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2018年4月24日 肝臓・膵臓・腎臓移植の基準等に関する作業班議事録

健康局難病対策課移植医療対策推進室

○日時

平成30年4月24日(火) 15:00~18:00


○場所

経済産業省別館114号会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目3-1)


○議題

1 肝臓移植希望者(レシピエント)選択基準の改正について【肝臓】
2 待機Inactive制度について【肝臓・膵臓・腎臓】
3 小児提供者(ドナー)からの臓器提供時、同時移植の取り扱いについて 【膵臓・腎臓】
4 リンパ球クロスマッチの取り扱いについて【膵臓・腎臓】
5 腎臓移植希望者(レシピエント)選択基準の変更について【腎臓】

○議事

○蔵満室長補佐 定刻になりましたので、ただいまより「第1回肝臓・膵臓・腎臓移植の基準等に関する作業班」を開催いたします。班員の先生方におかれましては、お忙しいところお集まりいただき、誠にありがとうございます。前回の作業班の開催が平成289月になります。前回から、班員の先生方も代わっておられません。時間の制約もありますので、このまま会議を進めます。それでは、以降の議事の進行を田中班長にお願いいたします。

○田中班長 信州大学の田中でございます。よろしくお願いいたします。最初に、事務局より資料の確認をお願いいたします。

○蔵満室長補佐 今回からペーパーレス会議になっておりますので、御不明な点がありましたら、事務局のほうに手を挙げてお知らせください。お手元のタブレットの左下にAdobeのマークとホルダーのマーク、2つが見えているかと思います。どちらを押していただいても構いません。00番から議事次第、01番が資料1「肝臓移植希望者(レシピエント)選択基準変更における確認事項」、資料2「待機Inactive制度について」、資料3「小児ドナーからの臓器提供時、同時移植の取り扱いについて」と続いております。参考資料がその後ろに入っております。参考資料1-1「新肝移植レシピエント適応基準」、参考資料1-2「肝臓MELDスコア対応の確認事項」、参考資料2-1「肝臓レシピエントに係る待機inactive制度について」と入れております。

 本日の議事の進め方ですが、最初の30分間で肝臓の議題(1)を検討いたします。引き続き、議題(2)まで肝臓作業班の先生に御参加いただきます。肝臓の先生方は、議題(2)の検討が終了後、お帰りいただき構いません。御不明な点がありましたら、事務局までお知らせください。事務局からは以上です。

○田中班長 よろしいでしょうか。事務局より、「肝移植希望者(レシピエント)選択基準の改正について」、資料に基づいて説明をお願いいたします。

○蔵満室長補佐 タブレットの資料番号01、資料1「肝臓移植希望者(レシピエント)選択基準変更における確認事項」を説明いたします。1.これまでの経緯です。2年前になりますが、平成287月に3学会からなる脳死肝移植適応評価委員会、日本肝臓学会肝移植委員会で「レシピエント適応基準」の「医学的緊急性」について、疾患と病態に基づき適正な医学的緊急性への変更を行ったほうがよいとの合意がなされました。こちらは参考資料1-1として別納しております。本合意に基づき、「レシピエント選択基準」に反映するよう提案がなされたことから、同じ年、平成28927日に厚生労働省肝臓作業班でレシピエント選択基準の変更が了承され、同年1031日に開催された第45回厚生科学審議会疾病対策部臓器移植委員会で承認されております。現在、日本臓器移植ネットワークで新レシピエント選択基準を反映させるためのシステム改修作業が行われておりますが、システム設計の際、幾つか確認事項が生じたため、これらについて検討する必要があります。参考資料1-2として、JOTのシステムのほうからの確認事項を入れております。

 参考資料1-2をまとめたものが資料12.からの説明になります。具体的な確認事項を説明します。まず、2.肝臓移植レシピエント選択基準変更のための確認事項の(1)MELDスコア値についてです。MELDスコアの計算について、入力する検査値は小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位までを入力する。また、以下の範囲外の入力は不可とします。血清クレアチニン値が1.04.0まで、血清総ビリルビン値が1.0999.9まで、PT-INR値が1.0999.9までとなります。MELDスコアの計算結果に関しては、小数点第1位を四捨五入した整数であっせんさせていただきます。

 原疾患が以下の場合、移植希望者登録時にMELDスコア換算値を16(HIV/HCV共感染重症は27)とし、登録日から180日経過するごとに2点加算します。こちらに関しては、学会からいただいた基準の中で6か月となっていたのを180日に変更しております。また、2点の加算に関しては、システムによる自動加算とします。その他の原疾患に関してはMELDスコア検査値により計算します。該当する疾患名は、下に並べてあるとおりになります。

 肝細胞がんについては、90日経過するごとに画像検査を施行し、ミラノ基準の遵守を確認した上で、登録時のMELDスコアに2点加算した値を登録します。こちらに関しては、学会から頂いていた基準の中で3か月となっていたものを90日に変更しております。また、画像を確認した上での再登録となるので、登録時の2点加算は自動加算にはしておりません。肝芽腫については、登録時にMELDスコア換算値を16点とし、90日経過するごとに画像検査を施行し、肝外転移のないことを確認した上で2点加算した値を登録します。こちらに関しても、3か月とされていたのを90日に変更しているのが1点です。また、肝芽腫に関しても、システムによる自動加算は行いません。次に原疾患名が変更される場合、例えば軽症から重症へ変更される場合に関しては、新規登録として扱います。その場合、新規登録料は不要とし、MELDスコアの加点換算は新規登録された時期を起点として計算し、待機日数については初回登録時の日数がそのまま引き継がれます。どういうことかと申しますと、例えばPSCの患者さんが10年前に登録されていて、軽症から重症へと変更された場合に、こちらは新規の疾患名として登録していただきます。この場合、待機日数に関しては10年間という日数が引き継がれますが、加点換算に関して、2点の換算は重症として登録した時点を起点として計算します。また、Status1から2への変更は不可となります。

(2)MELDスコアの更新時期についてです。MELDスコアの更新時期は、以下の通り設定します。当該施設に対し、更新期限が近づいた移植希望者についてお知らせを行います。更新期限が過ぎた移植希望者は、あっせん対象外とします。Status1の場合は更新期限が7日間、Status2の場合はMELDスコア25以上の場合14日、19以上24以下の場合30日、18以下の場合90日としております。こちらは学会から提出された適応基準の中で、1か月、3か月となっていたのを30日、90日に改めております。また、MELDスコア18未満とされていたのを、18点が浮いてしまうので、18以下としております。

(3)新基準運用開始時の移行についてです。新基準運用開始日までに肝臓移植希望者のMELDスコア設定用の原疾患名とMELDスコア値、MELDスコアの更新日を設定します。該当疾患について、加点周期の基準日は新基準の運用日とします。こちらに関しては、現在、既に登録されている患者さんに関して、新基準の運用開始日までに該当する疾患名と該当するMELDスコアを設定します。また、自動加点される疾患名の方に関しては、加点の基準日が新基準運用日として、そこからの計算となります。

 下のほうにレシピエント選択基準の新旧対照表を入れております。左側は今回見ていただく改正案になり、右側が現行のものになります。左右で見比べると変更点に下線を引いております。具体的に申しますと、(3)医学的緊急性の所で左側に下線を引いておりますが、「Status1の場合7日、Status2MELDスコア25点以上の場合14日、19点以上24点以下の場合30日、18点以下の場合90日以内に更新し、更新されない移植希望者については候補者から外れる」という文言を入れております。

 また、その3行下、「MELDスコア計算用に入力する検査値は、小数点第2位を四捨五入し第1位までを入力し、以下の範囲外の入力は不可とする」と入れたのと、「MELDスコア計算結果は、小数点第1位を四捨五入した整数とする」という文言を入れております。また、(1)として、右側を見ると、今までの選択基準の中では先天性肝・胆道疾患及び先天性代謝異常症については、肝臓移植が治療的意義を持つ時期、患者の日常生活に障害が発生している状態及び成長障害がある状態を考慮の上、MELDスコアに換算して評価する」と入れておりましたが、左側の新基準の中では、具体的な疾患名を入れております。

 下のほうの(2)肝細胞がんについては、90日経過するごとに画像検査を施行し、ミラノ基準の遵守を確認した上で、登録時のMELDスコアに2点加算した値を登録する。(3)、新設になります。肝芽腫については、登録時にMELDスコア換算値を16点とし、90日経過するごとに画像検査を施行し、肝外転移のないことを確認した上で2点加算した値を登録すると入れております。資料の説明は以上になります。

○田中班長 実際に入力するとなると、いろいろ細かい点まで決める必要があります。そのときに出てきたポイントを並べていただきましたので順番に検討していきたいと思います。まず、(1)MELDスコアの値についてはいかがでしょうか。小数点第2位を四捨五入して、小数点第1位までを入力する。ここで、計算結果は小数点第1位を四捨五入し、整数として扱うというのがポイントになると思います。これについては、よろしいでしょうか。

○國土班員 これは実施施設側で計算するのですか。どこかのサイトに入力するのですか。

○蔵満室長補佐 サイトに入力して、結果がお返しできるようになっております。そこに入力する際に、小数点第1位までしか入力できないようにしております。

○古川班員 これはクレアチニン、ビリルビン、PT-INRですが、1.0以下ということは、しばしばありますよね。その場合、小数点第2位以下を四捨五入して、0.8とか0.9は入れられないということになるのですか。

○蔵満室長補佐 おっしゃるとおりです。

○古川班員 全部1として扱う。それは何か文言は要らないですか。それとか、透析患者とか、クレアチニンが4以上の患者は全部4として扱うとか、そういう文言は要らないでしょうか。

○田中班長 あったほうがいいです。

○古川班員 そうしないと、これは。

○市田班員 これだと0.7はオミットに見てしまいますよ。そうでしょう。

○國土班員 MELDが出ないということです。

○市田班員 1.0以下は1にして、4.0以上は4にする。これはそういう意味でしょう。

○國土班員 そうです。

○市田班員 それを文言書いたほうがいいです。

○田中班長 それを付け加えるということで、委員の先生方、よろしいですか。それをよろしくお願いします。ほかはいかがでしょうか。

○國土班員 「MELDスコアの計算結果は」とか書いてありますが、これは自動的に出るわけだから、必ずしもなくてもいいわけですよね。説明書きにすぎない。

○蔵満室長補佐 そうですね。整数でお返しすると。

○國土班員 計算した結果ということでこれになっていると。

○蔵満室長補佐 はい、おっしゃるとおりです。

○古川班員 MELDの上限については、特に制限なしということです。加算されたら、もうそのままいくという。普通040と言われていますが、そうではなくて、どんどん上がっていくということですね。

○蔵満室長補佐 計算してできた数字をそのままお返しするので、上限はありません。

○古川班員 加算がありますよね。例えば年間8点とか入れていけば、どんどん上がっていくので、それはそのまま表すということですか。

○蔵満室長補佐 はい。

○市田班員 しょうがない。ドナーが出なくて、45とかあるかも分からない。

○田中班長 よろしいでしょうか。次に加点についてご意見をいただきたいと思います。MELDで単純に計算できる疾患はいいのですが、そうでない疾患は、ある条件を満たした時点で、点数を付けて、一般的には16点ですが、その後180日経過するごとに2点ずつ加算することがここに記載されております。ただ、HIV/HCV共感染の場合は1ランク上がりますので、軽症の場合は16点からですが、重症の場合27点からになります。180日ごとに2点ずつ加算する疾患が下にずらっと並べてありますが、いかがでしょうか。

○市田班員 逆に言うと、この疾患でない場合は駄目となりますか。どうしますか。今回も私のほうにすごい患者の登録なんかあるのですよね。その他に入れなくてはいけないみたいな、例えば多発の血管腫があって、肝臓が3kgぐらいあって、そういうのも北海道大学から出てきた。そういう、いわゆるここに出ないけど肝不全というのがありますが、それはその他に入れますか。その他にして何かやっておかないと、レスキューできないような気がする。

○田中班長 その他というのは入れられるのですか。

○蔵満室長補佐 非代償性肝硬変の場合は、学会からすでに適応基準としていただいているので、非代償性肝硬変として病名を入れて、登録はMELDスコアの実施順位を反映させるということになります。市田先生がおっしゃっているのは、肝硬変ではない方ということですよね。

○市田班員 そうです。こういうもの。

○田中班長 MELDで評価できないもの。

○市田班員 評価できないもの。思いもよらない疾患がくるのです。それをここに全部、羅列できない。

○國土班員 その他にしても、結局、誰か判定する人がいるのではないですか。先生みたいな方がやはり。

○市田班員 だから、誰かが判定してほしい。

○國土班員 それは市田委員会でしょう。

○市田班員 首を締めてるみたい。

○田中班長 市田委員会ですね。

○市田班員 結局、今回もそれで悩んだのですよ。これにないものがね。それはほかの委員会で確認して、これは何点相当で、結局はpolycystic diseaseに合わせたのです。そうなるのです。やはりそういうことが出てきたときに、誰が判断するかとなって、どうするか、入れないとなるから、その他は入れておいて、それは委員会で検討するぐらいにしておかないと、平等にならないような気がするのですけれどもね。

○國土班員 肝移植研究会か移植学会に、何かやはり準備委員会と同じようにですね。少ないでしょうから。

○田中班長 ただ、リアルタイムに対応しないといけないですから。

○國土班員 もちろん、そうです。

○田中班長 だから、今の委員会。

○市田班員 今の委員会は12年は並行で確認しながらやるということになっていますので、そっちでやってもいいと思います。

○田中班長 現在、適応評価委員会が行われていますが、市田先生から、時々、リストにない病気の評価依頼があります。どう考えても移植の適応があるという疾患がありますので、それに対応できるように「その他」を作っておくことはできますか。入力は検討委員会ですることになります。

○井内室長 現在、移植がどんどん増えてきている。今後も増加することが期待されている中で、実際あっせんのルールが、今のルールではかなりファジーなところが多いのが課題となっています。ファジーな部分が残ると、どうしてもJOTの中であっせんをする際に、いわゆる移植施設への確認が必要となったり、あっせんミス引き起こしかねないというので、基本的には判断の入らないシステムとし、将来的にはボタン1つで、我々としてはたとえ移植提供数が5001,000になったとしても対応できるような仕組みにしていかないといけないという問題意識があります。

