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2018年6月6日 第62回医療部会

医政局総務課

○日時

平成30年6月6日(水)10:00~12:00
 

 

○場所

厚生労働省講堂

○議事

〇医療政策企画官 それでは、ただいまより第62回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席くださいまして、まことにありがとうございます。
 医療部会の総委員数は24名、定足数は3分の1の8名となっております。本日は、荒井委員、加納委員、久喜委員、邉見委員、山崎委員から御欠席との御連絡をいただいております。19名の委員の皆様が御出席ということですので、定足数に達しております旨、まず御報告申し上げます。
 次に、新しく委員に就任された方を御紹介申し上げます。
 健康保険組合連合会常務理事の河本滋史委員です。
〇河本委員 河本でございます。よろしくお願いいたします。
〇医療政策企画官 次に、議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。
 お手元に議事次第、座席表、委員名簿のほか、資料1、資料2、資料3、資料4、資料5、資料6、資料7-1、資料7-2、参考資料1、参考資料2をお配りしております。不足がございましたら、お知らせください。
 カメラの方は、ここまででお願いいたします。
 以降の進行は、永井部会長にお願いしたいと考えております。部会長よろしくお願いいたします。
〇永井部会長 それでは、早速議事に入りますが、初めに、欠席の荒井委員の代理としまして林参考人、加納委員の代理として太田参考人、邉見委員の代理として小熊参考人、山崎委員の代理として長瀬参考人の御出席をお認めいただきたいと存じますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
〇永井部会長 ありがとうございます。
 では、議題にまいります。「2040年を見据えた社会保障の将来見通しについて」、事務局から説明をお願いいたします。
〇調査課長 調査課長でございます。資料1に基づきまして、御説明いたします。
 資料1の1ページ目をごらんいただけますでしょうか。一番上の囲みに趣旨が書かれておりますけれども、3月29日の経済財政諮問会議におきまして、2040年ごろを見据えた議論の素材となる社会保障の将来推計を早急に示すべきとの御議論があったことを踏まえまして、関係府省において2040年までの見通しを作成し、5月21日の経済財政諮問会議に提出したものです。
 「試算結果(1)(1)」と書かれている囲みの1つ目の〇に書いておりますけれども、現在は社会保障・税一体改革を進める中で、都道府県や市町村の計画がありますので、基本的にはそれらの積み上げを基礎とした計画ベースと、それとの比較もできるよう足元の医療介護の利用状況を将来に投影した現状投影とを作成しているということでございます。
 下の図でございますけれども、左側が現状投影で、右側が計画ベースということになりますが、異なるのは医療介護ですので、医療介護についての見通しを見ております。
 左側の現状投影を見ますと、2018年度に49.9兆円。括弧内でございますが、対GDP比で8.8%の医療介護の給付費が、2040年度には92.9~94.7兆円、対GDP比で11.7~12%程度になると見通されております。
 これに対しまして右側の計画ベースになりますが、医療・介護を合わせた給付費でございますが、2040年度で見ますと現状投影とほぼ同程度となっておりますけれども、医療・介護それぞれを見ますと、グラフの横の囲みの中に数字を書いておりますように、医療では入院患者数の減少ですとか、後発医薬品の普及などの医療費適正化の取り組みによりまして若干給付費が少ない。その一方で、介護ではサービス基盤の充実などによって、若干給付費が多くなるということになっておりまして、上の囲みの2つ目〇の一番下の行の書いておりますけれども、疾病や状態像に応じて、その人にとって適切な医療・介護サービスが受けられる社会の実現を目指したものとなっていると見ることができるのではないかと思います。
 これに年金や子ども・子育て等を加えた社会保障給付全体を見たものが2ページ目でございます。左側の図でございますけれども、このグラフは計画ベースで作成しておりまして、横の括弧の中に現状投影の数値を書いております。社会保障給付費全体で見ますと、2018年度に121.3兆円、対GDP比は21.5%であるものが、2040年度におおむね190兆円程度、対GDP比で24%程度になるということで見通されているということでございます。
 社会保障給付費の名目額自体はかなり大きくなるのですけれども、この間、横軸の下のGDPという欄に書いておりますとおり、GDPも大きくなるということなので、対GDP比で見た場合2018~2025年度にかけては若干の増加。2025~2040年度にかけて2.1~2.2%ポイント程度上昇という結果になっております。
 この対GDP比2.1~2.2%ポイント程度の上昇ですとか、対GDP比で24%程度の水準をどのように受け止めるかということでございますが、1つは基本的な見方としまして、我が国の社会保障給付費は対GDP比で見て2040年度に向けて引き続き一定程度上昇する見通しで、保険料や公費の負担が、図のGDPのさらに下に書いてありますのは保険料負担や公費負担の対GDP比でございますけれども、これらも一定程度上昇の見通しというのが1つはあるかと思います。
 また、一方で、2025~2040年度の15年間で、GDP比で2.1~2.2%ポイント程度上昇という上昇幅につきましては、例えば、過去2000~2015年の15年間の実績を見ますと、この間はGDPがほとんどふえなかったということには留意が必要ですけれども、社会保障給付費の対GDP比は6.8%ポイント程度の上昇であったということがあります。
 それから、社会保障給付費の対GDP比が24%程度という水準ですけれども、例えば、諸外国との比較で見ますと、この場合についても国によって制度や負担水準がかなり違うことに留意が必要なのですが、国民経済に対する社会支出の規模感としては、現在のドイツとおおむね同程度ということになっております。なので、過去に経験したことがない上昇幅でありますとか、どの国も負担したことがないような高い水準というものでもないという見方もできるのではないかと思います。
 なお、左図の右上括弧内に書いてありますとおり、これまで申し上げました数字は、経済前提としまして、内閣府のいわゆる中長期試算で二通り示されているケースのうち、成長率が低いほう、ベースラインを基礎として計算した数値です。
 2ページの上の囲みの2つ目の〇に書いておりますけれども、もう一つの成長実現ケースを基礎として計算しますと、2040年における社会保障給付費の名目額は、名目額としては大きくなりますけれども、対GDP比は1%ポイント程度低くなるということになっております。
 右側の図でございますが、医療福祉分野における就業者数の見通しとなっております。2018年度の医療福祉分野の就業者数は823万人ということで、横軸の下に就業者数全体を書いておりますが、この就業者数全体に対する割合は、823の下に書いてありますが12.5%ということでありまして、およそ8人に1人ですが、これが2040年には就業者数全体が5,654万人まで減少する中で1,065万人に増加しまして、対就業者数全体で18.8%、5人強に1人というくらいの水準まで上昇する見通しということになっております。
 今後2025年以降は、現役世代の人口の急減という局面を迎えるわけですが、医療福祉分野では基本的には人の手を経てサービスが行われるということがございますので、マンパワーの確保が大きな課題になるものと考えられますし、社会全体としても医療福祉分野にどれだけの就業者数をかけることができるかということもあるのではないかと考えられます。
 そうした問題認識から、少し飛びまして24ページをごらんいただけますでしょうか。厚生労働省におきまして、マンパワーのシミュレーションを行ったものでございます。左側の緑の囲みの中に書いておりますけれども、需要・供給それぞれにつきまして一定の仮定を置きまして、シミュレーション(1)とあるのは、需要側について、医療や介護の必要度が減少することで需要が一定程度低下した場合を想定したものでありまして、シミュレーション(2)は、供給側について、医療・介護などの生産性が一定程度向上することでマンパワーの必要量が少なくなる場合を想定したものです。
 右側の結果ですが、棒グラフが4本並んでおりますけれども、一番左が先ほどごらんいただいた計画ベースの2040年の医療福祉分野の就業者数1,065万人でございますが、対就業者全体で18.8%ということです。シミュレーション(1)と(2)の両方を重ね合わせた場合が、4本並んだグラフの一番右端でございますけれども、おおむね130万人少ない935万人程度の就業者数の必要量という見込みとなります。
 この就業者数の規模感ですが、そのさらに右側に参考といたしまして、2025年度計画ベースのグラフを示しておりますけれども、931万人ということになっておりますが、規模感としては、おおむね2025年度と同程度の水準ということで、医療福祉分野のサービス提供のマンパワーの必要量ということになるのではないかというシミュレーションをしております。
 ここまで御説明したことについての詳細な結果が、今飛ばしましたが4~23ページ、25ページ以降ということになっておりまして、給付や負担の詳細や、給付費や就業者数の計算の基礎となる患者数や利用者数などの数値ですとか、医療・介護の1人当たり保険料、保険料試算の見通しなどを示しているところでございます。
 最後に、もう一度前のほうに戻っていただきたいのですが、3ページでございますけれども、前提などを書いておりまして、最初の3つの〇が足元値や人口、経済の前提などを示しております。
 4つ目の〇が作成方法でありまして、医療・介護につきましては、年齢階級別の受療率ですとか、サービス利用率に将来推計人口を適用して、まず需要を計算して、それに単価や伸び率を適用するという形で推計しているといったことなどが書いてあります。
 最後に、これは全体的に一定の仮定を置いたものでありまして、結果は相当程度の幅を持っておく必要があるなど、留意事項を書いているところでございます。
 説明は以上でございます。
〇永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御説明に質問をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。
 平川委員どうぞ。
〇平川委員 質問をさせていただきたいと思います。中のほうに保険料率の算定が載っておりますけれども、医療に対する国民負担を前提に考える場合、例えば、国の財政において赤字国債がどうやらまだ緩やかにふえているという前提ですけれども、ある意味PBの黒字化を解消するなど、いろいろな前提を置くと、この保険料率で済むのかどうかということまで計算上入れているのかどうか。どういう前提で医療費の負担を計算したのかということを教えていただきたいと思います。
〇調査課長 財源構成にかかわることでございますけれども、基本的に現行制度を前提としまして、過去生じた赤字などということは考慮に入れずに、将来の給付費を賄うだけの財源はこういうふうになるということで計算しているものでございます。
