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2018年9月14日 薬事・食品衛生審議会 毒物劇物部会 議事録

○日時

平成30年9月14日(金)10:00~

 

○場所

厚生労働省共用第8会議室(20階)

○出席者

出席委員(9名)五十音順

  安 藤 由紀子、 石 塚 真由美、 遠 藤 容 子、◎奥 田 晴 宏、
○栗 原 正 明、 城 内    博、 平 林 容 子、  宮 川 宗 之、
  山 口 芳 裕
(注) ◎部会長  ○部会長代理
欠席委員(0名)五十音順
 

行政機関出席者

  渕 岡    学 (化学物質安全対策室長)
  他

○議事

 

○事務局 定刻になりましたので、ただ今より、薬事・食品衛生審議会平成30年度第1回毒物劇物部会を開催させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず初めに、委員の交代がありましたので、御報告させていただきます。川西部会長が御退任されまして、後任として国立医薬品食品衛生研究所の奥田晴弘所長が新たな委員として任命をされています。併せて、川西先生の代わりに新たな部会長の選任が必要となっておりますが、薬事・食品衛生審議会令第7条第3項の規定に基づきまして、部会長は当該部会に属する専門委員及び臨時委員を除いた委員の互選により選出する旨が規定されております。事前に該当される委員の方々に御相談をさせていただきました結果、奥田委員が新たに部会長として選任されておりますので、御報告をいたします。それでは、奥田部会長から一言御挨拶をいただけますでしょうか。
○奥田部会長 国立医薬品食品衛生研究所の所長をしております奥田と申します。よろしくお願いいたします。10年ほど前に、この部会の調査会メンバーをしていたのですけれども、その頃を思うとやはり評価書等が進化していると感じる次第であります。引き続きよろしくお願いいたします。
○事務局 ありがとうございました。
 続いて、毒物劇物部会の総委員数は9名でして、定足数が過半数の5名となっております。本日は9名中9名全員の委員の御出席をいただいておりますので、この会議は定足数に達していることを御報告申し上げます。なお、本会議は公開で行われ、資料及び議事録も公開となっておりますので、御承知おきいただきますようお願いいたします。
 それでは、開催に当たりまして、化学物質安全対策室長の渕岡より一言御挨拶を申し上げます。
○化学物質安全対策室長 化学物質安全対策室長の渕岡です。本日は、お忙しい中、部会に出席いただきまして、ありがとうございます。開催に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。
 この部会は法に基づき、毒物劇物の指定に関する審議をしていただく会議となっていますが、毒物及び劇物取締法に関しては、取扱いに特に注意の必要のあるような物質について、安全に取り扱うための基本となる規制をしているものです。国民の公衆衛生に大きな影響を及ぼすものであるという認識をしています。
 本日は、劇物の指定に関する議論を御審議いただきますが、この部会は年に1回ないし2回の開催頻度でして、前回の部会で御審議いただいた毒物や劇物に関しては、政令の改正により指定をされておりまして、6月29日に公布されて7月1日に施行されているところです。本日は、劇物の指定に関して、劇物が5物質、劇物からの除外が1物質ということで御審議いただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局 ありがとうございます。
 続いて、部会開始前に、毎度のことではありますが、委員の先生方の薬事分科会規程第11条の適合状況について、事務局より確認結果を御報告いたします。同規程第11条においては、委員、臨時委員又は専門委員は在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には辞任しなければならない旨を規定しており、今回、全ての委員の皆様より同規程第11条に適合している旨を御報告いただいておりますので、報告させていただきます。委員の皆様には、開催の都度、書面を御提出いただくことになり、御負担をお掛けしていますが、御理解を賜りますよう何とぞよろしくお願いを申し上げます。
 それでは奥田部会長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。
○奥田部会長 審議に入る前に、配布資料の確認をお願いいたします。
○事務局 事務局より、配布資料の確認をさせていただきます。お手元の袋に入っている資料一式について、上から順番に御説明いたします。一番上が議事次第の1枚紙、委員名簿、3枚目が座席表となっています。その下からが今回、実際に審議いただく資料となっておりまして、先ほど御説明させていただいた6物質に関連して、1物質ごとに資料が1つあり、資料1~6まで、物質ごとのデータをまとめさせていただいた資料になっています。資料6の下が当日配布資料で、平成31年以降の毒物劇物指定のために、GHS分類で有害性が区分1~3、及び危険物輸送に関する国連勧告で毒物又は腐食性物質である物質の一覧となっております。これはすぐに指定という話ではないのですが、GHS又は国連勧告で挙がっている物質ですので、今後これらの物質について検討をしていくための参考の資料となっています。
 その下に、参考資料として二つ付けさせていただいていて、一つが毒物劇物の判定基準として、最終改定を平成29年2月にした最新版の判定基準です。もう一つが、直接的に今回の議題とは関係ありませんが、平成30年7月に出させていただいた毒物劇物の指定を検討している物質について、データ等を伴い製剤除外への申請をされる場合について、各都道府県を通して各企業の皆さんに情報提供と募集を御案内した通知になっています。配布させていただいた資料は以上です。お手元の資料に不備等がございましたら、事務局までお申し出ください。以上です。
○奥田部会長 よろしいでしょうか。それでは審議に入りますので、円滑な審議に御協力のほどよろしくお願いいたします。まず、議題1の3-(ジフルオロメチル) -1-メチル-N-[(3R)-1,1,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-イル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド及びこれを含有する製剤(ただし、3%以下を含有するものを除く。)の劇物指定についてですが、事務局から議題1について御説明をお願いいたします。
