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2022年11月17日 第141回先進医療技術審査部会 議事録

 
 


(1)日時:令和4年11月17日(木)16:00~

(2)場所:TKP新橋カンファレンスセンター「ホール13C」(オンライン)

(3)出席者
竹内座長、北川座長代理、天野構成員、一家構成員、伊藤構成員、上村(尚)構成員、上村(夕)構成員、掛江構成員、後藤構成員、坂井構成員、真田構成員、戸高構成員、飛田構成員、平川構成員、平田構成員、松山構成員、山本構成員、渡辺構成員、北脇技術専門委員

(事務局)
医政局研究開発政策課長
医政局研究開発政策課 治験推進室長
医政局研究開発政策課 課長補佐
医政局研究開発政策課 先進医療係長
保険局医療課 先進・再生医療開発戦略専門官
医薬・生活衛生局医薬品審査管理課 審査調整官


【議題】

1.総括報告書の評価について
2.新規申請技術の評価結果について
3.既評価技術の試験実施計画の変更について
4.その他

【議事録】
○竹内座長
 定刻となりましたので、第141回先進医療技術審査部会を始めたいと思います。御多用の折、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日はオンラインでの開催となります。本日の構成員の出欠状況ですが、ただいまのところ御欠席の連絡を頂いている構成員はいらっしゃいません。また、本日は技術専門委員として、北脇城委員に御出席いただいております。どうもありがとうございます。本日、18名の構成員のところ、現在16名の構成員にお集まりいただいておりますことから、本会義が成立していることを申し添えたいと思います。
 それでは、配付資料と本日の審査案件の確認を事務局からお願いいたします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 事務局でございます。よろしくお願いいたします。傍聴者の方の撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。配布資料について確認します。議事次第、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。続きまして、総括報告書の評価について資料1-1~資料1-3、新規申請技術の評価結果について資料2-1~資料2-5、試験実施計画の変更について資料3~資料10となっています。会議資料の最終ページは86ページです。また、昨日構成員の皆様に送付した差し替え資料の最終ページは6ページとなります。お手元の資料に乱丁、落丁等がございましたら、事務局までお知らせください。
 続きまして、利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業について、事務局から事前に確認させていただいております。今回、告示番号旧1の技術、静岡県立静岡がんセンターからの総括報告に関して、竹内座長から御報告があり、50万以上500万円未満でしたので、議事の取りまとめのみ加わることができません。また、当該技術について、上村夕香理構成員からも御報告がありましたが、50万円以下でしたので、当該技術の議事取りまとめ及び事前評価に加わることができます。事前の届出以外、もし何らかの利益相反がございましたら、この場で御報告をお願いします。それでは、該当なしということで承知いたしました。
 また、今回は資料を事前にメールでお送りしております。会議資料と区別して、構成員・事務局限りの届出書類等を「タブレット資料」と御案内します。なお、会議資料とタブレット資料の内容は異なっておりますので、発言者は会議資料の何ページ、または差し替え資料の何ページ、もしくはタブレット資料の何ページと、あらかじめ御発言いただきますと議事の進行上助かります。本日はオンラインでの開催となり、構成員の先生方には大変御不便をおかけいたします。御発言いただく際には、はじめにお名前をおっしゃっていただくようにお願いいたします。その他、途中で接続トラブル等がございましたら、お知らせいただきますようお願いいたします。また、Web会議ソフトには手挙げ機能が付いておりますので、こちらも適宜御活用いただければと存じます。以上です。
 
○竹内座長
 議事に入りたいと思います。資料1-1にある先進医療Bの総括報告書の評価結果について、事務局から御説明をお願いいたします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料1-1、15ページを御覧ください。先進医療Bの総括報告書に関する御評価を頂きますのは、告示番号旧1「ペメトレキセド静脈内投与及びシスプラチン静脈内投与の併用療法」です。申請医療機関は、静岡県立静岡がんセンターです。審査担当構成員は、主担当が平田構成員、副担当が飛田構成員となっております。
 ペメトレキセド(PEM)は、非扁平上皮非小細胞肺癌に対し、有用な薬剤であることが報告されている。しかし、非小細胞肺癌の術後補助化学療法として多くのエビデンスのあるビノレルビン+シスプラチン(VNR+CDDP)併用療法と、PEM+CDDP併用療法を比較した臨床試験は報告されていない。また、我が国においてPEMは、切除不能な進行・再発非小細胞肺癌で承認されているものの、術後補助療法としての投与は適応外使用となる。本研究は、完全切除された非扁平上皮非小細胞肺癌に対する、PEM+CDDP併用療法の有用性を、標準治療であるVNR+CDDP併用療法とランダム化比較第Ⅲ相試験において検証する。主要評価項目は無病生存期間。副次評価項目は、安全性評価基準として治療完遂割合、有害事象発生割合、有効性評価基準として全生存期間、目標症例数が800例に対して、登録症例数は804例でした。
なお、本議題の審議に際し、竹内座長におかれましては利益相反の関係がございますので、進行を北川座長代理にお願いいたします。以上です。
 
