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2018年4月11日 第61回医療部会

医政局総務課

○日時

平成30年4月11日(水)13:00~15:00
 

 

○場所

航空会館大ホール

○議事

 

 

○保健医療技術調整官 それでは定刻となりましたので、ただいまより第61回社会保障審議会医療部会を開会させていただきます。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席くださいまして、誠にありがとうございます。医療部会の総委員数が24名で、定足数は3分の1の8名となっております。本日は荒井委員、安部委員から御欠席との連絡を頂いております。まず、22名の委員の御出席を予定しており、定足数に達していることを御報告申し上げます。次に、前回の医療部会以降、事務局におきまして異動がありましたので、御報告いたします。医療経営支援課長の樋口です。
○医療経営支援課長 樋口です。どうぞ、よろしくお願いいたします。
○保健医療技術調整官 次に議事に入る前に、お手元の資料の確認をいたします。議事次第、座席表、委員名簿のほか、資料1~5、参考資料につきましては1、2、3、4につきましては4-1~4-3、さらに5、6の参考資料をお配りしております。不足等がありましたら、事務局までお知らせいただければと思います。カメラの方は、ここまででお願いいたします。
以降の進行につきましては、永井部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 では、議題に入ります。はじめに欠席の荒井委員の代理として林参考人、安部委員の代理として森参考人の御出席をお認めいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
では、議題に入ります。医療法及び医師法の一部を改正する法律案について、3月13日に国会に提出されたということで、事務局から説明をお願いいたします。
○総務課長 医政局総務課長です。お手元の資料1により、説明いたします。この医療法及び医師法の改正につきましては、医師偏在の解消に向けて、今回私どもで先生方のいろいろな御議論を踏まえながらまとめたものです。1月に、この医療部会におきまして、ざっとした案の骨格を説明しましたが、その後法案という形でまとめ、法案の与党審査をいただき、3月13日に閣議決定を見たところです。概要につきましては、先日お話した骨格を踏まえて策定しているものですが、改めて簡単に説明いたします。
1ページに、改正の概要があります。この改正の概要にありますように、大きく5つほどの柱になっており、1つは医師少数区域等で勤務した医師を評価する制度の創設、2つ目が都道府県における医師確保対策の実施体制の強化、3つ目が医師の養成過程を通じた医師確保対策の充実、4つ目が地域の外来医療機能の偏在・不足等への対応、その他で、特に地域医療講想の達成に向けての知事の権限の追加といったような話を盛り込んでおります。
3ページを御覧ください。順次、この柱に沿って説明いたします。まず1番目の医師の少数区域などで勤務した医師を評価する制度の創設ですが、今回この議論を行うに当たり、地域で働いてみたい意思はあるが、なかなかいろいろな障壁があって、それが実現できないことが明らかになってきているところです。このため、法案の中身におきましては1つは医師少数区域等において、医療の提供に関する一定の勤務経験を通じて地域医療への知見を有している医師の方々を、大臣が認定できる仕組みを法的に整備することにしております。2点目としては、そういった中で医師少数区域等で医療の確保のために必要な支援を行う病院、その他省令で定める病院の開設者については、認定を受けた医師等に管理させなければならないということで、認定を受けた医師がそういった形で評価されるような形にしていきたいというものです。3点目は、医療機関の複数管理ということで、従前、都道府県知事が病院等の管理者が他の診療所などを管理する場合には許可をする仕組みがあったわけですが、その具体的な要件を明確化しているところです。
2番目の柱は、都道府県の実施体制の整備です。やはり都道府県が地域のいろいろな医療政策を担う担い手ということで、重要な役割をこれまでも果たしていただいているところですが、そういった政策と整合的に医師の確保対策を主体的に実施できる枠組みを作るということで考えているものです。1点目は、医師確保計画の策定です。現在医療計画の中で、医療従事者の確保に関する事項は定めていただくことにしていますが、改めて国で今回新たに定める「医師偏在指標」を踏まえ、地域の医師の確保数の目標や対策を含めた「医師確保計画」を策定していただく枠組みを作っていきたいと思っております。この際、都道府県においては、国の定める「医師偏在指標」を踏まえて、「医師少数区域」、あるいは「医師多数区域」を設定していただくことが前提となってまいります。2点目として、地域医療対策協議会の機能強化です。地域医療対策協議会自体は既に存在するところですが、ここを地域の医師確保の言わば司令塔的な役割を担っていただくということで、「医師確保計画」の実施に必要な事項について協議を行うことにしてまいりたいと考えております。
3点目は、そういった地域医療支援事務等の見直しで、都道府県に行っていただく地域医療支援のためのいろいろな業務がありますが、その業務を進めるに当たり、1つは地域医療対策協議会のいろいろな議論に基づいて行っていただくことにしてまいりたいと考えております。そして、行っていただく事務の中身に、実際に地域に派遣されるドクターの方を支援するためのキャリア形成プログラムの策定や、具体的に少数区域に医師を派遣するといったような業務などを追加してまいりたいと考えています。
そのようなことと併せて、都道府県においては、これまでも医療勤務環境改善という取組をしていただいていますが、そういった環境改善の支援事務の実施に当たっては、やはりそういったものとも、よく連携を図っていただくことにしてまいりたいと考えています。
次の5ページは、医師の養成過程を通じた医師確保対策の充実です。これにつきましては、やはり医学部の過程、それから臨床研修、専門研修と、それぞれの段階に応じてできることがあるのではないかというものです。まず医学部の関係ですが、上の円グラフにありますように、地域枠、あるいは地元出身者の枠といったようなものがありますと、やはり地元に戻る割合が高いということもデータとしてありますので、こういったことを踏まえ、都道府県知事から大学に対して地対協の協議を経た上で、地域枠又は地元出身者枠の創設、あるいは増加を要請できるような権限を持たせていきたいと考えています。
そして次に臨床研修関係の見直しです。従来、臨床研修病院の指定、研修医の定員については国が全て定めることになっていましたが、地域ごとの実情を踏まえたきめ細かい対応が今後必要になりますので、臨床研修病院の指定については、国の定める基準に基づいて、知事に行っていただくことにしてまいりたいと考えています。また、研修医の定員につきましては、各都道府県ごとの総定員については国で定めることにしていますが、その枠の中で区域内の病院ごとの定員を知事にお決めいただくような形にしてまいりたいと考えています。次に、専門研修の関係ですが、この辺りもいろいろな議論がありました。仕組みとしては、現在、専門医機構を中心に研修を推進していただいていますが、医師の研修機会を確保するために特に必要があると認めるときは、大臣が専門医機構に対して研修実施に関して必要な措置の実施を要請できるスキームを設けてまいりたいと考えています。
また併せて、日本専門医機構で医師の研修計画、医療提供体制に重大な影響を与えるといったことが見込まれる場合には、大臣の意見を聴いていただくことにしてまいりたいと思っております。大臣だけの判断ということではなく、あらかじめ知事の御意見を伺った上で、それらを集約して機構にお伝えするスキームにしてまいりたいと考えております。
次の6ページは、地域の外来医療機能の偏在・不足等への対応です。外来医療機能の在り方につきましては、これまで余り取組が進んでいなかったところですが、一方で都市部において無床診療所の開設がかなり増えてきている実態もあります。こういった中で、まずは外来医療機能の情報を見える化をして、それを新しく開設したいと考えておられる方々に情報提供し、また地域の医療関係者の間で、いろいろと御議論いただくことが今後必要ではないかと考えております。
このため、法的には、1つは医療計画に新たに外来医療に係る医療提供体制の確保に関する事項を記載いただくことにして、外来医療機能の関係の整理をしていただくことを考えております。また、知事の権限として協議の場を設けていただくことにしたいと思っております。二次医療圏ごとに外来医療の提供体制に関する事項について御議論いただく場を設けていただき、そこで協議を行い、その結果をまとめて、知事が公表することにしてまいりたいと考えております。
7ページ目の5点目は、地域医療講想の達成を図るための権限の追加です。真ん中に棒グラフがありますが、現在都道府県において病床規制がなされているところです。基準病床に比べて既存病床の数がまだ足りないといったような場合には、その差分を地域医療機関の新設、あるいは増床に充てることは可能となっております。ただ現在、今日においては、地域医療講想が既に策定されており、2025年段階での地域での必要な病床数が見えてきているところです。
このため、こういった隙間がなおある段階において、さらに増床を行うと、2025年段階において、既に必要量を現在においても上回っているものをさらに増やすことになり、余り整合的な取組にならないのではないかということもありますので、こういったケースの場合には、知事が、公的な病院であれば許可を与えないことができるようにする。また、民間医療機関の場合には勧告ができるような権限を持たせることで、このようなケースに対応できるようにしていきたいと考えております。これと併せ、健康保険におきましても、勧告を受けた民間医療機関の病床については、保険医療機関の指定をしないことができる形にしてまいりたいと考えているところです。
8ページ、9ページは、こういった整理の前提となっている、昨年12月に取りまとめていただいた医師需給分科会の第2次中間取りまとめの概要を付けているところですが、説明は省略いたします。
恐縮ですが、参考資料1を御覧ください。縦書きで法律案の要綱を抜粋した資料です。15ページを御覧いただくと、検討規定があります。これは、法案の審査の過程で御意見が出てきたことを踏まえて設けた規定ですが、2つあります。1つ目は、第1項にありますように、今、大学において臨床実習をはじめとする医学教育の状況の見直しが進んでいるところです。そういったことを踏まえつつ、医師の資質の向上を図る観点から、医師法の規定について検討を加え、3年以内に法制上の措置、その他必要な措置を講ずることが規定されているところです。
2つ目としては、第2項にありますが、臨床研修につきましても議論があったということで、それを踏まえ、臨床研修の評価に関する調査研究を行う。その結果を勘案して、また臨床研修、臨床研修が終わったあとの専門研修との整合性を図りながら、医師の資質の向上が図られるように臨床研修の在り方について検討を加え、3年以内に法制上の措置、その他の必要な措置を講ずることが規定されたところです。
こういった形で現在法律案の閣議決定を行い、現在法案の審議を待っている状況です。また先生方のいろいろな御意見を頂戴できれば有り難いと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
○永井部会長 ありがとうございます。ただいまの御説明について何か。