○事務局 資料1を御覧ください。名称は、3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-N-[(3R)-1,1,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-イル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド及びこれを含有する製剤(ただし、3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-N-[(3R)-1,1,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-イル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド3%以下を含有するものを除く。)です。この物質は、農薬(殺菌剤)に使用されています。現在、毒物又は劇物に指定されていませんが、今般、事業者より、農薬登録申請に基づき、原体及び3%製剤の毒性データが提出され、別添の結果が得られました。
 別添1を御覧ください。物理化学的性状として、外観は白色粉末、沸点は約237℃で分解、融点は104℃、密度は20.0±1.0℃で1.24g/cm3、蒸気圧は20℃で3.8×10-8Pa、溶解性は水で20℃において1.64×10-2g/L等です。安定性は、250℃まで安定です。
 続きまして、別添2を御覧ください。原体における毒性データです。最初に、急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50が180mg/kg、急性経皮毒性試験結果は、ラットでLD50が♂♀2,000mg/kgより大きく、急性吸入毒性試験結果は、ラットにおいてミストでLC50が♂♀2.61mg/L/4hrより大きく、皮膚腐食性試験結果は、ウサギで腐食性はなく、眼刺激性試験結果は、ウサギで極軽度の刺激性でした。毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、急性経口毒性試験結果により、劇物相当と判断いたしました。
 3%製剤においては、急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50が3,000mg/kgより大きく、急性経皮毒性試験結果は、ラットでLD50が♂♀2,000mg/kgより大きく、皮膚腐食性試験結果は、ウサギで腐食性はなく、眼刺激性試験結果は、ウサギで極軽度の刺激性でした。これらの結果からは、いずれも毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当ではないと判断いたしました。
 調査会においては、当該物質の原体については、急性経口毒性試験結果により、劇物に指定することが適当であると判断され、3%製剤については、劇物から除外することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 農薬に使われるもので、急性経口毒性から原体は劇物、3%製剤は除かれることが適当ということですが、御意見や御質問はございますか。
○石塚委員 毒性の評価に異論はないのですが、確認です。3ページ、沸点の所で約237℃で分解、対熱安定性が250℃というのは、おおよそその辺りだからという記載でよろしいでしょうか。
○奥田部会長 この安定性について、もし事務局でお分かりになればお願いします。
○石塚委員 特に大きな指摘ではなく、問題なければこのままで結構かと思います。
○奥田部会長 よろしいですか。何か事務局から御発言はありますか。
○事務局 安定性において、対熱で250℃まで安定ですが、沸点は、237℃で分解してしまい、測定可能だったということです。
○奥田部会長 大体近い温度で安定性が失われるというデータのようにも見えますが、栗原先生、特段よろしいでしょうか。
○栗原部会長代理 調査会でも特に問題にはならなかったのですけれども。近い温度なので、これでよろしいかと思います。
○奥田部会長 ほかに御意見、御質問はございますか。もしないようでしたら、原体は「劇物」、3%製剤は除かれることで御了解いただいたものとさせていただきます。
 それでは、議題2についてお願いいたします。
○事務局 資料2を御覧ください。名称は、ジシクロヘキシルアミン及びこれを含有する製剤(ただし、ジシクロヘキシルアミン4%以下を含有するものを除く。)です。この物質は、防錆剤、ゴム製品、界面活性剤、染料に使用されています。現在、毒物及び劇物指定はなされていませんが、GHSで急性毒性(経口、経皮)が区分3、皮膚腐食性/刺激性、眼に対する重篤な損傷/眼刺激性が区分1に分類され、危険物輸送に関する国連勧告で腐食性物質に分類されており、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、平成27年度第2回毒物劇物調査会で審議され、急性経口毒性、急性経皮毒性及び皮膚腐食性から、劇物相当と判断されました。その後、事業者より4%製剤の毒性データが提出され、平成30年度第1回毒物劇物調査会の審議で、劇性を持たないものであることが判明したことにより、ジシクロヘキシルアミン及びこれを含有する製剤(ただし、ジシクロヘキシルアミン4%以下を含有するものを除く。)を劇物に指定するものです。
 別添1を御覧ください。物理化学的性状として、外観は無色の液体、アミン臭、沸点は256℃、融点は-0.1℃、密度は25℃で0.9104g/cm3、蒸気圧は25℃で0.0442hPa、溶解性は水で25℃において0.8g/L、エタノール、エーテル、ベンゼンに可溶です。引火点は105℃です。安定性・反応性は、pHが20℃で約11.5です。
 続きまして、別添2を御覧ください。原体における毒性データです。最初に、急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50が200mg/kg、急性経皮毒性試験結果は、ウサギでLD50が200~316mg/kg、急性吸入毒性試験結果は、ラットにおいてミストでLC50が2.1mg/L/4hrより大きく、皮膚腐食性試験結果は、ウサギで腐食性があり、眼刺激性試験結果は、ウサギで中程度の刺激性でした。毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、急性経口毒性試験結果、急性経皮毒性試験結果、皮膚腐食性試験結果により、劇物相当と判断いたしました。
 次ページを御覧ください。4%製剤については、指定根拠となった毒性試験項目において、急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50が3,000mg/kgより大きく、急性経皮毒性試験結果は、8%製剤において、ウサギで5,000mg/kgより大きく、皮膚腐食性試験結果は、ウサギで腐食性はありませんでした。当該濃度において、これらの結果からは、いずれも毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当ではないと判断いたしました。
