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2018年12月18日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録

○日時

平成30年12月18日(火)16:00~

 

○場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール2A

○出席者

出席委員(8名)五十音順

池 田 和 隆、  遠 藤 容 子、 桐 井 義 則、◎鈴 木    勉、
関 野 祐 子、○花 尻 瑠 理、 松 本 俊 彦、  宮 田 直 樹
(注)◎部会長 ○部会長代理
 

欠席委員(2名)

青 山 久 美、 成 瀬 暢 也
 

行政機関出席者

宮 本 真 司 (医薬・生活衛生局長)
磯 部 総一郎 (監視指導・麻薬対策課長)
衣 笠 秀 一 (監視指導・麻薬対策課監視指導室長)
牧 角 一 信 (監視指導・麻薬対策課薬物取締調整官)

○議事

○監視指導・麻薬対策課長 ただいまから、薬事・食品衛生審議会指定薬物部会を開催いたします。大変お忙しい中、委員の先生方には御出席賜りまして誠にありがとうございます。本日は、青山委員、成瀬委員から御欠席の連絡を頂いております。また松本委員が若干遅れられるということですが、当部会の委員数10名のうち7名の御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告いたします。本規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員、又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定しております。今回、全ての委員の皆様より薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので報告いたします。委員の皆様には会議開催の都度、書面での御提出をいただいており、御負担をお掛けしておりますけれども、御理解、御協力を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
続いて、本部会の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。審議会、総会における議論の結果、会議を公開することにより、委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると判断されたことから非公開とされております。また、会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで発言者等に対して外部からの圧力や干渉、危害が及ぶおそれが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされておりますので、あらかじめ御了承いただきたいと思います。
また、厚労省全体の取組として審議会等のペーパーレス化を進めております。本日もこれに従い、部会資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただきたいと思います。操作についての説明書を配布しておりますが、操作等で御不明な点がありましたら適宜、事務局がサポートいたしますのでよろしくお願いいたします。それでは、以後の議事進行を鈴木部会長にお願いいたします。
○鈴木部会長 最初に、事務局より資料の確認をお願いいたします。
○事務局 本日の資料の確認をいたします。タブレットを操作しながら資料の確認をお願いいたします。部会資料は資料1、資料2-1、資料2-2、資料2-3、資料3の5つを準備しております。
参考文献は、文献1~文献16を準備しております参考資料は、参考資料1、参考資料2、参考資料3を準備しております。資料の説明は以上です。資料や操作等について御不明な点がありましたら事務局までお申し付けください。
○鈴木部会長 ありがとうございました。本日の議題は「指定薬物の指定について」です。それでは審議に入りたいと思います。審議物質について、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 資料1は、各物質の名称、通称名、構造式を記載しております。資料2は、御審議いただく物質のほか、構造が類似する指定薬物や麻薬等について一覧表にまとめたものです。資料3は、国内外の基礎研究や動物実験の結果等について中枢神経系への影響を中心に取りまとめたものです。それでは、フェネチルアミン系物質である審議物質1について御説明いたします。まず、資料2-1を御覧ください。資料2-1は、フェネチルアミン系の審議物質1の25E-NBOH並びに、これらに構造が類似する麻薬や覚せい剤、指定薬物について、自発運動への影響、マイクロダイアリシスのデータ、セロトニン受容体に対する親和性などをまとめております。審議物質1は、マイクロダイアリシス試験ではノルアドレナリンを有意に増加させており、過去に指定した指定薬物と同種の作用を有することを確認しております。資料2の説明は以上です。
