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2018年7月27日 第63回医療部会

医政局総務課

○日時

平成30年7月27日(金)10:00~12:00
 

 

○場所

厚生労働省専用第15会議室

○議事

○保健医療技術調整官 ただいまから、第63回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中を御出席くださいまして、まことにありがとうございます。
医療部会の総委員数が24名で、定足数は3分の1の8名となっております。本日は、阿真委員、井上委員、遠藤委員、小熊委員、尾﨑委員から御欠席との御連絡をいただいております。19名の委員の皆様が御出席ということですので、定足数に達していることを、まず御報告申し上げます。
次に、新しく委員に就任された方を御紹介申し上げます。
日本看護協会の井伊久美子委員でございます。
○井伊委員 日本看護協会の井伊と申します。6月から副会長を拝命しております。
どうぞよろしくお願いいたします。
○保健医療技術調整官 全国自治体病院協議会会長の小熊豊委員及び高知県知事の尾﨑正直委員におかれましては、所用により、本日は御欠席となっております。
議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。お手元に議事次第、座席表、委員名簿のほか、資料1-1、1-2、1-3、2-1、2-2、3、4、5、6。参考資料としまして、1、2、3-1、3-2、また委員提出資料をお配りしております。不足等ございましたら、お知らせください。
冒頭のカメラ撮りをされている方がおられましたら、ここまででお願いいたします。
以降の進行は、永井部会長にお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 では、議事に入ります。
初めに、欠席の小熊委員の代理として望月参考人、尾﨑委員の代理として家保参考人の御出席をお認めいただきますようお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○永井部会長 ありがとうございます。
では、まず「医師の働き方改革に関する検討会」につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
○医師働き方改革推進官 それでは、資料1-1をごらんください。
1枚おめくりいただきまして、1ページでございます。医師の働き方改革に関する検討状況についてでございます。
検討会を開催しておりますけれども、検討会につきましては、本年2月27日に第7回検討会を開催いたしまして、「中間的な論点整理」、「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」を取りまとめたところでございます。それから、今月の9日に第8回検討会を開催いたしまして議論を再開したところでございます。
この間、医療機関におきまして、「緊急的な取組」に沿った取組をスタートしていただいております。また、医療界における検討の場でございます「医師の働き方検討会議」におきまして、意見書が取りまとめられたところでございます。後ほど御説明いただくことになっております。
2ポツにありますように、この「緊急的な取組」について、その実施の状況を四病院団体協議会、全国自治体病院協議会、全国医学部長病院協議会、これらの病院団体において自主的なフォローアップ調査を行っておりまして、この第8回検討会におきまして、実施状況について報告をいただいております。この緊急的な取りまとめを受けまして、医療機関での検討、それから具体的な取組の実施を予定している病院が、大学病院で約9割、それ以外の病院で6割ということで取組がスタートしているところでございます。
厚生労働省といたしましては、引き続き、都道府県医療勤務環境改善支援センター等による支援を促進するとともに、秋ごろに全病院を対象とした調査を実施しておるところでございます。
それから、今後の進め方につきましても、この会議におきまして御確認いただきました。この検討会におきましては、平成31年3月取りまとめに向けて議論を進めておるところでございますけれども、9月までの3回につきましては、労働時間規制のあり方の検討に当たって必要な論点ということで、中間論点整理でも挙げられております各論点について、議論を深めていくこととしております。
それから、10月以降につきましては、これらの議論を受けまして、目指すべき多様な働き方改革の方向性、それを実現するための施策・制度のあり方について、議論を進めていくということで方向性を確認しております。
それから、2ページ以降につきましてでございます。医師の働き方改革を進めるに当たりまして、重要な点でございます、国民の理解促進についてということで、これについても御議論いただきました。
2ページにありますように、医師の長時間労働の要因の一つといたしまして、救急搬送を含めた時間外の患者の多さや、診療時間外での患者説明に対応せざるを得ないといったことが挙げられております。
こうしたことに対応していくためには、患者が診療時間内に受診したり、また患者の説明が診療時間内に受けられるように、働いている人が休暇を取得しやすい環境づくりも重要であるということで、企業等の事業主も含めて幅広く取り組んでいく必要があるのではないかということで、論点を整理させていただいております。
こうしたことを進めるために、具体的な枠組みのイメージといたしまして、3、4ページにイメージ図を挙げております。こちらは、国民全体を対象とした意識醸成ということで、厚生労働省と関係する全国組織。これは、医療関係団体だけではなく、保険者団体、経済団体等、幅広く連携いたしまして、地域や職場での個別具体的な取組を重層的に展開していく。このような考え方でまとめたものでございます。そうした中で、適切な医療のかかり方についての周知、それから、先ほど申し上げました、診療時間内に受診できるような職場環境づくりを進めていくというイメージでございます。
それから、5ページ、6ページは、もう少し具体的な取組になります。
5ページは、下段にありますように、自治体におきましても、このような地域医療を守るための宣言といった形で、住民向けの啓発資料がつくられております。こうしたものを参考にいたしまして、厚生労働省におきまして、国として複数主治医制などのチーム対応、診療日・時間内の診療を進めていくことを明らかにした患者・家族向けのリーフレットを作成して、厚生労働省のウェブサイトに掲載し、これらを各医療機関において活用していただく、このようなことをしてはどうかということで御提案したものでございます。
それから、6ページでございます。関連いたしまして、医師の業務の負担感の一つといたしまして、診断書等の作成というものが挙げられておりまして、これについて、様式の統一化・簡素化に関しての御要望がございます。こうした状況に鑑みまして、関係者の御意見も伺いながら、診断書等の様式の統一化・簡素化に向けて検討を行うということについても御提案させていただきました。
簡単ですが、事務局のほうからの説明は以上でございます。御議論をお願いいたします。
○永井部会長 ありがとうございます。
この医師の働き方改革につきましては、医療界におきまして自主的な検討の場として「医師の働き方検討会議」が立ち上げられております。また、検討会議で取りまとめられた意見書が、先日、行われました医師の働き方改革に関する検討会にも提出されたと伺っております。
そうした医療界からの提言について伺うため、日本医師会より今村聡副会長に御出席いただいております。それでは、資料に基づいて、今村参考人から御説明をお願いいたします。
○今村参考人 今村でございます。本日は、貴重な機会をいただきまして、本当にありがとうございます。
それでは、早速御説明させていただきたいと思います。資料1-2、1-3をご覧いただきたいと思います。
まず、1-2でございますけれども、これが今の医師の働き方検討会議の意見書でございます。設置の経緯について、簡単に御説明申し上げます。先ほど厚労省からも御説明がありました、2月に厚労省の検討会で取りまとめられた中間論点整理の中に、医療界のリーダーシップを期待するとの記載がございまして、これを受けまして、構成員である小職のほうから、2月の検討会の席上に、医療界の自主的な組織による具体案の作成を提案してお認めいただいたという経緯でございます。そして、さまざまな立場の医師に対して、医師の働き方改革について、医療界として具体的な提言をまとめるための会議の設置を呼びかけて、皆さんから賛同いただいて、この4月に会議設置の運びとなりました。
資料1-2を2枚おめくりいただきますと、本会議の構成員が出ております。左側をごらんいただきますと、ごらんのとおり、四病協を中心とした民間病院、公的病院、大学病院の代表に加えまして、特に若い専門研修中の医師でありますとか、在宅医療を実施している若手医師、本当に幅広く医療界から御参加いただいて議論いたしました。
なお、この検討会での議論の中心となりますのは、右側を見ていただきますと、日本医師会の会内に委員会を設けていたわけですが、そこで作成された資料、1-3がそれに当たりますけれども、これをベースに議論させていただきましたし、また、この検討会議の議論には、右側にありますように、日本医師会の委員会の中のさまざまな委員の御協力もいただきましたことを御報告申し上げます。
日本医師会が事務局を務めて4月から6月にかけて3回開催いたしまして、大変活発、かつ真摯な議論が行われました。おかげさまで、医療界の意見を集約した意見書がまとまったことで、7月9日の厚労省の検討会に提出することができました。
次のページを見ていただきますと、用語の定義というものがございます。用語の理解が正確でないと議論できないということで、このような用語のまとめをつけさせていただいています。
次のページを見ていただきますと、目次がございます。目次をおめくりいただきますと、ページの下に数字が入っています。これがページ番号となります。
1ページをごらんください。設置経緯につきましては、ただいまお話ししたとおりでございますけれども、意見書の方向性ということで、医師の働き方改革の論点は大変多岐にわたっております。労働関連法令にかかわる論点につきましては、まだまだ具体的な議論に至っていないということで、主に重点分野を洗い出すことといたしております。そして、改革すべきところは改革するということを大前提として、プロフェッショナルオートノミー、すなわち専門家による自律性に基づく、医師に合った制度自体をまず検討するという発想で提言を取りまとめております。
2ページをごらんください。医師の働き方を考える上で、医師及び医療の特殊性を鑑みると、一般業種とは違った部分があって、抜本的な制度改革が不可欠ではないかということです。
医師は医療全般をつかさどっており、医療現場の業務遂行を主導する立場にあります。医師は、生涯にわたり知識・技術を学ぶこと自体が職業の中に組み込まれている。これは、研さんや学びが患者の生命に直結する点で、他の高度専門職には見られない特殊性と言えます。
次に、医療の個別性・複雑性や説明・同意の責任ということで、同じ疾病であっても、年齢、性別、合併症、薬剤に対する感受性等々、患者さんには個別性があり、一律の対応ができないということです。ことに、重篤な患者さんの場合に、繰り返しの文献検索やカンファレンスが必要となります。また、患者さんの状態によっては、診療科や医療機関での横断的な対応も必要となる。こうした個別性・複雑性の高い医療を提供するに当たって、治療方針の決定やリスク等について、医師が説明し理解を得るよう努めなければならないと医療法に明文化されております。
