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2019年2月18日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録

○日時

平成31年2月18日(月)14:00~

 

○場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)

○出席者

出席委員(10名)五十音順

青 山 久 美、  池 田 和 隆、  遠 藤 容 子、 北 中 純 一、
桐 井 義 則、◎鈴 木    勉、○関 野 祐 子、 田 中 理 恵、
出 水 庸 介、  松 本 俊 彦
(注)◎部会長 ○部会長代理
他参考人2名
 

欠席委員(1名)

成 瀬 暢 也
 

行政機関出席者

森    和 彦 (大臣官房審議官)
磯 部 総一郎 (監視指導・麻薬対策課長)
衣 笠 秀 一 (監視指導・麻薬対策課監視指導室長)
牧 角 一 信 (監視指導・麻薬対策課薬物取締調整官)

○議事

○監視指導・麻薬対策課長 それでは定刻になりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会指定薬物部会を開催させていただきたいと思います。大変お忙しい中、委員の先生方におかれましては、御出席を賜りまして誠にありがとうございます。
 初めに一つ報告をさせていただきたいと思います。先般の薬事・食品衛生審議会委員の改選に伴い、本年1月25日に薬事・食品衛生審議会の総会が開催されたところでございます。本部会に関しましては、宮田委員、花尻委員が御退任されました。新たに北中委員、田中委員、出水委員をお迎えしておりますことを、まずは御報告させていただきたいと思います。
 それでは新任の先生方、北中純一委員、田中理恵委員、出水庸介委員に一言ずつ御挨拶を賜ればと思います。よろしくお願いしたいと思います。
○北中委員 はじめまして、北中と申します。兵庫医大からまいりました。どうぞ、よろしくお願いいたします。
○田中委員 国立医薬品食品衛生研究所の田中理恵と申します。今後ともよろしくお願いいたします。
○出水委員 同じく国立衛研の有機化学部の出水と申します。よろしくお願いいたします。
○監視指導・麻薬対策課長 ありがとうございます。それでは、改選後の最初の指定薬物部会ですので、特に留意事項などについて事務局から説明させていただきます。
○事務局 本部会への御参加に当たっての留意事項を3点ほど、改めて御説明させていただきます。第一に守秘義務の関係です。国家公務員法第100条におきまして、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする」と規定されています。委員、臨時委員、専門委員は非常勤の国家公務員であり、この規定の適用を受けますので、職務上知り得た秘密について漏らすことのないようお願いします。
 第二に薬事に関する企業等との関係です。関連資料としてタブレットに当日資料1「薬事分科会規程」、当日資料2「薬事分科会における確認事項」を格納しています。当日資料1「薬事分科会規程」の6ページを御覧ください。こちらに記載されています第11条において、「委員、臨時委員又は専門委員は在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には辞任しなければならない。」と規定されています。審議の中立性、公平性を確保する観点から規定されていますので、これらに該当する場合、また任期中に該当することとなる場合には、速やかに事務局まで御連絡いただきますようお願い申し上げます。
 第三に薬事分科会の審議事項です。4ページを御覧ください。4ページの第3条第14項に指定薬物部会の所掌について、「指定薬物部会は、法第2条第15項の規定による指定薬物の指定に関する事項を調査審議する。」と規定されています。続きまして、5ページを御覧ください。5ページの第7条に部会の決議について、「部会における決定事項のうち、比較的容易なものとして分科会があらかじめ定める事項に該当するものについては、分科会長の同意を得て、当該部会の議決をもって、分科会の決議とする。ただし、当該部会において、特に慎重な審議を必要とする事項であるとの決定がなされた場合にはこの限りではない。」と規定されています。この但し書きにありますように、「部会において特に慎重な審議を必要とする事項である」と決定された場合には、分科会において御審議をお願いすることとなります。委員の皆様におかれましては、このような規程を御承知の上、御審議いただきますようお願い申し上げます。
 御不明な点等ございましたら、事務局までお申し付けください。以上です。
○監視指導・麻薬対策課長 それでは続きまして、本部会の部会長ですが、1月25日に開催された薬事分科会において選出が行われています。この指定薬物部会に関しては鈴木勉委員が、部会長に選出されていますので、御報告を申し上げます。
 最初に鈴木部会長、一言御挨拶をお願いできますでしょうか。
