ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会)> 中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会第198回議事録(2019年11月6日)

 
 

2019年11月6日 中央社会保険医療協議会 診療報酬基本問題小委員会 第198回議事録

○日時

令和元年11月6日(水)9:27~11:57

 

○場所

ホテルグランドアーク半蔵門(4階)

○出席者

田辺国昭小委員長 荒井耕委員 関ふ佐子委員 中村洋委員 秋山美紀委員 松原由美委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 佐保昌一委員 宮近清文委員
松本吉郎委員 今村聡委員 島弘志委員 林正純委員 有澤賢二委員
吉川久美子専門委員
<参考人>
入院医療等の調査・評価分科会 尾形分科会長
医療技術評価分科会 福井分科会長
<事務局>
濵谷保険局長 横幕審議官 八神審議官 森光医療課長 岡田医療技術評価推進室長
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○ 診療報酬調査専門組織 医療技術評価分科会からの報告について
○ 診療報酬調査専門組織 入院医療等の調査・評価分科会における検証結果(とりまとめ)ついて

○議事

 

○田辺小委員長
 定刻前ではございますけれども、皆様、おそろいのようでございますので、ただいまより第198回「中央社会保険医療協議会 診療報酬基本問題小委員会」を開催いたします。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。本日は、染谷委員が御欠席でございます。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○田辺小委員長
早速ではございますけれども、議事のほうに入らせていただきます。
まず「診療報酬調査専門組織 医療評価分科会からの報告について」を議題といたします。
本日は、医療技術評価分科会の福井分科会長にお越しいただいておりますので、福井分科会長より、御報告のほうをお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○福井分科会長
令和2年度診療報酬改定に向けた医療技術の評価につきまして、10月31日に医療技術評価分科会を開催いたしました。そこで検討された内容を御報告申し上げます。
お手元の資料の中医協診-1と書いた資料をごらんください。3ページのものです。
「1.経緯」のところに、これまでの経緯をまとめております。
ことしの2月に令和2年度診療報酬改定に向けまして、医療技術評価分科会において、学会等から提出されました提案書に基づいて、新規医療技術の評価及び既存技術の再評価を行うことについて、本委員会に報告させていただきました。
その後、手続を進めまして、提案書のうち、分科会の評価対象とするものについて検討を行いました。
提出があった提案書の数などについては、後ほど触れたいと思います。
また、個別の提案の評価の進め方を「2.令和2年度診療報酬改定に向けた医療技術の評価に関する対応について」。1ページの真ん中付近から下にまとめております。
この中に3項目ございまして「(1)先進医療として実施されている医療技術の評価について」でございます。
平成30年度診療報酬改定におきまして、先進医療として実施されている技術に係る提案について、先進医療会議の評価結果を踏まえて、他の技術とも網羅的に検討を行うことといたしました。
また、中医協での附帯意見におきまして、医療技術評価分科会と先進医療会議との連携、役割分担を含め、引き続き検討することということで指摘をいただきました。点線で囲んであるところでございます。
このことを踏まえまして「今後の対応」につきまして、○の上の2つに相当するところでございますが、先進医療会議における評価対象技術となるかどうか、また、分科会提出書が提出されるかどうかにより、それぞれ対応方針を記載してございます。
特に、双方の会議体の検討対象となる場合は、両会議体において日程調整や資料の共有等を行うといった方法で連携や役割分担を行うことといたしました。
次のページをごらんください。
「(2)内視鏡手術用支援機器を用いた内視鏡手術に対する評価について」でございます。
平成30年度診療報酬改定において、いわゆるロボット支援下内視鏡手術の保険適用に当たりましては、安全性の担保やデータの蓄積の観点から、関連学会によるレジストリに参加するといった要件を設けることといたしました。
今回、分科会に提出された提案書に関連して、こうしたレジストリに係る検証がなされた2つの学会から検証の概要の報告を受けました。
こうした結果も踏まえつつ、関連する提案書の評価を行うこととしております。
そのページの下の4分の1くらいのところの「(3)医療技術の体系的な分類について」でございます。
こちらについては、平成30年度診療報酬改定において、DPCにおいて、いわゆる手術のコードであるKコードと、STEM7を併記し収集することとし、平成30年度分の1年間のデータを抽出したところでございます。
