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2018年4月27日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

○日時

平成30年4月27日(金)17:00~

 

○場所

航空会館501+502会議室

○出席者

出席委員(16名)五十音順

赤 羽 悟 美、  今 井 輝 子、 大 賀 正 一、 大 森 哲 郎、
岡   淳一郎、○奥 田 晴 宏、 金 子 明 寛、 川 上 純 一、
神 田 敏 子、  柴 田 大 朗、 杉      薫、 武 田 正 之、
平 石 秀 幸、◎松 井    陽、 森    保 道、 山 田 清 文
(注)◎部会長 ○部会長代理
他参考人1名
 

欠席委員(4名)

石 川 欽 也、  佐 藤 雄一郎、 鈴 木 邦 彦、 増 井    徹
 

行政機関出席者

宮 本 真 司 (医薬・生活衛生局長) 
森    和 彦 (大臣官房審議官) 
山 本    史 (医薬品審査管理課長) 
佐 藤 大 作 (医薬安全対策課長) 
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長) 
森 口    裕 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
桐 生 康 生 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○医薬品審査管理課長 定刻前ですが、先生方、おそろいでございますので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催させていただきたいと思います。本日は、連休の直前、また少し遅めの時間でございますが、お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。本日の委員の御出席ですが、石川委員、佐藤委員、鈴木委員、増井委員より御欠席との御連絡を頂いております。本日は、現在のところ、当部会委員数20名のうち、16名の先生方に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。なお、本日は審議事項の議題1に関しまして、医療社団法人部坂耳鼻咽喉科医院の部坂弘彦院長に参考人としてお越しいただくことになっていますが、遅れての御到着との御連絡を頂いております。
続きまして、事務局に人事異動がありましたので御紹介させていただきたいと思います。医薬品医療機器総合機構安全管理監の森口でございます。医薬品医療機器総合機構再生医療製品・ワクチン等審査担当審議役の桐生でございます。
次に、部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、御報告させていただきます。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいております。委員の皆様におかれましては、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、大変御負担をおかけしておりますが、何とぞ、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
それでは、松井部会長に以後の進行をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。皆さん、こんにちは。早速、本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきまして報告してください。
○事務局 配布資料の確認を順番にさせていただきます。本日、席上に、議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。また、議事次第に記載されております資料1~9をあらかじめお送りしてございます。このほか、資料10「審議品目の薬事分科会における取扱い等(案)」、資料11「専門委員リスト」、資料12「競合品目・競合企業リスト」を配布しています。
続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リスト(資料12)について御報告させていただきます。資料12の1ページを御覧ください。「ボトックス注用100単位及び50単位」でございますが、本品目は「痙攣性発声障害」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はございませんが、同様の使用目的とする医療機器として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
2ページを御覧ください。「ゼルヤンツ錠5mg」でございますが、本品目は「中等症又は重症の活動期にある潰瘍性大腸炎の寛解導入及び寛解維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
4ページを御覧ください。「レクサプロ錠10mg」でございますが、本品目は「うつ病・うつ状態」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
5ページを御覧ください。「ネキシウムカプセル10mg及び20mg並びに同懸濁用顆粒分包10mg及び20mg」でございますが、本品目は「消化管酸関連疾患」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
6ページを御覧ください。「タファミジスメグルミン」でございますが、本品目は「トランスサイレチン型心アミロイドーシス」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。
7ページを御覧ください。「ブロスマブ(遺伝子組換え)」でございますが、本品目は「FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。
○松井部会長 ありがとうございます。ただいまの事務局からの説明に特段の御意見等はございませんか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、委員の皆様の御了解を得たものといたします。それでは、委員からの申出状況について報告してください。
○事務局 各委員からの申出状況については、次のとおりでございます。議題1「ボトックス」、退室委員、議決には参加しない委員ともになし。議題2「ゼルヤンツ」、退室委員なし、議決には参加しない委員は大森委員、武田委員、平石委員、森委員、山田委員です。議題3「レクサプロ」、退室委員は大森委員、議決には参加しない委員は武田委員です。議題4「ネキシウム」、退室委員なし、議決には参加しない委員は大賀委員、大森委員、川上委員、武田委員、平石委員です。議題5「タファミジスメグルミン」、退室委員なし、議決には参加しない委員は大森委員、武田委員です。議題6「ブロスマブ」、退室委員なし、議決には参加しない委員は大賀委員、武田委員です。「委員からの申出状況について」は以上です。
○松井部会長 ただいまの事務局からの説明に特段の御意見等はございませんか。よろしければ、委員の皆さんの御承認を頂いたものといたします。
本日は、審議事項が6議題、報告事項が2議題、その他事項が1議題となっています。なお、先ほどありましたように部坂参考人が遅れて来られることから、まず審議事項議題2から順番に審議した後、部坂参考人が御到着され次第、議題1を審議し、その後は議題の順序どおりに進めたいと思います。よろしいでしょうか。それでは、審議事項の議題2に移ります。医薬品医療機器総合機構から概要を説明してください。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2、医薬品ゼルヤンツ錠5mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。
潰瘍性大腸炎の薬物治療としては、メサラジン製剤、ステロイド製剤、免疫抑制剤及び生物学的製剤等があり、重症度等に応じて薬剤が選択されています。活動期には、軽症から中等症にはメサラジン製剤が広く用いられ、中等症から重症にはステロイド剤等が、ステロイド抵抗例ではタクロリムスや抗TNF製剤等が使用されています。また、維持期には主にメサラジン製剤が用いられていますが、ステロイド依存例ではアザチオプリン等の免疫抑制剤が、抗TNF製剤で活動性が改善した場合には引き続き抗TNF製剤が用いられています。
本剤は、ヤヌスキナーゼ(JAK)ファミリーの選択的阻害剤であり、炎症性サイトカインの発現を抑制します。本邦では、本剤は2013年3月に「既存治療で効果不十分な関節リウマチ」の効能・効果で承認されています。本剤は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎に対する治療薬として既承認の治療薬と異なる作用機序を有しており、また、経口剤のため患者の利便性向上等が期待できることから開発に至りました。
なお、本剤は、2018年3月現在、既存治療で効果不十分な関節リウマチ等に対して欧米80か国以上で承認されていますが、潰瘍性大腸炎の適応を承認している国はありません。本品目の専門協議では、本日の配布資料11に示します専門委員を指名しております。