 調査会においては、ジシクロヘキシルアミンの原体については、急性経口毒性試験結果、急性経皮毒性試験結果、皮膚腐食性試験結果により、劇物に指定することが適当であると判断され、4%製剤については、劇物から除外することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 ジシクロヘキシルアミンは液体ですが、事務局案は、原体及びこれを含有する製剤(ただし、原体4%以下を含有するものを除く。)については、劇物に指定することが適当ということです。御質疑、御意見をお願いいたします。
○宮川委員 判定結果について異論はありませんが、書きぶりとして、まず1点、最後の所です。「4%製剤を劇物除外するためには本来10,000mg/kgの投与量で試験を」ということですけれども、これは急性経皮毒性の話ですよね。一つ前の物質の場合には、実はデータが、急性経皮毒性がラットでLD50が2,000mg/kg以上と書いてあって、特段の注釈が付いていません。多分それぞれ違った考え方で毒性はなしと判断できるのだと思いますけれども、これを見ると一瞬あれっと思うことがありますので、その辺りの書きぶりを、これからで結構ですが、もしよろしければ分かりやすい書き方をお願いできればと思います。
 もう一点ですけれども、物理的化学的性質の一覧に書いてある情報ですが、前回の部会の際に幾つか、確か換算係数等、計算間違いなどがあって直していただいたことがあったと思います。これは、厚労大臣から薬事・食品衛生審議会会長への諮問書で公開される文書だと思いますから、そうすると、ここに書いてあるデータというのが世の中でこういうことになっていますとなる可能性があるので、念のためチェックをお願いしたいということを申し上げておきます。
 少し気になりましたのは、最後の所でEUのGHS分類が書いてあり、Acute Tox. 4で、ただし*が付いていて、minimum classificationとあります。恐らくこれ以上だろうという意味でもって付いていると思うのですが、ここの所を毒性が区分4相当なのだと誤解する可能性があります。データから見れば、急性経口毒性は200mgなので、明らかにGHS区分だと区分3に相当するものなので、注意が必要になると思います。このminimum classificationの意味等、もし注釈などを付けておいていただくと、見た人が誤解をしない可能性があると思います。判定の直接のことではなくて申し訳ございませんが、以上、気が付いた点を申し上げております。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。
○事務局 今、3点御指摘をいただいているかと思いますが、1点目は、3%製剤において急性経皮毒性試験結果を記述いたしましたが、これは3%製剤自体の毒性データを記述しているものです。原体の急性経皮毒性試験結果は、既に劇物相当ではないと判断しております。先ほどのジシクロヘキシルアミンのように、そのもの自身の経皮毒性が劇物相当であれば、判定基準に従って劇物の最高濃度の10倍で10,000mg/kgでの試験の実施になるのですが、既に原体で劇物相当ではないということなので、このような試験では行っていないということで記載しております。
 それ以外の2点については、先ほどの換算係数の確認をすることと、GHSの記述をもっと分かりやすく注釈を付けるなりするということを検討したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 今の御説明でよろしいでしょうか。では、よろしくお願いいたします。
○山口委員 別添2について、私は急性経皮毒性試験の専門家ではないので教えていただきたいのですけれども、LD50が200~316という数字になっています。一番下限の200という数字の科学的意味合いについて明確に承知しないところではありますが、200以下が毒物、200超えが劇物という判定基準を拝見しますと、患者さんを日々治療している立場からは、安全側で物事を判断するべきだというのが基本的な考え方となりますので、200の扱いについて教えていただきたいのですが。
○事務局 急性経皮毒性試験結果において、LD50が200mg/kg以下のものであれば確かに毒物相当にはなるのですが、有害性情報調査から幾つかの数値が確認され、その間を取って記載したためであり、再度、データの確認と書き方を明確にするようにしたいと思っております。
○奥田部会長 書き方というのは、ここの別添2の書き方を工夫するということですか。
○事務局 はい。この書き方ですと、以下にも200mgを超えにも、両方に取られる可能性があるので。
○奥田部会長 なるほど。では、そこを確認していただいて、その結果として200を、これは超えているのですね、書き方の問題で。
○事務局 書き方として200が含まれるように見えてしまっていますが、データとしては超えているので、劇物の範囲内に入るものです。
○奥田部会長 分かりました。
○事務局 書き方に誤解がないよう、劇物の範囲内が分かるようにさせていただくということで、結論について影響はないと承知しています。
○奥田部会長 この200というのは、実は200を超えているのだということですね。
○事務局 そうですね、超えているものとして、記載しています。
○奥田部会長 そこは分かりやすく、誤解を招かないような形で修正をしていただくことと思います。どうもありがとうございます。貴重な御指摘です。ほかになければ、このものについて事務局案どおり、原体を含有する製剤は「劇物」、ただし、4%以下の製剤は除外ということで認めていただいたということにしたいと思います。
 それでは、次の議題3をお願いいたします。
○事務局 資料3を御覧ください。名称は、ジデシル(ジメチル)アンモニウム=クロリド及びこれを含有する製剤(ただし、ジデシル(ジメチル)アンモニウム=クロリド0.4%以下を含有するものを除く。)です。この物質は、水関連、木材関連、医療関連、農産・畜産関連等の殺菌剤、防腐剤又は消毒剤に使用されています。現在、毒物及び劇物指定はなされていませんが、GHSで急性毒性(経口)が区分3、皮膚腐食性/刺激性が区分1C、眼に対する重篤な損傷/眼刺激性が区分1に分類され、危険物輸送に関する国連勧告で腐食性物質に分類されており、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、平成29年度第2回毒物劇物調査会で審議され、急性経口毒性、皮膚腐食性及び眼等の粘膜に対する重篤な損傷から劇物相当と判断されました。その後、事業者より0.4%製剤の毒性データが提出され、平成30年度第1回毒物劇物調査会の審議で劇性を持たないものであることが判明したことにより、ジデシル(ジメチル)アンモニウム=クロリド及びこれを含有する製剤(ただし、ジデシル(ジメチル)アンモニウム=クロリド0.4%以下を含有するものを除く。)を劇物に指定するものです。
