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2018年11月13日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録

○日時

平成30年11月13日(火)16:00~

 

○場所

厚生労働省共用第8会議室(20階)

○出席者

出席委員(8名)五十音順

青 山 久 美、 遠 藤 容 子、  桐 井 義 則、◎鈴 木    勉、
関 野 祐 子、 成 瀬 暢 也、○花 尻 瑠 理、  宮 田 直 樹
(注)◎部会長 ○部会長代理
 

欠席委員(2名)

池 田 和 隆、 松 本 俊 彦
 

行政機関出席者

衣 笠 秀 一(監視指導・麻薬対策課監視指導室長)
牧 角 一 信(監視指導・麻薬対策課薬物取締調整官)

○議事

○薬物取締調整官 お待たせいたしました。それでは定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会指定薬物部会を開催いたします。大変お忙しい中、委員の先生方には御出席いただき、誠にありがとうございます。本日は、池田委員、松本委員から欠席の御連絡をいただいております。現在のところ、当部会の委員数10名のうち7名の御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。また、関野委員からは特に御連絡はいただいておりませんが、後ほど御出席いただけるものと思っておりますので、会を開催させていただきます。
 それでは部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告いたします。薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は在任中、薬事に関する企業の役員、職員、又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回、全ての委員の皆様より薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので報告いたします。委員の皆様には会議開催の都度、書面を御提出していただいており、御負担をお掛けいたしますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
 続いて、本部会の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。審議会、総会における議論の結果、会議を公開することにより、委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると判断されたことから非公開とされております。また、会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで、発言者等に対して外部からの圧力や干渉、危害が及ぶおそれが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされておりますので、あらかじめ御了承いただきたいと思います。
 さらに、厚生労働省の全体の取組として、審議会等におけるペーパーレス化を進めているところです。本日はこれに伴い、部会資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作についての説明書をお手元に配布しておりますが、操作等で御不明な点等がありましたら事務局等がサポートいたしますのでよろしくお願いいたします。本日の部会はペーパーレスでの開催といたしますので御理解、御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。それでは、以後の議事進行は鈴木部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○鈴木部会長 それでは、事務局より資料の確認をお願いいたします。
○事務局 本日の資料の確認をいたします。タブレットを操作しながら資料の確認をお願いいたします。現在、先生方のタブレットの画面の表示は1、2、3、☆と4つフォルダが表示されているかと思います。まず1.の部会資料の中には資料1、2-1、2-2、3を保存しております。2.の文献のフォルダの中には、参考文献1~18を保存しております。3.の参考資料については、参考資料1~3を保存しておりますので適宜、フォルダを開き、該当のPDFファイルを開いていただければと思います。資料についての説明は以上です。資料や操作等について御不明点がありましたら事務局までお申し付けください。以上です。
○鈴木部会長 ありがとうございました。本日の議題は「指定薬物の指定について」です。それでは審議に入りたいと思います。審議物質について事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 資料の御説明をいたします。資料1は各物質の名称、通称名、構造式を記載しております。資料2は、御審議いただく物質のほか、構造が類似する指定薬物や麻薬等について一覧表にまとめたものです。資料3は国内外の基礎研究や動物実験の結果等について中枢神経系への影響を中心に取りまとめたものです。