〇平川委員 いろいろな前提が出てくると変わる可能性があるかと思いますけれども、対GDP比で見ていくというのは私もすごく重要だと思いますが、一方で、先ほど言ったように、医療保険は全て税と社会保険料で賄われていない、国債が増えているという現状を考えると、どういう形でこれらの負担や財源を確保していくのかという観点は重要かと思います。また、将来推計を出したということであれば、この推計に基づいて引き続きどのような改革が行われるべきなのかという検討をしていく必要があると思いますし、その検討体制を早急に構築していくべきだと考えているところです。
 骨太方針は原案をさっき見たばかりなのですけれども、その辺が余り明確でなかったように思いますし、社会保障改革の先送りというものが見え隠れしているかと思いますが、先送りしている暇はないのではないかと思っています。意見として言わせていただきます。
 以上です。
〇永井部会長 中川委員どうぞ。
〇中川委員 1ページで、現状投影と計画ベースが示されていますが、計画ベースのところで2040年に医療が1.6兆円の減少とあります。対GDP比で0.2ポイント減少とありますが、これは各種計画、地域医療構想、医療費適正化計画、介護保険事業計画を基礎として計画ベースというのだけれども、6ページの「将来見通しの結果(ポイント)」の2つ目の〇ですが、「医療では、病床の機能の分化・連携が進むとともに、後発医薬品の普及など適正化の取り組みによって、入院患者数の減少や、医療費の適正化が行われ(2040年度で▲1.6兆円)」と書いてあるのですけれども、患者数の減少だとか、機能分化・連携というのは、地域医療構想がだんだん進んでいくということを言いたいのだろうと思いますけれども、現状投影ベースが高過ぎるのではないかという気がするんです。このまま現状投影でなくて現状が経過すると自然と患者さんが減っていくわけで、そのことが計画ベースなのだと無理に表現していないかという気がするのですが、これは見方だからそうだとか、そうではないという議論も余り意味がないかもしれませんけれども、課題に現状投影が高目だと言っているのですか、これは逆の意味で示しているのですか。そんなに変わらないよと言っているのか、どうなのでしょう。
〇調査課長 最初に御説明したとおりでございまして、基本的には計画が実際に動いておりますので、計画が今後進んでいく方向だろうと考えています。他方で、一体改革のシミュレーションのときもそうだったのですが、一方で、今の利用状況をそのまま投影した場合にどうなるかといったものは、あわせて見てみるということが行われてきておりますので、今回も同様に行ったということです。
 結果につきましては、基本的には医療・介護合わせて見れば、現状投影と計画ベースでそれほど変わらないといったことを考えているということでございます。
〇中川委員 では、医療で1.6兆円というのは余り変わらないという範囲のレベルだという意味ですか。
〇調査課長 それぞれの見方というのはいろいろあると思いますが、基本的に医療・介護合わせて見れば、それほど変わらないということを申し上げているということでございます。〇中川委員 地域医療構想を進めて医療費が下がるということはないのだということを言いたいだけなのですけれども、これは結果として下がっているだけで、そんなことは患者数が減るのだからわかっているわけですよ。無理にそういうふうに余り言わないようにしましょうねということを言いたいです。
〇調査課長 御指摘は一応理解しているつもりでありまして、基本的には医療費が減るということを強く訴えたいということよりも、将来は大体これくらいの規模感になりますということを示しています。医療に関しましては、地域医療構想というのは病床機能分化・連携というクオリティーにかかわるところで進めているものと理解している一方で、後発品の普及などの適正化という側面もあるので、それも織り込んだことで、あわせてこういう姿になっているということで御理解いただければと思います。
〇中川委員 わかりました。
〇永井部会長 島崎委員どうぞ。
〇島崎委員 質問ではなく意見を申し上げます。この「社会保障給付費の見通し」によると、年金はGDP比ではむしろ下がっていきます。これはマクロ経済スライドが効くことなどによるのだと思いますが、一方、医療と介護のGDP比は増えるわけで、今後の社会保障の持続可能性の焦点は医療と介護に移るということになります。しかし、それにしても、社会保障給付費が発散しアンコントローラブル(制御不能)な状態になるという感じではありませんね。
 それよりも深刻なのは「就業者の見通し」のほうで、2ページの右側を見ると、2040年度の就業者人口に占める医療福祉就業者数は、2018年度に比べて6.3ポイントも上がってしまいます。特に大きいのは介護なわけですが、そのために在留資格を緩和し、外国人労働力の受け入れを拡大する方針だとも報じられています。私は外国人の介護労働力を一切受け入れるべきではないなどと非現実的なことを言うつもりはありません。ただし、注意しておかなければいけないのは、東南アジア諸国の合計特殊出生率が急激に低下しており、早晩これらの東南アジア諸国の若年労働力も不足気味になっていきます。また、シンガポールとか台湾は日本よりも出生率が低く、今でもこういう分野については外国人労働力に依存しており競争状態にあるわけです。したがって、門戸を開放すれば日本の都合に合わせて介護の外国人労働力が来てくれると思うのは間違いで、その点はよく考えておく必要があるだろうと思います。
 この問題に対する正攻法は何かというと、例えばICTとかチーム医療を活用して生産性をいかに高めていくかです。その意味で言うと、先ほど御紹介いただいたように、労働生産性が5%上がるだけでも、0.9ポイント抑えられるということは、非常に示唆的だと思います。
 もう一つ申し上げれば、介護分野における人件費は上昇するだろうと思いますけれども、これに対し介護報酬で「下駄を履かせる」という考え方ではなくて、介護の専門性を発揮して、それが社会的に評価されて賃金が上がっていくことが本来望ましい姿なのであり、そういう形にいかに持っていくかが非常に重要だと思います。以上、意見です。
〇永井部会長 田中委員どうぞ。
〇田中部会長代理 今の介護人材について直接医療部会のテーマではないですが、せっかくすばらしい統計をつくっていただいたので、一言発言します。
 21ページをごらんください。就業者数で介護のところに、例えば、ことしで言うとマクロで334万人、うち介護従事者200万人という数値があります。介護給付費分科会でも福祉部会でも専ら括弧の中にある数値、すなわち介護従事者数が2025年に20万人足りないとか、30万人足りなくなるおそれがあると議論をしてきましたが、334万、402万、500万と増える数値は余り使ったことはありません。介護分野で働いているが介護従事者ではない人が130万、160万、最後の年には200万人になる数値はどこからきた数値なのか疑問に思いました。介護従事者でなくて介護分野で働いている人は、例えば看護師さん、あとは運転手さんと調理師さんなどが想定できますが、でも200万人もいるものなのですか。どういう人たちか職種の見当はつくものですか。
〇調査課長 基本的に、これらは介護サービスの施設・事業所調査といいますか、介護の施設や事業所で働く方々の総数を積み上げて計算したもので、介護職員以外としては今御指摘がありましたような、看護師さんやOT・PTの方、施設長という方もおられますし、その他事務職員ですとか、施設などを維持するための職員などもおられますので、そうした方を積み上げていくとこういう数字になったということでございます。
〇田中部会長代理 調査に基づいているわけですね。イメージとしては実際の介護現場で介護従事者ではない職員がこの率でいる感じはあまりしないのですが、現実の調査だから正しいのかなと疑問を持ちました。
〇永井部会長 井上委員どうぞ。
〇井上委員 今回、中長期的な将来見通しが示されました。多分6年ぶりぐらいの試算だと思うのですけれども、もちろんいろいろな前提条件があって、将来の不安をあおるとかそういうことがあってはならないのですけれども、議論のベースとして非常に重要なデータだと思います。
 1つお願いとしては、6年ぶりということではなくて、せめて2~3年ごとぐらいに、こういうものを共有の認識として持った上で、制度の議論をしていただきたいと考えています。
 あと、社会保障給付費の増大があるわけですけれども、これにつきましては、給付の重点化、効率化を図るとともに、生産性を上げていかないと対応しきれないと純粋に思います。それで給付費の額やGDPに占める割合もさることながら、先ほど御指摘のあった医療福祉分野における就業者数が2割近くになると産業構造が変換していくぐらいのインパクトがございます。これは日本の経済の一つの重要な産業分野になっているということで、ぜひ、産業としての社会保障をもう少し前向きに考える必要があるのではないかと思います。もちろん、このグラフは右上がりになって給付費の負担がふえるという見方もありますけれども、一方の考え方としては、これだけのニーズがあって成長の可能性を持っているという産業という見方もできるわけでございまして、世界に先駆けてこういう状況が生まれているわけですから、産業としての社会保障という面にも少し光を当てて、どうやって育成していくか、どうやって生産性を上げていくか、あるいはどうやって海外展開までしていくかという視点も含めて、ぜひ前向きな議論をしていただきたいと思います。
 以上でございます。
〇永井部会長 ありがとうございます。
 山口委員どうぞ。
〇山口委員 資料の2ページを見ますと、先ほどから出てきている医療福祉全体の就業者数が就業者人口の5人強に1人となっています。これは結構衝撃的で、ほかの産業を考えると、多分AIやロボット入ってくると、このあたりは変化する可能性はあると思いますけれども、そんなに医療福祉分野に人員が費やせるものなのかなと、ちょっと現実的ではないような気もいたしました。
 そんな中で、今の御説明等々をお聞きしていて、社会保障給付の見通しとありますけれども、数値としては上がってくるということですけれども、中身はそう変わらないという御説明が今ありました。しかし、例えば2040年になると人口が減って、支える世代が減るということは税金自体が減ってくるということを考えると、人口が減って税金が減る中で保険料負担や公費負担が下がらないという現実が数字としては書かれているわけです。このあたりが現実的に負担していくことが可能なのかどうかということ、今の資料を出してくださった段階でどのように感じていらっしゃるのかを、まずお聞かせいただけますでしょうか。
〇調査課長 可能かどうかというのはなかなか難しいと思いますけれども、今回の趣旨を申し上げますと、先ほど6年ぶりに行われたという御指摘もございましたが、これまでというのは2025年までの推計しかなかったという状況でございます。今回の作業自体が3月29日の経済諮問会議での御議論を踏まえて2040年ごろを見据えてということでやってみたものなので、まさに今後これを一体どうしていくかという議論の素材ということで作成して提示させていただいたものだと思います。まさに、そのあたりのことをこれからいろいろな場で御議論いただきたいということかなと理解しております。
