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2019年3月6日 薬事・食品衛生審議会 毒物劇物部会 議事録

○日時

平成31年3月6日(水)10:00~

 

○場所

新橋8E会議室(8階)

○出席者

出席委員(9名)五十音順

  安 藤 由紀子、 石 塚 真由美、 遠 藤 容 子、◎奥 田 晴 宏、
○栗 原 正 明、 奈 良 志ほり、 平 林 容 子、  松 岡 雅 人、
  山 口 芳 裕
(注) ◎部会長  ○部会長代理
欠席委員(0名)五十音順
 

行政機関出席者

  森    和 彦 (大臣官房審議官)
  渕 岡    学 (化学物質安全対策室長)
  他

○議事

 

○事務局 それでは、定刻になりましたので、ただ今より、薬事・食品衛生審議会平成30年度第2回毒物劇物部会を開催いたします。最初に本年1月に薬事・食品衛生審議会の委員の改選が行われ、この毒物劇物部会についても、新しく委員の任命が行われたところです。
 ついては、お手元の毒物劇物部会委員名簿に従い、事務局より委員の方々を御紹介いたします。全国農業協同組合連合会 肥料農薬部技術対策課 主席技術主管の安藤由紀子委員、北海道大学大学院獣医学研究科 環境獣医科学講座毒性学教室 教授の石塚真由美委員、公益財団法人 日本中毒情報センター大阪中毒110番 施設長の遠藤容子委員、国立医薬品食品衛生研究所 所長の奥田晴宏委員、国際医療福祉大学薬学部 教授の栗原正明委員、一般財団法人化学物質評価研究機構 安全性評価技術研究所研究第二部研究第三課 副長の奈良志ほり委員、国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター センター長の平林容子委員、東京女子医科大学衛生学公衆衛生学講座環境・産業医学分野 教授の松岡雅人委員、杏林大学医学部救急医学 教授の山口芳裕委員の9名です。よろしくお願いいたします。
 毒物劇物部会は、総委員数が9名で、定足数の過半数は6名となります。本日は9名中9名全員の先生方に御出席いただいておりますので、この会議は定足数に達していることを報告いたします。また、この部会の部会長については、薬事分科会長から奥田晴宏委員を御指名いただいておりますので、報告申し上げます。
 さらに、薬事・食品衛生審議会令第7条第5項の規定に基づき、部会長の代理については、部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理することとされております。したがって、部会長から御指名いただきたいと思います。奥田部会長、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 栗原委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。それでは、栗原委員、よろしくお願いいたします。
○事務局 ありがとうございました。それでは、部会長代理については、栗原委員にお願いしたいと思います。お手数ですが、栗原委員、部会長代理席に御移動のほど、お願いいたします。
-部会長代理席に移動-
本会議は公開で行われ、資料及び議事録についても公開となっておりますので、皆様方におかれましては御承知おきいただきますようお願いいたします。なお、本日、事務局側の森大臣官房審議官(医薬担当)と、渕岡化学物質安全対策室長は、少し遅れて出席の予定です。どうぞ御承知おきいただきますようお願いいたします。
 それでは、開催に当たり、森より御挨拶申し上げる予定でしたが、先ほどのとおり、所用で遅れておりますので大変申し訳ございませんが、私、化学物質安全対策室長補佐の小池より代理で開会の御挨拶をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 本日は、お忙しい中、本部会に御出席いただきありがとうございました。先ほどの説明のとおり、本年1月に薬事・食品衛生審議会の委員の改選が行われ、この部会においても新しい委員の方々に御就任いただいております。
 本部会は、毒物劇物等による危害の防止に関する事項を審議するものです。既に御承知おきの先生方もいらっしゃるかと思いますが、毒物及び劇物取締法、いわゆる毒劇法については、主に急性毒性等による健康被害が発生するおそれのある物質を毒物や劇物に指定して、保健衛生上の見知から盗難の防止や漏洩時の事故発生時の対応等を、製造、輸入、販売、流通する事業者の方々に遵守していただきたいという旨で定められている法律です。
 本年度の第1回の部会は昨年の9月に開催され、本日の部会は、本年度2回目の開催です。なお、前回、御審議いただいた劇物の4物質、劇物からの除外が1物質ありましたが、毒物及び劇物指定令が一部改正され、本年の1月1日から施行の運びとなっております。本日の部会において、引き続き、劇物が10物質、劇物から除外のものが3物質と、計13物質で多くなっておりますが、御審議いただきたいと考えております。忌憚のない御意見を賜ればと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。挨拶は以上です。ありがとうございました。
 早速、審議に入りたいと思います。今回、先ほど申し上げたように本年度第2回目の開催ですが、本日、毒物はありませんので前回の会議と同様に劇物指定について御審議いただく予定です。よろしくお願いいたします。また、改選後の最初の毒物劇物部会ですので、特に御留意いただきたい事項について3点ほど簡単に説明いたします。
 一つ目は、守秘義務の関係です。国家公務員法第100条において、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」と規定されております。本審議会の委員、臨時委員、専門委員になっていただいた先生方においては、扱いとして非常勤の国家公務員であり、この規定の適用を受けることになります。したがって、職務上知り得た秘密について漏らすことがないようお願いいたします。
 二つ目は、薬事に関する企業等との関係です。関連資料として、当日配布資料2「薬事分科会規程」があります。6ページを御覧ください。同規程の11条において、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定されております。審議の中立性・公平性を確保する観点から規定されておりますので、これらに該当する場合、又は任期中に該当することになる場合については、速やかに事務局まで御連絡いただきますようお願いいたします。
 三つ目は、薬事分科会における審議事項です。同じ資料の5ページ、第7条を御覧ください。薬事分科会規程の第7条において、「部会における決定事項のうち、比較的容易なものとして分科会があらかじめ定める事項に該当するものについては、分科会長の同意を得て、当該部会の議決をもって分科会の議決とする。ただし、当該部会において、特に慎重な審議を必要とする事項であるとの決定がなされた場合には、この限りではない。」と定めております。
 先ほどから説明していますが、本日の議題である毒物劇物の指定については、今の該当箇所の前半の「比較的容易なものとして分科会があらかじめ定める事項」に該当することに整理されておりますので、毒物劇物の指定については基本的に本部会の議決をもって分科会の議決になります。つまり、本日の部会では審議として決を取らせていただきますが、直近に開催される分科会においては報告事項として、事後の報告という整理になっております。
 一方、ただし書にあるように、「部会において、特に慎重な審議を必要とする事項」については、分科会でも審議をすることになっております。これは部会の審議後に分科会でも審議が必要な重要な案件がある場合、その際に改めて、この会議や分科会でも審議させていただく予定になっているという旨を説明させていただきたいと思います。基本的に本日の議題は、すべからく本部会の議決をもって結論が出るということになっておりますので、御承知おきいただければと思います。委員の皆様におかれましては、このような規定について御承知の上、御審議いただきますようお願いいたします。
 最後に、所属委員の利益相反の関係について報告いたします。薬事分科会規程第11条への適合状況について、薬事の事業の顧問等になっていないかどうかを毎回確認して報告させていただくことになっております。今回、全ての委員の皆様より同規程の第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告いたします。委員の皆様には、会議の開催の都度、書面を御提出いただいており御負担をお掛けすることになりますが、御理解と御協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。事務局からの説明が長くなりましたが、以上です。それでは、奥田部会長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。
○奥田部会長 それでは、審議に入る前に、事務局から配布資料の確認をお願いします。
○事務局 配布資料の確認をいたします。まず、紙の束を御確認ください。1枚目から、本日の「議事次第」の1枚紙、座席表、委員名簿となっており、更に、今回、御審議いただく物質を物質ごとに、1物質1資料として資料1~13、その下に当日配布資料1「平成31年度以降の毒物劇物候補物質について」、その下に、当日配布資料2「薬事分科会規程(平成29年1月25日施行)」、その下に、当日配布資料3「薬事分科会における確認事項(平成28年6月24日一部改正)」、さらに、参考資料1「毒物劇物の判定基準(最終改定:平成29年2月)」、参考資料2「平成30年度第2回 薬事・食品衛生審議会薬事分科会毒物劇物部会毒物劇物調査会審議結果及び審議物質の製剤除外等の申請について(平成30年12月25日付 薬生薬審発1225第1号)の厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知」を配布しております。お手持ちの資料等に不備がある場合は事務局までお申し付けください。