以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。有効性に関しては、まず、活動期における本剤の有効性について説明いたします。報告書20ページ表23を御覧ください。国際共同第III相寛解導入試験の主要評価項目である「8週時の寛解率」について、本剤10mg群のプラセボ群に対する優越性が検証されました。また、日本人集団においても、症例数は限られるものの、本剤10mg群ではプラセボ群よりも「8週時の寛解率」は高く、全集団の結果と矛盾する傾向は認められませんでした。以上より、活動期における本薬の有効性は示されたと考えました。
次に、維持期における本剤の有効性について説明いたします。報告書22ページ表27を御覧ください。国際共同第III相寛解維持試験の主要評価項目である「52週時の寛解率」について、本剤5mg群及び10mg群いずれもプラセボ群に対する優越性が検証されました。また、日本人集団においても、症例数は限られるものの、本剤5mg群及び10mg群ではプラセボ群よりも「52週時の寛解率」は高く、全集団の結果と矛盾する傾向は認められませんでした。以上より、維持期における本剤の有効性は示されたと考えました。また、有効性が期待できる用量範囲内で、なるべく低用量として本剤による全身曝露を減らすことが適切であることから、本剤の維持療法の用法・用量は通常5mgを1日2回投与とすることが妥当と考えました。
安全性に関して、活動期における安全性については、報告書10ページ表12を御覧ください。国際共同第III相寛解導入試験における有害事象の発現状況を示しております。プラセボ群と比較して、本剤10mg群で臨床上問題となるような傾向は認められませんでした。また、日本人の症例数は限られるものの、全集団と日本人集団で臨床上問題となる差異は認められませんでした。
次に、維持期における安全性について、報告書14ページ表17を御覧ください。国際共同第III相寛解維持試験における有害事象の発現状況を示しております。プラセボ群と比較して、本剤5mg群及び10mg群で臨床上問題となるような傾向は認められませんでした。また、日本人の症例数は限られるものの、全集団と日本人集団で臨床上問題となる差異は認められませんでした。
以上より、機構は、本剤についての十分な知識と潰瘍性大腸炎治療の経験を有する医師の下で使用されるのであれば本剤の安全性は許容可能と考えました。ただし、臨床試験で検討された日本人の症例数は限られていること等から、製造販売後調査では全症例を対象に本剤投与時の安全性情報を収集する必要があると考えました。
以上、機構での審査の結果、中等症から重症の潰瘍性大腸炎患者に対する本剤の有効性は示され、安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件及び一定数の症例データが蓄積されるまで全症例を対象とした製造販売後調査を行う旨の承認条件を付した上で、効能・効果等の追加について承認して差し支えないと判断し、本部会で審議されることが適当と判断しました。
なお、本申請は、新効能・新用量医薬品としての申請であることから、今回追加する「中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」の効能・効果及びその用法・用量について、再審査期間は4年と設定することが適切と判断しました。薬事分科会では報告を予定しております。機構からの説明は以上になります。御審議、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○松井部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御質疑をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。武田委員、どうぞ。
○武田委員 武田でございます。副作用の所でお聞きしたいのですが、12ページの表15に、いずれかの群で2%以上認められた有害事象の4番目が潰瘍性大腸炎となっています。それから52週の寛解率、そこの副作用が14ページの表17、18にありますけれども、表17は一番多い副作用が潰瘍性大腸炎ですね。潰瘍性大腸炎の臨床試験をやっているのに何で副作用が潰瘍性大腸炎なのでしょうか。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 本剤の開発に限らず、治験における有害事象の集計で、原疾患の悪化も集計することは行われており、一般的な手法であります。御質問の意図を確認させていただきたいのですがよろしいでしょうか。
○武田委員 潰瘍性大腸炎の臨床試験をやっていて、潰瘍性大腸炎が悪化したのだったら有効性がなかったということで、合併症とか副作用ではないような気がしますので、この表自身の記載がちょっとおかしいのではないかという気がします。
○医薬品医療機器総合機構 本剤の開発に限らず、治験における有害事象の集計では、原疾患の悪化も集計することは一般的に行われていることから、本剤の治験で有害事象の集計において、原疾患の悪化である「潰瘍性大腸炎」を含めて集計したことは、問題ないと考えております。報告書12ページの表15「いずれかの群で2%以上認められた有害事象」で、4番目に「潰瘍性大腸炎」があり、「潰瘍性大腸炎」の発現割合が高いことに対する御質問でしょうか。
○松井部会長 今、武田委員のおっしゃるのは、有害事象の対象に潰瘍性大腸炎の患者を選んでおきながら、それに有害事象として潰瘍性大腸炎を加えるということは、どういうことかという御質問です。
○事務局 事務局から御説明させていただきます。有害事象というのは治験の中で起きた有害な事象ということで、副作用に限らず症状が悪化したというものも広く拾う場合が多くあります。一方で、例えば、報告書10ページの表13「全集団のいずれかの群で2.0%以上又は日本人集団のいずれかの群で2例以上に認められた副作用」のように、副作用に関しては、いわゆる医薬品との関連性に関して望まない副作用が起きたものという集計を行うのが、一般的な集計方法になっています。そういう意味で、有害事象に病態の悪化を含むという集計は多く行われているところでございます。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○武田委員 通常は、潰瘍性大腸炎を良くする薬という臨床試験をやっているので、悪化すれば効かなかったと判断すべきではないかと思います。それを合併症に入れてしまうのはおかしい気がします。これは私だけがそう思うなら、それでよろしいですけれども、ほかの委員の先生方の御意見をお聞きしたいと思います。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○杉委員 私もそう思います。それで比率が大きいのです。ですから、先生のおっしゃるように効かないのかなという感じがしますけれども、どうでしょう。
○松井部会長 ほかの委員の先生方、いかがですか。赤羽委員、どうぞ。
○赤羽委員 広く有害事象を拾うということで、表17の中に潰瘍性大腸炎が入っているということは御説明いただいて納得したのですが、表18のほうは今度は副作用ということで、そこにも潰瘍性大腸炎が入っているのは、どうしてでしょうか。
○松井部会長 いかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 表18につきましては、治験薬との因果関係が否定できない場合に副作用として集計しています。
○松井部会長 治験薬との因果関係ですね。
○医薬品医療機器総合機構 治験担当医師が、治験薬の投与状況や有害事象の発現状況等から原疾患の悪化が治験薬による可能性を否定できないと考え、副作用と判断した場合に、副作用として集計されています。
○松井部会長 この件は今日始まったことではなくて、この種の議論は以前にも気付かれたことだと思いますけれども、よろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 治験では有害事象、副作用の定義を必ず設定しています。その設定に従って収集された事象を申請者(開発企業)は集計しています。治験担当医師が有害事象と判断すれば、通常は申請者(開発企業)がその判断を否定することは難しい状況です。また、副作用については、一般的には治験担当医師がそれぞれの有害事象に対し因果関係の有無を判断するという作業が行われます。
○松井部会長 大賀委員、どうぞ。
○大賀委員 ありがとうございました。そうしますと、表17の潰瘍性大腸炎というのは、この薬を使う前の状態から比べて、疾患の活動性が増悪したものを示しているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 表17「全集団のいずれかの群で5.0%以上又は日本人集団のいずれかの群で2例以上に認められた有害事象」に提示された有害事象「潰瘍性大腸炎」は、原疾患が増悪した場合に有害事象として収集されていると考えます。
○松井部会長 よろしいですか。これは、今の機構からの説明を聞いていますと、委員のほうでそういうものだと考えなければいけないのかもしれませんが、どうでしょうか。
○武田委員 表17ですが、全集団でなくて日本人集団を見ますと、プラセボ群では潰瘍性大腸炎が36.4%です。例数は少ないですけれども5mgで31.3%なので、プラセボも5mgも潰瘍性大腸炎が結構悪化するわけですが、10mgだと悪化したものはいなかったので、これだけ見ると5mgは効かないけど10mgだったら効くかもしれないと。それしか言いようがなくて、この申請は5mgで上がっているので、そうなると否定されてしまうような気がしますけれども、例数が少ないので全集団ではないですよね。
