ホーム> その他> page659




2018年2月7日 第23回がん検診のあり方に関する検討会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成30年2月7日(水)15:00~17:00


○場所

厚生労働省 12階 専用第15会議室


○議題

(1)職域におけるがん検診に関するマニュアル(案)について
(2)乳がん検診における「高濃度乳房」への対応について
(3)がん検診のあり方に関する検討会における、今後の議論の進め方について
(4)その他

○議事

 ○事務局(田中) 定刻となりましたので、ただいまより、「第23回がん検診のあり方に関する検討会」を開催いたします。構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本検討会の開会に当たり、厚生労働省健康局がん・疾病対策課長より御挨拶申し上げます。

○がん・疾病対策課長 厚生労働省がん・疾病対策課長の佐々木でございます。構成員の先生方、皆様におかれましては、お忙しい中お集まりくださり、心からお礼を申し上げます。

 第23回を数えますがん検診のあり方に関する検討会でございますが、前回第22回からこれまでの間に、第3期「がん対策推進基本計画」が昨年10月に閣議決定されました。この第3期計画の特徴といたしましては、がんの予防、そしてがん医療の充実、がんとの共生、これを3本柱という形で、今後6年間取り組もうということになっております。このがんの予防の中でも、がん検診は、がんの早期発見、早期治療につながる上で大変重要なものでございます。しかしながら、いまだに受診率が目標値である50%に達していない、このこともまた事実でございます。このためには、市町村、加えて職域における精度管理が必ずしも徹底されていないこともまた指摘されているところでございます。こうした様々な課題に関し、今後、取り組んでいく、死亡率を減少させるために更に充実させていく、このことを視野に置き、本日、第23回の検討会での議論をお願いしたいと思っております。

 また、本日は併せて、「高濃度乳房」について前回御指摘いただいておりますので、厚生労働科学研究での研究班の進捗状況についても併せて報告申し上げるとともに、御議論を頂ければと考えております。どうぞ、科学的根拠に基づき、また、実際に検診を受ける皆様方にどうすれば伝わるのか、このことを重要視しておりますので、是非、今日の御議論を充実したものにお願いしたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局(田中) はじめに、本日の構成員の出欠状況です。椎名構成員から遅れて到着されるとの連絡を受けております。また、松田構成員、及び、本日参考人として御出席予定でした福井県済生会病院の笠原善郎先生から、雪の影響でやむを得ず御欠席との連絡を受けております。

 それでは資料の確認をいたします。座席表、議事次第、資料1-1「職域におけるがん検診に関するマニュアル()」、資料1-2「精度管理のためのチェックリスト()」、資料1-3「仕様書に明記すべき必要最低限の精度管理項目」、資料2「乳がん住民検診における高濃度乳房への対応のポイント」(笠原参考人提出資料)、資料3「乳がん検診における乳房の構成(高濃度乳房を含む)の適切な情報提供に資する研究班による経過報告」(笠原参考人提出資料)、資料4「がん検診のあり方に関する検討会における今後の論点」、参考資料1「がん検診のあり方に関する検討会構成員名簿」、参考資料2「事業評価のためのチェックリスト」、また、机上には、職域におけるがん検診に関するワーキンググループの構成員の名簿も配布資料として置いておりますので、よろしくお願いいたします。資料は以上でございます。資料に不足、落丁等ございましたら事務局までお申し出ください。以上をもちまして、カメラを納めていただきますよう御協力のほどよろしくお願いいたします。この後の進行は大内座長にお願いいたします。

○大内座長 それでは、本日の議題に入りたいと思います。先ほど課長からも挨拶がありましたように、本検討会は、前回の第22回から時間が経過しております。昨年65日に第22回の本検討会がございました。そのときに、職域におけるがん検診に関するワーキンググループが設置されました。その後、ワーキンググループで4回会議を開催しております。本日はその結果報告で質疑応答を頂きますが、半年以上空いたことが1点と、それから、先ほど課長もおっしゃいましたように、第3期の観点で基本計画が示されておりますので、その線に沿ってまた議論を深めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 では早速ですが、議題(1)「職域におけるがん検診に関するマニュアル()」について事務局より説明願います。

○事務局(田中) 事務局から資料1-1、資料1-2について説明いたします。初めに資料1-1「職域におけるがん検診に関するマニュアル()」をお示ししております。これは、先ほど大内座長からも御説明がありましたように、昨年の712月にかけてワーキンググループで職域におけるがん検診のあり方について議論を行い、その議論を踏まえワーキンググループで取りまとめたマニュアルです。第3期のがん対策推進基本計画におきましては、当時はガイドラインという表記にしておりましたが、今回は、ワーキンググループでの議論を踏まえマニュアルという形でお示しいたします。

1ページをめくり、Iの内容について御説明します。本マニュアル()の内容をこのページにお示ししております。全体の構成はI~VIIまでになります。最初のIは「はじめに」、IIが「目的」、IIIが「がん検診の種類について」、IVが「がん検診の精度管理について」、Vが「健康情報の取扱いについて保険者及び事業者が留意すべき事項」、VIに「その他」、VIIに「おわりに」としております。また、このマニュアル()の別添として、精度管理のためのチェックリスト及び資料1-3にお示ししている「仕様書に明記すべき必要最低限の精度管理項目」を付ける予定にしております。

2ページは「はじめに」です。この内容を少し説明します。はじめにの1段落目です。はじめにの内容としては、このワーキンググループが設置されたこれまでの経緯を主に説明しております。1段落目です。第3期のがん対策推進基本計画において、がん検診の受診率の向上及び精度管理の更なる充実が必要不可欠とされております。また、第2段落です。がん検診を受けた者の約3060%が職域におけるがん検診を受けるとされており、職域におけるがん検診ががん対策においても非常に重要な役割を担っているとされております。また、3段落目です。職域におけるがん検診は、法的根拠がなく保険者や事業者が福利厚生の一環として任意で実施しているものであり、その検査項目や対象年齢など、検診の実施方法は様々であるといったことが実態として挙げられております。更に、平成2811月のがん検診のあり方に関する検討会の議論の整理におきましては、職域におけるがん検診を効果的に行うためには、職域におけるがん検診に対するガイドライン等、当時はガイドラインと称しておりましたが、これを職域におけるがん検診関係者の意見を踏まえつつ策定し、実施する際の参考とすることが望ましいとされました。こうした議論を踏まえまして、平成297月より職域におけるがん検診に関するワーキンググループを設置し、職域におけるがん検診について計4回の検討を行い、このマニュアル案の取りまとめを行ったのでここに提示いたします。

3ページ目の目的について説明いたします。「本マニュアルは、がんが国民の生命及び健康にとって重大な問題となっている現状に鑑み、職域におけるがん検診の実施に関し、参考となる事項を示し、がんの早期発見の推進を図ることによりがんの死亡率を減少させること等を目的とする」としました。

 続いてIIIのがん検診の種類に移ります。このマニュアルに示すがん検診の種類は5つです。胃がん検診、子宮頸がん検診、肺がん検診、乳がん検診、大腸がん検診です。各付加検診の項目に関しては、死亡率減少効果があり、またがん検診の利益が不利益を上回るとされているものをこのマニュアルに記しました。具体的には胃がんを見てみます。3ページにあります、胃のX線検査及び胃の内視鏡検査を、50歳以上の者に対し原則として2年に1回実施すること。子宮頸がん検診については、20歳以上の女性に対し、細胞診検査を原則として2年に1回実施すること。

4ページです。肺がん検診につきましては、胸部X線検査及び喀痰細胞診検査を、40歳以上の者に対し原則として1年に1回実施すること。乳がん検診につきましては、マンモグラフィ検査を40歳以上の女性に対し2年に1回実施すること。大腸がん検診については、便染血検査を40歳以上の者に対し1年に1回実施することとしております。

5ページです。がん検診の推奨のレベルについて参考として記載しております。がん検診の推奨のレベルについては、下の表1に示すAD及びI5段階の推奨度が用いられております。推奨A及びBについては、死亡率減少効果を認めており、かつ、不利益も小さいことから任意型・対策型検診で推奨されるものとされており、先ほど示しましたがん検診の項目がこのABに相当するものです。また、推奨Cに関しては、死亡率減少効果は認められるが不利益もあるため、任意型検診においては、個人の判断に基づく検診の受診は妨げないものとしております。

