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2018年2月28日 第60回医療部会

医政局総務課

○日時

平成30年2月28日(水)10:00~12:00


○場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)


○議事

○医療政策企画官 それでは、ただいまより第60回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。

 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席いただきまして、まことにありがとうございます。

 医療部会の総委員数が24名、定足数は3分の1の8名となっております。

 本日は、荒井委員、阿真委員、岩田委員、遠藤委員より御欠席との御連絡をいただいております。

20名の委員の皆様が御出席ということですので、定足数に達しておりますことをまず御報告申し上げます。

 次に、議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。

 お手元に、議事次第、座席表、委員名簿のほか、資料1、2、3、参考資料1-1、1-2、2-1、2-2をお配りしております。不足がございましたらお知らせ願います。

 それでは、以降の進行を永井部会長にお願いしたいと思います。部会長、よろしくお願いいたします。

○永井部会長 ありがとうございます。

 それでは、議題に入ります。

 本日は、事務局の都合によりまして議題の順番が変わっております。議題の2番目、3番目、1番目という順に進めさせていただきます。

 最初に「医師の働き方改革に関する検討会における議論について」、事務局から御説明をお願いいたします。

○医師・看護師等働き方改革推進官 それでは、資料2をごらんください。「『医師の働き方改革に関する検討会』中間論点整理等について」でございます。

 「医師の働き方改革に関する検討会」につきましては、働き方改革実行計画に基づきまして、昨年の8月から7回にわたりましてこれまで検討を続けてきたところでございます。これまでの意見を取りまとめる形で、今回「中間論点整理」、それから「緊急的な取組」を取りまとめましたので、それにつきまして御報告を申し上げます。

 ページ番号2でございます。まず、頭に「中間論点整理」と「緊急的な取組」の位置づけについて書いております。

 まず「中間論点整理」につきましては、これまでの議論におけます主な意見につきまして、これを列挙する形で取りまとめるものでございます。これにつきましては、最終的には30年度末、31年3月末をめどに最終報告を取りまとめるというスケジュールで引き続き検討を進めていくこととしております。

 また「緊急的な取組」につきましては、医師の勤務実態の改善のため、個々の医療機関がすぐに取り組むべき事項を具体的な項目を挙げてお示しして、取り組みを促していくものという位置づけでございます。

 まず「中間論点整理」につきまして、その概要について御説明を申し上げます。

 なぜ今、医師の働き改革が必要なのかということで、趣旨のところでございますけれども、医師につきましては、現在もぬきんでて長時間労働の実態にある、それから、そうした長時間労働の実態にさらに拍車がかかっているという状況にございます。右のほうにいきまして、医師につきましても、一人の人間であるということで、健康の確保、医療の質や安全確保の観点から、長時間労働について是正していく必要があるという認識が示されております。また、その改革を進めるに当たっては、患者の側も含めました国民的なかかわりによって進めていく必要がある、また、我が国の医療提供体制を損なわない改革を進める必要がある、そのような基本的な認識によってこの改革を進めていく必要があると書かれております。

 続きまして「医師の勤務実態の分析状況と今後の検討に関する論点」のところでございます。医師の勤務実態につきましては、厚生労働省等の各種データ、それから、実際の勤務医等の方からのヒアリングを行いまして、分析、検討を行ってきております。勤務実態の分析の状況でございますが、長時間労働の実態にあるのは、病院の勤務医ですとか若手、それから、診療科でいうと産婦人科、外科、救急科、研修医といったところが、患者の多さ、また、医師以外の職種への業務の移管が進んでいない。こうした現場の勤務環境が長時間の勤務実態の背景にあるのではないかという御議論がありました。

 それから「今後の検討に関する論点に係る意見」につきましては、勤務実態につきましては追加の調査の実施も含めて引き続き明らかにするデータ分析が必要ではないかという御意見。それから、応召義務について、社会情勢が変化する中でどう考えるかですとか、自己研さん。医師にとっては自己研さんが重要でございますけれども、それについて労働時間に該当するかどうかについて共通認識がないということで、その該当性の考え方が必要ではないかといった御意見。それから、現行の宿日直基準について、今の医療現場に合っていないのではないかということで、その見直しが必要ではないか。そのような御意見が出ております。

 3ページにまいりまして、勤務環境改善に関する取り組みについてでございます。勤務環境改善につきましては改革を進めるためには重要であるという多くの意見をいただいておりまして、それを具体的にどのように進めていくかという御議論が中心でございました。

 「今後の方向性に関する論点に係る意見」のところでございますけれども、産業医による面接指導等、既存の健康管理措置の着実な実施を進めるべきではないかといった御意見ですとか、業務の移管に関しまして、医師の行うべき業務とそうでない業務の明確化を図るべきではないかといったことですとか、医師、医師事務作業補助者、看護師といった職種への業務の移管を推進していく必要があるのではないかといった御意見。それから、複数主治医制への移行等、業務の共同化を図っていく必要があるのではないのかといった御意見ですとか、女性医師、それから、性別を問わず育児・介護を行う医師といった方への両立支援策が重要ではないかといった御意見。それから、ICTの活用や医療勤務環境改善支援センターといったところへの支援をきちんと推進していくべきではないかといった御意見が出ております。

 また、こうした取り組みにつきましては、個々の医療機関の取り組みだけではなく、地域の医療体制全体で検討する必要があるのではないかという御意見もいただいております。

 下の右のほうの四角にまいりまして、経営管理の観点ということで、病院の管理者の方を中心とした意識改革が必要ではないのかといった御意見ですとか、財政面での支援の必要性、関係者の役割に関する御意見もいただいております。

 それから、この検討会の重要な論点でございます時間外労働の規制のあり方につきましては、その上限の時間については、脳・心臓疾患の労災認定基準を超えない水準とすべき、また一方で、医療提供体制をきちんと維持できる水準とすべきといった御意見、それから、諸外国を参考とすべきといった御意見がございました。

 こうした検討にあわせて、医師の特殊性に係る整理等が必要ではないのかといった御指摘もいただいております。

 こうした内容につきまして取りまとめましたものが「中間論点整理」になります。

 4ページにまいりまして、緊急的な取り組みについての概要でございます。この緊急的な取り組みにつきましては、今後の改革を進めるに当たりまして、できるところから自主的な取り組みを進めることが重要であるといった観点からまとめたものでございます。また、それにつきまして、厚労省等がその主体的な取り組みをきちんと支援していくこと、また、その取り組みを進めるに当たって、国民の理解を適切に求める枠組みを早急に検討することといったことが前提として書かれております。

 各項目につきまして6つの項目が挙げられております。

 1つ目が労働時間の管理の適正化に向けた取り組みで、まずは、実態の把握をきちんとすべきであるということで、在院時間についての客観的な把握を行うこと。

 2つ目といたしまして、36協定等の自己点検ということで、時間外労働を行わせる場合に必要な36協定につきまして、その36協定の定めがなく時間労働をさせていないか、また、その定めを超えてさせていないかといったことを自己点検すること。

 それから、先ほども出ました産業保険の仕組みについてきちんと活用して対応策を個別に議論するといったことを挙げております。

 それから、タスクシフティング(業務の移管)につきまして、点滴等に係る業務、こうした業務を具体的に挙げまして、医療安全に留意しつつ、原則、医師以外の職種によって分担して実施するといったことを具体的に求めている部分でございます。

 また、女性医師等の支援ということで、柔軟な働き方を推進するきめ細かな支援を行うといったことを挙げております。

 今の1から5につきましては、全ての医療機関において取り組むことを基本としておりますけれども、6の項目につきましては、各医療機関の状況に応じて、勤務時間外に緊急でない患者の病状説明を行わないことですとか、勤務間のインターバルの設定、こうしたものにつきましては各医療機関の状況に応じて積極的な検討・導入に努めることにしております。

 また、そうした取り組みにつきまして、厚生労働省等による支援を行っていくこととしております。これにつきましては、おおむね1年をめどに取り組んでいただくよう、厚生労働省としましても、都道府県、関係団体と協力しながら周知をして取り組みを促していきたいと考えております。

 この検討会につきましては、先ほど申し上げたように、31年3月をめどに最終的に取りまとめられるように引き続き検討を行っていくこととしております。本日も、委員の皆様方から御意見を賜りまして今後の検討に生かしていきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

 説明は以上でございます。

○永井部会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明に質問あるいは御意見をいただきたいと思います。

 山口委員、どうぞ。

○山口委員 山口でございます。

 この「緊急的な取組」というところで、患者の立場としても、当直明けの寝ていないドクターに診察や手術を受けるということは、やはり危険性も伴いますので、緊急的に対応が必要なことは早急に取り組んでいただきたいと思います。

 それから「中間的論点」については各点個々に意見はあるのですけれども、きょうは御報告ということなので、1つだけお願いしたいことがございます。2ページの「中間的論点」の最初の「なぜ今医師の働き方改革が必要なのか」の最後に「患者側等も含めた国民的関わりによって我が国の医療提供体制を損なわない改革を進める必要」と書いてあるわけですけれども、では、患者や国民がどうかかわれば、この問題に患者も寄与できるのかということが具体的にはわからないのが一般的だと思います。

 私は、例えば一人主治医制ではなくチーム主治医制ということをそろそろ患者も認めていく必要があると思っています。例えば、家族として説明を受けるときに、夜しか時間があいていないとか、土日に時間をつくってくれというようなことも今後は見直して、家族が病気だから説明を受けるためにここだけ時間をくださいとみんなが言えるように社会を変えていかないといけないのではないかと思っています。今後の取り組み、話し合いの中でそういう国民への具体的なメッセージを入れていただくことをお願いしたいということを一言だけ申し上げたいと思いました。

○永井部会長 ありがとうございます。

 木戸委員。

○木戸委員 今回、このような緊急的な取り組みがこの時点で出されたことは非常に評価したいと思います。私から2点ほどコメントさせていただきます。

 まず、4番目のタスクシフトのところです。さきの10万人調査で他業種に分担可能な業務というのは1日当たりわずか47分でした。2ページの右下にあるように、時間外労働の主な理由は、上位として「緊急対応」と「手術や外来対応等の延長」です。当直もそうですけれども、医師の仕事のメーンのところはやはり医師でしかできません。やはり優先すべきなのはタスクシェアの推進です。今回はこれに関して項目がないのです。6番目のところにおまけのように少し書いてありますが、今後はむしろこちらを優先して