○医薬品医療機器総合機構 本剤の有効性の表16「52週時の寛解率」に提示したように、本剤の効果は必ずしも全ての被験者に認められるわけではありません。本剤に限らず、一般的に、中等症から重症の潰瘍性大腸炎患者を対象とした治験では、治験に参加した全員に有効性が認められるわけではなく、一定数の患者は原疾患の増悪が認められることがあります。
○大賀委員 そうしますと、表27の所で寛解維持の効果に関しても、日本人集団に限って言えば5mgの寛解率と10mgの寛解率は、かなり違っているように見えるのです。これは全集団で見るとあまり変わらないかなと思います。そして、先ほど御指摘があった有害事象の所でも5mgと10mgの差が、日本人でははっきり出ているように思えるのです。さらに20ページの表23、今度は寛解導入に関しても10mgというのがどうなのでしょうか。5mgでなくて10mgというので、こんなふうに見ているわけですが、これから急性期には10mgで、寛解期には5mgというふうに決めたのでしょうか。全集団では5mgと10mgの差があまり出ていなくて、日本人集団で先ほどの有害事象の所と寛解維持の所で出ているのは、全集団と日本人の集団の数の問題か、それとも質の問題か、そこについてはどのようにお考えでしょうか。というのも、この薬が、この疾患に対して適応を申請しているのは日本が初めてだということになるからです。そこのところは民族の違いなども含めてどのようにお考えでしょうか。
○松井部会長 機構、いかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問の1点目、本剤の有効性について日本人集団と全集団における一貫性がどのようになっているかという点に関しては、報告書22ページ表27「国際共同第III相寛解維持試験(A3921096試験)における52週時の寛解率」を御覧ください。A3921096試験は全集団に対しては統計学的な検証ができるように事前に設計された臨床試験となっています。日本人集団については、全集団のうちの部分集団であり、日本人集団だけで統計学的な検証ができるような設計にはなっていませんが、全集団と日本人集団の成績を見比べることで、全集団と日本人集団で本剤の有効性について大きな差がないと判断しました。
○大賀委員 そうすると、例えば今後、全例調査とかで日本人集団の特性というものを明らかにすることによって、投与量を変えることもあるというふうに考えてよろしいですね。
○医薬品医療機器総合機構 先程の御質問の2点目、本剤の海外の申請状況について回答します。本剤は、三極で国際共同で開発が行われていて、米国の審査については、2018年3月の上旬にAdvisory committeeが開催され、Advisory committeeの結果は、承認を支持する方向となっています。欧州の審査については現時点で公開されている情報で大きな動きはありません。
○大賀委員 ありがとうございます。
○松井部会長 よろしいですか。ほかにはいかがですか。まだ御発言いただいていない先生もいらっしゃるようですけれども、何か特にありますか。そうしますと、この有害事象、副作用、この表のまとめ方について私どもはどういう定義で、この結果が語られているかを理解する以外にないのではないかと私は思いますが、それでよろしいですか。反対ということであれば、これ以上ディスカッションしても、あまり大きな意味はないように思うのですが、いかがですか。御発言がなければ先に進むということでよろしいですか。ほかに御質疑はございますか。御専門の立場から平石委員、何か御発言はありますでしょうか。
○平石委員 今回、対象になっていますのは中等症から重症の潰瘍性大腸炎です。通常、この状態では副腎皮質ステロイドが使われるわけですけれども、問題は、副腎皮質ステロイドに抵抗する症例とか難治例、あるいは、お薬を減量すると再発するステロイド依存例が結構見られるわけです。そういった症例には免疫調整薬、あるいはバイオ製剤が選択されます。バイオ製剤については、今、我々が持っているのは抗TNF抗体で3種類あり、この3種類でもそれぞれの効果は異なるわけです。今回のお薬はヤヌスキナーゼのantagonistということで、新しい作用機作を有するお薬ですので臨床家の選択の余地も広がるという意味では、一定の期待は持っていいと思っています。以上です。
○松井部会長 ありがとうございます。ほかにございますか。もしなければ議決に入ろうと思いますが、よろしいでしょうか。なお、大森委員、武田委員、平石委員、森委員、山田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御連慮いただきたいと思います。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。まだ部坂先生がお出でにならないようですので、議題3に移ります。議題3ですが、大森委員におかれましては利益相反に関する申出に基づきまして、議題3の審議の間、別室で御待機いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
                                 (大森委員退室)
○松井部会長 それでは、機構から概要を御説明ください。
○事務局 医薬品レクサプロ錠10mgの再審査期間延長の可否について、事務局より御説明いたします。資料3を御覧ください。まず、再審査期間の延長に係る制度について、御説明いたします。お手元の資料3の表紙が諮問書となっておりますが、こちらに記載されております「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条の4第2項」においては、「厚生労働大臣は新医薬品の再審査を適正に行うため特に必要があると認めるときは、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、再審査期間をその製造販売の承認があった日から10年を超えない範囲内において延長することができる」旨の規定があります。この規定に基づき、小児の用量設定等のための臨床試験を計画する場合で、必要があると認められる場合には、個別に本部会にお諮りした上で、再審査期間を延長しているところです。
続いて資料に基づき、今回の品目の概要を御説明いたします。1つ目の「品目概要」のタブをお開きください。本品目の申請者は持田製薬株式会社、品目名は「医薬品レクサプロ錠10mg」です。有効成分として「エスシタロプラム」を含有し、今回の開発対象の効能・効果は、「うつ病・うつ状態」となっております。用法・用量欄の記載のとおり、本品目は成人の用法・用量のみで、小児に係る用法・用量の設定はなく、添付文書の小児等への投与の項では、「低出生体重児、新生児、乳児、幼児、又は小児に対する安全性は確立していない(国内での使用経験がない)。」と記載されております。
その下、本品目の初回承認日は平成23年4月22日、再審査期間は8年となっておりますが、その下の「再審査延長案」のとおり、今般、申請者からは再審査期間を当初より2年延長し、2021年4月21日までの10年とする要望が提出されております。
続いて2つ目のタブ、「再審査期間延長に係る要件の該当性について」の1ページを御覧ください。2.「小児うつ病の薬物治療について」ですが、以前は小児のうつ病に対する薬物治療には慎重な社会情勢があったところ、2段落目の記載のとおり、2016年7月に日本うつ病学会の「気分障害の治療ガイドライン」が改訂された際に、「児童思春期のうつ病」の項が新たに追加され、中等度から重度のうつ病には薬物療法が選択肢として推奨されるようになっております。
続いて3.には、本薬の小児うつ病に対する開発について記載しております。本薬は12歳以上のうつ病に対する効能で、2009年に米国FDAから承認されており、先ほどの日本うつ病学会の治療ガイドラインにおいても、12歳以上の小児うつ病患者の治療選択肢として本剤が推奨されていること及び臨床現場での使用実態があることから、追加の臨床試験を実施することで有効性、安全性を確認し、適切な小児用量を設定すること及び医療現場に安全性情報を提供することは、小児うつ病治療に資するものと考えられます。これらを踏まえ、2ページに記載しておりますが、企業と機構の対面助言の実施により小児の用法・用量の設定のため、小児を対象とした〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇試験の実施が予定されております。
以上のことから、再審査期間延長に係る要件に該当し、再審査期間を10年に延長することが適当と考えております。以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いいたします。いかがでしょうか。大賀委員、何かありますか。よろしいですか。もし御意見がないようでしたら議決に入ろうと思いますが、よろしいでしょうか。なお、武田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。それでは本議題につきまして、再審査期間の延長を可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、再審査期間の延長を可として、薬事分科会に報告といたします。別室で御待機の大森委員をお呼びください。
                                 (大森委員入室)