 別添1を御覧ください。物理化学的性状として、外観は無色の結晶、白色~淡黄色のペースト状、沸点は180℃より大きく、融点は94~100℃、密度は20℃で0.87g/cm3、蒸気圧は20℃で0.0015Paより小さく、溶解性は水に微溶、20℃において1,000g/Lより大きく、ベンゼン、アセトン、イソプロパノールに可溶です。引火点は100℃より大きいです。安定性・反応性は、吸湿性です。安定性は、通常の取り扱い条件においては、光、熱、衝撃に対して、化学的に安定ですが、高温では分解する可能性があり、反応して危険です。反応性は、自己重合性、自己反応性はないです。
 続きまして、別添2を御覧ください。原体における毒性データです。最初に、急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50が238mg/kg、急性経皮毒性試験結果は、ラットでLD50が1,000mg/kgより大きく、急性吸入毒性試験結果は、ラットにおいてミストでLCが0.07mg/L/4hrでした。当該物質の急性吸入毒性試験結果によるLC50値は、有害性情報調査においてラット1件のみ認められていますが、当該物質の飽和蒸気濃度からミストばく露と推察されました。しかし、本知見については詳細な記載試験濃度の整合性、その設定根拠、各濃度での死亡状況並びに当該物質の純度、混合物の影響などが不明なことから、本知見を当該物質のLC50値として採用することは困難と判断されました。以上により、当該物質の適切な吸入ばく露試験は認められず、LC50値は不明です。なお、当該物質の蒸気圧は極めて小さく、蒸気ばく露は想定されないため、新たな吸入ばく露試験実施の重要性は低いと考えられました。皮膚腐食性試験結果は、ウサギで腐食性があり、眼刺激性試験結果は、ウサギで重篤な損傷でした。毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、急性経口毒性試験結果、皮膚腐食性試験結果、眼刺激性試験結果により、劇物相当と判断いたしました。
 次ページを御覧ください。事業者から提示された製剤除外試験結果の報告書の内容を列記しました。各試験項目、除外濃度は異なりますが、除外可能な最大濃度である眼刺激性試験結果の0.4%を製剤除外濃度としました。当該濃度において、これらの結果からは、いずれも毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当ではないと判断いたしました。
 調査会においては、ジデシル(ジメチル)アンモニウム=クロリドの原体については、経口毒性試験結果、皮膚腐食性試験結果、眼刺激性試験結果により、劇物に指定することが適当であると判断され、0.4%製剤については、劇物から除外することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 ジデシル(ジメチル)アンモニウム=クロリド、4級アンモニウム塩で殺菌消毒剤ですが、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○遠藤委員 2点確認です。別添2の資料で急性吸入毒性のミスト部分のデータに関して、文献の所に「-」が書いてありますが、こうした試験結果は文献以外のどういう資料から引用してこられているのかということ。それから、0.4%製剤の急性吸入毒性に関して、ミストで0.7%と0.5%の試験結果が掲載されておりますが、除外する場合には、0.4%製剤で5mg/Lを超えていることが判断できれば、推察できれば除外できるということでよろしいのでしょうか。その場合、0.7%のデータからは除外に当たりませんけれども、下の、より0.4%製剤に近い濃度の値が10.3mg/Lということから除外に相当するというように判断されたという理解でよろしいのでしょうか。この値の取扱いというのはどのように理解したらよろしいのでしょうか。
○奥田部会長 まず、最初の原体の吸入毒性、ミストのデータの出典に関していかがですか。
○事務局 この文献に関しては、毒性データとして採用することが不適切であると判断したため、斜線を引いています。
○遠藤委員 私は5と言いましたけれども、ミストの場合の劇物相当は0.5~1mg/Lですので、それの10倍の10mg/Lを超えることが確認できれば、少なくともミストに関しては劇物除外相当と判断できるということでよろしいのでしょうか。
○事務局 そうですね。
○遠藤委員 その値に関しては0.7%では該当しませんが、0.5%に関してこの値が出ていますので、一応、除外できるというように判断されたという理解でよろしいのでしょうか。
○事務局 そうですね。
○奥田部会長 よろしいでしょうか。結果として眼刺激性の観点で0.4のデータまでしかないので、除外は0.4という、そのようなロジックですね。
○事務局 はい。
○奥田部会長 山口委員、どうぞ。
○山口委員 今、遠藤先生が質問されたのと同じ部分です。別添2の急性吸入毒性のLC50の数値は非常に低い値で、これをこのまま読み取ったら毒物相当に判定できるにも関わらず、この数値の検査が妥当でなかったあるいは適当でなかったとして、毒物として扱わないというスタンスには重大な疑問があります。こういう数値が提示されている以上、検査方法を妥当でないとするにしても、妥当な方法できちんとした数値が出てくるまでは毒物として扱うのが妥当ではないでようか。これを毒物として扱わないという考え方、安全に対する考え方については非常に違和感を感じます。
○奥田部会長 この点に関して、事務局からいかがですか。若しくはこのデータをどのように調査会の段階で除外評価をしたのでしょうか。
○事務局 毒物劇物調査会では、当該数値についての議論はされなかったこともありますので、再度、確認したいと思います。
○奥田部会長 恐らく、山口委員の御指摘は、この評価をどのようにきちんとされているかを明らかにすることが第一であり、その上でないと、評価が難しいということではないかと思うのですが。
○事務局 御指摘ありがとうございます。安全側に立つのであれば、分からない以上、毒物として扱うべきなのではないかという御指摘は非常にごもっともかと思います。私どもは現時点においては、先ほど御説明したとおり、なかなか評価する方法が難しいので、数値として出しにくく、なおかつ物性から考えて、余り大きな影響は与えないのではないかと考えたところです。ただ、本当に安全側に立つデータとして何も出ないのかどうか、さらにはそうした判断不能なケースにおいて、安全側に立って判断すべきではないかというのは、余り例がなく、すぐにここでこうしますというお約束はできないため、持ち帰って専門家の方々と御相談させていただき、次回以降、改めて御審議させていただくことでよろしいでしょうか。
○奥田部会長 山口委員、一度、この評価をまず考えて、その上で次回以降という形でよろしいでしょうか。
○山口委員 はい、よろしくお願いします。
○奥田部会長 それでは議題3については一度持ち帰って、再検討を専門家にしていただくということで、ペンディングということかと思います。
 次に、議題4をお願いします。
