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2018年8月24日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・再生医療等製品安全対策部会 議事録

○日時

平成30年8月24日(金)10:00~

 

○場所

新橋8E会議室(8階)

○出席者

出席委員(17名)五十音順

◎荒 井 保 明、 岩 﨑 清 隆、○小 野    稔、 木 下    茂、
  城 守 国 斗、 小早川 雅 男、  佐 藤 景 二、 澤 田 留 美、
  西 澤 真理子、 根 本    幾、  蓜 島 由 二、 水 上 愛 弓、
  三 井 博 晶、 宮 﨑 義 継、  宮 地    茂、 山 口 里 香、
  脇 田 隆 字
 

欠席委員(4名)五十音順

 真 田 弘 美、 杉 山    肇、 土 屋 文 人、 萬    知 子
 (注)◎部会長 ○部会長代理
 

行政機関出席者

 森    和 彦(大臣官房審議官)
 関 野 秀 人(医薬安全対策課長)
 江 野 英 夫(安全使用推進室長)
 森 口    裕(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
 他

○議事

 

○医薬安全対策課長 定刻ですので始めさせていただきます。開会に先立ちまして私事で恐縮ですが、7月31日付けで医薬安全対策課長に着任いたしました関野でございます。冒頭の進行をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 ただいまから、「平成30年度第1回医療機器・再生医療等製品安全対策部会」を開催いたします。本日、通常ですと出席しております医薬・生活衛生局長は、申し訳ありませんが公務のため欠席、そして森審議官は遅れての出席となっております。御了承いただければと思います。それから本日は、先生方におかれましては御多忙の中、そして昨晩から今日にかけまして天候に不安を抱える中、お越しいただきまして誠にありがとうございます。

 本日の部会は公開で行っておりまして、カメラ撮り等々行われておりますけれども、カメラ撮りに関しましては議事に入る前までとさせていただいておりますので、御理解と御協力のほどをお願いいたします。そして傍聴の方々におかれましては、留意事項をお手元にお配りしていると思いますので、遵守をお願いいたします。我々の服装を御覧いただければ分かりますが、クールビズを実施しておりますので、軽装で失礼しております。

 委員の出欠状況をお話させていただきます。本日はあらかじめ御連絡いただいております4名の先生が御欠席です。真田先生、杉山先生、土屋先生、萬先生が御欠席ですが、本部会の定員が21名ですので、現在17名の先生に御出席いただいており、定足数に達していることを報告申し上げます。

 そして今回、新たに委員の改選がありましたので、3名の先生を紹介させていただきます。50音順で申し上げます。まず、これまで委員でありました今村定臣先生の後任といたしまして、日本医師会常任理事の城守国斗先生に委員になっていただいております。先生、一言お願いできますでしょうか。

○城守委員 日本医師会から参りました城守でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○医薬安全対策課長 よろしくお願いいたします。次に、これまで委員でおられました石井則久先生の後任といたしまして、国立感染症研究所の真菌部長でおられます宮﨑義継先生に御着任いただいております。一言お願いいたします。

○宮﨑委員 感染研の宮﨑でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○医薬安全対策課長 よろしくお願いいたします。それから3人目ですが、同じく国立感染症研究所の所長として参加いただいていました倉根一郎先生の後任といたしまして、感染症研究所の所長でおられます脇田隆字先生に着任いただいております。よろしくお願いします。

○脇田委員 4月から所長を拝命しました脇田といいます。どうぞよろしくお願いします。

○医薬安全対策課長 よろしくお願いいたします。それから事務局の方にも異動がありましたので、紹介させていただきます。医薬品医療機器総合機構の森口安全管理監です。

○安全管理監 森口と申します。よろしくお願いいたします。

○医薬安全対策課長 出欠状況、そして委員の紹介は以上です。続きまして、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告いたします。薬事分科会の規程第11条におきまして、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」という規定があります。

 今回、改めて全ての委員の皆様より、この第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。委員の先生方におかれましては、会議開催の都度、書面の提出を頂いておりまして、御負担をかけておりますけれども、引き続き御理解と御協力を賜りますよう、何卒よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、これから議事に入らせていただきますので、傍聴の方々を含めましてカメラ撮りはここまでといたします。御了解いただければと思います。以後の進行に関しましては、荒井部会長にお願いいたします。よろしくお願いします。

○荒井部会長 おはようございます。それでは、議事を始めさせていただきます。まず事務局から、資料の確認をお願いいたします。

○事務局 本日、机上にお配りしております資料は、タブレット及びタブレット操作説明書です。資料については前回部会に引き続きペーパーレス化を実施しておりますので、先生方におかれましては、お手元のタブレット端末で資料の御確認をお願いいたします。本日のタブレットは前回部会とは異なる種類のものを使用しておりますので、タブレット端末の操作方法について、操作説明書に沿って簡単に御説明いたします。御不明な点などありましたら、事務局員が伺いますので、適宜お声掛けください。タブレット端末はファィル一覧を画面に表示した状態で、お手元に配布しております。本日の資料は、議事次第、資料一覧、委員名簿、座席表のほか、各種資料があります。ファイル一覧から開きたいファイルをタップしていただくと、選択した資料が画面に表示されます。

 まず説明書1、「表示資料の操作」について御説明いたします。他の資料を画面に表示するには、画面左上の青文字を指で1回タッチしてください。文字や表が小さく見えづらい場合は、2本の指での操作で画面を拡大・縮小することができます。続いて説明書2、「資料のページをめくる」については、画面に指を置き、ゆっくりなぞるとページをめくることができます。画面下部のアイコンをタップして操作することができます。ページ数が多い資料などは任意のページを指定して表示することができます。まず画面左下をタップし、表示されたメニューで「ファイル」「印刷に注釈を付ける」をタップします。次に画面下部に全てのページの画像が小さく表示されます。この画像一覧を指で左右になぞり表示するページをタップしてください。タップしたページが大きく表示されます。続いて説明書3、「資料の内容を検索する」については、画面下部の虫眼鏡のアイコンをタップしますと、画面上部に検索エリア、画面下部にキーボードが表示されます。検索したい文字列を入力し、検索エリア右端の不等号記号のマークをタップしてください。説明書4、「タブレットの持ち方、置き方」については、タブレット本体を回転すると、本体の向きに合わせて画面の表示が切り替わります。次に説明書5、「画面の明るさを調節する・縦横表示を固定する」について説明します。画面の外側から上へ指を滑らせ、太陽のマークを指で上下することで画面の明るさを変更できます。また、設定関連アイコンの中央に鍵マークのアイコンをタップすると、中央の鍵マークが閉じた状態になり、タブレットを縦横に動かしても表示内容は動かなくなります。戻す際は、もう一度同じアイコンをタップしてください。簡単ではありますが、操作の説明は以上です。御不明な点がありましたらお知らせください。なお、議事の進行中は、前方のプロジェクターでも資料を投影しております。

 続いて、もう一度ファイルの一覧を御覧ください。各資料については番号を振っておりますが、資料1については1-1~1-6まで、資料2については2-1~2-4まで、資料3については3--1~3--2まで、資料4については4-1~4-2まで、資料5については5-1~5-4までがあります。最後に参考資料があります。資料は以上です。なお、本日の議題は全て報告事項となっておりますので、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 毎回申し上げていますけれども、こういう所で「この操作が分かりません」と手を挙げるのは、なかなか勇気の要ることですが、委員の方々には議事の内容をディスカッションしていただきたいと思いますので、何か御不明な点があれば遠慮なく手を挙げて、必ず今の議題がどこの部分のどの資料なのかを確認していただくようにお願いしたいと思います。

 それでは、議題()を始めさせていただきます。議題()は「医療機器・再生医療等製品の市販後安全対策について」です。では、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 それでは資料1-1をお開けください。「平成29年度の安全対策について(概要)」という資料です。こちらの資料については、今回は本年度の第1回目の部会となりますので、昨年度平成29年度の安全対策について概要を示しております。

 1ページの1.こちらは過去5年間の不具合報告の数の推移を示しております。医療機器については()です。一番左の列、製造販売業者からの不具合報告の件数は年々増加傾向を示しており、平成29年度は、国内、外国の症例を含めて全部で50,910件でした。こちらについて、特定の製品の不具合数が大きく増加したということではなく、全般的な増加傾向が見られていると考えております。こちらは企業の安全性情報の収集体制の見直し等によって、不具合報告件数が増加していると考えられる部分もあります。そのため、不具合の発生頻度が増加しているのではないだろうかと推察しているところです。より細かい分析につきましては平成29年度後期分について、後ほど議題()で改めて御説明します。

