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2019年2月27日 第5回全国在宅医療会議

医政局

○日時

平成31年2月27日(水)13:00~15:00

 

○場所

三田共用会議所 大会議室

○議事

 

○猿渡在宅看護専門官 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第5回「全国在宅医療会議」を開催いたします。
皆様、お忙しい中、御参集いただき、ありがとうございます。
初めに、構成員の交代がございますので、御紹介いたします。齋藤構成員にかわりまして日本看護協会常任理事の荒木構成員が、宮田構成員にかわりまして日本小児科学会理事の石井構成員が、大澤構成員にかわりまして全国薬剤師・在宅療養支援連絡会代表理事の宇田構成員が、井原構成員にかわりまして国立長寿医療研究センター企画戦略局長の小森構成員が、鈴木構成員にかわりまして日本医師会常任理事の江澤構成員が、原構成員にかわりまして全国在宅療養支援歯科診療所連絡会会長の三木構成員が、構成員となられました。よろしくお願いいたします。
また、本日は五十嵐構成員、城谷構成員、須藤構成員、山本構成員から欠席との御連絡をいただいております。
なお、医政局長の吉田は、公務の都合により欠席いたします。
審議官の迫井、地域医療計画課長の鈴木は、公務の都合により、途中退席させていただきます。
それでは、まず、本会議の開催に当たりまして、審議官の迫井より一言御挨拶申し上げます。
○迫井審議官 一言だけ御挨拶申し上げます。
今回、第5回ということになっております全国在宅医療会議でございます。在宅医療に関しまして、厚労省を挙げてといいますか、政府全体で大きく取り組むということはもう疑いの余地のないところでございますけれども、非常に多岐にわたる関係の方々がおられまして、在宅医療の重要性あるいは在宅医療がどこまで推進できているのか、それから、そこをどう進めていくのかということにつきましては、多くの関係者が一丸となって軌を一にして進めていくことが非常に重要であります。
もともとこの会議は私が計画課長のときに始めさせていただいて、もう5回目になっております。非常に大きな会議であると同時に、関係者が多岐にわたるということが、この在宅医療の特徴でもあり、そういった重要性の裏返しでもあります。
今回、改めてまた御参集いただきましたけれども、これまでもそうですし、引き続き在宅医療の推進に関しましては、お力添えをいただきたいということでございますし、私ども、実はさまざまな施策が在宅にかかわる話になっておりますので、情報交換でございますとか、現場の取り組みもあわせまして、引き続き御支援を賜りたいと思っております。
簡単でございますが、御挨拶とさせていただきます。
○猿渡在宅看護専門官 それでは、議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料1-1、1-2、資料2-1から2-3、資料3から資料5、参考資料1から7までをお配りしております。不足がございましたら、お知らせください。
もし報道の方で、冒頭カメラ撮りなどをしておられる方がいらっしゃいましたら、ここまででお願いいたします。
それでは、以降の進行は座長にお願いいたします。
○大島座長 大島でございます。
それでは、早速議事に入りたいと思います。よろしくお願いいたします。
まず、その前に、団体を代表して参加いただいている構成員の方が欠席の際には、代理で出席される方について、事前に事務局を通じて座長の了解を得ること及び当日の会合において承認を得ることにより、参考人として参加し発言いただくことを認めることとしています。
本日の会議につきましては、欠席の山本光昭構成員の代理として、兵庫県健康福祉部健康局医務課、山本晃司参考人の代理出席をお認めいただきたいと思いますが、いかがでしょう。よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大島座長 ありがとうございます。
それでは、早速議題1に入っていきたいと思います。「全国在宅医療会議ワーキンググループからの報告」について、ワーキンググループで議論した結果が資料1-1から資料1-2として提出されておりますので、まず、事務局から説明をお願いいたします。
○松岡在宅医療推進室長 それでは、事務局から説明をさせていただきます。
資料1-1を見ていただければと思います。今までの議論の経緯ということでございますが、平成29年度でございます。重点分野に関する取り組みについて整理したところ、「国民への在宅医療に関する普及・啓発」について取り組みが十分ではないということで考えられましたので、ワーキンググループにおきまして小グループをつくり、具体的な取り組みについて議論を行った上、ワーキンググループに報告しまして、さらに議論を行っております。
その結果、今後、高齢人口が増加し、慢性疾患を抱える方も増加すると予測される中、入院医療が必要な状態となる前から在宅医療に関する知識を得ておくことによって、外来へ通院できなくなった場合や退院後の療養の場や方法を選択する際の選択肢の一つとして在宅医療を理解いただけるということで、その理解が深まるようなリーフレットをつくればいいのではないかということになりました。
そこで、リーフレットの目的としておりますが、国民一人一人が、通院困難な状態になった場合においても住みなれた地域で暮らしていけるよう、誰もが必要となる可能性がある在宅医療について情報や知識を得るきっかけをつくることを目的としております。
そこで、リーフレットをつくるということで小グループで議論してきたわけでございますが、その資料1-2というものがリーフレットの案でございます。今回、3つ折りでつくっておりまして、トーンとしては、オレンジとグリーンを中心としたトーンで温かい色にしております。
このリーフレットのコンセプトは、在宅医療が療養の一選択であるということ、また、多様な住まいにおいて提供される在宅医療を想定して作成するということ、それから、自治体とか医療機関とかがもし使いたいとなった場合、簡易なものとして使えるように、3つ折り1枚でできる限りの情報を集約していくということ。もう一つは、これは編集○○○としておりますが、自治体や団体などがこれをカスタマイズして使っていただけるような形で皆様に御提供するということで考えております。
裏面に参りまして、リーフレットの対象でございますが、在宅医療は高齢者のみならず、小児とか障害を抱える方も提供されるものではあるものの、普及・啓発という観点では知っていただく第一歩として、ターゲットを明確にしておくべきではないかということになっておりまして、外来通院中の高齢者を主なターゲットとして作成されております。
また、リーフレットの活用方法ということでございますけれども、普及・啓発を図ることを目的としてリーフレットをつくり、この私どものホームページのサイトに「在宅医療の推進について」というページがございますので、そこにパワーポイント版で掲載をさせていただければと思っております。これを自治体、医療機関が必要に応じ加工して活用できるようにしたいと考えています。
また、都道府県、医療・介護関係団体に対しまして、リーフレットを広報に当たって御活用いただけないかということで周知していただきたいということでございます。
また、設置場所の想定でございますが、診療所・病院の外来窓口、薬局等々といったところ、窓口のようなところで配っていただければありがたいと考えております。このような形でリーフレットを作成させていただきましたので、御意見を賜れれば幸いでございます。
以上でございます。
○大島座長 ありがとうございました。
それでは、このリーフレットを中心にして御議論いただきたいと思いますけれども、いかがでしょう。
どうぞ。
○山口構成員 山口でございます。
私、小グループの中の一員ではございますけれども、議論して途中で変更になった後のところがそのままぷつりと切れたままになっていますので、この形を改めて見るのが今回初めてということなので、意見を述べさせていただきます。
どちらが表でどちらが裏かわからないのですが、この大きく真ん中に「在宅医療」と書かれたほうです。一番上に「通院が難しくなったときや、退院後、自宅などで医療を提供します」と書いてあるのですけれども、この「退院後」というのは意味がわからなくて、こういうところのキャッチコピーというのは、単純でわかりやすいほうがいいと思うことと、全体的にまだまだ文字が多いので、例えばここは「自宅でも医療が受けられます」と明確に目を引くように書いて、自宅のところにアスタリスクで真ん中の右のほうに、今は例えば、年齢・疾患・病状によって、自宅のほか老人ホーム等のお住まいで医療を受けることも可能と書いてあるのですけれども、居宅系の施設が具体的にわからないと思います。例えば「老人ホームやケアハウス、介護医療院など、居宅系施設でも医療を受けることは可能」と書いて「居宅系施設」という言葉が出てくると、それをネットで引けばほかにどんなところがあるかもわかりますので、そのあたりの工夫は必要なのではないかと思いましたので、今回、こちらの会議で意見として述べたいと思いました。
以上です。
○大島座長 事務局、いかがでしょう。
○松岡在宅医療推進室長 今、いただいた意見でございますので、吟味させていただきたいと思っております。できる範囲で対応させていただければと。
○大島座長 これに関して、ほかにも。
どうぞ。
○前田構成員 このリーフレットはこちらの表面はいいのですけれども、この裏は逆ではないのでしょうか。
○松岡在宅医療推進室長 印刷ミスしております。最初に言うべきでした。申しわけございません。ありがとうございます。
○大島座長 ほか、いかがでしょうか。
どうぞ。
○蘆野構成員 日本ホスピス・在宅ケア研究会の理事長の蘆野です。
2日前、理事会を開いて原案を提示したところ、幾つか意見が出ました。そのほかに単純な指摘事項は、「自宅など」という文言と「自宅等」という言葉が使われているので、そこは統一し「自宅など」にしたほうがいいと思います。
この「自宅など」という部分の説明に(先ほど山口さんが指摘したアスタリスクの部分ですが)「例えば、年齢・疾患・病状によって」という文言があるのですが、これは要らないのではないか、具体的な場所を提示し「自宅など」という形に簡略化していいと思います。この理由は医師によって、「あなたはこの病状だからうちへ帰れないよ」と、帰りたくても帰さないという状況もあるので、この文言を入れるとそういうことが正当化される可能性があります。
もう一つ、恐らくこれは市町村に配ったときには、在宅医療・介護連携事業の一環として配る形になると思うのですが、「介護の連携」という言葉がこの中には、「介護サービスの利用についても」という文言しか記載されていない。意図的にそのようにしたのであれば、どういう意図かを説明してほしいのですが、「介護の連携」という言葉がどこかに必要かと思います。
次に、その下の「在宅医療では医師との連携のもと」云々の言葉、医師の指示に基づいて各職種が動くというのは、これは適切な対応ですが、ただ、医師を中心として各職種が動くのではなくて、それぞれの職種が連携しながらというイメージがチームケアのイメージだと思うので、例えばここは「在宅医療では医師の指示のもと、それぞれの専門職種を持つ医療職が連携し」云々と書いたほうが、医師を中心とした在宅といったニュアンスよりは連携というニュアンスがもっと強調されていいのではないかと思います。
もう一つ、次の裏のページですが、「在宅医療を利用できる方」「通院が困難。例えば」のこの在宅看取りの部分で、「末期がんなどで、うちでみとりたい」という形になっていますが、先ほど説明のあったパンフレットの趣旨として、高齢者で外来通院をしている人が対象ということになると、むしろ非がんのほうが実際には多いのではないかと思います。この文言だと、がんが最初に出てくるので、がんを中心としてみとりたい方が在宅に移行するという意味合いになってくる可能性もあるので、進行したがん、慢性疾患、などのいろいろな疾患をここに書いたほうが適切ではないかと思います。ただ、長過ぎるので、その辺は調整していただければと思います。