続きまして、資料3について御説明いたしますので、資料3の1ページを御覧ください。審議物質1の通称名25E-NBOHですが、指定薬物である25I-NBOHと25B-NBOHと構造が類似する化合物です。まず、(1)行動・中枢神経症状の観察についてです。マウスに25E-NBOHを1.1、11.0、27.5mg/kgを腹腔内投与し、投与後30、60、120分の行動及び神経症状を観察しております。1.1mg/kgの投与群では、洗顔運動、立ち上がり動作の亢進、異常歩行、自発運動の亢進、鼻部の小刻みな震えが確認され、自律神経症状については、いずれの観察項目についても影響が認められなかったと報告を受けております。11.0mg/kgの投与群では、洗顔運動、外界反応、立ち上がり動作、反復動作の亢進、自発運動の低下、異常歩行、異常姿勢、筋緊張度、懸垂力の低下が確認され、自律神経症状については、いずれの観察項目についても影響が認められなかったと報告を受けております。27.5mg/kgの投与群では、反復動作の亢進、洗顔運動、立ち上がり動作の抑制、反復動作の亢進、自発運動の低下、異常歩行、異常姿勢、筋緊張度の低下、鼻部の小刻みな震え、舌を出す行動、眼裂の縮小が確認されたと報告を受けております。
続いて、2ページの表1を御覧ください。25E-NBOHに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値の抜粋を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値となっています。また、観察された特徴的な症状を示した写真を3ページに載せています。写真を御覧ください。上から順に一番上は、11.0mg/kg投与群の投与後約28分経過後のマウスですが、上方を見据え、両側の耳介を大きく拡げ、腰部の麻痺、スニッフィング、動作が鈍く、静止状態が確認されました。次の写真は、投与後約34分経過後の別のマウスですが、両側の耳介を大きく拡げ、腹這い姿勢、両側の後肢踵を上げる異常行動、スニッフィングが確認されました。次の写真は27.5mg/kg投与後約9分経過後の別のマウスですが、上方を見据え、スニッフィングが確認されました。次の写真は、投与後約17分経過後の別のマウスで、両側の耳介を大きく拡げ、鼻部の小刻みな震え、舌を出す行動が確認されました。次の写真は、投与後約32分経過後の別のマウスですが、両側の耳介を大きく拡げ、腹這い姿勢、呼吸が荒く、静止状態が確認されました。
続いて、4ページの(2)についてです。Fig1の測定結果のグラフと合わせて御覧ください。自発運動における運動量の測定について、マウスに25E-NBOHを11.0mg/kg腹腔内投与し、投与後3時間までの10分ごとの自発運動量を測定しております。25E-NBOH投与群、対照として25%PG-生食水群、各群マウス4匹を使用し、総運動量、大きい運動量、立ち上がり回数、総移動距離について、Wilcoxon検定を用いて有意差検定を行ったところ、総運動量、大きい運動量、立ち上がり回数、総移動距離は、投与直後から測定期間を通して対照群と比べて有意な差は見られなかったとの報告を受けております。
続いて、下の(3)を御覧ください。マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化の報告を載せています。コントロールの25%PG-生食水投与群に対する25E-NBOH28mg/kg腹腔内投与群のモノアミンの増加率の有意差をウェルチのt検定で求めたところ、5ページのFig2のグラフのとおり、ノルアドレナリンについては有意な増加が確認されたが、ドパミン、セロトニンについては影響が認められなかったとの報告を受けております。
続いて、6ページの(4)には、25E-NBOHとコカイン塩酸塩のモノアミントランスポーターに対する機能影響評価についての報告を載せています。7ページの図も合わせて御覧ください。ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニントランスポーターに対するIC50を算出したところ、ノルアドレナリントランスポータについては、25E-NBOHが5.7×10^-5Mでコカイン塩酸塩のIC50の約8.9倍であり、セロトニントランスポーターについては、25E-NBOHが4.5×10^-5Mでコカイン塩酸塩のIC50の約11倍であり、阻害はコカイン塩酸塩よりも弱いとの報告を受けております。また、ドパミントランスポーターについては、25E-NBOHのドパミンに対するIC50は求めることができず、阻害はコカイン塩酸塩よりも弱いとの報告を受けております。
続いて、8ページの(5)には、セロトニン受容体(5-HT2A及び5-HT2C)に対するアゴニスト活性EC50を測定した結果を載せております。25E-NBOHのセロトニン5-HT2A受容体は、EC50が2.97×10^-10mol/Lであると報告されております。また、25E-NBOHのセロトニン5-HT2C受容体は、EC50が6.28×10^-11mol/Lであると報告を受けております。
以上のことから、25E-NBOHは、行動・症状観察において、洗顔運動、立ち上がり動作、自発運動、異常歩行といった異常な行動や症状が確認されていること、マイクロダイアリシス試験において、ノルアドレナリンの有意な上昇が見られたこと、セロトニンのアゴニスト活性においては、5-HT2Cは6.28×10^-11mol/Lと過去に指定した物質の中で最も強いアゴニスト活性を示していることから、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有すると考えております。以上のことから、25E-NBOHは、中枢神経に作用する物質と考えております。