取り組んでいただきたいと思っています。

 それから、5番目の女性医師のところです。これは内容が非常に曖昧でわかりにくいこととなっています。短時間勤務の推進というと、女性はパートでそこそこ働いてもらえばいいと誤解されてしまいます。しかし、もともとこの政府の働き方改革というのは、長時間労働を是正することによって仕事と家庭の調和を図ることを目指しているはずです。ですから、長時間働けない人をパートなどの非正規にすることは、女性のキャリアの形成にはかえって逆効果になります。そうではなくて、短時間・正規雇用の推進が重要ですので、それがはっきりわかるようにしてほしいと思います。

 このように、今回「緊急的な取組」が出されていますけれども、この実施状況について出して終わりではなくて、きちんと数値目標を持って調査をしていただきたいと要望いたします。

 以上です。

○永井部会長 ほかに。

 山崎委員。

○山崎委員 この「中間論点整理」で一番抜けているのは、勤務医をどうやって病院現場にふやすかということが全く書いていないことです。長時間労働というのは、勤務医の数が少ないから結果として長時間労働になってしまうわけで、勤務医をどうやってふやすかを考える必要があります。勤務医がふえれば、その分だけ労働時間は平均化して少なくなるわけではないですか。自由開業制、自由標榜制という現状のなかで、診療所のドクターと勤務医とのアンバランスのところを是正するということが全く書いていないのがおかしいと思います。

 もう一つは、2ページに「週当たり勤務時間60時間以上の病院常勤医師の診療科別割合」というのがあります。当然、産婦人科、救急、臨床研修医の残業時間が多いというのはわかるのですが、これらに勤務しているドクターの特性が全然書かれていません。救急救命センターを持っている病院ではこうですよ、国公立病院ではこうですよ、民間の救急を主としている病院はこうで、民間の慢性期の病院はこうですよと、科別の残業時間、そういう病院特性の分類を書いていただかないと全くわからないと思います。

○永井部会長 ありがとうございます。

 では、加納委員、それから猪口委員。

○加納委員 資料でいきますと、2ページの真ん中の「中間論点整理の概要」の最後に「患者側等も含めた国民的関わりによって我が国の医療提供体制を損なわない改革を進める必要」ということで大事なことが書かれているかと思いますが、医療提供体制で前から問題になっている僻地の問題は、これはこれでしっかりと対応していかなければいけないかなというのがこの働き方に関する1つのポイントだと思うのです。

 もう一つは、これから増加する高齢者ですが、前から厚労省から出ているデータによりますと、いわゆる大都市圏を含む9つほどの都道府県で65歳以上の高齢者人口の増加の6割を占めているわけです。その大都市圏では、愛知県以外は、先ほど山崎委員がおっしゃったように、メインに民間医療機関が実は救急を支えておりまして、全国の救急搬送受け入れ数でも半分以上は民間が受け入れております。そこにおいて、先ほどの勤務医の数の問題とか、そういう議論の中で、急激な変革を求められる制度になってしまえば、一瞬で現場が崩壊してしまう可能性があることもしっかりと認識していただいて、僻地の問題とこれから急速に高齢者が増加する大都市圏の救急体制が、働き方の結論によっては非常に大きな問題を起こすのではないか、ということを懸念しておりますので、ぜひともそこを考えていただきたいと思っております。

○永井部会長 猪口委員。

○猪口委員 今、僻地の問題が出ましたが、現場でいいますと、救急、産科、それから僻地というのは24時間体制の応需を必要としています。片一方では、今、こういうことが議論されながら、労働基準監督署が多くの病院に指導に入っています。特に急性期、救急の病院の指導が多いように見えますので、指導された暁にはそこは明らかにパフォーマンスが落ちてしまいます。今、こういうことの議論の最中でこういうことをされると、医療の現場が非常に荒廃してしまいますので、明らかな結論が出るまでは現状での指導を少しは抑制していただきたいと思います。

 それから、この問題を、働き方だけを論ずるのではなくて、片一方で、別の委員会であります医師の需要の問題、偏在の問題、さらに専門医の問題、この辺はこの医師の働き方と大きく関与する問題ですので、その働き方だけを進めるのではなくて、関係するところ全てを網羅する形で大きい議論に持っていく必要があると思っております。

 以上です。

○永井部会長 楠岡委員、どうぞ。

○楠岡委員 研修研さんをどう取り扱うかについてもこの中に入っておりますけれども、この点に関して十分検討していただきたいと思っております。

 といいますのは、かつてアメリカで外科のレジデントが非常に長時間勤務であるがためにいろいろな問題が生じまして勤務時間を制限したところ、10年後に若手の外科医の技量が極めて劣化している、落ちているという事実が調査の結果出てきまして、それに伴って制限時間を少し緩和するということが起こりました。研修研さんの部分と日常業務的な部分とをなかなか明確に区別できない。特に若い医師にとってはまさにオン・ザ・ジョブ・トレーニングで区別ができないわけです。そのあたり何らかの柔軟性を考えていただかないと、現状の問題はとにかく解決しなければならないのですけれども、10年後、20年後の日本の医師のレベルがそれこそどうなるかという問題も出てまいりますので、この点に関しても考えた検討をぜひお願いしたいと思います。

○永井部会長 牧野委員、どうぞ。

○牧野委員 2ページの「今後の検討に関する論点に係る意見」のところに「追加調査」ということも書いてございますので、そこでお願いしたいのが、病院の口腔外科などに勤めている歯科医師も調査の対象にしていただきたいのです。昨年の夏に「医師の働き方」の中で、歯科医師は応召義務もあり、当直する人間もいる研修もあるのだからということを申し上げたけれども、21年という古い調査で、歯科医師の勤務時間が短いので対象外だと言われたのです。一般診療所でやっている歯科医師と病院の口腔外科などで働いている歯科医師というのは全く違う勤務形態ですから、そのあたりも調査をして、その分析をした上で歯科医師を省くというのであれば、それはまあ納得もしますが、初めから外されているというのはちょっと納得できないので、追加調査をお願いしたいと思います。

○永井部会長 相澤委員、どうぞ。

○相澤委員 そもそも論ですが、医師の労働時間短縮というのは目的なのでしょうか、手段なのでしょうか。私はいまいちよくわからないのです。今、起こっている問題の本質は何かをきちんと捉えないと本当の解決はできないと思うのです。今、起こっている問題は、医師の健康の確保、そして医療の質や安全の確保の観点から、医師の働き方をどうするのかということが論点であって、そのときに、まずやらなければいけないのは、各病院がこの医師はちょっと過剰労働ではないか、この医師は、今、頑張っていて、これだったらもう少しできるという、自由な判断をそこにしないと、病院は経営・運営できないわけです。どういう目的でこれをやっているかをしっかりとやらないと、今、単に時間だけ減らせ減らせというところにどんどん動いていて、私は非常に危険な感じがするのです。

 我々は、国民に医療を提供して、国民が本当にきちんとした質の高い医療を受けられるようにするわけで、その中には、個々の病院だけではだめな問題、あるいは個々の医師だけではだめな問題、もう少し全体の医療をどう提供していくのか、地域でのタスクシェアというのが全然出ていないのです。そういうことをやっていくことも含めてどうするのだという、もっと基本的なものを考えなければいけないので、お願いなのですけれども、余り拙速に労働時間だけ何とか短縮すれば事が済むという単純発想はぜひやめていただきたいと思います。

 もう一点は、医療そのものを我々医師が提供するのと、医療そのものではなくて、サービスの一環として提供する時間というのはしっかりと分けたほうがよくて、ここに書いてある「勤務時間外に緊急でない患者の病状説明」。要するに、家族がどうしても来られないから夜説明してねと言ったら、夜行って説明するというのは、医師のプロとしての判断であって、この家族は、今、絶対に説明しなければいけないと思ったら、緊急でなくても行って説明しなければいけないのですよ。これだと、おまえら、やるなと。我々医師は、小学生ではないのです。私はこんなことまで指示されたくない。医療周辺のサービスは、プロとして必要だったらやるのであって、過剰なことをやめなさいというならわかるけれども、「やらないこと」、こんなことまで我々医師は指示されたくないです。医師をばかにするなと私は言いたい。

 以上です。

○永井部会長 中川委員、どうぞ。

○中川委員 相澤先生の御意見にほぼ全面的に賛成です。珍しいのですけれども。

 きょう出された紙を全体的に見ていると、医師は被害者だという論調で一貫しているではないですか。今、全国の若手からそれなりの年になったベテランの医師の中でも、長い時間働いていても、生き生きとして、生きがいを持って充実した日々を送っている先生方が山ほどいるのです。その先生方のことを全く考えていないような論調です。医師はみんな本当に大変なのだと。ぬきんでた長時間労働をして大変な被害者なのだという論調で、これは方向性自体を見直さなければならないと思います。

 皆さん、どうですか。

○永井部会長 加納委員。

○加納委員 相澤先生がお話しなさったので。

 例えばオリンピック選手でも8時間の練習が大事な労働時間とすると、8時間で制限されている方などはいらっしゃらないと思うのです。やはり技量を上げるためには、起きている間は全てそういった訓練、トレーニングをしているのではないでしょうか。観点が少し違うかもしれませんけれども、医師に関しては、先ほど中川先生も相澤先生もおっしゃったところがあるのではないかということを認識してもらわないといけないかなと思うのです。

 今、特定健診以外にストレス度チェックというのをなさっているわけですけれども、ある病院で、時間とストレスを調べてみたところ、医師に関しては、不思議とそのストレス度と労働時間とが全然相関しないというデータが出てきているのです。そういったところを見ても、先ほどの議論の中にいろいろ出てきている医師の特異性というものをやはり認識してもらわなければいけないのではないかと思います。

○永井部会長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 今の中川委員の御意見に、私、ちょっと意を強くして意見を述べたいと思うのです。

 私は医師ではありませんけれども、役員なので労基の対象にならないということで結構長時間仕事をしていますが、決して疲れているわけではありません。今、全て同じ方向に持っていかなければいけないという風潮に非常に危険なものを感じます。皆が同じ方向を向くのではなく、自分はどんな働き方をしたいかということを一人一人がしっかりと選べるような仕組みが必要なのであって、時間をかけて研さんを積んで、自分はもっともっと実力をつけたいのだという人までできなくなることはよくないのではないかと思います。