理事会で指摘された事項ですが、御検討をお願いします。
○大島座長 いかがでしょう。私はあくまで患者さん、国民全般ということですので、そこに本来の趣旨がどうわかりやすく伝わるかが一番大事なので、その点からの御意見だと承っていましたけれども。
どうぞ。
○折茂構成員 全老健の折茂と申します。
私も今のご意見に近いのですが、この「在宅医療」と書いてあるところを見ますと、確かにこれは在宅医療についてのものですから、いたし方ないのかなと思います。例えば医療で支えるということばかりではなくて、医療ではなくて、生活という面で家族のレスパイトで在宅医療が続けられなくなったときには、レスパイトで介護施設との連携は当然出てくるわけですので、矢印が医者、看護師、訪問、栄養、薬剤師、患者さんを支える矢印しかなくて、1本、外側に介護施設でのレスパイトというものがあってもいいのではないかと思います。
あとは、この一番上のものが「病院 診療所」からの矢印で在宅医療となっていますが、今、例えば老健でもそうですし、ほかの介護施設でもそうですし、在宅復帰に向けた動きがあるわけですから、老健を退所して在宅で最期は過ごしたいという方もたくさんいますので、病院と診療所だけから在宅医療という矢印ではなくて、そこに老健からあるいは介護施設からの矢印もあっていいのではないかという気がします。在宅医療はあくまでも生活の面での医療ですので、そうしたニュアンスを入れてもいいのではないかと思います。
○大島座長 どうぞ。
○佐藤美穂子構成員 パンフレットの「困ったときのために」ですけれども、「在宅医療を利用できる方」となっているにもかかわらず「末期がんなどで家で看取りたい」という、これはケアをする側の言い方なので、例えば「家で最期まで過ごしたい」とか、そのように単純に書かれてはどうかということ。
もう一つ、医師による在宅医療の往診の下に、点線で囲んだところですけれども、「指示を行います」というのは、誰にという言葉がないのですが、その横に「医師の指示のもと実施」とアスタリスクで書いてあるのは削って、在宅医療従事者に指示を行いますとまとめてはいかがでしょうか。意見です。
○大島座長 事務局、何かありますか。
○松岡在宅医療推進室長 さまざまな御意見をいただきました。ありがとうございます。
どこまで正確を期すかとか、どこまで盛り込むかというのは、紙面の大きさとこのパンフレット自体がまずは在宅医療に入っていただくというか、知っていただく最初の第一歩であるということを考えますと、余りいっぱいいっぱい盛り込んで何かよくわからないという形になるのもあれなので、また少し修正を加えないといけないと思いますので、皆様に相談しながら、修正はさせていただきたいと思います。
幾つかの注意事項というか留意事項みたいな形でいろいろ注釈をつけているところがありますけれども、確かに注釈をつけるとすごくビジーになってしまう側面もありますので、うまくまとめられるようにできれば、技術的にできれば少し考えたいとは思いました。
以上です。
○大島座長 いかがでしょう。
どうぞ。
○草場構成員 私は今の事務局の御意見に賛同で、なるべくシンプルにしていただきたいと。これをもって在宅医療の全貌を患者さんに理解していただくのは、実際にまず無理だと思うのです。どんなに書き込んでも全然イメージができないのが現場ですので、まず、ぱっとこれを患者さんが一人でとってみて理解できるレベルにしていただきたいなというのが私からのお願いで、そういう意味では在宅医療の基礎知識の受けられる主なサービスのところは、少し専門用語が多過ぎるのかなと私は思って見ていました。例えば口腔健康管理というのが出てみたり、日常生活動作能力(ADL)みたいなものが出てきたり、専門用語をそのまま日本語にしているというものが出て、この意味が何なのかはわからないのではないかと思います。
左側の「医療的ケア」が必要というのも、これは医療的ケアというのもなかなか一般的な方は理解が難しいので、一体何が入るのかなというのがわからないところがあるかと思います。ですから、ちょっと専門用語をむしろかみ砕いて、特に主なサービスのところは大胆にわかりやすくしていただいたほうがいいのかなというのが私からの提案です。
以上です。
○大島座長 いかがでしょう。非常に貴重な御意見をいただいたと思います。
どうぞ。
○山口構成員 今の御意見のところですけれども、これはグループで話し合っていたときに、在宅医療にかかわっているいろいろなスタッフの方がいらっしゃるのを知っていただこうということで、この職種をできるだけアンダーラインを引いてあるのですけれども、それを書いたことがこういうことになってしまったのだと思うのです。なので、文言見直しをして、かかわっている職種がいろいろな方がいらっしゃることは一般の方に知ってもらったほうがいいことは確かだと思いますので、この職種は残していただいたまま、今、おっしゃっていただいたような専門用語のところは変えたらどうなのかなと思います。
先ほど私が申し上げた居宅系施設なのですけれども、私も例えば「年齢・疾患・病状によって」というところはなくていいと思うのですが、重なっていることが表裏であるのは一つにまとめるとか、同じことを2回言わなくてもいいのかなと思いますので、そのあたりを整理したらもう少しシンプルになるのではないかと思いました。
○大島座長 いかがでしょう。
どうぞ。
○構成員(不明) 先ほど、事務局側からの最初の一歩というか、そこら辺も全く賛同しているのですけれども、先ほどの1枚で全体の絵を見せる、この図なのですが、先ほどから出ているように言葉がちょっと多いのでということで簡略化するとかということに加えて、例えばタイトルが、通院が難しいとか退院後と書いてあって、ケース1、ケース2でも結局重複したことが書いてあることになりますね。ですから、例えばこういうケースがというのはケース1、ケース2でもう一回り何かイラストでも入れてわかりやすくし、タイトルは「提供します」というこちら側からのメッセージというよりは「あなたのお住まいの場で医療が受けられます」みたいなニュアンスのほうがいいのかなと思ってしまう。これは好みの問題かもしれません。
下の丸印なのですけれども、医師の指示からということで、時計で言えば1時、2時方向から8時方向までいっていて、これも恐らく指示体系を忠実にあらわそうということなのでしょうけれども、確かにその最初の第一歩として、ぱっと目から入ってくるという意味ではそこまで読めないのではないかと思って、それこそいろいろなスタッフによって私の体全部をこうやって守ってもらえるのだみたいな感じでやってほうがいいのかなと、これも好みかもしれませんけれども、思ったりもしました。
○大島座長 いかがでしょう。
どうぞ。
○三木構成員 よくできているとは思うのですけれども、対象年齢というのは大体どのぐらいを想定しているのかお聞きしたいのです。
○松岡在宅医療推進室長 余り最近年齢で物を言うのはよくないかもしれないのですけれども、前期高齢者から後期高齢者ぐらいの方を大体想定しています。
○三木構成員 後期高齢者対象で、これをリーフレットでもらって、後期高齢者の人がこれはすばらしいなと読み込んでいくのはすごく大変だと思うのです。もう少しソフトというか、簡単な文章でなければ意味がわからない高齢者はたくさんいるのではないかと思うのですけれども、その辺、考慮していただければと思います。
○大島座長 いかがでしょう。
どうぞ。
○上野構成員 今、後期高齢者とおっしゃいましたけれども、医療的ケアのところでは、小児とかお子さんも非常に多いので、後期高齢者に限ってしまうと医療的ケアが必要というところは私は小児をイメージしていたのですが、若いお母さん方が見ても、そういう子供はうちで見ていけるのだよということがわかるような、赤ちゃんから老人まで誰が見てもわかるような、そういったパンフレットのほうがいいのではないかと思います。
○大島座長 いかがでしょう。
どうぞ。
○前田構成員 日本在宅栄養管理学会の前田です。
ここの在宅医療の基礎知識のところなのですけれども、わざわざ後期高齢者を対象にされるのであれば、老眼鏡をかけてまで見るかというところなのですよ。字が小さいし。ですから、ここをイラストか何かに変えられたらだめなのでしょうか。
○松岡在宅医療推進室長 私に絵心があればするのですけれども、ちょっと難しいような気はします。これにお金を特段とっているわけでないので、イラストレーターを雇うのも難しいものですから、もしいい絵があれば私はいただければ使わせてもらいたいですけれども、難しいかもしれません。文章になってしまうような気がします。
○大島座長 どうぞ。
○西澤構成員 今、言ったような意見はワーキングでも出ており、ワーキンググループにおける議論の資料に書いていますが、例えば2ページの4.対象者、これは当然在宅医療は、高齢者のみならず小児や障害者等々もあるけれども、余り全体になるとわかりづらくなるので、とりあえず今回は対象者は外来通院中の高齢者を想定ということでつくらせていただいたことを御理解いただければと思います。いろいろなことを書き込むのは大事ですが、そうするとどんどん膨らむし、余計ぼやっとしてくるというところで、ターゲットを絞ったということです。
それから、これを置く場所は医療機関とか自治体なので、このリーフレットで全て理解しようではなくて、これでもって疑問があれば医療機関等が全部御質問をお受けします、相談に乗りますということで、これ以上、詳しいことはそこで説明ができる。そういう意味では、医療機関の役割がより重要になっているということだと思います。そういう意図でワーキングでつくったことも頭に入れて、いろいろな御意見をいただければと思います。
以上です。
○大島座長 西澤先生、ありがとうございました。今までの議論の方向性をはっきりと示していただいたような気がします。
いかがでしょう。
どうぞ。
○太田構成員 太田です。
私は在宅医療に力を入れている医者の一人なのですけれども、最近、この手のリーフレットとかパンフレットというのはあまたに出回っていまして、各職能団体でも、行政でも作っておられると思うのです。このリーフレットは、ワーキングの皆さんで御議論されてお作りになった努力の結果だと受け止めています。ここまでの議論はデフォルメして簡単に伝えた方が良いのか、それとも詳しく、正しく伝えたほうがいいのかというところでしょうか。同じようなものがあるわけですから、在宅医療会議としてこれを作ったということに意義があり、私はこれでよろしいのではないかと思っています。
○大島座長 いかがでしょう。
どうぞ。
○宇田構成員 全国薬剤師・在宅療養支援連絡会の宇田と申します。
この最初の説明のところに、各自治体のほうで少しカスタマイズとか、できるというのが、どのあたりまでできるようになっているのでしょうか。パワーポイントでということなのですが。
○松岡在宅医療推進室長 パワーポイントなので、相当デフォルメはできると思うのですけれども、私どもは余り1枚絵というか、3連の続きになっているところの絵をかえていただくというのはちょっとしんどいなと思っていて、後ろの主なサービスのところとかで、地域によってカスタマイズされていたりとか、介護サービスを書いたほうがいいとか、そういった形で主なサービスのところとか、利用できる方へもう少し細かく書こうとか、そういった形での「基礎知識」とか「困ったときのために」あたりのところがデフォルメされる可能性はあるかなという想定はしておりました。
○宇田構成員 ありがとうございます。
もしそうであれば、それぞれのところで少し工夫しながら活用するのも一つかなと思いました。ありがとうございました。