 それでは、フェネチルアミン系物質である審議物質1及び審議物質2について御説明いたします。まず、資料2について御説明いたします。資料2-1を御覧ください。資料2-1はフェネチルアミン系の審議物質1の3-FEA、及び審議物質2の4-FEA並びに、これらに構造が類似する麻薬や覚せい剤、指定薬物について、自発運動への影響、マイクロダイアリシスのデータ、セロトニン受容体に対する親和性などをまとめております。審議物質1、審議物質2は、マイクロダイアリシス試験ではモノアミンを有意に増加させており、過去に指定した指定薬物と同種の作用を有することを確認しております。資料2の説明は以上です。
 続いて資料3の説明をいたします。1ページを御覧ください。審議物質1の通称名については、3-FEAの他、3-fluoroethamphetamineもありますが、今回は3-FEAを用いて御説明いたします。通称名3-FEAですが、覚せい剤であるメタンフェタミン、指定薬物である3-fluoroamphetamineと構造が類似する化合物です。まず(1)の行動・中枢神経症状の観察についてです。マウスに3-FEAを2、20、100mg/kgを経口投与し、投与後30、60、120分の行動及び神経症状を観察しております。
 1ページから2ページにかけて御覧ください。2mg/kgの投与群では、攻撃性及び触反応の亢進、洗顔運動の抑制、耳介反射、角膜反射、払いのけの亢進、流涙が確認されたと報告を受けております。20mg/kgの投与群では、攻撃性、触反応、痛反応の亢進、洗顔運動の抑制、反復動作の亢進、立ち上がり動作の亢進、指間離開、自発運動の亢進、よだれ等が確認されたと報告を受けております。100mg/kgの投与群では、攻撃性、反復動作、触反応の亢進、洗顔運動の抑制、発声、立ち上がり動作の抑制、払いのけの亢進、指間離開、自発運動、震え、筋緊張度の亢進、瞳孔の散大、よだれ等が確認されたと報告を受けております。
 続いて2ページの表1です。3-FEAに関する行動、及び中枢・自律神経症状観察における評価値の抜粋を載せております。数値は、各群マウス5匹のスコアの平均値となっております。また、観察された特徴的な症状を示した写真を3ページに載せております。3ページの写真を御覧ください。上から順に御説明いたします。一番上の写真は、20mg/kg投与群の投与後約2時間4分経過後のマウスですが、上方を意識し忙しい行動が確認されました。次の写真は、100mg/kg投与後、約14分経過後の別のマウスですが、頸部や流涎、腰部不安定、後肢外反、後肢乖離、挙尾反応、眼瞼の拡大、掻痒感様作用が確認されました。最後の写真は、投与後約1時間5分経過後の別のマウスですが、頸部の皮膚が垂れ下がる、皮膚が切れ、皮下が露出し、流涎が確認されております。
 続いて4ページの(2)です。Fig1の測定結果のグラフと併せて御覧ください。自発運動における運動量の測定については、マウスに3-FEAを20mg/kg経口投与し、投与後3時間までの10分ごとの自発運動量を測定しております。3-FEA投与群、対照として蒸留水群、各群マウス4匹を使用し、総運動量、大きい運動量、立ち上がり回数、総移動距離について、Wilcoxon検定を用いて有意差検定を行ったところ、総運動量、総移動距離については、投与後130分は除きますが、投与直後から測定期間を通して対照群と比べて有意な増加が見られたとの報告を受けております。また、大きい運動量は、110分から130分及び150分を除きますが、投与直後から測定期間を通して対照群と比べて有意な増加が見られたとの報告を受けております。更に、立ち上がり回数は80分、110分~130分及び170分を除きますが、投与後40分から測定期間を通して対照群と比べて有意な増加が見られたとの報告を受けております。
 5ページの(3)です。マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化の報告を載せております。コントロールの水投与群に対する3-FEA17mg/kg経口投与群のモノアミンの増加率の有意差を、ウェルチのt検定で求めたところ、Fig2のグラフのとおり、ドパミン、セロトニン、ノルアドレナリンのいずれも有意に増加することが確認されたとの報告を受けております。
 続いて6ページの(4)には、3-FEAとコカイン塩酸塩のモノアミントランスポーターに対する機能影響評価についての報告を載せております。7ページの図も併せて御覧ください。ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニントランスポーターに対するIC50を算出したところ、ノルアドレナリントランスポーターについては、3-FEAが4.0×10-Mで、コカイン塩酸塩のIC50の約1.3倍であり、ドパミントランスポーターについては、3-FEAが9.5×10-Mで、コカイン塩酸塩のIC50の約6.8倍であり、阻害はコカイン塩酸塩よりも弱いとの報告を受けております。また、セロトニントランスポーターについては、3-FEAのセロトニンに対するIC50は求めることができず、阻害はコカイン塩酸塩よりも弱いとの報告を受けております。