最後に、8ページの(6)海外での流通状況ですが、2018年にアメリカ、スロベニアにおいて流通が確認されております。以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○鈴木部会長 委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。まず最初に、流通実態について、〇〇委員お願いいたします。
○〇〇委員 〇〇〇〇の分析調査において、本化合物は現在までに検出はしておりません。
○鈴木部会長 委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。
○〇〇委員 評価に関するものではないのですが、この資料に対しての確認です。1ページの(1)行動・中枢神経症状観察の11.0mg/kg投与群に関する自律神経症状については、いずれの観察項目についても影響が認められなかったという記述があるのですが、自律神経症状の観察項目というのは、表1の中のどれに当たりますか。異常姿勢とか筋緊張度とか眼裂の記述でしょうか。もしかしたら、この記述は不要なのかなと。
○鈴木部会長 では、事務局からお願いいたします。
○事務局 この表には記載しておりません。文献1の8ページに、自律神経症状観察における平均評価値の表を載せております。
○〇〇委員 分かりました。ありがとうございます。
○鈴木部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、御意見がないようですので審議をまとめます。ただいま御審議いただきました1物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは引き続き、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 続いて、カンナビノイド系物質である審議物質2について御説明いたします。まず、資料2-2を御覧ください。
資料2-2は、カンナビノイド系の審議物質2のNPB-22及びこれに構造が類似する麻薬や指定薬物について、自発運動への影響、カンナビノイド受容体に対する影響などをまとめています。審議物質2は、カンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性を有しており、過去に指定した指定薬物と同種の作用を有することを確認しております。資料2の説明は以上です。
続いて、資料3の9ページを御覧ください。審議物質2の通称名NPB-22は、麻薬であるJWH-018、指定薬物である5Fluoro-NPB-22と構造が類似する化合物です。
10ページの(1)の行動・中枢神経症状の観察についてです。マウスにNPB-22を15mg添加したマーシュマローリーフ0.25gを燃焼させ、マウスを薬物にばく露させて、燃焼後15、30、60分後の行動及び神経症状を観察しております。NPB-22をばく露したマウスは、コントロール群のマーシュマローリーフばく露群と比較して、洗顔運動の抑制、立ち上がり動作の抑制、自発運動の抑制、異常歩行、眼裂の拡大などが確認されたとの報告を受けております。下の表2に、NPB-22に関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値の抜粋を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値となっております。また、観察された特徴的な症状を示した写真を11ページに載せております。
11ページの写真を御覧ください。上から順に説明します。一番上の写真は、燃焼終了後約22分経過のマウスですが、5匹中2匹に緩慢な動作、眼裂の縮小、荒い呼吸、静止状態が確認されました。次の写真は、燃焼終了後約36分経過の別のマウスですが、5匹中3匹に掻動作(指を咬む)、荒い呼吸、眼裂の拡大が確認されました。次の写真は、燃焼終了後約1時間6分経過の別のマウスですが、伏臥位姿勢での静止状態が確認されました。続いて、下の(2)を御覧ください。カタレプシー試験については、いずれの観察時間においても、5匹全てが陰性であったとの報告を受けております。続いて、12ページの(3)を御覧ください。ヒトカンナビノイド受容体(CB1及びCB2受容体)に対するアゴニスト活性EC50を測定した結果を載せています。CB1受容体は4.97×10^-9mol/L、CB2受容体は2.69×10^-8mol/Lとの結果から、カンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性があることが報告されております。
今回、試験結果から燃焼後にNPB-22の分解が確認されていると報告を受けております。参照文献は、文献8の6ページ、7ページ及び、文献9の12~17ページとなります。この結果から、NPB-22そのものは、10分の1程度しか回収できていないと考えられると報告されており、NPB-22の分解により活性が低下していると想定されています。NPB-22のCB1受容体のEC50は今回の結果から4.97×10^-9mol/Lであり、分解が燃焼中に生じており、分解物に活性がないものと仮定して分解による活性の低下の割合が10分の1程度であると仮定すると、5×10^-8mol/L程度の活性の効果があると考えられます。分解による活性の低下によってCB1受容体のEC50が5×10^-8mol/L程度だったと仮定しても、過去に指定した物質と同等の作用を有すると考えております。また、行動・症状観察においても、「生体影響あり」の観察項目が複数確認されており、ヒトカンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性を有していることが確認されたことからも、総合的に判断しても過去に指定した指定薬物と同等の作用を有すると考えております。以上のことから、NPB-22は、中枢神経に作用する物質と考えます。
