ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ> 第4回 在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ(2018年5月23日)




2018年5月23日 第4回 在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ

○日時

平成30年5月23日(水)10:00~12:00


○場所

厚生労働省医政局 中央合同庁舎第5号館 省議室(9階)


○議事

○堤課長補佐 定刻になりましたので、ただいまから、第4回「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」を開催させていただきます。

 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして、まことにありがとうございます。

 初めに、新たに構成員になられた方の御紹介をいたします。

 鈴木構成員にかわりまして、公益社団法人日本医師会常任理事の松本吉郎構成員です。本日は欠席との御連絡をいただいております。

 玉城構成員にかわりまして、全国有床診療所連絡協議会常任理事の猿木和久構成員です。本日は欠席との御連絡をいただいております。

 また、稼農構成員より、欠席との御連絡をいただいております。

 なお、私どもの医政局長の武田、審議官の伊原につきましては、別の公務のため、欠席とさせていただきます。

 また、本日は医療計画に基づく在宅医療の取り組み状況を御報告していただくため、参考人として栃木県県南健康福祉センター総務福祉部総務企画課早川貴裕副主幹と奈良県福祉医療部林修一郎部長をお呼びしております。

 議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。お手元に、議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料1から資料3、参考資料1から参考資料4をお配りしております。不足がございましたら、お知らせください。

 報道の方で、冒頭のカメラ撮り等をされておられる方がいらっしゃいましたら、ここまででお願いいたします。

 それでは、以後の進行は田中座長にお願い申し上げます。

○田中座長 皆さん、おはようございます。

 議事に入ります前に、団体を代表して御参加いただいている構成員の方が欠席の場合についてお諮りいたします。かわりに出席される方については、事前に事務局を通じて座長の了解を得ること、そして本日の会合において承認を得ること。この2つによって、参考人として参加し発言をいただくことを認めることになっております。

 本日の会議につきましては、猿木和久構成員の代理として、全国有床診療所連絡協議会最高顧問の葉梨之紀参考人、それから、松本吉郎構成員の代理として、公益社団法人日本医師会常任理事の市川朝洋参考人の御出席をお認めいただきたく存じます。いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○田中座長 ありがとうございます。

 それでは、議事に入ります。

 本日は、事務局からの説明と、自治体からお越しいただいている方からの発表をまとめて先にお聞きします。その後、項目別に分けて、議論を進めていく予定でございます。

 まず、議題の「 第7次医療計画における在宅医療に関する策定状況について 」、資料1の説明を事務局からお願いします。

○堤課長補佐 事務局でございます。お手元の資料1をごらんいただけたらと思います。

 まず、1ページ、2ページでございます。前回の合同ワーキングを踏まえた今後の議論の方向性をお示ししており、本日の議論の流れといたしましては、2ページにございますように、 第7次医療計画における在宅医療に関する取り組みの策定状況、第7次医療計画における在宅医療に係る整備目標の策定プロセスの検証、都道府県が把握している医療機関ごとの在宅医療の機能に関するデータ。これらについて、御議論いただく形をとりたいと考えております。

 これらの項目につきまして、前回のワーキング後に都道府県に発出した事務連絡の結果の説明を行い、さらに、在宅医療の充実に向けて先進的に取り組んでおられる自治体から、これらについて、どのように取り組んでいるか、発表していただいた上で、今後、国全体として、どのように在宅医療に関する医療計画の見直し等を進め、どのように地域で議論を進めていけばよいか、整理することとしたいと考えております。

 3ページからが、まず第7次医療計画における在宅医療に関する取り組みの策定状況でございます。

 4ページにつきましては「在宅医療の体制について」。退院支援、日常の療養支援、急変時の対応、看取りといった4機能を確保していることの必要性を書いたものになってございます。

 5ページでございます。こちらは平成29年3月31日の通知で「第7次医療計画における『在宅医療』の追加見直しのポイント」といたしまして、必ず記載していただくこととして、 マル1 でございますけれども、地域医療構想において推計した将来必要となる訪問診療の需要に対応するための、訪問診療を実施している診療所、病院数に関する具体的な数値目標と、その達成に向けた施策を原則記載いただくこととしたことでございます。

 6ページは、先ほどの3月31日の通知にございます、在宅医療の体制に係る在宅の4機能の現状把握のための指標例としてお示ししたものになってございます。以降の資料につきましては、今回、こちらの指標例に基づいて、在宅医療の4機能を見ていくこととしております。

 前回の合同ワーキングを踏まえまして、7ページ、8ページが都道府県に発出した調査の内容のイメージ図になってございます。

 それでは、結果でございます。

 まず9ページで、在宅医療圏を地域医療構想区域と同一に設定した都道府県が37ございました。その他の都道府県につきましては、市町村単位、保健所単位、郡市区医師会単位等がございました。

10ページで、都道府県の退院支援ルールの策定状況でございます。上のグラフは実数になっておりますので、例えば市町村単位で設定しているような都道府県においては実数が多くなってございます。

 そのため、下のオレンジのグラフでごらんいただけたらと思いますけれども、在宅医療圏別の退院支援ルールの策定状況の割合は下のようになっておりまして、全ての在宅医療圏で策定されている退院支援ルールを策定している都道府県は15でございました。

11ページで、地域医療構想調整会議での在宅医療に関する議論の状況で、約4分の3の都道府県において既に在宅医療に関する議論がなされているという結果でございました。

12ページが、第7次医療計画における在宅医療の4機能に関する目標設定の状況を、先ほどお示しした指標例にのっとって分類を行ったものになってございます。

 全ての都道府県が「日常の療養支援」に関する目標設定を行っておりました。その他の機能については、設定状況に差が見られるものの、30の都道府県で指標例以外の目標設定、例えば二次医療圏における退院支援ルールの策定などは今回、指標例以外の目標設定として取り扱ってございますので、そちらは別途掲載をしているところでございます。

13ページからがそれぞれの機能別に見たものでございます。

 まず13ページで、退院支援につきましては、26の都道府県が「退院支援」に関する何らかの指標例に基づいた目標設定をされておりました。そのうち「退院支援を実施している診療所・病院数」を目標にされた都道府県が17でございました。

14ページの日常の療養支援で、先ほど申し上げた原則として記載いただくこととしている「訪問診療を実施している診療所・病院数」について記載がなかった県が8都道府県ございました。

 ただし、括弧書きにございますように、提出された資料において、他の項目等で訪問診療の実施に関して把握しているとした都道府県もございました。なお、長野県につきましては、保健医療計画策定委員からの意見により、保健医療計画策定委員会で協議した結果、訪問診療等の実施件数を目標として設定したものというふうにこちらの文章を訂正させていただきます。

15ページでございます。「急変時の対応」につきましては、31の都道府県が何らかの指標例に基づいた目標設定をされているところでございました。そのうち「在宅療養支援診療所・病院数、医師数」については18の都道府県が、「24時間体制を取っている訪問看護ステーション数・従業員数」については12の都道府県が、目標設定にしている状況でございました。

16ページの看取りについてでございます。37の都道府県が「看取り」に関する指標例に基づいた目標項目を設定している状況でございました。そのうち「在宅看取り(ターミナルケア)を実施している診療所・病院数」についてが、22の都道府県で目標設定をしている最多の項目でございました。

17ページから19ページまでが、先ほどお示ししている指標例以外の記載があった目標項目となっております。

20ページでございます。再掲で「第7次医療計画における『在宅医療』の追加見直しのポイント」としましては、訪問診療を実施している診療所・病院数に関する具体的な数値目標は原則記載していただくこととしたところでございます。

 これにのっとり、訪問診療を行う診療所・病院数に関する目標設定の状況を見たものが21ページでございます。それぞれ診療所数で目標設定を行った都道府県、人口10万人当たりの施設数で目標設定を行った都道府県、施設数の増加率で目標設定を行った都道府県がございました。

22ページにつきましては、今、申し上げたことについて、小括としてまとめたものになってございます。

23ページからにつきまして「2.第7次医療計画における在宅医療に係る整備目標の策定プロセスの検証」でございます。

24ページをごらんください。こちらが「地域医療構想による病床の機能分化・連携」に伴い、いわゆる約30万人の介護施設や在宅医療等の新たなサービス量が見込まれるとしている既存のポンチ絵でございます。

25ページから30ページまでは、これまで医療計画の見直し等に係る検討会などでお示しした資料と通知の内容になってございます。

 これら追加的需要に関する医療計画・介護保険事業計画における目標・見込みのイメージに基づきまして、実際にサービス量を策定するに当たり、2830ページでございますけれども、患者調査の活用、病床機能報告の活用、KDBシステムの活用について、それぞれ一長一短があることをお示ししたものが31ページになってございます。

 介護施設・在宅医療等の追加的需要の受け皿となるサービスの検討に資するデータとしてお示しした3つのデータを比較した場合、集計データの精密さの観点ではKDBデータが最もすぐれていると考えているところでございました。

 今回の発出した事務連絡の結果が32ページからになってございます。

 まず、都道府県と市町村等による「協議の場」の開催回数で、こちらは二次医療圏当たりの平均になっておりますので、必ずしも整数になってはございませんが、平均で1.5回、中央値で1回の開催状況でございました。

 また、都道府県と個々の市町村との「事前協議」の実施回数におきましては、平均で2.1回、中央値で2回の実施状況でございました。

 約半数の二次医療圏におきまして「協議の場」は地域医療構想調整会議を活用されたという結果でございました。

33ページが、先ほどお示ししましたデータの活用状況でございます。

 追加的需要の受け皿となるサービスの検討に当たり、最も多く活用されたデータは「患者調査」で、35の都道府県でデータの提示がございました。一方「KDB」のデータを協議の場に提示したのは13都道府県にとどまっております。

 これら、各データを活用しなかった理由の例としまして、下の括弧にございますけれども、いずれのデータも利用しなかった県におきましては、介護療養型の施設からの移行分で、追加的需要に全て対応可能であったため、不要であったという県もございますし、KDBを活用しなかった県については、時間的な制約、経費の発生、技術的な困難さから対応が困難であったという声を聞いているところでございます。

34ページ、35ページが、各都道府県の追加的需要に対応するサービスごとの目標・見込み量の設定状況でございます。

 こちらは平成322020)年時点における介護施設・在宅医療等の追加的需要に係る機械的試算と、第7次医療計画・第7期介護保険事業(支援)計画における目標・見込み量に反映した値の比較になってございます。一部の都道府県では、その受け皿となる介護・在宅医療サービスの目標・見込み量を十分に設定できていないことがわかりました。

36ページでございます。こちらは、これまでの地域医療構想による病床の機能分化・連携に伴う追加的需要に関しての小括の見出しとなってございます。

 最後に3つ目といたしまして、37ページからが「3.都道府県が把握している医療機関ごとの在宅医療の機能に関するデータ」でございます。

38ページが、前回3月2日の合同ワーキングでお示しした論点でございます。

 在宅医療の体制整備に係る取り組み状況につきましては、既存統計調査等を活用することもできますが、患者の重症度や要介護等の患者の特性を把握することはできません。また、独自調査をしない限り、在宅医療への参入意向についても把握できないのが現状となってございます。

 また、先進的な都道府県につきましては、地域の在宅医療資源を把握するための独自調査等が行われていた実態を踏まえ、在宅医療の体制整備に係る取り組み状況の可視化がなされているところでございます。

 そこで今回、都道府県に調査をしたことの内容が40ページ、41ページでございます。

 前回の合同ワーキングを踏まえ、在宅医療の機能に関する調査を病院、診療所、訪問看護ステーションごとに、どのような調査項目を設定し、把握されているのかを調査いたしました。

 病院を対象とする調査項目としましては、訪問診療の実施状況、訪問看護の実施状況について、それぞれポツにありますような項目について調査を行っております。

 診療所については、病院を対象とする調査項目と同様に設定をしました。

 また、訪問看護ステーションを対象とする調査項目については、訪問看護の実施状況について以下のように調査の項目を設定しているところでございます。

 最後に、調査結果の共有状況としましては、これら都道府県が把握した項目について、市町村への共有状況、医療機関等への共有状況、協議会等の場の、会議の場での共有状況についても把握していただくための調査を行ったところでございます。

