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2019年2月4日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・再生医療等製品安全対策部会 議事録

○日時

平成31年2月4日(月)16:00~

 

○場所

赤坂インターシティコンファレンス401会議室(4階)

○出席者

出席委員(19名)五十音順

◎荒 井 保 明、 岩 﨑 清 隆、○小 野    稔、 城 守 国 斗、
  小早川 雅 男、 澤 田 留 美、  杉 山    肇、 中 川 孝太郎、
  西 澤 真理子、 蓜 島 由 二、  正 宗    賢、 水 上 愛 弓、
  三 井 博 晶、 宮 﨑 義 継、  宮 地    茂、 山 口 里 香、
  萬    知 子、 脇 田 隆 字、  渡 邉 幸 子
 

欠席委員(2名)五十音順 

  木 下    茂、 真 田 弘 美
 (注)◎部会長 ○部会長代理
 

行政機関出席者

 森    和 彦(大臣官房審議官)
 関 野 秀 人(医薬安全対策課長)
 江 野 英 夫(安全使用推進室長)
 森 口    裕(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
 他

○議事

○医薬安全対策課長 定刻になりましたので、これより会議を始めたいと思います。冒頭、各先生に挨拶ができませんで申し訳ございませんでした。私は医薬安全対策課長関野と申します。しばらくの間進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 それではただいまから、平成30年度第2回の薬事・食品衛生審議会医療機器再生医療等製品安全対策部会を開催いたします。なお、本日は医薬・生活衛生局長は公務のため欠席となっております。御了承ください。

 改めまして先生方におかれましては、本日お忙しい中、週の最初の月曜日にもかかわらずお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日の会議は、御覧のとおり公開で行っております。カメラ撮り等に関しましては、議事に入る前までとさせていただいておりますので、傍聴の方々におかれましては、御理解と御協力のほどよろしくお願いいたします。また、傍聴の方々には、あらかじめ留意事項をお配りしているかと思いますので、その遵守等もお願いしたいと思います。

 それでは本日ですが、薬事・食品衛生審議会の委員の改選が先月1月25日に行われまして、この部会に関しましても、新しく委員の任命が行われたところです。まず、本日各委員の御紹介をさせていただきたいと思います。お手元に紙でお配りしてある資料の中で、医療機器・再生医療等製品安全対策部会委員名簿があるかと思います。そちらに沿いまして、各先生方を事務局から御紹介申し上げます。まず、荒井保明先生です。

○荒井委員 国立がん研究センターの荒井と申します。よろしくお願いいたします。

○医薬安全対策課長 次に岩﨑清隆先生です。

○岩﨑委員 早稲田大学の岩﨑です。よろしくお願いいたします。

○医薬安全対策課長 小野稔先生です。

○小野委員 東京大学心臓外科の小野と申します。よろしくお願いいたします。

○医薬安全対策課長 本日御欠席ですが、木下茂先生が委員になっております。次に城守国斗先生です。

○城守委員 日本医師会の城守です。よろしくお願いいたします。

○医薬安全対策課長 続いて、小早川雅男先生です。

○小早川委員 国立国際医療研究センターの小早川と申します。よろしくお願いします。

○医薬安全対策課長 次に本日御欠席ですが、真田弘美先生が委員になっております。続いて、澤田留美先生です。

○澤田委員 国立衛研再生部の澤田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

○医薬安全対策課長 続いて、杉山肇先生です。

○杉山委員 神奈川リハビリテーション病院の杉山です。専門は整形医学です。よろしくお願いします。

○医薬安全対策課長 続いて、今回新たに委員になっていただきました中川孝太郎先生です。

○中川委員 横浜栄共済病院の中川です。よろしくお願いいたします。

○医薬安全対策課長 続いて、西澤真理子先生です。

○西澤委員 リテラジャパンという会社で、専門はリスクコミュニケーションです。よろしくお願いいたします。

○医薬安全対策課長 続いて、蓜島由二先生です。

○蓜島委員 国立衛研医療機器部の蓜島と申します。引き続きよろしくお願いいたします。

○医薬安全対策課長 続いて、新たに今回委員になっていただきました、正宗賢先生です。

○正宗委員 東京女子医科大学先端生命医科学研究所の正宗と申します。今回初めてですが、よろしくお願いいたします。

○医薬安全対策課長 続いて、水上愛弓先生です。

○水上委員 国立国際医療研究センター小児科の水上です。よろしくお願いいたします。

○医薬安全対策課長 続いて、三井博晶先生です。

○三井委員 日本歯科医師会の三井と申します。よろしくお願いいたします。

○医薬安全対策課長 続いて、宮﨑義継先生です。

○宮﨑委員 国立感染症研究所の宮﨑です。引き続きよろしくお願いいたします。

○医薬安全対策課長 続いて、宮地茂先生です。

○宮地委員 愛知医科大学の所属は脳神経外科になります、宮地と申します。よろしくお願いいたします。

○医薬安全対策課長 次に少し遅れると連絡をいただいております山口里香先生が委員になっておられます。続いて、萬知子先生です。

○萬委員 杏林大学麻酔科の萬と申します。よろしくお願いいたします。

○医薬安全対策課長 本日まだ御到着でありませんが、脇田隆字先生が委員になっておられます。最後ですが、新しく今回委員になっていただきました、渡邉幸子先生です。

○渡邉委員 上尾中央総合病院の渡邉と申します。よろしくお願いいたします。

○医薬安全対策課長 先生方、どうかよろしくお願いいたします。また、この部会の部会長ですが、先ほど申し上げた1月25日の委員改選のタイミングをもちまして、当日開催されました薬事分科会において荒井委員が部会長に選出されておりますので、事務局から報告申し上げます。荒井部会長、一言御挨拶いただければと思います。

○荒井部会長 引き続きという形になりますが、部会長務めさせていただきます荒井です。よろしくお願いいたします。この医療機器再生医療等製品安全対策部会は、承認とは異なり、それが実際の現場で使われている段階について、安全対策の面はどうかと、使用状況は適切かどうかなどについて委員の方々に判断いただくという、正に国民の健康を守る、増進していくという部分についての行政における最終関門と言える、一番大事なところを担う部会であります。

 ただ、本日の議題のディスカッションでも出てくると思いますが、報告されている件数は膨大な数であり、その中から何が問題なのか、何を改善すればいいのかを明らかにする作業は並半端な作業ではありません。それぞれの委員の皆様の御専門の知識と、くわえて様々な他領域との横の連携も含めて、そういったものを総動員してかからなくてはならない作業です。個々の事例に個別に当たっていくことが物理的に無理であることは明らかですが、しかしながら、そこから出てきた抽出されてきた状況から推察することにより、それが適切であるかを最終的に判断していかなくてはならないという非常に重い責任のある部会です。私の進行がきちっとしたものになるかどうか分かりませんが、精一杯皆様の御意見と御援助をいただきながら、意味のある充実した部会として運営していきたいと思います。どうぞよろしく御協力ください。お願いいたします。

○医薬安全対策課長 ありがとうございました。本日の部会ですが、欠席の委員が2名。そして遅れてまいられる委員が2名です。この部会の定員は21名ですが、本日は現時点で17名の先生方に出席いただいておりますので、本日の部会が定足数に達しておりますことを報告申し上げます。

 続いて、部会長代理の指名をお願いしたいと思います。薬事・食品衛生審議会令第7条第5項の規定によりまして、部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名する方がその職務を代理するとされております。部会長から御指名を頂くことになっておりますので、荒井部会長の方で指名頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 これも引き続きでありますが、小野稔先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○小野委員 全力で部会長を支援して、この部会の意義をしっかりと役割を果していきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○医薬安全対策課長 ありがとうございました。小野先生におかれましては、部会長代理席に御移動いただきたいと思います。お手数ですがよろしくお願いいたします。

 次に事務局の方で、組織の再編と人事異動がありましたので、紹介をいたします。1月1日付で医薬品・医療機器総合機構におきまして、医療機器等再生医療等製品の安全対策部門を含む組織の再編が行われております。それに伴いまして、医薬品・医療機器総合機構の出席者が変更となりましたので、順次御紹介をいたします。まず、品質管理を担当する審議役の櫻井です。続いて、医療機器品質管理・安全対策部長の高橋です。安全対策第二部長の井口です。その他のメンバーについても、引き続きよろしくお願いします。

○安全使用推進室長 それでは続いて、本部会への御参加に当たりまして、留意事項を御説明いたしたいと思います。第1に守秘義務の関係です。国家公務員法第100条において、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする」と規定をされております。本審議会の委員、臨時委員、専門委員は、非常勤の国家公務員であります。この規定の適用を受けますので、職務上知りえた秘密について、漏らすことのないようお願いをいたします。