○山口委員 御説明ありがとうございました。ここに出てきているものは今までに何度もこの場で議論してきた内容だと思いますけれども、1点だけ述べたいことがございます。5ページの医師養成課程を通じた医師確保対策の充実についての中の、(4)の専門研修関係の見直しの所です。今年の4月から専門医制度が正式に始まったわけですけれども、特に都道府県が専門医機構にいろいろなことを確認してもほとんど返事が返ってこないということで、行政側の、機構に対しての不信感が非常に募っているというように私も直接聞いております。ここで今回、国が中に入って、情報の面で都道府県と機構の中に入るというように読み取れるのですが、そのように読み取っていいのかということと、制度が不信感なくきちんと回っていくように、しっかりと今の機能の改善をしていただきたいと思っておりますので、そこだけ意見を述べたいと思います。
○永井部会長 いかがでしょうか。
○医事課長 医事課長です。御質問ありがとうございました。専門医の仕組みについては、医師養成の検討会を別途設けており、またその中でも、今御指摘いただいたような点について議論がありました。専門医機構の代表者にもそのとき御参加いただき、今後改善していくというような発言があったところです。そうした取組を今回の法案でさらに確保していくために、国がある意味、調整的な役割を間に立って果たすというようなことで、都道府県から出された意見を集約して、機構にお伝えしていくような仕組みを是非作ってまいりたいと考えているところです。
○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。先ほど、地域での勤務を評価する仕組みができるということですけれども、その評価を今後どう使おうと考えていらっしゃるかお聞かせいただけますか。
○総務課長 総務課長です。少数区域の勤務をした経験のある医師を大臣が評価をする、認定という形で1つ評価をするような仕組みを設けることにしておりますが、ここで創設するのはあくまでも1つの枠組みですので、今後こうして認定される方が出てまいりますと、その認定された方をしっかりと活用していただく、そうした経験を評価していくということも今後必要かと思っております。このため具体的には今後、いろいろと先生方の御意見を頂戴しながら整理をしていく必要があるかとは思っております。例えばこの認定を受けた方に対して、専門医の資格を取る際の費用の支援を行っていくとか、あるいはそういった方が医療機関を開設する際の支援を行っていく、あるいは税制上の優遇措置、これはそうした認定を得た方を例えば雇用していただいているような地域の医療機関に対して支援をするなど、こうした認定の仕組みがいろいろとできると、その認定の方を活用する枠組みも恐らく作ることが可能だと思っておりますので、そうしたことを、是非先生方の御意見を伺いながら、しっかりと作っていきたいと思っております。
○永井部会長 御意見はいかがですか、よろしいでしょうか。
○平川委員 法律案要綱を見ますと、縦書きの2ページ目に、医療計画等の策定事項の見直しの所で、医療提供体制の確保を図るための計画において定められるものとしての所で。
すみません、3ページです。要するに外来医療については見直しが6年ごとと書いてあったと思うのですが、これはなぜなのかお聞きしたいのですが。
○地域医療計画課長 地域医療計画課長です。今の御指摘ですが、医師確保計画自体が医療計画の一部になります。医療計画自体は6年に1回見直しをすることになっていますので、それに合わせて6年と書いているところです。
○永井部会長 よろしいですか。
○山崎委員 4ページの上の真ん中、医学部入学定員の年次推移ということで、9,262人で1,637人が増員されていると書いてありますが、入学した学生がそのままストレートに卒業し、医師国家試験に合格するのは大体何パーセントですか。
○医事課長 入学定員そのものから国家試験の合格というのが、ちょっと今手元にないのですが、卒業生から国家試験を合格する割合は大体9割ぐらいで、前回直近の結果でも90%程度の合格率になっているかと思います。先生御指摘の点についてはもう少し細かなデータを集めてみたいと思います。
○山崎委員 この医師の偏在対策は、長期的な対応と短期的な対応があると思います。短期的な対応としては、今度の働き方改革で兼業規程の改正をするということで、副業ができるようにするというのが働き方改革で挙がっていますよね。そうであるなら、医師についても国家公務員、地方公務員の医師が兼業できるようにすれば、明日からでも現場に入れると思います。そういう国家公務員の兼業を許可するというか解除するという考え方は、国にはないですか。
○総務課長 総務課長です。先生御指摘の、医師をどのようにどこから人材として確保していくかという問題意識でそういう御提案があったのかと思いますけれども、先生が今イメージしていらっしゃる国家公務員の医師というのは、例えばNHOとかそのようなイメージですか。
○山崎委員 国家公務員は、例えば民間病院で、週1、2日勤務をするという兼業は禁止されていますよね。副業はできないというのが原則になっていますが、今度一般企業でも兼業が認められるならば、国家公務員も副業を認める方向で考える必要があります。殊に医療系の技官は副業を認めるべきだと思います。
○総務課長 ありがとうございます。恐らく国立なり、あるいは国の設立由来のいろいろな医療機関とか、あるいは行政職の医師もおりますので、そういうものを活用したらどうかということかと思います。例えば私ども厚生労働省の行政にも医系の技官がおられますけれども、実はそうした方々も兼業の許可を得れば、現場の経験をすることができる形になっていまして、現在そのような人事院の規則を踏まえて運用をさせていただいているところです。ただ、それだけで本当に足りるのかというところもありますので、やはり全体的な総合的な対策というものは当然必要かと思っておりますので、いろいろな取組を私どもとしても工夫してまいりたいと思っております。
○楠岡委員 国立病院機構ですが、現在兼業は許可されております。地域の公立病院等から医師不足とのことで診療等の応援依頼がありました場合には、派遣するような体制を取っておりますが、国立病院機構自身も病院によっては医師不足の状況がありますので、全てには対応できていない状況です。
○加納委員 資料の7ページの下、法案の内容の部分について以前より何回か確認させていただいており、もう一度再確認になるのですが、民間医療機関に対する勧告という内容からすると、今回保険医療機関の指定をしないことができる形になるわけです。ただし、あくまでもこれは今回のような上部記載のケースのような場合、つまり新規増床等の許可申請の場合に限る、ということで確認させていただきたいと思いますが、そういう条件だけということでよろしいのでしょうか。
○地域医療計画課長 地域医療計画課長です。これは民間病院の所だけ保険医療機関という話で出ておりますけれども、そもそも公立病院に関しては許可できないということで、そこは難解なのですが、それを乗り越えて開設するということを民間医療機関がした場合に健保法の保険医療機関に指定しないということを適用するということですので、御指摘のとおり、ある意味このケースに限ってそのような適用というイメージです。なお、参考までに、病床過剰地域においても同様に整備をした場合には、保険医療機関の指定をしないというのは現状もあるもので、それに、今回このケースの場合に限り追加をするということです。
○相澤委員 もう閣議決定されて法律案とされて出すということで、今さら言ってもしょうがないのですが、前から言っているように二次医療圏ごとに指数を決めて、そしてそれを確保しようという、非常に融通の利かないことをやって、これから激変する、殊に人口が激変する地方は大丈夫だろうかと、かえって、すごく心配するわけで、これで医療が壊れないようにという忠告を私がしたということを、是非残しておいていただきたいと思うのが第1点です。
それとこの法律案、参考資料1の3ページ、(三)の所に、「都道府県は」何々とあって、「提供される医療の種別ごとに、(二)のイの指標に関し」とあるのですが、医療の種別ごとに決めるという、その定数を決めるなんていうことは一度も議論をしたことがないと思うのですが、医療の種別の、「種別」というのはどういうことなのか。説明がないまま書かれるのは極めて遺憾ですので、是非説明をお願いしたいと思います。
○永井部会長 事務局お願いします。
○地域医療計画課長 まず、1点目です。今後具体的な指標とかの件に関しては、関係する国の審議会等でも公開の場で議論をした上で、また、そういう指針とかガイドラインを示しながら都道府県には取り組んでいただくというように思っておりますので、そういう中で、また具体的な課題や問題点などを御指摘いただきながら、地域でしっかり運用していただけるように、国としても技術的助言をしてまいりたいと思っております。
またもう1つ、御指摘の3ページの医療の種別ごとの所です。これは法律の書き方になるとこういう書き方になりますが、例えば入院、外来とか、どの程度細かくできるかというところも、また公開の検討の場で議論させていただきますが、診療科別に示せるものについては示していくということですので、それをこういった用語で書くとこういう書き方になるということですので、具体的にどのようなものにしていくかは先ほど申しましたとおり、国で指針なりガイドラインを作っていく中で、また公開の場で御議論をしていただければと思っているところです。
○永井部会長 5ページの医師養成課程の確保対策充実ですが、上の3つの円グラフの一番左をみると、地域枠504名が研修修了後、20%地域枠以外の県で研修を続けています。これは要するに離脱ということでしょうか。そうであれば、本当にこの制度がきちんと動いているのか、あるいは県によって、どのような状況にあるのか、また、県を離れた理由は何かなど、その辺りの調査は必要ないのでしょうか。
○医事課長 御指摘ありがとうございました。この20%という数値ですけれども、確かに御指摘のように県によって大きくばらつきがあるのが実情になっております。どういう理由でこの20%に該当する方が出てきたかについては、専門を取っていく過程とか、あと、ライフイベントに関すること、結婚、出産を機にということもあると聞いておりますけれども、個々人の都合によりというものが最も多いと聞いているところです。それから、今回の法案の中でも、こうした地域枠の取扱いについても、やはり地域医療にどうやって貢献するかという観点から、今後しっかりとした仕組みにしていくということも議論されました。そうした視点から今後の方向性も、示していきたいと考えているところです。
○永井部会長 是非一度、実態をデータとしてお見せいただけると有り難いと思いますので、よろしくお願いいたします。
○医事課長 はい、データをまとめてまいりたいと思います。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
○平川委員 先ほどの外来医療の見直しに対する発言が中途半端に終わりましたので再度発言します。3年、6年の問題ですが、外来医療の偏在への対応で、極端な話、6年前、5年前のデータに基づいて、その情報を新規事業者へ情報提供するという話になってしまうと、その間、この5年間、6年間で相当高齢化や単身世帯の増加とか、地域の医療事情がかなり変わってしまうこともありますので、閣議決定されたものはしょうがないのでしょうけれども、是非とも、実務としては外来医療の偏在ということの可視化については、可能な限り年度を短くして、見える化ということが重要なのではないかと思っていますので、その辺、御検討をお願いできればと思っています。