42ページからが結果でございます。

 在宅医療の医療機関に関する調査の実施状況につきましては、35の都道府県で実施しているという状況でございました。

43ページ以降は個別の項目についての結果でございます。

 直近の調査の調査対象としまして、病院、診療所は約7割の都道府県で調査対象とされておりましたが、訪問看護ステーションについては4割にとどまっております。

44ページから46ページまでが、病院を対象とする調査項目でございます。

 概要としましては、訪問診療の実施状況について盛り込んでいるのは約7割で、訪問診療を実施している医師数、今後の訪問診療の実施予定についての把握状況は約4割にとどまっております。

 また、さらに粒度の細かい患者数でございますとか、サービス量、提供量についての把握状況につきましては、訪問診療の実施した患者数、訪問診療の実施回数については、約6割が把握をされておりますが、患者の特性である重症度や要介護度別の調査につきましては、ほとんどの県でまだ把握ができていないという現状でございました。

4749ページが診療所を対象とする調査項目で、先ほど申し上げた、病院を対象とする調査項目と同様の傾向がございました。

50ページ、51ページが訪問看護ステーションを対象とする調査項目になってございますけれども、訪問看護の実施状況について約4割、看護師数について約3割の把握の状況でございました。また、今後の訪問看護の実施予定については、5の都道府県のみで調査項目として盛り込んでいるという状況でございました。

 病院、診療所と同様に、訪問看護を実施した患者に関する特性について、十分に把握しているというふうに考えられる重症度や要介護度別の把握をされている県は1桁にとどまったところでございます。

52ページ、53ページがそれぞれの調査結果の共有状況でございます。集計したデータについて、市区町村と共有されている都道府県は18にとどまりました。また、医療機関ごとのデータについては、6の都道府県が共有したという結果にとどまっております。医療機関への共有状況も同様の傾向にございました。

 調査結果の協議会等の場での共有状況につきましては、集計されたデータについて約半数の都道府県が共有されているという状況でございました。

54ページは、この項目に関する小括になってございます。

 以上をまとめまして、55ページが「本日の論点(ヒアリングポイント)」とさせていただいているところでございます。

 1つ目の、第7次医療計画における在宅医療に関する取り組みの策定状況につきましては、原則記載していただくこととしている「訪問診療を実施している診療所、病院に関する具体的な数値目標と、その達成に向けた施策」について、目標設定を行っていない都道府県は、策定するように促してはどうか。

 2つ目の、第7次医療計画における在宅医療に係る整備目標の策定プロセスの検証におきましては、在宅医療・介護サービス双方のデータを把握することができる国保データベースについて、自治体が利活用できるような支援を充実させてはどうか。

 3つ目の、都道府県が把握している医療機関ごとの在宅医療の機能に関するデータにつきましては、地域で議論をしていくために必要な、患者に関する情報や、今後の訪問診療の実施予定等について、都道府県が把握していくことが必要な内容等を整理してはどうかという形でお示しさせていただきました。

 以上でございます。

田中座長 ありがとうございました。

 続いて、栃木県と奈良県の取り組みを御説明いただきます。資料2の説明は栃木県県南健康福祉センター総務福祉部総務企画課の早川参考人から伺います。また、資料3の説明は奈良県福祉医療部林参考人から伺います。

 初めに、早川参考人、お願いします。

○早川参考人 栃木県の早川と申します。よろしくお願いします

 資料2をごらんください。栃木県につきましては、在宅医療の充実に向けた取り組みということで、医療計画の全体をどのように策定したかということと、今後の在宅医療の推進に向けて、どのような取り組みを考えているか。あと、今回使用しましたKDBの活用などについて説明させていただきます。よろしくお願いします。

 まず1ページ目で「今後の在宅医療の推進に向けて」です。

 2ページ目をごらんください。本県におきましては、2次医療圏と高齢者福祉圏域、これは6つありますけれども、一致しております。ただし、2次医療圏の中にも各郡市医師会がございますので、在宅医療圏については各郡市医師会の機能といいますか、働きかけを重視するということで、郡市医師会単位で設定している状況です。ですので、6つの2次医療圏がございますけれども、在宅医療圏としては11ということになっております。

 3ページ目をごらんください。本県の医療・介護の状況ということで、全体像を示しております。

 本県は200万人弱の人口がおりますけれども、高齢化率は全体で27.0%、地域によって少し差はありますが、低いところで24%、高いところで3割を超えている状況となっております。

 要介護度の認定率につきましては、県全体で15.9%なのですが、これは全国的に見て低い方となっております。

 真ん中から右側のほうには、在宅の訪問診療実施医療機関数や在宅療養支援診療所の数がありますけれども、県全体として在宅医療を行う診療所や訪問看護事業所等は全国的に見ても少ない状況というのが本県の特徴になっております。

 また、一番右側には療養病床数を圏域ごとに示しておるところでございます。

 4ページ目に移りますけれども、本県の医療計画の策定の流れを示したものとなっております。

 県全体の在宅医療の体制を話し合う場が、一番上にあります在宅医療推進協議会です。これは例年、年2回から3回ほど実施しております。計画策定年は4回実施するというのが一般的な形です。

 中ほどに医療・介護の体制整備に係る協議の場ということで、これは昨年度から始めたものですけれども、基本的には2次医療圏ごとに1~2回開催しております。5つの医療圏で2回、1医療圏だけ日程の都合で1回という開催となっておりました。

 そのほかに、県の調査・分析ということで、独自の調査等を平成28年度から実施しているところです。全体の流れとしましては、28年の最後のときに、前回の6期計画の総括ということで、国から提供されております医療計画作成支援データブック等を用いまして、在宅医療の現状と課題について一定の整理を行っております。同時期に、在宅医療や医療に関する実態調査を県独自で行いまして、このデータ等を用いまして、29年度に入りましてから、もう一度、在宅医療に関する実態の整理や、国の指針等に従って今後の体制のあり方を考える協議会を4回ほど開催しました。

 医療・介護の体制整備に係る協議の場につきましては、夏の国の通知を踏まえて、おおむね9月から10月に1回、その後、2回目を11月、12月にかけて開催するということを医療圏ごとにやっております。その間に意見照会として、この按分の考え方を地域で共有するために、夏にかけて行った各種の調査のデータをお示し意見を伺った上で、これを2回目の協議の場にかけ、さらにそれを県全体の協議会にかけて、按分の考え方や今後の体制を諮った。こういう流れで計画を策定しております。

 これらのさまざまな会議や、郡市医師会や市町村との意見交換、ヒアリング等を通しまして、主な取り組みの方向性というものをまとめたものが5ページ目となっております。

 少し字が小さくて申し訳ありませんが、左側が主な現状と課題を列挙したものとなっています。これらを踏まえて、県や協議会等の意見の中で、今後必要と考える取り組みを整理しております。大きく4つに分けてございます。

 1つ目は、栃木県自体が訪問診療を実施する診療所が少ないということもございますし、在支診自体が届け出はしていても実績のないところもたくさんあるということがありますので、まずは在支診や訪問診療という形だけにこだわらず、より多くの医療機関が在宅医療に参加するような仕組みをこの計画の中でつくってはどうかという意見がございました。その中で、医療機能の見直しや在宅医療において積極的な役割を担う医療機関の見直しを図るということと、それに合わせてインセンティブの導入をできないかということを検討した次第です。

 2つ目につきましては、やはり在宅医療を行う医師等の負担軽減ということがかなり大きな課題となっておりますので、訪問看護の体制の充実、あわせてグループ診療体制や後方支援体制のあり方について、これも県として進めていかなければいけないのではないかという意見をいただきました。

 さらには在宅医療・介護連携の推進を図るという意味でも、これからさらに重症度あるいは要介護度の高い患者さんがふえてくるということもありますので、多機関や多職種がともに専門性を高められるような取り組みを進めていかなければいけないのではないか。こういう意見もございました。

 また、提供側だけの取り組みではなくて、在宅医療を利用する、あるいは選ぶという県民あるいは地域住民のニーズを把握していく必要がある、あるいはそれらの選択を支援する必要があるのではないかということで、県民の意向・ニーズ等を把握したり、機能別医療機関としてどのような医療機関あるいは施設等がどのような在宅医療を提供できるか、それをしっかり明示していくべきではないかという意見等がございました。

 これらを基本的な取り組みの方向性として、県の中で位置づけて計画を策定するということにしております。

 6ページ目が、この医療計画における「在宅医療の連携体制」の概要を示したものです。

 先ほどの説明にもありましたけれども、左側の下のほうに図がございます。見なれた図のようにも見えますが、これは日本在宅ケアアライアンスの図を一部借用しております。

 本県としましては、在宅医療あるいは「かかりつけ」を進める中で、この体制をつくっていこうというのを基本の方針としましたので、これまでの退院支援、病院から地域へという移行だけではなくて、地域に暮らす人が外来にかかりながら、そこから在宅で過ごす、在宅療養をしていくということを明確にしたいということで、これは医療従事者だけではなくて、県民に向けての説明にもなりますけれども、そこを意識して、「移行支援」という枠組みと、その中に外来から在宅へ、病院から在宅へということで、「導入支援」と「退院支援」という枠組みを定めることにしております。

 また、あわせまして、外来から在宅へという中では、かかりつけの医療機関というものが大事になりますので、このかかりつけ医療機関の参加促進をする取り組みを入れていくことを明確化したものとなっております。

 7ページ目に移りますけれども、実際に地域の体制をつくっていくということですので、キープレーヤーとして4つを意識しております。

 1つは郡市医師会等の、それぞれの地域における在宅医療に携わる医療機関を構成するメンバー。

 もう一つは、これは県域になりますけれども、これまでは病院への取り組みがなかなか少なかったという指摘もございましたので、県医師会を始めとした各団体に、病院が入っているような病院協会を加えて、何か新しい事業の取り組みを進められないかということを考えました。

 もう一つは、在宅医療・介護連携のまさに推進を担う市町村の役割と、それにあわせて県の役割として保健所、栃木県では「広域健康福祉センター」になりますけれども、ここの位置づけをまたさらに明確化することによって、この4者によってそれぞれの地域の体制をつくっていくのだということを打ち出した次第です。

 また、この計画をつくる中で、8ページ目に移りますけれども、「在宅医療において積極的な役割を担う医療機関」、これは指針にもうたわれていますが、この役割を栃木県では2つ定めております。

 1つは在支診等の施設、診療報酬上の施設基準が定められている医療機関。これに加えまして、繰り返しになりますけれども、かかりつけの医療機関ということで、かかりつけ医、ドクターだけではなくて、病院、診療所、歯科診療所、薬局、訪問看護ステーション、これらを全てかかりつけの医療機関として位置づけ、プラスして在宅療養支援に係る医療機関の2段構えということで構成していく中で、それぞれの連携や役割を図っていきたいということを考えております。

 また、圏域に、あるいは地域にどのような医療資源があるかということを明確に提供していく、示していくために、この在宅療養において積極的な役割を担う医療機関になったところにつきましては、年1回の調査を行う予定としております。これが9ページ目に示したものです。

 その9枚目の左側は、例年、医療計画の策定にあわせて行っております在宅医療の実態調査、もう一つは今年度から実施します機能別医療機関の現況調査となっております。これは在宅医療以外の分野においては既に実施しておりましたけれども、今年度から在宅医療につきましても、年1回、県の登録を受けた在宅医療において積極的な役割を担う医療機関については調査をかけて、表に調査内容を示しておりますけれども、これらを明確にしていくということで、この結果を整理して、ホームページで公表して、地域の資源を明確に提供していきたいと考えております。

 在宅医療の計画の策定の流れと大枠は以上になります。

 続きまして、10ページ目からは今後の追加的需要に関する考え方をどのように整理したかということです。10ページ目から14ページまでにつきましては数値の提示になっております。

11ページ目にありますとおり、地域医療構想を策定した段階で、右側にあります「在宅医療等」という部分では、2025年で1万7,000人程度というのが示されておりました。この中では追加的需要を含まない訪問診療分が6,500となっております。

13ページ目をごらんいただきたいと思いますけれども、これが3年後、6年後、8年後、どうなるかというものを数字で示したものがこの図となっております。

 左側にある7831,5662,088というものが追加的需要のうち、C3未満を除いた、いわゆる医療区分1に該当する部分の変化を示しています。この按分をしていくということを地域医療構想調整会議であったり、協議の場において説明して、これを見ていただきながら議論を進めていくという形をとりました。

