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2018年4月19日 第111回社会保障審議会医療保険部会議事録

○日時

平成30年4月19日(木)16:00~17:43


○場所

TKP市ヶ谷カンファレンスセンター ホール7A


○議題

1.医療保険制度をめぐる課題
2.レセプト情報・特定健診等情報データベース等の解析基盤の検討の進め方について(報告)
3.その他

○議事

○遠藤部会長
 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第111回「医療保険部会」を開催したいと思います。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきましてどうもありがとうございます。
 まず、委員の異動の御報告でございます。このたび、白川修二委員が御退任され、新たに、同じく健康保険組合連合会副会長の佐野雅宏委員が就任されましたので、御紹介させていただきます。
○佐野委員
 佐野でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○遠藤部会長
 よろしくお願いいたします。
 次に、本日の委員の出欠状況ですが、岩村委員、岡崎委員、樋口委員、福田委員、望月委員より御欠席の御連絡をいただいております。
 続きまして、欠席委員の代理出席についてお諮りいたします。
 福田委員の代理として國井参考人の出席につき、御承認をいただければと思いますが、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 それでは、議事に入らせていただきます。本日は「医療保険制度をめぐる課題」「レセプト情報・特定健診等情報データベース等の解析基盤の検討の進め方について」「その他」の3つを議題といたします。
 まず「医療保険制度をめぐる課題」を議題といたします。本日は、新年度になって初めての医療保険部会の開催となりますので、医療保険制度をめぐる諸課題について、中長期も見据えた幅広い御議論をいただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
 それでは、事務局から提出されている資料について説明をお願いしたいと思います。
○依田課長
 総務課長でございますけれども、ただいま部会長から御説明がございましたように、本年度初めての医療保険部会の開催でございますので、本日はテーマを限定せずに、時間軸も当面の課題だけではなくて中長期も見据えた課題も含めまして、幅広く御議論いただきたいと考えております。したがいまして、こうした観点から、まずは資料1-1をごらんいただきたいと思います。本日、医療保険制度の課題について御議論いただく上での全体の見取り図を整理させていただいております。
 まず、2018年度、本年度の立ち位置でございますけれども、中ほどにございますが、2019年10月には消費税率の引き上げが予定されているということでありまして、これは同時に社会保障・税の一体改革以来取り組んできたさまざまな制度改革が完了して、節目を迎えるということでもあると考えております。
 それから、政府の経済・財政再生計画の集中改革期間、これは2016年から2018年の3カ年で取り組んでまいりましたけれども、これも一つの区切りを迎えるということでございまして、2019年度からの新たな計画に基づく取り組みに向けて、今、この夏に向けて骨太方針の策定等の議論が進められているというような全体的な状況にあるということでございます。
 こうした時間軸の中で、まず左側でございますけれども、これまで社会保障・税の一体改革で取り組んでまいりました種々の改革を整理させていただいているところでございます。消費税収等を活用した充実の対策、また、下のほうの箱でございますけれども、持続可能性の確保等のための制度改革もあわせて行ってきたということでございます。
 医療制度の関係でいきますと、種々改革がございますけれども、2018年度に特に実施するものについてアンダーラインをつけております。その中には、この4月から国保でいいますと都道府県単位の財政運営がスタートするということで、医療保険制度全体にとっても非常にエポックメーキングな年でもございますし、また、昨年に引き続きまして、高齢者の高額療養費の見直しであったり、保険料軽減特例の見直しなども予定されているということでございまして、これらを円滑に施行していくことも課題であると思っております。
 中ほどでございますけれども、これは昨年度も御議論いただいたところでございますが、引き続き、改革工程表の検討事項についても御議論いただく課題でございます。
 また、下のほうに矢印を引いておりますけれども、引き続き、地域医療構想であったり医療費適正化計画などの取り組みを進めていくということでございます。それから、この後の議題2とも関連する話でございますけれども、データヘルス改革であったり審査支払機関の改革についても、これは医療保険制度の大切な基盤でございまして、これをどう進めていくかということも大きな課題であると考えております。
 こうした足元の医療保険制度の現状等に関しましては、後ほど触れさせていただきますけれども、資料1-2に整理をさせていただいているところでございます。これは後ほど御説明させていただきたいと思います。
 中ほどでございますが、先ほど申し上げましたように、来年10月に消費税引き上げ、一体改革の総仕上げということでございまして、低所得者対策、年金生活者支援給付金等の創設も予定されているところでございますし、それとあわせまして、一体的に後期高齢者保険料軽減特例の均等割についてもどうしていくかといったところの課題がございます。
 このように来年10月に一体改革にかかわる制度改革が完了するということを見据えまして、この後の社会保障の絵姿をどうしていくか、どのように考えていくかというところが次の課題になってくるわけでございまして、その関係を右側部分、色をつけておりますけれども、2040年を展望した社会保障改革ということで整理させていただいております。この関係につきましては、先日の経済財政諮問会議におきまして加藤厚生労働大臣がプレゼンテーションを行っておりますので、その資料を用いまして、後ほど、当方としての問題認識を御説明させていただきたいと考えております。
 かような全体像でございまして、こういう全体の絵柄も念頭に置いて、本日、御議論いただきたいということで見取り図を用意させていただきました。
 続きまして、資料1-2、この足元の現状につきまして幾つか資料を用意させていただいておりますので、御紹介させていただければと思います。
 おめくりいただきまして、1ページに目次立てを載せておりますけれども、人口、医療費の動向、それから各保険制度の現状について整理しております。また、一体改革以降のさまざまな見直しの取り組みを整理させていただいております。大部でございますので、ポイントを絞りまして、幾つか資料を御紹介させていただければと思います。
 つけさせていただいている資料で、最初の医療費等の動向のところでございますが、10ページをごらんいただければと思います。本日、社会保障の中長期的な話もいただくということで、諸外国との給付規模の比較の資料でございまして、これは横軸に高齢化率、縦軸に社会支出の対GDPをとりまして比較したものでございますけれども、我が国の状況で申し上げますと、1980年から2013年までをグラフにしておりますが、高齢化率が急速に上昇しておりまして、約16%がこの33年間で上昇しております。それに伴いまして、社会支出のGDP比も約13%上昇しておりますけれども、高齢化率との兼ね合いで申し上げますと、先進国としてむしろ低いか同程度の水準にあるということが見てとれるのではないかと考えております。こうしたところも御参照いただければと思います。
 それから、各制度の状況に移らせていただきますが、全体の状況については13ページに整理しておりますが、御紹介させていただきたいのは14ページでございまして、これは各保険者の被保険者数の近年の動向を整理させていただいております。近年特徴的な傾向といたしましては、とりわけ28年度にその傾向があらわれておりますけれども、国保の被保険者数が減少する一方で、協会けんぽ、健保組合等の被用者保険のほうの被保険者が増加しているということで、これは28年度の被用者保険の適用拡大の制度改正等の影響でございますが、今後の制度を考えていく上で、被用者保険の適用拡大というのは一つの大きな課題であると考えておりまして、御紹介させていただいた次第でございます。
 続いて、各制度それぞれデータ等を載せさせていただいておりますけれども、先ほど申し上げましたように、今年度、高齢者の高額療養費等の見直しを予定しておりまして、44ページと45ページにその施行の関係のリーフレット等を掲載させていただいております。本年度もこうしたものを施行していくということで、私どもとしてもこういうリーフレットを使いながら広報に努め、円滑な施行を図っていきたいと考えております。
 続きまして、データヘルス、支払機関の改革等の資料をつけさせていただいておりますので、御参照いただければと思います。
 今回、予防・健康づくりということで新しい資料を用意させていただいております。58ページをごらんいただければと思います。これは後期高齢者の医療費と健康寿命との関係について、各都道府県のデータをプロットしたものでございます。左側に入院、右側に外来でございますけれども、若干相関係数の差はございますが、傾向といたしますと、入院、外来とも、健康寿命と医療費の関係については一定の相関関係が見られるということで、健康寿命の長い県におきましては、こうした医療費も低い傾向にあるところが見てとれると考えております。
 59ページでございますが、今の見ていただいたデータを上位県、下位県で合算してグラフにしたものでございまして、左から、上位・下位23県、上位・下位10県、上位・下位5県ということで図にしております。こちらも概ね先ほどのプロットで見ていただいたところと同様に、健康寿命が長い県のほうが医療費は低くなる傾向が見てとれるのかなと考えております。
 続きまして、60ページでございますけれども、今、ごらんいただいた医療費を生涯医療費ということで推計したものでございまして、こちらも生涯医療費ベースで見ても健康寿命の上位の県のほうが下位の県より比較すれば全体としては低くなっている傾向が見てとれるというような資料でございます。