3ページをごらんください。どの地域でも均一に医療が提供できるように、一次、二次、三次という3つの単位に分け、医療圏が設定されていますが、各地域・各医療機関で、その事情は異なっております。また、大学病院も、それぞれ教育・研究事情が異なり、医師の働き方を一律に決めることが難しくなっています。
さらに、4に記載のとおり、診療報酬改定、医療計画の見直し等が定期的にあり、これは他の業種と大きく異なる点で、それらの見直しが医師や医療機関にとって厳しいものであっても、地域医療の質と量を維持するという命題のため、懸命に努力を重ねています。
4ページの図表1は、医師が知っておくべき医療関連法規一覧で、これだけ多岐にわたる法律が医療にはかかわっております。
5ページをごらんください。この医師の働き方を考える上で、医師の健康と地域医療の両立は基本理念である。特に、医師の健康への配慮は、医師自身の問題でもありますけれども、医療を受ける国民にとっても非常に重要な論点だということでございます。
6ページは、今、取り組むべき医師の健康管理についてです。1つは、労働時間の把握、そして、適切な産業医の配置と職務遂行、衛生委員会の活用、健康診断に関する事項の取組の徹底、各医療団体による医師の健康管理の取組推進などが求められます。
特に、衛生委員会の活用と健康診断に関する事項ですけれども、これは医療機関では、他業種よりも不備が多く指摘されております。これらにつきましては、確実に取り組むことが不可欠であるということを申しております。
7ページをごらんください。今後のさらなる医師の健康管理についてです。勤務医の健康管理については、事業者における役割分担を明確にすること。やりがいや自己研さんといった、心身に影響を与える多様な事象を考慮すること。勤務医自身での健康管理、宿日直の健康影響を考慮した健康管理の検討、在院時間の管理などが必要です。これらの取組を行う上で、衛生委員会を活用した労働時間等設定改善委員会を設置する必要があるとしております。
9ページをごらんください。これは、自己研さんについてです。医師の自己研さんと労働というものは、臨床・教育・研究という3つの切り口でモザイク状に入り組んでおります。日々の活動をその都度、自己研さんなのか、労働なのか、区別・管理すること自体が医師のモチベーション低下につながりかねません。一方、健康面を考え、自己研さんであっても、過度に病院内に残らないよう、在院時間を管理者と医師本人が管理することが必要です。
まず、明らかな労働と純粋な自己研さんを明確にして、労働と自己研さんの二面性のある活動の取り扱いについて、研さんを妨げず、健康にも配慮するよう具体的に検討する必要があるとしております。
10ページは、宿日直についてです。図表3のグラフの赤い部分にありますように、通常業務がほとんどない、許可を受けた宿日直でも、通常業務と同じ宿日直でもない、中間的な働き方が宿日直の約半分を占めております。この中間的な働き方となる宿日直において、都度、労働時間なのか、判断、管理する時間は患者の対応に充てるべきとしております。また、許可を受けた宿日直の現状のルールは、看護師の業務に相当して、医師の業務には適合していないために、内容を見直す必要があるとしています。
11ページには、宿日直の方向性の試案を示しています。例えば、厚生労働省がガイドラインを作成して、労働が全拘束時間に占める割合に応じて勤務時間としてカウントし、割増賃金を支払うルールを決め、各医療機関で協定し、労基署に届ける。さらに、各都道府県に設置した第三者機関が、適切な運用に向けたアドバイス等の支援を行うという仕組みです。
13ページをごらんください。院外のオンコール待機についてです。院外オンコール待機の時間は、労働時間とみなさないけれども、病院に駆けつけて患者対応を行った場合には、当然のことながら労働時間といたします。ただし、地域の事情、診療科の特性、在宅医療の普及などの要因で、オンコール待機の体制と負担感はさまざまなので、手当支給を個別判断で行ってはどうかとしております。
14ページは、長時間労働の是正についてです。医師の場合、一般業種よりも、決められた時間に業務を終える、決められた日時に休むといったことが困難な場合が多く、時間外労働時間の上限を設定するだけでは実効性が伴いません。医療安全の面からも、休息は非常に重要です。法定休日を確保した上で、勤務間インターバル、連続勤務時間規定の導入に取り組むという視点から、遵守可能な時間外労働時間を算出するのが現実的な手段として有効と考えております。
15ページの図表4は、日本における企業の勤務間インターバルの導入状況を参考として挙げさせていただいています。
16ページの図表5は、海外における勤務間インターバル、図表6は、各国における連続勤務時間規制となります。
17ページは、医師の労働時間に一律の上限規制の設定は困難であるために、まず長時間労働の歯止めとしての医師の特別条項、特別条項で対応が困難な場合の医師の特別条項の特例という2つの上限時間の提言をしています。
18ページは、その考え方の詳細です。
まず、労働時間が過度に増加することを防ぐ歯止めとして、医師の特別条項、いわゆる過労死ラインをもとに時間設定をしてはとしております。しかし、どうしてもこの上限を超えざるを得ないような場合が生じた場合に、医師の特別条項の特例を、精神障害の労災認定基準、海外事例を手がかりとして、今後、検討するとしました。
また、医療機関ごとに勤務間インターバル、連続勤務時間規定のガイドラインを定め、その遵守状況を第三者機関でチェックするといった形がよいと考えました。第三者機関については、後ほど御説明します。
19ページに、上限の時間設定に当たり注意を要する点を列記しています。
20ページの図表7、右側が御説明してきた医師の働き方のイメージ図となります。
21ページの図表9は、休日確保、勤務間インターバル、連続勤務から上限時間を設定するイメージ図となります。
22ページは、医師の専門型裁量労働制についてです。2010年の米国からの通告で、2023年以降、世界標準の教育レベルを公的に認証された医学部卒業者でなければ、米国で医療に従事できないこととなり、2010年以降、質・量、両面での厳しい教育要件を満たす必要が生じ、助教が教育に携わる割合が非常に高くなってきております。
また、大学病院では、臨床研究の活性化も求められており、助教の再任基準には教育と研究実績が盛り込まれています。こうしたことから、大学病院における専門業務型裁量労働制に助教等も対象とすることを具体的に検討すべきとしております。ただし、この際にも、みなし労働時間を適切に設定することが必要でございます。
また、一般病院につきましても、研究業務が大半を占める医師における専門業務型裁量労働制の導入可能性を研究してはとしております。
23ページは、研修医等についてです。国家試験の合格後、2年間の研修を受けることが義務づけられております。この研修医については、医師の特別条項の特例の枠組みの中で、別途制度を定めてはとしております。
24ページは、第三者機関の設置についてです。多種多様な医師の働き方を一律に同じ法令で対応することは現実的ではなく、標準的なルールのもとで、各地域、各医療機関、各医師が自律的に働き方を決める仕組みが求められています。医療勤務環境改善支援センター、地域医療支援センター等を中心とした第三者機関を医事法制の中に規定し、勤務環境の改善支援、医師確保、労働関連法の総合的な相談指導を行うとしております。
25ページをごらんください。女性医師支援についてです。かつては10%未満であった女性医師の割合は、若い世代においては現在、30%を超えています。厚生労働省から委託している女性医師支援センター事業の活性化はもとより、医療界を挙げ、あらゆる方法で女性医師支援を確実に進めることが急務としております。
26ページは、地域住民における医療への理解です。医療法では、医療に関する選択等について、国・医療機関・国民が果たす役割が規定されています。これに沿った取組が、今まさに求められています。地域医療を守るには、各地域の医療事情、医師の勤務実態を踏まえた医療機関への適切な受診の仕方、住民の理解と協力が必須です。中央から訴えるだけでは進まず、各地域で主体的に考え、取り組むことが重要です。
また、健康教育の一環として医療機関へのかかり方を啓発することも重要で、学校保健・産業保健の仕組みの活用が求められます。
また、医療を必要とする人が受診を抑制しないよう留意しつつ、保険者からの健康教育も不可欠です。
27ページでは、今回の医師の働き方改革を機に、医療に関する労働関連法令全般を見直すこと。その際、医事法制との整合性を確保することが必要であるとしております。
28ページは、今後の進め方についてです。
まず、働き方改革に関する財源を、診療報酬、地域医療介護総合確保基金、税制改正といったあらゆる切り口で確保することが大前提です。そして、ここまで説明した主要論点12項目について、具体的に検討することが必要としております。
29ページに、12項目と多岐にわたる論点をどこで具体的に検討するのかを決める必要があるとしています。そして、法令のレベル、労働法制と医事法制の関係性などを踏まえ、全体として整合性がとれているかの確認の上、現行の労働法制で規定するのが妥当か、それとも勤務医の労働法制を別途構築するのが妥当か、検討するとしております。
また、医師の健康確保策の定着を前提として、前倒しでの施行が可能であるか、検討してはとしております。
また、重要なことは、施行後の不断の見直しの必要性を提案しております。
第1回の厚労省の医師の働き方改革に関する検討会で、厚生労働大臣は、この検討会は、特例のあり方を議論することが目的と発言されております。医療界としては、さまざまな努力をして、長時間労働の是正を進めることは大前提ですが、現行法令の枠に必ずしもこだわらない特例の議論も必要であって、ぜひ柔軟な発想で検討を進めていただきたいと結んでおります。
説明は以上とさせていただきます。長時間ありがとうございました。
○永井部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に御質問、御意見ございますでしょうか。いかがでしょうか。
山口委員。
○山口委員 御説明ありがとうございました。非常に現実的な論点で議論されているということがよくわかりました。
教えていただきたいこととして、こういうふうにまとめられたわけですけれども、実際に厚労省の医師の働き方改革に関する検討会が走っていて、そこに要望を出されているということですけれども、今後どんな形にしていくということで進んでいるのか、もう少し具体的に教えていただきたいと思います。
それから、厚労省からの説明にもございましたが、私は国民の理解が非常に大事だと思っていまして、これまで私たちが電話相談を受ける中でも、何でこんな重篤な患者がいるのに夏休みをとるのかとか、夜中でも駆けつけてこないというのは主治医としてあり得ないということをおっしゃる方が多い。例えば家族が、仕事があるからということで、夜遅い時間や休日に説明を求めることを控えたり、チーム主治医制を認めたりしなければいけないと私は思っていて、そういったことをずっと発言しています。こういった医療界のことを理解してくださいと言うときに、医療現場の方が言うのは非常に難しいというか、言いにくいところではないかと思うのです。
だとすれば、経済界とか、いろいろなところが出てきていましたけれども、かなり早急に進めていかないといけない中で、いろいろ説明してくださったのですけれども、具体的に実効性のある方策について、この中で具体的に話し合われたのかどうかということも、あわせてお聞かせいただきたいと思います。
それに加えて、今の説明と違うところですけれども、資料1-1の6ページに診断書等の様式の統一化ということがございます。これ以外にも、医師の負担を重くしているものが幾つかあると私は思っていまして、ある岩手県の沿岸部の病院に行ったときに、例えばおむつを使っているときの税金の控除申請をするときに、使用証明書に医師が署名しなければいけないことになっている。これは、必ずしも医師でなくてもいいのではないかと思うのです。