 2点目ですが、薬事に関する企業等との関係です。薬事分科会規定第11条において、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当概企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定をされております。審議の中立性・公平性を確保する観点から規定されておりますので、これらに該当する場合、また、任期中に該当することとなる場合には、速やかに事務局まで御連絡いただきますようお願いいたします。

 委員の皆様におかれましては、このような規定を御承知いただきますようお願いいたします。説明は以上です。御不明な点がありましたら、事務局までお申し付けください。

○医薬安全対策課長 よろしいですか。何かありましたら、後ほどでも構いません。お尋ねください。それではこれから先、議事に入らせていただきますので、カメラ撮りここまでとさせていただきます。以後の議事の進行に関しましては、荒井部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 それでは議事を始めさせて頂きます、まず初めに事務局から資料の確認をお願いいたします。

○事務局 資料の確認をさせて頂きます。まず、本日机上にお配りしております資料として、順に議事次第、資料一覧、座席表、委員名簿、タブレット、タブレット操作説明書、薬事分科会規程を配布しております。

 資料についてはペーパーレス化を実施しており、各委員におかれましてはお手元のタブレット端末より御確認ください。タブレットの操作方法については説明書を配布してありますが、御不明点等ありましたら事務局にお声掛けください。なお、議事の進行中は前方のプロジェクターでも資料を投影しております。

 続いて、お手元のタブレットよりファイルの一覧を御覧ください。資料一覧に資料番号を振っておりますが、各資料は順に、資料1については、資料1-1-1から資料1-3まで、資料2については、資料2-1から資料2-4まで、資料3については、資料3-1-1から資料3-2-2まで、最後に参考資料があります。資料は以上です。

 なお、本日の議題は全て報告事項となっておりますのでよろしくお願いいたします。

○荒井部会長 ありがとうございます。それでは、ここから議題に入らせて頂きますが、タブレットはそれほど難しくはないのかもしれませんが、この類は、迷った時に手を挙げて「教えてください」というのはなかなか勇気の要ることです。しかし、それは些細なことであり、議論に御参加頂き、適切な御意見を頂くことこそが委員の皆様にお願いしたいことであり、何か御不明な点がありましたら遠慮なく手を挙げて、「ちょっと待て」とおっしゃって下さい。お願いいたします。

 それでは議題2報告()、医療機器・再生医療等製品の市販後安全対策について始めさせて頂きます。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、資料1-1から資料1-3に沿ってこちらの報告()を説明させて頂きます。まず資料1-1-1をお開きください。総務省におきましては、平成12年度から携帯電話等の電波から植込み型医療機器への影響の調査を実施しており、平成29年度からは在宅医療機器への影響調査も実施しております。調査結果として、平成29年度植込み型医療機器及び在宅医療機器等への影響への調査等の報告書が取りまとめられました。

 報告書のうち、一部の在宅医療機器については携帯電話の端末の電波の発射強度や医療機器のセンサ感度を最大限にとる等の最も厳しい条件において、端末を当該医療機器に相当数近付けた場合に電波の影響を受け、可逆的に誤作動が起こったという事例が報告されております。

 影響調査の概要を御説明いたします。手元資料1-1-2をお開きください。こちら、タブレットの方を横向きにして頂ければと思います。

 在宅医療機器への影響の調査では左下の図のとおり、在宅での使用が想定される汎用輸液ポンプ等6種類16台の医療機器について、医療機器の全ての箇所に携帯電話端末を接近させ、携帯電話の電波による影響を測定します。この調査の結果として、成人用の人工呼吸器及び二相式気道陽圧ユニットにおいて、携帯電話端末を医療機器から離すことで解消される事象ではありますが、自発呼吸を誤検知して呼吸回数が増え続けてアラームが鳴って、その後も呼吸回数が増加し続けるという誤作動等が発生いたしました。

 こちらの調査の結果を受けまして、検体として使用した成人用人工呼吸器及び二相式気道陽圧ユニットの添付文書等における携帯電話等の電波に関する注意に係る記載の状況を確認しましたところ、具体的な離隔距離(例えば1m離すこと等)が示されている製品もありましたが、離隔距離を求めるための計算式のみが情報提供されているといった製品もありました。

 本調査の結果を踏まえまして、こちらの報告書の中では携帯電話の電波の周波数及び最大出力は医療従事者において把握することが困難な場合もあるため、推奨離隔距離等を医療従事者等へ情報提供することが重要とまとめられております。

 資料1-1-1、1ページに戻って頂き、本報告書の内容を受けまして、本通知では、関係事業者に対して報告書の周知を行うとともに、製造販売業者に対しては取扱説明書等に具体的な離隔距離を明示するなど、医療従事者にも十分な情報提供がなされるよう周知を依頼しております。また、医療機関に対しては、製造販売業者から離隔距離に関する情報提供があることに留意するよう周知しているところでございます。

 続きまして資料1-2の説明となります。資料1-2を御覧ください。美容医療サービス等の自由診療におけるインフォームド・コンセントの取扱い等の徹底について(依頼)の御説明をいたします。美容医療サービス等の自由診療におけるインフォームド・コンセントについては、平成25年9月27日付厚生労働省医政局長通知「美容医療サービス等の自由診療におけるインフォームド・コンセントの取扱い等について」において、特に留意すべき事項について周知してきたところです。また、平成28年1月7日付、厚生労働省医政局総務課長通知「美容医療サービス等に関する苦情相談情報の活用について(依頼)」において、美容医療サービス等に関する苦情相談情報の活用や、医療安全支援センターの周知を依頼しているところです。

 その後も、美容医療サービスに関する身体被害を含む消費者トラブルが発生している中、今般、美容医療関連学会が非吸収性充填剤注入による豊胸術後の合併症に関する調査を行い、その結果に基づき、インフォームド・コンセントの重要性について指摘していること等を踏まえ、本通知を発出したところです。

 2ページを御覧ください。こちらの通知の内容を御説明いたします。一つ目に、平成28年9月15日付厚生労働省医政局総務課・医事課の事務連絡の別添「美容医療などの施術を受ける前に確認したいこと」等のインフォームド・コンセントに関する資材を用いて、患者への説明が適切に行われるよう、改めて関係団体等に対して周知を依頼しております。

 二つ目に、より多くの事故等の事例を収集、分析し、再発防止につなげるためにも、公益財団法人医療機能評価機構の実施する医療事故情報収集等事業に対して、美容医療機関等が参加するよう呼びかけを依頼しております。

 三つ目に、未承認の医療品、医療機器等への対応について、医師が医薬品、医療機器等を個人輸入して使用する場合や、適応外使用する場合には、当該医薬品、医療機器等が国内の承認等を受けておらず、医薬品等の品質、有効性及び安全性が確認されたものではないことを患者に説明するとともに、副作用、不具合等による健康被害の発生の有無を随時確認するなど慎重に実施する必要があることについて、周知をするよう依頼しております。

 また、不具合や副作用による健康被害が確認された場合には、医薬品医療機器法第68条の10第2項の規定に基づき、医薬品医療機器総合機構へ報告する必要があることについても、改めて周知を依頼しております。資料1-2については以上です。

 続きまして資料1-3について説明いたします、資料1-3を御覧ください。角膜矯正用コンタクトレンズの添付文書に関する自主基準の改定について、御説明いたします。角膜矯正用コンタクトレンズ、つまりオルソケラトロジーレンズに関しましては、添付文書の記載要領である「オルソケラトロジーレンズ添付文書自主基準」が一般社団法人日本コンタクトレンズ協会により作成されているところです。今般、日本コンタクトレンズ学会におきまして、オルソケラトロジーレンズのガイドラインが改定され、20歳未満の患者に対して患者本人及び保護者からのインフォームド・コンセントを得ることが明確にされたこと、及び角膜感染症対策としてレンズの洗浄・消毒及びレンズケースの定期的交換等のメンテナンスについて明確にされたことからオルソケラトロジーレンズの添付文書自主基準」が改定されました。

 自主基準の主な改定箇所については通知の2ページ、自主基準資料抜粋を御覧ください。左上、「警告」欄におきまして、未成年者における保護者と患者に対する十分な説明を行い、同意を得る旨が追記されており、2ページ、右側の一番下の「()レンズケア」及び、3ページ左上の「(5)レンズケース」におきまして、レンズの洗浄時及びレンズケースの定期的な交換等の注意書が追記されております。本通知では、同協会加盟以外に関係する製造販売業者においても、当該自主基準の浸透が図られるよう周知を図ったものです。以上で資料1-1-1から資料1-3までの説明となります。

○荒井部会長 結構いきなり影響の大きな領域の話です。携帯電話のような広い範囲で使われるものについて、どのように情報を周知していくかについては、いつも問題になります。今の事務局からの説明につきましては、それぞれ三つの項目がありました。共通でも結構ですし、個別でも結構ですが、御質問あるいは御意見があればどうぞ御発言ください。