最後に、12ページの(4)海外での流通状況については、2013年にイスラエル、トルコ、ハンガリー、2014年にイスラエル、スウェーデン、トルコ、ハンガリー、ロシアにおいて流通が確認されております。以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○鈴木部会長 委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。まず最初に、流通実態について、〇〇委員お願いいたします。
○〇〇委員 〇〇〇〇の分析の調査の結果におきましては、本化合物は今までに検出されておりません。
○鈴木部会長 委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。今までのものとちょっと違って、燃焼で失活するということですが、その辺もよろしいでしょうか。御意見がないようですので審議をまとめます。ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは引き続き、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 続いて、フェンサイクリジン系物質である審議物質3について、御説明いたします。まず、資料2-3を御覧ください。資料2-3は、フェンサイクリジン系の審議物質3の3-HO-PCPに構造が類似する麻薬や指定薬物について、自発運動への影響、マイクロダイアリシスのデータ、NMDA受容体に対する親和性などをまとめております。審議物質3は、NMDA受容体に対するアンタゴニスト活性を有し、マイクロダイアリシス試験ではモノアミンを有意に増加させており、過去に指定した指定薬物と同種の作用を有することを確認しております。資料2の説明は以上です。
続いて、資料3の13ページを御覧ください。通称名については、3-HO-PCPを含め、ほかに3つありますが、今回は3-HO-PCPを用いて御説明させていただきます。通称名3-HO-PCPですが、麻薬であるケタミン、指定薬物であるDeschloro-N-ethyl-Ketmine、3-MeO-PCPと構造が類似する化合物です。
まず、15ページの(1)行動・中枢神経症状の観察についてです。マウスに3-HO-PCPを2、20、100mg/kgを経口投与し、投与後30、60、120分の行動及び神経症状を観察しております。2mg/kgの投与群では、行動観察、中枢神経症状、自律神経症状においては、観察期間中に影響が認められた項目はなかったとの報告を受けております。20mg/kgの投与群では、反復動作、洗顔運動、立ち上がり動作、自発運動、耳介反射、異常姿勢、震え、けいれん、眼裂の拡大などが確認されたと報告を受けております。100mg/kgの投与群では、洗顔運動、痛反応、立ち上がり動作、自発運動、耳介反射、払いのけ、異常姿勢、震え、けいれん、瞳孔の散大などが確認されたと報告を受けております。下の図の表3を御覧ください。3-HO-PCPに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値の抜粋を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値となっております。また、観察された特徴的な症状を示した写真を16ページに載せております。
16ページの写真を御覧ください。上から順に御説明いたします。一番上の写真は20mg/kg投与群の投与後約13分のマウスですが、寄り掛かり立ち、連続的に飛び跳ね横転する異常行動が確認されました。次の写真は、投与後約18分の別のマウスですが、寄り掛かり立ち、頭部を小刻みに左右に振る行動が観察されました。次の写真は、100mg/kg投与後約7分の別のマウスですが、伏臥位姿勢で静止状態、眼裂の拡大が確認されました。次の写真は、投与後約55分の別のマウスですが、寄り掛かり立ちから横転し、仰臥位の状態を続けた後、不安定な寄り掛かり立ち、挙尾反応が確認されました。次の写真は、投与後約1時間4分の別のマウスですが、上方を意識、腰部の麻痺で寄り掛かり立ち、挙尾反応が確認されました。
続いて、17ページの(2)について御説明いたします。下のFig.3の測定結果のグラフと合わせて御覧いただければと思います。自発運動における運動量の測定について、マウスに3-HO-PCPを20mg/kg経口投与し、投与後3時間までの10分ごとの自発運動量を測定しております。3-HO-PCP投与群、対照として蒸留水群、各群マウス4匹を使用し、総運動量、大きい運動量、立ち上がり回数、総移動距離について、Wilcoxon検定を用いて有意差検定を行ったところ、総運動量、大きい運動量、総移動距離について、150分は除きますが、投与直後から160分まで対照群と比べて多く、特に40分~160分では有意に対照群と比べて増加が見られたとの報告を受けております。また、立ち上がり回数は投与後70分~140分まで対照群と比べて多く、特に90分~140分では対照群と比べて有意に増加が見られたとの報告を受けております。