 また、真ん中の列になりますが、研究報告が2,701件とあり、平成27年度以降、明らかな増加傾向を示しております。こちらについては平成27年頃に、日本医療機器産業連合会(医機連)と行政の間において「不具合報告書等の手引き」の第6版を取りまとめる作業をしており、その中で、研究論文をより安全対策に活用していくという観点から、運用の見直しを行ったことによるものです。具体的には、これまで研究論文に不具合情報がある場合、個別の不具合報告として報告を受け取っていたのですが、不具合の発生頻度、発生条件などの疫学調査や集計・分析については、個別報告ではなく研究報告として評価することが妥当であろうと考え、研究報告として受け取ることとしました。医機連の手引きや講習会等で周知を図っているところで、増加傾向についても今後は落ち着くものと考えております。

 続いて()になりますが、コンビネーション医薬品の機器部分における不具合報告について示しております。こちらは平成261125日に施行された医薬品医療機器法において新たにカテゴライズされた区分で、不具合報告の対象となりました。代表的なコンビネーション医薬品としては、インスリンペン型注入器などが挙げられます。この医療機器部分であるペン型注入器等に何らかの不具合が生じた場合に不具合報告の対象となります。資料には国内及び外国に分けて報告数を示しております。平成29年度の報告件数は国内症例1,182件、外国症例2,979件でした。平成26年の施行時に既に承認を受けていたコンビネーション医薬品については経過措置期間が設けられており、平成281125日から報告が完全義務化となりました。そのため平成28年度以降、報告件数が大幅に増加したように見えるかと思います。

 続いて、()再生医療等製品については、平成29年度の不具合報告の件数は111件でした。こちらについても平成26年の制度開始以降、承認品目が増えてきて、更に再生医療等製品を使用する症例も徐々に増加しているところから、報告件数も僅かながら伸びの傾向を示しているものと考えております。

 2ページの2.こちらは「平成29年度の安全対策について」ということで、()では平成29年度に発出した医療機器関連の安全対策通知を示しております。通知の内容については、平成2912月までに発出したものにつきましては前回部会までに御紹介しておりますので割愛いたします。

 3ページ、平成30年3月に発出した「経腸栄養分野の小口径コネクタ製品の切替えについて」、こちらからが前回からの更新部分になりますが、こちらは次の資料で中身を詳しく説明いたします。

 次に()を御覧ください。「PMDA医療安全情報」に掲載した情報の一覧を示しております。昨年度は医療機器の関係で、No.52「開放式脳室ドレナージ回路使用時の注意について」とNo.53「誤接続防止コネクタの導入について」があります。No.52は前回部会で御紹介しており、No.53は後ほど御説明いたします。資料1-1については以上です。

 資料一覧に戻り、続いて資料1--1をお開けください。例年の議題では、このパートでは前回部会の後に発出した安全対策に関する通知について紹介しているのですが、今回は「相互接続防止コネクタに係る国際規格の導入」に関して、通知が多数ありますので、まずはこちらをまとめて御紹介いたします。

 資料1--1の1ページを御覧ください。国際的には複数の製品分野で医療機器の相互接続を防止するため、ISO(IEC)80369シリーズというものの制定が進められているところです。このISO80369シリーズは、呼吸器、経腸栄養、泌尿器、四肢のカフ拡張、神経麻酔、皮下注射・血管の6分野ごとに相互にコネクタの誤接続が生じないよう、新たにコネクタ規格の制定が進められているものです。本邦においても、新規格に準拠した製品へ順次切替えが行われる見込みです。

 続いて2ページを御覧ください。誤接続防止コネクタの国内導入に関して、関連通知の発出状況になっております。昨年10月に先ほどお話した6分野における導入について、全体的な方針を示す「相互接続防止コネクタに係る国際規格(ISO(IEC)80369シリーズ)の導入について」という通知を発出しており、その後12月に、神経麻酔分野における切替え時期など、神経麻酔領域の個別の留意事項を示す「神経麻酔分野の小口径コネクタ製品の切替えについて」を発出したところです。これら2つの通知については、前回部会で御紹介しておりますので、資料1--2、1--3として添付はしておりますが、中身についての詳しい説明は割愛したいと思います。

 その後、通知としては本年3月に経腸栄養分野の留意事項を示す「経腸栄養分野の小口径コネクタ製品の切替えについて」を発出しております。その後、PMDA医療安全情報にて、現場向けに、これまで発出された通知に関する情報の紹介を行っているところです。これらについては、次の資料以降にて御説明いたします。

 では、また一覧に戻っていただき、1--2、1--3を飛ばして1--4をお願いします。こちら「経腸栄養分野の小口径コネクタ製品への切替えについて」ということで、先ほど説明したとおり神経麻酔分野に続く誤接続防止コネクタの国内導入として、ISO80369-3、経腸栄養分野の小口径コネクタ製品について、新規格製品の切替えの実施が行われる予定です。今後順次、経腸栄養領域の新規格に対応した医療機器や医薬品たるコンビネーション製品が上市されてくる見込みです。

 本通知では2ページの1番になりますが、既存規格製品の出荷時期をJIS規格が改正された日から3年6か月が経過した月末、すなわち2021年の11月末までとして、既存規格製品の新規格製品への変更に関する薬事手続や、新規格製品と既存規格製品の混同を防止するための包装等の識別のための表示の取扱い等について、示したものとなっております。

 なお、新規格製品と旧規格製品の間の変換コネクタの取扱いについて、神経麻酔分野と経腸栄養分野では状況が異なるため、対応が異なっているところです。神経麻酔分野の切替えにおいては、誤接続を誘引する可能性があるため、原則として変換コネクタは使用しない、あくまで医療機関ごとに一斉に切替えを行うことを原則としております。

 一方で、経腸栄養分野の小口径コネクタを有する医療機器については、患者に比較的長期間留置される製品が存在し、医療機器を留置された患者さんが、状態に応じて施設を移るなど医療機関ごとの一斉切替えが困難であると想定されます。また、経腸栄養分野では、既に国内独自規格として、皮下血管系とは異なるコネクタ形状が既に用いられておりますので、変換コネクタを使用しても誤接続のおそれはないと考えております。そこで、経腸栄養分野においては変換コネクタを使用し、施設を移る患者さんなどに対しても適切な医療が行える体制を整えることとしております。

 ではまた、資料1--5、「PMDA医療安全情報」No.53をお願いいたします。こちらの資料については、機構が発行している「PMDA医療安全情報」No.55で、資料1--2の「相互接続防止コネクタに係る国際規格(ISO(IEC)80369シリーズ)の導入について」という通知の発出を受け、分かりやすいイラスト等を使って、医療現場に具体的な注意事項を御紹介するものです。

 1ページにて、分野ごとに国内の準備が整い次第、新規格製品の販売が順次行われていく旨を示しております。そして、新規格製品と旧規格製品が接続できないことを大きな文字で注意喚起しているところです。また、医療機関における新規格製品への切替えの一般的な注意事項として、2ページに詳しく書いておりますが、責任者の決定、製品リストの作成、スケジュールの検討、施設内周知、製品保管方法の検討など、注意事項を示しております。

 では、続いて資料1--6、「PMDA医療安全情報」No.55をお願いいたします。こちらの医療安全情報は、つい先日、今年の8月に発出したものですが、神経麻酔分野における留意事項についてフォーカスして示した資料となっております。1ページでは、先ほどと同じく、新規格製品と旧規格製品との間で接続できなくなる旨を注意喚起し、旧規格製品の出荷が2020年2月末までに終了するという旨を強調して示しております。

 2ページにおいて、新旧の製品の形状の違いを医療従事者の方にも分かっていただけるようにイラストで示しております。また、下の方には新規格製品を見分けるための包装の表示の例も示しております。

 3ページでは、切替えが予定される製品の代表的な名称リストを示しております。より詳しい販売名のリストについては、関連工業会のホームページに掲載されておりますので、そのURLを御紹介しております。

 最後に先ほども御説明しましたが、変換コネクタの取扱いについて、神経麻酔分野は誤接続を誘引する可能性があるため、原則として使用しない旨、3ページの下です。注意点(その4)の部分で御説明しております。

 最後、4ページにおいては、先ほどのNo.53と同じように、医療機器における新規格製品の切替えの際の留意事項について、改めて周知しております。

 資料1--7を御覧ください。こちらの事務連絡ですが、8月6日に発出しており、ただいま御説明いたしました神経麻酔分野の「PMDA医療安全情報」の周知について、厚生労働省から都道府県に協力を依頼する事務連絡です。

 3ページ以降、別添1として先ほど示した「PMDA医療安全情報」があり、その後になりますが、別添2以降として、機構で医療現場における切替え時の注意点と、切替え時の手続の手順の例をチェックリスト形式及びフローチャート形式で作成して、機構のホームページ上に掲載しておりますので、こちらについても事務連絡で各都道府県を通じて医療現場等に周知をお願いしているところです。

