ホーム> その他> 薬事・食品衛生審議会指定薬物部会議事録(2018年2月27日)




2018年2月27日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録

○日時

平成30年2月27日(火)15:00~


○場所

厚生労働省専用第20会議室


○出席者

出席委員(7名)五十音順

  青 山 久 美、 池 田 和 隆、 遠 藤 容 子、 桐 井 義 則、
◎鈴 木   勉、○花 尻 瑠 理、 宮 田 直 樹
(注)◎部会長 ○部会長代理
他参考人1名

欠席委員(3名)

  関 野 祐 子、 成 瀬 暢 也、 松 本 俊 彦

行政機関出席者

宮 本 真 司 (医薬・生活衛生局長)
森    和 彦 (大臣官房審議官)
磯 部 総一郎 (監視指導・麻薬対策課長)
池 上 直 樹 (監視指導室長)

○議事

○監視指導・麻薬対策課長 定刻1分前ですが、先生方、皆さんお集まりいただきましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会指定薬物部会を開催いたします。本日は大変お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。本日は、関野委員、成瀬委員、松本委員から御欠席の連絡を頂いております。当部会委員10名のうち7名の御出席を頂いておりますので、まずは定足数に達しておりますことを報告いたします。また、本日は危険ドラッグや麻薬の精神毒性や依存性に精通されております、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□先生を参考人としてお呼びしております。□□先生、どうぞよろしくお願いいたします。

□□参考人 よろしくお願いいたします。

○監視指導・麻薬対策課長 部会開始前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告いたします。第11条では、「委員、臨時委員、又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定しております。いわゆる利益相反の規定です。今回、全ての委員の皆様より、この規程の第11条に適合している旨、御申告いただいておりますので、報告いたします。委員の皆様には、会議開催の都度、大変御面倒をかけております。書面で御提出いただいており、御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力のほどお願いしたいと思います。今日はどうもありがとうございます。

 続きまして、本部会の公開・非公開の取扱いについて説明いたします。薬事・食品衛生審議会総会における議論の結果、会議を公開することにより、委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい影響・支障を及ぼすおそれがあると判断された場合には非公開とされており、本部会はそれに該当するとしております。会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで、発言者などに対して外部からの圧力や干渉、危害が及ぶおそれが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされておりますので、あらかじめ御了承いただければと思います。それでは、以後の議事進行を鈴木部会長、よろしくお願いします。

○鈴木部会長 最初に、事務局より資料の確認をお願いいたします。

○事務局 事務局です。本日の資料は、資料番号1から3、参考文献は1から22、参考資料が1から3という構成になっております。以上です。

○鈴木部会長 資料がお手元にない場合には、お知らせ願います。本日の議題は、指定薬物の指定についてです。審議物質について、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 今回、御審議いただきたい5物質については、国内外で流通実態が認められた物質となります。資料1は、各物質の名称、通称名、構造式を記載しております。これらの物質について、指定薬物として指定をし、規制対象とする必要があるか否かについて、御審議を頂きたいと思っております。資料2は、御審議頂く物質のほか、構造が類似する指定薬物や麻薬等について、一覧表にまとめたものとなります。資料3は、国内外の基礎研究や動物実験等の結果について、中枢神経系への影響を中心に取りまとめた資料となっております。

 今回、5物質のうちフェンタニル系が3物質あり、番号で言うと1、3、4の3物質から御説明いたします。資料2ですが、先ほども申し上げましたが、審議物質及び審議物質と構造が類似する物質や作用が類似する物質について、参考文献、文献資料や過去の指定薬物部会の資料から確認できたデータを取りまとめております。

 資料2-1は、フェンタニル系の審議物質を取りまとめております。1.の4Cl-iBF、3.のTHF-F、4.の4-FIBF、これらに構造が類似する麻薬又は指定薬物について、症状観察、自発運動への影響、オピオイド受容体に対する親和性、マイクロダイアリシスのデータなどをまとめております。

 審議物質1.ですが、症状観察において、洗顔運動や立ち上がり動作の抑制、異常行動や挙尾反応、瞳孔の散大や眼裂の拡大、立毛といったものが認められました。また、オピオイドμ受容体に対するアゴニスト活性を有し、マイクロダイアリシス試験ではモノアミンを有意に増加させており、過去に指定した指定薬物と同種の作用を有すると確認しております。

