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2018年3月15日 第4回 臨床開発環境整備推進会議 議事録

○日時

平成30年3月15日(木)10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 専用第22会議室(18階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議題

(1)横串研究班の研究概要報告(武田班、國土班、林班)
(2)疾患登録システム構築班の研究概要報告(大津班、祖父江班、中村班、嘉山班)
(3)CIN-WG・PMDA・AMEDの取組状況報告
(4)事業実施体制及び平成30年度予算案等
(5)その他

○議事

○森光研究開発振興課長 それでは、定刻となりましたので、第4回「臨床開発環境整備推進会議」を始めさせていただきます。

 事務局を務めます厚生労働省医政局研究関連振興課の森光でございます。

 最初に、前回の開催より、構成員の追加及び変更がございましたので、御紹介をさせていただきます。

 まず、国立国際医療研究センター國土理事長。それから、千葉大学医学部附属病院山本病院長。ちょっと遅れていらっしゃるようです。京都大学医学部附属病院稲垣病院長。それから、岡山大学病院金澤病院長。慶應義塾大学病院北川病院長。本日は、その代理で佐谷先生に来ていただいております。それから、日本医療機器産業連合会笹副会長。よろしくお願いいたします。

 厚生労働省、経済産業省及び内閣官房の構成員の変更につきましては、構成員名簿を御確認ください。

 また、本日は、構成員、オブザーバーのほか、参考人としてAMEDで支援をしておりますCIN関係の各研究班より、国立精神・神経医療研究センター神経研究所武田所長、群馬大学大学院林教授、国立がん研究センター東病院大津病院長、名古屋大学大学院祖父江特任教授、国立精神・神経医療研究センター中村室長、日本脳神経外科学会嘉山理事長の代理として渡邉様に来ていただいております。

 なお、事務局にも異動がございますが、紹介は省略させていただきますので、お手元の構成員名簿及び座席表を御確認いただきたいと思います。

 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。資料1から4までございます。また、参考資料も1から4までございます。資料11から1213までは武田班資料、國土班資料、林班資料となっております。それから、資料21から24までが大津班資料、祖父江班資料、中村班の資料、それから嘉山班資料となってございます。資料31から34でございますが、31CINワーキングの実施状況報告。資料32PMDAから御提出いただきました資料。そして、33AMEDからの資料となってございます。資料4は、「事業実施体制及び平成30年度の予算案」という資料をつけさせていただいております。

 資料参考1から4は、それぞれ当会議の開催要綱。それから、昨年決まりました基本方針・工程表。そして、健康・医療戦略及び未来投資戦略2017の抜粋。そして、第3回臨床開発環境整備推進会議の議事録となってございます。

 過不足等ございましたら、事務局までお知らせいただきたいと思います。よろしいでしょうか。

 それでは、議事に入りますので、円滑な議事進行のため、撮影等につきましてはここまでとさせていただきます。

 以降の議事進行につきましては、武田医政局長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○武田医政局長 皆さん、おはようございます。医政局長でございます。

 本日は、御多忙の中、多くの方々に御参集いただきまして、誠にありがとうございます。この会議の座長役は医政局長が務めるということになっているわけでございます。大変力不足でございますけれども、座長を務めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 この「臨床開発環境整備推進会議」ですけれども、これはCINについて具体的な方策を検討する場として、平成27年8月に設けられたものであります。今回が4回目ということになります。このCINですが、グローバル開発拠点の一角である我が国において、革新的な医薬品・医療機器等の創出による国際競争力の強化を図る観点から、産学官が連携して取り組むプロジェクトでございます。直近では、昨年6月に閣議決定された未来投資戦略2017にも取り上げられ、経済再生の重要な枠組みとして、政府を挙げて支援を行うこととしているプロジェクトの一つとして位置づけられております。

 本日は、レジストリ関係の研究班や、NCPMDA及びAMEDの取組についても御紹介いただきます。さらに、来年度よりCIN推進支援事業で実施予定の新規の取組を事務局より御説明した上で、今後の課題等について皆様方に御議論いただきたいと考えております。実り多い会議にしていただきますようお願いしたいと存じます。

 それでは、議題1)「横串研究班の研究概要報告」から始めたいと思います。恐れ入りますが、各研究班、それぞれ御発表を10分程度ということでお願いいたします。

 まずは、疾患登録システム及び治験ネットワークの連携等に関する研究について、国立精神・神経医療研究センター神経研究所の武田所長から御説明をお願いいたします。

○武田参考人 ただいま御紹介いただきました参考人の武田でございます。私どもの研究班の進捗状況について簡潔に御紹介申し上げたいと思います。

 資料11をご覧いただき、1枚めくっていただけたらと思います。トップバッターでございますので、今、医政局長から御説明があったところで、また参考資料には記載がございますが、AMED CIN研究班の全体の構成を最初に簡単に御紹介申し上げたいと思います。

 クリニカル・イノベーション・ネットワークでは、申すまでもなく、患者さんのレジストリというものを出発点として、新たな医薬品・医療機器の開発をすることを命題としております。さきのオバマ大統領により、21st Century Cures Actというものが発表されましたけれども、その中でもリアルワールドデータの一環として、レジストリはその中心として捉えられていると考えております。こうした動きを進めるために、縦の方向として4つの研究班が動いておりまして、これはいわば各論の研究班であって、後ほど御紹介があるものと思います。

 また、全体の構成を円滑に進めるために、3つの横串研究班が動いておりまして、私どもはその1つでございまして、私の次に林先生が新たな試験デザインあるいは信頼性基準といったことを内容としてお話しをされるものと思います。また、今年度より、AMEDによりましてCINの推進拠点として國土班が形成されておりまして、これについてもお話があるものと思います。

 それでは、その中で私どもの研究班に課された課題について、次のページで御説明をさせていただきます。これは、私たちの研究班が28年度に認められましたときに、AMEDより与えられました課題でございます。4つありまして、簡単に言いますと、疾患登録システムの情報収集及び情報公開。2つ目が、疾患登録システム及び治験ネットワークの連携。3つ目が、個人情報保護法に対する対応。4つ目が費用負担のあり方でございます。

 そのうち、1つ目に関しましては、先ほど申し述べましたように、國土班が成立しておりますので、そちらからお話しいただけるものと思います。したがいまして、きょうは3つ目の個人情報保護法に対応する方策についてを中心とし、一部、費用負担のあり方について述べさせていただきたいと思います。

 次のページをご覧いただきたいと思います。これは、私どもが厚労省の特研班を構成させていただいたときから御提案してまいりましたことですけれども、もとは製薬企業、製薬協の皆様から、レジストリというものはたくさんあるけれども、どこに行けばどういったものがあるのかわからないという御要望がございまして、それに応ずる形で御提案申し上げ、AMEDにより、今年度研究費が採択され、國土班が形成されたところでございます。患者レジストリのリスト化を目指していると考えられます。その際、そのリスト化というのは決してレジストリの個別患者情報抽出ではないということだけ一言申し上げておきたいと思います。これについて詳細は、後ほど御発表がございます。

 続きまして、私たちにとって一番中心でございます個人情報保護法及び医学研究の臨床指針の改正に対する影響を、4ページ目になりますが、そちらで申し述べさせていただきます。

 皆さん御存じのことではございますけれども、アカデミアで構築された、同意によらない、すなわちオプトアウト等によるレジストリについては、再度同意を取得しなければ、開発目的での企業利用は困難ということが個人情報保護法の観点から出てまいります。これが最も大きな原則になります。しかし、それでは患者登録情報をどのように生かしたらよいかということが一番大きな命題となり、私どもの研究班の課題と考えております。

 それについては、今年度整理させていただいておりますので、次のページ、5ページ目を見ていただけたらと思います。これは医療情報の利活用に関する整理でございますけれども、一番の原則は左下の青い丸でございまして、医療・医学研究の場合には、医学系研究の臨床指針によるわけですけれども、「黙示の同意」、いわゆるオプトアウトを認めたり、公開での提供というものは可能なわけです。すなわち、ここには青信号がともっております。しかし、上に行っていただきますと、医療・医学以外の商業利用の場合には、これは要配慮個人情報としての取得・提供には同意が必須でございまして、このままではレジストリをこういった商業利用に結びつけることは困難と考えられます。

 そこで、私たちは、この赤から緑の方向に注目いたしまして、例えば薬機法の下では、個別法に基づく医療・研究では、同意免除を認めている場合がある。特に、ポスト・マーケティング・サーベイランス、市販後の調査等がそれに該当いたします。そういった方向で可能性を追求することができないかということを検討したいと考えました。すなわち、赤の状態から緑の可能性を追求するということを今年度の私たちの研究班のテーマとしております。

 実は、その議論にはある背景がございまして、次の6ページ目を見ていただきたいと思います。私たちの研究班のことしの活動としまして、Webベースで登録していただいている方から無作為に3,000人の市民の方を選ばせていただきまして、意識調査をさせていただきました。それは、目的としましては、製薬企業による開発目的での診療情報利用の公益性をポイントにしております。

 具体的には、7ページ目になります。まず、診療情報の利用に関してですけれども、この調査をいたしましたところ、3段目に赤丸をつけておりますけれども、製薬企業の新薬開発評価にこういった診療情報を利用するということに公益性があるということは、非常に多くの市民の皆様が認識していただいているという結果を得ることができました。ほかの2つに比べても、それほど遜色のない公益性が認められております。

 もう一枚めくっていただきますと、8ページ目になりますけれども、それでは、製薬企業等が診療情報を活動に用いる場合に、どういった情報に重点があるかということを調査させていただいております。そうすると、一番上に参りますのが、製薬企業による副作用の情報収集です。これには高い公益性があるということを、市民の皆さんの多くが御判断・御理解いただいているという調査結果を得ることができました。

 それから考えられますことは、今度は検討中という9ページを見ていただければと思うのですけれども、企業利用に関して、どのような方向で検討を進めたらよいか。そうしますと、繰り返しになりますけれども、同意取得が論点になっている、同意を得ずにオプトアウトにより患者情報を収集しているレジストリというものを対象に考えた場合。したがって、同意がとれているレジストリ、あるいは再同意がとれれば、これはいいわけですけれども、そういったことが難しいレジストリに関して、最も公益性が高いと判断され、規制上も許容の可能性がある市販後調査への利用に絞って整理することがよいのではないかといった検討中の課題となっております。