また、法律案要綱で、6ページに医師少数区域に派遣される医師の勤務の関係で、勤務環境の改善の重要性というのを入れていただいたのは本当に有り難いと思っています。これについては、都道府県がどのような勤務環境の改善について支援をしていくかという、その事例とかについても、国としても事例を明らかにするとか、そういうような努力もお願いしたいと思います。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
○中川委員 先ほどの参考資料1に戻りますが、3ページの(三)の提供される医療の種別ごとに医師の数が少ないと認められる二次医療圏、医師の数が多いと認められる二次医療圏を定めることができるものとするというときに、前も言いましたが、一律にこうやるのだと決めないようにしてほしい。それから想定される数値としては三師調査とか医療施設調査の病院報告とかいろいろありますが、それぞれ極めて致命的な問題がありますので、ああいう数字を単純に使った計算をすることは、特に慎重にしてほしいと思います。いろいろな指数を出す式についても、十分に地域の実情を反映できるような仕組みの式にしてほしいということを強く要望いたします。
○永井部会長 よろしいでしょうか。それではただいまの議論を踏まえて、事務局において必要な対応をお願いいたします。
次の議題にまいります。オンライン診療ガイドラインについて、検討会での検討を経て3月30日に公表されております。この件、事務局から報告をお願いいたします。
○医事課長 それでは、資料2を御覧ください。こちらのオンライン診療については、ガイドラインそのものも参考資料2ということで今回の資料の中に入っておりますので、そちらも併せて御参照いただきたいと思います。資料2に、「情報通信機器を用いた診療に関する検討会」という1枚目のページがあります。この検討会ですけれども、1の所にあるように、目的としまして、ICTの技術の進展に合わせて情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)が発達・普及しているのが実情かと思います。そうした遠隔診療の医療上の必要性・安全性・有効性等が担保されるということが必要ですし、「新しい経済政策パッケージ」においても「必要なルールを包含するガイドラインを整備」するとされております。このガイドラインについては、平成29年度内に策定することとしておりました。
検討会における検討事項が2の所にありますけれども、遠隔診療の定義・名称とか、遠隔診療を実施する際のルールを決めていく。また、このルールを決めるに当たっては、ガイドラインを策定していくということになります。構成員は、3の所に示すような先生方に御協力いただきました。
次ページ、オンライン診療の適切な実施に関する指針の概要ということで、今回の指針の主なポイントを説明させていただいております。経緯のところは先ほど申し上げたとおりですが、医師法第20条との関係について、今まで局長通知を出しておりますけれども、こうしたものを、より明確化していくということも今回のガイドラインの中には反映されておりますし、それから、指針の位置付けのところ、2番の所を見ていただくと、遠隔診療と定義していたものを、オンライン診療と名称を新たにしまして、それが右側のほうに3つほど出ております。上から見ていただくと、オンライン診療、オンライン受診勧奨、遠隔の健康医療相談の3つに分かれております。
オンライン診療については、診療行為をリアルタイムで行うということで今回のガイドラインは全面適用になると考えておりますし、受診勧奨については、受診勧奨を行うということで、一部適用になります。この適用になる部分ですが、診断等の医学的判断を含むということになっております。一番最後の所の遠隔健康医療相談ですけれども、医師の医学的判断を伴わない行為ということで、今回のガイドラインは適用なしという整理です。
指針の位置付けの2つ目の所にもう一度戻っていただくと、「最低限遵守する事項」と「推奨される事項」とに分けて、最低限これだけは守ってください。できれば、こうしたことも留意してくださいという内容になっております。それから、先ほど出ました医師法第20条との関係も明確化したという内容になっております。
3番の所に指針の具体的内容をまとめております。診療行為に関する事項は、全体で5項目ほどありますけれども、初診及び急病急変患者は、原則として直接の対面による診療という点です。それから、2番目の所の「診療計画」を策定するという点です。3番目は、HPKIカード等を活用し、これは医師の資格証になりまして、電子的なデータもここに入っていて、医師としての資格が認証できるようなカードです。「等」となっているのは、医師免許証も活用できるということになっておりまして、免許確認を行える環境を整えるという目的です。4番目は、オンライン診療に基づく処方が可能というように定めておりますが、オンライン診療を行っている疾患とは異なる疾患に対して新たに医薬品の処方を行う場合は、直接の対面診療に基づき行うこと、ということも記載されております。5番目の所で、十分に必要な情報が得られていると判断できない場合、直接の対面診療を行うこと、ということも記載されております。
右側には、提供体制に関する事項をまとめております。医師は、医療機関に所属していること。2つ目の所で、患者が速やかにアクセスできる医療機関において直接の対面診療を行える体制が必要であるということや、3番の所に、診療を受ける場所ですけれども、これは職場等を含むということで、そうしたところが清潔かつ安全であるということです。それから、特定多数人に対してオンライン診療を提供する場合は、診療所の届出を行うということで、これは医療法上の扱いを書いています。
通信環境に関する事項。最後の項目は情報セキュリティについての事項です。必要な措置が講じられていることを確認するという内容になっております。内容については以上です。
○永井部会長 それでは、御質問を頂きたいと思います。
○井上委員 産業界の目から見て、今、全ての事柄がとにかくICTを活用するという局面に入っております。医療において、もちろん大前提として安全性・有効性の確保というのはあるわけですけれども、やはり将来をにらんで、またICTの技術自体も日進月歩です。高齢化の中で、例えば過疎地の患者さんの利便性を上げるとか、あるいは、先ほどの医師の偏在性のような話もありますので、様々解決をしなければならない課題はあるかと思いますが、是非、オンライン診療、ICTを活用した診療については、前向きに検討して普及に努めていただきたいと思います。
その中で、今後、普及を進める上で、1つ、これは指針の中にもありましたけれども、エビデンスを積み重ねていくということが、やはり重要になってくると思います。今後、オンライン診療のエビデンスを積み重ねて、そこからまた新しい知見を得ていくという活動をしながら取組を進めていただきたいと思います。以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
○猪口委員 1つ質問いたします。既に4月から診療報酬上でオンライン診療というのが認められております。ここで、定義では、遠隔診療と定義していたものをオンライン診療に変更するとあるのですが、診療報酬上のオンライン診療はそれほど遠隔診療ということにこだわっていなくて、そうではない人でも使えるというように規定されたように思いますが、そこら辺のオンライン診療という言葉の使い方についての診療報酬上、若しくは医療法上の関連というか、同じものなのかどうか、そのことを教えていただけますでしょうか。
○医事課長 御質問、ありがとうございます。基本的に先生の御指摘の点については、ここで使っているオンライン診療というものの流れの中で、診療報酬上もその一部を評価していくということになっております。それから、新たな診療報酬が出される際にガイドラインを踏まえてといった言い方がされていたかと思います。そのために昨年度内にこのガイドラインを発出しまして、今後、オンライン診療を行っていく中で、こうしたガイドラインを踏まえて診療を行っていただき、なおかつ診療報酬上の事項に示されていることに合致したものについては報酬が支払われるということで、同じ流れの中で保険局とも、よくその点は調整しながらガイドラインを作ってまいりました。
○永井部会長 釜萢委員、どうぞ。
○釜萢委員 参考資料12ページ、今、伺った御説明でも、オンライン診療は、あくまでも対面診療と適切に組合せて行われるという方針で、そのように一貫して流れているわけですが、参考資料12ページの真ん中辺りに、「注」とありまして、「禁煙外来など定期的な健康診断等が行われる等により疾病を見落とすリスクが排除されている場合であって、治療によるリスクが極めて低いものに限っては、患者側の利益と不利益を十分に勘案した上で、直接の対面診療を組み合わせないオンライン診療を行うことが許容され得る」と記載されています。ここはあくまでも直接の対面診療を組み合わせないというのがここに出てくるわけですが、この文章を読むと、「禁煙外来など」という例示があって、定期的な健康診断等が行われる等により疾病を見落とすリスクがないこと、それから、治療によるリスクが低いということで、これが認められるという整理なのですが、その付帯条件がどのように満たされているのかということの確認が少し難しいように思います。特に禁煙外来というのは、この議論が始まった当初、禁煙外来がどんどんオンラインでできるようになるというのが非常に大きく取り上げられたというような経緯もあって、ちょっとこの書きぶりについては、十分、今後は注意して見ていかなければいけないように感じます。これまでの議論を踏まえて事務局から、その点はいかがでしょうか。
○医事課長 御指摘、ありがとうございます。いろいろな付帯条件というか、この条件を全て満たしていただくというところがやはり大前提であると思いますし、検討会の中でも、この項目を議論する際に、やはり基本的な考え方を十分踏まえてということで、原則、対面の話とか、8ページの所にオンライン診療の基本的な理念が示されております。医療の質をさらなる向上に結び付けていくとか、アクセシビリティ(アクセスの容易性)を確保し、より良い医療を得られる機会を増やすことということで、やはりそうした機会を増やしていくことの重要性につながります。それから、患者さんが治療に能動的に参画することにより、治療の効果を最大化する。こういう前提に立ってこの文章はありますので、先生の御指摘の懸念についても、いろいろ議論した上で今の表現になっておりますし、大事なのは、ほかの委員からもあったのですが、エビデンスをしっかり蓄積していって、こうした規定された事項の効果をしっかり見ていく。PDCAを回しながら今回のガイドラインを、実際に行われていることに関する情報をしっかり収集しながら定期的に見直していくということかと思います。そうした基本的理念に基づきまして、先生の御懸念にもしっかり応えられるような形で、今後もフォローしてまいりたいと考えております。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
○楠岡委員 先ほどの猪口委員の御質問にも関連するのですが、本日の参考資料6、診療報酬改定の43、44ページにオンライン診療の記述があって、特に44ページにおいては、オンライン診療料を算定できる要件として6か月間判定しているとか、あるいは30分以内の距離とか、かなり厳しい条件が付いております。一方、今回のこちらのガイドラインでは、そこはかなり緩められているような状況になっているので、まず、そういうことはないとは思いますが、最初から自由診療を前提としている場合、相当緩やかな条件でいろいろなことがなされる可能性もあります。その点に関しては十分注意していただきたいという要望です。
○永井部会長 よろしいですか。ほかに御意見はありませんでしょうか。
○中川委員 今の楠岡先生のご指摘は、非常に重要だと思います。診療報酬上のオンライン診療料に関する要件と、今のガイドラインとの関係をもう少し正確に説明してもらえませんか。温度差があってはいけないと思います。