今後、専門家からなる検証・検討の場を設け、本データの検証等を通じて、さらに検討を進めていくこととしております。
スケジュールに入ります前に、診-1参考3の表紙の裏を見ていただきたいのですけれども、評価の対象となる技術の概要の表がございまして、学会等から医療技術評価分科会に提案書の提出があった技術が942件でございまして、そのうち、評価の対象となるものが730件となりました。
それ以外に先進医療会議において、科学的根拠等に基づく評価が行われる予定の技術が26件ございます。
それで、最初の診-1の資料に戻っていただきまして「3.スケジュール」のところでございますが、今後のスケジュールを示しております。
来年1月に医療技術評価分科会としての評価結果を取りまとめ、中医協総会に報告申し上げる予定です。
私からの御報告は、以上でございます。
○田辺小委員長
ありがとうございました。
事務局から補足があれば、お願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
特にございません。
○田辺小委員長
ありがとうございます。
それでは、ただいまの説明につきまして、何か御意見、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
福井分科会長を初め、医療技術評価分科会におかれましては、各学会から提出された多数の提案書の検討作業に御尽力を賜りまして、感謝申し上げます。
報告のあった3つの今後の対応については、了解いたしました。
今後も大変な作業となりますけれども、引き続き、個別の提案の評価について御検討のほど、よろしくお願いいたします。
以上です。
○田辺小委員長
ありがとうございます。
ほかに、いかがでございましょうか。
よろしゅうございますでしょうか。
では、御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑は、このあたりとして、本日の総会のほうに報告させていただきたいと存じますが、よろしゅうございますでしょうか。
(委員首肯)
○田辺小委員長
ありがとうございました。
それでは、そのようにしたいと存じます。
福井分科会長、御説明のほう、どうもありがとうございました。
引き続きまして「診療報酬調査専門組織 入院医療等の調査・評価分科会における検討結果(とりまとめ)について」を議題といたします。
本日は、入院医療等の調査・評価分科会の尾形分科会長にお越しいただいておりますので、尾形分科会長のほうより、御報告のほうをお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○尾形分科会長
分科会長の尾形でございます。
入院医療等の調査・評価分科会におきましては、2018年度及び2019年度に調査を実施いたしまして、その結果の分析とともに、入院医療等に係る技術的な課題の検討を行ってまいりました。
それぞれの調査結果の速報につきましては、既に、この基本問題小委員会に御報告をさせていただいたところでございますが、このたび、10月30日に開催されました入院医療等の調査評価分科会におきまして、分科会における検討結果の取りまとめを行いましたので、御報告をさせていただきます。
お手元の資料の中医協診-2が取りまとめの本体でございます。
それから、中医協診-2参考が参考資料ということでございます。
なお、診-2の本文中の各項目の見出しに対応する参考資料のページを記載しておりますので、適宜御参照いただければと思います。
それでは、まず、診-2の1ページをごらんください。
分科会におきまして、1ページから2ページにかけまして記載がございます1から8の項目分けて取りまとめを行っております。
以下、各項目につきまして、各調査の速報の御報告や、8月28日の検討状況の御報告以降に、分科会におきまして検討しました部分を中心にポイントを絞って御説明をさせていただきます。
まず、初めに、急性期入院医療につきまして、2ページから1-1として「一般病棟入院基本料の算定病床の動向及び施設の状況でございます。
速報でも御報告いたしましたとおり、この項目では、届出入院料の状況や、重症度、医療・看護必要度の届出状況について記載をしております。
3ページの3つ目のポツをごらんいただきたいと思います。
分科会におきましては、負担軽減の観点から、重症度、医療・看護必要度2の届け出が進むような取り組みを検討すべきという意見があった一方で、重症度、医療・看護必要度2の届け出は、負担軽減に資すると思われるものの、必要度に関する記録時間は、看護師の勤務時間のうち5分程度であるという研究報告もあることから、その効果は限定的かもしれないという意見もあったところでございます。
続いて、上から6つ目ポツをごらんください。
4つ目、5つ目のポツに重症度、医療・看護必要度の該当患者割合を記載しておりますが、これらの結果を踏まえ、分科会においては、平成30年度診療報酬改定における重症度、医療・看護必要度の施設基準の設定は、おおむね妥当との認識で一致したところでございます。