 また、毒物劇物部会においても、会議のペーパーレス化に向けて、机上には今御説明した議事次第と紙媒体のほかに、電子媒体としてタブレットにも全く同じ資料を配布しております。先生方におかれましては見やすい方で見ていただければと思います。タブレットの操作方法を紙でお配りしておりますが、使い方について簡単に一通り説明させていただきたいと思います。
 タブレットの下の丸いボタンを2回押していただくと、画面が表示されるかと思います。表示していただくと議事次第、座席表、委員名簿の各ファイルと議題ごとのフォルダが入っております。例えば、04の議題1をタップしていただくと、議題1に関係する10個の資料のファイルが選択可能な形になっており、10個のうちのどれか一つのファイルをタッチしていただくと各ファイルが開くことになっております。画面を下から上になぞるとページが送られ、上から下になぞるとページが戻ります。戻りたい場合は、左上の所に青字の左矢印がありますのでタッチしていただくと画面が戻るかと思います。タブレットの使い方については以上です。もし作業中に分からなくなりましたら、事務局までお申し付けください。事務局からの資料の説明は以上です。
○奥田部会長 よろしいでしょうか。それでは、審議に入ります。劇物の指定と除外について合わせて13品目ありますので、円滑な審議に御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 まず、議題1.「劇物の指定について」です。事務局から、議題1について説明をお願いします。
○事務局 議題1「ジデシル(ジメチル)アンモニウム=クロリド及びこれを含有する製剤(ただし、ジデシル(ジメチル)アンモニウム=クロリド0.4%以下を含有するものを除く。)の劇物の指定について」です。
 資料1の6ページの1.「平成30年度第1回毒物劇物部会における御指摘事項」を御覧ください。ジデシル(ジメチル)アンモニウム=クロリド及びこれを含有する製剤(ただし、本物質0.4%以下を含有するものを除く。)については、前回の平成30年度第1回毒物劇物部会において、2点御指摘があり、再審議となっておりました。1点目は、原体の急性吸入毒性についての御指摘です。提示しておりましたミストで、LC50が0.07mg/L/4hrの毒性データについて、事務局より、本データを採用しないこととして説明させていただきましたところ、「本データを仮に採用していれば毒物相当であることから、改めて、原体の急性吸入毒性について、毒物相当か否か確認すべきではないのか。」との御意見を頂きました。
 2点目は、0.7%製剤の急性吸入毒性についての御指摘です。毒物劇物の判定基準(最終改定:平成29年2月)の2.(1)の1.の(a)において、急性吸入毒性について、劇物から製剤除外する場合は、「本基準で示された劇物の最も大きい急性毒性値(LD50, LC50)の10倍以上と考えられるものであること。」を提示する必要があります。急性吸入毒性のミストの場合、劇物の最も大きい毒性値は「1.0mg/L/4hr」であることから、除外する場合は、「10mg/L/4hr」を超えることを提示する必要があります。0.7%製剤の急性吸入毒性については、LC50が1.93mg/L/4hrより大きいというデータであり、先ほど御説明しました毒物劇物の判定基準における劇物の除外に関する規定に合致しない。つまり、LC50が10mg/L/4hrを超えていないことから、「当該データをもって、製剤除外することが妥当なのか。」との御意見を頂きました。
 以上の2点について、各々、事務局より回答させていただきます。資料1の2.「事務局対応案」を御覧ください。1.「原体の急性吸入毒性について」です。原体の急性吸入毒性については、信頼性のあるデータの知見はありませんが、既に他の項目において劇物相当と判断がなされていることから、毒物及び劇物取締法の趣旨を踏まえ、最初に劇物として指定させていただきたいと考えております。また、今後、仮に急性吸入毒性について、毒物相当であるとの知見が得られた場合は、改めて、毒物として指定する等、対応させていただきたいと考えております。
 2.「製剤の急性吸入毒性について」です。毒物劇物の判定基準において、劇物から除外する場合には、動物とヒトとの種差を踏まえ、劇物の最も大きい毒性値の10倍以上を提示する必要があります。今回の場合は、急性吸入毒性がミストであるため、LC50が10mg/L/4hrを超えているデータを提示する必要があります。しかし、提示された0.7%製剤の毒性データは、本来提示すべき10mg/L/4hrを超える試験設計とはなっておらず、当該データについては採用しないこととしたいと考えております。なお、製剤の急性吸入毒性については、0.7%製剤のデータ以外に0.5%製剤で除外相当であると判断いただいているため、他の項目の毒性も踏まえ、当初提示していました指定の除外範囲である濃度(0.4%以下)には影響がないと考えられます。
 以上より、前回提示していたとおり、調査会において、当該物質0.4%以下を含有する製剤を除き、「劇物」に指定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 前回の部会での御指摘を踏まえて、事務局からの対応について説明がありました。この物質については、毒物劇物の判定基準における五つの評価項目の急性経口毒性、急性経皮毒性、急性吸入毒性、皮膚腐食性、眼刺激性のうち、急性吸入毒性についての指摘がありました。
 原体の急性吸入毒性については、正確な知見がないということで、他の評価項目により、まずは劇物指定とするということです。また、除外ですが、事業者から提出された0.7%製剤の急性吸入毒性データについては、判定基準において提示すべきばく露濃度となっていないことから、本データは採用しない。ただし、他のデータで0.4%という除外濃度については採用しているという論旨、展開です。この件についての御意見、御質問はございますか。よろしいでしょうか。急性吸入毒性については、そもそも蒸気圧が極めて低いということで、蒸気ばく露は想定し難いということで、まずは、このものを除いたデータで評価するということです。
 それでは、特段の御意見がなければお認めいただいたということにしたいと思います。では、次の議題の「三塩化アルミニウム及びこれを含有する製剤の劇物の指定について」の説明をお願いします。
○事務局 資料2を御覧ください。名称は、三塩化アルミニウム及びこれを含有する製剤です。この物質は、石油精製又は有機合成の際の触媒、医薬品、農薬及び香料等の原料として使用されています。また、GHSで皮膚腐食性/刺激性、眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性が区分1に分類され、危険物輸送に関する国連勧告で腐食性物質に分類されており、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。
 次のページの別添1を御覧ください。物理化学的性状として、外観は無色~白色の潮解性結晶/粉末、分解点は262℃、融点は190℃、密度は2.48g/cm、蒸気圧は58.4℃で1Pa、溶解性は水で20℃において450g/L(分解)、ベンゼンに可溶、四塩化炭素、クロロホルムに微溶です。発火性は不燃性です。安定性及び反応性は、潮解性で、水と激しく反応し、塩化水素を生成します。
 続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50が3,450mg/kg、急性経皮毒性試験結果は、ラットでLD50が2,000mg/kgより大きく、これらの数値からは、いずれも毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、毒物又は劇物相当ではないと判断いたしました。
 また、急性吸入毒性試験結果は、知見がなく、想定される三塩化アルミニウムの毒性は、水分との接触により生成される塩化水素に起因するものであり、塩化水素は、既に劇物指定されています。したがって、改めて、三塩化アルミニウムの急性吸入毒性試験を実施する必要性は認められないと判断いたしました。さらに、皮膚腐食性は、in vitro膜バリア試験において、OECD TG435に従い、GLPにて実施し、膜バリアの平均損傷時間は16分52秒であり、腐食性を有することが示されており、劇物相当と判断いたしました。
調査会においては、三塩化アルミニウム及びこれを含有する製剤については、皮膚に対する腐食性により、「劇物」に指定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 この物質については、原体で皮膚腐食性により調査会では劇物相当と判断されたものです。御意見、御質問を頂ければと思います。水と激しく反応して塩化水素が出る。したがって、吸入毒性は塩化水素のところで既に評価されているということで、それについては改めて試験を実施することはしないと理解しています。特段の御意見がなければ、このものについてもお認めいただいたということにしたいと思います。
 次は、新規物質の3番目です。シクロヘキサ-4-エン-1,2-ジカルボン酸無水物及びこれを含有する製剤について、事務局より説明をお願いします。