○医事課長 医事課長でございます。御質問、ありがとうございます。オンライン診療のガイドラインと、診療報酬上の取扱いの点に関しては、ガイドラインは診療全体について基本的な考え方を整理し、実際に行われる診療の有効性・安全性・必要性を担保していくという観点からできておりますので、かなりそういう意味では包括的にそうした概念を捉まえてガイドライン化しているということです。
診療報酬の点については、ガイドラインを踏まえるということは当然なのですけれども、その中で、今までエビデンスが集められたものについて、その一部について診療報酬加算が認められているという理解になろうかと思います。基本的には保険上の扱い、それから、衛生法規としてのガイドラインの扱いというのは同じ方向を向いて、整合性を取って進めていくという基本的な考えにのっとっているわけです。今後、先生が御懸念の点についても、しっかりと情報収集した上でフォローアップしていきたいと思っております。
○中川委員 公的医療保険下のオンライン診療と、そうではない自由診療、例えば自由診療の下でのオンライン診療と、その範囲の違いで何か違いは出ているのですか、このガイドラインは。どうですか。自由診療だから何をやってもいいというわけではないでしょう。
○医事課長 先生の御指摘のとおりです。答弁が遅れて恐縮ですけれども、基本的な診療は保険診療であっても自由診療であっても、同じ考え方に基づいて進めていくというガイドラインの基本的な考え方は、そこにあります。例えば、情報のセキュリティや、患者さんのプライバシーの保護、それから、診療上の有効性・安全性の担保ということは、診療報酬があるかないにかかわらず、自由診療であるかないかにかかわらず重要な点であると思いますので、その点についてはしっかりと担保していくという考え方です。
○中川委員 今回の改定で新設されたオンライン診療料の算定要件は、ストイックですごくいいと思っています。この精神を、この算定要件をガイドラインのほうで緩むというようなことがあってはならないと思うのです。この辺は是非、気を付けてください。
○永井部会長 よろしくお願いします。それでは、ただいまの議論を踏まえて、事務局は対応をお願いします。
次の議題です。検体検査の精度管理等に関する検討会の報告をお願いします。
○総務課長 総務課長でございます。お手元の資料3によりまして御説明申し上げます。検体検査の精度管理の検討会の取りまとめということです。これのきっかけになったのは、昨年の医療法の改正に端を発しているところです。2ページを御覧いただくと、まず、「検体検査の品質・精度管理について」ということがあります。これについては、法改正を行う前の段階においては、1つは、上の表にあるように、医療機関内の品質・精度管理の基準というものは、法律上、特段規定がないという形になっております。また、ブランチラボ、医療機関の中にブランチラボは設けないこともありますけれども、これについても品質・精度管理の基準について明確な法律上の規定がないといった形で、受託業者の基準としての省令の規定があるという形でした。
その次の○の下に枠がありますが、一方で、特に遺伝子関連検査の精度管理についてありますが、タスクフォースの意見取りまとめという中で、こういった遺伝子関連検査の品質・精度を確保するためには、やはり諸外国と同様の水準を満たすことが必要であり、法令上の措置を含めて具体的な方策を検討・策定していく必要があると言われたところです。
このため、昨年の法改正の中には、その下の緑枠の中に入れていますけれども、2点あります。1つは、医療機関が自ら実施する検体検査について、品質・精度管理に係る基準を定めるための根拠規定を新設するということにしております。これは医療法の改正です。2点目は、ブランチラボ、衛生検査所に業務委託する検体検査について、品質・精度管理に係る基準を省令で定める旨を明確化するということで、医療法・臨床検査技師等に関する法律の改正を行っているというところです。
3ページの下にありますが、検体検査の分類についても課題がありました。これについては、現行の検体検査の分類について、その下の青い枠に(1)(2)がありますけれども、2点ほど大きな課題がありました。1点目は、現状の科学的な検体検査の分類との不一致ということで、国際標準であるISOの区分と我が国の検査分類が一致していないといったことで、法令上の検査分類が現状と合っていないということが指摘されております。2点目としては、また新たな検査技術への迅速な対応ということで、特に遺伝子情報の解析については、大変技術の進展が著しいところがあります。そういった中で、検査分類を柔軟かつ迅速に整備できるようにする必要があるということです。このため、昨年の法改正の中では、緑の枠の改正内容にありますけれども、こういった柔軟かつ迅速に対応ができるようにということで、検体検査の分類を省令委任ということにすると。分類に遺伝子関連検査を追加するなどの見直しを行うということで、臨床検査技師法などの改正を行っているところです。
これを踏まえて、4、5ページ、「医療法等の一部を改正する法律」ということで、4ページのほうは昨年の法案、法律の全体像ですが、1番の所にある検体検査の精度の確保の関連での法律の手当を行っております。
具体的には、その下の5ページにある医療法第15条の2、第15条の3、臨床検査技師法の第20条の3の第2項のところで整理をしております。また分類の関係では、その下の枠にある臨床検査技師法の第2条というところで手当を行ったということです。これを具体的に今後、施行するということが必要になってまいりましたので、それを議論するために、次の6ページにありますが、「検体検査の精度管理等に関する検討会」を立ち上げまして、先生方にお集まりいただいて御議論いただいたところです。昨年10月以来、具体的な議論を開始しまして、次の7ページにあるように、3月までに5回ほど議論させていただいております。取りまとめが一応まとまりましたので、今回、この医療部会に御報告させていただくというものです。
今後のスケジュールは、本日、医療部会に御報告を申し上げて、先生方のいろいろな御意見を頂戴した後、6月ぐらいに省令を公布し、半年ぐらいの周知を行った上で、今年の年末、12月頃に法律と省令を合わせて施行していきたいと考えております。
続いて、検体検査の分類の見直しの関係です。9ページを御覧ください。分類の見直しということで、現行の分類が左の青い枠の部分です。色を変えている所がありますけれども、現行の一次分類については、遺伝子関連検査・染色体検査は含まれていないということ、そして、寄生虫学検査が単独で一次分類に含まれているといったことで、現状の科学的な検体検査の分類と一致していないという事項がありますので、これを今回見直しするということです。具体的には、一次分類については右のオレンジの枠にあるように、微生物学的検査、免疫学的検査、血液学的検査、病理学的検査、生化学的検査、尿・糞便等一般検査、遺伝子関連検査・染色体検査という形で見直しをしたらどうかというように考えているところです。
二次分類についてですが、現行の分類の中では遺伝子検査がいろいろな分類の中に分かれて入っていることがありました。また、特に病理検体を用いる体細胞遺伝子検査をどういったところに含めるかということについて、いろいろと御意見が分かれていたところです。こういったことについて検査手法ごとに分類することが適当ではないか、また、日本版のベストプラクティス・ガイドラインとの整合性の確保が必要であるといったところで、一次分類、遺伝子関連検査・染色体検査となっているものを、今回、新たに創設することにしておりますが、この中に、全体をまとめて整理するという形で分類の見直しを取りまとめていただいたという状況です。
「医療機関が自ら実施する検体検査の精度の確保の方法について」です。11ページを御覧ください。これについては、医療機関等が自ら検体検査を実施する場合における精度の確保のために設けるべき基準(案)ということで、3点ほど整理しております。こういった議論の前提として、特段の構造設備については、そういった基準は不要であろうということが議論の結果、なっております。その上で、1点目として、精度の確保に係る責任者の配置。これを医師又は臨床検査技師ということでお願いしていきたいと考えております。これは兼務は妨げないという整理です。2点目は、精度の確保に係る各種標準作業書・日誌等の作成ということで、精度の確保のために必要と考えられるものということで幾つか挙げています。各種標準作業書ということで、この左のほうの枠の2点、それから、各種作業日誌・台帳ということで、右のほうの枠に入っている5点、こういったものを整理、作成をお願いする方向でまとまったところです。3点目は、検体検査の精度の確保のために管理者の努めるべき事項ということです。これについては、その枠の中にある内部精度管理の実施、外部精度管理調査の受検、そして、適切な研修の実施、こういった3点を努力義務という形で現場のほうにお願いしたいと考えているものです。
続いて、業務委託において検体検査の精度の確保をする方策、方法ということです。これについても御議論いただいた上で、ブランチラボ・衛生検査所の備えるべき書類の基準ということで整理させていただいております。具体的には、検体検査のプロセスに沿って整理をしておりますけれども、標準作業書等と日誌及び台帳、全般というものがありますが、こういった中で青い色を塗っているのは既に現在行っていただいているものです。オレンジの部分を今回改めて整理をして、作成をお願いしていきたいと考えております。個々に読み上げるのは時間の都合上省略させていただきますが、こういったものを、今後お願いしたいと考えております。
15ページ、「遺伝子関連検査・染色体検査の精度の確保の方法について」です。これは、精度確保のために設けるべき基準ということで、案としてまとめたものですけれども、1点目は、遺伝子関連検査・染色体検査の責任者の配置ということです。これについては、遺伝子関連検査・染色体検査部門において、やはり精度の確保に係る責任者を設けていただくということで、業務経験を有する医師あるいは臨床検査技師が原則ということです。ただ、現場の実態として既にいろいろな取組がなされているところもありますので、遺伝子関連検査・染色体検査の専門知識や経験を有するほかの職種の方も、その部門の責任者であることを妨げないという整理にしています。2点目は、内部精度管理の実施と適切な研修の実施ということで、そういったことを今後、義務的にお願いしたいと考えております。
3点目は、外部精度管理調査の受検ということで、これについては、できるだけしっかりと精度管理を確保するために受検をしていただきたいということで議論していただきましたが、現段階において、こういった精度管理を行う必要がある検査機関のニーズに十分応えるだけの体制が整っていないという現状もありますので、代替的な方法ということですが、施設間における検査結果の相互確認を行っていただきながら、まずはその精度の確保に努めていただくようにと考えております。それと併せてその枠外に入れていますけれども、検査施設の第三者認定を取得するということも今後進めていく必要があるといった議論がありましたが、一方で、やはり現在の検査機関の全てのニーズに応えるだけの体制がまだ整っていないという現状もありますので、当面、これについては勧奨するということで対応していきたいという整理をされたところです。こういった議論の結果を踏まえて、また先生方の御議論を頂いた上で、私どもの省令などを定めていくようにしていきたいと考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○永井部会長 それでは、御質問、御意見をお願いいたします。