○鈴木部会長 はい。星薬科大学の鈴木と申します。引き続き部会長ということで、皆さんに御協力を頂きながら、円滑な審議を進めていきたいと思います。よろしくお願いします。
○監視指導・麻薬対策課長 ありがとうございます。続きまして、薬事・食品衛生審議会令第7条第5項の規程に基づき、「部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名する者がその職務を代理する」とされています。部会長代理について、部会長から御指名を頂くことになっています。鈴木部会長、よろしくお願いしたいと思います。
○鈴木部会長 関野委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。ありがとうございます。それでは、関野委員にお願いしたいと思います。どうぞ、部会長代理席に移動していただきたいと思います。
 それでは関野委員に御挨拶をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○関野委員 部会長代理を拝命いたしました関野祐子です。現在、東京大学大学院薬学系研究科のヒト細胞創薬学寄付講座で特任教授をしています。こちらには、○○○○○○○○○○○○の○○○○時代からお世話になっておりまして、長く審議を務めさせていただいています。どうぞよろしくお願いします。
○監視指導・麻薬対策課長 関野先生、よろしくお願いします。
 本日は、成瀬委員から欠席の御連絡を頂いています。現在のところ、当部会の委員数11名のうち10名の御出席を頂いています。定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。
 また本日は、参考人としまして○○○○○○○○○○○○○○○の○○○○先生と、○○○○○○○○○○○○の○○○○先生をお招きしています。○○先生、○○先生、どうぞよろしくお願いいたします。
 部会を開始する前に本部会の公開・非公開の取り扱いについて御説明をさせていただきます。審議会総会における議論の結果、会議を公開することにより委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると判断された場合には、非公開とすることができるとなっております。本部会は、その判断がなされています。そのため、非公開とされています。また、会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで、発言者等に対して外部からの圧力や干渉、危害が及ぶおそれが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとしています。あらかじめ御了承いただければと思います。
 また厚生労働省全体の取組として、審議会等のペーパーレス化を進めています。本日は、ペーパーレスでの部会開催とさせていただきますので、部会資料はお手元のタブレットを操作していただき、御覧いただくことになります。操作等で御不明な点がございましたら、事務局でサポートさせていただきますので、よろしくお願いします。
 以後の議事進行については、鈴木部会長にお願いできればと思います。よろしくお願いします。
○鈴木部会長 それでは、事務局より資料の確認をお願いします。
○事務局 本日の資料の確認をさせていただきます。お手元のタブレットを操作しながら、資料の確認をお願いします。
 今回は、1.部会資料、2.文献、3.参考資料、委員名簿・座席表、当日資料という5つのフォルダーを格納しています。まず1.部会資料から御説明させていただきますので、1.部会資料のフォルダーをお開きください。1.部会資料の中には、資料1、資料2-1、資料2-2、資料2-3、資料3を格納しています。
 続きまして、2.文献について御説明しますので、2.文献のフォルダーをお開きください。文献のフォルダーの中には、文献1から文献25まで格納しています。
 3.参考資料について御説明します。3.参考資料のフォルダーをお開きください。参考資料としては、参考資料1、参考資料2、参考資料3を格納しています。
 資料についての説明は以上です。資料の操作等について御不明な点がありましたら、事務局までお申し付けください。
○鈴木部会長 本日の議題は「指定薬物の指定について」です。早速、審議に入りたいと思います。審議物質について、事務局より説明をお願いします。
○事務局 資料1は、各物質の名称、通称名、構造式を記載しています。資料2については、御審議いただく物質のほか構造が類似する指定薬物や麻薬等について一覧表にまとめたものです。資料3については、国内外の基礎研究や動物実験の結果等について、中枢神経系への影響を中心にまとめたものです。
 それでは、カンナビノイド系物質である審議物質1について御説明します。まず資料2について御説明しますので、資料2-1を御覧ください。資料2-1はカンナビノイド系の審議物質1のADB-CHMICA、並びにこれらに構造が類似する麻薬、指定薬物について、自発運動への影響、カンナビノイド受容体に対する影響等をまとめています。審議物質1は、カンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性を有しており、過去に指定した指定薬物と同種の作用を有することを確認しています。資料2の説明は以上です。