○松井部会長 それでは議題4に移ります。機構から概要を御説明ください。
○事務局 それでは事務局より、審議事項の議題4、資料4、医薬品ネキシウムカプセル10mg、同カプセル20mg、同懸濁用顆粒分包10mg及び同懸濁用顆粒分包20mgの再審査期間の延長の可否について、御説明いたします。まず、再審査期間の延長の制度については、先ほどの議題で御説明しましたとおり、諮問書に記載もありますが、医薬品、医療機器等法第14条の4第2項に基づき、本部会にお諮りするものになっております。
続いて、品目概要のタブをお開きください。品目概要に記載のとおりですが、本品目の申請者は、アストラゼネカ株式会社、品目名は「ネキシウムカプセル10mg、同カプセル20mg、同懸濁用顆粒分包10mg及び同懸濁用顆粒分包20mg」です。有効成分として「エソメプラゾール」を含有し、こちらにお示しする効能・効果、また次のページから、用法・用量も記載しておりますが、これらの用法・用量で承認されているところです。
用法・用量の欄を御覧ください。本品目については、小児に対する用法・用量が設定されていない効能・効果が幾つかあります。用法・用量の2つ目の○、「逆流性食道炎」の成人の部分を御覧ください。再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法という部分については、小児の用法・用量の設定がない状況です。次に4つ目以降の○を御覧ください。非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制、低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制、「ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助については、小児の用法・用量の設定がない状況です。
続いて、ページ数を振っておらず、大変恐縮ですが、2枚先の右側の下の部分になるのですが、初回承認日と記載がある欄です。こちらに示したとおり、本品目の成人の用法・用量の承認日は、平成23年7月1日で、再審査期間は8年となっております。
次のページの中ほどですが、「再審査期間延長案」とその「根拠」という部分に示しておりますが、「根拠」の欄に記載がありますとおり、今般、申請者から、まだ小児の用法・用量が設定されていないものについて、小児を対象とした第III相臨床試験の治験計画届が提出されていることから、再審査期間を当初より2年延長して、平成33年6月30日までの10年とする要望が提出されております。
続いて、別添1のタブの4ページを御覧ください。「2.2ネキシウムの小児に対する医療上の必要性」の欄にありますが、2.2.1から順に各疾患における小児に対しての医療上の必要性について示されており、御覧いただきたいのが2.2の下から5行目辺りになるのですが、これらの対象疾患において、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の臨床研究・治験推進研究事業において、こちらの本剤の小児酸関連疾患に対する医療ニーズの重要性の高さが評価されており、「優先的に開発すべき医薬品」として採択されているということから、小児の開発の必要性は高いものと考えております。
また、9ページを御覧ください。今回の試験の設定根拠ですが、9ページの真ん中下にありますが、試験期間について右側の表があります。こちらに記載のとおり、本試験の患者の組入れに関しては、120例を集めるのに組入れ期間として48か月、約4年間が見込まれると申請者は説明しております。本試験の実施期間を踏まえると、再審査期間については申請者の要望のとおり、当初から2年を延長し、最長の10年間、平成33年6月30日まで延長することが適当と考えております。以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 御質疑をお願いします。いかがでしょうか。小児科の立場から大賀委員、何かありますか。よろしいですか。消化器の立場から、平石委員いかがでしょうか。
○平石委員 今回、小児に対するNSAIDsあるいは低用量アスピリンによる消化性潰瘍、胃潰瘍、十二指腸潰瘍に対する用法・用量を設定したいということですけれども、恐らく小児に関しては、低用量アスピリンとかNSAIDsによって、どれぐらいの頻度で消化性潰瘍を発生するかというのは、恐らくデータがないと思うのです。
ただ、成人でいいますと、かなり高頻度で発生するということが既に報告されています。例えば1991年の日本リウマチ財団の報告ですと、3か月以上NSAIDsを内服している関節炎患者では、活動性の胃潰瘍、十二指腸潰瘍、つまり開放性の消化性潰瘍の頻度が、17%程度と報告されています。かなり高頻度です。こういった潰瘍は、NSAIDsとか低用量アスピリンによって症状がマスクされて、消化管出血という形で症状を発することが非常に多いということが、最近は明らかになってきておりまして、同じようなことが恐らく小児でも起こる可能性があるのだろうと思っています。
先ほども言いましたように、どれぐらいの発生率かということは明らかではないですけれども、そういったことを考えますと、小児に対するNSAIDsあるいは低用量アスピリン患者に対する、この薬剤の効果は、極めて重要な臨床的な課題だろうと思います。以上です。
○松井部会長 ありがとうございます。
○大賀委員 今のことに、適用に当たる患者さんのことについて考えますと、小児で長期に抗炎症の薬剤を飲むということは、基礎疾患でかなり長い間、若年性特発性関節炎などでメソトレキサートをずっと飲む患者さん、それからヘリコの除菌の患者さんなどには、こういった薬の有用性は、私たちにとってもニーズがあると思いますので、大切です。したがって、これで症例をもう少しリクルートしていただけるのはいいかなと思います。
○松井部会長 ありがとうございます。ほかに御発言はありますか。それでは、議決に入ります。なお、大賀委員、大森委員、川上委員、武田委員、平石委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議題につきまして、再審査期間の延長を可としてよろしいでしょうか。よろしいですか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、再審査期間の延長を可とし、薬事分科会に報告いたします。
それでは議題1に移ります。部坂参考人、どうかよろしく御参加ください。
○部坂参考人 遅くなりまして申し訳ございません。
○松井部会長 それでは、機構から御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料1、医薬品ボトックス注用100単位他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等につきまして、機構より御説明いたします。痙攣性発声障害は、声帯の動きを司る内喉頭筋の不随意かつ断続的な痙攣による発声障害を生じる疾患であり、仕事や日常生活において会話が円滑に行えない等の問題が生じることから、就業や社会生活を送る上で大きな支障になります。病型として、内転型及び外転型並びにそれら両方を併せ持つ混合型に分類され、内転型では発声時に声帯が不随意かつ断続的に内転することで、声の途切れ、絞り出すような声等が生じ、外転型では発声時に声門が不随意に開くことで、断続的な嗄れ声、息の漏れ等が生じます。
本邦における有病率は、10万人当たり約3.5~7.0人とされ、国内患者数は約4,400人~8,900人と推定されており、その内訳は内転型が約93%、外転型が約6%及び混合型が約1%を占めております。
本剤はA型ボツリヌス毒素を有効成分とする注射剤であり、眼瞼痙攣、痙性斜頸等の局所性ジストニアに分類される効能をはじめとして、その他、様々な効能・効果で承認されています。痙攣性発声障害も局所性ジストニアの1つと考えられており、既承認の効能・効果と同様に神経終末でのアセチルコリン放出抑制による筋弛緩作用により効果が期待されます。
本申請に係る臨床試験は、2014年6月から高知大学医学部附属病院耳鼻咽喉科を中心とした医師主導治験として実施され、今般、痙攣性発声障害に対する有効性及び安全性が確認されたとして、効能・効果を追加するための承認申請が行われました。本申請の専門委員として、資料11に記載されている4名の委員を指名しております。
臨床試験成績を中心に、審査の内容を説明させていただきます。審査報告書5ページの7.1国内第II/III相試験の項を御覧ください。痙攣性発声障害患者を対象とした臨床試験として、内転型の患者20例を対象としたプラセボ対照試験と、外転型の患者2例を対象とした非盲検非対照試験が、それぞれ実施されております。
まず、内転型における有効性ですが、審査報告書5ページの脚注5)を御覧ください。痙攣性発声障害患者において、声の途切れ等の特徴的な症状の変化を評価するため、被験者に規定の文章を朗読させ、異常が認められたモーラ、すなわち拍の数(以下「異常モーラ数」)の項目を評価し、そのベースラインからの変化量が主要評価項目に設定されました。異常モーラ数については、中央評価委員会において3名の評価者が個別に録音された音声を聴取し、3名の評価者の中央値を主要評価項目として用いました。
参考までにここで、本剤の投与前及び投与4週後における患者の音声サンプルを再生いたします。まず、投与前を再生いたします。
                                   (音声再生)
 
