ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 子ども家庭局が実施する検討会等> 保育士養成課程等検討会(平成27年6月から)> 第9回保育士養成課程等検討会(2017年12月4日)




2017年12月4日 第9回保育士養成課程等検討会

子ども家庭局保育課

○日時

平成29年12月4日(月)17時から19時


○場所

中央合同庁舎第5号館 共用第8会議室


○出席者

構成員

汐見座長、小川副座長、阿部構成員、網野構成員、近喰構成員、清水構成員、津金構成員、前田構成員、宮田構成員、三代川構成員、村松構成員、山縣構成員

厚生労働省

成田審議官、巽保育課長、唐沢企画官、川島課長補佐、高辻保育指導専門官、鎮目保育指導専門官

○議題

(1) 保育士養成課程等の見直しについて
(2) その他

○議事

○川島課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、第9回「保育士養成課程等検討会」を開催いたします。

 構成員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日の構成員の出欠状況でございますが、構成員12名に御出席いただいております。

 まず、資料の確認をさせていただきます。

 配付させていただいている資料、まず、議事次第でございます。

 資料1-1、検討の整理(案)。

 資料1-2、教授内容等について(素案)。

 資料1-3、保育士試験の出題範囲について(素案)。

 資料2、検討の整理の概要(案)。

 資料3、今後のスケジュールについて。

 前田構成員からは、「教育・保育施設等における事故報告及び事故情報データベース」、「事故情報データベースの概要」の2つの資料を提出いただいてございます。

 以上、資料の欠落等がございましたら、事務局までお申しつけ願います。

 本日、カメラの撮影はここまでとさせていただきます。傍聴される皆様方におかれましては、事前にお知らせしております傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いいたします。

 汐見座長、よろしくお願いいたします。

○汐見座長 前回の検討会で論点が出されて、それを踏まえて検討会のもとに設置したワーキンググループにおいて、論点を整理していただきまして、さらに今日はもう少し整理された案が提案されています。

 はじめに、ワーキンググループにおける検討状況について小川副座長から報告をお願いします。

○小川副座長 それでは、私から、まず、前回の第8回「保育士養成課程等検討会」が10月4日に開催されましたが、その後、11月6日にワーキンググループを開催し、資料1-1に整理を行いました。

 前回、この検討会でいただいた御意見を踏まえました見直し内容の再整理に加えまして、新たに社会的養護や障害児保育の充実に向けた整理、教科目の系列、保育実習実施基準の見直しについて検討いたしました。

 また、保育士試験に関しては、養成課程の見直しに伴う試験科目の名称、試験科目に対応する養成課程教科目や出題範囲等の見直しについて新たに検討し、見直しの方向性について整理いたしました。

 今後の保育士に必要となる専門的知識・技術の習得を念頭に検討・整理を行いましたので、本日、構成員の皆様から御意見をお願いいたします。

 では、まず、見直し内容の詳細につきましては、事務局から説明させていただきます。よろしくお願いいたします。

○汐見座長 ありがとうございました。

 養成課程の見直しについて、保育士試験について、全般的事項について、3つに分けてそれぞれの説明、質疑、意見交換を行っていきたいと思います。

 それでは、まず初めに、養成課程の見直しについて、事務局より資料1-1について御説明をお願いいたします。

○鎭目保育指導専門官 それでは、事務局より検討の整理につきまして、資料1-1を用いまして御説明をさせていただきます。

 なお、資料2の別紙2において内容の再編の主な項目についての考え方をお示ししております。

 まず、「はじめに」において本検討会の状況についてお示ししております。

 平成29年5月から12月までの間、検討会をもとにワーキングも設置し、合計7回にわたり御検討いただき、保育士養成課程見直しを取りまとめいただきました。

 検討に当たり、関係団体からのヒアリング、また、養成校を対象にしたアンケート調査を実施し、それらの意見を踏まえ検討していただきました。また、保育士試験等への対応についても御検討いただきました。

 報告書の、2ページに進みたいと思います。

 まず、「第1.保育士養成課程等の見直しの背景」をお示ししております。

 平成23年の現行の養成課程につきまして7年目を迎えているところでございます。この間の情勢といたしまして、平成27年4月に子ども・子育て支援新制度が施行し、また、0歳から2歳児を中心といたしました保育所利用児童数が増加し、利用率は、平成2331.0%でありましたところ、平成29年には45.7%となっております。

 また、子育て世帯における子育ての負担感や孤立感の高まりの背景として、児童虐待相談件数は、平成23年には5万9,919件から、平成28年では122,575件と増加をしております。

 こうした保育を取り巻く社会情勢が変化する中で、保育所保育指針が平成29年3月31日、約10年ぶりに改定されております。年齢層ごとの保育のねらい及び内容の明確化、幼児教育の積極的な位置づけ、養護に関する基本的事項の明記、職員の資質・専門性の向上などが盛り込まれております。

 さらに、平成29年度からは、保育所等におけるキャリアアップの仕組みの構築、一定の技能・経験を有する職員についての相応の改善を行うことで、職場への定着を図るための研修のガイドラインが整備されましたことを踏まえまして、キャリアアップ研修が各都道府県において開始されました。

 このような状況を踏まえまして、今後の保育士に必要となる知識及び技術を念頭に置いた養成課程につきまして、その教科目の名称、授業形態、単位数に加え、目標、教授内容を含むものの見直しの検討を行った報告書でございます。

 それでは、3ページより、「第2.保育士養成課程の見直し」について御説明いたします。

 まず、「1.見直しの観点」といたしまして、先ほどワーキングの小川座長からも御報告いただきましたように、6つの観点から関連する教科目の名称、教授内容等について検討を行っていただきました。四角の囲みの中で1から6までお示ししていただいたところが今回の6つの観点でございます。

 また、各教科目の目標及び教授内容につきまして、各観点に係る具体的な見直しの方向性を踏まえつつ、表記・表現の適正化に留意し、内容を見直すことが適当ということで、見直し後の内容につきまして、資料2の別添1でお示ししております各教科目の目標及び教授内容について、見直し後の内容をお示ししているところでございます。

 こちらにつきましては、本日ご覧いただいた上で、お気づきの点について御意見いただければと考えております。よろしくお願いいたします。

 また、今回の検討に当たって留意した観点につきましてもお示ししていただいているところでございます。

 まず、2ページの下に3つのポツで示していただいているところでございますが、保育士養成課程を構成する教科目全体の体系化・構造化、それによる各教科目の位置づけや教科目間の関連性を明確化しております。

 2つ目のポツといたしまして、保育関係施設のみならず、保育士が勤務する多様な施設を念頭に置いた検討、そして、18歳未満の子ども及び家庭(保護者)への支援を実践する職であるということを意識した検討を行っていただきました。

 また、子どもや家庭を取り巻く状況が多様化・複雑化する中において、保育の専門職としてのキャリアアップの重要性、また、様々な職種との連携・協働の必要性、そして、現行の総履修単位数を維持しつつ、また、習得すべき内容が過度にならないような配慮も含めまして、総合的な検討をいただきました。

 続きまして、4ページです。

 「2.見直しの方向性」ということで、先ほどお示しいたしました観点につきまして、それぞれ御提案いただいているところでございます。

 まず、「教科目の名称や教授内容等」につきまして、「(1)乳児(3歳未満児)の保育の充実」という観点で整理をしていただいております。

 こちらに関しては、乳児の保育に関する教育効果を高めるための講義科目の新設について御提案をいただいているところでございます。

 具体的な提案の内容といたしまして、教科目の新設につきまして、現行の教科目、「乳児保育」(演習科目)の目標、教授内容につきまして、「乳児保育1」(講義科目)と「乳児保育2」(演習科目)に再編し、内容を充実します。

 また、併せまして、現行の複数の教科目、具体的には下の※でお示ししている「保育の心理学」等の科目ですが、こちらに含まれます低年齢児、いわゆる3歳未満児の保育内容に関する教授内容について、相互の関連性を体系的に整理した上での内容の充実・整理の必要についても御提案いただいているところでございます。

 続きまして、5ページ、観点の2といたしまして、「幼児教育を行う施設としての保育の実践」につきまして御提案いただいているところでございます。

 まず、「ア.保育の計画と評価に関する内容の充実」に関しまして、こちらは保育に係る計画から評価・改善に至る過程につきましての教授内容の充実、また、新たな教授内容に即しました教科目名を御検討いただきました。

 教授内容の充実とともに教科目名の変更といたしまして、現行「保育課程論(講義2単位)」としているところを、「保育の計画と評価(講義2単位)」として教科目名を変更することが適当としております。

 「イ.子どもの生活と遊びの援助に関する内容の充実」につきまして、改定後の保育所保育指針で示されました「育みたい資質・能力」及び「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を念頭に置きつつ、こうしたことに関連する教科目の教授内容等の充実について必要な御検討をいただきました。