○釜萢委員 今回の改正によって精度管理が更に高まるということは、大いに期待されることで、喜ばしいと思います。実際に医療機関が衛生検査所に検査を依頼する場合に、その依頼する衛生検査所はきちんと国の基準を満たしているのだろうと思いますけれども、そこのところが必ずしもはっきり見えるわけではないところがありまして、今、ISOのことが出て、なかなかそこを評価する体制がまだ不十分だということは分かりますが、長年にわたって第三者評価を行ってきた医療関連サービスマーク制度なども、更に活用されるべきであろうというように感じております。1つ問題点は、大変高名な、あるいは全国展開している有名な業者が、このマークを取得している場合でも、本社が取得していて、それぞれの支社は必ずしもそうではないというような体制もあるやに聞いていて、この辺り、問題があるとすれば改善が必要だと思います。事務局、何か情報をお持ちでしょうか。
○地域医療計画課長 地域医療計画課長でございます。具体的な何か情報という御指摘ですが、特段、現時点でつかんでおりませんが、衛生検査所に対しては、従来より臨床検査技師等に関する法律の第20条の5の第1項によりまして、都道府県等が必要と認めるときは必要な報告を、必要な立入検査をするということになっていまして、これも現状で各都道府県で実施していただいていると把握しております。また、今回の改正内容については、都道府県にきちんと周知、情報提供し、技術的な助言をしてまいりたいと思っております。また、各衛生検査所が自ら第三者評価というのを取得して、高い水準で検査の質を担保しているということも重要ですので、そういったことも普及してまいりたいと思っております。
○永井部会長 ほかによろしいでしょうか。御意見がなければ、次の議題にいきます。人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会の報告をお願いします。
○医師確保等地域医療対策室長 医師確保等地域医療対策室長の松岡です。よろしくお願いいたします。資料4と、参考資料4-1から4-3を使って説明をさせていただきます。資料4の1ページです。平成29年8月より、人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方について検討するという目的で、かのような検討会が開催されておりました。6回の検討を経て、3月23日にこの検討会は閉じました。報告書も作成し、公開しているところです。構成員は真ん中に書いてあるような方々で、武蔵野大学法学部の樋口教授が座長を務めておられました。
2ページですが、その検討会の中で2つの議論がなされました。1つは、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」の改訂について議論がなされました。もう1つは、この検討会自体の名前にも入っておりますように、普及・啓発の在り方について検討がなされました。
1つ目の、人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドラインの改訂の経緯です。プロセスに関するガイドラインと訳させてもらいますけれども、プロセスに関するガイドラインは、できて11年がたっております。一番最初にできたときには、富山県の射水において、人工呼吸器の取り外し事件がありました。そのときに、終末期医療の決定プロセスに関するガイドラインという形で作ろうということで、翌年の平成19年に策定されたものです。このガイドラインは、終末期医療において本人の意思を確認し、それをきちんと医療の中に生かしていくということをどのようにやっていくのか、というプロセスを透明化するという目的で作られたものでした。
参考として、3ページと4ページに旧ガイドラインの概要が付けてありますので御覧ください。ガイドラインの概要として、3ページに1と2と書いてあります。最終段階における医療及びケアの在り方として、まず話し合いを行い、患者本人による決定を基本として、終末期医療を進めることが肝要である、重要であるということ。それから、医療・ケアチームで、医学的妥当性と適切性を基に慎重に判断されるべきであるという、この2原則をもって、決定手続として2番のように書いてあります。
4ページは、そのガイドラインにあるイメージ図として、方針決定がこのようになされるということが書いてあります。患者の意思が確認できるときには、話し合った上で患者が意思決定を行い、方針の決定につながる。一方、患者の意思が確認できない場合には、家族が患者の意思を推定できる場合とできない場合に分け、患者の意思について、意思が尊重できるような場合には、それに沿って最善の治療方針を取るということ。もし推定できない場合や家族がいない場合には、最善の治療方針を、医療・ケアチームで慎重に判断していき、医療・ケアの方針決定を行う。ただ、そのときに迷いが生ずると言いますか、なかなか意思決定が困難である場合には、複数の専門家で構成するような委員会を設置するということを決めていました。このような内容のものがあったのですが、近年2つの事情があり、これを見直すことを決定いたしました。
2ページに戻って、見直しの必要性にポツが2つ書いてあります。高齢多死社会の進行に伴い、地域包括ケアシステムの構築に対応したものとする必要がある。英米諸国を中心として、アドバンス・ケア・プランニングの概念を踏まえた研究・取組が普及している。この背景を踏まえ、ガイドラインの見直しを行ったところです。
2.主な見直しの概要です。(1)から(5)まで書いてあります。(1)は、地域包括ケアシステムの構築に対応したものと関係するのですが、これから在宅医療・介護、それから施設で亡くなる方が増えていく実態が想定されることを踏まえ、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」という形に名称を変更したということ。それから、医療・ケアチームの対象に介護従事者が含まれることを明確化するということで、在宅などでの死因でも使えるようなガイドラインに改訂するということです。
(2)は、ACPの基本的な考え方にあるのですが、心身の状態の変化に応じ、本人の意思は変化し得るものである。医療・ケアの方針や、どのような生き方を望むかを日頃から繰り返し話し合っていくことが重要であるということについて強調した内容としております。
(3)は、本人が自らの意思が伝えられない状態になる前に、本人の意思を推定する者について、家族等の信頼できる者を前もって定めておくことも重要であると記載しております。
(4)は、今後は単身世帯が増えることを踏まえ、(3)にある家族等の信頼できる者の対象を家族、つまり親族関係にある者以外にも、家族等(新しい友人等)という方々に拡大していくことによってカバーしていくということ。
(5)は、繰り返し話し合った内容をその都度文章にまとめておき、本人、家族等、それから医療・ケアチームで共有することが重要であることについて記載したものです。
このような見直しを行い、人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドラインを、より現代に適したものに変更したところです。この文章については、参考資料4-1と4-2として付けておりますので、後ほど御参照いただければ幸いです。
このような改訂を行った上で5ページで、この検討会における普及・啓発の在り方に関する報告書を作成しました。1つ目に、「普及・啓発の目的と必要性」と書いてあります。人生の最終段階において、本人の意思に沿った医療・ケアが行われるようにするためには、人生の最終段階における医療・ケアについて繰り返し話し合うという取組。つまりACPのような取組ですけれども、このようなものが一人一人の生活の中に浸透していき、「生を全うする医療・ケアの質」を高めていくことが必要であると考えております。このため、国民全体が、ACPなどの概念を盛り込んだ意思決定や、その支援の取組の重要性について知っていただくことが必要であり、そのための普及・啓発が必要であるということが目的であり、必要性であると私どもは認識しております。
このための普及・啓発の内容・方法に移ります。普及・啓発の対象を今回は4つに分けております。(1)から(4)まで書いてあります。(1)は、人生の最終段階における医療・ケアの在り方を自分事として考える時期にある方、つまり御本人です。その(1)の方々を身近で支える立場にある家族等というのが(2)の対象です。(3)は、(1)や(2)の方々を支えていただく医療・ケアチームへの普及・啓発です。(4)は、国民全体という形で対象を分けました。本人や家族等に関しては、やはり心身の状態に応じた医療・ケアの内容というものについてきちんと知っていただくことや、本人の意思の共有に当たっては留意すべき事項がありますので、このようなことについて知っていただくということで、医療機関や介護施設の方々の力を借りながら、情報提供に努めてまいりたいと思っております。
(3)の医療・ケアチームについては、今回の新しいガイドラインの内容をよく知っていただき、ACPの重要性、ACPの取組について、概念に基づく取組について皆さんに知っていただく。そういうことを、国や地方自治体、医療・介護関係団体などの協力を得ながら普及・啓発に努めてまいりたいと考えております。
(4)の国民全体ですが、これは本人や身近な人のもしものときに備え、日頃から考え、家族等の信頼できる者と繰り返し話合いを行い、その内容を共有しておくこと自体、つまりACPのような概念に基づく取組が重要であることを知っていただくことを強調していきたいと考えております。そのために、国や地方自治体、民間団体や教育機関などと協力しながら、書かれたような取組をしていきたい。特に民間団体などの場合には、退職やいろいろなライフイベントがありますので、そのライフイベントに即して、リーフレットの配布やセミナーの開催などを通じて協力していただくということもあろうかと思います。
このような普及・啓発を広く行ってまいりたいと考えているのですが、次に普及・啓発における留意事項というのがあります。我々が普及・啓発を行うに当たって、幾つか気を付けなければいけないことがあると考えておりますので、それについて述べて私からの説明を終わります。留意事項の1つ目は、誰もが日常的に話し合える環境づくりを進めることが重要です。また、国民一人一人が、希望する人生の最終段階を迎えられるようにするために行うものであり、決して医療費削減や営利目的のために行うようなものではないということを強調しておかないといけないということ。
それから、個人の主体的な取組によって考え、決定されるものですので、知りたくない方、考えたくない方、また文章にまとめたくない方などといった方もおられますので、このような方への十分な配慮が必要である。強制してやらせるものではないということです。
また、ACPはこれまで、既に人生の最終段階に至る前の段階から、価値観や人生観も含めた十分なコミュニケーションを踏まえて医療・ケアの内容が決定されてきたという実態もあります。それに、たまたまACPという名前が付いていなかったこともあろうかと思います。今回、私どもはACPの概念を使い、それらを言語化して皆さんと共有していきたいと考えております。
そのような形で、私どもとしては普及・啓発に努め、人生の最終段階において、その方々が自分の生を全うできるような医療が行われるように環境づくりをしていくことに努めたいと考えております。以上です。
○永井部会長 それでは邉見委員 、山口委員の順でお願いいたします。
○邉見委員 これは非常に良い報告書だと思うのです。ある調査によると、医師でも知っているのは20%、国民は2%ぐらいらしいです。この啓発がうまくいくと、恐らく救命救急センターとか、消防の救急隊とか、あるいは地域の救急一次、二次も含めてマンパワーが大変有効に使われるのではないか。無駄と言ったら言葉は悪いかも分かりませんけれども、私は20年間国民健康保険の審査委員をやっていました。高額医療でものすごい上にランクしている人は、ほとんどその月に死んでいます。