 実際には圏域ごとに開催しておりますので、14ページ目に示しますとおり、個々の圏域の数値をお示しして、それぞれに自分の地域の数値を見ていただきながら議論をするという形をとっております。

15ページ目からが協議の場の進め方となっております。

16ページ目をごらんください。栃木県の昨年度の協議の場につきましては、地域医療構想調整会議の体制を基本としまして、そこに介護療養病床を有する病院や診療所、また、医療療養病床を有する病院や診療所のうち、今後、介護医療院に転換意向のある病院、診療所を加えた形で協議の場を開催しております。ここには市町村の医療計画に関係する部門であったり、介護保険に関係する部門の担当課長等の出席を要請しております。

17ページ目ですけれども、基本的には医療圏ごとに2回の会議と1回の意見照会を含め意見を聞く場を3回と、この各協議の場を開催する前に各郡市医師会や市町村と面談、ヒアリングをする機会を設けて協議を進めているところでございます。

 実際に18ページ目にお示ししてありますものが、2回目の協議の場において按分を考える上で県が提示した表となっております。栃木県としては、国保データベースの分析の結果と、県が行いました医療実態調査。これは患者調査の栃木県版と考えていただければよいと思います。また、病床機能報告。この3つと、参考として患者調査のデータをお示しして、集計単位であったり、対象者の特性であったりするものを説明しながら、按分についての意見を諮ったという形になります。

 栃木県としましては、国保データベース分析のデータを用いて、それを目安にそれぞれの圏域で検討してはどうかということで提案しております。その理由としましては、下の囲みにありますけれども、それぞれの協議の場において「検討課題に即したように、療養病床の医療区分1の患者に限ったデータを示せないか」という要望がありまして、こういう意見を踏まえて提示したものがこのKDBの結果となっております。

 実際に時間的な制約等がありまして、今回は、国保の対象者のみの結果になりましたけれども、患者調査の結果と近いものであったり、例えば圏域ごとのデータが示せなかったといった限界もありますが、現場の感覚に近いところで議論いただきたいということで、これを提示した次第となっております。

19ページ目、20ページ目のスライドは、その協議の場において出た意見となっておりますけれども、このデータを示すことによって、19ページ目の上から2つ目、3つ目のポツにありますが、やはり入院して退院できた人だけではなくて、退院できていない、入院を続けている方のデータ等もしっかり分析していかないといけないのではないか。こういう具体的な意見もいただきました。また、退院していく、あるいは地域で暮らすということについて、患者や家族の意向をしっかり確認していかないといけないのではないか。こういう意見もありましたので、計画の中で住民の意向を確認していくような取り組みもすべきではないか、こういう方向性につながっております。

 実際に21ページ目からが数値となっておりますけれども、全体として2020年のデータ、21ページ目の一番下にありますが、右から2列目が訪問診療の需要ということで、これは人口構成の変化のみを考えたものが5,859となっておりますが、これに圏域ごとに按分したデータを加えたものが、右側にありますけれども、6,043。この数値を圏域ごとに担保していくのだということを意識していただいたということとなっております。

 これ以降はKDBデータの活用について、少し説明させていただきます。

23ページ目になりますけれども、これは国の示したデータの活用の仕方で、これに基づいて栃木県としては分析を行っています。

 実際には24ページ目にありますとおり、真ん中にありますが、KDB被保険者台帳、医療摘要、介護レセプトの3つの生データを各市町村の同意を得て県が収集しまして、県のほうで直接、このデータ分析を行っております。

25ページ目、26ページ目がどのような対象を扱ったかですけれども、概括しますと、28年1年間のデータを全て県のほうで収集しまして、療養病床医療区分1の患者さんについて、入院歴と退院歴と退院後の在宅サービスとして、在宅診療の実績の有無と、それ以外に介護施設に入っているかどうかの評価をしたということになっております。

28ページ目が、実際に確認できた数値となっています。28ページ目にありますとおり、療養病床の医療区分1の入院患者数、これは国保だけですけれども、1年間に入院した人が156人ございました。このうち半年間退院した方は約80名で、半分ぐらいの量となっております。その中で国保の資格を喪失していない方を抽出しておりまして、その中で介護サービス利用者が35、介護サービスを利用していない人が37名ほどおりました。実際に、その35人の介護サービス利用者のうち、訪問診療を受けている方が3名、老健または特養に入っている方が10名ということで、この10対3を一つのベースとして協議の場で提案した次第となっております。

29ページ目、30ページ目につきましては、入院した方と退院できた方とで要介護度の分布が違うかどうかを参考として示すために地域に提供した内容となっております。

 実際にKDBデータを活用した有効性や課題等についてまとめたものが31ページ目からになります。

33ページ目をごらんください。本県としてKDBデータを活用する一つの強い動機となったものは、やはり各地域において「この課題にフィットしたデータを提供してほしい。それに基づいて具体的な議論をしたい。」という意見がありましたので、こういう意見を受けてデータの分析を行ったものです。

 実際にKDBデータを活用してみての感想ですけれども、やはり他の調査に比べて実態を反映したデータが提供できているのではないかという感想を持っております。また、自分の地域、あるいは自分の県のデータが提供されるということで、それを臨床あるいは現場の感覚と擦り合わせながら議論が交わされたという印象を持っております。

 また今回、栃木県のデータ分析では行っておりませんけれども、下の囲みの中にあります4つ目ですが、個人がどうサービスを受けているかだけではなくて、受けたサービスのデータからそれを再構築することによって、どういう事業所、診療所、医療機関等がどのくらいのサービスをどこに提供しているか。地理的な分布も含めて把握できるということが一つのメリットではないかと思っております。もちろん、栃木県民全員の情報がわかるわけではありませんけれども、そういうデータを提供していくことが強みになるのではないかなと考えております。

 また、課題としましては、34ページ目になりますけれども、やはりデータの量が大きい。あと、ファイルの数も大きいということです。この点は、都道府県単位で集計する際には、データサイズが大きいということで、市町村ごとにデータを分割して提供していただきました。実際に栃木県では約60万人の被保険者の方がいましたが、私たちが取り扱ったファイル数は625ファイルとなっております。実際にファイルのサイズとしては数メガのものもあれば500メガを超えるものもありまして、なかなか都道府県単位でこれを扱うのはかなり苦労するというのが現状でございました。実際にデータの入手から分析までに要した時間は1カ月半程度で、これはほかの業務もしながらにはなりますが、このぐらいの時間がかかっております。

 今後の活用についての意見ということですけれども、市町村や都道府県職員がこのKDBを見ればいいではないかという意見もありますが、作業の負担がかなり大きいということがございますので、データ利活用に向けた体制の整備があるとよいのではないかと考えております。また、そのデータをもらうだけではなくて、自らそれを分析できるように、加工された医療圏単位や市区町村ごとのデータが提供されるとよいではないかと考えております。さらには、もらったデータを分析するといっても、なかなかその分析に手が回らないこともありますので、分析ソフトの配布であったり、分析例や結果の読み方、そういったことの研修会等も実施できるとよいのかなと考えております。

 栃木県では、この(参考)以降にありますように、在宅医療の目標項目を4つ設定しております。

36ページ目にある4つの数値がそれです。今回はストラクチャーの項目だけを設定しました。これは、まずは栃木県自体が全国的に見ても在宅医療の資源が少ないということがございますので、6年間のうち前半については、まず体制の整備をしっかりすることで、取り組む医療機関をふやすことを目的に、この4つを目標としたところでございます。

 実際に、この医療圏ごとに体制整備を意識して進めていただく必要があるということで、例えば「訪問診療を実施する診療所、病院数」の掲載に当たっては、在宅医療圏ごとの必要数を計算し、お示しし、それを積み上げる形となっております。これをすることによって、自分の在宅医療圏でどのくらいの医療機関が参加しなければいけないか。この意識づけを図りたいということで、このような取り組みを考えました。

 栃木からの報告は以上です。

○田中座長 今後への提案や目標まで含めて、大変丁寧な説明、ありがとうございました。

 続きまして、林参考人、お願いいたします。

○林参考人 貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。奈良県からは、きょうの論点になっております目標設定やデータ分析を中心に御報告をさせていただきたいと思います。いろいろ試行錯誤の途上でございますので、いろいろな目から御指導いただければありがたいなと思っております。

 2ページに少しだけ暗中模索の状況の一例をお示ししたいのですが、奈良県は全国の中で「自宅での死亡者」が多い。全国で3番目に死亡者数に占める自宅での死亡者の割合が高い県でございます。歴史的に見ると、昔、多かったのに今は少ない県とか、逆の県があるという、非常に傾向が一定しないという性格のものでございます。

 なぜなのだろうということを考えても、なかなかよくわからないのが現状であります。奈良県は確かに訪問看護の従事者が多いとか、在宅医療の基盤が少しある、あるいは県内のいろいろなところにあるということはあるのですけれども、それ以外の文化的・社会的要因であるとか、あるいはそもそも「自宅死」の中で「在宅看取り」ではない、いわゆる孤独死のようなものも入っているのではないか。いろいろな説があって、なかなかこのデータを一つ取り扱うに当たっても、どう解釈するかということが難しいという状況でございます。

 では、本題に入りまして、3ページからが医療計画の策定についてでございます。

 ポイントとしては4ページにまとめてございますけれども、国の策定に向けた指針を遵守させていただいて、地域の現状把握・現状分析については独自のレセプト分析、後で述べますが、それを行いました。また、圏域の設定については地区医師会あるいは市町村との関係が重要でございますので、一次医療圏(市町村単位)の圏域設定とさせていただきました。関係機関の連携や都道府県内での評価についてもしっかり取り組んでいきたいと思っております。

 5ページが「医療と介護の連携・調整」でございますけれども、協議の場につきましては、全市町村との会議を実施したり、また、地域医療構想調整会議を活用して、在宅医療等については医療従事者・介護従事者がいらっしゃるところで議論をさせていただきました。

 追加的需要については、先ほど国からも御説明があったとおりのやり方をさせていただきましたけれども、御説明をいろいろなところでさせていただきましたが、皆さんなかなか難しいなという表情をしていらっしゃったというのが実情でございまして、特に大きな意見等はありませんでした。市町村とは、この追加的需要をしっかり計画の中に反映できるように、個別に調整をさせていただきました。

 また、一体としてつくったということを形の上でもあらわそうということで、真ん中にありますように、表紙も同じものを使うということで、この一体感を出させていただくような工夫をさせていただきました。

 7ページが「現状と課題の把握」についてであります。

 これまで、やはり医療計画の中では、事業所数など提供側のストラクチャーに関する指標を中心に使ってまいりました。在支診の事業所数であるとか、訪問看護事業所数。これが一番使いやすいということで使ってきたのですけれども、指標の限界としては、後で述べますけれども、事業所の中には在宅医療をほとんど提供されていないような事業所もあるということで、事業所数が提供体制をあらわしているかどうか、非常に疑問が生じてきている状態だと思います。

 また、特に訪問看護など、事業所の大規模化によって質の向上や提供体制の充実を目指すという時期にある中で、この事業所をどんどんつくっていくということが本当に施策の進捗指標になるのかということにも疑問を持っております。

 むしろプロセス指標、訪問診療患者数であるとか、そういったプロセス指標として患者数を重視していきたいということで、KDBと同じデータを使って独自の集計をするということで、システムをちょっとフレキシブルに使いたいので、KDBそのものを使ってはいないのですけれども、基本的にはKDBと同じデータを別途で独自に集計をさせていただきました。

 その結果は後で述べますけれども、やはり健保のものであるとか、生活保護とか、網羅できていないデータもあるので、全体が見えないということと、ほかの県と比較ができないといったところが限界であろうかと思います。

 8ページに「目標・指標の設定」についてでございます。

 国のほうから示された必須目標設定については、それを取り入れて実施させていただきました。あと、右側に県としての目標でありますけれども、看取りや死亡診断。これは非常に重視をしておりまして、こういった件数がふえるようにということは県としての政策の目標というふうにも考えております。