○医薬品医療機器総合機構 続きまして、投与後を再生いたします。
                                   (音声再生)
 
○医薬品医療機器総合機構 投与後ですと、声の途切れや詰まりが取れまして、滑らかな発声となっております。主要評価項目の結果につきましては、審査報告書6ページの表2を御覧ください。異常モーラ数のベースラインからの変化量につきまして、本剤群とプラセボ群との間に統計学的な有意差が認められました。なお、念のため、自覚的な症状評価法であり、機能性発声障害の評価方法として信頼性及び妥当性が確認されているVHI合計スコアや、他の副次評価項目の結果も確認いたしました。
審査報告書8ページの表4を御覧ください。VHI合計スコアをはじめ、そのほかの副次評価項目においても、本剤群において改善傾向が認められました。以上を踏まえ、内転型痙攣性発声障害に対する本剤の一定の有効性は示唆されていると判断いたしました。
次に、外転型における有効性ですが、審査報告書12ページの表7を御覧ください。試験に組み入れられた被験者2例における異常モーラ数の経時的変化では、被験者マル1及びマル2におきまして一定の傾向は認められませんでした。しかしながら、審査報告書13ページの表8を御覧ください。海外において外転型の患者に対してボツリヌス毒素を用いた治療を行ったとき、一定の症状の改善が認められたとの報告が複数あります。また、表8の下の文章を御覧ください。外転型は、内転型と同様に、発声時における内喉頭筋の異常な筋活動が主な原因と考えられ、外転型においても内転型と同様に本剤の投与による内喉頭筋の筋弛緩作用により有効性が期待できること、また、海外の公表文献において一定の改善が報告されていること、外転型では外科的治療も含め、有効性が確立した治療法がないことも考慮すると、本剤を外転型痙攣性発声障害に対する治療選択肢として、医療現場に提供することは可能と判断いたしました。
また、安全性ですが、審査報告書14ページの表9を御覧ください。本剤の臨床試験では、嚥下障害及び発声障害が主に認められましたが、それ以外の有害事象については既承認効能・効果と比較して発現割合に大きな差異は認められませんでした。なお、本剤の臨床試験で認められた嚥下障害及び発声障害については、審査報告書14ページ、「7.R.2.2嚥下障害関連の有害事象について」の項及び15ページ「7.R.2.3呼吸器系有害事象について」の項を御覧ください。海外製造販売後安全性情報における発現件数を踏まえると、痙攣性発声障害患者において重篤な嚥下障害及び発声障害が多くなる傾向は認められませんでした。
さらに、審査報告書25ページの「7.R.8製造販売後の検討事項について」の項を御覧ください。痙攣性発声障害においては、内喉頭筋に本剤を施注することから、本剤の有効性及び安全性を十分に理解し、高度な解剖学的知識、筋電図モニタリング下の筋同定及び施注手技に関する十分な知識・経験のある医師のみが本剤を使用可能となるよう、講習を修了した医師のみに対して、本剤を使用できる資格を付与することが必要と考えております。
また、審査報告書28ページ中ほどの2つの矢じりを御覧ください。本剤を投与可能な医師を日本耳鼻咽喉科学会の専門医又は痙攣性発声障害をはじめとしたジストニアの診療を行うことのある日本神経学会の専門医に限定するとともに、日本神経学会の専門医であっても、重篤な出血等の緊急時に耳鼻咽喉科医との連携が可能である場合のみ、本剤の投与を可能とすること、また、手技の難易度を踏まえ、講習はライブ形式に限定し、投与時の注意事項について、映像を用いて解説を行うことが申請者から提案されております。
以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新効能医薬品及び新用量医薬品であり、今回追加される効能・効果に対する再審査期間は4年とすることが適切と判断しております。薬事分科会には報告を予定しております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○事務局 事務局より追加で御紹介いたします。本議題では本剤の臨床的位置付け等について御説明を頂くため、部坂参考人にお越しいただいております。
○松井部会長 それでは部坂参考人から、本議題につきまして、御発言をお願いいたします。
*
○部坂参考人 遅くなりましてすみませんでした。私どもは、耳鼻咽喉科専門医として、痙攣性発声障害の治療を今までやっております。ボトックスも、もう既に15年以上外来でやっております。この痙攣性発声障害の治療については3つのことが考えられます。
1つ目は音声治療で、発声方法を矯正することです。2つ目は外科的治療で、本年4月より保険収載された甲状軟骨形成術II型というものです。皮膚外切開をして、甲状軟骨の正中を切離してチタンプレートを入れて、声帯を広げて緊張を緩めることにより痙攣が止まるという理論です。それが保険収載されました。痙攣を起こす筋肉は甲状披裂筋がメインですので、そこの部分を喉頭微細手術で筋肉の一部を切除する手術も行っていました。3つ目は今御紹介いただきましたボトックスを経皮的もしくは経鼻的にファイバースコープ下に注入する方法です。今申し上げましたように、私どもは大学の喉頭外来で、大学の倫理委員会を通してこの薬剤を使わせていただき、費用は耳鼻咽喉科の医局で負担してもらっています。
この発声障害の音声治療による方法というのはエビデンスもなく、なかなか難しいところもあります。外科的治療をするか、ボトックスを注入するかということは患者さんに説明をして行いますけれども、外科的手術の場合には、先ほど言いました甲状披裂筋を切除すると、術後は声帯の瘢痕萎縮が来て、逆に嗄声が強くなる。また、チタンプレートを甲状軟骨形成術II型で手術すると、皮膚の瘢痕も残ります。この痙攣性発声障害に罹患されている方は若い女性が多いので外見上頸部に瘢痕が残るということで、ボトックスを優先する場合が多くありました。
ボトックス注入の手技は、甲状披裂筋を同定するのが難しいわけなのですけれども、我々耳鼻咽喉科専門医で、しかも喉頭を専門にやっている医師は、今まで反回神経麻痺で、例えば甲状腺癌、食道癌、肺癌で反回神経麻痺になったときに、その神経がどの程度再生可能かどうかを予測するため筋電図で検査していました。甲状披裂筋、外転型の支配する後輪状披裂筋、あとは前筋といって輪状甲状筋の3筋の筋電図を取っていました。そういうことをやっていた関係上、我々はどの筋肉かを同定することができます。
筋電図等を用いて、確実に筋肉に注入することを目的とする場合に、先ほども御説明がありましたが、グラクソ・スミスクライン社でそういう講習会も催していただきますし、耳鼻科専門医であればできる。筋肉に刺す注入針も26ゲージ、27ゲージと非常に細い針で、今までに血腫等の副損傷はありません。
ただ、注入後、一過性に嚥下障害を来しますし、また嗄声も来します。これは、アセチルコリンの放出を抑制するための一時的な神経麻痺が生じて起きています。注入している人たちが若いということもあり、数日で回復をしております。このように嚥下障害のリスクはありますが、その他に懸念の強い安全上の問題はないと思っています。以上です。
○松井部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質疑をお願いいたします。武田委員どうぞ。
