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2019年3月13日 第5回 臨床開発環境整備推進会議 議事録

○日時

平成31年3月13日(木)10:00~12:00

 

○場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール2A

○議題

(1) 横串研究班の研究概要報告 
(2) 疾患登録システム構築班の研究概要報告
(3) NC及び基盤研・PMDA・AMEDの取組状況報告
(4) これまでのCIN構想の取組と今後の進め方について
(5) その他

○議事

○伯野研究開発振興課長 それでは定刻となりましたので、ただいまより「第5回臨床開発環境整備推進会議」を始めます。事務局を務めさせていただきます厚生労働省医政局研究開発振興課長の伯野です。どうぞよろしくお願いいたします。吉田医政局長が公務のため、本日の議事進行を務めさせていただきます。
最初に、前回の開催より構成員の追加及び変更がありましたので、御紹介いたします。まず、北海道大学病院 寶金病院長です。本日は代理として、臨床研究開発センター 佐藤センター長にご出席いただいております。続いて、大阪大学医学部附属病院 木村病院長です。最後に、九州大学病院 赤司病院長です。本日は代理として、ARO次世代医療センター戸高副センター長にご出席いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。厚生労働省、文部科学省、経済産業省及び内閣官房の構成員の変更につきましては、構成員名簿を御確認ください。また本日は構成員、オブザーバーのほか、参考人として、AMEDで支援しておりますCINの関係の各研究班の方々に御出席を頂いております。国立精神・神経医療研究センターの武田理事、群馬大学大学院の林教授、国立がん研究センター東病院の大津病院長、名古屋大学大学院の祖父江特任教授、国立精神・神経医療研究センターの中村室長、日本脳神経外科学会の嘉山理事長顧問に御参加いただいております。なお、事務局にも異動はありましたが、紹介は省略いたします。
続きまして、配布資料を確認いたします。議事次第、出席者名簿、座席表、資料1-1から1-3、資料2-1から2-4、資料3-1から3-3、最後に資料4。加えて参考資料として参考資料1、2があるかと存じますが、資料の過不足等がありましたら、事務局までお知らせください。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、これより議事に入ります。円滑な議事進行のため、撮影は、これまでとさせていただきます。改めまして、本日は御多忙の中、御参集いただき誠にありがとうございます。本会議ですが、CINについて具体的な方策を検討する場として、平成27年8月に設けたもので、今回が5回目の開催となります。CINはグローバル開発拠点の一角である我が国において、革新的な医薬品・医療機器等の創出による国際競争力の強化を図る観点から、産学官が連係して取り組むプロジェクトです。直近では昨年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018」及び「未来投資戦略2018」にも取り上げられております、経済再生の重要な枠組みとして、政府を挙げて支援を行うこととしているプロジェクトの1つと位置付けられているところです。本日は、レジストリ関係の研究班の方々、そしてNC、PMDA、AMEDの取組についても御紹介いただきたいと考えております。さらに事務局より、これまでの取組状況と今後の方針を説明させていただいた上で、皆様方に御意見を頂きたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、早速議事に入ります。議題1、「横串研究班の研究概要報告」から始めます。各研究班それぞれ10分以内でお願いできればと思います。まず、国立精神・神経医療研究センターの武田理事からお願いいたします。
○武田参考人 御紹介ありがとうございます。座ったままでプレゼンさせていただきます。横串班の1つについて、進捗の報告をいたします。資料1-1を御覧ください。私たちの横串班につきましては、実はオリジンは2015年秋から2016年3月まで厚生労働省によって結成された特研班で、そこでやりましたことは、3ページですが、まず医薬品開発を目指した患者レジストリの分類・定義です。それは、目的によっており、第1段階としては市場調査や治験の実施可能性調査になり、第2段階として治験のリクルート、第3段階として治験の対照群、第4段階として製造販売後調査、あるいは医療経済学的調査になります。このうち第1、第2段階につきましては、そのときにできていたレジストリで十分でしたが、やはり治験の対照群、あるいは製造販売後調査を目指すとなると新しい世代のレジストリを形成する必要があると考えて、提案いたしました。
それを受けて、4ページですが、2016年にAMEDにより公募の結果縦串の班4つ、横串の班2つを作っていただきました。縦串の班は、これから紹介がありますが、新たなレジストリを構成することが目標になります。横串班としては私たちの班が一番下にありますが、CINの推進の仕組み、それから隣にいらっしゃいます次に御発表される林先生が信頼性基準をキーワードに結成されたところです。
5ページですが、当初AMEDの皆様より武田班に与えられた検討課題が4つあり、そのうち、今日は一番上のレジストリのリスト化、それから3つ目の個人情報保護法改正への対応、4つ目のレジストリ費用負担のまとめについて、簡単に述べたいと思います。最初にレジストリのリスト化です。これは当初より特に製薬協の皆様から世の中にたくさんレジストリがあるのだけれど、どこにどういったものがあるか分からないという御要望があり、それを受けて私どもがリスト化の御提案を申し上げ、翌2017年にAMEDによる公募の結果として、こちらにいらっしゃる國土先生が拠点事業を展開されることになりました。これは後ほど御紹介があるものと考えております。
2番目の課題7ページですが、これは個人情報保護法の改正に関連したことです。最初に2017年に診療情報を企業に提供することの是非に関して、インターネットを介して3,000名の市民の皆様に意識調査をさせていただくことができました。その結果を下段に書いております。それは私たちの予想をある意味で上回るものでして、製薬企業による開発目的での診療情報利用の公益性については、学術機関の活動に次いで公益性が高いという結果を頂いております。また利用目的に関しては、特に副作用情報収集が最も公益性が高いという結果を得ることができました。これが、その後の活動のもとになっております。
それを受けて9ページですが、今年度私たちの研究班で「患者レジストリデータの企業利用に際しての倫理性担保に関する基本的な考え方」と題する提言をする段取りです。その内容ですが、下の段の3.にあるように、倫理性担保の基本的な考え方と具体的な手続について記載しております。それに基づいて、今後の課題についても提唱させていただいているところです。
具体的な内容については11ページにあります。開発目的での患者レジストリの企業利用に関しては、これは原則として個人情報保護法の適用となりますので、同意を取っていただかなければなりません。ただ、その場合に、ほかの法令に基づく場合には個情法の適用から除かれることがありますので、具体的には「どこまでが薬機法の範囲か」ということを明確化する必要があると考えております。
さらに同意によらないレジストリを薬機法の下で市販後調査等に用いる際の考え方について、これは整理が必要というのが私どもの考え方です。それを図示したものが12ページにあります。これは開発目的で患者レジストリを企業利用に出すについては個情法の世界になりますので、必ず同意が必要となります。それに対して、右下を見ていただきますと、個別法に基づく場合では例外、免除などが出てまいりますので、薬機法の場合にどのようにするかが一番のポイントになります。
ここまでが私たちの認識で、13ページに、これらをもとに課題を提出しております。1番、薬機法に基づく場合が大事ですが、医薬関係者、具体的には医療機関になると思いますが、保有するレジストリの場合では、ある程度免除があるわけですが、学会等の保有するレジストリからは企業様にデータを提供することができません。そこで現在の薬機法について改正に期待するところです。以上については提言で書かせていただいております。
次の成果ですが、14ページにあります。これはレジストリを維持していく上では経済性が重要で、「疾患登録システムの活用に係る費用負担のあり方に関する検討」として提言をまとめているところです。具体的な内容につきましては、1ページめくっていただくと、現在レジストリを維持していく上での困難さを図示しております。すなわち、レジストリを恒常的に、なおかつ、できるだけ経済的に維持していく上では収入の増加及び支出の抑制が必要で、これがありませんと、特にアカデミア等でレジストリを維持していく場合に、医師、研究者の労力の負担を軽減することができません。これは働き方改革を進める上でも非常に重要なポイントだと思います。
そこで私たちの研究班において、この点について検討いたしました。それを下段に書いております。やや字が細かくなりますが、一番最初に考えたのは、複数の企業の皆様に御参加いただくコンソーシアム形式でした。ただ、企業の皆様等にインタビューをした結果、必ずしも企業の皆様はコンソーシアムを、これは分野にもよりますが、望んでおられないことが分かってまいりました。ただ患者リクルート、治験実施可能性調査、市場性調査等に関しては、その都度利用料を徴収することが可能であり、また治験や製造販売後調査等に関しては、共同利用による拠出を望んでいることが分かってまいりました。そのことから、今後レジストリを運営し維持していく上では、以下のようなことが考えられると思われます。1つは、従来のように、研究機関等からの運営交付金を充てる。2番目として、AMEDをはじめとする競争的資金を導入する。それに加えて、企業との共同研究や利用料による収入をベースとした安定した運営が望まれるのではないかという結論にしているところです。
そうしますと、CINの横串として、今後残っている問題は何かということが出てまいりますが、17ページにあります。それは、やはり私たちが当初から申し上げている中央支援部門ではないかと思われます。特にユーザ向けサービス、これは既に出来上がっているレジストリが対象ですが、それに関しては既にマッチングという事業が厚労省、AMEDの皆さんによって動いているところです。今後レジストリを構築し、あるいは運用し支援していく点に関しては、あとからお話があると思いますが、PMDAの皆様から既に相談対応の窓口等を設けていただけるというたいへん有り難い話を頂いているところです。