○中川委員 横浜栄共済病院の中川です。現場の方で植込み型ペースメーカーの患者管理、年間約900名を行っております。その中に電磁波によると思われるノイズ、波形というものが記録されているものが少なからずございます。その中に携帯電話とは限らず、電波を発生する装置というものは患者様が動かれる中に色々あるわけです。家庭におきましても、例えばIHの電子レンジの調理器具等ございまして、そちらの方に十分注意するよう患者に説明しているところではございます。

 今回、携帯電話ということで、携帯電話に関しては昨今の携帯電話、平成7年に携帯電話の医療機器への影響を研究しておりましたが、最近の携帯電話というものは出力がパルス状になっており、影響を受けにくいということが言われております。今後植込み型医療機器、在宅の機器の取扱いの影響に関することについて、携帯電話が中心になっておりますが、高い電波を発信する機器というものが家庭内にも多く存在することを、把握されているかどうかをお聞きしたいということ、またそういったことを今後も引続き行っていかなければならないということを提案したいと思います。よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 ありがとうございます、いかがでしょうか。

○安全使用推進室長 御意見、ありがとうございます。まず、家庭内において、携帯電話以外にも様々な電波を発生するものがあるということにつきましては、ある意味一般の患者レベルかもしれませんけれども、やはり全てを承知しているということではございません。どの程度まで影響があるかということについても、もともとこの報告書につきましては総務省様が検討されているものでございますので、私どもの方としてもよく連携して、情報を共有させて頂きながら、必要に応じて注意喚起の在り方等も検討させて頂きたいと思っております。

○荒井部会長 よろしいですか。

○中川委員 はい、ありがとうございます。患者様の方からも非常に多くの質問を受けました。この辺の実態調査というのは、まだ余り行われていないというのが現状でございます。我々医療者としても完全に答え切れないということが現状ですので、今後、またメーカーとも協力して我々の方の研究も進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○荒井部会長 ありがとうございます。これはかなり貴重な御意見です。厚労省だけで対応というわけにいかないと思いますが、必要な連携を取りながら、是非調査や対応について検討してください。ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。たまたま、今、携帯電話から始まりましたので、携帯電話関係のこと、よろしいですか。何か、お気付きになったら後ほどでも結構です。

 次が美容関係です。こちらはいかがでしょうか。これは学会から出てきたということで、結構主導しているところがありますので、その辺は強いというか、サイエンティフィックにはバックグラウンドがしっかりしている話ではあるのですが、情報提供の仕方等々につきましてよろしいでしょうか。

○澤田委員 衛研の澤田です。こちらで「医薬品・医療機器等」と書いてあるのですが、対象に再生医療等製品の細胞製品といったものも含まれているかについて教えて頂きたいのですが、いかがでしょうか。

○安全使用推進室長 事務局です。医薬品・医療機器等の「等」に再生医療等製品が含まれるということで間違いございません。

○澤田委員 恐らく再生医療等製品、細胞治療になってきた場合には特定認定等で、今は自由診療もそこでの認定が必要かと思います。その分と更に上乗せというか、そういった形でのインフォームド・コンセントの取扱いという形の通知となりますでしょうか。

○安全使用推進室長 すみません、確認なのですが、今回の美容医療の製品に関しましては、国内で未承認の医療機器等に該当するようなものが相当ございます。それらが医師の個人輸入等で輸入をされ、使用されるといったケースがあるかと思います。

 本来、薬機法の中でメーカーが様々な副作用あるいは不具合の報告をしなければならないという義務を有しているわけでございます。その意味で、国内で製造販売する者がいない場合に、今回の未承認のものであったとしても不具合が発生している場合、不具合が発生していることを検知して頂けるのは医療関係者のみという形になりますので、医療関係者の方に御報告をいただく、そういった制度になっております。

 再生医療等製品も様々あろうかと思います。我々も把握しきれていないようなもので、医師が自らの患者さんの治療の際に、様々な試みをされるというようなこともあろうかと思っております。そういう意味で、そういったものに不具合あるいは副作用があるということについて、それらについても報告を受けるというような制度ではございますので、今後も周知等に努めていきたいと思っております。

○澤田委員 ありがとうございます。

○荒井部会長 よろしいですか。再生医療製品、ピンキリという表現は適切ではないかもしれませんが、やはり未承認の方で起こっているトラブルに関して、せめてこういったことはきちんとインフォームド・コンセントも含めて対応するべきという話です。どちらかというとキリの方を上げた形かと思います。そのほか、よろしいでしょうか。

○宮地委員 今の話と関係するのですが、我々の業界ですと、未承認を使う場合には必ず施設の倫理委員会を通して第三者的な妥当性があるというお墨付きをもらってから患者さんに説明するのですが、恐らく開業医やそういうところは、もちろんないのかもしれません。何かそういったシステムがないと、勝手に個人で使えるものだったらやってしまってもいいということは問題ではないのかと思います。そこはどうでしょうか。

○安全使用推進室長 薬機法という法律の建付けの問題になるわけですが、私ども薬機法の中では国内で製造販売をする、あるいは輸入をして提供するといった業に対する規制ということが法律の趣旨になっております。したがいまして、医師が自らの患者のために、様々な状況があろうかと思いますが、医療行為そのものを規制するといったような建付けとはなってございません。

 一方で、だから何をしてもいいのですということではもちろんございません。医師のモラルも含めた検討につきましては、ほかの審議会なりで検討を頂いているところかと思っております。

○荒井部会長 宮地委員、よろしいでしょうか。

○宮地委員 はい。

○荒井部会長 ここは結構微妙なところですね。今、医師の裁量や医師の個人輸入になっている部分を全て管理下に置くのは実際には非常に難しいところがあります。ただ、御指摘いただいたように、そういう規制の難しいところで安易に流れてしまうと非常に具合が悪いであろうことは容易に想像されます。これも先ほどの件同様、ピンキリという言葉が適切でないかもしれませんが、最低限のところを押さえておこうという話だと思います。

 今、ちょうど美容のところですが、その次のコンタクトレンズのところはいかがでしょうか、何か御意見はございますか。使い方に関して、あるいはインフォームド・コンセントを含めての追加という形になっております。資料1の議題の三つにつきましては、ランダムで結構ですので御意見があれば伺いたいと思います。よろしいでしょうか。

○三井委員 すみません、先ほどの美容医療のところですが、まず当初のところというのは豊胸手術からのそういうようなものというところで学会から報告があった。あるいは報告をするところ、評価機構さんへ報告するというところ、色々な薬剤、歯科の美容医療に関して薬剤の使用であるとか、歯科医師の裁量の範囲内であるとか、色々な難しい問題を含んでいると思います。ここのところでは非常に歯科が欠落しているように思える部分、例えば評価機構の方ですが、その部分の報告書があっても歯科の方の報告書はいわゆる特定機能病院の歯科の報告しか全然上がっていない。一般の歯科に関しては全く関与していないというところがあるかと思われます。その辺のところをお伺いしたいと思います。

○安全使用推進室長 事務局です。歯科に関して、特定機能病院の分しか報告されていないではないかということなのですが、大変恐縮なのですが、実はこの通知が医政局の総務課と私ども医薬・生活衛生局の医薬安全対策課、あるいは監視指導麻薬対策課の連名通知となってございます。

 実はインフォームド・コンセント、あるいは医療事故情報収集等事業の観点につきましては医政局の担当分となっておりますので、ただ今の御意見につきましても、関係部局の方に伝えて必要な検討をして頂くようにしたいと思っております。また、先ほどの御意見につきましても同じ厚生労働省内ですが、情報提供させて頂ければと思っております。

○蓜島委員 最初の携帯電話の案件についてお伺いしたいことがあります。こういった安全性に関する通知全般に言えることだと思うのですが、この案件に関しては都道府県宛てに医療機関経由で患者さんに情報を伝達するようなことを想定されていると思います。本来、一番情報を伝えなくてはいけないのは患者の御家族や施設の担当者です。そういった方々に確実に情報が届くような処置は、何か行政として考えていらっしゃるのですか。こういった通知を都道府県にポンと投げて、あとは都道府県によろしくお願いしますというスタンスだとなかなか情報が届かないと思います。典型なのはコンタクトレンズの適正使用に関する通知等が挙げられると思うのですが、その辺、何かお考えになっていますでしょうか。

○安全使用推進室長 事務局でございます、御意見ありがとうございます。私どもも先生御指摘のとおり、関係する皆さんにお伝えをする形が望ましいとは思っております。都道府県を通じた情報提供のほかにも、各種関係団体様を通じて医療関係者あるいは患者さんにというとなかなか難しいところがございますが、何層かの情報連絡経路を使い、なるべく広範に、必要な注意喚起を提供できるよう検討しているところでございます。