 そういった中で検討いただいているということなので、今回、いただいた意見の中では、確かに医学的にそういうことがあるということは、我々としても最大限、尊重させていただきたいと思っておりますので、そうであれば、それが例えばどういうスキームで入れていくのか。例えば肝移植研究会で検証した後、どういったステップで入れていくのかというところまで決めていないと、今まではかなり数も少ないですし、先生方も顔の見える関係の中で患者さんを選んでいけるということができている環境なのですが、そうでない環境は、そんなに遠くない未来に来るだろうと考えています。

 そういったときに、全自動のシステムを作る必要があると考えていますので、私としては今の御意見自体が駄目だという気は毛頭ないのですが、そういった場合にどういう仕組みで入れていくのか。また、選択基準のほうで一旦きまってしまいますと、これがルールになってしまいますので、次に変更するには時間がかかります。我々としてはこれは学会のほうから上がってきたので、これで全ての状態が網羅されているという認識だったのですが、現状の基準では網羅されていないということであれば、それについてどうするかというようなルールのところは、また新たに設定するべきかなと思います。

 趣旨としては、今まで以上に、その場の状況を見てきめるというところを、できる限り排除して、決めていきたいと思っております。そういう方向でレシピエント選択基準を、これから設定していくのだろうと思っておりますので、御協力よろしくお願いいたします。

○市田班員 ですから、そんなに難しいことではなくて、ここ以外の疾患がありますので、その他としてこれは先生がおっしゃったとおり、すぐ登録できなくて、脳死肝移植適応評価委員会が判断して、それで返すと、それでいいのではないですか。

○國土班員 恐らく、例えば室長がおっしゃるように500例になったら、余りそういうことは問題にならないと思う。もっとスピード感が大事だと思うので、例えば施設の適応委員会で、これはその他の中に入ると言って決めたら、それでいいと、そういうことですよね。そのようにしてほしいということではないですか。

○井内室長 ルール作り次第だと思っております。

○國土班員 だから、ローカルのそれぞれの施設の責任で、その他の中に入る適応疾患だと認めたら、もうそれでMELDで決めていいと。

○市田班員 それはいいのですが、私の言っているのは、今少ない状況でそういうチェックをするのですが、500例になったらそれはできませんが、とりあえずはこれは始まったとしても12年は委員会はダブルチェックしますから、そうやっていけば、ここで先生の心配もなくなると思います。

○古川班員 アメリカのUNOSでもそうですが、今でもコミッティーがあって、皆さんが迷うような疾患については話し合って、何点を付けようということをやっているわけです。決まってくればいいと思うのですが、例えば肝肺症候群とか肺高血圧症とか、いわゆる肝硬変の程度というか、ビリルビンなどに反映しないような場合で、どんどん病態が悪化していくようなときは、そういう別のパスを作らないといけないし、先ほど市田先生が言われたような血管腫でも移植になるような場合が、この前そういうのがあったのですが、そういうこともありますので、それは今までの適応評価委員会から上げられるようなパスを作ってほしいという、そういう意味なのですけれども。

○井内室長 恐らく適応評価委員会でやるという、ここでの合意が頂けて、そういったスキームで入れるようにということであれば、いわゆるその他を設けて、そのスキームを動かすと。我々としてはJOTとも相談をして、また先生方に具体的なスキームの動かし方を今後、御相談させていただくことになるかと思います。

○田中班長 適応評価委員会はまだ続きますので、市田先生、よろしくお願いします。検証もしなければいけないので。

○國土班員 もう1つ、グラフト不全は入らないのでしたか。

○蔵満室長補佐 入らないです。

○國土班員 グラフトでの原疾患の再発はどうでしょうか?

○市田班員 1年以上は。そうでしょう。

○國土班員 そうです。

○市田班員 とりあえずは100例くるまでは、1年以内のものは駄目ですが、1年以上たったら全部OKですよ。

○國土班員 1年以上たったPSCの再発はOKなのですか。

○市田班員 全然問題ないです。そのまま非代償性肝硬変でいい。

○國土班員 で、いいのですか。

○市田班員 はい。

○田中班長 あとは重症、軽症という言葉の確認ですね。

○蔵満室長補佐 1ページ目の今、御説明いただいている「原疾患が以下の場合、みなし」という所で、私のほうで「例えば家族性肝内胆汁うっ滞症重症」という形で、「高度の栄養不良と成長障害、制御できない掻痒感の存在」という文言を重症と書かせていただいたのですが、昨年、肝移植研究会のときの施設会議の中で御指摘を頂いておりましたというのを田中先生に確認していただいていましたので、重症、軽症ではなくて、名前だけなのですが、家族性肝内胆汁うっ滞症12で、1が非代償性肝硬変に準ずる症例で、2がここに入れてある高度の栄養不良、成長障害、制御できない掻痒感、高コレステロール血症が存在する症例というように、重症、軽症ではない形で、文言は入れさせていただきます。

○田中班長 1は計算で出す方、2が加点で出す方ですね。

○蔵満室長補佐 はい。

○田中班長 それを重症、軽症と言ってしまうと誤解が出るのでということで、直していただきたいということになります。よろしいでしょうか。次の肝がんです。これもいろいろ御議論があったのですが、これについては加点のペースが少し早いということになると思います。いかがでしょうか。

○市田班員 3か月ごとに、エコーなど画像で確認して、ミラノ内だったら2点ずつ増えていくということですよね。

○田中班長 そうです。

○市田班員 それは自動ではないということですか。

○田中班長 はい。

○市田班員 ということはどうするのだろう。

○田中班長 次の肝芽腫も大体同じですね。16点。

○市田班員 自動加算をしないということは、画像で確認したら、また言うということですよね。

○蔵満室長補佐 入力をしていただく。今16点で入ったものが、3か月後に画像を撮っていただいたら18と入れていただいたら大丈夫です。

○市田班員 ミラノ内だったということを確認すればいいですね。

○蔵満室長補佐 はい、おっしゃるとおりです。

○市田班員 入力すると。

○田中班長 肝芽腫も、よろしいですね。

○國土班員 今回は、ミラノ基準の見直しはしないのですね。

○市田班員 しないでしょう。

○國土班員 もうすぐ日本の全国データに基づく拡大基準についての論文が出るとは思いますけれども。

○市田班員 でも、まだそれは今回入っていないですね。

○國土班員 それは、また先の問題ということで。

○田中班長 よろしいでしょうか。次は、「原疾患名が変更される場合は、新規登録として扱う」、これもよろしいですね。「Status1から2への変更は不可とする」、これもよろしいですね。「MELDスコアの更新時期について」ということで、これは週とか月で示してあるのを日に直したということです。一番下の18以下ですが、前は未満と書いてあったのですが、18がなくなってしまうので、以下に直しました。よろしいでしょうか。

 次に、「(3)新基準運用開始時の移行について」ということで、現時点で登録されている方はMELDスコア設定用の疾患名とMELDスコア値から変更日を設定します。その日を基準として加点を行うということになったと思います。次の新旧対照表は、今までのまとめですよね。同じことの繰り返しですね。

○蔵満室長補佐 はい。

○田中班長 だから、省きますが、いつも最終報告はこういう書き方になるのですね。

○蔵満室長補佐 はい。

○田中班長 これで一通り検討できましたが、よろしいでしょうか。

○國土班員 更新期限が近づいたときのお知らせというのは、どういう形で来るのでしょうか?

○蔵満室長補佐 今、考えておりますのは、EVASの画面にログインしていただいたときに、患者さんの誰々さんの更新期限が何日で切れますので更新してくださいということが分かるようなアラート機能を出そうと思っております。

○古川班員 選択基準の現行の一番初めの優先順位の(2)で血液型の所がありますよね。ABO式血液型、これは現行と変わらないので、現行はこれでいっているわけですが、「ABO血液型が一致する者を適合する者より優先する。ただし、選択時に2歳未満の場合には、血液型が一致する者として扱う」と。これは適合者を一致する者として扱うという意味ですよね。ちょっと文言としては分かりにくくなっていると思ったので、確認です。

○田中班長 これは、2歳未満は全部、同じ血液型、血液型が合っているとします。アイデンティカルとして扱うということです。

○古川班員 扱う、ちょっと主語がなかった。

○田中班長 よろしいでしょうか。この上に親族優先というのがあるのですよね。

○蔵満室長補佐 はい、あります。

○田中班長 ここには書いてないですが、よろしければ、この議題については御承認いただいたということにします。すなわち、MELDスコアの更新時期を過ぎても更新しなかった移植希望者はあっせん対象外とする。要するに更新が遅れた場合ということですね。通知しても更新されなかった場合には対象外、inactiveになります。

○蔵満室長補佐 そうですね。あっせんの順位の表には載りません。

○田中班長 載らないということですね。そういうことはないと思いますが、よろしくお願いいたします。それでは、(2)の議題に移りたいと思いますが。

○蔵満室長補佐 ほかの先生にも見てもらいますか。

○田中班長 そうですね。腎臓と膵臓の先生と一緒に。

○笠原班員 成育の笠原です。疾患名の確認なのですが、前にも出てきて後半にも出てくる疾患名で、Glycogen storage diseaseの小児type1と書いてあるのですが、この小児というのは何か意味があるのでしょうか。学会からのあれでしょうか。

○井内室長 学会からの。

○笠原班員 そうですか。小児期を乗り越えて、1型で成人で移植に至る症例もありますので、なくてもいいかなと思うのですが、また御検討いただければなと思いますけれども。

○田中班長 先生、もし必要であれば、今、決めてしまいましょうか。

○笠原班員 ないほうがいいと思います。

○井内室長 実際これを頂きました学会のほうでも、いろいろな検討がなされて出てきたと。スキームとしては先生がおっしゃるとおり、ここで決めることではあります。ここで決めることではあるのですが、いわゆる学会のほうから上がってきたのが事実関係として、ここでひっくり返していいのかどうかということではあるので、すみません。私も知識がないので、それが正しいことなのかどうなのかの判断がつかなくて申し訳ないのですけれども。

○田中班長 移植学会と肝移植研究会と肝臓学会の3つの学会の合同委員会で決めたと思いますが、ほとんどのメンバーがここにいますので、問題ないと思います。

○國土班員 括弧で小児も含むとか書いて。

○古川班員 それだったら、小児を外せばいい。そうでしょう。小児を切っても、全部このままであるから、いいのではないですか。

○笠原班員 小児を切っても余り問題にならないと思いますので、一番最初と最後の疾患名の「glycogen storage disease type1」の前に「小児type1」と書いてありますよね。この「小児」は要らないような気がするのですけれどもね。

○蔵満室長補佐 分かりました。繰り返しで申し訳ないのですが、一応、学会から来た1)小児type1で食事療法不応例はMELDスコア16点相当とすると書いてあるのですが、これも削ってよいということですか。

○笠原班員 削って大丈夫だと思います。

○蔵満室長補佐 分かりました。

○田中班長 よろしいでしょうか。議題(2)に移ります。事務局より、「待機inactive制度について」、御説明をお願いいたします。

○蔵満室長補佐 それでは、これから肝臓・膵臓・腎臓、3つの合同作業班を開始させていただきます。今回3班合同になりますので、最初に手短ではありますが、班員の先生方の御紹介をさせていただきます。まず肝臓のほうですが、班長は田中榮司先生にお願いしております。次に市田隆文先生です。上田佳秀先生です。笠原群生先生です。國土典宏先生です。古川博之先生です。星野健先生です。続きまして、膵臓の作業班班長を深尾立先生にお願いしております。石田均先生です。伊藤壽紀先生です。稲垣暢也先生です。浦上達彦先生です。剣持敬先生です。松久宗英先生です。丸橋繁先生になります。次、腎臓のほうですが、班長を両角國男先生にお願いしております。中川健先生です。西愼一先生です。服部元史先生です。湯沢賢治先生です。脇田隆宇先生です。以上になります。

 次に資料の確認をさせていただきます。資料のほうは申し訳ありませんが、タブレットで用意しております。お手元には議事次第を用意しております。タブレットに関しては、左下のフォルダのマークか、adobeのマークを押していただくと、全て資料が格納されていますので御確認ください。資料2「待機inactive制度について」、資料3「小児ドナーからの臓器提供時、同時移植の取扱いについて」、資料4「リンパ球クロスマッチの取り扱いについて」、資料5「腎臓レシピエント選択基準の変更について」となっております。また、お手元に審議会等のペーパーレス開催に係るアンケートを配布しておりますので、御協力をお願いいたします。

 今後の議事の進め方ですが、議題2に関しては、肝臓・膵臓・腎臓全ての先生方に議論していただきます。議題2が終了後、肝臓作業班の先生方には退席していただいて構いません。続いて1時間で議題34を、膵臓と腎臓の作業班で検討させていただきます。膵臓の先生方は議題4が終了後、お帰りいただいて構いません。最後の1時間で議題5を腎臓作業班で検討させていただく予定にしております。

 それでは、議題2に移ります。お手元のタブレットの議題2を押していただき、「待機inactive制度について」という資料を御覧ください。分からなければ事務局のほうが説明しますので、お手を挙げてください。1.移植希望者(レシピエント)自己都合による移植辞退者についてという項目について説明いたします。平成303月までに、あっせん事例評価委員会で、こちらはJOTで開催している評価委員会になりますが、評価された過去の提供事例326例中、自己都合により移植を辞退したレシピエントは、心臓で1名、肺で18名、肝臓で4名、膵臓で23名、腎臓で92名いらっしゃいました。また、複数回辞退したレシピエントは、肺で5名、うち2回辞退された方が5名、膵臓で8名、うち2回辞退された方が4名、3回辞退された方が1名、4回辞退された方が1名、6回辞退された方が1名、7回辞退された方が1名、腎臓で4名、2回辞退された方が3名、4回辞退された方が1名いらっしゃいました。医学的理由だけではなく、個人的理由で移植を辞退する患者についても、待機inactive扱いとし、あっせんの対象から除外することとしてはどうかと考えます。

 「参考」として、下に心臓、肺、肝臓、膵臓、腎臓の辞退された人数と辞退理由を表にして表わしております。

 次に、2.肝臓レシピエントに係る待機inactive制度についてです。現在、肝臓移植希望者(レシピエント)が、感染症等の医学的理由により当面の間、移植を受けられない場合又は容態が落ち着いており当面の間、移植を受ける意思がない場合、一時的に臓器あっせんの対象から除外する待機inactive制度が実施されております。