〇山口委員 もし、これが現実不可能なのであれば、やはり今の段階からいろいろなことを見直しする必要があるのではないかと思っています。例えば、この国で皆保険というのはもちろんありがたいのですけれども、それ以上に高額療養費制度というほかの国にはないような、患者にとっては非常にありがたいのですが、公費負担、保険料負担がどこまでもつのだろうかと思う制度があります。特に、高額療養費制度は、昔は償還払いでしたけれども、今は上限額までしか請求されなくなっていることで、一体幾ら自分が医療費を使っているかということが見えなくなっている。そういう現実の中で、少なくとも自分が使っている医療費が見えるようにしていって、医療費の適正化を考えることも必要ではないかと思います。この制度をずっと続けていって、結局いろいろなことができなくなりましたとなってからでは遅いかなと思いますので、これは今何かしてくださいということではございませんけれども、そろそろそういったことも議論していく必要があるのではないかという、ここは意見でございます。
○永井部会長 どうぞ。
〇医療介護連携担当審議官 保険局審議官ですけれども、2040年になるととても負担できないのではないかという御質問があったので、1点だけ御説明させていただきます。
 まず、資料の22ページに、まさに2040年になったときに今の貨幣価値でどのくらいの保険料負担になるのかをお示ししております。したがって、経済的な感覚から見れば、このぐらいの負担を保険料でしていただくということになると思います。
 もう一つ、先ほど2040年の諸外国との比較の数字を説明させていただきました。2ページの資料を見ていただくと、2040年の社会保障給付費の見通しというのが190兆円になると。名目額だと非常に大きく見えますけれども、対GDP比で見ると大体24%ぐらいということになります。実はこの24%という数字は、今のドイツ、あるいはフランスはこれより高いのですけれども、これらの国はこのぐらい使っているわけです。ドイツもフランスも国としてはちゃんと成り立っていると。ただ、そのときの消費税率は非常に高い負担をしています。そういう意味で言いますと、2040年の社会保障の姿が、今世界にある国の中でどこにもないような負担の水準であるということはないということは申し上げたいと思います。
 それから、高額療養費に関しましては、確かに償還払いをやめて今は現物給付化されております。これは、手元のお金を立てかえ払いしてやるのは御負担もあると。それから、利便性も考えてそのようにしております。ただ、当然患者さんにとってみると、高額療養費の意味が理解しにくくなっている点があると思いますが、そうした点につきましては、医療費通知を保険者からお送りして、このくらいあなたの医療はかかっているのですよということを患者の皆さんにも御理解いただくような努力もしておりまして、ある程度、利便性や患者さんの御負担と医療費がこのくらいかかっているということを御理解いただくには、ややトレードオフのところもあると思いますけれども、いろいろ努力をしていきたいと思います。
〇永井部会長 先ほど井上委員が言われた産業化の問題は非常に重要だと思います。医療・介護を産業としても育成しないと、地方が非常に弱ってしまうということがあります。ぜひ、あわせて産業化も御検討いただければと思います。
 中川委員どうぞ。
〇中川委員 今の審議官の説明は非常によかったと思います、久しぶりに。このままでは社会保障の持続可能性が本当に問われる、危ないのだという議論ばかりで、久しぶりに落ち着いたことを言い出したなと思って、私は評価したいと思います。ぜひ、その雰囲気でどの場面でも発言していただきたいと、お願いします。
〇永井部会長 ありがとうございます。
 では、事務局におかれましては、今の議論を踏まえて対応をお願いしたいと思います。
 続いて「地域医療構想の進捗状況等について」、事務局より説明をお願いいたします。
〇地域医療計画課長 地域医療計画課長でございます。お手元に資料2をお願いいたします。「地域医療構想の進捗状況等について」という資料でございます。
 1ページ目は、5月21日に経済財政諮問会議におきまして、地域医療構想の進捗状況について1枚にまとめて大臣より説明した資料でございます。細かい内容は後の資料に書いておりますが、ここで見ていただきますと、今、平成29年度、平成30年度に向けて公立・公的の医療機関を中心に、具体的な対応方針の策定という作業を進めていただいているところでございます。また、診療報酬や基金、現在国会で御審議いただいております新たな知事権限を含めて、地域医療構想の達成に向けまして、全体的にいろいろ進めているところでございます。
 そうした進捗状況についてでございますけれども、2ページにございますのは、平成30年2月に各都道府県宛てに通知した内容でございまして、構想区域ごとの調整会議の進め方について書いているものでございます。この中で、公立・公的の議論を進めていくということ、それから、年に4回はやってくださいという細かい内容については出しております。
 それを受けて、国では都道府県の進捗状況を年4回把握しておりまして、今回の3ページ以降の内容は、平成30年3月末のデータを載せております。3ページを見ていただきますと、棒グラフを下に書いてございますが、公立病院につきましては全国で823病院があるわけですけれども、実際に議論の開始までが650、公的医療機関等に関しては834病院中617病院が議論を開始していると。また、民間の医療機関、参考と書いてあるところですが、こちらも事業計画の策定や調整会議での議論ということも対象となっている医療機関も地域によってはあるようでございます。
 4ページ以降が、全国での取り組みの状況を一覧にしたものでございます。都道府県別に並べております。
 4ページが、病床機能報告に関して未報告の医療機関とそれに関する状況でございまして、地域医療構想の議論を進めていくためには、全ての病床を持つ医療機関に報告いただく必要がありますが、県によっては未報告のところがたくさん残っているところもあるわけでございます。
 5ページは、非稼働病棟と申しまして、医療法上の許可病床は持っているのですが、例えば、保険診療は行っていない、使っていない病床をカウントしたものでございます。これに関しても、ことし2月の通知で精力的に議論を進めていただくことをお願いしておりますが、下の棒グラフを見ていただきますと、全ての対象医療機関について議論していただているところもあれば、この件に関しては全く議論されていないところがあるということでございます。
 6ページが、公立・公的の医療機関の議論、取り組みの状況についてまとめたものでございます。これも非常に精力的に全ての対象医療機関に関して一通り議論を年度内にやっていただいたところもあれば、全くやっていないところもあるという状況でございます。
 一応、7ページに、なぜやっていないかの理由は聴取しておりますので、また御参考に見ていただければと思います。
 8ページは、地域医療構想調整会議を進めるに当たって、最終的にどこまで話を詰めるのかということに関しては、2025年を見据えた構想区域ごとに担うべき医療機関としての役割と、医療機能ごとの病床数についてまで詰めるというところをお願いしていますが、9ページにありますとおり、そこまでたどり着いているところは公立病院に関しては38病院、公的医療機関等については70病院ということでございまして、とりまとめ状況も正直申し上げて全国的にまだそこまでいっていないところでございます。
 10ページから、先ほど9ページで御紹介した、いろいろ具体的な対応方針まで議論が詰まっているという都道府県名と構想区域の状況、これ以外にも全く議論がされていないところもあるわけですが、一応議論がされているところはこのようなところがあるということで、病床数につきまして記載しておりますけれども、こういう形で議論を進めている地域もあると。
 同様の内容につきましては、16ページあたりまで続きますので、これもまた御参考にしていただければと思います。
 17ページからは、各地域の議論で具体的な病院名、4機能、どこを担っていくかについて相談が進んでいる、再編・統合の事例が一覧になっています。全体を通しまして、公立・公的の内容が多いという状況でございますが、一部民間も入った内容もあります。
 具体的に言いますと、18ページの茨城県の再編・統合事例は、民間病院もかかわった事例でございますし、下から2つ目の兵庫県の例も、民間病院がかかわった事例ということでございます。
 地域医療構想に関して、病床・病棟の議論もあるわけですが、20ページ以降は在宅・介護施設等との関係ということで、今回第7期の医療計画、介護保険事業計画を作成するに当たって、各都道府県と市町村が連携して検討をお願いしたいと言っていた内容についてでございます。
 20ページは、在宅医療等で将来的に需要を見込んだものでございます。在宅医療に関しても大半は黄色い部分でございますけれども、こういう大きいところがあるわけですが、病床の機能分化・連携に伴い生じる部分が、いわゆる2025年、約30万人ということで、これをどのように割り振っていくのかを都道府県と市町村で話し合っていただきたいとお願いしておりました。
 21ページが、具体的にどのような依頼をしていたかというものでございますので、御参照いただければと思います。
 模式図としては22ページ以降でございます。先ほど病床の機能分化・連携の結果として生じる追加的な介護施設、在宅医療の需要、30万人に関しては、いわゆる一般病棟からと療養病床からがあるわけでございます。
 そのうち、最終的に療養病床部分について23ページにございますけれども、在宅医療で対応する分、介護施設で対応する分ということを今回の第7期の計画に都道府県・市町村で話し合って盛り込んでくださいということをお願いしています。
 実際どのようなことになったかというのが24ページでございます。大半の都道府県におかれましては、医療計画と介護保険の計画について相談していただいて盛り込んでいただいているわけでございますが、幾つかの県におきましては全くそういう調整がされていない。または、我々が調査した時点では把握できていない、何らかの数字が盛り込まれているが、県としては把握できていないという状況でございましたので、これも今回非常に重要な内容であったということですので、正直少し驚いている状況でございます。
 第7期の医療計画に関しては25ページにございますけれども、在宅医療を進めていただくために、各県の医療計画の在宅医療部分に必ず記載していただきたいとお願いしていた項目、四角で囲っておりますけれども、「地域医療構想において推計した将来必要となる訪問診療の需要に対応するための、訪問診療を実施している診療所、病院数に関する具体的な数値目標と、その達成に向けた施策」については、書いていただきたい。その他さまざまなものを書いていただきたいということをお願いしていたわけですが、26ページを見ていただきますと、目標設定を行っていただいているところと、目標値ではなく推計値であったり、現状維持であったり、取り組み方はさまざまでございまして、今後はこれも中身を十分吟味した上で、また都道府県に技術的助言をしてまいりたいと思っております。
 最後、27ページでございますけれども、経済財政諮問会議におきまして、地域医療構想の進捗状況に関しては、平成29年度、平成30年度の2カ年が集中検討期間となっておりまして、それに向けましてこの秋に向けても中間的な報告をすることになっております。年4回、国のほうで把握しているところでございますが、今後引き続きより一層、地域で活発な議論をしていただけるように、さまざまな施策を検討していきたいと思っているところでございます。
 説明は以上でございます。