 また、御意見を踏まえ、今後どういった方法が更に取り得るかについても検討させて頂ければと思っております。ありがとうございます。

○荒井部会長 よろしいでしょうか。今の蓜島委員の御意見は大変重要な点です。こういった点こそ、この部会で検討し、方向を示さなくてはいけない部分だと思います。

 私の理解ですが、一時期携帯電話について「怖い、変な電波が出ている」といった認識があったように思いますが、最近は、性能が上がって良くなったのか、慣れてしまったのか分かりませんが、以前のような「緊迫感」、「危険を及ぼすかもしれない機器」という認識が、国民全体といったら言い過ぎかもしれませんが、全体に薄れてきているように思われます。今の御指摘頂いた点について御検討頂ければと思います。よろしくお願いいたします。

○安全使用推進室長 すみません、報告漏れがございます。医薬品・医療機器総合機構におきまして、医薬関係者で登録を頂いている方にメディナビという情報提供ツールがございます。そちらを通じての情報提供、あるいはホームページ等で情報提供もさせて頂いております。何層かに渡ってこういった注意喚起をこれからも徹底してまいりたいと思っております。

○荒井部会長 是非よろしくお願いいたします。そのほか全般を通じて、報告()につきまして御意見いかがでしょうか、よろしいですか。それでは、これは一応報告事項ですので、特に御意見がなければ先に進ませて頂きたいと思います。報告()につきまして事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、報告()の医療機器・再生医療等製品の不具合等報告について、資料2-1から資料2-4に沿って御説明いたします。

 資料2-1、1ページを御覧ください。1.として、本部会への報告に関する医薬品医療機器法第68条の12の規定を記載しております。本日は、平成30年度の上半期である平成30年4月1日から平成30年9月30日までの報告状況について御報告いたします。

 次に2ページを御覧ください。不具合等報告の全体概要となります。医療機器及び再生医療等製品の不具合報告制度は、製造販売業者等からの報告である企業報告制度と、医療機関等からの報告制度の二つから成り立ち、1.では、医薬品医療機器法第68条の10第1項に基づく製造販売業者等からの不具合報告について、2.では、医薬品医療機器法第68条の10第2項に基づく医薬関係者からの不具合等報告になり、それぞれについて御報告いたします。

 まず、2ページの1.製造販売業者等からの不具合報告ですが、医療機器の製造販売業者又は外国製造医療機器特例承認取得者は、その製造販売又は承認を受けた医療機器について、能動的に情報を収集する義務があります。国内にて、医療機器又は再生医療等製品の不具合が原因又はその不具合が原因と疑われる死亡や重篤な健康被害が発生した場合又は不具合によりそれらの発生するおそれのある場合には、製造販売業者等がそれを知った時点で、その旨を厚生労働大臣に報告する義務があります。報告の対象、情報を入手してからの報告の期限については、医薬品医療機器法施行規則第228条の20により定められております。

 また、海外にて死亡又は重篤な健康被害が発生した場合、それらのおそれがあると判断された不具合情報は、それぞれの国における規制に従うこととなりますが、日本で承認を受けた医療機器と形状、構造、原材料、使用方法、効能、効果、性能等が同一性を有すると認められる外国で使用されている医療機器については、それらの不具合情報を日本の製造販売業者が入手した際、日本においても外国不具合報告として不具合報告の対象となります。この場合の報告者は、日本の製造販売業者となります。

 今回の資料では、平成30年度の前期である平成30年4月1日から平成30年9月30日までの医療機器の不具合報告について、各項目の報告件数を示しております。1.())の不具合報告の件数については、国内と外国の合計が26,071件でして、前回の夏の部会で報告いたしました平成29年度後期である平成2910月1日から平成30年3月31日の件数である25,693件と比較して、約400件の増加となっております。

 今回の26,071件の内訳ですが、九つの製品の分類で言いますと、多いものは分類3、処置用・施設用機器等の8,932件と、分類4、生体機能補助・代行機器の14,430件で、この二つで全体の約90%を締めております。

 国内報告と外国報告の件数ですが、国内報告が8,453件、外国報告が17,618件です。また、コンビネーション医薬品の医療機器部分における不具合報告は、国内報告が980件、外国報告が1,413件の計2,393件ありました。また、再生医療等製品の不具合報告は、国内のみで73件の報告がありました。

 3ページを御覧ください。()の海外の規制当局や外国製造元等が行った措置を報告する外国措置報告については、医療機器が1,388件、再生医療等製品が0件でした。()の研究報告は、医療機器が1,053件、再生医療等製品が0件でした。()の感染症定期報告は、医療機器が33件、再生医療等製品が17件でした。感染症定期報告につきましては、次の議題で詳細を御説明させていただきます。また、2.医薬関係者からの報告は、医療機器で261件、再生医療等製品では0件でした。3.の副作用救済給付または感染救済給付については、医療機器、再生医療等製品ともに0件でした。

 次に、全体の報告件数の推移等について御説明させていただきます。4ページから5ページを御覧ください。こちらでは、過去3年分の不具合報告件数の推移をグラフ及び表で示しており、国内報告と外国報告を合わせた件数となります。医療機器不具合報告の全体の報告件数の傾向としては、この数年間は半年間で22,000件ほどから26,000件ほどの間での報告があり、緩やかな増加傾向を示しております。なお、総報告件数のうち、国内での不具合報告の件数については、おおむね8,000件ほどでして、大きな変化はない状況です。

 続いて、5ページのコンビネーション医薬品については、平成28年度以降、大幅に報告件数が増加しておりますが、平成281125日から報告が義務化されたことが要因です。なお、義務化された後の平成29年度以降は2,000件ほどの報告件数であり、緩やかな増加傾向にあります。再生医療等製品については、平成28年度前期以降に件数が増加しておりますが、これは新たに承認された製品が平成28年度前期頃に上市され、その製品の不具合報告件数が上乗せされたことが要因と考えられ、その後は再生医療等製品を使用する症例が増加しているために、報告件数も増加しているものと考えております。今後、大きな増減が生じた場合には、その原因については適宜調査する予定です。

 続いて、6ページを御覧ください。2.2-1には、各分類における国内の不具合報告件数と、その中でも特に不具合報告件数の多かった品目の一般的名称、その際の主な不具合又は健康被害の状況をピックアップして記載しております。表の左側は、一般的名称ごとに不具合等報告の件数のうち、多いものから順に、第1位から第3位までの一般的名称を掲載しており、主な不具合報告又は健康被害状況の欄には、それぞれの一般的名称の製品群で報告された不具合又は健康被害のうち、多いものから順に第1位から第3位を記載しております。なお、同数で同順位となる一般的名称や不具合名についても、全て掲載しています。

 分類()画像診断用機器の報告件数は、国内では合計11件報告されております。分類()として、内視鏡、血液分析装置、生体情報モニタなどの生体監視・臨床検査機器等については、国内では合計195件報告されております。分類()として、インスリン注入器やカテーテルといった処置用・施設用機器等で、国内では合計3,152件報告されております。分類()については、輸液セット等の病棟で使用される頻度の高い製品やアブレーションカテーテルのようなリスクの高い製品が分類されているため、報告件数が多くなっております。

 続いて、7ページを御覧ください。分類()として、心臓ペースメーカーや冠動脈ステント、人工関節などの生体機能補助・代行機器を記載しております。こちらは、国内で合計4,139件となっております。分類()については、植え込み型両心室ペーシングパルスジェネレーターや植え込み型心臓ペースメーカー、大動脈ステントグラフトのような、リスクが高い医療機器が多く分類されているということで、報告件数が多くなっております。分類()として、手術用の電気メスやドリルなどの治療・鋼製機器等として、国内で合計814件報告されております。分類()の歯科用機器・材料として、国内報告は合計16件となっております。

 8ページを御覧ください。分類()の後房レンズやソフトコンタクトレンズなどの眼科用機器については、合計120件報告されております。分類()の衛生材料・避妊用具・家庭用機器等については、天然ゴム性手袋、手術用手袋、家庭用創傷パッド、家庭用マッサージ機器及び生理用タンポンに関する国内報告が、合計6件となっています。なお、これらの国内での不具合報告及び外国での不具合報告については、資料2--1にまとめておりますので、後ほど御説明させていただきます。

 9ページを御覧ください。次に、コンビネーション医薬品の医療機器部分の不具合報告は980件となっております。これらの不具合報告の詳細については、資料2--2コンビネーション薬品不具合報告に別途まとめております。また、再生医療等製品は、全て国内報告で73件報告されております。これらの報告は、資料2.2-3「再生医療等製品不具合報告」にてまとめております。