 8ページの(5)には、セロトニン受容体(5-HT2A及び5-HT2C)に対するアゴニスト活性EC50を測定した結果を載せております。3-FEAのセロトニン5-HT2A受容体は、EC50が1×10-mol/Lを上回ると報告されております。また、3-FEAのセロトニン5-HT2C受容体は、EC50が2.31×10-mol/Lであると報告されております。
 今回、行動・症状観察において、攻撃性、洗顔運動の抑制、自発運動の亢進、瞳孔の散大といった異常な行動や症状が確認されていること、また、自発運動について有意な増加が認められたこと、そしてマイクロダイアリシス試験においては、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンの有意な上昇が見られたことから、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有すると考えております。以上のことから、3-FEAは、中枢神経に作用する物質と考えております。
 最後に8ページの(6)海外での流通状況についてです。2017年にスペイン、スウェーデン、2018年にオーストリアにおいて流通が確認されております。審議物質1については以上です。
 続いて、審議物質2について御説明いたします。資料3の9ページを御覧ください。審議物質2.の通称名については、3-FEAと同様に、4-FEAの他、4-fluoroethamphetamineがありますが、今回は4-FEAを用いて御説明いたします。通称名4-FEAは、覚せい剤であるメタンフェタミン、指定薬物である3-fluoroamphetamineと構造が類似する化合物です。
 まず9ページの(1)の行動・中枢神経症状の観察についてです。マウスに4-FEAを2、20、100mg/kgを経口投与し、投与後30、60、120分の行動及び神経症状を観察しております。9ページから10ページにかけて御覧ください。2mg/kgの投与群では、洗顔運動の抑制、排便回数の増加が確認され、中枢神経症状については、いずれの項目も影響が認められなかったと報告を受けております。20mg/kgの投与群では、攻撃性、反復動作、痛反応、立ち上がり動作の亢進、洗顔運動の抑制、自発運動、耳介反射、角膜反射、払いのけの亢進、筋緊張度、瞳孔の散大などが確認されたと報告を受けております。100mg/kgの投与群では、攻撃性、反復動作、触反応、立ち上がり動作の亢進、洗顔運動の抑制、指間離開、異常歩行、けいれん、震え、瞳孔の散大、皮膚の赤化などが確認されたと報告を受けております。
 10ページの表2です。4-FEAに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値の抜粋を載せており、数値は、各群マウス5匹のスコアの平均値となっております。また、観察された特徴的な症状を示した写真を11ページに載せております。11ページの写真を御覧ください。上から順に御説明いたします。一番上の写真は、100mg/kg投与群の投与後約20分経過後のマウスです。挙尾反応、忙しい行動、軽度の流涎、掻痒感様作用、餌カゴへの寄り掛かり立ちが多く確認されております。次の写真は、投与後約36分経過後の別のマウスですが、忙しい行動、掻痒感様作用が確認されました。次の二つの写真は、20mg/kg投与群の2日目の投与後約11分経過後の別のマウスですが、伏臥位姿勢から突然、激しい痙攣(挙尾反応、体を捩じる、口部を開く)、耳介を大きく拡げ、後肢外反、スニッフィングが確認されました。最後の写真は、100mg/kg投与群の2日目の投与後約49分経過後の別のマウスですが、伏臥位姿勢、上方を見据え両側前肢を小さく上げ下げし、鼻部の小刻みな震え、挙尾反応、後肢外反が確認されました。
 12ページの(2)です。Fig3の測定結果のグラフと併せて御覧ください。自発運動における運動量の測定について、マウスに4-FEAを20mg/kg経口投与し、投与後3時間までの10分ごとの自発運動量を測定しております。4-FEA投与群、対照として蒸留水群、各群マウス4匹を使用し、総運動量、大きい運動量、立ち上がり回数、総移動距離について、Wilcoxon検定を用いて有意差検定を行ったところ、総運動量、総移動距離について、投与直後から90分まで対照群と比べて多い傾向にあり、10分から40分及び70分で有意な増加が見られたとの報告を受けております。また、大きい運動量は、投与直後から90分まで対照群と比べて多い傾向にあり、40分では有意な増加が見られたとの報告を受けております。さらに、立ち上がり回数については、投与後20分から80分まで対照群と比べて多い傾向にあり、40分から50分で有意な増加が見られたとの報告を受けております。