○事務局 資料3を御覧ください。名称は、シクロヘキサ-4-エン-1,2-ジカルボン酸無水物及びこれを含有する製剤です。この物質は、エポキシ樹脂硬化剤、不飽和ポリエステル・アルキド樹脂原料及び農薬原料として使用されています。また、GHSで眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性が区分1に分類され、危険物輸送に関する国連勧告で腐食性物質に分類されており、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。
 次のページの別添1を御覧ください。物理化学的性状として、外観は白色の結晶性粉末、沸点は195℃、融点は102℃、密度は1.4g/cm、蒸気圧は20℃で1Pa、溶解性は水で20℃において10g/L、ベンゼンに可溶、石油エーテル、エチルエーテルに微溶です。引火点は157℃です。安定性及び反応性は、酸化剤と反応。水と反応して熱及びテトラヒドロフタル酸を生成します。
 続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50が約3,200mg/kg、急性経皮毒性試験結果は、ラットでLD50が2,000mg/kgより大きく、これらの数値からは、いずれも毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、毒物又は劇物相当ではないと判断いたしました。急性吸入毒性試験結果は、ラット及びマウスでLC50が0.29mg/Lより大きいとの知見があり、飽和蒸気濃度では死亡例は認められないものと考えられますが、ばく露時間が不明なため、適切なデータではなく、他にLC50に係る評価可能な関連知見が認められませんでした。
 また、急性経口及び経皮毒性が低いことから、改めて、急性吸入毒性試験を実施する必要はないと判断いたしました。さらに、皮膚腐食性は、REACHの情報において、OECD TG404に従い、非GLPにてウサギの皮膚腐食性試験を実施しました。媒体に水を用い、0.5gの当該物質を3匹のウサギの皮膚に4時間、半閉塞適用し、6日間観察しました。24~72時間の紅斑の平均スコアは0.3~0.7で、浮腫は認められず、刺激性はないと判断されるなど、複数の国際的評価文書で腐食性がないことが示されており、劇物相当ではないと判断いたしました。
 また、眼刺激性は、OECD TG405に従い、非GLPにてウサギの眼刺激性試験を実施しました。0.1mLの当該物質を1匹のウサギの眼に投与し、1時間後に観察しました。角膜スコアは2、虹彩スコアは2、結膜スコアは3、結膜浮腫スコアは2を示し、眼に対する強い刺激性を示すと判断され、21日間の回復性は検討されていませんが、1時間の適用で、1匹のウサギの眼に対し、虹彩及び結膜は最大スコアを示し、不可逆的な損傷を生じたと判断されることから、劇物相当と判断いたしました。
 調査会においては、シクロヘキサ-4-エン-1,2-ジカルボン酸無水物及びこれを含有する製剤については、眼等の粘膜に対する重篤な損傷により、「劇物」に指定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
 1点申し上げます。今、御覧いただいています資料3の別添2の脚注のLC50が0.24mg/Lより大きいとの知見について(文献4)と書いてありますが、(文献3)の誤りですので、修正いたします。以上です。
○奥田部会長 シクロヘキサ-4-エン-1,2-ジカルボン酸無水物及びこれを含有する製剤ですが、原体で眼刺激性があるということで毒物劇物調査会では劇物相当と判断されたものです。この件について、御意見、御質問はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、シクロヘキサ-4-エン-1,2-ジカルボン酸無水物及びこれを含有する製剤については「劇物」とお認めいただいたということにしたいと思います。次は、4番目の審議品目のトリクロロ(フエニル)シラン及びこれを含有する製剤の指定について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 資料4を御覧ください。名称は、トリクロロ(フエニル)シラン及びこれを含有する製剤です。この物質は、撥水剤、絶縁樹脂、耐熱性塗料のシリコン化として使用。シリコン樹脂の中間体、実験用試薬として使用されています。また、GHSで急性毒性(吸入:蒸気)が区分1、皮膚腐食性/刺激性、眼に対する重篤な損傷/眼刺激性が区分1に分類され、危険物輸送に関する国連勧告で腐食性物質に分類されており、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。
次のページの別添1を御覧ください。物理化学的性状として、外観は無色の液体、沸点は201℃、融点は-40℃、密度は1.32g/cm、蒸気圧は20℃で44Pa、溶解性は水で分解(25℃で31.9mg/L)、ベンゼン、エーテル、四塩化炭素、クロロホルムに混和します。引火点は86℃です。安定性及び反応性は、水と反応し加水分解され、3モルの塩化水素と1モルのフェニルシランジオールを生成します。
 続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50が2,400mg/kg、急性経皮毒性試験結果は、ウサギでLD50が1,180mg/kg、これらの数値からは、いずれも毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、毒物又は劇物相当ではないと判断いたしました。急性吸入毒性試験結果は、当該物質が、加水分解により塩化水素を生成することから、SIDSの情報において、当該急性吸入毒性を、塩化水素を用いたリードアクロスで評価した数値を引用して、ラットで蒸気においてLC50が2.1~2.4mg/L/4hrから、劇物相当と判断いたしました。また、SIDSの情報において、皮膚腐食性は、当該物質をウサギの皮膚に適用した試験では、皮膚に対する腐食性と判断され、眼刺激性は、液体又は蒸気をウサギの眼に適用し、液体ではスコア9(最大10)の角膜損傷(壊死)が引き起こされ、蒸気では695ppmの3分間ばく露において傷害が示されたことから、眼等の粘膜に対する重篤な損傷と判断いたしました。
調査会においては、トリクロロ(フエニル)シラン及びこれを含有する製剤については、急性吸入毒性(蒸気)、皮膚に対する腐食性、眼等の粘膜に対する重篤な損傷により、「劇物」に指定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 この品目は急性吸入毒性、皮膚腐食性、それから重篤な眼刺激性により劇物相当ということで、調査会は判断をしております。この件について、何かお気になる点、お気付きの点はありますか。
 この吸入毒性に関して1点、塩化水素から推定して、急性毒性ありという判断をしたということですよね。
○事務局 はい。そうです。
○奥田部会長 妥当な判断かと思います。それではこの品目について、劇物指定ということで、よろしいでしょうか。それでは、そのようにお認めいただいたということにしたいと思います。
 次に5番の品目について、2-(ジメチルアミノ)エタノール及びこれを含有する製剤(ただし、3.1%以下を含有するものを除く。)の劇物の指定についてですが、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料5を御覧ください。名称は、2-(ジメチルアミノ)エタノール及びこれを含有する製剤(ただし、2-(ジメチルアミノ)エタノール3.1%以下を含有するものを除く。)です。この物質は、水溶性塗料用樹脂可溶化剤、アニオン合成樹脂・乳化剤原料、発泡触媒、凝集剤に使用されています。また、GHSで急性毒性(吸入:蒸気)が区分3、皮膚腐食性/刺激性、眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性が区分1に分類され、危険物輸送に関する国連勧告で腐食性物質に分類されており、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。
 次のページの別添1を御覧ください。物理化学的性状として、外観は刺激臭のある無色の液体、沸点は134℃、融点は-59℃、密度は0.886g/cm、蒸気圧は20℃で612Pa、溶解性は水に混和、アルコール、エーテルと混和します。引火点は41℃です。安定性及び反応性は、水に溶解するとアルカリ性の溶液を生成。酸、酸塩化物、酸化剤、イソシアン酸と激しく反応し、火災及び爆発の危険をもたらします。銅、銅合金を侵します。
 続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50が1,182.7mg/kg、急性経皮毒性試験結果は、ウサギでLD50が1,219mg/kg、これらの数値からは、いずれも毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、毒物又は劇物相当ではないと判断いたしました。急性吸入毒性試験結果は、ラットで蒸気においてLD50が6.1mg/L/4hrであり、この数値からは、毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当と判断いたしました。
 また、皮膚腐食性は、REACHの情報において、不可逆的な組織壊死等が、短いもので皮膚に15分適用後に観察された事例もあり、これらの事例の中で、当該物質原液を1匹のウサギの皮膚に1時間、閉塞適用し、適用後に出血が見られ、24時間後に壊死及び浮腫、観察期間終了後、72時間後に全層壊死及び浮腫が見られました。24、48、72時間の紅斑及び浮腫の平均スコアは、各々、4(最大4)及び1.3(最大4)で、いずれも72時間以内に回復しなかったことから、皮膚に対する腐食性と判断いたしました。