 続きまして、10ページから11ページを御覧ください。こちらでは、平成30年度4月1日から9月30日までに報告された不具合報告のうち、平成2710月1日から平成30年9月30日までの3年間に承認された新医療機器の主な不具合報告の状況を御説明します。国内不具合報告があったものは、平成27年度に承認されたものが6品目、平成28年度に承認されたものが4品目、平成29年度に承認されたものが5品目、平成30年度に承認されたものが2品目となっております。大半が、添付文書に記載されている既知の事象でございますが、未知の事象が新たに報告された場合は速やかに添付文書を改定するとともに、医療現場への情報提供を行ってまいります。引き続き、不具合、健康被害の状況を注意深く収集しております。

 続いて、12ページを御覧ください。こちらでは、国内での過去5年間の不具合報告の公表状況についてまとめたものです。タブレットを横向きにお願いいたします。こちらは、年度単位での集計になっておりまして、報告された不具合報告は、公表するとともに最終的に転帰が死亡として報告された症例については、製造販売業者による調査が全て完了した後に、事象と医療機器との因果関係について評価を行い、評価が終了したものからその結果についても随時公表しているところです。

 続いて、1316ページには、死亡症例のうち、死亡との因果関係が否定できないA評価と呼びます医療機器の一般的名称別の報告件数を示しております。こうした個々の症例報告自体につきましては個別に評価がなされ、安全対策上の必要な対応が取られていることの確認を行っております。こちらの表の報告件数については、一般的名称で分類していること及びそれぞれの分類における製品数や使用者数も異なることから、この資料により、個々の製品の不具合発生率の傾向等について議論ができるものではありませんが、御参考として御覧いただければと思います。

 全体としては、対象患者の高齢化や病変の複雑化といったことに伴い、外科手術に耐えられないリスクの高い症例での治療が増えているという事情も影響し、中心循環系塞栓除去用カテーテル、冠動脈ステント、大動脈用ステントグラフトなどのリスクの高い症例での治療に使用されるものが、件数が多い傾向にあります。

 続いて17ページは、再生医療等製品に関する国内での過去4年間の不具合報告の公表状況についてまとめたものです。評価状況については、医療機器と同様になります。なお、再生医療等製品については、現在までに評価された症例の中には、死亡との因果関係が否定できないA評価の症例がないため、医療機器の方で添付した一覧表は、今回添付しておりません。資料2-1の説明は以上でございます。

 続きまして、資料2--1を用いて、医療機器不具合等報告の詳細を御説明いたします。まず、資料2--1の1ページに、注意事項として、この不具合報告リストの見方が記載されております。この報告については、医療機器との因果関係が不明なものも含め、製造販売業者等から報告されたものを全て記載しております。報告に関する分類は九つに分かれており、次に目次を記載しております。その次から、表の下にページ番号を記載しております。

 一覧の掲載順については、医療機器の一般的名称、企業名、販売名の順に、50音順としております。不具合発生場所は、国内と外国に分け、外国報告については、国内報告の後ろに続く形で参考としてまとめております。総件数と記載しておりますのは、提出された報告書の件数を示したものです。もし、同一の症例で複数の医療機器が関与している場合には、複数の企業からそれぞれ報告されることがありますので、このような場合には同一の症例を重複してカウントすることになります。したがって、報告件数がそのまま症例数にならない場合があります。また、報告症例の中には、不具合状況がなし又は不明であり、かつ健康被害状況が不明のケースがあります。これは、健康被害状況が不明で、機器との因果関係を判断できるほどの情報が得られなかったため、不具合報告として提出されたものです。

 表の右端の対応状況欄には、対応措置の項目として、原則として、平成30年9月30日時点での措置の内容を簡潔に記載しております。回収(改修)として記載しておりますのは、製品の医療現場等から引き上げる回収をした場合又は修理や検査の実施等を行った改修の措置を取ったことを示しております。情報提供と記載したものは、添付文書の改定あるいは書面による注意喚起文書を医療機関等に配布したなどの措置を取ったものです。この中には、既に添付文書等で関連する注意喚起の記述がなされているものも含んでおります。

 資料2--1の医療機器の不具合報告のまとめと同様に、資料2--2ではコンビネーション医薬品の医療機器部分に関する不具合等報告、資料2--3では、再生医療等製品に関する報告をそれぞれ一覧表でまとめております。

 資料2-3について御説明いたします。資料2-3を御覧ください。医療機器に関する外国措置報告については、企業が外国でも同一性を有する製品、つまり、日本で承認を受けた医療機器と形状、構造、原材料、使用方法、効能、効果、性能等が同一性を有すると認められている外国で使用されている医療機器を製造販売している場合に、外国の規制当局などで取られた措置について、日本の行政等局にも報告するというものです。平成30年度上半期では、1,388件の報告がきております。資料の一番右の2列には、国内外での対応状況について記載しております。外国で措置を行った結果について、日本の対象製品がない場合を除き、日本においても、おおむね同様の対応を取っている状況です。

 続いて、資料2-4について御説明いたします。資料2-4を御覧ください。医療機器研究報告は、不具合の発生頻度、発生条件などの疫学調査や集計・分析等に関する内容の文献報告等があった場合に報告されるもので、今回は文献数にして1,053本ございました。なお、今回の報告により、安全対策上の特段の措置が必要になったものはありません。議題2の資料についての御説明は以上です。

○荒井部会長 まず初めの方の全体の推移ですが、基本的にはこれまでの経過と余り大きな変化はなく、比率や数の増加などについても微増はありますけれども余り大きな変化はないと言ってよろしいかと思います。まず、この辺の不具合報告の状況、変遷等について御質問、御意見はいかがでしょうか。以前もこの部会でお話したかと思います。この辺の不具合の報告のされ方というのは、国によってもかなりばらつきが大きいのですが、日本の場合はこの辺の集計について、これがベストかどうかは分かりませんが、欧米に比べてもかなりきちんと報告されているという認識を持っております。恐らく、それは事実だと思います。この変化の中から何か問題をつかみ出そうというのは、なかなか難しいのですが、何か御意見がありましたら遠慮なくどうぞ。あるいは、解釈の仕方が分からない点はございますか。

○岩﨑委員 企業からの報告の推移はよく分かり、薬機法の第68条の102項というところで、医師からの報告、推計なのですけれども、企業からの報告と医師からの報告の違いの分析というのはあるのでしょうか。数が少ないので何とも言い難いとは思いますが、企業からの報告で多いものは医師からも多いのか、若しくはある特徴的な機器に限って、医師は現場でその機器を見ているわけですので、何かそういう違いがもしあれば教えていただければと思います。件数が全体で記載されており、個々の形で振られていなかったので、この資料からは読み取れなかったのですが。

○事務局 すみません、もう一度趣旨を確認させていただきます。医療機関報告の中で触れられている内容と企業から。

○岩﨑委員 医療機関報告の中の機器です。ここは今、分類1~9までありますが、その中で特徴的なのか。それとも満遍なく、例えば割り算をすると、企業報告を分母に置いて医師報告を分子にすれば、ざっくりしすぎているとは思いますが、何か特徴的なことがあるのかないのかということです。

○医薬品医療機器総合機構 機構です。医療機関報告は、今ここに261件ありますが、これと先ほどの製造販売業者から報告があった分との因果関係は、どのような傾向があるのかというのはまだ解析していませんので、申し訳ございません。

○荒井部会長 今の御質問は、どちらも義務付けられているけれども、企業からの報告と医師からの報告に齟齬がなく、同じものが同じように両方から報告が上がっているのか、あるいはそうではないのか、その点についてだと思います。

○医療機器品質管理・安全対策部長 医療機関から報告があったものというのは、製造販売業者からの報告が大体なされているところです。

○荒井部会長 それだと少し安心できますね。よろしいですか。そのほかに御質問はいかがでしょうか。

○澤田委員 専門分野的に、また再生医療等製品のことでお伺いいたします。資料2--3でリストを見させていただいた際に、テムセルが非常に多く不具合というよりは健康被害という所で報告が上げられています。まず、健康被害という所で割と全身状態の悪化であるとか、多臓器不全であるとか、それなりに大きい被害ではないかと思われる部分がある中で、それに対しては特に今の段階で対策を採る必要はないと判断されている基準がもしありましたらというのと、投与している数からすると頻度が高いような印象があるのですが、実際の頻度などそういった所の情報等がありましたら教えていただけたらと思います。いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 総合機構よりお答えいたします。まず、安全対策を採る必要があるかないかという所については、まずは上げられている健康被害状況を確認した上で、添付文書上どういう情報提供をされているかというところからスタートさせていただいております。情報提供されているということであれば特段、まずは傾向を見させていただくというところが一つです。

 もう一つ、かなりまれな事象ということで、これまで3年間販売している中で、余りこういったこと事態が起きていない場合もありまして、因果関係というものを含めて、明確に因果関係があるので情報提供するべきだという判断がなかなか付かない場合に関しては、どのタイミングでというところは難しい部分がありますけれども、傾向を確認させていただくことで確認をしている状態です。