 以上をまとめましたものが10ページ目にございまして、これも繰り返しですけれども、患者レジストリの企業利用については、アンケート調査等の結果に基づいて、もちろん倫理指針の対象外であり、同意が必要あるいは再同意を取得するという大きな原則がございますけれども、同意によらないオプトアウトによるレジストリを他の法令下、例えば薬機法というものが例に挙がっておりましたけれども、市販後調査に用いる際の考え方を援用できないかという方向で、現在、研究班で検討させていただいているところでございます。これが私たちが出している一番大きな状況でございます。

11ページ目は、それを受けた文言でございまして、出てまいりましたように、同意文書かとれている、あるいは再同意がとれれば、それについては利用していただくことができますので、同意文書にどういった前提条件が求められるかということを、案としてここに書かせていただいています。これらは、これまで進められてまいりましたバイオバンク事業あるいはレジストリの中で同意をとるタイプのもの。きょうも来ていらっしゃいますけれども、SCRUM-JとかRemudyなどを参考にさせていただいているところでございます。

 ここまでが倫理的な問題でございまして、次の12ページ目は、もう一つの課題でございます費用負担のあり方に関する検討です。これは、CINが発足した当時から大きな課題として指摘されているところでございます。どのように経済的なバックグラウンドを成立させるかということが、レジストリを長く維持していくためにどうしても必要な要件と考えております。これについては、私たちは、右下に赤で書いておりますけれども、レジストリ活用に係る収入の一部をレジストリそのものの維持運営費に充てることで、左下に書いておりますが、継続的にレジストリにデータを蓄積することができるのではないかと考えておりまして、これについては幾つかの事例を指摘することができます。

 今回は時間も限られていますので、これだけの指摘をするということにとどめさせていただきたいと思います。

 それで、最後、13ページ目でございます。これが私どものことしのまとめでもございまして、これは特研班以降、使ってまいりましたスライドですけれども、第1に、今年度、私どもが御提案させていただいたことをAMEDの皆様に受け取っていただきまして、レジストリのリスト化というものを國土班によって進めていただいているところでございます。リスト化が進みますと、今度はどのようなサービスを提供するのか。恐らく、その内容は、レジストリの構築及びレジストリの利活用になると思いますけれども、それらについて、これは検討が進んでいくものと考えております。

 このCINの研究をやってまいりました一つの大きな副産物としましては、レジストリという考え方を大きく普及することができたと考えておりまして、それについては國土班の努力も大きいと思いますけれども、ナショナルセンターだけではなく、きょうも御出席いただいておりますような臨床研究中核病院あるいは学会、難病登録といったものと連携して進めていくことが非常に必要で、その背景としては、リアルワールドデータがあり、最終的な目標としては、新たな医薬品・医療機器を開発して国民にお返しするということにあるかと思います。

 その意味では、今日も御出席いただいております厚労省を初め、AMEDPMDAの皆様、それから多くの企業の皆様等の応援、それから御批判、御意見をいただくことが極めて重要と考える次第でございます。

 これで、私たちの研究班からの報告とさせていただきます。

○武田医政局長 ありがとうございました。

 後ほど御意見、御質問の時間をとりたいと思いますので、続きまして、「CIN構想の加速・推進を目指したレジストリ情報統合拠点の構築」につきまして、国立国際医療研究センターの國土理事長より御説明をお願いいたします。

○國土構成員 よろしくお願いいたします。資料12をご覧ください。

 私どもの班の成り立ちにつきましては、先ほど武田先生が詳しく御説明いただいたとおりでございますが、2ページにありますように、私どもの班の目的は、まさに武田班の実務の部分の一部、レジストリのリスト化、レジストリのレジストリというデータベースを構築する事業でございます。求められる成果としては、第一に臨床研究、臨床開発の促進を目的とした、国内の患者レジストリ情報の収集・リスト化及び整理・精査ということでございまして、2番目に、利用目的に応じたレジストリ検索システムの構築と公開、そして継続的な運営を行い、英語化も含め公開するということでございます。

 そして、3番目に、患者・研究者・企業等への、レジストリに関する情報提供・相談実施等を行う予定になっております。

 続きまして、3ページ、4ページのポンチ絵には、関連するそれぞれの団体との関係を概念的に示してございます。私どもNCGM内にCIN推進室を設置し、そこでデータを収集する予定です。当然ながら、PMDAAMED、関係の研究班との連携を行う予定になっております。

 それから、左上に日本医学会連合とございますが、アカデミアとの連携も必要でございますので、日本医学会連合を通じて各学会に協力をお願いするという構図になっております。

 4ページは、全体の事業班の構造でございます。

 続いて、5ページをご覧いただきますと、スケジュールでございますが、私どもの班は、昨年8月に実質的な作業を開始いたしまして、事業計画としては、その中ほどにございますように、今年度から国内の患者レジストリ情報の収集・リスト化及び整理・精査、引き続いて、検索システムの構築、情報の公開、そして、先に向けての継続的な運営の準備をする予定になっております。

 進捗状況としては、一番下に書いてあるとおりでございまして、中間報告については後で詳しく御報告したいと思います。

 6ページにございますように、我々の情報収集の対象となるものの定義でございますけれども、患者レジストリは、「特定の疾患、疾患群、治療や医療機器等の医療情報の収集を目的として構築したデータベース」で、構築済みまたは構築中は問わないことにしております。

 コホート研究は、「ある定義された集団(コホート)に対して、疾患の罹患や死亡などの健康情報を追跡することによって、その要因などとの関連を明らかにする研究」と定義させていただきました。

 あと、問題になりますのは、いわゆる企業治験とか介入研究のデータセットというのは、実は非常に貴重なコホートであると認識しておりますが、それにつきましては、これからの検討課題とさせていただきたいと思っております。

 続きまして、7ページをご覧いただきますと、実際の研究調査の方法でございますが、1次調査と2次調査に分けて実施いたします。

 1次調査は、レジストリの名称、対象疾患、運営主体、レジストリの大体の規模とか、そういう基本的な情報をまず集めて、存在そのものを把握するという作業でございます。

 2次調査は、それに加えて、患者個人の情報は収集しませんが、レジストリに関するいろいろなデータを集める予定になっております。

 8ページをご覧いただきますと、実際の作業方法を示しています。いきなりホームページに公開しても情報は集まりませんので、まず日本医学会連合に協力をお願いしまして、いわゆる専門医機構で言う基盤領域学会に当たります17学会に調査を依頼いたしました。そこからさらに関連のサブスペシャリティの学会にお声がけいただいて、最終的には学会員の皆様に、こういうレジストリのデータを収集していることを周知いただいて、そこからデータを収集するということを行いました。

 それと並びまして、右にありますように、それぞれのナショナルセンターと非常に緊密に連絡をとっておりますので、ナショナルセンターを通じてのレジストリ情報収集も行う、この2段構えでデータを収集いたしました。

 後半は、現在のところ1次調査がかなり進んでいる状況でございますので、1次調査についての中間報告をさせていただきたいと思います。

10ページにございますように、先ほどの医学会連合を通じた各学会、ナショナルセンターから、それぞれ396件と105件、合計しますと501件のデータが1次調査で収集されました。最終的にどのぐらい日本国内にレジストリがあるのかという数字は全く見当もつきませんので、この501件が多いのか少ないのか、よくわかりませんけれども、ある程度の数が収集されたと認識しております。

 次がその詳細でございますが、重複とか対象外のものを除いて、現在のところ458件について2次調査をする準備を進めております。

 その後、1次調査についての細かな解析結果を次に書いてございます。12ページは、対象疾患でございます。ここではICD-10の大分類しかございません。この中でわかりますのは、筋骨格系および結合組織の疾患、精神及び行動の障害、新生物、このような疾患のレジストリが非常に多いということが見てとれます。

 そして、13ページがレジストリの規模でございます。非常に多い10万例のレジストリもあれば、100例以下のものもあるということで、これも御参考までにご覧いただければと思います。

 それから、14ページは非常に細かい表でございますが、疾患とレジストリ、規模との表になっておりまして、グラフ化したものが15ページでございます。御参考までにご覧いただければと思います。

16ページですが、希少疾患、いわゆる難病を対象とするレジストリは27%ぐらいでした。

 次、17ページをご覧いただきますと、大半、97.6%が国内のみでございますが、一部は海外と合同したデータベースであるということもわかりました。

 右側は、レジストリの地域カバー範囲でございますが、ほぼ全国をカバーしたものが33%、単一施設が35%という内訳がわかるようになっております。

 次が運営主体でございます。18ページにございますように、研究班、診療科、研究室、学会と、いろいろな運営主体があるということもこれでおわかりになるかと思います。

 最後のページが、どのような疾患・手技に基づくものかということでございますが、大半、78%は、特定の疾患に関するレジストリであるということがおわかりになると思います。

 現時点ではここまでの進捗でございますが、これから先ほど武田先生がおっしゃいました利活用について、早急にどのように公開できるか検討します。それから、2次調査を引き続いて急いで始めたいと考えています。そして、501件がどの程度のカバー率なのかもわかりませんので、さらに調査をして掘り起こしていきたいと思っています。

 以上でございます。

○武田医政局長 どうもありがとうございました。

 続きまして、「患者レジストリデータを用い、臨床開発の効率化を目指すレギュラトリーサイエンス研究」につきまして、群馬大学の林教授より御説明をお願いいたします。

○林参考人 林です。よろしくお願いします。

 資料13をご覧ください。私どもは、「患者レジストリデータを用い、臨床開発の効率化を目指すレギュラトリーサイエンス研究」ということで研究を進めております。

 構成しているメンバーは、各ナショナルセンターの、主に疫学、生物統計学、それから臨床試験学といった専門家の先生。それから、PMDAからは、生物統計、信頼性保証の専門家にも入っていただいて、利用班の先生方にも研究協力者として入っていただいております。

 1枚おめくりいただいて、1ページ目ですけれども、先ほど武田先生から経緯を御紹介いただいておりますが、平成27年の特別研究事業の武田班で、CINには6つの役割があるということで、5番目と6番目、5番目が製造販売後調査、安全性対策、6番目が治験対照群としての活用ということの検討が継続して必要という提言がなされておりますので、それを受けて、横串班の一つとして、我々は患者レジストリを利用した臨床開発の促進と効率化ということを課題として行っております。

 2ページ目をご覧ください。臨床開発での問題点として、希少疾患とか医療機器等の領域では、疾患の重篤性とか対象患者さんの数が少ないといった限界のために、いわゆるRCTと呼ばれるランダム化比較試験は実施困難です。また、ほかの一般領域でも、既に社会で利用されている治療法に関しては、RCTは対象となる集団が現実社会と乖離するということで、やはりRCTの実施が困難ということがあるために、いわゆるリアルワールドデータを利用して臨床開発をすることの必要性が世界各国で認識されている状況であります。