 資料3について御説明しますので、資料3の1ページを御覧ください。通称名についてはADB-CHMICAとほかに一つありますが、今回はADB-CHMICAを用いて御説明させていただきます。審議物質1の通称名ADB-CHMICAですが、指定薬物であるADB-CHMINACAとADB-FUBINACAと構造が類似する化合物です。
 まず(1)の行動・中枢神経症状の観察についてです。1ページから2ページにかけて、御覧ください。マウスにADB-CHMICA 15mgを添加したマーシュマローリーフ0.25gを燃焼させ、マウスを薬物にばく露させて、燃焼後15、30、60分後の行動及び中枢神経症状を観察しています。ADB-CHMICAをばく露したマウスはコントロール群のマーシュマローリーフばく露群と比較して、挙尾反応、洗顔運動の抑制、立ち上がり動作の抑制、自発運動の抑制、異常行動、異常姿勢、筋緊張度の低下、瞳孔の散大、眼裂の拡大、呼吸数の低下、体温低下、皮膚の白化などが確認されたとの報告を受けています。
 2ページの表1には、ADB-CHMICAに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値の抜粋を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値となっています。また、観察された特徴的な症状を示した写真を3ページに載せています。
 ここで3ページの写真と併せて、実際の動画も御確認いただきたいと思います。3ページの写真の上から順に前のスクリーンの動画とともに御確認ください。こちらは燃焼終了後約9分経過のマウスですが、5匹中1匹に飛び跳ねた後の不自然な落下、挙尾反応が確認されました。続きまして、こちらは燃焼終了後約39分経過の別のマウスですが、伏臥位姿勢で目を開けた静止状態が確認されました。続きまして、こちらは燃焼終了後約52分経過の別のマウスですが、伏臥位姿勢で目を開け、尾を伸ばした静止状態が確認されました。動画については以上です。
 4ページの(2)を御覧ください。カタレプシー試験について、燃焼終了後15分の観察時に5匹中2匹が陽性であったが、燃焼終了後30分の観察時には5匹全てが陰性であったとの報告を受けています。こちらについても観察されたカタレプシーの写真を下に載せています。上から順に前のスクリーンの動画とともに御確認ください。こちらは燃焼終了後約15分のマウスですが、陽性反応、両側前肢を横棒に寄りかけた後落下し、静止状態が確認されました。続きまして、こちらは別のマウスですが、陽性反応が認められており、両側前肢を横棒に寄りかけた静止状態が確認されました。カタレプシーの動画については以上です。
 5ページの(3)を御覧ください。ヒトカンナビノイド受容体(CB及びCB受容体)に対するアゴニスト活性EC50を測定した結果を載せています。両受容体ともにラセミ体でのデータはありませんが、CB受容体について、S体は1.01×10-mol/L、R体は1.08×10-mol/L、CB受容体について、S体は9.04×10-mol/L、R体は3.98×10-mol/Lとの結果から、カンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性があることが報告されています。
 今回、ADB-CHMICAについては行動・症状観察において、挙尾反応、洗顔運動、立ち上がり動作、自発運動、異常歩行といった異常な行動や症状が確認されていること、ヒトカンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性を有していることが確認されたことより、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有すると考えています。
 以上のことから、ADB-CHMICAについては、中枢神経に作用する物質であり、法律第2条第15項に規定する「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高い」と考えています。
 5ページの(4)の海外での流通状況についてですが、2014年にスロベニアにおいて、2015年にクロアチア、ロシア、リトアニア、ポーランド、トルコにおいて、2016年にラトビア、ポーランド、ロシア、ハンガリーにおいて、2017年にノルウェー、ハンガリーにおいて、2018年にイギリスにおいて流通が確認されています。
 最後に(5)海外での規制状況についてですが、スウェーデン、オーストラリアのクイーンズランド州で規制されていることが確認されています。なお、ADB-CHMICAについては光学異性体が存在しますが、上記のいずれの国、地域においてもRS体を分けて規制はされていません。以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。 