 予防・健康づくり等の関係で言いますと、いろいろな対策を進める中で、インセンティブを働かせていこうということで、その関連の資料を67ページから幾つかつけさせていただいております。後期高齢者支援金の加算・減算制度におけるインセンティブの取り組みであったり、そういうものと関連するいろいろな保険者の取り組みを評価する際の指標を整理させていただいておりますので、御参照いただければと思います。
 これは被用者保険もそうでございますし、国保におきましては、保険者努力支援制度を実施していく中で、こういうインセンティブ改革を進めていくということでございます。
 これも新しい試みでございますけれども、各都道府県の全体の状況を見える化していくということで、75ページ、76ページでございますが、点数化して比較をするようなことも開始して、一層の取り組みを進めていこうということでございます。
 81ページ以降でございますが、先ほど申しましたように、一体改革以降の種々の改革、見直しの取り組みを整理しておりますので、御参照いただければということでございまして、以上が足元の制度の現状にかかわる資料でございます。
 先ほど冒頭に申し上げました2040年以降の一体改革後の改革の絵姿をどうしていくかということで、先日の諮問会議の資料を用いて説明させていただきたいと思います。資料1-3をごらんください。1ページでございますが、先ほどの説明とダブりますので割愛させていただきますが、要は一体改革後の社会保障改革に向けて、今後の社会変動を展望しながら、その改革の絵姿についてデザインをしていく必要があるということでございます。そういう中で一つのキーワードとして2040年を見据えてということでありますけれども、これは現役人口が急速に減少する一方で、高齢者数がピークを迎えるのが2040年代初頭でございますので、そこを見据えて考えていこうということでございまして、これは3月29日の諮問会議の抜粋でございますが、諮問会議でも同様の問題意識で議論されているところでございます。
 具体的な展望でございますが、2ページをごらんいただければと思います。2040年ごろを展望して社会保障改革を考えていった場合に、これまでの2025年を見ていた絵姿と若干違うような局面も出てくると考えておりまして、大きく言いますと、2025年以降は高齢者の急増から、現役世代の急減に局面が変化していくということでございます。
 具体的に言いますと、左側の図でございます。2000年から2040年までの人口構造の変化を図で示しておりまして、上段が65歳以上人口の動きでございます。2000年から2025年をごらんいただきますと、65歳以上人口が2,204万人から3,677万人、約66.8%ということで急増している、上り坂を上っていくと。とりわけ後期高齢者について言いますと、プラス142%ということで、非常に急な坂を上っていくという状況でございますけれども、2025年を越えて2040年まで見据えますと、65歳以上人口、また後期高齢者の人口につきましても、いずれも数%程度の伸びにとどまっているような予想になっているということでございます。
 他方、下段をごらんいただければと思いますが、15歳から64歳人口、生産年齢人口で見ますと、今後15年間で7,170万人から5,978万に約17%の急激な減少ということで、この減少は加速をしていく大きな人口構造の変化が見られるということでございます。
 中ほどでございますけれども、こうした人口構造の変化が従業者数の推移に如実にあらわれているわけでございまして、現在、2018年で大体6,580万人の従業者数でございますけれども、これが2040年まで見渡しますと5,650万人程度ということで、約900万人減少するというような全体の就業者の見込みになっております。
 一方で、医療・福祉分野に従事する就業者を見通しますと、現在、約12.5%の方がこの分野で働いているということでございますけれども、これが2040年まで、需要との掛け合わせでふえていくわけでございますが、全体の2割程度を医療・福祉分野が占めるという見通しが見込まれるわけでございます。
 こうしたことをどう考えていくかということで、次に、一番右でございますけれども、こういう人口構造、また就業者数という全体的な構造変化に対応する政策課題といたしましては、まず1点目、現役世代の人口が急減する中での社会活力をいかに維持していくかというところを考えていく必要があるのではないかと思っております。
 2つ目の大きな柱の課題、政策課題といたしましては、このように労働力の制約が強まる中で、医療介護サービスをいかに成り立たせるか、そのサービスをどう確保していくかという、この2つが大きな課題、新しい局面に対応していかなければいけないと思っております。
 前者につきましては、まさに高齢者をはじめとする多様な就労・社会参加を促進して活力を維持する。また。そのための基盤といたしまして、健康寿命を延伸していくことが非常に重要であり、それを目指していかなければいけないと思っております。
 具体的に、2040年までを見渡して、3年以上の健康寿命延伸を目指していきたいと考えています。3年というのは、平均寿命がこの間、2歳から2歳半延びるということでございますので、それを上回る健康寿命の延伸を目指していかなければいけないという問題意識でございます。
 下のほうのサービスの確保でございますけれども、これから技術進歩もございますので、いろいろなテクノロジーを活用しながら、2040年代時点に必要とされるサービスが適切に確保される水準が提供できるような生産性の向上を目指していく必要があると認識しております。
 こうした課題に対応するとともに、従来進めてまいりました給付と負担の見直し等による持続可能性の確保もあわせて取り組みながら、こういう対策、課題への対応を総合的に考えて改革を進めていく必要があるということで、こうした絵姿を国民の皆さんとも共有しながら、国民的議論のもとに考えていく必要があると考えております。
 以上が2040年を展望した局面への課題と対応ということでございます。
 それから、参考で幾つかこれに関連いたしまして資料をつけさせていただいておりますので、御紹介させていただければと思います。
 4ページをごらんいただければと思います。左側の人口構造の変化のデータは、今、御説明したとおりでございます。こうした人口構造の変化が医療介護費に及ぼす影響につきまして、右にデータを整理しておりまして、上に医療費、下に介護費を図にしておりますけれども、5年刻みで2040年まで見ていきますと、ごらんいただいているとおり、今の医療費の増嵩の大きな要因になっております高齢化の要因が弱まっていくということでございます。それから、人口減少要因もございますので、あわせますと、医療について言いますと、全体としては2040年まで見渡すと人口要因ではむしろ医療費にマイナスの影響を与えるということが、人口構造との変化の関係で読み取れるということでございます。
 介護費につきましても、それほどではないのですけれども同様の傾向でございまして、人口要因は弱まっていく傾向にあるということも議論の素材として提供させていただければと思います。
 それから、先ほど申しました大きなこれからの政策の2つの柱でございます。5ページでございますけれども、まずは健康寿命延伸に向けた取り組みについて、今、考えております施策の大きな方向性についてまとめたものでございます。先ほど申し上げましたように、2040年までに健康寿命3年の延伸を目指していくということで、例えば2つのアプローチで進めることが大事だと思っております。1つは、健康無関心層も含めた予防・健康づくりの推進でございます。2番目が、先ほども見ていただきましたけれども、やはり都道府県間、地域間で健康寿命等の格差も大きいということで、地域間の格差の解消を進めていくということでございます。
 重点分野といたしましては、子供から高齢者までということで、成育、真ん中の生活習慣病、がん対策等、これから大事になってくると思っておりますのは介護・フレイル対策、後ほど出てまいりますけれども、こういうもののより効果的な一体的実施を目指していくというところでございます。
 もう一つの柱、生産性向上に向けた取り組みでございますけれども、6ページでございます。これも大きな絵姿をまとめさせていただいておりますけれども、生産性革命を進めるということで、従業者の業務分担の見直し、効率的な配置の推進といった取り組み、また、AIでありますとかICT、ロボットも活用したテクノロジーの活用もしながら、下ほどでございますけれども、なかなかこの分野は十分進んでいないと思いますが、マネジメント改革も進めていきながら、全体としてサービス向上、生産性向上を目指していくことが必要であると考えております。
 以上が資料1-3でございます。
 あわせまして、最後でございますけれども、資料1-4でございます。これは私どもが関係方面からいろいろ指摘を受けておりますような事項、主な論点を整理したものでございます。
 おめくりいただいて、目次をつけておりますが、本日は4つ大きな論点を整理させていただいておりまして、こうした論点につきましての私どもの考え方を整理しておりますので、これも議論の素材として提供させていただければと思います。
 まず1点目でございますが、3ページをごらんいただければと思います。先ほどの説明とも重複するところがございますけれども、予防・健康づくりの推進ということで、一つの論点は、医療保険と介護保険における予防・健康づくり、これが非常に大事になる中で、一体的に実施していくことが重要ではないかという課題でございます。これはそのとおりでございまして、書いておりますように、これからますます健康寿命延伸といった課題を進めていく上で、高齢者の有病率が高い中での重症化予防が課題。また、生活機能も急速に低下していく中で、高齢者が参加しやすい活動の場の拡大でありますとか、フレイル対策を含めたプログラムの充実が課題であるわけでございますが、介護予防と生活習慣病、フレイル対策ということで現状を見渡しますと、これは制度が分かれているということもございまして、実施主体がばらばらに提供されているといった側面がございます。高齢者を中心として一体的に提供していくような枠組みを考えていく必要があるのではないかという問題意識を私どもとしても持っております。