 以上、ここまでが相互接続防止コネクタに関する通知等の御紹介になります。今後も経腸栄養分野の切替え等ありますので、業界・機構・厚生労働省で連携し、現場のニーズを踏まえつつ、分かりやすい情報提供をしていきたいと思っております。

 では、また資料一覧に戻ります。資料1-3~1-6について順次御説明いたします。資料1-3、「フィンランド産のシカ科動物由来物を原料等として製造される医薬品等の自主点検について」という通知をお願いします。今年の4月になるのですが、フィンランドの野生のヘラジカにおいてシカ科動物の伝達性海綿状脳症、いわゆるTSEである慢性消耗性疾患、CWDの1例の発生が報告されました。シカ等の反芻動物由来の原料等については、既にリスクが高い部位の使用は認められておらず、医薬品、医療機器などとして通常使用される範囲では、公衆衛生上のリスクは回避されていると考えられます。したがって、フィンランド産を原産国とする反芻動物由来原料を使用していたとしても、これまでに製造販売された製品に関する市場回収を行う必要など、公衆衛生上のリスクは基本的にはないと考えております。

 一方で予防的措置として、製造販売業者に対してフィンランド産のシカ科動物由来物の原料を使用しているかどうかについて、自主点検を行って報告するように指示しましたが、フィンランドを原産国とするシカ科動物由来原料等を使用している医薬品、医療機器等に該当するものはありませんでした。こちらの通知でその指示等を行っております。

 では、また戻って資料1-4をお願いします。「電波環境協議会による『医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き』周知啓発用資料について」です。医療機関における適正な電波利用推進を図る方策等については、総務省が中心となって、これまで関係団体や学識経験者、行政から構成される電波環境協議会において検討が行われております。検討の結果としては、平成28年4月に「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き」が公表されておりますが、この度、手引きの内容を紹介した動画及びe-learning教材が周知啓発用資料として作成されました。総務省から厚生労働省に周知の依頼がありましたので、医療機関等に対して周知を行っていただくための通知を、こちらの資料1-4で発出しております。

 スクロールしていただき、3ページ以降に周知啓発用資料の中の一部を抜粋したものを示しております。こちらはe-learning資料となっております。このe-learning教材では、医用テレメータであるとか、無線LAN、携帯電話に関する原理等の基本的な知識や、医療機関内でのトラブル事例、トラブル時の対応方法等を学ぶことができるようになっているものです。e-learning教材の中では、スライド1枚目以降の「基礎編」として、医師又は看護師等を対象に基礎的な知識やトラブル事例を学習できるものと、スライド5枚目以降に事例を御紹介しておりますが、「応用編」として、臨床工学技士等の医療機器の保守点検に関わる専門的な知識をお持ちの方を対象として、具体的なトラブル対応策など詳細な内容まで学習することができるものが含まれております。また、基礎編及び応用編のそれぞれにおいては、スライド3枚目や7枚目に示しておりますが、確認テストがあり、回答後に解説を読むことで学習効果を確認できるような内容です。なお、ただいまe-learning教材の中から抜粋したものを示しておりますが、タブレット内の「参考資料」に全体版も一応御用意しております。

 では、また戻って、次は資料1-5になります。「医療機器のサイバーセキュリティの確保に関するガイダンスについて」です。医療機器のサイバーセキュリティの確保については、これまで平成27年4月28日付けの連名通知、「医療機器におけるサイバーセキュリティの確保について」というものが出ており、製造販売業者はサイバーリスクが懸念される医療機器について、適切なリスクマネジメントを実施し、使用者に対する必要な情報提供や注意喚起を含めて適切な対策を行うよう指導してきたところです。

 今般、こちらの通知を改めて発出し、更に具体的なリスクマネジメント及びサイバーセキュリティ対策について、AMED研究の報告を基に、「医療機器サイバーセキュリティの確保に関するガイダンス」として別添のとおり取りまとめ、周知を行いました。別添が2ページ以降にあります。ガイダンスでは、医療機器のうちプログラムを使用したものや付属品にプログラムを含むものを対象としており、3ページからありますが、サイバーリスクを想定するために、医療施設又は在宅等の使用を想定する場所や、ネットワーク等の接続の観点から医療機器の使用環境を特定することが必要であることをまず指摘しております。

 また、5ページの下部以降になりますが、サイバーセキュリティ対策として、製造販売業者によるサイバーリスクに対するリスクマネジメントと必要な対策を実施すること、そして医療機関がサイバーセキュリティを確保するための必要な対応について支援することとしております。その他、7ページの下の方にありますが、サイバーセキュリティに関する製造販売業者から使用者等へ提供するべき情報の内容として、添付文書や技術資料等に分けて示しております。

 最後になりますが、資料1-6をお願いいたします。「超音波吸引器に係る『使用上の注意』の改訂について」です。一昨年になりますが、平成28年7月25日付け事務連絡において、モルセレータという、内視鏡使用下において体腔内に挿入して、組織を切除するための内視鏡用能動切除器具について、悪性腫瘍又はその疑いがある場合には、腫瘍細胞を播種してしまうリスクがあることから、添付文書の「禁忌・禁止」に記載するよう取り扱うこととしました。今般、これに加えてFDAより、超音波吸引器を良性の腫瘍である子宮筋腫に使用した場合においても、想定されていなかった子宮筋腫を播種する可能性があることが報告されました。こちらを踏まえ、超音波吸引器及び超音波吸引器の機能を持つ手術装置についても、添付文書の「禁忌・禁止」欄において悪性変化の否定できない子宮筋腫の乳化又は破砕には使用しないことを記載するよう求める通知を発出したところです。

 ただ、こちらについては事前に関係学会とも御相談させていただいたのですが、日本の医療現場では、超音波吸引器を子宮筋腫に使用する実態はないということですので、現場に対する影響は限定的なものと考えております。資料1-1~1-6までの説明は以上となっております。それでは、お願いいたします。

○荒井部会長 ありがとうございました。かなり膨大な量ですけれども、この部会は基本的なこういう報告を頂いて、それをそれぞれのご専門のお立場で、それで良かったかを協議をしていただく場ですので、少し戻って順番に確認させていただきたいと思います。まず、最初の全体の総数の動きに関しては、最初の資料だけで拝見しますと、急に増えている感じがするのですが、その中での評価の方法が変わり、研究の報告のカウントの仕方が変わった、あるいは途中から比較的頻度の高いものの報告の拾い上げが始まったということが関係しており、極端な増え方ではないとの説明であったかと思います。この点について、特に御意見はございませんでしょうか。必要があれば元に戻りますので、何か思い出してでもお気付きの点があれば遠慮なく御発言ください。

 二つ目のコネクタについては、情報提供の資料も膨大で、沢山の活動をしていただいている訳ですが、特に御意見はないですか。医療現場では、今日のお話にありましたが、切替えのタイミングが結構難しいのが実情です。旧製品と新しい製品が混同しないようなものができる所は比較的単純ですが、患者さんが移動されたりとかも含めると、全てをパッと切替えるわけにもいかず、どうしても混在が起こってきます。

 基本的には誤接続が防止できることは、医療安全上は大切なことですが、逆に言うと、場合によっては緊急時に、本当は接続したいのに接続すべきものがないがために出来ないということも起こる可能性があります。この点については、以前にもこの部会で少し議論をさせていただいたことがありますが、何か御意見はありますか、よろしいでしょうか。逆にこうしてきちんと行っていったら、かえって緊急時に対応ができなくなったといった報告はきていませんか。

○事務局 事務局です。具体的には今回切替えはまだ始まっておりませんので、神経麻酔分野の切替えが今から始まるのですが、JIS規格の改定が今年の2月にありまして、各メーカーで製品の準備をしているところです。具体的には今年の秋以降、製品の出荷が始まる見込みです。今、行政でも業界でも医療現場への周知に努めているところです。例えば日本病院薬剤師会に御協力いただき、日本病院薬剤師会の全国の講習会等に、厚生労働省、機構が参加しまして、全国9か所で講演をしているほか、資材等をお配りしておりますので、その辺で周知が図られれば良いと思っております。

○荒井部会長 何かあった際に、その意見を吸収するようなチャンネルは存在するのですか。

○事務局 これは今検討段階ではあるのですが、関係学会にお願いをして、その事例の収集なども行っていかなければいけないと思っております。神経麻酔分野が一番初めに先行し、その後、経腸栄養分野や呼吸器分野と時期をずらして順次行うことになります。特に神経麻酔分野は比較的対象が限定的だと思うのですが、経腸栄養分野は在宅も含めて様々なケースがありますので、そこの知見を学ぶためにも神経麻酔分野の経験が重要になってくると考えております。