○鈴木部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方から、御意見を頂きたいと思います。まず最初に流通実態について、○○委員からお願いいたします。
○○○委員 本化合物については、○○○○での検出例はありませんでした。以上です。
○鈴木部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。
○関野部会長代理 この本審議会では前回初めてビデオを用意はされていましたけれども拝見する時間なかったのですが、今回ビデオをはじめて拝見することになります。やはり紙面での写真資料よりもはっきりとカタレプシーなどの強い作用を確認できたと思います。動画の資料は審議の際に非常に役に立つと思いました。
○鈴木部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、意見がないようですので審議をまとめます。ただいま御審議いただきました1物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、引き続き事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 続きましてフェネチルアミン系物質である審議物質2について御説明いたします。まず、資料2-2を御覧ください。資料2-2はフェネチルアミン系の審議物質2、2-FEA及びこれに構造が類似する覚醒剤や指定薬物について、自発運動への影響、マイクロダイアリシスのデータ、セロトニン受容体に対する親和性などをまとめております。審議物質2は、マイクロダイアリシス試験ではモノアミンを有意に増加させており、過去に指定した指定薬物と同種の作用を有することを確認しております。資料2の説明は以上です。
 続きまして資料3について御説明いたします。資料3の6ページを御覧ください。通称名については、2-FEAとほかに一つございますが、今回は2-FEAを用いて御説明いたします。審議物質2の通称名2-FEAですが、指定薬物である3-FEAと4-FEAと構造が類似する化合物です。
 続きまして、(1)の行動・中枢神経症状の観察についてです。6ページから7ページにかけて御覧ください。マウスに2-FEAを2、20、100mg/kgを経口投与し、投与後30、60、120分の行動及び中枢神経症状を観察しております。2mg/kgの投与群では、攻撃性の亢進、洗顔運動の抑制、眼裂の拡大が確認され、中枢神経症状については、いずれの項目も影響が認められなかったとの報告を受けております。20mg/kgの投与群では、洗顔運動、立ち上がり動作の抑制、自発運動の抑制、異常歩行、異常姿勢、筋緊張度の低下、払いのけの亢進、震え、瞳孔の散大、眼裂の拡大などが確認されたと報告を受けております。100mg/kgの投与群では、攻撃性、触反応、立ち上がり動作、洗顔運動の抑制、反復動作の亢進、異常歩行、払いのけの亢進、震え、自発運動の亢進、瞳孔の散大、眼裂の拡大、皮膚の赤化などが確認されたと報告を受けております。
 続きまして、7ページの表2を御覧ください。2-FEAに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値の抜粋を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値となっております。また、観察された特徴的な症状を示した写真を8ページに載せております。ここで8ページの写真と併せて実際の動画も御確認いただきたいと思います。8ページの写真の上から順に、前のスクリーンの動画とともに御確認ください。
 まず、こちらは20mg/kg投与群の投与後約1時間経過後のマウスですが、立ち上がり、忙しい行動が確認されました。続きまして、こちらは100mg/kg投与群の投与後約7分経過後の別のマウスですが、激しい動き、陰嚢の突出が確認されました。続きまして、こちらは投与後約13分経過後の別のマウスですが、流涎、掻動作、スニッフィング、常同行動、鼻部の小刻みな震え、後肢外反、両側後肢指乖離が確認されました。
 続きまして、こちらは投与後約1時間50分経過後の別のマウスですが、激しい動き、スニッフィングが確認されました。動画については以上です。
 続きまして、9ページの(2)について御説明いたします。Fig1の測定結果のグラフと併せて御覧いただければと思います。自発運動における運動量の測定について、マウスに2-FEAを20mg/kg経口投与し、投与後3時間までの10分ごとの自発運動量を測定しております。2-FEA投与群、対照として蒸留水群、各群マウス4匹を使用し、総運動量、大きい運動量、立ち上がり回数、総移動距離について、Wilcoxon検定を用いて有意差検定を行ったところ、総運動量、総移動距離は投与後60分から160分まで対照群と比べて多い傾向にあり、90分から150分で有意な増加が見られたとの報告を受けております。大きい運動量については、110分及び140分を除きますが、投与後60分から160分まで対照群と比べて多い傾向にあり、90分から150分では有意な増加が見られたとの報告を受けております。立ち上がり回数については、110分及び140分は除きますが、80分から160分まで対照群と比べて多い傾向にあり、100分から150分では有意な増加が見られたとの報告を受けております。