 今般、日本臓器移植ネットワークの行ったシステム改修により、移植施設が直接inactiveの状態を更新できるようになったため、肝臓移植希望者選択基準を以下のように変更することを提案しております。改正案が左側、右側が現行になります。右側の現行では、肝臓移植希望者レシピエントが感染症等の医学的理由により当面の間、移植を受けられない場合、又は容態が落ち着いており、当面の間、移植を受ける意思がない場合、日本臓器移植ネットワークにその旨を事前に報告しておき、一時的に臓器のあっせんの対象から除外する。

 具体的手順としては、(1)の中で、各移植施設の先生から、下線の部分になりますが、ネットワーク登録医師からネットワークへ、書面により連絡をします。(2)(1)の連絡があった場合において、ネットワークは移植施設に対し、当該移植希望者を「待機inactive制度」の対象とした旨の連絡を行う。(3)またレシピエントが医学的理由により、「移植を受けられない状態ではない」と確認され、かつ移植を希望した場合、ネットワーク登録医師からネットワークに書面により連絡を行い、(4)(3)の連絡があった場合において、ネットワークは移植施設に対し、当該移植希望者を「待機inactive制度」の対象から外した旨の連絡を行っておりました。こちらが現行の取扱いになります。

 左側の改正案では、こちらの部分のうち、ネットワークを介する部分を全て削除しております。具体的手順としては、(1)各移植施設の登録医師は、当該移植希望者(レシピエント)を「待機inactive制度」の対象とするとし、次に(2)またレシピエントが医学的理由により移植を受けられない状態ではないと確認され、かつ移植を希望した場合、各移植施設の登録医師はレシピエントを「待機inactive制度」の対象から外すとしております。

 次に、肝腎同時移植希望者の取扱いをどのようにするか。現行の扱いで肝腎同時移植希望者がいらっしゃって肝臓をinactiveにした場合、腎臓のあっせんに関しては、あっせん順位は残っております。こちらの取扱いをどのようにするかということを今まで議論されたことがありませんでしたので、今回、事務局案を二通り用意しました。事務局案1は、従来どおりで、肝臓移植希望者がinactiveになった場合、肝臓移植のみあっせんされず、腎臓移植に関してはあっせん対象となるという取扱いにします。事務局案2は、肝臓のinactiveと連動して腎臓もinactiveに変更します。こちらはシステム上で連動させ、肝臓のinactiveが行われた段階で腎臓もあっせん順位に残りません。

 次のページです。3.膵臓レシピエントに係る待機inactive制度についてです。平成28103日、膵臓移植においてもinactive制度を導入してほしいとする要望が、日本膵・膵島移植研究会より提案されております。現在、肺と肝臓移植希望者選択基準では、既にinactive制度が導入されております。両臓器の基準を参考にし、レシピエント選択基準に、新たに「待機inactive制度」を追加することとしてはどうかということを、事務局案として出しております。

 具体的には、こちらは新規になります。膵臓レシピエントに係る待機inactive制度について、1.概要です。移植希望者(レシピエント)の容態が落ち着いており、当面の間、移植を受ける意思がない場合、一時的に臓器あっせんの対象から除外する。2.具体的な手順としては、患者と主治医との話合いの結果、レシピエントに当面の間、移植を受ける意思がないことが確認された場合、各移植施設の登録医師は登録患者を待機inactiveの状態に変更する。また、レシピエントが再度移植を希望した場合、各移植施設の登録医師は、待機患者を待機inactiveの状態から外す。なお、待機inactive制度を利用している期間も、レシピエントの待機期間の対象となるとしております。

 この場合、膵腎同時移植希望者の取扱いをどのようにするかということを、今回、事務局のほうで提案しました。案1は、従来どおり、膵臓移植のみあっせんされず、腎臓移植に関してはあっせん対象とする。案2は、膵臓のinactiveと連動し、腎臓もinactiveに変更する。すなわち「膵臓移植を受ける意思がない=腎臓も移植を受ける意思がない」と判断し、膵臓をinactiveに変更した時点で、同時に腎臓もinactiveに変更するという案の2つを用意しました。事務局からは以上になります。

○田中班長 これは最初から議論してもいいですね。

○蔵満室長補佐 はい。

○田中班長 では最初の1.移植辞退者の所で、最初の○の所は、大体どのぐらい辞退者がいるかという現状を見ていただいていると思います。2番目の○ですが、「医学的理由だけではなく、個人的理由で移植を辞退する患者についても待機inactive扱いとし、あっせん対象から除外することとしてはどうか」という問題提起がありますが、これについてはいかがでしょうか。肝臓についてはinactive制度ということで行う予定でいますし、膵臓については後の議題にありましたね。

○國土班員 私の施設のコーディネーターは少し厳しかったかもしれませんが、やはり脳死登録する場合に、脳死登録するということの「社会的責任」を強調していました。「社会的責任」は言い過ぎかもしれませんが、そういう覚悟をしてください、というような説明をしていたのです。ですから、「あなたがもし登録したら気軽に海外旅行に行けないかもしれませんよ」とか。そこまで厳しくするかどうかは別にして、気を付けないとモラルハザードになる可能性があるのではないかと思います。早めに取りあえず登録だけしてしまって、その後はずっとinactiveということもあり得るので、乱用の危険もあります。ですから、何らかの歯止めが必要かなと思います。例えば、自己都合の場合は、少なくとも待機期間に入れないとか、何かそういう仕掛けが必要ではないかなと思います。

○中川班員 非常に難しいかなと思うのは、自己都合とか家庭の事情でやった場合に、ドクターサイドのジャッジメントを下していいのかどうかというのが、inactiveに自動的になるのには、非常に難しいのかなと思います。そのときの状況とか、やはり個人的に医療を受けられない状況というのもあり得る話で、それを医療サイドの話でinactiveという決定をしていくのは、ちょっと無理があるのではないかと個人的には思います。

○田中班長 そうすると先生、受けられないときにはinactiveにしないと。

○中川班員 inactiveにする、しないというのは、要するにネットワークに登録しているわけで、ネットワークと患者さんの間でそういう話を、逆に言えば、医者が問合せをするわけですけれども、それを逆に医者が聞くというのはいいと思うのですが、自動的に患者の都合で断られたからというのは難しいのかなと。断る場合には医者がそこで仲介してやっているわけですから、医者が確認してinactiveにしますかということを確認してネットワークに伝えるということはあるのかもしれませんけれども、個人の都合でとか、家庭の事情でなったものを、オートマティックにinactiveというのは、ちょっと難しくないですか。

○古川班員 私も今の中川先生の意見に賛成なのですけれども、過去で北海道大学にいるときに、例えば自分が裁判中なので受けられないという人もいましたし、家族の中で介護をどうしても自分がしないといけないのでできないとか、いろいろな家庭の事情はあり得るし、それを正当かどうかを我々で判断するのは非常に難しい線引きだと思うのです。例えば感染症とか医師が判断して、これはできないという場合はいいと思うのですけれども、そういう個人の理由について、こちらが判断をするのは非常に難しいので、それはもう一律にするしかないということになると思います。その待機期間にそれを入れるか入れないかというのは、決める必要があると思うのですけれども。

○両角班長 腎臓の登録者はプールサイズが大きくて、辞退される方は非常に多くなっています。待機期間も長いものですから、いろいろな医学的要件もたくさん出てきますけれど、それ以外の個人的要件といわれる中に、何が入っているか分かりません。腎臓の場合には、ネットワークとのやり取りの中で、移植施設がドナー情報を入手していますからレシピエント候補者からどうしましょうかとの問い合わせに今回のお話はお勧めではないと説明する可能性もゼロではありません。そのようなものが個人的なお断り理由に入っていたりですから、なかなか判断は難しいです、

 肝臓の待機期間は短いですが、腎の場合は長期間待機者が大部分ですので、非常に取扱いが難しいなと感じます。「はい、inactiveにしていい」とか「いけない」と答えづらいと私は思っているのです。腎臓の先生、御意見をもらえるといいのですが。

○田中班長 いかがでしょうか。

○西班員 今、両角先生がおっしゃったように、ここに主治医といいますか、患者さんの担当医ということだと思うのですが、これも腎臓に関しては透析を担当している方も主治医ですし、移植登録施設のドクターも主治医という形になるのですが、どなたがどのように主治医といって判断するかは、非常に難しいと思います。

 ただ一方で、複数回お断りになる方がいる、これも困ることだと思いますので、例えばinactiveにする基準を、複数回断った人はしばらくinactiveになってもらうとか、何か明確な基準にしたほうが私もよろしいのかなと思います。

○田中班長 膵臓の先生、いかがでしょうか。

○剣持班員 この39名の個人的理由には、明らかに個人的理由ではないものも入っているのです。例えば施設辞退というので断るべきものが、施設辞退ではなくてレシピエントの都合となっているのが、実はある。本当はそれはいけないのですが、ですから例えば、今、中川先生が言ったように、どこまでが個人的理由かというのが非常に分かりにくい所があって、我々が判断してもいけないという所もある。

 あとは西先生が複数回断ったらとおっしゃいましたけれども、1回目はそれが判定できなければ、複数回断ったのが本当に個人的理由で2回断ったから駄目だということには、やはりならないので、個人的には医学的な適応というものしか、やはり明確にはできないのではないか。あとは臓器によって差があるのかなという所がありますので、腎臓・膵臓に関しては医学的適応という所が1つの線引きなのかなという意見です。

○田中班長 ありがとうございます。よろしいでしょうか、

○深尾班長 inactiveにするかどうか、やはり患者さん本人の意思を聞いてから決めることなのでしょうね。そうであれば、そのときに確認して行えばいいのではないですか。余り問題にならないのではないですか。

○田中班長 意見が分かれていますが、多分、今日はいろいろな意見が出て、結論が出ないだろうという予測しています。臓器によって全然状況が違うので、学会ごとに議論する必要があると思っています。

○湯沢()班員 今回、肝臓はもう医学的制度があって、膵臓が去年の10月に出したというお話だったのですが、実は腎臓でもそういう話はポツポツ出てはいたものの、臨床腎移植学会として議論していなかったというのが実は問題で、腎臓も今お話がありましたように、10何年という待機年数の中で、非常に登録患者さんも高齢化していて、実際に癌の患者さんや何かが幾らでも出てきているわけです。そうすると、もう絶対的に何年間は待たなくてはいけないという患者さんが幾らでも出てきているのが現状なのです。ですから、そういう患者さんと、本当の個人の都合というのは、ある程度分けて考える必要があると思います。

 実際問題として腎臓でどんどんクロスマッチをしていったときに、1020人の候補者で、とても受ける人がいなくて、200位の人まで意思確認をしていくという、非常に無駄なことが実際に起きているのです。ですから、そういうところで適合性クロスマッチの施設や何かの無駄を省く意味もあって、実は無駄なクロスマッチをしないためにも、ある程度、除外できる人を作っておきたいというのが、検査施設での考えでもあるので、その絶対的な癌とか感染症で、もうしばらくは駄目なのだという人を除くことだけでも相当意味があるのではないかと思っています。同時に、最初にお話したように、是非この議論に腎臓のほうも臨床腎移植学会として、少し加わっていきたいと思っています。

○市田班員 例えば腎臓で医学的と言ったら、いわゆる医学的に考えると、今、激しい感染症があるとか、医学的だとそれぐらいですね。

○湯沢()班員 やはり私どもが現場で一番、実は連絡したとき困るのが、癌の患者さんです。

○市田班員 そう、癌だったら落ちるでしょう。癌があっても移植を受けるのですか。

○湯沢()班員 ですから、何年間か完全に再発がなくて。

○市田班員 昔のね。

○湯沢()班員 ええ、そういう場合には、やはり適合になるわけですけれども、例えば進行癌で、癌によって違いますけれども、5年とするか3年とするかという期間は、やはり。

○市田班員 昔の、癌で治療した後の話ですね。

○湯沢()班員 そうです。

○市田班員 現状あれば駄目かもしれない。

○湯沢()班員 現状あれば駄目ですけれども、癌の手術後にすぐ可能となるわけではありませんので、そういうことを考えると、絶対的な医学的inactiveというのはあると思うので。

○市田班員 あると思います。膵臓はどういうinactiveなのですか。やはり同じでしょう、医学的根拠は。

○剣持班員 基本的には腎臓と同じです。

○西班員 去年の透析患者さんですが、無症状の冠動脈疾患の方か結構いらして、術前のチェックで、非常に危険な心臓疾患を持っている方もいるような。

○剣持班員 それは医学的理由になるよね。

○湯沢()班員 なります。今はPI直後の人で、とても凝固剤を切れないとか、そういう人は幾らでもいますよね。

○両角班長 腎臓の状況として数が多くて、移植施設に登録しているのですけれども、医学評価の相当部分は透析施設で行っている可能性があります。従って、inactiveの医学的適応基準がありませんから更新時に定期的に十分ワークアップされているという保証はありません。登録してレシピエント候補にあがりました時点で移植施設で評価をしたら、安全に移植手術できる状態でない事例もあります。医学的問題が解決されなければ、移植できないことになりますが事前には分からなくて、クロスマッチを検査するしかなくなります。

○湯沢()班員 非常にでも無駄な検査を。

○両角班長 実際無駄な検査となる事例は多いかもしれません。長期透析患者さんでは合併症リスクが増えて虚血性心臓病以外にVADで足の血流が悪い人が非常に増えていますので、感染のリスクが非常に高いという人たちが多い背景はあります。

○伊藤班員 膵の場合、剣持先生がおっしゃったように癌も多いのですが、ステント治療をしている患者が、やはり1年間は免疫抑制剤を使ってほしくないという、そういうことがあります。

○市田班員 そういう場合はinactiveできるではないですか。

○伊藤班員 そうなのです。ですから、そういうものも入るということです。

○市田班員 ずっと待っていて調べたら、心疾患があってできないと、それはもうinactiveしようがないわけですよね。ですから少なくとも医学的inactiveはしっかり医者が判断して、深尾先生がおっしゃったとおり、本人が今は受けたくないと言うのだったら、それはinactiveにすればいいでしょう。それぐらいしか決めようがないですよ。

○中川班員 個人的な理由に関しては、先ほども言いましたが、やはり腎臓はかなり難しいのかなと思っています。医学的なinactiveに関しても、今、腎臓でレシピエントのフォローの義務化されているのが1年に一遍フォローしなさいと。レシピエント候補の方ですね。そうすると1年に一遍しか来なかったり、今はほとんど移植施設になっていますけれども、中には透析施設でというような方もいまだに残っているので、そうするとインフォメーションがないとか。ですから、気が付いた人は、腎臓に関して言えば、inactiveにしていくことは十分可能だと思うのですけれども、それがただ1年遅れになったりということは十分あり得るということだと思います。それがinactiveにしないという理由にはならないですが、連絡があったときに、そういう状況が生じているというのは織り込み済みでやらないといけないということだと思います。