 4ページ、具体的な施策のイメージでございますけれども、こうした介護予防であったり、フレイル、生活習慣病などを地域の高齢者が身近に通えるところで、また、保健師など専門家が巡回をして、あわせていろいろな保健関係の指導なども一体的にできるような、そういう身近なところで専門的なことも受けられる。そうした地域での取り組みを、地域のかかりつけ医の皆様とも連携して、高齢者をそちらのほうに誘導していくようなことも考えていくというイメージを持って、こういう対策を進めていければと現時点で思っております。
 5ページでございますけれども、また論点が変わりますが、これはいろいろな技術進歩に伴いまして、薬であったり医療技術、新しいものが出てくる中で、保険制度とどのように調和させていくかということは大きな論点でございます。そうした中で、財政的見地から予算の制約なりを考えていってはどうかといった議論もあるわけでございますが、これにつきまして、私どもとしては、有効性や安全性が確認された医療であって、必要かつ適切なものは保険適用するということが国民皆保険のもとでの今の基本原則でございまして、こういう原則を変えるものにつきましては、国民の理解を得られるのかと考えております。
 したがいまして、こうした基本原則も堅持しながら、これまでも取り組んでまいりましたけれども、いろいろな薬の効能追加などの状況変化には迅速に対応し、また、費用対効果、これも試行を始めたところでございますけれども、今年度の課題でございます本格実施に移し、そういう価格設定の努力を積み重ねていくことが適切ではないかと考えております。
 下に今取り組んでいる取り組みを書いておりますが、例えばオプジーボについてグラフを掲載させていただいております。これは当初、悪性黒色腫という非常に希少性のある疾患で、患者数も少ないと想定されていたわけですけれども、患者数が適応拡大に伴って拡大していくことで医療費にも非常に大きな影響を与えたわけでございますが、この間の薬価制度改革の取り組みによりまして、ごらんいただいておりますように価格については相当引き下げをするといったことで迅速に、引き続きこういうものについては対応していくということ。また、費用対効果につきましても実施をしていくということで考えているところでございます。
 また、医療技術でございますけれども、こちらもいろいろな技術がございますが、例えば最近であれば、ロボット支援下の内視鏡手術であったり、粒子線治療といった高額な技術が臨床適用されております。今回の診療報酬改定におきましても、こうした技術、既存技術と同等程度の医学的有効性、安全性を有すると認められた疾患への適用については、既存技術と同じ診療報酬点数で対応するといったことをやっておりまして、こういう医薬品・医療技術も含めまして、種々の価格設定の努力を重ねていくことで対応していくことが重要ではないかと考えている次第でございます。
 あとは関係資料がございますので、御参照いただければと思います。
 3点目の論点でございますが、16ページをごらんいただければと思います。これは、医療費の動向等に応じて保険の給付率を調整するという考え方でございます。具体的には、経済の伸びを上回る医療費の伸びがある場合などでございますけれども、保険料の引き上げが必要な場合に一定の算式に基づいて定期的に患者負担の引き上げ等の対応をしてはどうかという考え方でございます。
 下に図を描いておりますのでごらんいただければと思いますが、国民医療費をファイナンスする構造といたしましては、もちろん患者負担もあるわけでございますけれども、保険料、公費、それから高さを決める診療報酬、大きく4つの構造によって成り立つわけでございます。医療保険制度におきましては、患者負担につきましては上限つき、高額療養費の上限をつけた上で7割から9割という定率負担のもとに、それ以外については患者に御負担いただくという仕組みになっているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、医療費が伸びて保険料の引き上げが必要な場合に一定の算式に基づいて患者負担を定期的に引き上げるという考え方につきましては、こうした負担の大きな原則を変更するものでありますし、これによりまして医療費がふえれば機械的に患者負担の割合も高くなるのではないかと思っております。
 こうした考え方につきましては、上に整理しておりますけれども、課題があると思っておりまして、1つは、医療でございますので、いろいろな患者の受診行動とか家計、医療や生活の実態が考慮されずに患者負担が過大になるおそれはないかといった課題。また、医療費でございますので、インフルエンザの流行であったり新薬などの一時的な要因で変動いたしますし、景気の変動もあるということで、こうしたものに連動していけば、頻繁に患者負担が変わって、ひいては医療に対する国民の安心を損ねるおそれがないかといった課題もあると思っております。
 したがいまして、国民が安心して必要な医療を受けられることを保障するという公的医療保険制度の趣旨から照らすと、やはり慎重な検討が必要ではないかと考えております。
 では、どうしていくかということでございますが、医療費の伸びにつきましては、これまで種々取り組んでまいりましたけれども、その時々の社会情勢も踏まえながら、先ほど申しました診療報酬、保険料、公費、患者負担について総合的かつ不断の見直しを行っていくことによって対応することが適切ではないかと思っております。
 あとは関係資料でございますが、17ページはこれまで取り組んできた改革でございまして、先ほど申し上げました保険料・患者負担、診療報酬、また、表にはございませんけれども、例えば国保関係の公費だとか、そういうものをあわせました総合的な取り組みをこれまでも実施してきたということでございます。
 18ページ、医療保険の実効給付率でございます。いろいろなグラフがありますけれども、中ほどの緑の線が医療保険制度の総計でございまして84.84%、後期高齢者で見ますと、中ほどの赤でございますけれども92.21%ということで、ごらんいただいているように種々改革を重ねながら今日に至っているということでございまして、現在の水準で言いますと、平成12年とほぼ同等のところかなということでございます。
 今年度、それから昨年度も実施をした高額療養費の見直しによりましても、右下に書いておりますような効果を見込んでおりますが、こういう種々の改革を今後とも引き続き、その状況を踏まえまして、積み重ねていく必要があると考えております。
 最後の論点でございますが、19ページをごらんいただければと思います。これは地域別の診療報酬の設定でございまして、昨年度の医療保険部会でも何回も御議論いただいておりますので、基本的な仕組みは申すまでもないと思いますが、この制度の適用の事例がまだ出ていないということで、具体的な活用メニューを提示してはどうかといった論点でございます。
 ちょっと考え方を整理しておりますが、この医療費適正化の対策、実効を上げるためには、地域それぞれの医療費の状況、また課題がございますので、そういうものを把握分析して、地域の関係者による議論も踏まえた上で具体的な対策を検討していくのが非常に大事だと考えておりまして、こういう分析とか議論がない中で具体的なメニューを想定することで、地域の実情に応じた取り組みにかえって枠をはめることになりかねないといった懸念を持っております。むしろ地域の課題解決のためには、地元関係者による地域課題の把握分析を通じた具体的対応策の検討が、実効性を上げるためには重要ではないかと考えております。厚生労働省といたしましては、引き続き、適正化計画の実施主体である都道府県の御意見を丁寧に聞きながら対応していきたいと考えている次第でございます。
 以上が資料1-4でございまして、ちょっと説明が長くなって恐縮でございますけれども、本日、中長期を含めまして、こうした全体の課題について御議論いただければと思っております。
 以上でございます。
○遠藤部会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいま御報告いただきました内容につきまして、御質問、御意見等があればいただきたいと思います。
 藤井委員、どうぞ。
○藤井委員
 ありがとうございます。
 現在、経済財政諮問会議では、骨太の方針2018の取りまとめに向けて議論が本格化しておりますが、財政健全化の最大の課題は、社会保障費の伸びをいかに抑制していくかということであります。医療保険部会においても、ぜひこれまで以上に踏み込んだ議論をお願いしたいと思います。
 また、今後の議論では、給付の重点化、効率化を軸とした改革の徹底はもとより、高齢者の応能負担割合や受益者負担の引き上げについても、しっかりと議論を重ねていくべきだと考えます。
 先ほどの資料1-4の16ページ「医療費の動向等に応じて給付率を調整する考え方について」です。本来、医療費の適正化や医療供給体制の効率化によって給付費の増大に歯止めをかけていくことが筋でありますが、それができないのであれば、膨張を続ける医療費の動向に応じて給付と負担のバランスを自動で調整し、社会保障費の伸びを抑制する仕組みの導入について、今後の医療保険部会でもぜひ検討していただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 それでは、佐野委員、南部委員の順番でお願いします。
○佐野委員
 ありがとうございます。健保連としては、今までも申し上げてきたことの繰り返しになる部分がありますけれども、コメントさせてください。
 まず、資料1-1でございますけれども、今後の方向感を考えるに当たっても、高齢者医療費に対する現役世代の拠出、負担がもう限界に来ていることは間違いないわけで、これに歯止めをかけることは絶対に必要だと思います。早急にこの負担構造、現役世代と高齢者の負担のバランスを見直すことは必須だろうと思います。あわせて、医療費全体の伸びをいかに抑制するかも喫緊の課題だと思っております。そういう中で言いますと、資料1-1のペーパーでも、どうしても目が改革工程表2018年度内の検討課題に行ってしまうのですけれども、ここについても2点コメントさせていただきます。