○事務局 資料4を御覧ください。名称は、メルカプト酢酸及びこれを含有する製剤(ただし、メルカプト酢酸1%以下を含有するものを除く。)です。この物質は、塩化ビニル・ゴムの安定剤、脱毛剤、パーマネント液及び医薬品中間体、動物繊維の加工、鉄の比色分析、重金属の除去及び金属表面処理に使用されています。現在、毒物及び劇物指定はなされていませんが、GHSで急性毒性(経口、経皮)が区分3、皮膚腐食性/刺激性、眼に対する重篤な損傷/眼刺激性が区分1に分類され、危険物輸送に関する国連勧告で腐食性物質に分類されており、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、平成28年度第1回毒物劇物調査会で審議され、急性経口毒性、急性経皮毒性、皮膚に対する腐食性、眼等の粘膜に対する重篤な損傷から劇物相当と判断されました。その後、事業者より1%製剤の毒性データが提出され、平成30年度第1回毒物劇物調査会の審議で、劇性を持たないものであることが判明したことにより、メルカプト酢酸及びこれを含有する製剤(ただし、メルカプト酢酸1%以下を含有するものを除く。)を劇物に指定するものです。
 別添1を御覧ください。物理化学的性状として、外観は特徴的な臭気のある無色~淡黄色透明の粘稠性液体、沸点は208℃、融点は-16.2℃、密度は20℃で1.33g/cm3、蒸気圧は25℃で16Pa、溶解性は水で混和し、25℃において1,000g/Lより大きく、易溶、エーテル、クロロホルム、ジクロロエタンに混和します。引火点は126℃です。安定性・反応性は、中程度の強さの酸、強酸化剤、アルカリ、有機化合物(アルコール類、ケトン類)と反応します。
 続きまして、別添2を御覧ください。原体における毒性データです。最初に、急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50が73mg/kg、急性経皮毒性試験結果は、ウサギでLD50が848mg/kg、急性吸入毒性試験結果は、ラットにおいてミストでLC50が1.39mg/L/4hr、皮膚腐食性試験結果は、ウサギで腐食性があり、眼刺激性試験結果は、ウサギで重篤な損傷でした。毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、急性経口毒性試験結果、急性経皮毒性試験結果、皮膚腐食性試験結果、眼刺激性試験結果により、劇物と判断いたしました。
 次ページを御覧ください。1%製剤については、指定根拠となった試験項目において、急性経皮毒性試験結果は、1%製剤において、ラットでLD50が3,000mg/kgより大きく、急性経皮毒性試験は、4%製剤において、ラットでLD50が5,000mg/kgより大きく、皮膚腐食性試験結果は、2%製剤において、in vitro再生ヒト表皮EpiDermTMSCTで非腐食性であり、眼刺激性試験結果は、1%製剤において、ウサギで極く軽度の刺激性でした。当該濃度において、これらの結果からは、いずれも毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当ではないと判断いたしました。
 調査会においては、メルカプト酢酸の原体については、急性経口毒性試験結果、急性経皮毒性試験結果、皮膚腐食性試験結果、眼刺激性試験結果により、劇物に指定することが適当であると判断され、1%製剤については、劇物から除外することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 メルカプト酢酸及びこれを含有する製剤(ただし、原体1%以下を含有するものを除く。)というものについて、劇物に指定することが適当という事務局の提案ですが、御意見、御質問をお願いいたします。よろしいでしょうか。
○宮川委員 この問題になっているのは、除外は1%製剤、それ以下のものを除外ということですね。
○奥田部会長 急性経口毒性が1%のデータしかないので、そういうことだろうと思います。
○宮川委員 はい。その5ページの最後の注釈で「2%製剤を劇物除外するためには、本来」うんぬんと書いてあり、データの所も2%のものが載っていますが、ここが少し。
○奥田部会長 この*の意味ですが。
○事務局 除外可能な最大の濃度、これは事業者からの除外申請に基づくデータですが、製剤除外については、できるだけ除外濃度が高い方がいいということで、急性経皮毒性試験結果については、最大、2%製剤としては除外が可能だという結果、皮膚腐食性試験結果もそうですが。ただし、急性経口毒性試験結果については、1%製剤でのデータにおいてしか除外が可能ではなかったということで、各々の試験結果を列記しています。
○宮川委員 その説明が分かるように書いていただくと有り難いです。少し見ると、どこかで記載間違いか何かがあったかと誤解する可能性もあると思います。表に出る書類ですので、その辺をもう少し分かりやすくお願いできればと思います。
○奥田部会長 注の所の記載ぶりを少し工夫してください。ほかにいかがでしょうか。
○平林委員 確認ですが、2%製剤の方での皮膚腐食性はin vitroの試験で行われています。これが原体の方ではウサギで行われておりますので、この製剤で試験を行った際に原体も行っていて、そして、原体の方では腐食性が見られたというようなデータがあるのであれば、それを同時に記載されてはいかがかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
○奥田部会長 いかがでしょうか。in vitro試験が原体についても実施されていれば、掲載してはいかがかということかと思いますが。
○事務局 皮膚腐食性についての原体でのデータの提示はなかったと思います。私どもの代替試験法でも当然除外申請の申付けをして、製剤除外のデータとしてデータの信頼性がおけるのであればそれでも十分だということを、判定基準の方でも示しておりますので、特に動物試験のデータが、この際に同時に出されているということはありません。
○平林委員 もし原体のデータがあって、それできちんと腐食性が出ていれば、試験そのものの信頼性が分かりやすいと思いましたので、記載があれば良いと思った次第です。
○事務局 ありがとうございます。当然あればよろしいと思いますが、これは、そもそも原体でデータがあるので、除外のデータを何%でくださいという話なので、そこまでドーズを振ってやって原体のデータ付きまででは確かなかったはずで、確認してあれば、丁寧な記載になるので記載させていただきますけれども、私はなかったと記憶しております。確認の上、あれば追記させていただくことで、よろしくお願いいたします。
○平林委員 ありがとうございます。
○奥田部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。特に御質問がなければ、メルカプト酢酸及びこれを含有する製剤(ただし、メルカプト酢酸1%以下を含有するものを除く。)については、「劇物」に指定することが適当ということで御賛同いただいたということにしたいと思います。
 次に、議題5をお願いします。