6ページです。推奨レベルDについては、死亡率減少効果のないことを示す科学的根拠があることから、任意型、対策型検診両方において推奨しないものとされております。Iについては、死亡率減少効果の有無を判断することが不十分であるため、任意型検診においては、適切な説明に基づき個人レベルで受診を検討するものとしております。現在、我が国におきまして、推奨のレベルがCDIとされているが、検診についてはこの後説明しますが、この推奨のレベルは、今後、国内外の知見を収集した結果、必要に応じて見直されるものであり、がん検診のあり方については、がん検診のあり方に関する検討会等の議論も踏まえ検討されるものであると記載しております。推奨のレベルがIのものについては、胃がん検診のヘリコバクターピロリの抗体検査、あるいは、ペプシノゲンとピロリ抗体検査の併用法。子宮頸がん検診におけるHPV検査を含む検診方法。

7ページです。肺がん検診における推奨のレベルIのものについては低線量CT。乳がん検診については、視触診の単独法、超音波検査の単独法、あるいはマーモグラフィ等の併用法、対40歳未満に対するマンモグラフィ単独法及びマンモグラフィと視触診の併用法がございます。推奨のレベルCに該当するものにつきましては、大腸がん検診におけるS状結腸鏡検査、S状結腸鏡検査と便染血検査化学法の併用法、全大腸内視鏡検査、注腸X線検査です。また、推奨レベルのDにつきましては、大腸がん検診の直腸指診としております。

8ページには、がん検診の精度管理について記載をしております。がん検診の実施に当たっては、市町村職域にかかわらず、科学的根拠に基づく検診を適切な精度管理の下で実施することは重要であると考えられ、職域におけるがん検診においてもその実態の把握に努めることは望ましいと記載しました。職域において精度管理を行う際は、1つは、検診の実施機関が精度管理を行う場合と、一方で、検診実施機関でなく、保険者あるいは事業者が実施する場合との2つに大別されます。検診実施機関が精度管理を実施する際には、既に、事業評価のためのチェックリストが検診実施機関用のものが市町村が実施するがん検診の精度管理を行う際に利用されておりますので、職域におけるがん検診においてもこれに準拠し、がん検診の受診率、要精検率等の精度管理指標の評価を行うべきであると記載しております。

 一方、保険者及び事業者ががん検診の精度管理を行う際には、こういった既存のチェックリストはありませんので、今回、新たに別添として精度管理のためのチェックリストを付けることといたしました。この精度管理のためのチェックリストにつきましては資料1-2になりますが、こちらに関しては後ほど説明します。職域のこのがん検診の精度管理を実施する際には、こういったチェックリストを利用することにより、次ページの表2に示すような、がん検診の精度管理指標に基づく評価を行うことが望ましいと考えられます。

9ページにがん検診の精度管理指標をお示しします。ここには、生検受診率、未把握率、生検未受診率、生検未受診と未把握率を合わせたもの、要精検率、がん発見率、陽性反応適中度のそれぞれの許容値あるいは目標値をお示ししており、これは市町村で実施されているがん検診の精度管理指標としても用いられているものです。

 少し前後しますが、8ページの3段落目の記載の説明をいたします。先ほどお示しした精度管理指標につきましては、受診者の年齢分布に大きく依存するため、市町村が実施するがん検診に比べて比較的若年層の受診者が多い職域におけるがん検診におきましては、これらの値が、先ほどの表2と乖離する可能性はあります。こうしたことから、厚生労働省としては、今後、がん検診のあり方に関する検討会等の議論も踏まえ、職域におけるがん検診の実態に即した精度管理を示す予定としております。

○事務局(田中) ここで、資料1-2の説明をします。これは、精度管理のためのチェックリストで、5つのがんに対するチェックリスト項目を保険者・事業者用の参考となるような形で付けております。具体的な内容を説明します。1枚目の1、検診対象者の情報管理について、具体的に説明しますと、検診受診者の名簿を作成しているかどうか、また、受診勧奨を行っているか。また、対象者数を把握しているかどうか。2番の受診者の情報管理につきましては、検診の台帳あるいはデータベースを作成しているか、過去5年間の受診歴を記録しているか。3番の受診者への説明につきましては、精密検査が必要となった場合の説明、あるいは精密検査の受診を促すよう務めているかどうか。

2ページ目ですが、4番の受診率の集計につきましては、受診率を性別や年齢階級別に集計しているかどうか。5番目の要精検率の集計については、要精検率を性別や年齢階級別、検診実施機関別等に集計しているかどうか。6の精密検査の把握、精密検査未受診者の特定と受診勧奨についても記載しております。また、7の精検受診率、がん発見率、早期がん割合、陽性反応適中度等の集計を実施しているかどうか。これも性別や年齢階級別、検診実施機関別に集計しているかどうかを記載しております。最後の8番には、検診実施機関の質の担保として、委託先の検診実施機関を、使用者に明記すべき必要最低限の精度管理項目、これは資料1-3にありますが、この内容を参考として選定しているかどうか等について記載しました。なお、資料1-2に記しています黒い四角のマークですが、これは検診実施機関から保険者、あるいは治療者が検診機関から受け取っていない場合につきましては実施することができないチェック項目ですので、検診実施機関から検診結果を受け取っている場合については、保険者や事業者も実施することが望ましい項目として挙げております。資料1-2については以上です。

 先ほどの資料1-110ページにおいて、健康情報の取扱いについて、保険者及び事業者が留意すべき事項を記載しました。保険者や事業者が、受診者の個人情報を取り扱う際には、個人情報の保護に関する法律や各種ガイドライン、10ページの注釈にも記載しております各ガイドライン等に留意する必要があります。このマニュアルに関しては、あくまでも例としてがん検診の受診者の同意を得ることについて、また、要配慮個人情報に該当する記載を抜粋しましたので、それを11ページ以降に記載しております。

11ページです。参考として個人情報の保護に関する法律についてのガイドラインから「本人の同意」について、また、要配慮個人情報の取得等についての記載がある部分を抜粋しました。

1ポツ目の「本人の同意」についてですが、本人の同意とは、本人の個人情報が、個人情報取扱事業者によって示された取扱方法で取り扱われることを承諾する旨の本人の意思表示を指します。また、「本人の同意を得る」とは、本人の承諾する旨の意思表示を、当該個人情報取扱事業者が認識することをいい、事業の性質及び個人情報の取扱状況に応じ、又は本人が同意に係る判断を行うために必要と考えられる、合理的且つ適切な方法によらなければならないと、ガイドラインに記載されております。本人の同意を得ている事例については、ガイドラインの24ページに、事例が1)から6)まで記載されております。事例の1つ目、本人からの同意する旨の口頭による意思表示がある、2番目、本人からの同意する旨の書面の受領、3番目、本人からの同意する旨のメールの受信、4番目、本人による同意する旨の確認欄へのチェック、5番目、本人による同意する旨のホームページ上のボタンのクリック、6番目、本人による同意する旨の音声入力、タッチパネルへのタッチボタンやスイッチ等による入力が、ガイドラインの24ページに記載されております。

3ポツ目の要配慮個人情報の取得や第三者提供につきましては、個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン、12ページ、35ページに記載されております。要配慮個人情報の取得や第三者提供には、原則として本人の同意が必要であり、法第23条第2項の規定による第三者提供、つまり、オプトアウトによる第三者提供は、認められていないので注意が必要とされております。要配慮個人情報法第23条第5項、各号に定める委託、事業の継承又は共同利用により取得する場合には、あらかじめ本人の同意を得る必要はないとされております。