続きまして、4ページをお願いいたします。
4ページからが「1-2.入院患者の状態」でございます。
2つ目のポツをごらんください。
基準の2、B項目のうちB14またはB15に該当、かつA得点1点以上、かつB得点3点以上の該当患者について、他の基準の該当状況、つまり、他の基準に重複して該当しているかどうかを見ますと、1・2ともにいずれの入院料においても、基準2のみに該当する患者が最も多いという結果でございました。
また、基準2のみに該当する患者割合は、許可病床の規模が小さいほど高い傾向にございました。
3つ目以降のポツにおきましては、基準に該当する患者の該当項目等について記載をしております。
続きまして、上から8つ目、下から3つ目のポツをごらんいただきたいと思います。
重症度、医療・看護必要度の各基準に該当する患者を比較すると、基準2のみに該当する患者は、他の基準に比べて年齢が高く、認知症や専門を有する割合が高く、要支援、要介護の割合が高く、自立の割合が低い傾向にございました。
また、看護師による直接の看護提供の頻度が多い傾向にありましたが、医学的な理由のため、入院継続が必要であるという割合は低く、退院に向けた目標、課題として、入所先の施設の確保や転院先の医療機関の確保の割合が高いという結果でございました。
一番下のポツをごらんいただきたいと思います。
これらの結果を踏まえ、基準2のみに該当する患者であっても、急性期病棟と療養病棟では、日々の患者の状態の変化に差があると考えられることから、引き続き、丁寧に分析を行うべきではないかという意見がございました。
他方、基準2について、認知症や専門の患者に対するケアを適切に評価することは重要であるが、急性期入院医療の必要性を評価する指標として、適切とは言いがたいのではないかという意見もございました。
続いて、5ページからが「1-3.重症度、医療・看護必要度の評価項目」でございます。
この項目では、AからCの評価項目につきまして、急性期入院医療の評価指標として適切かという観点から検討した結果を記載しているところでございます。
5つ目のポツをごらんください。
これらの結果を踏まえ、重症度、医療・看護必要度の評価項目について、原則として入院で実施される医療を適切に評価する観点から、入院の必要性等に応じた対象の整理を行うべきではないかという意見がございました。
また、外来での使用が多い薬剤であっても、導入期には副作用等の評価をするために、数日間入院にて観察が必要なものが存在することを考慮すべきという意見がございました。
続きまして、6つ目のポツをごらんください。
このような整理に当たっては、手術等の点数や件数にかかわらず、入院で実施されるものを広く対象とすることを検討すべきという意見がありましたが、一方で、現行の指標で評価対象となっている項目との関係性も踏まえ、追加する対象は、特に侵襲性の高い手術に限定すべきという意見もございました。
続いて、5ページの下段から6ページ以降にかけましてが「1-4.特定集中治療室管理料等」でございます。
6ページの2つ目のポツをごらんください。
特定集中治療室用の重症度、医療・看護必要度の該当患者割合を見ると、平均して救命救急入院料1の約3割、救命救急入院料3の約4割の患者が基準に該当しておりましたが、割合の分布は、施設によってばらついておりました。
3つ目のポツをごらんください。
この結果を踏まえ、救命救急入院料1及び3の評価指標として用いた特定集中治療室用の重症度、医療・看護必要度は、ハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度にあるような創傷処置、蘇生術の施行等の項目がなく、評価指標として適切とは言えないのではないかとの意見がございました。
4つ目のポツ以降は、特定集中治療室管理料1及び2で、提出が要件となっております、生理学的スコア、いわゆるSOFAスコアの検討結果について記載をしております。
上から9つ目、下から2つ目のポツをごらんいただきたいと思います。
これらの結果を踏まえ、特定集中治療室には、侵襲性の高い手術後の患者の管理と医学的に重症な患者の治療の両方の役割があるとしつつ、一定程度は、後者の役割を担うべきではないかという意見や、現在の重症度、医療・看護必要度では評価できない患者増を評価するために、SOFAスコアの活用を検討すべきという意見がございました。
続きまして、一番下のポツをごらんいただきたいと思います。
これらの観点から、SOFAスコアの測定にかかわる負担が大きいことに配慮しつつ、提出を必須とする対象を拡大してはどうかという意見がありました。
また、特定集中治療室等の適切な評価指標については、引き続き、必要な調査等も含めて検討してはどうかという意見がございました。
その他、専門性の高い看護師等について検討結果を記載しているところでございます。
続きまして、7ページの中段からでございますが「1-5.短期滞在手術等基本料」でございます。
この項目では、短期滞在手術等基本料2、3を算定する場合の実績等について検討した結果を記載しております。
5つ目のポツをごらんください。