 3ページ目をご覧ください。

 そこで我々の研究班の目標としては、RCTの代替となるような研究デザイン、特に患者レジストリデータを利用した臨床研究のデザイン・解析法の開発をするというのが1点目。

 2点目が、開発した研究デザインや解析法の応用可能性がどれだけあるのかといったことを検討して、それに関する提言を作成する。

 3点目が、承認審査という観点から、レジストリのデータや、そこから生まれてくるエビデンスの信頼性の基準の考え方を提示するといった、この3つを目標に進めております。

 4ページ目は、諸外国の動向ですけれども、これは先ほど武田先生などから御紹介いただいていますが、アメリカの21世紀キュア法よりも前に武田班から提言されていますので、日本と同じような動向が見られるということになるかと思います。

 5ページ目ですけれども、これは実は先月の「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に、リアルワールドと医療機器に関する記事が出ておりました。ある一文が我々研究班のやっていることをそのまま書いてあるかなというものがありましたので、ここに書かせていただきました。リアルワールド・エビデンスを利用するに当たっては、データのソースとしては、電子診療データ、レセプト、そして患者レジストリの3つが書いてあります。この中の患者レジストリを、我々はデータのソースとして想定しています。

 しかしながら、問題点としては、データの不一致、いわゆる信頼性の問題。それから、実際に応用しようとするときに、必要となる情報が欠けているようなデータもある。分析の場合には、バイアスの問題があるということで、これらを利用するには、観察研究での厳密な統計学的手法が必要だということが書かれています。まさに、我々の研究班でやっていることは、これに対応するものと考えております。

 6ページ目ですけれども、世界で言われているリアルワールドデータというのは、先ほども書かれておりましたが、大きく2つに分けることができます。

 一つが、いわゆる医療記録データの2次的な利用をするということ。もう一つが、いわゆる患者レジストリ。先ほど國土先生が定義されていたのとちょっと違うかもしれませんが、我々としては、患者レジストリはほぼ患者コホート研究とイコールと考えており、これはアメリカの2010年の定義があるので、それに沿った形で想定しております。その定義はどんなものかというと、観察的な研究の手法を使ったデータ測定。それから、特に重要なことだと思いますが、その疾患特異的な観察項目の情報をアウトカムとしてとっているというもの。当然、医療記録データの2次的な利用と違って、患者レジストリはある目的を持って収集されているものだというところに違いがあるのかなと思いました。こういったものを想定して考えております。

 そこで、市販後のPMS、市販後調査では、この医療記録データの2次的な利用が有用であり、患者レジストリも同様に使えると思います。特に臨床開発を想定した場合は、医療記録の2次的な利用はなかなか限界が大きい。臨床開発では、患者レジストリの応用ということが非常に重要になってくると我々は考えております。

 次のページが、武田先生の平成27年の班から提言された、患者レジストリを外部コントロールとしてどういうふうに使うかということを模式的に考えた図であります。左の2つが、外部にある治療法の臨床試験のデータのそのコントロールとして患者レジストリを全体として使う場合と、患者レジストリの一部を比較可能性を高めるような形で使う場合を考えています。

 より進んで考えると、レジストリの中で臨床試験を組み立てることも当然考えられますので、こういうものも想定しながら、新しい研究デザイン、それから解析の方法を今、整理している途中であります。

 進捗の状況として、8ページ目からですけれども、まずランダム化比較試験の方法の代替となるような研究デザインの開発ということで、各分担班では、研究デザイン、解析法のシステマティックなレビュー、また実際の応用の事例のシステマティックなレビューも行っております。

 2つ目の、開発した研究デザイン・解析法の応用可能性の検討についても、各分担班で行っております。最終的にはこれは来年度になるかと思いますけれども、何らかのガイダンスをつくろうということで、その骨子の検討を現在しておるところであります。

 次のページが、これはまだ案でありますが、患者レジストリを使ったときの研究デザイン、解析法のガイダンスの項目としては、まず、利活用に望まれるような患者レジストリのデータとはどんなものなのかの項目、2つ目が、その収集法や集める情報の内容等に関する項目、3つ目が、それを利用する場合、どういった研究デザインがあるのか、もしくは例数設計等々の研究の計画の段階での事項をまとめる。

 4つ目に、実施中の統計的な、特に信頼性の観点からのモニタリングといった方法等。

 最後には、データの解析法。これもさまざまな観察研究で使われている手法がありますが、その注意点等をまとめていこうと現在は考えております。

 次のページは、今度は信頼性の基準の考え方についての進捗状況です。これは、今日もおいでいただいていますが、国立がん研究センターの柴田先生の分担班が中心となって、初年度は研究班としての案を、これは市販後の研究、それから承認申請を目指した、いわゆる臨床開発での両方を考えて、信頼性の基準の考え方を作成されています。

 その案をもとに、平成28年8月に産官学を対象にした公開シンポジウムを開いて、そこでいただいたパブリックコメント、もしくは海外機関からのコメントに対応いたしました。

 その中の製販後の部分に関しては、先月、厚労省から発出された「製造販売後データベース調査における信頼性確保に関する留意点」に一部盛り込まれた形になっております。

 最終的な文書としては、分担班の成果として承認申請・臨床開発も含めた形で、どこかに発表しようという予定になっております。

 最後に、まとめですけれども、先ほどお話しした目的の3つとも順調に進捗しております。来年度が最終年度ですけれども、そこでは新しい臨床研究のデザイン、解析法に関するガイダンス的なものを提言として発表する予定になっております。

 以上です。

○武田医政局長 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの横串研究班の研究概要報告につきまして御意見、御質問がありましたら、よろしくお願いいたします。

○中釜構成員 最後の発表の中で、今後のガイダンスに関して、データの質の担保や代表性の確保は可能だろうと思いますけれども、既存のものに対して、それを満たしているかというのは、どういうプロセスで評価するのですか。

○林参考人 1つは、現在、分担班でいろいろな手法が開発されているのですけれども、それを実際に既存のものに使いながら評価したいと考えています。基本的には、いずれの手法もRCTの代替となるように、比較可能性がいかに高められるかといったことが主眼になっていますので、これまでのさまざまな手法の文献の検討、それから実際のデータで本当に比較可能性が担保できるのかといったところを各分担班で今やっているところです。

○武田医政局長 ほか、いかがでございましょうか。

 それでは、よろしければ、また後ほど時間もございますので、以降の議題のところでもまた戻って、御質問、御意見などありましたら、お願いしたいと思いますけれども、議事を進めさせていただきたいと思います。

 続きまして、議題2の「疾患登録システム構築班の研究概要報告」に移りたいと思います。現在、4つのレジストリ構築研究が進められておりますので、順に御紹介いただきたいと思います。恐れ入りますが、各研究班それぞれ5分程度ということでお願いしたいと思います。

 まず、国立がん研究センター東病院の大津病院長から、SCRUM-Japanに関する研究の御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○大津参考人 お手元の資料21をご覧ください。

 1ページ目、これはSCRUM-Japanのレジストリの概要でございます。全国250施設、それから、製薬企業16社との共同研究で、先端的な遺伝子ゲノム解析を行って、それに応じた企業治験あるいは医師主導治験への登録、現時点で42試験、そのうち医師主導試験が12試験になります。

 全体での登録、昨年度末で7,553例。既に現時点では8,000例を超えてございます。月400例程度の集積でございます。

 2ページ目、企業16社、アカデミア81施設、これはセキュリティのガイドラインを作成しまして、それを満たした施設との臨床・ゲノムのオンラインのデータ共有を一昨年から開始しております。それぞれのデータは自由に利活用していただくということで、既に月間2,500件以上のアクセス数がありまして、産学連携としてはでき上がっていると感じております。

 3ページ目、さらにこのプラットフォームを利用しまして、医師主導治験11試験、この後1試験追加しましたので、12試験、全国の各アカデミアの施設がこのプラットフォームを利用して、それぞれの医師主導治験を実施あるいは計画してございます。

 4ページ目、既に42試験のうちの11試験が終了しておりまして、4つ結果がありますが、この後、さらに2つ出ておりまして、現在6試験で結果が出ております。既に2剤で製造販売の承認取得をし、保険適用のもとに普及をされてございます。

 続きまして、5ページ目がそのSCRUM-Japanの基盤を利用しましたレジストリの構築になります。上段の左端、疫学的な情報に関しては、既にオンラインでデータ共有が行われております。それに対して、この研究班で行うのは、ヒストリカルコントロールとして、規制に対応できるレジストリデータの構築を行うということでございます。

 次の6ページ目に、従来の問題点と、こういったプレシジョン・メディスンの中での新薬開発の問題点と効率化ということで、先ほど来議論になっています治験の対象群のデータ活用ということが叫ばれておりますので、その規制対応ができるヒストリカル・コントロール・データをつくるということの作業を進めております。

 7ページ目、具体的には、レトロスペクティブなデータを用いて、RET陽性肺がんでのコントロールデータの作成を既に終了しております。それで、いろいろな一般のレジストリと既成のレジストリとの違いと問題点というものを明確化しました。それに基づきまして、前向きのレジストリ構築を開始。これは、二通りの方法で、ブロードにそれぞれの候補となる対象遺伝子の前向きなレジストリ。もう一つは、新規に開始する医師主導治験で同時並行に集めるレジストリということで、2つの作業を進めております。

 いずれのデータにおいてもCDISC対応を行って、国際標準に持っていく作業も同時に進めてございます。

 8ページ目、前向きレジストリの構築のほうは、ご覧のとおり、これは各参加施設での治験情報、それから企業さんの要望も加えまして、ご覧の候補遺伝子をピックアップし、この遺伝子異常陽性例に対して、前向きに有効性のデータを評価するというレジストリの構築を開始しました。現在、契約まで至っているのは、まだ半分ぐらいでございますけれども、20例程度の集積になっております。

 それから、9ページ目、もう一つの方策としまして、新しく開始しました大腸がんの希少フラクションの2つの医師主導治験において、治験登録例と同時に、治験参加施設以外でのヒストリカルコントロールのデータを、協力いただいて収集するという形をとっております。これは、PMDA等との相談も行ってございます。

10ページ目、CDISC標準化への対応でございますが、1つは、SDTMのほうのSOPは作成しまして、次年度完成予定。

 2番目、メタデータの管理も構築が終わりまして、テンプレートも作成し、我々、東病院の中での検証を行いまして、次年度から中央病院等にも導入して、両病院での収集の検証を行うという形を行っております。