 具体的な検討として、教授内容等の充実につきまして、現行の関連する教科目、※で挙げさせていただいております「保育内容総論(演習1単位)」や「保育内容演習(演習5単位)」等の目標や教授内容について、保育の目標や保育内容など、こうした保育の全体構造を理解した上での子どもの発達過程を見通した保育内容の計画、また、実態に即して展開する保育の実践力の強化、こうしたことを念頭に置いた内容の充実・整理につきまして、検討の必要を御提案いただいております。

 また、現行の教科目、「保育の表現技術(演習4単位)」につきまして、内容の整理・充実を図ることとして、「保育内容の理解と方法(演習4単位)」とするのが適当ということで御提案いただいております。

 続きまして、3つ目の観点、「『養護』の視点を踏まえた実践力の向上」として、まず、「ア.『養護』及び『養護と教育の一体性』全般に関する内容の充実」につきましての御提案でございます。

 教授内容の充実につきましては、保育の活動全般に必要な「養護」及び「養護と教育の一体性」に関連する現行複数の教科目、例えば「保育原理」や「子どもの保健」等、また、「保育の心理学」、「保育課程論」等、多岐にわたるこうした科目の目標や教授内容につきまして、各教科目の関連性を体系的に整理した上で、さらに各教科目の特性を踏まえての整理・充実が望ましいという内容の充実についての御提案をいただいております。

 こうしたアにおきましての御提案を踏まえまして、イとして「子どもの発達及び学習の過程や特性に係る理解の促進」ということで、養護と教育の一体性が保育所保育の特性であること、保育所保育が幼児教育の一翼を担っていることの前提として、子どもの発達及び学習の過程や特性を十分に理解させることの必要について、具体的に、まず、1「子ども及び子どもの家庭に関する包括的な理解の促進」ということで、保育士に子どもの発達過程や家庭など、保育や子育て支援の基本となる対象の理解が不可欠であること、また、このため、子どもの発達や学習の過程、生涯発達、多様な育ちなど、保育や子育て支援に関する内容を包括的に習得できるように、新たな教科目の設置が必要なこと、そして、各教科目の教授内容を再編整理、内容の充実の必要について御提案をいただいております。

 具体的には、7ページの「教科目の新設」につきまして、まず、「子ども家庭支援の心理学(講義2単位)」の新設の必要につきまして御提案いただいております。

 こちらは、「教授内容等の再編整理」ということで、現行の教科目「保育の心理学」につきまして、目標、教授内容を、現行の教科目「子どもの保健1」から関連する教授内容を移行しつつ、保育実践や子どもの理解に必要となる子どもの発達及び学習の過程や特性に関する内容を中心に整理しております。

 また、それを踏まえまして、次のポツですけれども、現行の教科目「保育の心理学」の目標、教授内容のうち、18歳未満の児童の援助や子育て支援に必要となる生涯発達と初期経験の重要性についてと、新たな教科目「子ども家庭支援の心理学」への移行、そして、関連する教科目に含まれる、以下でお示ししていただいている教授内容について、新たな教科目「子ども家庭支援の心理学」に移行します。具体的には、a、b、cで3点、現行の教科目「保育の心理学」に含まれる内容に関して、また、bといたしまして、現行の教科目「家庭支援論」に含まれる教授内容につきまして、cでは、「子どもの保健」に含まれます教授内容につきましての移行について御提案いただいているところでございます。

 2「子どもの理解に基づく保育の実践的内容の充実」につきましては、保育を行う際に、環境を通した保育の重要性の観点から、子どもの理解と、それに基づく保育の実践力を身につけることの重要性について御検討いただきました。

 こちらは具体的には「教授内容等の充実」につきまして、まず、現行の教科目を「保育の心理学2(演習1単位)」の目標及び教授内容につきまして御検討いただきました。こちらは新たな教科目名といたしまして、「子どもの理解と援助(演習1単位)」とするのが適当という御提案をいただいております。

 こちらの教科目名の変更にあわせまして、従来、「保育の心理学1」という形でお示ししておりました講義2単位につきましても、「保育の心理学(講義2単位)」として示すことが適当という御提案をいただいているところでございます。

 続きまして、「3子どもの心理的側面に関する内容の充実」に関しても御提案いただいているところでございます。

 こちらは、子どもの発達過程や精神保健など、保育の対象における子どもの心理的な側面の重要性に鑑み、複数の教科目に含まれる内容の再編につきましての御提案でございます。

 現行の教科目「子どもの保健1(講義4単位)」に含まれる教授内容につきまして、a、b、c、各観点で移行関係を、「保育の心理学」への移行、bのところで精神保健に関する教授内容につきまして、「子ども家庭支援の心理学」への移行、cにつきましては、衛生管理や安全管理に関する教授内容を「子どもの保健2」、演習の科目ですけれども、こちらへの移行ということをお示しいただいております。

 また、こうした再編に伴い、現行の「子どもの保健1」につきましては、子どもの身体発育や生理機能の特性・発達等、保育における保健的対応に必要な基礎的事項を学ぶ教科目としての再編を行うことが適当という御提案をいただいております。

 また、低年齢児に関しましても、こうした観点に関する教授内容の充実・体系化について、併せて御提案いただいております。

 具体的にこうした教授内容の再編に伴う単位数の変更といたしまして、現行「子どもの保健1(講義4単位)」でお示ししているところ、「子どもの保健1(講義2単位)」として行うことが適当であるということを御提案いただいているところでございます。

 さらに、4「保育における子どもの健康及び安全の確保」につきましては、改定後の保育所保育指針や厚生労働省よりお示ししております各種ガイドライン、具体的には※として下に「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」、「保育所における感染症対策ガイドライン」、「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」等を踏まえまして、より実践的な力が身につけられるよう、各教科目における目標や教授内容の整理・充実の必要について御提案いただいております。

 また、こうした趣旨の明確化という観点から、関連する教科目の名称の変更についても御提案をいただいているところでございます。

 具体といたしましては、9ページの「教授内容の充実」につきまして、現行の「子どもの保健2」の教授内容につきまして、新たな教科目を「子どもの健康と安全(演習1単位)」において内容を充実するよう御提案をいただいております。

 こちらに関連して、「教科目名の変更」といたしまして、「子どもの保健2(演習1単位)」としてお示しさせていただいていたところですが、「子どもの健康と安全(演習1単位)」として科目名の変更が適当としております。

 また、これに関連いたしまして、従来「子どもの保健1(講義4単位)」、先ほど御紹介させていただいたところでございますが、単位数とともに科目名称につきましても「子どもの保健」としてお示しすることが適当ということで御提案いただいております。

 また、「留意すべき事項」といたしまして、a、bの2点をお示しいただいております。

 まず、aといたしまして、保育活動全体を通した養護の視点、養護と教育の一体的展開の重要性につきまして、養成課程を構成する教科目全体を通じて教授すべきこと、また、そうしたことについて各教員の理解の促進の重要性、bといたしましては、新たな教科目であります「子どもの健康と安全」につきまして、教授内容の幅が広がることを踏まえた上で担当する教員の適切な確保についても御提案いただいたところでございます。

 観点の4といたしまして、「子どもの育ちや家庭への支援の充実」につきまして、子どもの育ちの支援の内容の充実の観点から、関連する教科目の教授内容の体系的な整理、また、子育て家庭への支援に関する中心的な科目の新設についての必要、子育て家庭への支援についての社会的養護における家庭や保護者の支援に関わる状況等につきまして教授内容に盛り込むことなど、現代的な課題の丁寧な教授につきまして御提案いただいております。

 まず、「ア.子育て家庭支援に関する基礎的な理解の促進」、こちらの具体的内容といたしましては、10ページで「教授内容の集約整理」に関しての御提案をいただいております。

 保育士による子育て家庭の支援に必要となる知識の基礎的理解の促進として、現行の教科目「相談援助」及び「保育相談支援」の教授内容のうち、子育て家庭支援の基本となる事項につきまして、現行の教科目「家庭支援論」の教授内容と統合すること、そして、新たな教科目「子ども家庭支援論」として集約整理することとしております。

 また、「家庭支援論」の教授内容のうち、家庭の意義や機能につきましては、新たな教科目として「子ども家庭支援の心理学」に移行することにより、子ども及び保護者・家族・家庭の理解についての一体的な習得を図ることが望ましいということで、具体的には、こうした再編の中で「教科目名の変更」といたしまして、「家庭支援論」を「子ども家庭支援論」、また、「児童家庭福祉」の科目名を「子ども家庭福祉(講義2単位)」としてのお示しが適当と御提案いただいております。

 また、イ「子育て支援に関する具体的・実践的な内容の充実」につきまして、保育士による具体的な支援に関連する教科目の目標や教授につきまして、ご提案いただいております。