○荒井部会長 よろしいでしょうか。個人的に意見を余り言ってはいけないのですが、できればそこのフォローアップといいますか、変更後に実際にどのようなことが起こったか、あるいは問題なく進んでいるかといったフォローがきちんとできるような体制は、是非この部会としてもお願いしておきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 その次は、フィンランド産ですか、CWDという、これは調べると日本ではなかったということですけれども、よろしいですか。

 そして電波環境、これはもう随分長らくやっていますし、e-learningがいよいよ動き出したということで力を入れていただいていますが、この辺についても御意見はありませんか、よろしいですか。

 機器のサイバーセキュリティについては、医療機関のサイバーセキュリティもかなり言われていますけれども、そこでつなげる、要するに医療機器のセキュリティのことに関しての一定の指針を特に御専門の方に作っていくということだと思います。

○小野部会長代理 先日、ビットコインなどのバーチャルマネーの搾取にネットワーク機器が使われたということが報道されており、ネットワークの中のプログラムにウイルスを封じ込んで、そこで拡散させたというのが割と有名な事実になっているのですが、医療機器も最近ネットワーク、イントラあるいは様々な形でネットワーク接続をしてモニタリングをして、プログラムがあるものが注意だということを先ほど御指摘しておりましたけれども、現実的にその医療機器のネットワークがそういうサイバー攻撃、サイバーアタックの標的にされたという報告はあるのでしょうか。

○事務局 現状ですと、そうした医療機器がサイバー攻撃の対象になったという事例は報告されていないと記憶しております。

○荒井部会長 事例はまだないということですね。

○小野部会長代理 そういう意味では少し早めに対策を取るという意味で、こうした注意喚起を発していただいていると考えればよろしいですね。

○事務局 さようでございます。医療現場ではどちらかというと電子カルテなどで事例が、国内・海外等ありますけれども、医療機器は今のところ日本でサイバーセキュリティの事故があったとは聞いてはおりません。ただ、報道等を見ましても潜在的なリスクはあるというような話はありますので、対応は必要であると考えております。

○小野部会長代理 現実的にはプリンターのプログラムなどにウイルスを封じ込めて、それから拡散させるという手法を取っているようですので、医療機器に限らず、病院のLANにつないでいる様々なネットワーク機器がそのリスクを負っていると言われています。

○山口委員 サイバーセキュリティだけには限らないのですが、ネットワークを使い情報管理を安全にするためにパスワードをしっかりと管理しなさいと言われているのですが、今までは半年置きや3か月置きにパスワードの変更をしなさいと、結構推奨されていたと思うのです。ただ、最近になってパスワードの変更をすることは、余り安全管理にはつながらないという報告が出ていたと思うのです。実際にパスワードを定期的に変更することは推奨しませんという通達も見受けられたのですが、こうした医療状況においてはどちらの方向で進んだらいいのかというのがあります。最近は在宅の患者のデータを管理するのに、パスワードを入力し患者のデータを入れたり、変更をかけたりするのですが、膨大な患者を管理しているのに、結局3か月置きに変更しなさいということで、もう使う側でパスワードが分からなくなってしまっているということを私の部署でも見受けましたので、方向性として今後どうなるのかをお伺いしたいと思います。

○荒井部会長 貴重な御意見ありがとうございます。いかがですか、即答できますか。

○事務局 申し訳ございません。正確なところは、私どもで即答はできません。パスワードを変更しない方がいいという、確か総務省かどこかのガイダンスが出たというのは仄聞しているのですが、そこから医療機関におけるサイバーセキュリティも含めた機器の取扱いのようなものは、厚生労働省から「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」が出されており、それは総務省のガイダンスも踏まえて作られているはずですが、そちらがどこまで反映されているかは、直ちには確認できないところです。ただ、そういう先進的な動きを受けて医療現場に対応されるガイダンス等も変更されていきますので、順次そうして変わっていくものだと考えております。

○荒井部会長 山口委員、現場としては本当に結構混乱しますよね。

○山口委員 そうですね。それで患者のデータを定期的にチェックするのですが、結局患者も忘れていますし、こちら側も毎回毎回パスワードを忘れた場合というので、また問合せをして変えたり、パスワードを変えて、また開いたりという、どちらがいいのかがよく分からないのです。メモをしてしまうと、それもまた漏えいなどと色々な問題になると思います。

○荒井部会長 この件について、特に専門的な知識をお持ちの方はおられませんね。それでは、これは現場からの大変貴重な御意見ですので、この部会でそういう意見が出たということで、少し御検討をお願いしたいと思います。

 最後に超音波吸引器、モルセレータの話で、これも日本の現場では使っていないということの確認で、子宮筋腫に肉腫が混ざっていることがあるのですが、それを吸引するようなことは、そういう所では使っていないということですので、米国で行われた注意喚起でしたが、それに対しての対応があったということです。議題の1に関しては以上ですけれども、全体を通じて、個別でも結構ですが、よろしいでしょうか。

○西澤委員 今の、委員の質問に少し関連するのですが、私は総務省の医療機器安全の部会にもおりまして、私が非常に気になっているのは、前から電波産業会を含めた医療機関における電波を利用するための手引きという資料1-4が、実際現場でどれだけ行われているか。e-learningも含めて行われているのかが知りたいのです。といいますのは、今の発言のように、在宅医療が増えていますので、そうすると実際にそういう所に結構皆さん機器を持っているので、今検証しているのですが干渉する例が割と増えてきていて、今後在宅医療が増えてくると、そういうケースが恐らく問題になってくるのではないかと思っています。まず、一つ伺いたいのが、この啓発資料を含めた、実際の現場ではどれだけ周知されていて、トレーニングが行われているのかというところ。もう一つは、在宅の部分ではどのように考えたらいいのか、私は二つの部会をやっているのでとても気になっております。

○荒井部会長 いかがですか。

○安全使用推進室長 事務局です。総務省の会議に私も参加させていただいておりまして、こうしたe-learning教材については、医療機関の方々が使われて非常によく分かったというようなお話があったというのは聞いております。ただし、どのくらいの方々が医療機関全体の中でお試しいただいているかということについては、総務省に確認したいと思っておりますが、全医療機関を対象とした調査はされておられないのではないかと思っております。

 在宅で療養されている方々への周知ですけれども、医療関係者が関与するような医療機器であれば、やはりそれを在宅で御使用される際に、医療関係者からそうした知識を広めていただけるということもあろうかと思います。また、医療機器の製造販売業者を通じた周知も想定されます。御家庭の中でもLANの機器を使っておられたり、電子レンジ、この参考資料の中にもありますけれども、色々な電波を発する機械が使われていますので、例えばスマホを人工呼吸器の上に置いておくなど、そういう使い方をすればトラブルのもとになり得るわけですので、そうしたところについては多方面から情報の普及や注意喚起を進めていきたいと考えております。

○荒井部会長 よろしいでしょうか。こういうことは、大きい規模の病院や施設へは比較的簡単に周知ができると思われますが、御指摘のように、在宅あるいは小さなクリニックレベルで在宅診療をやっていらっしゃる所だと、なかなか周知が行き届かないところがあると思います。これも現場からの御指摘ということで、この部会での御意見があったことをとどめておきたいと思います。そのほかはよろしいでしょうか。

○城守委員 シカの動物由来の製剤の原料のお話です。今年の初めにジェネリックで自主回収したという、原産国が中国で、発がん性の原料が入っていたということがあったと思うのですが、ここで扱う製品に関して、例えばこういう動物由来の原料に関して、各メーカーがどこのものであるという明示をされておられるのかどうかお教えいただきたいと思います。

○安全使用推進室長 事務局です。お薬と医療機器の場合、多少制度が異なる点もございます。例えば医療機器は、承認、あるいは認証という製造販売するための許可の種類があります。そちらの申請資料の記載の中で原材料はどこの製品、今回であればフィンランド産のシカであるとか偶蹄目を使っているかどうかの確認ができる形になっております。医薬品の場合はいわゆるマスターファイル、原薬の管理のような形で少しルールが違うわけです。また表示の観点において、原材料が、全ての原材料になるとこれも膨大になりますので、表示に関しても現在運用させていただいているルールの中で行わせていただいております。したがって、先生から御指摘のあった原材料が表示されているかということについては、医薬品、医療機器等については、現在そうした対応は行われていないという状況になります。

○城守委員 先ほどお話したような例も発生してきていますので、制度的にもどこまで表示をさせるのか、厚労省としてどのような把握の仕方をするのかなど、その辺りを御検討していただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

○安全使用推進室長 御意見ありがとうございます。

○荒井部会長 沢山の貴重な御意見をいただきました。議題の1についてはそのほかよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは次に、議題()、「医療機器・再生医療等製品の不具合等報告について」事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 よろしくお願いいたします。それでは資料2-1の不具合等報告についてというファイルを御用意ください。1.として本部会への報告に関する医薬品医療機器法第68条の12の規定を記載しております。本日は、平成29年度の下半期である平成2910月1日から本年の3月31日までの報告状況について報告いたします。