12ページです。第三者に提供しない場合について、51ページより抜粋しました。次の1から3の場合については、第三者提供に該当しない者とされております。一番上の1ですが、個人情報取扱事業者が、利用目的の達成に必要な範囲に置いて、個人データの取扱いの全部又は一部を委託することに伴い、当該個人データが提供される場合、2ですが、合併、その他の理由による事業の継承に伴って個人データが提供された場合、3、特定の者との間で共同して利用される個人データは、当該特定の者に提供される場合であって、その旨並びに共同して利用される個人データの項目、共同して利用する者の範囲、利用する者の利用目的及び当該個人データの管理について責任を有する者の氏名又は名称について、あらかじめ本人に通知し、本人が容易に知り得る状態においているときとされております。

13ページ、その他につきましては、がん予防の促進、事業者と産業医、検診実施機関の連携について、がんに関する知識の普及啓発、市町村が実施するがん検診と、職域におけるがん検診との連携について記載しました。1(1)がんの1次予防・2次予防の推進につきましては、現状のがん罹患や受診率について、また、1次予防と2次予防の推進を図ることの必要性について記載しております。(2)事業者と産業医、検診実施機関の連携については、事業者が産業医を選任している場合においては、労働者の健康管理等を行うために、事業者は産業医と連携することが考えられます。一方、産業医が選任されていない場合におきましては、健康情報の取扱いに留意した上で、精密検査が必要と判定された受診者が実際に精密検査を受けるよう、事業者や検診実施機関が当該受診者を促すなど、事業者と検診実施機関が連携することが考えられます。3番、がんに関する知識の普及啓発については、がんの死亡率を減少させるには、がんに対する正しい知識を持つことが重要であり、職域におきましても、がんの教育や普及啓発に取り組むことが必要であると記載されております。市町村におきましては、国の定める指針に示されているとおり、がん検診を受診することの重要性について普及啓発を図るよう務めることとされておりますが、保険者、事業者及び検診実施機関においても、がん検診を受診することの重要性についても普及啓発を行い、がん検診の受診率を高める取組を行うことが望ましいと記載しました。

14ページの2、市町村が実施するがん検診と職域におけるがん検診との連携として、(1)から(3)に連携の具体例を示しました。(1)保険者が市町村と連携、あるいは包括協定を締結している場合には、特定健康診査と市町村が実施するがん検診との同時実施を行うこと。2つ目として、保険者や事業者は、受診者の同意を得るなどした上で、市町村と職域におけるがん検診の受診状況を共有すること。市町村は、職域でがん検診を受ける機会のない者に対して、市町村が実施するがん検診を受診勧奨を行うこと。3番目に、保険者や事業者が、職域でがん検診を受ける者に対し、市町村におけるがん検診を実施するよう情報を提供し、受診の機会を設けることを記載しました。

15ページには、「おわりに」として、これまでのまとめを記載しております。がん対策基本法及びがん対策推進基本計画におきましては、がん対策は科学的知見に基づくものとされており、本マニュアルは、その基本理念に基づき、がん検診の項目等を設定し、職域におけるがん検診においても参考となることを目指すものであります。なお、現在職域で特定の目的を持って行われている既存の任意型検診を妨げるものではないと記載されております。また、がん検診の実施に当たっては、科学的根拠に基づく検診を、適切な精度、管理の下で実施することが重要でありますので、適切に収集されたデータを基に、職域におけるがん検診の実態に即した精度管理の評価を行うため、そのデータの収集等に向けた体制構築を検討していく必要があると記載しております。

 最後に、がん検診に従事する関係者においては、各個人が希望する有効性のあるがん検診の実施に向け、本マニュアルを参考に積極的に取り組むことを期待すること。さらに、このマニュアルを契機として、国民一人一人ががん検診についての正しい知識を持ち、正しい行動を取ることを願うものとして締めくくっております。事務局からは資料1-1、資料1-2についての説明をさせていただきました。以上です。

○大内座長 資料1-3はどうしますか。

○事務局(田中) 資料1-3につきましては、資料1-1の別添2として、国立がん研究センターが作成している仕様書に明記すべき、必要最低限の精度管理項目として挙げられていますので、職域においてもこういうことを活用できるよう別添として付けております。

○大内座長 ただいま説明が終わりました。この職域におけるがん検診に関するマニュアル()について、質疑を行います。皆さまいかがでしょうか。本検討会は9名の構成員からなっているのですが、職域におけるがん検診のワーキンググループは12名から構成されていまして、かなり活発な議論が行われました。その中で4回の会議をもってようやくまとめ上げたところですので、そうした背景もありますが、本日は構成員として出席されている祖父江先生、それから今日は雪のため欠席ですが松田構成員、それから私の3名がこの職域ワーキンググループのメンバーとして入っていました。私はその座長を預かっておりましたので、なんとかここまで積み重ねて来たなという感じがいたします。机上配布資料にその構成員メンバーがあります。例えば皆さま、日本医師会であればここには羽鳥常任理事が入っておられますし、健保連であれば小松原先生が入っておられまして、それぞれ代表者が入って活発な議論を交わしたところです。では、御質疑いただきます、いかがでしょうか。

○白川構成員 以前から私どもとしてはガイドラインめいたものがないものですから、個々の健保組合が、検診団体等とも相談をしながら任意のがん検診を実施してきたわけですけれども、このワーキンググループでまとめていただいたマニュアル、これで一種の拠り所ができたということで、感謝申し上げたいと思います。

 もう1つは、精度管理仕様のこういう考え方は今まで職域では余りなかったものですから、そういう意味ではこれは非常に有益な指標を示ていただいたということで、こちらでも感謝申し上げたいと思います。

 ちょっと1つだけ事務局に質問があるのですが、これ自体、事業主と保険者用のマニュアルになっていますけれども、事業主に対してはどのような説明の仕方をするのかということ。あとタイミングで、御案内のとおり今健保組合は事業主と一緒になって平成304月以降のデータヘルス計画を組んでおりまして、その中でこういうがん検診についても重要な項目、あるいは重症化予防の取組みとかそういうテーマを検討されている最中です、特に精度管理仕様のところは全く新しく見るという健保組合も結構あると思いますので、なるべく早く出していただければ助かるなというように思っております。事業主も春に定期健康診断をやる事業主が結構多くて、その中で例えば胃がん検診をセットでやるといった取組をやっていただいている事業主もいますから、これが今日通ったとしたら、いつ頃届けられるのか、その辺もちょっと教えていただければと思います。

○大内座長 大変重要な御指摘でした。白川構成員からこの職域におけるがん検診のマニュアルをもって承認された上で、今後どのように事業主へ通知を図るかということに関して、課長からお願いします。

○がん・疾病対策課長 御指摘ありがとうございます。まず、端的に申しますと、できるだけ早くと考えております。ワーキンググループで案をまとめていただき、本検討会で御了承を頂ければ、外部の構成員を参画しての議論は事実上これで御了承を頂くわけですので後はここから先は、厚生労働省の内部手続になりますので、できるだけ早くと考えております。

 併せて御指摘いただきました、どう周知を図るのか、これも極めて重要な御指摘と思っております。例えば昨年10月第3期がん対策推進基本計画においても、従前第2期に比べて、経済4団体とか、かなり幅広く配布させていただいたところです。こうしたことを踏まえ、どこにもそうですけれども、どこのどなたにお知らせすればより周知が図れるのか、そこも今後各構成員の先生方皆様方からもアドバイスを頂きながら、どこに、どうやって、誰にというところも含めて、効果的な周知の仕方を図っていきたいと思います。御指摘ありがとうございました。

○大内座長 ほかにありますか。

○福田構成員 内容については非常にしっかりしたものだと思いますので異論はないのですが、ちょっと聞き忘れてしまったのかもしれませんけれども、これをガイドラインではなくマニュアルとしたのはどういった意図かをもう一度御説明いただいてもいいでしょうか。

○大内座長 私から説明いたしましょうか。市町村におけるがん検診、対策型がん検診については、準拠すべき法律、健康増進法、その中にがん検診の項目があります。それは健康局のがん・疾病対策課の所掌ですけれども、そうした形で指針の見直しなどを行っている。それを行ってきたのがこの検討会です。一方で、職域におけるがん検診という項目、この設定そのものが職域が守るべき法律と言っては何ですが、労働安全衛生法、安衛法の中に関係する品目がないということで、根拠法がないことから、指針に馴染まない、ガイドラインとは馴染まないのではないかという意見がありました。そこできつい言葉ではないかもしれませんけれども、私としては恐らく同じことをやっていただくとか思っています。国民にとって最善だと思いますので、手引書的なニュアンスになりますけれども、マニュアルと称したほうがより周知が図れるのではないかと考えた次第です。なぜマニュアルとしたかというのは、根拠法が存在しないということが背景にございました。よろしいでしょうか。