 こちらは、相談支援における基本姿勢や方法論、援助の過程、事例検討などについて、新たな教科目「子育て支援(演習1単位)」の教授内容としての整理再編が適当としております。

 こうしたことで、「教科目の再編」といたしまして、「相談援助」、「保育相談支援」につきまして、「子育て支援」、「子ども家庭支援論」、それぞれ演習1単位、講義2単位として再編することが望ましいという御提案をいただいております。

 5番目の観点といたしまして、ワーキングでも新たに加えていただきました観点、「社会的養護や障害児保育の実践」につきまして御説明申し上げます。

 まず、アとして「社会的養護に関する内容の充実」は、対象となる子どもとその家庭の理解を踏まえ、関連する教科目の関連性の明確化等に関しまして、具体的に御提案いただいているところでございます。

 現行の教科目の「社会的養護」等につきまして、教科目の名称の変更として、「社会的養護1(講義2単位)」、また、「社会的養護内容(演習1単位)」を「社会的養護2」としてお示しすることが望ましいという提案をいただいております。

 障害児保育に関する内容の充実に関しましても、今日的な課題を踏まえまして、ソーシャル・インクルージョン等を踏まえた内容の整理充実、また、特別な配慮を要する子どもの理解等についての充実について、また、現行の教科目の「社会福祉」の中においての共生社会の考え方を踏まえた内容の明示等についても御提案いただいているところです。

 観点として6番目、最後に「保育者としての資質・専門性の向上」につきまして、こちらは現行の教科目「保育者論」の教授内容につきまして、aとしてキャリアアップの重要性やほかの保育士等との協働、また、リーダーシップ等、保育の質の向上に向けた組織的な体制や取り組みに関する内容の充実、また、bといたしまして、保育者として学び続けること等の重要性について御提案いただき、「留意すべき事項」といたしましても、実効性を持った教育の展開の工夫についてお示しいただきました。

 「その他の関連事項」として、「系列」につきまして御提案もいただいております。

 こちらは、現行の系列でお示ししているところを一部変更、現行の「保育の表現技術」につきまして、「保育の内容・方法に関する科目」に統合させるのが望ましいという御提案をいただいております。

 また、イとして「保育実習実施基準」につきましても、保育実習先の拡大につきまして、確保の観点から御提案をいただいております。

 2の「保育実習の計画」についても、指定保育士養成施設と実習施設との間での共有の必要について御提案をいただいております。

 また、3といたしまして、「保育実習の実習指導者」につきまして、保育実習の効果的な実施方法に関する調査研究等を踏まえ、養成施設並びに実習施設の指導者に関する具体的な要件の明示、こういったことにつきまして御提案をいただいたところでございます。

 事務局からは以上でございます。

○汐見座長 ありがとうございました。

 それでは、御説明いただいた養成課程の見直しについて、最初の資料1-1の3ページに6つの観点が出ています。このうちの1から3「乳児の保育の充実」と「幼児教育を行う施設としての保育の実践」、「『養護』の視点を踏まえた実践力の向上」、まず、この前半3つについて議論をしていきたいと思います。御自由に御意見をお願いいたします。

 清水構成員、お願いします。

○清水構成員 帝塚山大学の清水です。

 うまくまとめてくださりありがとうございました。お礼と今後の期待として発言をさせていただけたらと思います。

 新しい指針に対応した形の養成課程になっていると思います。「乳児(3歳未満児)の保育の充実」、「幼児教育を行う施設としての保育の実践」、「『養護』の視点を踏まえた実践力の向上」、それをうまく落とし込んでいただいたと思います。養成校としましては安心して養成ができると思います。

 期待したいことが2つあります。1つは、このような養成課程の変更を保育現場にいかに浸透させるかという問題です。保育士養成課程が保育の質を高める砦の一つだと思います。

 そこで、例えば保育の実施主体である市町村に保育の質の確保であるとか、そうしたものを委ねていただくシステムをつくるとか、せっかくこのような養成課程を整えたとしても、それが現場にいかせない形では困ると思います。今、都道府県のレベルだと認可の部分は可能ですけれども、全部の園に対して指導というのは難しいかなと思います。

 また、保育士不足も絡むと思いますので、実習以外でも園でインターンシップを受けてもらうとか、そんなやり方もあるかと思います。

 養成部分は、保育現場で指針に沿った保育ができるようにということで考えていただいていますので、現場が指針に沿ったことができていなければ、結局養成したことが次につながらない、そのままになってしまう、現場が変わっていかない。トレーニング全体のシステム、この検討会は養成課程の検討ですので、養成課程で終わってしまうのかもしれませんけれども、それではその先、せっかくの養成が活きないと思いますので、何らかの現場に浸透させるようなところまで何か考えられたらいいかなと思います。

 もう一つの期待としまして、平成29年5月から同年12月まで、結局は半年ぐらいしか検討する時間がなかったわけですので、指針を受けて変える、何々があるから変えるだとどうしてもそうなってしまうと思います。そうではなくて、もう少し根本的な部分を変えられるような検討会の立ち上げに期待できたらと思います。もう一歩先をできればやっていただけたら、つくっていただいた養成課程が次に流れると思います。

 以上です。

○汐見座長 ありがとうございました。

 御自由に御意見をお願いします。

 津金構成員、お願いします。

○津金構成員 名古屋学芸大学の津金と申します。よろしくお願いします。

 幼稚園教育要領も含めて、保育所保育指針、教育保育要領の今回の教育・保育の流れに沿って、大学での養成校における内容をまとめていただけて本当にうれしく思っております。ありがとうございました。

 今の部分で1点だけ、文言のことだけなのですけれども気になったところがありました。

 6ページのイ、「子どもの発達及び学習の過程」となっております。「学習の過程」というところについて、今回、保育所も幼児教育の一翼を担う、教育を担うというところで非常に重要な視点だとは思うのですけれども、「学習の過程」という「学習」という言葉が誤解されやすい部分でもあったりしますので、これは細かい文章的な説明で補っていけばいいのかなと思いますけれども、例えば体験を通した学びの過程ですとか、資質・能力が育まれる過程という、そういった内容なのだということがわかるようにどこかに説明が加わると、「学習の過程」と表記するよりは誤解がなく、いろいろなところで受け入れられていくのではないかと思います。

 子どもの生活と遊びの援助に関するところにつながっていく部分かと思いますけれども、「学習の過程」というところで一つ気になりましたので、そのことをお伝えさせていただきたいと思いました。

 以上です。

○汐見座長 ありがとうございました。

 お願いします。

○前田構成員 前田でございます。

 1-1の8ページの「保育における子どもの健康及び安全の確保」について、皆様に御周知させていただきたいことがございまして、発言の機会をいただきます。

 子どもの健康と安全という事業も新設されることになりましたけれども、実は、先生方も御存じかと思われますが、教育・保育施設などにおける重大事故の防止策のガイドラインというのがありまして、お手元にこの2つの資料をお配りしておりますので、ちょっとだけお時間をいただきたいと思います。

 新制度発足に当たりまして、重大事故(死亡事故及び治療に要する期間が30日以上の負傷)に関しましては、保育所が自治体に報告、自治体が関係官庁に報告する仕組みが導入されております。それに伴いまして、これまでは全体的に事故が把握されていたかどうかわからなかったわけですけれども、2015年から事故が把握されるようになりまして、事故情報のデータベースというものが作成されております。ただ、事故情報のデータベースは内閣府のホームページで子ども・子育て本部から、事故情報データベースを閲覧できまして、実は、このデータベースは、エクセルのPDFで入っております。どういう施設で事故が起こったか、事故の発生時間帯や事故の発生場所、その時の状況や子どもの年齢、負傷の状況、死亡なのか、骨折なのか、やけどなのかというようなことも全て検索できるようになっております。

 さらに2016年4月1日からは、事故の再発防止のためには、なぜ事故が起こったかを知らなくてはならないということで、事故の検証制度も導入されております。それを踏まえまして、事故防止のためのガイドラインも作成されております。これは、もちろん今後見直しも必要なのですけれども、どういうところに気をつければ事故が起こりにくいかということと、実際にどんなに注意をしていても子どもを預かる以上、事故は避けられませんので、事故が起こった時にどういう対応が必要かということもガイドラインでまとめております。そういうものがあることを知っているのと知らないのとでは、保育をしている時の安心感も随分違うかと思います。

 改めまして、事故検証なども東京都や大阪でも実際に死亡事故検証をなさって、ホームページ上で公開もなさっているわけなのですけれども、保育の基本を踏まえていれば起こらなかった事故、保育の基本を少し疎かにしたために重大な事故に結びついてしまったということで、事故は避けられないのですけれども、保育の基本を押さえていれば重大な事故にならないということで、「子どもと健康と安全」に関してこのようなデータベースもできておりますので、活用していただきたいということをお伝えしたいと思います。