 続いて、10ページの(3)を御覧ください。マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化の報告を載せております。コントロール群の蒸留水投与群に対する2-FEA17mg/kg経口投与群のモノアミンの増加率の有意差をウェルチのt検定で求めたところ、Fig2のグラフのとおり、ドパミン、セロトニン、ノルアドレナリンのいずれも有意に増加することが確認されたとの報告を受けております。
 続きまして、11ページの(4)には、2-FEAとコカイン塩酸塩のモノアミントランスポーターに対する機能影響評価についての報告を載せております。12ページの図も併せて御覧いただければと思います。ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニントランスポーターに対するIC50を算出したところ、ノルアドレナリントランスポーターについては2-FEAが4.5×10-Mで、コカイン塩酸塩のIC50の約1.5倍であり、ドパミントランスポーターに2-FEAが1.3×10-Mで、コカイン塩酸塩のIC50の約6.5倍であり、阻害はコカイン塩酸塩よりも弱いとの報告を受けております。また、セロトニントランスポーターについては、2-FEAのセロトニンに対するIC50を求めることができず、阻害はコカイン塩酸塩よりも弱いとの報告を受けております。
 続きまして、13ページの(5)には、セロトニン受容体5-HT2A及び5-HT2に対するアゴニスト活性、EC50を測定した結果を載せております。2-FEAのセロトニン5-HT2A及び5-HT2C受容体は、いずれもEC50が1.00×10-mol/Lを上回ると報告されております。今回、2-FEAは行動・症状観察において洗顔運動、立ち上がり動作、自発運動、異常歩行といった異常な行動や症状が観察されていること、マイクロダイアリシス試験においてモノアミンの有意な上昇が見られたことから、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有すると考えております。
 以上のことから、2-FEAは中枢神経に作用する物質であり、法律第2条第15項に規定する「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高い」と考えております。
 続きまして、13ページの(6)海外での流通状況についてです。2017年にカナダ、2018年にスウェーデンにおいて流通が確認されております。
 最後に(7)海外での規制状況についてです。スウェーデン、フィンランド、イギリス、カナダ、ニュージーランドで規制されていることが確認されております。なお、2-FEAは光学異性体が存在しますが、上記のいずれの国・地域においてRS体を分けて規制はされておりません。以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○鈴木部会長 委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。まず最初に流通実態について、○○委員からお願いいたします。
○○○委員 本化合物につきまして、○○○○での検出例はございませんでした。以上です。
○鈴木部会長 それでは、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、意見がないようですので審議をまとめます。ただいま御審議いただいた物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、引き続き事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 続きまして、フェンタニル系物質である審議物質3及び審議物質4について御説明いたします。まず、審議物質3について説明いたします。資料2-3を御覧ください。資料2-3はフェンタニル系の審議物質3のo-Fluorofentanylに構造が類似する麻薬や指定薬物について、症状観察、自発運動への影響、オピオイド受容体に対する親和性、マイクロダイアリシスのデータ等をまとめております。
 審議物質3は、症状観察において反復動作の亢進、洗顔運動や立ち上がり動作の抑制、異常歩行、挙尾反応、瞳孔の散大などが、またオピオイドμ受容体に対するアゴニスト活性を有し、マイクロダイアリシス試験ではモノアミンを有意に増加させており、過去に指定した指定薬物と同種の作用を有することを確認しております。資料2の説明は以上です。
 続きまして、資料3について御説明します。資料3の14ページを御覧ください。通称名についてはo-Fluorofentanylと、ほかに3つございますが、今回はo-Fluorofentanylを用いて御説明いたします。