 発生頻度という意味ですけれども、テムセルの適応自体がGVHDというもともと重篤な症状を有されている患者様に対して投与されるということと、テムセル自体が全身的に色々な所に散らばって、サイドカイン等を放出することで効果を発揮すると言われていることから、なかなか因果関係として明確に否定できないということで広く情報収集して機構に報告されていることがありますので、印象としては大分多くなるというところが一つあります。治験時に、発生頻度等をある程度解析して審査報告書には書いていますけれども、具体的な数字は明確に覚えていないので申し訳ないのですが、かなり高い割合で、もともと重篤性の高い患者ということもありまして、有害事象等が確認されているというところはあります。以上です。

○荒井部会長 よろしいですか。今の御説明にもありましたように、再生医療製品に関しては、かなりきちんとした個別に情報を収集して判断していただいており、結構判断の難しいところだと思います。いきなり珍しくて重篤で因果関係も「可能性あり」だから、一気に全部に対応してしまおうというのも乱暴かと思われます。かなりきちっと対応していただいているという回答かと思います。そのほかはいかがでしょうか。

○中川委員 資料2-1の医療機器・再生医療等製品不具合の報告についてということで、総数が出ております。一番多いのが分類()で生体機能補助・代行機器ということで、14,000件を超える総報告数になっています。こういった機械を見て、実際にこの種類を見ると我々が結構使っている装置、機器が多く挙げられて、驚いたところはあるのですけれども、こういった多く報告されているものについては、本体に単純に製品の不具合があるわけではなくて、不具合と使用者が誤った使い方をするというケースがあると思うのです。そうすると、こういったものが常に多いということは、やはりこれらの分類()()に対する医療機器が非常に危険なものだという認識の表れではないかと考えております。

 そこで、やはりこういった装置を扱う医療者若しくは製造業者は、これだけの件数が出ているということはそれだけの不具合、若しくは誤った使用等が多くあり得る可能性が高いものとして認識して、周知若しくは対応策を取らなければいけないのかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○安全使用推進室長 御意見ありがとうございます。ただいま、委員より御指摘を頂いたとおりでして、私どもは様々な医療機器の特に危険なものに関しては、それが術者、手技によるものなのか、あるいはその機器自身の様々な使い方も含めてかと思いますけれども、その原因によるものなのか。そういった報告を頂く中で一つ一つ評価をさせていただき、例えば添付文書に既に注意喚起されているものであれば、もしかしたら使用方法としてもうひとつ情報提供しなければ、また同じことが繰り返されるのではないかといったような様々な観点から検討させていただいた上で、必要な情報提供を先ほど周知の方法であるなど、様々なルートを通じて情報提供をすると。あるいは、本当に必要であれば、医療機器の瑕疵、不具合による回収(改修)など、そういったことを一つ一つ丁寧にさせていただいているところです。

 一方で、報告件数が非常に多くなってまいりますと、様々なノイズが発生してくるような状況、これは諸外国も含めて色々と難渋しているところでもありますので、そういった危険なものをしっかりとキャッチして、必要な対策を採ることについても、引き続き継続的に検討してまいりたいと考えています。

○荒井部会長 よろしいですか。これは補足ですが、機器に関しては中川委員が御指摘のとおり、機器自体に問題がある場合と使い方に問題がある場合に分けられます。そこについては、私の知るところでも可能な限り情報収集して、使い方が適切かどうかについても判断していますので、そこの判断によって集計の結果が異なってくるという背景があります。不具合としては全部上がってくる訳ですが、機器自体なのかそうではないのかというところは、今御説明があったような対応をしていただいていると認識しております。よろしいでしょうか。そのほかはいかがですか。

○岩﨑委員 私も今、厚生労働省のサポートもあって、クラス()の医療機器で植え込み型のステントグラフトなどの不具合報告を分析させていただいています。例えば、エンドリークという大動脈に瘤があり、それを塞ぐ布付きの人工血管を置くのですが、多く枝がある所に置こうとすると枝を塞いでしまうので、治療も非常に難しいのです。しかし、ほかにオルターナティブな手段がない場合には、もちろん患者さんの同意を得て治療をするわけで、それを不具合と呼ぶのかなど、そういうものがここに入ってしまっているものもあります。

 実際に開示請求させていただいて分析すると、医師にとって非常にプラスになることもあるのですが、一方で今回の資料の情報だけですと、医師はさすがに分析も何もできない状況にあります。これは非常に難しい課題だとは思いますが、個人なり病院を特定する必要はないですので、情報をいかに開示するかというのは、今後どこかで検討できるとよいのではないかと、今回、分析させていただいて非常に思った次第です。

○荒井部会長 これは、どういたしましょう。どなたにお答えいただきましょう。私も実は感じるところで、こういったところの情報収集については、非協力的な医療機関もあり、随分と御苦労していただいている訳ですが。

○小野部会長代理 私の分野でもありますので、少し付け加えさせていただくと、植え込み型のデバイスの場合には、まず適応があります。一定の適応を守ってやる場合と、患者さんのこの状況をどうにかしたいということで、IFU外と呼ばれる適応外の使い方をして不具合が生ずる場合が結構あります。ステントグラフトは、正にそれが多いデバイスの一つだと思っています。

 あとは、いわゆるテクニカル・フェイリュアなのか、適応外使用なのか、それとも、適正に使用したのだけれども起こってしまう。これはもしかしたら一番知りたい不具合なのかもしれないし、あるいは本当にデバイスそのものがきちんとファンクションしなかったための不具合なのか、この四つを分けるのが非常に難しいです。特にIFU外で使用している状況で、それを正直に報告したら保険診療に関わるということがあって、非常に難しい問題ではありますが、何らかの形で収集する手立てがあるのかどうかについて、何か御意見があれば教えていただければと思います。

○安全使用推進室長 両先生より御指摘いただきました。様々な問題がありまして、今のやり方がベストなのかどうかというのは、我々も日々悩んでいるところです。先生もおっしゃるとおり、適応外の情報のようなものを事前に切ってしまうと、医療機器の安全対策上本当は必要な情報がもしかしたら取れないかもしれないと。日本の今の安全対策の考え方の中では、そういった医療者の技術の部分や様々なものを、明らかに医師の技術の問題というケースを除いて、医療機器の安全対策に関連するものは全て報告してくださいという哲学に基づいて情報を頂いている状況です。

 続いて、情報の提供あるいは開示の在り方ですが、やはり外部の方から評価を頂く上では、なるべく詳細な情報を提供することがもちろん求められていると承知しております。ただし、個人情報保護の観点、あるいはどこまで情報をかみ砕いて提供するのかといった、マンパワーや業務量の問題にも影響してくるわけですけれども、そちらについても本日頂いた御意見を踏まえて、何ができるかということはまだお約束はできませんが、内部で検討させていただきたいと思っています。御意見を頂きまして、ありがとうございます。

○荒井部会長 ありがとうございます。苦しい答弁になるのを分かっていて振りました。先生方を含め、こういった報告を詳細に検討していらっしゃる方々は皆さん、乱暴な言い方かもしれませんが、「強制力を持って、きちんと報告させてもよいのではないか」と感じておられるのが実情だと思います。また、そう感じざるを得ない誠意のない報告が少なからず見受けられるということだと思います。ということで、情報不足で判断できないような事案が少なくないという点については、共通した認識かと思われます。難しい部分とは思いますが、是非そういう認識をもった先生方のバックアップがあるという点を認識して頂いた上で前向きの検討をしていただければと思います。お願いいたします。そのほかはいかがでしょうか。

○正宗委員 少し先の話で、2-3になるかもしれません。今のに関連して、外国措置報告などの、ここに出ている内容はこれだけの情報なのか、もう少し詳しい内容があったりしないのかという質問です。実際に日本で色々不具合報告が上がってきている中で、国内と海外から送られた情報との関係や関連性があったら教えていただければと思います。特に、早めに外国から出てきたものに関する不具合情報ラグというのが実際にあったりすると、非常に参考になるかなと思っております。

○荒井部会長 いかがでしょうか。海外からの報告とラグということですが。

○事務局 そうですね、報告で各製販業者からこういった外国措置報告を受ける際には、報告によってはいつ海外で情報を得て今回、報告するという形でそういった情報が含まれている場合もあります。ただ、全ての報告においてラグがどれぐらいなのかというのは、今のところ我々の方では収集はできていない状況です。