 繰り返しになりますけれども、実際にはうつ伏せ寝をしたまま放置していたり、忙しい中で保育の基本を怠りがちになりますので、内閣府と厚労省と一緒にこういうような簡単なチラシを自治体にお願いして保育施設に配ってもらうようなことをお願いしているような次第でございますので、「子どもの健康と安全」の新しい体系の中で、先生方の御記憶に少しとどめていただければと思います。

 お時間をいただきまして、ありがとうございます。

○汐見座長 とても大事なことだと思うのですが、データベースやいろいろなガイドラインができていますよね。そういうことについて常に参照するように、例えば、養成課程のカリキュラムの中に入れたほうがいいとか、そういう御意見はございませんか。

○前田構成員 率直に言えば、もちろん、是非参照してもらいたいし、そのためにデータベースはありますので、是非紹介していただきたいという意見です。

 一方で、私、この検討会に出ておりまして、保育士養成課程の期待があれもこれもと盛り込む要望が大変多いことも存じておりますので、現実的な範囲で御対応していただければというふうに思っております。

○汐見座長 このデータベースとガイドラインの基本のところを教えなさいというシラバスは入っているのですか。

○小川副座長 まだそこまで詳しいシラバスはないです。危機管理とかはもちろん入っていますけれども。

○汐見座長 せっかくいいものがあっても、あることさえ知らない保育士が多いので、これを何か活用できないですかね。

○鎭目保育指導専門官 本日お配りしております資料1-2の別添1のところで、こうした各科目の目標と教授内容について素案という形でお示ししているところでございます。こちらの18ページで、左側に「見直し後(素案)」、右側は「現行」という形で対応した表でお示ししているところでございます。

18ページ、「子どもの健康と安全(演習・1単位)」として今回新たにお示ししているものが左にございます。こちらで、2におきまして、「保育における健康安全管理の実際」ということで、衛生管理、事故防止及び安全対策、危機管理、災害への備えという形でお示ししております。こちらの中で、具体的にはそうした組織的な取り組みに関してのことを御教授いただくようなイメージでお示しさせていただいているところでございます。

○汐見座長 ここはかなり細かく書いていますけれども、ガイドラインについてきちんと教えることとか、そこに一言入れる必要性もありますよね。

 村松構成員、お願いします。

○村松構成員 村松です。よろしくお願いします。

 今、先生方のお話を伺っていて、改めて園長としても、この勉強を全てやり直さないといけないなというような気持ちに駆られているところですが、これはどの園長にも言えることかもしれません。養成をするということと、私たちは非常に密接な関係にあるということは重々わかっております。その意味で、講義と保育の現場の実践とがうまく絡み合うような授業の体制づくりをしていただくと、今の危機管理のこと、安全に関することでも、具体的に保育のこういう場面でこういう対応をしないと危ない、こういうことをしてはいけない、いわゆる安全への構えなどの育ちについて、学生たちが具体的なイメージとして理解できます。私たち保育現場も養成校の先生方に何か力添えできるような仕組みをもち、それを各養成校で受けとめていただけると、さらに実践的なものになっていくのではないかと思っております。

 あとは、乳児保育につきましても幼児保育との関連の中でそれぞれが細切れにならないように、あくまでも0歳児から幼児保育までが全部つながっていることを講義の中でふれていただきたいと思います。テキストは別になるかもしれませんが、幼児教育は0歳児からの積み重ねがあって、今ここにあるという、そのようなシラバスをきちんとお考えになっていただけると、さらに保育の連続性の中で行われていることが学生にもわかるのかなと思っています。

 いずれにしましても、私たちも、それぞれの園長、実習を受ける側の力量も高めていかなければいけませんし、同時に、こんなことを言っては申しわけないのですが、養成校の先生方がさらなる力を蓄えていただくこともお願いしたいと思います。

 以上です。

○汐見座長 ありがとうございました。

 網野構成員、お願いします。

○網野構成員 網野でございます。

 今、構成員の先生方のお話を総合的に見た場合、学生に教える教員の視点で大事なことをご発言いただいたと思うのですが、まずは観点の前半の3つなのですが、結局は全部に関わるかもしれませんが、子どもの健康と安全という新しく演習1単位となったことを例にとりますと、まさに教員が保育とは何かということを知っていること、これは一番大事な部分だと思います。だから、保育の専門性とか保育の基本ということを踏まえて教えるということの重要性が非常に出ているかと思います。

 例えば9ページに、前田構成員が、お話しされた例ですと、健康と安全ということでは、新たな教科目「子どもの健康と安全(演習)」については、教授内容の幅が広がることを踏まえた上で、当該教科目を担当する教員を適切に確保することについて、ここまで踏み込むというのは相当なことだと思うのです。

 養成校の側から発言すると、健康を専門とする先生にお願いすればという趣旨があると思うのですが、例えば全国保育士養成協議会の調査研究などを通じてみましても、教員の側に保育とは何か、保育の専門性とは何かというアイデンティティーがどうも明瞭には持たれていない雰囲気がありますね。これが他の国家試験を伴う国家資格と比較すると、まだ不十分かなと思います。

 そういう点では、この子どもの健康と安全は、先ほどのガイドラインも含め、検証の事例なども全部含めてということも考慮に入れながら、例えば本当にふさわしい教員というのはどういう方なのだろうということを考える必要があります。他の子ども家庭支援の心理学などもそうです。本当にその科目にふさわしい教員というのがますます求められていると思いますので、このあたりも保育の質、養成教育の質、施設との連携、かなり大きな方向性としては大事なものかと思いますので、ふさわしい教員というのは難しいのですが、単に心理学の専攻の教員にお願いするとか、例えば保健学、医学、看護学の専門の先生にお願いする、どうもそれだけではない大事な保育という点でみていきますと、こういう記述が含まれているというのは非常に重要なのかと思いました。

○汐見座長 ありがとうございます。

 私も「子ども家庭支援の心理学」という教科目が新設されると、率直に言って、これは誰が担当するのかということが一番の懸念事項なのです。多分、心理学とついているから心理学者だと思っているけれども、こういう研究はやったことがないという内容がたくさん入っていて、生涯発達についてやっている心理学者はほとんどいませんから、誰が担当するのだろうということになる。

 ただ、これが幼稚園教員養成とは違うところかもしれないのですけれども、対応する学問があって、その教科目ができているということでは必ずしもないのです。教えなければいけない必要性があって科目ができてくるという感じで、うまくやるとそこから学問が発生していくということになりますが、既成の学問と少し近づけた形の教科目にするという努力というのが本当は必要なのかもしれないと思いながら、しばらくこのあたりは養成校の先生方に対して、これはオムニバスでやるしかないというようなことがあったとしても、それは積極的に認めていくというようなことをやりながら、本当に担当教員を養成していくという視点が必要だと思います。

 それと、私からお願いしたいのですが、今度は乳児の保育で、「(3歳未満児)」と書いてくださったのがとてもありがたかったのですが、シラバスの案はまだこれからだと思うのですが、見ていきますと、資料1-2の37ページでは、講義2単位、演習1単位となっていますけれども、今回、指針で乳児に3つの視点からのねらいと内容が書かれて、1歳、2歳児は5領域で書かれていて、3・4・5歳と中身が少し異なり、なるほど、1・2歳児だという内容にうまくできていると思うのです。ここの質を上げるためには、例えば子どものあらゆる行為が、ある意味で学びになっている。しかし、その学びを通じてどういう力を身につけていくのかという視点として、5つの領域での大まかな側面と、その中のここのところが伸びていたのではないかというふうに丁寧に見るということがかなり可能になってきたような気がするのです。

 だから、1・2歳児の5領域というのはとても大事なものだと思っているのですが、今、乳児保育のシラバスを見ても、1・2歳児の5領域ということが一つも出てこないのです。せっかくあれがあるのにもったいないという思いがありまして、1・2歳児の保育のねらいと内容、5領域に関わってというようなところをどこかで入れていただけないかと思います。

 それから、一般的に、私、保育士研修をやっていますが、保育士は5領域についての理解が必ずしも十分ではないのです。これは養成校で丁寧に教えていないというのがあるのではないかと思います。だから、今回はかなりこだわって、今度、幼稚園は5領域が16単位になりますから、それも念頭に置いた上で5領域のことをしっかり学ぶというところをあちこちに入れていただけないかというのが私のお願いです。