 まず1点目は「後期高齢者医療制度の患者負担の在り方」でございますけれども、やはり高齢者は給付に比べて負担が極端に軽い。後期高齢者の窓口負担は2割負担にすべきだと思います。このペーパーにもありますが、30年度中に74歳の方が全て2割負担になるということでございますので、31年度に75歳になるときに2割負担を継続していただくことが望ましいと思います。もちろん、これは法改正を伴うことになりますので、部会としても早急に結論を出すべきであろうと思っています。
 2点目は「薬剤自己負担の引上げ」でございますけれども、スイッチOTC薬だけでなく、市販の類似医薬品ですとか、軽症疾患を対象とした薬剤なども保険給付率を下げる、もしくは保険給付から除外するということを検討すべきだと思っております。
 もう一点、資料1-4についても何点かコメントさせていただきます。まず、論点の1点目に挙がっています予防・健康づくりの推進という部分ですけれども、無論、健康寿命の延伸に向けた取り組み、予防・健康づくりの推進というのは健保連でも主張していますけれども、健康な高齢者、いわゆる支える側をふやすという観点から非常に重要だと思います。ただ、一方で、医療費の抑制ということを考えた場合には、ありとあらゆる施策が必要だと思いますし、予防・健康づくりとあわせてほかの施策、先ほど申し上げた高齢者の窓口負担の見直しですとか、薬剤給付負担範囲の見直しとか、こういうこともしっかりやっていくことが重要だろうと思っています。
 論点3点目の医療費の動向に応じて給付率を調整する考え方でございますけれども、この点は唐突感もありますし、詳細がよく見えない中でコメントしにくい部分ではございますけれども、いずれにしても慎重な検討を要するのではないかと思います。ただ、その後の資料にありますように、医療保険制度全体として実効給付率が上がっている。年々上昇しているということ、これには何らかの対応が必要だろうと思います。先ほど申し上げた高齢者医療の拠出金負担の歯止め対策としても、本当に繰り返しになりますけれども、後期高齢者の患者負担見直し等も急ぐべきであろうと思っています。
 最後の4点目の地域別診療報酬の設定でございますけれども、医療費の適正化ですとか公平な医療提供の観点から、慎重な検討が必要であるということは変わりないと思うのですが、資料にも書かれていますけれども、医療費適正化計画の実施主体である都道府県の意見も十分踏まえて、丁寧に対応していく必要があると思っています。
 以上でございます。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 では、南部委員、お待たせしました。
○南部委員
 ありがとうございます。質問が1つと意見が2つございます。
 資料1-4の3ページ目でございます。これは質問でございまして、医療と健康づくり推進が非常に重要であるという認識は同じでございますが、資料にございますように生活習慣病対策、フレイル対策、そして介護予防などを一緒にするということなのですが、これは実施主体、そして対象年齢、目的もおのおの違うということがございますが、どのように一つにしていくかということのイメージが少しできないところでございますので、できましたら事務局のイメージをもう少し具体的にお聞かせいただけないでしょうか。これが質問でございます。
 意見と申しますのは、同じ資料1-4の5ページ目でございまして、効率的な医療のための適正な薬価制度の重要性は否定いたしませんが、現時点ではまだ先ほどおっしゃったように試行導入の段階と存じております。費用対効果評価を保険収載に勘案するなどということは、あくまで中医協での議論を尊重すべきだと考えておりますので、まずは現在、試行導入の内容の結果検証、そして課題の抽出、整理、対策などを十分に行うことが先行であり、保険収載の可否に用いるかどうかはその後の議論であると考えております。意見として、御検討をよろしくお願いいたしたいと思います。
 3つ目、資料1-4の16ページでございます。この場で何度も強調いたしておりますように、2002年の健保法改正の附則第2条にあります「被保険者及び被扶養者の医療に係る給付の割合については、将来にわたり百分の七十を維持する」という規定、これは大きな規定でございますが、将来にわたる給付割合が決定されることを非常に重たいと考えておりまして、加入者一人一人について、この約束が守られることで初めて制度の信憑性が担保され、ひいては国民の安心につながると考えております。
 医療保険制度の持続可能性は非常に重要であることから、給付と負担の適正化は不可避です。これについてはかねてより主張しておりますが、年齢ではなく、負担能力に応じた負担という視点での抜本的な見直しが最優先の課題と考えておりますので、この点につきましても、この部会でぜひ御議論をよろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 それでは、質問が出ておりましたので、事務局、お願いします。
○黒田課長
 連携課長でございます。御質問ありがとうございます。
 お尋ねの資料1-4の冒頭に書かれております一体的実施の関係です。委員から御指摘がありましたように、これまで介護予防の取り組みは、介護保険制度で市町村が主体になって行われてきました。それから、医療関係の先生方のお力もいただいて、国保では生活習慣病の重症化予防の取り組みも市町村国保を中心に進められてまいりました。
 それから、近年注目をされておりますのがフレイル対策で、現在の制度としてウエートがかかっているのは後期高齢者医療制度になっていて、その3つの取り組みがそれぞれの制度で行われているということでございます。
 課題になりますのは、1つは、年齢によって制度と実施主体が違っているということでございます。特に介護予防と国保は市町村単位ですが、フレイルの事業の実施主体が広域連合だということになりますと、その三者の連携を図ろうというときに、実施主体の違いが連携に対して一定の制約になってくることはあります。ですので、実施主体が一体的に一つの目で、高齢者はお一人ですから、コーディネートする機能をどのようにつくっていくのか。これが一つ目の視点です。
 もう一つは手法といいますか、提供される場のお話です。介護予防は、これまでは予防は予防で、一般高齢者施策は一般高齢者施策で分けてやっておりましたが、それを改めまして、広く高齢者の方々が通える場をつくって、そこに参加していただくことを優先課題にして、そこから次のステップにつなげていくというアプローチに改めております。一方で、保険事業やフレイルはどちらかというと保健指導にウエートを置いている都合上、個別にアプローチするという手法になり、そうするとそれぞれ場がばらばらだったり、もとになっているデータがばらばらだったりということがあります。ですので、2つ目の課題は、それを一体的な場所で提供していくという場所の概念の話になります。
 この紙で御用意しておりますのは、高齢者に広く参加していただく場の整備というものは、まず介護のサイドでやっていただいた上で、フレイルあるいは生活習慣病対策は市町村を起点にして、高齢者が集まる介護予防の場に対して、いわば相乗りのような形で提供していく。それぞれがやるのではなくて、実施主体を市町村に束ねた上で、介護予防の場に保険事業のノウハウが相乗りしていくような形でやることによって、高齢者の方々にとっても、1カ所で済む、それぞればらばらに行かなくてもいい。それから、地域の方々にとっても、その場所に行けば一定のものが得られる、あるいは地域の専門の先生方にも信頼していただける、そんな場所がつくれないかなというのがここに書かれていることでございます。
 これまでの地域の実践もかなりおありだと思います。そこに制度的にどんな下支えをすれば現場が実現できるのかという観点で、制度も関係部局もまたがりますが、一体的な検討体制をつくっていきたいと思っています。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 南部委員、どうぞ。
○南部委員
 ありがとうございます。イメージが湧いてまいりました。ただ、地域によって医療と介護の資源にも大きな差がございますので、ぜひ一体的な運営が可能かどうかという事、地域差もございますし、そこは丁寧に調査をしながら進めていただきたいと思っております。引き続き、全体のイメージができ、共有を図れるような議論をぜひ積み上げていただきたいということで要請をしておきます。
 以上でございます。ありがとうございます。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 それでは、國井参考人、お願いいたします。
○國井参考人
 資料1-4の4つ目の論点、地域別の診療報酬の設定についてでございますが、これまで当部会で議論がなされて、19ページのとおり取りまとめが行われたと認識しているところでございます。ただ、一方で、4月11日の財政制度等審議会におきましては、特例の積極的な活用を国が後押ししてはいかがかと、また、積極的な活用のための具体的なメニューを国が示すべきといったような議論が行われたと報道がなされているところでございます。私どもといたしましては、地域別の診療報酬の設定につきましては、国がその活用を積極的に促すという性質のものではなく、都道府県が医療費適正化計画の目標を達成するために必要があると認めた場合に、都道府県の意見を出発点として議論がなされていくものと認識しているところでございます。
 繰り返しとなりますが、地域別の診療報酬の設定につきましては、妥当性や医療費適正化に向けた実効性を十分検討した上で、これまでの議論の内容を踏まえ、慎重な対応をお願いしたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 それでは、安藤委員、兼子委員の順番でお願いします。
○安藤委員
 ありがとうございます。保険者として意見を何点か御指摘したいと思います。
 まず、先日、加藤大臣が経済財政諮問会議でプレゼンしました資料を見ましても、サービスの受け手の拡大と支え手の減少を踏まえて、制度の財政的な持続可能性をどのように確保していくのかということが最も大事な点であると思っております。そもそも医療保険のサービスというのは、公費である税、加入者、事業主からの保険料、そして患者の自己負担という3つの財源で成り立っております。税につきましては、来年10月に消費税率を10%に確実に上げていただくということは必要不可欠なのですけれども、保険料につきましては、これまで協会けんぽであるとか、先ほど佐野委員からもお話がありましたが、近年、保険料率を毎年引き上げている。協会けんぽは平成24年からは10%を維持させていただいておりますけれども、健保組合は毎年保険料率が上がっている。その影響で、つい先日も新聞報道がありましたけれども、大手の健保組合が解散をするのではないかという記事がありました。これは、1つの健保組合で50万人とか60万人が一気に健保組合から協会けんぽに移ってくる。その主たる原因は、負担する保険料率が我々の10%を超えるかどうかというところにあります。