 次に、2ページを御覧ください。不具合等報告の全体概要となります。医療機器及び再生医療等製品の不具合報告制度に関しては、製造販売業者等からの報告である企業報告制度と、医療機関等からの報告制度の二つから成り立っております。1.では医薬品医療機器法第6810第1項に基づく、製造販売業者等からの不具合報告について、2.については医薬品医療機器法第6810第2項に基づく医薬関係者からの不具合等の報告になり、それぞれ説明いたします。

 2ページの1.です。こちらの「製造販売業者等からの不具合等報告」ですが、医療機器の製造販売業者又は外国製造医療機器特例承認取得者は、その製造販売をし、又は承認を受けた医療機器について能動的に情報を収集する義務があります。国内において、医療機器又は再生医療等製品の不具合が原因、又はその不具合が原因と疑われる死亡や重篤な健康被害が発生した場合、又は不具合によってそれらが発生するおそれがある場合には、製造販売業者がそれを知った時点で、その旨を厚生労働大臣に報告する義務があります。報告の対象、情報を入手してからの報告の期限については、医薬品医療機器法施行規則第22820により定められております。また、海外において死亡又は重篤な健康被害が発生した場合、それらのおそれがあると判断された不具合情報は、それぞれの国の規制に従うこととなりますが、日本で承認を受けた医療機器と形状、構造、原材料、使用方法、効能、効果、性能等が同一性を有すると認められる外国で使用されている医療機器については、それらの不具合情報を日本の製造販売業者が入手した際、日本においても外国不具合報告として不具合報告の対象となります。この場合は、日本の製造販売業者が報告者となります。

 今回の資料ですと、平成29年度の後期の医療機器の不具合報告について各項目の報告件数を示しております。こちら1.())の不具合報告の件数については、国内と外国の合計が25,693件で、前回の冬の部会で報告した平成29年度前期である平成29年4月1日から、平成291031日までの件数である25,217件と比較して、約500件の増加となっております。今回の25,693件の内訳ですが、九つの製品の分類で言いますと、多いものは分類3の処置用・施設医療機器等の8,244件と、分類()の生体機能補助・代行機器の14,699件で、この二つで全体の9割を占めております。

 国内報告と外国報告の件数ですが、国内報告が8,295件、外国報告が17,398件です。またコンビネーション医薬品の医療機器部分における不具合の報告は、国内報告が552件、外国報告が1,546件の合計2,098件がありました。また、再生医療等製品の不具合報告は国内のみで69件の報告がありました。2)感染症報告は、医療機器、コンビネーション医薬品、再生医療等製品いずれも0件、()の海外の規制当局や外国製造元等が行った措置を報告する外国措置報告、こちらが医療機器については1,107件、そして再生医療等製品は0件でした。

 3ページに移動していただき、()の研究報告は、医療機器について1,158件、再生医療等製品は0件、()感染症定期報告は医療機器については23件、再生医療等製品は7件でした。感染症定期報告に関しては、次の議題で説明いたします。また、2.医薬関係者からの報告が医療機器ですと224件、再生医療等製品では0件で、3.副作用救済給付、又は感染救済給付は医療機器、再生医療等製品ともに0件でした。

 次に、全体の報告件数の推移について説明いたします。4ページにスクロールしていただければと思います。4ページ~5ページにかけては、過去3年分の不具合報告件数の推移をグラフ及び表で示しております。こちらは国内報告と外国報告を合わせた件数となっております。

 医療機器不具合報告の全体の報告件数の傾向としては、この数年間は半年単位ですと、およそ2万件程度から25,000件程度の間での報告となっており、緩やかな増加傾向を示しております。なお総報告件数のうち、国内での不具合報告の件数については、おおむね8,000件程度で、大きな変化はないという状況です。また、平成29年度後期が前の期間と比べて少し増加しておりますが、これはグラフの上から2番目の×印の折れ線グラフである分類()の生体機能補助・代行機器の外国報告件数が増加していることが要因です。この分類()の製品の外国不具合報告の中では、特に着用型自動除細動器の報告件数が多い状況で、こちらが海外で相当程度普及しており、また、ベストのように着用できますので、そちらのように着脱できるという構造上、不具合の発生をどうしても避け難いといった要因により、これまで分類()の外国不具合報告の2割程度を占めていたという状況でしたが、この状況に加えて、海外での販売規模がさらに拡大して報告件数が増加したというのが分類()の件数が今回増加したという主な要因と考察しております。なお同製品の国内の不具合報告の状況ですが、平成29年度の後期におきましては2件で、現状では安全対策上の懸念がある状況ではないと考えております。

 続いて、5ページにスクロールしてください。コンビネーション医薬品に関しましては、平成28年度の後期以降、大幅に報告件数が増加しておりますが、先ほどの議題()にて簡単に説明したとおり、平成281125日から報告が義務化されたということが要因です。なお報告が義務化された後の平成29年度の前期と後期、こちらはそれぞれ2,000件程度の報告件数で、大きな変化はない状況です。また平成29年度の前期と後期、それぞれの国内と外国の報告件数につきましても、およそ国内が500件、外国が1,500件とう内訳で、特段大きな変化はありません。

 再生医療等製品につきましては、平成28年度前期以降に件数が増加しておりますが、これは新たに承認された製品が平成28年度前期頃に上市され、その製品の不具合報告件数が上乗せされたことが要因と考えられ、その後は再生医療等製品を使用する症例が増加しているために報告件数も増加しているものと考えております。今後大きな増減が生じた場合には、その原因については適宜調査する予定です。

 続きまして、6ページを御覧ください。2.-1には、各分類における国内の不具合報告の件数と、その中でも特に報告件数の多かった品目の一般的名称、その際の主な不具合又は健康被害状況をピックアップして記載しております。表の一番左側は、一般的名称ごとに、不具合等報告の件数のうち、多いものから順に第1位から第3位までの一般的名称を記載しております。「主な不具合又は健康被害状況」の欄には、それぞれの一般的名称の製品群で報告された不具合又は健康被害のうち、多いものから順に第1位から第3位を記載しております。なお同数で同順位となる一般的名称や不具合名につきましても、全て掲載しております。

 続きまして、分類()の画像診断用機器の報告件数は、国内では合計12件報告されております。分類()として、内視鏡や血液分析装置、生体情報モニターなどの生体監視・臨床検査機器等におきましては、国内では合計245件報告されております。

 7ページを御覧ください。分類()としては、輸液セットやカテーテルといった処置用・施設用機器等で、国内では合計3,027件報告されております。分類()に関しては、輸液セットのように病棟内で使用される頻度の高い製品や、アブレーションカテーテルのようなリスクの高い製品が分類されているため、報告件数が多くなっている状況です。分類()としては、心臓ペースメーカーや冠動脈ステント、人工関節等の生体機能補助・代行機器を記載しております。こちらは国内で合計4,095件となっております。分類()については、植え込み型両心室ペーシングパルスジェネレータや、植え込み型心臓ペースメーカー、大動脈用ステントグラフトのようなリスクの高い医療機器が多く分類されているということで、報告件数が多くなっている状況です。分類()としては、手術用の電気メスやドリル等の治療・鋼製機器等で、国内で合計777件報告されております。分類()の歯科用機器・材料としては、国内報告は合計10件となっております。

 8ページを御覧ください。分類()の後房レンズやソフトコンタクトレンズ等の眼科用機器、こちらにつきましては合計124件が報告されております。分類()の衛生材料・避妊用具・家庭用機器等につきましては、子宮内避妊具、家庭用マッサージ器及び検査検診用手袋に関する国内報告が合計で4件となっております。分類()のプログラム医療機器は、国内報告は1件のみとなっております。なお、これらの国内での不具合報告及び外国での不具合の報告につきましては、資料2--1にてまとめておりますので、後ほど説明いたします。

 続きまして、9ページを御覧ください。コンビネーション医薬品の医療機器部分の不具合報告として、国内報告は552件となっており、これらの不具合報告の詳細については資料2--2で別途まとめております。また再生医療等製品に関しましては、国内報告で69件となっており、こちらは資料2--3にて別途まとめております。

 続いて、10ページにスクロールしてください。10ページ~11ページにかけては、平成27年度以降、新医療機器として承認された品目の国内での主な不具合報告の状況について説明しております。平成2910月1日から平成30年3月31日までの期間において、国内不具合報告があったものは、平成27年度に承認されたものが13品目、11ページにスクロールしていただき、平成28年度に承認されたものが4品目、平成29年度に承認されたものからは1品目となっております。こちらは大半が添付文書に記載されている既知の事象ですが、未知の事象が新たに報告された場合には、速やかに添付文書の改訂をするとともに、医療現場への情報提供を行ってまいる所存です。また引き続き、不具合・健康被害の情報を注意深く収集している状況です。資料2-1の説明は以上です。