 審議物質3.においても、症状観察において、反復動作や筋緊張度の亢進、洗顔運動、痛反応、立ち上がり動作の抑制や異常姿勢、挙尾反応、けいれん、瞳孔の散大や眼裂の拡大など、また自発運動量の増減、オピオイドμ受容体に対するアゴニスト活性を有しており、マイクロダイアリシス試験においてもモノアミンを有意に増加させており、過去に指定した指定薬物と同種の作用を有していることを確認しております。

 審議物質4.も、攻撃性、反復動作、触反応筋緊張度、角膜反射の亢進や、洗顔運動、痛反応、立ち上がり動作の抑制、異常姿勢や挙尾反応、指間離開や瞳孔の散大といった症状が、また自発運動量も増減が見られ、オピオイドμ受容体に対してもアゴニスト活性を有しており、マイクロダイアリシス試験でもモノアミンを有意に増加させており、過去に指定した指定薬物と同種の作用を有していると確認しております。

 資料2-2は、フェネチルアミン系の物質、2物質になります。審議物質2.として3C-P、5.として4-MMA-NBOMeに構造が類似する麻薬、指定薬物について、症状観察、自発運動の影響、セロトニン受容体への作用や活性やモノアミントランスポーターに対する影響、マイクロダイアリシス試験のデータをまとめております。

 物質2.は、症状観察においては、反復動作の亢進、洗顔運動、筋緊張度の抑制、立ち上がり動作の亢進後抑制、異常歩行や異常姿勢、ふるえ、けいれんといった症状が確認されております。また、自発運動量を増やし、セロトニン受容体に対するアゴニスト活性を有しており、マイクロダイアリシス試験ではセロトニンとノルアドレナリンを有意に減少させており、過去に指定した指定薬物と同種の作用を有することを確認しております。

 審議物質5.も、症状観察において反復動作、洗顔運動、触反応、立ち上がり動作、耳介反射の亢進や異常歩行、眼裂の縮小などが確認されておりますし、マイクロダイアリシス試験ではモノアミンを有意に増加させており、こちらも過去に指定した指定薬物と同種の作用を有すると確認しております。

 ここからは資料3を用いて御説明いたします。資料3-1の1ページを御覧ください。通称名が4Cl-iBF、麻薬であるフェンタニル、また指定薬物であるオクフェンタニルや4-FBFと構造が類似する化合物です。()の行動・中枢神経症状の観察ですが、マウスに4Cl-iBFを1.111.027.5mg/kgを腹腔内投与し、投与後3060120分の行動及び神経症状の観察をしております。1.1mg/kgの投与時には、自発運動の亢進、呼吸や心拍数の増加、立毛が確認されたと報告を受けております。中投与量の11.0mg/kgにおいては、洗顔運動の抑制、異常歩行、ふるえ、眼球突出、瞳孔の散大、眼裂の拡大、呼吸数と心拍数の増加、また立毛が確認されております。高用量群の27.5mg/kgについては、洗顔運動、立ち上がり動作、自発運動、筋緊張度の抑制、また異常歩行、異常姿勢、挙尾反応、眼球突出、瞳孔の散大、眼裂の拡大、立毛、皮膚の赤化が確認されたと報告を受けております。

 2ページの表1には、4Cl-iBFに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値の抜粋を載せております。数値については、各群、マウス5匹のスコア平均値となっております。その下に観察された特徴的な症状を示した写真を二つ載せております。写真1は11.0mg/kgの投与群で、投与後8分のマウスとなりますが、スニッフィング、眼裂の拡大、掻動作、右後肢指を咬むような動作が確認されております。写真2は、高用量群27.5mg/kgの投与後26分の別のマウスですが、挙尾をしながら、腹ばいの状態で異常歩行が確認されております。

 3ページの()には、自発運動における運動量の測定ということで、マウスに4Cl-iBFを11.0mg/kgを腹腔内投与して、投与後3時間まで10分ごとの自発運動量を測定しております。中段のFig.1のグラフとあわせて御覧ください。4Cl-iBF投与群と、対照群として生理食塩水群を各群マウス4匹使用して実験を行っております。総運動量、大きい運動量、立ち上がり回数、総移動距離について、Wilcoxon検定を用いて有意差検定を行ったところ、ここではいずれにおいても測定期間を通して、対照群と比べて有意な差は見られていないという報告を受けております。