○武田委員 非常に素晴らしい治療だと思いますし、有効性も高いです。1つの問題点は、再投与の結果です。17ページで「反復投与時の有効性等について」ということで、本剤-本剤群と表10を見ると、3か月ぐらいで元に戻るというか、かなり悪化するようです。効能の予定で、3ページに痙攣性発声障害に対する投与量が書いてあります。いずれも内転型2.5単位、外転型は片側で5.0単位で、3か月以内の再投与は避ける。場合によっては、3か月以内でもかなり悪化する方もおられると思うのですが、そういう場合はどうするのか。
それから、適宜投与量を増減することはできるが2.5単位を超えないとか、5.0単位を超えない。これ以上の投与量は、再投与の場合は打てないのでしょうか。もっと多い投与が必要な方もおられるのではないかと思うのです。
○松井部会長 部坂参考人いかがでしょうか。
○部坂参考人 注入量と注入期間についてだと思います。注入量に関しては、一応2.5単位ですが、患者さんによってはその筋肉にうまく当たっていない場合も考えられますし、その個人差もありますので、2か月ぐらいで再注入する人たちもいます。むしろ3か月、4か月続く患者さんのほうが多いです。量が2.5単位と非常に少ないので、中和抗体等の発生もありません。むしろ効きが弱くなってきて、今まで我々は3単位や3.5単位等を注入したことがあります。大体数か月はもつと思っていますので、数か月後に患者さんが来たときに、再注入しながら注入する期間、注入量を決めているというのがうちの大学での方針です。
○武田委員 十分分かりました。もう1つはこの場で決めるというか質問することではないと思うのですけれども、手技料に関してはどうなるのですか。この注入手技は結構難しいですよね。
○部坂参考人 我々の場合には、今まで注入手技・処置、技術的なものは保険点数上請求していませんでした。ファイバースコープで声帯の状態を観察するファイバースコープのみの点数を患者負担で、注入薬は医局負担です。ちょっと問題なのは、これが承認された場合に、患者さんの負担がかなり多くなるのが問題かと思います。
○松井部会長 こういうまとめでよろしいかと思います。全ての皆さんが先ほどの録音による症状の軽快の印象を受けたと思うのです。あれは内転型の患者さんだと思うのです。
○部坂参考人 そうです。
○松井部会長 そうした多くの内転型の患者さんと、それから一部かもしれませんけれども外転型の患者さんにも治療の道を開いたという括りでよろしいのでしょうか。
○部坂参考人 はい、そのとおりだと思います。日常生活にかなり支障を来す疾患なので、患者さんは非常に喜んでいるのが現状です。
○松井部会長 他に御質疑はありますか。平石委員どうぞ。
○平石委員 この手技は非常に高度なテクニックを要すると思うのです。28ページに、この手技を行うことができる資格として、「日本耳鼻咽喉科学会の専門医又は日本神経学会の専門医」と書いてあります。その3行下に、e-learningではなくて、ライブ形式に限定して手技を習得してもらうと記載されています。結局このライブの手技の講習を受けることが、この手技を行うことの必要条件とするという理解でよろしいでしょうか。
○松井部会長 いかがですか。
○部坂参考人 私は現在のライブの詳細は存じあげないのですが、行ったほうがいいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 そうですね、投与手技として、ボトックスはいろいろな効能には承認されています。その中でも本剤の内転型、外転型に対する投与のところに関しては、手技の難易度は比較的高めであるところも考慮し、ライブ形式で講習を受けていただくことを今回は要件とさせていただいております。
○松井部会長 その場合に保険収載をするうんぬんということは、この会の役割を超すわけですけれども、どの委員の先生方もこの手技及び治療に対して正当な評価が与えられることを希望していらっしゃるのではないかと思います。私が勝手に言ってしまって差し支えがあるかもしれませんが、そのような方向に持っていっていただきたいというのが委員の意見ではないかと存じます。他に御質疑はありますか。もし、ないようでしたら議決に入ります。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議はないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。部坂先生、どうもありがとうございました。
○部坂参考人 ありがとうございました。
○松井部会長 議題5に移ります。議題5について、事務局から概要の説明をお願いします。
○事務局 議題5、資料5、タファミジスメグルミンを希少疾病用医薬品として指定することの可否について事務局より御説明いたします。資料の「評価報告書」のタブをお開きください。評価報告書1ページ中段です。申請者はファイザー株式会社、予定される効能・効果は「トランスサイレチン型心アミロイドーシス」となります。
まず、1ページで、「対象患者数」についてです。トランスサイレチン型心アミロイドーシスは、主に肝臓で産生されるトランスサイレチン由来のアミロイドが心筋に沈着した状態です。厚生労働省の研究班における患者総数は、遺伝性と野生型を合わせて750名であったことから、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
2ページで、「医療上の必要性について」です。トランスサイレチン型心アミロイドーシスは典型的な拘束型心疾患の症状並びに脚ブロックなどの伝導異常を示します。生存期間の中央値は、遺伝性で41か月、多くの患者は心突然死、心不全により死亡に至り、予後不良の疾患です。現在、トランスサイレチン型心アミロイドーシスの治療は、対症療法の他は根本治療である侵襲性の高い肝移植のみであり、本疾患の有効性が確認されている薬剤はありません。
トランスサイレチン型は、通常4量体を形成しており、不安定化により解離し、ミスホールディングした単量体が沈着することでアミロイドが形成されるとされております。本剤は4量体を安定化させることで、心筋へのアミロイド沈着を抑制することが想定され、肝移植の適応とならない患者の治療薬となり得ると考えます。以上により、本薬の医療上の必要性は高いと考えております。
最後に「開発の可能性について」です。海外において、第II相臨床試験が完了しており、生存率はヒストリカルコントロールより良好であった結果が得られております。また、現在第III相国際共同治験の組入れが完了しております。なお、本剤はトランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの末梢神経障害の進行抑制を効能・効果として製造販売承認を取得しております。以上により、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。
以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いいたします。いかがでしょうか。特段御意見はありませんか。もし、なければ議決に入ります。なお、大森委員、武田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただきます。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告いたします。議題6に移ります。事務局から概要を説明してください。
○事務局 審議事項議題6、資料6、ブロスマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について事務局より御説明いたします。資料6の「事前評価報告書」のタプをお開きください。1ページ中段を御覧ください。申請者は、協和発酵キリン株式会社、予定される効能・効果は「FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症」となります。