 こんな場で言っていいかどうかわかりませんけれども、かつて医療不信が非常に高まったときに、医療のことを余りわかっていない警察がずかずか医療現場に入っていったときの違和感と同じような空気を今の労基に感じていまして、患者の立場から見ていても、医療のことをちゃんとわかっている人が判断していただきたいなという思いもあります。医師の中でもいろいろな働き方をしたい人がいる。9時-5時でないと嫌という人もいれば、そうではない人もいるということ。働きたい人の権利も認めるようなことが大事だと私も思います。

○永井部会長 島崎委員。

○島崎委員 私は「医師の働き方改革に関する検討会」は議事録程度しか見ていないのですけれども、最初の頃は医療側の委員の方と法学出身の委員の方の間に結構溝があったように思うのです。そこが今どのくらい氷解しているかは、よく承知しておりませんが、それを前置きしておきます。

 そこで質問ですが、資料の3ページの左側の一番下のところに「医師に対する新たな労働時間制度の検討」という言葉が出てきます。この意味は、現行の労働法制の中で認められているもの以外の新たな類型を医師に着目して作ることの検討を模索するという意味なのですか。端的に言えば、医師の特殊性を強調するのか強調しないのか、そこのところはかなり溝があるとともに方向性が変わると思います。これについては、検討会でこういう指摘があったから、その検討項目として並べているということなのでしょうか。それとも、ある程度そういう可能性があるという含みがあるのでしょうか。

○永井部会長 お願いします。

○総務課長 総務課長でございます。

 今の島崎委員の御質問の件でございます。ポンチ絵の3ページの一番下の四角のところに「医師に対する新たな労働時間制度の検討」と書いているところでございますが、これは実際には、現場のほうで医療側の構成員の方から御提案があった話でございます。

 今回は、こちらのタイトルにありますように、中間的な論点整理ということで、いろいろな立場からの御意見を整理させていただいているということでございまして、こういった御意見があったということも御紹介させていただくという趣旨で書かせていただいております。

 御発言された方の御趣旨としては、今の労働法制の中で、例えば、ちょうど今、新聞でいろいろと話題になっておりますけれども、裁量労働制といった仕組みを医師について適用できるのかと考えたときに、実際には、医者の労働現場からすると、患者さんが来れば受けざるを得ない。本来、裁量労働制というのは自分で自分の労働時間を裁量できるというのが原則なのですが、今の労働法制の中にある裁量労働制というのは適用がなかなか難しいという状況もありまして、そういった中で、医者の働き方に即した新しい仕組みも考えてみたらどうだろうかという御提案として御発言があったと理解をしております。

○永井部会長 よろしいでしょうか。

 では、楠岡委員、それから平川委員。

○楠岡委員 今回の動きそのものに関して異を唱えるわけではありませんけれども、先ほど何人かの委員からお話がありましたように、医師の場合、自分自身の仕事に関してある程度誇りを持ってそれなりのことをやっていて、それで満足を得ているという状況の中で、実際に過労死の事例も医師の中にあるわけです。その場合、過労死の危険性のある方をどうやって見つけ出すか。いろいろな状況があって、個別の事例になりますので、時間をどう制限するかとか、あるいは業務をどう制限するかというだけではなくて、そういうリスクの高い方をどうやって見つけ出すかが重要です。医師というのは、ほかの医師の言うことをなかなか聞かないという特性がありますので、産業医面接とかいうような仕方ではなかなか難しいわけで、医師の特性を織り込んだ上で、リスクの高い方をどうやって見つけるかということを考えなければいけない。単に外形的な仕組みをつくっただけでは根本的な問題にはつながらないのではないかと思いますので、その点もぜひ御検討いただきたいと思います。

○永井部会長 平川委員。

○平川委員 最初に、この議論を前提として、この「医師の働き方改革に関する検討会」の中で話された内容としては、1つ確認したいのは、医師は労働者であるということについては「医師の働き方改革に関する検討会」の中でも確認されたと思うのですけれども、その辺どうだったのかをもう一回説明していただきたいと思います。

○総務課長 今、平川委員の御質問の件でございますけれども、そもそも医者が労働者なのかどうかというところについては、第1回検討会において、医療側と労働法制の有識者の方々、あるいは労働界の方々との間でかなり議論があったところでございます。ただ、労働者というものについては、一応事業所で使用されているという意味で、診療時間を決めて働いておられる勤務医の方についていえば、やはり労働者に当たるのではないかというのがこれまでの実例、判例の積み上げの中である程度確定してきているのではないかといったお話もありまして、一応、私どもとしては、それを出発点として1つ議論を進めさせていただいております。

 ただ、実際のその働き方をどう考えるかとか、労働時間に当たるかどうかというあたりについてはいろいろな御議論、まさにきょうこの場でもいろいろと頂戴しておりますけれども、そういった議論もあるところでございますので、引き続き検討課題としてそういった点についてよく整理をしていく必要があるかなと考えておるところでございます。

○永井部会長 どうぞ。

○平川委員 この「医師の働き方改革に関する検討会」は、医療界の参加のもとで議論がされているということだと思います。連合としましては、現状追認するために医師の労働時間を見直すということではなくて、長時間労働であるとか過重労働を前提としている今の医療提供体制がこのままでいいのかということも含めて、国民の理解も得ながら改善する方策をしっかりと検討していくべきではないかと思っているところであります。

 また、緊急的な取り組みも示されております。これは、現行法制下の中における取り組みでありますので、ある意味、しっかりと法令遵守をして進めていきましょうということだと思いますので、36協定の締結を含めてしっかり進めていくことが重要です。

 もう一つは、患者もしくは国民の立場からしても、先ほど言ったように、医師からの説明を可能な限り病院の勤務時間内に受ける、もしくはそれをしっかりと地域や企業でも認めていくという習慣や風潮が重要ではないかと思っています。いつでもどこでも医療が受けられる、24時間どこでも大丈夫なのだということではなくて、その辺の意識を変革していくことも重要なのではないかと思っています。

 以上です。

○永井部会長 それでは、釜萢委員、それから久喜委員。

○釜萢委員 私も決して若くはないので、相澤先生や中川先生の御発言に全く同じ思いを持っております。一方で、これから医師になる方々、あるいは医師になったばかりの方々の認識が果たして私どもと同じかというと、どうもそうではないなということも感じております。この議論を進める上においては、これから医師になる、あるいはこれから活躍していくという人たちがどのようなものを望んで、願っているかということについての視点を忘れてはいけないと思いますので、ちょっと発言をさせていただきました。

○久喜委員 皆さんの議論を聞いていて、私、画一的に医師の働き方改革をある程度定めた場合には、地方の病院というのは医師が非常に不足している現状で、画一的な条件のもとでの診療というのは恐らく大変厳しくなるだろうなと危惧しています。ですから、今、どなたかから出たように、いろいろな医師の要素があるわけで、ある程度自由度を持たせた形でのものをつくられることが必要です。それとともに、平成30年度末までに最終報告を決めるというのは、恐らくこれは大変短いと。もっと議論を重ねていろいろな方向でやられるべきだろうと思います。

 私、基本的には、研修したい、いい医者になりたいという医者がたくさんいると信じておりますし、そのような研修をしていく上において、こういうものに制限がかからないような、ある程度医者の技量と希望というのがあってのものを加味できればいいかなと思いますので、拙速な形で決められるのはよくないと思っております。

○永井部会長 ありがとうございます。

 猪口委員、どうぞ。

○猪口委員 今のお言葉、非常にうれしく思います。そのとおりで、これは、あと1年でまとまるというのはとても厳しいと思います。

 それでお願いなのですけれども、きのう、検討会の中間論点はもうプレスに発表されていますよね。その前に、こちらの医療部会でも少し御相談いただくとか。特に今後、先ほど言いましたように、需要の問題とか偏在の問題と大きく絡むことですので、ぜひ大所高所に立って物事をまとめていくということで、拙速なやり方はぜひ避けていただきたいと思っております。

○永井部会長 ありがとうございます。

 最後に、山崎委員、どうぞ。

○山崎委員 これから高齢化社会ということで、高齢の後期高齢者というのが非常に増えていくわけですが、そこの中で、認知症、がん、誤嚥性肺炎といった病気が増える事によって、医療現場の需要が非常にふえるわけですね。先日も仲間と話をしていて、重度の肺炎で、家族にどうしますかと言ったら、挿管して最後までやってくださいという家族の希望があったので、急遽、総合病院に依頼して、深夜とってもらったというのです。医療現場の中で、ACPをきちんと事前にとっておいて、終末期をどうするかというルールと、余り法外に、ほとんど助からないような患者さんに挿管をやって、そこでまた1カ月ぐらい延命をする仕方というのは、国民の人たちをある程度教育していかなければいけないと思っています。医者はいつでも診てくれるのだから運べばいいのだということでいたら、とてもではないけれども、新しいドクターが疲弊してしまうのは目に見えています。そういう事前の準備がもうちょっときちんとできないのかということと、

ACP についても、ここにきちんと書いてあるのをいただきたいと思います。

○永井部会長 ありがとうございます。

 いろいろな御意見、ありがとうございました。これはまだ今後も議論を続けたいと思いますので、事務局においては必要な対応をとっていただきたいと思います。

 次の議題にまいります。

 「成年被後見人等の欠格条項の見直しに関する法改正について」。説明をお願いいたします。

○医事課長 医事課長から御説明申し上げます。資料3をごらんください。

 1ページですけれども、「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案」となっている資料です。今回のこの法改正に関する基本的な考え方が1ページの上のところに出ておりますけれども、成年被後見人等の人権が尊重され、それが不当に差別されないように、成年被後見人等に係る欠格条項その他の権利の制限に係る措置の適正化等を図るというのが大きな目的でございます。

 こうした観点に立ちまして、改正の内容ですけれども、(1)にございますように、公務員等に関しても適正化を図っていく。

 士業等。ここは今回の会議と深く関連してくると思うのですけれども、医師法等ということで、欠格条項の削除を行って個別審査規定を整備していくということでございます。あわせまして、その後、心身の故障等により職務を行うことが難しい場合の登録の取り消しなどについても考えていくということでございます。

 (3)も関連しておりまして、法人役員等がございます。これは医療法(医療法人)が対象になりますけれども、こちらも考え方としては、上記と同じでございまして、個別審査規定を整備していくという考え方を示させていただいているところでございます。

 具体的にどういう点が変わってくるかというのを2ページ以降で御説明させていただきたい。見直しに至る経緯ということで、こうした考え方に至った法律が平成28年にできておりまして、その中で、必要な法制上の措置については施行後3年以内をということが書かれてございます。具体的には、その下にありますように、基本計画の中で「成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度について検討を加え、速やかに必要な見直しを行う」とされております。閣議決定も出されておりまして、関係法律の改正案を提出するとなっております。