()として、マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化の報告を載せております。コントロールの生理食塩水群に対する、4Cl-iBF34mg/kg腹腔内投与群のモノアミンの増加率の有意差をウェルチのt検定で求めたところ、Fig.2のグラフのとおり、上からセロトニン、ドパミン、ノルアドレナリン、いずれも有意に増加するとの報告を受けております。

 5ページの()には、オピオイド受容体に対するアゴニスト活性EC 50 を測定した結果を載せております。4Cl-iBFのμ受容体に対するEC 50 ですが、4.63×10-8 、κの受容体のEC 50 は1×10-5 を上回るという結果から、μ受容体に対するアゴニスト活性があるという報告を受けております。

 参考として、他の文献とはなりますが、麻薬であるフェンタニル及びモルヒネのオピオイド受容体活性のデータを載せております。フェンタニルのμ受容体のEC 50 2.88×10-8mol/L、モルヒネが2.06×10-7mol/Lということで、本物質については、これらに相当するような活性があることになっております。

 今回、自発運動量について有意差が認められなかったものの、行動・症状観察において、洗顔運動、立ち上がり動作、筋緊張度の抑制、異常歩行や異常姿勢、挙尾反応、ふるえ、眼球突出、瞳孔散大や眼裂の拡大、立毛といった異常な行動や症状が確認されたこと、またマイクロダイアリシス試験においてもモノアミンを有意に増加させたこと、オピオイドμ受容体に対して強いアゴニスト活性が確認されたことより、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有すると考えております。

以上から、4Cl-iBFは、中枢神経に作用する物質と考えております。

 5ページの()海外の流通状況ですが、2016年にスウェーデン、スロベニアにおいて、流通が確認されております。

また、()の死亡事例としては、201511月から2017年2月までにヨーロッパにおいて、既に指定薬物となっているFuranylfentanylに関連する23件の死亡事例のうちの1件において、4Cl-iBFも検出されたとの報告がありました。また、2016年にヨーロッパで4Cl-iBFによる3件の死亡事例が確認されております。

 続きまして資料番号3-3、11ページを御覧ください。通称名はTHF-Fとなります。こちらも麻薬であるフェンタニル、また指定薬物であるFuranylfentanylAcryloylfentanylといったものと構造が類似する化合物です。こちらも()行動・中枢神経症状の観察を行っております。腹腔内投与で、投与量も先ほどと同じです。30分、60分、120分という形で観察をしております。まず、1.1mg/kgの低用量群ですが、洗顔運動の抑制、挙尾反応、指間の離開、眼球突出や眼裂の拡大が確認されております。中投与量群の11.0mg/kgについては、低用量群で観察された行動と症状に加えて、反復動作、筋緊張度の亢進、痛反応の抑制、立ち上がり動作が抑制後に亢進へと変化、異常歩行や異常姿勢、ふるえ、けいれん、瞳孔の散大、呼吸数や心拍数の低下が確認されております。高用量群の27.5mg/kgですが、中用量群の11.0mg/kg群で観察された行動と症状に加えて、更に触反応及び耳介反射の抑制、自発運動が抑制後に亢進への変化、懸垂力の低下、皮膚の赤化が確認されたと報告を受けております。

12ページの表3には、THF-Fに関する行動と中枢・自律神経症状観察における評価値の抜粋を載せております。数値等の各群の取扱いについては、先ほどと同様です。その下に観察された特徴的な症状を示した写真を二つ載せております。写真5は11.0mg/kg投与群の投与後3分のマウスですが、ケージの壁のほうに腰を落としたような形で寄り掛かって、静止状態、挙尾反応が確認されております。写真6は高用量群27.5mg/kgの投与後6分の別のマウスですが、ケージに寄り掛かり立ちで、挙尾反応を示しており、静止状態の継続が続いていることが確認されております。

()には、自発運動における運動量の測定ということで、マウスTHF-Fを11.0mg/kg腹腔内投与して、先ほどと同様に3時間後まで10分ごとに測定しております。13ページのFig.5とあわせて御覧ください。THF-Fの投与群、対照としてはこちらも生理食塩水群です。マウス各4匹を使って、先ほどと同じように4つの項目についてWilcoxon検定を用いて有意差検定を行っております。結果としては、総運動量、大きい運動量、総移動距離について、投与後20分から80分後まで、対照群と比べて有意な増加を示したとの報告を受けております。また、立ち上がり回数については、投与直後から50分後まで対照群と比べて少ない傾向にあり、特に10分後と40分後については有意な減少を示したとの報告を受けております。