○北川座長代理
 本技術の評価について、主担当の平田構成員から御説明をお願いしたいと思います。
 
○平田構成員
 私が御説明させていただくのは、肺がんの術後療法に関する医療技術になります。この試験は2012年1月に先進医療として承認されており、術後療法ですので、有効性の評価を行うのに長期の時間がかかる試験です。対象は扁平上皮がんを除く非小細胞肺癌で、根治切除を行った後に、どのような薬物療法を投与するかという試験になります。
 非小細胞肺癌に対して手術を行い、完全切除ができた場合でも、その一部の方には再発を認めるのが一般的です。これらの残存する微小ながんが体内に残っているというわけで、一定の再発率が予想される場合に、この微小な残存しているがん細胞を抗がん剤治療によって駆逐することを目指した試験です。
 一般的な話として、進行・再発非小細胞肺癌の1治療として、ゲムシタビン+シスプラチンというのが標準治療の1つとしてございますが、本試験の試験治療であるペメトレキセド+シスプラチンが標準治療と比較して非劣性を検証し、更にはサブグループ解析の結果、扁平上皮がんを除く非小細胞肺癌において、ゲムシタビン+シスプラチンと比較しても、有意差をもって生存することが示されたのと、また、副作用が少ない傾向にあるということもあるため、本研究においては、扁平上皮がんを除く非小細胞肺癌が対象として設定された経緯があります。
 主要評価項目は、先ほど事務局からありましたように、無病生存期間であり、すなわち再発と診断されるまでの期間で、これは世界標準として用いられる評価項目です。副次評価項目としては、全生存期間を中心としていくつか挙げられていることでございます。
 令和2年に、第100回先進医療技術審査部会において、2018年8月の時点でのデータカットオフとして最終解析が行われた結果で、総括報告書の御評価を前回に頂いておりますが、今回は最終症例登録から5年間の観察期間を経たデータが得られておりますので、この度は前回の評価からの新規の情報を中心に、評価させていただきました。
 前回からの総括報告書から、本試験の施設監査において、ビノレルビン+シスプラチン群において、割り付けられた患者1名に重複がんが判明し、前回報告から1例の不適格症例が判明したため、783名が適格症例となっています。
 私の評価の部分については、会議資料の17ページ(資料1-1)を御覧ください。まず有効性についてですが、前回の第100回先進医療技術審査部会において、最終解析として、標準治療であるビノレルビン+シスプラチンに対して、試験治療であるペメトレキセド+シスプラチンの優越性の検証を試みるも検証できなかったということは、既に評価済みです。
 今回、先ほど申し上げた最終症例登録から5年間の観察期間を経たデータが得られましたが、結果としては無病生存期間並びに全生存期間のいずれにおいても、有意な改善が得られませんでした。
 有効性については、今回の試験デザインとしては、科学的に標準治療に対して試験治療が非劣性である結論を導くことはできませんので、有効性に関してはEと判断することも検討いたしましたが、カプランマイヤー曲線などの種々の有効性のデータを評価した結果、同じ程度の有効性があると判断するのが妥当と考えて、有効性に関してはCといたしました。
 続きまして、安全性に関する評価になります。前回の総括報告書から新たな情報の更新はありません。ペメトレキセド+シスプラチン群で、白血球、好中球減少などの骨髄抑制が少ない傾向にありますけれども、因果関係が否定できない死亡については、両群において1例ずつ認められております。また、それ以外の他の重篤な有害事象に関しては、両群で一定数の割合を認めているため、殺細胞性の抗癌剤を用いた薬物療法としては想定範囲内であることから、Bと評価しています。
 技術的な成熟度に関しては、ペメトレキセド+シスプラチンは既に進行・再発非小細胞肺癌に対して、本邦において広く日常臨床で使用されており、また、本試験の結果からも特段の大きな問題を認めないことから、Aと評価しています。
 続いての評価結果に関しては、飛田先生の御説明の後に説明させていただきたいと思います。以上になります。
 
○北川座長代理
 続きまして、副担当の飛田構成員から御評価の説明を頂きたいと思います。飛田構成員、よろしくお願いします。
 
○飛田構成員
 私の評価に関しては、先ほどの平田先生のコメント、18ページ(資料1-1)の下方から記載させていただいております。試験の内容に関しては、先ほど平田先生から詳細に御説明がありましたので、割愛させていただきます。
 本試験は過去に実施された進行の非小細胞肺癌に対するRCTの結果から、初回治療の標準療法とされたPEM+CDDP併用療法が、術後補助化学療法においても有効性が期待されると研究者の先生方が考えられて、術後の標準治療であるVNR+CDDP併用療法に対する優越性試験として実施された試験です。
 今回は、全例で副次評価項目の1つである全生存期間の観察期間が終了した成績が提出されています。先ほど説明がありました第100回の先進医療技術審査部会で主要評価項目の無病生存期間に関して既に報告され、評価されており、優越性は証明されなかったという結論が得られています。今般、全生存期間の観察期間が終了した成績に関しても、無病生存期間の結果と同様に、優越性は検証されていないという結論が得られています。
 なぜもともと非劣性試験で実施しなかったのかという点については、第100回の審査のときにも議論はされていたのですが、当時、計画時点での実施可能性等の問題で、優越性試験で実施されたという回答が得られています。今回、優越性は示されていないため、本来は両群の有効性が同等とあると結論することはできませんが、得られたカプランマイヤー曲線やハザード比等の推定量の成績から、ここでの有効性の評価としては、Eと評価するよりも従来の医療技術を用いるのと同程度であると判断させていただいています。
 本試験の結果から、この併用療法の直接的な薬事承認や保険収載に結び付けるのは難しいと想定されますが、既に肺がん診療ガイドラインの2021年度版では、他の複数の比較試験の成績から、術後病理病期Ⅱ-ⅢA期の完全切除例に対してCDDP併用化学療法がA1のエビデンスレベルで推奨されていることなどから、今後、研究者らは国内外の学会等で保険収載等を目指す検討をすると回答されています。
 安全性については、前回の総括報告書の評価時点から新たな情報の更新がないため、余り問題はなしというBと判断させていただいております。
 技術的成熟度に関しても、前回の報告書から特段に大きな問題はないというように考えられますので、Aという評価にさせていただいております。以上です。
 
○北川座長代理
 ありがとうございました。ここで平田構成員から追加のコメント等はございますか。
 
○平田構成員
 続いて、総合コメントに移らせていただきたいと思います。18ページ(資料1-1)の真ん中の辺りを御覧ください。本試験の結果、完全切除された非扁平上皮非小細胞肺癌患者を対象に、術後化学療法としての無病生存期間において、ビノレルビン+シスプラチンに対するペメトレキセド+シスプラチンの優越性は示されなかった。全生存期間の観察期間が終了しましたので、その全生存期間にも評価しましたが、これらにおいても同様に優越性が検証されなかったという結果でありました。
 一方、ペメトレキセド+シスプラチン群ではグレード3以上の骨髄抑制に関連する有害事象の頻度は低いという結果が得られております。
 薬事承認申請の効率化に資するかどうかについてですが、先ほど来申し上げているように、本試験では試験治療が優越性の検証ができませんでしたし、一方で、もともと非劣性を証明する試験デザインでもありませんでしたので、今回のこのような結果を、どのように保険収載につなげていくか検討が必要であろうというように考えます。私からは以上になります。
 