1ページで「対象患者数」です。患者数については5行目から記載しておりますが、FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症は、平成17年から平成21年までの5年間で331名が確認されており、年間発症症例数は117名と推測されております。
また、1ページの一番下からは別の調査になります。平成21年11月から平成22年5月に行われた、日本小児内分泌学会による患者数の調査の結果です。持続性低リン血症性くる病の患者数は全国で135名確認されており、そのうちFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症の患者は更に少数と推測されます。以上より、本邦における患者数は希少疾病用医薬品の指定の基準である5万人未満を満たすものと考えております。
2ページは「医療上の必要性について」です。FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症は、過剰なFGF23の作用により、腎近位尿細管からのリン再吸収及び腸管からのリン再吸収が抑制されることで、持続的な低リン血症を引き起こし、それによって骨の石灰化が抑制され、くる病・骨軟化症を呈する疾患となっております。FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症により、骨折、歩行障害等の長期にわたり、著しくQOLを低下させる重篤な疾患です。
また、当該疾患の治療は、現在は低リン血症に対する経口リン製剤及び活性型ビタミンD製剤を投与する対症療法です。対症療法により正常範囲に近い値で血清リン濃度を維持するためには、大量かつ頻回の経口リン製剤の服用と大量の活性型ビタミンD製剤の服用が必要とされますが、副作用の懸念により投与も制限されることから、安定的に血清リン濃度を正常に維持させる新たな治療法が望まれております。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
3ページは「開発の可能性について」です。成人及び小児のX染色体優性低リン血症性くる病・骨軟化症患者を対象とした国際共同第III相試験等が実施中であり、欧米では小児のX染色体優性低リン血症性くる病・骨軟化症に関して、現在実施中の臨床試験の中間成績等に基づき、欧州では平成30年2月に承認を取得し、米国では平成29年8月に承認申請がなされて現在審査中です。
また、成人X染色体優性低リン血症性くる病・骨軟化症患者を対象とした国際共同第III相試験の1つにおいて、主要評価項目として設定されたベースラインからの投与開始24週までの平均血清リン濃度が下限値の2.5mg/dLを上回った被験者の割合が、本剤群で94%、プラセボ群で8%であり、本剤群において有意に高い結果が得られております。以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがって、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしているものと考えております。
以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○松井部会長 議題6について、委員の先生方から御質疑をお願いいたします。いかがでしょうか。それでは私から質問します。これはFGF23との抗原抗体反応で治療効果を期待するわけですよね、それでよろしいですか。
○事務局 はい、そうです。
○松井部会長 その抗原抗体反応によってできたコンプレックスが何か悪いことを起こすような可能性はないのでしょうか。
○事務局 現在実施中の試験において安全性のほうも確認しておりますけれども、現時点で特段の問題となるような安全性上の懸念は出てきていない状況です。今後、こちらに関しても承認申請がなされましたら、本部会において有効性・安全性を確認していただき、承認の可否は改めて御審議いただくこととなります。
○松井部会長 他に御質疑はありませんか。特にないようですので議決に入ります。なお大賀委員、武田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきます。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告いたします。それでは、報告事項に移ります。事務局からお願いします。
○事務局 事務局より、報告事項についてまとめて御説明いたします。報告事項議題1、医療用医薬品の再審査結果について御報告いたします。資料7-1と7-2は医薬品再審査確認等結果通知書となっておりますので、まとめて御報告いたします。資料7-1は、一般的名称は「モダフィニル」、販売名は「モディオダール錠100mg」のもの。資料7-2は、一般的名称は「フェンタニルクエン酸塩」、販売名は「フェントステーブ1mg」ほか4規格のもの。これらの品目について、製造販売後の特定使用成績調査及び使用成績調査等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられております承認拒否事由のいずれにも該当しないこと。すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものです。
報告事項議題2、「希少疾病用医薬品の指定の取消しについて」御説明いたします。資料8を御覧ください。届出者はBioMarin Pharmaceutical Japan株式会社、医薬品の名称は「ドリサペルセンナトリウム」です。本剤は、平成22年11月10日に「デュシェンヌ型筋ジストロフィー」を予定される効能又は効果として、希少疾病用医薬品に指定されました。
今回、試験研究を中止する理由ですが届出者は、「届出者の本社が米国FDAに行った承認申請について、承認される状態ではないと判断されたこと、欧州医薬品庁への申請については、欧州医薬品委員会が否定的な意見を出す予定であったため、申請を取り下げたことを踏まえ、日本を含む世界各国での本薬の開発を中止することにした」旨を説明しております。よって、医薬品医療機器法第77条の6の規定に基づき、本剤の本予定効能・効果に係る希少疾病用医薬品の指定を取り消すことといたしました。
事務局からの報告事項に関する説明は以上です。
○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いいたします。特にないようでしたら、報告事項については御確認いただいたものといたします。その他事項に移ります。事務局から説明をお願いします。
○事務局 その他事項議題1、資料9、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価について、御説明いたします。
はじめに、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議(以下検討会議と呼ぶ)における検討における本「事前評価」の位置付けについて御説明いたします。資料9の31ページを御覧ください。検討会議とは、欧米等では使用が認められていますが、国内では承認されていない医薬品及び適応について、要望があれば本邦での医療上の必要性の評価及び承認のために必要な試験の有無及び種類の検討を行う会議です。