()として、マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化の報告を載せております。コントロールの生理食塩水群に対する、THF-33mg/kg腹腔内投与群のモノアミンの増加率の有意差をウェルチのt検定で、同じように求めております。14ページのFig.6のグラフは、上からセロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンと、いずれについても有意に増加するとの結果報告を受けております。

15ページの()には、オピオイド受容体に対するアゴニスト活性のEC 50 の結果を載せております。THF-Fのμ受容体のEC 50 は、S体、R体に分けて測定しております。S体はμ受容体に対して3.29×10-8mol/L、R体は9.09×10-9mol/L、κの受容体はS体、R体、ともに1×10-5mol/Lを上回るといった結果が得られております。このことから、μ受容体に対するアゴニスト活性があると考えております。先ほどと同様、参考としてフェンタニル、モルヒネのオピオイド受容体の活性データを載せております。

 こちらの物質についても、今回、行動・症状観察において、反復動作や筋緊張度の亢進、洗顔運動、痛反応、立ち上がり動作の抑制、異常歩行や異常姿勢、挙尾反応、けいれん、眼球突出、瞳孔の散大、眼裂の拡大といった異常な行動や症状が確認されたこと、自発運動量について有意な増減が認められたこと、マイクロダイアリシス試験においても、モノアミンの有意な増加が確認されたこと、オピオイドμ受容体に対しても強いアゴニスト活性が確認されたことより、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有すると考えております。

以上から、THF-Fは、中枢神経に作用する物質と考えております。

()海外の流通状況ですが、2016年にスウェーデン、2017年には米国において流通が確認されております。

また、()の死亡事例としては、2016年から2017年にかけて、スウェーデンにおいて14件の死亡事例、また2017年には米国においても2例の死亡事例が確認されております。

 続きまして資料3-4、16ページを御覧ください。こちらもフェンタニル系で、通称名が4-FIBFです。麻薬であるフェンタニルや指定薬物であるOcfentanilや4-FBFと構造が類似する化合物となります。一番目に御説明した物質と違う点は、構造式で言えば、一番下の部分に、こちらの物質にはフッ素が、一番目の物質にはクロルが付いた形となっております。

 こちらも同じように()として、行動と中枢神経系症状の観察を行っております。同用量で腹腔内投与し、同じ時間帯での観察を行っております。低用量群ですが、1.1mg/kgでは自発運動の亢進、洗顔運動の抑制、異常歩行、異常姿勢、眼球突出や瞳孔の散大、眼裂の拡大が確認されております。11.0mg/kgの投与群では、攻撃性、反復動作、触反応、筋緊張度の亢進や洗顔運動、痛反応、立ち上がり動作、自発運動の抑制、異常歩行や異常姿勢、挙尾反応、けいれん、指間離開や眼球突出、瞳孔の散大、眼裂の拡大、心拍数の低下が報告されております。高用量群27.5mg/kgでは、11.0mg/kgの中用量群で観察された行動・症状に加えて、耳介反射、角膜反射、払いのけ動作の亢進が確認されたと報告を受けております。

17ページの表4には、4-FIBFに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値の抜粋を載せております。数値等の各群の取扱いについては、先ほどと同様です。その下に特徴的な症状を示した写真を二つ載せております。写真7は11.0mg/kg投与群の4分後のマウスとなりますが、忙しい動きの後、ケージの角の壁にもたれ掛かるような形で、静止状態が確認されております。写真8は高用量群の投与後9分の別のマウスですが、こちらもケージの角の壁にぐったりと不安定に寄り掛かるような形で、特に腰の部分が麻痺したような異常姿勢、挙尾反応、後肢指の乖離、そして、静止状態が確認されたと報告を受けております。

18ページの()には、自発運動における運動量の測定ということで、マウスに4-FIBFを11.0mg/kg腹腔内投与して、同じような時間間隔で測定を行っております。Fig.7とあわせて御覧ください。これまで同様、生理食塩水と本物質、各群マウス4匹を使って、同じ項目についてWilcoxon検定で有意差検定を行っております。総運動量、大きい運動量、総移動距離は、投与直後から測定期間を通じて対照群と比べて多い傾向が見られ、特に投与後50分、80分、100分で、対照群と比べ有意な増加を示したとの報告を受けております。また、立ち上がり回数は、投与直後から60分後まで、対照群と比べて有意な減少を示したとの報告を受けております。