○大島座長 いかがでしょう。御意見は出尽くしたかどうかは別にして、御意見をいただいて、そもそも一体何のためにこのリーフレットをつくったのかを根幹にして、対象者と中身の目標というのか、どのあたりをターゲットにどういった内容をという御議論までいただいたと思います。
一番根本に返ってみれば、できるだけわかりやすく、国民を代表するこの会議から、これからの在宅医療の基本的な本当に「いろは」のあり方について、情報を出そうというのがこのリーフレットの目的だと私は理解していますし、ワーキンググループでもそういう議論がなされたのだろうと思います。
そういうことから考えてみますと、どれぐらいわかりやすいかという議論がもちろんありました。しかし、これでは中身がよくわからないだろうという議論もあって、そこはどういうふうに詰めていけばいいのかなということを議論し始めると、この会議では無理だろうと思うのです。そういったことを議論して、きょう、ここに持ち上げられたのが一つのこういう形だろうと。その提案について、さらに全体から御意見をいただいて、微調整をして表へ出していくものにしていこうというのがこの会議での目的だろうと思います。
専門用語の使い方だとか、どういう言葉を選択するかとか、国の方針と地域の実態の違いだとか、専門家が中心になってつくったリーフレットだとか、地域でも既にいろいろなものをつくっているとか、ほかの団体が在宅についていろいろ出している情報はいっぱいあると思うのですが、それはそれで活用していただくということで、今は国全体としてどういう方向に向かっていくのかという方針をある程度きちんと出していく段階に来ていると理解することが重要だろうと思います。
あえてまとめれば、これは入り口の議論、あるいは入り口のパンフレットだと。そして、対象はもちろん子供から高齢者まで全体になりますけれども、当面はとにかく高齢者ということを頭の中に置いていると。そこが一番対象者としては多い。
そして、在宅医療ということになれば家族も含めて理解する必要があるので、その全体が理解できる内容の入り口のものであるというような基本的なものが、このリーフレットに盛り込まれるべきものだろうと思います。
そういったことから、事務局提案で出されたものについて、きょうの御意見の中で、例えばもっと詳しくやるとか、あるいは余り専門用語のようなわかりにくい言葉は使うなというようなことも含めて、あくまでわかりやすいということを基本に置いてきょうの御意見を含めもう一回考えてみるということでまとめたいと思いますが、いかがでしょう。何か御意見は。よろしいでしょうか。
それでは、議題1はそういったことで進めさせていただきます。
議題2に移りたいと思います。次は「重点分野及び7つの柱に関する各団体の取組について」です。事務局から資料2-1から2-3、資料3、資料4について説明をお願いいたします。
○松岡在宅医療推進室長 それでは、皆様のお手元に資料番号2-2という1枚紙がございますので、見ていただければと思います。
前回のこの会議におきまして、重点分野に対応していくための課題整理として「7つの柱」の策定について議論を行いました。その結果、以下の考え方で今後各団体の活動に取り組むこととなっております。
一つは、重点分野に対応していくために、各団体が活動方針や活動内容を定めるに当たっては「7つの柱」を踏まえた検討を行うということ。「7つの柱」につきましては、資料2-1のほうに色のついた横紙としてありますけれども、こちらのほうを踏まえた検討を行うことで、各団体が共通認識を持って取り組みができるようにするということ。その際には、各団体、その規模や特性に応じた取り組みを行っていくということです。
もう一つは、「7つの柱」に関する取り組みの進捗にむらが生じないように、全国在宅医療会議の場で意見交換等を行っていくということ。そのために、重点分野に関連する「7つの柱」の取り組み状況や課題等に関する自己評価を、1年に1回程度を目安に事務局に報告していただくということを確認したところでございます。その確認に基づきまして、先般から皆様に作業をいただきましたものを取りまとめたのが2-3でございます。
2-3の3ページ目以降は、各団体が「7つの柱」に対応するような活動をどういうことをやったのかという2018年度実施の事業について、書いていただいている、各団体ごとに書いていただいているものでございます。2019年度以降の課題と取り組みということで、今後するべきこと、もしくは今後しようと思っていることについては、同じ資料の30ページ以降に同様に団体ごとにまとめさせていただいたところでございます。これは一つ一つ非常に細かい字なので、見づらいと思いますけれども、このような形で全ての団体からいただいたものを取りまとめております。
そこで、私ども事務局といたしましては、どのような状況にあるのか全体がわかるように取り組み状況についてのまとめを2-3の1ページと2ページにおいてやらせていただいております。
1ページ、2018年度「7つの柱」への取り組み状況ということで、図-1、左側、これは「7つの柱」に関する取り組み団体・機関数、つまり、それぞれの「7つの柱」につきまして、どれだけの団体・機関が取り組んでいただいたかということをレーダーチャートにしているものです。
図-2、これは右側のものでございますが、これは取り組みの事業数を合計したものでございます。これは団体のみで合計しました。概況ということで、○2つで書かせていただいております。「7つの柱」について、取り組んだ団体・機関数について集計したところ、関係者への普及・啓発と、実践に関する研究及び教育への取り組みは多かった一方、国民への普及・啓発、ICT等の最新技術活用は少ない傾向にあるということが図1から読めます。
また、取り組まれた事業数につきましては、全ての柱に関して取り組みはあるものの、研究、教育、普及・啓発といったところへの取り組みは多かったと言えます。ただ、国民への普及・啓発やICTなどの最新技術の活用、行政との関係団体との連携は少ない傾向にございました。
このような18年度の取り組み状況があった中で、19年度以降、どのような形で皆さん、取り組まれようとしているかということが2ページになります。
2ページの図-1は、同様に2019年度以降の各団体の取り組みと「7つの柱」に関する対応ということで、このようなことに取り組みたいということを言っていただいている団体数を集計したものです。図-2は、その取り組みをしようとしている事業数を合計したもののレーダーチャートになっております。
概況といたしまして、2つ○を書かせていただいておりますが、2019年度以降の取り組みについて、実施団体数で見ると、関係者への普及・啓発及び在宅医療の実践に関する研究及び教育に関するものが多いという結果になりました。また、取り組み予定の事業数につきましては、関係者への普及・啓発が多く取り組まれているものの、ICTとか国民への普及・啓発などへの取り組みは少ない傾向にございます。
このような概況がございますので、できればいろいろな事業の内容がございますので、レーダーチャートが少なくとも丸になるということは私どもは考えておりませんけれども、このレーダーチャートがどんどん広がっていけば、大きくなっていけば非常にいいことなのかなと思いながら、このような取りまとめをさせていただいております。個々の取り組み状況につきましては、ここで一つ一つやると大変なことになりますので、お戻りになって見ていただければ非常にありがたく存じます。
次、資料3について少しお話しさせていただきたいと思います。この資料3は医政局と老健局が共同で発出したものでございまして、ことしの1月29日に発出した通知でございます。相手は都道府県の衛生主管部局と介護保険主管部局になっています。
この題名どおり、在宅医療の充実に向けてさまざまな取り組みを都道府県で行ってくださいというものでございます。このように都道府県に対して在宅医療の取り組みを充実させてくださいというような通知は今まで発出したことがなかったということなので、多分、初めての通知になろうかと思います。
いろいろと書いておりますけれども、まず、1ページ目の1の(1)にありますように、第7次医療計画というもので、今後在宅医療を推進していくことになっているのですけれども、介護保険事業の計画が第8期になりますのが3年後なのですが、その3年後に向けてきちんと整備目標とサービス量の見込みについて按分をして考えてくださいと。追加的な需要の在宅医療の整備目標などをつくってくださいということを言っております。これは、市町村が介護保険を担当し、都道府県が医療計画を担当することから、双方が一緒になって考えないと在宅医療の必要量とかサービス量がきちんと出てこないこともありますので、都道府県がきちんと市町村と一緒に頑張っていただきたいということで、連携の推進を図っていただきたいというものでございます。
そのために、市町村支援やデータ分析といったものについて、2ページ以降でございますけれども、やっていただきたいということを今回通知しております。データ分析も、既存のデータがございますが、なかなか市町村レベルでデータを分析したり、都道府県でデータ分析をすることは難しいので、国も一緒に手伝いながらやっていきたいとは思っておりますが、都道府県と市町村との間でデータ分析を行ってくださいということを言っています。
また、3ページでございますが、在宅医療への円滑な移行ということで、病院等と在宅との間で、療養の場が円滑に移行できるよう病院が後方支援を行うことを含め、病院、診療所の医療関係者や、介護支援専門員等が協議を行い、在宅医療圏ごとに入退院ルールを策定してほしいと。その支援を都道府県がやっていただきたいということを言っております。これは市町村単位で、医療はなかなか把握することが難しいというのもございますので、都道府県が間に立って、各地域での入退院ルールの策定に取り組んでいただきたいというものでございます。
また、人材の確保・育成や、住民への普及・啓発についても、各都道府県できちんと市町村と手をつなぎながらやっていただきたいということを申すような通知を出させていただきました。これに基づきまして、私どもも都道府県を支援しながら在宅医療を進めていきたい、在宅医療の推進を図ってまいりたいと考えております。
このような背景の中で、資料4でございます。「全国在宅医療会議の今後の方向性について(案)」というペーパーをつくらせていただきました。これは事務局案でございます。
「これまでの経緯」ということで読ませていただきます。本会議は、在宅医療の推進という政策の達成に向け、在宅医療提供者、学術関係者、行政が、それぞれの知見を相互に共有し、連携して実効的な活動をしていくための考え方を共有することを目的に、28年7月より開催されてきました。
そこで、各団体の取り組み等についての情報交換を行い、国民が、在宅医療の長所、短所を理解し、医療の選択肢の一つとして、みずから主体的に考え、選択できるような環境を整備することが重要であるとの視点に立ち、平成29年3月に重点分野の策定を行いました。
その後、重点分野の取り組みを進めていくに当たりまして、各団体が連携して計画的に取り組む必要性があることから、重点分野に対応していくための課題整理として、平成30年4月に「7つの柱」を策定し、各団体が共通認識を持って取り組んでいくこととなっております。
「現在の取組状況」でございますが、その上で、「7つの柱」の一つである「国民への在宅医療に関する普及・啓発」については、本会議において、より積極的に取り組んでいくべき事項として、集中的な議論を行う必要性が共有されたので、本会議のワーキンググループにおいて小グループを設置し、今後、関係団体が活用することを念頭に、国民の在宅医療に関する理解が深まるきっかけとなるようなリーフレット作成に取り組んできたところです。きょうは、その御意見をいただいたところでございます。
また、各団体の取り組みについて、重点分野に関連する「7つの柱」への取り組みや進捗状況、課題等について報告をしていただき、事務局において取りまとめたところでございます。