 続いて13ページの(3)です。マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化の報告を載せております。コントロールの水投与群に対する4-FEA17mg/kg経口投与群のモノアミンの増加率の有意差を、ウェルチのt検定で求めたところ、Fig4のグラフのとおり、ドパミン、セロトニン、ノルアドレナリンのいずれも有意に増加することが確認されたとの報告を受けております。
 14ページの(4)には、4-FEAとコカイン塩酸塩のモノアミントランスポーターに対する機能影響評価についての報告を載せております。15ページの図も併せて御覧ください。ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニントランスポーターに対するIC50を算出したところ、ノルアドレナリントランスポーターについては、4-FEAが1.1×10-Mで、コカイン塩酸塩のIC50の約1.9倍であり、ドパミントランスポーターについては、4-FEAが3.7×10-Mで、コカイン塩酸塩のIC50の約12倍であり、阻害はコカイン塩酸塩よりも弱いとの報告を受けております。また、セロトニントランスポーターについては、4-FEAのセロトニンに対するIC50は求めることができず、阻害はコカイン塩酸塩よりも弱いとの報告を受けております。
 16ページ(5)には、セロトニン受容体(5-HT2A及び5-HT2C)に対するアゴニスト活性EC50を測定した結果を載せております。4-FEAのセロトニン受容体(5-HT2A及び5-HT2C)は、いずれもEC50が1×10-mol/Lを上回ると報告されております。今回、行動・症状観察において、攻撃性、洗顔運動の抑制、自発運動の亢進、耳介反射の亢進、瞳孔の散大といった異常な行動や症状が確認されていること、また、自発運動量について有意な増加が認められたこと、マイクロダイアリシス試験においては、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンの有意な上昇が見られており、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有すると考えております。以上のことから4-FEAは、中枢神経に作用する物質と考えております。
 最後に16ページ(6)海外での流通状況についてです。2003年にドイツにおいて流通が確認されております。審議物質1、2についての説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○鈴木部会長 委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。まず最初に、流通実態について、□□委員からお願いいたします。
○□□委員 □□□□の分析調査の結果、3-fluoroethamphetamineに関しては、今までに白色粉末製品から2例、4-fluoroethamphetamineは、同様に白色粉末から1例検出しております。以上です。
○鈴木部会長 委員の先生方から御意見を頂きたいと思います、いかがでしょうか。ございませんか。
○□□委員 確認というか、3ページのマウスの説明のところです。100mgですが、「頸部や流涎」というのは、頸部がどうなったというのがよく分からないです、説明はどうなっているのでしょうか。真ん中の下段の、投与後約14分経過後で、頸部や流涎というのは、頸部に何があったかなど。その下の「頸部の皮膚が垂れ下がる」、「皮膚が切れ」というのは、これはひっ掻いて、切れたという解釈なのでしょうか。その辺の説明がよく分かりません。
○鈴木部会長 事務局からよろしいですか。
○事務局 確認いたしますので少々お待ちください。
○鈴木部会長 一番最後の「皮膚が切れ」は、自傷行動が出てきて、このような状況になるということです。
○□□委員 そういうことですか。はい、ありがとうございます。
○鈴木部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか、かなり明確なデータだと思います。では、よろしいということで、意見を集約させていただきます。
 ただいま御審議いただきました2物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは引き続き、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 フェンタニル系物質である審議物質3について御説明いたします。まず、資料2-2を御覧ください。資料2-2は、フェンタニル系の審議物質3のCyclopropylfentanyl及びこれに構造が類似する麻薬や指定薬物について、症状観察、自発運動への影響、オピオイド受容体に対する親和性、マイクロダイアリシスのデータなどをまとめております。審議物質3は、症状観察において反復動作、洗顔運動や立ち上がり動作、異常歩行、挙尾反応、瞳孔の散大などが、また、オピオイドμ受容体に対するアゴニスト活性を有し、マイクロダイアリシス試験ではモノアミンを有意に増加させており、過去に指定した指定薬物と同種の作用を有することを確認しております。