 現時点でも健保組合の保険料率、10%を超えている組合数が179を数えております。ですから、それぐらいの健保組合の方たち、加入者が協会けんぽに移ったときにどれくらいの国費への影響があるのかということをまず考える必要性があるのかなと考えております。そのためには、残りの自己負担につきましても聖域とするのではなくて、平成14年度の改正法附則の7割給付の原則も含めて見直しを行っていく必要があると考えます。
 こうした観点から、特に後期高齢者の自己負担率2割への引き上げであるとか、薬剤の自己負担のあり方など、ぜひスピード感を持って議論が進むようにお願いしたいと思っております。
 また、従前から協会けんぽとしても提案しているのですけれども、任意継続者の被保険者制度の見直しであるとか、傷病手当金や出産手当金などの現金給付全般の見直しであるとかというもののタイミングにあるのではないかと考えております。本日の議論も踏まえまして、一度、検討事項の一覧表をリストアップしていただいて、次回以降、順次議論ができるように御準備いただきたいと思っております。
 また、これは診療報酬で対応すべき話だとは思うのですけれども、大臣のプレゼンの資料にありますとおり、サービス提供に係る生産性を高めていくということも非常に大切であると思います。特に我が国は高齢化先進国という形になっております。ここの部分で特に介護におきまして、資料の中にもありますように、介護用のロボットを使うであるとかICTを使って生産性を上げるという部分を、できるだけ早くやっていく必要性があると考えております。
 そういったことをやることによって、将来、1,060万人も医療と介護に従事しなければいけないというような非現実的な世の中になったときに、できるだけそれを支える形で、人がみずからの手を使わなくてもできるような世の中にしていくためには、やはりそこの部分も推進していくべきであると考えております。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 兼子委員、どうぞ。
○兼子委員
 高齢者のところです。いろいろ御意見が出たのですが、私は地域の中で高齢者のグループである老人クラブの活動などをやっているわけですけれども、1つは、これは私が言うまでもないことですけれども、経済的に困難な方たちほど、医療にかかるのが遅くなり、重症化して長期化する実態にあると思うのです。ですから、いろいろ高齢者のところをどうするかということですが、画一的に高齢者の負担というよりは、先ほど御意見がありましたけれども、全体的に高齢者に限らず負担能力のあるところの負担ということで考えていかないと難しいのではないかと思います。
 例えば制度との関連でも、高齢者、特に生活が苦しい人たちは、外出の問題でも、全国の資料は余り見られないのですが、ぽつりぽつりと自治体などがやっていますけれども、自分の食べ物の買い物で1週間とか10日に一遍ぐらいしか外に出ないという人が1割を超えるぐらいいるわけです。そんなことを考えると、高齢者のところにいま以上に経済的な負担が出てくれば、削れるところは交際費や食費ということになり、結果として孤立化が深刻になったり健康障害の重症化の問題が出てきますので、画一的な対応は問題があると思います。
 それから、負担の問題として保険料と税負担について申し上げます。消費税ですが、2019年に予定されているわけですけれども、私どもはこの制度が発足するときにも御意見申し上げましたが、収入が少ない者ほど逆進性が高く、高齢者にとって重い負担の制度ですので、見直しが必要だと思っています。医療保険や介護保険についても国民皆保険ですので、税負担と同じように緩やかな累進性と減免額を引き上げることも必要だと思います。生活の厳しいところについては思い切った負担の減免を考えていかないと、制度にもひっかからない高齢者がふえてくるということを私は懸念しますので、そういった点も配慮しながら議論を進めていただきたいと思っております。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 遠藤委員、どうぞ。
○遠藤委員
 ありがとうございます。今、兼子委員からもお話があったのですけれども、医療費の問題に関して、一律で負担増加ということになるとなかなか問題があるかと思っております。負担できる方がある程度負担していくというのはわかるのですけれども、その辺のところはやはり問題かと思っています。
 また、地域ごとの医療費の設定でございますけれども、これも基準が非常に不明瞭であって、どのような基準だったらできるのかというのはなかなかわかりづらい。もともと1点10円の設定で制度設計されていると思っていますので、これらを地域ごとに変えるということに関しては、やはり相当慎重な対応が必要ではないかと。また、給付率を医療費によって変えるというのも、非常に制度の中で不安定化といったこともありますので、この辺もあわせて慎重に対応すべきではないかと思っております。
 それから、お尋ねですが、先ほども意見があったのですけれども、資料1-4の3ページの一体的対応で、どういうところが対応できるかという中では、ここでは介護と医療の双方にかかわるということと、高齢者ということでいえば、市町村が対応するというのは当然あるのですが、国保連合会の役割が結構あるのではないかと思うのです。国保連合会は医療保険も介護保険もどちらも扱っておりますし、国保も都道府県単位という方向に進んでくる中で、広域連合は都道府県ということの中で、こういった取りまとめというのは役割があるのではないかと思うのです。事務局のほうでは、国保連合会の役割については何かお考えがあるのでしょうか。これは質問でお願いします。
○遠藤部会長
 それでは、事務局、お願いいたします。
○黒田課長
 ありがとうございます。このお話は、今、それぞれモデル的に行われている話も含めて、まずはサービスベースでどんな現場を実現していきたいのか。対象は高齢者の方なので、そこを最初に考えるのかなと思っています。
 お話しのように、それを実現していく過程でどういう方々のお力をいただかなければならないのかという話がその次に出てくると思います。単独の市町村のお力で手に余ることもあるでしょうし、地元の専門の先生方のお力をかりなければいけないことも多分あると思います。お尋ねの話は、実現していく現場の話をまず考えた上で、その次に誰の支えが必要なのかという点で考えていきたいと思います。ありがとうございます。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 森委員、横尾委員の順番でお願いします。
○森委員
 ありがとうございます。資料1-4の5ページ目の「高額薬剤・医療技術への対応」ですけれども、患者負担を軽減すること、国民皆保険を堅持すること、そして、イノベーションを評価して医療の質向上を目指して薬価制度の抜本改革が行われました。先ほど事務局からも説明がありましたけれども、平成30年度から効能効果等に伴う市場拡大に対して速やかに薬価を引き下げるルールなどが導入されたところになります。そうした中で、有効性、安全性がきちんと確認された医療、医薬品で必要かつ適切なものが保険適用されることは、医療の質向上に結びつくものなので、それを予算の制約や経済財政により保険適用外にするというのはいかがなものかと思います。
 今回の薬価制度の抜本改革の効果を見ながら、その中で努力をしていって、必要な医薬品・医療が国民に届くようにしていくことだと思います。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 では、横尾委員、お待たせいたしました。
○横尾委員
 ありがとうございます。医療費あるいは医療をめぐる日本の状況はどうしても財政と切り離すことができませんので、この会議でも毎回、あるいは各期ごとにそういった大きなテーマになっていると思っています。
 最近では、いよいよスタートする都道府県単位の国民健康保険の運営について、私は後期高齢者医療の代表として参加していますが、また同時に自治体の首長として来ていますので、それぞれの自治体は都道府県ごとに、皆さん、知恵を絞って協力する体制で都道府県ごとに取り組みをしているわけです。
 そこで明らかになってきたことは、保険料の基準といいますか、ある程度統一した保険料にするという試行をしなければなりませんので、保険料が高いところ、低いところ、それらが格差としてはっきりわかってきて、そこをどう調整するかという一つの峠を必ず越えていかなければなりません。そういったときに一つ課題になり、また、一つ重要だと改めて認識しているのは、いかに医療費がかかっているかということを、この際、一般の方、住民の皆さんにしっかり知っていただいて、健康であることの重要性やそれを維持することの大切さを啓発することが欠かせないと思っているところです。そうしなければ、一般会計からどれだけ財政支援の予算を入れても、その恩恵に関する実感は個々人にとっては少額のため大した実感とはなりませんので、本格的に行動変容までは行かないということも、過去いろいろ調べていてわかったところですので、そういう努力が必要だというのが1点目です。
 もう一つは、先ほど老人クラブ代表である兼子委員がおっしゃっていただいたのですけれども、負担能力の有無ということをどこかで考えなければいけないのではないかという気がしています。ある年齢になったら1割とか2割という基準に今はなっているのですけれども、負担能力が当然ある方と、なかなかなくて厳しい生活を強いられている方がおられますので、そういったことも今後は検討しながら、どのようにそれを加味するかは今後十分な慎重な検討が必要と思いますけれども、そのあたりの十分な検討が必要であろうと思います。