延命治療的なもので死んでいる。月末に来たら次の月に死んでいる。高いので残っているのは、血友病の高額な血液製剤を使った人以外はほとんど死んでいます。急性心筋梗塞は助かっている人はいます。だから、ACPをちゃんとやっていれば、医療界にとってはかなりのマンパワーが、助かる人のほうに、本来の医療に専念できる。特に田舎の場合には、息子や娘が京阪神にいて、赤穂に来るのに長時間かかりますので、「しばらく臨終を言わないでくれ」という人がいます。「誰か来るまで待ってくれ」と言われたら、その間本当に無駄な感じがするのですが、やはり人情として最期まで臨終を言わずに形式的治療を続け待っていることがあります。こういうのを、ちゃんとACPしておいてくれるといいのにといつも思っています。
2番目は、そのお金を小児医療とかもっと大事なほうに使えばと思います。3番目にこれはいいなと思うのは、ケアのチームが入ったことです。ケアの人というのは、医療のことに対して敷居が高いと思って、生死の問題については余り関心を持たない。臨終とか、死亡診断というのは病院がやるものだという感じで、常に救急車を呼んで病院へ送ってきます。だからケアの人にも、これは自然死、老衰ですという感じで、後でゆっくり見てくださいということもいいのではないかと思いますので、これは非常に良いと思います。
最後に、日本人には宗教教育というのがほとんどないです。小学校ではちょっと難しいと思いますけれども、中学・高校ぐらいでは、死生観と言いますか、生きているうち最期は死ぬわけですから、そういうことも含めて命の大切さと同じように、終末期のことも教えるべきではないかと思います。
○永井部会長 山口委員どうぞ。
○山口委員 私も、ここに書いてあることは非常に理想的なことだと思います。その一方で、この国で一番難しいことではないかと思っています。最近、一部の医療者の間でACPばやりが起こっていて、正しく理念を理解して広めてくれるのならいいのですけれども、意思表示したものを残すことだけが目的になってしまうと、1つの方向に向かっているような強要をすることになるのではないかということを非常に懸念しております。
今回の資料にも、例えば普及・啓発が必要だと、とてもきれいに書いてあるのですけれども、どうやって普及・啓発をするのだろうということを考えると、具体的なことが実は見えてきません。私たちは28年活動していて、ずっと電話相談を聞いていますが、劇的に患者さんの意識が変わってきましたし、医療現場も変わってきています。
でも、ずっと変わらないのは自己決定できないという相談です。いろいろな情報提供をしてくれることはとても大事だと思うのですが、最終的に情報があれば決められるかというと、そうではなくて自己決定するという意識がないと、幾ら情報があっても決められないのが現状ではないかと思います。ACP自体が英米で確立してきたということで、ある意味自己決定するのが当たり前で、自分の意思表示をすることが日常の中で確立しているような文化のある国であれば、こういうこともできると思うのです。そもそも自己決定しましょうということを、子供の頃から日常的にやってこないと、なかなか話合いを通してもできないのではないかという懸念も持っています。
今回の報告に対して何か注文を付けるつもりはありませんけれども、これからの少子化を考えると、先ほど邉見委員のお話の中に死生観というのがありましたけれども、死生観だけではなくて、自分の命や体は自分で守って、自分で決めるということを、是非子供の教育の中からやっていかないと、これは将来的に実現しないのではないかと思っております。是非、省庁を超えたこの辺りの取組と連携を通して、実現の方向に、将来を見据えた上でやっていただきたいという意見です。
○永井部会長 阿真委員どうぞ。
○阿真委員 報告書の中の普及・啓発における留意事項という、とても大切な内容に触れてくださっていると思います。その1つ前の普及・啓発の内容・方法のところで、分けて検討することが必要ということで分けていただいているだけで、この順番というわけではないと思うのです。最終段階において、自分事として考える時期にある方に対してこの普及・啓発をするというのは非常に難しくて、非常に酷であるというような話もあります。やはり、国民全体で日頃からというのがすごく重要なのではないかと思います。
もう1つ、教育機関、学校におけるというところも本当に大切なことだと思います。例えば、がんとかも「大切だよね」となって、急に学校現場にがんの話が入ってきたりします。今は学校において、どう生きていくのかという命の話とか、どう亡くなっていくかという話がまだ全然できていない。医療の話も、まだ学校現場においてはなっていないような状況で、そこだけポッと来てもなかなか難しいところがあります。どのように生きていくか、医療とは何なのだというところからまず入っていった後で、死生観だったり、がんの教育だったりというものが入っていくとより良いのではないかと思います。
○永井部会長 島崎委員どうぞ。
○島崎委員 検討会の議論の対象・守備範囲について質問と意見を申し上げます。ここで書かれている個々の中身について異論があるわけではありません。それから、病院とか施設というクローズされた中で完結するのであれば、これでよいのだろうと思います。ただ、実際は地域完結型医療という言葉があるように、一つの病院や施設で完結しているわけではありません。
例えば、在宅から病院や施設に移るとか、逆に病院・施設から在宅に移っていくということがあり得るわけです。そうすると、地域という面において、患者の意思あるいはその情報が関係者の間で共有されなければ、結局のところ患者の意思が反映されない医療ということになりかねません。その結果、折角ACPというプロセスを経ても無意味になってしまい、普及しないということが起こり得ると思います。
具体的な例を申し上げれば、在宅の患者がACPのプロセスを経て延命治療は極力行わないという意思決定しても、苦痛を緩和してほしいと思って救急車を呼んだとします。通常は、救急隊員あるいは搬送先の病院では、救急車を呼ぶことは延命治療を希望しているというように受け取るのが一般的です。そういうことであれば、それに対する強い反証、例えば、在宅医療の担当医師あるいは患者の代理人が、実はこの患者はこういう医療を希望していますとか、あるいはかかりつけ医が、実はこういうACPのプロセスを経て、この患者はこういうことを希望しているのだということを相当強く言わない限りは、救急搬送された病院や救急医はやはりリスク回避型の医療を行う結果になってしまうと思います。
そういう意味では、ACPをどうやって定着させるかというのも1つ重要な要素なのですけれども、もう1つ重要な点は、地域という面の中で情報共有をどのようにしていくのか。私は医師会が中心になるべきだと思いますけれども、かかりつけ医なりがどういう役割を果たすのかということを議論することが重要なのではないかと思います。
質問は、この検討会の中では、そういう情報の共有化の議論はしたのでしょうか。もしそういう議論をしていないのだとすると、私は是非すべきだと思うのですけれども、一体それはどこでやるのか、お考えを聞かせていただければと思います。
○医師確保等地域医療対策室長 少し説明を端的にやりすぎたのかもしれないと思います。確かに地域での意思共有というのは大事な課題だと思います。私どもの今回の議論の中では、幾つかの自治体の方々からヒアリングをしております。その中で、例えば地域ではどうやってその意思を共有しているのかというお話とか、救急の現場でどうなのかというようなヒアリングもやっております。
そのようなことを踏まえて、私どももそういう意思をどうやって皆さんに、つまり医療・ケアチームというのが、単一の施設だけでとどまるのかという話だと思うのです。その方に関わっている医療やケアを行う方々でいかに共有するか、ということが重要なのかと思っております。そこは、先生の問題意識を汲むような形で議論をしてきたと考えております。
○島崎委員 お聞きになっていないかもしれませんが、この間の救急・災害医療の検討会があり、そういう議論を踏まえてという趣旨の話がありましたので、そういう検討の場でも議論の対象になるのではないかと思っていました。私の認識はちょっと違っているのでしょうか。
○地域医療計画課長 地域医療計画課長です。当然先般立ち上げました救急災害に関する検討会でも、今回出しました人生最終段階のプロセスのガイドラインを踏まえて、地域包括ケア体制というものがどう対応していくのか、ということもしっかり議論していただこうと思っているところです。
○永井部会長 岩田委員どうぞ。
○岩田委員 普段ほとんど貢献できていないものですから、一言申し上げさせていただきます。この検討会に私も少しだけ参加させていただいたので、内容を少しお伝えします。そこでもお願いしたことなのですけれども、事務局へのお願いということで2点申し上げさせていただきます。島崎先生から御指摘がありましたような問題は、問題意識としては検討会でも議論がありました。ただ、「実際にどのように情報共有するかというのは難しいですよね」という話があり、問題意識としてはあるけれども、これからいかにそれを実現していくかというのは、正にスタートポイントに立ったので、ここからやっていきましょうと。
その第一歩が、ケアチームとか、介護の方とか、地域の中でどうやって協力体制を作っていくのかということからなので、御指摘のように、まだまだやらなければいけない課題はいっぱいあるのですが、問題意識としてはかなり共有し、同じような問題意識でやっていたのだと思います。私が知っている限りでは、救急の現場でどのようにこういう問題をやるかという話が早晩議論が始まるということのようです。正に御指摘のあったようなことは対応しようということかと思います。
もう一点中身の説明で言うと、確かに自己決定が重要だということはおっしゃるとおりなのです。他方、海外の状況を見ると、海外でも自己決定がうまくいかないと。リビングウイルなどがあるけれども、簡単に言うと、死のことは日本だけでなくて、海外でも向き合いたくないという人が大多数なのです。大多数の中でどうやっていくかというので、対応として出てきたのが正にACPなのです。むしろ家族の中で何を大事にするのかというような、これも本当は難しいのだと思いますけれども、家族の中での認識の共有化みたいなことなのです。本当にこれは医療だけの問題ではなくて、例えば私が親とどれだけ普段よく接しているかというと、なかなか難しいです。だから、そういうことも含めて、ある意味では死の問題を自分の問題として、亡くなる方だけではなくて、家族も含めてきちんと意識するようにしましょうというような、ある意味では国民運動をやらなければいけないような話だと思います。
最後は、検討会でもお願いしたのですが、既に事務局のほうでは診療報酬の改定だとか様々な政策手段を使って、人生の最終段階の医療とか介護の充実に向けていろいろなことをやられるような努力が見られているので、教育啓発みたいなことも既に始められていると思うのです。それは是非頑張ってやっていただきたいと思うと同時に、多分そういう政策誘導で効く部分と効かない部分がここ何年かすると分かってくると思います。それを正に恒常的に、何が効いて何が効かないのかというので、それに対応するためにどういうことが必要なのかというのを、是非今後も含めて検討していただければ有り難いと思います。
○永井部会長 相澤委員どうぞ。
○相澤委員 1つは、これを国民の中に本当に浸透させようと思えば、やはり繰り返しの行動で考える習慣を作り、そういう考える習慣がこういう文化を作っていくのだろうと思います。人間は、平穏無事なときに幾らこういうことを話しても全く左の耳から入って右の耳から抜けてしまうということがあります。何かが起こったときが一番大事なのです。一番こういうことを考えるきっかけになるのは入院するときです。国が真剣に考えるのだったら、国民1人に1枚ずつしっかり配る。こういう考え方で、こういうふうに思っていますというのを是非作っていただいて、それを入院のときにお示しするということをやったらどうかと思います。