そういったことの見直しをしていくことも、おむつ以外にも、そういう負担になっていることでそのままになっていることがあるのではないかと思っていますので、ぜひほかにもないかということを調べて、少し負担軽減ということにあわせて進めていただきたいということをお願いしたいと思います。
○今村参考人 御質問、どうもありがとうございました。
これは、先ほど冒頭、検討会議の設置の経緯については御説明申し上げましたけれども、医療界として、とにかく自分たちの意見をまとめるということで、これをまとめました。この中では、具体的なことについては記載がまだまだ少ないというのは御指摘のとおりなのですけれども、これをベースに国の検討会でどう取り扱っていただくかというのは、まさしく厚労省のこれからの進め方だと思っております。先ほどの厚労省の資料の1ページの検討会の今後の進め方というところにも、順番にタイムスタディ調査、これは前回、報告がございましたけれども、国民の理解促進の具体的な取組であるとか、タスクシフト、自己研さん、宿日直、応召義務、諸外国における労働時間規制等々があります。
今回、私どもが取りまとめさせていただいた重要な論点についても、このように書いていただいているので、これからの厚労省の検討会の中で具体的な議論になっていくのだろうと思っております。
この検討会議につきましては、3回開催して、とりあえず取りまとめておりますけれども、今後、国の検討会の進みぐあいによっては、また継続的に医療界として、その問題について、どう取りまとめて、国の検討会でどのように提案していくかということも、考え方としてはございます。まだ具体的な開催ということを決めているわけではありませんけれども、そういうことがありえます。
それから、国民の理解につきましては、この会議でもそうですし、国の検討会でもそうですけれども、ほぼ全ての委員が皆さん、おっしゃっている。医療提供者側だけの取組では、この問題は絶対解決しない。したがって、医療を利用していただく国民の方に医療の利用の仕方を理解していただく。それも、まさしくおっしゃっていただいたように、医療現場だけで説明するのは無理であるので、全ての国の関係者がみんな取り組んでいただかなければいけないということで、厚労省もこういうふうに書いていただいていると思います。
それから、ちょっと追加になりますけれども、ここに書かれていない医師の負担として、院内の会議の多さというものはありますので、こういったものについてももうちょっと整理していただきたいということは、厚労省にもその場でお願いしているところです。
以上です。
○山口委員 ありがとうございました。
先ほど御説明いただいた内容は、いろいろな方が集まって話し合われたということで、例えば研修医とか、地域の事情とか、いろいろなものが加味された内容になっていると思いますので、ぜひそれを軸にして、実現可能な改革をしていただきたいと思います。
○永井部会長 どうぞ。
○久喜委員 今、見させていただいて、非常によくまとまっている内容で、私自身も感銘を受けました。
その中で教えてもらいたいのですけれども、例えばバイトをする医師も当然いると思います。どこかに手伝いに行くとか。そういう医師自体をレギュレートするというか、時間を管理する。1病院でしたら、このシステムの流れの中でいいかもわからないのですが、医師もいろいろ動いていると思います。例えば、この病院に手伝いに行ってくれとか。そういうところの時間等々はどういうふうに制約されているのかということを感じるところでもあります。
それから、私、地方の病院を運営しているという立場で言いますと、地方ですと医者の数が少ないという現状の中で、どうしても時間のほうがある程度これから外れていかざるを得ないところがあって、周りの目も、もう帰っちゃうのという言葉も出るかもしれない。いろいろなことを考えると、現実と乖離しているところがあるのではないか。
その2点、どのような協議があったかというのをちょっと教えていただきたいと思います。
○今村参考人 ありがとうございます。
1点目の問題については、非常に難しい問題だということで、深掘りした議論にはなっていないのですけれども、議論の中で当然そういう項目は挙がりました。今、医師に限らず、他の仕事の方たちも、1つの事業所ではなくて、他の事業所で働く働き方について、それをどう時間管理するかというのが議論になっているということです。
医師についても、自分が所属している医療機関からの指示に従って外部の医療機関に行く場合もあれば、全く個人として、そういう外部のところでお仕事される方もいるということで、この管理をどのようにするかというのは大変大きな課題だと思っておりますけれども、今回のこの検討会議としては、そこは取りまとめていないということになります。今後、そういうことが議論になってくる可能性はあると認識しています。
それから、もう一点、この働き方の問題は、これだけの問題ではなくて、社会保障審議会医療部会の先生方が一番御理解いただいていると思いますけれども、いわゆる医師の偏在、診療科の偏在、そういったさまざまな医療提供体制とも密接に連携しておりますので、それも非常に難しい課題で、この中でも書かせていただいていますけれども、地域の事情というものを考えながら進めなければいけない。一律な労働規制をすると、地域医療が非常に崩壊するということを書かせていただいているところです。
先ほどの資料の中にもあったと思うのですけれども、厚労省の資料の5ページになりますか、地域で条例などをつくっておられて、特にこういう医師不足の地域において地域の医療を守っていくためには、こういった地域の住民の方たちも入っていただいて、この地域ではこういう状況になっているので、医療の利用の仕方はこうしようということを地元の方たちが理解していただかない限り、先生がおっしゃったように、何で帰っちゃうのという話になってしまいますので、あわせてそういうことも進めていこうということを提案させていただいたところです。
○久喜委員 ぜひその辺の地域医療に重きを置き、また医師の仕事の内容等々、できるだけ削減する方法の御議論を今後重ねていただきたいと思います。
○永井部会長 それでは、猪口委員、手短にお願いします。
○猪口委員 私のほうから1つお願いがあるのですが、救急搬送を含め、時間外というのをできるだけ時間内におさまるように国民の啓蒙、これは非常にいい方向だと思っております。
ただ、その適切な利用ということになりますと、どうしても救急をタクシーがわりに使わないようにとか、そういうことがいろいろあると思うのですが、実際には、例えば社会医療法人認定の要件に、緊急とか時間外をどれぐらいやらないといけないとか、診療報酬上も救急の対応に対しての評価がすごくついているわけで、そういうところとの整合性をとっていただかないと、むしろ時間外に行かないでも済むような診療を行うということの評価を上げることが必要になるかと思いますので、ぜひその辺の御考慮もお願いしたいと思います。
○永井部会長 井伊委員、どうぞ。
○井伊委員 資料1-1の1ページの検討会の今後の進め方の部分に関するお願いです。タイムスタディ調査が項目に挙がっておりまして、参考資料1-1でも取りまとめはありますけれども、今後の取組の中で詳細な分析は行われるのでしょうか。ぜひ業務レベルの詳細分析をしていただきたいと思います。医師が行っている業務の中には、看護師をはじめ、他の職種と共同で実施しているものもございますので、この業務レベルの詳細分析は、他の職種の働き方にも関連すると考えております。分析の際には、先ほど論点に挙がっておりました時間外の患者・家族への説明等、この業務レベルでの項目を取り出して、ぜひ分析していただきたいと思います。
○永井部会長 河本委員。
○河本委員 先ほど国民の理解醸成ということで、関係団体への期待についてございましたので、一言だけ付言させていただきます。
私も、4月まで加入者20万人ぐらいの健保組合の責任者をしておりましたけれども、年に3回の健保ニュースで、正しい病院のかかり方や患者教育のキャンペーン等、記事での周知は必ず実施しておりました。これは、ある程度時間のかかる話でございまして、何年も繰り返すうちに、例えば夜間の診療の数字が、若干ですけれども、減ってくる等の効果も出てきているというのを認識しております。
あと、先ほどございましたけれども、食育もそうですけれども、学校教育等を含めた国民の理解を得るための動きというのも必要なのかなと思っております。
以上です。
○永井部会長 最後に平川委員。
○平川委員 ありがとうございます。
連合も、この働き方改革検討会に委員を出しておりまして、今村先生には悪いのですけれども、そこでも発言したことと同じ趣旨のことを、この場でも発言させていただければと思っております。
今回の取りまとめ、御努力には本当に敬意を表したいと思っております。個別の課題は申し上げませんけれども、方向としては少しお願いしたいところがあります。報告の30ページの最後のほうで記載されている、働き方改革は法令に合わせるのでなく、法令を働き方に合わせるのだという方向が提言されていますけれども、それはいかがかなと思っているところであります。これまでさまざまなところで議論がありましたけれども、安全・安心な医療というものが重要であって、そのために医療従事者の皆さんに心身ともに健康で働いていただくというのが、この検討会の目的じゃないかと思っています。
その中で、働き方の法令もそれぞれの調和が必要だと考えておりまして、現状にあわせて法令を合わせるという話ではなく、調和の中で議論していくのが重要だと思います。
一方、提言の中でも、例えば宿日直の話では検討に値する部分もあると思っていますので、引き続き具体的に検討会で検討していただければと思っています。
あと1つ。
○永井部会長 手短にお願いします。
○平川委員 あと、治療と仕事の両立ということに連合も取り組んでおりますので、その辺、医療従事者に負担を求めないということで、しっかりと対応していきたいと思います。
ありがとうございます。
○今村参考人 1点だけ、お時間がない中。ありがとうございました。
国の検討会の中でもまさしく同じことを御指摘いただいて、法令を働き方に合わせろという表現がちょっと誤解を招くと。そこは私どもも真摯に受けとめております。要するに、現状を100%認めて、法令がそれに合わせろということを申しているわけではなくて、まず、やるべき改革は全部きちんとした上で、できる働き方改革をした上で、それに合わせた法令の対応という意味で書かせていただいているので、そのことだけは御理解いただければと思っております。
○永井部会長 ありがとうございました。
それでは、事務局では、本日の議論を踏まえて対応をお願いします。
では、次の議題に参ります。「地域医療構想の進捗及び病床機能報告制度の見直しについて」、事務局から説明をお願いいたします。
○地域医療計画課長 地域医療計画課長でございます。お手元の資料2-1、2-2を用いまして御説明申し上げます。
まず、資料2-1「地域医療構想の進捗状況等について」であります。
1枚めくっていただきまして、1ページ目でございますが、地域医療構想調整会議についての説明でございます。医療法に根拠がございまして、都道府県には、年4回開催をお願いしておりますけれども、2025年に向けた地域の機能について議論していただく。それから、公立・公的、その他の医療機関を含めて、どんどん進めていただくということを、これは既に各都道府県にお願いしているところでございます。
2ページ目をお願いいたします。地域医療構想調整会議の議論の状況でございます。これは、先ほど申し上げたとおり、年に4回、フォローしておりまして、本年6月末の数字が出たところでございます。特に真ん中の図のところでございますが、新公立病院改革プラン対象病院、公立病院でございます。それから、公的医療機関等でありますけれども、少しずつでございますが、着実に議論を進めていただいているところでございます。