これらの結果を踏まえ、短期滞在手術等基本料2の算定回数が非常に少ないことや、対象手術の平均在院日数の実態から現行の点数・期間は実態に即した設定となっていないのではないかという意見がございました。
続いて、6つ目のポツをごらんください。
短期滞在手術等基本料3について、4泊5日よりも短い日数で実施されている手術や、外来で多く実施されている手術については、短期滞在手術等基本料1もしくは2の対象手術とすることを検討してはどうかという意見がございました。
他方、外来で多く実施されている手術であっても、高齢や合併症がある等の理由で、入院で実施されている場合があるとの意見もございました。
ついで、8ページから「1-6.急性期入院医療に関するその他の事項」でございます。
上段は、総合入院体制加算についての検討結果を記載してございます。
3つ目のポツをごらんください。
これらの結果を踏まえ、医療機関の機能分化の観点から、精神病床の要件の見直しを検討してはどうかという意見がございましたが、一方で、精神病床を有している医療機関の役割を考えると、加算の要件としては妥当ではないかという意見もございました。
また、4つ目のポツをごらんいただきたいと思います。
加算において必須となっております、参加の標榜等の要件も、地域における医療機能の集約化の障壁となっている可能性があるという意見や、総合入院体制加算の趣旨に鑑み、施設基準の整理を検討してはどうかという意見がございました。
8ページの下段は、抗菌薬適正使用支援加算についての検討結果を記載しております。
5つ目のポツをごらんください。
これらの結果を踏まえ、抗菌薬適正使用支援加算の新設には一定の効果があったという意見や、地域における医療機関間の支援がさらに進むよう、必要な見直しを検討してはどうかという意見がございました。
続きまして「2.地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料について」でございます。
8ページの下段から9ページにかけては「2-1.算定病床の動向及び施設の状況」について記載しております。
この項目では、施設の実績等について検討した結果を記載しているところでございます。
9ページの8つ目のポツをごらんください。
これらの結果を踏まえ、入院料(管理料)1及び3に係る実績要件については、実態等を踏まえて、必要な見直しを行ってはどうかという意見がありました。
また、ACPにかかわる要件については、入院料1及び3と2及び4で差を設ける必要がないのではという意見もございました。
9ページの下段からが「2-2.入院患者の状態」でございます。
この項目では、入院患者の手術やリハビリテーションの状況等について検討した結果を記載しているところでございます。
10ページの3つ目のポツをごらんいただきたいと思います。
これらの結果を踏まえ、入院患者全体の3割、施設によっては、それ以上の割合の患者に、疾患別リハビリテーションを実施していないのは少な過ぎるのではないかという意見がありました。
これに対し、疾患別リハビリテーションができない患者には、それ以外の必要なケアを実施しているという意見もございました。
10ページの中段からが「2-3.地域包括ケア病棟・病室の利用に係る現状」でございます。
2つ目のポツをごらんください。
許可病床の規模別に入棟元を見ると、許可病床の規模が大きいほど、特に許可病床が400床以上では、自院の一般病床の割合が高く、他院の一般病床の割合が低いという結果でございました。
退棟先は、いずれの病床規模でも、自宅が約6割から7割を占めておりました。
続いて4つ目のポツをごらんください。
入棟元が自院または他院の一般病床の患者が占める割合の分布を見ると、全ての患者が自院または他院の一般病床から入棟している医療機関が最も多いという結果でございました。
さらに、一般病床から入棟した患者のうち、自院の一般病床が占める割合の分布を見ると、全ての患者が自院の一般病床から入棟している医療機関が最も多くございました。
5つ目のポツをごらんください。
これらの結果を踏まえ、自院における転棟割合が高い医療機関について、地域における機能分化を適切に進めるべきではないかという意見がありました。
また、許可病床の規模が小さい医療機関は、在宅等からの入院割合が相対的に高いことを受けて、地域包括ケアの役割を適切に担っていると言えるのではないかという意見がございました。
一番下のポツをごらんください。
同一医療機関の一般病棟、DPC病棟から地域包括ケア病棟、病室に移動する場合、他の病棟に転棟する場合と同一病棟内で転出する場合で、転棟・転出後に算定する点数が異なっており、入院料の包括範囲や初期加算の取り扱い等も異なっていますが、これに関連して、DPC対象病棟に入院中の患者が、地域包括ケア病棟に転棟する時期は、DPC/PDPSによる点数が、地域包括ケア病棟入院料の点数を下回るタイミングに偏っている場合がございました。
11ページにお進みください。
1つ目のポツでございます。
これらの結果を踏まえ、地域包括ケア病棟・病室として、施設基準等の要件が同じであるにもかかわらず、算定する点数が異なることは、合理性を欠くのではないかという意見がございました。