それから、今は3つの観点でやっていますが、3つ目の「『養護』の視点を踏まえた実践力の向上」というところで、これは6ページから9ページまでですか、養護と教育を一体的に展開するということが大事だと改めて強調して、指針では養護が総則に上がったのですけれども、ところが、養護というのは何なのかということをまとめて学習する場があるのだろうか。今、シラバスを見ていても、養護とはこういうものだというところが必ずしもないのですね。「子ども家庭支援の心理学」の中にもそれがあるわけでもないですし、「保育の心理学」の中にもありません。

 養護というのは、よく読んだら、情緒の安定のところというのは保育の原理に書いてあります。子どもの気持ちをしっかりと理解した上で、それに応答することだとか、子どもの主体性を徹底的に大事にするとか、自分に自信を持つようにしていくことだとか、先ほど前田構成員がおっしゃったような保育の基本なのですね。だから、これが養護だというふうにしっかり教育することだと思います。「保育原理」のところですか。これは、心理学のところでも学んでほしいし、子どもの理解のところでも学んでほしいしという、全て養護なのですね。それで十分だということだったらいいのですけれども、せっかく養護を重視するとなったので、これはどういうことだということを何回も学んでいただければという思いがあったので、要望します。

○鎭目保育指導専門官 今の養護の整理に関しまして、この間のワーキングの構成員の皆様に御議論いただいた上で、今回こうしたお示しをさせていただいているところで、どのような議論を経て、こうした観点として、また、教授の内容を含めてお示ししているかということについて、若干の先ほどの説明の言葉足らずのところを補足させていただければと思います。

 まず、ご覧いただきましたように、「保育原理」におきまして重要な要素として、こうした保育における養護についてきちんと踏まえるということをお示しさせていただいているところでございます。

 また、まさに今、汐見座長からも御指摘いただきました、保育における養護が何なのか、具体的な保育の実践の場面での関わりの中で、また、そうした関わりを通しての子どもの理解、また、子どものみならず、子どもを取り巻く家庭とか様々な状況を踏まえた理解において養護が行われる、ということなどを踏まえ保育士として養成されていく、また、現場に出ていく中で基礎的な知識や実践的な能力を発揮する上で必要なことについて様々な観点で、例えば心理学の中におけるそうした理解そのものが養護的な関わりを支える知識なのであるということですとか、また、家庭の理解ということが、子どもを主体として捉えた時に、子どもの家庭そのものをきちんと支えることが子ども自身の育ちを支えるのだと、そうした関わりそのものが養護的な関わりにつながっていくのだというようなことをかなり広範に御議論いただきまして、こうした取りまとめ、また、科目の再構成という中に入ってきております。

 シラバスとの関係で若干補足させていただくと、現行でお示ししているシラバスをさらに新しい形での素案としてお示ししていく中では、養護と教育の一体的な展開の重要等、そうした文言では表されていたけれども、そこで何を教授すべきか、どういった視点が養護を行う上で、また、養護的な素養を身につける上で必要なのかというところをより明示したほうが、保育における養護と教育の一体的展開をする上での知識と技術を身につけるということにつながるということで、かなり詳細な検討をいただいた上で現在の素案がお示しされているということを申し伝えたいと思います。

 以上です。

○汐見座長 ありがとうございました。

 学生に「養護とはこういうことだ」ということがすんなりとわかるような教育が大事だと思うのですね。

 山縣構成員お願いします。

○山縣構成員 今の部分は、別添1で言うと、ここでも原理と言われましたが、28ページにある「保育内容演習」のところが保育指針に従ってある程度時間がとれそうな感じの書き方になっているのです。その下に教育も出てくるから、ここをうまく活用されたらいいのではないかと思います。

 例えば子どもの保健のところでも、生命の保持と情緒の安定に関わる保健活動の意義と目的と、養護という言葉は使っていないけれども、その中身は入っていて、様々なところに散りばめてあるというのは、今、専門官が言われたとおりの感じがします。

○汐見座長 お願いします。

○阿部構成員 子どもの学びが起きるということは、年齢が低いところは、つまり、小学校以上より下は養護的な配慮がないと学びが起きないので、教育があるところには必ず養護があるというふうに捉えていて、関わりの視点の置きどころが違う、大人の養護的な面に置くのか、子どもの学びの面に置くのかという、そういう関わりで捉えていって様々な話し合いをワーキングにおいて検討いたしました。

○汐見座長 そのとおりなのですけれども、学生に養護と教育が一体的だというのはどういうことかといった時に、子どもが幼ければ幼いほど、ある種の温かいまなざしと、子どもを主体とする、あるいは、その気持ちを十分に勘案した応答をするというようなことがなければ、実は学びは十分に生じないという、関わり全体として私たちも養護と呼んでいるのだということ、それは、当たり前なのですが、学びを保障するという、これは教育だとなるでしょう。しかし、保育は教育だということを自覚したら、養護が本当に必要だということがわかってくるわけです。

 ですから、教育ということを改めて今回は大事になったのだということを強調すると同時に、それはまた養護的関わりを前提とするのだということになります。

○小川副座長 学生が理解するためには、保育者養成をする教員たちがまずわかっていないといけないということがあります。ですから、保育とは何かと、保育者養成を皆さん様々な科目で、担当する科目は違うのですけれども、どの教員も同じことを発信するということが大事なのかなと思います。今回は、保育者養成をする学校の教員同士の学び合いというのが必要な養成課程になっているのではないかというふうに考えています。

 以上です。

○汐見座長 そのとおりだと思います。実は、私もこういう養成校に関わって、養成校にいる先生方は必ずしも保育の専門家でない方が多いのですよね。音楽の専門であったり、心理学の専門家であったり様々です。保育の現場で仕事をしているとはどういうことなのかということをいつも念頭に置きながら、というふうにやれる人はそんなに多くないわけです。

 ですから、いろいろな人が教えてくださる時に、養護と教育が一体的というのは、まさに保育の現場の中での話ですから、そのことを今おっしゃってくださった、養成校の先生が本当に理解しているかどうかということが実は前提的に問われるのです。だから、養成校の教員の再研修のような何かをやらなければいけないのかなと改めて率直に思います。

 認定こども園の教育・保育要領の議論の時もかなりそれが出ました。行政の方々もそこを理解しないとだめだということが出ました。

 努力してくださっている指針にふさわしい形でつくってくださってきたということを皆さん御確認できたと思います。ただ、もう少しこうしてほしい、ああしてほしいということもあると思いますので、引き続き事務局で意見があったら寄せていただきたいと思うのです。

 それでは、資料1-1の9ページから議論したいと思います。

 4「子どもの育ちや家庭への支援の充実」、5「社会的養護や障害児保育の実践」、6「保育者としての資質・専門性の向上」の3つについてです。

 それから、最後の「その他の関連事項」、13ページから14ページにある事項、保育実習等についても御意見をください。

 宮田構成員、お願いします。

○宮田構成員 宮田でございます。

 私からは、「その他の関連事項」のところの「保育実習実施基準」です。「1保育実習先の拡大」ということで、現行の教科目「保育実習1」に係る実習の対象施設について、「企業主導型保育事業、児童発達支援事業に係る施設」を追加し、保育実習実施基準に明記することが書かれておりますけれども、企業主導型保育事業というのは認可外事業でしたよね。そこを実習に入れることというのはどういう経過であったのかというのをお伺いしたいのですが。

○汐見座長 事務局からお願いします。

○川島課長補佐 認可外ではあるものの、ある一定の公費が入っているところもありまして、より実習の場を広げるというところで、この整理の案では入れていただいているところになってございます。

○宮田構成員 いわゆる認可外施設なので、制度的な質の担保というのは何もないわけです。もちろん企業主導型の独自の基準はあるのですけれども、いわゆる政府としての関与は何もないわけですから、そこを入れるというのは大丈夫なのかなという気がするのです。

○汐見座長 そのあたりはどういう議論があったのですか。

○川島課長補佐 今までいただいた実習に関しての御意見なりを踏まえて加えたつもりではあったのですが、質の観点のところからそういった懸念があるということであれば、再度、実習先としてふさわしいところなのかとか、質の確保の観点からもう一度整理してみたいと思います。

○汐見座長 網野構成員、お願いします。

○網野構成員 今、宮田構成員が指摘された件の背景も含めて考えますと、「保育実習1」は、やはり児童福祉施設の保育者として非常にふさわしい環境ということが当然条件にありますよね。一番担保するのが養成のための質を本当にきちんと持っているところかどうかということで、どうしてもこれを入れるとするなら、そもそも「保育実習1」は児童福祉施設ということが完全に根底にあります。だから、それにふさわしいものを持っているというような何か条件を付す必要は絶対必要であると思います。

 「保育実習3」だと、それはもう少し適用範囲を広げるということで、そこは国も従来認めています。児童発達支援事業というのは「保育実習3」で認めています。企業主導型保育事業は全く宮田構成員のご意見に賛成です。