 通称名o-Fluorofentanylですが、指定薬物である4Cl-iBFやCyclopropylfentanylに構造が類似する化合物です。まず、15ページの(1)の行動・中枢神経症状の観察についてです。マウスにo-Fluorofentanylを1.1、11.0、27.5mg/kgを腹腔内投与し、投与後30、60、120分の行動及び神経症状を観察しております。1.1mg/kgの投与群では、反復動作の亢進、洗顔運動、痛反応、立ち上がり動作の抑制、異常歩行、異常姿勢、挙尾反応、瞳孔の散大、眼裂の拡大、皮膚の白化などが確認されたとの報告を受けております。11.0mg/kgの投与群では、洗顔運動、痛反応、立ち上がり動作の抑制、異常歩行、異常姿勢、挙尾反応、瞳孔の散大、眼裂の拡大などが確認されたと報告を受けております。27.5mg/kgの投与群では、洗顔運動、痛反応、立ち上がり動作、攻撃性、自発運動の抑制、異常歩行、異常姿勢、挙尾反応、けいれん、懸垂力の低下、後肢の指間離開、皮膚白化などが確認されたと報告を受けております。
 下の図の表3を御覧ください。o-Fluorofentanylに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値の抜粋を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値となっております。また、観察された特徴的な症状を示した写真を16ページから17ページに載せております。ここで16ページから17ページの写真と併せて実際の動画も御確認いただきたいと思いますので、16ページの写真の上から順に前のスクリーンの動画とともに御確認ください。
 こちらは1.1mg/kg投与群の投与後約3分のマウスですが、上体を寄り掛け、断続的にしゃっくり様の症状、眼裂の拡大、耳介が後方に倒れ、静止状態が確認されました。続きまして、こちらは投与後約21分の別のマウスですが、腹這いでの旋回歩行、挙尾、角壁への寄り掛かり立ち後の転倒が確認されました。続きまして、こちらは11.0mg/kg投与群の投与後約1分の別のマウスですが、角壁への寄り掛かり立ち、しゃっくり様の症状、腰部麻痺様で弓なり姿勢、挙尾、耳介が後方に倒れ、両側の後肢外反、指の乖離が確認されました。
 続きまして、17ページの一番上の写真についてです。こちらについては、投与後約28分の別のマウスですが、角壁への寄り掛かり立ち、腰部麻痺様で激しい弓なりの状態での姿勢、両方の眼球突出が確認されました。続きまして、こちらは27.5mg/kg投与群の投与後約2分のマウスですが、右側への横倒れ、うずくまり、挙尾、けいれん、右側に横倒れたまま静止状態、両側の眼球突出が確認されました。続きまして、投与後約31分の別のマウスですが、腹這い歩行、挙尾、餌カゴへ昇り静止状態の異常行動が確認されました。動画については以上です。
 続いて、下の(2)について御説明いたします。18ページのFig3の測定結果のグラフと併せて御覧いただければと思います。自発運動における運動量の測定について、マウスにo-Fluorofentanylを11.0mg/kg腹腔内投与し、投与後3時間までの10分ごとの自発運動量を測定しております。o-Fluorofentanyl投与群、対照として生理食塩水群、各群マウス4匹を使用し、総運動量、大きい運動量、立ち上がり回数、総移動距離について、Wilcoxon検定を用いて有意差検定を行ったところ、総運動量、大きい運動量、総移動距離について、投与直後から20分まで対照群と比べて抑制され、そのうち10分では有意に抑制され、その後増加に転じて、40分以降は測定期間を通して有意な増加が見られたとの報告を受けています。また、立ち上がり回数は投与直後から測定期間を通してほとんど見られず、10分から40分まで有意な減少が見られたとの報告を受けております。
 続きまして、18ページの(3)を御覧ください。マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化の報告を載せております。コントロール群の生理食塩水投与群に対するo-Fluorofentanyl31mg/kg腹腔内投与群のモノアミンの増加率の有意差をウェルチのt検定で求めたところ、19ページのFig4のグラフのとおり、いずれにおいても有意に増加することが確認されたとの報告を受けております。
 続きまして、20ページの(4)には、ヒトオピオイド受容体μ及びκに対するアゴニスト活性、EC50を測定した結果を載せております。o-Fluorofentanylのμ受容体のEC50は4.57×10-10mol/Lであり、κ受容体のEC50は6.22×10-mol/Lであると報告されております。今回、行動・症状観察において、「生体影響あり」の観察項目が複数確認されたこと、マイクロダイアリシス試験において有意な増加が見られていること、ヒトオピオイド受容体に対するアゴニスト活性が確認されたことより、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有すると考えております。
 以上のことから、o-Fluorofentanylにつきましては、中枢神経に作用する物質であり、法律第2条第15項に規定する「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高い」と考えております。