 最後になりますが、3ページのところは今後の改正の内容になります。見直し対象の医政局所管法律は、医療法、医師法、歯科医師法、外国医師等特例法になります。この中で、例えば成年被後見人等について、医療法人の役員及び評議員への就任、それから医師・歯科医師免許の取得、臨床修練を見直すこととするという内容と、見直し後につきましても、心身の故障により業務を行うことができない者に該当するかを個別に判断するという内容になっております。

 医療法につきましては、3ページの中ほどにございますけれども、現行では、役員・評議員になることができないということでございますが、見直し後は、心身の故障のため職務を執行することができない者であるかどうか個別に判断をしていくという改正内容になっております。

 医師法等につきましても同様な考え方に基づきまして、現行、免許を与えないということになっておりますけれども、こうした点につきましても、見直し後、成年被後見人、被保佐人であるか否かを区別せず、心身の障害により業務を行うことができない者として個別に審査をして、免許の付与の可否を判断していくということでございます。

 こうした法律は、他省庁にもまたがっておることがたくさんございます。合計で180本の法改正をあわせて行うということで、その中の一部ということで、本日説明をさせていただきました。

 医療法については、交付の日から3月ということで施行日を考えてございまして、医師法等につきましては、交付の日から6月と考えているところでございます。よろしくお願いいたします。

○永井部会長 ありがとうございます。

 それでは、御質問、御意見、お願いいたします。

 猪口委員。

○猪口委員 ただ単に成年被後見人とか被保佐人ではない、個別に判断するということはよいことだと思うのですが、この個別に判断するというのは一体誰がどこでやるのでしょう。

○医事課長 個別に判断ですけれども、その対象となる方から診断書などを提出いただきまして、それを厚労省に送っていただいて、厚生労働省で判断をしていくことを、今、考えております。

 似たような仕組みで、例えば医師法の施行規則において、免許を取った後のことも含めてなのですけれども、現状、どういう状態で判断をしているかといいますと、視覚、聴覚、音声機能もしくは言語機能、精神の機能の障害により医師の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者については免許が与えられないという規定が既にございます。こうした1つの考え方に基づいて対応していくということを考えております。

○永井部会長 よろしいですか。

〇猪口委員 はい。

〇永井部会長 ほかに。

 島崎委員。

○島崎委員 具体的な運用の仕方ですけれども、例えばあるお医者さんが成年被後見人になったとします。そうすると、その段階で、成年後見制度の成年被後見人になったという事実は役所のほうに届け出るような形になるのですか。そして、それを受けて審査が始まるというイメージなのでしょうか。

○医事課長 御指摘のとおりでございまして、そのときに診断書等を添付していただく。本人は難しいかもしれませんけれども、家族の方からそれを提出していただくということ。先ほど紹介しました医師法の施行規則においても、免許を取った後、40年、50年たった今でも、本人ないしは家族の方から医師としての業務は続けることができないという申し出を受けるケースもございます。現状そうした進め方を想定しております。

○永井部会長 ほかに御意見いかがでしょうか。

 よろしいでしょうか。

 それでは、事務局におかれましては、ただいまの意見を踏まえて必要な対応をお願いいたします。

 最後に、議題の1番目に戻ります。「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」に関して、その議論の内容について事務局から説明をお願いいたします。

○総務課長 総務課長でございます。お手元の資料1によりまして御説明申し上げたいと思います。

 いわゆる広告規制ということにつきまして、今回、その考え方の整理を昨年の法改正を踏まえまして行ったということで、その関係を御説明させていただきたいと思っております。

 2ページをごらんいただきますと、昨年、国会で成立いたしました「医療法等の一部を改正する法律」の概要を載せておるところでございます。このときは幾つか改正事項がございましたけれども、この中の3にございますように、医療に関する広告規制について昨年の法改正の中で見直しが行われております。

 具体的には、次のページ以降でございますが、これにつきましては、公布の日が昨年6月14日でございましたので、それから起算して1年を超えない範囲で、政令で定める日から施行となっているものでございます。

 3ページのほうは、そもそもこういった法改正を行う経緯、きっかけのところを御説明した紙でございます。ごらんいただきますように、美容医療サービスに関して消費者トラブルの相談件数が非常に増加してきたということが背景としてございます。このため、平成27年7月に消費者委員会から建議をいただいております。具体的には、医療機関のホームページを医療法上の広告に含めて規制の対象とするということと、少なくとも医療法で禁止している虚偽広告とか誇大広告については医療機関のホームページについても禁止をするということを建議として厚労省に提出をいただいたところでございます。

 これを受けまして、私どもにおきましても「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」におきまして御議論いただいて、今回の法改正の骨格をつくったということでございます。

 従前、規制の中では、実は医療機関のウェブサイトにつきましては原則広告ではないという整理で対応してきたところでございます。これにつきまして、今回の医療法改正により、医療機関のウェブサイトにつきましても虚偽・誇大などの不適切な表示を禁止して、中止・是正命令とか罰則を課すことができるようにすることで対応することにいたしております。

 一方で、こういったウェブの情報というのは、患者さんにとってみますと、いろいろと知りたい情報を集める1つの有力なツールにもなります。そういった中で、ウェブを一律禁止すると必要な情報が得られなくなるといった懸念もございますので、広告可能事項の限定を一定の場合に解除できるということで法令上の整理をしているところでございます。

 4ページでございますが、今、申し上げたようなことを図示しているものでございます。従前は、医療法上の広告規制ということで、折り込み広告とかテレビCMとか看板といったような、明らかに見ている人が認知できるようなものについて、虚偽広告とか誇大広告を禁止したり、行政機関がそういったおそれがあるときに報告徴収をしたり、立ち入り検査をしたり、また違反が認められれば中止や是正命令をするといったような枠組みにしておりました。

 そのほか、ウェブサイトにつきましては、こういった規制の対象外ではございますが、ホームページガイドラインに基づいて行政指導を行うという形で対応していたところでございます。これの見直しを行いまして、法律上の広告という定義をする中にウェブも含まれるという形で整理をいたしております。その結果、虚偽広告の禁止といったことで直接罰がかかるような形になっておりますし、また、誇大広告などを禁止するといった基準も同じようにかかる。そしてまた、行政機関が行います報告徴収や立ち入り検査、あるいは中止・是正命令といったことも網がかかるという形で整理をしているところでございます。

 ただ、先ほど申し上げましたように、一定の必要な場合などもございますので、限定を解除するような枠組みをつくっているところでございます。

 詳細は、この後、御説明申し上げます。

 5ページでございますが、こちらが、今回、この中身を御検討いただいた「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」の概要紙でございます。構成員は、左の枠にございます先生方にお願いをしているところでございます。こちらのほうで改正医療法が成立いたしました後、具体的な広告規制の施行に向けた中身の議論を4回ほど進めさせていただいております。

 では、具体的にどういうことを議論しているのかでございます。6ページ目をごらんいただきますと、1つは、今回の法改正で医療法上の広告の範囲が拡大してきているということでございます。一方で、広告禁止事項として、従前は虚偽広告の禁止のみを法律上挙げておりましたけれども、従前、省令になっておりました誇大広告とか比較優良広告、公序良俗違反といったものも、今回の法改正により法律上位置づけられております。ただ、それ以外にも考えるべきものがあるのではないかということで、その他、省令(1)と書いておりますが、省令で定めるものについてもそれはしてはならないという整理になったということでございますので、具体的に省令(1)でどういうことを定めるのかというところが1つ議論が必要になっているところでございます。

 それから「広告可能事項の限定」ということで、従前、広告可能事項が限定列挙されております。一方で、先ほど申し上げましたように、患者さんがいろいろな情報を集める上で必要な情報もございます。「医療に関する適切な選択が阻害されるおそれが少ない場合」と法律上書いておりますけれども、それは具体的にどういう場合なのかということを省令(2)で定めることにしておりまして、具体的にはどういう中身でどういった場合に広告可能な事項が限定されないような形にするかということを議論いただく。

 そういった2点を御議論いただく形になっております。

 7ページは、当面のスケジュールでございます。これまで検討会で御議論いただきながら、昨年末から年明けにかけましてパブリックコメントを行っております。それを踏まえまして、1月24日に検討会を行い、こちらで最終的にいろいろな御議論を整理していただいたという状況でございます

 今後でございますが、3月に施行期日の政令を公布したいと思っております。また、省令や告示、あわせて新たな医療広告ガイドライン。現在、医療広告ガイドラインと医療機関ホームページガイドラインと2本ございますけれども、これを統合して1つの医療広告ガイドラインとして発出したいと考えているものでございます。

 具体的な施行期日は政令で定めると申し上げましたが、6月1日ということで施行してまいるということで考えているところでございます。

 次に、広告禁止事項ということで、まず、省令で定めます禁止を明確にする事項につきまして御説明申し上げます。

 9ページをごらんください。「広告禁止事項見取り図」と書いております。今回の医療法の改正によりまして、虚偽広告のほかに、誇大広告、比較優良、公序良俗違反といったものについては、法律上、明確に位置づけをしております。従来、省令で定めておりましたものを法律上に引き上げたという形になっております。

 新しい省令の中で具体的にどうするかということで議論しておりますが、具体的には、治療等の内容・効果に関する体験談と、治療等の内容・効果について患者等を誤認させるおそれがある治療等の前・後の写真といったものを挙げるという整理になってきております。

 具体的にその中身を10ページから御説明申し上げます。

 まず、体験談でございます。体験談につきましては、現在の運用上の整理でございますけれども、医療広告のガイドラインにおきましては、これは客観的に証明できない事項ということで明確に禁止という整理をしております。一方、ホームページガイドラインにおきましては、全てを禁止するという形ではなくて、意図的な取捨選択は内容が誇大なものに当たるということで禁止されるという形で整理をしているということでございます。

 こういった状況を踏まえましてどう整理をするのか。いろいろと御議論はいただいたところでございますけれども、「考え方」の欄にございますように、体験談というのは、書かれる方の個人の主観に基づく評価でございますので、それが全ての方に当てはまるかどうかは必ずしも保証の限りではないという面もございまして、情報の有用性が限定的ということがございます。とはいえ、こういった体験談というのは、まさにいろいろな疾病に直面しておられる患者さんから見ますと、インパクトが非常に大きいということもございます。また、必ずしもそのとおりになるかどうかは明らかでないといったこともございます中で、その患者さんに対しては非常に誤認を生じさせる危険性もあるということで、適切な医療の選択を阻害するおそれがあるのではないかと考えまして、この対応につきましては、具体的には「患者等の主観又は伝聞に基づく治療の内容又は効果に関する体験談の広告をしてはならない」ということで、省令上、禁止事項として整理することに結論としてなったところでございます。