○市田班員 でも、ある程度いろいろなinactiveを決めておかないと、先生がおっしゃったような無駄がいっぱい生じているわけですよね。時間も掛かるわけですよね。ですから各学会でそういうのは、ある程度やられればいいのではないかと私は思うのですが、いかがですか。

○田中班長 inactive制度自体が悪いというわけではなくて、その条件をどう設定するかが重要だということになると思うので、もう少し議論を各学会で頂くということでよろしいでしょうか。

○湯沢()班員 後半でお話ありましたが、肝腎同時移植とか膵腎同時移植といったときに、腎臓だけが学会から出していないというのが問題で、やはり腎臓も一緒に足並みをそろえさせていただきたいと思うのですが。

○田中班長 それは後で、もう一度やらせていただきます。

○古川班員 医学的理由でinactiveというのはもちろんありますよね。今まで話をされたとおりで、個人的な理由でinactiveにするというのは自分が不利になるわけです。要するに、移植されないわけですから。それは個人的な理由がいかなる理由であっても、認めてあげていいのではないですか。と言うのは、一番大事なのは、現行の登録している人たちのうちでinactiveの人に、例えば連絡が行って無駄な時間を使わないといけないというのが一番問題なので、それを排除できるだけでもinactive制度はすごくいい制度だと思うのです。これをやるということは皆さんもコンセンサスができていると私は思っているのですが、ただ、その待機時間をどうするかだけと、あとは臓器合併の場合ですよね。その2つを議論するのが本筋であって、inactiveは誰もが認めたほうがいいし、皆さんもそれはコンセンサスがあると私は思っていますけれども。

○剣持班員 1つ、inactiveにするというのは向こうから言ってくるということなのですか。

○古川班員 ですから何回も断った人がいますよね。

○剣持班員 その人に聞いて、inactiveにしたらどうですかと、こちらから言うということですね。そこがちょっと難しいところで、向こうから言ってくれば分かるのですが、こちらから言うというのが、どう言えばいいのかというのが難しいのかなと思います。

○古川班員 向こうから言ってくれば。

○剣持班員 要するに、患者さんの希望ということですよね。その希望はこちらから聞くのか、向こうから言ってくるのかという、聞けばいいのですか。

○市田班員 何回もお伝えしているのは移植登録した場合、責任をもって下さいということになります。聞きにくいでは仕様がないではないですか。

○剣持班員 実際はそうなのですが。では、聞いて本人が「うん」と言ったらinactiveにするということですか。

○星野班員 肝臓では私どもの施設では臓器提供を1回断った時点で、コーディネーターを交じえて、今後の臓器提供についてどのようにお考えですかということを聞いて、「inactiveという制度がありますけれども、今、決まっていないのなら、そうやったほうが気持ちの上でも楽ではないですか」というお話をしています。

○剣持班員 なるほど、分かりました。

○井内室長 本日は、我々としても問題提起という意味で出しました。実際、この提供に関しては、11例、厚生労働大臣直轄の検証会議というものがありまして、いわゆる救急医療であったり、脳死判定であったり、あっせんが適正かどうかというのを検証しています。その中で、あっせんを断る個人的理由というのがあるということで、肝臓の先生にはお話しましたが、今後、移植数がどんどん増えてくるという中で、やはりあっせんに関わるプロセスを簡略化していく必要があるのではないかという意見を頂いています。今後、いろいろこういった実態を踏まえて検討いただいた上で、また御意見を頂いて、またこの会に掛けさせていただくということかと思っておりますので、よろしくお願いします。

○田中班長 是非、各学会で御議論いただければと思います。実際に動かしてみると、いろいろなことが分かってくると思います。2.肝臓レピシエントに係る待機inactive制ですが、現在、肝臓はinactive制を動かしていますが、ここに書かれていることは、今度システムに直接適用を入れるというのと一緒に、inactiveも各施設が更新できるようにするという改正案です。これにより、JOTの手間がかなり省ける利点もあります。

○蔵満室長補佐 もう、これは既にやられていることだそうです。こちらが把握するのが遅くて申し訳なかったのですが。ですから、それを現行に合わせた形で、文言を変更しております。

○田中班長 それを早く言ってもらいたかったです。

○蔵満室長補佐 すみません。

○田中班長 そうすると、次は、肝腎同時移植希望者の取扱いをどうするかということで、1案と2案があります。要するに、肝臓が移植できない場合に腎臓を移植する、しないという、この2つのことがあると思います。これは是非、腎臓の先生から御意見を頂きたいのですが。

○中川班員 腎臓の中川です。これは、この案で行ったときにすごく難しいのが、前提条件で、状態が悪くて肝臓移植ができないというケースと、状態が良くて、移植を必要としないケースの両方が現行ではあるわけですよね。その辺の判断で、それぞれにジャッジをしていかないと、肝臓はやらないけれども、手術ができる状態で腎臓は同時に駄目になっているというのはあり得ない話で、もしそれをやるのであれば、肝臓をinactiveにすると同時に、腎臓移植の問合せをする、腎移植にも問合せをしてジャッジをするということは最低限必要で、オートマチックに肝臓がinactiveになったから腎臓がinactiveになるというのは医学的にも、感情的にも無理があるのかなと。その他の医学的理由があって、肝臓がinactiveになるのであれば、腎臓のほうにも話をしておいて、腎臓の受持ちがinactiveをジャッジするという形を取ればいいですが、オートマチックというのは、いずれにせよ無理があると考えますが。結局、ネットワーク自体に関しては手間はかかるようになるのかなと。

○両角班長 肝臓の場合には、ほとんど医学的問題ですね。医学的な理由で、肝移植手術ができない状況である患者さんが腎移植をできることはまずあり得ない状況ですので、そういったものであれば、肝臓の判断に合わせることで構わないと思います。具体的肝臓はできないが腎臓は手術できる状況が出てくれば、腎単独移植の可能性を残す必要はあります。私の中で具体的に思い当たらないものですから、これは肝臓のinactiveになっている医学的な理由がほとんどであるという前提に立っての発言ですが。

○市田班員 いや、ほとんどそうです。例えば、チャイルド8が、8点が6点に下がったかもしれないけれどもというぐらいで、ほとんど感染症とか、いろいろなことで。

○両角班長 ですよね。

○市田班員 しかし、それ以外でもあるか。古川さん。inactive。医学的以外でも何か、たまにあるか。

○古川班員 悪くなって。肝臓が悪いということですよね。

○両角班長 肝臓が悪いので手術できないのなら腎臓も無理ですよね。

○古川班員 肝臓が良くなってinactiveではないですよ。

○両角班長 そうですね。

○古川班員 通常は、本人の状態が絶えられないという状態で、ということは、一般的には腎臓も難しいということですよね。

○中川班員 既に腎臓だけできるという状況じゃないですよね。

○蔵満室長補佐 できないと思いますよ。

○中川班員 ただ、腎移植担当医も把握しておくべきですよね。

○蔵満室長補佐 もちろん、そうです。

○笠原班員 成育の笠原です。唯一、考えうる状況は、医学的には高シュウ酸尿症のときかなと思います。あとはもう一歩踏み込んでみますと、一部の有機酸代謝異常でこういった状況が考えられるかなと思いますが、医学的に肝臓の移植を受ける意思がない場合、医学的に適応がない場合には腎臓も医学的に変更するで、個人的には賛成です。

○田中班長 大体、肝臓の主治医と腎臓の主治医はほぼ同じ施設にいると考えていいですよね。ですから、腎臓と一緒に移植することが明らかでしたら問題ありませんが、迷う場合は腎臓の先生にも確認すると良いですね。

○市田班員 それは、共有しないと意味がないですね。それはそうですよ。

○田中班長 情報を共有すると。そうすると、コンセンサスでいくということになりますか。笠原先生どうですか。

○笠原班員 そうですね。同一施設で働いていますので「案2」でよろしいかと思います。

○田中班長 希望は「案2」で、コンセンサスを得るということで、腎臓の先生方もよろしいですか。

○湯沢()班員 先ほどもお話がありましたように、腎臓についてinactiveという言葉がないのに、ここにだけinactiveと使っていいかどうか。いいのですかね。

○井内室長 肝腎同時のときだけ使うというので良いかと思います。

○湯沢()班員 同時移植のときの。

○田中班長 肝腎同時がinactiveになったということですね。

○湯沢()班員 ああ、そうですね。

○田中班長 是非、早めにinactiveの議論をしていただくことがまず重要かと思います。それでは、「案2」ということで、少し修正ですね。両方がコンセンサスを持つ、すなわち

情報を共有するということでお願いしたいと思います。よろしいですか。

○市田班員 「案2」の文章は何か変ですね。「肝臓移植を受ける意思がない=腎臓移植を受ける意思がないと判断して」というのは、日本語ではないですね。

○田中班長 そうですね。意思の問題ではない。

○市田班員 意思がないとか、そういう問題ではないでしょう。

○田中班長 医学的に肝臓移植を受ける適応がない。それで文章を書き直していただきます。

○蔵満室長補佐 事務局で訂正させていただきます。

○田中班長 それは事務局にお任せください。次に、3.膵臓レシピエントに係る待機inactive制度についてです。膵臓移植においてもinactive制を導入したらどうかという提案が出されました。新たにinactive制を導入することになります。でも、これは腎臓を検討していないと結論は出ないですね。連動してしまいますから。

○中川班員 これは、もう肝臓とは、さらに話が違って、連動はできない範疇になってくるのだと思いますが。医学的理由で、できないものは、感染症とかそういうのはもちろんできないわけで、それは情報共有をすればいいと思いますが、肝腎同時移植と膵腎同時移植は全く意味が違ってきてしまうので、膵腎同時移植の場合には、膵腎はやらなくても、例えば1型糖尿病で腎不全になっている場合に、膵臓移植するよりも腎臓移植を単独でやったほうが成績が良いというか、生命予後が良いというデータも出たりしているので、これを同時に判断するのは医学的にも、感染症とか、医学的適応がないという状況でinactiveにするのは構いませんが、そうではない理由が含まれてくるので、肝腎同時移植とはまるっきり意味が違ってしまうところだと思いますが。

○松久班員 私は糖尿病内科医です。今、確かに先生がおっしゃるように、医学的理由以外で、膵臓移植をやめる理由の中に1つ考えられることとしては、最近の膵臓移植を受ける患者さんの対象というのは、やはり重症低血糖が起きて、そこからなかなかどうしようもないということになって、いつ命を落とすかどうか分からないという背景のある患者さんが対象ということになると思うのですが、最近の膵臓の治療、すなわちインスリンの補充療法自体が非常に良くなってきて、低血糖が起こると自動的にそれを予知してインシリンをストップするようなポンプも出てきておりますので、医学的理由、患者さんの意思、そういうものの医療の進歩によって、膵臓移植を辞退する患者さんが出てくる可能性は医学的理由以外にあり得るということに関しては、私もそういう気がします。多くの膵腎同時移植の患者さんは、やはり、腎臓が欲しいから膵腎同時移植に手を挙げている患者さんが多いことは事実だと思っております。ただ、医学的にinactiveの状態であれば、これは明らかに両方やめるべきであって、膵腎同時移植というのは、膵臓をもらうときに腎臓も一緒にもらえるという、逆に言えば、メリットをもらっている患者さんでもあると思います。

 そうしますと、膵腎同時移植が、逆に膵臓をやめるというチョイスがあった場合には、腎臓は通常、今、10年以上待たれている患者さんの中に並ぶべきかどうかという、inactiveそのものの全体像をもう一度整理し直す必要があると思います。

○國土班員 部外者で失礼ですが、そうすると、悪用されるリスクはありませんか。膵腎のほうが順番が早く回ってくるわけで、実は腎臓だけ欲しいのだけれども、膵腎とやっておいてということが起こり得るのではないですか。

○松久班員 それは今は現状ないと思います。ようやくそれが臨床の現場で使えるようになったところなので、これから未来的にはそういうことが起こり得ることとして十分考える必要があります。実は、これは4月から使用可能になったところです。そこは我々も使用しだしたばかりなので、これがどこまで本当にアドバンテージがあるものかどうかという危機があると。ただ、近い将来そういうことが想定されるので、決して医学的以外の腎膵臓だけやめたいという人が出る可能性はゼロではないということは確かにあると思いまして意見させていただきました。

○両角班長 少し話が違うのですが、inactiveにした場合に、個人的事情の解消や医学的状況などが改善した際は、inactiveから外すことが必要になります。その話が全然出ていません。1inactiveしてしまったら、inactiveの復活は1年後更新時期なのかどうなるのでしょう。inactiveの制度を導入する場合には、医学的評価で、良くなったら戻すということを想定していると思います。inactiveにした後、状況の改善で移植手術を受けることができる状況になったにもかかわらず、そのまま候補者になれないという話になるとまずいと思います。その辺の議論は、膵臓の中でもinactiveを導入するときにありましたか。

○剣持班員 実は、膵臓も腎臓もそこまでの議論はされていないので、この問題はそこだけ取り上げられても、多分腎臓も絡む問題なので、やはり、学会と研究会で、もう一度きちんと議論してからのほうがいいのではないかと思います。

 それから、松久先生がおっしゃったのは、多分そこはドロップアウトすることであって、もとに戻るわけではないので、inactiveとは少し違う。それだけ良くて、そちらが良ければもうそこで膵臓移植の登録をやめていただいて腎臓に戻って、その腎臓に戻ったときに腎単独の人と同じぐらいの待機日数がかかるのかを議論すればいいのではないかと思います。

○田中班長 よろしいですか。体制としては、従来どおりで取りあえずということになると思います。それでは、これは「案1」ということでお願いしたいと思います。

○井内室長 運用上で最後に確認させていただきたいと思います。先ほどの肝腎の同時移植の場合については、肝臓の先生が膵臓の先生の了解を取った上で、肝腎同時移植をinactiveにするという運用でよろしいのですか。腎臓の先生が知らない中で肝臓の先生だけがやるというのは、やはりよろしくないという御意見だったと思いますが、肝臓と腎臓は基本的にリンクしているという御意見だったと思います。そうであれば、肝臓の先生が、肝腎同時移植で、inactiveにできるのは肝臓の先生だけですので、肝臓の先生がinactiveにするときには、腎臓の先生の了解も取った上で、肝腎同時移植をinactiveにするという理解でよろしいですか。