続いて、18ページの(3)を御覧ください。マイクロダイアリシスの試験によるモノアミンの経時変化の報告を載せております。コントロールの水投与群に対する3-HO-PCP24mg/kg経口投与群のモノアミンの増加率の有意差をウェルチのt検定で求めたところ、下のFig.4のグラフのとおり、いずれにおいても有意に増加することが確認されたとの報告を受けております。
続いて、18ページの(4)には、3-HO-PCPとコカイン塩酸塩のモノアミントランスポーターに対する機能影響評価についての報告を載せております。20ページの図も合わせて御覧いただければと思います。モノアミントランスポーターに対するIC50を算出したところ、ノルアドレナリントランスポーターについては3-HO-PCPが9.0×10^-6Mでコカイン塩酸塩のIC50の約2.4倍であり、ドパミントランスポーターについては、3-HO-PCPが2.1×10^-5Mでコカイン塩酸塩のIC50の約7.8倍であり、阻害はコカイン塩酸塩よりも弱いことが確認されたとの報告を受けております。セロトニントランスポーターについては、3-HO-PCPのセロトニンに対するIC50を求めることができず、阻害はコカイン塩酸塩よりも弱いとの報告を受けております。
続いて、21ページの(5)は、ヒトオピオイド受容体(μ及びκ)に対するアゴニスト活性EC50を測定した結果を載せております。3-HO-PCPのμ受容体のEC50は7.32×10^-8mol/Lであり、κ受容体のEC50は1×10^-5mol/Lを上回ると報告されております。
続いて(6)には、3-HO-PCPのグルタミン酸NMDA受容体に対するアンタゴニスト活性IC50を測定した結果を載せております。下の表を御覧ください。左から1番目、2番目、4番目のagonistsite、glycine site、polyaminesiteについては、1×10^-5mol/Lを上回るとの結果が報告されており、ケタミンに強く作用すると言われている3番目のPhencyclidine siteについては、8.38×10^-8mol/Lとアンタゴニスト活性を示す結果が報告されております。
以上のことから、行動・症状観察において「生体影響あり」の観察項目が複数確認されたこと、マイクロダイアリシス試験において有意な増加が見られていること、NMDA受容体に対する強いアンタゴニスト活性が確認されたことより、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有すると考えております。
最後に、22ページの(7)海外での流通状況ですが、2018年にスロベニアにおいて流通が確認されております。以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○鈴木部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。まず初めに、流通実態について〇〇委員からお願いいたします。
○〇〇委員 〇〇〇〇の分析調査におきましては、本化合物は今までに検出されておりません。以上です。
○鈴木部会長 ありがとうございます。それでは委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。
○〇〇委員 本化合物ですが、in vivoにおきましても、かなり強い中枢性の作用が認められておりますし、また、in vitroにおきましても、NMDA型グルタミン酸受容体のPCPサイトの活性のみならず、μオピオイド受容体にも強い活性が認められていることから指定薬物として規制すべき化合物だと考えております。以上です。
○鈴木部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。それではありがとうございます。御意見が出尽したと思いますので審議をまとめます。ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、事務局から今後の手続きについて説明をお願いいたします。
○事務局 今後のスケジュール等について御説明いたします。本件の結果については来年開催の薬事分科会で報告させていただく予定です。本日の結果を受け、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。また、いわゆる正規用途については、今のところは確認しておりません。いずれにしましても、可能な限り適正使用に支障を来たさぬように対応いたします。以上です。
○鈴木部会長 ありがとうございました。 よろしいですか。
以上で、本日の議題は全て終了いたしました。では、事務局から次回の予定について連絡をお願いいたします。
○事務局 次回の部会日程については、正式に決まり次第、御連絡いたします。以上です。
○鈴木部会長 それでは以上をもちまして、平成30年度第4回指定薬物部会を閉会いたします。お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございました。
( 了 )
 

 

 

備  考
 本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された

連絡先:医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課 課長補佐 坂西
(2779)

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