最後の18ページに、これまでの話をまとめております。CIN推進に向けて、横串の研究班として活動をしてまいりました。1つはCIN拠点を提案し、これは國土班としてその実現を見たところです。横断的課題について、レジストリデータを企業に導出する際の倫理性担保及び費用負担のあり方に関して、私たちで提言をさせていただく段取りとなりました。今後の発展に関しては、ワンストップサービスがポイントだと思いますが、既に構築されているレジストリの利活用に関しては、マッチング事業が進んでおります。今後疾患登録システムを構築し恒常的な運営をしていく上では、既にPMDAの皆様から御提案を頂いておりますし、また厚労省の皆様から今後の進め方についてお考えがあると伺っております。私からの発表は以上です。
○伯野研究開発振興課長 ありがとうございました。質疑等は資料1の部分をまとめて御説明いただいたあとにさせていただきたいと思います。続きまして、国立国際医療研究センターの國土理事長より御説明をお願いいたします。
○國土構成員 おはようございます。國土でございます。それでは資料1-2を御覧いただきたいと思います。先ほど武田参考人から御紹介がありましたように、私どもの國土班は横串班の1つとして、レジストリのリスト化という作業を進めてまいりました。
資料2ページです。これがAMEDから公募されたときの求められる成果でございまして、4段階ありまして、1つは国内のレジストリ情報をできるだけ多く収集してリスト化する、整理するということです。2番目にそのレジストリの検索システムを構築する。そしてそれを公開するという要求がございます。そして、3番目に患者・研究者・企業へのレジストリに関する情報を提供する、あるいは相談する。そして、それを最後の4番目に、一元的に運営管理し、できればそういう恒常的な部門を設置するという、そういう要求がございました。
4ページです。それに沿って3年計画で現在2年目が終わろうとしていますが、作業の実態としましては、ここにありますようにナショナルセンター、医薬基盤・健康・栄養研究所、学会ということで、日本医学会にお願いしまして主に基本領域の学会、それに加えてそれに関連する学会にお願いして調査をいたしました。その結果が5ページで、一番右の最新の情報では、一次調査というのが、存在を認識して連絡者と連絡を取った段階が622件、2次調査、詳細な調査が終了しましたのが416件ということになります。その内容について、昨年も少し御紹介したかもしれませんが、簡単に御紹介いたします。
6ページはレジストリの対象で、78%、ほとんどが特定の疾患に関するレジストリでした。そのほかには特定の手技・手術などのレジストリというように続きます。7ページ、対象疾患はICD-10の分類によりますと、かなり細かくされておりますが、右に書いてありますように、主な疾患はがん、新生物ですね。それと精神及び行動の障害、そして筋骨格系及び結合組織の疾患と、そのようなものが多いということが分かりました。
そして8ページ、登録規模については、500以下の非常に小規模なレジストリが多いのですが、中には10万例を超えるデータベースもあるということが分かっております。続きまして9ページ目がレジストリの目的ですが、やはり多いのはアカデミアによる臨床情報の収集と解析ということで、その上にあります生体試料の収集、治験での応用というのはまだ非常に少ないということが分かります。10ページはどのようなデータが収集されているかということですが、数字のデータ以外に画像検査データがあるレジストリが31%あるということが分かりました。11ページは生体試料の有無ですが、生体試料、血清、血漿、DNA等を収集しているレジストリが34%あるということも分かりました。12ページです。データ入力システムですが、こういう電子的な入力システムが用意されているものが46%であり、残りの54%はないということで、紙ベースのものもあるというふうに想像されます。
13ページはレジストリの監査ですが、監査、オーディット等をやっているというふうにはっきり書いてあるのは12%ということで、少ないということが分かります。14ページ、登録時の同意取得の有無ですが、これは73%で同意が取得されているということが分かりました。15ページ、データの第3者への提供ですが、これは可能なレジストリは14%にすぎないということが分かります。そして、実際の実績については、その下の16ページですが、御覧になって分かりますように、第3者提供が可能なレジストリの中で62%が実績があるということで、実際に企業などに提供できたものは9レジストリにすぎないということが分かります。
17ページ、現状の課題についてのフリーコメントを頂いておりますが、やはり想像したとおり、人員不足、経営資金の不足、こういうものが多いということが分かります。そして来年度に向けてですが、下の18ページにありますように、調査対象をさらに拡大して、疫学会会員、歯科医学会にもお願いしようと考えております。そして回答方法を簡略化して、ウェブシステムで担当の方から簡単に回答が頂ける、そういう利便性を向上したいと考えております。
実際の情報検索システムは、19ページ、これがイメージ図ですが、まだ公開されておりませんが、間もなくこのような形で公開する予定になっております。そして、その下に情報発信・相談対応ということで、20ページにレジストリの公開情報とか文書、いろいろな契約書に関する文書の雛形とか手引などを公開したいと考えております。規制に対する情報など、こういう関連する情報を公開いたします。21ページは今後の体制整備ですが、武田班が今年度で終了するというようにお聞きしておりますが、武田先生に私どもの班にアドバイザーとして入っていただいて、それからPMDA・業界団体の皆様との連携をさらに武田班から承継して行っていきたい、事務局も強化したいということです。最後のページは全体の組織図ですが、このような形でCIN推進の拠点、レジストリのリスト化の拠点として来年度も活動したいと考えております。以上です。
○伯野研究開発振興課長 ありがとうございました。続きまして群馬大学大学院林教授より御説明をお願いいたします。
○林参考人 林です。資料の1-3を御覧ください。すみません、スライドにページ番号が打っていないので見にくいかもしれませんが、よろしくお願いいたします。横串班の1つとして、平成28年から3年間をかけて、今年度が最終の年度となっておりますので、この3年間の活動の報告をさせていただきます。まず、「はじめに」ということで、先ほど武田先生からお話もありましたが、平成27年の厚生労働科学研究の特別研究の武田班の報告にもあったように、幾つかの患者レジストリの役割があるわけですが、中でも5番目と6番目の、製販後調査、安全性対策に活用する場面、それと主に治験の対照群として活用する、この2つに関して、研究のデザイン、統計学的な観点、データの品質の保証という観点から、我々は検討をしてきたということです。
患者レジストリを上手に利用して、何とか臨床開発を効率的に進めたいというのが最終的な目的になっています。
次ページです。特に患者レジストリを研究開発に使うという場面で一番最初に問題になるのが、実際にRCTが使えないような場面での利用というのが利用の場面でいちばん最初に考えられるものということで、希少疾患とか医療機器、手術といったような領域で、患者さんの重篤性のため、若しくは患者さんの数に限界があるというために、通常のいわゆるランダム化比較試験が実施できない、そのためにエビデンスが揃わないといった状況で、何とかリアルワールドの患者レジストリを利用して、効率的に臨床開発をしたいということが問題点として挙げられて、それを何とか解決するような方法を見いだそうというのが我々の研究班の目的であります。
諸外国の動向がそこに書いてありますが、米国、ヨーロッパを中心に同じように、この患者レジストリ若しくはリアルワールドのデータを臨床開発に用いていくという動きが最近あるわけですが、特筆すべきことは、先ほど紹介いたしました武田先生がされた特別研究班は平成27年ということなので、FDA若しくはEMAと同じか、若しくはそれに先立って日本は検討を始めたというところが重要かなと思っています。
次ページですが、目標として先ほどお話したように、1番目がどういう研究のデザインとか解析の方法が利活用に最適なものがあるのかというのをレビューしましょうと。実際にそれが応用可能かどうかを見る。その応用可能性検討等から統計学的な側面についての提言を利用するときに、こういう研究のデザインがある、注意すべき点はこういうものがありますよという提言を作るというのが2番目です。3番目に、特にデータの品質の管理というような側面から、信頼性の基準に関しての提言を出すという、この3つが目標になっています。リアルワールドデータというと、先生方も既に御存じだと思いますが、特に日本の状況を見ると大きく2種類に分けられるということで、1つは日ごろの診療記録、電子媒体になっているというようなものがあって、それを何か2次的に利用しましょうというもの、代表的なものは多分MID-NETなどがこの例になると思います。我々が特にこの3年間で検討したのは、患者レジストリのほうで、別の言葉でいうと患者のコホート研究といってもいいかと思いますが、定義はそこに書いてありますが、アメリカのAHRQも同じ定義を使っていますが、我々の研究班でも、報告書では患者レジストリというのは、何らかの臨床的な目的、若しくは政策決定のための何らかの目的のために、主に間接的な手法を使って集められたデータというのが患者レジストリだと。特徴としてはその疾患固有のアウトカムだと。きちんと測定されているというところが非常に重要なところで、これがあるので、臨床の開発という場面で非常に役立つデータのソースになるだろうということになるかと思います。なので、特に二次的な利用と比較した場合、やはり臨床開発で患者レジストリというのは威力を発揮できるのではないかと考えています。
次のページを御覧ください。これは模式的に研究のデザインを書いたものですが、一番左端が茶色になっているところがシングルアームでRCTができないわけですから、比較試験ができないような場面で、シングルアームの成績があります。これは単独だと、なかなか解釈ができないというので、比較検討する対照群が必要になる。そのときに、上の白い所、これが患者レジストリのデータ、患者さんのデータだというふうにすると、その全部を持ってくる、若しくはその一部を、比較可能性を高めるために何かのマッチングをしたというような、一部のデータを持ってくるなどして比較をするというのが、対照群としての利用ということになるかと思います。これが通常の比較するというRCTと違って、同じ土俵での比較がなかなか難しいので、様々な統計の手法を用いて、この比較可能性を高めようというのが、我々の研究班の目的になっていたわけです。
これをどんどん考えていきますと、シングルアーム自体が患者レジストリの中、若しくは一部が中のデータだということも当然考えられる。レジストリを、構築班のほうは恐らくこのような形で患者レジストリの中で実際の治療をなされた患者さんのデータと、それをなされていない患者さんのデータを比較していくという形になっているかと思います。患者レジストリの中でRCTも当然利用することが可能なので、これをどんどん突き詰めていけば、いわゆる現在よく言われているpragmaticなtrialに近付いていくと。今回、我々は一番右端のことはあえて提言の中には書いていませんが、一番左、若しくは真ん中のような状況のときに、どうやって研究デザインを、最適なものを作り出すのか、若しくは分析をしていくのかといったところに提言をまとめたわけであります。その下のところは、それぞれ、今の上の3つの図に対応した事例が書いてあります。