○市田班員 了解ではなくて、肝臓でinactiveと判断したので、骨も一緒にできないからという通達でいいのではないですか。了解を取って、じゃあ、反対されてということになってしまうので。肝臓で医学的にできなければ、もう先生方も分かっているので、そちらのほうがメインで話していいのではないですか。結局、言っていることは同じことなのですが。

○井内室長 それでは運用としては、inactiveにできるのは肝腎同時では肝臓の先生だけですので、肝臓の先生が肝腎同時移植をinactiveにする場合は、腎臓の先生に了解を取るのか、通告するのかは別として、きちんと一報入れてからinactiveにするということになります。

○市田班員 もちろん情報を与えるわけですから。

○井内室長 情報を共有した上で、inactiveにするというルールに変えさせていただくということでよろしいですか。

○市田班員 はい。

○田中班長 皆さん、よろしいですか。

○井内室長 膵臓のレシピエントの制度については、このままOKということでいいのですよね。膵腎同時の場合は、従来どおりということですね。何も変えないということでよろしいのですよね。

○田中班長 はい。

○中川班員 今の運用の所で、先ほど出ていた議論は、ここでは無しでいいわけですね。運用上のもので言えば、膵臓がinactiveで外れるということが万が一あれば、その時点で、膵腎同時移植の待機期間になるのか、腎移植の待機期間になるのかというのは大きく意味が違ってきてしまうので、そこだけ明らかにしておかないと、先ほどの國土先生が「悪用される場合もあるのではないですか」という部分で考えれば、そこは少し明らかにしておかないと、まずいのではないかと思いますが。

○田中班長 今はどうなっているのですか。

○中川班員 今はファジーで、何もないということだと思いますが。膵臓もinactiveはこれからということなのでしょうから、現状はinactiveは存在しないので、膵腎同時となった場合には、膵腎同時で移植をされているという理解ですが、今は必ず移植をしているということだと思いますが。

○蔵満室長補佐 もう一点確認ですが、膵臓のレシピエントに係る待機inactive制度については、もう少し学会でもんでいただいてから、再度申請していただくということで、剣持先生、大丈夫ですか。

○剣持班員 伊藤先生が会長のときにも議論したのですが、膵腎同時移植の場合の連動するかしないかということに関しては議論していないので、やはり、そこは研究会としての一定の方針を出してからのほうが良いかなと思いますので、そうさせていただければと思います。伊藤先生、それでいいですかね。

○伊藤班員 いいと思います。

○蔵満室長補佐 膵単独でもやらない。膵臓そのものに関する待機inactive制度の導入を、取りあえず今回は見送るということですか。

○剣持班員 いや、inactive制度を導入してくださいと言ったのは研究会ですから、ただ、その詳細なところが膵腎同時移植の連動ということに関して、やはり詳細な方針を出していないので、今、膵臓だけそれを決めても、また混乱が起こるかなと。

 先ほど湯澤先生がおっしゃったように、臨床腎移植学会でもしていないので、そこは早急にinactive制度に関して膵臓、腎臓も肝臓に足並みをそろえて、ここはきちんと決めなければいけないかと思いますので、それは早急にやりたいと思いますので、それからまた議論ではまずいですか。

○蔵満室長補佐 大丈夫です。承知いたしました。

○市田班員 膵臓単独は、2-2に書いてあるようなinactiveを取るということですよね。

○剣持班員 そうです。

○市田班員 ですから、それはそれでいいと思いますので、ただ、膵腎に関しては、まだできていないということですね。

○剣持班員 そういうことです。

○市田班員 腎臓を早くしないといけませんね。

○井内室長 先ほどありましたように、例えばここで膵臓単独でinactive制度が入ってしまうと、膵腎の取扱いのところまでどうするか、細かい所まで決まっていないということから、膵臓単独のinactive制度も、今回は見送りということでよろしいですか。

○田中班長 是非、引き続き御議論を頂きたいと思います。それでは議題2を終了させていただきます。事務局から、以後の進行をよろしくお願いします。

○蔵満室長補佐 肝臓作業班の班員の先生方、御議論いただきましてありがとうございます。肝臓作業班は、以上の議論までとなりますので、本日はありがとうございました。

 それでは議題3に移ります。議題3の議事の進行から、膵臓作業班の深尾班長にお願いしたいと思います。深尾班長お願いいたします。

○深尾班長 次は、小児に関することです。事務局から説明してください。

○蔵満室長補佐 タブレットの資料3として、小児提供者(ドナー)からの臓器提供時における同時移植の取扱いについてという議題になります。1.これまでの経緯です。腎臓作業班での検討結果を踏まえ、20歳未満の小児提供者から腎臓が提供される場合には、20歳未満のレシピエントの中から優先的に選択を行い、20歳未満のレシピエントがいない場合には、20歳以上のレシピエントの中から選択するということが、2年前の平成281031日、第45回の臓器移植委員会で了承されております。本取扱いに関しては皆様御承知のとおり、平成30320日から運用が開始されております。

2.同時移植の現在の取扱いについてです。現在の膵臓レシピエント選択基準では、選ばれた移植レシピエントが膵腎同時移植の待機者である場合、かつ、臓器提供者から膵臓と腎臓(2名の腎臓移植希望者に提供される場合に限ります)の提供があった場合には、当該待機者が腎臓移植待機リストで下位であっても、当該待機者に優先的に膵臓及び腎臓を同時に配分するとされています。

3.今回の作業班の検討事項ですが、小児レシピエントへの優先提供という年齢要件と、同時移植という医学的要件のいずれを優先されるかについて、以下の2案を事務局として考えました。「案1」が年齢要件を優先させるというものになります。小児のドナーから膵臓と腎臓の両方が提供される場合に、小児腎臓レシピエントへの優先提供を行う。すなわち、ドナーが20歳未満であって、膵臓のあっせん順位の中で、成人(20歳以上)の膵腎同時移植希望者が該当する場合には、この20歳以上の成人の方が同時移植が受けられないことになります。

 「案2」のほうが、医学的要件を優先させるということになります。20歳未満の小児提供者から膵臓と腎臓が提供される場合で、同時移植という医学的要件を優先させ、成人であっても優先提供を行うということになります。すなわち具体的例で申し上げますと、ドナーが20歳未満であって、膵腎同時移植希望者が20歳以上のレシピエントであっても、この同時移植を受けることができるということになります。こちらに関しては、日本膵・膵島移植研究会から御意見を頂いておりまして、「案1」とすることが適当ではないかと考えます。後ろに、新旧対照表を続けて入れてあります。膵臓レシピエント選択基準で、左側が改正案、右側が現行となります。

 ずっと下に行くと、2枚目の一番下に下線を入れております。ここが膵腎同時移植の項目を書いている(7)になります。膵腎同時移植と腎臓移植というところで、最後の1文になります。「また、臓器提供者(ドナー)20歳未満の場合であって、選ばれた膵腎同時移植の待機者が20歳以上であり、腎臓移植待機リストで選択されたレシピエントが20歳未満の場合は、当該腎臓移植希望者(レシピエント)が優先される」という文言を新たに入れております。事務局の説明は以上です。

○深尾班長 それでは、いかがですか。年齢条件を優先するという案ですが、いかがですか。膵臓グループはこれでよろしいですか。腎臓グループはどうでしょうか。よろしいですか。それでは、何か御意見はありますか。

○両角班長 この案で大変良いと思います。前回の作業班で随分ディスカッションした中で、小児から小児という所は最優先しましょうというのは一番大事と確認がされておりますので、その思いを受け継いでいただいて、この案でいけると大変有り難いと思います。

○深尾班長 全員一致でよろしいようですから、これでいきましょう。

○剣持班員 実務者委員の認定施設に全部アンケートを取って、この案に賛成になったのですが、その中で、要するに、20歳未満の膵腎同時移植患者のレシピエントは今2人ぐらいいるのですが、それと腎単独との優位性は、やはり大人と同じように医学的なことを考えて、その範囲の中では優先してほしいという意見が結構多かったのです。要するに、小児はもちろん優先するのですが、小児の20歳未満という中に、膵腎同時と腎単独がいた場合に、やはりドナー待ちがあれば、膵腎に優先してほしいという意見がありました。ただ、これを今やろうとすると、今、膵臓に小児優先のシステムがないので、今は自動的にはできないのですが、そんなに多くはないのですが、10代の患者さんが今後増えてくることを考えると、今後また検討していきたいと思います。現在はこの案で良いと思いますが、今後はそういうことを考えていきたいと思っております。よろしくお願いします。

○深尾班長 剣持先生の御意見もありますが、これは後で検討することにして、まずは20歳未満レシピエントが優先するということに決めましょう。次は何ですか。

○蔵満室長補佐 それでは次の議題、「リンパ球クロスマッチの取扱いについて」に移ります。お手元タブレットの資料4になります。まず、1.現在の取扱いについてです。下の四角の中になります。順番に説明いたします。心臓に関しては、リンパ球の「ダイレクト・クロスマッチテスト」を実施し、抗T細胞抗体が陰性であることを確認する。パネルテストが陰性の場合、リンパ球のダイレクト・クロスマッチは省略することができると、選択基準で規定されております。

 次に肺です。こちらに関しても、ダイレクト・クロスマッチを実施し、陰性であることを確認する。パネルテストが陰性の場合、ダイレクト・クロスマッチは省略することができると規定されております。

 肝臓と小腸に関しては、当面、選択基準にしないが、必ず検査し登録するとされております。

 膵臓と腎臓に関しては、リンパ球交差試験(全リンパ球又はTリンパ球)が陰性であることが選択基準の必須条件とされております。こちらがないと、あっせんすることはできません。こちらが今の運用になっております。

 このような状況の中で、本年2月になりますが、実際に起こった提供事例の中で、採血した検体からリンパ球が分離できないという事例が発生しました。心臓と肺に関してはパネルテストで代用しておりますが、膵臓と腎臓のあっせんに関しては、最悪、開腹時、ドナーさんの開腹をしたときにリンパ節と脾臓を摘出し、ここからリンパ球を抽出し検査を実施した上で、あっせんを行う予定としておりました。こちらの事例に関しては、実際には術前にリンパ球クロスマッチの結果を得ることができましたので、ここまでは行かなかったのですが、今後、これと同じような事態が発生した場合にどのように対応したらよいかということで、事務局案として2案を出させていただきました。

 「案1」は、従来どおりで、膵臓と腎臓に関して、リンパ球が採血検体から分離できないような事例が今後発生した場合にも、開腹時(臓器摘出手術時)にリンパ節と脾臓を摘出し、ここからリンパ球を抽出し、検査を実施した上で、あっせんを行うこととするというのが「案1」になります。「案2」に関しては、心臓と肺の選択基準と同様に変更するということになります。現在、他臓器である心臓と肺の選択基準では、「ダイレクト・クロスマッチを実施し、陰性であることを確認する。パネルテストが陰性の場合、ダイレクト・クロスマッチは省略することができる」となっております。このように変更することは可能かということで、「案2」を出しました。今回、このような事例がありましたので、作業班の先生方には、このような事例があったという情報提供と、今後どのような取扱いにしていくかを焦点に御議論していただければと思っております。よろしくお願いします。

○深尾班長 ありがとうございます。厄介なことが起きましたね。いろいろなことがあるもので、こういうことにも対応しなければいけないということで、血液からリンパ球を取れない場合に、今回は、脾臓あるいはリンパ節からリンパ球を取って検査した上で何とかなったと。今後、同じことをやっていくのか、あるいはダイレクト・クロスマッチはやらないでいくと、どちらにするかということなのですが、これは腎臓のほうが多いでしょうから、まず、腎臓のほうの先生方、いかがですか。

○湯沢()班員 湯沢です。私自身、一貫してやってきた仕事は、このHLAとか適合性検査のことです。また、組織適合性学会の理事もしておりますので、その立場で一応、発言をさせていただきます。まず皆さん、パネルテストは何だというぐらい余り馴染みがないと思うのです。これは従来、タイピング用のパネル、テラサキプレートの中にいろいろな人のリンパ球を入れておいて、いろいろなHLAの方に対する血清の反応性を見るということで、パネルリアクティブアクティビティ、要するに、抗HLA抗体があるかどうかをブロードに見ているという検査なのです。これがないとなると、もう抗HLA抗体がないからリンパ球のクロスマッチが陰性だと考えていいということですが、現状でこういうパネルリンパ球を使って実際検査をやっている所は全く世の中にないのです。むしろ、リンパ球クロスマッチというのは、実は、時代の流れから言うと、結局、抗HLA抗体を見ているわけですから、欧米では、この登録患者さんの抗HLA抗体を全例検査してあればリンパ球クロスマッチは要らないことになります。ですから、パネルテストと言うのは、その昔版なので、今は、登録患者さん全員の、と言っても1人の検査に6万円以上掛かるのですが、それで抗HLA抗体検査をしてあればリンパ球クロスマッチは要らなくなるから、今回のようなことは絶対起こり得ないのです。

 いずれ、組織適合性学会とかに正式に意見を求めてもらえばいいと思いますが、欧米では今、それが施行されていて、もはや血清を運んでのクロスマッチはしていないことにもかかわらず、日本国内ではまだ行われています。それで実際に成績に全く問題ないことも分かっておりますので、それをバーチャルクロスマッチと今、その分野では呼んでいるのですが、バーチャルクロスマッチに移行するのは、もう時間の問題だと思っています、組織適合性学会では。いずれそういう方向に行くのはもう明らかなことだと思いますので、それを見据えて、組織適合性学会なり臨床検査学会に意見を求めていただければ簡単に結論が出る話だと思います。

 現状ではそうは言っても、例えば患者さん13,000人の登録患者さん全員に、抗HLA検査をするとしたら7億円以上掛かるわけですから、とてもできるわけではないのですが、いずれそういう方向に行くのを前提に、取りあえず、今の段階でクロスマッチしないで移植を行うことは無理だと思うので、今のところ「案1」として、やむなく少し時間が遅れることになってもクロスマッチをして行うことにして、ただ将来的な含みとしては、全登録患者さんの抗HLA抗体を見て、バーチャルクロスマッチの方向ということについて組織適合性学会に意見を求めていただければいいのではないかと思うのですが。結論みたいなことを言って申し訳ないのですが、このように考えられると。