 もう一つ、最後のページになりますが、この領域は研究の進捗が非常に早いので、リキッドバイオプシー、血液での遺伝子解析の新しいプロジェクトも、既に今年の1月から開始しました。これは、肺がん、消化器がん、現時点では4,000例の予定で、今後、拡大していく予定でございます。

 以上です。

○武田医政局長 ありがとうございました。

 続きまして、名古屋大学大学院の祖父江特任教授から、JaCALSに関する研究の説明、お願いいたします。

○祖父江参考人 それでは、資料22をご覧いただけますでしょうか。ALS、筋萎縮性側索硬化症という、どちらかというと希少疾患についてのレジストリシステムを構築しておりますので、御紹介申し上げます。

 1枚めくっていただきまして、ページ1です。皆さん、よく御存じだと思いますが、ALSの若干の説明と最近の方向性について述べてあります。

 我が国で約1万人の患者さんがおられますが、非常に予後不良な疾患でありまして、有効な治療法がほとんどない。その中で、特に孤発性のALS90から95%を占めているということで、今まで100近い治験が世界的に行われたのですが、ほとんど失敗しております。最近、エダラボンというものが日本から出ましたけれども、アルツハイマー病の治験と非常によく似た状況にある。神経変性疾患全体がこういう状況にあるということだと思います。

 その下に、創薬に向けた新たな世界的な流れと書いてありますが、1つはリアルワールドデータを有効に利用する。もう一つは、JaCALSからも創薬シーズが幾つか生まれておりますが、創薬シーズの開発をこのレジストリからやっていこうという流れが世界的にできております。

 2ページ目をめくっていただきますと、このJaCALSは3カ月ごとにCRCによるコールセンターからの臨床データ集積を行っておりまして、死亡に至るまでのフォローアップ率が92%ということで、これは世界でもトップであると思います。遺伝子・不死化細胞(iPS)、それからいろいろな生体試料も同時に集積しておりまして、現在1,500例近くの患者さん、全国32施設から集まっております。

 3ページ目、めくっていただきますと、これは既に今まで御議論いただいた内容でございますが、下にマル1、マル2、マル3というものがございまして、利活用の中身として、どういうものがあるかということですが、その2番目に製販後調査への利用ということがございます。これは、リアルワールドデータの利用ということで、既に議論されているところでございます。これについて、集中的にというか、中心的に述べさせていただきます。

 めくっていただいて、4ページ目でございます。これは、患者レジストリの利活用の一つとして、そこに書いてございますが、神経変性疾患一般にDisease-modifying therapy開発は世界的に行われておりますが、先ほど申し上げたように成功例がほとんどない。アルツハイマー病しかり、それから、パーキンソン病でもDisease-modifyingでは成功例はないのですね。

 これはなぜかというと、上に書いてありますように、ナチュラルヒストリーがプラセボ群でありまして、実薬群が多少上に上がっているという経過をとることが想定されるのですが、普通の治験ですと大体1年ぐらいで終わりますので、この実薬群とプラセボ群の差が非常に小さい。ですから、6年、7年フォローアップして、その差を見ていくという行為が必要でありまして、通常のRCTではなかなか難しいわけですね。

 ですから、下にあるように、第3相で有意差が出れば、安全性がよければここで仮の承認をいただいて、それをリアルワールドで検証していくという2段構えの考え方が世界的にも出てきているわけであります。実例が下に1番、2番と書いてありまして、ALSに対するエダラボン、それから、SBMAに対するリュープリンというものが、この考え方で現在行われています。

 ページをめくっていただきますと、JaCALSのシステムを今、グレードアップしておりまして、Web化しているというのがこの図でございます。さらにめくっていただきまして、6ページ目を見ていただきますと、製販後調査に対する規制要件というものが幾つかございまして、その代表的なものがGPSP。これは、データそのものの信頼性の担保でございまして、ER/ESというのは、電子システムに入れた場合の信頼性の担保。この2つが非常に重要な要件になっております。

 7ページ目を見ていただきますと、これを含めて、現在進めている幾つかのことをちょっと御紹介しますと、1番目はGPSPER/ES指針をSOPに落とし込むことによって担保していこうということで、現在、22項目のSOPを作成しておりますし、2ポツとして下に書いてありますが、SOPCSV、これはコンピュータの中での担保でありますが、それの整合性をとるという作業を進めております。

 めくっていただきますと、3ポツでありますが、システムセキュリティの担保。これは当たり前のことでございまして、暗号化システムを今、使おうとしているところでございます。

 それから、先ほどもちょっと御質問が出ましたけれども、既存のJaCALSのデータについてです。JaCALS自体は12年の歴史がございますので、そのデータを今後利用していくのにどうしたらいいのだろうかということがございますので、JaCALS-2の新しいシステムへの統合をどうしたらいいかということをやっております。

 それから、9ページ目でございますが、5ポツはアカデミアと企業、共通の利活用に向けて、特に製販後調査などになりますと、企業とアカデミアのデータを共通化して利用していくという基盤が非常に重要でありますけれども、ここが非常に重要な幾つかの問題を抱えております。先ほど来、ちょっと御説明がございましたけれども、利活用方法の具体、これは個人情報の問題がありますし、資金負担のあり方、解析をどうしたらいいのかという、いろいろな問題を検討中でございます。

 最後の10ページ目は今後の工程表でございまして、ぎりぎりこの30年度に本稼働に向けて間に合わせたいなと思っておりますが、実現化を目指して、今やっているところでございます。

 以上、御紹介でございます。

○武田医政局長 どうもありがとうございました。

 続きまして、国立精神・神経医療研究センターの中村所長から、Remudyに関する研究の説明をお願いいたします。

○中村参考人 国立精神・神経医療研究センターの中村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 資料23をご覧ください。

 まず、めくっていただきまして、1ページ目から、我々の研究の目標とねらいについて簡単に述べさせていただきます。我々が取り扱っております筋ジストロフィー等の医薬品開発が困難と考えられております難病・希少疾患等において、レジストリ等を使って効率的開発促進の基盤を整備するということが目的でございます。

 その中で我々が考えているポイントといたしましては、研究者、患者自身、さらに電子的医療情報を含めた医療情報の収集の方策。また、規制要件への対応。さらに、それらを運営・管理を一元化していくことが重要だと考えております。以上によって、実施可能性調査やリクルート、治験対象群から製造販売後調査までの利用を想定した疾患登録システムができると考えております。

 実施体制としては、下に書いてございますように、神経センターのARO機能等を中心といたしまして、さらに全国の筋ジストロフィー領域の国際共同治験などの経験のある研究施設に入っていただいております。

 2ページ目をご覧ください。これを目指すために、これまで我々Remudy2009年から稼働しておりますが、その間の実績と、さらに我々が目指すものをまとめたスライドでございます。これは、平成27年度のCIN特別研究班でのレジストリの利活用に、我々レジストリがやってきたことを重ね合わせた図でございます。

 現在、Remudyでは、おおまかに筋ジストロフィーは1,700名、GNEミオパチーが200名と、かなりの患者様に登録いただいております。これによりまして、現在のところ、左下の市場調査や実施可能性調査、リクルートということに関しては既に活動しておりまして、今年度でも数社から既に企業の利活用をしていただいております。ただ、今回、CINで求めておりますものは、治験対象群の検討とか製造販売後調査ということになりますので、そこに書いてあるような規制要件や登録項目、デザイン、医療現場での実施可能性、継続性、製薬企業との協調等を解決する必要がございます。

 次のページに移ります。これらを解決いたしますために、これから幾つかポイントを御説明いたします。

 まず、我々が想定しているシステムでございます。これは来年度に運用する予定にしておりますが、これまで我々といたしましては、一番下の部分、患者様が自身で登録したり、レジストリ事務局を通して登録するというシステムを運用しておりました。ただ、これのみで、治験対象群とか製造販売後調査には利用できませんので、今後は医療機関にも入っていただきまして、Web入力とか、また今、問題になっています電子カルテの利用ということに関しまして、電子カルテの中に例えばテンプレートを作成し、それらを全国共通で運用するということをして、これらを一元的にRemudyの事務局で活用するというシステムを来年度構築し、平成30年度から活用する予定にしております。

 次のページをご覧ください。また、これまでにも林先生や、ほかの研究班の先生方からも議論になっておりましたレジストリデータの信頼性についてでありますが、我々もレジストリデータというものは、一般的に行われている臨床研究レベルであったり、PMSのレベル、治験レベルというものがあると考えておりまして、その中で検討すべき課題というものを挙げたものでございます。この中には、運用、プロセス要件、SOPの整備であるとか、データベースITシステム要件というものがございます。

 それに関しまして、次の5ページをご覧ください。その1つ、レジストリの設計・運用に関するSOPについて、先ほど祖父江先生のほうからも詳細な御説明がありましたが、我々もRemudyを運用する上で、こういったSOP体系を考えております。こちらに関しましては、本年2月に出ました医薬品の製造販売後データベース調査における信頼性担保に関する留意点については、準拠した形で、細かい字で申しわけございませんが、そういった標準業務手順書のひな型を今つくっておりまして、来年度、Remudyの事務局体制、あとシステムが運用される場合に、そこを落とし込みましてSOPを作成いたします。

 次のページをご覧ください。こちらは、効率的な運用に向けての考え方でございます。我々Remudyの中でも、筋疾患のさまざまな疾患のレジストリを運用してまいりました。ただ、それをそれぞれのレジストリ事務局が今までやってきておりましたので、そういったものを今、一元化してまとめて活用するということを考えております。その細かい作業内容が、右側の図でございます。

 次のページでございます。こちらも効率的に運用するためのRemudy登録項目の整理ということになります。これまでさまざまな疾患でさまざまな登録項目をつくっておりましたが、これらを今、10疾患程度集めまして一元化して標準をつくっております。また、こちらにはCDISC標準の中でのTherapeutic Area Standardという考え方もございますので、そういったところで必要とされる登録項目についても来年度、レジストリの中に入れていく予定にしております。

 次のページでございます。最後、8ページは、CINの武田班のほうでも課題になっております臨床研究ネットワークとレジストリの連携・機能統合になります。これまで私たち筋ジストロフィーの領域では、臨床研究ネットワークとRemudyというレジストリ、それぞれが非常に協調はしていたのですが、別途運用していたものを、来年度以降、協調して、1つの事務局として運用しようという考えをしております。来週には、それぞれのネットワーク、レジストリの運営委員会を開きまして、来年度1年間かけて、これらを統合して、レジストリとネットワークを有機的に活動していくことを検討しております。