 資料一覧にお戻りください。資料2--1のファイルを開いてください。医療機器不具合報告(ラインリスト)のファイルです。こちらの資料2--1の1ページに注意事項として、不具合報告リストの見方が記載されております。この報告については、医療機器との因果関係が不明なものも含め、製造販売業者等から報告されたものであること、報告に関する分類は先ほどお話した区分である()から()までの9分類に分かれており、次に目次が記載されております。次のページからは、表の下にページ番号を記し、ラインリストでの一覧を記載しております。一覧の掲載順に関しましては、医療機器の一般的名称、企業名、販売名の順に五十音順で掲載しており、外国報告に関しましては、国内の報告とは分けて、国内報告の後ろに続く形で参考としてまとめております。それぞれの報告につきましては、提出された報告書の件数を示したものになっており、同一症例で複数の医療機器が関与している場合には、複数の企業からそれぞれ報告されることがありますので、このような場合には同一の症例を重複してカウントすることになります。したがって、報告件数がそのまま症例数にはならない場合があります。また報告症例の中には、不具合状況がなし又は不明であり、かつ、健康被害状況が不明のケースがあります。これは健康被害状況が不明で、機器との因果関係を否定できないと判断するだけの情報が得られなかったため、不具合報告がされたものがあります。

 表の右端の対応状況の覧に関しましては、対応措置の項目として、原則して平成30年3月31日時点での措置の内容を簡潔に記載しております。「回収(改修)」と記載しているものは、製品を医療現場から引き上げる回収をした場合、又は修理や検査の実施を行った「改修」の措置を取ったことを示しております。「情報提供」と記載してあるものは、添付文書の改訂、あるいは書面による注意喚起文書を、医療機関等に配布したなどの措置を取ったものです。この中には、既に添付文書等で関連する注意喚起の記述がなされているものも含んでおります。資料2--1、こちらの医療機器の不具合報告のまとめと同様に、資料2--2では、コンビネーション医薬品の医療機器部分に関する不具合報告、資料2--3では、再生医療等製品に関する報告をそれぞれ一覧表でまとめております。

 続きまして、資料一覧にお戻りください。資料2-3、「外国措置報告」について説明いたします。医療機器に関する外国措置報告につきましては、企業が外国でも同一性を有する製品、つまり、日本で承認を受けた医療機器と形状、構造、原材料、使用方法、効能、効果、性能等が同一性を有すると認められる外国で使用されている医療機器を製造販売している場合に、外国の規制当局等で取られた措置について、日本の行政当局にも報告するというものになります。

 平成29年度下半期では1,107件の報告がきており、資料の一番右の2列には、国内外でのそれぞれでの対応の状況について記載しております。外国で措置を行った結果について、例えば、日本の対象製品がない場合を除き、おおむね日本においても同様の対応が取られている状況です

 資料2-4を御覧ください。こちらでは医療機器の「研究報告」についてで、議題1にて簡単に説明したとおり、不具合の発生頻度や不具合発生状況等、こういった疫学調査や集計・分析等に関する内容の文献報告等があった場合に報告されるもので、今回は文献数にして1,158本ありました。なお今回の報告により、安全対策上の措置が必要になったものはありません。説明は以上です。

○荒井部会長 ありがとうございました。実はここがこの部会の実力を試される所で、かなり膨大な資料の中で、あくまで報告をされてきたものの一覧です。こちらから調べに行ったものでは決してないのですが、この中の全体の傾向、あるいは個別の流れについて、御専門の立場からこの点は問題ではないかということがあれば、御指摘いただきたいと思います。いかがでしょう。

○木下委員 木下です。私は眼科ですけれども、眼科のこの不具合報告を見ますと、やはり特定の企業からだけ出てきているように思います。例えば眼内レンズは承認されているものは決して1社や2社ではなくて10社程はあるかと思いますが、不具合報告は事実上1社からしか出ていません。現場とはそこに齟齬(そご)があるのではないでしょうか。コンタクトレンズにしてもそうではなかろうかと思います。あくまで自主的な報告ということで仕方ないのかもしれませんが、制度的には若干問題があるのかも分からないなと思いました。

○荒井部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。

○事務局 御指摘ありがとうございます。今御指摘いただいた眼科の領域の状況について、直ちにお答えできる手元の情報はないのですが、企業ごとの情報収集の体制等に差がある可能性はもちろんありますが、本当にそれでいいのかということも含めて、持ち帰って状況を確認させていただければと思います。

○荒井部会長 医薬安全対策課長、よろしいですか。

○医薬安全対策課長 大事な御意見を頂いたと思っておりまして、企業によって取組に格差がどうしても生じてしまうというのが実態だと思いますが、制度上は製造販売業を営むに当たって、必ずその製品に対して市場といいましょうか、医療の現場に対する責任は承認を得た会社が負うという原則がございますので、それぞれ製品を扱う会社にとっては、万全を期して情報を集めていただくのが基本だと思います。個別にどうしていくかといいますと、何社かから、ある医療機器に関して不具合が上がってきた場合には、やはり同系統の医療機器を扱っている会社に、できるだけ、ある社のものではこういうことが起こっているけれども、ほかの会社ではどうだったかなど、あの手この手でできるだけ、複数の会社が同じものを扱っているような場合には、幅広く情報が能動的に上がってくることが一番いいのですが、それがどうもままならない場合であっても、今のような形でできるだけの努力をしていくことが一つの方法かなと思っております。

○荒井部会長 ありがとうございます。今の木下委員からの御意見は、この部会の全てのディスカッションの基の、根底の資料がどのくらいきちんと集められるかというところです。今、課長からもお話がありましたが、是非よろしくお願いいたします。そのほか、御意見はいかがでしょうか。

○三井委員 歯科の方からなのですが、不具合報告の資料2-1、7/11の分類()の所です。2段目の粘着型義歯床安定用糊材の部分ですけれども、ここの主な不具合又は健康被害状況の所で、その中に尿路結石や心臓の手術があり、これは全く結びつかない部分ではないのかなと思います。そうなりますと、この不具合の報告自体が本当に確かなものかどうかという部分かと思いますが、いかがでしょうか。

○事務局 今回の不具合報告は確かにそう思われる部分はあると思いますが、基本的には製造販売業者の方で、この発生した不具合について製品との因果関係を評価しておりまして、恐らくこちらの企業さんが、どうしてもこの因果関係を否定できなかったのかなと思われるところです。

○事務局 事務局からもう一言補足させていただいてよろしいでしょうか。製造販売業者の立場といたしますと、医療現場の報告者の方から、このものを使っている人でこういう事例がありましたという報告があって、医師の方に因果関係が分かりませんと言われてしまうと、なかなかメーカーの判断で因果関係を否定しきれないと考え、因果関係不明ということで取りあえず出すという、ある意味保守的なというか、念のため出しておくというような対応が実態としてあるのは事実でございます。見ていただきますと、この粘着型義歯床安定用糊材の中で、尿路結石1件であるとか、心臓の手術1件であるとか、1件ないし数件ものがこの中に紛れ込んでいるというのは我々も認識しているところで、御了承いただければと思っております。ただ、個別の症例は機構でも見ておりまして、もしそれが本当に何かリスクがあるような場合であったら、詳しい説明を求めたり、対応を検討したりさせていただいているところです。

○荒井部会長 よろしいでしょうか。

○三井委員 はい、ありがとうございます。一応、因果関係が逆に不明に分類される部分であるという認識をさせていただいたらいいと思います。ありがとうございます。

○荒井部会長 いわゆる臨床試験の有害事象を拾う際は、不具合を全部拾います。1件出ても、ずっと1件だけなら恐らく関係ないとしますが、まさか関係ないと思っていたものが数件出てきて、因果が疑われ始める。医薬品の副作用にも、そうして見つかったものが結構ありますので、要するに、勝手に企業が判断して自分の所で切り落してはいないということで、御理解いただければと思います。その他ありますか。

○岩﨑委員 大変な御努力で、研究報告も増えてきたわけですけれども、研究報告が平成29年で年間に2,700件もあり、どう分析していくかについては、結構頭が痛いことなのだと思うのですが、今後どうするべきなのかという検討はこれからでしょうか。

○荒井部会長 研究報告についての取扱い、当然膨大だと思うのですが、その辺の実情でも結構ですが、何かありますか。

○医薬品医療機器総合機構 機構側から説明させていただきます。基本的には過去の添付文書等で記載されている内容以外のものが出ているか既知事象であれば、特に対策を取らなくて済むのではないかという観点で新規事象を主に見ながら、研究報告を確認しているところです。