 ただ、こういった体験談につきましては、個人が運営するウェブとかSNSの個人のページ、あるいは口コミサイトといったものもございまして、こういったところまで全て禁止をするというのもなかなか難しい面がございます。一方で、医療機関が費用を払ったりして掲載を依頼することで、医療機関として誘引するといったものが認められる場合には広告に当たるという整理になってくるかと考えております。

11ページでございます。術前・術後の写真の整理でございます。この点につきましても、現在の取り扱いでございますが、医療広告のガイドラインにおきましては、効果に関する事項は広告可能な事項とはされていないということで、こういった術前・術後の写真についてはだめという整理になっております。医療機関のホームページガイドラインにおきましては、撮影条件等を変更したり加工したりということで、明らかに変わってしまうようなものについては、虚偽又は誇大なものに分類されるので禁止されるといった形で整理をされているところでございます。

 こういった術前・術後の写真のあり方についても、検討会では議論をかなり重ねたところでございます。考え方のポイントを簡単に書いておりますけれども、こういった術前・術後写真というのは、それぞれの患者さんの状態によってその結果は異なってまいりますので、それを見たから、必ず自分もそうなるというものではないという面が当然ございます。一方で、そういった写真というのはメッセージ性が非常に強いものでございますので、患者さんからすると、受ける医療の効果という面からすると、非常にイメージをつくりやすいという面もございまして、こういった点からどう整理をするのかというところを議論して整理をしていただいております。

 対応でございます。治療の内容・効果について患者等を誤認させるおそれがあるその前後の写真の広告はしてはならないという形で、これを禁止事項として省令に明確に規定をするということで結論をいただいたところでございます。

 下に例として書いておりますけれども、そういった術前・術後の写真やイラストのみを示して説明が不十分なものは禁止されるのだということをガイドラインにも明確に記載するということで整理をしているところでございます。

 それから、広告可能事項は、一方でウェブなどがございます。そういったものを限定列挙と同じように縛りをかけるというのも、患者さんの立場からするとなかなか難しいという面がございます。省令(2)でそれを整理することになっております。

13ページをおめくりいただきますと、患者さんのお立場からいたしますと、自分がいろいろな情報を集めるということは必要な面がございます。そういったときに、必要な情報、適切な情報が提供されるようにすることが必要であろうと考えております。このため、医療に関する適切な選択が阻害されるおそれが少ない場合ということで、省令で、具体的にどういう場合が該当するのかを整理することが求められておるわけでございますけれども、具体的には(1)から(4)の要件を全て満たす場合にこういった規制が解除されるという形で整理をしたところでございます。

(1)(2)(3)(4)とちょっと性格が違っております。(1)(2)は、保険診療も自由診療もふくめて全般に該当することを求めております。

 まず、(1)でございます。ウェブのように患者さんがみずから求めて入手する情報であって、医療機関などがその医療機関について医療に関する適切な選択に資する情報を提供しようとするものである場合というのがまず1番目の要件となります。

 2番目の要件として、そういった情報について、患者さんとしては本当にそうなのかどうか、いろいろな確認を求めるケースもあるかと思います。そういった場合に対応できるように、問い合わせ先の記載などによりまして内容について容易に照会が可能となっている場合ということを求めることにいたしております。

 一方で、美容医療のように、自由診療の場合については、これだけですとやはりいろいろなリスクがあるということもございます。このため、自由診療の場合については、さらに(3)(4)の情報も提供することを求めることにいたしております。(3)におきましては、治療の内容・費用に関する事項について情報を提供すること。これは、通常必要とされる内容・費用について情報提供することを求めております。(4)といたしましては、そういった治療に係る主なリスクや副作用について情報を提供することもあわせて求めることで、そういった自由診療については特に縛りをきつくするような形で整理をしていったらどうだろうかということで、結論をまとめていただいたところでございます。

 あと、14ページにございますのは、従前からございます広告可能な事項を限定列挙しているものでございます。ごらんいただければと思います。

 以上が、省令(1)(2)の関係でございます。

 あと、15ページ、16ページでは、ちょっと細かい事項でございますが、この検討会の場で議論いただいたことをこういった方向で整理をしたいということを挙げております。

 1つは、病院情報の公表ということです。DPCの対象病院においては、その自施設の診療情報の公表という取り組みを評価するために、機能評価係数2という区分におきまして、自分の病院のホームページにおいてデータの集計値を公表した場合に、診療報酬上加点するという整理がなされております。

 こういった公表事項というものが幾つか求められておるわけでございますけれども、その中で、広告可能事項の整理というものが必ずしも明確化されていないものが幾つかございます。平均在院日数の全国の数値、転院率、平均年齢、合併症の発生率といったものがございまして、こういったものについて広告可能ということをきちんと整理しておく必要があるのではないかということで、告示改正を行っていきたいと考えております。個別にこういったものを具体的に記載するやり方も考えられるところでございますが、診療報酬上の公表を求める項目については将来的な変更もあり得ますので、包括的な表現によって記載をするということで考えていったらどうかと考えております。

 もう一つは、第三者機関の評価の取り扱いでございます。これは中身が2点ございます。

 1つは、第三者評価の関係でございます。現在、日本医療機能評価機構が行っております評価結果については、告示の上で広告可能とされております。国際的に評価されておりますJCIというのが第三者評価機関としてございますけれども、最近、JCIの評価を受ける医療機関をふえてきているところでございます。これが、今、広告可能とされておりませんので、これを広告可能事項に追加してほしいという御要望をいただいております。これを受けまして、広告告示を改正いたしまして、広告可能事項に追加するとしたらどうかと考えております。

 もう一つは、マネジメントシステムの評価の関係でございます。いわゆるISOについては、現在、既に告示上は包括的に広告可能となっておりますけれども、実は広告ガイドラインのほうでISO9000について広告可能という形で表記をしておりました。ここはISO9000に必ずしも限定する必要はないということでございますので、ガイドラインの上での取り扱いを整理し直しまして、全てのISO認定について広告可能という形にしていくことで対応したらどうかと考えているところでございます。

18ページからはネットパトロールの関係について御報告を申し上げたいと思います。

 こちらにつきましては、そもそも昨年の法改正のきっかけとなっております美容医療サービスの関係で、消費者委員会からも消費者トラブルを踏まえて建議をいただいております。そういった中で、役所としてもそういったネットパトロールを実施することが重要であると考えまして、平成29年度に予算を4,000万円ほどとりましてスタートさせていただいております。

 具体的には、下のイメージ図に書いておりますけれども、そういったウェブについて広告規制に違反をしていないかどうかを監視いたしまして、不適切な記載が認められれば、まず、その医療機関に対してその規制をお知らせして、みずから直していただくようにお願いしていくことにしております。そうしたことをやった上でなお改善が認められない医療機関がございましたら、それに対して、所管をする自治体にその情報提供を行いまして、自治体からの指導などを行っていただくことにしてまいりたいと考えております。その上で、その自治体の情報提供後の改善状況についても引き続き継続的に調査を行うという形で進めていきたいと考えております。

 これは昨年の8月からスタートしておりまして、いろいろと試行錯誤しながら対応を進めております。ウェブというのは、医療関係でも世の中に大変多くございますので、まだその中のごく一部しか対応できていない部分がございますが、ここのところも今後ともしっかりと進めていきたいと思っております。

 その上で、19ページにございますように、こういったパトロールとあわせて、国民の皆様からもいろいろと情報をいただくことが有用だと考えております。このため、事業者に委託する際には、こういったネットパトロールの通報のフォーム、あるいは電話の窓口をつくっていただいて、そちらに情報を提供していただくということも進めているところでございます。こういった通報も踏まえてしっかりとパトロールしていきたいと考えております。

20ページがこれまでの進捗状況でございます。これは8月から12月のパトロール分でございますけれども、審査件数が730のウェブサイト、そのうち不適切な表示が認められたのが、1月18日時点で85ございまして、そのうち112件について通知を行っているということでございます。ウェブの中には複数の医療機関にわたるものもございますので、ウェブの数と通知件数が一致しない形になっております。また、現在手続中のものも含まれておりますので、そういう意味で、数がまだまだというところでございますし、全体のウェブの数からしても、先ほど申し上げましたように、非常に多い中で、いろいろと取り組むべき課題というのはまだまだ大きいと私どもとしても考えているところでございます。

 あと「その他」ということで、22ページでは、こういった広告規制の実施に向けての全体像のイメージ図をつくらせていただいております。厚生労働省といたしましては、まずは医療機関など広告を行う方々にこういった法令上の規制またガイドラインなどについても周知をしてまいります。一方で、患者・国民の皆さんに対しても啓発を行いつつ、患者・国民の皆さんからもいろいろと通報をいただきながら、県などの行政機関において、医療安全支援センターなどを窓口としながら苦情・相談を受け付けて、それに対して必要な行政上の対応を行っていくことになります。また、厚生労働省としましても、先ほど申し上げましたように、今回、ネットパトロールの委託を始めておりますので、こういったところも活用しながらということであろうかと思います。

 実際上、消費者の方々、国民の方々の苦情というのは、実は消費生活センターに行くケースもそれなりに数がございまして、県の中でも、消費者行政担当部局と衛生主管部局と分かれているケースもございますので、こういったところの連携をしっかり図りながら対応を進めていくことも重要であろうかと考えております。霞ヶ関において消費者庁と連携を図ることも当然重要でございますが、都道府県レベル、地方行政レベルにおいてもそういった連携を進めることが必要と考えておりまして、今回のガイドラインの中でもそういったことを改めて訴えていきたいと考えております。

24ページでございますけれども、広告規制の普及啓発に向けた取り組みを簡単に書いてございます。こちらにございますように、これまで関係者に対してもいろいろな機会を捉えて周知を進めてまいっているところでございます。また、都道府県などに対しましても周知を進めておりまして、昨年6月の法改正の内容を通知したほか、ネットパトロールを始めたときにそういったことについても周知をしております。また、ことしの1月には部局長会議がございました。また、現在進行形でございますけれども、各ブロックに私ども担当が出かけまして、都道府県などの担当者に直接御説明をするような場をつくっているところでございます。また、この3月には、来週になりますけれども、主管課長会議を開催する予定にしております。こちらにおきまして、またよく徹底をしていきたいと考えておるところでございます。