次のページにいっていただいて、先ほど言った3つの表の一応成果を御報告します。まず、1番目の研究デザインやRCTの代わりとなるような比較可能性を高めるような研究デザインや解析法のレビューということで、各分担班が解析法に関してのレビュー等がありましたので、これは今現在学会誌等に投稿の予定がされています。同時に今年度が最終年度ですから、研究班の報告書を今作成していますが、それにもここでレビューしたものに関しての文献リストを付けるという準備をしております。
2番目に関しては、このレビューの結果から、研究のデザインや解析法の提言、注意点を列記したものを報告書として今、作成して公表する予定になっています。内容としては、今お話をした、この患者レジストリを外部データとして、どういうふうに利用するのかといったフレームワークについての研究デザインのお話をして、特に統計解析に関しては、そこに書いてある3.1の傾向スコア、3.2、操作変数法、3.3、Bayes流のアプローチと、この3つが多分、現在最も利用するときに必要となってくるような手法だということを考えまして、それに関しての報告書が少し詳しく作成されています。
次ページです。3番目の成果としては、信頼性基準の提言であります。これは日本語版、英語版両方を今、準備しています。当然利用するのは日本国内なわけですが、先ほど言ったように、将来FDA、EMA等とのハーモナイズも考えるということもあると思いましたので、英語版も現在作っております。その下に図を書きましたが、従来ですと、いわゆる治験という話ですと、一番左側の一番最初のデータが出てくる医療機関、一番右端のそれを実際に利用する企業等、申請を利用する企業等、この2つの役割を持った機関、その間のことだけでよかったのですが、今回レジストリがありますので、ちょうどその真ん中に、レジストリの保有者というプレーヤーが出てきているので、その関係を書いて、信頼性の基準の中には、それぞれがどういう関係を持って信頼性を担保していくのかといったことが書かれています。
次のページです。この信頼性担保に関する提言に関しては、国立がん研究センターの柴田先生が中心になった分担班がずっと3年間やってきたわけですが、途中、シンポジウムで様々な意見を聞いたりということもありましたし、特に製販後に関しましては、平成30年2月21日に出た、これは製販後に特化していますが、そこに少し我々の書いていた提言も盛り込まれています。最終的には学会誌に投稿する予定であります。
最後に残された課題ということで、1番目としては先ほどお話したように、研究デザイン/解析法に関しては、いろいろ文献等でレビューをしたわけですが、最終的には日本国内の事例が必要になってくると思いますので、そういった事例の蓄積、他のデータソースとの連結をうまくやるといったようなところが、まだ手が付けられていない状態になっています。2番目としては、統計学的事項の提言に関しましては、日本語でまとめたわけですが、これもやはり英文化をして、どこかの学会誌に投稿する予定になっている、これが残された課題になっています。
最後にデータの信頼性担保に関する提言に関しましては、最終的には品質の管理の、特に患者レジストリの保有者のほうから見ると、品質の管理は結局ブロセスの管理が一番大事になってきますので、そのプロセスの管理の仕方に関する、いわゆる品質のマネジメントシステムに関する部分を、信頼性の担保と提言の中には盛り込む必要が出てくるのだろうというので、この部分に関しては残されている課題となっています。以上です。
○伯野研究開発振興課長 ありがとうございました。ただいま、横串研究班の研究概要につきまして御報告いただきましたが、この分野に関しまして、御意見、御質問等ございましたらお願いいたします。
○水澤構成員 国立精神・神経医療研究センターの水澤でございますけれども、たいへん多くの進捗があってすばらしい報告でございました。お伺いしていて、やはり重要だと思いますのは、先ほど武田参考人から話がありました、レジストリ運営における費用負担ということであるかなとも思います。ロードマップに従いますと、そろそろもう自立するという時期にきているかと思うのですけれども、単純なレジストリだけですと、なかなか研究費のほうも出にくい、あるいはサポートもしていただきにくいということがあると思うのですけれども、その中で先ほど説明がありました、企業の皆様からの、例えば参画についてはコンソーシアム編成等についてはなかなか賛同を得られなかったというお話を伺ったのですけれども、これはかなりもう、決定的なことなのでしょうか。それとも、まだ可能性が残っているということなのでしょうか。その辺りを伺えればと思います。
○武田参考人 それでは、参考人からお答えさせていただきます。御質問いただきましてありがとうございました。水澤先生が御指摘のように、今後のレジストリを考えますと、安定的な維持のためには経済的な側面が非常に大事だと思います。私ども最初、コンソーシアム形式を考えまして、そのときはこれは領域によると思いますけれども、なかなか難しいという御返事を頂いたことは事実でございます。ただ、その後、レジストリに関しては、國土班の御努力がありまして、皆様の理解が高まってきたと思っております。そこで、分野によっては共同研究と書かせていただきましたけれども、実際に幾つかの企業が具体的なマターについて、新しいレジストリを構築することについて協力してもよろしいというお話が出てきております。したがって、当初、考えましたコンソーシアムとは少し形を変えておりますけれども、言わば、新しい世代の少し小規模のコンソーシアムも可能である。そういったことも加味して、運営費交付金、あるいは外部研究費に加えて、様々な形で企業の皆様から御協力を頂くことが今の私たちの認識でございます。以上です。
○手代木構成員 日本製薬工業協会の手代木でございます。今、武田先生からお話ございましたように、ベースとしては私ども産業界もこのCINに関しては非常に大きな期待をさせていただいているところでございます。これをどのように活用していくかということについては、さらに多くの議論をさせていただきたいと思っておりますが、どうしても、コンソーシアム方式という、その言葉で考えますと、何となく奉加帳方式で、皆さんがお金を出して、使う人、使わない人にかかわらず、みんな利用料のような形で出すんですというふうに捉えがちでございますので、そうすると、かなり大手の会社は、まあそれでもと思うのですが、中小ぐらいになりますと、これってずっと取られ続けるのですかということで、どうしても抵抗が出てしまう。聞き方にもよるのかもしれませんけれども、そういったのが現状だと思っております。
ただ、武田先生からもお話がございましたように、具体的な共同研究のような形でありますとか、あるいは利用料のみならず、部分的には、例えば役務提供のようなことについても、業界としては十分お話をさせていただく用意はあると我々は考えておりますので、私どもも、安定的で、なおかつ継続して行えるということが極めて重要だということについては、御賛同申し上げているところでございますので、これにつきましてはもう少し突っ込んだ議論を今後、いわゆるアンケートベースではなくて、こういう具体的な例については乗れるか、乗れないかということでお話を継続させていただきたいと思っております。
○水澤構成員 どうもありがとうございました。可能性が残っているということで少し安心いたしました。中核的な組織として、例えば國土班ができて、発展していると思うのですけれども、そういった形のところにも企業の方々に入っていただいて、そして検討していただくと。具体的な治験等についての個別研究にだけ参画されるというよりは、もう少し広く、日本のレジストリとか治験全体を見た中で、例えばこちらは企業からの参画、あるいは資金提供もあり得ると。それから、超レアなところ、いろいろなのがあると思うのですけれども、そういったところは、より公的なところでサポートするといったことも含めて議論していただくようなことが私は大事だと思ったものですから、お聞きした次第です。ありがとうございました。
○手代木構成員 ありがとうございます。おっしゃられるとおりだと思います。特に即物的な言い方でたいへん恐縮でございますが、、希少疾患のようなもので、具体的に何か単群試験で承認に近いような例が出てきますと、これについては私ども研究開発費をどう抑えることによって、あまり高額な医薬品でない形で国民の皆様に御提供できる術というのを業界も考えているところでございますので、それにつきましては具体的な例が進むとさらに加速する。そういう意味では少し良いプロトタイプを御一緒させていただくというのも、一つあるのかなとは思っております。
○伯野研究開発振興課長 ありがとうございます。そのほか、御質問、御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。また、一番最後にも意見交換の時間を設けさせていただきたいと思います。本日、議題がたくさんございますので、次に進ませていただきたいと思います。議題2の「疾患登録システム構築班の研究概要報告」に移ります。現在、4つのレジストリ構築研究が進められておりますので、順に御紹介をしていただきます。たいへん恐縮ですが、各研究班、それぞれ5分程度でお願いできればと思います。まず、国立がん研究センター東病院の大津病院長からSCRUM-Japanの取組について御説明をお願いいたします。
○大津参考人 それでは資料2-1に基づきまして、SCRUM-Japanの疾患レジストリ進捗報告をさせていただきます。2枚目のスライドになりますが、全体像は全国260施設の参加、それから製薬企業17社との共同研究、全て共同研究で遺伝子パネル解析を行って、それにマッチした治験への登録を推進する。臓器別のumbrella typeが28試験、basket typeが20試験の合計48試験、企業・医師主導治験の内訳は御覧のとおりで、これが全体像になります。右上になりますが、かなり成果が出てきておりまして、一番目、薬事承認の取得、それから医師主導治験全国NWの構築、臨床・ゲノムデータ産学共有による次の創薬、Precision medicineの構築に向けた国際データ統合、治験対照群規制対応レジストリの構築をスタートしております。右下になりますが、既に1万例を超える、1万3,000例の臨床ゲノムデータを保有しておりまして、これは疾患別に考えれば、世界でおそらく最大の規模だろうと思います。
