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2017年12月6日 中央社会保険医療協議会 診療報酬基本問題小委員会 第189回議事録

○日時

平成29年12月6日(水)8:59~9:36

 

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

田辺国昭小委員長 野口晴子委員 松原由美委員 荒井耕委員 関ふ佐子委員 中村洋委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 宮近清文委員
松本純一委員 今村聡委員 島弘志委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員
菊池令子専門委員
<参考人>
医療技術評価分科会 福井分科会長
<事務局>
鈴木保険局長 伊原審議官 渡辺審議官 迫井医療課長 古元医療課企画官
矢田貝保険医療企画調査室長 中山薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○DPCについて
・平成30年度改定に向けたDPC制度(DPC/PDPS)の対応について 検討結果

○議事

 

○田辺小委員長
それでは、おそろいのようでございますので、ただいまより、第189回「中央社会保険医療協議会 診療報酬基本問題小委員会」を開催いたします。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、榊原委員が御欠席でございます。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、御協力をよろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○田辺小委員長
それでは、議事に入らせていただきます。
本日は「DPCについて」を議題といたします。
まず「平成30年度改定に向けたDPC制度(DPC/PDPS)の対応について 検討結果」を議題といたします。
本日は「診療報酬専門組織DPC評価分科会」の山本分科会長にお越しいただいておりますので、山本分科会長より御報告をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○山本分科会長
おはようございます。7月からDPC分科会の会長を仰せつかっております千葉大学の山本でございます。よろしくお願いいたします。
平成30年度の診療報酬改定に向けたDPC制度につきましては、前分科会長の小山先生から、本年7月5日にこちらの委員会に報告し、了承をいただいているところでございます。その後、来年の改定に向けた検討を進めてまいりましたので、ここで御報告申し上げます。
今回、医療機関別係数、算定ルール、退院患者調査の見直しの3点について検討を進めてきたところでございます。
まず「1 医療機関別係数」でございますが、調整係数が平成30年度に基礎係数と機能評価係数2に置きかわる節目の年ですので、それぞれの係数について再整理を行ってまいりました。
「1-1 基礎係数」につきましては、一定の医療機関群を分類し、それぞれの群ごとに包括範囲に対する出来高報酬相当の係数を設定しています。現在は、大学病院本院が1群、一定以上の医師研修の実施などを行っている医療機関を2群、その他を3群として分類しております。
この医療機関群の設定方法、名称、あるいはその決定手順の3点について検討を行っています。設定方法につきましては、参考資料の2ページをごらんいただくとわかるように、包括範囲についての診療密度のばらつきを分析しますと、一定の範囲でおさまっておりまして、現行の3つの群の設定手法については合理性があるということで、これを維持することとしてはいかがかと考えているところでございます。
次に、医療機関群の1、2、3群という名称でありますけれども、1、2、3という名前が群ごとの序列を想起させるなどの弊害が指摘されております。3群から無理やり2群に上がろうとする医療機関もあるなどという弊害があるということで、検討した結果、3群は最も多くの医療機関が所属しておりますので、DPC/PDPSの基本となることから、3群は「DPC標準病院群」と名づける。1群に関しては、もともとこれは大学病院本院でありますため「大学病院本院群」で、2群については、1群以外の特定の要件を満たす医療機関であることから「DPC特定病院群」という名称にしてはいかがかと考えました。
また、医療機関群の決定手順につきまして、例えば2群の要件を満たしている病院が3群を選択することもあるのではないかということを検討いたしましたが、実務的なプロセスを考えると、とてもその時間的余裕はないということで、これは困難であると考えております。
次の大きな四角が、基礎係数に関する再整理の要点でございますけれども、設定の方法については、現行の3つの医療機関群を維持する。名称については、3群を「DPC標準病院群」、2群は「DPC特定病院群」、1群は「大学病院本院群」というように名称を変更して、各医療機関における医療機関群の決定手順としては、選択できる仕組みは導入しない方針で考えているところでございます。