 それでは資料3について御説明いたします。17ページを御覧ください。通称名Cyclopropylfentanylですが、麻薬であるフェンタニル、指定薬物である4-FBFと構造が類似する化合物です。続いて、18ページを御覧ください。まず、(1)の行動・中枢神経症状の観察について、マウスにCyclopropylfentanylを1.1、11.0、27.5mg/kgを腹腔内投与し、投与後30、60、120分の行動及び神経症状を観察しております。1.1mg/kgの投与群では、反復動作の亢進、洗顔運動、痛反応、立ち上がり動作の抑制、自発運動の抑制、挙尾反応、異常姿勢、瞳孔の散大などが確認されたと報告を受けております。11.0mg/kgの投与群では、攻撃性、反復動作、触反応の亢進、洗顔運動、立ち上がり動作の抑制、自発運動の抑制、異常姿勢、挙尾反応、けいれん、瞳孔の散大、皮膚の白化・赤化などが確認されたと報告を受けております。27.5mg/kgの投与群では、攻撃性、反復動作の亢進、立ち上がり動作の抑制、異常姿勢、挙尾反応、耳介反射の抑制、けいれん、眼球突出、瞳孔の散大、皮膚の白化などが確認されたと報告を受けております。
 続いて、表3を御覧ください。Cyclopropylfentanylに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値の抜粋を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値となっております。また、観察された特徴的な症状を示した写真を19ページに載せております。19ページの写真を御覧ください。上から順に御説明いたします。一番上の写真は、27.5mg/kg投与群の投与後約5分経過後のマウスですが、上体を寄り掛け、断続的にしゃっくり様の症状、挙尾反応、眼球突出様、耳介が後方に倒れ、静止状態が確認されました。
 次の写真は、1.1mg/kg投与群の投与後9分経過後の別のマウスですが、頭部を角壁に押し付け静止状態、上方への飛び跳ね、寄り掛かり立ち、皮膚の白化が確認されました。
 次の写真は、27.5mg/kg投与群の投与後約30分経過後の別のマウスですが、伏臥位姿勢、静止状態、挙尾反応、腰部・両側後肢の筋緊張で弓なりの異常姿勢が確認されました。
 最後の写真は、投与後約1時間3分経過後の別のマウスですが、左側の眼球が白濁、両側の眼球突出、挙尾反応、速い腹這い歩行が確認されました。
 続きまして、20ページ(2)について御説明いたします。Fig5の測定結果のグラフと併せて御覧いただければと思います。自発運動における運動量の測定について、マウスにCyclopropylfentanylを11.0mg/kg腹腔内投与し、投与後約3時間まで10分毎の自発運動量を測定しております。Cyclopropylfentanyl投与群、対照群として生理食塩水群、各群マウス4匹を使用し、総運動量、大きい運動量、立ち上がり回数、総移動距離について、Wilcoxon検定を用いて有意差検定を行ったところ、総運動量、大きい運動量、総移動距離については、投与直後から測定期間を通して対照群と比べて多く、特に20分~110分と130分、160分では対照群と比べて有意な増加が見られたとの報告を受けております。また、立ち上がり回数は、投与直後から測定期間を通して対照群と比べて少なく、特に10分~40分では対照群と比べて有意な減少が見られたとの報告を受けております。
 続きまして、21ページの(3)を御覧ください。マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化の報告を載せております。コントロールの生理食塩水群に対するCyclopropylfentanyl31mg/kg腹腔内投与群のモノアミンの増加率の有意差を、ウェルチのt検定で求めたところ、Fig.6のグラフのとおり、ドパミン、セロトニン、ノルアドレナリン、いずれも有意に増加することが確認されたとの報告を受けております。
 22ページの(4)には、ヒトオピオイド受容体(μ及びκ)に対するアゴニスト活性EC50を測定した結果を載せております。Cyclopropylfentanylのμ受容体のEC50が1.23×10-9mol/L、κ受容体のEC50は1×10-5mol/Lを上回るとの結果から、μ受容体に対するアゴニスト活性があることが報告されております。
 今回、行動・症状観察において、洗顔運動の抑制、立ち上がり動作の抑制、挙尾反応、瞳孔の散大といった異常な行動や症状が確認されたこと、自発運動量について、有意な増減が認められたこと、マイクロダイアリシス試験においてモノアミンの有意な増加が確認されたこと、オピオイドμ受容体に対して強いアゴニスト活性が確認されたことより、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有すると考えております。