現在、市町村において地域支援事業、これは在宅医療・介護連携推進事業のことでございますが、進められております。今般、地域医療構想や高齢化に伴う医療ニーズの増加に対応していくに当たり、都道府県が広域的な観点から市町村への支援を行うことについて、「在宅医療の充実に向けた取組の進め方について」という通知を発出しました。先ほど申し上げた通知でございます。
そこで、「今後の方向性」ということでございますが、都道府県は、在宅医療の充実に向けた取り組みを進めることとなるが、都道府県の計画をより地域の実情に即し、実効的なものとするためには、地域において各団体が各支部局等を通じて、自治体と協働して取り組んでいくことが非常に重要になってくると考えております。
そのため、各関係団体におかれては、都道府県等の施策が着実に進んでいくよう御協力いただくとともに、今後、都道府県の取り組み状況と合わせて情報交換等を行っていきたいと考えているところでございます。
このような提案をさせていただきたいと考えております。
私からは以上でございます。
○大島座長 ありがとうございました。
それでは、早速御意見をいただきたいと思います。
どうぞ。
○苛原構成員 在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワークから来ている苛原と申します。
確かに在宅医療機関の数というのは、支援診療所の数というのはこのところふえてきていますが、実は今は減ってきていますね。幾らいろいろやろうと国や市町村が言ってもそもそも提供する在支診が減っている。在支病はふえていますけれども、これはもちろん我々は一生懸命やらなければならないのですが、もうちょっと制度のあり方というか、そういうことに踏み込んでいいなかないと在宅医療は推進しないのではないかと思うのです。
我々の中で協議した一つは、24時間体制が在宅医療を提供する医療機関の7割が1人でやっているということに鑑みますと、非常に難しいということが第1点ですね。そして、そういうところがあるので、なかなか在支診を選ばないところがふえてきている。そういうところは団体の努力だけではもはや乗り越えられない課題があると我々のネットワークの中では話し合ったのですけれども、その辺をもう少し考えていただきたいと思います。
○大島座長 これは非常に重要な問題なのですが、いかがでしょう。医者の自律というのか、プロフェッショナルオートノミーと、あるいはそこに行政とか、そういったものがどういうふうにかかわってきて仕組みをどうつくっていくのかということと、これは突っ込み始めると相当難しい議論になってくるかと思います。
どうぞ。
○武久構成員 現場で長く在宅関係もやってきました者としての反省というものを言いますと、在宅ができるかどうかはターミナル前提ではありません。施設より自分の家がいいのは当たり前の話ですから。ただし、在宅ができるための条件というものがあります。一番は、自分で食事がとれるということと、自分で排泄できる。この2をクリアしておけばそこそこおられるのですけれども、残念ながら、高齢者夫婦でどちらかが世話するとなると、この摂食と排泄の援助はなかなかできないのです。
私もリハビリ、現場で長くやっていますけれども、まずは最初は人間力回復というか、歩けるようにするのが今までのリハビリの中心でしたけれども、最近ここ数回の改定で栄養とか排泄とかにいろいろな点数をつけていただいておりますが、動物力の回復。すなわち、食べて排泄する。歩けなくてもそれができようになれば在宅復帰ができる。それを今まで十分できてこなかった我々シニアの医師の反省も込めて、家ほどいいところはないのです。特養、老健よりも家がいいです。病院よりも家がいい。家でいられるようにしてあげるためには、この摂食機能と摂食自立と排泄自立に対して全て人がそちらの方向に向いていけば、かなりこれは可能ではないかと思いますので、現場での反省を込めてそのようにやっていけたらと思っております。
以上です。
○大島座長 ちょっと議論がかみ合っていないようなところもある感じもするのですが、いかがでしょう。
どうぞ。
○辻構成員 私もかみ合った議論になるかわからないのですが、基本的には、この資料4についての議論だということで発言させていただきたいと思います。
このペーパーの内容について異論はないですけれども、今後の方向性で、まず、1月29日の通達は非常に貴重な、本当に在宅医療が普及していく上で非常に貴重な通達だと思います。恐らく位置づけとしては歴史的な通達だと思います。そういうものを踏まえて、今後の方向性で各地の状況に応じて、地域において関係団体や各支部局等を通じて、自治体と協働して取り組んでいくことが重要となっておるという認識を示して、そのために都道府県の取り組み状況とあわせて情報交換を行っていくという文章になっておるわけですが、私は現にやっておりましたので、仕組みの問題が非常に重要だと思います。
各地、私も職業上、回らせていただいておりますが、基本的には在宅医療の実践というのは明らかに市町村レベルであると。もともと訪問診療ができるような圏域でチームをつくっていくということですから、明らかに市町村レベルであり、制度としても市町村の老人保健医療・介護連携推進事業がかなめになるようにつくってあるということでありますが、そうなりますと、この事業の有名なア、イ、ウ、エ、オ、カ、キ、クですか。その事業項目の中に、協議の場をつくるとか、研修事業を行うとか、そういうことが書かれているわけですが、それは市町村レベルで行政がコーディネーターになって、各職種団体が連携するというのはコア中のコアになっているわけですね。
そういうことを考えますと、本当に長々申しわけないのですが、地域において、各団体が各支部局等を通じてというのは非常に重要なキーワードでして、県レベルに各団体が、しっかりした団体を持っていらっしゃると思います。これが市町村レベルに対して、どのように情報が的確に伝わっていくのか、そして、市町村における市町村の取り組みと各団体がどのように接点を持つのかということについて、各団体自身の認識を整えていただくこと。
また、それを踏まえて、行政が、国、県、市町村のやっている情報の連絡システム、あるいは調整のシステムをきっちりとルートを確立して、それと各団体の間できっちり相互認識ができていることが、私はこれから在宅医療がしっかり普及する上でのシステムとしてのかなめだと思います。その点について、この文章はそれを前提として出ている文章であって、ぐずぐず言うようで恐縮ですけれども、そのことを厚労省と各団体の間で、恐れ入りますけれども、この支部部局を通じてということが一体各団体ではどう受けとめられて、どのようなことが期待されるのかについて、意見交換を部署部署でやっていただければありがたい。かたいことを言うようですけれども、基本的にはシステムとして、この大きな全国在宅会議の貴重な会議の内容が市町村レベルに伝わっていかなければいけない。その仕組みについて、ぜひ十分考察の上、今後の方向性というものをみんなが具体的に何を意味するのかをかみしめながら行動する必要があるのではないかというように思いました。
以上、長々と失礼いたしました。
○大島座長 ありがとうございます。
医療が進歩、発展してくれば、現状では社会が直接それに関与して、すなわち行政がそれに関与してくる。当然ですね。行政がこれからのあり方のマクロの方向性を決めて、もちろん決めていく段階では専門職も入って議論するわけですけれども、そして、全体の大きなマクロの方向を決めて、政策として法律に落とし込むわけですね。そこから医療そのものも大きく展開という状況が、現代の医療では、そのようなプロセスは避けられないのですね。
昔はそんなことは余りなかったから、専門家は、医者がこう言ったらこうなのだと。それにみんな従いなさいと。従いなさいというのは言いすぎですけれども、それが医療のあり方で、専門家が中心になって、医療のあり方を決め、そこに行政が合わせていくという、これも言い過ぎかもわかりませんけれども、そのような状況があった。しかし、これだけ人権だとか、皆保険だとか、いろいろな状況が重なってきて、社会として医療はどうあるべきなのかということが避けられないですね。そして、動かしていこうとすれば、法律に落とし込んでこれを動かしていく。
そのときには、これからの医療は一体何が必要なのか、どういう方向にいくのか。その中で、今の超高齢社会の大きな人口動態の変化の中で、在宅医療というのは欠かせないというのが国民的なコンセンサスであり、その大きな全体の絵図面を行政が提案して、医療・介護総合確保推進法という法律が動き始めて、それに沿ってどのようにやっていくのか。
その中で、これからの在宅医療は、非常に大きな核になっていくぞということが認知されてきているわけです。実態はどうかというと、先ほどお話しされたように、なかなか追いついていない。一人だけで24時間体制などできるわけがないだろうという、現場で一生懸命やっている人ほどそういうことを実感として感じるのですね。しかし、そこに、もうこれでは現場の医療関係者だけでは何ともならないから、行政がもっときっちりとした強い方針を出して決めろと。こういう意見も現場の一生懸命やっているところから出てくるのですね。
地域包括ケアというのは、地域ごとに地域が地域の実情に合わせて、みんな集まって、行政も専門家も集まって知恵を出し合って、今、ある状況の中できちんと最もいい体制をつくり上げていこうではないかというのが国が示している方針なのですが、なかなかそれは浸透はし切れていません。実際にやり始めているところ、動き始めているところも私は知っていますけれども、そういったところに非常に大きなジレンマというのは確かにあると思いますが、全体の動き方としては、今、辻先生が指摘されたとおりだと思いますが、いかがでしょう。
こうした問題を乗り越えないと次のステップに行きません。非常に極端な言い方をしますけれども、医師を養成するときに、自由にどこでも行っていいという時代でいいのかという議論だって当然出てきてしかるべきですね。しかし、医師にこれから必要になるのは在宅医何人、心臓外科医はこれだけでいいなどということを言ったらどういうことになるのかというと、大変なことになります。しかし、そこまで覚悟した議論に持っていかないと、今、起こっている変化はなかなか乗り越えられないのではないかと考えている人もいるわけで、私もその一人ですけれども、そんなことが簡単にできるわけがないということは誰も思っています。いかがでしょう。
どうぞ。
○江澤構成員 今、議論している、在宅医療も明らかにこれは政策論だと思います。施策ということは、データがあって、PDCAを回して、ちゃんとアウトプット、アウトカムを検証していく。そして、さらにまたPDCAを回していくことを繰り返すことが必要だと思うのですけれども、現時点においては、非常に我が国を。
○大島座長 先生、医師会の御意見だと伺ってよろしいですか。それとも、先生御自身の御意見。
○江澤構成員 医師会でいつも議論しています。
○大島座長 医師会としての御意見として伺っていいですか。
○江澤構成員 はい。医師会として審議会でも言っています。一つは、我が国は2割の国土面積に8割の人口が集中していて、もともと人口偏在しているので、各市町村によって、全く今後の在宅医療の必要量、ニーズ、すごく在宅量を推進しなくてはいけないところもあれば、既に65歳以上の高齢者が減っている自治体も珍しくない。ですから、そこについてめり張りをつけていかないと。将来の人口推計値はほぼあらわれていて、将来の人口推計に対してどれぐらいの在宅医療のニーズがあるのか、それに対して提供側のプロバイダーの社会資源がきちんとフィットしていくのかどうかが重要であって、今、限られた社会資源の中でどう有効活用するのか。
訪問診療と書いてありますけれども、訪問診療をするということは訪問看護もあって、生活の基盤はまずヘルパーさんの力添えがあって、訪問診療は継続できるわけですから、そういうことで多職種のいろいろな詳細な分析が必要で、ここの資料に書いてあることは賛成なのですけれども、資料3にいろいろなデータ分析とかがありますが、恐らく市町村がデータに基づいた事業計画はなかなか立てられていないのが現状で、都道府県が支援できるかというと、都道府県には私が知る限りそのノウハウはまだ乏しいと思っています。