〇永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、ただいま説明に質問をお願いいたします。中川委員どうぞ。
〇中川委員 2ページですけれども、いつもの資料ですが、私は公立・公的病院に対する新改革プランと2025プランを策定して、その構想区域において公立病院や公的病院でなければ担えない分野へと重点化されているかどうか、民間と競合していたら公的・公立はダウンサイジングすべきなどの方向性であるべきだと言ってきましたが、ちょっと舌足らずだったかなという思いがあります。たとえ、公立病院と民間病院が同じ構想区域にあって、一見競合しているように見えても、民間病院が同じような医療レベルにない場合は、現場の判断によって公立病院は頑張るのだろうと思うんです。その説明が少し足りなかったかなと思います。それをまず追加したいと思います。
 公立病院=悪、民間病院=善ということを言っているわけではないので、その辺の理解は共通認識を持つべきかなと思います。税金を年間5,000億円以上投入している公立病院ということで、現実のとおりなのですが、だからといって決めつける議論はするべきではないと思います。
 その上でお聞きしたいのですが、医政局総務課から5月17日に都道府県保健所設置市、特別区の衛生担当部宛てに事務連絡が出ています。これを読むと、行動計画及び個別施設計画の策定状況のフォローアップ調査についてという紙なのですが、平成25年11月29日にインフラ老朽化対策の推進に関する関係省庁連絡会決定というのがつくられていますよね。これを通じて都道府県で病院を開設しているところに対して、病院をしっかり長寿命化させる計画を策定しているかどうかということを調査するという紙なのですが、今、新改革プランをつくって、地域医療構想に関してこういう議論を進めているときに、公立病院はもっとインフラ、ハード、箱物をしっかり整備すべきだ、そういう計画を策定しているかという事務連絡を出すということは、どうも違和感があります。総務課と地域医療計画課の連携、意思の疎通が少し薄いのかなと思いましたが、誤解であれば御説明をいただきたいと思います。
〇総務課長 総務課長でございます。今、中川委員からインフラの長寿命化に絡んで、今年5月17日に私どもから事務連絡を出しました件について、お尋ねをいただきました。これは実は、もともとインフラのうち長寿命化ということが平成25年から成長戦略の総理のスピーチと日本再興戦略で言われておりまして、そのきっかけになりましたのが、平成24年12月に中央自動車道の笹子トンネルにおいて、トンネルが崩落する事故があります。それを契機として、インフラは老朽化しているのではないかということが政府全体の大きな課題になったところでございます。これを受けまして、老朽したインフラについての国民の不安を払拭するために、建物なども含めて公的なものについての長寿命化をしっかりと進めていくべきであるということで、各省で計画を立てて、それぞれの持っている所管分野の中で施策を進めることになっているところでございます。
 これはあくまでもそういう意味で、国民の皆様の公共的なインフラに対する安全・安心を確保して、中長期的にしっかりと安全に維持管理できるようにすることを目的にしたものでございます。いわばいろいろな建物を建てるときも、建物については長期修繕計画をつくり、定期的にメンテナンスをしながら建物の活用を図るということもよくあることだと思いますけれども、そういったものをこの分野で進めているものでございます。
 今、委員から御懸念がございましたのは、地域医療構想を進めている中で、地域のいろいろな公立・公的病院の役割が変わってきつつある中で建物を維持するという話をすると、そういった流れと逆行するのではないかということではないかとお話を伺っていて感じたところでございます。その点につきまして言えば、あくまでも今回事務連絡で出させていただいておりますのは、建物自体の長寿命化をどう図るかという観点であって、その箱をどう使っていくかということに対して、流れにさおを差すような話ではないと御理解いただければありがたいと思っております。
〇中川委員 わかりました。全国の公立病院などは特に、間もなく撤退したり、ダウンサイジングしようとしているところを、しっかり建物だけはつくっておくのだと勘違いされると困るので、ぜひ事務連絡を丁寧にやってください。
〇永井部会長 ほかによろしいでしょうか。
 島崎委員どうぞ。
〇島崎委員 地域医療構想と地域医療計画の5疾病・5事業との関係について質問します。
 法律上、地域医療構想は地域医療計画の一部だという位置づけになっています。私は地域医療構想が策定された後は医療計画の中に吸収され、医療計画の枠組みの中でいろいろな議論が進んでいくと思っていました。しかし、本日の資料を拝見すると、例えば、地域医療構想の枠組みの中で、調整会議においていろいろな議論が進められていくということだと思いますが、そのときに医療計画上の5疾病・5事業との関係というのは、どこの場でどういう整理がされるのでしょうか。そのことについて、私は必ずしも各都道府県がきちんと得心していないのではないか、あるいは私自身も得心していないところがあります。
 何を言っているかというと、地域医療構想というのは、端的に言えば、構想区域、二次医療圏と基本的には同一ですけれども、そのエリア内での、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の病床数をどうしていくかということを議論するわけですね。ただし、それは疾病ごと、あるいは事業ごとではありませんから、それとは別に、例えば、がんや小児、災害、救急というぐあいに、必ずしも二次医療圏にとらわれず、1次、2次、3次の体制をどうやって各都道府県の中でつくっていくかという議論が必要なわけですよね。それが5疾病・5事業の考え方であったわけで、それと今言った二次医療圏の疾病や事業ということと、いわば無色透明な機能別の病床の考え方と、どういう場でどういうすり合わせをすることをイメージされているのでしょうか。そこをしっかりしておかないと、毎回申し上げているとおり、例えば、がんで言えば、がんの医療圏というのは必ずしも二次医療圏で完結するわけではないというように、それぞれの事業や疾病ごとにエリアは当然違ってきます。もともと5疾病・5事業の考え方というのは、第5次医療計画以前の二次医療圏で完結主義を見直して、二次医療圏に必ずしもこだわらない連携の仕組みを構築するという考え方だと思うのですけれども、そうした考え方との関係は一体どのように整理されているのかについて、お答えいただきたいと思います。
〇地域医療計画課長 今の御指摘に関しては大変重要なことだと思いますが、実は医療法に基づく類似の協議体、医療審議会を各都道府県が持っております。調整会議は基本的には2次医療圏、構想区域ごとであるわけですけれども、医療計画自体は各都道府県の医療審議会で決定されるとなっております。ですので、私の理解の範囲では、5疾病・5事業は医療審議会の下もしくは独自の検討会をつくりまして、その中にワーキングのようなものをつくって各疾病のことを議論して、最終的には医療計画に載せていくということです。
 調整会議との関係ということですけれども、調整会議で構想区域ごとに議論していく場合に、当然、医療審議会での議論やキャッチボールを踏まえてやっていくことが必要と考えておりますので、今回2月に出した通知の中でも、例えば、病床の増床とか最終的な決定に関しては医療審議会なのだけれども、それを決定するに当たって、調整会議でこの圏域ではどうかという議論を聞いて、それを参考にして決定するという関係にしてくれということを出しております。
 そういう意味では、医療計画そのものは医療審議会で決めるわけですが、それを議論するに当たって必要な地域での状況、話し合いの内容というのは調整会議でやっていただいて、それを最終的に反映するという関係でございます。
〇島崎委員 基本的にはそういう御説明になるのでしょうけれども、恐らく現場ではいろいろな会議があって、会議のための会議みたいな形になってしまっているきらいがあるような気がします。
 それから、確かに基本的には、医療審議会と調整会議の関係というのはそういうことなのかもしれませんけれども、例えば、ある地域の中で急性期の病床が全体としてはまだ余剰があるとします。それはなぜかというと、ある疾病に関して非常に競合状態で過剰になっているためで、ほかの疾病については不足しているというケースが現実に起こりうるのです。このような場合、急性期か回復期かという議論にとどまらず、疾病や事業ごとのきめ細かな議論というのは調整会議でも必要なのであり、そのあたりの進め方に関して、実際に現場がどういう対応の仕方になっているのかも含めて、一度ぜひ、お考えいただいたほうがよろしいのではないかというのが私の意見です。
〇永井部会長 よろしいでしょうか。
 林参考人どうぞ。
〇林参考人(荒井委員代理) 奈良県の林でございますけれども、今の点で、私どもがどのようにやってきたかを御参考までにお話しさせていただきます。
 医療計画の中に地域医療構想のページであるとか、医療従事者の確保のページであるとか、がん、救急などそれぞれの事業ごとの医療体制のページとか、いろいろな記載をする場面がございます。課長から御説明があったように、それぞれ別の会議体で議論を積み重ねて、最終的に医療計画の形にするということになりますので、どうしても県庁の中でも所管が異なったりすると、それが縦割りになりがちであるという傾向は私も感じております。そこは島崎委員御指摘のとおりだと思います。そこをどう調整をとっていくかということが、県のある意味腕の見せどころということだと思います。
 私どものところでは、医療従事者の確保でも地域医療構想の理想を追求するために、医療機関の集約化といったことにあわせた医療従事者の確保という考え方を打ち出すように、県庁の中で調整をとるようにしていますし、医療の5疾病・5事業の中でも、広域化あるいは集約化すべき医療と、均てん化するべき医療と、地域医療構想の方針に沿うように理念が実現するような形をとっていくということ。これは、どういう組織をつくればいいのかというのは直接的にはお答えできないのですけれども、きめ細かく、心を込めて県庁の中でしっかり理解して進めていかないと実現できない問題だと思っております。
〇永井部会長 よろしいでしょうか。
 最後に、猪口委員どうぞ。
〇猪口委員 1つ教えていただきたいのですけれども、20ページの在宅医療で、上の部分はどう分けていくかわかるのですが、下はざっと在宅医療、訪問診療という数で出ているのですが、実際に我々が現場では、いわゆる住み慣れたお宅のほうに通院できなくなって在宅医療になる方と、サ高住とか有料老人ホーム、グループホームの訪問も入っているわけで、ざっと見ると、そこのすみ分けというのは数として入れているのかどうか、どこを見ればその割合、いわゆる在宅医療と居宅系の違いがわかるか、その辺を教えていただけますか。
〇地域医療計画課長 実は、100万人の部分に関しましては、現状の実績に基づいて高齢化を見込んで増加させているという計算をしておりまして、現状投影という形で割り振りしていくことはできるわけでございますが、これは地域の事情によってさまざまあると思われますので、現状お示ししておりますのは、100万人のボリュームというのが医療圏当たりどのくらいかというのは各都道府県にはお示ししておりますけれども、後のところは話し合いの中で決めていただくということで、今そういう敷居を国のほうで設定しているということではございません。