3ページは、各地域の議論について、機能別と設置主体別にまとめたものでございますけれども、主として高度急性期、急性期というところの議論から進んでいっている状況でございます。
それから、4ページ目でございますが、各都道府県の今年度の会議、これからどうしていくか、それから実績も含めてですけれども、年4.0回を国のほうで求めているところでございますが、各地域、それぞれ取り組んでいただいているところです。
5ページでございますけれども、病床機能報告、これは医療法で義務がかかっているわけでございますが、6月時点では着実に取組を進めていただいているところでありますけれども、引き続き、まだ未報告のところが残っている状態でございます。
6ページ目、非稼働病棟に関しての状況でございます。これに関しても、調整会議で議論していただくことをお願いしているところでありますが、これは3月時点よりは取組が少し進んでいるところであります。
7ページ目が、公立病院、公的医療機関に関する議論の状況でございます。3月時点では全く議論していないところについても、議論を開始しておるところもありますし、これも引き続き議論を進めるように求めてまいりたいと思っております。
それから、9ページ、全国の状況ですが、具体的な対応方針ということで、2025年に向けて、どういう機能を果たしていくかということについて、地域で話し合って、ある程度きちんとまとまっているところをどんどんふやしていくということでありますけれども、これについても引き続き議論していただくことになっております。
10ページが、それを棒グラフにしたものでございます。
以上のような状況で、引き続き各都道府県には取組を求めてまいりたいと思います。
資料2-2、平成30年度病床機能報告の見直しに向けた整理ということで、医療計画の見直し等に関する検討会の地域医療構想に関するワーキンググループでまとめたものでございます。
病床機能報告といいますものは、各病院が自分の担っている機能について、自主的に都道府県に報告することになっておりますけれども、このデータそのものが地域の先ほど申し上げた調整会議の議論に用いておりますので、その意味では、さまざまな精緻化というか、位置づけを明確にしていくということに取り組んできているところでございます。
2ページに、29年度の病床機能報告に関しても、特に回復期に関して非常にわかりにくいということもありまして、さまざまな通知なども発出しておるところでございます。これについての議論に参考になるような資料も提供しておりますが、2ページ目の中段あたり、定量的な基準の導入ということで、これは国が一律に示すという形では、まだ十分できておりませんが、佐賀県とか埼玉県とか、地域で、県庁だけでなく、都道府県医師会などの医療関係者との協議を経まして、独自の定量的な目安をつくっているところであります。
国といたしましては、こういった各県の具体的な取組について、情報提供してまいることにしているということを記載しているところであります。
3ページ目でございますけれども、病床機能報告の項目の見直しでございます。30年度の診療報酬改定におきまして、入院基本料、特定入院料、一般病棟の重症度、医療・看護必要度等々、見直しが行われているところであります。病床機能報告に関しては、そういった診療報酬の項目もあわせて登録等していただいておりますので、その内容に合わせた形での見直しを今回、行うということです。
また、介護医療院が創設されたことを踏まえまして、退棟先の一つとして介護医療院を位置づけることにしているところでございます。
今後とも、この病床機能報告に関しましては、地域の議論に役に立つようなものとなるように、データの収集方法、それから解析したデータをわかりやすく地域の議論に使っていただけるように、国としても引き続き支援に取り組んでまいりたいと思っているところでございます。
説明は以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございました。
この地域医療構想につきましては、本日御欠席の井上委員から委員提出資料ということで資料が出ております。審議の際、御参考にしていただければと思います。
では、御質問、御意見をお願いいたします。
相澤委員、どうぞ。
○相澤委員 資料2-2の2ページで、定量的な基準の導入としているわけですが、定量的な基準を決めなければいけないという目的は何なのでしょうかということ。
そして、前からずっと議論があったのですが、病床機能報告の病床数と、地域医療構想である程度皆さんが定めた必要病床数というのは、もともとはかる基準が違うのだから、同じ数に合わせる必要性がないという議論を何度も繰り返してきたはずです。とするならば、これを基準とするのはおかしいことであって、判断の目安というものに私はすべきではないかなと思っておりますが、厚労省のお考えを確かめたいと思います。
○永井部会長 はい。
○地域医療計画課長 地域医療計画課長でございます。
今の御質問、資料の4ポツのところでございますけれども、これは説明を少し簡略化いたしまして大変失礼いたしましたが、佐賀県、埼玉県ということで、実際に地域において定量的な基準というものを議論して使っていると御紹介したところでございます。これに関して、両県にも確認しておりますけれども、議論を円滑に進めていくための目安として活用しているということでございます。基準という言い方はどうかと思いますが、一律に国のほうで定めるということについては、まだそういった段階ではありませんけれども、地域で地域の実情に合った何らかの議論が活性化するための材料として、そういったものが活用されることは必要ではないかと思っているところでございます。
そして、先ほどもう一つ御指摘のありました病床の必要量と病床機能報告のデータの位置づけでございますけれども、2025年の病床の必要量というのは、そのときの推計の患者数から利用率などで割り返しました病床の必要量でございますので、現状の足元の課題と完全に合致するかというと、そういうものではございませんけれども、2025年に向けて、患者さんがどのぐらいいらっしゃるのかということについては、議論の目安として必要なものでございます。
完全に合致しないということについては、我々も承知しておりますけれども、4機能がどういう形で各地域で必要になってくるかについては、議論の参考にしていただきながら、2025年に向けて各地で議論を着実に進めていただきたいと思っているところでございます。
○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。
中川委員。
○中川委員 今の件ですが、相澤先生の危惧はもっともだと思います。それで、佐賀県にしても、埼玉県にしても、定量的な基準を設けて、地域医療構想の大前提である、県内の構想区域において不足している病床機能がないかどうかを判断する基準を県独自で決めて、それを目安にして考えていくのだということに関しては、ワーキンググループでも同意しました。しかし、埼玉県や佐賀県の基準を全国の基準として見ることは、これは全く違うぞということも確認しました。ですから、病床機能報告の4機能の病床数と2025年の病床数の必要量を単純に比較してはいけないと言い続けてきましたが、今でも単純に比較しているのです。
私は、比較してはいけないという言葉に直したいと思います。複雑にも比較してはいけないのです。両者を並べたら、どう見ても単純にしか比較しないのです。全然違うものを比較して、どうするのですかということです。総務課長、異動するらしいですけれども、後任に引き継いでください。病床機能報告制度の病床数と、病床数の必要量は全く違うものです。単純にも複雑にも比較してはいけない。病床機能報告は、各構想区域内で自分の医療機関がある構想区域がどのような報告をしているのかなと概観する、その目安にしかならないのです。
次に、2ページの最後の丸のところに「平成30年度中に、都道府県医師会などの医療関係者等と協議を経た上で、定量的な基準を導入することを求めることとする」というのは、ワーキンググループの確認事項で外れ値のことを指すという認識でいます。ですから、全国で佐賀県や埼玉県のような定量的基準を設けなさいということではないということを確認したいと思いますが、いかがですか。
○地域医療計画課長 お答え申し上げます。地域医療計画課長でございます。
今の中川委員の御指摘に関しましては、資料2-2の8ページでございますけれども、高度急性期、急性期と報告していますけれども、さまざまな項目について、急性期病棟であれば提供しておるであろうと思われるものについて、全く提供していない、該当なしというところがございます。
これについては、きちんと各調整会議でその報告内容について吟味していただきたいということで、これはあえてわかりやすく言いますと、一律にこういう形で議論してくださいとお願いしているところでございますので、もう一つのほうの佐賀県や埼玉県のような場合は、これはあくまでも佐賀県や埼玉県の地域の実情を踏まえた方式でありますので、各県独自で議論していただいて、適切なものを定めていただくということでありますので、そういった状況であるということでございます。
○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。
島崎委員。
○島崎委員 1年ぐらい前に言ったことと同じことを申し上げることになりますけれども、現場を見ていると会議を回すのに汲々としてしまっている実態がありますが、そうしたなかでさらに発破をかけられると、会議を何回開催したかといったことばかりに目が向き、実質を伴わず、「やらされ感」だけが強くなることを危惧しています。
それから、きょうもお話がありましたが、病床機能報告の病床数と地域医療構想上の必要病床数は1対1で対応するわけではありません。それから、構想区域は二次医療圏を原則とされていますが、その圏域の問題につきましても、この場で何回か申し上げているとおり、そもそも医療圏域というのは合目的的な概念ですから、疾病の種別や機能によって違いますし、それから、二次医療圏の線引きそのものが実態に合っていない地域が数多くあるのが実状です。
そういうことを踏まえると、地域医療構想の考え方を否定するわけではありませんが、地域医療構想調整会議は、いろいろな前提条件や仮定条件、あえて申し上げれば「フィクション」の上で議論している部分もあるという限界をわきまえ進めていくことが必要だと思います。そのことは十分おわかりだとは思いますけれども、率直に言うと、それが全然わかっていない地域もありますので、ぜひその辺は指導の徹底をお願いしたいと思います。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
平川委員。
○平川委員 ありがとうございます。
資料2-1の進捗状況のところで、3ページに公立・公的等ということで、病院の議論の状況が大分わかりやすく資料として出ておりまして、それについてはいい資料だと思っています。
ただ、一方で、全ての医療機関がどういう状況なのかというのは、その前の2ページの円グラフしかなくて、かつ、その他の医療機関で議論を開始しているのが517病院ということで、公的・公立等が議論しているのですけれども、その他の病院を含めた検討というのは、まだ十分進んでいないのではないかと思います。それが、3ページに高度急性期、急性期、回復期の円グラフがありますけれども、病院機能のあり方についての議論のバランスも、本当にこれでいいのかなという感じもいたします。
そういった意味で、今後、公立・公的等以外も含めて、どういう議論状況になっていくのかということについても、引き続き適切な資料についてお願いしたいと思います。