 ただ、幾つになればいいかという目標の具体的な数値を示すことがなかなか難しいので、現状値を記載し、そして、この目標値をふやしていこうという方向性を記載するにとどめまして、何年後に何件の看取り加算をするという数値についてはなかなか根拠も難しいということで、数値そのものは記載できなかったということでございます。

 ここまでが医療計画の策定に当たって、若干工夫させていただいたところ、少し及ばなかったところでございます。

 9ページから「2.今後の取り組みに向けて」ということで、きょうの話題でありますデータの分析について、特にまとめた資料とさせていただいております。

10ページで、これまで地域医療構想策定時に在宅医療をふやしていきましょうという将来の医療需要としての目標が国から提示をされて、これをベースにずっと、ここ2~3年、議論してきたというのが現状でありますけれども、10年後に1.5倍とか、10年後に2倍ということをお示ししても、目標設定の妥当性ばかりが議論されていて、それをどうしていこうかという議論になかなかならなかったという忸怩たる思いがございます。医療関係者が我が事として「当事者意識」をなかなか喚起できなかったということで、また、個別の地域の目標につながらないものですから、国から見ると県の数字というものは十分地域の目標であるように思われると思うのですけれども、県の中で見るともっと小さな区域で目標を、数字を示していかないと、我が事として捉えていただけないという状況がございます。

 本当に知りたいのは、地域別に見て、訪問診療や訪問看護はそこで、その住所地で提供されているのかどうか。例えば携帯電話のサービスエリアのような地図を皆さんごらんになったことはあると思いますけれども、ああいう地図が本当にこの分野でも書けないものかというところが本当に知りたいところ。また、2025年の提供量の目標に向けて、各年度、どこまで進捗してきているのか。この地域は進捗している、この地域は進捗していない。そういうことがわからないのか。地域ごとのサービス提供の過不足です。それから、小児といった分野はどうしても見逃されがちですので、小児の在宅診療が行われているかどうか。施策を立案する上では、このようなことをやはり知りたいということでございます。

 これまで利用可能であった情報で、例としては医療機能情報提供制度という制度がございますけれども、これは医療機関がある程度アップデートしてくださっているのですけれども、どうしても時点がそろわない。また、更新されていない医療機関が多いということで、統計や指標としての利用には現時点では適していないと思います。

 データブックについては、だんだんきめ細かいデータを御提供いただくようになってありがたいなと思っているのですけれども、過去のデータがまだ二次医療圏単位であるために、市町村ごとの経年比較ができない。どれだけ伸びてきたのかということをお示しすることはまだできない状況であります。あと、詳細な患者数の定義などがどうしてもよくわからないところがありまして、他の指標との比較が難しいという状況。また値が、毎年のデータブックを横に並べてみると数字が揺れていることがありまして、経年の比較がなかなかしにくいなという現実的な問題があります。また、高齢者向けの住宅と個々の家を区別しないと施設の、有料老人ホームがふえているのか、在宅医療が充実しているのかというところの区別がつかないというところがございます。

 それから、各種の統計調査で見ますと、医療施設静態調査や患者調査は調査周期がどうしても長いということや、患者調査は抽出調査ですので、地域レベルでは正確性がよくわからないということがございます。あと、訪問看護について、きょうは資料1でもありましたけれども、介護サービス施設事業所調査という福祉系の調査があって、ここは訪問看護ステーションが調査対象になっていまして、提供件数が事細かに書かれているはずなのですが、まず国としての集計表の提供は都道府県単位まででいただいているということと、保健関係の調査は保健所を通っていきますので、調査票を県が確認する機会があるのですけれども、この福祉系の調査は事業所から直接、国に調査が回答されるということで、県を経由しないものですから、事業所としてはせっかく答えていただいても、県はこのデータを利用できないという状況にあります。

 次に「課題と対応」とさせていただいておりますけれども、したがいまして、従前の統計や、国からの情報ではなかなかきめが粗いということ。また「事業所数」を指標とすることの意味が乏しいのではないかということ。もう一つ、では、提供者の実感を聞いてみようということで、大分、担当者にも回ってもらって、現場の先生方にもお話を聞いたのですけれども、今、十分提供できていますという、サービス提供できている当事者の、患者さんからのことしか見えていないという傾向があるように感じました。

 そこで、レセプトなどを活用して、いろいろな、もっと細かな実態把握を図ることとしようと思ったわけでございますけれども、自治体では国保・後期高齢のレセプトしか利用できないという限界がまずございます。ただ、在宅医療を受ける患者さんの大半は高齢の方々でございますので、国保・後期高齢のレセプトでも、提供量の大半は把握ができると判断をしました。ただ、小児などについては把握ができていないということを知っておく必要があると思います。

 あと、訪問看護ステーションについてはレセプトでやろうと思ったのですけれども、医療保険の訪問看護ステーションのレセプトというものは電子化されていないので、提供量のかなり多くの部分がレセプトでは把握できないということになります。したがって、これについては介護サービス施設・事業所調査が使えないかと思ったのですが、先ほど申し上げたような理由で、県として改めて調査をする必要があり、やむを得ずすることになったということでございます。

13ページは訪問看護ステーションの実態調査で、青が介護保険の利用者数あるいは訪問件数、赤が医療保険の利用者数・訪問件数ということで、医療保険の部分のシェアがこれぐらいあります。

 あとは「在宅がん総合診療料」という、医療保険で包括になっている患者数で、これはレセプトに出てこないのですけれども、若干だけいらっしゃるということがわかりました。

 訪問看護ステーションの大規模化などについて、いろいろな課題についても一緒に御質問をさせていただきました。

14ページが、これは少しやってみて興味深かったのですけれども、自分の施設のことではなくて、訪問看護ステーションに対して、ほかのいろいろな事業所のサービスについて、例えば病院についてどう思いますか、訪問診療の状況についてどう思いますかと、地域の状況をお伺いいたしました。

 これは訪問看護ステーションから見た在宅医療の状況であります。二次医療圏が5つありますので、5つに分けて集計をしております。

 例えば一番上の奈良とかで、これは奈良市のことでございますが、奈良市は在宅医療の提供量としては非常に充実をしているところというふうに認識をしておりまして「1.訪問診療を依頼できる診療所が地域になく困ったことがある」という回答はほとんどなかったわけなのですけれども、例えば「3.患者数が多く、新規患者を受け入れてもらえないことがある」という回答で見ますと、ほかの地域を上回って1番になっているということで、非常に少ない診療所といいますか、一部の優良な診療所に患者さんが集中しているような傾向があるということがここから見てとれます。

 また4.の、こういう質問をするのも躊躇したのですけれども「4.診療内容や質に不安があり、依頼を躊躇することがある」という選択肢で、地域ごとに見ると非常に高い数値を示しているような地域もあったということでありまして、こういったことにもどう対応していくのかということが問われているのではないかと思います。

15ページからがレセプトの分析についてでございます。

 先ほど申し上げましたように、KDBと同じデータを使っておりますけれども、データベースをそのまま使うのではなくて、大学に委託をしたりするような関係で、同じデータを別に市町村からいただいて活用させていただいております。医療・介護の連結をしたデータを使わせていただいております。

 限界としては、地域保険のデータだけでありますので、被用者保険や生活保護のデータが含まれていないということで、地域のサービスの総量をあらわすものではないということ。それから、住所地としては、住所そのものは書いてあるわけではなくて、保険者の所在地、すなわち市町村をもとに集計しておりますので、保険証を持ったまま転居されたりとか、住所地特例でほかの地域に住まわれている方はもとの保険者の住所地で集計をされてしまっているという限界がございます。

16ページがレセプトの分析で、これが最も基本的な集計でありますけれども、市町村ごとの訪問診療を受ける患者数の推移を過去4年間、折れ線グラフにしたものが左側にございます。

 今まで多分、こういうデータすらなかったところが、この分野の大きな課題だろうと思っております。市町村といった細かな、小さな単位で、この訪問診療の提供体制がどう伸びているのか、伸びていないのかといったことがわかるように、これは少なくとも整理していくべきだと思います。ここでは伸びているほうの自治体の例を挙げておりますけれども、地域によってはうまくいっているはずだったのに実は減っているということに気づかされた地域もございます。

 このとき、青と黄色で書いておりますけれども、訪問診療を同一建物以外と同一建物、すなわち居宅、そしてお家に伺っている訪問診療と、老人ホームなどで集合住宅に行っていただいているものというふうに分けて集計をさせていただいております。

 右側も同様でございます。

17ページは患者さんの状態について集計をしておりまして、これもレセプトでこれぐらいは医療・介護を連結することができるということなのですけれども、例えば月平均の患者数を、上の表では居宅の方、施設の方に分けて、さらに、これは診療報酬の定義ですが、重症とその他に分けることであるとか、あと、要介護度の区分に分けるということができるということでございます。

 あとは、これは下のほうにありますけれども、年齢別についても分けることができるということでございます。

 あえて違う方法で集計したデータを2つ出させていただいていますけれども、上のデータは月平均患者数を、年度のレセプト件数12で割って示しております。下のほうは年度内に一度でも算定した患者数を示しておりまして、これで2つの方法でやるだけでこんなに数字が、合計値が違っております。やはりどういう定義で患者数を定義するかということをどこかで決めないと、なかなか比較できる、あるいは経年的に追える数字にならないということがわかります。

 次が地域ごとの訪問診療自給率ということでございますけれども、住所地ベースの提供件数と、事業所所在地ベースの提供件数、両方を集計しまして、その差を見ると、その自治体ごとに、その市町村ごとに、訪問診療をほかから提供してもらっているのか、あるいは提供体制のほうが利用件数を上回っているのかということがわかります。これを自給率と呼ばせていただくことにしますが、小さな自治体、町村の分を除いて、市の部分だけお示ししていますが、これで各地域ごとの頑張り具合が一目でわかる形になります。

 これは実名も出させていただいておりますけれども、生駒市さんなどは福祉の分野で相当頑張っていただいているのですが、なかなか在宅医療をしていただく医療機関の御協力がまだ十分にいただけていないという状況がわかります。奈良市や大阪府内の医療機関から在宅診療をしていただいている状況でございます。

19ページでありますが、これは訪問診療の実施件数で医療機関数をヒストグラムとしてあらわしたものでございます。

 例えば左側の市ですと、患者数が50人以上という、在宅医療を相当やっていらっしゃる医療機関が2カ所あって、そのうち1つは施設が中心で、同一建物の患者数が多い。うち1つはそうでないところが多いということがわかります。一方で実績なしという医療機関が72.3%ということで、非常にたくさんやっていらっしゃる一部の医療機関で支えられているという状況がわかります。

 右側の市で見ますと、逆に50人以上というところは1カ所しかなくて、そこは同一建物の患者さんばかりを診ていらっしゃるところなので、それを除きますと、特に在宅医療が非常に多い医療機関はないわけでありますけれども、逆に1未満とか1~4人というところの、少しだけ在宅医療をやっていらっしゃる、裾野の広い在宅医療の取り組みをしていただいているという特性が見えてまいります。

 こういうことも知った上で、いろいろな取り組みをしていかなくてはいけないなと思っています。

20ページ、在宅療養支援診療所について、在宅療養支援診療所が1つあると、どれぐらいの患者さんを診ていただいているのかというものを見たものが左側の表でございます。たくさん診ていただいている在支診もたくさんあるのですけれども、赤で囲んだところは在支診なのにほとんど患者さんを診ていただいていない在支診であります。実績なしというところも実は結構ございます。

 何でこんなことが起こるのかと聞いてみるのですが、よくわからないのですけれども、一説には在支診をとると保険診療の個別指導を受けなくてはいけない点数の基準が上がるので、ということをおっしゃる方もいらっしゃって、確かに実績なしでもメリットはあるのかなと思ったりするところでございます。

 右側でございますが、横軸には累積の診療所数、縦軸には累積の患者数をあらわしておりまして、どれぐらい一部の医療機関に訪問診療の患者さんが集中しているかということを見たものでございますけれども、在宅医療の50%は上位4%の診療所に集中していますし、80%は上位10%の診療所に集中しているということで、在宅患者数が14人未満の裾野を一生懸命広げても全体の提供数になかなか影響しにくいのではないか。やはりもっと専門に行う医療機関も励ましていくように、また医師会でも励ましていただくようにしていく必要があるのではないかなと思います。