〇猪口委員 いわゆる在宅医療と居宅系の訪問診療というのは、その他介護サービス等も含めて、どうもあり方が少し違うと思いますので、その辺の数はどういうふうに変化していくのか、その辺も少しデータとしては出していったほうがわかりやすいのかなということで質問させていただきました。
〇永井部会長 ありがとうございます。まず、御質問おありかと思いますが、メール等でお寄せください。
 では、最後に手短にお願いします。
〇平川委員 質問と意見ですけれども、最初に、3枚目のスライドの公的医療機関等2025プラン対象医療機関についてですが、公的医療機関などについて言うと、例えば、国立病院機構であるとか、地域医療機能推進機構(JCHO)であるとか、そういう病院も入っているということでいいのかどうなのか。公的医療機関と国の医療機関が一緒くたに入っている意味がよくわからないので、なぜ一緒くたにしているのかの2つをお聞きしたいと思います。
〇地域医療計画課長 通常、医療法上公的医療機関と言う場合は、公立病院も入って、日赤や済生会というようなところでございますが、こちらの地域医療構想の進め方において公的医療機関等と言う場合には、御指摘のとおり、国立病院機構やJCHO、労災病院なども入っております。これに関しましては、国の病院であっても地域における役割について、きちんと病院ごとに考えてもらって、その内容を地域できちんと受け入れてもらうことが必要であると思いましたので、今回は対象に入れているところでございます。
〇平川委員 それなら、国立病院がしっかりとこのプランや地域医療に貢献するような仕組みができているのかどうなのかというのが、これだと見えづらいと思います。国立病院などが地域医療構想の中に入っていくのは当然ですけれども、少し見えづらい面があるので、できればどういう形で、どのくらいのプランがつくられているのかを見える化していただければと思っています。
 また、地域医療構想を進めるに当たっては、民間医療機関がどのような形で入っているかということで言うと、きょうの資料ではほとんどわからないと思います。医療機関は施設数でいうと、8,300ほどの病院があるわけです。国立や公的医療機関のプラン策定というのはいいのですが、それのみに特化した地域医療構想、地域医療構想の本来のあり方とは少し違うのではないかと思います。資料の事例を見てみますと、どうも公立・公的の再編話ばかりが入っていますので、これで地域医療構想の実現に向けて集中的にやっていくのだということで言うと、本当に実現できるのかという懸念があります。地域医療構想というのは被保険者の立場で言いますと、病院の設置主体に関係なく、本来あるべき医療提供体制をどうしていくかという議論ですので、しっかりと民間病院も含めた形で議論を進めていくべきだと考えております。
 以上です。
〇永井部会長 ありがとうございます。
 では、大分おくれてきましたので、中川委員、手短にお願いします。
〇中川委員 今の平川委員の御意見ですが、これだけ議論を尽くしてきて、公立病院・公的医療機関等の定義もし、民間は大きく方針を変えたときだけと確認しながら進めてきて、この期に及んでそういう御意見は私は賛成できません。事務局は、ぜひそういう御理解をしていただきたいと思います。
〇永井部会長 楠岡委員どうぞ。
〇楠岡委員 国立病院の場合140ございますけれども、そのうちいわゆる一般急性期型は50病院程度で、残りの100近くは筋ジストロフィー、神経難病あるいは重症心身障害児者、それから精神疾患、特に医療観察法に基づく医療のように、療養型でいわゆる我々がセーフネット系医療と呼んでいる民間の病院が余りやっていないところを補う医療を行っており、地域医療構想の中では療養病床の中に組み込むという形で既に整理されて進んでいるところでございます。
 また、地域医療構想で国立病院事例として出ておりますけれども、これは我々自身もいろいろ身を切る形で先取りしているような形でして、決していいところを先にとってしまい、民間を後回しにしているということではありませんし、国立病院機構自身が独立採算でございますので、その辺は御理解いただきたいと思います。
〇永井部会長 ありがとうございます。まだ、御意見がおありかと思いますが、後ほど事務局にお寄せください。また、事務局もよく議論を踏まえて必要な対応をお願いいたします。
 続いて、「医師需給分科会第3次中間取りまとめについて」、説明をお願いいたします。
〇医事課長 医事課長でございます。資料につきましては、資料3をごらんください。時間も押しているようですので、要点を中心に御説明したいと思います。
 こちらは、医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会第3次中間とりまとめで、ことし5月31日にとりまとめられたものでございます。
 まず、前提といたしまして、平成28年6月の段階で中間とりまとめが一度ございました。これを第1次中間とりまとめと呼ばせていただきますと、この中間とりまとめにおいて、平成29年度で終了する医学部定員の暫定増を当面延長するという決定を行ったわけでございます。その後、医師偏在対策等を中心に、第2次中間とりまとめが行われまして、昨年12月21日にとりまとめられています。今回の第3次中間とりまとめですけれども、第1次以降の新たな調査等の結果を踏まえまして、再度全国レベルの医師需給推計を行ったところでございまして、暫定増の取り扱いにつきまして、平成32年度以降の方針を示すものとなっております。
 内容ですけれども、1ページの下からでございますが、医師数及び医学部定員数については、三師調査によりますと平成28年には31万9,000人という数字になっております。平成20年度からの医学部定員の暫定増によって増員された医師が、今後臨床研修を終えてその増員分がこれまでの医師数の増分に上乗せされて増加してくるということになっております。
 第1次中間とりまとめにおきまして、この暫定増ですけれども、平成30年度は約1,000人となっておりまして、医学部定員といたしましては、過去最大級の9,419人に達しているところでございます。
 2ページ、医師偏在対策ですけれども、現在これは第2次中間とりまとめに基づきました医療法及び医師法の一部を改正する法律案が国会に提出されている状況ではございますが、この法案が成立した場合、今後、医師偏在指標ですとか、医師少数区域が設定されることになります。
 真ん中ほどに「(3)医師の働き方改革という項目」がありますけれども、これは非常に重要な論点でございまして、平成29年8月に医師の働き方改革に関する検討会が厚生労働省に設置され、時間外労働規制ですとか、タスク・シフティングにつきまして議論が行われております。今後、来年3月に最終的な結論を得るということで議論を進めているところでございます。
 こうした状況を踏まえますと、医師数は着実に増加しており、今後も増加することが見込まれております。働き方改革の政策決定は、現時点ではまだ結論が得られていないということでございますので、今後の医師養成数につきましては、平成32年度、平成33年度につきましては暫定的な方針とし、平成34年度以降について働き方改革に関する検討会の結論等を踏まえて、再度医師の需給推計を行って検討していくこととしております。
 3ページになりますけれども、将来の医師需給推計に関する説明でございます。
 今回行いました推計方法については、従来の方法を一部見直しておりまして、最新のデータを用いて推計を行っております。具体的には将来の医学部定員数を平成30年度の9,419人と仮定すること。それから、女性医師・高齢医師等の仕事量について、一律の数字を乗じて積算するのではなく、就業率、勤務時間についての性年齢階級別データを踏まえて詳細に算定しているところでございます。
 今回の推計におきましては、ケース1、ケース2、ケース3ということで、週55時間、60時間、80時間に制限するという仮定を置きまして推計を行っております。なお、時間数の設定ですけれども、想定としての位置づけでございますので、今後の医師の労働時間を規定するようなものではないということでございます。労働時間の短縮に向けては、AI、ICTを活用した効率化やタスク・シフティングなどを通じまして、業務の削減を見込んだということもこの中に織り込んでおります。
 需給推計の結果については、4ページの真ん中ほどに結果という欄がございまして、ケース1、2、3の場合の均衡年は、平成45年、平成40年、平成30年と見込まれております。
 こうしたデータを踏まえまして、まず平成32年度以降の医師養成数の方針についてですけれども、5ページの一番上の段落になります。「今後、医師偏在対策、医師の労働時間の短縮に向けた取り組みが進むことを前提として」ということでございますけれども、既に過去最大級の医学部定員の増員を行っていることと、全国でさらに医学部定員を増員する必要はないのではないかということが検討会において指摘されました。このため、暫定的に現状の医学部定員数をおおむね維持しつつ、医学部定員の暫定増に関する各都道府県及び各大学からの要望に対しては、平成31年度の医学部定員を超えない範囲でその必要性を慎重に精査していくと、これが平成32年度、平成33年度の考え方でございます。
 次に、平成34年度以降の医師養成数について5ページの(2)以降に書いてございます。将来的には、医療需要が減少局面になることが見込まれておりますので、先ほど申し上げた3つのいずれのケースにおいても、長期的には供給が需要を上回っていくという状況でございます。
 ただし、マクロの今回の医師需給推計が均衡することは、必ずしもミクロの領域の需給が均衡することを意味しないということから、全国レベルのマクロの医師需給推計でなく、ミクロの領域における医師偏在対策や将来の都道府県ごとの医師需要、診療科ごとの医師の必要数、長時間労働を行う医師の人数、割合の変化等についても適切に勘案した上で、今後は定期的に検討していく必要があると考えております。そうした際に、地域間で医師偏在がある場合には、その偏在に応じた地域枠のニーズは残ることになります。医師偏在対策の効果が維持される方策についても、あわせて配慮が必要であるという方向性が示されました。
 最後の段落ですけれども、平成34年度以降の医師養成数につきましては、以上示した医師の働き方改革、その他の論点を勘案いたしまして、定期的に医師需給推計を行った上で、将来的な医学部定員の減員に向けて、医師養成数の方針等について見直していくべきであるといった内容になっております。
 説明は以上です。
〇永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、御質問・御意見をお願いいたします。いかがですか。
 平川委員どうぞ。
〇平川委員 3ページの3の3つ目の〇の2つ目の・、働き方改革に関する検討会の中間的な論点整理で示されているというところで、労働時間の見込み方について週55時間とか週80時間というケースが3つ入っているのですけれども、記憶が不確かなのですが、中間的な論点整理で示された中に入っていたかどうか、確認をしたいのですが。
〇医事課長 御指摘ありがとうございます。具体的に働き方検討会で55時間がいいですとか、60時間に制限すべきということではなく、労働時間についてさまざまな観点から検討会において議論が行われました。そういった意見を踏まえということでございまして、計算していく上では、いずれかの仮定を置く必要がございますので、その一つの例示として55、60時間を置いているわけでございます。この仮定の置き方についても検討会でいろいろ意見が出されたところではございますけれども、現時点でこの数字を先行して出すのではなくて、幾つか仮定を置いて想定のもとに議論をしていくこととなりました。重要な点は、いずれの時間数の想定におきましても、将来は近い時点で均衡していくという点を御議論いただいたということで、55とか60時間に検討会との特段のリンクがあるわけではないというのは、先ほど申し上げたとおりでございます。