○深尾班長 分かりました。組織適合性学会としては、将来的にダイレクト・クロスマッチは不要になると、パネルテストも不要になると。

○湯沢()班員 はい。

○深尾班長 血清でもってあらかじめ多くの人のリンパ球に対する反応性を調べておく、検査をやればそれで代用できるのだということですね。

○湯沢()班員 はい。

○深尾班長 それは、そういう組織適合性学会の意見を参考にしまして、まず腎臓のほうからお聞きいたしましょう、どうですか。

○中川班員 よろしいですか。湯沢先生の言っていることは理解していますし、それから、私自身も、イギリスに留学して移植をしているときは、フローなりPCRなりでクロスマッチという形をやっていて、それで行われた成績は変わりないのも分かっているのですが、ただやはり、non-HLAという概念は未だに議論はされているわけです。この辺を無視して進むわけにはいかないのかと。現実問題として今、脱感作の薬の治験や何かが走っていますが、これに関しても、non-HLAまで見ていこうというのが求められている状況で、なかなか整合性が取れなくなってくる部分があるので、現状、そこまで踏み入れるのが非常に難しいのではないかと思います。要するに従来どおりと。いずれ、結論としては湯沢先生の言っていることと同じになるのですが、現状どおりという以外には、ちょっと腎臓に関しては難しい部分があるのかと思います。

○深尾班長 ありがとうございます。

○両角班長 もし、クロスマッチができない場合には、やはり脾臓なりリンパ節から取って行うのが必要だと思います。移植後早期に起きるグラフトロスに至る抗体関連型拒絶反応が今でもやはり幾つかあります。そういった方のバックグランドをきちっと調べても、抗HLA抗体のDSAがない人があります。non-HLADSAがありますので、バーチャルクロスマッチが万能かと言うとそうではないと思います。クロスマッチを行う一番の目的が、移植腎機能、あるいは移植膵臓の機能を失うような、抗体拒絶を起こさないというのが目的であるとするならば、通常のリンパ球分離ができなかった場合には、やはりリンパ節、あるいは脾臓から細胞を収集するというほうが、今の段階では必要です。その次の段階で、全例のバーシャルクロス実施可能な状況ができた際にnon-HLADSAの問題がどうかということを科学的に検証するという問題だと思います。

○深尾班長 ありがとうございます。膵臓のほうはどうですか。膵臓はレシピエントは少ないですから、バーチャル検査もやろうと思えばできなくないと思うのですが、いかがでしょうか、膵臓の先生方。

○剣持班員 膵臓は、もう御存じのとおり80%が膵腎同時移植ですから、例えば腎臓で、やはり私も腎移植をやっている立場とすれば、ダイレクト・クロスマッチは必要だと思うのです。実は、この症例は藤田の症例ですよね、言ってはいけないかもしれないですが、最初、ネットワークは、リンパ節とか脾臓を取るという発想がなく、この検査ができないから膵腎は、あっせん中止となったので、いや、それはちょっと待ってくれということで、脾臓からリンパ球を分離することを提案しました。結果的には血液からできましたが、基本的には、やはり私も腎臓ではクロスマッチは必要だと思いますので、膵腎移植が8割ですから、膵臓も腎臓に足並みをそろえていくということで良いと思います。それから、基本的にはバーチャルクロスマッチは、確か湯沢先生が言っているようなことが一番効率的ではあると思うのですが、腎臓に関しては必要なのかというところがありますので、やはり「案1」で、今のところはやっていくのに膵臓も同じです。

○深尾班長 ほかの膵臓の先生、伊藤先生どうですか。

○伊藤班員 「案1」でと言いますか、やはりクロスマッチは必要だと思うのです。実際、取れなかった場合に、脾臓摘出でするとタイムラグが起こりますよね。そのときにレシピエントの選択が遅れたり、臓器の摘出がどのようになるのかというのがちょっとイメージが湧かないのですが。

○蔵満室長補佐 あっせん順位に上がってくる施設には、コールドが長くなるというのは、御了承頂いた上であっせんしております。多分、先生は御存じだと思いますが、一度、献腎のときにこのような事態が1例だけ起こったと伺っております。

○伊藤班員 いや、やはり膵臓というのは拒絶されやすい臓器ですから、クロスマッチは必須だと思うのです。その辺のテクニカルの所とか、実際面の所はちょっと整理しておいたほうがいいかと思います。

○深尾班長 皆さんの御意見は、案1でいきたいということでよろしいですか。

○丸橋班員 よろしいですか。このような事態が起こる確率は非常に低いと思うのですが、今の状況で、前、海外などでは、リンパ球を、例えば鼠径リンパ節とかを取って、それでクロスマッチしてから手術のほうに臨むということが何回かあったのですが、そういうことは日本ではできないのですか。

○蔵満室長補佐 厳しいと思います。

○丸橋班員 厳しい、分かりました。

○深尾班長 今、日本ではやられていますか、そういうことは。

○蔵満室長補佐 ないと思います。

○深尾班長 やられていないですか。

○蔵満室長補佐 はい。

○深尾班長 やられていないそうですが。

○丸橋班員 分かりました。

○深尾班長 バーチャルのことも各研究会でもって検討も進めていただきながら、今回は「案1」でいくことにしましたので、どうぞよろしくお願いします。

○湯沢()班員 深尾先生、よろしいですか。

○深尾班長 何ですか。

○湯沢()班員 すみません。このリンパ球クロスマッチのことで組織適合性学会で、もう1つ問題にしているのが、臓器ごとの、例えば心臓は要らない、リンパ球クロスマッチを省略することができるとは言っても、実際には抗体関連型の拒絶反応が起きて、とんでもないことになっている例は心臓でもあるのです。ほかの臓器でも、本来、免疫学的に考えるとやるべきことをやらないで省略しているというのをそこそこ問題にしていて、もう少し統一的に、ある程度の寛容性があるとは言え、やはり免疫学的なことを考えると、本来リンパ球クロスマッチはやるべき検査だというのが組織適合性学会の考えでもあるので、しっかりとした組織適合性学会の意見というのも求めてもいいのではないかと私は思っています。

○深尾班長 ありがとうございます。これは膵腎はきちんとやっているからいいわけですよね。肝とか心臓のほうには組織適合性学会のほうからしっかりと申し込んでいただきたいと思いますが、よろしくお願いします。よろしいですか。

○西班員 質問、後学のために教えていただきたいのです。リンパ球が血液から抽出できなかった状況というのはどのようなものなのかということと、固形臓器から取るということではなくて骨髄は駄目なのですか。骨髄からリンパ球のほうが早いような気もするのですが。

○剣持班員 なるほど。まず、どうして取れなかったのかということですね。実際は、それを同じ検体を使って別の施設でやったらできたのですが、やはり分画を見ますと、リンパ球はほとんどない人だったのです。それが理由だと思います。ただ、全くないわけではないので、少ないリンパ球で別の施設ではクロスマッチができたということなのです。こういうケースは、先ほどおっしゃいましたように非常にまれなケースで、普通、我々、腎移植をやっていたのはリンパ節と脾臓から取るというのが今まで、それもちょっと血液のリンパ球よりは難しいと思うのですが、やはり慣れた方法だからということでそこを取ったということです。骨髄に関しては、取るのが結構大変だったり、いろいろドナーですから、お腹を開けていますから、脾臓やリンパ節はすぐ取れるという、テクニカルな問題だと思います。

○深尾班長 よろしいですか、西先生。特殊なケースのようですね。

○井内室長 ちょっと運用上の最終確認です。この「案1」で従来どおりにいくということで了承させていただきました。我々もこれのとおりに進んで行こうと思います。ただ私のほうで、この症例のときに、やはりレシピエント選択基準に明記されていることなので、これは提供施設のほうがかなりレベル的にもばらつきがある中で、実際に、今後こういった症例で、いわゆるリンパ球が分離できないということも、移植時間、コールドの時間等々を考えてできないということも想定はされます。そのときには、私のほうの判断としては、あっせん中止になるということで運用をせざるを得ないということです。これはどこまで許容するか等の裏表の所ではあるのですが、運用ということでは、きちんとダイレクト・クロスマッチを優先するという方針でさせていただくということです。確認だけです。

○深尾班長 分かりました。「案1」で行くけれども、場合によってはあっせんできなくなることもあるよということですが、これでよろしいですか、皆さん方、よろしいですね。はい、それではそうしてください。

○蔵満室長補佐 膵臓作業班の先生方の御議論はここまでとなります。ありがとうございました。

 それでは最後になりますが、ここから腎臓作業班の議題に移ります。腎臓作業班は両角腎臓作業班班長にお願いしたいと思います。両角班長お願いします。

○両角班長 それでは議題5の検討を開始します。まず事務局より、「腎臓移植レシピエント選択基準の変更について」、資料に基づき説明をお願いします。

○蔵満室長補佐 タブレットの資料5の腎臓移植希望者レシピエント選択基準の変更についてを御覧ください。まず、1.これまでの経緯です。今回、腎臓作業班の班員のメンバーが少し変わっておりますので、おさらいという意味も含めまして、これまでの経緯を1番目に入れました。まず、平成2839日に開催されました第8回の腎臓移植作業班において、腎臓移植希望者選択基準に関し、以下の検討事項について議論を行いました。まず1項目目が「待機日数とHLAの適合度の点数の取扱いについて」、2項目目が「Age-match制度の導入の是非について」、3項目目が「2腎同時移植の是非について」、4項目目が「C型肝炎抗体陽性ドナーの取扱い」、5項目目が「移植腎機能無発現であったレシピエントへの対応」になります。

 まず1項目目、「待機日数とHLAの適合度の点数の取扱いについて」です。作業班の検討結果をまとめますと、腎臓レシピエント選択基準の変更を行う必要を認めるほどの明確な医学的根拠が示されていないため、引き続き、腎臓作業班で医学的根拠を収集することとなっております。

2項目目の「Age-match制度の導入の是非について」です。平成28629日に開催された第44回の厚生科学審議会疾病対策部会の臓器移植委員会において審議を行った結果、Age-match制度の導入については了承されましたが、小児の年齢区分については新たに作業班で検討することが必要となりました。この必要となった事項を受けて、92日に腎臓移植の基準等に関する作業班が開催され、小児の年齢区分が議論された結果、現行の腎臓レシピエント選択基準での区分である20歳未満を基準とすることが適当と判断されまして、第45回厚生科学審議会の疾病対策部会臓器移植委員会で了承されております。

3項目目、「2腎同時移植の是非について」です。こちらに関しては、ドナーが6歳未満の場合は2腎同時移植を可能とし、ドナーが6歳以上の場合は、ネットワークが、腎臓レシピエント選択基準に基づき選択したレシピエントの担当医(移植医)及びメディカルコンサルタントと相談し、ドナーの腎機能に医学的問題があり1腎ではその機能が不十分と判断されるときは、2腎同時移植を行うことが可能と判断されております。

4項目目「C型肝炎抗体陽性ドナーの取扱い」につきましては、血中にHCVが存在しない場合であっても腎臓にHCVがある可能性があることから、現在のレシピエント選択基準を改正する必要はなく、HCV genotypeによりHCV抗体陽性ドナー及びHCV抗体陽性レシピエントの取扱いを変更するためには、臓器ごとの学会で定める「レシピエント適用基準」の改正が必要と判断された。以上になります。

2番の「現在の取扱いについて」です。現行のレシピエント選択基準は、以下のとおり具体的選択方法を定めております。参考資料5-1に入れておりますが、まとめますと、まず1項目目に親族優先があります。次に、ABO式血液型で、一致が適合よりも優先されております。次に、年齢優先で、20歳未満ドナーの場合が優先されます。この中で同点の場合、1の搬送時間(12点か6)2HLA適合度(14点から0)3の待機日数ポイント、4の未成年者(14点又は12)24の合計点数が高い順に選択されています。ただし、これらの条件で、同一のレシピエントが複数存在した場合には、臓器搬送に要する時間や医学的条件に配慮して、現在レシピエントの選択を行っております。

2.これまでの経緯です。レシピエント選択基準について、平成2612月より腎臓移植の基準等に関する作業班において検討された項目のうち、次の2項目については、平成2892日に開催されました腎作業班での検討結果を踏まえ、同年1031日に開催されました第45回の臓器移植委員会における審議の結果、まず(1)Age-match制度の導入につきましては、現行の腎臓レシピエント選択基準の区分である20歳未満を基準とし、20歳未満のドナーから提供された腎臓については、20歳未満のレシピエントから選択する。20歳未満のレシピエントがいない場合に関しては、20歳以上のレシピエントから選択する。(2)移植後、腎臓機能無発現であったレシピエントへの対応については、移植腎機能無発現がドナー側の要因であることの医学的根拠をレシピエントの担当医が示した場合、移植前の待機期間をそのまま維持する。移植腎機能無発現の原因がドナーかレシピエントのどちら側にあるのかを判断するための診断基準は関係学会で定めるとされております。

3.作業班での検討事項です。まず(1)Age-match制度は、平成30320日より運用が開始されております。しかしながら、現状の選択基準では、ABO式血液型の一致が適合や年齢要件より優先されているため、血液型一致の小児レシピエントがいない場合、血液型一致の成人のレシピエントに移植されることに現状はなっております。そこで、「案」と下に書いておりますが、血液型一致の小児レシピエントがいない場合、血液型適合の小児レシピエントを血液型一致の成人レシピエントより優先することとしてはどうかという案を挙げております。こちらに関しては、ドナーが20歳未満の場合になります。左側の現行では、親族優先、ABO式血液型で、矢印にしまして、20歳未満のレシピエントがいない場合は20歳以上のレシピエントを経由して、ABO式血液型適合の20歳未満レシピエント、20歳以上のレシピエントとなっております。右側の改正後、親族優先で、20歳未満レシピエント血液型一致がいなければ血液型適合、こちらでもいなければ、20歳以上レシピエントの血液型一致適合としてはどうかという案を入れております。

 次に、(2)移植後、腎機能無発現であったレシピエントへの対応についてになります。平成291225日、日本移植学会「献腎が無機能であった場合の待機期間の検討委員会」より、献腎が無機能であった場合の待機期間について提言書が提出されております。日本移植学会からの提言書は参考資料5-2に入れ、下の四角にまとめております。