21ページは、市町村間の流出入の状況をまとめたものでございます。レセプトの提供のガイドラインに従うと10未満の数字が出せないので、真面目にお示しすると、こんなようなマスクした数字が多いものになります。

 こういったデータをどのようなところで使っているかということなのですけれども、奈良県では知事と市町村長が一堂に会するような場が年に何回か開かれておりまして、こういったところで市町村ごとの差をあえて際立たせていただいて、先ほどの自給率のようなデータをお示しして、市町村の取り組みを促すといいますか、励ますといいますか、そういったことをさせていただいています。

 地域医療構想調整会議でもお示しをさせていただいておりますし、また、県医師会の中で在宅医療を進める委員会に出させていただいています。特に栃木県さんもそうでしたけれども、地域医師会単位でのデータの整理をさせていただいて、医師会ごとにどこが進んでいる、進んでいないということがわかるようにさせていただいて出すと興味を持っていただけると思います。

23ページで、こうしたことで具体的な対策が必要な地域が明確化されるという成果がございました。

 ただ、やはり今後の課題として、栃木県さんも業務の負担をおっしゃっておりましたけれども、作業量が非常に大きくて、本県もこれをやるために担当者が本当に何カ月という作業量を負担していただいているということでございます。

 また、業者にシステム開発を委託すると財政的な負担が相当多くなると思うのですけれども、本県では大学の御協力でそんなに負担が大きくなかったのですが、民間にやっていただくと相当大きなお金になると思います。集計の仕方を決めればシステムは1つで、どの県がやっても同じなので、県ごとにシステム開発するのではなくて、やはり国でやっていただけるとコストが47分の1で済むのではないかなと思います。

 公表についても、いろいろな枠組みをつくっていかないと、いろいろ制約もあるなと思っているところでございます。

 これで課題は明確になってきているのですけれども、やはりこの先が依然として暗中模索でありまして、在宅医療のここが足りないというのは大分わかってきたのですが、では、どうやってその地域での足りないサービスをふやしていくかというところが非常に難しい課題でありまして、いろいろな相談をさせていただいておりますけれども、なかなか打開策が難しいということで、こういったところでも御指導いただければありがたいなと思っております。

 以上でございます。

○田中座長 ありがとうございました。興味ある独自の分析、それから、課題の提示まで幅広く、ありがとうございました。

 では、ただいま後半に説明のありました栃木県と奈良県の取り組みに関して、御質問・御意見、中にはアドバイスでも結構ですが、おありでしょうか。

 佐藤構成員、お願いします。

佐藤構成員 ありがとうございます。

 まず栃木県の取り組みについて教えていただきたいのですが、6ページに「『在宅医療の連携体制』の概要」をお示しいただきまして、特に「移行支援」という文言。これは実際に在宅にいる方が入院する、時々入院、外来にも行くという実態と非常にマッチする言葉かなという気がいたします。

 一方で、資料1のほうで説明された事務局からの説明を見ていますと、退院支援のルールに関して言いますと、栃木県が全体の3分の1という進捗状況です。これは移行支援という取り組みにしたためにこれが3分1なのか、それとも、別に理由があるのかという点を一つ教えていただきたいなと思います。

○田中座長 どうぞ。

○早川参考人 御質問ありがとうございます。

 栃木県自体は、県全体として統一というよりは在宅医療圏、保健所単位なのですけれども、実は医療圏ごとに取り組みを進めていて、策定が済んでいないところが残り幾つあるということです。基本的には、ただルールを一概に決めればいいと考えておりませんで、退院支援を進めるに当たり、どういう取り組みが必要かというのを医療圏個々に進めている中で、退院支援ルールとして定まっているものが約3分の1ですということですので、取り組みはそれぞれで行っているのが現状でございます。

○佐藤構成員 ありがとうございます。

○田中座長 どうぞ。

○佐藤構成員 もう一点、奈良県のお取り組みを見ていて、林部長の御説明は、市町村に相当独自で、なおかつ市町村だと聞けないような医療の質の質問だとか、さまざまな独自の項目を入れ込んで、非常に詳細な情報提供をしているというふうに見受けました。

 一方で、今、地域医療計画そのものが、例えば都道府県は当然つくるわけですが、市町村のほうにもつくらせてはどうかという県も一部ではあると思いますし、実際、市町村ごとに作っているところもあると思うのです。

 でも一方で、こういうふうな県の詳細な支援を見ていますと、どっちのほうがといいますか、より効果的で、より地域の実情を把握して、それをうまく回していけるのかというところを考えますと、部長は奈良県では県が主導していくほうがいい、もしくは市町村ごとに作成することを促進するほうがいい。どういうふうにお考えでしょうか。

○林参考人 なかなか一概にお答えするのは難しい課題だと思いますけれども、奈良県で申し上げますと、基礎自治体、市町村の規模が非常に小さいという傾向がございまして、自治体130万人余りの人口の中に39もの市町村がございます。小さい村ですと500人ぐらいの村もまだあったりとか、診療所が一カ所もない町があったりとか、そういう状況でありますので、市町村に医療の責任を負っていただくのは現状としてなかなか難しい状況にあると思います。

 在宅医療については、もっと責任を持ってくださいということでいろいろなお話はするのですけれども、市町村長さんたちも医師会の方に、では実際、どうすれば在宅医療をふやしてもらえるのかというノウハウとかアプローチの仕方というものがなく、市町村長さんからなかなか打開策がないねというお声が返ってくるような状況でございまして、結論としては市町村にもっと責任とか関与を深めていただきたいとは思っておりますが、県が相当リーダーシップをとって一緒にやっていく必要があると思っています。

○田中座長 有澤構成員、お願いします。

○有澤構成員 ありがとうございます。

 栃木県の資料で、7ページのところで「地域における在宅医療の推進体制」という中で、まず市町村事業で「多職種協働による会議の開催」と書いてありますけれども、どれぐらいの頻度で、どういう職種でやられているのかということ。それから、同じくその下の「多職種向け研修会の実施」。具体的にどんなものなのかということとあわせて、左下のほうには「地域において在宅医療のリーダー的役割を担う専門職種の育成」という、これは多分、県の事業でやられていると思うのですが、これも具体的な事例をちょっと御紹介いただければと思います。

○早川参考人 御質問ありがとうございます。

 全ての市町村について、今、細かく答えることは難しいのですけれども、基本的には多職種協働の会議として地域包括ケアに関する会議を行っているところもあれば、在宅医療と介護連携をメーンとして、範囲を狭くした例もありますが、そのときには医療・介護、あるいは福祉関係、みんなを集めてやっている会議が基本となっています。年に1回のところもあれば2回やっているところもありますので、そこは町村ごとにちょっとずつ異なっているというのが現状でございます。

 また多職種向けの研修会については、まずそもそも在宅医療とか地域の課題、医療・介護の課題について知ろうというところから始めたところがこの1~2年で多いというのが現状です。これも年に1回から2回やっていますし、地域によってまずは医療だけとか介護だけでそれぞれ話し合って、次に集めて全員でやるといった研修会のところもありますので、そこも市町ごととなっています。

 県のほうで取り組む事業として左下にありますのは、そういう地域ごとにそれぞれやっている取り組みももちろんありますけれども、左下に書いてあるように、例えば緩和ケアに関する部分について、今やっている先生方や地域の方だけではなくて、これから次の5年、10年後を担う方も含めて養成していくということもあります。なかなか重症度の重い方とか、要介護度の高い方とか、こういう看取りとかが必要な人のケアとか、医療をどうしますかということについて、地域の方々を中央とかに集めてもらい、地域ごとに代表者や次を担う人を推薦してもらって、そこで一緒に研修をして、また地域に帰って、専門性の高いところも地域で取り組めるように広げていただきたいということで県のほうで事業化をしたものとなっております。

 説明としてよろしいですか。

○田中座長 どうぞ。

○有澤構成員 多分、これから長いスパンを見据えたときに、やはりそういう取り組みはとてもすばらしいなと思います。次世代を担う人たちにとって一番最初の入り口は結構ハードルが高いのです。そういった意味では、こういった研修会はとてもいいものだなと評価をさせていただきます。

○田中座長 中林構成員、お願いします。

○中林構成員 23ページの奈良県の在宅医療の実態把握と計画策定の取り組みについて、非常に詳細な分析のデータが示されているわけですが、ここに書かれております施策のPDCAが可能になったということで、これは後半の議論の一つの参考になるかと思うのですけれども、より詳細な地域別状況の把握やPDCA等の分析をすることによって、ただ単に計画を立案するだけではなく、現場レベルで変化があったか、また、どういう効果があらわれたかというところを、まだ策定の段階かもわかりませんが、何か参考のことがあればお伝えしていただければと思います。

○田中座長 お願いします。

○林参考人 御指摘の部分が本当に重要なところで、分析をしているだけではだめで、どういうふうに施策に生かすか、実際の動きにつなげていくかということだと思います。実際になかなか、そこが暗中模索だというところであります。

 今までは、ただ県全体で在宅療養が足りないという問題設定だったのが、例えば今であれば生駒市さんとか生駒の医師会さんに、ここの地域でこういうふうになっているからこういうことができませんかという話の持ちかけができるようになったというところまでは進展をしているわけでありますけれども、そのことによって次にどう進んでいくかということはまだこれからの課題だと思っております。

○中林構成員 ありがとうございました。

○田中座長 織田構成員、お願いします。

○織田構成員 まさに今の質問のとおりで、アクションプランがなかなかつくりにくいということですね。

 ちょっとお聞きしたいのは、先ほどの18ページです。生駒市はほかからの支援を受けているということなのですけれども、これは実際に、近隣の地域にも生駒市にも提供可能な医療機関、例えば診療所は複数医師が入っているとか、個人が特に頑張っているとか、何かそこら辺の分析はありますか。

○田中座長 お答えください。

○林参考人 分析といいますか、これをつくるに当たって、内部的には個別の医療機関ごとに何人の患者さんを診ていらっしゃるかということを実際に固有名詞で見ることができます。奈良市で非常にたくさんの個別の患者さんを診ていらっしゃる医療機関がございますけれども、多くは単独開業の方が多いという状況です。

 東京などではもっと大きな在宅の診療所があるというふうにお伺いしますが、奈良県で申しますと、単独開業の方でも患者さんを70人とか100人近く診ていらっしゃるとか、年の看取りの件数で数十件あるいは100件ということが単独の方でもできるような状況にあると思いますし、そういったところが一番大きい規模のところで、まだまだそういったところがもっとお医者さんをふやして大きくしていこうというところまでは至っていないと本県の中では承知をしています。

○田中座長 どうぞ。

○織田構成員 結局、在宅医療になかなか進めない診療所の先生に理由を聞くと、やはり緊急時の対応が非常に問題になってくる場合が多いのです。そういう意味では、そこら辺は何かかかわりがありますか。例えば何かあったときにはいつでも入院を受け入れてくれる医療機関が傍にあるとか、バックアップがあるからどんどん積極的に進めるとか、そういうところの分析はありますか。

○林参考人 やっていない先生になぜできないのですかというふうにお伺いをすると、今、おっしゃったような、緊急時が大変だとか、土日が大変だとかというふうにおっしゃるわけですけれども、たくさんやっていらっしゃる先生はそれが当たり前だと思っていらしたりしますので、そこを解決すれば本当に済むのかどうかというのは一つ試してみないとわからないのではないかなとは思っています。

 ただ、今回、診療報酬上も複数の医療機関からの訪問診療に少し弾力的な対応ができるようになってきていますので、県としてはそういったことも強調しながら、複数の医療機関で協力はしていただいて、働き方も緩やかなものにしながら、在宅医療を支えていただくようなことをもっとプロモーションしていきたいとは思っております。

○織田構成員 どうもありがとうございました。

○田中座長 池端構成員、お願いします。

○池端構成員 ありがとうございます。

 同じく奈良県の林部長にお伺いしたいのですけれども、今の織田構成員と内容がかぶるところもあるかと思いますが、この15ページ以下のレセプトデータは本当に私も市町村別の欲しかったデータで、これまで福井県ではそれをアンケート調査等でやって、どうしても不正確になってきているので、これがKDBでここまで出るというのは非常に刺激的だなと思いますし、逆に本当に刺激的なデータになっている部分、市町村がそれぞれ競わなければいけなくなっている等、非常におもしろいデータと拝見しました。