〇永井部会長 よろしいですか。手短にお願いいたします。
〇平川委員 週80時間というのは、週に40時間超勤するという話ですよね。それを毎週やるとすれば大変な時間数になると思うのですけれども、計算するのはいいのですが、それを想定に入れるのはどうなのかなと思います。感想として疑問があるということは言わせていただきます。
〇医事課長 週80時間というのはアメリカのACGMEの現在の考え方でございまして、こういったACGMEにおける取り扱いについても働き方検討会では既に議論されているところでございます。そのため、今後の方策とは切り離してお考えいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
〇永井部会長 よろしいでしょうか。どうぞ。
〇小熊参考人(邉見委員代理) いろいろ条件を設定されてというのはよくわかるのですけれども、働き方だけをとれば医師だって三交代制が理想ですよね。看護師が三交代をやっている、あるいは救急の大きなところは三交代をやっていますよね。そういった条件の設定はしなかったのでしょうか。参考までに必要な医師数はという条件で、そういうものはすぐ出るのではないでしょうか。
〇医事課長 確かに、御指摘を今いただきましたように、救急などでは三交代制をとられているところもあろうかと思います。今回細かくデータをもっと集めて、詳細に分析すべきという御意見も医師需給分科会においてはいただいたところで、将来はしっかりやっていく必要があろうと思います。その議論をしていく上では、何より働き方検討会の方向性をまずは出していただくのが重要と思います。その結論が来年3月に出される予定ですので、働き方検討会の結論を踏まえ、早くて来年度ですけれども、今、先生からいただいたような意見も十分踏まえて、再度推計を行ってまいりたいと考えております。
〇永井部会長 よろしいでしょうか。
 それでは、事務局では、ただいまの意見を踏まえて対応をお願いいたします。
 続いて「検体検査の精度管理等に関する検討会について」、事務局から説明をお願いいたします。
〇総務課長 総務課長です。資料4をご覧いただければと思います。
 検体検査の精度管理等に関する検討会でございますが、これは実は4月にも一度検討会の議論の状況を御報告しております。その際には、資料4の2ページ以降の資料をご覧いただきながら御説明申し上げたところでございますが、今回それを踏まえまして、省令案という形で私どものほうで案をまとめましたので、その概要をまず御説明させていただきたいと思います。
 具体的な案文自体は、参考資料1に「医療法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係省令の整備に関する省令案の内容イメージ」ということで、現在検討中のものをおつけしているところでございますので、よろしければ後ほど御参照いただければと思います。
 資料4の1ページに、今回の省令案の概要をまとめておりますが、大きく医療法の施行規則の関係と、臨床検査技師等に関する法律の施行規則の関係の2つに分けて整理しております。
 まず、医療法の施行規則の関係でございますけれども、内容としては医療機関が自ら行う検体検査の精度の確保に関する基準ということで幾つか定めることにしております。1つは、精度の確保に係る責任者の配置、精度の確保に係る各種標準作業書や日誌等の作成ということでございます。また、今回、遺伝子関連・染色体検査についても取り扱いを整理しておりますので、その精度の確保に係る責任者の配置といったようなことを定めることとしております。
 2つ目としては、医療機関の管理者の責務の関係を定めております。これにつきましては、検査を2種類に分けておりまして、遺伝子関連・染色体検査以外の検査という場合には、内部精度管理の実施、外部精度管理調査の受検、そして適切な研修の実施といったことについて定めることとしております。
 遺伝子関連・染色体検査を実施する場合には、内部精度管理の実施、適切な研修の実施、外部精度管理調査の受検ないしは施設間での検査結果の相互確認の実施といったことを定める予定としております。
 医療法関係では3つ目でございますが、医療機関から業務を委託された者が行う検体検査の精度確保に関する基準でございます。この中身といたしましては、遺伝子関連・染色体検査の精度確保に係る責任者の配置ということと、精度の確保に関わる各種標準作業書・日誌等の作成といったことを定めることとしております。
 (2)臨床検査技師法等に関する法律施行規則の関係でございますが、まず1つは、検体検査の検査分類の見直しでございます。検体検査技術の発展ということで3ページに、前回もごらんいただきましたけれども、検査分類の見直しを予定しておりますので、この見直しを規定することにしております。
 2つ目としては、衛生検査所が行います検体検査の精度確保に関する基準を定めることとしておりまして、遺伝子関連・染色体検査の精度確保に係る責任者の配置ということと、精度の確保に係る各種標準作業書・日誌などの作成といったことを定めることとしております。
 また、こういった衛生検査所のほうで遺伝子関連・染色体検査を実施する場合につきましては、施設間での検査結果の相互確認の実施について定めることとしております。
 このほか内部精度管理の実施や外部精度管理調査の受検ですとか、適切な研修の実施といったことが当然求められるわけですけれども、こういったものについては現在既に省令で規定されているということで、それで対応可能と考えているところでございます。
 非常に駆け足で簡単でございますが、今回の省令の中身として考えていることを御紹介させていただきました。先生方の御議論をよろしくお願いしたいと思います。
〇永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、御質問・御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。御意見がなければ、また後ほど伺うことにしたいと思います。
 それでは、次に「医療放射線の適正管理に関する検討会における検討状況について」、御説明をお願いいたします。
〇地域医療計画課長 地域医療計画課長でございます。資料5でございます。「医療放射線の適正管理に関する検討会における検討状況について」でございます。
 1ページが、医療放射線の適正管理に関する検討会でございます。実は、この検討会での議論の結果、規則改正が必要になった案件で過去に御議論いただいたものがございまして、この検討会に関して開催していることは既に御報告済みでございます。
 2ページにございますとおり、それ以降も順次検討を進めてきておりまして、今回、赤字で塗っております医療被ばくの適正管理のあり方について、未承認放射線薬物に関して少し状況が動いておりますので、御報告を申し上げたいと思います。
 まず、医療放射線の適正管理のあり方についてでございます。4ページをお願いいたします。「日本の医療被ばくの現状」という資料でございますが、日本の医療被ばくの線量は世界的に見ても高いと言われておりまして、実際、自然放射線以外にさまざまな被ばくがありますが、世界では診断被ばくが0.6mSv/年となっているところ、日本は3.87mSv/年ということでございます。
 また、5ページ以降はさまざまな検査件数に関してでございますが、日本は単純エックス線撮影の件数が非常に多いという傾向にあり、血管造影に関してはそれほどではございませんが、それなりの数でございます。
 6ページでございますけれども、CTの検査数がいずれの撮影部位でも世界の関係国から見ると最多という状況でございます。
 7ページが、また検査件数ですが、医科・歯科いずれも検査件数が多く、特に医科の検査件数が多いという傾向でございます。
 8ページでございますが、国内の放射線診療の実績です。さまざまな検査について並べておりますが、いずれにしても検査が全体として増加傾向であるということです。
 9ページは、特にCTに関して書いておりますが、検査総数、患者当たりの検査件数は、いずれも増加しているという状況です。
 10ページですが、被ばくに関しては3つの区分に分かれておりまして、医療従事者などはこちらに該当しますが、職業上の被ばく、医療被ばくが、診断を受けたり、治療を受けた一部として被ばくすると。公衆被ばくは、通常生活している中で被ばくするものです。
 この放射線被ばくに関する防護としては3原則が国際的に決まっておりまして、正当化、最適化、線量限度というものでございます。
 それに関して説明したものが11ページでございますが、まず正当化は検査が患者さんには必要だということ。これは当然現場できちんとやっていただいていると思いますけれども、診療ガイドラインですとか、さまざまなことでやられていると。
 最適化に関しては、この患者さんにはこの検査で、この線量で十分だということで、できるだけ過剰な被ばくにならないように、きちんと診断ができるような最適な線量を模索するもの。
 線量限度というのは、個人では超えてはならない線量ということですが、医療の場合は患者さんがその検査を受ける、もしくは治療を受けるということで正当化されている場合は、線量限度は設定しないことになっているという状況でございます。
 12ページでございます。正当化というのが非常に重要なポイントであるということでございまして、ICRPという国際の放射線防護に関する機関におきまして、正当化ためには3段階があると。まずは、医学における放射線の利用ということで、患者さんに害より便益を多く与えるか。これは普通自明ということで議論されないことになっています。
 次は、定義された放射線医学的手法の正当化ということで、ガイドラインでこういった病気の場合はこういった検査をするというようなことがつながっていると。つながっていない場合もありますが、そういうものがあるということです。
 あとは、個々の患者への手法の正当化ということで、これもまた有益性が有害性を上回るかということで、患者さんが同様の検査を既に受けていないかというものを見ていくと。このような手順を踏んで、その検査自体が正当であるという形が提唱されているわけです。
 医療被ばくの正当化のためには、13ページにありますけれども、医師・歯科医師が放射線診療の必要性を判断するわけでございますけれども、おのおの現場で判断していただいているわけでございますが、さまざまな関係する職員などもおりますし、正当化に関してのいろいろな判断、患者さんへの説明というのが適切に行われる必要があるというわけでございます。
 あと、14ページですが、最適化の指標ということですけれども、また、国際機関のほうで診断参考レベルを使ってはどうかということを推奨されています。診断参考レベルというのは、図にございますとおり、いろいろな施設で同様の診断をする場合に、どのくらいの線量になっているかというデータを集めまして、全体の75%のところで線を引いて、できるだけ各医療機関がこのぐらいを目安に同じような診断であればやりましょうというものでございます。これを導入することによって、ある意味、全体的な被ばく線量を制限していくことができるというわけでございます。