以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
ぜひ、ただいまの御意見を踏まえて。中川委員、どうぞ。
○中川委員 今の平川委員の意見は、公立・公的医療機関等以外の医療機関も同じように資料を出してという意味ですか。どういう意味ですか。
○平川委員 地域医療構想というのは、公立・公的等以外も含めた医療機関を対象にしつつ議論を進めていくというのが最終的な形だと思いますので、その全体像が見えるというのが重要じゃないかと思います。
○中川委員 何度も言いますが、地域医療構想は構想区域ごとの不足する病床機能を手当てする仕組みなのです。公立病院、公的医療機関等に改革プランを出しなさいというのは、例えば公立病院では年間5,000億円以上の補助金が入っている。公的医療機関は税制優遇等がある。そういう状況で、民間病院と競合するときには、公立病院・公的医療機関等でなければ担えない医療機能に特化しなさいよ、限定しなさいよという議論を踏まえて言っているのです。民間病院は、その機能を大きく変更するときに限り、データを調整会議にプランを出して議論してくださいとなっているのです。全ての民間病院がプランを出して、調整会議で議論するということは不可能です。
ですから、平川委員、ぜひそういう認識でいてください。よろしくお願いします。
○永井部会長 よろしいでしょうか。まだ、議論が続くと思いますけれども、ぜひただいまの御議論を踏まえて、必要な対応をしていただければと思います。
では、次に参ります。「医療放射線の適正管理に関する検討会における検討状況について」、事務局から説明をお願いいたします。
○地域医療計画課長 地域医療計画課長でございます。
資料3をお願いいたします。「医療放射線の適正管理に関する検討会における検討状況」、議論の結果を踏まえまして、省令改正を2点ほどやってまいりたいということでございます。
1ページ目が、検討会の目的、検討事項、メンバーなどでございます。
2ページ目、右下にページが打ってございますが、これまでこの検討会を6回開催しておりまして、前回、1回、医療部会でも御議論いただいておりますが、医療被ばくの適正管理、未承認放射性薬物に関して規則改正を行いたいということでございます。
まず、1点目の医療放射線適正管理のあり方に関してでございます。
4ページをお願いいたします。放射線の身体への影響に関しましては、確定的影響と確率的影響がございます。確定的影響というのは、ある一定の線量であれば発生するというものでありまして、確率的影響というのは、がんなどでございますけれども、発生する割合が高まっていくということでございまして、こういう影響が知られております。
5ページ目でございます。放射線診療におきましては、診断・治療、放射線の機器を使っておりますけれども、例えばCTの灌流画像検査、血管造影等の手技によっては、高い線量になる場合もありまして、この例にありますような症例も発生する場合があるということでございます。
6ページ目でございますけれども、今度は確率的影響と言いまして、がんとかの影響でございます。先ほどの治療のほうと比べますと、線量というのは低いわけでございますが、積算、足し上げてまいりますと、それなりに高い線量になり得るということでございます。
7ページでございます。医療被ばくにおける放射線防護の3原則というものがありまして、正当化、最適化、線量限度。これは、医療被ばくだけではなくて、被ばくに関しての防護の3原則ですが、まず正当化というのは、この検査が患者さんにとって必要だという医学的な判断でございまして、その次に最適化ということで、きちんと検査結果が出るような形で考えて検査をするということです。
医療の場合は、正当化、最適化ということが達成されている場合は、先ほどお話ししたことと少し矛盾があるようでございますけれども、線量限度、このぐらいの線量にしなければいけないということは除外されるという規定になっております。
8ページでございます。医療法の中で安全管理というものに関しまして、実は医療法施行規則の中に規定されております。現状では、院内感染対策、医薬品に係る安全管理、医療機器の安全管理、高難度新規医療技術等に関しての規定がございますが、今回、医療放射線に係る安全管理に関して新たに規定を設けてまいりたいということを考えているところでございます。
その内容でございますけれども、9ページで、医療放射線安全管理のための安全管理責任者を配置するということが1点。
それから、医療放射線安全管理の指針を策定していただいて、それに基づいて安全管理を運用していただく。
10ページ目でございますけれども、放射線従事者等に対する医療放射線に係る安全管理の職員研修を実施していただくことを考えております。これは、現状でもさまざまな研修が実施されておりまして、先ほど来の働き方にも少しありましたが、研修、研修ということになってもいかぬということで、規則そのものに書くわけではないですけれども、他の医療安全に係る研修とあわせて実施できるということも、通知等で盛り込んでまいりたいと考えているところでございます。
11ページでございますけれども、医療放射線の安全管理に係る体制の3番目ということで、今回の規則の管理の対象機器に関しましては、CTエックス線装置、血管造影検査に係る透視用エックス線装置、診療用放射性同位元素並びに陽電子断層撮影診断用放射性同位元素を用いた診療ということを対象としたいと思っております。
また、線量管理に関しては、関連学会等が策定したガイドライン等を参考にして、被ばく線量の評価、線量の適正化を行うということ。それから、このガイドライン等を参考にしているわけですが、そちらのほうが見直しをしたり、もしくは新しい医療機器が出てきて、こういった管理に必要だということがあれば、さらに見直しをしてまいりたいと思っております。
また、線量記録についても、そのガイドラインに基づいて管理していただくということで考えているところでございます。
12ページでございますが、この規則改正に関しましては、本日御議論いただきまして、今後、パブコメを実施した上で、改正省令を順調に行けばことしの秋に公布いたしまして、1年半程度の施行準備期間を設けまして、32年4月施行ということで考えております。その間、必要な研修とか関係学会のガイドラインを国のほうでもきちんと確認した上、都道府県や関係医療機関、関係団体等にも情報提供してまいりたいと思っております。
続きまして、13ページ、未承認放射性薬物でありますけれども、14ページをお願いいたします。現在、医療放射線で医療機関で用いている医薬品・医療機器等でございますけれども、承認済みの医薬品、治験薬につきましては、医療法、医薬品医療機器等法(薬機法)で対応しているところでございます。
今回、改正を予定しておりますのは、医療機関の中で用います未承認の放射性医薬品に関しての取り扱いでございます。現状、RI法というもので管理しておりますけれども、RI法というのは、基本的に人体への使用というものを想定した法律ではございませんので、極端なことを申しますと、臨床研究で未承認のものを使ってしまうと、患者さんが医療機関を出る、退出する基準がないということでもありますので、医療法では、現状、承認薬、治験薬に関して、そういったものも持っておりますので、患者さんに用いる、人に対して使用するというものに対して、医療法で適正に管理するという方式に改めて、こういった分野の臨床研究が進んでいくようにということも考えているところでございます。
具体的に15ページでございますけれども、未承認のもの全てということではございませんで、次の治験でありますとか評価につながっていくような、もしくはある程度研究等の実施が審査されているものについて、今回、医療法のもとにしようと思っております。
具体的には、真ん中あたりに書いてありますけれども、臨床研究法で規定する特定臨床研究、再生医療法等の安全性確保に関する法律で規定する再生医療等、先進医療、患者申出療養という4つに該当する未承認薬に関しましては、医療法のほうで管理するという方針に改めたいと思っているところでございます。
これに関しましては、現在、原子力規制庁とも調整を進めておりまして、向こうのほうでは政令レベルで未承認の医薬品をRI法で見ると書かれておりますので、この医療法施行規則の改正と見合わせまして、RI法の政令改正というものをしていただくことにしているところでございます。これに関しましても、準備ができ次第ということで、いつということまではまだ決定しておりませんが、きょうの議論を踏まえまして進めてまいりたいと思っているところでございます。
説明は以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございました。
では、御質問をお願いいたします。
山口委員。
○山口委員 資料の9ページで、今後、医療放射線の安全管理にかかわる体制づくりが進められていって、下の段にあります医療放射線の安全管理のための指針の策定へと進めていくと書いてございます。この一番下のところに、医療従事者と患者との間の情報の共有に関する基本方針というものがありまして、被ばくということについては、一律、とてもナーバスになってしまう方もいらっしゃる。例えば、歯のパノラマ写真1枚撮っただけで体の不調が来したのではないかとおっしゃる方もいるぐらいです。正当化、最適化ということが言われていますけれども、具体的に本当に必要な場合にどういう安全性があるのかということの目安がなかなかわからないというのが現状としてあると思います。
一部、それぞれ医療者の努力によって、具体的な、例えば何回ぐらい検査を受ければ、こういう症状が出るという目安を出しているところもあるのですけれども、何か人体に具体的な影響を及ぼす回数であるとか、そういった目安を患者と医療者が情報共有するときに入れていただけると、少し安心感を持てるのではないでしょうか。1回でも少ないにこしたことはないと思いますけれども、本当に必要な検査であれば、受ける必要があると思っていますので、そういう基準をこういう中に入れていただくということも、1つ考えていただきたいということをお願いしたいと思います。
○地域医療計画課長 地域医療計画課長でございます。
さまざまなデータがございます。例えば、今回の資料の23ページはあくまでも確定的影響でございます。相当な線量に関してですが、ここにありますようなオーダーであれば、直接的に影響が出るということについては、これは国際的な基準といいますか、しきい値が決まっているところでございます。
一方、これは私も説明を丁寧にしないといけないと思うのですけれども、放射線の検査・治療に関しましては、当然、何かの疾病、御病気があって、それに対して必要であるということを前提になされるということでございますので、まずは正当化という部分に関しましては、当然、必要なものであるからということで、ほとんど問題にならないと思います。
今回、我々が考えているのは最適化のところでございまして、これに関しても必要な診断・治療を得るためには、ある意味線量限度というものはないわけでございますけれども、その中で、例えばいろいろな学会レベルでは、このぐらいの線量で全国的には検査をやっているとか、そういう考え方が示されているというのもありますので、各医療機関において、そういったものを参考にしながら実施していただくということであります。
何か具体的な基準を定めて、それを上回ってはいけないというやり方よりは、できるだけ必要な検査はきちんとやるという前提で、他の医療機関とか全国の状況を見ながら、各医療機関が少しずつ取り組んでいただくというものでありまして、何か規制というよりは、よりよくしていくという活動に個々の医療機関が取り組んでいただくというイメージととらえていただければと思います。
○永井部会長 山口委員。
○山口委員 そういうつもりで申し上げたわけではなくて、例えばしきい値という数字で出されても、どれぐらいの回数受けると、こういうしきい値になるのかという判断基準がわからないので、そういうものをお示しいただきたいということです。一律、何回までと決めてくださいという意味ではございません。