 以上のことから、Cyclopropylfentanylについては、中枢神経に作用する物質と考えております。
また、22ページの(5)海外での流通状況は、2017年に、アメリカ、イギリス、カナダ、スロベニア、ラトビアにおいて、2018年にアメリカ、カナダにおいて流通が確認されております。
 最後に、(6)死亡事例について、2017年6月~8月にかけて、スウェーデンでCyclopropylfentanylに暴露した22人の死亡例のうち、少なくとも6例でCyclopropylfentanylが原因となっており、2017年6月~10月にかけて、スウェーデン、ノルウェーでCyclopropylfentanylに暴露した60人の死亡例のうち、23例でCyclopropylfentanylが原因となっており、ラトビアではCyclopropylfentanylの暴露の可能性がある4人の死亡が報告されております。また、2017年に、アメリカでCyclopropylfentanylの乱用に伴う少なくとも115例の過剰投与による死亡例が確認されております。以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○鈴木部会長 委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。まず、最初に流通実態について、□□委員からお願いいたします。
○□□委員 □□□□の分析調査の結果、本化合物におきましては、特に検出はありません。
○鈴木部会長 委員の先生方から御意見を頂きたいと思います、いかがでしょうか。
○□□委員 この物質は、フェンタニルと全く別のものと考えた方がよいのですか、それとも類似していると見るべきなのでしょうか。似てはいるけれど全然違うような、これはマウスの結果だけですけれども、人体に使った場合はフェンタニルと随分違うような印象を持ったのですが、人体に使った場合に、どのような症状が出るかは、全く予想も着かないと考えた方がよろしいのかどうか。
○事務局 事務局です。部会資料2-2を御覧いただければと思います。この表の一番上に、今回のCyclopropylfentanylがあり、一番下がフェンタニルです。データがあって比較できる範囲ですが、この中で、例えばμ受容体に対するEC50に関して、この物質はμ受容体に対しては、フェンタニルよりも更に強い値が出ています。一方で、κに関してはフェンタニルではその作用があるように見えますが、この物質では見えないということで、違います。人体に投与した実際のそのデータはありませんが、作用は違っているのだろうと考えています。ただ、指定薬物に該当するかしないかの観点では、そういった蓋然性が高いことは示されているのではないかと考えております。
○鈴木部会長 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。
○□□委員 本化合物は、我々の分析調査では、まだ国内での検出は認めてはいないのですが、今回の審議資料にもありますように、in vivo、in vitroで非常に強い中枢性の作用が認められるということと、何よりも欧米において、本化合物が関与したと考えられている死亡例が多数出ていることから、早急に何らかの規制をかけるべき化合物だと考えております。以上です。
○鈴木部会長 いかがでしょうか、よろしいですか。それでは意見も尽きたようですので、審議をまとめたいと思います。ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 事務局から、今後の手続について説明をお願いいたします。
○事務局 今後のスケジュール等について御説明いたします。本件の結果については、次回開催の薬事分科会で報告させていただく予定です。本日の結果を受け、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。
 また、いわゆる正規用途については、今のところ確認しておりません。いずれにしましても、可能な限り適正使用に支障を来たさないように対応いたします。以上です。
○鈴木部会長 以上で、本日の議題は全て終了いたしました。事務局から次回の予定について御連絡をお願いいたします。
○事務局 次回の部会日程については、正式に決まり次第、御連絡いたします。
○鈴木部会長 以上をもちまして、平成30年度第3回指定薬物部会を閉会いたします。お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございました。
( 了 )
 

 

備  考
 本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された

連絡先:医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課 課長補佐 坂西
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