 15ページは今後の方針ということでございまして、この検討会の議論では、全ての放射線の診断機器・治療機器ということではなく、「今後の方針」の(1)(1)にございますが、被ばく線量が相対的に高い検査について、患者へのリスクを考慮して、被ばく線量を記録すべきではないかということ。それから、過去の被ばく線量の記録の活用。それから、できるだけ先ほど申し上げた診断参考レベルについて参考にしていくということを進めていってはどうかと考えております。
 16ページでございますが、まとめですけれども、正当化されてきたものを達成するために「具体的な対応方針」で、医療放射線の安全管理の体制確保を明示した上で、医師・歯科医師に対する研修ですとか、放射線従事者に対する研修というものを進めていくということで、これはまた引き続き検討会で本日の部会の御意見を踏まえて議論いたしますが、最終的には規則改正という形で、また御相談する予定でございます。
 もう一つ、未承認放射性薬物に監視してでございます。18ページを見ていただきますと、医療法にける放射性同位元素に関しましては、さまざまございますけれども、放射性同位元素でも診療用放射線照射装置の装備された同位元素、それから、診療用放射線照射器具、これはさまざま医療法や関係法令で定められた分類ですけれども、おのおのに関して規制がかかっているところでございます。
 今回検討しておりますのが19ページでございますが、現在、薬機法で承認されているお薬、薬機法で治験という段階の薬については、薬機法と医療法で見ていくことになっておりますが、これは臨床研究の段階のいわゆる放射性薬物の取り扱いですが、これは現在医療法の規制下にはありませんで、RI法という法律、放射線防護に関する法律で管理されているわけでございます。これは厳密なことを申しますと、実は人体に対して投与することをこの法律は想定しておりませんで、医療機関でこういった未承認の放射線医薬品に基づく臨床研究を例えばした場合に、病院からの退出のためのルールというものが、ある意味定まっていない状況でございます。
 それに対して20ページで、今検討しておりますのは、RI法という人に対する投与を想定していない法律に基づく管理ではなく、未承認であっても人体に臨床研究として用いるというものについては医療法の中で見ていって、かつ患者さんが投与されて退室するというルールをつくることによって、この分野の臨床研究等が円滑に推進できるということを図ってはどうかという議論をしているところでございます。
 具体的には、21ページにありますとおり黄色のところですけれども、未承認の放射性医薬品に関してRI法の管理から医療法の管理にしていく流れでございまして、こちらも本日の部会での御議論を踏まえて、また検討会で議論し、所要の改正等を行ってまいる予定でございます。
 以上でございます。
〇永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、御質問をどうぞ。山口委員。
〇山口委員 2つ質問がございます。5ページ以降、いろいろと医療被ばくということでどれくらい検査が行われているかということが世界比較で書いてあるわけですけれども、医療機関で行われている実施件数だということからしますと、健診や人間ドックも入っているのではないかと思います。そういうことからすると、被ばく量が多いとよくない結果のように見えてしまうのですが、例えば、早期発見として健診が奨励されていることからしますと、かなり比率としてはそちらの数のほうが低いのかなと思いますが、それが混在しているのかどうかを確認したいと思います。
 それから、16ページに、医療被ばくの適正管理ということで、具体的な対応方針が書いてございまして、特に被ばく線量が相対的に高い検査の被ばく線量の記録とあります。記録は恐らく医療機関で保存されると思うのですけれども、そういうことになると、医療被ばくの適正管理ということで言うと、患者は1カ所で被ばくするとは限らなくて、いろいろな医療機関でCTを撮ったり、エックス線を撮ったりということをしますから、患者が継続的に自分は今までどれくらいの線量を浴びてきたかを持っていないと、医療被ばくの最適化につながらないのではないかという気がいたします。
 ここの会議の中で、そういった患者が自分の総量的な線量を把握できることも視野に入れての議論が行われているのかどうかということの2つをお願いしたいと思います。
〇地域医療計画課長 まず、1点目に関しては、医療施設調査に基づくデータに関しては、通常健診機関も医療機関の届出をしておりますで、入っていると考えていただいてよろしいかと思います。
 もう1点、医療機関はさまざまな患者さんが受診されていますので、それを全体としてどう管理していくかという御指摘かと思います。これに関しては、実は検討会でも議論になっておりますが、そもそもこういうデータを記録していくというルールがないということがありますので、まずは、それをきちんとやっていこうと。その中で、今の御指摘は検討会でも議論を続けておりますが、何かいいやり方が出てまいったら早くやっていきたいと思いますが、まずは記録をきちんととっていくということを優先しまして、具体的に医療機関でのトータルでどうかというところは引き続き検討していきたいという議論になっているところでございます。
〇山口委員 もし始めることになったら、国民にもそういう記録をするようになったことがわかるようにしていただけると、自分はきちんと情報管理しておきたいなという人がアプローチできるのではないかと思いますので、御検討いただければと思います。
〇永井部会長 楠岡委員どうぞ。
〇楠岡委員 後半のRI法のところですけれども、前半の御説明では院外製造薬物を中心にお話しされていたのですが、最後21ページの整理のイメージで見ますと、院外調整と院内調整の両方が同じようになっています。これは院内調整も対象と考えてよろしいのでしょうか。
〇地域医療計画課長 はい、そのとおりでございます。
〇楠岡委員 それから、RI法の規制としてはこれでいいと思うのですが、未承認薬物の場合は品質の問題、合成過程において不純物が混じったりしては困るわけですが、PETの場合は短時間に消滅してしまうので、製造工程が特別な形になると思うのですが、未承認薬の品質管理に関しては、今回のテーマとは別ですけれども、どこで、どういうふうに担保するかというのは、また別途考えておられるでしょうか。
〇地域医療計画課長 今の点に関して、最終的にどういう範囲の薬物を対象にするかということは検討会でもよく議論しておりますが、私のイメージとしましては、臨床研究のきちんとした手続を踏んでいるとか、さまざまなチェックができるものを対象とする必要があるのかなと思っております。具体的にどのような形で対象にしていくかは、きょういただいた御指摘も踏まえて検討会でもう一回議論した上で、また部会に御報告したいと思っております。
〇永井部会長 よろしいでしょうか。菊池委員どうぞ。
〇菊池委員 医療被ばくの適正管理のあり方について意見申し上げます。
 放射線診療機器が急速に進歩・普及する中で、日本の医療被ばく線量が世界的に見て高いという現状を踏まえ、医療被ばくの正当化・最適化について、今後の方針と適正管理の具体的な方針が提示されています。医療放射線の安全管理の体制確保を明示した上で、研修の実施や投与量の管理、被ばく線量の記録等の改善方策など、非常に重要なことが提案されていると考えますので、この方向でぜひ進めていただきたいと思います。
 その上で、関連して意見を申し上げます。1つは、13ページの医療被ばくの正当化の実施のところで、右下に「放射線診療の有用性・有害性に関する患者への説明と同意」と記載されています。患者さんへの十分な説明と同意は、患者・家族の不安軽減や受けている医療の理解を深める面から重要と考えます。
 また、同じ13ページの医療被ばくの正当化の今後の方針に、医師、歯科医師、その他医療の専門家のための放射線防護の教育訓練が必要と記載されていますが、ぜひ進めていただきたいと思います。
 看護師は、放射線診療の現場において、患者及び家族の治療に関する意思決定の支援、有益性・有害性を含めたさまざまな不安への対応、放射線診療の副作用等が生じていないか等をアセスメントし、適宜症状緩和や患者・家族への対応も行うなど、多くの場面で患者・家族を支えています。医師や放射線技師等と協働して放射線診療を受ける患者の治療を支えていますので、看護師も医療被ばくの職員研修の対象に加えていただきたいと思います。
 最後に、今回は検討会の検討事項の1つである適正管理のあり方について報告・提案いただきましたけれども、医療従事者の職業被ばくについても重要と考えますので、改めて別途検討していただきたく意見として申し上げておきます。
 以上です。
〇永井部会長 ありがとうございます。
 林参考人どうぞ。
〇林参考人(荒井委員代理) 医療被ばくの適正管理ということで、非常に重要な課題だと思います。リスクのある医療行為が何十年かたって、あのときなぜもっと早くほかの技術で代替しておかなかったのだろうというような事例がいろいろな分野であると思いますので、こういった論点が提示されていることは非常に重要だと思いますし、ぜひ進めていただきたいと思います。
 その中で1点気になりましたのは、16ページの対応方針のところで、結局のところ研修といったように、個人の努力にこの対策を帰着させているような感じがいたしました。これが第一歩であるとは思いますけれども、もっと社会全体として、医療界全体として、どういう機器を使うか、どこにどういう機器を配置するかとか、いろいろなシステム全体として対応すべき大きな課題であると思いますので、決してこれで十分ということではなくて、この先どういう方向でさらに取り組んでいくのかを議論していただきたいと思っております。
〇永井部会長 ありがとうございます。
 猪口委員どうぞ。
〇猪口委員 ちょっと教えていただきたいのですが、日本が放射線被ばくが非常に多いというデータがあるのはわかったのですけれども、有害性と一言で言いますが、それによってどういう疾患が発生して、何が有害になっているかというデータがあるのか、ないのか。また、確かに日本の場合にはCTが非常に多いということで、これも特徴だとは思いますが、それによって診断能力がうんと上がって、早期発見等が的確な治療が行われているという側面もありますので、余り有害性のことばかり言うと、今後のあり方が大きく変わっていくと思うのですが、その辺の有害性におけるデータというのは厳密にはあるのでしょうか。
〇地域医療計画課長 これは、ICRP(国際放射線防護委員会)が出しておりますが、この資料にも確定的影響・確率的影響ということで、15ページに、例えば、被ばく線量が相対的に高い検査などでは、確定的影響ということで、被ばく線量がある程度高いとなってきますと白内障になるというのはデータとしてございます。また、確率的影響というのは、ある一定の確率で起きる、がんなどが該当しますけれども、これも線量によって100mSv以上については量反応関係ということで、どの程度浴びれば、がん発生率がどの程度上がるかというデータも既に国際的に評価されたものがございます。
 そういうものがあるわけでございますが、今、御指摘いただいた、まさに日本の診断機器が広くあることについて、有用ということもあるのではないかというのは検討会でも御指摘が出ておりますので、我々としては全て悪いということではなくて最適化、放射線の防護というのは線量が低ければ低いほどいいということが国際的なコントロールのルールになっておりますが、医療にとって必要な検査結果が出ないといけないので、その中で最大限できるものとして、今回診断参考レベルを参考にしながら、各医療機関が取り組むという検討を進めているところでございます。今の御指摘につきましても、検討会に御報告しまして、実際にどういう形でこういったルールをつくっていくかということを含めて検討してまいりたいと思います。