次の3枚目のスライドになりますが、これが治験の一覧になります。肺がんのumbrella typeが19試験、それから消化器がん9試験、そして、いわゆる臓器横断的なbasket typeが20試験です。その下、4枚目のスライドになりますが、既に医師主導治験の全国ネットワークを構築しておりまして、全国の9拠点、合計18本の医師主導治験をこのプラットフォームを利用して促進しております。それから右側になりますが、オンラインでの臨床ゲノムデータの情報共有をアカデミア66施設・製薬企業17社、これはセキュリティのガイドラインを決めて、それを守っているところだけに限定になります。アクセスも月1,000件を超える。最近ではアカデミアのほうがアクセス、ダウンロード件数が多くなっております。
次の5枚目、既に10試験で治験の登録が終わりまして、そのうちの4つの薬で、既に薬事承認を取得しております。確実に成果を出して、次の患者さんのもとにいち早くしっかりと保険償還付きで届けるというのをポリシーに進めております。それから診断薬のほうも4剤で承認を取っております。
6枚目です。この臨床ゲノムデータを用いまして、次の標的、これはアカデミアでの事例ですが、左側が、築地の国がん研究所でRET陽性肺がんの耐性メカニズムと治療標的の発見を報告しております。それから右側のほうは、このデータをもとにスパコン等を使って、次の医師主導治験が開始されました。これは慶應大学で開始されております。
7枚目、このデータベースを活用して、企業と医師主導治験の補完を行っております。左側、FGFRの遺伝子異常を、上に書いてある、少し小さいですが、既にSCRUMでの1万例のデータでの、どういった遺伝子のどういう異常、サブクラスまで分かっていますので、それに基づいて、いかに奏効率を高めるかというポリシーで、企業と医師主導治験が補完し合いながら開発を推進しております。右側のほうもHER2陽性症例、これも、いずれも国内企業からの治験です。
8枚目です。既に我々は世界で最大規模のデータを持っていますので、我々がデータを提供するのではなく、海外のデータを提供していただいて、そのデータを統合して世界のエビデンスを構築するということを推進しております。幾つかその事例が出ていますが、左は、病理診断基準の国際標準を作りまして、今、論文投稿中、それから右側が国際的なデータ統合の解析プロトコルを作りまして、間もなくデータ統合を我々のところが主体的に行う予定でございます。
9枚目、規制対応のレジストリの構築もスタートしております。先ほど言われましたように治験対照群の有効活用ということで、右側のほうの図における、下の、いわゆるリアルワールドデータは臨床・ゲノムデータとして産学での共有を既に行っており、今度は治験グレードでの規制対応のレジストリが、大体5~10%ぐらいだと思いますが、そこの構築を開始しております。
10枚目、左側が対象遺伝子、右側上が実際に今まで集めたリアルワールドデータと今回の規制対応レジストリの違い。これは、林班の信頼性保証の案に基づいたSOP等も全て完備しております。それで大体、100例ぐらいの集積になっております。
11枚目、電子カルテの入力テンプレートを構築し、そこから規制の申請用のデータにするためのCDSICの自動変換のシステムを作りました。実データでの妥当性も検証しまして、今後、このデータを用いて申請用のデータとして企業治験、医師主導治験に活用する予定でございます。
それからその下、治験対照群と同時収集による医師主導治験というのを既に3つの試験で開始しております。それから2試験が準備中、現在、企業の国際共同治験への導入というのも幾つかの企業が興味を示しておりまして、その企業治験と同時に、レジストリ規制対応のヒストリカルコントロールデータを収集するという形で進めております。既にリアルワールドデータのほうは、FDAの申請に一部供出しております。この辺はPMDAとも連携を取りながら進めておりまして、EMA、FDAのほうもガイダンス等が出ていますので、それに合わせたグレードで、国際協調を推進する予定でございます。
最後のスライドになりますが、既に新規プロジェクトもスタートしていまして、今までの組織ベースから、血液でのリキッドバイオプシーベースのスクリーニングが既に一昨年の12月からスタートし、現在、間もなく症例の集積が1,000例になります。それから、正に先月から台湾の最大規模の医療機関が参加して、台湾からの登録を開始、SCRUM-Asiaとしてアジアのデータも取り込む予定でございます。その一番下になりますが、ほかの固形がんへの拡大を来年度からスタート、それから中国からの参加。今、いろいろなところで注目を浴びていますMicrobiomeの解析を加えたマルチオミックスデータの収集、それからAIの展開、これも既にデータはできて、間もなく発表する予定でございます。以上です。
○伯野研究開発振興課長 ありがとうございます。続きまして、名古屋大学大学院の祖父江特任教授からJaCALSに関する説明をお願いいたします。
○祖父江参考人 御説明申し上げます。資料の2-2を御覧いただけますか。私どもは筋萎縮性側索硬化症、ALSを対象にしたものでありまして、かなり特化した内容になっております。右肩の数字が2のスライドを見ていただきますと、ALSは患者数は日本で1万人、新規発症が2,000人/年ということで、どちらかというと希少疾患に属しますが、孤発性が90~95%を占めておりまして、孤発性をターゲットとした治療開発というのは非常に重要だということでございます。既に100近い治験が行われていますが、ほとんど失敗でございまして、アルツハイマー病の開発と非常によく似ているわけであります。大規模レジストリに基づく創薬開発というのが最近、世界的に関心を持たれておりまして、これは2つの大きな目標がございまして、1番目はリアルワールドデータを活用する創薬、これはCINです。それから2番目が創薬シーズの開発ということでございます。
3のスライドです。私どものJaCALSというシステムですが、これは92%のフォローアップ率で、遺伝子、臨床データ、不死化細胞、一部iPSにしておりますが、生体リソースで、現在、1,660、1,700例近くになっております。全国32施設で行っております。今までのJaCALSとしての実績の例を少しお示ししますが、私ども、経過予後などを規定する修飾遺伝子、modifier geneと呼んでおりますけれども、これをたくさん見付けておりまして、製薬メーカーと共同研究中でございます。もう1つは、臨床マーカー、バイオマーカーと、予後の経過を規定するものが非常に重要でありまして、治験デザインへの組み込みということをやっております。
スライド5です。孤発性ALSからiPSをかなり作っておりまして、これを薬剤スクリーニングに利用するということで、これは孤発性のものをiPSにするという試みは世界的にも先駆的なものでして、タンパク質の凝集をシミュレートしたり、臨床結果をシミュレートするということで、これを利用して、ALSの治療薬、ロピニロールというのを見いだしまして、これは慶應の岡野先生らと一緒に今、医師主導治験に入っております。これも製薬メーカーとさらに検討しているところであります。
CINの実績ですが、6ページ目からです。レジストリ利活用に対応するJaCALSの構築ということでして、そこに4つ書いてあります。いろいろな利活用の方式があると思いますが、ここでは主に製販後調査について、少し詳しくお話し申し上げます。そこに規制要件として、GPSP、ER/ESというのがございます。次のページ、これが現在、この研究班でアップグレードいたしましたJaCALS-2といっておりますが、このシステムの全容でして、JaCALS-1というのは、どちらかというと従来型の紙ベースで行っておりました。それをウェブ型にしまして、今、こういう形で運用を開始したところでございます。その実際がその下に出ております。
また、次のページ、先ほど申し上げたように、GPSPとER/ES指針を落とし込むということが製販後調査で非常に重要でございますが、SOPを、そこに示しましたように非常にたくさん、22個作っておりまして、ほぼ完成しております。それからそのSOPとCSVのER/ESレベルでのすり合わせということが非常に重要でして、これもほぼ、現在完成しているところでございます。スライド10です。システムセキュリティということが非常に重要でございますけれども、そこで赤字で書いてある所がセキュリティ部分です。暗号符号とか、クラウドをうまく使うとか、いろいろなシステムを導入してセキュリティを構築しております。それから企業やアカデミアとのデータの共有化のための利活用のセキュリティが非常に重要でありまして、主にMID-NETを参考にしたシステムを導入しております。
スライド11です。もう1つ、非常に重要なのが、先ほど申し上げたようにJaCALS-2の前のシステム、JaCALS-1と言いますか、そのデータが1,600例以上ございまして、これをJaCALS-2への統合ということが非常に重要でありまして、これを現在進行させております。これは実は意外とかなり重い仕事でありまして、ER/ESを担保しながら統合するという作業を続けているところでございます。スライド12です。これが実際の製販後調査への展望といいますか、形をそこに漫画的に書いてございますが、ALSを含めた神経変性疾患、アルツハイマーでもそうですしパーキンソンでもそうですが、例えば上の図を見ていただきますと、1年での、この実薬群とプラセボ群の差は非常に小さいわけでありますが、6年、7年ぐらいを見ていきますと、この差が非常に大きくなるということがございます。ただ、6年、7年の治験を組むということはなかなか難しいわけでございまして、下に書いてありますように、第3相で有意差の認められるようなp値が出れば、実薬群と差が非常に小さくても、条件付きのような形で承認していただいて、製販後調査に持ち込むと。エダラボンという薬で実際にやりますが、これが現在7年見ろということで始まっておりまして、これが今後、フィージビリティ調査から実調査に移りますが、我が国で最初のこの方式によるやり方でございまして、今後、この方式が段々多く出てくるのではないかと、神経変性疾患でですね。というふうに考えております。
最後のスライドになりますが、今後に向けた工程表でありまして、JaCALS-2の本稼働です。その太い線で示してありますが、それから先ほどのPMS実証研究の本稼働、これをエダラボンでやるわけです。これは平成31年度、あるいは平成30年度、今ですがスタートしたいと思っています。それから先ほど国際展開の話が出ましたけれども、アジア展開11か国とパクタルスというのを組んで、今、アジアのウイルスについて、国際展開を行っております。これはスライドがございませんが、少し触れさせていただきました。以上です。
○伯野研究開発振興課長 ありがとうございました。続きまして精神・神経センターの中村室長からよろしくお願いいたします。
○中村参考人 国立精神・神経医療研究センターの中村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。資料2-3を御覧ください。ページ数を右の下に打っておりますので、そちらで御説明させていただきます。