 たまたま医療情報やマイナンバー制度、行政の電子化、IoT、ICT化等を専門に調べていただいている学識者の方、あるいは専門の方とお話しする機会がありましたが、ヨーロッパ等では、一部の国かと思いますが、同じお薬や同じ治療行為あるいは問診でも所得に応じて少し料金が変わるということを聞きました。これは負担能力のある方が少し余分に財政負担していただいて、全体としての医療財政を賄っていこうという視点に基づくものと思うのです。いきなりすぐにそういった仕組みに移行するというのは日本では難しいかとは思います。でも、そういったこともある意味でタブー視しないで、厚生労働省のほうでいろいろな可能性探究や、いろいろな活路を見出す努力をされる中において、いろいろな施策を検討していただくことも大切かなと感じているところです。
 各保険者の立場、私も保険者の立場で来ていますが、そういった身からするといろいろな意見も当然出てきますけれども、全体として医療が持続可能なものになっていかないと、より多くの方々が不安になるし、不安になれば日々何となく落ちつかない、あるいはほかの問題も出てくると思いますので、ぜひそういった大所高所からの検討も厚労省に頑張っていただきたいと思っています。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 原委員、どうぞ。
○原委員
 先ほどの遠藤委員からの御発言で、これは医療保険、介護保険をまたいで、健康づくり・介護予防にもっと国保連合会は頑張れと、そういう御期待をいただいたと受けとめております。私も全く同感でございまして、連合会としてぜひ頑張ってもらいたい。また、全国組織である中央会としても、それをしっかり支援していきたいと思っております。
 予防・健康づくりの関係でいいますと、今日、資料1-1で事務局から示されました2040年を展望した社会保障改革、これは医療保険制度の面から見た政策課題ということで書かれていると思いますけれども、一番に健康寿命の延伸です。こういうことをぜひ取り組んでいくのだという視点が私は大変大事だと思っています。確かに医療保険制度については、給付と負担の見直しということではまだまだ課題もありますし、それはそれで議論をしていくべきですが、どうしてもそのテーマでいくと、利害と言うと変な言い方ですけれども、誰かの負担の持ち合いみたいなところが中心になってくるので、なかなか大きな効果が出てこないところがございます。調整に時間がかかるということもございますけれども、健康づくりというのは多分、誰も異論はないと思うのです。これはやはりみんなで国民一人一人がしっかり取り組んでいく。
 この医療保険制度改革では、前回、一体改革の中でインセンティブ改革という制度横断的な取り組みが講じられまして、今、それで保険者機能を発揮して皆さんやっていただいていると思うのですけれども、こういった改革を一時的なものではなくて、2040年に向けてしっかり根づかせて、国民一人一人の行動変容に確かなものとしてつなげていくという、さらなる議論を私はぜひしてもらいたいと思います。
 その意味で、先ほど黒田課長からございましたような、介護予防とフレイル、こういったものを市町村が中心となって横断的、統合的にやっていく、そういった取り組みも大変大事だろうと思います。
 また、事務局にもお願いしたいのですけれども、先ほどの資料の中で健康寿命が延びているところは医療費の伸びが小さいというような統計がございましたので、例えば、厚生労働大臣が出された資料1-3の4ページです。人口構造の変化がどのように医療費や介護費に影響を及ぼすかという分析ですが、こういうところの中で健康寿命が延びたことによって、あるいは国民が健康になったことでどのくらい医療費の伸び率、あるいは介護費の伸び率が抑制されたか。そういうものを少し見えるようにしてもらう、そういう推計を出してもらう、そういうことも健康づくりに向けた国民の活動の取り組みの定着にもつながっていくのではないかと思いますので、その辺も御検討いただければ大変ありがたいと思っております。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 それでは、武久委員、渡邊委員の順番でお願いします。
○武久委員
 診療報酬は全国統一でないといけないと私は思います。ただし、東京都は土地が高い、建築費が高い、人件費が高い、それで都内の中小の病院が地方と同じように競争できるかというと、これは非常に厳しい。そういう病院がどんどんとなくなっていくと、これは都民の生活に非常に問題があるという意味からすると、診療報酬ではなく地域加算のようなものを考えていかないと、これから東京都の中小病院は続々と非常に厳しい状態になるのではないかと感じております。
 それから、高齢者がどんどんふえてきまして、皆さん御存じのように、今、入院患者さんのうちの約8割、78%が後期高齢者の患者さんです。当然、若い人と治療方法は違いますし、疾病構造が違いますし、治療方法も違います。今回の同時改定で低栄養や脱水、嚥下リハビリ、排せつリハビリ等に非常に在宅も含めて評価をしていただくことは、アウトカム評価ということで、実際によくなったら評価しようという、この形は私は非常にすばらしいと思うのです。
 ただ、日本の現状というものを、医療では余り考えないのだけれども、ほかの産業では諸外国との対比というのを結構するのですが、日本は平均在院日数、入院しているのが慢性期も含めますと約30日なのです。アメリカは5日ぐらいだそうですけれども、病院の病床の数はアメリカの5倍あるそうです。
 そういったことも含めまして、寝たきりがアメリカの5倍と。私は別にアメリカに合わす必要は全くないと思いますけれども、5倍は余りにも多いのではないかと。この辺のところが、要するに後期高齢者がたくさん入院して、長期に入院していると動けなくなってしまう。ここが非常に問題だということで、今回の改定でもリハビリについて評価していただきました。この辺のところを改善していかないといけないのですけれども、残念ながら、財務省の書類は出ましたが、この辺のところにはほとんど触れていない。
 急性期病院での無断な長い入院、これは厚労省のほうからもどんどんと公に出ております。平均で手術の5日も6日も前から入院している。そういうことも含めて、入院期間というものをもう少し考えていったらいい。特に急性期病院で長く入院していると、75歳以上の方は動けなくなって、関節が拘縮してくる。それによってまたリハビリが必要となって、寝たきりがふえる。ふえると介護施設がふえる。こういう悪循環をもうちょっと根本的なところで医療保険制度の中で見直してみる。一回立ちどまってそういうことをしないと、負担金がどうのこうのという問題ではないのです。もっと根本的なことを皆さんでお考えいただければ幸いと思います。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 渡邊委員、お待たせしました。
○渡邊委員
 資料1-3の「2040年を見据えた社会保障改革の課題」の2ページに、の新たな局面と課題、人口構造の推移から見ると、2025年以降、高齢者の急増から現役世代の急減に局面が変化するということで、新たな局面に対応した政策課題が掲げられております。その中で、現役世代の人口が急減する中での社会の活力の維持向上、それから、高齢者をはじめとして多様な就労・社会参加を促進し、社会全体の活力を維持していく基盤として、健康寿命を延伸することを目指すという記載があります。
 また、労働力の制約が強まる中での医療・介護サービスの確保という課題があるわけですが、都市部はともあれ、地方部においては、いわゆる医療・介護サービスの生産性を確保するという中では、既に非常にマンパワーが不足している実態があるわけです。同じ資料の5ページの「健康寿命延伸に向けた取組」や、6ページの「医療・介護・福祉サービスの生産性向上に向けて」という中で、マンパワーの確保が課題として挙げられておりますが、我々の実態を見ますと、医療で言えば看護師不足、介護で言えば介護士不足とか、さまざまな形での人材確保が大きな課題になっているのです。その辺りのことは、2040年に向けた課題でもあるのですが、現実に今、早急な課題として議論していく。また、その対応についても、制度を確立していく必要性があるのではなかろうかと思います。
 特に、医療・介護・福祉サービスは、我々市町村が住民と向き合いながら、市町村行政の中で、行政サービスの一環として取り組んでいかなければいけない責務があります。そうした責務を果たしながら役割を発揮していく中では、やはり、どうしても人材確保が大きな課題になるわけです。市町村では、保健師とか地域包括支援センター的な機能を確保するためのさまざまな人材も確保していますけれども、現実の問題としては、特に町村は非常に脆弱で、地域間格差も大きいわけであります。そうしたことを考えた場合に、このマンパワーの確保という中で、早急に対応を考えていただかねばならぬのではなかろうかと考えるわけであります。これは地域の実態として、意見として申し上げておきたいと思います。
 以上であります。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 菅原委員、どうぞ。
○菅原委員
 ありがとうございます。全体的に資料を見させていただいて、医療保険の持続可能性を担保していくということが非常に難しい状況だということがよくわかりますし、担保するためにさまざまな方策を考えるということに関しては全く異論がありません。
 資料1-4の16ページなのですが、ここに医療費の動向等に応じて給付率を調整する考え方というのがございますので、こういったことをもし考えるとすれば、いろいろなことを考えていかなければいけないと思うのですが、その論点を若干整理したほうがいいかなという形で示させていただければと思います。
 まず、釈迦に説法になりますけれども、社会保険制度というのは、社会連帯の意識をベースに個々人が直面するリスクを社会全体で分散する制度でありますので、もし保険外の自己負担が過大になってしまって、個人の受容限度を超えてしまうと、そもそも保険という意味がなくなってしまいます。恐らく個人が保険に入っているメリットが感じられなくなってしまいますので、おのずと、どの程度の自己負担までが社会的に保険として機能する、受容できる限度、閾値みたいなものはどこかにあるのだと思います。
 実際にこういう議論をしていくときに、仮にもし自己負担が6割、7割という保険があったとしたら、それに入るだろうかということを極端な例ですが考えていただければいいと思うのですけれども、こういった制度を議論する際には、どこかにそういう社会的な受容限度があるのだということを認識しておくことが大事かと思います。