 さらに、眼刺激性は、REACHの情報において、当該物質原液50μLを2匹のウサギの片眼結膜嚢に適用したところ、24、48、72時間の角膜混濁の平均スコアは4であり、角膜浮腫を伴う角膜混濁は8日以内に完全には回復しなかったことから、眼等の粘膜に対する重篤な損傷と判断いたしました。
調査会においては、急性吸入毒性(蒸気)、皮膚に対する腐食性、眼等の粘膜に対する重篤な損傷から、劇物相当と判断されました。その後、事業者より、3.1%製剤の毒性データが提出されました。
 続きまして、4ページの【別添2】の毒性(3.1%製剤)を御覧ください。劇物からの製剤除外については、参考資料1の毒物劇物の判定基準の2ページの「2.毒物劇物の製剤の除外に関する考え方」の(1)の1.の(a)に明記しています「除外する製剤について、本基準で示された劇物の最も大きい急性毒性値(LD50, LC50)の10倍以上と考えられるものであること。」を提示していただく必要があり、急性吸入毒性試験のミストの場合、劇物の最も大きい急性毒性値のLC50が1.0mg/Lであることから、この10倍以上となりますので、LC50が10.0mg/Lを超えている必要があります。3.5%製剤の急性吸入毒性試験結果は、雌雄各6匹のラットで、10.2mg/L/4hrのばく露において1匹もラットが死亡しなかったことから、LC50は10.0mg/L/4hrを超えると考えられます。
 また、3.5%製剤の皮膚腐食性試験結果は、in vitroのOECD TG431に従い、当該物質の3分間ばく露及び60分間ばく露の細胞生存率は、各々、92.5%及び81.0%となり、非腐食性と判断されました。さらに、3.1%製剤の眼刺激性試験結果は、Draize法により、雄3匹のウサギの角膜嚢内に点眼し、眼刺激性について検討した結果、投与後、24、48及び72時間にフルオレセレンナトリウムを用いた角膜の観察を行い、投与後1時間に結膜の発赤(評点1)、浮腫(評点2)及び流出物(評点2)が認められましたが、投与72時間後には消失する可逆的な変化でした。以上の結果から、軽度の刺激性を有するものの、眼等の粘膜に対する重篤な損傷はないものと考えられました。これらの試験結果から、3.1%製剤は、毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当ではないと判断いたしました。
調査会においては、2-(ジメチルアミノ)エタノール及びこれを含有する製剤(ただし、2-(ジメチルアミノ)エタノール3.1%以下を含有するものを除く。)については、「劇物」に指定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 この物質については、原体では急性吸入毒性、皮膚腐食性、それから眼刺激性の結果から劇物相当であると、調査会では判断されています。また、事業者から提出された各種データから、3.1%以下を含有する製剤については、劇物からの除外が妥当であると判断されているものでございます。3.1%製剤の眼刺激性は軽度で、可逆的な刺激であるという判断であると理解をしています。いかがでしょうか。この劇物の指定、及び3.1%製剤以下については除外ということでございますが。
 除外については、参考資料1の「2.毒物劇物の製剤の除外に関する考え方」に従って判定するということで、この基準に従って判定したら除外相当になったということです。特段の御議論がないようでございましたら、この原体及び製剤についても認めていただいたということにしたいと思います。
 それではその次、資料の6番目、4-メチルベンゼンスルホン酸及びこれを含有する製剤(ただし、8%以下を含有するものを除く。)の劇物の指定についてですが、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料6を御覧ください。名称は、4-メチルベンゼンスルホン酸及びこれを含有する製剤(ただし、4-メチルベンゼンスルホン酸8%以下を含有するものを除く。)です。この物質は、触媒。殺菌剤、農薬、染料及び洗剤原料に使用されています。また、GHSで皮膚腐食性/刺激性、眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性が区分1に分類され、危険物輸送に関する国連勧告で腐食性物質に分類されており、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。
 次のページの別添1を御覧ください。物理化学的性状として、外観は無色の吸収性の薄片、沸点は400℃より大きく、融点は104~105℃、密度は1.24mg/cm、蒸気圧は20℃で0.1hPa、溶解性は水で20℃において700g/L、アルコール、エーテルに溶解します。引火点は184℃です。安定性及び反応性は、強酸であり、塩基と激しく反応し、腐食性を示します。多くの金属を侵して引火性/爆発性気体を生じます。
 続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50が1,410mg/kgです。この数値からは、毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、毒物又は劇物相当ではないと判断いたしました。急性経皮毒性試験結果、急性吸入毒性試験結果の知見はありませんでした。また、皮膚腐食性は、REACHの情報において、OECD TG404準拠、GLP対応の試験では生理食塩水を媒体として、ウサギの皮膚に当該物質が4時間又は3分間適用し、1匹のウサギを用いた4時間、半閉塞適用の試験では、適用後、24時間~72時間の紅斑の平均刺激スコアは3.7で、7日間で完全には回復せず、浮腫スコア2.0であったことから、皮膚に対する腐食性と判断いたしました。さらに、眼刺激性は、検索した情報源からは動物に関する眼刺激性試験の情報は得られませんでしたが、皮膚腐食性物質であることから、重篤な眼の損傷を与える物質に相当すると考え、また、当該物質の65%水溶液がpH1であることから、物理化学的性状からも眼等の粘膜に対する重篤な損傷と判断いたしました。
調査会においては、皮膚に対する腐食性、眼等の粘膜に対する重篤な損傷から、劇物相当と判断いたしました。その後、事業者より、8%製剤の毒性データが提出されました。
 急性経皮、吸入毒性については知見がないことから、事業者が8%製剤の製剤除外申請を提出する際に、併せて原体の毒性データも提出されました。5ページを御覧ください。急性経皮毒性試験結果は、ラットでLD50が2,000mg/kgより大きく、この数値からは、毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当ではないと判断いたしました。また、急性吸入毒性試験結果は、脚注にも記載しておりますが、吸入ばく露試験を実施するに当たり、当該物質は、pH1の強酸性物質であり、実験装置は当該物質が直接触れる部分及び計器類に金属部品が多く使用されており、それらが腐食することが懸念され、特に、計器類が影響を受けると各種パラメータが正確に測定できなくなることから、急性吸入毒性試験の実施は困難でした。さらに、気管内投与は吸入ばく露と比較して、ばく露状況に差は生じるものの、急性毒性は強く評価される傾向があり、吸入ばく露により毒性が過少評価されることはないものと考えられます。以上より、急性吸入毒性の評価において、吸入ばく露の代替法として気管内投与を選択いたしました。急性気管内投与において、毒物劇物の判定基準では、急性吸入毒性のミストでは、LC50が0.5mg/L/4hrを境に毒物又は劇物の判断をしていることから、原体を0.5mg/L/4hrの条件で、ばく露した際のばく露量を想定し、気管内投与した結果、雄ではLC50が57.6mg/kgを超えて86.4mg/kg未満、雌では57.6mg/kgを超えて115.2mg/kg未満でした。雌雄双方の毒性の最小値である57.6mg/kgは、原体を0.5mg/L/4hrの条件で吸入ばく露したばく露量に相当することから、急性吸入毒性のLC50は0.5mg/L/4hrより大きいと推測され、劇物相当と判断いたしました。
 また、8%製剤については、6ページを御覧ください。気管内投与した場合の8%製剤の投与量は、吸入ばく露した際のばく露量に相当する9.22 mg/kgであり、投与14日間の経過観察期間で、雌雄各5匹のラットにおいて、雄1匹が死亡したのみで、その他の毒性所見は認められませんでした。気管内投与毒性で評価すると、LC50は、6.25mg/L/4hrより大きい(推定)と考えられ、急性吸入毒性試験は、ラットにおいて肺まで被験物質が到達する割合は、気管内投与を100%とした場合、吸入ばく露においては10%程度となることが報告されていることから、LC50は10.0mg/L/4hrを超えると考えられ、劇物相当ではないと判断いたしました。また、いずれもウサギで、皮膚に対する腐食性及び眼に対する重篤な損傷を示さず、劇物相当ではないと判断いたしました。
調査会においては、4-メチルベンゼンスルホン酸及びこれを含有する製剤(ただし、8%以下を含有するものを除く。)については、「劇物」に指定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 この品目について、原体では、皮膚腐食性、眼刺激性で、調査会では劇物相当と判断されたものです。また、8%以下を含有する製剤については、事業者より提出されたデータに基づいて、劇物からの除外が妥当というものです。そのデータは、資料の6ページにありますように、皮膚と眼については、刺激性はないということ。それから、吸入の毒性については、このものが強酸性、腐食性なので、気管内投与という方法を用いてデータを評価した結果、8%製剤は除外可能という結論であると理解しております。この件について何かありますか。
○山口委員 1点だけお願いします。
○奥田部会長 山口委員、お願いします。
○山口委員 8%製剤のpHはどのぐらいなのでしょうか。