○井上構成員 内容に関することというよりも、このマニュアルはこれから自治体のがん検診のガイドラインと合わせて連動していくものだとは思うのですが、内容が変わった際には今後はもうこういうワーキンググループなどは経ずに、一緒に変更していくものなのでしょうか。その手順というか、それを確認させてください。

○大内座長 大変貴重な御指摘だと思います。連携についての記載がありましたので、この14ページですね、その他の中で2の項目です。恐らくはここに及ぶのだと思いますが、今、井上構成員が御指摘されたとおりに、本検討会で今まで主たる検討事項としては、対策型がん検診でしたので、このたび初めて職域に対するあり方を検討したわけですから、それを今後どこに位置付けるかというのは、やはりこの我々まとめて経過を見ますと、今後も一定動きがあるかと思いますが、あくまでもこれは本検討会も健康局長の諮問機関ですので、厚生労働省の方針によることになろうかと思います。これについては課長からお願いします。

 ○がん・疾病対策課長 今回の職域のワーキンググループにつきましても前回、6月の第22回でお諮りした上での設置となりますので、頭越しにある日突然、職域に関する検討する場ができたということではありません。今回同様に、まずはここでお諮りをして、その上で必要で、ワーキンググループを設置したほうがよいということになると設置をするという段取りの組み方になります。

○大内座長 よろしいですか。

○道永構成員 内容的にはもう非常に問題ないと思っております。ちょうど今、井上先生が言ったところですけれども、2ポツの「(2)保険者や事業者は受診者の同意を得るとした上で、市町村と職域におけるがん検診の受診状況を共有する」と、これは前からここの会議で言ってたことなので、非常に大事ですけれども、そのワーキンググループの中で具体的にどのようにするかというお話が出たかどうかだけちょっとお伺いたいのですが。

○大内座長 私の記憶では、羽鳥構成員から提案のような形でデータの提供があったときと覚えていますが、いかがだったでしょうか。

○道永構成員 標準フォーマットのお話ですか。

○大内座長 そうです。

○道永構成員 それだったら医師会から言いますよね。それは前から言ってたことなので。それを実際には、要は職域での検診の内容と市町村のやっている内容を同じものにしていけば大丈夫ですよということなのですね。

○大内座長 参画されている団体がかなり多数に上っていまして、その中でまず標準化されていくということと、データの共有化でトータル的に、最終的には全国民の情報が分かるような形が望ましいのですが、それはまだ連携されていないことがあって、日本医師会でまず公書きされて、健保連やほかの事業も入っていますので、これはAMEDの研究としても今動いていますので、その推移を見たいと思っているのですが、おっしゃるように、これは極めて大事なことなので、やはりどこかでチェックを続ける必要があると思うのですね。それはどこが相応しいのか、ついてはこっちも考えていたところですが、祖父江先生いかがでしょうか。

○祖父江構成員 その議論をまとめる必要があると思いますけれども、指針としての内容を市町村に発信するものと、職域に発するものを連動させるという意味ですか。それともデータを市町村、職域で共有するという意味ですか。

○大内座長 後者です。

○祖父江構成員 後者ですか。

○がん・疾病対策課長 実際にワーキングに参画された大内座長、祖父江構成員もこういうことは端的に申しますと、御提案を頂いて、このマニュアルの中には記載させていただきましたが、では、具体的にどうするかをワーキンググループで踏み込んだ議論までには達していなかった。しかしながらここのマニュアルに記載させていただいた以上、ちょうど私ども厚生労働省としても、例えばデータヘルスなどの形で、どうやって様々なところにある健康情報に関するものを整理するか検討進めておりますので、そういう意味では私ども事務局である厚生労働省が一旦具体的にどうするかは引き取らせていただいて、このマニュアルの答えになるようなものを、今後示させていただきたいという立て付けになっております。

○大内座長 ここでスタートしたということになりますので、今後厚生労働省でまた検討されて、その仕組みをつくっていくものと考えています。

 ほかに御質問はありますか。よろしいでしょうか。では、職域におけるがん検診に関するマニュアル、本案を構成員の方々からお認めいただけますでしょうか。

○祖父江構成員 最後にちょっと念押しですが、今の議論と連動はしていますけれども、せっかくこういうマニュアルができたのでその実効性を更に進めるという意味で、この「おわりに」に書いてある15ページ目、第3段落目に、「データの収集に向けた体制構築」とあります。ですから共有するということもありますけれども、職域のデータをきちんと収集する仕組みを構築することがまず第一だと思いますので、それを是非、厚労省で進めていただきたいと思います。

○大内座長 ここの表現の部分で、多分祖父江構成員は十分に納得されていないわけでしょうか。

○祖父江構成員 いや、納得していますが、更に具体化してほしいということです。

○大内座長 何かコメントありますか、よろしいですか。

○がん・疾病対策課長 御指摘ありがとうございます。正に先ほど道永構成員からも御指摘いただいたところですし、またこれを収集していくことは本人に最終的には還元されるものですし、パブリック全体に対してもさらなる充実に資するものですので、よく役所が検討ということをネガティブな捉え方をすることが多いわけですが、これは前向きにちゃんと検討していくという趣旨ですので、このまま体制構築に向けて作業を進めていきたいと思います。御指摘ありがとうございました。

○道永構成員 今のところで、先ほど申し上げるのを忘れたのですが、今、祖父江先生がおっしゃったことで分かりました。この「体制構築を検討していく必要がある」の主語が分からなかったので、それを伺おうと思ったのです。厚労省と思っていいのですね。それを入れていただきたくて、誰がやるのかなと思ったので。主語がないのですね。

○がん・疾病対策課長 それを通して全体をもう一度、確かにずっと今までの作業で分かる方が見ての表現だったという感は否めないので、これは改めて所見で見たときにきちんと主語、述語、目的語関係が分かるように、もう一度そこは精査させていただきたいと思います。御指摘ありがとうございました。

○大内座長 国はでいいのでしょうか。

○道永構成員 「国が」です。「国が」という言葉を入れていただければ。

○大内座長 そのように思っていましたけれども。

○道永構成員 それとあともう1つよろしいですか。その言葉を替えてくれるのはいいのですが、13ページの、全国がん罹患モニタリング集計は2013年なのですが、新しいのはないのでしょうか。データとしてちょっと古いのではないかなと思うのですが、もしあったら差し替えていただいたほうが、もう2018年ですから。ないのかな、2015年とかないのですか、これが一番新しいのですか。

○大内座長 データは最新のものになっていると思いますが、こうしたことも含めてこれ、適宜見直しをかけるということは、本文中にうたっていますので。

○祖父江構成員 この2013年の、罹患年を実際に集計しているのは2016年とか2017年にアクションをしているというか、罹患年というのはどうしても集計が遅れるのですね。そういう意味です。だから最新のデータです。

○大内座長 よろしいでしょうか。では、議題(1)についてマニュアルを皆さまに認めていただいたということにいたします。ありがとうございました。

 続きまして、議題(2)乳がん検診を受ける高濃度乳房の対応について、本日、笠原善郎参考人に言っていただくことになっていたのですが、大雪の影響により、交通麻痺となって、御欠席です。したがいまして資料を基に事務局から説明いただきます。

○事務局(田中) 資料2、及び3について、本日御欠席の笠原善郎先生からメモをお預かりしておりますので、事務局から代読する形でお示しさせていただきます。まず、資料2を御覧ください。乳がん住民検診における「高濃度乳房」への対応について、ポイントを6つに絞ってまとめたものです。1、乳がんの対策型検診では、現在のところ死亡率の減少効果が確認されたマンモグラフィが実施されております。マンモグラフィでは、乳腺が白く、脂肪が黒く写りますが、乳がんなどの病変も同様に白く写るため乳腺が多く脂肪が少ない高濃度乳房と判定されている人では、白い乳腺の陰に病変が隠れ、マンモグラフィの感度が低くなる傾向があります。 