 大変駆け足でございましたが、説明は以上になります。先生方の御審議をよろしくお願いいたします。

○永井部会長 ありがとうございました。

 それでは、御質問、御意見を。

 山口委員、どうぞ。

○山口委員 私はこの委員会の構成員としてずっと議論にかかわってまいりました。代表的に、ウェブサイト上の問題ということで美容医療が取り上げられていますけれども、私たちのところも、これまで28年間で6万件近い電話相談を受けていまして、こういったことの苦情も結構ございます。そういう対象になるのは、ここに委員として出席されている医療機関の方のような一般的な医療機関のウェブサイトというのはほぼそういう問題に上がることがなくて、代表的には美容医療が挙げられていますけれども、やはり歯科であったり、一部、通常のクリニック等でも自由診療をやっているところのウェブサイトで同じような問題が起きているのかなと思っています。

 この議論の中で一番紛糾したのがビフォー・アフターの問題です。私も、単純なビフォー・アフターの写真は完全に反対だという立場でずっと発言をしてまいりました。ところが、中には、治療のプロセスを写真で表示しながら患者に情報提供することも大事なのだという御意見もあって、いろいろ議論があった上で、11ページにある「説明が不十分なものは禁止される」というところに落ちつきました。「説明が不十分」というのが、どこまであれば十分で、どういうのが不十分なのかということが問題だと私は思っていますけれども、全面的に禁止して患者に情報が閉ざされてしまうことはやはり避けるべきだと思います。

 今、ネットパトロールが始まっているという御説明がありましたけれども、まず1つ要望としては、ネットパトロールで上がってきた説明の不十分な例とはこういうものなのだということをしっかり具体的に示していただくことによって、どういうものが十分でどういうものが不十分なのかということをきちんと国民側に知らせる、あるいはここにいらっしゃる委員の皆さんにも知らせていただくようなことをぜひ厚労省にはお願いをしたいというのが1つでございます。

 もう一つは、22ページに全体像が書いてありますけれども、こういうウェブサイト上のいろいろな問題について苦情を言っていくときに、国民生活センターとか消費者センターということもございますけれども、今、全国に382の医療安全支援センターが設けられていて、よろず相談のように医療の相談が医療安全支援センターに届くようになっています。私もこの研修に関与していまして、医療安全支援センターなのに医療事故調査制度のことを説明するのに消極的であったり、ちょっと問題点を感じているところもございます。例えばこういうネットパトロールが始まっているという情報提供とか、ウェブサイト上のこういう問題があるということも相談があった方にしっかりと対応できる体制づくりというのがこの医療安全支援センターの職員に求められているのではないかなと思っています。

 そこで、質問ですけれども、厚労省として、窓口である各医療安全支援センターに対してどのように情報の周知と職員への徹底を図っていかれるのかを質問というか確認したいと思います。

 以上です。

○永井部会長 いかがでしょうか。

 どうぞ。

○総務課長 御質問ありがとうございます。

 医療安全支援センターというのは、確かに御指摘いただいておりますように、全国で約380カ所ございますので、こういった窓口がその役割をちゃんと果たすことは非常に重要な課題だと思っております。ただ、御指摘いただいておりますように、大変残念な事例があるというのも私どもも承知していますし、相談しましたかというと、したのだけれどもという話で、直接私どものほうにお話があるようなケースも正直言ってございます。このため、そういった相談員の方々の質の向上を図ることが重要だと思いまして、私どものほうでもかねてより相談員の研修、あるいは情報交換会を開催しまして、先生にも御参加いただいたりしたことがございますけれども、そういったことなどをやらせていただいております。また、事例を収集して分析して提供するといったことも重要だと思いますので、そういった取り組みを引き続きちゃんと実施していきたいと思います。その際に、今回まさにこういうガイドラインなども出てきておりますので、こういったことをあわせて周知することも一つ大事なのではないかなと思っておりますので、そういったこともやらせていただきたいと思います。

○永井部会長 どうぞ。

○山口委員 今、おっしゃるとおり、私も初任者研修等々にかかわっているのですけれども、例えば、先ほど申し上げたように、医療事故調査制度のことはここで説明する必要がありますよねと言ったら、いやいや、医療安全支援センターはそこまでは求められていないのですということをおっしゃったりします。そうではないのだという体制強化をさらに厚労省から直接図っていただきたいと思っていますので、ぜひよろしくお願いいたします。

○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。

 釜萢委員。

○釜萢委員 今、山口委員が言われたところはとても大事だと思っています。

 まず「術前又は術後の写真」のところの話は、「説明」というところの例示が「治療内容、費用、リスク、副作用等」と書いてあるのですが、これだと、それによってうまくいくのかどうかすごく不安があります。

 一方で、ネットパトロールは、今後ぜひ進めたいところですが、実際にはかなりお金もかかるし、どのくらいできるのかなというところが現時点では見えない場合もありますので、そこはぜひしっかりやっていただきたいと私からも申し上げたいと思います。

 それから、確認ですが、その前の「体験談」のほうについては、医療機関のホームページには体験談は載らないと考えてよろしいのかどうか、ちょっと教えてください。

○永井部会長 事務局、いかがでしょうか。

○保健医療技術調整官 事務局でございます。

 体験談の取り扱いに関してですが、医療機関のページにおけます体験談に関しましては、ここにありますように、治療の内容又は効果に関する体験談はここの禁止事項として整理をさせていただいております。一方で、それらに関係ない体験談に関しましては、掲載しても、ここで言う規制の対象ではない。具体的に想定していますのは、患者さんの感謝の声のようなものに関しましては、ここで言う治療の効果に関するものではございませんので、それはこの規制の対象から外れるという整理になります。

○釜萢委員 そのように御説明いただくのですが、そこのところの線引きが果たしてうまくいくのかなというところについては懸念を持っておりまして、実際の運用上は、そこがうまくいくようにお願いするというところで、現時点においては、今の御説明でうまく整理ができない場面があるのではないかという懸念をお示ししておきたいと思います。

 以上です。

○永井部会長 安部委員。

○安部委員 参考資料1-2を見ますと、32ページの「相談・指導等の方法について」から「広告違反の指導及び措置」というところまでは、読ませていただいて理解をしたのですが、資料1の20ページにネットパトロールの29年度の進捗状況が示されています。この中で通知した112事例で85のウェブサイトに規制の周知をするわけですね。違反していますということで周知をするわけですが、この通知の段階でほとんどの事例で改善するのでしょうか。それとも、それ以降にさらに指導等をしないとなかなか改善しないものなのでしょうか。

○総務課長 この点、今、御指摘いただいておりますように、先ほどのフロー図にもちょっとありましたけれども、通知をしても、自主的に見直しをしていただければよろしいのですが、そうならないケースというのも中にはございます。そういったものに対しては自治体を通じてしっかりと行政的に働きかけをしていくことが必要でございますので、そういった枠組みで、今、進めようと考えております。

○安部委員 了解しました。

○永井部会長 山崎委員、それから中川委員。

○山崎委員 ネットパトロールについてですが、漫然的にずっとパトロールをしているのか。あるいは、ある主題に集中して3カ月間ぐらいそこのところだけをやるのですか。

 というのは、すごく気になっているのは、最近がんの患者さんがふえてきて、がんの民間療法というのが物すごくネットに氾濫しています。1回治療して何百万で、スリーセットみたいなことがネットに随分出ていて、結局、医療的介入でもだめだみたいな話になると、最後はそういうところにすがるわけではないですか。民間のがん療法にはエビデンスがあるのかないかも全然わからないようなものがかなりの数入っています。がんの民間療法を集中的にパトロールしてほしい気がしています。

○保健医療技術調整官 事務局でございます。

 今、御指摘の、特定のテーマに絞ってやっているのかということに関しましては、今回初めてのやり方ということもありましたので、一定程度ターゲットを絞ってやっているところではございます。ただ、ここでどれをターゲットにしてどれをターゲットにしていないと言うと、されていない方の気が緩むというのも変ですけれども、そういうこともありますので、何をターゲットにしているかの明言はここでは避けたいと思いますが、今年度、一定程度期間を絞って、ターゲットを絞った取り組みをやっているところでございます。

○中川委員 先ほど木下調整官が医療機関のウェブサイトに感謝とかそういうのはオーケーと言ったよね。本当にそうですか。

○保健医療技術調整官 事務局でございます。

 先ほど釜萢委員からも御指摘ありました個別の判断になろうかと思っていますけれども、ここで規定していますのは、治療の効果に関係のないものであれば、医療機関の体験談として掲載しても問題ないのではないかと考えているところでございます。

○中川委員 治療がうまくいかなかったという場合で感謝というのはありますか。中にはあるでしょうが、ほとんどないのではないですか。これは揚げ足を取っているわけではなくて、感謝があるとすれば、その一方で、同じぐらい苦情もあるのです。ある医療機関が患者様の感謝だといって、それをためて、ホームページ上にレストランの口コミみたいにばーっと掲載したらどうなるのですか。まずいでしょう。お答えを。

○保健医療技術調整官 事務局でございます。

 体験談に関しましては、現行の医療機関ホームページガイドラインで、まさに今、中川委員から御指摘ありましたように、選択ができるということもあって、選択した場合に関しましては、誇大な分類ということで禁止としているところでございます。

 今後、実際にウェブサイトの体験談の取り扱いをどうしていくかということに関しては、チェックした際に、どう見ても患者さんの都合のいい声だけを選択して掲載しているという場合については、従前どおり取り締まりの対象となることもあろうかと思いますので、その場合は個別に判断する必要があろうかと考えております。

○中川委員 教科書的なお答えで問題があると思います。その医療機関のホームページを誰がどういうふうに解釈するのですか。これは恣意的かどうか。その医療機関が自分の病院のウェブサイトに苦情を一生懸命載せますか。やはり感謝の言葉を載せたいでしょう。許可したら、そういうことになるに決まっているではないですか。それはもうやめましょう。お答えを。

○保健医療技術調整官 事務局でございます。

 今、御指摘いただいたような点も含めて検討会で議論した経緯もございます。当初は、体験談全てをという話もあったところではございますが、一方で、医療機関の先生方から、感謝の声までも一律に禁止するのかという御意見もありまして、それらの検討を踏まえた結果、ここで記載しておりますような形に整理させていただいているところでございますので、検討の経緯もあったということを御理解いただければと思っております。