○奥田部会長 事務局から、すぐにお答えは出ますか。若しくは、調査会で8%製剤の物性についての御議論がもしあればお願いします。
○事務局 調査会では、8%製剤のpHの物性についての議論はありませんでした。
○山口委員 計器が壊れるほど危険なpHが、その考慮に値しないというのは、臨床家としては非常に違和感がありますが、これは妥当な判断なのでしょうか。それともう1点は、この毒性について、気管内投与は、吸入ばく露と比較して毒性が低く評価されることはないと考えられると書いてありますが、これはどなたの御所見ですか。これは審議に当たっての常識と見なされている事項と考えてよろしいのですか。
○栗原部会長代理 そのように理解しております。
○山口委員 そうですか。臨床の現場からみれば、化学物質としての毒性については、そのとおりだと思います。しかしながら、強酸や強アルカリに関しては、その手前の例えば声門付近での障害の方が、より生命の危機に関係することもありますので、必ずしもこの記載は正しいと思えません。こちらについては、追って詳細な資料等が必要ならば調べて、改めて皆さんに御意見を伺う機会があったらいいかと思います。
○事務局 事務局からコメントさせていただきます。御指摘ありがとうございます。毒性が過小評価されることはないものと考えられるという話については、毒性的な化学的観点から、専門家の先生方と調査会で御相談をさせていただいて、化学的にはこのような考え方をするのが妥当であろうということで、原体の指定と、8%の除外について、当然、薄めれば刺激性も減ると思いますので、その結果として出させていただきました。ただ、今、御懸念いただいたように、強酸性や強アルカリ性のものについては本当に大丈夫なのかという観点について、今は、その観点で毒劇物の判断をするというスキームになってはおりませんので、そのような観点からもやはり気にするべきではないかということは御指示としていただいて、今後の毒物劇物判定の参考にさせていただくことでいかがかと思います。どうもありがとうございました。
○山口委員 それで結構です。
○奥田部会長 議論をしていただいて、そこのところの考え方を整理していただければと思います。
○石塚委員 質問です。これは、ミストやダストなど、その辺りはもう考慮しないということですか。ばく露形態について、気管内投与の場合には特に記載は必要ないのですか。
○事務局 気管内投与試験については、急性吸入毒性試験で規定している蒸気、ミストなどのばく露形態の別がないため、特に記載していません。
○奥田部会長 今の御回答でよろしいですか。
○遠藤委員 気になるのですが、8%製剤の除外の判定基準に関してです。急性吸入毒性のこの試験結果では、吸入の安全係数を見越した10倍の数値は、この試験ではどの数値より大きければ除外できると考えられるのか、その思考過程をもう一度教えていただけたらと思います。蒸気であれば、10mg/Lの10倍を超えるということですよね。石塚先生がおっしゃられたばく露形態は、この吸入試験のガス、蒸気、ダスト、ミストのどれに当たるのかという意味でお尋ねになられたのではないのかと思います。
○奥田部会長 私の理解では、このケースは、後ほど確認をした方がいいのかもしれませんが、この毒劇の判定基準、参考資料1の1.の(1)動物における知見の(C)の吸入(ダスト、ミスト)という所ですか。これを見てということでしょうか。回答はありますか。遠藤委員の御指摘は、6ページの8%製剤の吸入毒性の試験結果で、LC50が6.25mg/L/4hrよりも大きいというデータと除外基準との関係を御指摘されたのだろうと思います。
○事務局 この物質の8%製剤は、溶液として投与しています。そうしますと、ミストでの評価ということになります。気管内投与の場合、吸入ばく露した際のばく露量に相当する投与量から評価しますが、先ほどもお話しましたように、急性吸入毒性試験は、ラットにおいて肺まで被験物質が到達する割合は、気管内投与を100%とした場合、吸入ばく露においては10%程度となることが報告されていることをもって、LC50は10.0mg/L/4hrを超えると考えられ、製剤除外が可能であるということです。
○山口委員 気管内投与の場合には10倍毒性が強く出るというのは、手元の資料『毒物劇物の判定基準』のどこに書いてあるのですか。それはどなたの御知見なのでしょうか。きちんとした数値に基づいて判断しているのでしたら、そういうものが示されなければなりません。特例でいくなどと突然言われては、我々は専門家ではないので反論の仕様がないのですが、そのような審議のやり方はいかがかと思います。
○事務局 今、お話をされた内容については、文献等ございますので、後ほど御提出してもよろしいでしょうか。
○山口委員 そうしたら、気管内投与の場合には10倍の毒性と判断するということは、今後も普遍的な判断基準になっていくという理解でよろしいのですか。つまり、気管内投与の場合には、毒性が10倍強く出るという前提で数値を評価しましょうということになるということですか。
○事務局 それは、各々の物質の物理化学的性状などにもよりますので、ここでお答えすることはできません。
○山口委員 それでしたら上部委員会で、この評価の仕方についてきちんとした基準を示し、それを基に審議するというのが筋ではありませんか。
○事務局 事務局側の説明が悪くて申し訳ございません。山口委員からの御指摘もごもっともかと思いますので、回答をさせていただきます。今回、事例として、急性吸入毒性試験において、気管内投与毒性で評価しなければいけないような特殊な事例が例としてあまりないものですから、個別の話としてこれをどうするかという話で議論させていただいて、説明が不十分だった点があろうかと思いますが、調査会で議論をさせていただいて、このケースについてはこういう整理ができるのではないかと挙げさせていただきました。問題が二つあったかと思います。
一つは、その考え方の細かいロジックの所をすべからく御説明しきれなくて、御懸念のところについては、うまくお答えできなかったという点があるかと思いますので、その点については持ち帰らせていただいて段階を踏んで詳細な議論をさせていただいてロジックを組ませていただきましたという御説明を改めて次回させていただきたいと思います。それが一つです。
 もう一つは、おっしゃるように、通常のルールで定めたのが参考資料1に判定基準としてある中で、例外の規定を今後、一般則としてルール化するのであれば、ルールを変えた上でやるべきだということですが、今般、このケースにおいて特別にやる話であって、ほかの気管内投与のケースでしたら別の考え方があるかもしれないので、それはルールでなく、個別に10倍にするのかどうするのか、また、気管内投与でも違うルールで別物質はやらなければいけないかもしれません。その場合は、ルールで標準化というよりは個々に、個別にやりましょうというのをルール化など、そういう手順でやるべきだと思います。それが二つ目の問題だと思います。ですので、その二つの所は、今すぐに答えられる体制にありませんので、持ち帰らせていただいて、その2点、再整理をさせていただいて、次回にもう一度掛けさせていただきたいと思います。説明が悪くて申し訳ございませんでした。以上です。
○奥田部会長 山口委員、貴重な御指摘ありがとうございます。この点については、宿題という形で、保留という形にさせていただきたいと思います。気管内投与、全てがばく露試験というのは、やはりなかなか難しい部分もありまして、これをどう扱うかということは、少し議論させていただきたいと思います。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。7番目として、ヘキサン酸及びこれを含有する製剤(ただし、11%以下を含有するものを除く。)について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 資料7を御覧ください。名称は、ヘキサン酸及びこれを含有する製剤(ただし、ヘキサン酸11%以下を含有するものを除く。)です。この物質は、食品添加物、香料として香料製剤の製造に使用。潤滑油の製造に使用。化粧品・室内芳香剤等に使用されています。また、GHSで急性毒性(経皮)が区分3、皮膚腐食性/刺激性、眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性が区分1に分類され、危険物輸送に関する国連勧告で腐食性物質に分類されており、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。
 次ページの別添1を御覧ください。物理化学的性状として、外観は特徴的な臭気のある無色、油状の液体、沸点は205.2℃、融点は-3.4℃、密度は0.93g/cm、蒸気圧は20℃で0.18mmHg、溶解性は水で25℃において10.3g/L、エタノール、エーテルに易溶です。引火点は102℃です。安定性及び反応性は、弱酸で強塩基、酸化剤と激しく反応します。
 続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50が1,900mg/kg、急性吸入毒性試験結果は、ラットで蒸気においてLC50が11.6mg/L/4hrより大きく、これらの数値からは、いずれも毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、毒物又は劇物相当ではないと判断しました。急性経皮毒性試験結果は、ラットでLD50が584mg/kgにより、劇物相当と判断しました。また、皮膚腐食性については、ウサギの皮膚に4時間、適用後、紅斑が7日以降も持続し、全層壊死を引き起こし、試験開始17日後には、痂皮は皮膚から剥離し、21日後には瘢痕組織が形成されたことから、劇物相当と判断いたしました。さらに、眼刺激性については、ウサギの角膜に重篤な熱傷を引き起こし、角膜刺激スコアが8であったことから、重篤な損傷を示すものであり、劇物相当と判断いたしました。