○正宗委員 情報としてあるものはあるけれども、ないのが結構多いということで、こういう形でまとめるしかないということですね。

○事務局 フラットにまとめさせていただくと、こういう形にしかできないのが正直なところです。

○医薬品医療機器総合機構 機構より少し補足させていただきます。措置報告自体には、どういった事象が起きており、それに対してどういうフィールドアクションをしているかということについて詳細に書かれております。具体的にそれを踏まえて、例えば不具合というか物の製造不良であれば、それに対する再発防止策等もきちんと書かれていて、そこまで確認をすることは私たちでさせていただいているところです。紙面の都合上もあって、こういった形の報告をさせていただいているというのが実際のところです。

 報告ラグに関しては、基本的にもちろん製造販売業者で情報収集することは義務付けられているところですけれども、機構からも海外規制当局に情報が掲載されれば、これについて詳細を把握しているかというところを問合せしておりますので、そういう意味では大きなラグはないのではないかと認識しています。ただ、詳細というところもありまして、企業側の情報の流れもありますので、そこの明確な確認は取れていないところではありますが、リアルタイムに問合せを機構からもさせていただいている状況です。

○正宗委員 ありがとうございます。

○荒井部会長 そのほかはいかがですか。

○宮地委員 ほぼ同じです。

○荒井部会長 そうですか。

○宮地委員 リコールが来たものは、日本ではどうだったか。これは外国ので、大体外国製品が多いのでそうなのだと思うのですけれども、国内でそういうのは、きちんと報告は来るのですか。

○医薬品医療機器総合機構 国内に関しては、回収(改修)をする場合には必ず行政側、都道府県であったりあるいは監視・指導麻薬対策課であったり、医薬安全対策課を通じて相談をされて、情報は全て集約されてくると。また、回収(改修)があれば機構のホームページには必ず載るという状況ですので、機構では全ての情報が集約されております。

○荒井部会長 よろしいでしょうか。

○城守委員 基本的なことで申し訳ないのですけれども、確認です。2-1の不具合報告の総数なのですが、これは基本的には健康被害のあるなし関係なしに、それを合わせた件数という理解でよろしいですね。報告に関しては、基本的には製造販売業者は機構に報告をすると。医療機関に関しては、報告は機構と安全機構と両方でしたか。

○安全使用推進室長 現在は、機構に報告いただければと。

○城守委員 機構だけで、評価機構ではないわけで、評価機構に報告はしなくてよいということでしたか。

○安全使用推進室長 薬機法の不具合報告に関しては機構で、事故調査の関係は別になるかと思います。

○城守委員 あれは事故調査ということだけですよね。そうしますと、それぞれのケースに関して、基本的には現場の医療機関でまず発生しますから、医療機関がこれは不具合だと判断すればメーカーに報告しますけれども、メーカーに報告しますので、メーカーから必ず出ると思います。医療機関がそう判断しない場合は、医療機関の個別の判断になりますから、その辺りの周知を正確にしないと、発生率の把握をする際に良いデータをなかなか取れないかなと思います。先ほどもお話がありましたけれども、その辺りの仕組みをもう少し考えていただければいいかと思います。

 それと、これも先ほどお話が出ていましたけれども、医療機器に関してはラーニングカーブというか、技術の取得によって治療成績が向上するということが通常あるわけですけれども、それと不具合は全く別の概念ですので、そこはやはりしっかり分けて分析をしていただけたらいいかと思います。その辺りもよろしくお願いいたします。

○荒井部会長 今の御発言は御意見ということでよろしいでしょうか。そのほかは、よろしいでしょうか。

○蓜島委員 行政の方々へのお願いというよりも、荒井先生や小野先生をはじめ、この部会に参加されている医師の先生方にお願い事というか、こういうことはできないかという御提案です。私が聞いている限りだとこういった不具合報告は、何か不具合が起こった際に、病院のユーザーがこれは本当に不具合なのか、あるいは使い方が悪くてこういうことが起こってしまったのか悩むことがあり、そういう場合は業者に連絡しないことがあるそうです。業者も明らかに適応外使用の場合は、不具合ではないので行政に報告しないこともよくあると聞いています。そういった中で、現場で起こる不具合を網羅的に収集しようと思ったら、これはやはり学会が中心になってやっていくべきところもあるのではないかと思うのです。

 例えば、皮膚安全性症例情報ネットですと、医療機器の使用に伴って発生するアレルギー症例をデータベースに挙げて、学会員であれば誰でも見られるようなシステムを作っているのです。ここの医療機器を使う分野はかなり広い所ですけれども、関連学会の協力を得てそのようなシステムを作れたら、医師にとっても患者さんにとっても良いシステムになり得ると思うのですけれども、その辺について先生方はいかがでしょうか。

○小野部会長代理 非常に大事な御意見だと思います。先ほどの大動脈ステントグラフトの例を少し挙げますと、心臓血管外科学会あるいは血管外科学会と呼ばれる学会で、適応外使用をした場合にどこまで可能か、どういう手技としてコンプリートできない何らかのシーリングができなくて漏れが起こるのかなど、そういったセッションが組まれることがしばしばこれまで毎年ありました。ただ、保険医療から見ると、本来は余り好ましくないけれども、現場のニーズとしてやっているといったところがあるので、そういったところのデータベースをすることについては、かなり現場の抵抗があるような印象は聞いています。

 ただ、最初に申し上げたとおり、ここまで可能でここから以上は危ないという情報共有を学術集会のシンポジウム等では、そういう情報交換はされているということが現場の努力としてはあると私の知る限りではあります。

○小早川委員 日本消化器内視鏡学会では、内視鏡のデータベースを作ろうということで、JED Projectというので日本全国の内視鏡のデータベースを学会で拾い上げて、その中で色々有害事象、不具合などそういった情報を上げていこうという取組みを行っております。学会独自になりますけれども、厚労省と一緒に組んでというわけではないですが、学会としてそういう取組を行っているところです。

○荒井部会長 そのほか、御意見はいかがでしょう。私もはまだ臨床現場におりますが、今の御指摘の点は、直ちに体制を作るのはなかなか難しいところがあるように思います。そういう文化がある程度熟してこないと、放っておいてもそういうのがどんどん上がっていく体制にするのは難しいように感じます。ただ、今お話がありましたように、比較的やりやすい領域、決して消化器がやりやすい領域と言う訳ではありませんが、内視鏡領域などでは結構きっちり上がるシステムが作られてきています。そういう文化を熟成していく努力は大切だと思います。

 今すぐということではないですが、機器に関する不具合について現場の状況を把握していくという点では大変重要な御指摘だと思います。確かに、医療現場からみれば、診療報酬なども絡むため結構デリケートな部分もあり、適応外のグレーな所まで簡単に報告できるかについては少し抵抗感があるのも事実だと思いますが、これは大変貴重な御意見であり、この部会で頂いたご意見として、きちんと議事録に残しておきましょう。また、この後の議論についても、今の御意見についての認識を持って臨んでゆきたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。そのほか、報告()について何かありますか。

○小野部会長代理 先ほどの私の発言に、少し追加させていただきたいと思います。蓜島委員が心臓血管外科はいい加減なことをやっていると誤解をしないためにも、名誉挽回というわけではありませんが、先ほどは適応外使用だけに限定して発言させていただきましたが、心臓血管外科のいわゆる植え込み型のデバイス、例えば一番典型的なのは植え込み型の補助人工心臓というのがあります。これは、かなりがっちりしたレジストリーシステムができていて、もともと機構の安全部で2010年から始めて、現在は日本胸部外科学会が担っていて、実は私が責任者をしています。少なくとも合併症、デバイスの不具合も、かなりきっちりお一人お一人の患者さんに全部登録することが義務付けられています。

 ステントグラフトについて、先ほど適応外のことは申し上げましたが、ステントグラフト症例についても適応外か適応外でないかというのは、実はデータベース上は分からないのです。全ての患者さんにおいて治療を行った時に、まず治療後の合併症はなかったかどうか、また、機器の想定外の機能しなかった、これこそ不具合ですね、そういったものがなかったかどうかということは全てデータベース上に登録されていて、それを統計データとして公表しております。これは人工心臓もステントグラフトも同じです。

 例えば、現在カテーテルで大動脈弁置換を行います。TAVIと呼ばれているTranscatheter Aortic Valve Implantationと呼ばれるような手技についてもきちんと行っています。最近の新規の植え込み型のデバイスについては、ほぼ全て全例、レジストリー登録が進んでいます。ついでに申し上げますと、ペースメーカー等も実はリードレスペースメーカーによる心臓穿孔がかなりこちらにも報告されていました。メディアにも出ましたし、機構としてもかなり頭を悩ませたと思いますが、ああいったものも一応これから不整脈心電学会が全例登録をするという方向で、要するに安全性に重点を置いたレジストリーを作っていく動きが出ていることも一応付け加えさせていただきたいと。我々はサボっているわけではありません。