 2、現在対策型検診において受診者に対し精密検査が必要かどうかを知らせているところですが、今後乳房の構成について、受診者に伝えるかどうか、また伝えるとすればどのような情報をどのような形で伝えるかが課題の1つとなっており、第21回がん検診のあり方に関する検討会でこの件に関する議論がなされました。

3、対策型がん検診は死亡率の減少効果を目的とし、公共的な医療サービスとして実施されており、検診を受診した後に受診者が精密検査を受けるべきかどうか。また受けるとするのであればどのような検査がよいかなど、きちんと明示されていることが必要です。ところが、対策型がん検診を受診し、高濃度乳房と判定された人に対して、推奨できる科学的根拠のある追加の検査方法などは現時点ではありません。また、高濃度乳房に関する内容を説明できる市町村の体制も十分に整っていないのが現状です。乳房超音波検査に関しては、Jスタート、超音波検査による入がん検診の有効性を検証する比較試験が実施されていますが、死亡率の減少効果については現在検証中であり、現時点で高濃度乳房に対する検診方法として適切な方法とは言えない状況であります。

4、受診者が乳房の構成を知ることによって、日頃から御自身の乳房に注意を払うこと、このことは最近ブレスト・アウエアネスと呼ばれていますが、このことで御自身の異常に気付き、迅速に医療機関を受診することといった検診、受診のモチベーションが高まることと、乳がん及び乳がん検診についての理解が深まるなどのメリット、利益があります。

 一方で、高濃度乳房についての新しい理解がなければ、通知を高濃度乳房であると知らされたことで、病気だと誤解し不安が増したり、また不要な決査を受け肉体的負担が生じたりするなどのデミリットも危惧されます。こうしたことから、乳がん検診関連3団体、日本乳癌検診学会、日本乳癌学会、日本乳がん検診精度管理中央機構は、現時点で全国の市町村で一律に乳房の構成に関する通知を行うことは時期尚早であると提言しております。

6、市町村・検診実施機関等が乳がん検診や乳房の構成などについて、正しく理解した上で、市町村の判断でがん検診の受診者に対し、乳房の構成に関する情報を伝える場合には、正しく情報提供を行うことが必要であると考えられます。資料2については以上です。

 次に、資料3を御覧ください。現在研究班におきまして、乳房の構成に関する情報を受診者に伝える際に、留意すべき事項について議論し取りまとめているところですが、それに先だち、乳房の構成や乳がん検診についての一般の方の理解度を知り、留意すべき事項を抽出するための予備調査を行っています。その結果、多くの方々にとって理解しにくい事項、あるいはさらに丁寧に説明する必要がある事項などが明らかとなりましたので、それらを踏まえて、乳房の構成を通知する際に留意すべき事項を抽出しています。今回、資料3にはその骨子をお示しております。留意すべき内容の1として、高濃度乳房について。その1ポツ目に、用語の解説です。乳房の構成、高濃度乳房、また乳房の濃度などの用語についてきちんと説明する必要がありますので、その高濃度乳房が病的な状態ではないことなどの説明も加え、用語の理解が進むような説明が必要であると考えております。

2つ目のポツは、乳房の構成に影響を与える因子についてです。乳房の構成は同じ個人であっても年齢や体重の増減により、乳房の構成は異なることなどの諸因子によっても変化することなどを説明する必要があると考えております。

3つ目のポツは、我が国における高濃度乳房の割合についてですが、一部の限られた地域において、高濃度乳房の割合が約4割と推測されるなどの現状がありますが、現在我が国においては、その全体としての割合は明らかではないので、そうしたことを伝えることが必要です。

4つ目は、高濃度乳房と判定された場合の対応について。現時点では原則特別な対応は必要ないことが考えられていますが、受診者の疑問点については、専門医などに相談することなどの内容を説明することを想定しております。

 続いて2の乳がん検診についてです。1つ目のポツは、対策型乳がん検診におけるマンモグラフィの位置付けに関して、対策型乳がん検診の目的が死亡率の減少であること。マンモグラフィにはその死亡率減少の科学的根拠があることなどの説明を想定しています。2つ目は、対策型乳がん検診における乳房超音波検査の位置付けに関しては、超音波検査による死亡率減少の科学的根拠はまだなく、これに関しては現在検証中であることに言及する必要があると考えます。3番目は、乳がん検診のメリット、利益、デメリット、不利益に関しては、利益はあくまでも死亡率の減少であり、不利益に関しては疑陰性、疑陽性、過剰診断などがあるということを十分理解してもらう必要があると考えます。4つ目は乳がん検診の限界について、この点は特に重要で、がん検診で全てのがんが見つかるわけではない、つまり疑陰性があることや疑陰性は高濃度乳房に限らず、どの乳房の構成にでもあることを理解していただくことが重要と考えております。

 3乳房の構成の通知に関することについては、先に述べましたような乳房の構成を通知することのメリット、デメリットに関しての内容を想定しております。以上、乳がん住民検診における高濃度乳房への対応のポイント及び乳がん検診における乳房の構成(高濃度乳房を含む)の適切な情報提供に資する研究班の経過報告を行います。以上です。代読を終わります。

○大内座長 ただいま資料2と資料3の、乳がん検診における乳房の構成(高濃度乳房を含む)の適切な情報提供に資する研究班による経過報告がありました。笠原先生がいらっしゃればここで質疑応答も可能なのですが、本日はかないませんので、大変申し訳ないのですけれども、一応研究班の経過について御支持いただければと思います。資料3の、乳房構成を通知する際に、留意すべき内容ということで、大きくは3点になっておりますが、このような用語解説とか、日本でも大変問題となっておりますことから、ここに40歳代のマンモグラフィ異常、高濃度と判定された方というのは、50%を超えますので、そういった方への対応をどうするかということで、皆さんに注目されておりますが、実は高濃度乳房のみならず、マンモグラフィ遺伝子によって、非高濃度乳房においても100%ではないということも伝えるべきであるということは、先ほど述べられたとおりでして、そうした観点から2の乳がん検診について、対策型乳がん検診におけるマンモグラフィの位置付け更に超音波検査の位置付けということで、これは今Jスタートで検証中ですので、その途中経過を出しておりますけれども、まだ死亡率減少効果まで至っていないということがあります。現状では恐らく乳がん検診のマンモグラフィによる乳がん検診のメリットとデメリットを十分に周知していただくということが大事かなと思っております。具体的な周知の仕方について、今この研究班で取りまとめを行っていると伺っておりますが、よろしいでしょうか。特に御意見がありましたらどうぞ。

○斎藤構成員 この研究班で大変丁寧に検討を始めていただいたことは大変結構だと思います。願わくば、高濃度乳房の転移はあるでしょうから、判定の標準化ということがなされてその上でこの高濃度乳房等を指摘された場合に、具体的にどういうフローと言いますか、アルゴリズムが、要するに指摘された本人が迷わず、悩まず判断できるようなそういう説明、そういうリスクそれから方法などに関する説明がきちんと簡潔した形で結論が得られることを望みたいと思います。

 ただ、今コメントしたいと思ったのは、この件に関しては初めに知らせるべしというような社会的な理解があると思うのですが、それは非常に慎重であるべきだと思います。今申し上げたような標準化それからアルゴリズムは決まる。それから受診者に対する情報がコンパクトにメリットは大きくデメリットは少ないような形にまで詰められないと、これは必ずしも初めに教えるべきという話ではないと思います。例えば今ヨーロッパの国々は、この高濃度乳房に関する通知は私が知る限りではどこもしていないわけですけれど、これは組織型検診の考え方では、やはりそのようになるわけです。ただ、可能な場面はあって、可能なセッティングとしては、Face to Faceで診療の延長で、検診でいうと、任意型のセッティングの中ではある一定の完成度を見たら通知をすることはできるのかなと思います。対策型としてポピュレーション相手にして一律その情報提供をすることに関しては、相当この検討結果の完成度を見て判断しなくてはいけないのではないかと考えます。