まず、私どもの研究班はページ2ですが、目標とねらいと体制を示しております。これまで難病・希少疾患の中でも代表的であります筋ジストロフィーの領域でRemudyというシステムを作ってまいりましたが、これをさらにCINに発展させる目的で研究者や患者自身の医療情報等を目的に応じて規制要件に対して階層化し、それらを一元的に管理していくというのが我々の目標であります。実際、研究体制としては下のとおり、神経センターのTMCが中心になってこういったシステムの構築を支援し、これまで国際共同治験などの経験のある研究施設の方々に分担研究者に入っていただき進めてまいりました。
3ページ目は今回、CINのAMED事業班の中での我々研究班の位置付けでございまして、縦串班の1つとして活動してまいりました。4ページ目でございます。これまでRemudyというものは研究開発のスキームを見たときに、市場調査や実地調査、リクルート等にはこれまでも活用されてまいりましたが、今問題になっておりますのが治験の対照群であるコントロール群としてにあるCTでのの代替、製販後にどのようにしてこういったものを活用していくかということでありますので、それについてこれまで検討してまいりました。次のページを御覧ください。
その中で、我々のほうで今運用している体制が5ページのものでございます。これは階層と考えておりまして、下の部分、1階建ての部分ができるだけ共通項目を筋ジストロフィーの領域で集め、多くの患者さんで、一部の個人情報も集めながらリクルートや実施可能性に使っていったり又は様々な医学系研究を行っていく。それに対して、さらに様々なシーズの開発が進んでいる場合に2階建て、上の部分ですが、例えば一番左のところ、DMDに関しては治験対照群の治験で収集するような項目も含めて前向きコホートも収集していく。これらの情報の1階と2階を連携して運用していくというものです。現在、DMDに関しましては1,800人以上、GNEに関しましても日本全国300例中200例程度の方々が収集されております。治験対照群に関しましても今、前向きコホートで30例近くの方がコホート研究に参加いただいております。
6ページです。これまでRemudyに関しましては紙で運用しており、現場の方々に紙での運用を強いておりました。それをなるべく現場の負担を少なくする、またMID-NET等のお話もありますので、我々医療機関の電子カルテの中でどうやってこのようなレジストリを進めていくかという検討の一部として、今回参画いただきました研究機関の電子カルテの中にRemudyの登録項目のテンプレートというものを設置し、カルテ上でそういったものを作成できるようにすることと、それをさらに紙でも提出印刷して、患者様にもお渡しできるし、また電子カルテDWHの中にもその情報が収集されていく。CINとMID-NETの連携を視野に入れたときに、MID-NETで収集できないような、特に希少疾患で特異的に収集するような項目をテンプレートとして収集するということもできるようになると考えております。
次のページをお願いいたします。7ページに関しましては、これまでほかの先生方もお話されていますように、我々もレジストリをいかに薬事制度下で利用するかということのためにQMSを意識した規定・SOPの体系を構築してまいりました。これらは既に一覧としてできあがっております。8ページ目でございますが、これは武田班でも課題になっておりましたが、まさに臨床研究ネットワークとレジストリというものを連携・統合していくという活動です。これまでMDCTNという臨床研究ネットワークと我々Remudyというものは一応共同して運用してはおりましたが、今後、来年の4月から1つの運営体としてやっていくことになっておりまして様々な規定も既に作成されております。
次のページをお願いいたします。9ページはレジストリとネットワークの事務局の統合のみでなく、様々なレジストリの事務局もできればNCNP等で一元的に運用していくことを考えております。今、ここに書いてあります疾患に関しましては来年度以降、事務局を統合していく予定しております。
10ページ目でございます。これがまさにDMDをモデルとして我々がレジストリを活用した臨床開発の実例です。私たちNCNPでは、平成21年から企業と共同研究でシーズを探索し、早期探索的シミュレーション臨床試験として、医師主導治験を行い、さらに企業治験を行ってまいりました。平成21年、シーズ開発の時期からRemudyを開始しておりましたので、平成25年には患者リクルートへの活用ができましたし、CINが開始されたあと自然歴を開始しておりまして、間もなく承認申請の検討に入っておりますが、そういった中で自然歴の活用の可能性が、この自然歴とCINの活動によって可能になってきたと考えています。
次のページをお願いいたします。ページ11、これが今後我々が来年度以降行おうと考えているものです。先ほどまでお話してきたDMD、デュシェンヌ型筋ジストロフィーのプロトタイプをさらにほかの疾患に広げていくということで、例えば福山型のFCMDの自然歴は既に準備を開始しておりますし、またほかの疾患への拡大であるとか、NCNPはバイオバンクにある生体試料との連携を行っていき、先ほどまで国際化というお話もありましたが、既に韓国の研究者とは2月に会議を開催しており、来年度以降、お互いにリースするデータシェア等も始められないかるという会議を今、まさに進めているところであります。
12ページ目、最後ですが、やはりCINはどなたにとってメリットがあるのか。患者様や国民の方々との意見交換というのは非常に重要だと考えています。その中で、今回私の研究班の中でも、これまで関係が非常に良好でありました筋ジストロフィー協会の方々とシンポジウムを開いたりアンケート調査等も実施させていただいております。
最後のページ、まとめですが、CIN推進のためにレジストリ構築体制を行ってまいりまして、薬事制度下でのレジストリの考え方を整理してまいりました。今後、マッチング事業も含めて参画していきたいと考えております。御清聴、ありがとうございました。
○伯野研究開発振興課長 ありがとうございました。続きまして脳神経外科学会の嘉山理事長顧問より御説明をよろしくお願いいたします。
○嘉山参考人 日本脳神経外科学会の嘉山でございます。私どもは学会、つまりアカデミアが日常の医療業務の中で医療機器に関するレジストレーションが可能かどうか、ということを課題にして研究してまいりました。脳神経外科学会は医療機器のイノベーションを従来から非常に切望しておりまして、1980年代にはナビゲーションシステムを開発したのですが世界展開までにはいかなかった。そのような苦い思い出もございまして、この度のこのことに関しましては学会を挙げて取り組んだわけでございます。
まず、医療機器のイノベーションの課題としてシーズ、あるいは企業、シーズと企業の双方向性の情報の共有がなかったというのは一番の我々の反省でございました。シーズ側としては、先ほど、武田先生に全てまとめていただきましたけれども、レジストリに関する人的要因、あるいはレジストリにした内容を管理する、これが学会として可能かどうか。その際に品質ですとかシステムも管理しなければいけないということがございます。最近非常に重要になっております個人情報の保護ということも学会でできるかどうかも試してみたわけでございます。それから、先ほど水澤先生から御質問がございましたように、企業との共同様式として費用をどうするのかということも検討いたしまして、ある程度の答えが出ました。
次のページをお開きください。2ページ目ですね、同じページです。3年間にやったことは、日本脳神経外科学会の基本的なデータベースを作るということ、これは日常の業務の中で現場でデータを入れるわけですので、それを専門医の制度とリンクして作り上げたわけでございます。この中身としては従来は手術の内容だけだったのですが、現在では非手術例、投薬等も入ったデータベースになってございます。現在はそのほか、実際の研究として、イノベーションを目的とした頸椎の人工椎間板及び小児シャントが今稼働中です。
多分、私が公募で選ばれた理由は、従来から悉皆性が非常に高い登録をしておりまして、現時点で脳神経外科のデータベース、目標30万だったのですが現在35万が登録されております。従来から年間20万例の手術症例をきちんとした形で登録しております。これは手代木会長がいつもおっしゃっているように、データのハイクオリティを保たなければいけないということで非常に厳しくやっております。登録項目として1番、2番は基本的なところですが、3番の放射線画像、これは他の研究班が今研究中ですので、我々もそれを応援して今後やっていくつもりでございます。学会として、本当にこういうことができるのかということがございましたが、構築の成果としてレジストリの管理運営委員会等を学会で作ることができまして、質の担保も学会でもできるということです。先ほどのお金の問題、成果の1-3です。これは奉加帳のようにとおっしゃいましたが、コンソーシアムはあきらめました。企業で随分温度差がございますので、要するに数万円でレジストリが見られるということを基本的なお金にしまして、そのほか研究する際にはターゲットを絞って、もう1つ段階を作って頸椎人工椎間板や小児シャントに関しては別立てでそのときに研究をするというようにする。そうでないと現場の情報が多過ぎますので、そのような構造にしました。それができることが分かりました。
その次のページ、3ページ目ですが、これが新たに2段階目で加える頸椎人工椎間板レジストリの内容です。小児のシャントもこの内容ですが、このぐらいであれば加えても現場からレジストリングは可能であることが分かりました。スライド4です。2.研究を実施して判明した今後の課題とその対応策です。特にこの赤字で書いてあるところ、薬機法では、企業がレジストリを利用する際に障壁となるのは、医薬関係者が保有するレジストリからのデータ提供のみが可能であり、学会等の保有するレジストリからデータ提供ができないという指摘がございます。今後、次の赤字ですが、学会等に対して、企業が行う安全性情報の収集に協力する義務を課すことが議論されておりますが、今後は速やかに法律上明記されることを期待する、ということに賛同いたします。
企業のことは先ほど申し上げましたが、さらに、やはり学会だけのお金ではとても無理なところがございます。やはり、国の公的資金が支払われるべきではないかというように考えております。
3番、最後のスライドです。私たちもいろいろ企業とコミュニケーションを取ってまいりましたが、現在のところは複数企業が興味を示している段階、特に精神・神経・呼吸器・脳・血管分野における市販後安全調査、市場性調査に興味を示しておりますので、このレジストリを使ってイノベーションが起きるような方向性に持っていきたいと考えております。ただ、これだけでは新しいアイテムができませんので、もう一工夫しようかなということも今検討しております。