(上村尚人構成員、掛江構成員 入室)
 
○北川座長代理
 平田構成員、飛田構成員から御説明いただきました。まず、この御説明について、皆様から何か御質問等はございますか。よろしいでしょうか。
 
○北川座長代理
 平田構成員、飛田構成員の御評価はほぼ共通した御指摘だったと思いますので、皆様、よく納得されたのだというように理解しております。よろしいでしょうか。
 
○北川座長代理
 特に御意見、御質問等はないようですので、告示番号旧1については、ただいま御審議いただいた結果を取りまとめまして、先進医療会議に報告したいと思います。以降の審議については、竹内座長に進行をお戻しいたします。よろしくお願いいたします。
 
○竹内座長
 続きまして、新規申請技術の評価結果について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 事務局です。御説明いたします。資料2-1の27ページを御覧ください。先進医療Bとして新規に御評価いただく技術は、整理番号132、「前核期人為的透明帯除去法」です。申請医療機関は医療法人社団ミオ・ファティリティ・クリニックです。審査担当構成員は、主担当が真田構成員、副担当が後藤構成員と山本構成員、技術専門委員が北脇委員となっております。なお、資料2-1、資料2-2については、昨日お送りさせていただいた差し替え資料がございますので、御評価いただく際には、こちらを御使用いただければと存じます。
 資料2-5の53ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について、事務局より御説明いたします。こちらは、様式第9号として、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件として考えられるものとしてお示ししております。
 Ⅰ.実施責任医師の要件です。診療科は産婦人科、産科、婦人科または女性診療科が必要、資格は日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医かつ生殖医学会認定生殖医療専門医が必要、当該診療科の経験年数は5年以上が必要、当該技術の経験年数は0.5年以上が必要、当該技術の経験症例数は術者として10例以上となっています。
 Ⅱ.医療機関の要件です。診療科は産婦人科、産科、婦人科または女性診療科が必要、実施診療科の医師数は日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医が1人以上必要、他診療科の医師数は不要、その他医療従事者の配置は日本卵子学会認定胚培養士1名以上となっています。病床数は不要、看護配置は不要、当直体制は不要、緊急手術の実施体制は不要、院内検査の24時間実施体制は不要、他の医療機関との連携体制は対応可能な大学病院等が必要、医療機器の保守管理体制は必要、倫理委員会による審査体制は審査開催の条件として、研究計画書の内容変更、研究期間の延長、有害事発症の際は、当該倫理委員会に対して、速やかな開催請求が実施可能、医療安全管理委員会の設置は必要、医療機関としての当該技術の実施症例数は10症例以上必要となっています。
 Ⅲ.その他の要件として、頻回の実績報告は不要。以上です。
 
○竹内座長
 ただいまの要件について、何か御意見等はございますか。
 
○真田構成員
 本件の主担当の真田です。後ほど担当した部分を御説明する際にも出てまいりますが、この要件のうち、他の医療機関との連携体制について、「必要」と書かれていて、「対応可能な大学病院等」と記載されています。一方で、これは本技術の特異性というところもある程度関係しているかもしれませんが、今回御提出いただいた書類の中で、この医療機関との連携体制が具体的に記載された所がなかったというところで、対応可能な病院が「大学病院等」とされている理由も含めて、この技術は緊急体制については、恐らく連携を取る医療機関にほぼ全面的に依存するような状況になると想定されますので、より具体的な連携内容が想定されるべきと考えますが、その記載がなかった点は対応を求めたいと考えています。以上です。
 
○竹内座長
 真田構成員から、大変重要なポイントを指摘いただきました。特に、他の医療機関との連携体制で「対応可能な大学病院等」とは記載されているのですが、実際の実施計画書の中には具体的なことが書かれていないということですので、この点は改めて再検討をお願いするというようにさせていただきたいと思います。
 それ以外に御指摘はありますか。様式第9号は、そういうことで再検討していただきたいということです。もし追加の御発言等がなければ、そのことを明記していただいて、再検討をお願いしたいと思います。御意見がなければ、次に技術の概要と実施体制の評価について、主担当の真田構成員から御説明をお願いいたします。
 