次は「1-2 機能評価係数2」に参りたいと思います。機能評価係数2は、医療機関の診療実績等を踏まえた機能に基づく評価を行うもので、この制度の導入当初は6つの係数を設定しておりました。その後、御存じのように後発医薬品係数、重症度係数が設定されました。検討としては、総論的にまずは機能評価係数2のあり方、個別項目の見直しと、この2点について行ってまいりました。
まず「1-2-1 機能評価係数2のあり方(総論)」でありますけれども、評価項目のあり方としては、導入当初の6つの係数で、これは基本的評価軸として位置づけつつ、その後に導入した2つの係数の整理が必要と考えたところであります。具体的に申し上げますと、後発品係数は、機能評価係数1で評価するということ。重症度係数については、評価を取りやめるということを考えております。重症度係数につきましては、効率化が不十分な診療実態も評価され得ることもあるということです。重傷者の診療という視点では、患者分類、DPC分類の精緻化や複雑性指数での評価などでも対応されているということで、機能評価係数2の重症度係数で改めて評価することは適切ではないのではないかと考えた次第でございます。
次に、評価の重みづけでございますが、そもそも機能評価係数2の各項目については、医療機関ごとにどれを選ぶか、どの水準を選ぶかということは医療機関によって、その性格によって異なるわけでございます。特に3群については、専門病院あるいはそれ以外の病院が含まれて、非常にさまざまな病院が含まれる中で、重みづけを行うと、かえって各医療機関の特性が見えなくなってしまう。現状の6つの評価を使うことで、それぞれの病院の特性がしっかり見えてきてよろしいのではないかということで、重みづけを行う必要はないのではないかという検討結果でございます。
1群と2群についても、同じように重みづけの検討を行ったのですけれども、例えば効率性係数に重みをつけて評価を行うと、1群、2群の病院で、逆に重症患者の診療を避けることなど、かえってネガティブな影響が出てくるのではないかということも想定されますので、1群、2群についても重みづけを行わないという方向で考えております。
また、係数化の手法としては、重みづけの一環として分散値を処理する方法を導入しておりましたが、これは逆に適切な評価とならない可能性があるため、この対応も見直すことといたしました。
大きな四角にありますのが、機能評価係数2のあり方についての再整理のまとめでございます。評価方法としては、導入時の6つの係数は維持するものの、後発医薬品係数は機能評価係数1で評価することとし、また、重症度係数の評価は行わないというようにします。それから、評価の重みづけは行わない。また、係数化の方法については、指数の分散処理は行わないという方法で検討を進めてまいった次第でございます。
次に「1-2-2 機能評価係数2の具体的な見直し(各論)」についてでございます。保険診療係数というものがございますが、これは「提出するデータの質や医療の透明化、保険診療の質的向上等、医療の質的向上を目指す取組を評価」する係数でございまして、適切なDPCデータの作成、病院情報の公表、1群と2群の医療機関の体制と、この3つの区分で評価されています。
適切なデータの作成につきましては、現在の医療機関の実態を踏まえて基準を見直すことといたしました。こちらにございますように、適切なデータの作成についての評価を行うということであります。
病院情報の公表については、医療機関が自主的な取り組みを促すような評価方法について、これは次の診療報酬改定後も引き続き検討することとしたいと考えております。
続いて、1群と2群の医療機関の体制については、地域医療係数で評価されていることなどを踏まえて、再整理を考えました。1群については、これまで保険診療の向上のための取り組みとして、1群の病院からの指導医療官の派遣を評価しておりましたが、今回は、指導医療官の派遣ではなくて、保険診療への理解を深める取り組み、各医療機関での取り組みです。例えば講習会の開催とか、そのような取り組みを評価することなどを今後、検討していくということで、考えているところでございます。
保険診療係数の再整理と大きな四角にございますけれども、データ提出の基準としては、部位不明・詳細不明コードの使用割合及び未コード化傷病名の使用割合について、減点となる基準をそれぞれ10%以上及び2%以上としたい。病院情報の公表については、診療報酬改定後、継続して検討してまいりたいと考えております。また、1群と2群の医療機関の体制の評価については、指導医療官の派遣への評価は廃止するということであります。本院よりも機能が高い分院を持つ1群、2群の要件を満たさない1群への減点もございましたが、これも廃止するということでございます。
このような方向で検討して、保険診療への理解にかかわる取り組みについては、今後、評価を検討するということにしたいと考えております。