最後に、私どもは先ほど、一番最初に申し上げましたように、国家がイノベーションを何とかやってくれないかということを切望しておりましたので、この度の厚生労働省、文部科学省、PMDA、あるいは企業、AMEDの末松先生にこのようなシステムを国家として作っていただいたことに敬意を申し上げて終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○伯野研究開発振興課長 ありがとうございました。ただいま、4つのレジストリ構築研究に関する御説明をいただきました。このことに関しまして御意見、御質問等ございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか、また最後に御質問等まとめて受けさせていただきたいと思います。先ほど、薬機法との関係が何回か出ていたかと思います。事務局の説明の中で少し触れさせていただきたいと思います。
続きまして、議題3に移りたいと存じます。各NC等が運営するレジストリの取組状況を御報告いただきます。代表して国立がん研究センターの中釜理事長にお願いいたします。
○中釜構成員 国立がん研究センターの中釜です、私からNC等の取組について説明させていただきます。資料3-1になります。
こちらに各NC等がその責任を負って、あるいは学会等の協力等で進めている登録事業についてリストしてあります。全部で17個リストしています。その中で、より積極的にレジストリの利活用を進めている、あるいは企業との共同研究として既に進めているもの、代表的なものを幾つか紹介させていただきます。
1ページ目の例えば3番、国立循環器病医療センターが取り組んでいる日本脳卒中データバンクですが、これは既に15年間で17万症例の登録を終えています。この中で、当面は企業に直接データを渡すという仕組みにはなっていませんが、共同研究という形で積極的に利活用を進めております。
その下、6番目、国立精神・神経医療研究センターの進めているRemudy、先ほど中村班の方で報告がありました。こちらは既に企業による利活用をかなり積極的に進めており、治験の実施可能性の調査等を行っております。この表にあるように、既に企業11件、あるいはアカデミア5件との共同研究あるいはその治験を進めているところであります。それから、今後対照群としての利活用を見据えて自然歴研究も開始しております。
3ページ目になりますが、9番と書かれている国立国際医療研究センターの肝炎レジストリについて紹介いたします。これは枠組みとしては基本的には共同研究ベースですが、既に2,000件以上の登録が進められているということで、肝線維化糖鎖マーカーの開発、C型肝炎経口治療薬の開発等、企業との共同研究開発を進めているものであります。利活用データに関しては臨床検査値、ウイルスマーカー、ウイルス遺伝子等、あるいは先ほど申しましたが糖鎖マーカー開発の利活用、こういうものも3社の利活用実績があるという状況です。
最後に16番をお開きください、これは国立成育医療研究センターで、実は2018年、昨年から始まったもので、日本小児血液がん学会・血小板委員会等により設立されたものです。これは二次利用も想定した同意取得を含め、企業による積極的な利活用を前提に前向きに設計されたものであります。年間40例というものですが、小児疾患の中でも希少な先天性血小板減少症についての薬開発等を目指したものです。
最後に、がんについて、先ほど項目では1番目、2番目に国立がん研究センターが主体として行っているSCRUM-Japan、あるいはMASTER KEYについてお話します。SCRUMについては先ほど、大津班のほうで説明がありましたので、参考資料としてMASTER KEYのプロジェクトについて資料を使って説明させていただきます。
これは希少がんを対応としたレジストリ研究、及び付随研究への参加を促すような仕組みです。ページをめくっていただきまして3ページ、なぜ希少がんかということですが、希少がんの治療開発、これは御存知のように症例数が少ない。個々のがん種としては少ないのですが、それでも全体としては患者さんは多い。そういうものの開発研究の遅れを何とか解決したいということで設計されたものであります。レジストリ自体、登録は2017年5月から開始され、当初年間100例を目指したものですが、既にその倍以上のペースで登録が推移しており、今では500件を超えています。現在は国立がん研究センターを主体に進められておりますが、昨年10月から京都大学の登録も開始してさらにこの共同機関を広げていく。さらに将来的には国際的な展開も意識しております。
スライド5です。付随研究の進捗状況を示しています。登録を始めてから2年足らずですが、既にここに示しますような治験を実施しており、準備中を含めると10件を超え、順調に進捗しています。
さらにスライド6、MASTER KEYに関して多方面との連携で、既に11社と企業との共同研究という形で先ほども申しました付随研究として医師主導治験等を積極的に進め、この開発研究が遅れている希少がんの領域においてもレジストリという仕組みを使うことによって、いかに効率的な開発が進められているかという状況です。私からは以上です。
○伯野研究開発振興課長 ありがとうございました。続きまして、PMDAの近藤構成員よりCINに関する取組状況について御説明をお願いいたします。
○近藤構成員 資料3-2に沿いましてお話をさせていただきます。PMDAは医薬品・医療機器・再生医療等製品の品質、有効性、安全性を評価し、市販後の安全対策を行っています。PMDAの立場からは、AMED研究班をはじめとするCIN活動に関しての協力についてお話したいと思います。下のスライド1を御覧ください。PMDAでは平成30年4月、レギュラトリーサイエンスセンターを設置いたしました。レギュラトリーサイエンスセンターではまず、治験データを品目横断的に解析する部門、MID-NET等のリアルワールドデータなど、製販後の医療情報を検討する部門がございまして、今後得られるデータを最大限有効活用し、医薬品のベネフィット・リスクの値の向上を図り、医薬品の開発促進等に貢献していきたいと考えております。リアルワールドデータの活用につきましてはCIN等と連携し、効率的に議論することとしており、PMDA内の審査部門、安全対策部門の職員を含む部門横断的なCIN対応ワーキンググループを設置しております。
スライド2を御覧ください。リアルワールドデータの活用の国際的な動向といたしましては、例えば米国では医薬品開発におけるリアルワールドデータを具体的に活用するための環境整備に向けたプログラムが米国FDAから昨年末に公表され、また欧州EMAからも同様の目的のディスカッションペーパーが公表されました。また、ICHでは臨床試験の一般指針に関する見直しの中で、リアルワールドデータの活用の国際調和に向けた議論がなされておりまして、IMDRFでも医療機器規制当局に向けた患者レジストリから生成されたデータの利用に関する国際調和の取組がなされております。日本におきましても、承認申請や再審査申請の評価資料といたしまして活用されることが期待されているところでございます。PMDAではCIN対応ワーキンググループにおきまして、臨床試験デザイン・疫学手法の検討などについてAMED研究班に協力いたしております。
次に、スライド3を御覧ください。医療情報を活用するに当たっては、データの信頼性が保証されることが重要でございます。PMDAの協力のもと、市販後の電子診療情報及びレジストリの信頼性を担保し、再審査申請に活用できるようにGPSP省令が改正され、信頼性担保の留意点の通知が発出されたところです。
AMED林班では、承認申請に利用する場合の取扱いを含む検討が行われ、検討結果をまとめた報告書が近く公表されますけれども、その報告書の内容及びICHでの承認申請でのレジストリデータの活用に関する議論を考慮しつつ、承認申請使用にレジストリを活用する際に役に立つ行政指針を最終化することとなると考えております。
次のスライド4を御覧ください。実臨床における各種データの承認申請への活用といたしまして、難病や希少疾病の医薬品開発が早期に行われるよう、PMDAでは平成30年度の厚生労働省予算事業といたしまして、リアルワールドデータを活用した効率的な医薬品開発に資する考え方を整理することとしております。これによりまして、革新的な医薬品の早期実用化の実現に寄与するものと期待しているところです。
スライド5を御覧ください。まとめといたしまして、リアルワールドデータの活用に向けたPMDAの取組を紹介したいと思います。まず、リアルワールドデータを活用した医薬品・医療機器の開発に資するガイドラインといたしまして、製造販売後データベース調査における信頼性担保に関する留意点をまとめたガイドラインなど計3件が通知済みでございます。また、PMDAで目指しておりますレジストリに関する新たな相談枠を含む対面助言での経験を踏まえ、レジストリデータを承認申請等に活用するための基本的な考え方、及び信頼性担保に関する留意点をまとめたガイドラインを作成することといたしております。また、これらのガイドラインは平成31年度に素案の作成を目指しており、専門家の皆様方との協議を経て平成32年度以降を目標に完成させる予定でございます。先に述べましたレジストリに関する新たな相談枠につきましては、レジストリ保有者及び開発企業など、主な相談対象者を想定いたしまして複数の相談枠を設置することを検討しております。
最後に医療情報の活用促進として、製造販売後調査等においてMID-NET等の医療情報データベースを活用する企業に対し、薬剤疫学的な手法により医薬品の有効性等を検討する際の課題に関する助言や基本的な考え方を取りまとめております。今後とも関係機関と協力して、国際的な動向を意識して、リアルワールドデータの活用に向けて取り組んでまいりたいと思っております。私からは以上でございます。
○伯野研究開発振興課長 ありがとうございました。続いて、AMEDの末松構成員より取組状況について御説明をお願いいたします。
○末松構成員 ありがとうございます。資料3-3を御覧ください。私どもは発足してから、もうすぐ満4年になります。そのミッションの中で、社会実装と並行した研究開発の推進を、どのようにフォーカスを当ててやっていくかということに取り組んでまいりました。その例を2つ御紹介いたします。既に、ほかの研究代表者の方々から御紹介のあったAMED事業については割愛いたします。
1つ目の例は、現在、進めております診療画像等データベースプラットフォーム事業があります。ここでは、ICT技術や人工知能の研究を行って、広域に連携し、いろいろな場所で恩恵にあずかれるような仕組みを作っていこうと考えております。2ページ、1枚目の下に、当初この事業は、日本病理学会、日本消化器内視鏡学会、日本医学放射線学会、この左側の3つの学会の連携でスタートいたしました。
こういった画像情報をまとめてプラットフォームを作り、その中でAIの開発を行っていくと、どうのような利点があるかと申しますと、例えば、annotationと呼ばれる作業があります。それぞれの画像でどこが病変なのかをaddressする作業になるのですが、ここが一番大変な作業になります。ところが、今までは、これらの作業は別々の学会が別々のソフトウェアを使ってやっておりました。また、そのソフトウェアが年々歳々アップグレードしてまいります。一方、この図の真ん中にあります国立情報学研究所(NII)ですが、ここには、非常に優秀なデータサイエンティスト、データセキュリティに関するプロの方がたくさんいらっしゃいます。そういったところで、マルチクラウドの空間を提供していただいて、各学会のインフォームドコンセントを取っていただいた画像について、どのように処理・加工していくかという仕組みになっております。現在、この活動に御興味を持って、厚労省の御指導も頂きながら参画している学会が日本眼科学会、皮膚科学会、それから、医学超音波学会等です。今、少しずつ成果が出始めておりますが、それについては、4月7日に成果発表会が都内で開かれる予定です。