 2番目ですけれども、所得の多寡にかかわらず、我が国の制度では基本的に同一疾患で同一治療が行われた場合には通常3割負担ということになっておりますので、原則同一の負担になります。そういった意味では、先ほど御意見が出ておりましたけれども、言い方が正しいかどうかはわかりませんが、自己負担に関しては逆進性が基本的に高い制度、強い制度と言うことができます。受診の公平性の確保という観点からすると、自己負担の調整をすることをどのように考えていくかということは非常に大事な論点になるかと思います。
 3番目ですけれども、自己負担の調整と高額療養費制度の調整というのは多分一体として考えなければいけなくて、それをしないと期待した財政効果が望めないと思います。患者の自己負担の引き上げが仮にあったとしても、そのことによって、これまでより多くの方が高額療養費制度の枠内に入ってくるとするならば、基本的には当初の政策効果が望めないということもありえますので、自己負担の議論と同時に、高額療養費制度等々の議論も一緒にやらなければ意味がないと思います。
 最後に4つ目なのですけれども、これは私見ですが、中医協が担っている権能とこういう制度の導入との役割分担をどのように考えるかという問題ももしかしたらあるかもしれません。中医協の場では、基本的に国の財政状況や経済状況を勘案しつつ、改定率等にあわせてさまざまな個別の点数をつけておりますけれども、国民の代表者が出て、その中で診療報酬改定、例えば上げがあった場合には基本的に国民全体がその負担を受け入れるという構造になっております。基本的には中医協は供給側の点数をいじっているものですから、最終的に我が国の医療費の水準そのものや増加率に非常に大きい影響を持っております。今回、仮にこういう制度が入ったとすると、中医協が担う医療政策、医療費の伸びや水準のコントロールがうまくいかなかった部分を患者の自己負担で調整するという考え方が、需要サイドの患者さん側に受け入れられるかどうかということについても基本的に議論しなければいけないかと考えております。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。まだ御意見あるかと思いますけれども、少し議題が残っておりますので、本日はこのぐらいにさせていただこうかと思います。また具体的な議論の中で御発言をいただければと思います。
 それでは、続きまして、議題の2つ目「レセプト情報・特定健診等情報データベース等の解析基盤の検討の進め方について」に移りたいと思います。
 それでは、事務局、説明をお願いいたします。
○黒田課長
 連携課長でございます。資料2をごらんください。長いタイトルの資料ですが、レセプト情報・特定健診等情報データベース、介護保険総合データベースの関係で資料を御用意しております。
 おめくりいただきまして、1ページでございます。ここには近年の骨太方針、それから平成28年の総理の御発言を引用させていただいておりますが、共通する課題認識は、こういった分野のデータベースがそれぞれ根拠法別、制度別、目的別に構築されておりまして、その中核にあるのは、これから資料でごらんいただきます、いわゆるNDB、それから介護保険は介護総合データベースなわけですが、それらの連携を強化していくということで課題認識として示されております。特に総理の御発言につきましては、近年、包括ケアという話が出ていることも念頭に置いた発言だと私どもは受けとめておりまして、そんな課題認識の中で、こういった関係をどう扱っていくのかという点が新しい課題だと考えております。
 2ページはNDBの概要でございます。このデータベースは、高齢者医療確保法、通称、高確法といいますが、第16条に基づきまして、平成21年以降のレセプトデータと平成20年以降の特定健診・保健指導のデータを悉皆的に格納する匿名のデータベースでございます。匿名化されて国が収集しておりますので、国は匿名のデータを管理しているということでございます。
 この情報の本来的な用途は、医療費適正化計画の策定ということでございまして、その旨が高確法には定められてございます。
 上記に加えまして、さまざまな学術研究等に用いるということが課題となりまして、平成25年度以降、レセプトの第三者提供に関するガイドラインを策定しまして、このガイドラインに基づいて医療関係の先生方、有識者の方々、保険者にも御参画いただいた有識者会議での個別審査を経て、第三者提供が行われているところでございます。
 また、第三者提供につきましては、民間の主体からの御要望も踏まえて、項目の御希望をいただいた上で、オープンデータとして提供するという取り組みも平成28年度からスタートしているということでございます。
 1枚おめくりいただきまして、3ページは、介護保険制度の中に位置づけられております介護保険総合データベース、通称介護DBというものです。介護保険は、制度をスタートした時点から電子請求になっておりましたので、こういった仕組みが導入しやすいということがございましたが、データベースとして管理し出したのは、平成24年度以降の介護レセプトのデータ、それから平成21年度以降の要介護認定のデータということでございまして、その2つが格納されている、こちらもNDBと同様、匿名のデータベースでございます。根拠規定は、介護保険法の第118条の2という規定でございます。
 こちらにつきましても、先行するNDBの議論を下敷きにしまして、まずは本来目的として計画の策定に役立てていただくということで、行政利用を中心にやってまいりましたが、介護保険部会の取りまとめ等々の中で、公益性の高い場合の第三者提供の規定が置かれまして、先月、平成30年3月に要介護認定情報等の提供に関する有識者会議が立ち上がりまして、その中で第三者提供のルール、それから審査をいただく際の会議体等々について方針が示されたということでございます。ですので、言ってみれば、この2つのデータベースが並び立つ形で、それらの連携が課題になっているということでございます。
 4ページをごらんください。この2つのデータベースは非常に似た性質を持っておりますし、用途も行政計画ベースで公益性の高いもの、包括ケアといった背景もあるということですが、ここでデータベースの共通する特徴を幾つかまとめております。
 1つ目は、社会保険制度を基盤にした悉皆的なデータベースだという点でございます。したがいまして、項目が標準化をされていて、保険者を問わずカバーをされていて、特にレセプトベースですから月次ベースのデータが蓄積されるということがございますし、また、全国ベース、地域ごと、保険者ごとといった課題、あるいは経時的な把握も可能だということでございます。これが特徴の一つでございます。
 その次の特徴は、レセプト情報の二次利用による匿名のデータベースだというところでございます。よく言われることですが、レセプトというのはもともと請求書でございます。診療報酬、介護報酬の請求書でございますので、それが本来目的。その本来目的に即して項目が設定されている。それを二次利用する形で匿名化して、データベースとして活用するという格好でございます。したがいまして、御本人の特定がされないこと、それから円滑な支払い、請求という本来目的を損なわないことが非常に重要だということでございます。これが2点目の特徴です。
 3点目の特徴は、関係者のいわば理解、協力、合意というものをベースにしたデータベースだということでございます。このデータベースは国にいただいておりますが、いただく過程においては、保険者、医療・介護関係者、さまざまな主体の方々の御理解と御協力の中でこのデータベースが築かれているということでございます。したがいまして、利用目的や利用形態につきましても、公益性、納得性といったものも重要ですし、こうした情報が生み出される現場、関係主体のコンセンサスといったものも非常に重要だということでございます。
 5ページは、今、申し上げた点を両方のNDB、介護DB、レセプトベースで匿名のデータベースですが、それらの特徴を一覧にしたものでございますので、後ほど御確認ください。
 次の6ページでございます。NDB、介護DBが中心になりますが、それ以外にも目的別でいろいろなデータベースが整備されております。まずはNDB、介護DBからということでございますし、その2つの関係性の後に、これらとの関係の整理も求められるということでございます。
 次に7ページに参ります。以上、ごらんいただきましたように、それぞれ目的別に整備されてきたデータベース、その中で、匿名で悉皆性があって請求書情報をベースにしたデータベースという特質を持っているNDBと介護DBにつきまして、包括ケアの観点等々から、両者の連結が課題になるだろうということがマル1でございます。
 マル2といたしまして、マル1の議論を下敷きにした上で、ほかのデータベースとの関係の整理も求められるでしょう。
 それから、マル1、マル2に即した第三者提供の枠組みを検討していくことが求められておりまして、それを先ほどごらんいただきました、もともとのデータが持っている特質も十分踏まえた中で検討を進めていく必要があるということでございます。
 次に8ページに参ります。こうした課題を検討していく上では、制度がまたがるということと、データベースがまたがるということがございますので、検討していく上では技術的なお話も含めての検討になろうかと存じます。したがいまして、ここに書かせていただいている1つ目の○ですが、まずはNDBと介護DBの連結を第一のアジェンダとした上で、両方のデータベースに精通している方々から成る会議をつくりまして、そちらの中で制度面の課題をより出してはどうかということでございます。検討事項は下に添えております。また、右側に構成員の方々の顔ぶれのイメージを添えさせていただいております。
 その下の検討スケジュールですが、本日、こういった形での検討の進め方についてお諮りしているわけですが、その後で5月になりまして、この有識者会議で議論をスタートいたしまして、まずはNDBと介護DBの議論を進め、そういった議論につきましては、7月ごろに一旦の区切りをつくりまして、こちらのほうにお持ちして、ごらんいただく。また、夏以降も議論を続けまして、最終的には秋ごろを目指して議論していくということで考えてはどうか。また、この検討は、当然、介護保険制度との関係もございますので、介護保険部会等での議論につきましては、別途、老健局のほうで調整をするということで考えております。