調査会においては、急性経皮毒性、皮膚に対する腐食性、眼等の粘膜に対する重篤な損傷から、劇物相当と判断いたしました。その後、事業者より、11%製剤の毒性データが提出されました。
 5ページの【別添2】の毒性(11%製剤)を御覧ください。急性経皮毒性試験結果については、ヘキサン酸と同じ直鎖脂肪酸であるヘプタン酸、ペンタン酸、酪酸については、各々、急性経皮毒性値の報告があります。ヘプタン酸、ペンタン酸、酪酸は、いずれも直鎖のモノカルボン酸で、よく似た物理化学的性質を持ち、代謝経路もよく似ており、急性経口毒性値は、炭素数が増えるにつれ増加しています。また、今回実施したヒト培養細胞を用いるin vitro皮膚腐食性試験については、「3分間処理の生存率が80%未満となった濃度」は炭素数が増えるにつれ単調に増加しています。以上より、急性経口毒性試験及びヒト培養細胞を用いるin vitro皮膚腐食性試験の結果から、炭素数4~7の直鎖脂肪酸の中で、ヘキサン酸に特異的な強度の急性毒性及び皮膚への作用があるとは考えにくく、よって、ヘキサン酸の急性経皮毒性値は、ヘキサン酸よりも炭素数の一つ少ないペンタン酸と、一つ多いヘプタン酸の急性経皮毒性値の間になると予想されます。ヘプタン酸及びペンタン酸の急性経皮毒性値LD50は、いずれも2,000mg/kgを超えていることから、ヘキサン酸のLD50も2,000mg/kgを超えると予想されるため、ヘプタン酸、ペンタン酸、酪酸の有害性情報調査から、劇物相当ではないと判断いたしました。
 また、皮膚腐食性試験結果は、Draize法により、雄3匹のウサギに、当該物質除去後、1、24、48及び72時間の観察時間ごとに、「紅斑及び痂皮形成」及び「浮腫形成」からの平均評点及び当該経時推移を指標に、当該物質及び対照物質(オリブ油)の刺激性を評価した結果、皮膚一次刺激指数は0.0となり、刺激性の程度は、皮膚一次刺激性評価基準に従い、無刺激物に分類されました。さらに、眼刺激性試験結果は、Draize法により、雄3匹のウサギの結膜嚢内に点眼し、投与後、1、24、48及び72時間に肉眼及びスリットランプを使用して観察し、投与後72時間に全例に刺激性反応が認められたため、消失した17日を観察終了日としました。眼刺激性の評価は、眼粘膜刺激性分類法を参考にして、平均総点の最大値は、投与後24時間の26.4から、中等度の刺激性に分類されました。以上の結果から、中等度の刺激性を有するものの、眼等の粘膜に対する重篤な損傷はないものと考えられました。これらの試験結果から、11%製剤は、毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当ではないと判断しました。
調査会においては、ヘキサン酸及びこれを含有する製剤(ただし、ヘキサン酸11%以下を含有するものを除く。)については、「劇物」に指定することが適当であると判断しました。御審議のほど、よろしくお願いします。
○奥田部会長 資料7から資料10まで、これは一連の同族の化合物で脂肪酸です。最初のものは炭素数が6個で、その次は炭素数が7個で、その次がなぜか炭素数が減ってしまうのですが、炭素数が5個、最後の資料10は炭素数が4個というものです。直鎖の炭素、さらに、最後にカルボン酸が付いているというものです。これは、ヘキサン酸、炭素数が6個のもので、急性経皮、皮膚腐食性、それから眼刺激性から劇物相当です。それから、11%以下のものについては、同族のほかの化合物のデータなどから除外が適当というものです。御審議のほどお願いします。
○石塚委員 確認させてください。原体の方で、急性経皮毒性が584mg/kgで劇物相当という判断が出ているのですが、4ページの11%製剤のデータの中で、急性経皮毒性は、過去原体で、あくまでもこれは原体のデータとして、そこで劇物相当ではないという記載があるのですが、これは矛盾しないと考えてよろしいのですか。
○事務局 ありがとうございます。これは今、事務局でも議論をしています。書き方がよろしくなくて、ヘプタン酸、ペンタン酸、酪酸の原体については劇物相当ではないため、原体の劇物の指定について根拠にしていません。ヘキサン酸は、3ページの急性経皮毒性については、文献2に、LD50のデータはあるのですが、このデータがある一方で、ヘキサン酸等のほかの同型の族の化学的データから見ると、ここまで高い毒性を原体として持っているのは考えにくいという話があります。原体の急性経皮毒性に付いている毒性として、どのように化学的に評価するのかという話をした結果、この584mg/kgを採用することは適切ではないのではないかという議論をしましたので、急性経皮毒性についての原体の根拠として、データと文献からの、他の同族のデータから加味して、原体の根拠には採用しないのが適切であろうという結論をしたのがトータルの考え方になります。ですので、書き方としては、4ページに書くのではなく、3ページに、こういうデータもあったが、こういった理由でそのデータを使わなかったという形にして、ここは「根拠なし」とするのが正しい説明の仕方かと思います。以上です。
○奥田部会長 よろしいでしょうか。であるとすると、最終的な資料は、きちんと整理をし直していただいた方がいいかと思います。
○事務局 そうですね。資料は、今、御説明したような形で修正をさせていただいて、先生方にもう一度御確認していただきたいと思います。ありがとうございます。
○奥田部会長 では、最終的な資料は、修正をして先生方の御確認を頂くとし、このものについて、ヘキサン酸、原体は劇物で、11%以下は除くということでよろしいでしょうか。それではお認めいただいたということで、次はヘプタン酸です。お願いします。
○事務局 資料8を御覧ください。名称は、ヘプタン酸及びこれを含有する製剤(ただし、ヘプタン酸11%以下を含有するものを除く。)です。この物質は、食品添加物、香料として香料製剤の製造に使用。潤滑油の製造に使用。化粧品・室内芳香剤等に使用されています。また、GHSで皮膚腐食性/刺激性、眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性が区分1に分類され、危険物輸送に関する国連勧告で腐食性物質に分類されており、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ別添の結果が得られました。
 次のページの別添1を御覧ください。物理化学的性状として、外観は無色透明な油状液体、沸点は223℃、融点は-7.5℃、密度は0.9g/cm、蒸気圧は25℃で1.43Pa、溶解性は水で25℃において2.8g/L、エタノール、エーテル、アセトンに可溶です。引火点は110℃です。
 続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50が8,370mg/kg、急性経皮毒性試験結果は、ウサギでLD50が2,000mg/kgより大きく、急性吸入毒性試験結果は、ラットでミストにおいてLC50が4.6mg/L/4hrより大きいことから、これらの数値からは、いずれも毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、毒物又は劇物相当ではないと判断いたしました。また、いずれもウサギで、皮膚腐食性及び眼の粘膜に対する重篤な損傷から、劇物相当と判断いたしました。
 調査会においては、皮膚に対する腐食性、眼等の粘膜に対する重篤な損傷から、劇物相当と判断いたしました。その後、事業者より、11%製剤の毒性データが提出されました。
 続きまして、4ページの【別添2】の毒性(11%製剤)を御覧ください。皮膚腐食性試験結果は、in vitroのOECD TG431において、当該物質の3分間ばく露及び60分間ばく露の細胞生存率は、各々、98.4±1.6%及び50.6±8.9%となり、非腐食性と判断されました。また、眼刺激性試験結果は、Draize法により、雄3匹のウサギの結膜嚢内に点眼し、投与後、1、24、48及び72時間に肉眼及びスリットランプを使用して観察し、投与後48時間に1匹に刺激性反応が認められたため、消失した14日を観察終了日としました。眼刺激性の評価は、眼粘膜刺激性分類法を参考にして、平均総点の最大値は、投与後1時間の27.7から、中等度の刺激性に分類されました。以上の結果から、中等度の刺激性を有するものの、眼等の粘膜に対する重篤な損傷はないものと考えられました。これらの試験結果から、11%製剤は、毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当ではないと判断いたしました。
 調査会においては、ヘプタン酸及びこれを含有する製剤(ただし、ヘプタン酸11%以下を含有するものを除く。)については、劇物に指定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 炭素数の一つ多いヘプタン酸ですが、原体については、皮膚腐食性、眼の刺激性、重篤な損傷があるということで、劇物。11%製剤については、その製剤のデータから除外するということです。いかがでしょうか。御質問、御意見はございますか。もしなければ、先ほどと同様の結果でお認めいただいたということでよろしいでしょうか。では、お認めいただいたものといたします。では、次のペンタン酸及びこれを含有する製剤(ただし、11%以下を含有するものを除く。)ですが、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料9を御覧ください。名称は、ペンタン酸及びこれを含有する製剤(ただし、ペンタン酸11%以下を含有するものを除く。)です。この物質は、食品添加物、香料として香料製剤の製造に使用。潤滑油の製造に使用。化粧品・室内芳香剤等に使用。医薬品、プラスチック可塑剤及びビニール安定剤の原料として使用されています。また、GHSで急性毒性(経皮)が区分3、皮膚腐食性/刺激性、眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性が区分1に分類され、危険物質輸送に関する国連勧告で腐食性物質に分類されており、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。