続いて、地域医療係数についてでございます。地域医療係数は「医療計画5疾病5事業等における急性期入院医療への評価」である体制評価指数と「地域における医療機関の患者数のシェアを評価」する定量評価指数の2つの指数の合算で評価されているところでございます。この体制評価指数の項目は、従来、がんや脳卒中などは2項目で評価されている一方で、救急医療や僻地などについては1項目で評価されるなど、疾病・事業間で評価の程度に不整合があるということで、領域ごとに1項目で整理するのが適当ではないかと考えました。
全ての項目を満たすことを目指すというわけではありませんので、これまでと同様に項目の整理後の数値の指数値の上限は従来どおり設定するということで考えております。実績データの評価方法としては、医療機関群ごとに25パーセンタイルを超えるものは指数が最大値となるというのが現在の方法ですが、これを維持するというふうに考えております。
地域医療係数再整理のまとめが大きな四角にございますけれども、総論については、領域ごとに1項目として、項目合計の上限値は設定する。そして、実績データの評価方法は、現行を維持することとしたいと考えております。また、各項目については、個別に見直しております。詳細は参考資料8と9をごらんいただきたいと存じます。
次に、救急医療係数でございますが、救急医療係数の見直し(案)が11ページにございます。この四角の中でございますが、救急医療係数については、これまでの評価方法を維持してまいります。救急医療管理加算2に該当する患者については、医科点数表での評価体系も踏まえて指数値を2分の1に減算として計算するということにします。指数の算出については、これまでの10月1日時点での施設基準の有無ではなくて、月ごとの算定状況を反映して細かく対応することといたしました。
カバー率係数でございますけれども、従来3群の医療機関については、指数が30パーセンタイルより低い医療機関には一定の計数値を設定、すなわち底上げをしてきたのですけれども、ここだけそのような処理を行うことは適切ではないのではないかということで、この底上げ対応も廃止することといたしました。
また、複雑性指数/効率性指数については、これまでの評価を継続するということにいたしました。
次に「1-3 調整係数」でございます。調整係数については、これまで段階的に機能評価係数2に置きかえておりまして、平成30年度で置きかえが完了することとなっています。DPC/PDPSは、診療報酬改定でのさまざまな変動がありまして、係数が包括報酬全体に影響するという特性があるために、これまで一定の激変緩和措置を講じてまいりました。調整係数置きかえ完了後の取り扱いについて、変動の要因、具体的な手法、平均的な診療実態から外れる医療機関の3点について整理を行ってまいりました。
まず「1-3 変動の要因」で、診療報酬改定に伴って変動が起こる要因についての分析でございますが、分析の結果、調整係数の置きかえ以外でも診療報酬の変動は生じる。このため、調整係数を置きかえ完了後の平成32年度以降も一定程度変動が生じることが想定されますので、何らかの激変緩和措置が必要であると考えております。
調整係数につきましては、その設定方法を考えますと、調整係数は現在の診療特性ではなくて、DPC制度に参加する以前の診療特性を反映しているものであるということが考えられました。また、激変緩和措置のこれまでのやり方は、次の診療報酬改定までその措置を持ち越していた。すなわち2年間続けていたために、またその次の診療報酬改定でも、激変緩和措置の対象となるということが、循環が生じているということが分析の結果明らかになってまいりました。そこで、調整係数は、現在の医療機関の診療特性を踏まえていないということなどから、平成30年度に激変緩和措置の対象となる医療機関は、特別な配慮を個別に行う必要はないと考えられました。
一方、平成32年度以降に発生する変動についても、医療機関別に変動が生じる要因はさまざまで、個別の対応ではなくて、一律の激変緩和措置が必要と考えられました。ただし、新たにDPC制度に参加する医療機関については、出来高報酬実績と、DPCに参加した後の包括報酬を比較するのは適切ではないので、一定の対応が必要と考えているところでございます。
プラス緩和措置につきましては、これも同様で、今後も診療報酬改定に伴って一定の変動が生じると考えられます。ただ、激変緩和措置をずっと継続していくと、措置がまた循環してしまうということが生じますので、医療機関別の個別の変動の要因も特定が困難と考えられました。
次に「1-3-2 激変緩和措置の具体的な手法」でございますが、激変緩和係数として、これまでと同様、前年度比較で報酬の変動がプラスマイナス2%におさまるような措置を行うことを検討いたしました。
ただし、診療報酬改定のない年度には激変緩和措置を行わない。すなわち診療報酬改定後1年間のみ激変緩和措置を行って、その次は行わない。その次の年は行わないということ。また、新たにDPC制度に参加する医療機関のマイナス緩和措置については、所属する医療機関群の平均的な係数を用いて激変緩和措置の対応を行うことが適切と考えました。
次に「1-3-3 平均的な診療実態から外れる医療機関」についての検討でございます。検討を行った結果、一部の医療機関が平均的なDPC対象病院と比較して、診療密度あるいは平均在院日数ともに大きく外れている医療機関が存在することがわかりました。