また、一般病棟から、地域包括ケア病棟への転棟時期が偏っている場合があることについて、患者の状態に応じた適切な管理と言えないのではないかという意見がございました。
続きまして「3.回復期リハビリテーション病棟入院料について」でございます。
まず、11ページ中段から「3-1.算定病床の動向及び施設の状況」でございます。
この項目では、施設の実績等について検討した結果を記載してございます。
11ページの下段から「3-2.入院患者の状態」。
さらに12ページ上段にかけまして「3-3.リハビリテーションの提供状況」について検討した結果を記載してございます。
12ページの中段からが「3-4.リハビリテーション実績指数等」でございます。
4つ目のポツをごらんください。
入棟時と退棟時のFIMの推移を見ると、入棟時の値は、平成28年度以降、やや低下傾向にあり、退棟時の値は、ほぼ横ばいから微増傾向でございました。
また、FIM得点の変化の推移を見ると、平成28年度以降、増加傾向となっておりました。
この関係性は、入院料ごとに見ても同様の傾向でございました。
続いて、5つ目のポツをごらんください。
入棟時FIMと発症から入棟までの日数の関係を経年的に見ると、発症から入棟までの日数によらず、入棟時FIMが低下傾向であり、他方、入棟時FIMとFIM得点の変化の関係を経年的に見ると、入棟時FIMの値によらず、FIM得点の変化が増加傾向でございました。
これらの関係性は、疾患区分ごと、または入院料ごとに見ても同様の傾向でございました。
7つ目、一番下のポツをごらんいただきたいと思います。
これらの結果を踏まえ、FIM得点の経年的な変化については、FIM測定の精度の担保等を含め、適切な運用を促す仕組みが必要ではないかという意見がございました。
続きまして「4.慢性期入院医療について」でございます。
12ページの下段から13ページ上段にかけて「4-1.療養病棟入院基本料の算定病床の動向及び施設の状況」でございます。
この項目では、施設の届出状況等について検討を行った結果を記載してございます。
続きまして、13ページの中段からが「4-2.入院患者の状態」でございます。
4つ目のポツをごらんください。
医療区分2、3に該当する患者について、各医療区分の該当項目数は、1項目が最も多く、項目の内訳を見ると、医療区分3については中心静脈栄養、医療区分2については1日8回以上の喀痰吸引が最も多いという結果でございました。
5つ目のポツをごらんください。
入棟時に、1日8回以上の喀痰吸引に該当する患者が24.9%、中心静脈栄養に該当する患者は16.7%でございました。
また、入棟時及び調査基準日に中心静脈栄養に該当していた患者の在院期間を見ると、約半数が半年以上という結果でございました。
さらに、6つ目のポツをごらんください。
療養病棟において、高カロリー輸液を連続して投与した日数の平均を見ると、30日未満の医療機関が最も多かったが、90日以上の医療機関もございました。
また、高カロリー輸液を投与した日数が入院期間に占める割合の平均を見ると、60%以上80%未満が最も多く、次いで80%以上が多いという結果でございました。
次に7つ目のポツをごらんください。
これらの結果を踏まえ、療養病棟においては、栄養の投与方法として、中心静脈栄養にかわる手段がない患者も多く入院していることに留意しつつ、栄養の投与方法を検討するに当たっては、患者及びその家族に丁寧な説明を行うことや、中心静脈カテーテルを長期に留置する場合には、適切な管理のための定期的な評価を行うことが必要ではないかという意見がございました。
14ページにお進みください。
1つ目のポツでございます。
療養病棟においては、24%の患者に膀胱留置カテーテルが留置されており、また、膀胱留置カテーテルを留置されている患者のうち、74.1%が3カ月以上留置をされておりました。
4つ目のポツをごらんください。
これらの結果を踏まえ、療養病棟において膀胱留置カテーテル早期抜去に向けた取り組みを適切に推進するため、排尿自立指導料についての必要な見直し等を検討してはどうかという意見がございました。
続きまして、14ページの中段から「4-3.療養病棟入院基本料に関するその他の事項」でございます。
この項目では、在宅復帰機能強化加算や、適切な看取りに関する指針の状況等について検討を行った結果を記載してございます。
14ページ下段から15ページ上段にかけまして「4-4.障害者施設等入院基本料及び特殊疾患病棟入院料」でございます。
この項目では、当該施設の状況等について記載をしているところでございます。
続きまして、15ページでございますが、横断的事項につきまして、15ページ中段から「5-1.入退院支援」でございます。
この項では、入退院支援加算や、退院時共同指導料について、届出状況や実績等について検討を行った結果を記載してございます。
続きまして、16ページにお進みいただきまして、中段から「5-2.診療実績データの提出に係る評価」でございます。
この項目では、データ提出加算を算定する施設の状況や実績等について記載をしているところでございます。
17ページにお進みください。
2つ目のポツでございます。
