するときに本人に確認する制度にするべきだと思います。
 私自身、女房のがんにつき合って、2年半ぐらい介護をやりましたが、最後の半年というのは、全身転移してしまって腹水・胸水がたまってあっぷあっぷの状態にずっとつき添っているわけです。本人はもう死にたいと言うし、そういう状態にずっとつき添っていると、2人に1人ががんで亡くなる時代なので、老化による疾病の急変よりもがんの終末期をどうするかということをきちんと議論したほうがいいと思います。
○永井部会長 ありがとうございます。ほかに。よろしいでしょうか。
 ただいま、非常に貴重な御意見いただきましたので、必要な対応をお願いしたいと思います。
 続きまして、平成31年度概算要求について御説明をお願いします。
○総務課長 総務課長の北波でございます。
 資料の4でございますが、31年度概算要求の概要について、医政局の部分について御説明をさせていただきます。厚生労働省全体での予算要求の中で大きな位置づけを占めます医政局の予算要求は、「平成31年度概算要求」の表紙のところを見ていただきますと、概算要求額につきましては2178億円という形になっております。
 推進枠というものがございまして、これは裁量経費を10%減したうち、その部分を3倍した部分が推進枠の要求枠となっております。今回、医政局につきましては、その推進枠を活用いたしまして予算要求をし、必要な事項、また、新規の要求もしているところでございます。
 1ページのところの下半分でございますが、推進枠の主な要望施策につきまして、4つの柱立てという形にしております。
 1つ目が地域医療構想の達成、2番目の生産性の向上と働き方改革、それから3番目につきましては、災害医療も含めました医療提供体制の確保、また、4番目でございますが、医薬品関係も含めて医療関連産業の活性化、研究開発推進という形で柱立てをして予算要求をしているところでございます。
 1枚めくっていただきまして、1番のところでございますが、「地域医療介護総合確保基金」。医療部分については、今、934億円という状況でございますが、これにつきましては、今後、予算編成過程において必要な財源を確保していくという形で、事項要求になっているところでございます。
 2ページを見ていただきますと、地域医療構想を推進するためのアドバイザーの要請であるとか、病院長の研修であるとか、2番、3番にございますが、そのような事業も行っていこうとしているところでございます。
 また、生産性の向上及び働き方改革の推進につきましては、2ページの一番下にございますが、2020年の本格稼働に向けて取り組んでおります全国保健医療情報ネットワークにつきましての準備ということでの予算要求、また、3ページでございますが、それぞれ働き方改革についての取り組みの一環として、Tele-ICUであるとか、タスクシフティングなどの環境改善事業というものを推進しようとしているところでございます。
 4ページにつきましても、働き方改革の文面で同じような形、タイムスタディであるとか、女性医師の活用・支援、それから看護業務の効率化を要求しているところでございます。
 5ページでございますが、質が高く効率的な医療提供体制の確保というところで、まさに今年度成立いたしました医師法・医療法の改正法の施行に向けて、医師少数区域の設定、そして、認定制度というものを創設するに当たりましての準備作業としての事業を来年度要求しているところでございます。
 6~7ページにつきましては、救急・周産期医療などの体制整備で、先ほど来、計画課長からも御紹介ありました救急医療体制、災害医療の関係、ドクターヘリ、これらにつきまして必要な予算というものを要求しているところでございます。
 また、8ページにつきましても、災害医療で先ほど言及ありましたDMATカー、また、災害拠点病院の支援強化ということでの予算要求になっております。
 また、9ページにつきましては、さまざまな専門医制度の新たな専門医の研修開始に伴う対策であるとか、特定行為に係る看護師の研修事業、また、死因究明の推進・小児死亡事例の画像診断について必要な経費の支援、このような形で進めるということにしております。
 また、10ページでございますが、先ほどございました在宅医療、それから人生の最終段階における医療の体制整備についても、必要な予算の計上をしているところでございます。
 (4)につきましては、医療放射線の適正管理の推進ということでの必要な体制整備。
 また、11ページございますが、こちらにつきましても医療広告の規制につきまして、ウエブサイトが対象になっているところから、その監視体制の強化、また、訪日外国人も含めた外国人患者の受け入れ体制の整備についての必要な予算ということにしているところでございます。
 最後の柱立てございますが、医療関連産業の活性化、医療分野の研究開発の推進ということで、創薬力の維持と向上について、産業構造への転換を図るため、例えば人材育成の基盤整備を行う。また、12ページでございますが、後発医薬品の使用割合の目標に向けての各県のリストや情報を流通させることによって、より一層、使用を進めていこうという取り組みであるとか、また、ベンチャーの支援等も進めていこうとしているところでございます。