○大内座長 貴重な御意見、ありがとうございます。日本のみではなくて、欧米で大変話題になっていて、社会問題としております。米国50州のうち27州でこの乳房濃度通知法というのがBreast Density Notificactions Lawといって、これが施行されておりますが、対応、中味は統一された訳ではありません。それから高濃度乳房、デンスブレストという判断された後の検査体制についても整っているわけではありません。実際に米国に行って確認しますと、相当現場では混乱をされている。その受け皿として超音波なのかMRIなのか、超音波としてもいわゆる手動型、これはHBUSと言いますけれども、かつて米国の放射線科医師が主治医となって、このハンドヘルドで始めたところ、検診で1受診者当たりの平均で、19分掛かったそうです。それで効率性が悪いということで、今、自動型のABUSに移行しつつありますが、その精度管理等については、まだ定まっておりません。ということが今米国の実態です。それから斎藤構成員が触れられましたように、ほかのヨーロッパあるいは亜細亜、オーストラリア、いずれもこの高濃度乳房の通知を行っておりません。したがって確かに斎藤構成員が言われるように、丁寧に議論すべきだと思っております。

 一方で、やはりこれは国民の知る権利とも相まって、受診者の方がやはり自分のことは知りたいということですので、前向きに行く必要があります。そこで、斎藤先生の御意見もありますけれども、飛び越えて申し訳ないのですが、次の3の議題の中に、今後のこの検討会における議論の進め方についての中で、第1の項目にこの高濃度乳房の件がありますので、先ほどの先生の御指摘はそこでもう一度議論したいと思います。よろしいでしょうか。

 ほかに御意見ありますか。では、笠原参考人にお伝えしたいと思います。

 続きまして、議題3、関係しない方に関する検討会における今後の議論の進め方について、まず、資料4で、事務局より説明お願いします。

○事務局(田中) 資料4について、事務局より説明させていただきます。がん検診のあり方に関する検討会の今後の点の1つ目ですが、先ほど御議論いただいたとおり、乳がん検診における高濃度乳房に対する対応についてを挙げさせていただきました。1つ目ですが、乳がん検診の受診者が乳がん検診や乳房の構成等について正しく理解できるよう、引き続き研究を続けること。2つ目として、乳房の構成を受診者に通知する際に留意すべき事項を整理し、高濃度乳房への対応のポイントに関する周知を図ることとしております。また、2つ目ですが、市区町村が実施するがん検診の対象者の見直しについて。がん検診の利益・不利益、これはがん対策推進基本計画にも記載されておりますが、利益だけでなく不利益も考慮した上で、がん検診の対象年齢等を見直し、がん検診の対象者を明確化することとしております。3番目ですが、がん検診の受診率及び精度管理の向上について。第3期がん対策推進基本計画の目標値のがん検診受診率50%、精密検査受診率90%の達成に向けた取組を推進することとしております。今回の検討会においては、特に3のがん検診を実施する市町村あるいは都道府県が、今からできることについても構成員の皆様から御議論いただければと思います。事務局からは以上です。

○大内座長 ただいま、今後の本検討会における論点について、提案がありました。いかがですか。

○井上構成員 これも確認ですが、2番の対象年齢の見直しということで、これは当然上限などにメスが入っていく可能性があると考えてよろしいですか。

○事務局(田中) 事務局からお答えします。この対象年齢見直しについては、下限だけではなく、上限についても検討することを含んでおります。

○白川構成員 2項目についてですが、以前にも申し上げたことがあるのですが、市町村によって対象にする受検者に差があると思っており、ある市では国保の方だけを対象にするとか、私は東京の近郊の市に住んでおりますが、生まれてこの方がん検診の通知をもらったことがないのです。ですから、多分、住民税の課税状況を見て、この人は勤めているから外そうとか、そういうことになっているのではないかと、市役所に行って文句を言ったことはないのですが、そういうのは何かおかしいと思いますので、ここは年齢のことが書かれていますが、対象者全体をどうするのだと。簡単に言えば住民が全部対象のはずですが、市町村も予算とかいろいろな関係があるのだと思いますが、我々の間では対策課の住民検診について被害意識を持っている人は健保組合に結構おり、是非、その解消に向けた検討もこの会議でやっていただければとお願い申し上げます。

○大内座長 分かりました。2について意見は出ましたので、これについて本検討会でも対象年齢についての議論は何度かあったわけですね。それがなかなか進まなかったのは、日本独特の背景があるのかと思います。皆さんは、直近のがん検診率を御覧になっていますか。実は下がっているのですね。高齢者がどんどん増加していますので、75歳以上も全員入っています。ですので母数が多くなっていて、実際の検診・受診者数が減っているがために、受診率は多分全国平均でも上向いていないと思いますが、どうだったでしょうか。つい最近、宮城とほかの都道府県を見たのですが、計算式にもよるのですが、前年で対象とした場合には、特に乳がん検診を見ているのですが、その場合に一定して軒並み上向いていないことが見えてきて、こういった対象年齢等についても踏み込まなければいけないのではないか。例えば、世界各国のマンモグラフィの検診率は、OECDが公表しておりますが、これは対象年齢はどの国もほぼ決まっているのです。日本だけが決まっていないので、そもそもの算定方式を見直さないとよくないと思っています。

○祖父江構成員 ただ、2期計画には、受診率を計算する対象年齢としては、4069歳という記述が確かあったように思います。そうなので、受診することは別に妨げるわけではないですが、受診率の計算には69歳までということが明記されていたと思います。さらに進んで、ここで言っているのは、利益・不利益を考慮した上でそうした年齢に関しての上限を検討すると。ただ、その際にも趣旨としては、積極的に受診は勧奨する年齢層とそうでない年齢層という意味合いであって、諸外国、アメリカなどで検討されている検診中止年齢とか、余り直接的な表現ではなく、きちんと情報提供した上で受診を積極的に勧める年齢層とそうでない年齢層という分け方のほうが、日本的には馴染むのではないかと思います。

○斎藤構成員 関連して何点かいいですか。今の祖父江構成員の話ですが、具体的な例を言って、大腸がん検診の受診者数は増えているのですが、それは専ら高齢者層なのです。607080代となる精密検査の受診率がどんどん下がって、ある東京都の区で言うと、80歳代になると10%台ということになっているのですね。そういうことがあっちこっちで起こっていて、そういう精検の対象者になった方を、安全に精検内視鏡をやる環境の確保が非常にしにしくいことがあって、先ほどコメントがありましたが、幾つかの区では積極的な受診勧奨からは外すことの是非について、議論をここ23年している区も23出てきていることを申し添えます。

 もう1点ですが、2からは外れますが、先ほど白川構成員が御自分の御経験からお話されたことで、このタイトルとやや関連することとして、受診勧奨が来なかったというお話ですが、可能性としては、おっしゃったようにお住まいの自治体が非常に手を掛けて職域で受けられる方を対象者名簿から外している可能性もあるのですが、これは我々が把握しているところでは非常に希少というかほとんどないと思います。それよりも確率が高いのは、対象者名簿が網羅的という意味で完備されていない。網羅的な対象者名簿を完備して個別の受診勧奨までやっている所は、全国の自治体の60%台です。これは上がってきていますが、まだなお40%ないわけです。ですから、対象者から漏れていた可能性があると思います。ちなみに、それを再勧奨までやるとなると、5%しかないということですので、2からはずれますが、なお、関連して、対象者名簿をきちっと作ることにも問題があると。それを申し上げておきたいと思います。

○大内座長 対象者名簿具体的な項目が出ましたが、対象者の見直しに関して、参考までに述べさせていただきますが、今、確か厚生労働科学研究費保助金がん政策研究事業として、科学的根拠に基づくがん種別、年代別検診手法の受診者に分かりやすい勧奨方法の開発に関する研究というのが、平成294月から3か年計画で行われております。これは大阪の中山富雄先生が主任研究者で実施されておりますので、近々、本検討会においでいただいて、その経過報告等を頂きながら、年齢等あるいは対象者について早めに議論を始めていくのかと考えております。いかがですか。