これらを踏まえ、データを用いた診療実績の適切な評価のためには、データ提出の対象病棟を拡大する必要があるのではないかという意見がございました。
他方、医療機関における電子カルテ等のシステムの導入状況も踏まえ、許可病床の少ない病院については、配慮が必要ではないかという意見もありました。
続きまして、17ページの中段でございますが「提出項目の現状」を記載しております。
その下の「提出項目の追加や内容の見直し」の2つ目のポツをごらんください。
高齢の患者や自立度が低い患者がふえていることを踏まえ、療養病棟においてのみ提出を必須としている要介護度や低栄養等の有無についての項目である要介護情報については、急性期病棟においても提出を必須とすることとしてはどうかという意見がございました。
続きまして、3つ目のポツをごらんください。
回復期リハビリテーション病棟においてのみ提出を必須としておりますFIMについて、急性期病棟等では測定に係る負担が大きいことや、正確な入力が可能な人員の確保が難しいという観点から、現時点では提出を必須とすることは難しいという意見がありました。
他方、まずは、評価項目や様式等のあり方について整理が必要ではないかという意見がございました。
続きまして、17ページ下段から18ページ上段にかけましては、提出データ評価加算について検討を行った結果を記載してございます。
18ページにお進みいただきまして、中段から「5-3.その他の事項」でございます。
「認知症ケア加算」の2つ目のポツをごらんいただきたいと思います。
認知症ケア加算1を届け出ていない理由として、精神科または神経内科の経験を5年以上有する専任の常勤医師を確保できないが全体的に多かったことを踏まえ、当該加算の取り組みを適切に進める観点から、医師要件の見直しを検討してはどうかという意見がございました。
また、18ページ下段の「せん妄予防の取組」では、当該取り組みについての調査結果を記載してございます。
続いて、19ページにお進みください。
上段に「その他」として総合評価加算や患者サポート体制充実加算等についての調査結果を記載しているところでございます。
続きまして、19ページの中段から「6.医療資源の少ない地域について」。調査結果を記載してございます。
4つ目のポツをごらんください。
これらの結果を踏まえ、これまでの医療資源の少ない地域に対する対応には、一定の効果があったと思われるものの、診療報酬による対応には限界があるのではないかという意見がございました。
続きまして、19ページ下段から20ページにかけまして「7.入院医療機能の適切な評価指標や測定方法等に係る中長期的な検討について」でございます。
20ページ上段の「検討内容について」の2つ目のポツをごらんいただきたいと思います。
作業グループからの報告に対して、医療内容については、急性期と長期療養では医療の目的や内容が異なることを踏まえた評価指標を検討すべきという意見や、患者状態については、急性期から長期療養までシームレスに把握・評価することを検討すべきという意見がございました。
20ページの中段にもございますとおり、今後も引き続き研究班において研究を行い、必要に応じて作業グループにおける意見交換を行うこととしております。
最後に「8.DPC/PDPSについて」でございます。
20ページの下段から「8-1.DPC対象病院の要件」でございます。
21ページにお進みください。
1つ目のポツでございます。
平成30年度診療報酬改定後の指摘等を踏まえ、DPC/PDPSの対象病院の要件を検討するに当たって、急性期の医療の標準化を進めるという観点と、粗診粗療の懸念のある病院や制度になじまない可能性のある病院という観点から、分析・検討を行いました。
21ページの中段からは、医療資源投入量や平均在院日数等を指標とし、それらの実績が平均から外れた病院について分析を行った結果を記載しております。
22ページにお進みください。
中段の「今後のDPC/PDPS等作業グループにおける作業の方向性について」の1つ目のポツをごらんください。
今後の方向性として、次のア、イに該当する病院について、書面調査や個別のヒアリングなどを通じて、それらの病院で提供されている診療の状況等について、引き続き評価分析を行うこととなりました。
ア、イにつきましては、ここに記載しているとおりでございます。
また、2つ目のポツをごらんください。
医療資源投入量の多い病院や在院日数が長い病院についても、制度の趣旨に鑑み、提供されている医療の実態の把握を行い、評価分析を行うこととなりました。
次の「各病院の診療状況等の確認」のポツをごらんください。
DPC対象病院で実施される診療の標準化を進めることは重要なことから、次の1から4の指標について、各病院に対し、当該病院がDPC対象病院全体の分布のうち、どのような位置にあるのかについて、当分の間、試験的に、個別に知らせることといたしました。
つづきまして、22ページ下段から23ページにかけましてが「8-2.医療機関別係数」でございます。
この項目では、機能評価係数2や激変緩和係数の設定について検討を行った結果を記載してございます。