 続きまして、20ページの(5)海外での流通状況についてですが、2016年にアイルランド、アメリカ、イギリス、ノルウェー、フィンランドにおいて、2017年にイギリスにおいて流通が確認されております。次に、(6)の死亡事例についてですが、2016年にアメリカにおいて16件の死亡報告、2017年にスウェーデンにおいて1件の死亡例の報告があります。また、アメリカでは、ほかにも乱用による死亡例が13件確認されており、2016年3月にはデンマークにおいて摂取が原因の死亡例の報告があります。さらに2017年10月には、白い粉末を使用した2名の若い男性入院患者において、2名のうち1名の死亡例があり、患者の血中からは当該物質が検出されております。最後に(7)の海外での規制状況についてです。フィンランド、アメリカのバージニア州を含めて7つの州、スウェーデン、アメリカ、イギリスで規制されていることが確認されております。審議物質3については以上です。
 続きまして、審議物質4について御説明いたします。資料2-3を御覧ください。資料2-3はフェンタニル系の審議物質4のp-Methoxybutyrylfentanyl及びこれに構造が類似する麻薬や指定薬物について、症状観察、自発運動への影響、オピオイド受容体に対する親和性、マイクロダイアリシスのデータ等をまとめております。
 審議物質4は症状観察において、攻撃性、反復動作の亢進、洗顔運動や立ち上がり動作の抑制、異常歩行、挙尾反応、瞳孔の散大などが、またオピオイドμ受容体に対するアゴニスト活性を有し、マイクロダイアリシス試験ではモノアミンを有意に増加させており、過去に指定した指定薬物と同種の作用を有することを確認しております。資料2の説明は以上です。
 それでは資料3について御説明いたします。資料3の21ページを御覧ください。通称名については、p-Methoxybutyrylfentanylとほかに3つございますが、今回はp-Methoxybutyrylfentanylを用いて御説明いたします。通称名p-Methoxybutyrylfentanylですが、指定薬物である4Cl-iBFやCyclopropylfentanylと構造が類似する化合物です。22ページを御覧ください。まず、(1)の行動・中枢神経症状の観察についてです。マウスにp-Methoxybutyrylfentanylを1.1、11.0、27.5mg/kgを腹腔内投与し、投与後30、60、120分の行動及び中枢神経症状を観察しております。
 1.1mg/kgの投与群では、攻撃性、洗顔運動、外界反応、触反応、耳介反射、角膜反射、払いのけの亢進、自発運動の亢進、眼裂の拡大、排尿の抑制が確認されたとの報告を受けております。11.0mg/kgの投与群では、洗顔運動の抑制、外界反応、立ち上がり動作の抑制、自発運動の抑制、異常歩行、挙尾反応、瞳孔の散大、眼裂の拡大、皮膚の白化、立毛などが確認されたと報告を受けております。27.5mg/kgの投与群では、反復動作の亢進、洗顔運動、痛反応、立ち上がり動作の抑制、発声、自発運動の抑制、異常歩行、挙尾反応、震え、けいれん、瞳孔の散大、皮膚の白化などが確認されたと報告を受けています。
 下の表4を御覧ください。p-Methoxybutyrylfentanylに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値の抜粋を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値となっております。また、観察された特徴的な症状を示した写真を23ページに載せております。ここで、23ページの写真と併せて実際の動画も御確認いただきたいと思います。23ページの写真の上から順に、前のスクリーンの動画とともに御確認ください。
 こちらは11.0mg/kg投与群の投与後約6分経過後のマウスですが、伏臥位姿勢で静止状態、餌カゴにつかまったままの状態、伏臥位で挙尾しながらの静止状態が確認されました。続きまして、こちらは投与後約53分経過後の別のマウスですが、上方を意識した立ち上がり、掻動作が確認されました。続きまして、こちらは27.5mg/kg投与群の投与直後の別のマウスですが、飛び跳ね、不安定な姿勢、挙尾が確認されました。こちらは投与後約2分経過後の別のマウスですが、飛び跳ね、けいれん、挙尾、眼球突出が確認されました。最後の写真は、投与後約40分経過の別のマウスですが、挙尾、旋回歩行、両側の眼球突出が確認されました。動画については以上です。
 続きまして、24ページの(2)について御説明いたします。Fig5の測定結果のグラフと併せて御覧いただければと思います。自発運動における運動量の測定について、マウスにp-Methoxybutyrylfentanylを11.0mg/kg腹腔内投与し、投与後3時間まで10分ごとの自発運動量を測定しております。p-Methoxybutyrylfentanyl投与群、対照として生理食塩水群、各群マウス4匹を使用し、総運動量、大きい運動量、立ち上がり回数、総移動距離について、Wilcoxon検定を用いて有意差検定を行ったところ、総運動量、大きい運動量、総移動距離については、60分、80分、90分は除きますが、投与直後から110分まで対照群と比べて増加する傾向があり、10分から100分までは有意な増加が見られたとの報告を受けております。また、立ち上がり回数は投与直後から40分までは抑制傾向が見られ、その後は増加に転じて100分で有意な増加が見られたとの報告を受けております。