○事務局 資料5を御覧ください。名称は、モルホリン及びこれを含有する製剤(ただし、モルホリン6%以下を含有するものを除く。)です。この物質は、ゴム、染料、レジン、ワックス等の溶剤及びポリッシュ、化粧クリーム、シャンプー、塗料等の乳化剤、工作機械の潤滑油及び冷却剤等に使用されています。また6%製剤は、防錆防食剤、pH向上剤、3%製剤は、アイライナー、マスカラ、眉墨、染毛剤、ボディジェルに使用されています。現在、毒物及び劇物指定はなされていませんが、GHSで急性毒性(経皮、吸入:蒸気)が区分3,皮膚腐食性/刺激性、眼に対する重篤な損傷/眼刺激性が区分1に分類され、危険物輸送に関する国連勧告で腐食性物質に分類されており、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、平成27年度第1回毒物劇物調査会で審議され、急性経皮毒性、皮膚に対する腐食性、眼等の粘膜に対する重篤な損傷から劇物相当と判断されました。その後、事業者より、6%製剤の毒性データが提出され、平成30年度第1回毒物劇物調査会の審議で、劇性を持たないものであることが判明したことにより、モルホリン及びこれを含有する製剤(ただし、モルホリン6%以下を含有するものを除く。)を劇物に指定するものです。
 別添1を御覧ください。物理化学的性状として、外観は特徴的臭気のある無色透明の吸湿性液体、沸点は129℃、融点は-5℃、密度は20℃で1.0g/cm3、蒸気圧は20℃で1.06kPa、溶解性は水と混和し、1,000g/L、易溶、エタノール、エーテル、アセトン、ベンゼンに可溶です。引火点は31℃です。安定性・反応性は、中等度の強さの塩基、強酸化剤と反応、プラスチック、ゴムを浸します。
 続きまして、別添2を御覧ください。原体における毒性データです。最初に、急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50が1,050mg/kg、急性経皮毒性試験結果は、ウサギでLD50が500mg/kg、急性吸入毒性試験結果は、ラットにおいて蒸気でLC50が20mg/L/4hr(推定)です。皮膚腐食性試験結果は、ウサギで腐食性があり、眼刺激性試験結果は、ウサギで重篤な損傷でした。毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、急性経皮毒性試験結果、皮膚腐食性試験結果、眼刺激性試験結果により、劇物相当と判断いたしました。
 次ページを御覧ください。6%製剤については、指定根拠となった毒性試験項目において、急性経皮毒性試験結果は、12%製剤において、ラットで♀LD50が5,000mg/kgより大きく、6%製剤において、ラットで5,000mg/kgより大きく、皮膚腐食性試験結果は、6%製剤において、ウサギで非腐食性であり、3%製剤において、in vitro再生ヒト表皮EpiDermTMSCTで非腐食性であり、眼刺激性試験結果は、6%製剤において、ウサギで中程度の刺激性があり、3%製剤において、ウサギで軽度の刺激性でした。当該濃度において、これらの結果からは、いずれも毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当ではないと判断いたしました。
 調査会においては、モルホリンの原体については、急性経皮毒性試験結果、皮膚腐食性試験結果、眼刺激性試験結果により、劇物に指定することが適当であると判断され、6%製剤については、劇物から除外することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いします。
○奥田部会長 モルホリン及びこれを含有する製剤(ただし、モルホリン6%以下を含有するものを除く。)を劇物に指定することが適当という提案ですが、いかがですか。
○宮川委員 こちらも判定についての異論はありませんが、先ほどと同じことですが、3ページのデータ一覧で、EU GHS分類、Acuteが区分4になっていますが、実際のデータを見ますと、急性経皮の場合は、劇物相当なので区分3です。EUの分類は、minimum classificationの意味が全部を取ったわけではないという意味なのかもしれませんが、そこが分かるように書いていただくのがよろしいかと思います。先ほど申し上げたことと同じことですが、この場合にも適用できると思います。ちなみに、このEU GHS分類と書いてあるのは、CLP規則で公定になっているものなのか、登録の際に業者が出してきたものなのかというところが、これだけだと分からないので、その辺りももし分かれば付けていただくと、これは公定分類とされたものなのか、業者が出したデータなのかが分かりますので参考になるかもしれません。
 先ほど私が分かりにくいと申し上げたのは、5ページになりますが、6%製剤についての除外の場合でも、それ以下の濃度の方が載っていることなのです。先ほどのように沢山載っていれば、色々と用量を振ったデータを集めてきて出しているのだというのが分かりますが、二つぐらいだと分かりにくいですので、こういうデータが先ほどと同じように分かりやすいように、注の所で書いていただければと思います。
○奥田部会長 このデータの見方をどこかに、例えば*の所の下に分かりやすく説明するということなのかもしれませんが、いかがでしょうか。
○事務局 毒性データの見方については、提出いただいたデータは全て載せ、こういうデータから、これとこれを取ったのでこうですという、そこが紙に出ていないので、どれを取ったのかが分かりにくくなっているのではないかと思いますので、このデータを見て、このデータを取っていくと、上限値はここになりますという形で分かりやすく記載するように少し修正し、各委員に御確認いただければと思いますので、よろしくお願いします。
○奥田部会長 ほかに御質問はよろしいですか。
○平林委員 もし記載を直すのであれば、細かい点ですが、毒性の表の[所見ごとに濃度の記載が]3%・6%、6%・3%、6%・3%という順番になっているのを統一された方がよろしいかと思います。
○奥田部会長 どうでしょうか。
○平林委員 この記載の順番には意味があるのですか。6%を常に先にするか、あるいは、逆の方がいいですか。どちらでもいいのですが、どちらかに統一されたらと思ったのですが。
○石塚委員 経皮の方が3%は6%の試験に使って、逆ですね。
○平林委員 6%の製剤の除外ですので、まず、6%のデータの表を作って、参考で3%を作るなど、色々工夫があるかと思いますので、その辺御検討いただければと思います。
○奥田部会長 少し何か方式があるのであれば。ただ、色々なケースがあるので、なかなか一筋縄ではいかないのかもしれません。
○事務局 見やすくなるように工夫させていただきます。ありがとうございました。
○奥田部会長 ほかによろしいですか。もし、ほかに御質問がなければ、モルホリン及びこれを含有する製剤について採決をしたいと思います。モルホリン及びこれを含有する製剤(ただし、モルホリン6%以下を含有するものを除く。)については、「劇物」に指定することは適当であるということでよろしいですか。どうもありがとうございました。
 それでは議題6をお願いします。