最後に23ページの下段から24ページにかけまして「8-3.退院患者調査に関する事項」でございます。
この項目では、データ提出加算において提出されているデータの公開に関して検討を行った結果を記載してございます。
24ページ上段の「データを公開する対象病棟」のポツをごらんください。
公開データが、各医療機関のベンチマーク等に広く利用されているという観点から、データを公開する対象病棟の範囲については、その範囲を拡大することとしてはどうかという意見がございました。
なお、拡大に当たっては、平成30年7月時点のデータの提出状況等を明記した上で公開することとしてはどうかという意見がございました。
さらに、次の「公開データの集計方法」の1つ目のポツをごらんください。
回復期リハビリテーション病棟入院料や療養病棟入院基本料を届け出る病棟における特徴を捉えるための項目として追加されたFIM及び要介護度等の公開に当たっては、入院症例の背景等による違いを踏まえた解釈が可能となるよう、該当する病棟の病床数や平均年齢等、必要な項目をあわせて公開することとしてはどうかという意見がございました。
最後のポツをごらんください。
公開データは、現在、全病棟の集計及び一般病棟のみの集計を行っておりますが、地域包括ケア病棟のみに入院していた症例など、病棟の種別ごとに集計することについて、検討してはどうかという意見がございました。
以上、大変長くなりましたけれども、御報告とさせていただきます。
○田辺小委員長
ありがとうございました。
事務局から補足があれば、お願いいたします。
○森光医療課長
特にございません。
○田辺小委員長
それでは、ただいまの説明につきまして、何か御意見、御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
尾形分科会長、ありがとうございました。
尾形分科会長を初め、入院分科会におかれましては、2年度にわたる調査分析をしていただきまして、本当にありがとうございました。
今回の検討結果を踏まえまして、今後、総会で議論をしてまいります。
ありがとうございました。
○田辺小委員長
ほか、いかがでございましょうか。
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
尾形先生、報告ありがとうございました。
この報告に基づいて、これから入院医療の次期改定に向けて検討していくことになると思うのですが、今後の議論につなげていくために、多少時間をいただいて、ぜひこういったことを議論していただきたいということを多少コメントさせていただきます。
まず、急性期入院医療なのですが、急性期については、旧7対1に相当する入院料1から中間的な評価として設定された入院料2や3への転換があまり進んでいないということが明らかになったということで、入院料1からの病床転換が進むような対応を求められるということになると思います。
その上で、3つコメントしたいのですが、該当基準と該当項目、それから、測定方法について、入院分科会でも議論されているのですが、これについてコメントをさせていただきます。
まず、該当基準なのですが、入院料1の重症度、医療・看護必要度の基準の妥当性について、再度議論をしていくべきだと思います。
前回改定では、該当基準が引き上がる方向でA、B、C項目の見直しが行われたのにもかかわらず、基準が比較的低い、30%と設定されたことが、転換が進まない、最大の要因だと考えています。
次回改定において、A、B、C項目の見直しが行われると思いますが、見直しが行われるのであれば、それが基準に与える影響というのを、まず、きちんと精査して、その上で重症度、医療・看護必要度の基準を見直すべきと思います。
特に入院料1の基準が大きなポイントになろうかと思いますので、ここを精査する必要があると思います。
入院料1の基準設定いかんによっては、今、入院料は7つに細分化されているのですが、7つに細分化する必要があるのかといったことも検討の余地があろうかと思います。
以上、該当基準です。
それから、該当項目についてなのですが、尾形先生の御説明にもありましたとおり、該当項目のBが再検討する必要があると思います。
B項目が、急性期の患者増として適切な内容であるかということについては、もう一度精査する必要があると思います。
特に、Bの中でもB14、15の取り扱い、また、B項目に重みづけした該当基準2、A項目1点以上、B項目3点以上が、これが本当に急性期の患者の状態をあらわした指標なのかということについては、尾形先生の御指摘にもありましたように、再度検討していく必要があると思います。
それから、B項目以外でもA項目の該当患者割合が集中する、例えば、免疫抑制剤の管理などについて見直していく必要があると思います。
最後、測定方法については、より合理的で、客観的、公平性が担保される手法であるⅡに移行していくべきだと思うのですが、これは、体制がまだ構築できていないところもあるということで、まず、体制が構築されている重症度、医療・看護必要度Ⅱの届け出が半数程度に達している、比較的大規模な病院については、選択制から、これを必須にして義務づけるということを検討していってもいいのではないかと思います。