〇猪口委員 その有害性というところが、例えば、いろいろな報道によって強調されて、その検査が思うように進められないというようなことにならないように、データをもって的確にお示ししていただきたいと思います。
〇永井部会長 今の点、私たちの循環器の領域ですと、血管内治療による放射線皮膚炎が15年ぐらい前に多発しました。これは教育やマニュアルをつくることによって相当減ったと聞いておりますので、領域によっては随分対応ができるのだろうと思います。また、そういうデータも出されたらよろしいと思います。
 よろしいでしょうか。それでは、今の点、事務局では対応をよろしくお願いいたします。
 次に「医療分野の研究分野の開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律の施行について」、事務局から説明をお願いいたします。
〇総務課長 資料6につきまして、御説明申し上げたいと思います。「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律の施行について」ということでございます。
 1ページをごらんいただきますと、医療情報の利活用の現状と課題ということで書かせていただいておりますが、現在、全国規模で利活用可能な医療関係のデータということで、レセプトデータが基本ということでございまして、診療行為の実施結果についてのデータ利活用が本質的な課題となっております。こういったデータにつきましては、我が国におきましては民間医療機関が中心ということになっておりますし、また、御承知のとおり公的保険制度も各種制度によって分立している状況でございますので、分散しているのが現状でございます。そういった中で、質の高い大規模な医療情報を収集することは正直、国際競争にもなってきている状況でもございます。
 一方で、こういった個人データの活用ということになってまいりますと、個人情報保護法の対応も必要となってまいります。これにつきましては、改正によりまして病歴といった情報については、要配慮個人情報という位置づけになっておりまして、いわゆるオプトアウト方式での第三者提供が禁止されておりまして、原則、御本人の同意によって利用することが必要となっております。
 また、要配慮個人情報も含めて、特定の個人が識別できないように加工する匿名加工医療情報の利活用に関する仕組みもあわせて設けたところでございます。
 2ページですが、こういった状況の中で、一方で、医療分野の研究開発を進めるためには、匿名加工医療情報をより効果的に集められるような仕組みも必要であろうということでございます。このため、内閣官房健康医療戦略室を中心に立法作業が進められまして、昨年5月12日にいわゆる次世代医療基盤法ということで法律が国会で成立し、公布されたという状況でございます。
 その法律の中身でございますけれども、「法律の内容」の2番にございますが、認定匿名加工医療情報作成事業者を主務大臣が認定する仕組みになっております。もちろん、その認定に当たりましては、それぞれ厳しい要件を定めることにしておりますが、そういった認定匿名加工医療情報作成事業者(認定事業者)であれば、医療情報の提供に当たりまして、先ほどの個人情報保護法の上ではオプトアウトによる第三者提供は禁止されている形になっておりますけれども、例外的に法律の枠組みの中に乗ったやり方で情報を集めるということであれば、認定事業者に対して医療機関が医療情報を提供するに当たって、あらかじめ本人に通知して、本人が提供を拒否しない場合には、医療情報を提供することができるという形で法律の枠組みがつくられたという状況でございます。
 それを図示しておりますのが3ページでございますが、患者さん、国民の皆様が医療機関を受診しますと、医療機関でいろいろなレセプトデータも含む個人情報が取得されることになります。こういったものを今後、新しい法律に基づいて認定事業者が認定されますと、認定事業者は匿名化に向けての処理を適正かつ確実に行うことができるということで認定されますので、そういった認定事業者に対しては、本人が提供を拒否しない場合には医療情報を提供できるというスキームになってまいりまして、認定事業者で匿名加工を行った上で、匿名加工されたデータを研究機関、大学あるいは製薬会社といった民間企業に対して提供し、研究機関などで今後、新薬の開発やいろいろな副作用の発見等、そういった研究データを活用した実用化に向けて取り組んでいただくというイメージでございます。
 4ページは利活用のイメージでございますが、5ページで基本方針の概要をつけております。昨年5月にこの法律ができました後、この法律の施行に当たりましては基本方針を定めることになっておりまして、本日お手元に参考資料1ということで、基本方針をお配りしております。その概要を簡単に載せているものでございます。
 この中で、特にこういったデータを利用するに当たって国が講ずべき措置ということでは、1つは、国民の理解の増進、情報システムの整備、人材育成に関する措置といったことが求められております。
 一方で、そういった情報提供のやり方に当たりましては、不当な差別、偏見、その他不利益が生じないようにするための措置が必要であるということで、幾つか定めておりまして、医療機関等は、あらかじめ本人に通知して、本人が提供を拒否しない場合に認定事業者に対して医療情報を提供できることになっておりますが、本人に対するあらかじめの通知につきましては、最初の受診時に書面で行うことを基本とするという形にしております。その上で、本人との関係によりまして、より丁寧にやるかどうかは医療機関の御判断ということになってまいります。また、医療機関の中で掲示したり、あるいはホームページへ掲載したりといったことで、いつでも御本人から医療情報の提供停止の求めができるということを周知することも、この基本方針の中で求めているところでございます。その結果、本人が情報提供を停止してほしいという申し出がありましたら、認定事業者では既に提供された情報の削除の求めを受けて、識別可能な情報は可能な限り削除するといった措置をとることにしているところでございます。
 認定に当たりましては、法の目的を踏まえまして、国民や医療機関の信頼が得られ、また、我が国の医療分野の研究開発に資する事業者を認定するということで、事業者、組織体制、人員、収集する医療情報、事業計画などに基づいて総合的に判断することにしているところでございます。
 こういった内容のものが今般、基本方針も含めて定まりまして、今国会で施行されることになったという御報告でございます。
 以上でございます。
〇永井部会長 ありがとうございます。
 御質問いかがでしょうか。井上委員どうぞ。
〇井上委員 この法律ですけれども、今後の医療の高度化、あるいは制度の効率化、くわえて先ほど申し上げた産業化のための大きな鍵は、どうしてもビッグデータやAIの活用となりますので、この法律に対する期待は非常に高いものがございます。3ページのイメージ図では、利用者は産学官いずれも利用可能となっておりますので、もちろん個人情報に十分気をつけた上で匿名化された情報について、幅広く利用が可能になるように促進していただきたいと思います。
 以上です。
〇永井部会長 猪口委員どうぞ。
〇猪口委員 3ページの図にあるように、医療機関からデータが出ないと始まらないと思います。それに当たっては、データが出やすくするように、大きい病院が主体になっていくと思いますので、この際電子カルテのあり方を見直していただいて、データが出やすいように操作方法、データの止め方等々を規格化していただいて、電子カルテが同じように流用できるような方向で議論していただけると、より進むのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
〇永井部会長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。木戸委員どうぞ。
〇木戸委員 3ページの図を見ますと、事業者に住所とかお名前とかかなり個人が特定できる情報が出るということなのですけれども、やはり医療機関としては患者さんからお預かりしている大切な、非常にセンシティブなデータも含まれていますので、認定事業者のほうで絶対に漏えいすることがないようにきちんと管理して、監視していただく。場合によっては、何かあったときは誰が責任をとるかということも考えて、きちんと扱っていただきたいということを要望したいと思います。
 あと、患者さんに、データが出るかもしれないということは医療機関が書面で御説明するということですけれども、誰がそれを説明するかなど医療機関のほうに負担をかけないように配慮していただければと思います。
 以上です。
〇永井部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、ただいまの点に十分配慮して反映していただければと思います。
 最後に「患者安全サミットについて」、事務局より報告をお願いいたします。
〇医療安全推進室長 医療安全推進室長でございます。私どもで開催いたしましたイベントにつきましての御報告です。
 資料7-1と資料7-2でございますけれども、資料7-1の1枚目でございます。この会議は、各国や国際機関のリーダーに患者安全の重要性を浸透させることを目的といたしまして、初回を2016年3月に英国・ロンドンで開催。昨年は、ドイツ・ボンで開催されておりまして、今回はそれに続く第3回目の会議としましては、アジアで初めて開催されました。
 今回の東京の会議では44カ国の参加がありまして、うち閣僚級は18カ国来ていただいております。このほかWHO等の関係機関や民間団体、専門家等々、約500人の参加を得たところでございます。
 内容につきましては、国際保健的な色彩がやや強い感じがございますが、1日目は、専門家による5つのトピックのパネルディスカッション。2日目は、それを踏まえた閣僚級会合で、各国の閣僚や国際機関の代表による発表もいただいた上で、最後に、患者安全に関する東京宣言がとりまとめられたところでございます。2ページに、資料7-2に原文がついております。
 以上、簡単ではございますが、御報告とさせていただきます。
〇永井部会長 ありがとうございます。御質問・御意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 このサミットは、今後も継続して開催されるのでしょうか。
〇医療安全推進室長 各国持ち回りということでございまして、来年はサウジアラビアで開催することが今回の会議で決まっております。
〇永井部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 最後に、事務局から連絡事項をお願いいたします。
〇医療政策企画官 次回の医療部会の日程につきましては、詳細が決まり次第、改めて御連絡させていただきます。
 以上です。
〇永井部会長 ありがとうございました。
 本日は、これで終了させていただきます。お忙しいところ、ありがとうございました。
 

 

(了)

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