○真田構成員
 御説明いたします。差し替え資料の3ページ(資料2-2)から、医療技術の概要が記載されておりますので、御一読いただければと思います。こちらは体外受精における体外培養についての技術と理解しています。まず、後の論点で重要になってくるところとして、主要評価項目が、症例当たりの胚盤胞到達率というところが重要な論点です。副次評価項目として、生児獲得率や臨床妊娠率、流産率等の臨床的な指標が出てまいりますが、この主要評価項目である症例当たりの胚盤胞到達率というのは、移植する前に、受精卵に対して体外操作を行っている過程で完結するものです。これが1つのポイントになります。
 その技術の概要ですが、資料の49ページ(資料2-4)と50ページ(資料2-4)の所に記載されています。図が示されていますが、ここに「概要」と書いていただいています。これまでの生殖補助医療では、初期分割のときに、これはかなり早期の段階ですけれども、多くのフラグメントを呈する難治性患者、このフラグメントと申しますのは、上の図と下の図が示されていますが、下の図に比べて上の図では、卵の分割のされ方が非常に不均等、かつ不必要に多くの分画を得ている。この不必要に多くの分画がフラグメントというそうなのですが、それを呈する難治性患者において有益な培養方法はなかったけれども、透明帯という分画を卵から除去することで、そのフラグメント量が減少して、形態的には正常な発育が得られるということで、これが胚盤胞への到達率を上昇させて、ひいては着床率の上昇等が期待されるというように説明をされています。
 この先進医療技術に係る具体的なマニピュレーションは50ページの写真です。これは顕微鏡下で受精卵をマニピュレーションしているところです。この図を見てもよくわからないということかもしれませんので、何をしているかと言いますと、具体的なところはタブレット資料の226ページにあるのですが、それを御覧いただきながら、この写真を見ていただいて御理解いただければと思います。
 まず、この卵の周りに透明帯という薄い膜がございます。この透明帯の膜をレーザーで割を入れるわけです。そして、レーザーで割を入れた後に、左側のピペットは卵を把持するためにやや吸引をかけているピペットで、固定しているピペットです。右側のピペットから液を吹きかけて透明帯を飛ばすわけです。飛ばして剥くと、一番最後の図にあるように、透明帯だけがツルッと剥けて、中の卵子の核が出てくるというもので、右に吐き出されたものを培養するという技術と理解できると思います。
 そして、その説明資料については、タブレットのほうに申請者からの説明補助資料が付いています。タブレットの219ページから始まるスライドの所なのですが、まず、生殖補助医療とはとありまして、成熟卵子の写真、透明帯の写真、その役割、その発達、胚盤胞というものの説明がされていて、胚盤胞に至るもの、至らないものという写真が説明資料に記載されています。この胚盤胞というのは、生殖医療においては凍結保存して、その凍結保存した中から、同じ被験者、治療を受ける方に、何回か繰り返しトライアルできますので、1トライアルが1サイクルという呼び方で、この試験計画書には書いてあると思いますけれども、何サイクルかを繰り返して、その成功率を見ていくというような流れかと理解をいたしました。
 そのような技術について評価をさせていただきましたが、残念ですが、今の状況では「不適」という判断をさせていただきました。その評価について、まず私からの評価を読み上げさせていただきます。
 差し替え資料の4ページ(資料2-2)です。まず、実施責任医師の体制としては、「適」でよろしいかと思います。次に、本技術として主要評価項目に係る評価の及ぶ設定ですが、先ほど申し上げましたように、前核期の人為的透明帯除去から胚盤胞、つまり、冷凍保存する対象の卵にとどまるという設定について、少なくとも医療の最終的な成果を評価の基本的視点とするべきであろう先進医療に係る評価としては、不適切と考えたということです。日本産婦人科学会認定産婦人科専門医を取られていれば、出産までに至る最終的な評価については、恐らく適格であろうというように考えましたので、この範囲において、私は「適」と判断いたしました。一方で、先ほど申し上げましたように、実施医療機関の体制としては、緊急時の対応等を他の医療機関との連携体制に依存したものであるために、具体的な連携体制がどのようなものであるかは重要なのですが、実際には記載がなかったので、これは「不適」とさせていただきました。
 医療技術の有用性等に関しては、現在、本技術について説明されているのが、世界的に見ても胚盤胞到達以降の成績に関しては、このクリニックが単施設で実施されているものがあり、これもまだ論文にはなっていませんで、観察研究の段階であるというように記載されていましたけれども、その現状での成績がクリニックのホームページに記載されている状況でした。それはこちらが照会事項をかけたときにも御報告は頂いていますが、そのような成績のみでして、海外のガイドライン等にも記載されておりません。しかも、申請書類では、全般を通して「数例の健児を得た」ということが書いてありますが、評価が確立されているとの趣旨にこれが終始していたため、この技術そのものの可能性は否定はしませんが、現在の評価の体制としては時期尚早と言わざるを得ないと判断いたしました。
 このような技術に対しても、例えば迅速評価を可能とする医療機関等が支援に入ることによって、より円滑に実施できる可能性もありますけれども、このような選択もされる御予定がないということでしたので、「不適」にさせていただいたということになります。
 具体的なやり取りについては、資料の33ページ(資料2-3)から47ページ(資料2-3)に至る8つの照会が立てられております。こちらは副担当の後藤先生、山本先生、専門委員の北脇先生には、直前に至るまで頻回で、かつボリュームのかなりある照会をしていただいたところで、感謝申し上げます。
 私からの照会事項は、回答2になります。まずこれについて、検討がまだ不十分ではないかという趣旨の照会です。それから、ホームページにある成績の開示と関連して、現状をお伺いしたということです。それから、先進医療の評価としては、最終的には医療上の恩恵を評価するべきと考えるので、主要評価項目としては健児、出生の正常な獲得について着目すべきではないかという指摘をしました。あとは、恐らく後に後藤先生からも御指摘があるかと思いますけれども、同意説明文書の全般的な内容について、御指摘をしたところです。
更問として、38ページ(資料2-3)の回答4でも私が御質問しております。現在の成績というのが、採卵630周期のうち、分娩36症例と妊娠継続11例が現時点での成功例だというデータも、この中では開示されておりますが、卵に対するマニピュレーション以外は、全く従来の保険医療の技術治療と同じであるということでしたので、そこが主要評価の対象には入っていないという御主張でした。
 ほかの先生方からの評価の御説明も、この後にあるかと思いますけれども、これらのようなことを踏まえて、最終的な評価については後ほど私から御説明することとして、一旦お返しいたします。
 
○竹内座長
 ありがとうございます。真田構成員におかれましては、大変わかりやすく御説明いただき、また、この中で多くのやり取り、照会事項を質問していただき、それに対する回答を頂いています。プライマリーエンドポイントから評価項目の設定、あるいはこれまでのエビデンス等、いろいろなところで疑義があるということが残ったままというように拝聴いたしました。どうもありがとうございました。
 技術の概要と実施体制の評価につきまして真田委員から御説明いただきましたので、続いて北脇技術専門委員より、実施体制の評価について御評価をお願いいたします。
 