 次のページの別添1を御覧ください。物理化学的性状として、外観は特徴的臭気のある無色の液体、沸点は186℃、融点は-34.5℃、密度0.94g/cm、蒸気圧は25℃で0.026kPa、溶解性は水で25℃において24g/L、エタノール、エーテルに可溶です。引火点は86℃です。
 続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50が1,720mg/kg、急性経皮毒性試験結果は、ラットでLD50が2,000mg/kgより大きく、急性吸入毒性試験結果は、ラットでミストにおいてLC50が1.3mg/L/4hrより大きいことから、これらの数値からは、いずれも毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、毒物又は劇物相当ではないと判断いたしました。また、いずれもウサギで、皮膚腐食性及び眼の粘膜に対する重篤な損傷から、劇物相当と判断いたしました。
 調査会においては、皮膚に対する腐食性、眼等の粘膜に対する重篤な損傷から、劇物相当と判断されました。その後、事業者より、11%製剤の毒性データが提出されました。
 続きまして、4ページの【別添2】の毒性(11%製剤)を御覧ください。皮膚腐食性試験結果は、Draize法により、雄3匹のウサギに、当該物質除去後、1、24、48及び72時間の観察時間ごとに、「紅斑及び痂皮形成」及び「浮腫形成」からの平均評点及び当該経時推移を指標に、当該物質及び対照物質(オリブ油)の刺激性を評価した結果、皮膚一次刺激指数は0.0となり、刺激性の程度は、皮膚一次刺激性評価基準に従い、無刺激物に分類されました。また、眼刺激性試験結果は、Draize法により、雄3匹のウサギの結膜嚢内に点眼し、投与後、1、24、48及び72時間に肉眼及びスリットランプを使用して観察し、投与後72時間に全例に刺激性反応が認められたため、消失した17日を観察終了日としました。眼刺激性の評価は、眼粘膜刺激性分類法を参考にして、平均総点の最大値は投与後1時間の36.0から、中等度の刺激性に分類されました。以上の結果から、中等度の刺激性を有するものの、眼等の粘膜に対する重篤な損傷はないものと判断いたしました。これらの試験結果から、11%製剤は、毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当ではないと判断いたしました。
 調査会においては、ペンタン酸及びこれを含有する製剤(ただし、ペンタン酸11%以下を含有するものを除く。)については、「劇物」に指定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 先ほどのものよりも、炭素数が2個少ないペンタン酸ですが、皮膚腐食性、眼刺激性から、劇物相当が適当と調査会では判断したものです。そして、11%製剤については、眼刺激性は中等度の刺激性ではあるものの、全体として除外が適当という判断になったものです。いかがでしょうか。
○奈良委員 4ページの11%製剤の所の皮膚腐食性は非腐食性であるという試験結果が出ていますが、これは何で稀釈して11%製剤とした試験なのでしょうか。と申しますのも、REACHの登録資料で3ページの資料が作成されていると思うのですが、たまたまその資料を拝見していたところ、この物質に関しては水を溶媒として希釈した場合、あるいは原体の場合にはpHの影響で毒性が比較的強く出るというようなことが記載されていました。あと、いわゆるコーンオイルやオリーブオイルの溶媒の場合には若干、毒性が弱く出るような記載がありましたので、そこのところを確認させていただきたいというのが1点です。
 それからもう一点です。私は初めてということもあって、今までに御議論があったかもしれないので、その場合には御容赦いただきたいのですが、一般的に、今までも「何パーセント以下を含有するものを除く。」とされている時に、何で希釈されたかということを問わずに閾値を設定しているということなのでしょうか。今回のように、希釈した相手が何であるかによって毒性の出方が違うというようなことがあるのではないかと思ったのですが、その辺りを教えていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 1点目の問題ですが、いかがでしょうか。
○事務局 まず、この物質を何で希釈していたかと言いますと、オリブ油で希釈しております。
○奥田部会長 あと、一般的に希釈する際の考え方のようなものですかね、そういうものを問わないのか、今あるデータで評価をするのか、何か基準や考え方があるのかというのが、委員からの質問かと思います。
○事務局 溶媒によっては、被験物質が分解されることにより、本来配合されているはずの濃度ではなくて、低濃度で評価されてしまう。当然、低濃度であれば毒性も低値となりますので、分解したり、何らかの化学反応を起こして別のものに変化しないような溶媒を選択するということです。それから、被験物質が溶解可能な溶媒を使用するということかと思います。
○奈良委員 その場合には、例えば今回の物質ですと、今オリーブオイルということでしたので、もしこれを水でやった場合には、もしかすると、もう少し何か影響が出る可能性もあるのではないかと感じるのですが、その辺りも調査会では御議論があったということでよろしいでしょうか。
○栗原部会長代理 調査会では、どのような試験をやったかという詳しい資料を見ながら検討しています。そのため、その都度どのようなもので希釈したかというのは、委員の方はみんな御存じで、それで色々な議論をしていただいているので、そこを問わないで議論しているわけではないということが一つです。
 それから、この場合は、中性の水では溶けないと思いますので、オイルでやらないといけないということになるのかと思います。ナトリウム塩であれば溶けるかもしれませんが、これは溶けにくいかと思います。
○奈良委員 資料の2ページの溶解性の所で、水に24g/Lという値が出てはいるのですが、この辺りはいかがでしょうか。
○栗原部会長代理 そうですね。そのデータには、溶けるとなっていますけれども、確かに濃いものでは溶けないですね。
○奈良委員 ですので、その場合では結局のところ、11%製剤を水で作るのは不可能なのでという考えであるということですか。
○栗原部会長代理 そういうことです。
○奈良委員 はい、かしこまりました。
○奥田部会長 1Lに100gを溶かさなければいけない。結局、その時々で妥当なものが選択されているかということについては、調査会で確認をしていることかと思います。
 よろしいでしょうか。では、試験法についても確認いただいたということで、このものについて、原体は劇物、11%製剤は除外するということでお認めいただくということにしたいと思います。それでは、次の酪酸及びこれを含有する製剤(ただし、3%以下を含有するものを除く。)について、御説明をお願いいたします。
○事務局 資料10を御覧ください。名称は、酪酸及びこれを含有する製剤(ただし、酪酸3%以下を含有するものを除く。)です。この物質の用途については、先ほどのペンタン酸等と同様ですので割愛させていただきます。また、GHSで急性毒性(経皮)が区分3、皮膚腐食性/刺激性、眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性が区分1に分類され、危険物輸送に関する国連勧告で腐食性物質に分類されており、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。
 次のページの別添1を御覧ください。物理化学的性状として、外観は特徴的臭気のある無色の油状液体、沸点は165.5℃、融点は-7.9℃、密度は0.96g/cm、蒸気圧は25℃で0.22kPa、溶解性は水で20℃において混和、エタノール、エーテルに混和です。引火点は72℃です。安定性及び反応性は、塩基、強酸化剤と反応、金属を侵します。
 続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50が1,630mg/kg、急性経皮毒性試験結果は、ウサギでLD50が6,083mg/kg、急性吸入毒性試験結果は、ラットで蒸気においてLC50が5.1mg/L/4hrより大きいことから、これらの数値からは、いずれも毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、毒物又は劇物相当ではないと判断いたしました。また、いずれもウサギで皮膚腐食性及び眼の粘膜に対する重篤な損傷から、劇物相当と判断いたしました。
 調査会においては、皮膚に対する腐食性、眼等の粘膜に対する重篤な損傷から、劇物相当と判断されました。その後、事業者より、3%製剤の毒性データが提出されました。