 特に、18ページの自給率という考え方です。確かに、この市を今回挙げていますから、自給率を上げていきなさいということで、これは非常に有効なデータかと思いますけれども、一方で地方の県であれば、かなり小さい。特に市町単位ですと、自給率を上げようにも上げられないから、これは組んでいかなければいけないというところで、必ずしも自給率を、全ての市町が100%自給率を上げることが目的ではなくて、場合によっては幾つかの市町が組んで、そこで自給率を上げることになったほうが効率的ではないかという考え方もあるかと思いますが、その点についてお伺いしたいと思います。

○田中座長 どうぞ。

○林参考人 全くそのとおりだと思います。この表を並べるときに、左のほうほど大きな自治体、右のほうほど小さな自治体というふうに並べさせていただいていて、やはり自治体の規模に応じた取り組みのやり方というものがあると思います。

 県内でお示しするときには、この右のほうにさらに町村のデータもお示ししているわけですけれども、やはり左のほうにある大きな自治体は自前でやっていく責任があると思いますし、右のほうに位置する小さな自治体は周りの市町村との関係も考えながら考えていくべきだと思います。

○田中座長 どうぞ。

○池端構成員 そのあたりは私もちょっと思って、次に20ページの表なのですけれども、これは在支診の実態が出ていますが、この中には在支病のプロセスは入っているのでしょうか。

○林参考人 この表自体は、在支病は入れていないですけれども、もちろん、そういうデータも持っております。

○池端構成員 わかりました。

 この在支病も、場合によっては、広く面分解するときには、在宅療養支援病院がそこに地域展開することも必要なことかなと思うので、そのデータもありかなと思います。

 最後に、もう一点だけ済みません。私も、このKDBデータをこれだけのことができるということで、改めて、ぜひ一元化して、国でやっていただきたいなということは思うのですけれども、栃木県さんも奈良県さんもおっしゃったように、では、これはKDBデータなので、主に国保と後期高齢者のデータとなりますが、これが本当に代表性がどこまであるかということをある程度担保しなければいけないと思うのです。

 在宅医療の利用者という視点で考えると、個人的にはかなり代表性があると思いますけれども、印象だけではだめだと思うので、これをもし国で一元化管理する場合には、ある程度の代表性があるということを何か数値化するとか、こういう方法でほぼ代表して構わないということが出せるといいかなと思うので、その辺について何か御意見があったらお伺いしたいと思います。

○林参考人 17ページをごらんいただくと、年齢別にどれだけの件数があったかということを記載させていただいておりまして、やはり在宅医療の数で見ると全体の、この集計表では1万4,000の合計の中で後期高齢が1万2,600ということで、後期高齢は全数になっておりますので、それだけでも9割を占めるようなデータということ。また、国民健康保険、65歳から74歳も相当なカバー率になっているはずですので、そういう意味では在宅医療の総数の相当の部分を反映できていると思います。アンケート調査の回収率などと比べればずっといいと思います。

 ただ、やはり若い方の数が十分把握できないこととか、どうしても公表上の制約があることがありますので、そこを忘れてはいけないと思います。

○池端構成員 ありがとうございました。

○田中座長 新田構成員、お願いします。

○新田構成員 ありがとうございました。

 まず栃木県の資料についてお伺いしたいと思うのですが、目標設定の話でございます。恐らく37ページから40ページまでの数字をもとに、パターン1、パターン2、パターン3と、ここは数字を出されているというふうに思っていますが、このようにパターン化できるのはなかなか大変だと思うのですが、この場合にパターン3というものは非常に現実的な数字なのだろうと思うのですが、あえてパターン1にここで目標設定をされたのは何なのだろうなというのが一つ。

 もう一つは、この目標設定というものは何年までか。例えば2025年あるいは2030年までとか、そういった年度目標があるか。あるいはこの目標設定の中に、先ほど需要と供給のもともと最初の厚労省の数字目標があったのですが、そこを原点として、それに対する需要と供給のバランスでこういう数字を出しているのかということを一つお聞きしたい。

 もう一つ、奈良の林部長には、これだけの精緻な統計をとられて、なぜ目標設定までは行かなかったのか。そういったことで、なかなか難しいと思いますが、もし発言があればお願いいたしたいと思います。

○田中座長 栃木県からお答えください。

○早川参考人 御質問ありがとうございます。

 この41ページ目に、上に赤い囲みがあると思いますけれども、その前に数値を説明したいと思いますので、39ページ目をごらんいただきたいと思います。

 栃木県では、計画を策定する前年に在宅医療実態調査というものを行っておりまして、現在、在宅医療を行っている医療機関に週何件ぐらい訪問しているかと、それを現状ベースだけではなくて、もし、これからもうちょっと頑張るとしたら、どのくらいできますかという2つをお伺いしています。

 実際に、この39ページに示しているものは、医療圏ごとに回答いただいた施設の中で今やっているところから「このぐらいはできます」というものを一覧表にしております。これは各医療圏にお示しするためにつくっておりまして、これをもとに、一番少ないパターンから最小、最大、平均、中央値というふうに幾つか数値を提示していて、それぞれの医療機関の回答に基づくと、このぐらいできるのではないかというふうに、今後対応できるかもしれない量を一応示しております。

 それをもとにして計算したものが40ページ目で表にしておりますけれども、40ページ目の表につきましては、左側が国からいただいているNDBを用いたデータ分析の中で、実施している医療機関数と患者数をもとに、1医療機関当たり、このぐらい。今、やっていますという現状値を示しているものです。

 右側の2つは、先ほど県が行った調査から、このぐらいやれますというものをもとに、医療圏ごとに平均したものと、どうしても件数が多い在宅医療専門の機関もありますので、中央値と両方を示しております。

 この3つをもとに、地域ごとに見ていただこうということでつくったものが最後の41ページ目になっています。

 パターン2とパターン3につきましては、先ほどの回答いただいたものから計算していますけれども、基本的にパターン2とパターン3を採用しなかった理由の一番の大きなところは、今後ではなくて今をベースにして、頑張ればこのくらいできますというものをお答えいただいていますが、これからの議論を進めるのに大事なのは、特に地域の医師の高齢化の問題がかなり言われている中で、実際に調べますと、今、やっている件数よりも多い件数を、ほとんどの医療機関が答えているということがありますので、もっと頑張らなければいけないという前提でこれからの予測、必要数を考えることはどうなのかというふうに考えました。

 ですので、実績ベースであればこのぐらい、今後は必要ですということを示すことによって、より多くの機関が参加していただければ今の医療機関の負担も減るのではないかということをお示ししたくて、基本的には現状ベースで考えていこうというふうにしてパターン1を採用しました。パターン2とパターン3はちょっと無理強いをして、しかもこれから先を考えるに当たって無理強いをするということは、高齢化とか医療従事者の数が減ることを無視する可能性がありますので採用しなかったということです。

 あと、これはとりあえず10対3で分けた按分の先ですので、3年後をまずは目標にして、この3年間のストラクチャーの体制構築状況がどうなるのかを見ながら、また考えていくということで、当面、3年の目標ということで設定しております。

 以上です。

○田中座長 林参考人、お願いします。

○林参考人 目標値の中で、看取りの目標のことをおっしゃっていると理解してお答えをさせていただきますけれども、看取りの目標設定というものが難しいというお話をさせていただきました。普通、目標設定をしようと思うと、過去の実績の伸び率とか、そういったものから伸ばしていくか、あるいは理想の状態を何か定義をして、そこに向けて、どこまで進捗しているかという定義をするのだと思うのですけれども、看取りについては過去のデータの、まだ経年的な変化が、特に診療報酬の、在宅看取りのデータでいうと、よくわかっていないということがございます。

 また、理想の在宅看取り数というものがあるかというと、これもまた死生観とか、いろいろなことにかかわりますので、なかなか県が定義することができないということで、数字でここまであるべきだということを持っていくのはなかなか難しいかなと思っております。

 ただ、それにも増して感じているのは、どうすれば在宅看取りがふえるのかという、先ほどからも議論になっていますけれども、何をすればいいのかというところがわからないところが最大の問題だと思っておりまして、そこが有効な施策というものがもっと描ければもっと果敢に攻めていけるのかなとも思います。

 東京都の葛飾区さんのように、1カ所の診療所でも在宅看取り率を一気に自治体内で上げていくような例もありますので、提供体制に相当依存しているのだろうとは思いますけれども、それだけでもないなと思っておりまして、ぜひまた、これも議論を続けていただけたらありがたいなと思っております。

○田中座長 順番で、まず越田構成員。この両県の発表については、最後に市川参考人にします。

 越田構成員、お願いします。

○越田構成員 

 金沢市からは何点か、まずは両県のお二方に御質問させていただきたいと思います。石川賢は120万ほどの人口がございまして、うち金沢市は47万の人口になります。しかも、石川県は過疎地域を持っており、特に能登半島の北部地区は顕著です。石川県の4つの医療圏の状況はそれぞれで、同じような観点では議論できない。例えば、先ほどお話がございましたけれども、能登地域はほとんど開業医さんが無くなってきています。そうなりますと、どうしても公立病院が在宅医療を担っていかなくてはならないということがいやが応でも起こってくるわけなのです。

 そういった意味で、公立病院の果たす役割、特に過疎地域での公立病院の果たす役割はどうなっているのかなということをまずお聞きしたいと思います。

 2点目は、これはどこの自治体でもそうなのですけれども、石川県は19の市町村があって、医師会は9つですから、必ずしも市町村の区割りと医師会の区割りが一致していない。基礎自治体の視点からは、金沢市は1つの医師会イコール1つの自治体ですけれども、規模の小さい市や町の首長さんは、医療のことはどこに相談していいかわかりにくく、県の医療計画が遠い存在に感じてしまう。市町村と都道府県の間には、県形保健所が医療計画についての仲立ちをしているので間接的でありますし、中核市にとっては医療計画が必ずしも身近ではない感じが致します。

 そこで二点目にお聞きしたいのは、どんなに小さな自治体であろうと、介護保険事業計画は必ず策定します。ですから、基礎自治体の介護保険事業計画と都道府県の医療計画をどのようにリンクさせているのかということです。

 3点目は、全国どこでも同じだと思うのですけれども、一律に在宅と言われましても様々な形態があります。石川県では、居宅は29.7%、認知症のグループホームが23.3%、有料老人ホームが28.7%、いわゆるサービス付き高齢者住宅は8.8%でした。これらが全て在宅です。このあたり、さらには地域差をどう解釈するかということも県の計画の中でどのように検討なさっているかということをお聞きしたい。

 最後の質問は、金沢市は独自に、医療計画を昨年の春に策定しました。でも、県と同じようなことをやってはいけませんので、我々は在宅医療に特化した医療計画を作りました。

 その中で、災害であるとか、認知症であるとか、一番住民に近いところで在宅医療を進めていく課題を挙げて地域特性に応じた、災害救急、認知症対策、それから、医療ケアを必要とする在宅小児。そういったものに伴った医療計画となりました。厚生労働省の方にもお聞きしたいのですが、市町村で、あるいは基礎自治体で医療計画を関与するときにはどの様な観点でつくったらいいかということをお尋ねしたい。

 以上4点について、御教示いただければと思います。

○田中座長 両方の県に、今の4つの質問ですか。

○越田構成員 最初の3点は両方の県にお伺いしたいのです。

○田中座長 では、手短にお願いします。これで終わってしまうと困るので。

○早川参考人 私の立場としては答えにくいところも幾つかありますけれども、確かに公立病院の役割は議論されている地域もございます。特に栃木県でいいますと、最初の2ページ目をごらんいただきたいと思うのですが、南側の大半は平野で、関東平野の端です。一方で、「県西」と書いてある左の上や、右側の県北から県東にかけて、県を囲むような形で上半分はほとんど中山間地域になっておりまして、こういうところの在宅医療をどうするのかということが問題になっております。