○北脇技術専門委員
 今、真田先生から御説明いただきましたので、特に追加するようなことはありませんが、私からは、体制ということだけではなく、やはり全般的に評価委員から同様の疑義あるいはコメントが出されているにもかかわらず、それに対して満足できる答えがなかなか得られておらず、大体平行線をたどっていたということで、もう少し時間をかけて修正を加えていくべきではないかと考えております。
 まず技術のことからいいますと、先ほど図を見せていただき非常にわかりやすく御説明いただきましたが、いわゆる前核期の細胞の周囲にある透明帯というものを除去することによって、より確実な胚盤胞が得られるということを言っており、そのことに対する論文はできているのですが、それが妊娠成績に反映されているという論文は今のところないということです。ですので、その辺りがまだ十分なエビデンスが得られていない段階で、未成熟である。今のが有効性に関することです。
 もう1つは、この技術はレーザーを当てていわゆる皮を剥くということですが、アシステッドハッチングといって、レーザーで穴を開けるというのがこの4月に保険収載されましたので、それ自体の安全性はもう確保されておりますので大丈夫なのですが、これに皮を剥くという操作がもう1つ段階加わっておりますので、そういったことの普遍性というか、誰でもできるという部分が安全確実にできるのか、あるいは胚に傷をつけたりすることがないのかといったことに関して、どれぐらいの安全性があるのかといったようなことも、ほとんどコメントがなされていないということです。
 今後の基礎的な研究の部分で、数字で出していただければ解決することですので、少し時間をかけてやっていただければ次のバージョンでうまく出していけるのではないかと考えております。そういった意味で、自分の所のホームページに出しているスタディだけではなくて、やはり多施設でこのような研究を作っていただければと考えております。そういうチームもありますので、その中に生殖医療の専門家や生物統計の先生を加えて立案していただければと考えております。したがって、一応現在の体制としては「不適」とさせていただきました。以上です。
 
○竹内座長
 ありがとうございました。専門的な立場から、北脇委員に今御説明いただきましたように、北脇委員の御判断では、実施責任医師等の体制も「不適」、そして実施医療機関の体制「不適」、医療技術の有用性等「不適」ということで、現段階では、先進医療として認めるにはいくつかの要因が不足しているという御指摘でした。
 続いて、副担当の後藤構成員より、倫理的観点からの評価をお願いいたします。
 
○後藤構成員
 今まで真田構成員や北脇技術専門委員のお話もありましたが、私は説明同意文書が倫理的な観点から適切かという視点で判断をさせていただきました。結論としてはここにあるように、やはり「不適」と判断せざるを得ないと思っております。私が指摘させていただいたやり取りについては、いちいち確認はいたしませんが、最初に真田構成員がおっしゃったように、非常にわかりにくい説明文書でした。いろいろな努力をされて、例えばいろいろな用語についての解説を加えるということはされてきたと。あと、私が一番問題だと思ったのが、研究なのか通常の医療なのかが基本的によくわからないところがあり、何に対して同意をすればいいのかがちょっとわかりにくいということが最後まで残っているということです。
 最初に御指摘があったように、主要評価項目と副次評価項目との関係がきちんと、主要評価項目が症例あたりの胚盤胞到達率で、副次項目はこれらのものがあり、これらの項目を評価するには一定の時間が当然かかって、その時間の間全てこの研究として行われるということが、何回かやり取りはしたのですが、きちんと明確にはなっていないと。何についての同意をすればいいのかが、やはり不明確であったというのが1点あります。
 もう1点は、安全性についてです。安全な技術なので効果をみますということをずっとおっしゃっていると。しかし安全な技術かどうかというのは、それまで経験があって熟練しているから安全である、健児が生まれているということに終始していて、科学的な安全性についてきちんと説明をした箇所が説明同意文書にもなかったということが、私にはとても不満なところです。そうであれば、この技術を使った研究に同意をしていいのかどうかという判断ができるほど十分な説明同意文書ではないという意味で、「不適」とさせていただきました。
 それから補償については、不利益がないので補償しないとなっているのですが、本当にこういう不利益がありません、終わりという形でしか書かれていないことが、これでいいのかということについても疑問がありますので、補償内容についても「不適」とさせていただき、この4と5については結果的に「不適」という判断をさせていただきました。
以上です。
 
○竹内座長
 ありがとうございます。大変貴重なコメント、そのやり取りについては、回答6も含めて照会事項を様々出していただきましたが、科学的な説明に乏しいというのは、正に御指摘のとおりかなと思いました。
 続いて副担当の山本構成員より、試験実施計画書等の評価について御説明をお願いいたします。
 
○山本構成員
 私も、真田先生、北脇先生、後藤先生がおっしゃった印象と同じ部分で、私自身、生物統計担当というのもあったので、いろいろとこの分野のことを調べながらでしたので、なかなかまだ理解し切れないところもあったので、やり取りをしながら、わからない所の照会をかけたりしました。有効性の評価もそうですし、安全性の評価にしても、基本的に科学的な根拠に基づいての言及がやり取りの中でみられなかったというところが一番大きな問題で、そこに係る所を、私としては「不適」とさせていただいております。
 主に照会事項の5番と、その後の回答のやり取りで、更に聞いているのが7番ですが、例えば割り付けに関しても症例番号が奇数の番号をこのようにやりますということで、ランダム化試験とは書かれているのですが、おおよそランダム化として認めるのはどうなのだろうというところもあり、北脇先生の評価にもありましたとおり、生物統計の方が協力体制の中に入っていないということがプロトコールからも見られましたので、その辺りも含めて、また主解析の取扱いに関しても、真田先生からもあった主要評価項目の妥当性もですが、全般的にこれで本当にいいのかというところを、ぎりぎりまでやり取りをさせていただいたのですが、十分な回答を得ることができず、少なくとも私は科学的にこれが妥当だと結論がつけられませんでしたので、その点に関して「不適」とさせていただきました。以上です。
 
○竹内座長
 山本構成員からもクリアな御説明を頂きました。生物統計学的な観点からも、どうも科学的な御説明が十分ではなかったということでした。ありがとうございました。それでは今のような御意見を基に、1~16の総評について、改めて主担当の真田構成員より御説明をお願いいたします。
 