 続きまして、4ページの【別添2】の毒性(3%製剤)を御覧ください。皮膚腐食性試験結果は、Draize法により、雄3匹のウサギに、当該物質の除去後、1、24、48、及び72時間の観察時間ごとに、「紅斑及び痂皮形成」及び「浮腫形成」からの平均評点及び当該経時推移を指標に、当該物質及び対照物質(注射用水)の刺激性を評価した結果、皮膚一次刺激指数は0.0となり、刺激性の程度は、皮膚一次刺激性評価基準に従い、無刺激物に分類されました。また、眼刺激性試験結果は、Draize法により、雄3匹のウサギの結膜嚢に点眼し、投与後、1、24、48及び72時間に肉眼及びスリットランプを使用して観察し、投与後72時間に全例に刺激性反応が認められたため、消失した17日を観察終了日としました。眼刺激性の評価は、眼粘膜刺激性分類法を参考にして、平均総点の最大値は、投与後1時間の36.0から、中等度の刺激性に分類されました。以上の結果から、中等度の刺激性を有するものの、眼等の粘膜に対する重篤な損傷はないものと考えられました。これらの試験結果から、3%製剤は、毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当ではないと判断いたしました。
 調査会においては、酪酸及びこれを含有する製剤(ただし、酪酸3%以下を含有するものを除く。)については、「劇物」に指定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 酪酸ですが、原体については劇物、3%製剤は劇物相当から除外することが妥当という調査会の判断ですが、いかがでしょうか。一連の化合物ですので、特段のコメント、御質問がなければ、調査会の判断を認めていただいたものとしたいと思います。
 では、その次に、議題2.の「劇物からの除外について」ということで、まず資料11について説明をしてください。
○事務局 資料11を御覧ください。名称は、4-(2,2-ジシアノエテン-1-イル)フエニル=2,4,5-トリクロロベンゼン-1-スルホナート及びこれを含有する製剤です。この物質は、電子写真感光体の添加剤として使用されています。現在、毒物及び劇物指定令の第2条第1項第32号の有機シアン化合物及びこれを含有する製剤に該当し、劇物となるものですが、今般、事業者より、原体の毒性データが提出され、劇性を持たないものであることが判明したことにより、劇物から除外するものです。
 次のページの別添1を御覧ください。物理化学的性状として、外観は白色薄片状固体、融点は164~167℃、溶解性は水に不溶です。
 続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口及び経皮毒性試験結果は、いずれもラットでLD50が2,000mg/kgより大きく、急性吸入毒性試験結果は、ラットでダストにおいてLC50が2.06mg/L/4hrより大きく、これらの数値からは、いずれも毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、毒物又は劇物相当ではないと判断いたしました。また、いずれもウサギで、皮膚に対する腐食性及び眼に対する重篤な損傷を示さず、劇物相当ではないと判断いたしました。
 調査会においては、4-(2,2-ジシアノエテン-1-イル)フエニル=2,4,5-トリクロロベンゼン-1-スルホナート及びこれを含有する製剤を、「劇物」から除外することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 有機シアン化合物は、一律に劇物として指定されていますが、今回、事業者から提出されたデータに基づいて劇物指定から除外するというものですが、いかがでしょうか。特段の御意見がなければ調査会の判断を御承認いただいたものとしたいと思います。それでは、次をお願いいたします。
○事務局 資料12を御覧ください。2-(ジメチルアミノ)エチル=メタクリレート6.4%以下を含有する製剤です。この製剤は、光重合系の触媒として使用されています。現在、毒物及び劇物指定令第2条第1項第50号の3に劇物として指定されていますが、今般、事業者より、6.4%製剤の毒性データが提出され、劇性を持たないものであることが判明したことにより、劇物から除外するものです。
 3ページの別添2を御覧ください。指定根拠とした毒性試験項目の急性吸入毒性試験結果については、ラットで蒸気においてLC50が10.5mg/L/4hrより大きく、この数値からは毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当ではないと判断いたしました。また、いずれもウサギで、皮膚腐食性はなく、眼刺劇性は極く軽度の刺激性で、皮膚に対する腐食性及び眼に対する重篤な損傷を示すものではなく、劇物相当ではないと判断いたしました。
 調査会においては、2-(ジメチルアミノ)エチル=メタクリレート6.4%以下を含有する製剤を、「劇物」から除外することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 本品目は既に劇物に指定されたものですが、今回提出された6.4%製剤のデータから、6.4%以下を含む製剤は劇物から除外するというものです。3ページの別添2のデータがそれに相当しますが、よろしいでしょうか。もし特段の御議論がなければ、調査会の判断が承認されたものとしたいと思います。それでは、最後になりますが、水酸化リチウム一水和物0.3%以下を含有する製剤について、説明をお願いします。
○事務局 資料13を御覧ください。水酸化リチウム一水和物0.3%以下を含有する製剤です。この製剤は、水性インク用顔料分散液として使用されています。現在、毒物及び劇物指定令第2条第1項第68号の3に劇物として指定されていますが、今般、事業者より、0.3%製剤の毒性データが提出され、劇性を持たないものであることが判明したことにより、劇物から除外するものです。
 4ページの別添2を御覧ください。指定根拠とした毒性試験項目の皮膚腐食性試験結果については、OECD TG431に従い、in vitro再生ヒト表皮モデルのEpiDermTM SCTにおいて、腐食性はなく、眼刺激性試験結果についても、OECD TG492に従い、in vitroヒト角膜様上皮モデルのEpiOcularTM ETIにおいて、刺激性はなく、皮膚に対する腐食性及び眼に対する重篤な損傷を示すものではなく、劇物相当ではないと判断いたしました。
 調査会においては、水酸化リチウム一水和物0.3%以下を含有する製剤を、「劇物」から除外することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 水酸化リチウム一水和物ですが、0.3%製剤については、in vitroの皮膚腐食性、眼刺激性のデータから、劇物から除外するという判断が調査会の判断ですが、いかがでしょうか。
○奈良委員 直接内容に関わるところではないのですが、資料の2ページのEU GLPによるGHS調和分類という所が、この物質に関しては「未分類」という記載になっております。一つ前の資料12では、棒が引いてあるような形で、例えば他の資料で資料4ですと、「未収載」というような記載になっているのですが、ここは何か使い分けをされているのでしょうか。
○奥田部会長 別添1の最後の部分ですね。
○事務局 書きぶりがばらばらになっていますので、「未分類」を「未収載」という形に、他の書きぶりと合わせて記載したいと思います。
○奈良委員 基本的には同じことを示しているということでしょうか。
○事務局 同じことを示しています。
○奈良委員 かしこまりました。
○奥田部会長 そこは最終的に整理した形にしてください。他によろしいでしょうか。それでは、0.3%製剤については劇物から除外するということでよろしいですね。認めていただいたということにしたいと思います。何か御意見はございますか。なければ、事務局から、その他についての説明をお願いします。
○事務局 時間がないので簡単に御説明させていただきます。当日配布資料1を御覧ください。「平成31年度以降の毒物劇物候補物質について」ということで資料を示させていただいております。GHS分類及び危険物輸送に関する国連勧告で一定以上のものについて、毒物劇物の候補物質としてスクリーニングを掛けさせていただいて、現在、判明しているのが、これらの物質です。これらの物質については、候補として上がってきておりますが、まだ手を付けておりませんので、今後データを収集した上で、事務局で検討し、再度、この部会等に掛けさせていただきたいと思いますので、御承知おきいただければと思います。
 合わせて、参考資料2の通知についても簡単に御説明させていただきます。参考資料2の通知は、調査会の中で、原体が毒物又は劇物に指定するのが妥当であるとされたものについて、事業者側に、何%で除外のデータがありますかというのを募集する通知です。引き続き、ここで手が挙がったデータは、合わせて検討して、また部会の方に上げさせていただきたいと思いますが、これは御参考までに、このような形で順次、事業者に募集を掛けているということの御説明です。事務局から、その他についての説明は以上です。
○奥田部会長 本日の議題は以上で終了です。委員から何か御発言はございますか。事務局から追加はありますか。
○事務局 本日、御審議、御決議いただきましてありがとうございます。6番の4-メチルベンゼンスルホン酸は宿題を頂いていますので継続審議となっています。他の12物質は御了解いただきましたので、次回の薬事・食品衛生審議会の薬事分科会で報告させていただきます。また、本日の議事録については、事務局において取りまとめた後、先生方に御確認いただき、公開の手続をさせていただきます。今回、宿題ではなく修正をさせていただいたものについては、資料を改めさせていただきまして、各委員にメールで御確認いただき、最終的には事務局と部会長に一任させていただければと思います。以上です。
○奥田部会長 今日はどうもありがとうございました。本日の部会はこれで終了とさせていただきます。
( 了 )
 

備  考
本部会は、公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 化学物質安全対策室 室長補佐 小池(内線2910)

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