 まず、無機能腎の定義です。移植後3か月の時点で機能しない腎臓と定義されております。また、移植後3か月の時点で週1回から2回透析が必要な事例もこちらに含まれます。

 次に、待機期間、再登録判定のフローチャートです。ドナー側要因、レシピエント側要因、移植腎動静脈血栓症に分けております。ドナー側要因の絶対的因子で無機能腎になった場合は登録日を継続する。ドナー側要因の相対的因子で無機能腎になった場合には、評価委員会にかけ、登録が継続するか又は0日に戻すかを判定する。レシピエント側要因で無機能腎になった場合は、評価委員会にかけ、登録を0日で行うか又は登録されないかを判定する。移植腎動静脈血栓症で無機能腎になった場合は、評価委員会にかけ、ドナー側因子で無機能腎になった場合には登録日を継続し、レシピエント側因子で無機能腎になった場合は、登録日を0日に戻すか又は登録できないかを判断するとされております。ドナー側の絶対的因子は、温阻血時間が30分以上、総阻血時間が24時間以上、ドナー年齢が70歳以上となっております。また、評価委員会の委員は、「献腎が無機能であった場合の待機期間の検討委員」が継続する。評価委員会は、申請後1週間以内に持ち回り審議を行い、再登録の可否、待機期間について検討する。移植施設は評価委員会の回答を得た後に、再登録するとなっております。

 そこで、事務局案としては、無機能腎評価委員会で登録日の継続が妥当と評価された事例については移植前の登録期間を継続したままで再登録することを可能とすることとしてはどうか。また、新規登録が妥当と評価された事例については、新規事例として登録することを可能とすることとしてはどうかというのを事務局案として挙げました。下に新旧対照表を入れております。以上になります。

○両角班長 ありがとうございます。今、お話いただきました中で、今から議論したいのは2点です。まず、小児です。現行ですと血液型一致のみが優先されているところを、一致の次に適合まで広げたらどうかということですが、これについて御意見はいかがですか。

○服部班員 小児科医として大変有り難い案だと思います。ありがとうございます。

○両角班長 ほかの先生方もよろしいですか。小児優先のルールを、最大限尊重するという案ですが。

○中川班員 ドナーも、では二十歳未満だった場合というのも入るのですものね。

○両角班長 そうです。

○中川班員 もうそれは小児優先ルールに乗るしかないですよね。

○両角班長 はい、よろしいですか。

○中川班員 はい。

○両角班長 では、このドナーが20歳未満の場合に関しては、改正後案に示されておりますABO式血液型一致の次に適合までを優先するという形で行きたいと思います。ありがとうございます。

 もう1つが、これはなかなか難しくて。

○中川班員 今ので、ちょっと私、1つだけ質問していいですか。これはかなりいろいろ複雑になってくるのですが、ネットワークの対応は大丈夫なのですかというのが、ネットワーク委員会移植施設委員でもあるのですが。

○両角班長 プログラムですよね。

○中川班員 プログラム上で、特にこれは問題のない対応ができるということですよね。

○井内室長 おっしゃっていただいたとおり、システム化を前提でこれからしていかないといけないので、今回、いろいろなそういう細かい所、MELDの所もそうなのですが、細かい所を見ていただいた流れの中で、これもこういった運用が可能だという前提で、それはJOTのほうに了解を取った上でやっております。

○両角班長 高額の費用を掛けてプログラムを変更するわけですから、一気にやってしまわないと大変もったいないということがあるようです。次の、移植後無機能腎になった場合のレシピエントへの対応で、待機期間をゼロに戻すのか継続させるかということで、移植学会のこの内容を検討する委員会提言が示されております。西先生が委員会に入っていましたね。その御意見をよろしいですか。

○西班員 基本的にこのフローチャートで問題ないと思うのですが、非常にファジーなところがあって、特に、レシピエント側要因なのかどうかというところは、この委員会の中でも決まった基準できちっと判定をしていけるかというのは、今後の課題だと思うのです。ドナー的な要因という所も、もちろんある程度、過去の資料に付けていただいた資料からも明らかなように、阻血時間と年齢というのは非常に大きいことが分かっていますので、これはいいのですが、それでもまだファジーな所があって、その辺が、今後、「献腎が無機能だった場合の待機時間の検討委員会」がどれほどきちっとできるかというところが大きな問題なのだろうと思います。

○両角班長 1つ質問、いいですか。心停止後の提供と、脳死後の提供と状況が違うかと思うのですが、その話はどのような展開がされたのですか。心停止後が減っていってほとんど脳死下提供になれば、クリアーになると思うのですが、心停止後の提供の場合には、なかなか絶対的因子にならない形でもよくない方が出てくると思うのですが、ドナー側の因子で、その辺りのディスカッションが何かありましたら。

○西班員 そうですね、ちょっとそこは私も全ての、何回か会があったのですが、私は全部に出ていなくて、そこについては、先生すみません、十分私の記憶の中に、どれぐらいディスカッションがあったのかは、ないのですが。

○両角班長 どなたか御存じのことありますか、その辺りの経緯。まだ、心停止後が3割ぐらい残っていますね。

○西班員 そうですね。

○両角班長 脳死下の場合だと、無機能になる比率は欧米では多分1%程度と思うのですが。

○西班員 この資料の中にも付いています。

○両角班長 心停止は、もう少し高くなります。

○西班員 透析、これですね、脳死下だと2.5%なのです。心停止後が7.8%、透析離脱不能なので。

○両角班長 ですね。

○西班員 約3倍ぐらい、心停止後のほうが多くなります。

○両角班長 ですね。

○西班員 はい。

○両角班長 全例が脳死下提供になっていない状況で、今回の案を検討された委員会の委員の方が、そのまま評価委員もされるわけですから大変だと思うのですが、ほかに御意見ありませんか。

○中川班員 ちょっと分からないところがあるのですが。厚労省側で作っていただいた案には何の疑問点もないのです。ただ、移植学会の理事なのに理解してないことも問題なのかもしれませんが、このレシピエント側要因で「0or否」の「否」の意味が、これはどういう回答という理解でいいのでしょうか。

○蔵満室長補佐 再登録できないという意味になります。

○両角班長 移植の適用がないという意味ですか。

○蔵満室長補佐 はい。

○中川班員 だから、今回の案の中にそこは入ってないという理解でいいのですか。

○蔵満室長補佐 こちらの用意した案の中にという意味でしょうか。

○中川班員 そうです。継続するか新規事例とするかという選択肢であって、これをディスカッションするに当たって「否」というのが入ってくると、更に非常に復雑になってくるところなのです。適用委員会で、それを判断できるのかということにもなってくる。要するに、移植学会の回答にのっとると、ディスカッションが難しくなるのですけれども、案にのっとってやるのであれば、比較的問題なく進められるということで、ちょっと意味が違ってきてしまうのです。

○湯沢班員 否は、継続できないということでしょ。

○蔵満室長補佐 登録できないということです。

○両角班長 これは登録継続不可という意味ですね。

○蔵満室長補佐 はい、そうです。

○中川班員 それから、もう1点の疑問点が、これは3か月の時点で週12回透析が必要な事例も含むとなっていた場合、あるいは3か月の時点で機能しないというのでもいいのですが、そうすると、過去の事例にまで遡っていかなければいけない可能性も、かなり出てくるのではないかと思うのです。どこまで遡るかというのはともかくとして、これからの人だけとなってしまうと、移植したとたんに駄目になった人、これまでいる人が待機期間ゼロからまたスタートしたり、諦めて登録していなかったりという人も出てくる中で、そこの判断をどうするかというのは議論の余地があるのではないかと。

○両角班長 遡るのはすごく難しい話になりますよね。

○湯沢()班員 確か作業班で話したときに、過去の症例に遡ることはしないとなったと思うのです。

○中川班員 状況判断が過去になると難しいので。

○湯沢()班員 そういう証拠として全部検討できるだけのものがないので、とてもできないから、今後の症例について検討しようということになったと思うのです。

○両角班長 現在の献腎移植の状況において、いろいろな処置を行うことによって、これぐらいの成績が期待できているという条件下での基準だという理解をしてくださいという話ですね。

○湯沢()班員 はい。

○両角班長 そういう話ですが、よろしいですか。

○中川班員 いいと思いますが、1年前と同じ医学的基準だなという部分で、患者のほうからのクレームが入る可能性は否定できないなというあれです。

○両角班長 そうですね。制度設計の問題ですから、どこからこれを適用するかというのは決めなければいけないと思います。前向きに決める、「ここから先」というように、設定した未来日から始めるのは簡単ですが、場合によっては過去に遡るのも有りかどうかということですよね。しかし委員会としては、設定した未来日から始めるというお話です。

○湯沢()班員 1つには、歴史的なことを言いますと、かつては無機能腎についての記載がネットワークのパンフレットにもなかった時代がありました。実はその頃、実際にそういう患者さんがいたときに、当然、無機能腎だからそのまま継続するのではないかと私は思って、そんな話をしていたことがあります。それをネットワークに返したら、急遽、パンフレットに記載されたということがあったのです。無機能腎でも戻らないということがあった。

 ただ、一方で無機能腎の場合には、そういう歴史があったにもかかわらず、あっせん料は徴収していないのです。それが、この前の作業班でも問題になって、「それはそもそもそういうことなんだ」と言ったら、法律学者が「それは移植がなかったことになりますよね」ということだったので、こういう議論になったのです。それだったらやはりゼロに戻さないで、そのまま継続にするのも有りではないかという議論があって、これが残ったというのが前回の作業班でしたよね。

○両角班長 この問題に関しては、以前からいろいろな議論があったことを承知しています。無機能腎になった人に対して何とかきちんと待機期間が継続できるような可能性を求めたいという中で出てきた判断ですから移植学会の原案をそのまま尊重する形でよろしいですか。

○服部班員 先ほど中川先生から御質問があった「否」という点が、私には、どうも理解できません。これはどういうことなのでしょうか。

○湯沢()班員 提言書で、「否」と書いてある人についての文章は、もう登録しないということになっています。例えば、レシピエント側の要因で、評価委員会で「否」となったものは、絶対的適用として自己怠薬というのがあります。自分が薬を飲まなかったためにprimary non-functionのまま落ちた場合には、そもそも自己怠薬しているような人は再登録しないという意味で、この提案書には書かれています。

○両角班長 アドヒアランスが悪いというお話がありましたが、血栓症に入るかどうかは分からないけれども、APS(高リン脂質抗体症候群)の人で、ものすごく活性の高い人のほうがレシピエント側の要因としては分かりやすいかなと感じました。primary non-functionから回復できなかったレシピエント側の要因が、アドヒアランスが悪いという話は入院期間が多く含まれていますから例外的すぎる設定かなと感じます。ですからレシピエント側の要因として想定される状況は、もうちょっと明確なほうがいいですね。

○西班員 そこが先ほどのファジーなところです。例えば、長期透析のために血管の石灰化が非常に強いというのもレシピエント側の要因かもしれないのですが、そういう方がもう1回登録し直すかどうかというのも大きな問題になると思います。

○両角班長 そうですよね。

○中川班員 決定というのは、判定委員会で言い切れるものですか。

○西班員 いや、難しいですね。

○中川班員 例えば、今の西先生の例えで言うと、逆に言うと判定委員会の作業の能力にも関わってきます。石灰化がひどいといったときに、移植施設の術者の能力も大きく関わってくるのです。薬を飲まなかったというのも含めて、私は、厚労省の対策推進室側で作っていただいた案は非常にリーズナブルでいい案だと思うのですけれども、移植学会の回答の「否」というのは、非常に問題のある回答ではないかと理解するのです。

○両角班長 表現の仕方で、何とか工夫するかですね。

○中川班員 どこかに工夫は必要です。要するに、先生がおっしゃるような、血栓になるようなケースというのは医学的な理由です。判定委員会側が「否」と言うよりは、患者には勧めないというところまでは提言できると思うのですが、臓器移植ネットワークの登録をするというのは患者側の意思であって、医学的な要因がファジーな部分がある中で、先ほどのInactiveぐらいだったらまだしも、移植学会の判定委員会で「否」というのは難しい話ではないかと。「患者さんがこういう状況ですから難しいですよ」という説明まではあってもいいのかもしれませんが、学会の判定委員会で「否」というのは。ここで言っているのは、腎機能が無発現であった場合の待機期間を継続するか、待機期間をゼロにするかというのがもともとの議論だったわけで、私は対策室側で作っていただいた回答案まででいいのではないかと思うのです。

○井内室長 実は、この案にはそこを明記していないのですが、新旧の所では再新登録の可否まで書き切っていますので、評価委員会が再登録の可否のできる所、今回は再登録をしないという判断まで仕切ることができるという前提の改正案で、学会から来たものをそのままにしております。あとはこの委員会の中で学会からの案を、そこまですべきではないということも含めて御議論を頂ければと思います。

○湯沢()班員 この提言書をよく読むと、いろいろな要因で登録を継続しないとなったときに検討委員会の待機とか、「検討委員会の再登録の可否の決定に不服がある場合は、移植施設は検討委員会に再検討の申請ができる」とか、その下には「再登録ができる」とも書いてあるのですよ。だから、これは何も絶対にこの結論だけで行くことではないということになっているのではないですか。

○両角班長 そう書いてありますね。

○湯沢()班員 提言は、結構いろいろありの形で書いてありますので、絶対にもう駄目だということではないですよ。

○両角班長 だから、これは評価委員会としての見解ということですね。

○中川班員 では、この改正案の新旧対照表にのっとっていけば、そこまで書いてあるのですか。

○井内室長 はい。

○中川班員 はい、書いてありますね。

○蔵満室長補佐 5ページの上のほうの左手、下線を引いている所です。中川先生がおっしゃったのは、(4)の「略」のちょうど上になるかと思います。「再登録の可否や待機期間について検討する」という形で、再登録の可否を入れさせていただいております。

○中川班員 なるほど。回答をもって再登録する。これは逆に言うと、どこまで評価委員会に権限があるかというのが分からない部分になっていますね。これでいいのかもしれないのですが、移植施設が回答をもって再登録するわけで、回答にそのまま載らなくてもいいのかということですよね。

○両角班長 この(4)は移植施設の判断で、いや、違いますという見解を持っても悪くはないのですね。

○中川班員 これはそういう理解でいいのですかね。

○両角班長 そういう理解ですよね。

○井内室長 肝臓のほうでは学会の適応評価委員会のほうで、どんな患者もそこを通してそこが「良」にならないと、基本的にはJOTに登録しないという仕組みがありますので、我々としてはこれをいただいたときに、学術的に2回やっても3回やっても多分無理だ、付かないという医学的な適応性を見た上で登録しないということで、この評価委員会の中で判断することなのかなという理解をしていたのです。もし、そこまで強く判断できないということであれば、またゼロ日で新記登録が別にできると。