○永井部会長 牧野委員。
○牧野委員 山口委員の意見というのは、患者さんとしての不安とか、素直な気持ちが出ると思います。個々の医療機関での取り組みいうことですので。歯科医師会は、先ほどちょうどパノラマが出ましたけれども、パノラマを1枚撮ると4から24μSvの被曝であって、ニューヨークと東京のフライトをしたときには200μSvありますよとか、そういうポスターをつくって、レントゲン室にかけるということをしてはいるのです。だから、課長がそういうものは問題ないと言うけれども、患者さんとしては、そういう考え方があるのだという思いを持っていただきたいという気はいたします。
○永井部会長 岩田委員、それから相澤委員。
○岩田委員 済みません、岩田でございます。
本当に素人的なコメントのようなことで申しわけないですけれども、先ほどの山口委員とかの議論とも重なるのですが、まずは、こういう形できちんと放射線量を記録して管理しようということなので、第一歩としてはすごくすばらしいと思うのですが、今後の成り行きで既に議論されていると思うのですが、患者は一つの医療機関だけに行くわけではないので、複数の医療機関に行かれると思います。患者さんに情報を渡しても、私たちもよくわからないというところがあるので、どういうふうに管理するか。保険で管理するのがいいのか。それを専門家の先生方に考えていただいて、より適正な形で使われるような形に議論を進めていただけるとありがたいと思っています。
以上でございます。
○永井部会長 相澤委員。
○相澤委員 細かいことで申しわけないのですが、11ページに書かれていることです。被ばく量が意外と多いのは、治療に使う透視です。血管内治療。最近は、これがレントゲン室だけでなくて、手術室に入っている例が多くて、特にハイブリッド手術室というものをつくって、今、盛んに行われているのですが、このときの被ばくは調べてみると意外と多いのです。そして、それが放射線の管理から外れてしまうことが多いので、それは非常に危険なので、それをこの中に少し入れてもらう。例えば、これだと血管造影検査に用いると書いてあるのですが、血管造影検査よりは、むしろ治療に用いる透視というのはすごく被ばくするので、それをちょっと入れていただきたいなと思います。
○永井部会長 はい。
○地域医療計画課長 御指摘ありがとうございます。
今回、検査に限っておりますのは、検査と治療というのは少し視点が違います。治療に関しては、まずはある疾病を治すという目的のために必要な線量ということになりますので、限度というか、そういうことでコントロールするというよりは、ちゃんと治療的に結果を出すということが目標になります。
検査の場合に関して申しますと、全国で実施している同じような検査でも、結構ばらつきがございまして、そちらを標準化していくということがありますので、まずは今回、検査を最優先ということでございますけれども、11ページにございますとおり、その他の放射線診療機器においても、必要に応じて管理していくということで位置づけております。今後、御指摘のようなさまざまな取組、医療機関に幾つもある患者さんのデータをどうするかを含めて、引き続き検討会等で議論してまいりたいと思っているところでございます。
○永井部会長 検査をしながら治療をする状況があるのだという、今の相澤先生のお話、そういうことだと思います。その場合は、今回は対象になっていないということですか。
○地域医療計画課長 今回は、基本的には純粋に検査ということについて、まず取り上げることを考えておりまして、診療で言いますと、先ほど申し上げたとおり、治療に必要な線量をきちんとされることが大事です。ただし、どのぐらい線量を用いたかということについては、データのとり方を含めまして、関係学会のいろいろなガイドライン等もございますので、そういったものを見ながら、通知等でできるだけわかりやすく取り扱いを示してまいりたいと思っております。
○永井部会長 相澤委員。
○相澤委員 言い争いをするつもりはありませんが、これはあくまでも患者さん、国民の被ばく量を減らして安全を守ろうというところに焦点を置かないと、極めておかしなことになるのではないかと僕は思っていますので、ぜひ御考慮をお願いしたいということでございます。
○永井部会長 5ページの放射性皮膚炎も、単なる冠動脈造影ではなくて、冠動脈形成術のことだと思います。検査をしながら治療していると、こういうことが起こるのだという例なので、混同しないように注意しないといけないと思います。単に検査だけでこういうことが起こるということではまずないはずです。
久喜委員。
○久喜委員 20ページ、日本の放射線被ばく量が世界一多いと。それだけ医療水準が高いという認識であると思うのですけれども、そういう中において、私も医療をやっているときによくネームプレートをつけられて、そのネームプレートで被ばく量をはかるというわけですけれども、これと10ページの内容とはどういうふうにリンクしてくるか。個人の医師の被ばく量と、これはどういうふうにリンクするか、具体的なことを教えてもらいたいと思います。
○地域医療計画課長 今の御指摘に関しては、所管部局が違いますが、別の法律で医療従事者の被ばく管理というものはされておるところでございます。
医療法に関しまして、今回の規則で提案しますのは、相澤委員の御指摘もありましたように、患者さんの被ばくということでございますので、そういう意味では、先ほどの医療従事者の部分については、別の法律で規定があるということでございます。
○久喜委員 この辺のところ、もう少しここに盛り込んでもらったほうがいいのではないかと印象としては思ったのですけれども、法律が違うから、そこは別なのかなという感じがしますけれどもね。
もう一つ、これだけ被ばく量が多いということになりますと、先ほど議論もありましたけれども、患者教育をきちんと踏まえたほうがいいのではないかという印象を持ちました。
○地域医療計画課長 今回、省いておりますが、他法令の遵守状況に関しましては、医療法の医療監視の中でも、保健所が医療機関に対して、確認することになってございますので、それを引き続きやってまいりたいと思います。今回の資料につけておりませんが、失礼いたしました。
また、患者さんへの説明というのは、今回、非常に御指摘いただいておりますので、関係団体の御協力もいただきながら、わかりやすくいろいろな情報を提供していくというのも、あわせてやってまいりたいと思います。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
それでは、今の議論を踏まえて、必要な対応をお願いいたします。
次に、「『経済財政運営と改革の基本方針2018』、『未来投資戦略2018』及び『規制改革実施計画』について」、事務局から説明をお願いいたします。
○総務課長 総務課長でございます。
資料4に基づきまして説明申し上げたいと思います。この6月に、いわゆる骨太の方針と言っております基本方針2018、それから未来投資戦略2018、また規制改革の実施計画が定まりましたので、そのうち、医療提供体制絡みのものにつきまして、今回、抜粋して御報告させていただきます。
順番といたしましては、まず骨太2018の関係でございます。1ページ目でございますが、幾つかの指摘をいただいております。
1つは、生産性革命の実現と拡大の関連で、全国的な保健医療情報ネットワークについての記述がなされているところでございます。
それから、長時間労働の是正という関係では、これは先ほど1番目に御議論いただきましたけれども、医師の働き方改革の関係で記述がなされているところでございます。
それから、分野別の対応ということでは、観光立国の実現ということで、訪日外国人対応の関係での指摘を幾つかいただいているところでございます。
それから、防災・減災と国土強靱化の推進という関連では、災害派遣医療チームの司令塔機能の強化という関連での言及がなされているところでございます。
おめくりいただきまして、スライドの2つ目でございますけれども、各分野ごとの計画の基本方針と重要課題ということで、社会保障関連でございますが、予防・健康づくりの推進ということでは、歯科口腔保健の関連について、また医科歯科連携の構築などについて記述がなされております。
それから、生涯現役、在宅での看取り等ということでは、人生の最終段階における医療・ケアの在り方などについての記載がなされているところでございます。
それから、医療・介護提供体制の効率化とこれに向けた都道府県の取組の支援ということでは、地域医療構想の推進の関係で幾つか指摘がなされているところでございます。
それから、2ポツ目のほうでありますけれども、医学部定員の在り方についても記載がなされているところでございます。
それから、おめくりいただいて、スライド3枚目になりますが、医療・介護サービスの生産性向上ということで、生産性の向上を目指すということが言及されております。
また、CIN、クリニカル・イノベーション・ネットワークとMID-NETの連携といった点についても言及がなされております。
また、生産性向上のということでは、AIの活用などの関係も記述されている状況でございます。
それから、医薬品等に係る改革等ということでは、薬価制度の抜本改革に向けた基本方針が定められておりますが、これに基づいた取組が言及されているところでございます。また、バイオシミラーの関係につきましても言及がなされている状況でございます。
次のスライド4でございますが、こちらは未来投資戦略の関係でございます。
新たに講ずるべき具体的施策ということで、1つは医療機関等における健康・医療情報の連携・活用ということで、これもデータ共有の推進といったこと。それから、適正規模の地域医療ネットワークの構築ということ。そして、全国的な保健医療情報ネットワークの関係についての言及がなされているところでございます。
それから、ビッグデータとしての健康・医療・介護情報解析基盤の整備ということで、次世代医療基盤法が成立しておりますので、これの実施に向けての言及がなされているところでございます。
それから、多職種の連携推進ということでございます。これも先ほどの骨太にもございましたが、生産性向上という関係で、AI・ロボットなどの活用といったことが言及されている状況でございます。
また、オンラインでの医療・多職種連携の推進ということでは、オンラインの活用ということで、ガイドラインを踏まえたオンライン診療についての言及がなされている状況でございます。
それから、多職種連携の推進ということも言及されているところでございます。
スライド5になりますが、今度は先進的医薬品・医療機器等の創出のための基盤整備ということで、これも先ほどの骨太にもございましたけれども、クリニカル・イノベーション・ネットワークとMID-NETの連携が言及されております。
また、ベンチャーの育成ということで、ベンチャーと大手企業とのマッチングなどについても言及されているところでございます。
それから、AI等の技術活用につきましても言及されているところでございます。
国際展開の関係では、外国人観光客の対応について言及されているところでございます。
その下、新たに講ずるべき具体的施策の観光でも、同様に訪日外国人対応が言及されている状況でございます。
それから、スライド6、7に参りまして、こちらは規制改革実施計画になります。
この関係で1つ大きいのは、オンライン医療の普及促進ということで、オンライン診療の関係で幾つかの論点がございますので、それについて規制改革の推進ということがそれぞれ指摘を受けて、その実施状況について整理しているところでございます。
また、スライド7では、医療ベンチャー支援の取組ということで、これも幾つか御指摘いただいておりますけれども、それぞれについての実施状況について整理したという状況でございます。