 ただ、その中で、その地域にある病院自体、医師の確保が難しい状況にありまして、なかなかどこまで在宅医療にかかわれるのかということについては、意見とか議論はあるのですけれども、明確な役割にまで議論は進んでいないところがあります。それ以外に、診療所の先生が訪問には行くけれども、訪問看護の方がないという現状もありまして、人を抱えている病院から訪問看護の方に出してもらえると良いのではないかという意見も地域によっては出ているところです。そういうことで、ドクターだけではなくて訪問看護という面でも協力をいただかなければいかないというところもあるのは事実と思っています。

 また、2点目ですけれども、栃木県の場合は市町村の中を、医師会が分断しているということはなくて、郡市医師会の区割りと二次医療圏の中の分かれたところには市町村全てどこかに入っていますので、その中で話し合いを進めています。ですので、ある郡市医師会がありますと、その中に入っている市町村とやりとりをしていますし、重なっていたり分かれていることはありませんので、話はしやすい状況にあるというのが栃木県の特徴かと思います。

 介護保険の計画の整合性といいますか、取り組みにつきましては、国からまさに示されているとおり、栃木県につきましては医療圏ごとに、二次医療圏と高齢福祉圏域、そろっていますので、今後の取り組みについては在宅医療等で対応する部分と、市町を中心とする介護保険で対応する部分はそれぞれ数値をお互いに話し合いで決めながら、では、この部分は施設で頑張っていきましょう、この分は在宅でと決めていますので、そこでは整合性を図り、やっているかなと思っています。

 また、在宅の解釈について、ここの数字は今、手元にないところですけれども、やはり栃木県としては住む場所といいますか、居住の形態によらず、少なくとも地域、住みなれたところで生活できるということを担保していくことが基本だろうということで、そこは医療従事者、介護従事者、あるいは県も市町も皆、共有して考えていると思っています。

 お答えになっているか、わかりませんけれども、以上です。

○田中座長 ありがとうございます。

 林参考人、お願いします。

○林参考人 過疎地域の公立病院は非常に厳しい状況にありまして、本県では集約したような救急を担う病院と、それから、地域医療を担うような病院という、断らない病院と面倒見のよい病院というコンセプトで集約化と地域医療の均てん化をしていくという考え方でありますけれども、地域の診療所の高齢化が進んでいるのは認識をしておりまして、そういう面倒見のよい病院と地域の診療所をネットワーク化して診療の支援をするとか、そういうことを取り組んでいかなくてはいけないなと思っています。

 市町村との関係で申し上げますと、なかなか行き届いていないなというふうに、きょうも話を伺っていて私自身は思ったところなのですけれども、やはり県から見ると、市町村で医療を担当していらっしゃる方というのがそもそも、特に小さい自治体ですといらっしゃらなかったりということがございますので、市町村でこれを我が事のように思っていただけるような体制、仕組みをどうやってつくっていくのかということはこれからまた模索していきたいなと思います。

 在宅がいろいろあるのはおっしゃるとおりで、まさにそこをしっかり分析をしたわけでありますけれども、老人ホームがふえているから在宅がうまくいっているというふうに誤解をしないように、ちゃんと分けて考えていく、両方見ていくということが必要だと思います。

○田中座長 市町村がつくる、基礎自治体がつくる医療計画について、どなたかお答えになりますか。

 室長ですか。

松岡医師確保等地域医療対策室長 御存じなので、多分あえてそういう言い方をされているのだと思いますけれども、医療計画は基本的に県がつくるものなので、基礎自治体がつくるという言い方もなかなかないのかなと思いながら聞いてはいるのですが、多分、2つの観点があって、1つは医療計画上、進捗管理をしないといけない。指標を作成するという中で、例えば県が集めないといけないデータと、市町村が集めているけれども、県が気づいていないデータが先ほどあるのかなというのは、今の2県の御発表を聞いている中でやはり思いました。

 介護計画に関するものを通じて、介護保険を通じて得られるようなデータというものは、市町村は当然持っておられますけれども、それは県を素通りして国に来ているということもあるので、そういったものがもし医療計画の中で活用して進捗管理とかに使えるのであれば、我々、それはぜひ使ってやったら、自治体がよりはっきり見えるのかなというような感じで思っております。

 もう一つは、進捗管理のほかに整備計画です。整備のほうに関しては、先ほどから栃木県さんもおっしゃっていましたけれども、やはり市町村と県が介護保険でどこまで見るのか、医療保険でどこまで見るのかということをきちんとすり合わせないと介護保険計画をつくれないはずなので、そこもやはりしっかりやってもらうしかないのかなと思っておりますので、そこは県の、基本的には県がデータを整備してやるべきなのだろうと思いますけれども、手をつなぎながらやっていただくしかないのかなと思っております。

 以上です。

○田中座長 両県に対する質問で、最後に市川参考人、どうぞ。

○市川参考人 一番問題なのが、医療供給体制がどういう状況で、特に栃木県さんでも奈良県さんでも、やはり過疎部とかがかなり問題で、診療所が実際に訪問診療する。ただ、在宅医療4機能において、後方の急性期病院からの受け入れと、あとは急変時。その辺のところへの対応が、やはり有床診療所がある部分を担っていくことが必要だと思うのです。有床診療所が前回の改定で結構緩和され、参入しやすくなったと思うのですが、有床診療所が各県で動向がどうなのかということ。あと、有床診療所に対する何らかの対策みたいなものをしているか。この点をお伺いしたいなと思います。

○早川参考人 まず1点目ですけれども、後方支援体制につきましては、どこの圏域でも明確に話が進んでいたりとか、体制がどうするかというところが決まっていないといいますか、かなり問題になっていると思います。

 幾つかの圏域におきましては、在宅療養後方支援病院を標榜しているところがありますので、そういう動きの中で体制がつくられるように、保健所や県が少しバックアップしていく必要があるのかなと考えています。

 有床診療所の、例えば病床を新しく欲しいという話は幾つかの圏域で相談があるという話は聞いています。ただ、県として、そういう動きを今、どう支えていくかについては、これからの議論になるかなと思っています。

 現状だけお伝えします。

○林参考人 本県もほぼ同様でありますけれども、後方支援をする病院にはしっかりつくっていくことは大事だと思っています。有床診療所に関しては、いろいろ地域性もかなりありまして、本県でいいますと、有床診療所の大半は産婦人科であるとか、眼科の診療に従事されているところが多いので、この領域での有床診療所の役割を政策の主眼に持ってくるほど数がたくさんないというのは、残念ですけれども、そういうものが実情でございます。

○田中座長 お二人の発表、ありがとうございました。

 もう時間になってきましたけれども、手短にお願いします。

○葉梨参考人 有床診療所は年間500600ぐらいの廃止になっています。もう経営をやらなくなったところと、それから、無床に変わったところとがございますが、新しく有床診療所というものはいろいろ県によっては通さないところもあって、なかなかできなかったのです。しかし、今度の改正で少しやりやすくなったかなということですが、まだ結果は出ておりません。

 市川先生のほうには、そのぐらいしかお答えできないのですが、質問をついでにさせていただいてよろしいですか。

○田中座長 はい。

○葉梨参考人 在宅をやっていく場合に、入院ができないという、病院が余りないとか、それから、看取りになる人はとらないとか、そういう状態がないのでしょうか。といいますのは、家でやるのは非常に大変だろうと思うのです。これは救急で運ばれてきた人なんかを見ますと、危ないなと思ってもいろいろ検査をして、それに対応していくと、半年、1年もったりするのです。そういう対応が家ではできないでしょうし、家族がつきっきりでいなければならないということは大変なことだろうと思います。

 それから、医師が行っても検査なんかも余り在宅というものはできないわけです。ですから、その辺が限界がありまして、本当に昔ながらの視診とか聴診とか、そういうことが主体になってくるわけです。あと、家族の協力がどのぐらい得られるのかという問題があって、なかなか最後になると入院させてくれないかということで有床診療所なんかにも入ってくる人が多いです。大きな病院は急性期の病院がほとんどですから、そういうところは断られるのだということで、それが1つです。家族は大変でないだろうか。それから、命を早く縮めるのではないだろうかということと、入院をしないでやっていくにはそれなりの理由があるだろうと思うのです。

 それから、医療と介護はなかなか分離できないです。高齢者が多くなってきますと、これはがんなんかも突然変異で多くなっていくわけですが、それ以外にも循環器の問題とか、消化器の問題とか、いろいろあるわけですが、平均して高齢者の疾病の割合を見ますと5つぐらいの病気は持っているということを言われますが、こういう中で家庭でやられるものなのだろうかということがちょっと心配になります。

 あとは、家庭に行く場合に、往診する場合に、医者が1時間ぐらいとりますと、10人とか20人とか外来患者をほったらかして行かなければいけない。高度医療とか急性期医療をやっているところほど、そういうことは非常にできにくい。私は神奈川県ですが、うちの近くでやはり1日、外来数300人ぐらいを診ているところもあります。1人の医者でです。そういうところがやれるかどうかということをちょっと不安に思います。東京都なんかも多分同じ状態が中心部なんかではあるのではないか。

 この前、鹿児島県に行ったときに、やはり患者数が少ないので、内科の先生が午前中は診療をやっていて、午後からは往診だということを決めてしまってやっているところがございます。それから、往診だけやっている往診専門の診療所が都市部にもあるわけですが、非常に問題が多いです。かわりばんこに行っていて、顔も知らない人間が最期を看取ることもありますし、その辺が問題が起きていないか。ちょっとお聞きしたいと思うのです。

○田中座長 多くは御懸念に基づく御意見と理解しましたが、ご質問は端的に言うと何でしょうか。1つか2つに絞ると助かります。今の全部の質問に答えると時間がなくなってしまうので、どれがお二人の県の方への質問になるのですか。

○葉梨参考人 答えられる内容だけで結構でございます。県全体で見ると、郡市とは随分かけ離れているような気がしますので。

○田中座長 短目にお答えください。

○早川参考人 緊急入院の話をします。

 県の調査では、緊急入院先の確保ができている診療所を聞くと、3割弱ぐらいでした。7割ぐらいは確保できていないといいますけれども、本当に入院ができなくてすごく困ったかという話を聞きますと、そこまででもない。現状ではふだんつき合いがあるところとかと何とかやりながら対応できているということなのですが、医療介護従事者が負担や家族の安心を担保するという意味では、ある程度、地域において、今後、その体制づくりを進めていくべきだろうとは考えております。すごく今の段階でどうにもならない状況があるかというと、そうではないと考えているところです。

 以上でございます。

○田中座長 ありがとうございます。

○林参考人 急変時の受け入れをしていただける病院はきちんとふやそうと思いまして、先ほど面倒見のいい病院というコンセプトで申し上げましたけれども、病院の側にもいろいろなことをやっています。きょうは時間もないので申し上げませんが、データの分析でいいますと、例えば在宅医療を受けていらっしゃる方を何人受け入れていらっしゃるかというのも、この分析と一緒にやらせていただいていて、病院ごとに在宅医療の人を診ているかどうかということを把握することも今、進めているところです。

 あと、在宅専門の医療機関は、やはり非常にいいところと悪いところに分かれると思いますので、全部がいい、全部がだめという議論ではなくて、いいところを伸ばしていくという議論が必要であると思います。

○田中座長 ありがとうございました。

 両県、とても密度の濃い準備に基づく発表で、多くの議論を喚起しました。学会発表だったら大成功ですね。ありがとうございました。

 時間が少なくなりましたが、資料1についての御質問・御意見があれば承りますが、いかがでしょうか。

 吉川構成員、どうぞ。

○吉川構成員 ありがとうございます。資料1につきまして、第7次医療計画のほうで行われております訪問看護に関しまして、少し意見させていただきたいと思います。

 これから地域包括ケアシステムを推進していくに当たって、在宅医療の体制構築というものにおいて、訪問看護の整備が重要であるということは明らかだと思います。しかし、資料1を見る限りでは、訪問看護にかかわる数値目標と施策がやはり十分に設定されていない都道府県が見受けられております。

 例えば資料1の15ページなどでは急変時の対応の、特に「24時間体制をとっている訪問看護ステーション数、従事者数」に関してはまだまだ12件にとどまっている状況があります。あと、地域の在宅医療提供体制を整備するに当たりまして、在宅療養者の病状の急変時における訪問看護の体制の確保というものは非常に重要であると思っておりますので、これから見ても目標設定の状況としては十分ではないと考えます。