 13ページが研究開発の推進でございますが、真ん中の2番目のところで、クリニカル・イノベーション・ネットワークの構想の推進とか、いわゆる全国的にそれぞれ疾患登録システムがございます。こういうものをつなぎ、また、拡大していくことによって、医療の質を向上させようという取り組みをすることにしているところでございます。
 14ページは各種施策でございます。それぞれ、ナショナル・センターへの支援等々を要求しているというところでございます。
 年末の予算編成過程に向けて、必要な予算の確保について努力をしていきたいと考えているところでございます。
 説明は以上です。よろしくお願いします。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、御質問、御意見をお願いいたします。はい、どうぞ。
○田中部会長代理 在宅医療に関するワーキンググループの座長として、10ページにある在宅医療の推進が去年より1000万円少ない3000万円が気になります。これはほかの予算、例えば保険局予算とか診療報酬は十分にあるから、医政局としては1000万円減でいいとの理解ですか。30万人分、ふやさなくてはいけないという政策的要請がありますが。
 御説明お願いします。
○永井部会長 いかがでしょうか。
○在宅医療推進室長 そのようなものでございません。実際、研修費用などはふやしたりしている中で、ふえているものがあります。事業によってはふえるものとか、新たなものもあるのでございますけれども、今回少しなくしたものも若干ありまして、入れくりしているうちに、何か一千万くらい減ってしまったというところでございまして、決して事業を後退させる意図で一千万円が減ったというものではございません。
○田中部会長代理 姿勢としてはしっかり推進していることを見せてください。
 ありがとうございました。
○永井部会長 山崎委員。
○山崎委員 今、医療現場で問題になっているのは、医療情報の電子化が進んでいくなかで、メーカー同士の互換性が全然ないということが非常に大きな問題になっていて、こういう審議会とか委員会で皆さんがこの問題について発言されていますが、互換性をつけるような器具の開発とか、そういうのは国でやる気がないのですか。
 メーカーに何でも任せておくと、ユーザーの囲い込みをやっていれば、ずっと収入が入るわけだから互換性がないほうがいいに決まっているわけです。どうも、経産省はメーカー寄りになっていて、互換性のあるツールはつくりたくないように思われます。この問題は、むしろ厚生労働省できちんと新規の予算をつけて、もう予算要求したので追加でそういうものをきちんとして、早急に互換性のあるツールを開発してほしいと思います。
○永井部会長 いかがでしょうか。
○研究開発振興課長 研究開発振興課長の伯野でございます。
 医療機関間の診療情報の共有というのは、医療安全等の観点から大変重要だと認識しているところでございまして、我々も病名とか、医薬品とか、臨床検査の項目などの全国共通の標準コード・標準マスターの整備・普及には、これまで努めてきた次第でございます。
 また、違うベンダー間で同じデータベースの中に入れる、出口のところで共通化することについては、これまでそういった仕組みの整備や普及に努めてきたところでございまして、資料の13ページ、項目としては小さいのですが、(2)の1の「臨床研究法施行に伴う質の高い臨床研究の推進」のところで、リアルワールドデータを活用した効率的な臨床研究・治験を推進するために、MID-NETの手法を活用し、臨床研究中核病院で、診療情報の標準化・連結を進めていくということを、来年度は要求させていただいているところでございます。
 一方で、先生方がおっしゃっているのは、恐らく電カルも含めた病院情報システム全体のあり方ということかと思っていますし、また、前回の部会においてもさまざまな意見をいただいたと認識しているところでございます。簡単な話ではないというところは前提としてあるかと思うのですが、まず、皆様方を含めて有識者の方々から御意見をいただききながら、例えば海外の状況という話も前回いただいたと認識しておりますので、そういった状況の調査も含めて、しっかり情報収集、現状の国内の分析、課題の整理等を進めてまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○永井部会長 標準コードが決まっていても、各病院でそれを使っていないのです。それぞれの病院で、また、別のコードを使っているという現状があります。ですから、JIS規格のようにすれば、簡単につながるはずなのです。実態をつかむまでに、非常に時間がかかると思います。
○中川委員 これは何回も医療部会でも出た議論で、永井部会長に前回もそうおっしゃっていただいて、きょうもおっしゃっていただいていますから、早くやればやるほどお金は少なくて済むはずなのです。
 最終的には、日本全体が1つの基準にしなければならないという日が来るのでしょうから、極力早くやることがコストを抑える最大の道だと思うので、これは医政局だけでは決められないでしょうから、省全体とそれから省横断的にぜひ進めてください。
 今、進めている基盤整備のところでも、例えば東大と京大で全く違うとか、そういう状況も明らかになっているわけですから、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 それから、11~12ページのところなのですが、医政局の概算要求となっていますが、この辺は医薬局は全く関係していないのですか。医薬局に聞くと、他人ごとのように、これは医政局ですからということで、これはいかがなものかと思うのですが、局長、どうでしょう。