 最後、9ページ目になります。本研究の目標、実施体制。Remudyの実績と課題。我々の目指すシステムや信頼性の考え方。レジストリの統合、ネットワークとの連携について御説明させていただきました。

 どうもありがとうございました。

○武田医政局長 ありがとうございました。

 それでは、最後になりますが、日本脳神経外科学会の嘉山理事長の代理として、同学会事務局の渡邉様より、医療機器レジストリの構築研究について御説明をお願いいたします。

○渡邉参考人・代理 ありがとうございます。

 資料24をご覧ください。AMED嘉山班は日本脳神経外科学会が主体でございますが、班のメンバーは全て学会の役員となっております。本日、福岡にて大きな学術総会が開催されておりますため、理事会等の用務もあり、どうしても班員の参加ができませんでした。代理として学会事務局より御説明させていただきますが、恐縮ながら、この後の質疑は辞退させていただきます。

 スライドの1ページをご覧ください。現在、嘉山班では、このような階層建ての方針でレジストリの構築を進めております。

 1階の基盤データベースはJND(ジャパン・ニューロ・サージカル・データベース/Japan Neurosurgical Database)と称しております。本年1月1日以降の入院症例について登録を開始いたしました。対象は1,000から1,500程度の施設となりますが、仮登録を含めまして、約2カ月間で2万232件が登録されております。倫理審査が終わっていない大学等もございますため、4月以降、登録のペースはさらに上がり、年間20万件以上の登録件数になる見込みです。また、JNDは悉皆性を重視しておりますため、オプトアウトでデータを集積しております。2階から4階の高層階については、オプトインでの研究になる見込みです。

 これまでの先生方の御発表とも重複いたしますが、1階と高層階では同意取得の方法が異なりますので、現時点では異なるレジストリとして分離せざるを得ない状況でございます。今後、医療ビッグデータ法などの運用も含め、1階部分のオプトアウトデータの活用の道が開ければ、高層階との連携や企業への提供も可能になるのではと期待しております。

 高層階につきましては、現在、本学会の理事会が認めた6分野、12のサブスペシャリティ学会に公募を行っております。PMSや特定の医療機器に関するデータ集積だけではなく、自然歴・コホート研究といった臨床研究の応募も含め、今年度中に高層階レジストリを複数採択し、次年度には高層階レジストリの運用を目標としております。

 2ページ目をお願いいたします。こちらは、1階部分、JNDの登録内容になります。JNDでは、現在、各施設に1件ずつを手入力していただいている状況でございます。なるべく現場の医師・施設に負担をかけずに登録していただけるよう、最低限の項目となっております。マル1からマル5までの基本情報は16項目、マル6の診療項目については、手術以外の症例であれば3項目から14項目、手術のある症例の場合にはさらに7項目を登録していただく必要がございます。なお、年齢や入院期間を自動計算したり、同じ内容であれば前の画面から自動的に反映させるなど、システムの工夫をしております。

 3ページ目に移ります。高層階レジストリは、現在、公募を行っているところでございますが、あらかじめ企業にヒアリング等を行い、幾つかレジストリの候補を検討しておりました。

 この一番上の赤い矢印のフローダイバーターですが、こちらは既に本学会が臨床研究の一部として、120症例のPMSを請け負っております。3年間のフォローアップ入力が2019年までの予定でございます。こちらの経験を生かして、PMSまでのレジストリ登録を検討しております。

 小児の水頭症のシャントは、患者を把握しやすく、協力も得られやすい、ある程度施設も限られてくるものとして、Remudyの状況に非常に近いということで、高層階レジストリとしての可能性を嘉山班としては期待しておりましたが、マーケットが小さいという理由などから企業ニーズがなく、こちらはちょっと立ち消えとなってしまいました。そこで、現在、分科会の公募を行っておりますが、小児シャントの件については、分科会では非常に前向きに検討していただいております。レジストリの維持経費次第では、実現したいとの声も出ております。

 また、人工椎間板については、既に分科会・企業様からレジストリの要請及び積極的な協力を得られている状況です。次年度には、高層階に複数のレジストリが立ち上がる予定で研究を進める次第でございます。

 4ページ目をお願いいたします。公募については、年度内に課題を採択し、登録項目の仮決定を予定しております。先ほど説明した人工椎間板については、既にPMSの登録項目がございますので、レジストリによってはすぐに開始できる状況となっております。採択後には研究計画書を準備していただき、倫理委員会の承認、レジストリシステムのバリデーション、標準手順書の準備をして、2018年9月よりレジストリの登録を開始する予定でございます。

 5枚目のスライドに移ります。今回、嘉山班が行うレジストリに参画する上で、分科会のメリットを9つ記載しております。

 例えば、分科会で1からレジストリを構築する場合、会員の年会費だけではかなり難しいところですが、今回、スタートアップ経費として嘉山班が研究を立ち上げる体制を支援したいと考えます。そのために、なるべく低コストでPMSにも耐え得るレジストリを現在、学会で検討中でございます。

 また、レジストリ運用のためのSOP、標準手順書を脳外科学会から各分科会へ提供したいと考えております。こちらも専門の業者へ委託するとかなり高額になると聞いておりますが、スタートアップ支援の一つとして、提供したいと考えております。脳外科学会では、先ほど申しましたフローダイバーターでのPMSの経験がございますので、分科会だけに運用の負担をかけるのではなく、本学会と共同で運用することにより、分科会の負担を減らしたいと思います。

 最後のページになります。今回、検討しております高層階レジストリの体制案ですが、大前提として透明性の確保を重視しております。JNSというのは本学会を示しておりますが、データマネジメント委員会や症例検討委員会を設置いたします。

 分科会には、専門領域として研究デザインを検討していただきます。また、分科会内に委員会を設置するのではなく、外部となる本学会内に委員会を設置することで、COIの問題を解決し、透明性を確保いたします。

 さらに、JNS、分科会とも別組織として独立監査委員会を設置します。JNSに対して監査を行う立場であることを明示して、透明性を確保いたします。

 これらの研究体制について、厚労省様、PMDA様、AMED様との情報共有、意見交換などを行いながら御指導を賜れればと存じます。

 以上で嘉山班からの報告を終わります。

○武田医政局長 どうもありがとうございました。

 ただいま、4つのレジストリ構築研究に関して御説明いただきました。それでは、参加者の中から御意見、御質問などございましたら、よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。

 それでは、ちょっと先に進みたいと思います。議題の3)でございますが、まず本会議のもとに設置されました各ナショナルセンター及び医薬基盤・健康・栄養研究所が担当する合計7つのワーキング・グループに対しまして、進捗状況及び今後の予定を事務局より説明いたします。よろしくお願いします。

○事務局 事務局でございます。

 資料31をご覧いただければと思います。「CIN-WGの実施状況報告」ということで、各ナショナルセンター及び基盤研の取組について取りまとめて説明させていただきます。

 裏面になりまして、まず、NCがん、がん領域でございますけれども、MASTER KEY project、希少がんに関する取組のレジストリ部分について開始されてございます。

 右側、今後の予定でございますが、そのMASTER KEY projectの治験部分をさらに今後開始する予定とされていて、その上のポツになりますけれども、先ほど御説明ございましたSCRUM-Japanを活用した症例登録のさらなる促進、希少がんネットワークを介した治験を実施されると予定されています。

 次の行、NC循環器でございます。まず、進捗状況、一番最後のポツでございますが、脳卒中データバンク、AMEDの事業でございますけれども、これで全国の脳卒中患者情報登録を開始されています。

 今後の予定でございますけれども、脳卒中データバンクの集積をされるということと、2つ目のポツになりますけれども、脳卒中領域の臨床試験ネットワーク、NeCSTとして国際共同臨床試験に参加される予定でいるということです。

 3行目、NC精神神経でございます。進捗状況でございますが、臨床研究データベースの集約化の意見交換会及び筋ジストロフィーの臨床開発に関する意見交換会を実施されております。

 今後の予定としては、3つ目の丸でございますけれども、先ほど中村先生からも御紹介ございましたが、Remudy及びRoMCoを通じたCIN推進に資するレジストリの拡充を予定されております。

 4つ目、NC国際でございます。J-Dreams、糖尿病に関するレジストリでございますけれども、現在、3月時点での参加施設が43施設、登録症例としては3万5,000例以上、3社のサポート契約を締結されておられます。

 今後の予定でございますけれども、2つ目のポツにありますけれども、J-Dreamsの参加施設を拡充するということでございます。下から2つ目のポツでございますが、感染症領域等のレジストリの構築・拡充も図られるということでございます。

 次に、NC成育でございます。まず、1つ目のポツでございますが、小児医薬品開発を促進していくための検討を行う研究会を発足されています。最後のポツでございますけれども、薬事・国際連携室、疾患登録管理室を本年3月に新設されております。

 今後の予定ですが、2つ目のポツでございますが、小児領域における領域毎に収集されている医療情報の統合を推進する。4つ目のポツでございますけれども、小児科学会と製薬企業と連携した国際共同治験を推進されることとなっております。

 次のNC長寿でございますけれども、オレンジレジストリを認知症のリスク因子に着目した介入を含む前向き臨床研究で利用されております。

 今後の予定でございますけれども、3つ目のポツでございますが、レジストリからの被験者リクルートに向け、パネル会社との連携を検討されることとなっております。

 一番最後の難病、これは基盤研の取組になりますが、2つ目のポツでございますが、疾病登録センター運営事業の契約を締結されていて、自治体からの臨床調査個人票受領を開始されています。今年度内に約120万件の受領を予定されています。

 今後の予定でございますけれども、調査票について、OCRとして読み込む登録を開始することとなっております。今後、自治体からの個人票の受領については、約250万件を予定されているということでございます。

 かいつまんで御説明いたしましたが、以上でございます。

○武田医政局長 ありがとうございました。

 後ほど質疑の時間もありますけれども、この時点で各ナショナルセンターから補足の点などございますでしょうか。

 続きまして、独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事長の近藤構成員より、取組状況についての御説明をお願いします。

○近藤構成員 ありがとうございます。

 それでは、32をご覧ください。PMDAは、医薬品・医療機器・再生医療等製品の品質と有効性と安全性を評価し、さらに市販後の安全対策を行っておるところでございます。PMDAの立場から、AMEDの研究班を初めとするCIN活動に対しては、これから御協力の方法について、お話ししたいと思います。

 ページ1をご覧ください。最初に疾患登録システム(レジストリ)について、お話しいたします。医薬品等の開発に関しては、従来のレジストリは治験実施可能性の調査など、治験の計画を立てるためのデータベースとして用いられることが多かったわけです。しかしながら、CINではこれに加えて、治験の対象群のコントロールデータなど、医薬品の承認申請時の評価資料に用いることが可能なリアルワールドデータの収集を目指しているところでございます。