○川島課長補佐 今、網野構成員からいただいた御意見について補足させていただきます。お配りしております参考資料の6ページ目、「保育実習実施基準」という通知で定めているものがございます。保育実習1、2、3とございますが、表の一番右側の「実習施設」というところですが、ここがA、B、Cと別れております。

 先ほど網野構成員がおっしゃった保育実習3についてはCが実習先としてあるのですが、そこでは「児童厚生施設又は児童発達支援センター、その他社会福祉関係法令の規定に基づき設置されている施設」などとございますが、こちらでは現行でも児童発達支援事業者も対象になる。

 ただ、保育実習1のAのところにつきましては、主に児童福祉施設等が実習先になってございますので、こちらには現行では入っていないという整理になっているところでございます。

○汐見座長 ありがとうございました。

 その上でどうですか。

○宮田構成員 実習1というのは基本の部分ですので、そこはしっかりと質の担保を確認していただくようなことで慎重に議論していただきたいと思います。

○川島課長補佐 もう一度慎重に検討させていただきたいと思います。

○汐見座長 御発言をされていない方、どうぞお願いいたします。

 では、三代川構成員、お願いします。

○三代川構成員 浦安市の三代川と申します。よろしくお願いいたします。

 先ほどからもお話がありまして、私の感想なのですけれども、保育所保育指針との整合性を図っていただきまして、大変内容も充実していて、私もよく保育所保育指針を理解して資質向上に努めなければいけないなということを実感しております。

 先ほどの保育実習についてですが、養成施設と実習施設での連携が図られるということは、保育実習がより充実してくるというふうに思っています。ただ、細かいところにはなるのですけれども、現状で各養成校によって評価の視点が異なっているように感じているのです。そこで評価表、もしくは実習の記録用紙というところなのですけれども、保育実習実施基準がどのようなものになるかというのはこれからなのかもしれないのですが、もしその用紙等が統一されるということになりますと、同一の観点で実習というところは可能になっていくというか、より充実したものを、各学校でも違う学生が見えても充実した実習になるのではないかというふうに感じています。

 また、保育実習実施基準というのはこれから内容が整理されていくものなのでしょうか。保育実習実施基準というのは、ここに出ている1、2、3というところの内容になるのですか。

○唐沢企画官 事務局からよろしいでしょうか。

○汐見座長 事務局からお願いします。

○唐沢企画官 先ほどの参考資料でこの系列についてお示ししている中の6ページに現行の「保育実習実施基準」を添付しております。この実施基準の表題にありますように、もともと平成27年に局長通知で様々な基準の中の一つを出させていただいているものですけれども、今回の見直しに伴う改正の中でシラバスは全て局長通知の中に入っている内容なので、それに合わせてこの実施基準も変更することを予定しております。

 その実施基準を見直すに当たっての主な内容として、資料1-1にお示ししているような、例えば実習実施基準を今回見直すに当たっては、実習先の拡大や実習の計画等に関しては少なくとも見直しが必要ではないかということでワーキンググループでも御議論いただき、本日お示ししているという次第でございます。

 ですから、これに限るというものではございませんので、もしご覧になっていただいて、御意見をいただければと思います。

○三代川構成員 わかりました。ありがとうございました。

○汐見座長 実習先を拡大することについて、何か御意見はございますか。いいですか。 網野構成員、お願いします。

○網野構成員 実施基準の3番目で、ここまで踏み込んだ点は非常に望ましいと思っている例なのですが、特に国家試験を伴っている国家資格と比べて、現在は、確かに保育士は都道府県段階での試験ということで国家試験ではないわけですが、常に議論されてきたことは実習施設での実習指導者の要件をきちんと定めて認定することが必要、さらには、養成校の実習指導を担当する教員についても要件が必要ということは、当然のことです。これが入ることによって具体的な要件を明示するということで、質を確保できる方向性は一つ出てきていると思うのです。ただ、これをどういうふうにするかは相当検討が必要ですが、これは大変重要な指摘だと思います。

○汐見座長 山縣構成員、お願いします。

○山縣構成員 社会的養護について前回も少し意見を言わせていただいたのですが、それに対応していただいて感謝しています。

 今、社会的養護関係の子どもたちの難しさが、保育所でもかなり難しくなっています。シラバス等のところで、さらにそこをしっかり書き込んでいただくとありがたいというふうに思います。

 加えて、特別な配慮を要する子どもたちという世界がありますが、今、教授内容のところを見た時に、医療と障害と2つか3つ入っていたと思うのですけれども、多文化が入っているところと入っていないところがあります。栄養のところに多文化が入っていません。保育としては多文化が入っている。この保育士養成で、宗教問題ということになるわけですけれども、食育のところでそこまで配慮する必要を書くのかどうか、子どもの健康上は特に問題はない、しかし、その家庭の生活上非常に大きな問題がある。そこまで配慮すべきだという前提で給食を考えていくのか、それは現場で判断してくださいということをここに書き込んでしまうと、強制になるわけですね。基本的にはそうしましょうということを言うのかどうか。宗教問題が絡むから難しい点だと思いながら気にしていて、現実に対応されているのはよくわかっております。

○汐見座長 それと関連して質問なのですけれども、ずっと障害児保育という言葉を使っていますよね。国では特別支援教育という方向に変わってきています。この用語を特別支援保育というようなことは考える必要はないのですか。それはどうなのですか。やはり障害児保育なのですか。

○鎭目保育指導専門官 こちらにつきましては、例えば保育所保育指針における障害のある子どもについての保育というところで、必ずしも障害の有無とか診断の有無ということそのものを取り上げているというよりは、そういうことも含めた様々な配慮を要するお子さんについての保育の記載となっております。また、実際の事業を実施するに当たっても、特にそういったものを要件にするというよりは、実際の子どもの困り感ですとか、そういったものを含めて対象としている、という考え方において従前と変わるものではございません。

 併せまして、そうした背景を受けて、これまで行ってきております障害児保育という言葉につきましても、様々な議論の中でこうした実態を含めて、より内容の充実というところでは、診断の有無等に限らず、また、様々な困り感も含めて特別な配慮を要するお子さんに対しての援助ということも要素としてはきちんと位置づけるということで、科目名の変更という議論の中でお示しをしているというところでございます。

○汐見座長 これは、幼稚園教育要領も障害児保育になっていますので、まだ変える必要はないと思うのですけれども。

 それと、障害児保育という科目の中で特別なニーズを持ったお子さんへの対応の仕方ということをいろいろ勉強するのですが、科目ごとに障害児はこの科目で学ぶのかというだけではなくて、例えば先ほどの乳児(3歳未満児)の保育の中で、発達にいろいろな課題を持ったお子さんのというのは、それぞれ入れていき、様々な科目で伝えていく必要があるのだなと思っています。

 そろそろ時間ですが、まだ発言されていない方はいますか。

 では、近喰構成員、お願いします。

○近喰構成員 子育て支援の必要性が強調されている中で、子育て支援が新たに新設されることについては非常に関心を持っております。子育て支援が演習1単位となっておりますけれども、学問としての子育て支援になってしまう懸念を多少持っているわけなのですけれども、保育の場面、保護者と関わる場面が実習等でも非常に少なくなっておりますので、何らかの形で子育て支援の現場と連携をするとか、実際に保護者に関わるような活動も中に含まれるといいのかなという感想を持ちました。

 以上です。

○汐見座長 またいろいろな形で反映させていただければと思います。

 では、時間があれですので、もう一つテーマがありますので、先に進んでよろしいですか。

 では、これに関連して保育士試験が変わっていくわけですが、それについて、まず事務局より、今度は15ページから20ページ、保育士試験等の見直しについて御説明をお願いします。

○川島課長補佐 では、資料1-1の15ページから試験等の見直しについての方向性を整理していただいていますので、事務局から御説明いたします。

 養成課程の見直しの内容を踏まえまして、保育士試験に係る試験科目の名称、対応する養成課程の教科目、出題範囲を見直すといったこととしてございます。

 まず、現状がどうなっているのかということで、資料2で見直しの内容をまとめているものがございます。 4ページ目に「保育士養成課程の見直しに伴う『保育士試験』の見直し(案)」を別紙3としてつけさせていただいてございます。

 「現行」と「見直し後」とございますが、こちらの太字とアンダーラインで書いてあるところが今回見直したものを一覧にして整理してございます。その中で筆記試験の「児童家庭福祉」につきましては、教科目の名称変更に伴いまして「子ども家庭福祉」といった試験科目の名称も変更してございます。

 こちらも御参照いただきながら御説明をお聞きいただければと思います。

 まず、試験科目の「保育原理」につきましては、現行、「保育原理」と「乳児保育」等の4つの教科目に対応しているものでございます。今回、見直し後の対応教科目がアンダーラインを引いてある「乳児保育1」、「乳児保育2」、「子育て支援」というところでございますが、まず、「乳児保育1」及び「乳児保育2」につきましては、その内容が保育の基本となる内容、また、方法についての理解を問うといった内容になってございますので、こちらについては「保育原理」に位置づけることが適当であるという形で、こちらに整理してございます。