○真田構成員
 総評については、差し替え資料の6ページ(資料2-2)にあります。今までの評価を御担当いただいた先生方のコメントにもありましたように、審査の観点としては、ほぼ一致した見解で臨んだと考えられます。こちらを読み上げさせていただきます。
今回申請された技術自体が医療上将来的に有用性が確立し、あるいは保険診療として普及するという可能性やその期待については、決して我々は否定するものではないということは申し上げておきますが、今回申請された本技術に対して申し上げますと、事前評価を担当した構成員の全てから、概ね一致した指摘が得られていたと考えます。それを集約いたしますと、先進医療として、1つ目には、本技術の未成熟性による時期尚早ではないかとの判断、2つ目には、本技術の安全性が既に確立されているとの科学的な説明が欠如していること、3つ目には、医療として評価すべき主要な項目、あるいは事象に対する不適切性、4つ目には、試験計画そのものの非妥当性、5つ目には同意説明に対する全般的な不充分性ということに集約されると判断をいたしました。
これらについて、事前評価の過程でも度重なる照会や議論がなされ、申請医療機関もその回答に努力はなされたとは理解はしますが、論点としては残念ながら申請医療機関との間では平行線に収斂したと判断せざるを得ない状況です。今回の評価では、解決に相応の時間を要する課題がありますし、全面的な要修正事項がありますので、いったん「不適」の判断とさせていただきました。今後仮に再申請される場合は、試験計画の段階から生殖医療及び生物統計の専門家との協力体制のもとに多施設でさらに十分なエビデンスレベルの研究を着実に積み重ねていただくとともに、研究計画の内容についても今回の指摘を参考にしていただいて、場合によっては臨床試験計画支援の専門家と協力しつつ、全面的に十分な検討及び改訂を加えて臨まれることを希望いたします。私からは以上です。
 
○竹内座長
 ありがとうございました。皆様の御意見を集約し、今回総合判定としては「不適」と。これは全てこの技術を否定するものではありませんが、いったんよく考えて、いろいろな専門家の御意見を伺いながら再申請をしていただくのが妥当ではないかという判断でした。何か追加のコメント、あるいは相違する御意見等はありますか。渡辺構成員、どうぞ。
 
○渡辺構成員
 日本医師会の渡辺です。これだけ多くの構成員がほとんどの項目で不適と評価されるような案件が、なぜこの場に上がってくるのかということに対して疑問を感じた次第です。つまりCRBを通っているのか、倫理審査委員会を通っているのか、詳細は存じておりませんが、多くの構成員の先生の時間を費やすのですから、それなりの案件が上がってくるべきではないかと思うのです。こういうものは仕方ないと思っておられるのかどうか、事務局のお考えをお聞かせいただきたいと思います。以上です。
 
○竹内座長
 事務局、お願いします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 事務局でございます。本案件に関しては、まず第1段階としてIRBの審査は通っております。ですので、我が国の研究の中で、この先進医療の枠組みの中では、IRBもしくはCRBあるいは再生医療に関する委員会を通過したものに関しては、事務局としては、いわゆる細部の事務的な修正以上はやはり加えることはできない立場です。ですので、外形的に可能であれば基本的にはその申請については上程するという形になっております。以上です。
 
○渡辺構成員
 そのCRBに対して、余り十分な検討がされていないのではないかというような、例えば今回の案件のような場合、助言というのは、事務局はされる立場ではないというふうに考えたらいいですか。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 御指摘ありがとうございます。従前からもそのような案件が度々ありまして、実はこの評価を頂いた後、IRBもしくはCRBあるいは再生医療に関する委員会についても、事務局からフィードバックをさせていただいております。
 
○竹内座長
 大変貴重なコメントをありがとうございました。渡辺構成員からの御質問でした。構成員の先生方におかれましては、大変貴重な時間を費やして御評価を頂いておりますので、できれば本当に申請段階でこういうものをある程度ふるいにかけるというか、取捨選択する必要もあろうかと思います。一方で、IRBないしはCRBあるいは再生医療に関する委員会で承認された研究であると、受けざるを得ないというのが実情で、その内容評価までは踏み込めないということなのだろうと思います。渡辺構成員、よろしいでしょうか。大変貴重なコメントありがとうございました。天野構成員、どうぞ。
 
○天野構成員
 私から2点あります。1点目は、先ほどの渡辺構成員からの質問に関連しますが、この申請は先ほどの事務局からの御説明でIRBを通っているということだったのですが、どちらのIRBを通っているのか、もしわかれば教えていただきたいです。
 2点目は、資料の35ページ(資料2-3)で、事前照会事項に対しての申請医療機関からの回答で、臨床研究についてということで、「当院を含め、生殖補助医療専門施設のみ4施設において、前方視的多施設共同研究を開始しております。」という記載があります。これはどういった試験なのか、また進捗状態はどれぐらいなのか、もしわかれば教えていただければと思います。以上です。
 
○竹内座長
 2点ありました。1点目は、IRBの具体的な内容がわかれば教えていただきたいということ。それから2点目は、照会事項の中で、4施設をまとめた多施設共同試験が今行われているということだけれども、その内容がわかるかという御質問でした。まずIRBのほうはわかりますか。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 御指摘ありがとうございます。タブレット資料に先進医療実施届出書があり、そちらに記載がありますが、JISART倫理委員会(委員会番号11001102)となっており、IRBに関しては同定されている状況です。
 それから、現在、先行研究で実施されている研究に関しては、同じJISARTに関わる倫理委員会で承認された観察研究でされているというコメントを頂いておりますので、それ自体は研究として成立しているというふうに事務局では把握している状況です。以上です。
 
○真田構成員
 すみません、主担当の真田です。2つ目の御質問に関しては、私も同じ問題意識を持ちましたので、38ページ(資料2-3)の回答4の1番で関連する質問を立てております。その結果、当初の御説明は前方視的研究ということでしたが、「観察研究として承認されている研究として、当院単独で検討を行っているのみとなります。多施設共同で前方視的検討は、本先進医療として新たに開始する予定のものです。」という回答を頂いています。これは私の認識違いかもしれませんが、このような研究はまだ立ち上がっていない可能性もあるなと認識をした次第です。
 