全DPC対象病院の診療実績の平均値から包括診療は設定しておりますので、このような大きく平均から外れる医療機関の診療内容の適切性には検討が必要と考えております。このような医療機関の取り扱いについては、診療報酬改定後も引き続き検討してまいりたいと考えております。
調整係数の置きかえに係る対応といたしましては、次の四角の中にまとめてございます。激変緩和措置は、診療報酬改定のある年度のみ激変緩和係数を設定する。具体的には、これまでと同様にプラスマイナス2%となるよう調整する。新たにDPC制度に参加する医療機関についてのマイナス緩和は、所属する医療機関群の平均的な係数を用いて激変緩和措置の内容を継続すると考えております。
平均的な診療実態から外れる医療機関については、診療報酬改定後も継続的に取り扱いを検討することとしたいと考えているところでございます。
次は「2 算定ルール」で、「2-1 短期滞在手術等の取扱い」の検討について御報告申し上げます。短期滞在手術等基本料につきましては、入院医療等の調査・評価分科会における検討結果報告において、DPC病院においては、DPC分類での評価を優先すべきではないかという方針が示されております。このため、該当する診断群分類については、短期滞在手術等と類似した入院初日に多くの点数設定がされている点数方式Dで設定すべきと考えております。これは1日目に非常に高額な診療報酬が設定されているところであります。このDを設定すべきと考えました。そして、DPCデータを踏まえた上で、一定の要件を置いた上で、診断群分類を設定することが適当と考えられました。
次に「2-2 再入院の取扱い」でございます。DPC制度では、入院初期の段階に相対的に高い報酬が設定されておりますので、短期間で入退院を繰り返した場合には、この2つの入院を一連のものとして算定するルールを設定しております。今回改定では、さらに合併症に関連するICDコードが入院の契機となった場合には、2度目の入院が前回の診断群分類と同じとなった場合を再入院と判定するということを考えました。この四角の中に書いてあるとおりでございます。
「3 退院患者調査の見直し」であります。DPCデータについて、データ様式の見直し及び現在公開しているデータの拡充について検討いたしました。「3-1 データ様式の見直し」でございますけれども、患者の傷病名や病期分類などを入力する様式1については、以下の表に示しますように、学会での敗血症診断基準の改定を含めたSOFAスコアの追加とか、あるいは中医協で議論されました手術基幹コードの入力など、そのほか入力が簡素化できるものについても、この表にありますように検討しております。【新】と書かれたものが新規追加項目で【簡】と書かれたものが入力の簡素化でございます。
急性期以外の項目につきましても、中医協での議論を踏まえて、新規追加項目あるいは簡素化する項目を検討してまいりました。また【その他ファイル】というところもございますが、そのほかのデータの定義の見直しも行っております。あるいはそのページの下で、その他としては、今後、介護医療院が設立されることなどによる細かな選択項目の追加は必要に応じて検討することなどとしております。
最後に「3-2 公開データの拡充」でございます。現在、広く使われているDPCの公開データは、DPC対象病棟以外の、DPC対象ではない病棟も公開対象とすることや、あるいは後発医薬品の使用状況など、診療プロセスについてのデータも公開することを検討した次第でございます。
私からの報告は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○田辺小委員長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
では、松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
山本分科会長におかれましては、DPC制度の多岐にわたる対応について御検討をいただき、大変ありがとうございました。少し御質問させていただきます。前回の御報告の際に、医療機関群の名称についての話題がございました。そのときに、1群、2群、3群のままのほうが、1群に入る病院群はどういうものかという内容をその都度変えていけばいいので、1群、2群、3群のほうが都合がいいのではないかという意見を言わせていただきました。
それについて、特に御反論も何もなくて終わったものですから、病院群の名称に関しましてはもう済んだものと解釈していたのですけれども、3群となった病院が、序列をつけられたというような意見がそれほど強かったのかを一つお聞きしたいということ。
8ページで出てきました体制のところで、指導医療官の派遣ではなくて、保険診療への理解に係る取り組みをしていくことに変更したということなのですけれども、実際に指導医療官の派遣があったのか、なかったのか。あっても効果がなかったのか。その辺を少しお聞きさせていただきたいと思います。
○山本分科会長