○事務局 資料6を御覧ください。名称は、22フルオロ-34-プロピル[11,21:24,31-テルフエニル]-14-カルボニトリル及びこれを含有する製剤です。この物質は、液晶表示素子に使用されています。現在、毒物及び劇物指定令第2条第1項第32号の有機シアン化合物及びこれを含有する製剤に該当し、劇物となるものですが、今般、事業者より原体の毒性データが提出され、劇性を持たないものであることが判明したことにより、劇物から除外するものです。
 別添1を御覧ください。物理化学的性状として、外観は白色粉体、沸点は300℃より大きく、融点は90.5℃、溶解性は水に不溶です。安定性は、常温で安定、反応性は、通常使用では反応性はないです。
 続きまして、別添2を御覧ください。急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50が2,000mg/kgより大きく、急性経皮毒性試験結果は、ラットでLD50が2,000mg/kgより大きく、急性吸入毒性試験結果は、ラットにおいてミストでLC50が1.56mg/L/4hrよりも大きいです。皮膚腐食性試験結果は、ウサギで腐食性はなく、眼刺激性試験結果は、in vitroニワトリ摘出眼球試験で刺激性はありませんでした。これらの結果からは、いずれも毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当ではないと判断いたしました。
 調査会においては、22-フルオロ-34-プロピル[11,21:24,31-テルフエニル]-14-カルボニトリル及びこれを含有する製剤を、劇物から除外することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いします。
○奥田部会長 このニトリル化合物について、御審議、御意見をお願いします。急性経口毒性、急性経皮毒性、急性吸入毒性、刺激性、いずれも劇物から除外することが適当というデータを示しているという事務局からの説明だったと思います。もし、御質問がなければ、採決に移りたいと思います。このカルボニトリル化合物及びこれを含有する製剤を「劇物」から除外することが適当であることについて、よろしいですか。それでは、お認めいただいたということにします。一応、ここで議題1~6まで終了しましたが、引き続いて、その他について、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 当日配布資料1を御覧ください。平成31年度以降の毒物及び劇物指定のためのGHS分類で、健康に対する有害性が区分1~3及び危険物輸送に関する国連勧告で、毒物又は腐食性物質である物質として、毒物及び劇物の指定候補物質を、このような条件の下でリストとして提示しています。前回の部会で御提示したリストから、今回審議され劇物相当と判断された4物質が除かれておりますが、今年度新たに有害性情報調査を実施した物質が追加されております。これらの物質がまたこの部会で審議されることになります。どうぞよろしくお願いします。
○奥田部会長 当日配布資料1について、何か御質問はありますか。
○城内委員 今後の議論にも関係しますし、今日の議論の中でも疑問に思ったといいますか、見解をお聞きしたいので質問します。除外のところですが、何%以下の当該物質を除くというものが議題5まであったわけですが、何%以下の製剤を除くという場合に、試験はある特定の製剤で行っていて、劇物相当ではないということで除外になっていると思いますが、例えば成分が変わって、それはどういう毒性があるか分からないというと、現状の法律の中では、今日話題になった毒性を持つ物質を含んでいて、しかし、それが4%以下だったら劇物から除くことになっていくと思うのです。つまり、ほかの成分は考えなくてもいい、現状ではそうした法体系になっていると思いますが、それについてはどういう見解なのか教えていただきたいと思います。
○奥田部会長 確認ですが、ほかの添加物が入っていた際に、そういったほかの添加物が入っているものについて、どのように考えるかということですか。
○城内委員 申請された製剤は、ある成分で決まったもので行っていると思うのです。つまり、製品で行っていると思うのですが、成分が変われば、当然、毒性は変わってくると思うのです。つまり、特定の物質で劇物から外すという言い方ではなく、ある%以下のこれを含む製剤については、劇物から外すという言い方なので、中の成分が変わった場合、分からなければ、そのままパスするといいますか、出てくる可能性があるのではないかと思うのです。
○事務局 基本的にここで言っている製剤というのは、具体的な特定製品の話ではなくて、原体としての化学物質がある一定製品中にこの%あるものについては、すべからく除きますという法体系になっているので、法体系上の製剤というのは、残りの90何%のものについて何であろうとも法律上は除きます、という形になっています。データとしては、確かに残りの残余成分の影響がどのように関係するのかというのは懸念ではあるのです。しかし、すべからく全てのケースにおいて確認をするのはなかなか難しいので、データとしては各社が使っている製品そのもの、残余としてほかの添加物や何かもろもろが入っているものではなくて、科学的な試験法に従って、通常、単純に評価結果に影響がないもので薄めた形で、一番ピュアといいますか、化学物質が薄まった形でどうかというデータを出してもらい、そのデータで毒性あるなしという話をした結果、そのパーセンテージであれば、どの製品に、どういう添加物が含まれたとしても、そうずれたデータではないだろうということで、それを採用して全て除いているという形になっています。そのため、出てくるデータが、そもそも特異的なある会社のある成分ということではなく、出てくるデータは一番純粋で基本的な形のデータで出してもらい、それを全部に展開しているという形でさせていただいております。
○城内委員 ほかの毒性が、例えば未知の成分が入って製品化して出した場合、それはチェックのしようがないということになりますよね。
○事務局 残りの90何%に未知のものがあったらということですよね。
○城内委員 はい。
○事務局 それはおっしゃるとおりです。
○城内委員 分かりました。
○事務局 それはそのようなことがないように、なるべく多く指定していきましょうということで、させていただこうかと思います。
○宮川委員 判断をする際の基準で、参考資料1に判定基準が書いてあります。これはGHSの基準に合わせて作ってあると思うのですが、もともとGHSの基準の問題というのもあって、少しコメントをさせていただきたいと思います。まず1点目は、単純な方からいきますと、2ページに除外の場合の規定で、2.(1)のマル1の(a)の所に、基準値の10倍以上で考えましょうと書いてあります。ところが、そこの下に書いてある経口の例というのが、対象製剤2,000mgと書いてあり、基準値は1ページにあるように、経口の場合には劇物では50~300が基準なので、300の10倍だと3,000になる、ではなぜここで2,000が書いてあるのかと疑問を持つ方がいると思います。ここは別の規定があり2,000でいいことになっていると思うのです。恐らく、経口の方では、普通2,000までしか試験をしないことになっているということで、そこで行ってあれば十分という考え方で出てきている、そのようなものが例として載っていると思いますが、ここまで見ればいいという絶対値が試験や何かの条件で決まっているものと、この10倍の規則が当てはまる場合の例と、二つぐらいを出していただければ規則がよく分かるのではないかということです。