資料4の関係につきましては、以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
それでは、質問、御意見をお願いします。
猪口委員、どうぞ。
○猪口委員 1つ質問させていただきたいのですが、この未来投資戦略に書かれている個人の健康・医療・介護サービスにおける基盤となるデータ利活用の促進というものがございます。現在、多くの病院では電子カルテを利用しているわけですが、この規格がなかなか統一されないために、それぞれのメーカー、ベンダーによって違うものがつくられています。それが横で連絡することがなかなかできません。ましてや、排出するときにも条件が違って、同じようなものが出てこないという制約がかかっているわけです。
これをぜひ国のほうで一つの標準規格を定めて、電子カルテもそれにあわせて構築するということが行われれば、かなりの医療費の削減とかデータの集めやすさになるわけで、それを国のほうで力強く指導していただきたいと考えているのですけれども、いかがでしょうか。
○永井部会長 どうぞ。
○研究開発振興課長 研究開発振興課です。
電子カルテ等から出力する際の基本的な規格については標準化ができているのですが、各病院、各ベンダーさんの間で、それをさらにカスタマイズしているということがあって、おっしゃるとおり、出力する際のデータをきちんと整理していく、それが各病院、各ベンダーで違っているという状況がございます。それは、同じようなデータ基盤の構築に伴って、そういう点についてしっかり対応していく必要があるということで、検討会の次に取りかかる課題として挙げておりまして、先生おっしゃる点について改善していきたいと考えております。
○猪口委員 ぜひよろしくお願いいたします。
○永井部会長 今の点は非常に重要で、単に改善で済むのか。本当に国を挙げて、また省庁を超えて対応しないとできない、難しい問題ではないかと思います。先日、私もある外国の方、ポルトガルでしたが、お会いして、パブリックな電子カルテをつくって、国全体で統一してきたということでした。
加納委員。
○加納委員 今の電子カルテの追加になるかと思いますが、我々が調べますと、我々の売り上げの1.5%がベンダーの電子カルテの費用となっており、それは維持費、ランニング、イニシャルコスト等であります。急性期の病院の利益率を上回る数字で、我々が今、負担しております。このことは以前から何回も、今日の議論のような形で提案しているのですけれども、今みたいな簡単な話ではなくて、ベンダー絡みでなかなか解決してこなかったのが事実です。こういう形で提案があれば、ぜひともこれは我々としてやっていただきたい。
もう一つは、今、費用のことを言いましたけれども、我々が聞くところによりますと、某国で一本化した結果、値段は100分の1、今よりも2桁下がったというわけですから、これは医療費全体の効率化を考えると、ぜひともやっていただかなければいけない大事なことだと思っておりますので、そういう認識でぜひともよろしくお願いしたいと思います。
○永井部会長 これは、単に医療だけではなくて、研究やイノベーションの話にもつながっていくわけですね。
中川委員。
○中川委員 今の件ですが、猪口委員と部会長の御意見に私も大賛成です。これは、電子カルテだけじゃなくて、おっしゃるように、いろいろなデータ処理の問題とか、東日本と西日本が違うという重大な問題が起きているわけですよ。できるだけ早くそれに対処しないと、おくれればおくれるほど統一するのに莫大な費用がかかるわけですよ。森光課長の先ほどの答弁を聞いていると、ほとんどゼロ回答に聞こえます。ですから、ここで本当に本気で医療部会として何かをやるのだということを、委員の皆さん、決めませんか。そうしないと、事務局、動きませんから。事務局を責めているわけじゃないですよ、応援しているのですよ。ぜひその辺のことを真剣にやりましょうよ。いかがですか。
○永井部会長 山口委員。
○山口委員 私もまさしくそのことに問題を感じておりまして、例えば、昨今、問題になっている未読レポートの話がありますけれども、ある大学病院の未読のことにちょっとかかわっていて、例えば電子カルテの中でシステムを改修しなければいけないということになると、そこで2,000万円必要だとベンダーから言われたと聞いています。未読をはじめ、問題点が起きないためには、電子カルテのこういう仕組みが必要だという課題がある程度出てきていると思います。
出てきている問題を踏まえて、国としてこういうシステムは一律に必要だと統一できるように働きかけないと、個々にお金がなかったらシステムは改修できませんということになってしまうと、システムを変えることで防ぐことができるような事故も防げなくなってしまうと思います。私も皆さんおっしゃっているように、きちんと公的なシステムということを各ベンダーが行うようにすることをぜひ進めていただきたいと思います。
○永井部会長 まさに次世代電子カルテということが言われ始めてきて、各ベンダーの努力ではなくて、恐らくオープンイノベーション的に基盤を一緒につくる。製品化のところで多少の工夫があっていいと思いますが、楠岡委員、どうぞ。
○楠岡委員 電子カルテというものが、従来の診療録を電子化したものに検査データ、その他を加えた、いわゆる記録としての電子カルテであれば、標準化は可能であり、統一できると思いますが、現在の電子カルテというのは単に診療記録だけではなくて、看護、その他に対するいろいろな指示とか、あるいはその結果に関する取りまとめ、医事との連携とか、病院情報システムとして存在している中の電子カルテという形なので、電子カルテだけを触ったらいいという話ではなくて、病院情報システム全体を考えないといけません。
そうしますと、病院情報システムを考えるということは、病院業務の標準化をある程度進めていくことを意味します。各病院ごとに、いろいろなプロセスが全くばらばらであるのを、ある意味標準化しないと統一的な病院情報システムができませんし、それに基づいた電子カルテであるならば全く均一のものができてくるかと思います。その辺のところの議論が常にちぐはぐなために、なかなか進んでこなかったというのが現状ですので、もし電子カルテを標準化するのであれば、それに伴う病院情報システムそのものの標準化が必要です。
そうしますと、先ほど山口委員がおっしゃったような未読の部分の解消というのも最初から入れ込むことで、新たに追加改修で2,000万円が出るという話ではなくなるので、個々のことは病院の事情もあると思いますが、標準仕様、この項目だけは絶対カバーしなければならないというものをつくっていくというのが、まず最初の取組ではないかと考えております。
○永井部会長 でも、仕様がないと電子カルテができなというのは困るわけで、それはタイアップして進めていくべきでしょうし、これは医事・会計課を含めた、全体のことを考えた国のプロジェクトとしてぜひ立ち上げてほしいと思います。よろしいでしょうか。
はい。
○楠岡委員 現在の病院情報システムがもともと医事会計システムをスタートして、それに追加して発展してきた形になっているために、医事会計システムにすごく引っ張られている状況があります。どのベンダーにも、そうではなくて、電子カルテの側からつくればどうかと言うのですが、最後は医事会計システムとの連携のところが問題になって、なかなか進まないという現状もありますので、1つ、全然別の発想で新たなシステムをつくるということ、その中にいろいろなものを埋めこんでいくということで考えていく必要があるのではないかと思います。
医事会計システムというのは、診療報酬改定ごとにどんどん複雑化していって、わけのわからないものになっていて、それをうっかり触ると何が起こるかわからないという実際もありますので、そこのところから考えていかなければならないと思います。
○永井部会長 よろしいでしょうか。ぜひ、今の議論を踏まえて必要な対応をとっていただければと思います。ありがとうございます。
次に、「医療法及び医師法の改正について」、報告をお願いいたします。
○総務課長 資料5により御説明申し上げます。総務課長でございます。
医療法、医師法の一部改正法につきましては、法案に向けても、この医療部会で先生方のいろいろな御議論を頂戴したところでございます。これが先般、会期末を迎えました通常国会におきまして、医療法及び医師法の一部を改正する法律ということで、参議院、衆議院、それぞれ可決いただいて法律として成立したところでございます。
スライドの1ページ目は、法律の概要でございます。これは従前、御説明した内容のとおりでございます。
スライド2のほうが、この法案の審議の過程を簡単にまとめたものでございます。
最初に、参議院先議ということで、参議院で御議論いただきまして、参考人、四方の御出席もいただきながら御議論いただき、5月18日に参議院本会議で可決を見たという状況でございます。
その後、衆議院のほうに回付されまして、衆議院厚労労働委員会のほうで御議論いただき、こちらも参考人、5人の方々に出席いただきながら法案の審査をしていただきました。衆議院の本会議で7月18日に可決いたしまして、法案として成立を見たという状況でございます。
この法律につきましては、7月25日に官報で公布されたという状況で、法律として既に公布された状況でございます。
スライド3では、今回のこの法律の施行スケジュールをまとめております。これも一度、簡単に御説明申し上げておりますが、大きく4つの段階に分かれておりまして、1つは、公布、即施行というものがございます。この関係は、地域医療体制協議会の役割の明確化の関係。それから、国から専門医機構などに対して、医師の研修機会の確保などについて要請を行うようなもの。それから、これは地域医療構想との関係でございますが、新規開設したいという申し出のときに、その許可申請についての知事権限を追加するというもの。これらについては、公布、即施行となっております。
それから、ことしの10月1日施行としては、地域医療支援事務の追加・義務化の関係がございます。
それから、31年4月1日に施行を予定しているのが3つございまして、1つは、医師の確保計画。これは、各都道府県のほうで策定いただくものでございますが、その策定の関係。そして、外来医療機能の可視化と、その方針策定などについてがございます。それから、都道府県知事から大学に対して地域枠/地元枠について増加を要請するといった点についても、31年4月1日の施行にしております。
これを踏まえまして、具体的な医師確保計画や計画の策定を進めていただいた上で、32年4月1日施行のものとして2つございまして、1つは、新たな医師の認定制度の創設の関係でございます。それから、都道府県に対して、臨床研修病院の指定や定員の配置についての権限の付与につきましても、32年4月1日ということで予定しております。
いずれにしましても、全体、36年4月1日というのは、改正法の施行日から5年後を目途に検討を加えるというのが附則の規定にございまして、こうしたことが今回の方針の中で施行の関係で予定されているところでございます。
それから、スライドの4ページ以降が、参議院厚生労働委員会、衆議院厚生労働委員会で附帯決議をいただいたところでございます。それぞれ委員会の議論の中で出てきた問題意識を踏まえて、委員会として御決議をいただいたものでございます。
スライド4が参議院のもの。
スライド5とスライド6が衆議院のものでございます。衆議院の附帯決議につきましては、先ほどの参議院の附帯決議に加えて、衆議院独自の字句をつけ加えているところがございます。