次のページを見ていただきますと、日本病理学会のまとめが少し出ております。AIによる胃の生検ダブルチェック支援システムというのが、ほぼ完成して供出データをさらにここにインストールしてアップグレードする体制になりました。この国立情報学研究所と日本病理学会のクラウドが連携して、地域の病理所見をどのようにデリバリーしていくかという実装研究についても、この4ページに示したような福島県におけるプラスティクスに、ようやくたどり着くことができております。5ページの2つ目の例は、AMED発足以来、デザインをしてまいりましたInitiative on Rare and Undiagnosed Diseases(IRUD)です。このプログラムに関しては、国立精神・神経医療研究センターの水澤先生に非常に強力なイニシアチブを発揮していただいております。正確なゲノム診断を提供することにより、正確な治療に結び付けようというものです。この診断さえつかない患者さんたちは、Diagnostic Odysseyと呼ばれる、どこの病院に行っても正しい診断にたどり着かないという方が多いです。これをきちんと診断していくために、ゲノムの解析も大事ですが、それと同等に、フェノタイプ(表現型)のマッチングが非常に重要です。
6ページに示すのは、IRUD Programで最初に診断がついた1例で、このように並べて見てしまうと非常によく似ていると分かるのですが、実際には、どの症状が何歳ぐらいで出てくるかというのは、みんなバラバラですので、そういったものをデータベースで共有する仕組みが必要になるわけです。次のページは、これまで3年間の活動で、お蔭様で418の病院、もちろん、これは大学病院だけではありません。地域の中核病院あるいは開業の先生方も全部含まれての数です。IRUD拠点病院は37あります。特に今回、集計して非常に有り難いと思っておりますのは、診療科横断的診断委員会を大学の中に、このIRUDの診断委員会として作っていただいた大学附属病院が現在35になりました。この診断委員会は、経験の多い少ないの差はありますが、多くの大学で小児科、小児神経、精神科、整形外科、血液内科、このフェノタイプがいろいろ出て、見落としやすいところを注意深く拾う、そのような横断型の診断委員会が35の大学病院で既に設置されております。
もう1つの重要なポイントは、この右側です。「未診断状態の患者さん」というのは、完全に病気のリスト、いわゆる教科書的に載っていない病気だけではなくて、既に知られている病気なんだけれども診断そのものが非常に難しい病気がたくさんあります。それで、どういった所から照会が来るのか調査をしたところ、やはり、このように全国にあります地域の中核病院あるいは各県にあります子供病院の御貢献が非常に大きく、こちらで選定している拠点病院を直接受診する方が27%、それ以外の赤い太字で書いてある所、この73%は協力病院、我々から一銭もお渡ししていない所です。そこがたいへん大きな協力をしてくださっているところが特筆すべき点です。
次のページです。この3年の実績で青い四角でくくってある所が、日本の遺伝性指定難病のカテゴリーです。このIRUD事業で網掛けして引っ掛かった患者さんの実診断数が書いてあります。我々は1年目に国際難病研究コンソーシアムに入り、ヨーロッパのOrphanetというデータベースを同時に使うことが許されており、それによって、日本のデータにはないがヨーロッパのデータのお蔭で診断のついた人たちが、この赤い四角に書いてあります。この青と赤のベン図の外側、ここには完全に新規の疾患の発見が18疾患、それからn-of-oneという、あと一人ケースマッチングがあれば診断がつく方で待機中の方、これは世界のどこかに同じ方がいるかもしれません。そのような方が212例というところまできておりす。今、標準でエクソーム解析の提供を公費で行っておりますが、36.9%の診断率となっており、IRUD解析センターで解析した実績数は2,756になっております。この家系というのは、トリオ解析というのがあり、お父さん、お母さんの引き算をする。そういった数を我々はこなしております。
今後、我々としては、国際共有、情報共有が非常に重要で、グローバルデータシェアリングの枠組みの中に、日本の仕組みを入れていこうということも並行してやってまいりました。10ページに示したMATCH MAKER EXCHANGEという、表現型のデータベースです。各国がそれぞれの言語で、いろいろなデータベースを持っているのですが、これを英語標準で、あるいはフェノタイプの疾患コードというのがあるのですが、それを統一して、そこにアジアで初めてIRUDが、昨年の7月からデータベースに仲間入りをしております。
最後に、今まで日本でゲノム関連の研究で得られた貴重なヒトのゲノム情報は、いろいろな使い道があります。このデータ、特にvariant dataをもっとグローバルに使っていけないだろうか。あるいは将来、民間の方たちにも使ってもらえるようにできないだろうか。いろいろな縛りはあるのですが、今年の2月に、Global Alliance for Genomics and Health、GA4GHという組識で、公募研究でAMEDからドライバープロジェクトに応募し、このGEM-Japanというプログラムが採択されました。この活動を5月からスタートし、グローバルデータシェアリングを行うことによって、世界の患者さんの診断に少しでも貢献しようと考えております。以上です。
○伯野研究開発振興課長 ありがとうございました。議題3の関係で御意見、御質問等ありましたらお願いいたします。
○中釜構成員 国立がん研究センターの中釜です。最後のAMEDからの報告が素晴らしいと思いました。この中で、最初の画像診断のデータベース化を各学会と協力しながらやっていくのは素晴らしいと思うのですが、一方で、このような画像情報と診療情報とのリンクが非常に重要になってくるかと思います。そのときに診療情報、例えば電子カルテ等の、ある程度のストラクチャーのフォーマット化など、そういうものとの連携は現状、どのような段階ですか。
○末松構成員 ありがとうございます。実例を少し申し上げます。日本眼科学会はこの画像兄弟の中の末っ子で一番最後に入ってきたのですが、一番デジタル化が進んでいて、病理の情報とひも付けが全くない。それから民転換を積極的に考えていて、企業ともタイアップして、AIをどのように使っていこうかというところは、かなり進んでいる。恐らく全ての学会の中で一番進んでいるのではないかと思います。その例を言うに及ばず、進度が、進み方が全部、学会ごとに違うというところで、今のところ、臨床タグ情報とセットにして、ソリューションを出していこうというところは、この眼科学会が、恐らく一番進んでいるのではないかと思います。
正直申しますと、病理学会と内視鏡学会は、非常に、がんの診断ということに関するAIのところは大分進んできたと思うのですが、最初は病理の先生が細胞を見るし、内視鏡の方や放射線学会の方は、この場所と見るわけです。両方ともannotationという言い方をして、そこの通訳が、ようやくうまくいくようになって成果が出てきたところです。例えば、特定のケモテラに聞いたか聞かないかというタグ情報が、これからリンクされるようにというデザインは考えておりますが、国立情報学研究所は余り完璧なスタンダードな一致をしなくても、たくさんデータがあれば、何とかなると喜連川先生はたいへん、力強くおっしゃっております。今、そのような状態ということです。
○伯野研究開発振興課長 ありがとうございます。そのほか、議題3の関係で御意見、御質問よろしいでしょうか。それでは、続いて、議題4の「これまでのCIN構想の取組と今後の進め方」について事務局より説明いたします。
○田中研究開発振興課長補佐 事務局の研究開発振興課です。これまでの取組と今後の進め方の案として資料を提示しておりますので、資料4を使って御説明いたします。まず、1枚目の下の部分です。CINの構想の取組の全体像をお示ししております。3つの柱でできており、1.レジストリを構築しそれを活用する。2.治験のネットワークを構築し、使っていただく。3.レギュラトリーサイエンスに基づき、ガイドラインを策定する。この3つの取組をそれぞれ関連させて進めているところです。
次のページ、3の所です。CINの事業全体の予算です。右肩に全体を取りまとめた予算額を示しております。平成31年度の予算額として、CINのコア事業としては21億円、関連事業としては43.8億円、全体としては65億円ほどの予算で進めていくこととしております。その下の4、5ページに今年度のコア事業の取組例として、本日、各研究班の先生方から御説明いただいたものも含まれておりますが、その中で青い部分が幾つかあるかと思いますが、これについては今年度から開始している課題です。取組の事業を2つほど御紹介したいと思います。6ページです。クリニカル・イノベーション・ネットワーク推進支援事業として、具体的には、先ほど國土先生から御説明のあった内容と重複しますが、来年度の予算の中で、全国に散在するレジストリの情報を収集してリスト化したものを公開する予定としております。そのレジストリのメンテナンス等に関する相談支援事業も、併せて実施したいと考えております。3.です。これは昨年から開始しておりますが、企業ニーズに応じたレジストリの改修及び利活用研究を実施しているところです。これについても、来年度も引き続き実施したいと考えております。
7ページは、昨年から始めているもので、MID-NETの手法を活用して、データを標準化するという仕組みがMID-NETの取組の中で培われておりますので、その手法を活用してデータを標準化する体制を臨床研究中核病院の中に組み込んで、疾患登録情報等のリアルワールドデータの活用を推進する取組を実施しているところです。これも来年度継続して実施したいと考えているところです。
その下の8、9です。これまでのCINの取組の中で、明らかになってきている課題と今後どのように対応するかという対応案について、事務局で主なものを整理しておりますので、説明いたします。
1つ目として、先ほどからも御指摘がありますが、レジストリについて、全国にどういったものがあるのか分からないということでリスト化の必要性という課題があります。これについては、レジストリの全国調査を実施し、それを公表する取組を進めており、来年度早々にもウェブサイトで公開していただく予定で進めております。併せて、重要な疾患領域ごとに、先ほどのナショナルセンターのレジストリの御紹介がありましたが、そのレジストリを中心として、関連のバイオバンクあるいはレジストリ間の連携等を検討してはどうかと考えております。