 もう一つ、これから除外申請が色々と出てくると思いますが、そこで問題になるのは、まず一つが、吸入の毒性をvapour、蒸気で試験をするのか、ミスト・ダストで試験をするのかということです。これは質問になるのですが、吸入の経路が一つでも試験をしてあって、それで該当しなければ除外できるという考え方なのでしょうか。今日のデータは、必ずしもvapourとダスト・ミストと両方出ているわけではなく、ミストだけのものが多かったと思います。何らかの吸入の経路でもって基準を満たしていれば除外になるという考え方だと思いますが、問題は、基準値を見ますと、vapourの場合とダスト・ミストの場合では相当値が違うのです。vapourにもなれば、あるいはダスト・ミストにもできるという場合に、ダスト・ミストで試験をした方が毒ではないという評価を非常に得やすい可能性があるような気がします。
 通常のばく露形態がダストやミストでのばく露なのだから、これで試験をしたとか、通常のばく露形態がvapourでのばく露だからこれで試験をしたというのは、ある程度合理性があると思いますが、そこのところをvapourで試験した結果、あるいはダスト・ミストで試験した結果、どちらでもいいですよという場合の考え方を、今後のためには整理しておいた方がいいような気がします。溶媒に溶かしてネブライザーで上げれば、大抵のものはミストになるので、比較的小さい値が書いてあるダスト・ミストの基準で判断をしてしまうとか、ある程度蒸気圧が高くて、vapourとして判断をしないといけないものについては、そちらでチェックをするなど、そういう考え方もあっていいような気がしますので、是非御検討いただければと思います。
 あと細かいことですが、もう一つ、ミストで試験をされているものについては、きちんと書いていただいているものもあると思いますが、溶媒として何を使ったか、これは水なのか、ほかのものなのか、その辺りもある程度参考になる場合もあります。できれば試験データとしては書いておいていただいた方が正確な判断ができると思いますので、よろしくお願いします。以上です。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。事務局から何かありますか。
○事務局 判断基準については、平成29年2月に最終アップデートということで、常に最新状況でアップデートをしておかなければいけないと考えています。ここについては、今少し考えていることがあり、こういうような考え方で判断基準に入れたいというものもありますので、引き続き、今いただきました指摘事項の内容を踏まえて、より適切な判断ができるように順次アップデートしていきたいと思います。今後、代替試験法の話も話題になっていくと思いますので、その辺を含めて引き続き調査会と部会の方で御相談をさせていただければと思います。
 最後の溶媒については、御指摘はごもっともで、そのデータは当然データをいただく際にもらっていますので、分かっている範囲についてはデータに反映することは可能だと思いますので、それについては次回以降、反映を可能な範囲でさせていただきたいと思います。御指摘ありがとうございました。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。
○栗原部会長代理 今日も色々と問題になったところがあり、調査会の方で元の文献を見て、先生には色々な意見を言っていただきましたが、ただその結論しかここにはなかなか書いていないので、そこで議論されたことが十分に伝わらないということがあります。特に今日も出たデータの信頼性がないなどというのは、一応、そこで議論をして、それはないという結論になったわけです。その辺の内容と言いますか、それが調査会で重要だと思った部分に関しては、なるべく部会にうまく伝わるようにしていかないといけないと感じましたので、これから調査会でも部会に上げる際にはその辺の重要なところは伝わるように考えていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○奥田部会長 栗原委員、貴重な御指摘をありがとうございます。続きまして、参考資料2について、何か追加で発言をいただければと思います。
○事務局 参考資料2を御覧ください。平成30年7月30日に発出された毒物劇物調査会審議結果及び審議物質の製剤除外等の申請についての通知です。ここでは毒物劇物調査会の審議結果等を提示させていただき、審議物質の指定見直し及び除外の申請を行う場合の審議申請の具体的な手続について提示をしております。当該通知を御覧いただき、製剤除外申請等を希望する場合には、所定の手続をお願いしたいと思います。以上です。
○事務局 補足をさせていただきます。当該のものについては、今回の議題でもさせていただきましたが、原体で指定をする必要性があると思うものについて、除外の際は手を挙げてくださいという形でデータ募集をしていて、当然、今までも募集はさせていただいていたのですが、それが聞こえてこなかったなど、業界として少しキャッチが遅れたみたいな話で、今般から通知で明示的に公文書として募集をしましょうということで、させていただいたものの第一弾です。内容的には、既に募集締切が過去に終わった話なので、この会議でどうこうではないのですが、私どももなるべく分かりやすいような形でさせていただいていますので、今後この形で行っていただくということで、会議資料として明示的に公表させていただきたかったということです。御参考までにということです。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。参考資料2については、特段よろしいですか。以上で、本日の議題は終了です。もし特段の追加、委員からいただくことがなければ終了したいと思いますが、事務局から何かありますか。
○事務局 本日は御指摘をいただきましてありがとうございます。1物質を除いて御了解いただいたということで、5物質については分科会に掛けさせていただいて、1物質については再度検討ということで、改めて御相談させていただきますので、よろしくお願いします。事務局からは以上です。ありがとうございました。
○奥田部会長 どうもありがとうございました。本日の部会はこれで終了します。御苦労さまでした。
( 了 )
 

備  考
本部会は、公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 化学物質安全対策室 室長補佐 小池(内線2910)

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