 本会のほうで都道府県で設定された医療計画を全て確認したのですが、やはり訪問看護の必要性を認識しているけれども、数値目標とか具体的な対策まで立てられていない状況のようです。

 前回の合同ワーキングを踏まえて都道府県に行った調査の40ページから54ページの結果を見ましても、やはり訪問看護については実態把握さえまだまだ十分に行われていないということがうかがえます。これらのことは恐らく訪問看護の目標値を設定する前段としまして、看護職員の需給の見通しの検討が非常におくれているということが関係しているのではないかと推測しております。

20件程度の医療計画の中に、国の推計を待って目標値を設定するとか、国が示す需給推計方法に基づき目標値を見直すという記述が見られておりまして、そういったことから、やはり国による看護職員の需給に関する取りまとめが待たれているのではないかと推測しております。

 それに関しましては、別の会議体での検討というのは前回も言われましたので、そちらは重々承知しておりますけれども、やはり看護職員の需給の分科会が早く再開されないと、地域における看護職員の確保がおくれてしまうのではないかということも懸念しております。

 いずれにしても、訪問看護の計画について、中間見直しで反映させられるように、対策や数値目標が具体化されていない理由などを厚労省のほうで把握した上で、数値目標の設定なり対策を講じていただきたいと思っています。

 よろしくお願いいたします。

○田中座長 御意見ですね。

○吉川構成員 はい。意見です。

○田中座長 ありがとうございます。

 順番にいきます。佐藤構成員からどうぞ。

○佐藤構成員 意見を1つです。

 まず、きょうの都道府県ごとのさまざまな資料、もちろん、栃木、奈良の両県の発表も非常に具体的で、とても参考になったという点で感謝したいと思います。

 今回の論点、3点とも賛成いたします。

 その上で要望が3点ございます。

 1つ目ですが、10ページ目に「県として把握せず」という県が4県ございました。把握していないのはどういうことなのかという説明はぜひ今後に向けてお願いしたいと思います。

2点目ですが、21ページでは、施設数と人口当たりの施設と、それから、増加数という違う指標が出てまいります。これは都道府県を全体的に見る場合には、この指標は併記をするか、さもなければ統一をするか等の対応をお願いしたいと思います。全体的な把握が必要になるような気がいたします。

 3点目ですが、訪問診療を行う診療所という記載の中に、診療所(歯科診療所を含む)という記載があったりなかったりしております。これはどっちなのだろうかなということを時々悩む場所がございますので、全部通して歯科を含むと読み込んでいいのかどうか。そういうこともぜひ明確にしていただきたいと思います。

 以上です。

○田中座長 今後に備えての御要望ですね。検討してください。

 角野構成員、お願いします。

角野構成員 このヒアリングポイントの本日の論点の1番で、目標設定を行っていない都道府県に対して、これは当然、計画するときに目標なしに計画を立てることはあり得ないはずで、ここでいう目標設定というものは細かな数字の、数値目標的なことなのかもわからないですけれども、少なくともそれぞれの都道府県が一体、何を目指しているのか、どういう形を目指すか。そういうものは明らかにするべきかなとは思います。

 それから、2点目のデータベース云々の話ですけれども、私が昨年度、衛生部長会事業で全国調査をいろいろしたときにも、やはりいろいろデータは、国のデータも使えるといいますか、見ることもできますし、提供があっても、結局、それを加工していくとかというのが都道府県の仕事になってくる。そうすると、必ずしもそういったことができる職員がいるわけでもないですし、仮にいたとしても非常な、先ほど林さんが言われましたように、大変な状況になる。

 そういうことで、やはりこれは国保と同時に、国保だけではなくて、本当は小児の問題もありますし、精神の問題もあり、いろいろありますので、さまざまなこういう医療データといいますか、これを国のほうから示していただける。使いやすい形で、もちろん、そのときは実際、都道府県がどういう形のものが欲しいのかという、それも当然出していく必要はあると思うのですけれども、そういったことの作業が今後急がれるのではないかなと思います。

 3番目で、在宅医療の機能に関するデータですけれども、これは1つ、今回でも訪問診療所の数であるとか、また栃木県さんがされたように、どれぐらいできますとかというものがあるのですが、どうしても我々は前提として、今ある診療所がそのまま5年後にも同じ状況であるというふうに思っているのと違うかなと思ってしまう。

 何が言いたいかといいますと、診療所の先生の年齢なのですよ。5年たてば間違いなく5歳、年をとるわけで、60代と70代では、やはり活動量も変わってくる。意欲があって、今は30人診られていますという先生でも、診たい気持ちはあっても、ちょっと少なくなってくる可能性もあるわけですね。場合によっては、閉院する先生も出てくるかもわからない。そういった中で、今、頑張っている先生もひょっとしたら、今から少なくとも5年後、6年後にはちょっと少なくなってくるというのもこれは確かで、そういったことをやはり加味する必要もあるかなと思うのですよ。

 ただ、これは言っていても、どういうふうにそれを評価していくかというのは非常に難しいと思うのですけれども、これはやはり無視したらいけないことだと思うのです。ついつい、開業医の先生は今のままでずっとやっていただけて、さらにこれだけのニーズがあるから、みんなで頑張りましょうね、もうちょっとやりましょうねと言ったらやってくれると思っていますが、決してそうではないのではないのかなと思います。

 以上です。

○田中座長 ヒアリングポイントに関する見方、ありがとうございました。

 順番にいきましょう。どうぞ。

○織田構成員 実際、訪問診療が進むためには、先ほど吉川構成員が言われましたように、訪問看護は物すごく重要なのです。やはり、この訪問看護が進んでいって、訪問診療も同時に進んでいくということですから、ここら辺の数値目標は非常に重要なことではないかなと思います。

 以上です。

○田中座長 そのとおりですね。

 池端構成員、どうぞ。

○池端構成員 意見を1つと、あと、質問を1つ。

 まず論点に関しては、1、2、3とも賛同したいと思います。特に2に関しては、今ほど両県からもありましたように、仮にこれを都道府県別でやるのは非常に非効率ですし、いろんな時間的・財政的制約も多くなると思いますので、可能であれば是非とも国のほうで一元化して、そして分析ソフト等も含めて検討いただければと思いますし、かなり代表性があるという御意見も都道府県からいただいていますので、ぜひ前向きに検討いただければと思います。そのことによって、3番のほうも進んでいくのではないかと思いますので、ぜひ2番を進めていただきたいと思います。

 あとは質問なのですけれども、資料1の6ページで、在宅医療の体制構築に係る指標ということで、これまでずっとお示しいただいて、私も福井県の在宅医療推進部会でよくこれを検討したのですが、ここにあるのがストラクチャー、プロセス、アウトカムがありますけれども、アウトカムというものは非常に難しいのだろうと思います。福井県でもアウトカム指標を何か出せないかということでよく検討しましたが、何がアウトカムなのか、ここが非常に難しいところだと思いました。両県の御発表からもありますように、少なくともストラクチャーではだめということは明白ですが、やはりプロセスからアウトカムへどう数字を落とし込むかということが非常に大事だと思います。

 そこで質問なのですけれども、私自身はアウトカムとして何が使えるかなと思ったのですが、例えば在宅看取りでアウトカムだったら、やはり在宅看取りの数とか、これはプロセスではなくてアウトカムに入るのかなと思っていたのですけれども、現状ではこれはプロセスに入っているのですが、では何がアウトカムになるかということ、その辺の御見解が事務局でありましたらお示しいただきたいと思います。

 あと、各都道府県で、19ページにアウトカムにが出ています。例えばきょういらっしゃる奈良県さんは死亡診断加算の算定件数がアウトカムに入っていますけれども、このアウトカムを何にするかということを少し議論していかないといけないのかなという思いありまして御質問させていただきました。

 以上です。

○田中座長 お答えください。

○堤課長補佐 事務局でございます。

 御指摘のあった6ページで、こちらは平成28年の厚生労働科学研究において成果としてお出ししていただいたものでございますので、今回の第7次の医療計画を各都道府県様が策定していただくに当たっては通知の中でも活用していただきたいとお示ししたものでございます。

 今後、30年度からの同様の科研におきましても、在宅医療の提供体制の評価指標の開発のための研究ということで、このストラクチャープロセス、アウトカムが果たして適切であったのかという見直しから、今後、より自治体が利活用していただけるようなものを進めていきたいと考えてございますので、御理解いただけたらと思います。

○池端構成員 よろしくお願いします。

○田中座長 研究のプロセスの利用ですね。

 有澤構成員、どうぞ。

○有澤構成員 ありがとうございます。

 既に各構成員の方が言われたように、論点の2番のところであります。やはり国保のKDBデータ、あるいはNDBデータ等、国のほうで解析ソフトなりを用意して提供することが必要ではないかと考えております。

 そこで事務局のほうに御質問で、それでは、具体的にそういう構想として、今、検討しているのか。あるいはこれから予定であれば、どのような国としての考えがあるのかということをお聞かせいただければと思います。

○田中座長 室長、どうぞ。

○松岡医師確保等地域医療対策室長 まだきちんとした検討がなされるような状況ではないのですけれども、今、下準備といたしまして、担当局と一緒になって話し合いを始めているところです。出すとしたときに、どのような問題点があるのか。そういったことについて洗い出しをするということにしております。

○田中座長 新田構成員、中林構成員の順番でお願いします。

○新田構成員 最初の構図の急変時の対応に対して「在宅療養者の病状の急変時における往診や訪問看護の体制及び」と書いてありますが、その後の内容が、先ほど事務局から説明があったので理解したのですが、急変時の対応に対して病院だけを対象にしているというのはちょっとわけがわからなくなるので、ここに診療所と訪問看護ということを入れてほしいのが1つ。

 もう一つは、急変時という言い方が、いわゆる病状の変化と急変というものは大きな違いで、急変と言うときその意味の多くは病状の変化なのです。だから、ほとんど在宅で対応できると思います。そのあたりを明確にしないと、急変時の数値というものはなかなか出てこないだろうなということで思いますので、そこら辺の御配慮もよろしくお願いいたします。

○田中座長 ありがとうございます。

 中林構成員、どうぞ。

○中林構成員 論点の1番目の、促しの考え方だと思うのですけれども、まず調査結果を見ますと、調査を行っていないであるとか、予定はないという、そこの理由等をやはりしっかり、そこの根拠や課題を見ていかないと、ただ単に目標を立ててくださいというだけでは進まないと思います。その課題に応じて対策を練っていくことが大事だろうと思います。

 2番目の奈良県の報告を聞きますと、やはりデータベースの活用というところは単にツールソフトだけではなく、相当な事務負担であるとか担当者のスキルが求められてくると思いますので、そういった点も配慮しながら、今後ビッグデータという形で進められていく中で、非常にこれが大事なデータ根拠になると思いますので、そこら辺の活用も今後非常に気をつけてしていただければと思います。

○田中座長 どうぞ。

○越田構成員 私もKDBを使うのは大変すばらしいなと、きょう改めてびっくりしたのですけれども、これもぜひ国のほうでデータベース化を自治体のほうに促していただきたいところがまず1点。

 もう一点は、先ほど申し上げましたけれども、基礎自治体から見て医療計画が遠い存在ではないようなことを我々は基礎自治体の一つとして申し上げたいので、その辺も厚生労働省のほうからまた御指示があればと思います。

 以上、2点です。

○田中座長 それぞれ、御意見ありがとうございました。

 では、お答えください。

○佐々木地域医療計画課長 地域医療計画課長です。

 今の点に関しては、申し上げにくいのですけれども、やはり都道府県が市町村との関係というものをきちんとつくっているところとつくっていないところの差があるというのを我々は感じているところです。我々も好事例は発信してまいりたいと思いますけれども、そういう点もあるということをぜひ御理解いただきたいと思います。

○田中座長 地域医療計画課長から最後、本音が出たところがいいですね。

 大変結構ですが、議論はここまでといたします。

 事務局から何か連絡はありますか。

堤室長補佐 次回のワーキンググループにつきましては、詳細が決まり次第、御連絡いたします。よろしくお願いいたします。

○田中座長 それでは、本日のワーキンググループはこれまでといたします。委員の皆さん並びに栃木県、奈良県の方、お越しいただきましてありがとうございました。

 以上で終わります。

 


(了)

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