 次のスライド2をご覧ください。リアルワールドデータの活用に関する国際的な動向といたしましては、例えば米国では、21世紀における新しい治療法の発見、開発、臨床現場への導入をさらに迅速にさせるための法案である21st Century Cures Act、それからICHでも臨床試験に関する見直しの中で、リアルワールドデータ活用の議論がなされているところでございます。日本においても、承認申請や再審査申請の評価資料として活用されることが期待されております。

PMDAでは、部署横断的に関係者が参加するプロジェクトといたしまして、CIN対応ワーキング・グループを設置いたしまして、臨床試験デザイン・疫学手法の検討などについてAMED研究班に協力いたしております。

 スライド3をご覧ください。医療情報を活用するに当たりましては、何よりもデータの信頼性が保証されることが重要であります。PMDAの協力のもと、市販後の電子診療情報及びレジストリの信頼性を担保いたしまして、再審査申請に活用できるようにGPSP省令が改正され、信頼性担保の留意点の通知が発出されたところです。

 今後は、承認申請に利用する場合の取り扱いも含めて、林班で検討が継続されておりますけれども、それを踏まえて、ICHで承認申請でのレジストリデータの活用についての議論がさらになされていくものと考えております。

 スライド4をご覧ください。実臨床における各種データの承認申請への活用でございますが、難病や希少疾病の医薬品開発が早期に行われるように、PMDAでは、30年度の厚生労働省予算事業といたしまして、リアルワールドデータを活用した効率的な医薬品開発に資する考え方を整理することといたしております。これによりまして、革新的な医薬品の早期実用化の実現に寄与するものと期待しております。

 スライド5をご覧ください。最後です。PMDAでは、平成30年度、すなわち、ことしの4月1日からレギュラトリーサイエンスセンターを設置いたします。リアルワールドデータの活用については、CINと連携いたしまして効率的に議論することといたしております。レギュラトリーサイエンスセンターでは、治験データを品目横断的に解析する部門、もう一つは、MID-NET等のリアルワールドデータなどの市販後の利用情報を検討する部門がございまして、今後、得られるデータを最大限有効活用いたしまして、医薬品のベネフィット・リスク比の向上、医薬品の開発促進等に貢献していきたいと考えておるところでございます。

 今後とも関係機関と協力しつつ、国際的な動向も意識して取り組んでまいりたいと思います。

 以上でございます。

○武田医政局長 ありがとうございました。

 続きまして、国立研究開発法人日本医療研究開発機構理事長の末松構成員より、取組状況について御説明をお願いいたします。

○末松構成員 それでは、資料33を使って簡潔に御説明申し上げます。

 1ページおめくりいただきまして、クリニカル・イノベーション・ネットワーク推進支援事業は、今まで御担当いただいている先生方からのお話のとおりでございます。決められた時間でお話を伺っていますので、皆さん、本音のところはおっしゃらないと思いますけれども、これは皆さん、相当苦労されて、データの収集は本当に大変だということを後でお話しをさせていただきたいと思います。そういう中で、こういうふうにまとめていただいて、大変感謝しております。

 2ページ目をご覧ください。今日の委員の先生方以外のところで、どんなことがAMEDで今、動いているかを簡略に御説明申し上げます。厚労省との連携のもとに、AI解析等も見据え医療ビッグデータのプラットフォームの構築というものをやっておりまして、AMEDでは、この図の学会主導で臨床用の診療画像データベースの構築ということを行おうとしております。私どもが意図していますのは、これらの学会の先生方が一番御苦労されているのはインフォームドコンセント、情報の扱い方をどうするかというところで、これを画像系の学会が個別に一個一個がばらばらにやっていくというのは、すごく手間がかかります。

 それで、一昨年の暮れに、消化器内視鏡学会、病理学会、医学放射線学会の3学会の理事長の先生方の合意形成のもとに、共同でこういった障害物を取り除いていく努力をしていこう、枠組みをちゃんとつくろうということで、AMED部内では画像3兄弟と呼んでいるのですけれども、そういうものをつくりました。今、これは厚労省さんのほうのイニシアチブもありまして、学会数が少しずつふえてきていまして、ちょっと子だくさんになり過ぎているところもあるのですけれども、インフォームドコンセントのところをどういうふうにとりやすくしていくかということを検討しているところでございます。

 次、3ページをご覧ください。これは、各学会のデータベースあるいはレジストリをつくっていこうというときに、実際に入力する側の先生方がどのぐらいの数いるのかというのを単純に書き示したものでございます。消化器内視鏡学会は1万6,200名の専門医がおられる。それから、医学放射線学会は6,300名ということであります。これらの画像の件数というのは、千数百万件が年間に動いていて、こういったものを学会の若手の先生方の教育とか、それから専門医の認定、あるいはその基本データを使ってAIを開発していこうという活動は、皆さん、ほとんど共通の課題になっております。

 しかし、この中で、例えば日本病理学会は病理専門医の数が非常に少ない。それから、この領域に参画していく先生方が今のところ、まだ非常に少ないということで、課題も山積しているところでございます。

 それから、4ページをご覧ください。これはAMED発足当初からリーディングプロジェクトとして進めてまいりました、Initiative on Rare and Undiagnosed Diseases(アイラッド)というプロジェクトでございます。

 これは、現在、精神・神経の水澤先生に全体のリーダーをお願いしておるところでございますけれども、5ページをご覧ください。今、ここでお話ししていますのは、共通のキーワードは広域連携・分散統合です。つまり、1カ所に日本中のデータを集めて、その集めた先生が自分のアカデミアとしてのアクティビティーを上げるためにデータを使うのではなくて、データを集めるというよりも、どこに何の情報があるかということをお互いが知っているようなコミュニティをつくろうというのが我々の意図であります。

 このIRUDは、それの非常に典型的なモデルということで、これまで丸2年間のアクティビティーの中で、5ページに示しましたように、3,400家系、患者数で1万人超の未診断疾患患者の登録を済ませていて、この中で、あともう一人同じ症状を持っている人で、pathogenic variantがマッチングすると確定診断ができる人が数百人のレベルで登録されているところでございます。

 主にエクソーム解析、必要に応じて全ゲノム解析を行い、臨床のフェノタイプの情報も集積しております。このプログラムが進んだおかげで、今まで何年も診断のつかなかった方が半年以内に診断がついたという例が800人以上、結果を我々が回付することができたという実績が出てまいりました。

 平成29年7月に我々は「European Journal of Human Genetics」に論文を発表いたしましたけれども、13の疾患遺伝子の新たな同定を行って、それらの情報を外国のファンディングエージェンシーも共有するという、国際的にもこのIRUDの活動は非常に評価していただいているところでございます。

 続きまして、6ページ、7ページですが、これは健康・医療戦略室のイニシアチブのもとに昨年から行っておりますCyclic Innovation for Clinical Empowermentという出資金事業でございます。おかげさまで、民間の製薬企業等からたくさんのすばらしい御提案をいただいておりまして、7ページをご覧ください。第1回目の公募は昨年8月1日、第2回の公募はことし、年明けの1月10日に公表しておりますけれども、今、ここに示しましたような、新たな製薬のR&Dに対して国費を使って、この特徴は、配分した資金を10年間、どのような形で使うこともできるという仕組みでございます。私がここで申し上げたいことは、今まで国の中に、こういう10年を見据えてR&Dの人材育成等にも使えるようなお金の仕組みがほとんどございませんでした。

 これから私ども、先生方のお力をお借りしてレジストリの整備をやっていく上で、教授の方々がリタイアしたり、代がわりしたりしたときに、こういったデータベースとかレジストリがサイロ化しないようにするためには、サステナビリティのある研究費の仕組みというものを何とかつくっていかなければいけない。難しいことは承知ですけれども、そういったところで、我々、できるだけフレキシブルに対応して、長期にわたるファンディングの仕組みもこれからいろいろ考えていきたいというところでございます。

 最後になりますけれども、8ページをご覧ください。折しも、今、World Dementia CouncilWDC)という会議が日本で開かれて、各国から認知症に対する対策をどうするかということで、日本のプレゼンスをこれから示していかなければいけないという意識がございます。厚労省と協力して、このデータを少しまとめさせていただきました。定性的な円グラフで恐縮ですけれども、青で示しましたのがJPSC-ADというアルツハイマーのレジストリ、オレンジ色がオレンジレジストリということになります。

 この領域は、プレクリニカルの登録者をどれだけ集めるかということが、認知症の研究開発で非常に重要な課題であることはどなたもよく御存じなのですけれども、実際にはこの円グラフで示す研究代表者間の連携を担保していくことは非常に難しい、皆さんが苦慮されているところと同じだと思います。

AMEDとしては、厚労省のお力ももちろん重要ですけれども、この絵で示しましたように、東北メディカル・メガバンク、健常人のレジストリがたくさんあるわけですけれども、それから、ながはまコホートとか、どちらかというと、これまで健常コントロールとして集めてきた情報の中に、仕組みとして認知症のプレクリニカルコホートの構築にどういうふうに活かしていくかというヒントがたくさん隠されているコホートが日本にはたくさんございます。外国の研究者の方々から、日本がどういうプレクリニカルのコホートの仕組みをつくっていくかということに大変注目が今、集まっているところでございます。

 私どもとしては、AMEDの研究費というのは契約ベースでございまして、審査の際に目標値、数値設定を行って、その数値設定が中間評価までにちゃんと到達しているかどうかというところをチェックポイントとして設けておりまして、昨日の研究・経営評議会、永井先生が議長をやってくださっているのですけれども、そういう数値目標を出した一つ一つの課題で、提案が採択されたときの数値目標が本当に守られているかどうかというのを、今、AMEDマネジメントシステム、AMSというデータベースがございまして、2,500課題を全部契約ベースの情報として登録しております。

 補助金は貴重な財源ですから、最初に設定した目標値に余り到達していない課題に関しては、途中の中止や返還も求めるような強い対応をしていくべきだろうとアドバイスをいただいております。我々、今後そういう決意をもって、患者さんの情報あるいは健常人の方の情報を集めるという方針で進めたいと考えておりまして、少し御紹介させていただいた次第であります。

 以上でございます。

○武田医政局長 どうもありがとうございました。

 以上、議題3CINワーキング・グループ、PMDAAMEDの取組状況でございましたので、これにつきまして、何か御質問、御意見ありましたら、よろしくお願いいたします。