 また、「子育て支援」につきましては、保育の基本となる保護者支援を担う保育士の役割と責務に関する理解を問うといった内容になっているものでございますので、こちらも同様に「保育原理」に位置づけることが適当であるといった整理にしてございます。

 また、15ページのなお書きで書いてございます、現行の「保育相談支援」の内容の一部につきましては、「子ども家庭支援論」に移行するといったことになってございます。「子ども家庭支援論」というのは、対応する試験科目で言いますと現行では「児童家庭福祉」、見直し後では「子ども家庭福祉」になってございますが、こちらに移行するといったところになってございます。

 既に見直し前の「児童家庭福祉」の試験科目に合格している者につきましては、その移行内容が新たな試験では問われないといったことになりますので、その者へのフォローが必要ではないかといったところを記載しています。このため、「保育原理」におきまして、当分の間、現行の教科目の「保育相談支援」の内容全般を踏まえたものとするものが適当ではないかといった整理をしてございます。

 以下同様に、見直した新たな教科目の内容を踏まえて、どこの試験科目に位置づけることがふさわしいかといったところを主眼に置きまして整理してございます。

 そういった同様の整理を行っていく中で、18ページのキの「保育実習理論」についてご覧いただければと思います。

 こちらの「また」以降に書いているところでございますが、現行の教科目「保育者論」と「保育課程論」につきましては、現在、試験科目との対応の位置づけが明確となっていないといった状況でございます。これらの科目の内容につきましては、保育士の職業倫理、保育実績に係る計画等の理解といったものを問う内容であるというところで、「保育実習理論」というところに新たに位置づけることが必要であるといった整理をしてございます。

 続きまして、19ページでございます。「試験科目の出題範囲」でございます。

 出題範囲につきましては、別途、資料1-3「保育士試験の出題範囲について(素案)」という形でお示ししてございます。

 こちらは、先ほどの教科目等の内容等を踏まえまして、事務局で素案として整理させていただいているものでございます。内容についてはまた御意見をいただければと思ってございます。

 続きまして、(3)の「保育士資格取得に係る特例措置」でございます。

 参考資料の2ページ目、「保育士資格の取得の特例の概要」と書いてございますが、幼稚園教諭・保育士資格の併有を促進するための特例措置の概要を記載したものでございます。幼稚園教諭の免許を既に持っている方について、保育士資格が取りやすくなるようにというところの特例を設けているものでございます。

 また、3ページ目につきましては、福祉系国家資格所有者の保育士資格取得への対応ですが、本検討会で先般検討していただいたものでございまして、30年4月から制度が運用できるよう、今、準備を進めているところでございますが、こちらについて、4ページ、5ページ目まで資料がついてございますが、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士に対して、保育士試験の一部免除、また、5ページでございますが、介護福祉士養成施設卒業者が保育士養成施設の養成課程で学ぶ場合の履修科目一部免除といったものの概要を載せているところでございます。

 また資料1-1に戻っていただきまして、19ページのところは、この特例措置について記載しているところでございます。

20ページからが、今回の養成課程の見直しに伴って対応する必要があるかというのをまとめたものでございます。

 「ア.幼稚園教諭免許状所有者」に対する特例についてでございます。

 まず、1の保育士試験の免除科目でございますが、現行の養成課程における「家庭支援論」、「子どもの保健1」の内容の一部、「保育者論」及び「保育課程論」は教授内容が含まれることになります。また、2で記載してございますが、履修が必要な特例教科目8単位につきましては、現行の養成課程における「家庭支援論」、「子どもの保健」の一部の内容が除外されるといった整理になっているところでございます。

 1、2いずれの内容も幼稚園教職課程で履修する内容と考えられ、履修が必要な所定科目については教授内容の再編となるために、この特例措置はこれまでの扱いを変更する必要はないのではないかといった整理になってございます。

 次に、イの福祉系国家資格所有者への特例措置でございます。

 こちらにつきまして、参考資料の4ページの試験の免除でございますが、保育士試験の免除科目「子ども家庭福祉」では、現行の養成課程の「保育相談支援」の内容の一部が含まれることとなります。この内容につきましては、福祉系国家資格の取得の際に履修する内容と考えられるため、所定科目の履修による試験科目の免除を含めまして、福祉系国家資格所有者の特例措置は、その取り扱いは変更する必要はないと整理していただいています。

 その下、「一方」と書いてございますが、こちらは参考資料の5ページの特例についてです。今回の見直しにおきまして、端的に言いますと、この特例の中で免除する教科目としている「家庭支援論」、「相談援助」につきまして、「子ども家庭支援論」に再編した。もう一つ、「保育相談支援」は免除科目ではない科目でございますが、こちらについては主に「子育て支援」に再編しているところでございます。

 免除科目であった「相談援助」と「家庭支援論」を再編により、「子ども家庭支援論」1つにまとめておりますので、この科目は免除科目と整理しているところでございます。「子育て支援」につきましては、保育の専門性が高い科目でございますので、こちらは免除しない科目と整理しているところでございます。

21ページになりますが、「おわりに」の2つ目の段落に、いつから適用するのかといったところを触れさせていただいてございます。

 今回、方向性を示しました保育士養成課程につきましては、まず、準備や周知に一定の期間を要しますので、それを経た上で実施されるべき、また、新たな幼稚園教職課程の適用時期等も考慮しまして、平成31年度から適用されることが望ましいと整理されてございます。

 また、保育士試験の実施でございますが、こちらにつきましても速やかに実施されるべきところではございますが、養成課程の見直しに伴う準備や周知に加えまして、受験者への配慮等も必要であろうといったところで、1年遅らせて平成32年から適用するのが適当であるといった整理をされているところでございます。

 事務局からは以上になります。

○汐見座長 ありがとうございました。

 ただ今、御説明いただいた保育士試験の科目等の修正、実施時期等について御意見がございましたらお願いいたします。

 網野構成員、お願いします。

○網野構成員 今、最後に御説明のありました試験の実施、新たな保育士試験の適用の時期ですが、まさにここに書かれておりますように、実際上いろいろな点の配慮を考えますと、平成31年度からというのは、事実上、試験問題の作成から始まり、すべての過程を全うするのは不可能だということが考えられます。特にこれに伴うテキストの改訂が次々と進みまして、試験問題を作成する場合は、ある意味では1年前が一番適当なのですが、1年前ぐらいから年2回の実施に向かって進みますので、物理的に試験問題の作成自体がかなり難しいということと、受験者も新しい内容で学んだ上で受験しなくてはいけないので、準備期間が相当必要かということで、以前の時も養成課程の開始後に適用したので、このような方向で配慮していただくのがよろしいかと思います。

 それから、もう一つ質問させてください。今、15ページから第3の見直しの試験のところで、多くの科目に、結局、既にある科目で合格した人のことをいろいろ配慮した場合、あるいは、それ以降のことを配慮した場合ということで、当分の間、こういうことを踏まえる必要があるという記述が幾つも記されています。現実に一番考えられることは、9科目のうち、ある科目を合格した場合、実技試験を全て受けるためには9科目合格していなくてはいけませんので、合格した科目をどんどん増やしていくという方が圧倒的に多いのですね。そういう場合、1科目についての有効期間は3年ということですよね。だから、3年過ぎたらもう一回受けなければいけないという現在の仕組みですので、できましたら「当分の間」というのをそういうことも踏まえてもう少し具体的な形で表現していただくと、実際にも受験者にとっても、あるいは試験出題にとってもよろしいのかなと思いますが、「当分の間」というのがもし具体的に明記できるのでしたら、ということでいかがでしょうか。

○唐沢企画官 事務局です。今、網野先生から御示唆がありましたように、現行で動いている3年間なども参考にし、現に試験をやっている実施機関の御意見も聞きながら決めていきたいと思っておりますので、ここは何年と書いてしまうよりは、そういう実情の御意見を聞いた中で最低限これぐらい必要かなということで、少なくとも当分の間は必要ということで書きましたけれども、実際には、もちろん何年と決めて運用していきたいと思いますので、御意見いただければと思います。

○汐見座長 今、網野構成員がおっしゃってくれましたけれども、保育士試験は、来年の4月に告示という形になったとしても、それを理解するまでに相当かかる。それから、養成校で使うテキストもかなり書きかえの作業が一斉に始まりますよね。試験のための参考書のようなものも並行して作り直さなければいけなくなりますよね。それが来年1年で全て完了するとは限らないですね。ですから、もう少し猶予を見てということにならざるを得ない。