ですから、精緻な事業計画があって、データに基づいた政策があって、そこにどういうふうに需給バランスを、そこの需要に対して供給を提供していくのかということと、一方で地域医療構想調整会議と地域医療構想においては、入院外で新たに医療区分1のうちの7割と地域差解消分を中心として、30万人が上積みされて計130万人が各地域で全国で支えられるかどうかが非常に重要なポイントで、どうしても地域医療構想調整会議は保健所が主管であって、会議のメンバーには介護の行政担当者とか介護の関係者はいなくて、どうしても医療系の話だけになっていて、本来は在宅医療とか介護医療院という地域医療・介護構想の議論にならないといけないと思っているのですけれども、そのあたりの医療と介護の連携もとって、在宅医療を検討していく必要があるのではないかと。
もう一点だけ申し上げますと、今、特養が約60万人分整備されていて、有料老人ホームが48万7000人分ぐらい、サ高住が22万2000戸ぐらいで、サ高住は97%は食事を提供しているので、イコール有料老人ホームで、ですから、有料老人ホームだけで70万人分も整備されていて、あとは老健が40万人近くとか、かなり在宅医療の枠は全国ベースで数は結構そろっていて、自宅に加えて、そういった施設系あるいは居住系の箱物を含めて、総合的に考える場がないと思うので、そういった場を各地域でぜひお願いしたいと思います。市町村の実情は全く違うのに、特にアからクを全国一律に一斉に積み上げるのは、非効率的ではないかなと思っております。
以上でございます。
○大島座長 ありがとうございました。
いかがでしょうか。
どうぞ。
○山口構成員 先ほどからの御議論をお聞きしていて、私も全国一律で語ることに非常に無理があって、今回出てきた資料も、細かい資料2-3を見ていると、各団体がこれだけのことをやっている、やっているということがたくさん出てきています。確かにやっていることはわかるのですけれども、では、その情報交換をやっているだけで、この会議が果たして意味があるのかということに違和感を覚えてしまして、それをずっとお聞きしながら考えてきたときに、先ほど辻構成員がおっしゃったことには賛成です。やはりきちんと実態ということを踏まえて、何ができるかをそれぞれきちんと、どの地域ではどういうことと、どういう部局と結びつけていくことができるのかという現実的な話をしないといけないと思っています。
そういうことからすると、例えば在宅医療ということで、ここは将来的に無理ですという地域ももちろんあると思いますし、ここはもう少し投入して重点的にやっていくことで今後のニーズに応えていくことができるのでとか、地域によっての違いを地域の人が明確にわかるようにしていくような方向性を、やった、やっただけではなく、取り組み状況ということで各市町村がそこを把握できるように、そして、そこに住んでいる住民の方たちにも理解できるような情報発信が必要なのではないかと思います。
先ほど、資料2-3を見ていて、このレーダーチャートですけれども、どの団体も国民への普及が非常に少なくなっていて、これは考えてみれば当たり前のことで、いろいろな団体というのは団体として専門職の方がほかの宿主の方と連携しながら取り組んでいらっしゃるので、なかなかそれを国民向けの発信をするという取り組みには至らないと思うのです。そうすると、それをやるのはどこなのかというと、やはり行政になると思います。
今回、通知が発出されたということで、資料3の通知の中の3ページのところに、(6)で住民への普及・啓発ということを、各都道府県に対してこういう取り組みを進めてほしいと書いてあります。私はこれは大事なことだと思うのですけれども、今回、資料4で、現在の取り組み状況ということで、リーフレットの作成に取り組んできたと書いてあるのですが、この全国在宅医療会議は始まってもう2年半たっていて、この取り組んできたことということでも、リーフレットはまだ緒についたばかりで、まだ世の中にも出ていないわけです。これから修正して出していこうということがようやく2年半でできた。
だとしたら、都道府県に対して、住民に対しての啓発というだけではなくて、実際にどんなことを各都道府県、市町村がやっているのかをぜひ国では把握するような仕組みをつくっていただいて、情報交換だけではなくて、こういう地域だとこんなことができたと。こういう地域では話し合ったけれども、ここは無理なので、では、何ができるかという対案を出してもらうとか、そういう各地域での動きが見えるような情報交換の会議にしていただきたいと思います。でないと、やっていることだけを集めて発表していたのだけでは余り意味がないかと思いますので、そのあたりでの各地での見える形というのでしょうか。出すだけではなくて結果をフィードバックしてもらうということをぜひお願いしたいと思います。
○大島座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○辻構成員 私、最初の発言と今の発言は連なっているので、もう一言言わせていただきたいと思います。各地域によって事情は違いますので一律ではないということは本当にそう思います。であるがゆえに、地域ごとの議論が行われるように事が展開しなければ、実はつかないということなのですね。そのために、私はあえて問題提起をいたしますけれども、この会議の役割を考えると、ここに参加している、有識者としてと団体としての参加がありますけれども、団体については組織によってもしっかりとそういう組織になっている地域もあるわけですけれども、基本的には市町村レベルにきちんとした団体の情報連絡、あるいは医師交流の市町村におけるユニットをきちんと把握して、そことつながる仕組みを強化していただきたいということなのです。
市町村はまさしく地域ごとに違いますので、市町村ごとに動きますので、市町村ごとに各団体の組織が動けるような方向に向かっていくことが必要ではないかというのが1点です。
もう一つ、西澤先生がおっしゃったのはそのとおりでして、地域医療構想と地域包括ケアといいましょうか、在宅医療・介護連携推進事業が相まってやらなければいけないわけですね。そして、地域ごとの実情において動かなければいけないわけですね。基本的には、地域医療構想は、お言葉のとおり、保健所中心で動いている。いわば、医政局の所管課における都道府県組織のもとで動いていると。
一方において、医療・介護の連携推進事業は介護保険部局、厚労省で言えば、老健局の組織の系統の都道府県部局で市町村に流れていると。実はこれはクロスしなくてはいけないのですけれども、私は市町村の現場を見てきた印象からだと、大きな市町村はかなり違いますけれども、小さな市町村は保健所での地域医療構想は遠い向こうの話に見ているはずなのです。しかし、一方において、各地域で在宅医療がどう進むかというと、地域医療構想は極めて関係が深いわけです。そのあたりが、医政局系統の組織、老健局系統の組織、市町村の組織ですね。特に医療・介護連携推進事業を行う組織を主軸に、この3つがきちんと情報がお互いに把握できていて連携し合うという形になっていて、それに各団体が市町村レベルと都道府県レベルの組織が組み合うと。そういう構造があって初めて、今、御指摘のあった地域ごとのという取り組みがリアルなものになって、そして、さまざまな地域のパターンにおいて情報が、各地域に伝播していく。したがって、私はすばらしいことが今、行われていますので、その組織プレーというものがしっかりできるように、ここのこの大きな組織で議論が深められることを私は願いたいと思います。
よろしくお願いします。
○大島座長 ありがとうございます。
何か結論にしてもいいような、まとめられた感じがしないでもないのですが、御意見、いかがでしょうか。
どうぞ。
○佐藤保構成員 まず、今までこの中の議論で、各団体から出された課題であるとか、取り組みの事例であるとかというものを抽出して、そして、その中で「7つの柱」に分類し、それを3つの重点分野にしてきた。これは今まで蓄積してきたこの会議での一つの方向性だと思います。
それを今後評価の基準にしていく中で、この7つの項目をチャート図にした。そこまでは理解できるのですが、一方で、今までの議論でも明確なように、それぞれ地域の特性であるとか、団体の特性であるとか、実際に歯科医師会でも全国の都道府県、各関係する団体、集まっていきますと、強み、弱み、特徴、それが本当に出てくると思います。ですから、先ほど来、同心円を広げていくという方向がありましたが、同心円を広げていくときに、どの分野でどの方向に進んでいくかという特徴が生かされることも重要ではないかという気がします。その重要性を生かすのが連携でありという気がしますので、チャート図の7つの全体が広がるという評価方法でいいのかということを考えますと、もう少し知恵を絞ったほうがいいのではないかというのが感想として思うところです。
それから、在宅医療の取り組みに関して、これも歯科医師会とすると、都道府県歯科医師会がそれぞれ把握している群市区歯科医師会と連携して市町村で取り組んでいただくためには、やはり都道府県で重要なのは、先ほど資料3にありましたような、地域医療計画をどうつくっていくかということになってくるし、その市町村の指標をどう出せるかも当然重要になってきます。
一方で、既にもう47都道府県で行われている医療審議会の進捗状況を見れば、既に1年ごとの評価をするのだ、PDCAで回していくのだとなってきたときに、この在宅医療の充実の取り組みをどう位置づけするのかということは、十分御検討いただきたいと思います。1年ごとの疾病と事業と在宅医療と、これだけ多項目にやっていった場合に、在宅医療のフォーカスはどうなっていくのだろうかという不安と、一方で、それをフォーカスするのであれば、どういうPDCAの取り組みに位置づけるのかということは調査する項目も含めて、まだまだ市町村がそれに応えられない場合も出てくるとは思うのですが、そこもまた一つの違いの把握ということになってくると思いますので、この取り組みに向けての通知文書について非常に重要だと思う一方で、医療計画の見直しのスケジュール感とどう整合性をつけるのか。都道府県もしくは場合によっては市町村からいろいろお話が出てくる場合にどうお答えになっていくのかということは、ぜひとも厚労省で示していただきたいと思っております。
以上です。
○大島座長 ありがとうございます。
ほかに御意見、いかがでしょうか。
どうぞ。
○荒木構成員 日本看護協会でございます。
本日、初めてこの会議に参加いたしましたので、7つの軸というものがどのように自分の中の活動に落とし込んでいけばいいのかというのが、今の御議論でとてもよく分かりました。介護と医療両方の立場で訪問看護を提供しているということからも、人材の確保や提供体制の確保が非常に今、問題となっています。先日の看護職員需給分科会でも、訪問看護師が2025年に12万人必要という数が出ております。現在の4万7000人からいかに増やしていくのかということは、都道府県、それから、市町村との協働が、各都道府県看護協会でも大きな課題となっています。その中で資料3の1月29日の通知、それから、資料4の本日の全国在宅医療会議の今後の方向性についても、起爆剤として都道府県看護協会とのベクトル合わせに活用できるため、非常にいい資料だと思いました。
また、こちらの会議においては、それぞれの団体がどういう構造でどういう方向で動いているのかをこの会議の中でもベクトル合わせをして、7つの軸に沿って活動がオーガナイズされると、大変効果的に行くのではないかと感じました。ありがとうございます。
○大島座長 ありがとうございました。
どうぞ。
○吉田構成員 日本薬剤師会の吉田でございます。