もう1つは、例えば特別養護老人ホームなどに入る入所のときです。このときも、非常にいろいろなものが変わるので考えるきっかけになります。このときに、是非そういうものをしっかり皆さんにお渡しできるようにしたらいいかと思います。そのときに名前も考えてほしいのです。人生の最終段階における医療の決定プロセスなどというのを渡しても誰も読みません。ですから、もっと良い名前を考えてください。私が言うことは、本当に国民にしっかり知ってほしいと思うのだったら、それなりの努力をしないと何の意味もないということです。そのためには、お金と時間を掛けることが絶対に大事なので、これをやれということならば、私たち病院も頑張ってやりますので、そういう国民全体の運動に広げてほしいと思っています。
○永井部会長 猪口委員どうぞ。
○猪口委員 私も、現場で特別養護老人ホーム等々を見ています。我々医師とか、そこの看護師、ケアの人間がきちっと状態を説明することによって、多くの国民は、あえて終末期と言いますけれども、そこの状態を理解をして、無理な延命はしないということを、我々医療人よりも国民のほうが実は理解しているというように受け止めています。
もう1つは、人生の最終段階ですけれども、もともとは終末期と呼ばれていて、このほうがはるかに分かりやすい名前だと思います。幾つか他にもガイドラインがあるわけですが、終末期という名前を使ってはいけなくなったのか、あくまでこれも人生の最終段階でいきなさいということなのか、ここを1つ確かめたいということです。
それから、もっともっと広めるためにはこのACP(アドバンス・ケア・プランニング)というのは国民には分からないです。ですから、ここは本当に分かりやすい説明を作らないと意味がないのではないかと感じております。
1つ質問させていただきたいのは、果たして救急の現場等で医療を行ってしまって、それで本人の意思が確認できて、この治療はもうしないほうがいいなという決定ができたときに、その治療の中止をガイドラインに従ってやった場合に、法的責任があるのかないのか、ここを教えてください。
○永井部会長 今の点、事務局はいかがですか。まず名前ですね。
○医師確保等地域医療対策室長 終末期のほうが分かりやすいと。確かに短い言葉ですし、今までずっと使ってこられた言葉なので分かりやすいのだろうと、私も個人的には思います。これは平成27年だったと思いますけれども、このガイドラインの名称を変更しております。終末期という名称を、人生の最終段階における医療という形に変えています。これはなぜ変わったかというのはいろいろあるのですけれども、当時の議論では、終末期と言うよりも最期まで尊厳を持って生きていただくというイメージを持たせたかったと聞いております。死んでいくというところよりも、どちらかというと生きていくほうにフォーカスを当てた言葉として、人生の最終段階における医療というような形に変わったと聞いております。そのような考え方だと御理解いただければと思います。そうしたら、終末期という言葉は、放送禁止用語みたいになっているのかというと、お使いいただくのはあれですけれども、行政的には、今後は終末期という言葉よりも、人生の最終段階という言葉を使うことのほうが圧倒的に多くなっているというように御理解いただければと思います。
もう1つ頂いたお話として、法的なということがありました。ガイドラインは御承知のとおり、法律ではなくて、あくまで標準的なやり方で、こうあるべしというものを皆様にお示しするものです。法的な何かが阻却されるとか、そういう効能は持っておりません。ただ、これを行うことによって、結果として、家族等とのコミュニケーションが良くなって、法的な争いの場になるというようなことが少なくなるというような効能については指摘されているところです。あくまでもガイドラインだということを知っていただければと思っております。
○永井部会長 岩田委員と山崎委員で最後にしたいと思います。
○岩田委員 私が補足するようなことではないかもしれませんけれども、先ほどの法的な観点の話は、今事務局から説明があったとおりですけれども、検討会でも議論がありました。検討会の報告書、若しくは解説編の中に明確に書いてあるのは、このプロセスガイドラインができた後、刑事的な介入がなされるような事例は報道されていないので、そういう意味ではプロセスガイドラインに従えば、実質上法的な問題はクリアできるというのは、多分そこではコンセンサスだったと思います。別にそこのメンバーだけが考えているだけではなくて、多分多くの法律家がそのように考えていると思います。もちろん具体的な事例が出てきて、それがひどい事例だったときには何らかの形で介入される可能性は否定できませんけれども、普通にやっていれば、特に刑事的な介入のことを気にしながら医療の在り方を決めることは必要ないというのは、多くの法律家、それは学者だけではなくて、裁判官とか検察官も同じように考えていると思います。
2つ目は言葉の問題です。私たちもその議論をずっとしていて、何か良い言葉はないか、ACPに代わる言葉はないかというのはずっと議論していましたけれども、結局うまく出てきませんでした。だから、どなたかが、そういう良いキャッチーなワード、しかも分かりやすいワードを作ってくださると、本当はすごく良いのですけれども、結局は無理なので、内容としてこういうものを入れましょうという話になったと思います。もともと終末期の話も、人工呼吸器を止めるかどうかという、最後の点だけを考えていたので、いやいやそこだけではないでしょうと。もっと前の段階から、それこそ緩和ケアも含めてもっと早い段階からやることが重要なので、それで人生の最終段階というので広げたのだと思うのです。だから言葉を変えることはいいと思いますが、考え方としては多分諸外国でも同じだろうと。
確かにおっしゃるように、何かキャッチーなワードを使わないと誰も理解できないということはみんな認識しているのですけれども、そのキャッチーなワードが出てこないので、むしろ先生方のほうから何か良い案を出していただくのがいいと思います。
ただ、個別の努力が始まっていて、例えば医師会などでは既にACPのパンフレットは素晴らしいものを作ってくれていますので、そういうものをこれからは是非使っていけば、国が何かパンフレットを出すだけではなくて、医療に関わっていたり、介護に関わっている先生方の力を使うほうがむしろ効率的なのかもしれないと思います。
○永井部会長 山崎委員どうぞ。
○山崎委員 終末期を考えるときに、病院では入院時に急変時の対応という事で、患者さんと家族の意思を聞いて書きます。問題は病気によって急変した場合と、高齢化して老衰の過程で来る終末期とは全然違うと思います。したがって、急変時における対応は、ある程度頭がしっかりしている年齢で自分の最期を考えられる年齢のところで、きちんと意思表示をさせるべきだと思っています。
そのように考えると、高齢者保険に変わるとき、あるいは介護保険を取得するときとかといった切り換えの時期に、国民に終末期の意思表示をさせる事が必要です。現場でやっていて、そういう急変の対応を、家族と患者さんから取っていても、急変対応したときに挿管するという話になると、長男と長女の意見が割れたりします。長男は挿管しないでいいと言うか、その患者さんを長く見てきた家族は、これでもう十分だと言う。全然面会にも来なかったような長女が、心臓が止まるまで挿管して、最期までセットでやってくれといった争いが起きます。報告書で、家族と十分に話し合うといいますが、救急現場で話し合っても喧嘩になります。患者さんが自分の権限を判断する人、キーパーソンをきちんと家族の中で決めておかなければいけないと思います。
○永井部会長 最後に邉見委員どうぞ。
○邉見委員 意見なのですけれども、私たちは老人会とか病院祭りというのをやっています。市民講座で日野原先生をお呼びして、死生観についてしゃべってほしいとお願いしました。「私は、生き方上手は知っているけれども、死ぬということは考えたことがない」と言われました。本当は「死に方上手という名前で講演してほしい」と私がお願いしたら、「そんなこと私はできん、生き方上手しかしない」と言われました。冗談でしょうけれども。私は、死に方上手のほうがいいのではないかという感じがします。
○永井部会長 ありがとうございました。まだ御意見があるかもしれませんけれども、また後ほどお寄せいただければと思います。最後にもう1題あります。無痛分娩の実態把握と安全管理体制の構築について、先日提言が公表されたということです。関連して事務局より説明をお願いします。
○救急・周産期医療等対策室長 救急・周産期医療等対策室長でございます。それでは、資料5と参考資料5に基づき、「無痛分娩の実態把握及び安全管理体制の構築について」、説明します。資料5の1ページです。まず、無痛分娩について説明します。無痛分娩については、陣痛の痛みを緩和するため背中から硬膜外腔に管を入れ麻酔薬を注入するという処置です。
こちらに関して、いわゆる妊婦の医学的な理由から、例えば、心臓が悪い、血圧が高いという理由からされる方と、医学的な必要性はないのですが、分娩の痛みを抑えたいという本人の御希望に基づいてされるものの大きく分けて2種類あるかと思います。○の2つ目ですが、日本全体の数値というわけではありませんが、例えば、東京大学の数字で言うと、患者本人が痛みを下げるために無痛分娩を選択される割合が90%程度、そして、医学的適応があり無痛分娩を選択される場合が7%弱という状況です。
1枚おめくりください。今回、無痛分娩に係る安全管理体制のための提言が取りまとめられた経緯です。昨年の4月に三重大学の池田先生が学会総会において、無痛分娩に関して適切に対応できる体制を整えるべきという提言をされました。また、2011~2017年までの無痛分娩を行った母児の死亡、障害の事案が7事案報道されたこともあります。また、昨年7、8月にこの2事案の遺族より、厚生労働大臣宛てに無痛分娩に関する分析と再発防止を求める要望書の提出がありました。
これら一連の流れを受け、厚生労働省として昨年7月に特別研究班を立ち上げました。こちらにおいては、産科医だけではなくて、麻酔科医、患者、医療安全、日本医師会、日本看護協会等、様々な立場の方に御参画いただき研究を実施していただきました。2ページの4ポツの提言公表の所にありますが、先月末、平成30年3月29日に提言が公表されたものです。
3ページです。「研究班による無痛分娩の実態把握の結果」です。まず、左側の棒グラフです。無痛分娩の実施率については、2008年に一度、調査結果が取りまとめられたものがあったのですが、その時点では2.6%でした。今回の特別研究班において、2014年、2015年、2016年の3か年について把握をしたもので言うと、2014年は4.6%、2015年は5.3%、2016年は6.1%ということで、徐々に無痛分娩を実施している率が上がってきているという状況です。右側の円グラフです。日本産婦人科医会が会員から報告を受けている、「妊産婦死亡症例検討評価委員会」で分析された妊産婦死亡の数字は2010~2016年のデータです。271例の妊産婦の分析のうち無痛分娩を実施していたのは14例で5.2%です。
4ページです。日本全体における無痛分娩の提供体制がどのような状況であるかについては、真ん中の棒グラフですが、病院、診療所ともに30%程度の施設が無痛分娩を提供していることが分かりました。また、右側の棒グラフですが、全分娩における無痛分娩の実施の割合については病院、診療所ともに5%程度であるということが把握されました。