○荒井部会長 よろしいですか。相当な、大変な労力だと思いますが。

○医薬品医療機器総合機構 すみません、機構側からもう少し補足させていただきます。報告されている文献に関しましては、機構側で毎日全ての文献について、メーカーから報告を頂く際に、概要を全て日本語訳で付けていただいておりまして、それをまず全て確認をし、その上で少なくとも添付文書等で必要な情報提供がなされているかということも、きちんと報告書の中に書かれておりますので、それも確認した上で、少なくとも情報提供されているのであれば、これ以上何か対策を取る必要があるかどうかは、毎日全ての報告について確認をさせていただいているという状況です。もし、仮に情報提供されていないものも含めて、あった場合にはどのような対策を取るべきなのか、あるいは今後もどのような抽出の仕方をしていくのか等をディスカッションさせていただいて、それで問題がなさそうだということであれば、特段対策を取らない。あるいは機構側でも抽出をしていく形で、毎日検討させていただいているところです。

○荒井部会長 ありがとうございます。相当きちんとした対応をしていただいているということです。よろしいですか。

○宮地委員 今の研究報告のことなのですが、これは日本語で検討されているということですが、本当にその合併症などに関したものだけを抽出しているのか、それに関わるかもしれないことを非常に広く入れているのかが1点と、もう1点は、せっかく色々書いてあるのに、分類がばらばらに出てくるのですが、次からはもう少し同じ項目について、同じ所に入れてもらうようにしていただかないと、探すのが大変なので、そこをお願いしたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 機構からお答えします。まず、一つ目の御質問ですけれども、書かれている内容の日本の要約に関しましては、少なくともまずサマリーの部分が書かれておりますので、その内容を確認させていただきます。その上で、そこに記載されている有害事象、サマリーの中に有害事象が書かれていない場合もありますので、その場合には、メーカーの方で、こういう有害事象が報告されているというのが書かれている場合が多いです。それをもとに、添付も頂いておりますので、論文の中身も確認しながら検討させていただいているという状況です。ですので、もちろん全てのものが抜き取れて十分検討できているかというところは、もちろんこちらではきちんと行っていると思っておりますが、そこの部分はやらせていただいているというところです。資料につきましては、厚労省の方からお願いいたします。

○事務局 続きまして厚生労働省でございます。資料の御指摘については、受け止めて検討させていただきたいと思います。現状は一般的名称と文献名しか書いてなく、読みづらいというのは御指摘のとおりかと思います。頂いている報告をどのように整理しているかという部分とも絡んでまいりますので、どうできるかというのは、お時間を頂いて検討させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 よろしいでしょうか。電子媒体になったので、その辺の見方を変えることは紙ベースよりは簡単になるかもしれないので、是非御検討ください。お願いいたします。そのほか、議題()につきまして、よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 議題()に進ませていただきます。「医療機器・再生医療等製品の感染症定期報告について」事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 議題()の感染症定期報告について御説明します。資料は資料3のシリーズになります。お手元のタブレットで資料3--1を御覧ください。まず感染症定期報告について、制度の概要を御説明いたします。

 「ヒトや動物等に由来し、保健衛生上特別な注意を要するものとして、厚生労働大臣が指定する生物由来製品や再生医療等製品につきましては、その原材料が細胞組織等であることから、未知の感染因子である細菌、ウイルス等が含まれている可能性が否定できない」というものです。また、感染症につきましては、「一般的な医薬品、医療機器の副作用、不具合等と比べ、製品との因果関係が明確になる以前から潜在的に感染が進行する恐れがあり、更に、感染した後については、時間の経過に伴い軽減することはなく、一定期間経過後に顕在化する恐れがある」というものになります。このような背景も踏まえまして、生物由来製品、再生医療等製品については、医薬品医療機器法において、製造販売業者に対し、製品への直接的な影響が不明であるものも含め、さらに、製品そのものだけではなく、原料動物等の感染症に関する知見についても常に最新の情報を把握し、それを集積した上でリスクを適切に評価し、その結果を機構に報告するよう義務付けております。こちらが感染症定期報告というものです。この報告された情報につきましては、本部会も含めた薬事・食品衛生審議会に報告しまして、必要な措置がないかどうか検討を頂いているところです。

 資料です。資料3-1と資料3-2に分かれておりまして、資料3-2が重複を含む期間中の全ての報告です。資料3-1は、報告された文献のうち、重複や過去に報告されたものを整理し、今回の期間に新規に報告されたものをまとめたものになっております。

 資料3--1です。資料は3--1ともう一つ、3--2の二つに大きく分かれておりますが、前者の資料3--1が医療機器、資料3--2が再生医療等製品の報告をまとめたものになります。

 資料3--1を御覧ください。こちらについては、今回、新たに文献として報告されたものが12件ありました。細かい内容の説明は省略しますが、比較的多かった内容として、E型肝炎、インフルエンザの関係です。それぞれ2件ずつ報告されているものです。

 資料3--2を御覧ください。201711月1日から2018年3月31日の期間に、新規の文献を含む感染症定期報告は報告されませんでした。こちらの内容の確認ですが、国立感染症研究所の脇田委員、宮﨑委員、国立医薬品食品衛生研究所の澤田委員に事前に御確認を頂いております。今回につきましては、委員の方からは特段の御意見、コメントは頂いていない状況です。議題()の感染症定期報告に関する御説明は以上です。よろしくお願いします。

○荒井部会長 ありがとうございます。御専門の委員からも特段の御意見はなかったのですが、特に宮﨑委員、脇田委員、いかがでしょうか。お願いします。

○脇田委員 定期的に見させていただいていますが、今回、特に注意を要するものはございませんでした。

○荒井部会長 そのほかの委員の方々はよろしいでしょうか。よろしければ、議題()はこれで終了させていただいて議題()に進みます。「回収報告」です。事務局から説明をお願いします。

○事務局 議題()「医薬品・医療機器等の回収報告の状況について」、資料4-1、資料4-2に基づいて御説明します。医薬品医療機器法第68条の11に基づき、医薬品や医療機器の製造販売業者等は、その製造販売をした医薬品や医療機器等を回収する際には、回収に着手した旨、それからその回収の状況を厚生労働大臣に報告しなければならないとされています。また、製造販売業者等からの回収の着手報告がなされた場合については、全ての事例をインターネット等で公開しているところです。本件については、医薬品医療機器法第68条の12の規定に基づき、薬事・食品衛生審議会への報告を行うものです。資料4-1を御覧ください。

 資料4-1、1ページの1.「回収件数年次推移」になります。平成29年度に関しては、表の上から、医薬品が129件、医薬部外品が17件、化粧品が80件、医療機器が398件、再生医療等製品は0件となっておりまして、全体で624件となっております。平成28年度及び過去の件数と比較して報告数に大きな変動はないと考えられます。

 2ページは、「平成29年度医薬品・医療機器等の回収件数及びクラス分類」です。クラス分類については、危害の発生の恐れの大きいものから、クラスIIIIIIとされております。医薬品等については割愛します。医療機器については、クラスIの回収が7件、クラスIIの回収が350件、クラスIIIの回収が41件の計398件となっています。再生医療等製品は0件です。

 資料一覧に戻っていただき、資料4-2を御覧ください。資料4-2では、それぞれの製品名、回収の理由が記載されております。クラスIの回収については1ページ~2ページ、クラスIIについては3ページ~61ページ、クラスIIIについては62ページ~67ページに記載しております。1ページからのクラスIの回収事例について概要を申し上げます。

 資料4-2の1ページです。1番目のバクスターインフューザについては、薬液ポンプなのですが、流速のコントローラーの不具合によって、設定した流速よりも速く薬液が注入される可能性があるということで、それが検査中に分かったため回収されたものです。回収対象は72個です。2番目のTaigaガイディングカテーテルは、当該製品を使用中に、先端チップの断裂や亀裂が発生したとの報告が8件あり回収に至ったものです。回収対象は15,879本です。3番目のインターカテペーシングカテーテルは、当該製品使用中に外装チューブが破断したとの報告が2件あり、調査の結果、外装チューブの接着不良が確認されたため回収に至ったものです。回収対象は253本です。

 2ページ、4番のJarvik2000植込み型補助人工心臓システムは、ポンプに直結したケーブルのコネクタ内部のワイヤーの接続不良が生じるという不具合が確認されたため、回収に至ったものです。回収対象は175台です。5番目のメラHPエクセランプライム等1番から5番まで書かれている欄に記載されている製品については、人工肺の動脈血出口ポートが外れたという事例がありまして、調査の結果、出口ポートのツメがうまく嵌合しなかったことが確認されたため回収に至った事例です。回収対象は()の製品が301個、()102個、()35組、()84組、()183組です。6番目のハナコ・IRカテーテルは、術後にカテーテルを抜去したところ、カテーテルの先端部の破損を確認したことを受けて回収に至ったものです。回収対象は21,063本です。7番目になりますが、カーディアックレスキューRQ-5000は、回路構成部品の故障によってAEDとして使用できないものが確認されたため回収に至ったもので、回収対象は169台です。クラスII、クラスIIIに関しての説明は省略させていただきます。以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます。それでは、議題()につきまして、御意見いかがでしょうか。