この資料3の前段階の進め方についての最後の箇所です。市町村と関係団体、関係機関等に周知願いたいというところで、我々の日本薬剤師会も無薬局町村を抱える地域薬剤師会もあります。そういうところは、小さな規模であれば、なかなかその支部だけで対応できないこともあります。ですから、県の関係団体まででなく、その下の市町村支部等にまでしっかりおろしていっていただいていて、市町村との連携、それから、そこの連携がなかなか難しい地域であれば、都道府県の単位で市町村のカバーをしていくという情報の吸い上げも合わせてしていただかないと、なかなか把握ができないのではないかと思っております。
自分の団体であればどうなるのかというのは、ある程度吸い上げができるかと思うのですけれども、市町村行政とそのレベルの関係団体との連携の状況も含めて把握していただければと考えております。
○大島座長 いかがでしょう。
どうぞ。
○草場構成員 日本プライマリ・ケア連合学会の草場でございます。
私は最初の苛原先生と大島先生のお話しされた論点に立ち返って確認をしたいのですけれども、現実に一番在宅が進まない原因というのは、在宅医療を提供する医師の供給、その医師が在宅医療を積極的にやろうと思うかどうか。その部分があらゆる地域でネックになっているケースが多いと感じます。北海道で在宅医療の普及でいろいろな地域に行くのですけれども、そういう医師が多い地域では余りそういう問題が起きませんけれども、地方に行きますと途端に開業の先生の高齢化であったり、過労状況でとても在宅どころではないという切実な声を聞きます。ですから、普及ということを言っても、全くそこに参加いただけない現状があります。
ですから、そういった意味では、医師の視点をもうちょっと掘り下げてもいいのではないかと思うことが時々あります。実際に医師の視点から考えますと、在宅医療でも何でもそうなのですけれども、恐らく3つの行動原理があるのかなと。一つは社会貢献、医師としての仕事のやりがいという側面が一つ、もう一つは生活者でもありますし、自分の人生がありますから、QOLであったり、人生を楽しむという視点。もう一つが、収入であったり、社会的ステータスというところも含めた報酬の面と、恐らくこの3つがある。その基盤に、いわゆるこの医療提供体制のルールがあるということが、恐らく医師を取り巻く現実であります。
そこで、その医師が在宅医療という文言を見て選ぶかどうかという観点のときに、現状では、恐らく診療報酬のサポートという意味では非常に私はめぐまれた状況になっていると思っているのですけれども、QOL、仕事のやりがいというところで、特に仕事のやりがいは今まで献身的に貢献されてきた先生方は非常にそこがすばらしかった。崇高な思いで地域に貢献されてきましたけれども、今の30代、40代の先生方の中で在宅医療というものを社会貢献として当然すべきだという意識で開業されてやられる先生方は相対的にかなり減ってきていると感じています。
ですから、そういう意味では苛原先生の御指摘のように24時間という体制を、例えばグループ診療というものをもっと大胆に進めていく。旗を振りながら一つのモデルとしてどんどん進めていくという政策もあるだろうと思いますし、在宅医療自身をキャリアとして選択することが非常に高く認められる。それは専門医制度などとも絡んでくるかもしれませんけれども、医師の視点なのですが、医師のキャリアの中で在宅医療をやることは非常に価値が高いという誘導、そういったものが必要かと思いますし、最終的には医療提供体制の中で、外来診療から入院、そして、在宅医療まで、一人の医師がある程度一貫して見ていくということがスタンダードであるという流れ。今、それが必ずしもありませんので、そういった流れの枠組みづくりなども、根本的には恐らく考えていかなければいけないのかなと。とても会議で解決する問題ではないと思うのですけれども、非常に大きな話にはなりますが、本当に在宅医療をあらゆる地域で普及させるためには、そういったかなり掘り下げた議論と構造的な改革も含めた議論を考える局面に私は来ているのかなと感じています。
ですから、今までの努力は十分成果は出ていると思うのですけれども、次はそのレベルになってきているのかなというのが私の見解です。
以上です。
○大島座長 ありがとうございます。
これも本質的なところに踏み込んだお話です。医療のあり方について、医師の考え方、方向性はすごく大事なのですが、これまでは特に重要視されてきました。それで日本の医療の方向性が決まってしまってきた部分は確かに大きくあるのですが、今のように医療のあり方が根本から変わっている。これを徹底的に直せばいいという医療から直すだけではおさまらないよという医療の方向にがらっと変わってしまったわけですね。そういう中での医師の役割が、私は自分が医師ですけれども、自分が医師であって医師の目から医師を見ているだけでも相当の混乱が起こっていると思います。
端的に言ってしまうと、これだけ医療自体が社会的な問題になり、医療界の判断だけで事が動くような状況ではなくなってきているということを、私は本当に実感していまして、それと同時に医師の体質も私がなったころとは随分違いますから、今、御指摘されたような医師が集団であちらを向けばこのように変わるのだというような時代はもう超えたな、終わったなという感じをしみじみ持っています。と言いながら、医師がどちらへ向くのかというのは物すごく大きなことですが、それだけでは何ともならない時代になったなということを本当に強く感じています。こんなところで私の自分の個人的な見解を述べるのは恐縮ですけれども、ほかに御意見はいかがでしょうか。非常に重要な御議論だと思います。
どうぞ。
○増住構成員 横浜市の増住と申します.
先ほど来、これから進むに当たって、関係団体の支部局等と自治体の協働という話が出ています。市町村の代表としてこの会議に出させていただいていると思っておりますので、市町村側の実情を少しお話ししておいた方がいいかと思います。
横浜市では、在宅医療だけではありませんけれども、医療面についてさまざま市町村レベルで直接取り組む必要があるだろうということで、8年前に健康福祉部門の中に医療政策室をつくり、4年前には医療局という局まで作って推進しています。市町村ではセーフティーネットを長らく守るということについての役割を自認していますから、福祉の歴史は非常に古くて、それ由来で介護についても非常に取り組みやすい土壌があって、それはしっかり取り組まれていると認識しています。しかし、医療については、例えば横浜市では公立の病院を経営していますので、病院の運営については、それなりの、何十年という歴史がありますけれども、医療分野について例えば政策的医療をどう進めるかとか、そうしたことについては、主たる部門がないところでした。ほかの市町村も多分そういうところが多いと思います。
横浜市には18の区があり、それぞれに呼称はそうは言いませんけれども、由来で言うと福祉事務所というものがあって、福祉については専門のスタッフが数十人単位でおりが、その中に医療の調整あるいは医療と介護の調整をするような部門は、数年前まではありませんでした。
というように、マンパワーが市町村において医療を専門に担う、または、政策的医療を推進するそのうちの一つとして在宅医療を推進する、と言ったスタッフを抱えている市町村は、あまりないのではないかと思います。だから、これからさらに地域包括ケアシステムについて、地域ごとの実情に応じて進めていくときに、キーワードは医療と介護の連携ということになりますが、一方の医療と介護の橋渡しをする部門というか、そういうところが市町村にはないということをまず前提として押さえておいていただかないと、ここで自治体と協働しているという話をしても、なかなか自治体の動く部門がないのではないかという気がしますので、そのマンパワーをどうしていくのかが課題だと思います。
一方で、ある意味、財源があればそれによってマンパワーの確保も委託等を通じてやることができますので、それについても課題があると思っています。今、医療に関する財源については厚生労働省の方でもお考えいただいて、都道府県単位で進めるべきであろうというお考えのもとに、例えば「地域医療介護総合確保基金」についても県が差配してやっていただいています。ただ、実際に市町村がこれを医療分野に活用しようとすると、この基金を活用するに当たっては、これは100%国費であれば、県も市町村からの申請に基づいて出して、そのままお認めいただけると思うのですが、必ず県の負担が出てくるので、なおかつ市町村から直接国に対する申請はできないものですから、なかなか市から県に上げる段階で、県の財政状況に応じてかなり査定が入るということで、財源の活用も実際には思いに任せないところがあります。
このような話をすると、横浜だからできているのではないかという話になるのですけれども、横浜市でもかなり無理をして自主財源でやっているところがありますので、ましてや、もう少し小さい市町村になると、マンパワーも財源の確保も不十分な中で、この関係団体の各支部とパートナーシップを組んでやっていくのは結構大変かと思います。
長くなって済みません。ちなみに各団体さんと横浜市は医師会を初めとしてかなりうまくやっていると思いますし、他都市の医療機関の方とか、そういう方が横浜市に来られると、何でこんなに仲がいいのだとよく言われますけれども、それはひとえに我々はつなぐのが役割だと思っておりますので、我々から全ての団体に出向いて、ご意見等を頻繁にお聞きするようなことをやっています。ですから、各団体の方も、逆にニーズをとらまえて政策につなげて行くようなことを我々がやっているので、そういう意味では団体の方々も我々に言えば何か進むのではないかという期待感を持って進んでいるところがありますから、そのぐらい行政側も踏み込んでやらないと、団体とは一緒にやっていけないと思っています。そういう意味でも、そういうマンパワーの問題とか、財源のことが大いに課題があることを前提にして、いきなり市町村と言われても市町村のほうも困ると思うので、その辺は御留意いただきたいと思います。
○大島座長 ありがとうございます。
行政側から本当に実情をはっきりとお示しいただいた。特に横浜という大きな市ですから、案外、小さな市町村で首長側も腹をくくってしまっているようなところは、どっといってしまっているところもあるのですね。
いかがでしょうか。
どうぞ。
○半田構成員 今、市町村の人材の話があって、実は北海道で理学療法士、作業療法士、言語聴覚士でリハビリテーション専門職協議会というものをつくっていて、北海道180の市町村があって、60弱の市町村に理学療法士も作業療法士も言語聴覚士も一人もいないのです。医師の偏在とともにコメディカルもずっと偏在しているのですね。医師の偏在の問題はよく問われるのですけれども、それと一緒にコメディカルみんな偏在した中で空白がある。今、北海道では札幌を中心とした都市部で働いている理学療法士、作業療法士、言語聴覚士をいないところに派遣しようとしているのですが、ほとんどのPOSはどこかに勤務しているのです。ですから、出るにも出られないしという状況が北海道全体であるという報告が出されています。
○大島座長 ありがとうございます。
いろいろな地域の実態とこれからの方向性などが出されましたけれども、「7つの柱」の進捗状況というのは、この方向でどう考えていくかというときに、何度も繰り返しお話しされているように、専門家と行政の協働作業というのは必至であって、しかも地域ごとだと。この基本概念は崩すことができないというか、これがこれからの日本の地域医療構想の基本的な概念で、その概念そのものはいろいろな形でもって相当に浸透してきているのではないかと。
だけれども、実際に動こうと思うと、理想的な理念というか、あり方を議論していたのではとても前へ行けないということになれば、地域ごとに地域の実情に合った、少なくとも短期と言っていいのか、当面とにかくどうしていくのかというところから議論を開始するしかなくて、それを続けていくことによって、本来どうあるべきかというもともとの大きな理念に全体として近づいていくのだろうと、これは勝手に想像していることですけれども、全体としての理念の共通理解がなければこれはもう進めることができないという議論になってしまう。今の北海道の話ではないですけれども、そもそも人材いないところで何ができるのだというような話にまでいきかねない。