ありがとうございます。今、御質問がございました1群、2群、3群の問題については、かなりDPC分科会でも時間をかけて議論してまいりました。ただ、実態として、特に2群、3群の差に対する意識がかなり強い。2から3に落ちたとか、3から2に上がったとか、そこで一喜一憂される病院も少なくない。あるいは3から2に上がるために、かなり診療内容に無理な変更を加えている、本来の姿から外れた診療を行うところもあるという話も出てまいりまして、やはり序列を思わせる表現はよくないだろうと。先ほど申し上げましたように、いわゆる従来3群と申したところは、かなり病院の数も大きいし、診療内容もきれいな正規分布をしているということで、これが最も標準的な存在。むしろ2群、1群と行くにつれて外れてくるという考え方でよろしいのではないかと結論づけたところでございます。
指導医療官につきましては、実際に派遣があったのでございますけれども、非常に数が少なかった。実際にそのような人材を出せる大学病院が少なかったということがございます。効果があったのかどうかというところは、前回の改定で入ったばかりなものですから、まだ評価は難しいし、可能であれば継続したほうがいいということはわかりますが、実態として、派遣する人材がいないことなどを考えると、むしろ各大学病院の本院で診療報酬制度に対する教育をしっかり行う。そこを評価するのも、もう一つの方法としてあるのではないかという議論がなされたところでございます。
○田辺小委員長
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
特に大学病院におきましては、いわゆる保険診療の理解はなかなか浸透しないようなところもありますので、かえってそのほうがいいのかなと思います。
もう一点、16ページにあります平均的な診療実態から外れる医療機関で、こういうものもDPC制度対象病院になるわけなので、それを検討していくということなのでしょうか。
○山本分科会長
参考資料11ページをごらんいただけるとあれなのですけれども、縦軸が包括点数に対する出来高の比で、横軸が平均在院日数ですが、黒丸で囲んだ部分です。ここがほかの集団から明らかに外れているということで、平均から大きく外れて診療密度が低く、また、平均在院日数も長いということで、このような医療機関はDPC制度になじまない可能性があるのではないかということで、これは継続検討としていきたいと考えているところでございます。
○田辺小委員長
よろしゅうございますか。ほかはいかがでございましょうか。
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
松本純一委員のご指摘にあった、平均的な診療実態から外れる医療機関について、16ページでは診療密度が低いことを問題視されていますが、反対に診療密度が高い医療機関もあると思います。診療密度が高い医療機関についての検討はされるのでしょうか。
○田辺小委員長
分科会長でしょうか。お願いいたします。
○山本分科会長
今のところ検討を進めているのは、平均在院日数が長くて資源投入量が少ない。要するに、効率的な診療が行われていないのではないかというところで、ここに着目しているところであります。平均在院日数を短くしようとすれば、当然投入量もふえてまいりますので、むしろ現在の検討としては、効率性が低いという部分でここに着目しているところであります。逆の部分については、今後、また検討を進めてまいりたいと思います。
○田辺小委員長
医療課長、補足をお願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。分科会長から今、お話がありましたとおり、制度の運用の性質上、包括報酬を中心に運用しておりますので、基本的に一番考慮しなければいけないのが、粗診粗療に関する疑いあるいはそういった危惧であります。基本的な制度設計としては、どちらかというと効率化を促すようになっておりますので、診療密度の高いほうにつきましては、今、分科会長からお話があったとおりだと思いますので、分科会の御検討につきまして、事務局としての認識は、どちらかというと過度に効率化が行き過ぎる場合を中心に御検討いただきたいと考えております。
○田辺小委員長
よろしゅうございますか。ほかはいかがでございましょうか。
島委員、お願いいたします。
○島委員
山本先生、お疲れさまでございます。一点だけです。19ページの新たに加わる項目の手術基幹コードでございますが、従来使っていたKコードと対応するSTEM7ということで、現場への影響も含めて分科会では御検討されているということでよろしいのでしょうか。
○田辺小委員長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。こちらの対応につきましては、DPC固有の対応というよりも、Kコード全般、臨床現場のコード化とか、区分の設定につきましては課題がさまざま指摘されておりまして、これは先般、横断的事項の情報の収集でありますとか、活用のところで御紹介させていただいたと思うのですが、Kコードと国際的な標準化の動きも含めて、コーディングの見直しを反映させるような仕組みを考えていくという取り組みを進めておりますので、DPC分科会でというよりも、むしろ中医協といいますか、診療報酬体系のコーディングの中で対応していく中で出てきている話としてSTEM7のコード化を少しずつ進めていこうと。その対応をここに書かせていただいておりますので、DPC分科会での固有の議論ということではございません。