 もう一つは、今、問題を作成する側は2回ですので、新しい養成課程に対応した試験科目になった時にそのことを全面的に配慮して丁寧に問題をつくっていくと相当時間がかかることになりますので、32年からということが現実的だという御意見です。これは御了解いただけると思うのですね。

 では、ほかにどうぞ。試験について、あるいは、全般的なことでも結構です。

 御意見、ないですかね。今回の試験、これからの保育士養成のあり方について、もう少し全般的なことでも結構ですが、何か御意見がございましたら。

 では、お願いします。

○山縣構成員 実際にこれから保育士資格を持って幼保連携型認定こども園に就職される方々が増えてくることになる。幼稚園教育要領も全く一緒なのですけれども、今回、指針要領の調整が前回以上に進んで共通項が増えたから、保育指針に書いてあることは当然ここにみんな反映されているのですが、幼保連携型認定こども園にまだ独立して残っている部分が幾つかありますよね。このシラバスでも一部入っているのですけれども、教員側になりますが、幼保連携型認定こども園に行くということを意識した教育といいますか、今、それの独立したものがないものですから、ここでやらざるを得ません。幼稚園でもやらざるを得ない。そのことを意識した取り組みとか保育の先生方に意識していただくということを是非広めていただきたいと思っています。

○汐見座長 本当にそのとおりだと思いますね。

 いたずらにどんどん変える必要はないと思うのですが、ただ、幼児教育をめぐる動きの変化がすごく早くなっていますよね。無償化が進んでいくということで何が変わっていくかという、それが予想できないこともあります。そして、また新制度の見直しが始まりますね。認定こども園で必ずしも期待するように移行していない地域の対策が始まるかもしれません。そうすると、認定こども園の数は、我々が考えている以上に増えていく可能性があります。そして、保育教諭という身分がもう少し一般化してきますよね。そうすると、保育教諭の養成課程ということも真面目に考えなければいけなくなるのかもしれませんし、両方取ればいいのだということになるかもしれませんし、それも議論しなければいけなくなります。

 いずれにしても、学生の負担が過度にならないように、しかし、専門性をしっかりと身につけるようにということでカリキュラムのあり方を改めて議論しなければいけなくなると思うのです。

 また、幼稚園はコアカリキュラム型になってきて、今度は5領域をしっかりやるということになって、内容と指導方法が重要になっていっていますよね。それをどう考えるか、それにある程度合わせていかないと、学生が2つのことを独自に勉強してしまうということになります。やがてそういう進捗状況に応じて私たちのカリキュラムをもう一度見直すという作業がどこかで必要になってくるのだと思います。ただ、その場合は幼稚園側とかなり密接に協議した上でということになると思います。今回の改訂で現場が混乱することはないと思うのですけれども、非常に合理的な改訂だと思いますが、その上でまた現状を踏まえながら次なる改訂のことについて少しずつ議論を始めていくこともやらなければいけないのかなと思っています。

○山縣構成員 特に幼保連携型認定こども園における実習をどう取り扱うかというところが。

○汐見座長 新しい問題ですね。

○山縣構成員 場合によっては、それによって学生の負担を軽減できるかもしれない。そこにいくことによって、幼稚園教諭と保育士の実習部分を少し減らせますね、ということまでいくのかどうか。

○汐見座長 そうです。科目をうまくかぶせられれば、幼稚園と両方取って、実習時間を増やせるということも起こりますよね。そうすると、実習園との協働というまた新しいテーマが出てきて、次から次へといろいろなテーマが出てきますけれども、全体としては質を上げる方向に進んでいくのだと思いますね。

 ちょうど時間が来ましたが、ほかに御意見ございませんでしょうか。

 それでは、ありがとうございました。本日の審議はこれまでにさせていただきます。

 今日、事務局から提示された資料の中で、特に資料1-2、教科目の教授内容の素案、1-3、試験の出題範囲の素案について、後でまた気がついたとか思いついたことがございましたら、事務局まで御連絡いただきたいと思います。

 事務局において、今日いただいた意見、追加の御意見を踏まえて、本検討会の検討結果を改めて整理していただきたいと思います。検討結果の整理については、これから各構成員に御意見をお返ししますが、その後は、座長に一任させていただければと思っておりますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○汐見座長 ありがとうございました。

 では、そのような形で進めさせていただきます。

 それでは、今後のスケジュール等について、お願いいたします。

○唐沢企画官 今後のスケジュールについてということで、資料3をご覧下さい。その前に、概要の資料を御説明しようと思います。資料2と右上に書いてある「保育士養成課程等の見直しについて(検討の整理)」は、最終的に今回の検討の整理の本文を公表等するに当たって、全体を整理した現時点の案をお示ししたものでございます。

 概要1枚目は、全体の見直しの背景、見直しの方向性のエッセンスを書いたものが1枚目でございます。

 別紙1として、今回の具体的な各観点に係る見直しの方向性のエッセンスを記したもの。 また、別紙2として、今回、教科目の再編を要する部分がいくつかございましたので、その関係する部分を整理したものでございます。そして、別紙3は、養成課程の見直しに伴う試験の見直し案でございますので、後ほど御参照いただければと思います。

 今後のスケジュールについて、資料3でございます。先ほど汐見座長から追加で御意見をという話がありましたけれども、とりわけ本日素案としてお示しいたしました資料1-2、保育士養成課程等の見直しに係る教授内容、また、資料1-3、各試験科目の出題範囲というのは、基本的には資料1に準じて修正したものでございますけれども、これらにつきましては、まだ十分にご覧になっていただいていないと思いますので、今日改めて会議終了後、事務的に各委員の皆様にメールで資料1-2、1-3をお送りいたしますので、もしお気づきの点がありましたら理由も添えて御意見をいただけたらと思います。

 また、具体的なスケジュールでございますけれども、資料3にもお示ししていますように、幼稚園との関係等もございますので、今月中には検討整理を取りまとめて公表できればと考えておりますので、資料1-2、1-3以外にも、特例措置の内容などにつきましては改めて御確認いただいた上で、もしお気づきの点があれば、あわせて事務局まで御連絡いただければと思います。

 なお、資料3に記載のとおり、今月中に取りまとめ・公表後、この検討の整理に基づきまして、関係省令や告示、さらには、先ほど実施基準というのがございましたけれども、通知の改正等を、できれば今年度内3月中に行い、その後、各施設における周知・準備等を経て、先ほどお示ししたように、平成31年度から新たな保育士養成課程を適用予定、そして、翌年度の平成32年度から養成課程の見直しに伴う新たな保育士試験の適用予定とできれば考えていますので、引き続き御協力のほどをよろしくお願いいたします。

 私からは以上でございます。

○汐見座長 ありがとうございました。

 それでは、かなり慌ただしいスケジュールだったと思いますけれども、特にワーキンググループの方には、お世話になりました。いろいろな議論を上手に取りまとめてくださった事務局の方々に改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 これができたからといって終わったのではなくて、いわばこれからが出発ですので、またいろいろなことの微調整が必要かもしれませんが、できるだけ養成課程を充実させるために引き続き頑張っていきたいと思います。どうも皆さん、ありがとうございました。

 成田審議官が御挨拶されます。

○川島課長補佐 最後に、厚生労働省大臣官房審議官 成田審議官から御挨拶いたします。

○成田審議官 大臣官房審議官の成田でございます。一言お礼を申し上げさせていただきたいと思います。

 汐見座長をはじめ構成員の皆様方におかれましては、これまで精力的な御議論をいただきましてありがとうございました。

 構成員の皆様方の貴重な御意見を伺い、大変有意義な検討が行われていたというふうに聞いております。限られた時間の中で保育士養成課程等の見直しの取りまとめに向けた議論を行っていただきまして、改めて感謝申し上げます。

 保育を取り巻く社会情勢が大きく変化し、保育ニーズが増加している中、保育の受け皿の拡大とともに保育の質の確保に取り組んでいるところでございますが、特に保育を支える保育士の専門性の向上は非常に重要なものであるというふうに考えております。

 本検討会におきましては、こうした状況を踏まえ、今後の保育士に必要となる専門的知識及び技術を念頭に置きつつ、より実践力のある保育士の養成となるよう、養成課程等の見直しについて御検討いただいたところでございます。

 今後、示されました見直しの方向性に基づきまして、制度の実施に向けて関係省令や通知の改正作業を行ってまいりますが、同時に養成施設関係者、自治体、保育士を目指す方々に見直しの趣旨が十分理解されるよう努めてまいりたいと考えておりますので、構成員の皆様方におかれましては、今後とも御協力をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

○汐見座長 それでは、ありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 子ども家庭局が実施する検討会等> 保育士養成課程等検討会(平成27年6月から)> 第9回保育士養成課程等検討会(2017年12月4日)

ページの先頭へ戻る