○中川委員 医療部会は最終的な判断の場ではないのですか。今のは、検討会で決まったから了承してくれという意味ですか。問題の発言だと思う。

○保健医療技術調整官 今回、この整理をさせていただいた経緯として、検討会であったという背景を御説明したということでございます。

○中川委員 だから、それはやめましょうと言っているのです。やめたくないのですか。あなたの権限では答えられませんか。

○永井部会長 いかがでしょう。

○総務課長 中川委員の御指摘は、1つの御意見として当然あり得る話だと思っております。今、木下から御報告申しましたのは、あくまでも検討会でそういう議論があったということを御紹介しているところでございますので、むしろこの場で先生方のほうでそういった点についてもいろいろと御議論いただいて、御意見があれば頂戴したいと思っております。

○中川委員 済みません。診療科が同じ、ある医療機関が近隣に2つ並んでいました。一方の医療機関のウェブサイトには、お褒めと感謝の気持ちがたくさん寄せられています。もう一方はほとんどありません。これは問題になりませんか。恣意的かどうかは別にして。考えてください。

 次の質問にいきます。19ページの「医療機関ネットパトロール」は、厚生労働省の案内、アナウンスなのですね。この事業者は何カ所ですか。何社で。これ、事業者は株式会社ですか。

○保健医療技術調整官 事務局でございます。

 委託先は1社になっております。

○中川委員 その会社のネットパトロールにかかわる総員は何人ですか。

○保健医療技術調整官 実際にかかわっているその委託先のほうで、予算の範囲内で、この業務にかかわる方々を、体制づくりをいただいているというところになります。

○中川委員 29年度予算で4,154万円がその1社に全部行っているわけですね。その上で、どのぐらいの人員でどのぐらいのネットパトロールをしているのかということは把握していないということですね。

○総務課長 済みません。

 一応、事務の担当が通常かなり密接に連携しておりますので、体制の状況については当然把握をしてございますけれども、一方で、パトロールの話になってまいりますと、その体制がどうなのかということを余りつまびらかに公に言うと、実際の抑止力のような話もございますので、その辺、ちょっと差し控えさせていただければありがたいなと思っております。

○中川委員 それでは、19ページ、20ページに関連しますが、審査件数730、そのうちの不適切な表示が見られたウェブサイト数85、通知を112。この112は医療機関に出したのですね。では、その85のウェブサイトで修正されたのは何件ですか。

○医療政策企画官 2月中旬現在の状況でございますが、12のウェブサイトに改善が認められました。

○中川委員 85のうちの12だけが修正されたのですか。

○医療政策企画官 はい。

○中川委員 では、残りはそのままなのですね。

○医療政策企画官 そうです。

○中川委員 ということは、22ページのこの全体像がまだ機能していないということですね。そういうことになりますね。

○医療政策企画官 おっしゃるとおり、必ずしも十分に機能しているとは言えない状況にあります。

○中川委員 それだったら不十分にも機能していないでしょう。

 そもそも10ページにある「対応」の最初の○で「美容医療サービスに関する消費者トラブルの相談件数の増加といった法改正の契機や」とわざわざ書いているではないですか。特に私が言いたいのは、問題が多そうなところを特化してネットパトロールを始めたらどうですか。特に強調したいのは自由診療です。先ほど山崎先生がおっしゃったがんの民間療法も含めて、自由診療。患者さん、国民にとっては非常にリスクが高いところに特化して始めるべきだと思いますよ。少ない予算で。やっていますというふうに出しているけれども、厚生労働省としての危機感が感じられないのです。アリバイ的に始めたよというふうにしか聞こえないのです。ぜひ危機感を持ってください。

 それから、22ページの全体像の左側の下の部分ですが、患者さん、国民からネットパトロール事業者に通報するのですか。まだ50万人しか見ていないわけですね。

○総務課長 これは、先ほどの資料の19ページに赤い枠で囲っている相談室というところがございますけれども、このフォームに対して通報なりをいただいているものということで御理解いただければと思います。

○中川委員 患者さん、国民がネットパトロール事業者なんてほとんど知りませんよ。何でそんな誰も知らないようなところに通報するようになっているのですか。普通は、厚生労働省とか都道府県とか、そういうすぐ思いつくようなところに通報というシステムにしなければいけないでしょう。ここの全体像も非常に稚拙です。そして、こういうのは、ネットパトロールで問題があると発見されたところを集中的にやるのではなくて、まずは通報されたところからやるのです。そういうふうに全体像を抜本的に見直してください。そうでないと、全国の患者さんや国民の不安が解消されません。ぜひよろしくお願いします。お答えを。

○総務課長 いろいろと御指摘を大変ありがとうございます。私どもとしても、この体制が十全に機能しているとはとても言えない状況だということは十分認識しております。これをしっかりと活用しながら、実が上がるような取り組みをしていかなければならないというのは御指摘のとおりだと思っております。

 先ほど先生の御指摘にございましたけれども、どうしても一般的に申し上げざるを得ない点もございます。御指摘いただいたように、重点的な分野をしっかり定めていく、通報を受けたものをしっかりと対応していくことが重要な課題だと思っております。具体的にどこを重点というのはなかなか言いづらい面もございますけれども、当然、美容医療というものも1つの大きなきっかけになっておりますので、そういったところをしっかりと見ていく。また、先ほど山崎先生から御指摘いただいたような話もございます。そういった点も、私どもとしてはしっかりと対応していく必要があると思っておりますので、今の御指摘、しっかり受けとめて対応していきたいと思っております。

○永井部会長 山口委員。

○山口委員 今のことに関連してですけれども、患者さんが、これは問題ではないかと思ったところの相談を受ける機関が行政であり、相談窓口であり、消費者センターであり、そういったところがこのネットパトロールが始まっていることをしっかり知る必要があると思っています。ですので、国民が監視役になることからすると、そういういろいろなところでネットパトロールが始まっていますよということをきちんと周知していくことが大事であって、実際に私たちのところも、このネットパトロールのサイトを見てください、電話でもメールでも簡単に通報することができますよということを情報提供しています。そういう情報提供する先がふえることが大事で、まず、国から相談を受けているところに情報提供していくことが大事なのかなと私は思っていますので、そういう解釈でよろしいのでしょうか。ぜひそこを広く広めていただきたいと思っています。

○総務課長 御指摘ありがとうございます。まさに先生がおっしゃるように、国民が相談できる先がふえることは確かに重要だと思っています。そういう意味で、先ほど先生からお話がありました医療安全支援センターなども1つの窓口でございますし、それだけに限らず、都道府県の主管部局に対しても通報していただくというのも当然ありだと思います。あるいは、消費者センターとか、消費者の行政担当にも相談いただくことも選択肢でございます。そういったものがよく連携をとって取り組みを進めていくことが重要ではないかと考えておりますので、御指摘をしっかり受けとめて考えていきたいと思います。

○永井部会長 まず、牧野委員、それから島崎委員、山崎委員。

○牧野委員 ありがとうございます。

 このネットパトロール事業者ができる前から、歯科医師会では内部の問題とも捉えておりまして、自分たちでネットパトロールのようなことをして、そして、都道府県の衛生主管部局に通報しているわけです。指導していただきたいとお願いしているのですが、通知はしましたと、その1回だけで済んでいるという実態がございます。だから、通知がふえたからといって、関係の衛生主管部局というのが医療機関へちゃんと指導しているのかどうか。その問題が出てくると思うので、通報がふえるだけではちょっと無理な問題があるのかなという気はいたします。

○島崎委員 違うことでもいいですか。

○永井部会長 はい。

○島崎委員 15ページの病院情報の公表に関連し、診療報酬と医療法の体系との関係について伺いたいと思います。これを拝見すると、DPCの対象病院の機能評価係数2については診療報酬において加算をしているということですね。ところが、今回の省令の改正案を見ると、この医療機関が機能評価係数2において公表を求める項目については広告可能になるということですね。ということは、要するに、医療法上はしてもしなくてもいいが、診療報酬上は経済的なインセンティブまでつけてそれを開示・提供しなさいと奨励しているわけです。そういう診療報酬と医療法の規定の立て方について検討会の中では議論はなかったのでしょうか。

 何を聞きたいかというと、広告の規制と情報開示というのは一見表裏一体みたいな形なのですけれども、いろいろなレベルがある。たとえば、そもそも広告してはいけませんというもの、してもしなくてもいいですというもの、むしろ積極的に情報開示しろというものがある。そして、最後の類型のものについては、患者さんなりが選択をする、あるいは医療機関同士で比較することを通じ切磋琢磨する、あるいは切磋琢磨以外にも医療の中身の標準化を図っていくという効果もあるのだろうと思うのです。つまり、広告の規制と情報開示のレイヤーが幾つかに分かれているわけですが、今回のこういう病院情報の公表に関して、してもよいですよという類型にとどめていることについては、診療報酬でここまでインセンティブをかけるのであれば、医療法上もむしろ積極的に、つまり義務として開示を規定すべきなのではないかという議論はなかったのでしょうか。

○永井部会長 事務局、お願いします。

○保健医療技術調整官 事務局でございます。

 今、島崎委員から御指摘いただきました点は、まず、今回の検討会の資料の5ページをお開きいただければと思います。今、検討会のほうでまとめていただきましたのは、今回の法の施行に伴って必要な対応を優先的に議論いただいたところでございます。その過程におきましても、いわゆる治療成績等を用いたランキングをどう扱うかということにつきましては議論いただいたところでございます。当然ながら、構成員の方からは、患者さんの選択に資するようにということで積極的に出すべきだという御意見もあったところです。では、ランキングに相当するようなものに関しましては、そもそものデータの信頼性の問題等々あろうかとなっておりまして、情報の操作が一定程度明確になっていて信頼が足るものであれば、そういった治療成績に関するものを掲載することは差し支えないという議論もいただいたところでございます。

 それに加えまして、今後、この検討会の議題といたしまして、資料の5ページの「開催の趣旨」の2行目にありますように「医療機関や医師の技術力の評価に関する情報の公表の範囲やあり方について検討すること」も求められておりますので、この検討会の中で、今、いただいた御指摘も踏まえて検討を行っていきたいと考えているところでございます。