○医政局長 御指名をいただきましたので。
 御指摘をいただきましたのは、いろいろな機会に私どもも申し上げ、医療部会でも御指摘をいただいているように、我が国にとって製薬産業というもの、あるいは創薬というものが、経済にとって、あるいはもちろん国民一人一にとっても大きな価値があり、我々としてはそれを追求しなければいけない、ということだと思います。
 そのためには、研究開発の時点から商品化をし、流通をさせ、お手元に届けるまでの間のチェーンの弱いところを強めていく。その先にはグローバルという視点もあり、今、御指摘いただきましたように、医政局だけではなく、省を挙げて、政府を挙げて、取り組んでいる課題です。
 そういう中で、中川委員のお話によれば、多分そのやり取りが、私、つまびらかでありませんので正確ではないのかもしれませんが、役割分担として厚生労働省の中で、多くは私ども医政局が創薬振興、創薬力の強化というところを担い、製薬企業の振興というのもやらせていただいていますし、医薬局は組織的にはこれまで振興と規制の分離という中で、薬事という形でのアプローチがあったという事実もありますけれども、問題意識においてそれぞれ登る道、登る方向は違うのかもしれませんが、目指しているところは同じだと思っております。ただ、これまでのやりとりの中で、関係局の間で十分な情報共有ができなかった、あるいは我々の中で至らない点があるとすれば、そこは十分反省をして、改めて省を挙げて取り組ませていただきたいと思います。御指摘ありがとうございました。
○永井部会長 はい。
○中川委員 お答えありがとうございます。
 高額医薬品のときに、中医協で薬事承認までは医薬局、その後は保険局というふうに完全な分離作業で、結果として薬価収載のときに、例えばコレステロールの薬が物すごい高額なのに最初から幅広く使うような適応になりそうだと、薬事承認のときに適応症がそういうふうに絞られなかったという大問題とかいろいろなことがありました。
 あのときは、迫井課長に当時頑張っていただいて、最適使用推進ガイドラインをつくるとか、いろいろな工夫をして、医薬局から保険局まで一連の流れの中で、高額な医薬品を誕生させるのだという、すばらしい仕組みをつくったと思うので、同じ省ですからこういうことも一連の流れの中でやっていただきたいと思います。
○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○森参考人 12ページの後発医薬品使用促進対策費のところで、教えていただきたいのですけれども、ここでの内容は汎用後発医薬品のリストを作成すること、それから、さまざまな後発医薬品でどのようなものを使っているかを調査し、分析して周知することに予算がついているという理解でよろしいでしょうか。
 今、後発医薬品の使用率が73%まで来ました。そうした中でどうするのかということ。それから、都道府県によっても80%を超えているところから、まだ低いところまであって、地域毎にきめ細かい対応が必要になってくると思います。私の地元でももうリストができているところも既にありますので、予算の使い方に関しては都道府県にある程度一任できるのかどうかを教えていただきたい。
○総務課長 総務課長でございます。
 今回の予算要求の12ページの2のところでございますが、要するに2020年の9月に使用割合80パーセントという目標を設定して、各県でも取り組んでいただいています。ただ、後発医薬品の使用促進がまだ進んでいない都道府県もたまに見られるというところがございます。
 その理由が、やはり後発医薬品に関する情報提供が不足しているところでございます。基本的には各都道府県で、汎用の後発医薬品のリストを独自に作成されているので、こういうものの情報をしっかりと周知することによって、おくれているところも進めていく取り組みをしたい。そのための費用の計上ということでございますので、そういう取り組みで、おくれているところも進めていただく支援をしたいという趣旨でございますので、よろしくお願いします。
○永井部会長 森参考人。
○森参考人 わかりました。今後、さまざまな状況を見ながら、予算の対象を考えていただければと思います。
○永井部会長 山崎委員
○山崎委員 14ページの各種施策の中で、国立高度専門医療研究センター及び国立病院機構における政策医療等の充実で450億円、それから国立ハンセン病療養所の充実ということで330億円を単年度で使われるわけですけれども、この内容はどういうことに使われているのですか。
○医療経営支援課長 医療経営支援課長でございます。
 まず、国立高度専門医療研究センターでございますが、これは主に運営費交付金という形で、インハウスの研究の費用に使われているものでございます。それから、国立病院機構におきましても、これは診療事業には一切充当しておりませんで、インハウスの研究関係の費用が主なもの。特に国立病院機構につきましては、国時代の過去債務を多く抱えておりまして、それに充当する費用が主に運営費交付金として交付されているところでございます。