日本国内はこのような状況ですが、世界と比べてどのようになっているのかということについては、5ページです。日本においては無痛分娩の実施が5.3%ということが把握できましたが、イギリス、アメリカ、フランスの実施状況については、それぞれ20%、40%、65%と日本よりも高い状況にあることが把握されました。
6ページです。日本産婦人科医会が把握した14例における死因分析です。14例の妊産婦死亡のうち麻酔が直接的に影響している局所麻酔薬中毒については1例で、その他、羊水塞栓症が10例、子宮破裂が1例、産道裂傷が1例、感染症が1例で、無痛分娩でなくても起こり得るものが13例となっております。
7ページです。「研究班による無痛分娩の実態把握の結果(有害事象)」についてです。まず、上の囲みが全分娩施設の産科麻酔中の有害事象についての評価です。これらを見ると、まれですが重篤な麻酔合併症、脊髄くも膜下麻酔が13施設、局所麻酔薬中毒が13施設で経験されたということが把握されました。
また、下の四角囲みですが、無痛分娩の麻酔による有害事象として局所麻酔薬中毒が2例、脊髄くも膜下麻酔薬投与が1例ということで、こちらもまれですが、重篤な麻酔合併症が把握されているところです。また、一番下の所ですが、無痛分娩を行っていた報道事例が7例あり、そのうち4例が脊髄くも膜下麻酔であったということも把握されました。
8、9ページは、参考資料5にある提言の内容を取りまとめたものです。まず、大項目として、診療体制、スタッフの研修体制、情報公開の促進、有害事象の収集・分析・共有、ワーキンググループの設置です。真ん中の提言の概要ですが、診療体制については無痛分娩取扱施設に対して、スタッフの研修体制については関係学会・団体に対して、情報公開の促進に関しては無痛分娩取扱施設、関係学会・団体に対して、有害事象の収集・分析・共有については無痛分娩取扱施設、日本産婦人科医会、厚生労働省に対して、ワーキンググループの設置に関しては関係学会・団体に対して提言されたもので、その概要を記載しております。
例えば、診療体制については、無痛分娩取扱施設において無痛分娩を熟知した専門職の配置ということで、産婦人科専門医、麻酔科専門医、麻酔科標榜医のいずれかが実施するということ。また、それらの方には講習会を2年に1回程度受講していただき、産後3時間までは産婦に5分程度でアクセスできる範囲に待機すること等が求められているところです。さらに、人の要件だけではなく、機器や設備の整備についての要件、院内の組織としての安全管理体制として、危機対応シミュレーションを年に1回実施等ということが提言されております。
スタッフの研修体制については、関係学会・団体に対して無痛分娩に主眼を置いた産科麻酔の知識、技術に関する講習会の開催や研修プログラムの策定・実施等が提言されております。また、情報公開の促進に関しては、無痛分娩取扱施設に関して、それぞれの施設のウェブサイトで無痛分娩に関する診療実績、診療体制、担当する医師の研修歴・講習会受講歴等を公開することが求められているとともに、関係学会・団体において、無痛分娩取扱施設のリストを作成しウェブサイトで公開するということが提言されております。
また、有害事象の収集・分析・共有に関しては、無痛分娩取扱施設に対して有害事象が発生した場合、各都道府県の産婦人科医会に報告すること、日本産婦人科医会においては、他の関係学会・団体と連携し情報収集、分析、再発防止の検討を行い、必要な情報を会員施設等に提供することが求められております。
また、厚生労働省については、無痛分娩の合併症のような発生頻度の低い有害事象を収集・分析する方法、そして、患者等から届けられた有害事象情報を活用する仕組みの在り方について検討するように提言されたところです。また、ワーキンググループの設置に関しては、関係学会・団体に対して、ここに記してあるような内容についてワーキンググループで検討することが求められております。
8ページに戻ります。一番右側の列の国としての対応方針です。診療体制について、先ほど申し上げた提言に対する対応方針としては、提言された診療体制の確保に努めるよう、各都道府県、関係学会・団体へ通知するとともに、医療法第25条の立入検査の際に、その体制確保の状況を確認するということを考えております。スタッフの研修体制について、既存の予算事業のメニューに産科麻酔研修を加えるということを通じて、講習会の開催を支援することを考えております。
また、情報公開の促進に関して、無痛分娩取扱施設、関係学会・団体が公表している情報を参考にする旨、周知する。また、母子健康手帳の様式について更に書き込む等の取組を考えております。有害事象の収集・分析・共有についても、現在、各都道府県に設置されている「周産期医療協議会」で、母体の死亡事例について再発防止に向けた協議をお願いする。そして、各都道府県、保健所に設置されている医療安全支援センターにおいては、相談者の了解が前提ですが、得られた情報について地域の医師会・産婦人科医会と連携して再発防止体制を構築することをお願いしたいと考えております。国と産婦人科医会が有害事象に関する分析等を行っておりますので、その結果については、双方で共有できる体制を考えております。
また、ワーキンググループの設置について、厚生労働省としてオブザーバー参加することをお願いするところです。これら一連の取組を通じて厚生労働省として、提言の内容が適切に取り組まれているのかについて確認し、必要な場合には適切な対応を引き続き図っていきたいと考えております。以上です。
○永井部会長 御質問いかがでしょうか。
○加納委員 5ページの諸外国の状況を見ると、アメリカやフランスは無痛分娩の比率が非常に高いです。これらを考えると、少子化対策の中で、女性の出産時の分娩の痛みというのは本当に聞きしに勝る、体験したことがないので分かりませんが、大変なことだと思います。無痛分娩の出産の安全ということが普及すればいいのか、今、そういう方向性で検討していると理解してよろしいのでしょうか。
○救急・周産期医療等対策室長 今、少子化対策に資するという御意見を賜りました。厚生労働省としては、これについて普及というよりは、まず、各施設で安全な実施体制をきちんと取っていただくという趣旨で、今回の提言を受けて取組を進めるものです。
○菊池委員 資料5の8、9ページに研究班の提言を踏まえた対応が報告されており、是非、進めていただきたいと考えています。そして、この提言の基になった参考資料5には、安全な無痛分娩を提供するために必要な診療体制が提言されています。いずれも重要な内容と考えますので、関連して2点意見を申し上げます。
まず、無痛分娩についてのインフォームドコンセントの記載があり、重要なことと考えています。一方、それ以前の意思決定支援をもっと充実する必要があると考えています。先ほどの御説明では、無痛分娩は医学的適応より本人希望が多いと説明されています。妊婦が無痛分娩を含む出産方法を選択するに当たって、専門職がリスクも含めて情報提供し相談対応を十分に行うことは、更に重要になると思います。本会としては、その点を含めて現場への情報提供を充実していきたいと考えています。
また、無痛分娩については、痛みがないという点ばかりが強調されて正しい知識が普及していない印象があります。これから出産する人に誤解を与えず安全なお産をするためにも、「無痛分娩」ではなく「麻酔分娩」とするなど、名称も検討する必要があるのではないかと考えます。
2点目は、参考資料の10ページに提言されている無痛分娩研修修了助産師・看護師の活用についてです。提言にあるように無痛分娩の安全な人員体制として、無痛分娩麻酔管理者の配置や麻酔担当医を明確化することが不可欠なことに加えて、医師と連携して産婦と家族をケアする助産師・看護師の質も確保する必要があります。
現在、無痛分娩に関して系統的な教育研修プログラムはありませんので、無痛分娩で出産する妊婦の安全を守るためには、教育研修プログラムの充実を図る必要があります。本会としても、系統的な教育研修プログラムの検討や実施、受講促進に協力したいと考えています。無痛分娩を促進したいという観点というよりも、安全な出産に協力したいという観点で意見を申し上げております。以上です。
○井上委員 先ほど、委員から御指摘がありましたが、フランスは少子化を克服した珍しい先進国です。子育て支援とともに無痛分娩は1つの要因ではないかという指摘もあるところで、今回、当然、安全ということが大前提ということで結構だと思います。少子化対策は国を挙げて取り組むべき課題なので、是非、安全を確保した上で、安心できる選択肢の1つとなるように、今後、取り組んでいただきたいと思います。
私の娘はフランスで生まれ、妻は無痛分娩で非常に順調であったということですので、よろしくお願いいたします。
○平川委員 8ページの提言を踏まえた対応の所で、対応方針において、体制の確保に努めるよう通知をするということと、立入検査は保健所の立入検査だと思いますが、このとき診療体制の確保の状況を確認するという形になっています。先ほど、安全な対応を取ってもらうということで、無痛分娩取扱施設についてはそういう方向でやっていただくと言っていましたが、通知の強制力や保健所が診療体制の確保の状況を確認するだけで、無痛分娩取扱施設で安全な体制や対応が取れるのか、取ろうとしているのか、その強制力などについてお聞きしたいと思います。
○救急・周産期医療等対策室長 ありがとうございます。今回、8ページにあるように各都道府県、関係学会・団体へ通知するというところです。既に皆様案内のとおりかと思いますが、あくまで今回のものは通知レベルなので、強制力という観点で言うと、それで医療機関を罰するということにつながることはありません。しかしながら、多くは基本的に法令で罰則規定があるというものではないと思いますので、一般的な指導のやり方としては、無痛分娩の今回の対応が取り立てて緩いというわけではないと思います。
先ほど、提言に記されている内容を具体的に説明しましたが、産後3時間までは産婦の所に5分程度でアクセスできる範囲に待機とか、比較的厳しい内容になっていると思いますので、こういうものが実質的に担保されるよう、保健所等の立入検査の際に助言していくという形になっているとともに、今回、もう1つの大きな目玉としては、やはり、情報公開の促進ということで、各施設の体制が情報公開されるので、先ほど、その辺りについてほかの委員からコメントがありましたが、無痛分娩を選択したい妊婦がしっかり選択できるよう、選択肢として提示できるように情報公開と併せて、表現としてあれかもしれませんが、賢くというか適切な医療機関が選択されるような形で安全を担保していきたいと考えております。
○阿真委員 この研究班に最初から関わってきましたが、日本の現状を考えて、まず、最低限これだけは守るというものを作り、これをきちんとやっているのかということを見ていくということだと思っております。
お願いしたいのは、厚労省に対してではなくメディアや病院の方々に対して、厚労省のウェブサイトで周知したり、母子手帳に記載があっても、母子手帳をもらうときには医療機関を決めてしまっていることもあるので、こういうサイトがあるということ、それから、病院を選択する前にこういう所に情報が載っているということを、広く一般の方に周知されるようにメディア等で公表してくださるといいと思っております。以上です。
○永井部会長 ありがとうございました。まだ御意見がおありかと思いますが、後ほど、お寄せいただければと思います。それでは、事務局は本日の議論を踏まえて対応をお願いします。最後に、事務局から連絡事項等をお願いします。
○保健医療技術調整官 次回の医療部会の日程については、詳細が決まり次第、改めて連絡いたします。
○永井部会長 第61回社会保障審議会医療部会を終了いたします。長時間にわたり、どうもありがとうございました。
 

 

 

(了)

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