それぐらい、地域ごとには差があるので、この差がある中で医療概念、介護概念というのががらっと変わってしまったわけですから、それにあわせてどのように実態というか、実情が動いていくのか。そういう中で、この「7つの柱」そのものは、全体のコンセンサスとしては、特にはきょうの議論でも問題はなかった。だけれども、地域ごとに、まだいろいろと今後の進め方について議論をしなければいけないということだけは、お互いに了解しておく必要があるのではないか。そんなところで時間だけがたってしまっていますので、この辺でこの議論をとめたいと思いますが、とにかくこれだけは最後に言っておきたいということは。
どうぞ。
○西澤構成員 今、北海道のことが出たのですが、おっしゃるとおりの実情です。これを全国一律でやれといってもできない地域があるという認識のもとで、できる地域からやってもらいたいと思います。横浜とか、大きいところはできるからやってもらいたい。我々の団体としてはその情報を地方にも伝え、すぐできるかどうかはわからないけれども、教育だけはして、いつでもできるようにしておきたい。そして、より広域でシステムが組めるようになったらぜひできない地域に、今の医者の偏在と同じように各地域で全職種の偏在がありますが、できる地域からできるだけ応援していただいて、将来的には日本全体ができるということを理想としたいと思いますので、その方向でこの会議も進めていただければと思います。
○大島座長 ありがとうございます。
非常に大事な御指摘だと思います。各職能団体がみんな同じようなコンセンサスを持てば、結局自分たちだけで動かすことなどとてもできないし、でこぼこができるのは覚悟の上で、しかし、そのでこぼこを全体としてどうカバーしていくのかという視点だけは、みんな共通理解としようという御指摘だったと思います。
どうぞ。
○蘆野構成員 簡単な話に戻します。在宅医療が余り進んでいない北海道の十勝で在宅をやっていますが、基本的に進んでいない理由は、病院の医師と地域の人たちが在宅という選択肢を持っていない点がはっきりしています。話を戻しますが、この簡単なパンフレット、これを地域の中、いわゆる病院の中で医師も含めて見てもらうというのが第一歩ではないかと思います。恐らくそれによって在宅医療という選択肢がふえてくると思うので、そこにいろいろなリソースがだんだん加わっていけばいい。ニーズがないと誰もそこに手は出さないということなので、最初の議題のパンフレットは非常に重要であると考えています。帯広市でも簡単なリーフレットを作ることになっていますが、このリーフレットの作成が一番重要かと思っています。なかなか進まない地域の中でそう思っています。
○大島座長 ありがとうございます。
北海道の話がよく出ますけれども、日本全体で見れば地域ごとに大きな差があるということだけはお互いに理解しておいて、変化だけはいや応なく進んでいる。それぞれがどううまく乗り切っていくかという対応策、この会議の中ではその中で一番いい方策は何かを追求していきたいと。
ということで、次の議題に入りたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。
○松岡在宅医療推進室長 ありがとうございました。
それでは、資料5について、私から御説明させていただきます。資料の横置きのものでございます。「人生会議(ACP)に関する取組状況」ということでございます。
めくっていただきまして、人生の最終段階における医療については、普及・啓発がなされる必要があるということで、検討会を一昨年度開いておりまして、30年の3月にこの検討会が閉じたわけでございますが、その中で「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」を改訂し、ACP、アドバンス・ケア・プランニングの概念を踏まえた内容になっております。これは2ページに詳細を書いておりますけれども、繰り返し周りの方とお話をしながら、当然、医療従事者、介護従事者も入りながらお話をしながら、自分の最終段階、つまり、最期をどのように過ごすのかについて意思決定を行っていただく。その意思決定をみんなで共有して、それに沿った形でのケアを続けていっていただくことを目指すガイドラインでございます。
3ページ目、そのガイドラインの概要図でございますけれども、本人の意思が確認できるような状況であるならば、いろいろな十分な話し合いを踏まえて、本人の意思決定をしていただいて、方針を決定する。ただ、方針を決定しても当然心身の状況に応じて意思は変わるので、繰り返し話し合う。つまり、上側の矢印のようにぐるぐると回っていくようなプロセスをとっていく。ただ、本人の意思が確認できないような状況、つまり、いまわの際みたいな世界ですけれども、そのようなときになりますと、家族等が本人の意思を推定できる場合には、推定意思を尊重して、本人にとって最善の方策をとると。ただ、そのようなことが推定できないとか、家族がおられないといった方につきましては、医療ケアチームで慎重に判断しながら決めていくことになるのだというプロセスを経て意思決定、そして、その決定された意思に基づくケアを行っていきましょうというガイドラインでございます。
そのときに、主なポイントということで、左に書いておりますが、人生観とか価値観をできるだけ早い段階から把握して、本人や家族等と十分に話し合った上で、その話し合った内容を都度文章にまとめて関係者で共有しておくということが重要ですよというようなことをガイドラインで書いております。
このようなガイドラインを現場に根づかせるために、4ページでございますが、人生の最終段階における医療体制整備事業というものをやっておりまして、アドバンス・ケア・プランニングに関する研修会を医療従事者を対象に行っております。これは2016年からやっている事業でございます。
次のページでございますが、このような取り組みは、御本人や医療ケア従事者のみならず、国民全体でも共有する必要があるのではないかということで、普及・啓発を国民にもしないといけないのではないかという問題意識がこの報告書の中で提示されまして、国はこのようなことをやったらいいのではないですかということが、この赤で囲ってあることでございます。考える日の設定や、この日に合わせたイベントの開催、ポータルサイト、eラーニング等のサイトの解説、ACPについてなじみやすい名称の検討をしてくださいということを言われました。
6ページ、これは骨太の方針でございますけれども、平成30年6月15日に閣議決定された、2018年版の骨太にもACPのようなことを横展開していくのだというようなことが言われております。
そこで、私ども普及・啓発の一環といたしまして、名称はできる前のものでございますが、7ページ、「もしものときのために」というリーフレットをつくって、各自治体にお配りしております。リーフレットを広報に当たって御活用いただくようにということで、幾つかの都道府県、市町村ではこれを使い始めたという報告も聞いております。
また、愛称選定をするべしということがありましたので、ACP愛称選定委員会を開催いたしまして、愛称の選定を行いました。その選定結果は8ページのところの真ん中にありますが「人生会議」という名前を愛称にしようということで決定されたところです。これは意味が明確な単語の組み合わせにより、日常会話に浸透していくことが期待できるとか、家族等、信頼できる人と輪を囲んで話し合うというイメージが湧くという理由で、聖隷浜松病院の看護師さんが提案された言葉だったのですけれども、「人生会議」というものを愛称にしております。11月30日を(いい看取り、看取られ)という語呂で「人生会議の日」と設定いたしまして、人生の最終段階における医療・ケアに考える日といたしました。
このようなことを広報している最中でございまして、一番最後のページはこのようにACPを「人生会議」という言葉を使って、これから私ども表現させていただきたいと思っておりますので、皆様が在宅医療の中で「人生会議」をされて、御本人の治療に当たっての意思決定支援などを行うときには、このような言葉を使っていただけると非常にありがたいと思っている次第でございます。
なお、あした、この愛称委員会の第2回目が開かれまして、ロゴマークを検討することになっております。商標とかを見ないといけないので、しばらくの間、発表することはできないと思いますが、できれば年度末までに「人生会議」のロゴマークを作成し、また皆様御披露するようなことがあればと思っております。
以上です。
○大島座長 いかがでしょう。在宅医療と直接これが関係する。
どうぞ。
○江澤構成員 昨年の診療報酬・介護報酬改定で在宅医療とか訪問看護にACPを行うことが要件に入ったところですけれども、御本人の意思を最大限に尊重するために、医療・ケアチームが合意を形成するというのがプロセスになっております。時期によっては、御本人と繰り返し話し合いを行う時期もございまして、そこで、在宅医療でどのように医療・ケアチームで繰り返し話し合いをする場を持つかというのは、私もいろいろ担当で検討しているところなのですけれども、ぜひ今後、在宅医療におけるACPのモデル的なもの、好事例があればこういった場等で共有していただきたいのが一点。
もう一点は、ACPは今後我が国に事例が蓄積されると思いますので、御存じのように、ほとんど欧米の医学研究をバックグラウンドとしてADよりはACPがいいだろうという結論になっておりまして、ぜひ日本人の文化、風習、哲学、宗教等になじむ、日本人になじむACPを今後蓄積していく必要があると思っていますので、あわせていろいろな事例を共有できればよろしいかと思いますので、本会議においてもお願いしたいと思います。
○大島座長 ありがとうございます。
在宅医療はどうしても機会がこれから多くなっていくことは間違いないと思いますので、これは別に在宅医療に限った場面でなくて、医療・介護、看護、全部従事するところのあらゆるところでぶつかるわけですけれども、一つのガイドライン的なものは必要であろうという御指摘です。全体に合うものをこういった会議を中心に作成してもらいたいというのが医師会のほうからの御提案だと。
いかがでしょう。
どうぞ。
○武久構成員 実際、医師側が、医療側がターミナル、ある程度仕方がないと思って本人がまだ意識もあって割合元気なときにお話ししても、本人は死ぬと思っていない人が多いのですね。だから、入院して客観的に見ても厳しいなと思っても、本人はよくなって帰るつもりにしている人は結構いるのです。その人にACPを強要ではないですけれども、どうしますか、どうしますかと言われたら、本人だったらどう感じるかなと思うときもあるのですけれども、この進め方は結局現場で医師やいろいろな医療従事者が一緒になって、社会福祉士の皆さんにもお手伝いいただいてお話をするのですが、非常に現場では我々も難しい面があります。先ほどおっしゃったような会でいろいろやっていただいて、いろいろな例を出していただけると非常にありがたいと思います。
○大島座長 いかがでしょうか。
どうぞ。
○蘆野構成員 日本ホスピス・在宅ケア研究会の理事会でもこのACPの話題が出ました。一番懸念しているのは、実際に病院の現場で起こっているのですが、「どうやったらACPがとれるのか」とか、「これからACPをとるぞ」みたいな言動が出ています。ACPの研修会が始まってだと思いますが、人生の最終段階で選択を迫るということ、これをACPと思っている人たちが結構いるので、そういった誤解をどう避けて、元気なときに話し合いを始めることを根づかせるかが非常に重要だと思っています。逆に先ほど言った誤解されているところはかなり気をつけないと、国民が「人生会議」と言われた時に嫌なものと受けとめられると非常に困りますので、その辺は注意していかなくてはいけないと思いながら、どう取り組むかを考えております。