 それから、国立ハンセン病療養所につきましては、ハンセン病療養所に入所されている入所者のための療養環境の整備を進めるということでございまして、建物の必要な整備であるとか、元患者さんが快適な生活を送れるような形の必要な費用を計上しているというものでございます。
○山崎委員 両方とも相当な高額な費用が単年度で使われているわけなのですけれども、国立ハンセン病療養所というのは、何人ぐらいの方が入所していて、どれくらいのお金が使われているのですか。
○医療経営支援課長 入所者の数でございますが、5月1日現在になりますけれども、1333人の方が入所されております。平均年齢が85.5歳と、かなり高齢化の進んだ入所者の方が入っていらっしゃるということで、介護度も非常に高まってまいりまして、中には認知症を患っていらっしゃる入所者の方も多くなってきているということで、介護にかかる手間といいますか、人材が必要になっている。入所者は減りつつあるのですが、1人当たりの介護に要する人材が必要になってきている状況で、なかなか入所者の数と同様な形で右肩下がりに予算が減らないという構図になっているところでございますので、その点は御理解いただければと存じます。
○山崎委員 一般とは比較はできないのかもしれませんけれども、1333人の入所者に対して330億というのはすごく膨大な費用のような気がするのですが、そんなに実際必要なのですか。
○医療経営支援課長 これは全てランニングコスト分だけということではございません。
 施設整備、老朽化してきたところを更新するとか、そういったハード面の手当ても必要だということもありまして、今年度330億円余を要求させていただいているというところでございます。
 今後、予算編成過程でこの辺はまた改めて財政当局とも議論させていただくわけでございますけれども、必ずしも不要な予算まで要求しているということではないことだけは御理解いただければと思います。
○永井部会長 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。
○中川委員 5ページの医療法及び医師法の一部を改正する法律案のところの概算要求に関連してですが、少し外れるのですが質問させていただきます。
 7月25日に、医療法及び医師法の一部を改正する法律案についての医政局長通知が出されました。この中で医師確保のための地対協の機能強化について、いろいろな通知があります。
 例えば、構成員についていろいろな関連の会議を地対協に一本化してください。ただし、地対協の構成員の増加は最小限にとどめることという非常に厳しい制約をつけているのです。例外としては、へき地医療について議論するときにはワーキンググループをつくることが考えられますということですが、地域の現場の議論が非常にやりにくくなっているのです。
 会議体を一本化して、ワーキングをつくる場合はこういうものに限定されますと読める通知なのです。ですから、いろいろなワーキングループを地対協の下に県でつくろうと思っても、これはだめだという医政局長通知があると現場で言われるそうです。 これは、やはり問題であろうと。特に構成員に関して、具体例として、県外の大学が医師を派遣した場合も、派遣先の地対協の構成員になるのかならないのかがはっきりしない。意見は聞かなければならないと書いてあるのですが、構成員になって聞くのか、そうでないのかとか、非常に不明確で、かつ、最後に国が地対協とワーキンググループを最終的にフォローアップしますと書いてあるのです。ですから、がんじがらめで監視すると読めるのです。
 真意は違いますよね、事務局の皆さん。こんながんじがらめで都道府県を縛る、管理するなんて毛頭思っていませんよね。思っていないと思うので、都道府県に早急に紙を出してください。この7月25日の医政局長通知はそんなことではありませんと。
 医師確保のために各都道府県が頑張って議論を尽くしていただきたいので、その道しるべとしてこの通知を出したということがわかるような、本省は決して強権的に監視するわけでも何でもないですということをわかるように、ぜひ丁寧な紙を早急に出すことをお願い申し上げます。いかがでしょうか。
○永井部会長 はい。
○地域医療計画課長 御質問、ありがとうございます。地域医療計画課長でございます。
 先生のおっしゃるとおり、別にこの通知によって県の組織をがんじがらめに縛るということは毛頭考えておりません。また、文書につきましては、こちらのほうで作成させていただきたいと思いますが、中身につきましては関係の方々といろいろ協議をさせていただきまして、発出させていただきたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 よろしくお願いします。そのほか、御意見、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは事務局におかれましては、今の御意見を踏まえて必要な対応をお願いします。最後に事務局から連絡事項等、お願いします。
○医療政策企画官 次回の医療部会の日程につきましては、また改めて御連絡をさせていただきたいと思います。
○永井部会長 それでは、本日はこれで終了いたします。
 どうもありがとうございました。

 

(了)

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