○荒井部会長 ありがとうございます。

○岩﨑委員 私も、もしも誤解があるといけないのですけれども、私が調べたのは、エンドリークを不具合とは呼ばないような対象も実際に見るとあったのです。これは不具合ではないのですがエンドリーク、ワードひとつで不具合報告に入ってしまうと、見掛け上多くなっている場合もあるのです。そこをしっかり分析できる仕組みができると、これを見る医師なり企業がより活用できる情報でそれが患者さんの安全につながるように情報の質を上げることが非常に重要なのではないかと思った次第です。

○荒井部会長 種々御意見を頂きましたが、逆に言えば、ステントグラフトや心臓の領域というのは、一番進んでいると言ってもよい領域かと思います。今ここではあえて申しませんが、全然進んでいない領域があるのも事実です。そういう領域については、先ほど申し上げたような文化を作っていくことも必要ですし、学術団体が自主的に、何かそういうものをきちんとまとめていこう、流れを作ることも大切だと思います。今、岩﨑先生の御発言にもありましたように、結局は現場でのジャッジ云々というよりも、そう事象が全て報告されてくれば、そのデータからある程度方向性が見えてくるという要素があると思われます。現場での「それは報告しなくてよい」というような判断がまかり通るような文化は適切ではないと思います。これは大変重要なディスカッションだと思いますので、そういった認識を持って今後もここの部会では議論を進めていきたいと思います。

 そのほかよろしければ、報告()を終了して、報告()に入らせていただきます。報告()の感染報告です。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、報告()の感染症定期報告についてです。資料は資料3のシリーズになります。お手元のタブレットで資料3--1を御覧ください。まず、感染症定期報告について、制度の概要を説明させていただきます。口頭での説明となります。

 人や動物等に由来し、保健衛生上特別な注意を有するものとして、厚生労働大臣が指定する生物由来製品につきましては、その原材料が細胞組織等であることから、未知の感染因子である細菌、ウイルス等が含まれている可能性が否定できないというものです。また、感染症につきましては、一般的な医薬品・医療機器の副作用、不具合等と比べ、製品との因果関係が明確になる以前から潜在的に感染が進行する恐れがあり、さらに、感染した後については、時間の経過に伴い軽減することはなく、一定期間の経過後に顕在化するおそれがあるというものになります。このような背景も踏まえまして、生物由来製品については医薬品医療機器法において、製造販売業者、企業に対して、製品への直接的な影響が不明であるものも含め、さらに、製品そのものだけでなく、原料動物等の感染症に関する知見についても常に最新の情報を把握し、それを集積した上でリスクを適切に評価し、その結果を機構に報告するよう義務づけております。

 こちらが感染症定期報告というものになります。この報告された情報につきましては、本部会も含めた、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の方に報告させていただきまして、必要な措置がないかどうかということを検討いただいています。

 それでは、資料3--1を御覧ください。今回は、本年4月1日から9月末までの報告について取りまとめております。資料は3--1と、もう一つ、3--2の二つに大きく分かれているのですが、3--1が医療機器、3--2が再生医療等製品となっております。3--1を御覧ください。こちらについては、今回、新たに文献として報告されたものが32件ありました。「新たに」と申し上げたのは、色々な会社から重複して報告が上がってきたり、過去に既に報告されてきたものも上がっているのですが、それらを排除すると今回新しく32件が報告されてきたというものです。細かい内容の説明は省略させていただきますが、比較的多かった内容としてはインフルエンザの関係で14件が報告されています。

 次に、3--2を御覧ください。こちらについては、今回新たに文献として報告されたものが12件ありました。細かい内容の説明は省略させていただきますが、比較的多かった内容として機器と同様インフルエンザの関係でこちらは4件報告されています。こちらの中身の確認ですが、今回もこれまでと同様、事前に本部会の一部の委員の先生方に御確認いただいている状況です。具体的には、国立感染症研究所の脇田委員、宮﨑委員、国立医薬品食品衛生研究所の澤田委員に御確認いただきまして、御意見、コメントを頂戴しています。

 今回につきましては、資料3--1のID32につきまして脇田委員、宮﨑委員よりコメントを頂いております。お二人からは、「日本の養豚場においても、A群、B群、C群のロタウイルス、それぞれ、RVA、RVB、RVCが検出されているが、ヒトロタウイルス由来の断片を有したリアソータントウイルスの検出報告はない。また、ブタロタウイルスが原因の食中毒事例もない。しかしながら、ウマロタウイルス由来の遺伝子断片を有するリアソータント株が現実にヒト間で流行しており、他の動物由来ロタウイルスとのリアソータント株の発生、流行の危険性は否定できない。現在、国内の動物ロタウイルスの情報は限られており、今後、新型ウイルスが発生した際、感染ルートを探るためにも動物ロタウイルスの発生動向を注視する必要がある。」とのコメントを頂いております。報告()の、感染症定期報告に関する説明は以上となります。よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 何か御質問、御意見等はございますか。感染症は専門的な知識が必要ですので、あらかじめ専門の方にかなりきちっと見ていただいています。

○脇田委員 今、ロタの流行のコメントがありましたが、ヒトのロタワクチンが導入されてからヒトのどういうウイルスが流行しているかということはかなりサーベイランスされるようになってきていますけれども、動物の方に関しましては余り情報がないということですのでその辺をこれから注視していきたいという趣旨でございます。

○荒井部会長 ありがとうございます。これは私もよく知らないのですが、注視といいますか、何かそれは上がってくるような。

○脇田委員 基本的には、国内は余りないのです。例えば、外国との共同研究でサーベイランスもやっているのですが、そういう所で色々な遺伝子のロタウイルスが上がってきます。先ほどあったように、ウマのロタウイルスの遺伝子断片が挿入されているようなものも上がってくるということで、インフルエンザと同じようにリアソータントといって身体の中で組換えが起こるようなものがありますので、そういったところは新型のインフルエンザと同様に新型ロタウイルスということで、ワクチンが効かないようなものが出てくる可能性があるそういった意味です。

○荒井部会長 ありがとうございます。そのほかの委員から特に御質問、御意見はよろしいでしょうか。

○西澤委員 資料3--2のE型肝炎について伺いたいのですけれども、この1と2の症例は同じ方なのでしょうか。これがまず一つ。もう一つ、2の所で、E型肝炎で亡くなった世界で初めてのケースが日本で起こったということで、これはジビエですよね。鹿肉を食べた方が献血して、受けた方が亡くなったのだけれど、このドナーの方の血液を受けた方でほかに亡くなった方はいない。つまり、この80代の女性は免疫が弱いという理由でこの方だけがこういうケースになったのか。輸血の際に、あなたはジビエを食べましたかなど、そういう質問はないような気もするのですけれども、これは一般的にどう考えればいいのでしょうか。

○安全使用推進室長 血液事業の安全対策への関係の部会が別途ございますので、そちらの方にも確認をしたいとは思っておりますが、この事例に関してはこの1例だけであったと承知していますし、確かに日赤の方で現在、HEVのNAT検査の導入等について検討されていると承知しています。恐らく日本では北海道が最もリスクがあると考えておりますので、どこまでやれるのかということも含めて別のフォーラムでの検討という状況かと思うのです。

○荒井部会長 お願いいたします。

○脇田委員 E型肝炎の輸血によるリスクというのは、以前から示されていたわけですが、特に今言われたように、北海道で献血でのE型肝炎の陽性血が多いと。ただ、北海道だけではなくて、実は全国調査をしますと、関東地方、東京にも多いというようなことがあり、これはほかの部会でも問題になっていまして、北海道だけでE型肝炎のスクリーニングが入っています。B型、C型、それから、HIV、この3者に加えて、北海道ではE型のスクリーニングもやっています。それを全国展開しなきゃいけないということで、日赤が4者同時に測定できるキットを開発していて、それができれば導入されるということですので、もうしばらくかかります。3者に加えて更にE型肝炎を別個に1者加えて全国展開するとすごくコストがということですので、4者同時に測れるキットを開発して対応しようとしていることになります。

○荒井部会長 ありがとうございます。そのほか、感染などの報告につきまして、何か御意見、御質問よろしいでしょうか。

 よろしければ、これで本日の議題は全部終了しました。前半の報告()()に戻って御質問等があれば、今ここで受けたいと思いますが、よろしいですか。それでは、事務局の方で何かございますか。

○事務局 次回の部会の日程につきましては、例年どおり8月頃を予定しておりますが、別途部会での審議等が必要な議題が生じた場合には開催予定が早まることがございますので御承知おき願います。なお、日程調整等については、事務局より改めて先生方の御都合を伺って決めさせていただきたいと思います。以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます。それでは、以上をもちまして、平成30年度第2回医療機器・再生医療等製品安全対策部会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。

( 了 )

 

備  考
本部会は、公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 安全対策課安全使用推進室 副作用情報専門官 岩瀬(内線2751)

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