○祖父江構成員 軟らかな意味ではありますが、上限を設定するという意味でいろいろな証拠が必要ですね。高齢者の方が受診勧奨に対してどう反応するかとか、そういうことを研究班のほうで調べておられるようなので、そのことをこういう検討会でも共有できたらと思います。

○大内座長 では、次回以降、そのようなスケジュールで調整していただければと思います。資料3ですが、がん検診の受診率及び精度管理向上についてで、第3期基本計画の目標値達成に向けた取組、この件に関しては、恐らく今からすぐに見てもできると思いますが、いかがですか。

○白川構成員 これは座長がおっしゃるとおりすぐにでも議論を始められるのですが、これも1年ほど前から申し上げているとおり、データの電子化とか、標準化とかいう作業がないと、残念ながら手作業でやらなくてはいけないという現実ですので、日本医師会あるいは人間ドック協会等がいろいろな努力をされているようですが、これを厚労省が指導してスケジュール化していくことが非常に重要ではないかと思っておりますので、その辺についても是非議論を先にしていただければ助かると思っております。

○大内座長 白川構成員のおっしゃりたいことは、全体の構図ですね。国としてこれをどう見直していくかということだと思いますが、いかがですか。受診率向上、これは対策型検診のみならず職域、任意型検診も入ってのことでしょうか。

○がん・疾病対策課長 先ほどデータをうんぬんの所でもありましたが、いずれにせよどう把握するのか。このやり取りは、今、がん検診受診率50%で、私どもがこの判断に使っているのは、大体、国民生活基礎調査ですので、ある意味で本人の記憶によっている調査です。

 それより客観性を高めるためには、今、白川構成員が御提案いただいたことも必要になります。もう1つ前の行になるのですが、同じく白川構成員、斎藤構成員がおっしゃったように、そもそもちゃんと分母となるべき方を整理した上で、その方にちゃんと連絡が行って、その上で受診をしているのか。これだと2つ前の話題になりますから、今日の議題1になるのですが、例えばその方が市町村検診の案内が来ているけれども、自分は職域で受けている場合に、市町村に自分は職域で受けているから市町村の案内があった検診は受けていない場合、この場合どう把握するか。大内座長が先ほどそこまで整理してくださった全体のデザインそのものにも関わることですので、これは手順をちゃんと整えて、追って議論していただくものだと思っております。

 一方で、そうは言っても、今回の3の今後の論点、特に今からできることという意味では、例えば市町村、またその市町村を支援する広域自治体である都道府県が、どういう形でバックアップをすれば、今、目の前にいる市民、町民、村民の方に対しての周知法、今、私どもはクーポン配布もあるけれども、コール・リコールを進めております。では、そのコール・リコールはどうすればより、結果が出るコール・リコールの仕方があるのかとか、そういうことも御指摘いただければ、私どもでも努力しますし、また、市町村や都道府県への周知においては、そのことを都道府県や市町村に助言したいと考えております。

○白川構成員 それはそうですが、私が申し上げているのは、今、例えばマイナンバーを使って市町村と被用者保険の間がネットでつながって、情報交換できる形になっているのですが、言いたくはないのですが、使い勝手が悪くてどうしようもないことになってはいますが、一応そういう仕組みがあると。そうすると、どちらでがん検診を受けようとも、マイナンバーで登録すれば、実施率はある程度把握できるのです。さらに細かいことまで、先ほどの精度管理仕様の5までやっていくと非常に大変ですが、50%とか90%の目標値は、何か少しそういう違うやり方をすれば、ある程度、100%が正しいかと言われると疑問ですが、ある程度把握できることもあるので、その辺も少し研究してみる価値はあるのではないかと思います。

○がん・疾病対策課長 先ほどの前段の部分で申し上げたのはそのつもりだったので、そこはよく研究していきたいと思います。

○斎藤構成員 3の件に関して1つコメントを申し上げたいと思います。今度、個別目標に昇格したわけですね。それで90%以上に上げようということですが、精度検受診率を上げよう、上げようと連呼しても、これは上がりません。その理由は今から申し上げます。それは、ちょうど一番最初に受診率を50%と設定して受診率を上げるべしと連呼しても、結局上がらなかったわけです。そのときに結局、受診解消する対象名簿はほとんどできていなかったという事実があるわけですが、そこの基盤整備をしないでということも1つ大きな要因だったわけです。ですから、今、精度管理を上げるために必要な情報は結構ありますから、それをこの委員会のワーキンググループか何かで整理して、具体的な案を示していくべきかと思います。

 理由は、今、健康増進事業報告ですから、地域の検診ですが、このデータを見ると、精密検査を受けないのか、それは把握ができていないのか、あるいは受けていないのかと、この3つが足し算をして、100から受診率は引いたものなのです。受けていないのか、把握していないのかで、向上の対応する策は違うわけです。受診勧奨するか、把握するかをどう確立するかなのです。実は受診以外の3つのデータが、未把握か未受診かが5分類が恐らく60%ぐらいあるのです。未受診であるものを未把握としたり、その逆だったりするわけで、そうすると、ちぐはぐな対応しかできないので、精検受診率に合う向上には結び付かないというわけです。実際、ある県でその定義を徹底することをやると、はっきりした証拠はまだ出ていないのですが、それで初めて改善するということですので、ここはこの会でそういう情報を整理して提議することが必要なのではないかと思います。

○大内座長 ワーキンググループの設置でもいいし、駄目なら、本件では直に議論もできると思いますが、先生の御指摘の精検未受診と精検を受けたかどうかの情報がないということの区別さえされていないことは、実態的にありますので、そういったことを改善するべく検討はできると思います。がん検診全体の受診率と精検受診率は、制度の中では全く違ったものですので、それも御理解いただける形で。

○斎藤構成員 失礼しました。少しごっちゃにしていました。

○大内座長 がん種によっても精検の受診率は違うのですが、それは先ほど職域で参考までに出した指標、これがあります。斎藤先生は非常に懸念されているのは、大腸がん検診で、特に高齢者における精検受診率が極めて低い。場合によっては10%程度ということもありますので、そういったこともない形にしないと、せっかくのがん検診は無駄になってしまうわけですので、そういう観点からも整理を進めたいと思います。いかがですか。白川先生、この点について議論をスタートしてもよろしいですか。

○白川構成員 是非お願いします。

○大内座長 データの取り方とか、まずは市町村事業におけるがん検診ということから始めてもいいわけですよね。

○白川構成員 いいです。

○大内座長 職域についてはつい先ほど承認を得たばかりですので、まだ具体的にその連携もこれから図るわけですから、今、現存する対策型のほうはデータが取れますので、都道府県、市町村のデータを収集して、解析して、最近の傾向等をつかんだ上で、どのように持っていくかですね。受診率の向上にいいと思う対策が必要か、精検の未受診率に対する対応をどうするかも含めて、合わせて2の対象年齢あるいは検診の種類も含めてですが、連動して議論は始められると思いますが、よろしいですか。

                                        (異議なし)

○大内座長 では、そのようにさせていただきます。次回以降になりますので、改めてまた出す前に御報告します。ほかに御意見等はありますか。

○斎藤構成員 これは次の4で言おうかどうか迷ったのですが、一応(3)のタイトルが「今後の議論の進め方」ということで、提案させていただきます。先ほど(1)の議題で、職域の話が出てきたわけですから、まず職域の実態把握がこの検討会の議題に加えるべきではないかということが、1点目です。初めにどうやって把握するかということだと思います。そういう点を言及してよろしいですか。

2つ目は、先ほどの精密検査の受診率に対して、例えば迅速に具体的な提案ができないかということもあるかと思いますが、それは先ほど言いました。

 もう1つ重要な点として、今までここで議論した課題の積み残しがないようにする必要があると思うのです。平成28年のワーキンググループの報告書を見ますと、「20年報告書の改定」という項目がやるべきリストに重要なものとして載っているわけです。20年報告書は何かと言うと、これは当時、がん検診検討会という名前でこの会の始まりみたいなことだったのですが、そこで精度管理が急ぐ案件として、事業評価委員会がその下だったと思いますができました。そこで精度管理の枠組みが議論されて、それが平成203月に健康局長通達されて、今、自治体は全てその枠組みに従って精度管理をやっているわけです。