18ページの下段から()としてマイクロダイアリシス試験の結果を載せております。コントロールの生理食塩水群に対する、4-FIBF32mg/kg腹腔内投与群のモノアミンの増加率の有意差をウェルチのt検定で求めております。

19ページのFig.8のグラフのとおり、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリン、いずれも増加しているという報告を受けております。

20ページの()には、オピオイド受容体に対するアゴニスト活性、EC 50 も測定した結果を載せておりま。μ受容体のEC 50 6.43×10-9mol/L、κ受容体は1×10-5mol/Lを上回るといった結果から、こちらについてもμ受容体に対するアゴニスト活性があるという報告を受けております。こちらについても、参考としてモルヒネとフェンタニルに関する表を載せております。

 4-FIBFについて、今回、行動・症状観察において、攻撃性や反復動作、触反応、筋緊張度、角膜反射の亢進や洗顔運動、痛反応、立ち上がり動作の抑制、異常歩行や異常姿勢、挙尾反応、指間離開や眼球突出、瞳孔の散大、眼裂の拡大といった異常な行動や症状が確認されたこと、また自発運動量についても有意な増減が認められたこと、マイクロダイアリシス試験においてもモノアミンの有意な増加が確認されたこと、オピオイドμ受容体に対しても強いアゴニスト活性が確認されたことより、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有すると考えております。

以上から、4-FIBFは、中枢神経に作用する物質と考えております。

()海外の流通状況ですが、2016年にオランダ、カナダ、スウェーデン、スロベニア、ドイツ、ベルギー、米国で、2017年にもカナダと米国において、流通が確認されております。

()の死亡事例ですが、2016年にヨーロッパにおいて4件の死亡事例、2016年から2017年にかけてはスウェーデンにおいて16件の死亡事例、2016年8月に米国のメリーランド州においては62件の死亡事例が報告されており、その他にも数多く死亡事例が確認されております。

以上、3物質について、指定薬物として指定して差し支えないと考えますが、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 ありがとうございました。それでは、事務局より説明のありました物質について、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがですか。

○鈴木部会長 いずれもフェンタニルの類似物質ということで、大体、データはそろっていると思うのですが、□□委員からお願いします。

□□委員 こちらの3化合物のフェンタニルアナログですが、いずれもin vivo、in vitroで、中枢神経系への影響を及ぼすデータがそろっていますし、また、THF-Fに関しては、光学異性体を有するのですが、このS体、R体ともにμオピオイド受容体に対してアゴニスト活性が示されていること、また、さらにこの3化合物とも、いずれも欧米諸国において複数のこれらの化合物に関与すると考えられる死亡事例が報告されていることを考えますと、指定薬物として指定する必要がある化合物だと考えております。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。他はいかがですか。よろしいですか。

 それでは、発言が出尽くしたと思いますので、審議をまとめます。ただいま御審議いただいた物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございます。

□□委員 細かいことですが、物質3-3の15ページの()で文献11が引用してあって、表が載っているのですが、そのSubstanceにTHF-()、THF-()と書かれていて、ここの()()は、S体、R体のことを指していると思うのですが、化学は化学のルールがあり、SとかRはTHF-Fの前に書いていただいたほうがいいと思います。参考までに文献11を見ますと、文献11にはきちんとそのように書かれております。よろしくお願いします。

○事務局 御指摘ありがとうございます。以後、そのようにさせていただきます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。それでは、引き続き説明をお願いします。

○事務局 事務局です。引き続き2品目について御説明をさせていただきます。こちら2品目については、フェネチルアミン系の物質となります。

 資料3-2、6ページを御覧ください。通称名は3C-Pです。麻薬であるメスカリン、指定薬物である3C-EやEscalineと構造が類似する化合物となります。()行動・中枢神経症状の観察は、マウスに3C-Pを2.020100mg/kgを経口投与し、投与後3060120分の行動及び神経症状を観察しております。低用量群の2.0mg/kgは、反復動作や立ち上がり動作の亢進が確認されたと報告を受けております。20mg/kg投与群は、低用量群で観察された行動と症状に加え、触反応、自発運動の亢進、洗顔運動が抑制後に亢進といった変化が確認されております。また、異常歩行、異常姿勢、ふるえ、けいれん、懸垂力の低下、呼吸数と心拍数の増加、皮膚の赤化が確認されたと報告を受けております。高用量群の100mg/kgでは、洗顔運動、触反応、痛反応、立ち上がり動作、自発運動、筋緊張度、耳介反射、払いのけ動作の抑制が見られ、また、異常歩行、異常姿勢、ふるえ、けいれんが見られ、眼裂の縮小、立毛、懸垂力、呼吸数、心拍数の低下が確認されたと報告を受けております。