 続きまして、25ページの(3)を御覧ください。マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化の報告を載せております。コントロール群の生理食塩水投与群に対するp-Methoxybutyrylfentanyl 33mg/kg腹腔内投与群のモノアミンの増加率の有意差をウェルチのt検定で求めたところ、Fig6のグラフのとおり、ドパミン、セロトニン、ノルアドレナリン、いずれも有意に増加することが確認されたとの報告を受けております。
 続きまして、26ページの(4)には、ヒトオピオイド受容体μ及びκに対するアゴニスト活性、EC50を測定した結果を載せております。p-Methoxybutyrylfentanylのμ受容体のEC50は1.88×10-mol/L、κ受容体のEC50は1.13×10-mol/Lとの結果から、ヒトオピオイド受容体μ及びκに対するアゴニスト活性があることが報告されております。今回、行動・症状観察において、洗顔運動の抑制、立ち上がり動作の抑制、挙尾反応、瞳孔の散大といった異常な行動や症状が確認されたこと、自発運動において有意な増加が見られたこと、マイクロダイアリシス試験においてモノアミンの有意な増加が確認されたこと、ヒトオピオイド受容体に対するアゴニスト活性が確認されたことより、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有すると考えております。以上のことから、p-Methoxybutyrylfentanylは中枢神経に作用する物質であり、法律第2条第15項に規定する「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高い」と考えております。
 続きまして、26ページの(5)海外での流通状況についてですが、2015年にスロベニア、スウェーデンにおいて、2016年と2017年にアメリカ、スウェーデンにおいて流通が確認されております。最後に(6)海外での規制状況についてですが、アメリカのカンザス州、サウスカロライナ州、フィンランド、スウェーデン、カナダ、イギリスで規制されていることが確認されております。以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○鈴木部会長 それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。まず、最初に流通実態について○○委員からお願いいたします。
○○○委員 当2化合物につきまして、○○○○での検出事例はございませんでした。以上です。
○鈴木部会長 それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。かなり明確なデータが出ていると思いますので、問題はないかと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、御意見がないようですので、審議をまとめます。ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、事務局から今後の手続について説明をお願いいたします。
○事務局 今後のスケジュール等について御説明いたします。本件の結果については、次回開催の薬事分科会で報告させていただく予定です。本日の結果を受け、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。また、いわゆる正規用途については、今のところ確認しておりません。いずれにつきましても、可能な限り適正使用に支障を来さないように対応いたします。以上です。
○鈴木部会長 以上で本日の議題は全て終了いたしました。平成30年度の部会は本日で終了いたします。事務局から、来年度の予定について連絡をお願いいたします。
○事務局 来年度の部会日程については、正式に決まり次第御連絡いたします。以上です。
○鈴木部会長 それでは、以上をもちまして平成30年度第5回指定薬物部会を閉会いたします。お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございました。
( 了 )
 

 

 

備  考
 本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された

連絡先:医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課 課長補佐 坂西
(2779)

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