ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会・援護局(社会)が実施する検討会等> 生活保護受給者に対する就労支援のあり方に関する研究会> 第1回生活保護受給者に対する就労支援のあり方に関する研究会 議事要旨(2018年3月16日)




2018年3月16日 第1回生活保護受給者に対する就労支援のあり方に関する研究会 議事要旨

社会・援護局保護課

○議題

(1)生活保護受給者に対する就労支援に関する現状と課題について
(2)今後の研究会の論点について

○議事

 事務局から資料説明を行い、その後出席者による意見交換を行った。主な意見は以下のとおり。

 

・被保護者のうち、ハローワークにおける就労支援(生活保護受給者等就労自立促進事業)に案内できる程度の能力のある方(は既に就職につながっており、)減ってきている。すぐには就労に結びつきにくい方をどう支援していくかが課題である。

 

・被保護者就労準備支援事業については、支援の場所まで出てこられる方は能力を高めた上でハローワーク等の支援につなげることができているが、一方で、家に引きこもっている方や長期間働いていない方など、支援の場所まで出て来られない方へのアウトリーチができていないことが課題である。

 

・福祉事務所と生活困窮者自立支援事業の委託先との縦割りが解消しきれておらず、就労に結びついて生活保護を廃止となった方であっても、廃止後のフォローができていないのが課題である。

 

・就労準備支援事業や困窮事業を実施することで、これまでケースワーカーが支援できずに抱えている対象者の方の掘り起こしができると期待される。

 

・就労意欲の喚起については就労支援員も非常に悩んでいるが、支援対象者に対して手紙を出す際には、手書きにする、挿し絵を入れる等、就労支援員としてもできる限り寄り添った支援を行っているのではないかと感じている。

 

・被保護者就労支援事業からハローワークにおける支援に移行する際、ハローワークのナビゲーター、市町村の就労支援員、支援対象者の三者で面談を行っている。実際に対面で話し合うことにより、就労支援員とナビゲーターとの関係もよくなってきている。

 

・何をもって稼働能力の活用が不十分と判断できるか、難しい課題である。

 

・生活保護受給者、特にその他世帯には、就労に向けて活動するにあたり寄り添ってくれる方がいない方々が多いと思うが、一人で活動するのではなく、一緒に活動してくれる人がいることで、前向きになることが多い。

 

・市町村の役所内にハローワークの支援窓口が配置されてからは、福祉事務所からハローワークに支援対象者をつなぐ際の連携がスムーズになってきている。

 

・就労にあたり会社が保証人を求めることが多いが、家族との関係が断絶しているケースにおいては、家族の協力を得ようとしても断られることがあり、それにより精神的に鬱々としていってしまう方々も多く見受けられる。

 

・小規模自治体では、被保護者就労準備支援事業の対象者数が少ない。

 

・特に65歳以上の高齢者については、健康面や精神面等の不安がかなり大きい場合も多くあり、就労支援よりも、生活支援に力を入れる必要があるケースもある。

 

・長期間働いた経験がない方などについては、就労意欲の喚起に相当な時間がかかる場合もあるため、単に就労支援の機能をもつだけでなく、いろいろな人に出会うことにより、働く意識を持てるような社会的な居場所の機能も必要では無いかという声が現場でも出ている。

 

・委託によって就労支援事業を実施する場合、福祉事務所からの紹介で支援を開始するが、支援対象者の状態が福祉事務所と委託先の見立てがかなり違うケースや、支援対象者と委託先の関係構築に時間がかかるケースもあり、福祉事務所等と委託先の連携をどう図るかという問題が出てきている。

 

・就労の場の開拓が積極的にされていないこともあり、生活保護受給者の就労の場を地域でどのように作っていくかが課題。生活保護受給者の就労を支えるためにも、中間的就労という形で制度的な支援が必要ではないか。

 

・就労支援にあたっては、就労意欲の有無が分かれ目になっており、就労意欲がある者は多少ミスマッチがあったとしても丁寧な支援を行うことで対応できることが多い。しかし問題となるのは就労意欲がないと思われる人たちである。そのような人たちに対してはソーシャルワーク的な支援が必要になるが、その支援をケースワーカーか就労支援員のどちらかが行うかを決めるにあたり、就労意欲の有無といった観点での担当世帯の分類をケースワーカーが十分にできていないため、結果として支援対象者との関係性にミスマッチが生じる場合がある。

 

・生活困窮者支援では中心的な課題としている中間的就労や企業開拓などの出口づくりについて、生活保護での自立支援としてどのように対応しているか、検証が十分になされていないのではないか。

 

・就労の目的は保護から脱却することなのか、就労支援の目的には経済的な要素だけでなく社会参加的な要素が含まれるのかなど、就労そのものの目的を明確にした上で、生活保護行政での就労支援を整理・検討をする必要がある。

 

・ハローワークに通所するだけ(求人を確認するだけ)といった形式的な就職活動しかしておらず、求人に応募し採用面接を受ける等の具体的な就職活動が不十分といった、働く意欲が著しく低い人への対応についても、就労の経済的自立や社会的自立との関係から検討することが必要ではないか。

 

・今は就労支援だけではなく様々な専門員がケースワーカーと一緒に支援をしており、ケースワーカー一人で支援を担わないという点で有効である。また、それに伴い、ケースワーカーのあり方も変わってきているのではないか。

 

・就労支援員など、専門分野は専門職に任せられるようになった一方で、制度に対するケースワーカーの理解が低くなってきていると感じている。

・生活保護受給者の就労を受け入れた企業から、受給者であるということで偏見を受けた事例もある。生活保護受給者を受け入れる企業の側のあり方そのものを変えなければ、根本的に生活保護受給者の就労のあり方は変わらないのではないか。


ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会・援護局(社会)が実施する検討会等> 生活保護受給者に対する就労支援のあり方に関する研究会> 第1回生活保護受給者に対する就労支援のあり方に関する研究会 議事要旨(2018年3月16日)

ページの先頭へ戻る