 7ページの表2には、3C-Pに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値の抜粋を、同じように載せております。こちらも各群マウス5匹のスコアの平均値となっております。その下に、観察された特徴的な症状を示した写真を二つ載せております。写真3は中投与量群20mg/kgの投与後55分のマウスとなります。軽い掻動作とスニッフィングが確認されております。また、写真4は高用量群100mg/kgの投与後26分の別マウスですが、腹ばい姿勢で静止状態、動かない状態が確認され、スニッフィングと眼瞼、下まぶたが下垂するような症状も確認されております。

 7ページの下段()には、自発運動における運動量の測定ということで、マウスに3C-Pを20mg/kg経口投与し、投与後3時間まで10分ごとの自発運動量を測定しております。8ページのFig.3のグラフとあわせて御覧ください。4つの項目について、同じようにWilcoxon検定を用いて有意差検定を行ったところ、総運動量と総移動距離で投与後30160分まで対照群と比へて多い傾向があり、特に投与後80分、130分、140分で有意な増加を確認しております。また、大きい運動量では、投与後30から160分まで多い傾向で、特に投与後50分、80分、130分、140分で対照群と比べて有意な増加をしているという報告を受けております。立ち上がり回数については、投与後40から160分後まで対照群と比べて多い傾向があり、特に140分後で有意な増加を示しているという報告を受けております。

 8ページ下段から9ページにかけて、()マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化の報告を載せております。コントロールの水投与群に対して、3C-Pを23mg/kg経口投与し、確認しております。9ページのFig.4にありますとおり、セロトニンとノルアドレナリンで有意に減少するポイントが確認されております。ドパミンに対する有意差は認められませんでした。

10ページの()には、3C-Pのセロトニン受容体の5-HT 2A と5-HT 2C に対するアゴニスト活性EC 50 の測定結果を載せております。5-HT 2A 受容体に対しては3.91×10-8mol/L、5-HT 2C については1.65×10-7mol/Lと、アゴニスト活性があることが報告されております。

()には、3C-Pのモノアミントランスポーターに対する機能影響評価の結果ですが、ドパミントランスポーターとセロトニントランスポーターに対するIC 50 を算出したところ、いずれも1.0×10-4mol/Lを上回るという報告を受けております。

 3C-Pについては、モノアミントランスポーター阻害作用は認められなかったものの、行動・症状観察においては、反復動作の亢進、洗顔運動、痛反応、筋緊張度の抑制や立ち上がり動作の亢進・抑制、異常歩行や異常姿勢、ふるえ、けいれん、眼裂の縮小、懸垂力の低下、皮膚の変色、こういった異常な行動や症状が確認されたこと、自発運動量について有意な増加が認められたこと、マイクロダイアリシス試験においてセロトニンとノルアドレナリンに有意な減少が確認されたこと、セロトニン受容体に対するアゴニスト活性も確認されたことより、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有すると考えております。

以上から、3C-Pは、中枢神経に作用する物質と考えております。

()海外の流通状況ですが、2016年にスウェーデンとフィンランドで、2014年にもスウェーデンで、2016年にはトルコ、ポーランドにおいて流通が確認されております。

 続きまして、資料3-5、21ページを御覧ください。こちらは通称名で4-MMA-NBOMeです。指定薬物である4-EA-NBOMe、また25D-NBOMeに構造が類似する化合物となります。()の行動・中枢神経症状観察は、4-MMA-NBOMeを1.111.027.5mg/kg腹腔内投与して観察を行っております。1.1mg/kgの投与群では、反復動作、洗顔運動、立ち上がり動作及び自発運動の亢進、異常歩行が確認されたと報告を受けております。11.0mg/kg投与群では、低用量群で観察された行動と症状がより強い作用強度で確認されたと報告を受けております。27.5mg/kgの投与群では、攻撃性、反復動作、触反応、痛反応、立ち上がり動作、自発運動、耳介反射、角膜反射及び払いのけ動作の亢進、洗顔運動については抑制後に亢進へ変化するなど、また、異常歩行、眼裂の縮小等が確認されたと報告を受けております。