○島崎委員 先ほどの質問の背景としては、日本の医療広告をめぐる基本的な考え方をお尋ねしたいということがあります。わが国では、患者さんの保護や不当な勧誘を禁止するという観点から、医療広告についてはかなり厳格に規制されてきました。けれども、第2次医療法の改正以降徐々に緩和され、第5次医療法改正によって、患者による選択といった、ある種の消費者主権的なニュアンスが感じられる方向に舵が切られたのだと思うのです。検討会の議論の中で、情報開示と選択という手法の評価はどうであったのか。医療の提供体制の改革の方法としては、診療報酬による経済的誘導のほか、計画的な方法であるとか、教育を通じた改革などもあると思うのですけれども、情報開示を行い、それを選択させていくことによる方法をどのように位置づけるべきかという議論は、私は検討会のベースとしてきちんと行うべきだと思います。

 これは意見として申し上げておきます。

○永井部会長 山崎委員、どうぞ。

○山崎委員 このネットパトロールの議論ですが、先ほどあったように、不適切な表示があった例が85例あって、12例しか修正していないということですが、修正しない場合の行政的な指導とか法的措置というのはあるのですか。

○総務課長 今の山崎委員の御質問の関係でございますけれども、参考資料1-1に法律の条文などをつけております。こちらの6ページ目、新旧でいうと5ページ目となっておりますが、法律の条文を抜粋したものをごらんいただければと思います。

 こちらのほうで、1つは、87条というものがございます。87条と89条と実はあるのですけれども、この中で6条の8というものがございます。前のほうに条文がございますけれども、都道府県知事などが行政的に指導などを行う権限の規定がございます。ここで87条の第3号をごらんいただくと、「第6条の8第2項」というのがございまして、こういった中止是正命令を行ったときに、それに違反した場合には「6月以下の懲役又は30万円以下の罰金」となっております。

 次の89条では第2号にございますけれども、「第6条の8第1項」で、必要な報告・提出を怠ったり、虚偽の報告をしたといったときについては「20万円以下の罰金に処する」という形になっておりますので、最終的にはこういった罰則を裏打ちしながら行政機関から取り組みをしていくことになると考えております。

 これは、今度、6月施行です。済みません。今後の施行後の話でございます。

○山崎委員 修正指示をした時点で、こういうことになりますよということも同時に通知はしているのですか。

○総務課長 現在はこれはまだ施行しておりませんので、そこはこれからということになります。

○山崎委員 結局、こういうことをする人は確信犯的にやっていると思います。だから、行政指導的に、項目を含めて相当指導をしていかないと修正に応じないと思います。

○永井部会長 久喜委員。

○久喜委員 私は、先ほど中川委員の感謝のところは入れてはいけないと思います。これは非常に難しい問題になってまいります。写真等々も入れてはいけないという中でも、感謝ということになると、いわゆるフェイク感謝ということも考えられます。そうなると、いろいろなことがあって、私は反対であります。

 それから、これは質問なのですが、「ウェブサイト等」という形での話。「等」という言葉はついているのですが、SNSはどうなのでしょうか。

○保健医療技術調整官 事務局でございます。

SNSも対象になります。

○久喜委員 SNSの場合には、個人同士でいろいろやっている中で、そこにタグづけされると広がりますね。その辺の範囲というのは。これは個人でやっていたのだとか。SNSが入ってきますと、個人と医療機関の区別というのが非常に難しくなるわけです。それをシェアされた場合には、それがぱっと広がるわけです。そのいい例が、アメリカのトランプ大統領ではないですけれども、ツイッター等で流れていく、そういうところをまた新聞のほうで拾ってくるというような形もありますので、SNSの、個人とどうのこうのという、その辺の決まりをきちんとつけるべきだと思います。

○永井部会長 平川委員、どうぞ。

○平川委員 先ほどの違法な広告に対する罰則の関係です。罰則そのものは大変きつい内容でありますけれども、実は、行政が罰則を求めて訴訟を起こすことになりますと、行政的にはかなりハードルが高い話になってしまっているのではないかなと思います。こういう罰則はあるぞと言いつつも、それは発動しないだろうというやり得感がいわゆるブラックな医療機関にあるのではないかと思います。これはこれで法律としていいのですけれども、別な規制をかける有効な法律的な組み立てというのが必要なのではないかと思います。要するに、医療法の違反のやり得をさせないような対応が必要なのではないかと思います。

 以上です。

○永井部会長 どうぞ。

○久喜委員 私の質問に対する答えが。私のSNSに対する答えをいただきたいと思うのです。どんな対応をしていくか。

○保健医療技術調整官 事務局でございます。

 先ほどのなりすまし等の対応に関しましては、今回、いわゆる医療機関から金銭等をもらってやっているような場合はガイドライン上明確に禁止しているところでございます。一方で、御指摘いただいていますように、それを全部見抜けるのかとか、全部チェックが働くかということに関しましては、やはりやりながらやっていかなければいけない部分があろうかと思っています。その中で、自治体に対しましてどういう方法でやっていくのが効果的かということに関しましても、今回、実際に6月の施行を控えていますので、それまでの過程の中でどういう方法ができるかにつきましては十分検討していきたいと思っております。

○久喜委員 SNSに対してどうかということを聞いているのですが、それに対する御回答をいただきたいと思います。

○保健医療技術調整官 SNSは、やはりその内容によるかと思います。その中身に関しまして、本来、その医療機関に対する誘引がその内容から働いているのかどうかというところから、この規制の対象をどうするかということが始まっておりますので、あくまで個人が自分の体験としてやっているかということと、何らかの医療機関との金銭の授受等があることによって医療機関に対する誘引が働いているかどうかは、御指摘のように、見た目ではわからないということがあろうかと思います。実際、そういう疑義があった場合に関しましては、掲載している方に確認をするということを想定しておりますので、そこからこのような報告等をお願いしていって始まっていくという規制になろうかと思っています。

○永井部会長 いかがしますか。これ、3月に公布されるのでしょうか。今後の進め方を事務局からお聞きしたいのです。

○総務課長 きょうの御意見を整理してみたいと思います。基本的な運用の柱についてはある程度整理はついていると思いますけれども、今、個別に御指摘いただいた点について、どういった形でそれをお示ししていくのか、あるいは対応していくのかという点をよく整理させていただきたいと思っています。

○永井部会長 本多委員、どうぞ。

○本多委員 私もこの検討会に構成員として参加しており、その場でも申し上げておりますが、ネットというのは、利便性を追求すればリスクも高まるものですので、、現時点で完璧な制度にすることは正直無理だと思います。今後は、PDCAを早く回し、悪い事例にはすぐに対応していくべきです。恐らく不適切な広告をする側としてはその都度制度の合間を縫って対応してくると思いますし、いかに適切に運用していくかが今後非常に重要だと思いますので、事務局として、そういう点に注意を払って対応していっていただければと思います。

○永井部会長 ありがとうございます。

 よろしいでしょうか。

 いろいろな重要な御意見が出ましたので、事務局におかれましては、ぜひただいまの意見を踏まえてとるべき対応をとっていただきたいと思います。

 以上でございますが、最後に、事務局から連絡事項等をお願いいたします。

 どうぞ。

○医政局長 済みません。発言の機会がなかなかないので、最後に私からもちょっとコメントさせていただければと思います。

 本日は、大変熱心な御議論をいただきましてありがとうございました。私、ずっと拝聴いたしまして、どの先生のどの御意見もいずれも非常に重要な御指摘だと思いました。私どもとして真摯に受けとめて、一つ一つの御指摘に対して適切に対応してまいりたいと思います。

 働き方改革に関しまして、働き方改革の検討会でも議論されておりますけれども、この場でもまた大変貴重な御意見をいただいたと受けとめております。特に時間の問題が非常に注目を集めておりますけれども、この問題は時間の問題だけではなくて、さまざまな問題が絡んでおります。該当の検討会は労働基準局も出ておりますし、先日は、副大臣が両名、最初から最後まで参加をいたしまして、この問題は非常に重要な問題であり、かつ、省全体の問題であるという認識で取り組んでおります。

 先生方、また関係者、関係団体からのインプットもぜひいただきたいと思いますし、問題意識もストレートに伝えていただければよろしいかと思います。何より、相澤先生から、そういう意味ではなかったのかもしれませんけれども、国があれこれ指示をするというのがこの世界にとっていいのかどうかという御指摘をいただいたような気もいたします。やはり自主的な取り組みというのは非常に大事ですので、我々はまず自主的な取り組みをお願いし、しかも、多角的な取り組みをお願いするというスタンスでやっておりますので、ともにこの問題に対して取り組んでいく、考えていくということでお願いしたいと思います。

 それから、広告に関しても非常に御意見をいただきましてありがとうございます。個々の発言については申し上げませんが、特に中川先生の御指摘は非常に大事だと思っております。いろいろ議論が錯綜したかもしれませんけれども、私どもの基本スタンスは、あくまで国民に対する保健衛生上の危険が生じないようにするという行政の負っている使命をいかに実行するかでございます。

 今回、法改正をして、ネットについても監視対象にするということで、ネットパトロール事業の御説明をしたので、何か民間業者に任せているようなイメージが出てしまったかもしれませんが、6月以降は、当然、医療機関に対する監視指導の一環として取り組むことになりますので、国、都道府県をあわせて、先ほど罰則の話もございましたが、基本的には都道府県と国が監視指導し、立ち入りをするなり、報告命令をかけるなりして実態を把握した上で、適切な処分ということの一般的な衛生上の規制の上に乗っかってまいります。ネット上で、形式的には広告に当たらないものであっても、明らかにおかしなものについては虚偽・誇大の中でひっかけていくことも可能です。そして、SNSであっても、我々、SNSと通常のネットを区別するつもりはなく、ネットの世界にあるさまざまな情報を個々に実態把握しながら不適切なものについては取り組んでいくということです。一般的には、個人が出しているものは広告とは見えない場合があると思いますが、明らかにおかしなものについては、当該ブログ又はSNSで利益を受けている医療機関に対して、金銭提供がないかどうかを行政的に確保することも含めて、適切に取り組んでいくことが大事だと思います。

 我々、中川先生の言葉をかりれば、危機感を持って対応させていただきたいと思います。特に保険診療につきましては一定の有効性・安全性が確保されておりますが、自由診療の分野はそうではないので、そういった観点も踏まえて対応すべき問題だと受けとめます。

 本日は、大変有意義な御議論をありがとうございました。

○永井部会長 ありがとうございます。

 それでは、連絡事項をお願いいたします。

○医療政策企画官 次回医療部会の日程につきましては、詳細が決まり次第、改めて御連絡をさせていただきます。

 以上です。

○永井部会長 それでは、本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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