 どうぞ。

○大津参考人 昨年、NIHFDAと共催のような形で、いわゆるレジストリデータのシンポジウムみたいなものが開催されて、我々のところも事務局の者が行ってきたのですけれども、米国においても、まだレジストリのデータというものは限られていて、今日、日本でこれだけのデータがあるという状況を考えると、そんなに遅れている状況では決してないと思いますので、ぜひ横断的に、例えばAMEDPMDA連携・共催というディスカッションする場を設けていただけるとありがたいかなと思います。その辺が出てくると、次のICH-E8の改訂等に多分つながるのではないか、日本がイニシアチブをとれていくのではないかと思いますので、ぜひ御検討いただけけるとありがたい。

○武田医政局長 ありがとうございます。

 はい。

○末松構成員 大津先生、ありがとうございます。そのような趣旨のシンポジウムをこの夏に企画しておりまして、CINの構成員の先生方にもぜひお知らせをさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 日本が非常にクオリティーの高い情報をこれだけの数、集めているという事実は、外国の人たちもよく知っていて、認知症の会議でも非常に注目されていましたが、問題は、先ほどの個々のプロジェクトが横断的に協力するかどうかというところにかかっていまして、そこが協力できない場合には、強い態度で臨むべきと考えています。

○武田医政局長 ありがとうございました。

 大変重要な御指摘ですし、今日もそれぞれのレジストリが非常に進んでいるということだと思います。AMEDで企画中ということで、PMDAとか医薬局も関与して、国全体として取り組んでいるということができたらいいかなと思います。

 ほかにどなたか御発言ございますでしょうか。

 それでは、議題4)に進ませていただきたいと思います。「事業実施体制及び平成30年度予算案等」でございますので、事務局から御説明をお願いします。

○事務局 事務局でございます。

 資料4をご覧いただければと思います。「事業実施体制及び平成30年度予算案等」ということで御紹介させていただきます。

 ページをおめくりいただいて、1ページ、現在のCIN関係の事業の取組状況でございます。一番下の疾患登録システムの利活用の支援ということで、先ほど来御説明いただいておりますけれども、國土先生に研究班として加わっていただいてございます。

 次の2ページでございます。この表は、疾患登録システムを実際に活用する研究班でございまして、真ん中ほどの医薬品関係で5つの研究班が今年度、追加されてございます。

 ページをおめくりいただいて、3ページでございます。武田先生からも御紹介ございましたけれども、レジストリを実際に構築いただいている4つの縦の研究班と、それを横串で見る3つの研究班が動いているというのを模式図で示したものでございます。

 4ページからが、来年度、平成30年度予算案ということで、簡単に御説明させていただければと思います。

 まず、CINの関連予算について、疾患登録情報を活用した治験・臨床研究の推進に関連する事業として、コア事業と位置づけているものでございまして、それが来年度、17億円の予算となってございます。具体的には、先ほど来御説明いただいている疾患登録システムの構築と疾患登録情報を活用した臨床・治験の推進ということと、研究手法の検討についての研究班がそれに該当してきます。

 ページをおめくりいただいて、5ページでございます。CINに関連する事業として位置づけているものが幾つかございます。産学官連携の研究、治験・臨床研究環境整備、人材育成、国際展開といったものが該当してきますけれども、CIN関連事業全体として42.6億円、先ほどのコア事業も合わせて、CIN全体で約60億円の予算案となってございます。

 この表には、これまでの予算の中には出てまいりませんけれども、今年度、平成29年度の補正予算として進めている事業がございますので、それについて御説明したいと思います。それが6ページになります。CIN推進支援事業の一つの項目として位置づけてございますけれども、企業ニーズを踏まえたレジストリの改修及び活用に関する事業でございます。

 目的意識としては、上の四角に書いてございますけれども、我が国では、患者数が少なくて治験が難しいとされている小児領域あるいは希少疾病の領域について、レジストリを活用して何とか臨床開発を進めることができないかということを目的に考えた事業でございます。

 左下のところで、國土先生の御説明の中でもございましたけれども、今、全国のレジストリの情報について調査を実施していただいてございます。その1次調査の結果等を活用して事業を進めたいと考えています。

 右側の赤い部分でございますけれども、1次調査結果について、今月中に求めに応じて提供できるという準備を今、進めていただいてございますので、それについて開発が進んでいない領域のレジストリを保有している機関と、それを使ってみたい、レジストリを活用してみたい企業側とを、AMEDに窓口役となっていただいて、マッチングを進めたいと考えております。これから開始することとして、約半年の間で双方のニーズと、それを受けられるところを調整しまして、うまく結びつけば、その後、公募して実施主体を決定するということを予定しております。

 平成30年度末までに、一部、企業ニーズに応じてレジストリ改修をやっていただいて、平成31年度までに、実際にレジストリを活用して開発につなげていただきたいと考えております。

 7ページ目に、具体的に今後のスケジュールを矢印で示したものがございますので、御参考にしていただければと思います。これについては、企業側の皆様及びアカデミア側の皆様におかれても前向きに事業の参加を御検討いただければと考えてございます。

 8ページについては、先ほどから御説明いただいているCIN推進支援事業、國土班の内容でございます。

 9ページがマッチングに関する事業の詳細を示しておりますので、参考にご覧いただければと思います。

CIN事業の今後の進め方ということで、事務局で考えている内容を最後に紹介させていただければと思います。最後のページになります。クリニカルエビデンス構築促進パッケージということで、これまで左側のクリニカル・イノベーション・ネットワークと、MID-NET、医療情報データベースでございますけれども、これについてそれぞれ個別に事業を進めてきたところでございます。今後は、疾患登録情報を臨床開発に活用して、クリニカル・イノベーション・ネットワークの取組の中にMID-NET、医療情報データベースの中で構築されているもののデータ標準化の規格、あるいは標準化のノウハウを導入して、お互いに連携させることで、開発から安全対策まで、一連の過程で大規模にリアルワールドデータを活用していくということを推進して、創薬あるいは医療機器の開発、市販後の安全対策といったものを効率化する、あるいは低コスト化を図るといったことを考えています。

 説明は以上でございます。

○武田医政局長 ありがとうございました。

 平成30年度予算案につきましては、今、参議院のほうで審議中ということでございますけれども、年度内成立をさせていただければ、30年度から、CINをこの予算案に沿って、また充実を図っていきたいと思います。

 私ども医政局の中でも、CIN事業は非常に重要な事業だと位置づけておりますので、予算の確保につきましては、私どものほうでも全力を尽くし、また新規事業、一番最後の今後の進め方というページがございますけれども、こういうMID-NETの連携も含めて、さらに充実を図るべく、新年度が始まりますけれども、新々年度の予算要求をまたこちらでも考えていかなければいけないわけですけれども、皆様方にも力強い御支援をいただければと思います。

 そういうことを申し上げた上で、ただいま申し上げた事業実施体制、それから30年度予算案につきまして、何か御意見、御質問ありましたら、よろしくお願いします。

 末松先生、どうぞ。

○末松構成員 今、予算のお話を伺って、パワーポイントの6ページに新規でCIN推進支援事業というものを入れていただいているのは、大変ありがたいお話だと考えております。

 申し上げたいことは、平成30年度の案がやっと出てきて、31年度案の話をすると怒られるのですけれども、この小児領域のところはいろいろな課題があると考えておりまして、折しも昨日、一昨日の日にちになっていますが、産婦人科学会、産婦人科医会、それから周産期・新生児医学会、小児外科学会、生殖医学会、妊娠高血圧学会と、複数の学会の会長の先生方から要望というのをAMEDのほうで受けさせていただきました。それは、縷々御説明はしませんけれども、ライフステージでトータルバランスを考え、R&Dの研究開発費をどこに投入していくかというところで、小児の成長と発達の領域は大きな空白地帯になっています。

 しかも、この小児の領域というところは、データが厚労省に帰属している部分と文科省に帰属している部分がまた裂きの状態になっています。この両方のデータをうまく使って、子供の健全な成育ですとか、子供のがんをどう考えるかとか、もっと広げていきますと虐待ですとか発達障害という、非常にシリアスな問題がここにはありまして、私どもも微力ながらお手伝いしたいと願っています。このクリニカルイノベーションを考える上で、この領域は非常に重要ですので、ぜひ31年度もまた違った切り口で、こういった空白地帯を埋めていくという観点から、ぜひ厚労省、御支援をいただければなと考えておりますので、よろしくお願いします。

○武田医政局長 ありがとうございました。

 五十嵐先生、何か御発言ございますか。

○五十嵐構成員 ありがとうございます。

 非常に重要な御指摘をいただきました。小児、特に思春期の分野の研究費が少ないことを改善していただきたいと、AMED、厚生労働省文部科学省に以前からお願いして参りました。特に思春期の子どもたちは、世代間で医療費を最も使わないグループです。これまで、子どもが大人になっていくときに生じるバイオロジカルな問題には、研究も治療も進んでおります。そもそも人間はバイオサイコソーシャルな存在ですが、子ども、特に思春期の子どものサイコソーシャルな問題については、わが国では現状把握もできておりませんし、研究は進んでおりません。特に欧米と比べますと非常に遅れております。

 日本の医療は、死亡率等で見ますと非常にいい水準を保っておりますが、子どもが大人になっていくときに必要なサイコソーシャルな面をどうやって支援していくかということは、非常に大きな課題が残されています。この課題への対応は、医療だけではできないところもあり、関連している方々が協力して取り組まなくてはいけない問題です。この分野での研究開発をこれから推進してゆくことが、わが国の少子化という時代を背景にしまして非常に重要な課題だと思います。末松先生からの御指摘は、たいへんありがたいと思います。

○武田医政局長 ありがとうございました。私どもとしても重く受けとめていきたいと思います。

 末松先生からお話がありましたように、まだ30年度予算審議中なので、次の話はしにくいのですけれども、そうは言いましても、今後、どの重点分野にどれくらい力を入れていくのかというのは、31年度の概算要求の走りになり、それは意外に先のことでもないので、また、この場でも、その他、直接でも御意見いただければ、我々としても考えていきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。

 ほかの先生方から何か御発言、追加でございますか。

 だんだん時間も迫ってまいりまして、議題といたしましては、以上で4)まで御発言と御意見いただいたところでありますが、議題5)その他とあります。これは、特に説明資料はございませんけれども、せっかくの機会でもありますので、研究開発とか臨床とか治験とか、さまざまな点につきまして忌憚のない率直な御意見をいただければと思います。どなたからでも結構です。