○木下委員 1つだけ教えてほしいのですが、再生医療等製品で自主回収するというのは、どのような場合が想定されるのでしょうか。といいますのは、再生医療等製品には品質規格があるので、それを満たしていない限りは使わないと思うのです。本件はこれ全て0件になっていますが、どういうときがあり得るのか教えていただけると有り難いです。

○事務局 再生医療等製品の回収は、これまでは平成27年に1件だけ回収がありましたが、手元にこの平成27年の1件の資料がありませんので申し上げられないのですが、件数自体はかなり少ないです。ホームページに公表しておりますので、そちらで確認はできます。

○事務局 補足してもよろしいでしょうか。一つ想定されるとすれば、他家の移植などで、移植元の方が後から何か感染症が分かったりしたケースなどはクラスIで回収されるものがあるかと思います。あとは、製品の機能を発揮できないようなことが後から分かったというのがあり得ればですが回収となりますが、現実的には想定しづらいと思います。他に回収理由として想定されるのは、表示エラーという部分もあります。クラスI回収であれば、重篤な健康被害の恐れがあるものとして同じものなので、恐らく、再生製品は感染症ぐらいしか思い付かないかと思っております。使用期限が本来の日付より長かった場合などはクラスIIとして回収の対象になるかと思っております。

○木下委員 分かりました。

○荒井部会長 よろしいでしょうか。そのほか御質問等いかがでしょうか。これは回収と言っても回収すればいいというものでもなくて、起こってから回収するまでの判断のタイミングが結構大事かと思います。その辺に関しては何か、特にそれを受けている側としては、今までに問題、あるいは指導などそういった点ではよろしいですか。

○事務局 クラスIであるような、特にリスクの非常に大きいものについては、迅速な情報提供と、それから製品の回収が重要であると我々は考えておりまして、その点はメーカーにおいても高い安全意識を持っていただくよう指導しているところです。迅速に対応いただくように、こちらからも指示、指導しているところです。

○荒井部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。よろしければ、議題()を終了しまして、最後に議題()「その他」について、事務局から説明をお願いします。

○事務局 それでは議題()「その他」について、資料5-1から資料5-4に沿って御説明します。資料5-1、資料5-2については、添付文書の記載例に関する内容であるため、併せて順に御説明します。

 はじめに、資料5-1を御覧ください。添付文書をどのように記載するか、という記載要領につきましては、平成2610月の通知で新しい記載要領を定めたところでしたが、各医療機器について、具体的にどういうものが標準的かという各論までは述べられておりませんでした。そのため、それぞれの製品群の添付文書について、それぞれの分野の工業会が、添付文書記載要領をもとに雛形となる記載例を随時作成してきております。これまでには、添付文書の記載例「その1」として輸液ポンプ等、「その2」ではペースメーカー等、「その3」では補聴器関係機器、「その4」では眼内レンズと白内障・硝子体手術装置、「その5」では電気手術機器等とX線・CT・MRI及び超音波等の診断装置、「その6」では歯科用医療機器について、それぞれ添付文書の記載例が作成され取りまとめられてきました。そしてこの度、「その7」として、一般社団法人日本医療機器テクノロジー協会において、血液浄化療法、人工心肺及び自己血回収装置の関連製品群について、添付文書の記載例が取りまとめられました。事務連絡の別紙において、取りまとめられた添付文書記載例を掲載しております。

 資料5-2を御覧ください。「その8」として、一般社団法人日本画像医療システム工業会において、粒子線治療装置について添付文書の記載例が取りまとめられました。「その7」と同様に、事務連絡の別紙に記載例があります。資料5-1及び資料5-2については以上です。

 資料5-3を御覧ください。膀胱留置カテーテルは、術後の持続的導尿を目的として使用されるものですが、尿道内を経由してカテーテルを膀胱へ留置する際に、カテーテル先端部の留置用バルーンの位置の確認が不十分なために、尿道内でバルーンを展開してしまい、尿道損傷が発生してしまった事例が繰り返し報告されております。この状況を踏まえまして、膀胱留置カテーテルの留置をする際の取扱いの注意点について、PMDA医療安全情報が取りまとめられました。1ページでは、カテーテルを適正な位置に留置するためのポイントについて、2ページでは、カテーテルへの尿の流出が確認できない場合の対処方法として、恥骨上部の圧迫、カテーテルの位置の調整、再挿入の三つを示しており、3ページでは、バルーン拡張時の注意点について、カテーテルへの尿の流出が確認できてから、カテーテルを更に奥に挿入してバルーンを拡張するよう注意喚起をしております。資料5-3は以上です。

 資料5-4を御覧ください。機構からの医療機器適正使用のお願いです。経カテーテル的大動脈弁留置術用生体弁とは、カテーテルを用いて、経血管的に心臓弁を大動脈弁部に展開、留置することで治療を行うデバイスです。このデバイスを用いた経カテーテル的大動脈弁留置術はTAVIと呼ばれます。今回の適正使用のお願いの1ページの上段に記載があります。TAVI用生体弁を、破裂等の合併症が予測される弁輪の高度石灰化病変、狭小なアクセス血管、壁在血栓及び粥腫の条件にて使用した際に、2ページに示しているように、弁輪破裂、弁周囲逆流といった重篤な有害事象が発生した事例が報告されております。これらの条件における使用については、各製品の添付文書で既に注意喚起がなされておりますが、2ページに記載のとおり、健康被害が生じた事例が報告されている状況です。そのため、機構から、今回の適正使用のお願いを発出しまして、添付文書の「警告」や「使用上の注意」を確認し、TAVIを検討する際には、治療に携わるスタッフとともに患者のリスク因子を十分に評価し、それに基づく必要な準備をした上で、慎重な手技を実施する等の総合的な判断をするよう注意喚起しております。資料5-1から資料5-4までの説明は以上です。

○荒井部会長 ありがとうございました。御意見いかがでしょうか。添付文書につきましては、以前に比べますと随分見やすくなったと思います。7と8についてです。後段の機構からの注意喚起につきましては、多分、医療現場の方々は、例えば、膀胱バルーンなどになってきますと、ここら辺を機構が出して、ある意味、もう医者の技術の基本中の基本で、「たしなみ」に近いところなので、わざわざ出していただくほどのものかというのもあるかもしれませんし、反面、後のTAVIになってきますと、これはかなり超専門的な領域ですので、むしろ学会や何かが主体で動いていることだと思いますが、この辺の安全の情報といったものは、様々な所から重複で出てくるのは決して悪いことではないのかと私は認識しておりますが、いかがでしょうか。小野先生、よろしいですか。

○小野部会長代理 TAVIにつきましては、私たちも日常やっておりますが、やはり重篤な有害事象が起こることは、既に欧米での様々な大規模な臨床試験の中で分かっていることであります。ただ、デバイスの改良とともに、こういった重篤な有害事象が減少傾向にあることも同時に報告されております。その一方で、日本でかなりの急速な勢いでこのTAVIが導入され、また実際に患者の数も増えている中、一定のこの段階においてこういう注意喚起という形で発出をしていただくというのは、一旦、走っているところで少し後ろを振り向いてみましょうと一呼吸置くという意味においては、重要なタイミングでの、こういった合併症のリマインドと言いましょうか、こういうことが起こることはもう治療している皆さんはもちろん知っているわけですが、やはり一度起こると死亡に直結する可能性の高いものがこういった形で多数列挙されておりますので、そういう意味では、いいタイミングで余り熱くならないでといった感じでいいと思っております。

○荒井部会長 ありがとうございます。まずこの議題()については御意見等ございますか、よろしいですか。これで、本日の予定された議題は全て終了なのですが、先に申し上げたように、少し戻っても結構ですが、何か全体を通じて言い忘れたことやお気付きになった点はございますか。よろしいですか。よろしければ、本日予定しておりました報告事項は全て終了となりました。そのほか何かございませんでしたら、事務局から連絡等をお願いします。

○事務局 次回の部会の日程につきましては、例年どおり、平成311月頃を予定しておりますが、別途、部会での審議等が必要な議題が生じた場合には、開催予定が早まることがございますので御承知置き願います。また、日程調整等につきましては、事務局より、改めて先生方の御都合をお伺いし決めさせていただきます。以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます。よろしいですか。それでは、これで、平成30年度第1回の医療機器・再生医療等製品安全対策部会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。

( 了 )

 

備  考
本部会は、公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 安全対策課安全使用推進室 副作用情報専門官 岩瀬(内線2751)

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