急性期については、以上でございます。
あと、地域包括ケア病棟については、これはちょっと唖然とした報告も受けたところでありますが、まず、地域包括ケアはポストアキュート、サブアキュート、在宅復帰支援という機能を持っているというところが評価されて、前回改定で比較的高い点数が設定されたと感じておりますが、実績要件が、その機能を評価する指標として妥当であるのかということについては、入院分科会の中でも、いろいろ御指摘があったとおりで、いろいろ見直していくべき問題を抱えていると思います。
意外だったというか、びっくりいたしましたのは、最も問題視すべき点ですが、ケアミックス型の医療機関における、この病棟の活用方法についてでございます。
自院の急性期病床から多く受け入れている医療機関は、適切な3つの機能を果たしていないばかりか、転棟時期が、DPC/PDPSによる点数が地域包括ケアの点数を下回るタイミングに偏っているということは非常に大きな問題であり、これは、患者の状態にかかわらず、こういった転棟が行われているというのは、我々としては、看過できない問題であると考えておりまして、これは、地域包括ケア病棟というよりも、DPCの対象病棟としても問題があるのではないかと考えております。ここは、何らかの対応をすべきと思います。
それから、実績要件のない入院料2、4については、自宅からの受け入れが少なく、サブアキュート機能を果たしているとは言いがたく、実績要件の設定を検討すべきだと思います。
それから、リハビリが実施されていない施設が3割以上あるということについては、入院料に包括されているにもかかわらず、実施していないということは、大きな問題と認識しており、適切な対応を求める必要があると思います。
地域包括ケアについては、以上でございます。
次に、回復期リハについては、アウトカム評価を一層推進していく必要があると思うのですが、実績要件として実績指数が設定されている入院料1、3、5については、入院料の実績指数の要件、FIMの値が37、30をいずれも大きく上回っているというデータが出ていると思うのですが、この実績指数の妥当性、37とか30が妥当なのかということについても、今後、議論をしていく必要があると思います。
または、実績要件が設定されていない入院料2、4、6については、これもFIMの設定がいずれも低く、これも要件化していく必要があるのではないかと思います。
それから、在宅復帰率70%というのは、これは、指標としては機能していないということが明らかになっていると思います。
最後、慢性期の入院医療なのですが、前回改定で、医療療養病棟25対1について、介護分野への移行ということで、その受け皿として、介護医療院も設立されたわけなのですが、多くが逆に入院料2とか1に移行したり、または、経過措置のまま届け出ているという現状があるということで、目指すべき方向とは、少し違った状態になっているのではないかというところを懸念するところであります。
医療療養病棟については、真に医療ニーズが高い患者を受け入れる病棟であるべきであり、療養病棟2の必要性や該当患者割合、5割、8割という基準も見直していくべきではないかと思います。
また、現在、経過措置を受けている施設についても、過半数が現状維持としているのですが、こういった施設については、現状維持を継続するのでなく、介護分野へ速やかに移行するような措置というのを次期改定において対応していく必要があるのではないかと思います。
報告にもありましたが、医療区分のあり方についても検討していくべき。
特に、中心静脈栄養等、長期にわたって同一の状態で該当している患者への対応ということも検討していく必要があるのではないかと思います。
それから、横断的事項なのですが、データ提出については、拡大していく方向で議論すべきだと思います。
以上、意見として言わせていただきました。
○田辺小委員長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでございましょうか。
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
幸野委員の意見、いろいろいただきましたけれども、きょうは、議論する場とは思っておりませんので、あえて大人の対応として反論はいたしませんけれども、今後、しっかりと議論していきたいと思います。
○田辺小委員長
ほかは、いかがでございましょうか。
よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件につきましては、今後、次期改定に向けた中医協総会での御議論をいただくため、総会のほうに報告させていただきたいと存じます。
尾形分科会長、御説明のほう、どうもありがとうございました。
本日の議題は、以上でございます。
なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の基本問題小委員会は、これにて閉会といたします。
どうもありがとうございました。


 
 

 

(了)
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