非常に簡潔でございますが、このような審議経過を経まして、法律として既に公布されたという状況でございます。この部会におきましても、例えば医師少数区域などを具体的にどう設定するのかという御議論をいただいたところでございますが、国会においてもそういった点を御指摘いただいておりまして、私どもとしてもこういった点については早急に検討を進めていきたいと思っております。今後の指標のあり方なども含めて、法律の中で具体的にこれから検討するといったものについては、今後、速やかに検討作業を進めていって、各都道府県において円滑にこういった取組が進められるように取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
駆け足でございますが、以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
それでは、御質問、御意見、お願いします。よろしいですか。
それでは、御質問もないようですので、続きまして、事務局より報告事項をお願いいたします。「その他」、よろしくお願いします。
○医療安全推進室長 その他といたしまして、資料6と参考資料3-1と3-2の説明をさせていただきます。
昨今、話題となっておりますCT等の画像診断報告書の見逃しに対する厚生労働省の取組についての御報告でございます。
資料6の3ページをごらんいただければと思います。これは、放射線科診断医がおりまして、さらに画像情報共有システムがあるような大規模病院において発生している事例でありますが、画像診断書の確認不足が起きております。そのメカニズムといたしましては、主治医がある疾患の患者の画像診断を発注した後に画像が返ってくるわけでございますけれども、その所見を見て患者さんに説明してしまい、診療を終了する。一方で、放射線診断医がその疾患とは全く別の部位に異常な所見を見つけ、それを報告書に記載するわけですが、それが主治医のところで確認がとられないまま過ぎてしまうということでございます。
場合によっては、数年後、放射線科によって指摘された別の部位の異常の所見に由来する病気が患者さんに発生してしまい、過去の診療記録を調べてみると、以前の報告書に所見が記されていたことが判明するといった流れでございます。
2ページ目でございますが、厚生労働省では、医療安全の向上を目指しまして、これまで事故事例や事故には至らなかったけれども、ヒヤリ・ハットした事例を全国的に収集・分析して、医療安全情報を医療現場に還元する事業を、平成16年から医療機能評価機構とともに実施しております。事業開始以来、画像診断報告書の確認不足による事例につきましては、80件把握されておりまして、これまでに平成24年とことしの2回、医療安全情報を作成して周知しているところでございます。
医療安全情報には、主治医に適切に報告書の情報が伝わる工夫を各医療機関においてしていただくことを提案しているわけでございますが、この医療安全情報とは別に、本省からも当該医療安全情報を引用いたしました事務連絡を、昨年11月、そしてことしの6月に発出しております。これが参考資料3-1と3-2でございます。
今後も新たな事例の集積で得られた知見、あるいは現在、厚生労働科学研究の医療安全に資する病院情報システムの機能を普及させるための施策に関する研究というものを、阪大の医療情報学の松村班で行っているわけでございますが、こうしたところから得られた情報につきまして、引き続き対策の進展に向けての情報の周知を図っていきたいと考えております。
以上でございます。
○地域医療計画課長 引き続きまして、同じ資料6の4ページ目からでございます。「平成30年7月豪雨にかかるDMAT派遣状況及び医療機関の被害状況について」でございます。
5ページ目でございますが、DMATに関しましては、災害拠点病院、各都道府県に御協力いただきまして、現地で活動いただいているところでございます。
医療機関の被害状況としましては、広島、岡山、愛媛、長崎、京都、福岡と、多県にまたがっておりますけれども、さまざまな対応がなされてきているところでございまして、現状では、一部病院以外は対応が進んできているところでございます。
また、今回、6ページ目でございますけれども、JMATに関しましても、大変早期の段階からDMATと円滑な引き継ぎで取り組んでいただいているところでございまして、こういった活動をいただいている状況でございます。
以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
それでは、御質問、御意見お願いいたします。
加納委員。
○加納委員 ありがとうございます。
最後にDMAT、JMATの話が出たわけですが、今回、DMATに引き続き、AMATも8日の時点で3隊出まして、このJMATの16日までの間に12隊が出て、非常に効率よくDMAT、AMAT、JMATの活動ができたと認識しております。ぜひともそういった意味での御報告も追加していただきたかったかなと思っております。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
ほかにいかがでしょうか。
放射線診断書の確認不足の問題ですが、もちろん確認をもっとしっかりするということと、もう一つ、確認不足を少しでも減らす工夫ですね。システムとしてどうするかということも考えないといけないと思います。要注意報告書という分類をして、自動的にするのか、放射線診断医がするのかは議論が必要ですが、特に要注意の報告書への対応が必要です。例えば、腫瘍の疑いとか腫瘍転移の疑いというのは、これは要注意報告書ですから、たくさん書いてある中だと見落としやすいですね。そういう工夫を求めていってもよいのではないかと思います。
○医療安全推進室長 医療安全推進室長でございます。
御指摘、もっともでございまして、見落としが起こる間の業務フローを見てまいりますと、本当にいろいろなところのかかわりがございます。情報システムそのものもございますし、放射線診断医、あと病理の診断分であるとか、血液検査も含めた臨床検査情報、あらゆるところでこういった事象が起こり得るわけでございまして、それぞれの業務フローを分析して、病院全体のどこに急所があるのかというのを分析して、手当てをしていくための思考の整理をしないといけないと考えております。
その点、現在、先ほども申し上げましたけれども、厚生労働科学研究では、その辺の考え方をいろいろなところの事例を集めながら整理して、医療現場のほうにまた還元していくようにしていきたいと考えております。
○永井部会長 あと、先ほどの電子カルテの標準化とも関係するのですけれども、例えば報告書の中に腫瘍とか腫瘍疑いという言葉があれば、自動的に、まさにこれは今のAI技術を使うとか、これは要注意報告書だということを、一つ一つのベンダーに頼むのではなくて、電子カルテの標準化の中で解決することも大事だと思います。
中川先生。
○中川委員 このスライドの3ページを見ると、1つ懸念があるのですけれども、画像診断を読影する放射線科医がいる病院というのは、全体の何%ですか。
○医療安全推進室長 済みません、手元に数字を持ち合わせてございません。
○中川委員 全然わからないのですか。
この3ページのパワーポイントを見ると、画像診断報告書がないと正確な診断ができないと見えるのです。大部分の病院は、主治医が画像を正確な診断をして患者さんに説明して医療が成り立っているわけです。ですから、放射線科医が診断して、その報告書を見てやらないとだめだと一般の患者さん、国民は誤解すると思うのです。その辺がちょっと説明不足だなと。
そして、これがひとり歩きすると、森光課長、いらっしゃいますけれども、次の診療報酬改定でも誤解した情報が伝わる可能性があるのです。森光課長、これ、違いますからね。大部分が放射線科医の診断によらないで、各科の医師が専門家としての画像診断をきちんとして医療が成り立っているわけです。その辺のところをお間違えのないように、確認でございます。よろしくお願いします。
○永井部会長 専門の診断医がいても、全部読んでいるわけではないというのが実情です。大学病院でも、診断専門医が読んでいる割合は少ない。それが実情です。
楠岡委員。
○楠岡委員 山崎委員がいらっしゃらないので、もしいらっしゃったらおっしゃると思うのですが、DPAT、これは所管が医政局でないので、データがすぐ出てこないのかもしれませんが、今回もDPATがかなり入って活動されておりますので、DPATの状況に関しても一括して御報告いただきたいと思います。
○永井部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、今の議論を踏まえて、必要な対応をお願いします。
最後に、事務局から連絡事項をお願いします。
○保健医療技術調整官 事務局でございます。
それでは、最後に医政局長の武田より御挨拶申し上げます。
○医政局長 医政局長の武田でございます。本日も大変充実した審議をいただきまして、ありがとうございました。
私ごとになりますけれども、既に公表されておりますが、31日付をもって職を辞することになりました。また、仕事については、後任の局長が既に内示されておりますので、しっかり引き継いでまいりたいと思いますけれども、まずは医療部会の先生方に1年間、大変お世話になったことを厚く感謝を申し上げたいと思います。先ほどちょっと数えていたのですけれども、去年の7月20日が第52回医療部会で、着任の御挨拶をさせていただきました。きょうは63回ということですから、12回。大変お忙しい中、お集まりいただいたことになります。本当にありがとうございました。
私、この医療部会の運営に当たりましては、この医療部会というのは医療提供体制についての最高審議機関といいますか、中心的な司令塔的役割を持つ部会であるということだろう。であるからには、この医療提供体制、個別の論点もございますけれども、全体的な方向性を踏まえて議論する場と考えてまいりましたし、なるべくその全体像がわかるような部会運営をお願いしてきたつもりでございます。
また、活発な議論をしていただくことを心がけてまいりました。本日もお願いするまでもなく、活発な御議論をいただいておりまして、関係各位、一人一人お名前は申し上げませんけれども、大変お世話になりました。ありがとうございました。
私、思いますに、すぐに方向転換するのは難しいのが医療提供体制でございます。医師の養成の話につきましても、医師の養成に10年かかるわけでございます。そういう意味におきまして、将来の方向をしっかり見据えた上で正しい方向に議論を進めていくことが大事ではないかと思います。きょうも地域医療構想の議論がございましたが、そういうことで、皆さん方のお知恵をおかりしながら、今後とも医政局の行政を進めていければと思っております。
そういうことで、個別の検討会の報告だけではなくて、医療にかかわることはなるべくこの場でということで、本日もその他というものを審議事項で災害対応の点もお話しをさせていただき、国のDMATだけではなくて、JMATについても最後のページに追加して、私どもとしてはなるべく多くの情報を出して議論していただこうということでございましたが、あれが2つほど抜けているのではないかという御指摘をいただきましたので、さらに注意して心がけて、幅広い御議論をいただけるように。
そして、医療というのは個別の論点から、さっきもお話がありましたように、医療事故であっても、それが例えばシステムの問題でありますとか、医療の質の問題でありますとか、さまざまな病院ごとの診療体制の違いでありますとか、そういう話もありますので、私どももこういう議論を引き続きやっていただくことが大事かなと思った次第でございます。
私ばかりしゃべっていますけれども、ほかの人間も今回、かなり異動になります。変わる人間一同を代表しまして御礼を申し上げ、また引き続き、今後とも医政局の医療行政に御支援賜りたいということで、最後に御挨拶させていただきました。本当にどうもありがとうございました。
○永井部会長 ありがとうございました。
それでは、これで本日は終了いたします。委員の先生方、どうもありがとうございました。
 

 

(了)

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