○田辺小委員長
よろしゅうございますか。
ほかにいかがでございましょうか。
平川委員、お願いいたします。
○平川委員
16ページの調整係数の激変緩和のところですけれども、14から15ページにかけて、さまざまな激変緩和の必要性が記載されておりますが、恒久的な措置として激変緩和策を行っていくのかどうかということだけお聞きしたいと思います。
○山本分科会長
現状、ここにございますように、診療報酬改定に伴っての変動が一定数生じるということで、その部分についてはプラスマイナス2%の範囲内で激変緩和をしていこうということで、恒久的とおっしゃるのは、ずっと先まで続くかどうか。そこまでの検討は、現状はしておりません。ただ、診療報酬改定のあった年に限って行おうということで、今後のことについては、新たな検討課題になるのかなと思います。
○田辺小委員長
医療課長、補足をお願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。制度的な運用の話ですので、少し補足をさせていただきますと、平川委員が御指摘の恒久化という意味にもよりますけれども、分科会で御検討いただきましたのは、単に今回改定のアドホックという意味ではなく、今後、仮に調整係数を全て置きかえた後、一定程度診療報酬改定を前提にこの形を運用するとすれば、この形の運用が制度としては必要ではないか。そういう意味で、事務局としては恒久運用を前提として御提案しています。
ただ、これは中医協全般に言える話ですが、未来永劫必ずこうなるということではございませんので、改定ごとに適宜見直すことは当然可能であると理解いたしております。
○田辺小委員長
よろしゅうございますか。ほかはいかがでございますか。
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
私が先ほど申し上げたかったのは、同じ疾病であっても高い診断群分類を選択するような傾向の医療機関があるのかということについてお聞きしたかったのですが、いかがでしょうか。
○田辺小委員長
これは分科会長でしょうか。
○山本分科会長
委員がおっしゃるのはアップコーディングの件だと思いますが、ここまでの検討では、そこについての詳細な分析は行っておりません。アップコーディングの有無についての検討は行っておりません。
○田辺小委員長
医療課長、補足をお願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございますが、幸野委員の御指摘を少し事務局なりに受けとめとして御紹介させていただきますと、DPC/PDPSの前提は、診断名と行った医療行為をコーディングするということを前提に定額報酬を払っています。制度の運用上、御指摘のとおり、2つの危惧を念頭に制度運用をしなければいけなくて、一つは粗診粗療の話と、もう一つはアップコーディングと言われております同じような診療行為あるいは仮に同じような傷病名であっても、より報酬の高いものを選びがちである。これについて、適切な範囲でのより高い報酬の選択は妨げられるものではないのでしょうけれども、不適切なものはある程度制度的には対応する必要があるということだろうと思います。
現状で、DPC/PDPSの運用でアップコーディングに対する対応としては、基本的には診断群分類の精緻化、複数のチョイスがなるべく生じない、あるいは生じた場合においても適切な報酬設定にする。そういう対応で基本的にはやっておりまして、診断群分類の見直しは必ず改定ごとに行っておりますので、改定ごとに行う見直しの中で、必然的に幸野委員が御指摘のことは念頭に置いてやっていくというのが基本原則であります。
○田辺小委員長
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
診療密度が低いものだけではなく、高いものについてもしっかりと分析していただきたいと思います。
○田辺小委員長
ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件に係る質疑はこのあたりとさせていただきます。本日の検討結果を踏まえまして、次回以降の総会に報告させていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○田辺小委員長
ありがとうございます。
それでは、そのようにしたいと存じます。山本分科会長におかれましては、お忙しい中御説明をありがとうございました。
本日の議題は、以上でございます。なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の基本問題小委員会はこれにて閉会といたします。御出席どうもありがとうございました。
○迫井医療課長
ありがとうございました。
それでは、引き続き総会に移りたいと思います。準備ができ次第総会の開催をさせていただきたいと思います。
 

 

(了)
<照会先>

保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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