2.です。國土先生より御紹介がありましたが、研究開発目的のレジストリが、やはりまだ少ないという状況があり、これについては、製薬企業からのニーズを踏まえ、疾患レジストリ、具体的にレジストリを保有している医療機関とのマッチングを行い、疾患レジストリをニーズに合わせて改修する。さらにそれを活用して研究を実施することを支援する事業を4つの疾患レジストリで開始しているところです。これについて製薬企業からの意向が強いので、今後も継続することを検討したいと考えております。
3.はレジストリを薬事申請に使う際のガイドラインは、まだ未整備ですが、製造販売後のデータベース調査については、その信頼性の担保に関する留意点について昨年2月に公表されております。今後、薬事承認の申請等に活用するためのガイドラインを2019年度中に素案作成を目指し、2020年度以降に公表する予定で進めたいと考えております。
最後の9ページです。4.と5.はやや共通しますが、構築・運用の負担が高いと。それと、データを管理する人材が不足している。こういった課題について、先ほど御紹介したMID-NETの手法を活用して、データを標準化する体制を臨床研究中核病院に、まずは整備するという事業を今年度から実施しており、2021年度までに12病院に整備することとしたいと考えております。
6.は利用料についてです。利用料が明確でないという課題がありましたが、これは武田先生から御説明がありましたが、研究班でその費用負担の算出方法等、諸課題について整理していただいており、2020年度以降は、そのレジストリの運営等に関する相談対応等を実施しながら、諸課題について検討を進める予定です。7.も重複しますが、相談対制として、来年度、相談体制を国立国際医療研究センターにおいて実施していただく予定としており、PMDAにおいても、先ほど近藤理事長から御説明がありましたが、2019年度より新規の相談枠を設置し、試行的に相談を開始する予定と伺っております。説明は以上です。
○関野医薬安全対策課長 そのまま続けて、この資料の続きにあります11、12枚目を使い、先ほども少し触れていただいた薬機法に関係する現在の取組状況について紹介をしたいと思います。11枚目の資料を御覧ください。この絵に書いてありますとおり、現在、薬機法では、この絵の上にある医薬関係者と、その右側にある製造販売業者等のところ、この間で安全性情報等について、医薬関係者から見れば情報収集に協力する形での規定があります。それを踏まえ、製造販売業者等は矢印が逆に向いてますが、必要な市販後の安全対策、あるいは情報提供等の活動を行っているといったところが現状です。
今後については、医薬関係者あるいは病院・診療所における診療情報、この辺りが、この絵の下にあります学会等において、かなりレジストリという形で、きちんと管理され、まとまってきている状況にありますので、これらのレジストリに関しても、安全対策に十分活用していくことを考えていきたいと思っております。その一環で、学会等から見れば製造販売業者等に対し、安全性情報の提供がしやすくなるような環境を整え、一方、製造販売業者から見ると、安全対策に必要な情報を入手しやすくなるということに関して、薬機法上の中で、現行、医薬関係者にお願いしています協力といったところに関して、この学会等あるいは関係団体を法改正により盛り込む形を取り、情報のやり取りをしやすくすることを今考えているところです。この製造販売業者等に関しては、当然、医薬品、医療機器、その他薬機法の中で規制を受ける全ての製品に関する製造販売業者が対象になりますので、それらの安全対策が進むような形での環境がより整ってくるのではないかと考えているところです。下の1枚に関しては、その元になる議論を行っておりました制度部会という所での取りまとめの関係部分を記しておりますので御参照ください。以上です。
○伯野研究開発振興課長 ただいまの事務局の説明について、御意見、御質問等ありますでしょうか。よろしいでしょうか。大きな反対意見がないようでしたら、この方向で引き続きCINの取組を進めたいと思っております。御了承いただければと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
最後に、議題5の「その他」です。本日の議題全体を通して御意見等がありましたら、いただければと思います。また、レジストリに限らず広く治験臨床研究の環境整備の推進に関して御意見等ありましたらいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○森大臣官房審議官 1つ補足の説明を申し上げたいと思います。先生方、今日はたくさんの進捗状況についてアップデートいただき、本当にありがとうございます。ただいま御説明しましたように、これに関係する薬機法改正の作業を一生懸命進めている状況です。本日局長が欠席しておりますのは、その関係の国会対応等のためです。今国会のこの薬機法改正案については、イノベーションを進めるために、画期的な製品の審査制度を法制化するということ、それから、レジストリを使ったリアルワールドデータを活用するための所要のルールの整備、そして、実際に承認をした製品についても、その後改善・改良していく、進化するAIのような製品、こういったものに対する合理的な審査の制度、そういった仕組みを導入すべく、薬機法の中にいろいろ手を入れております。そうした案を今国会に提出しようということで、今やっているところです。ただ、法案としてセットできる内容は、既にもうやっているものを取り込むのが常ですので、法案として取り込んだ途端に、実は現場でやっていることは、もっと進んだ話が出てくるというのも、これまた、先生方にも、私どもも視野に入れておく必要があるのかなということで一言申し上げます。実際に、このレジストリのデータは、今、病院あるいは診療所といった医療機関に来られる患者さんのデータを投入して登録していくことを基本としているとは思いますが、既に欧米では、治験を患者さんが在宅にて、オンラインでデータを取って集約するといったやり方も進み始めています。そして日本でも、例えば、オンライン診療というのが、今、進められようとしていて、これは、実際に患者さんが自宅で自分の人生を全うしながら、かつ、医療のサポートを得ながら病気とともに暮らしていくという暮らし方を考えなくてはいけなくなっていると。このようなことを背景としております。しかし、これが現実だとすれば、いろいろなデータ、リアルワールドデータは地域、在宅でデータが集まって生まれてくるということも、これはまた、次なる視野として考えていく必要があるのではないかということもあり、まだ、それについて、具体的に施策の中にどう取り込むかという話は、まだまだの段階ではありますが、あっという間に、おそらく、医療の現場はそのような世界になってくる。それは多くの関係者の方々に、是非、視野に入れていただいて、また次なるフェーズを考えていくというようにお願いしたいと思っております。役所からこのようなことを言うのは何ですが、しかし、医療と研究の世界は常に進化しています。こうしたことを、このCINの会議でも是非、考えていただけるように一言申し上げさせていただきました。ありがとうございました。
○伯野研究開発振興課長 ありがとうございます。その他、よろしいでしょうか。業界の方々から、医機連の笹構成員、お願いします。
○笹構成員 医機連副会長の笹です。医機連を代表し、業界を代表して幾つかコメントをしたいと思います。既に、今後の進め方ということで御説明いただいている点もありますが、まず、CIN、レジストリ等のデータを企業が利活用するための患者同意の在り方です。個人情報保護法、倫理指針上の個人情報の考え方、再同意の在り方等の整備、調整によって、例えば、オプトアウト等の手続だけで可能となるように、簡便化を進めていただければと思います。
また一部には、各種規制等データの利用目的との関係・解釈によって、企業の利活用の可能性があることも御教示いただいております。是非、その明確化を進めていただきたいと思います。また、レジストリを長期間維持・管理するための体制についてです。国策としてのデータ活用の有効性に鑑み、十分に議論の上、国からの資金援助に関して、データベース構築後、即止めるということではなく、継続いただくことも考えていただきたいと思います。また、企業へ偏り過ぎているという警告の御意見に関しては、バランスの問題と思っております。当然、受益者負担が当たり前だと思います。ただし、コストの配慮は重要であるということもありますので、関係団体等からの意見についても、是非、御考慮いただいて、学術的な面はもちろん、企業にとっても有用なものであるということを御配慮いただきたいと思います。
次に、リアルワールドデータの信頼性における実現可能なレベルでの運用です。本年度、PMDA、信頼性保証部と業界側との共同の取組の中で、データベースの信頼性の在り方に関する通知や、データベース事業者や利用を計画している企業に対する事前相談ということで新設していただいております。また、今後のリアルワールドデータ活用のための環境整備ということで、新しい制度が構築されつつあり、たいへん、感謝しております。それらの新たな相談制度の利用状況、それから海外の、今日もお話がありましたが、リアルワールドデータの取扱状況も参考にしつつ、是非、実現可能な制度運用を進めていただきたいと思います。
最後になりますが、国としてのレジストリの基礎データの集約化と統合管理、それから、次世代医療基盤法に基づく内閣府の取組の連携に関して、国策としての医療情報の扱いについて、整合・統合した形で検討する段階にきていると認識しております。是非、電子カルテ等からのデータベースへの直接入力、自動入力等の検討拡大も含めて、統一感をもって、議論を推し進めていただきたいと考えております。業界としてもたいへん、期待が大きい事業ですので、最大限の協力をさせていただく所存です。引き続き、よろしくお願い申し上げます。以上です。
○伯野研究開発振興課長 ありがとうございます。たいへん多くの、制度面、コスト面におけるいろいろな課題をご示唆いただきました。正に、産官学でのいろいろな取組を引き続きやっていく必要があるということかと思いますので、御意見を頂いたところを踏まえて、これまでの取組をさらにしっかり進めていきたいと思います。そのほか、よろしいでしょうか。ちょうどお時間になりました。長時間にわたりたいへん貴重な御意見を頂き、誠にありがとうございました。本日の議論を踏まえ、各研究班や各機関での取組をさらに進めさせていただきたいと思います。
最後に、連絡事項ですが、本日の議事録については、作成次第、皆様方に御確認を頂いて、その後、公開させていただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。次回の日程等については、また別途、御連絡させていただきます。以上をもちまして本日の会議を終了いたします。本日は誠にありがとうございました。
 

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