22ページの表5には、4-MMA-NBOMeに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値の抜粋を載せております。これも下に二つ特徴的な写真を載せておりますので、御説明させていただきます。写真9は高用量群27.5mg/kgの投与後10分のマウスとなります。忙しく動き回り、上方を意識するような行動が確認されております。写真10も高用量群27.5mg/kgの投与後16分の別のマウスですが、下まぶたの下垂や体を伸ばして腹ばい姿勢での静止状態の継続が確認されております。

23ページの()には、自発運動における運動量の測定ということで、マウスに4-MMA-NBOMeを11.0mg/kg腹腔内投与し、同じような時間間隔で測定を行っております。23ページのFig.9とあわせて御覧ください。対照群に生理食塩水を用い、本剤と生理食塩水群、各群マウス4匹を用い、同じ4項目についてWilcoxon検定を行って確認をしましたが、検定の結果、いずれについても対照群と比べて有意差は得られなかったとの報告を受けております。

23ページ下段から24ページにかけて、()として、マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化の報告を載せております。こちらについては、コントロールの生理食塩水群に対する、4-MMA-NBOMeの26mg/kg腹腔内投与群のモノアミンの増加率の有意差を、ウェルチのt検定で求めております。24ページのFig.10のグラフのとおり、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリン、いずれについても有意に増加するとの報告を受けております。

25ページの()には、セロトニン受容体に対するアゴニスト活性、EC 50 を測定した結果です。2A受容体、2C受容体、いずれも1.0×10-5mol/Lを上回るといった報告を受けております。

( )には、当物質のモノアミントランスポーターに対する機能影響評価の結果を載せておりますが、ドパミントランスポーターとセロトニントランスポーターに対するIC 50 を算出したところ、ドパミントランスポーターに対しては1.6×10-5mol/L、セロトニントランスポーターについては4.0×10-5mol/Lという結果の報告を受けております。

 今回、この物質について、自発運動量について有意差が認められなかったこと、また、セロトニン受容体(-HT 2A 、5-HT 2C )に対して強いアゴニスト活性が認められなかったものの、行動・症状観察において攻撃性、反復動作、洗顔運動、触反応、立ち上がり動作、耳介反射、角膜反射、払いのけ動作の亢進とか、異常歩行、眼裂の縮小といった異常な行動や症状が確認されたこと、マイクロダイアリシス試験においてもセロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンの有意な増加が確認されたこと、モノアミントランスポーターの阻害について強くはありませんが作用が認められたことから、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有すると考えております。

以上から、4-MMA-NBOMeは、中枢神経に作用する物質と考えております。

最後となりますが、()海外の流通状況ですが、2014年にドイツにおいて流通が確認されております。

 以上の2物質について、指定薬物として差し支えないと考えますが、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 ありがとうございます。事務局より説明のありました2物質について、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがですか。

○事務局 こちらの国内流通状況についてですが、3C-Pについては、□□□□□□□□によって物が確認されているものとなっております。

○鈴木部会長 ありがとうございます。今、流通実態もあるということですので、いかがですか。御意見はありませんか。行動変化あるいは受容体結合実験の結果で明らかに出ておりますので、問題ないと思います。ということで、まとめさせていただいてよろしいですか。

 ありがとうございます。それでは、ただいま御審議いただいた物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいですか。

 ありがとうございます。それでは、引き続き事務局より説明をお願いします。

○事務局 今後のスケジュール等について、御説明をさせていただきます。本件の結果については、次回開催の薬事分科会で報告をさせていただく予定です。本日の結果を受け、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進めさせていただく予定です。また、いわゆる正規用途については、今のところ確認をしておりません。いずれにしましても、可能な限り適正使用に支障を来さぬように対応する所存です。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございました。本日の議題は以上です。事務局から、その他の連絡事項があればお願いします。

○事務局 次回の部会の開催については、正式に決まり次第、御連絡させていただきます。また、本部会の資料については回収させていただきますので、机の上にそのまま置いてください。以上です。

○鈴木部会長 それでは、これで平成29年度第5回指定薬物部会を閉会します。委員の先生方、本日は御審議をありがとうございました。


(了)

備  考
 本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された

連絡先:医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課 課長補佐 佐々木
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