 戸田さん、よろしくお願いします。

○戸田構成員 私、再生医療イノベーションフォーラムという再生医療の産業団体の会長を務めております戸田でございます。

 本日のいろいろなこと、特にレジストレーションというものは、日本は漠然と個人情報その他の障害もあっておくれていると思ったのですけれども、実はそんなことはない。非常に質のいいデータが集められているということで、非常に感心もしましたし、非常に心強い感じがします。

 ただ、1つ、ぜひ皆さんとシェアしておきたいのは、今日は僕は非常にすばらしいと思いましたのは、名古屋大学の祖父江先生の4ページ目です。精神・神経疾患が20年以上、目覚ましい新薬が出てきないというのは、まさに現在の治験のやり方が本当に短期間。一番長いアルツハイマーみたいなものでも1年とか1年半。でも、実際は超複雑形で、しかも個人差があって、長時間にわたって変化していくような病態に関しては、現在の基本的な治験のシステムでは評価できないということが、まさに祖父江先生の4ページで非常に明確に、わかりやすく表現されていると思います。

 再生医療のほうも、実は長時間ということは全てに当てはまりませんけれども、非常に個人差がありますので、既に厚労省の皆さん方のチャレンジングな御努力のおかげで、世界に先駆けて条件付き承認、メカニズム的に効果がありそうだ。だけれども、副作用はほとんどないとわかったものに関しては、祖父江先生がおっしゃった、ここの仮の承認というのと同じ意味だと思うのですけれども、条件付き承認という形で、まず世の中に実装して、その後データをとって、レジストリをとって、最終的に本承認。これは規制緩和ではなくて、規制の最適化だと思っているのですね。

 非常に理にかなった方法だと思っていますので、私は皆さんとぜひ一緒にやりたいし、念頭に置いていただきたいのは、レジストリというのはあくまでも手段であって、このレジストリを使って、早く世の中を変えるための、まさにクリニカルイノベーションを起こすべきだと思っていますので、近藤先生の革新的な医薬品、もしくは治療法の早期実用化というPMDAの最終ターゲットがあります。レジストレーションはあくまでもハウですので、治験システムを日本が世界に先駆けて変えていくというのを、何らかの形で大きな旗頭といいますか、ミッションにしていただきたいというのがお願いでございます。

 ここまでは、日本は大体いいのです。だけれども、社会実装でほとんど負けています。済みません、長くなりましたけれども、その点がすばらしいなと思いまして、ぜひこれを生かしたいという思いから、つけ加えさせていただきました。

○武田医政局長 ありがとうございます。大変力強い応援演説、叱咤もちょっと入っていた。叱咤激励演説と受けとめさせていただきます。

 祖父江先生、どうぞ。

○祖父江参考人 今の戸田先生のお話、私、全く賛成でございまして、日本がリードしたコンセプトを世界に出していくという点では、非常に重要なリアルワールド型の利用だと思います。

 1点だけ、ちょっとずれますけれども、先ほど来、国際化とデータシェアリングということを盛んにおっしゃっておられますが、非常に質のいいレジストリが日本でどんどん出てくるという状態は非常にハッピーなのですけれども、例えばバイオリソースを伴ったレジストリになりますと、これは国外の製薬メーカーなどが非常にアクセスしてきます。私のほうにも、内容を聞かせてくれとか、共同研究をやらせてくれ、対価を払いますと。そのときに、国際的にデータとかリソースをどう貸し出したりオープンにしたり、どう扱うのかという我が国のルールが非常に遅れているように思います。

 ですから、それは今後、国際化を図る上で非常に困っているところであります。それは、国際化ということでは進めるべき点だと思っていますが、税金を使ったものを外国の企業に出していいかどうかということもあると思います。気になっていますので一言だけちょっと申し上げます。

○武田医政局長 ありがとうございます。

 中釜先生。

○中釜構成員 私も関連する質問で、グローバルなデータシェアリングもAMEDが進めている事業ですけれども、なかなか難しい点があるなと感じています。がんの領域でも、いろいろな場でグローバルなデータシェアリングをするのですが。

 先ほどAMEDの取組で、IRUD、希少性疾患などで、CINの一般的なコンセプトから考えると少し特殊性が高いのかもしれませんけれども、データの希少性を考えると、グローバルなデータシェアリングは非常に重要かと思います。その際に、診療情報が伴った、例えばゲノム情報をグローバルでシェアするときに、どういう注意をしながら進めてこられているのか、その点がもしあれば参考になるかなと思って質問させて頂きます。

○武田医政局長 末松さん。

○末松構成員 手短にですけれども、IRUDの場合のちょっとした工夫ですけれども、主治医の先生同士でコンタクトをとる。患者さんの個人情報にかかわるところは、国によっても考え方が違うということがあって難しい面もある。AMEDが海外と2カ国間協定を結んだ上で、双方の主治医の合意に基づいて情報の共有を可能な限り行っていくということ。それは、万国共通で行けることなので、推進しているところです。

 希少難病・未診断疾患のケースマッチングの場合にサンプルが先方の国から送られてくるケースは、もう既にリトアニアからの要請がございまして、そのエクソーム解析を日本がサポートしたおかげで診断がついた例がもう2例ございます。ということで、その辺は考えながら前に進むという方法が、僕は一番いいのではないかと考えております。

 以上です。

○武田医政局長 水澤さん。

○水澤構成員 補足ですけれども、IRUDの場合、臨床情報をHPOシステムということで記号化して情報交換するといったシステムが確立していますので、そういう点では個人情報が守られるようになっています。

○武田医政局長 ありがとうございます。

 お願いします。

○笹構成員 医療機器業界を代表して、一言意見を述べさせていただきたいと思います。

 我々も、いわゆる革新的医療機器を創出していくということで、先生方が集められたデータを有効に、かつ迅速に使っていきたいと思っております。ただ、そのときに大変心配していることがございまして、いわゆる企業としての費用対効果です。これも武田班の検討の中で明確に指示されているので、失礼な言い方をさせていただければ、ちゃんと検討していただいているのだなと、安心していますが、ここの部分がバランスしないと継続的なサポートは難しいと思うのです。ですので、ぜひそこはしっかりやっていただきたいなと思います。

 それから、有効性や効果的な観点でということで、実は国としてのレジストリの統合管理と、次世代医療基盤法に基づく内閣官房の取組との整合というのも、ぜひやっていただきたいと思っています。特に、医薬品と医療機器というのは大分違います。ですので、それを踏まえたいろいろな検討という観点で、多岐にわたって御配慮いただければと思います。

 以上です。

○武田医政局長 では、製薬協。

○国忠代理 医薬品業界を代表して、一言お話しさせていただきたいのですけれども、昨年10月に条件付き早期承認制度というものが医薬品についてもできました。先ほど再生医療等製品のところでも触れられましたけれども、そういう制度ができて、本承認をいただいた上で、リアルワールドデータで条件がどうなのかを検討しなさいという制度で、それについて、私ども、今ここで議論されたようなレジストリデータをどうやって使って試験をデザインしていったらいいか、非常に悩んでいるところです。それに関して、今日、林先生のところから、実際にそういうデザインに関するガイドラインをこれから作っていかれるというお話が出ましたし、私ども、それに大変期待しております。

 さらに、一つ二つお礼があるのですけれども、最初の武田先生のところで、医薬品の開発に関しては公益性のある事業である。単なる商売だけじゃないということを、世間の方からのアンケート調査を示されまして、私ども、大変身の引き締まる思いでございます。いずれにしても、レジストリというのは医薬品の開発コストを下げる、あるいは早期化することにとって大変必要でございますので、今後とも御指導いただければと思います。

 ありがとうございました。

○武田医政局長 照明が消えるというのは、そろそろ終わりにしろというサインですので、若干盛り上がってきたところで、残念なのですけれども、多くの方に御発言いただきまして、ありがとうございました。

 今、ちょっとお話に出ていますように、最終的には承認審査ということで、社会実装のところで日本はいつも遅くなったりすることがあるのではないかという御指摘もありましたので、森審議官に一言、短くお願いします。

○森大臣官房審議官 

 医薬品の審査や開発について長年かかわっていますが、このような会議が開かれるたびに、非常に大きな進展が具体的に見えてきております。これを活用して、本当に画期的なものが日本で生まれてくるということを進める上で、PMDAがしっかり連携をとっているということも、今日、先生方にもご覧いただいたと思います。そして、今やPMDAの新薬の審査は、FDAEMAと何ら変わりがないトップレベルのパフォーマンスになっています。こういう出口ができておりますので、そこにちゃんと画期的な製品がたどり着くような格好で、今日の先生方の御発表がすばらしく前へ進んでいるということが、本当に喜ばしいことだと私どもも思っております。

 そしてまた、いろいろな課題をさらに御指摘いただいています。それが次なる課題ということで、行政としても取り組んでいかせていただきたいと思っておりますので、またよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

○武田医政局長 医薬局長も一言。

○宮本医薬・生活衛生局長 私から2つだけお願いしたいことがございます。

 1つは、この4月から薬機法5年後の見直しで、制度がこれでよかったのかなという見直しを開始いたします。そういう中で、こういったリアルワールドデータというものは5年前には余り議論されてきておりませんでしたので、今後の5年間あるいは10年先を見据えたときの薬機法制度、それが必ずしも法律改正じゃないかもしれませんが、何が必要かにつきまして、また議論いたしますので、先生方にも何かお気づきの点があれば、ぜひともお寄せいただければと思っております。

 もう一つ、つまらない話で恐縮ですが、データベースというのはレジストリが単体で存在していても、それなりに有効なものはあるかもしれませんが、横の連携によるデータ交換みたいなものが、どれだけフィージビリティが高いかというのが、活用性の可能性について大きく作用する問題かなと思っております。その際、MID-NETではSS-MIX2でデータベースを各医療機関と構築してきたときに、SS-MIX2では対処できない、さまざまなノウハウが蓄積されております。

 さっき近藤理事長からの資料にも実は入っておりますけれども、その際、先生方のところで、レジストリにつきまして、またいろいろ御検討される際、これは技術的な話に近いのですけれども、ぜひともSS-MIX2活用につきまして、PMDAで持っているノウハウを活用していただければと思っております。

○武田医政局長  大学の方々も多数御参集いただいていますが、どなたか一言ございますか。

 それでは、時間にもなりましたので、本日はこの辺で。

 最後に、事務局から連絡事項をお願いいたします。

○森光研究開発振興課長 済みません。本日の議事録につきましては、作成次第、皆様方に御確認いただきまして、公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 次回の日程、開催場所につきましては、追って事務局より連絡させていただきます。

 ありがとうございました。

○武田医政局長 どうもありがとうございました。


(了)

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