○大島座長 ほかにいかがですか。
どうぞ。
○増住構成員 横浜市でも、この問題にどう取り組むかというのは長年の課題だと思っております。かつては、私は病院に行くと、病院の院長先生にこういうお話を患者さんにやっていただくのは医師からしていただくのがいいので、病院で取り組んでいただけませんかという御相談をずっとしていましたけれども、病院としては「勘弁してくれ」と。そんなことを患者に言ったら希望がなくなってしまうではないかということがあって、そういうのは行政の役割だろうと大体反応されることが多かった。
ということで、この辺についてどう進めるかという検討会議を、有識者を集めて進めた結果、ちょうどトピックスとして1月に作ったばかりなのですけれども、先ほど厚労省でも作られたようなものと相似していますが、この程度の表裏のことに用紙に、ある程度年齢を召されたらというか、一つの目安は65歳前後かなと思っているのですが、比較的お元気なうちに、これは「医療・ケアについての『もしも手帳』」という名前をつけました。
これには、自分がなかなか重い病気にかかってしまったときに、どんな治療やケアをその先に受けたいか、ですかとか、簡単な設問を幾つか設けて、御本人に書いてもらう、高齢者御本人に書いてもらうと。なおかつ、すごく簡易に作っておりますし、こんなものですから何枚でも配れます。何も一度決めたらこれ一度切りではなくて、その先、何度でも書きかえていただいていいのだということで、これを市民の方にお配りしようとしています。
配り方としては、ただぽんと置いておいてもなかなかとっつきにくいものでしょうから、きちんと例えば地域ケアプラザなど、比較的お年を召した方がお集まりになる施設がありますから、そういう場所の窓口できちんと説明しながらお渡しいただくとか、そこの職員さんがいろいろな講演会をやるときにそれをお話ししていただいて、その後、書き方まで指導する。
あるいは薬局の窓口で、なかなか薬剤師の方もお忙しいでしょうけれども、それもぽんと渡すのではなくて、なるべく説明していただくということで、例えば薬剤師会とタイアップするため、これを入れるケースをつくりまして、お薬手帳と一緒にこれを持っていただいて携行して、いざというときに見せられるようにする。そういう意図もありましてケースと合わせて配布しました。ケースが使いやすいらしく、これだけ欲しいという人も多いのですけれども、いずれにしても非常に気軽に手にとっていただいて、簡単に書き込めて、何度でも書き直していただく。その上で書いたら、御家族や近しい方、あるいはかかりつけ医の先生と、これをもとに自分の考えをちゃんと伝えましょうということを始めようとしています。
1月に配り出して、まず5万部配りましたけれども、引き合いが多くて年度内にあと2万部追加して作ろうと思っています。ですから、我々が何年か越しでこれにたどり着くまでには、最終的にはこのように気軽に御自身で考えていただくほうに持っていくのが、非常にあんばいがいいのではないかと考えているところです。
1月に配り出して、まず5万部配りましたけれども、引き合いが多くて年度内にあと2万部追加して作ろうと思っています。ですから、我々が何年か越しでこれにたどり着くまでには、最終的にはこのように気軽に御自身で考えていただく方に持っていくのが、非常にあんばいがいいのではないかと考えているところです。
以上です。
○大島座長 ありがとうございました。
どうぞ。
○山口構成員 私たちのところで29年間電話相談を受けてきましたけれども、ずっと変わらないのが、自己決定できないという御相談です。情報がふえても自己決定はできない。そうしたときに、今、高齢者の方向けにこういったことを始めようということですけれども、先ほどの御意見があったように、医療者が最終的にどう決めたかを得るということを目的にしている方が結構いらっしゃることを私も懸念しています。それに、今まで人生の節目節目で明確に自己決定をしてこなかった方が大半で、突然こういう選択肢がふえて、情報がふえて、選ばなければいけない。それも命の選択をしなさいと言われて、右往左往していることが現状ではないかと思います。
確かに今、高齢の方に一緒に寄り添いながら考えていきましょう、決めていきましょうなのですけれども、できればもう少し若い段階から、こういうことを考えて、例えば横浜市でやっていらっしゃることも、少し若い世代の方たちになれていただくということをやっていかないと、高齢になって急に決めなさいと言っても、この国で進めていくのは難しいのではないかと私は思っています。ですので、少しそのあたり、現実の問題だけではなくて、将来的なことを見越して、本当は文科と厚労でしっかり連携してもらいたいというのが本音ではあるのですけれども、子供までということはなかなか難しいとしても、少し若い段階からこういうことを考えて、例えば親のことをサポートするような世代の人にも、自分のこととして、あるいは親のこと、両方並行して考えるような、そういうアプローチが必要ではないかと思いますので、そのあたりも考えていただきたいと思います。
○大島座長 ありがとうございました。
どうぞ。
○江澤構成員 今の御発言のような若いときから考えるのは賛成なのですけれども、文書同意であるADのアドバンス・ディレクティブとACPがコンフューズしているような気がします。
私も研修の講師役もやっていたこともあるのですけれども、全国でACPの研修会を行っておりますが、ACPは元気なときに介入するのではなくて、早過ぎても失敗するし、遅過ぎても役に立たない。実際、研修会でロールプレイングをやっているのですけれども、いずれも非がんで、例えばある事例で言うと、脳卒中をされた方が嚥下障害が残ってしまって、1回目の誤嚥性肺炎が治癒したころに介入するロールプレイングをモデルにつくっていて、ACPというのは非常にデリケートな時期にする。
文書同意は若いときとか、どんどん介入してもいいと思うのですけれども、ACPというのはお元気なときに話し合いをするものではなくて、いざ自分が現実的にそういったことを考え出すときにデリケートに、今後誤嚥性肺炎を繰り返すかもしれないし、今度はもっと重症化するかもしれないしと。ですから、介入時期がACPについてはある程度想定されておりますので、その辺が文書同意と異なります。今回の「人生会議」はACPとなっているので、そのあたりはまた事務局も含めて今後整理していただきたいと思います。
○折茂構成員 ACPなどを通して自分の意思表明をしていて、例えば最期は余計な延命処置はしないで在宅で大往生したいと表明していても、それが明確に残っていなくて、ややもすると家の人というか、近所の人がびっくりして救急車を呼んでしまうと、今度は救急隊は蘇生して助けるものだということになり、そこで齟齬が生まれます。これは消防隊によっては取り下げ書があって取り下げることができる消防隊もあるらしいのですけれども、多くの消防隊は取り下げはできなくて、そのまま病院に運んでいく。ですから、せっかくACP、「人生会議」で意思表明しても、それが現実に病院に運ばれて無機質なところで延命処置をされてしまう現実もあることを、その辺のところを厚労省も何とかしていただきたいと思います。
○大島座長 ありがとうございます。
これまで私も医者を随分長いことやってきたのですけれども、終末期、生前意思をどうするかという議論はずっとあります。きちんと全てを話すべきか、言わざるべきかとか、意思を確認して、その人の意思に沿うようにきちんと死に方をどう準備するかとか、あるいは、脳死がいいか、心臓死がいいか。私は移植などをやっていたので、特にそういう意識が強くありました。
だけれども、結論からいくと、未だにきちんとした方針は出ていない。非常に強く個人の意思を尊重すべきだという人もあれば、そんなことをやったって意思は変わるから最期はどうなるかわからないよというような話まで、さまざまな意見がずっとある。
ただ、今回違うのは、政府が決めたということなのです。国がこういう方向でいこうと、中身そのものについてどうするかということは決めていませんが、いろいろあるということで、これから議論が必要でしょうけれども、「人生会議」などという会議までできて、日本中にこれでいきますよということを公表してしまったわけです。こんなことはこれまで一度もなかった。国が死に方についてまでどうするかをきちんとしなさいということはなかったのです。だから、それがいいとか悪いとかという議論を今、しても意味がないので、こういう形になったらどういうふうによりいい状態に結びつけていくのかと。
きょうの議論も、横浜市の市としての取り組みなどは非常に大きな参考になると私は思うのですけれども、ああいった事例をこれからむしろ出し合って、当然欠点も出てくれば問題点も出てくると思いますけれども、それを一つの制度のような、仕組みのような形でもってどういう形がいいのかを展開していったらいいのかという議論に移っていかざるを得ないのだろう。そういう時代に入ったのだという理解が必要かと思いますが、いかがでしょう。
どうぞ。
○柴口構成員 私、介護支援専門員協会の柴口と申します。
今、いろいろな構成員の先生方から意見を聞きまして、そしてまた、その中で、では、自分たちの職能団体として何ができるのかを考えてさせていただきました。今年度も宮崎市と松戸市で、ここでは国民の方と介護支援専門員を集めて、ACPの研修会をしました。ということで、私どもがどうやって専門職として国民に伝えていくのかというのも私たちの役割ではないかと思っています。
そして、また、3月に今度は岡山に江澤先生に来ていただいて、そこでも在宅に向けて国民の啓発をやっていくということで進めております。自分たちの職能団体として何ができるのかということをいつも踏まえながら取り組んでいくのが今後も必要ではないかと思いまして、発言させていただきました。
以上です。
○大島座長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、時間も相当進んでおりますので、このあたりでこの議論はとめさせていただきまして、これからこの議論を進めるとすれば、こんなことをやったけれども、その結果、どういうことになったのかという情報交換が大きな議論の対象になるのではないかと思ったりしています。
それでは、予定の時間も過ぎましたので、きょうの全体を通しまして、これだけは一言言っておきたいという方。
どうぞ。
○川越正平構成員 日本在宅医学会副代表理事の川越です。
1点、この場で御報告させていただきます。この会議の構成員であります日本在宅医学会と、きょう御欠席ですけれども、日本在宅医療学会が、ことしの5月に合併しまして、日本在宅医療連合学会という統一の学会として再出発いたします。
きょう、これまでも議論しております、この重点分野ですとか「7つの柱」ももちろんですけれども、日本医学会の加盟を目指しておりまして、この分野の学術面ですとか研究面、普及面について、できるだけ尽力していきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
○大島座長 ありがとうございました。よろしくお願いします。
ほか、よろしいでしょうか。
それでは、本日の議論はこれまでとさせていただきたいと思います。
最後に事務局から何かございますか。
○猿渡在宅看護専門官 次回の会議については、詳細が決まり次第、連絡いたします。よろしくお願いいたします。
○大島座長 それでは、これで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

 

(了)
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TEL:03-5253-1111(内線2662)

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