 しかし、この10年間で精度管理水準はがらっと変わり、それは改定の時期に来ているわけです。その件に関しては昨年の検討会でも何回か言及していますが、この改定は自治体の共通理解であり、いつ改定するのかということが非常に問題になっていて、しょっちゅう問合せがあるわけです。ですから、この改定をきちっとやると、そういう議論をここですべきではないかと。これが1点目です。

 もう1つは、今のこととも若干関連するのですが、指針の改定です。指進はエビデンスが創出される、あるいは学会での議論が進む、それで熟成するみたいなことに合わせて、改定が必要です。例えば、今、この会でも出た例としては、大腸がん検診における大腸CTが精検として学会ではオーソライズされて声明も出されて、この会でも紹介したところです。ですが、指針が改定されないと自治体はそれに準拠できませんので、この問合せ混乱もかなりありますし、具体的にもっとまずいのは、自治体がそれを許可しないという事例も出てきているのです。ですから、そのことは過去に一番有名なのは乳がん検診の視触診単独というのは、実は無しということになったのですが、指針が改定されない、残ってしまったために混乱の元だった。まるで視触診単独が推奨されているか、何か誤解を残してしまったということがありますので、要は指針の改定をきちっと迅速にタイムラグなしでやっていくのは、この事業を進めていく上で非常に重要だと思うのです。

 提案ですが、ですから、そういった積み残しがないように、毎年、この検討課題を検討スケジュールの中に入れていただくことと、指針改定までのプロセスをこの検討会の議論と連動させてもう少し迅速化できないか、それを検討していただけないかと。少し検討会から出る話にもなるのですが、この会は指針を決めることが主務だと思っていますので、そういう提案をしました。以上です。

○大内座長 第1点のがん検診事業の評価に関する改定ですが、これは平成20年の報告書があります。先ほど職域のマニュアル、こういうのを8ページの下に書いてありますように、実はこの委員会はがん検診のあり方検討会と別途に作られ、座長は同じく垣添先生がされたのですが、それを各種がん検診ごとに評価について整理され、5つのがん検診についてのチェックリスト、これは都道府県用とか、市町村用とか、検診実施機関用、いろいろ細部にわたって、それから仕様書の策定も含めてやったわけですが、それが時代とともに変わってきていますので、もう10年たちますので、そろそろ見直してはどうかということが第1点でした。私もそれは同感です。

 がん検診の指針ですが、これも新たな証拠、根拠が出た場合には、遅滞なく検討会に議論すべきではないかというのも、これもごもっともな意見ですが、タイミングにもよりますし、この検討会これが23回目ですね。今、6年目ですかね。ですから、大体年に4回程度なのです。ですので、その中でどこまで精査しながら迅速に対応できるかは、これから事務局と御相談しなくてはいけないのですが、斎藤構成員のおっしゃることはよく分かりますし、それがこの検討会の主眼だと思っています。

 ただ、これは日本独自のやり方でして、こういったがん検診の指針に関するいろいろなプロセス、例えば米国においてはUSプリベンティブ・サービス・タスクフォースがあります。それを取り仕切っているのがAHRQと言って、NIHを管轄していて、そこに付随してEPC、世界中の根拠を全部集めて、抽出して、それで整理されて、一定の作業を終えた後にタスクフォースが判断するわけですが、そのタスクフォースのメンバーが議会から任命されているメンバーです。専門職を配している、できるだけ公平な立場で行うとなっておりますが、そういったことがふさわしいのか。

 一方でこの検討会は、平成1511月か12月から15年間やっておりますので、この歴史的なことも踏まえれば、私から言う言葉ではないのですが、これはあくまでも健康局長の諮問機関ですので、評価のプロセス、今後のあり方については改めて国のほうでも検討していただきたい。適宜、指針を改定していくことを図ってはどうかというのが、今、斎藤構成員の御意見で、私もそれはそうあるべしと思っておりますので、いかがでしょうか。

○がん・疾病対策課長 今、大内座長に御指摘をおまとめいただいたところですが、まず、今日の資料4にお示ししたこと、また、これに関連して今日も様々御指摘いただきました。また、本日、御欠席の椎名構成員や松田構成員も御意見があろうかと思います。いずれにせよ資料4の今後の論点をもう少し深掘りした形で、それではどういう論点がどういう場所にあって、それぞれは相互関係がどうなっていて、では、それを進めるためには先ほど大内座長がおっしゃっていただいた、どの順番でやるのか、短期的にやるべきか、中期的なのか、それとも、例えば第3期の6年掛けてやるのか、といった進捗という言い方がよいのか、進行という言い方がいいのかはありますが、その相場感もある程度共有を図る必要があるかと思います。ですので、今日頂いた御意見、また御欠席の構成員の御意見も含めて、いずれ資料4をリバイズする形で、ここをもう一度何をどう、どれぐらいのペースでということはお図りしたいと思います。御指摘ありがとうございました。

○斎藤構成員 指針の改定というのは、新しい検診法を導入するとかいう非常に大きなかざばる議論を要するものだけではなくて、むしろ非常に細部の改定はしょっちゅうあるのです。いい例を思い出せませんが、例えば胃がんは検診が改定されましたが、当面1年でもいいという当面というのはいつの話だという議論、これは中くらいの議論ですね。それから、もっと細部で、もう少し変えるだけでも、変えないでおくと、自治体はそこから離れられないということがあるのです。ですから、それは毎年新たにたくさんの課題が浮かんでくるわけです。ですから、そういう内容の大小も勘案して、もう少しフットワークをよくできないのかと。ここで提案をして、一定のルールを決めて、それで指針に反映することができないかと、そういう御提案です。

○大内座長 先生の御意向はよく分かりますので、いかに検討会の中で具体的に進めていくかということに尽きると思うのですが、かねての宿題だった職域についてこのようにまとめることができましたので、このような感じでやっていければと思います。あとは、先ほど申しましたように、この検討会の開催頻度とかにもよりますし、私が端的に申しまして、第3期のがん対策の基本計画の中にある、第1にある、3本柱の1つ、がんの予防という観点から切り口を開いてきちっと見ていくと。がん対策加速化プラン、それから、基本計画の最初のがん予防の中に入っていたのが、正しくがん検診の中で国民の3060%が受診している、その職域についても、きちっとガイドライン等を策定するようにということが書き込まれたわけです。今回、それをまずいの一番に実際にやり返したわけですので、斎藤構成員が言われたように、そういった観点で第3期の6年間の中で達成すべき目標を明確にしたほうがよろしいと思うのです。それを事務局とも相談しながら提示していくということで、いかがでしょうか。

○がん・疾病対策課長 ありがとうございます。今、御紹介いただいたとおり、お手元に用意すればよかったのですが、第3期がん対策推進基本計画の中でがんの早期発見及びがん検診の所で3つ掲げております。1つ目が受診率向上対策について、2つ目ががん検診の精度管理等について、3つ目が職域におけるがん検診についてですので、いずれせよ、先ほど申し上げました次回の検討会で資料4をリバイズする形でお示しする際には、第3期がん対策推進基本計画の柱に沿ってある程度整理をしたほうが、また、先ほど申し上げました行程といいますか進行といいますか、進捗と申しますか、その時間軸もある程度イメージできる形でお示し、その上で御議論いただければと思います。

○大内座長 ほかに御意見はありますか。よろしいですか。では、最後ですが、議題4「その他」です。皆様から御意見はありますか。では、御議論はないということで、本日はこれまでとします。では、事務局から連絡事項をお願いします。

○がん対策推進官 次回の検討会の詳細については、追って御連絡をさせていただきます。認定調査等に御協力いただければと思います。本日はありがとうございました。

討会はこれで終了します。
○大内座長 それでは、本日の検討会はこれで終了します。


(了)

健康局がん・疾病対策課

代表 03-5253-1111(内線3826)

携帯ホームページ

携帯版ホームページ では、緊急情報や厚生労働省のご案内などを掲載しています。

ホーム> その他> page659

ページの先頭へ戻る