○両角班長 懸念するのはレシピエント側の要因となった際に、移植施設が移植できるという判断をして行った事例です。しかし結果が無機能だったということになると、移植施設の術前の評価に対して移植学会の評価委員会は、間違っていますよということを言っている話になりかねないです。結構デリケートなところがあって、ここまできちんと書かないほうがいいのかなとも感じます。先ほどお話した心停止後あるいは脳死下提供という状況で無機能となった要因がはっきりしている場合は良いのですが無機能になった人の原因がどこにあるか決めるのは大変難しいと思います。お示しいただいた原案はとてもよく作られたと思いますし、とても苦労したと思います。しかし、実例の検証に入ると、とても苦労するのではないかということが予測されます。評価委員会に対して移植施設から、何らかのクレームが来るのではないかということが、予測されそうです。大丈夫ですか。

○中川班員 駄目でしょうね。私は駄目だと思う。

○西班員 この委員会はまだ開かれてないので、これからそういう事例があって、と開かれたときに、その問題が起こってきたら、どうしていくかということをもう一度話し合っていくしかないのかなと思うのです。取りあえず再登録できるかできないかという何らかの基準を決めないと進まないので、一応ある一定の基準は作らないといけない。

○両角班長 そう思います。多分「ゼロあるいは否」の「否」というのは、変えたほうがいいのかなという気はするのです。違いますか。

○西班員 それは是非、委員会に制限していただいて。

○中川班員 ここでのディスカッションでいいわけでしょ。要するに、室長が今言っている部分で言えば、肝臓に関しても心臓に関しても最初のときから適応委員会があるわけで、1度目だろうと2度目だろうと、それは同じという判断になると思うのですが、腎臓移植の場合は現状では適応委員会が、全国にあるわけではないです。もっと言えば、実務的にもこれだけの活動をこれだけの広域でやっている中で、委員会をやることは不可能です。また、患者が15年待機している段階で、日々適応をジャッジするというのも不可能に近い。肝臓・心臓に関して言えば、移植施設に入院していることがほとんどだと思いますが、腎臓の待機患者は基本的に透析施設で、透析クリニックで待機しているという状況ですから、意味が全く違ってきてしまいます。そうすると「否」というのは、やはり難しいと。もともとの適応の判定が違ってくる可能性があるので、ここは入れられないだろうと思います。

○両角班長 だから、表現を少し工夫したらどうですか。これでは本当に移植施設の否定になってしまいますから、ちょっとまずいかなと思うのです。

○井内室長 ここの作業班でそうまとめていただければ。我々のほうとしては可否の部分を削って、要は1週間以内に、もう一度審議をし、待機期間について検討するということにして、いわゆる可否の権限はないということにするというのを、この作業班で決めていただければ、我々はそれをそのまま上位の臓器移植委員会に提案をさせていただくことになります。

○両角班長 そういう方向でどうですか。したがって、このスキームの中の「否」という表現をちょっと変える形にする。案で使われる言葉も、多少変える形になると思いますが、そのような形でいかがですか。当然、移植学会の委員会のほうにも、このような形でお願いしたいという、きちんとしたお返しはしないといけないと思いますが、それはそちらからされますよね。

○井内室長 ここでまとめていただければ、そのまとめを臓器移植委員会に上げますので大丈夫です。

○両角班長 ということで、よろしいですか。それならば多分問題なく、評価委員の先生も評価判定をしていただけるとひどいことが起きないと思います。

(異議なし)

○両角班長 ありがとうございます。それでは検討いただいた2項目に関してですが、ドナーが20歳未満の小児のABO血液型の適合でいいという話と、無機能腎に関するフローチャートの中の「否」の部分の文言の修正をした上で、案に関する語句と文言の修正が少しあるという形でいこうと思います。幾つかの文言に関しては、また事務局と相談しながら進めさせてもらいますので、それでよろしいでしょうか。

○湯沢()班員 今、検討する予定として2点挙げられておりましたが、今日の腎臓の一番最初のページを見ていただきたいと思います。「選択基準の変更について」の1項目目、「待機日数とHLAの適合度の点数の取扱いについて」を、改めて検討したいと思って提案させていただきます。

 そもそも4回か5回前の作業班のときに、とにかく待機年数がどんどん長くなっていて登録患者に夢も希望も持てない腎移植になっているのではないか、何とか待機年数のポイントを下げることによって、もう少し待機年数が低い人にも当たる方法がないかということで、私が点数をいろいろシミュレーションし、何とか若い人にも当たるようなパターンを作れないかと、実際にネットワークのデータを使ってシミュレーションしたのです。結果的には待機年数のポイントがある以上、仮に待機年数のポイントを4分の1にしても、5分の1にしても階段状に行くので、待機年数が長い人に選択されてしまうということを現状では報告させていただいて、無理だと。

 そこで、2回前の作業班のときに私が提案させていただいた案を、もう1回繰り返させていただきたいと思います。HLAが完全に一致している場合、ゼロミスマッチ分の場合です。ゼロミスマッチの人というのは、全体で5%ぐらいですが、そういう人は従来の、ある程度のデータから、ゼロミスマッチとミスマッチ数の差によって、どう成績に差が出てくるかといったときに、ゼロミスマッチとそれ以上の、いわゆる1から6のミスマッチの人とを比べると、明らかにゼロミスマッチがいいというデータがありました。それだったら5%の人について待機年数に関わりなく、優先的に配分されるような仕組みを作ってもいいのではないかということを、2回前の作業班で私から提案させていただいたのです。しかし、そこではそれに対する十分なエビデンスがないということで否定されてしまい、それで止まっているのです。そうでもしない限り。今は14年の待機年数と言っても、小児優先とか、脳死は膵・腎に行ってしまうということを考えると、私の統計だと、成人に関しては17年になっています。17年待たなくてはいけない献腎移植に夢が持てるなど、とても思えないということを、私と相川先生が2回前に散々、声を高々に言わせていただいたわけです。それが現状で、全然変わらないし、むしろ心停止下の提供がどんどん減っている状況から、更に伸びているのではないかと思うのです。「あなたは17年持たなくちゃ移植が受けられませんよ」と言って患者さんに登録を勧める心苦しさは、我々は移植の現場で常に思っていることですから、それを5%の人にだけでも優先的に配分されることになれば、非常にというか、多少なりとも夢が持てる医療になるのではないかと思うのです。それに、もう少し何らかのエビデンスを集めてその有意性を出せば、何とかそういう方向で動いていけるのではないかと私は思っているのです。それについて、継続審議をしていただければと思っています。

○中川班員 私も是非、やっていただきたいと思うところです。心情的には湯沢先生が言っていることに私も同意見です。科学的に言えば、UKトランスプラントの場合にはそうなっているのです。日本のデータには微妙なところがあるので、そこが入ってないのですが、グローバルに見た場合、UKトランスプラントのルール配分を見た場合には地域も凌駕して、全国シッピングでフルマッチが最優先という形には出ているので、患者さんが登録している意味から考えても、グローバルに見た場合の成績から考えても、湯沢先生の言われることは再検討に値するものだと私は思います。

○湯沢()班員 5%というのは、全国的に見てそのぐらいのゼロミスマッチがいますので。理論的にはゼロミスマッチだとクロスマッチは要らないわけです。ですから全国シェアをしてもシッピングは可能ということになるのです。そのくらいの夢と希望がある腎移植医療にしてもいいのではないかというのが、根本的にあります。成績が良くなるということは、提供者や家族の意思を生かせることにもなりますから、何も。ちょっと前のデータだと13年で切ると、その前後で明らかに一番大きく差が出るのです。成績を悪くして移植しているのが現状なわけで、やはり提供者なり家族の意思を生かすためには、多少なりとも夢というか、待機年数の少ない人に、しかもゼロミスマッチというのはベストな状況ですから、そういう人に移植できるような体制というか、基準を作ってもいいのではないかというのが現場の思いです。

○両角班長 記憶にありますけれども、この話は何回もされています。一番問題になったのが、どこかにウエイトを掛けないと、移植に対する期待が持てないという現実です。そこでAge-matchの中から、まずは小児を優先しようという話が出てきたと思います。

 当初の組織適合性、待機期間、地域因子を111の比率で分配したところから始まりましたがHLAの重みの中でゼロミスマッチだけを大きくポイントを付けたらどうかという話があったと思います。ポイントを勘案するウエイトの掛け方で済むのか、あるいは別扱いにするぐらいに上げるのかという話がありました。ポイント制度から切り離すのは経過を考えると難しいところで、ポイント制度の中に取り込んで、ゼロミスマッチのポイントをすごく高くしたらいいのではないかというお話もあったと思います。そういう形であれば、現行の制度を全部変えなくてもいいというお話があったように記憶しています。それはこれからも広く意見を募り考えればいいと思います。

 今まで使ってきた待機日数と、HLAと、その他因子の組合せのポイント制度のスキームを全部壊すというのは、なかなかできないものと思います。ポイント制度を残した中で、そういった趣旨を反映させたらどうかと思いますが。ただ、そこまでのディスカッションができなかったから、今後の課題という形で積み残されたと理解しています。それでよろしいですね。その件に関し、登録待機者や移植医療関係者の中でポイント制度を変えてしまったほうがいいとの動きはありますか。この決定をすることにより大変なことになる事態も想定する必要があると思います。待機ポイントを持ったままでずっと待っている人は、それなりの重さがあるものですから、多くの待機者が納得できなければいけないですよね。

○西班員 倫理の専門の方も、そこを全部変えることは倫理上問題があるという御意見がありました。

○両角班長 待機日数の問題がどうこうという話があったとしても、今まで使ってきたポイント制度を一気に全部消すことはできないと感じます。待機日数のポイントを縮小させるとか工夫は必要と思います。

○湯沢()班員 それはどんなに縮小しても、階段的に残っていきますから、例えば10分の1にしてもほとんど変わらなかったのです。

○両角班長 何を優先するかを決めなければいけないですから、まずはゼロミスマッチだけを優先するような形で取り組もうとか。システムを全部変えなくてもやれるのならば、やりやすいとは思うのですが、全部変えるというのは大変難しいという気がします。もちろん、作業部会の中でそういう意見が強くなって結論が出れば、臓器移植委員会に上げる案を作ればいいのですが、従来のことを考えてどう思いますか。

○中川班員 1つ質問です。倫理の専門家というのは、こういうものを決めるときにはやはり入ってくるわけですよね。

○両角班長 入ってきます。

○中川班員 入ってくることを考えた場合に、グローバルに見ればそういうフルマッチが優先する、全てに優先するというのをやっている所があるわけですが、両角先生がおっしゃるように、倫理的にそれをフルに変えるとなると、先ほどの無機能の話のときに、過去に遡るのはどうかというのと似たような話になるのです。今まで待っている人の問題もあるので、やはり対応可能な範囲は、ポイント性の優先に少し加えていく以外に対応策はないと思います。

○両角班長 皆さん、この点に関してはどうですか。

○井内室長 この作業班の先生方は、皆さん医学の専門家ということで入っていただいていて、基本的には学会経由の提案、若しくはここで医学的な新たなエビデンスに基づいた変更については、今までやってきていただいたとおりだと思います。実際に今は臓器移植の関係学会も多いので、最終的には今日のように作業班で変更したり、臓器移植委員会に上げる最終案を作るのはここだという位置付けです。ただ実際は、学会のほうから御提案とか、御提言とか、新たなエビデンスを用いたものを出していただいた上で、それをこの作業班にかけていくことが多くなっています。そういったプロセスを踏む中で、いわゆる現場で働いている先生方の多くの方の目に止まると。要は、ここだけでやってしまうと先生方の周りの先生しか知らない状態で、一気に決まってしまいかねないというバランスもありますので、そういったプロセスを踏んでいます。

 今はJOTのシステムの変更が必要なので、大体12月までに学会のほうから提案を頂きたいと。これぐらいの時期までにJOTでシステムをどうするかという内々の調整をしながら、この辺りで作業班とか臓器移植委員会をやるというのを、これから毎年やっていこうと。今までは各臓器から五月雨式に出てきていたのですが、それではシステムの変更が不可能になってきましたので、今は大体そういうスケジュールで動いているのです。今のエビデンスとか、現場の先生方の総意などが学会等から上がってくれば、この作業班の中でも、よりスムーズに御検証いただけるかなとは思います。

○両角班長 分かりました。確かに腎移植に関わっている医師だけでなく、社会の理解がないと進まない医療をやっているわけですから、そういった意見を反映させることも十分意識した上で、その中で最もいい成績が期待できるものを学会から要望するという形で上げてもらうと。

○湯沢()班員 前回の作業班で、小児から小児へというのは、倫理とか法律の人たちからは否定されたのです。ただ、それを厚生科学審議会の移植委員会で、相川先生に非常に強調していただいたお陰で復活したことがあります。最終決定機関はそこですから、そこで決めることになるわけです。ですから作業班がそのまま決まるわけではないけれども、厚生科学審議会にしっかりとした意見を述べることは必要だと思います。

○井内室長 ここでまとめていただいた今回のものは、全部厚生科学審議会臓器移植委員会に上げて、そこでまた議論を頂いた上でここに戻ってくるか、学会に戻ってくるか、そのまま決まるか、多少変えて決まるかというプロセスを経ていく。その中には倫理の先生などにも入っていただいております。

○両角班長 それぞれ以って立っている立場が違うと、いろいろな意見がありますから。ただ、移植自体が社会に支えられているということが出発点ですので、そこだけはやはり押さえておく必要があります。海外がこうだからの理屈では通用しないというのも事実ですので、その辺りも理解した上でいきたいと思います。よろしいでしょうか。湯沢先生、学会からどうこうするかも含めて考えましょうか。

○湯沢()班員 はい。

○両角班長 いろいろな意見を頂きましたけれども、ほかにはよろしいでしょうか。それでは、今日審議していただいた件に関しては、先ほどお話したとおり決まりましたので。

○蔵満室長補佐 本日は活発な御議論を頂きまして、誠にありがとうございました。本日いただいた御意見を踏まえ、レシピエント選択基準の改正に向け、審議会への報告準備をさせていただきます。事務局からは以上です。


(了)
<照会先>

健康局難病対策課移植医療対策推進室
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 内線:2365

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