○竹内座長
 ありがとうございます。真田構成員から、より明解な回答を頂きました。38ページの回答4の所にも具体的に照会していただいて、多施設共同研究というよりは観察研究として、この施設単独で行っているということになろうかと思いますので、具体的には多施設共同研究はなされていないということなのだろうと思います。大切な点を御指摘いただきありがとうございました。天野構成員、よろしいでしょうか。
 
○天野構成員
 先ほどもありましたが、今回の先進医療に申請いただいている試験と、同じ倫理委員会が審査をしている試験が走っているということなので、今回の指摘事項を含めて、事務局から適切なフィードバックと御指導をお願いできればと考えます。以上です。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 事務局でございます。御指摘ありがとうございます。検討させていただきます。
 
○竹内座長
 ありがとうございました。大変重要な点でした。追加のコメント、御発言等ございますか。よろしいでしょうか。それでは、事務局から今回の結果をきちんとフィードバックしていただきたいということです。ありがとうございました。
北脇技術専門委員におかれましては、以降は御退席いただいて結構です。本日は御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございました。
 
(北脇技術専門委員 退室)
 
○竹内座長
続いて、試験実施計画の変更について、事務局から御説明をお願いいたします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 それでは、御説明します。今回、試験計画等の変更申請が8件、提出されています。資料3、55ページを御覧ください。関西医科大学附属病院からの申請で、告示番号B20「S-1内服投与並びにパクリタキセル静脈内及び腹腔内投与の併用療法」です。適応症は、膵臓がん(遠隔転移しておらず、かつ、腹膜転移を伴うものに限る。)です。
御審議いただく主な変更内容については、56ページ(資料3)を御覧ください。研究計画書の1)9.6.6 予期しない重篤な有害事象について、<変更後>に下記文章を追加しました。「なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への感染については、本試験で用いるプロトコール治療薬が原因として考えられる予期される有害事象ではないものの、当該感染症が2020年1月以降に世界的流行を引き起こした背景より、本試験においては「予期される有害事象」として取り扱うこととする」。2)研究分担医師リストについての変更はお示しのとおりです。
 変更申請を行う理由として、1)本邦における爆発的な感染拡大を受け、研究代表医師と効果安全性評価委員会で協議し、COVID-19感染の現状を鑑みると、未知の有害事象として扱うことは日臨床を反映していないと判断したため。2)人事異動のため。
以上です。
 
○竹内座長
 ありがとうございました。本変更内容について、御意見等はありませんか。よろしいですか。主にCOVID-19の文言を追加していただいたということです。ありがとうございます。それでは、告示番号20番の変更について、お認めしたいと思います。ありがとうございました。 次の試験実施計画の変更について、御説明をお願いいたします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明します。資料4、57ページを御覧ください。東京都立小児総合医療センターからの申請で、告示番号B35「ボツリヌス毒素の膀胱内局所注入療法」です。適応症は、神経因性排尿筋過活動による膀胱機能障害(5歳以上18歳未満の患者に係るものに限る。)です。
御審議いただく主な変更内容について、58ページを御覧ください。1.実施予定期間の延長として、登録期間と予定試験期間ともに2年間の延長。2.組織名称の変更として、お示しのとおりです。
変更申請する理由としては、1.目標症例数を達成するのに研究期間の延長が必要なため。新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、本試験の実施に制限があったため、研究進捗に影響があった。過去1年間に3症例が登録されたことから、1年間の登録期間の延長により、目標症例数(最低9例)を達成できると考える。2.東京都の組織改革により、東京都の運営から地方独立行政法人東京都立病院機構の運営に変更したため。以上です。
 