資料の右上から御説明いたします。厚生労働省は、学会や患者会等から要望が挙げられ、検討会議で医療上の必要性が高いと評価された医薬品については、企業に対して開発要請を行います。開発の手段として、その医薬品が臨床現場において既に医学薬学上公知である場合には、公知申請を選択し、本邦において有効性・安全性を確認する試験が必要な場合には、治験等を行います。
本部会での「事前評価」については、図の真ん中の左辺りに記載されております審議会の「事前評価」という所に当たります。企業が開発の手段として公知申請を希望し、検討会議で公知申請に該当すると判断された場合に、公知申請の「事前評価」として御確認いただくこととしております。本部会で御確認いただいた後に、企業が公知申請を行い、機構での審査を経て、改めて部会で承認を頂くという流れになっております。
資料9の3ページを御覧ください。本要望は、日本循環器学会より、ドブタミン塩酸塩の心エコー図検査における負荷に対する適応追加の要望です。本要望については、平成28年2月の第26回検討会議にて、医療上の必要性が高いと判断され、開発要請が行われたものになります。
本要望の公知該当性について御説明いたします。20ページを御覧ください。まず有効性についてです。要望内容に関して、ドブタミンはイギリス、ドイツにおいて承認され、オーストラリアにおいても保険償還されていると判断できます。また、国内外の臨床試験において、ドブタミンを用いた負荷心エコー図検査は心筋虚血、心筋バイアビリティの検査において高い感度及び特異度導誘すること及び弁膜症の評価において一定の有効性があることが報告されております。さらに、国内外の教科書及び海外のガイドラインにおいて、ドブタミン負荷心エコー図検査は心筋虚血、心筋バイアビリティ及び弁膜症等の評価に有用な方法として位置付けられており、本邦の医療機関においても相当の使用実態が公表文献から確認できます。
続いて安全性についてです。21ページから23ページに記載しています。23ページを御覧ください。国内外の文献報告や企業が収集した副作用報告では、ドブタミンを用いた負荷検査によって心停止、心筋梗塞等の副作用が発現し、死亡に至った症例も報告されており、ドブタミンを用いた負荷心エコー図検査の安全性については十分に留意する必要がありますが、発現する事象の多くはドブタミン投与によって誘発された心筋虚血や、心拍出量の増大に伴うものであることを考慮すると、国内ガイドラインや、イギリス、ドイツの添付文書と同様に安全性の観点から避けるべき患者・病態を禁忌とした上で、蘇生処置等を含め、緊急時に十分な対応が可能な施設において、負荷心エコー図検査に対して十分な知識及び経験のある医師の監視下で、副作用の発現に十分注意しながら慎重に投与することで安全性は管理可能なものと考えられることから、安全性は忍容可能と判断されました。以上より、本要望内容に関するドブタミンの有効性及び安全性は、医学薬学上公知であると判断されました。
効能・効果については24ページを御覧ください。先ほど申し上げましたように、ドブタミン負荷心エコー図検査は、心筋虚血、心筋バイアビリティ及び弁膜症等の有用な評価法と位置付けられていると判断し、本剤の効能・効果は、「心エコー図検査における負荷」とすることが妥当と判断されました。
なお、国内ガイドライン等において、安全性の観点から負荷心エコー図検査を避けるべきとされている患者がいることから、患者の病歴や安静時心エコー図検査の結果等を踏まえ、負荷にドブタミンを用いることを含め、負荷心エコー図検査の適否は慎重に判断する必要があることから、効能・効果に関連する使用上の注意において、「心エコー図検査における負荷に用いる場合は、負荷試験前に患者の病歴を確認し、安静時心エコー図検査等により本剤による薬物負荷心エコー図検査が適切と判断される症例についてのみ実施すること」との注意喚起を行う必要があると判断されました。
用法・用量については、24ページから25ページを御覧ください。「心エコー図検査における負荷」におけるドブタミンの用量については、海外での承認用量を基本とした上で、国内外の公表文献において、ドブタミンの有効性が報告されている用量も踏まえ、「通常、ドブタミンとして1分間あたり5μg/kgから点滴静注を開始し、病態が評価できるまで1分間あたり10、20、30、40μg/kgと3分毎に増量する」ことが妥当と判断されました。なお、負荷のエンドポイントは、基本的に症状、血圧及び心電図等の異常所見の発現並びに心拍数等を目安に判断されますが、負荷のエンドポイントを含めた各症例での詳細な使用方法に関しては、病態や検査目的等によって異なるため、症例毎に最適と考えられるガイドライン等の最新の情報を参考として判断することが妥当であり、用法・用量に関連する使用上の注意に「心エコー図検査における負荷に用いる場合、本剤による負荷終了の目安等を含めた投与方法については、ガイドライン等、最新の情報を参考にすること」を注意喚起する必要があると判断されました。以上です。
○松井部会長 委員の皆様から御質疑をお願いいたします。循環器の立場から杉委員お願いいたします。
○杉委員 私自身は、心エコーでこういう負荷はしないです。中には、こういうもので心筋が生きているかどうかということ、その機能も含めて評価できると言っている先生もおられます。それはそれでいいと思うのです。今の言葉の中に、対象とする症例をはっきりするということがあったと思います。ここには明確には書いていないのですけれども、これまでに心室細動を起こしたとか、心室頻拍を起こしたとか、ドブタミンを投与することによって、以前の既往歴で致死的な状態になった人がもしいたら、ドブタミン投与でなくても致死的な状態になった人がいたら、それは禁忌ということで明確に書いておいたほうがいいのかもしれないと思っておりますが、どうでしょうか。
○事務局 資料の22ページを御覧ください。先ほど御指摘のありました、死亡例が4例出ていて、内訳は心筋断裂等です。死亡や、重篤な事象に至る恐れのある症例については、27ページにある「禁忌」を設け、投与されないように注意喚起しております。
○杉委員 よく理解いたします。ですから、急性期の切羽詰まったときにはやらない、ということでよろしいですね。
○事務局 はい、そうです。
○松井部会長 それに関して私も質問なのですけれども、死亡症例もあるというドブタミン負荷の心エコー図に対して、私が読んだ範囲では、インフォームド・コンセントについての記述がなかったように思うのです。それは、ここに書く性質のものではない、他に書くべき方法があるのでしょうか。
○事務局 死亡に至る恐れのある症例については、禁忌として投与されないように設定していて、投与対象から除外されております。また、この検査を行う前に、一般的にはインフォームド・コンセントがなされると思いますので、その中での情報提供については、今後の審査等で検討されるものと思います。
○松井部会長 他に、委員の先生方からありませんか。よろしいですか。本議題については、委員の先生方の御確認を頂いたものといたします。本日用意された議題は以上ですが、事務局から何か報告はありますか。
○事務局 次回の部会は、6月8日(金)の午後5時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 本日はこれで終了させていただきます。委員の先生方、皆様御苦労さまでした。
 
( 了 )

 

 

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)

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