 事務局からは以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 いかがでございましょうか。ただいま御報告のあった内容につきまして、御意見、御質問等があれば、承りたいと思います。
 では、堀委員、菊池委員の順番でお願いいたします。
○堀委員
 検討の進め方のイメージの8ページに「有識者会議等における主な検討事項(案)」とありますので、まだ確定していないことかと思うのですが、例えば、データの収集範囲の議論の中で、収集・蓄積年についても検討されるのでしょうか。先ほど支払い請求のデータであるからという話があったのですが,1年とか2年とかではなくて、より長期的なスパン、例えば、10年、20年、30年のように将来的に、コホートではないですが、生涯データを蓄積できるような形まで踏まえて検討されるのかどうかを伺いたいと思います。
 なぜかといいますと、先ほど2040年を踏まえた社会保障制度という話がありましたが、2040年に75歳になる方は現在53歳の方なわけです。したがって、健康寿命増進のあり方で見ると、今の75歳を考えたデータだけでは情報が不足すると思います。現在50代や40代、中高年の方たち、あるいはもっと言いますと、健康というのは生涯を通じた生活習慣影響を受けます。そのように考えると、横軸でのデータの連結だけでなく、長期的な時系列の部分も考えているのか、それとも年度ごとのようなものを考えているのかというのでは随分異なると思います。是非検討していただきたいですが、将来この検討課題には入っているのでしょうか。質問させていただきます。
○遠藤部会長
 連携課長、お願いします。
○黒田課長
 御質問ありがとうございます。この会議は連結ということが一つのキーワードなのですが、資料の2ページや3ページにありますのが今のデータベースのつくり方です。今のNDB、ナショナルデータベースは年限をつけておりません。例えばレセプトデータであれば、21年からのデータがずっと蓄積されるということになります。介護データベースも今は同じような考え方でできております。ですので、ある一定期間以降で徐々に蓄積されてまいりますし、その話が続いていくということがそれぞれのデータベースで今の骨格になっている。そういったつくりをベースにした上で、NDBと介護DBについて言えば、匿名の状態で連結してというようなことで連携を強化することによって、さまざまな示唆が得られないかということを検討していきたいということでございますので、おっしゃる課題認識と合わせた形になっていると理解しています。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 では、菊池委員、お願いいたします。
○菊池委員
 NDBや介護データベースを国民の健康管理や医療費適正化計画、介護保険事業支援計画等に活用することは重要なことと考えます。さらに、7ページにありますようにNDBと介護データベースの情報を連結して解析することが可能になると、介護予防、健康寿命の延伸のための対策や、データに基づいて地域における効果的・効率的医療・介護提供体制などを構築するのに役立つと考えますので、検討を進めていただきたいと思います。
 看護のデータベースに関連しましては、医療保険分の訪問看護のレセプト電子化がまだ行われておらず、訪問看護ステーションの請求事務の効率化や訪問看護データの活用の観点から早急にレセプト電子化を進めていただきたいと考えています。既に厚生労働省では訪問看護のレセプト電子化に向けて昨年度より検討会を開き、作業を進めていただいていると聞いております。
 そこで、1点、事務局に確認と質問をいたしたいと思います。これから電子化される医療保険分の訪問看護のレセプトデータも、当然、NDBに格納されて活用するべきと考えています。居宅等で療養する患者さんの重症化予防や、在宅医療を推進する上で訪問看護の分析は重要です。さらに、NDBと介護データベースを連結して活用しようという構想がある中で、医療と介護をつなぐ役割を担っている訪問看護のデータを活用することも重要と考えています。
 確認と質問ですが、今後、電子化される訪問看護レセプトについて、事務局では、NDBに格納することを前提にお考えいただいているということでよろしいでしょうか。確認させていただければと思います。そして、NDBへの格納はいつごろを予定されているのか、時期の見込みについても教えていただければと思います。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 では、事務局、お願いします。
○黒田課長
 御質問ありがとうございます。お話しいただきましたように、訪問看護のレセプトの電子化というのは非常に重要な課題だと思っておりまして、関係の先生方にも実現に向けた御検討に御参画いただいているということで、これまでも御助力いただきまして、大変ありがたく存じております。
 この実施につきましては、技術的な課題を解決しながらということになってまいりますので、できるだけ早期にと考えております。また、NDBにということにつきましては、電子化をされますとデータベースの中に取り込むことが非常に容易になってまいりますので、実施時期と合わせまして、このデータベースへの搭載ということも含めて、時期も含めて結論を得ていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長
 菊池委員、よろしいですか。
○菊池委員
 ぜひ格納する方向で早急に進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長
 遠藤委員、どうぞ。
○遠藤委員
 先ほどの連結するというお話でちょっと確認したいのですけれども、単年度で利用者ごとに介護と医療を連結するという話は従来からありましたし、それは可能だと思うのですけれども、今、年度を重ねて連結するというお話があったように聞こえたのですが、年度を追って縦に利用者ごとに連結できるということですか。
○遠藤部会長
 連携課長、どうぞ。
○黒田課長
 ありがとうございます。現在のNDBの中でも、匿名のデータベースなので名前はもちろんわかりませんが、一人だという同一性を確認した上で、時間を縦につなげていくということは技術的には可能です。それは介護データベースの中でも同様なことが可能だということです。そういう両者の構造を前提にした上で連結がテーマになってくるということでございまして、その上で具体的な姿なり、それを実現していく上での技術的な課題等々につきましては、両方のデータベースに詳しい専門の先生方のお話もいただきながら、あわせて医療保険部会でも、恐らく介護保険部会でもごらんいただきながらの議論をやっていくと考えております。
○遠藤部会長
 遠藤委員、よろしいですか。
○遠藤委員
 はい。
○遠藤部会長
 ほかにいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、本議題につきましては、これまでにさせていただきたいと思います。ただいま説明がありましたように、有識者会議の検討状況につきましては、本部会にも適宜御報告をいただき、皆様に御審議をいただきたいと考えておりますので、事務局はよろしくお願いいたします。
 それでは、最後の「その他」でございますが、事務局から報告事項として「医療法及び医師法の一部を改正する法律案について」の資料が出されておりますので、事務局からこの内容について説明をお願いします。医療課長、どうぞ。
○迫井課長
 医療課長でございます。
 お手元の資料3、御報告をさせていただきます。「医療法及び医師法の一部を改正する法律案について」でございます。
 おめくりいただきまして、1ページ目に概略がございます。現行の医療法では、民間医療機関が新設あるいは増床等の許可申請を行う場合につきまして、当該申請に係る二次医療圏の既存病床数が基準病床数を既に達しているなどのときにおきまして、都道府県知事が申請の中止または申請病床数の削減を勧告することができるという規定になってございます。
 その上で、健康保険法において、勧告に従わない医療機関に対して、勧告を受けた病床についての保険医療機関の指定をしないことができるという規定がございます。
 当該規定に関連して、現在、通常国会に提出されております医療法及び医師法の改正法案におきまして、地域医療構想の達成を図るために、当該申請に係る構想区域の既存病床数、これが将来の病床数の必要量に既に達している等の場合につきまして、必要な手続を経た上で都道府県知事が申請の中止または申請病床数の削減を勧告することができる旨の改正、これは1ページ目の図に記載されておりますとおりですが、におきまして追加する権限という形で整理されておりまして、それに対応する健康保険法におきましても、基準病床数の場合と同様に勧告に従わない場合に、勧告を受けた病床について同様の指定を行わないということができることとするものでございます。
 施行期日につきましては、公布日を予定しております。
 御報告の内容は以上でございます。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 いかがでございましょうか。御質問等はございますか。よろしゅうございますか。ありがとうございました。
 それでは、ただいまの議題についてもこれまでにしたいと思います。
 若干、予定していた時間よりも早いので、もし、全体を通して何か一言おありになる方がいらっしゃれば承りたいと思いますが、いかがでございましょうか。
 松原委員、どうぞ。
○松原委員
 最近、地域ごとの診療報酬を決めるということが話題になっていますが、やはり国民の目から見て、国民全体で支えている仕組みでございますので、これにつきましては地域ごとではなくて国民全体での対応にすべきだと思います。意見でございます。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、本日の議論はこれまでにさせていただきたいと思います。
 次回の開催につきましては、追って事務局から連絡があると思います。
 本日は、御多忙の折、お集まりいただきまして本当にありがとうございました。


(了)

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