○竹内座長
 ありがとうございます。本変更内容について、御意見等はありませんか。よろしいでしょうか。新型コロナウイルス感染症によって、リクルートがなかなか難しくなったということと、組織の変更に伴うものということです。御意見は特にないようですので、告示番号B35の変更について、お認めしたいと思います。どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして、次の計画の変更について御説明をお願いいたします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明します。資料5、61ページを御覧ください。国立がん研究センター東病院からの申請で、告示番号B39「周術期デュルバルマブ静脈内投与療法」です。適応症は、肺尖部胸壁浸潤がん(化学放射線療法後のものであって、同側肺門リンパ節・縦隔リンパ節転移、同一肺葉内・同側の異なる肺葉内の肺内転移及び遠隔転移のないものに限る。)です。
御審議いただく主な変更内容について、62ページを御覧ください。①治療変更規準における非血液毒性の規定の追加、②適格規準の記載の整備について、③手術までの許容期間の修正について、④記載の整備と誤記の修正について、⑤研究事務局の所属変更についてです。
 変更申請する理由として、①治療変更規準における非血液毒性の規定の追加。6.3章「治療変更規準」において、化学放射線療法と術前・術後・追加デュルバルマブ療法について非血液毒性に関する治療変更規準の規定が現行のプロトコールにはありませんでしたが、本試験の類似試験であるTORG1937試験の記載を見ましたところ、本試験で行う化学放射線療法の減量規準としても妥当と考えられたことから、同試験を参考に非血毒性に関する規定を追加いたします。TORG1937試験(「切除不能局所進行(Ⅲ期)非小細胞肺癌に対する化学放射線療法完遂直後のデュルバルマブ(MEDI4736)維持療法の第Ⅱ相試験」)は、切除不能Ⅲ期肺がんを対象に、化学放射線療法完遂翌日からデュルバルマブ維持療法を開始するレジメンの特定臨床研究です。TORG1937試験の化学放射線療法においては、非血毒性の有害事象が発生した場合の治療変更規準が規定されております。これを参考に、本試験でも化学放射線療法において、非血毒性の有害事象が発生した場合の治療変更規準を設けることとしました。
 ②適格規準の記載の整備について。4.1章「適格規準(組み入れ規準)」において、原発巣からの組織診、生検、細胞診により非小細胞肺癌の確定診断が得られていることを適格規準としておりましたが、原発巣以外にリンパ節からの組織診、生検を許容するように変更いたします。本試験対象である肺尖部胸壁浸潤肺癌は、肺尖部に位置しており肺野の末梢病変であることから、原発巣からの組織採取が困難な部位に位置する腫瘍です。腫瘍の局在から鎖骨上リンパ節に近接しており、転移する頻度が高いことが知られており、リンパ節から生検をすることで、原発巣から生検するよりも安全に侵襲が少なく、診断が確定できることになります。以上より、原発巣以外にリンパ節からの組織診および生検を許容するように変更いたします。
 ③手術までの許容期間の修正について。術前デュルバルマブ療法後から手術までの許容期間において、最大6週間で規定しておりましたが、8週間までの許容に変更いたします。本試験の類似試験であるKEYNOTE-671試験の記載を見ましたところ、本試験の手術までの許容期間を2週間延長することが妥当と考えられたことから、同試験を参考に手術までの許容期間を8週間に変更いたします。KEYNOTE-671試験(Ⅱ期、ⅢA期又はⅢB(T3-4、N2)期の切除可能非小細胞肺癌を対象とした術前補助療法/術後補助療法としてペムブロリズマブ併用又は非併用のプラチナ製剤併用化学療法を比較する無作為化二重盲検第Ⅲ相試験)は、切除可能非小細胞肺癌を対象に、ペムブロリズマブを併用した術前補助化学療法後に手術を行い、術後補助化学療法にペムブロリズマブの上乗せ効果を検証する企業治験です。KEYNOTE-671試験では、免疫チェックポイント阻害薬投与後の、手術までの許容期間が8週間に規定されております。本試験で、デュルバルマブ投与後6週間に近い時期に、免疫関連有害事象の発生の報告がありました。免疫関連有害事象は一定期間経過した後に軽快することが知られておりますが、それまでに手術を実施することは、安全性の担保ができないことから、これを参考にデュルバルマブ投与後から手術までの許容期間を8週間に変更いたしました。
 ④誤記の修正について。プロトコールの以下の箇所につきまして、記載が不十分又は誤記がありましたので修正しました。
 ・「手術により予期される晩期合併症」に関連する記載について、「術後31日以降、かつ術後デュルバルマブ療法開始前に発現」としておりましたが、デュルバルマブ療法開始前に発現とする規定は不適当であり、術後晩期合併症の規定は術後31日以降のみといたします。そのため、術後デュルバルマブ療法開始前とする記載を削除いたします。
 ・デュルバルマブ療法の治療変更基準における自己免疫疾患についての記載で不足がありましたので、内服治療のみを必要とする疾患(副腎機能不全、甲状線機能亢進症、甲状腺機能低下症)を追加いたします。
 ・治療終了後の検査について、スタディカレンダーで胸部単純X線と胸部造影CTが検査項目となっておりましたが、胸部造影CTと腹部造影CTが検査項目であり、記載に誤りがありましたので修正いたします。
 ・スタディカレンダーで治療終了後の検査日について、起算日の記載がありませんでしたので、最終プロトコール治療日翌日を起算日とする記載を追記いたします。
 ・その他、記載の更新、参加施設の追加など。
 ⑤研究事務局の所属変更について。本試験の放射線治療研究事務局の所属変更がありましたので、変更いたします。以上です。
 
○竹内座長
 ありがとうございました。大変、内容も多い修正の変更ですが、本変更内容について何か御意見はありませんか。よろしいですか。それでは、告示番号B39番の変更について、お認めをしたいと思います。どうもありがとうございました。 次の試験実施計画の変更について、御説明をお願いいたします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明します。資料6、65ページを御覧ください。国立循環器病研究センターからの申請で、告示番号B41「肺動脈自律神経叢除神経療法」です。適応症は、肺高血圧症(薬物療法に抵抗性を有するものに限る。)です。
 御審議いただく主な変更内容について、66ページを御覧ください。1.期間の延長として、試験予定期間、症例登録期間、症例観察期間をそれぞれ3か月ずつ延長。2.誤記修正、記載整備です。
 変更申請する理由として、本研究は2022/12/31で症例登録期間を終える予定であるが、最近の新型コロナウイルス感染のまん延により、患者の感染や医療機関の患者受け入れ停止など不測の事態が起こる可能性が懸念される。2022年10月11日現在、16症例において試験治療を実施済みであり、残り4症例においても同意取得を得ていることから、既に年内に目標達成の目処は立っているが、患者登録の進捗が予定通り進まない可能性も考慮し、3か月の研究期間延長の変更を行った。以上です。
 
○竹内座長
 ありがとうございます。こちらの変更内容について、御意見はありませんか。よろしいでしょうか。告示番号B41ですが、この変更をお認めしたいと思います。それでは、次の試験実施計画の変更について、御説明をお願いいたします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明します。資料7、67ページを御覧ください。国立がん研究センター中央病院からの申請で、告示番号B47「メトホルミン経口投与及びテモゾロミド経口投与の併用療法」です。適応症は、膠芽腫(初発のものであって、テモゾロミド経口投与及び放射線治療の併用療法後のものに限る。)です。
 御審議いただく主な変更内容について、69ページを御覧ください。
(1)適格規準の修正として、適格規準のAST、ALTの上限値を120から150以下に変更しています。
 (2)除外規準の変更として、「1)活動性の重複がんを有する」を、変更後には、「1)2年以内の活動性の重複がんを有する」としています。
 (3)テモゾロミド投与方法の変更(下線部を追記)として、お示しのように(ただし前後4日間は投与する。)を追記しています。
 (4)テモゾロミド維持治療のコース開始/投与規準の変更として、AST、ALTの上限値を120から150以下に変更しています。
 (5)維持治療におけるテモゾロミドのスキップ/減量規準の変更として、血小板数についてお示しのようにGrade2(5.0×104≦、<7.5×104)から、<10×104に変更しています。またAST、ALTを120から150を超えた場合と変更しています。
 (6)メトホルミンの開始規準の変更として、好中球数は≧1,500から≧1,000に、血小板数として≧10×104から、≧7.5×104に、AST、ALTについては120以下から150以下に変更しています。
 (7)メトホルミンの休薬/減量規準の変更について、好中球数については、休薬、減量基準をGrade2-3(500≦、<1,500)もしくはGrade4(<500)、いずれかに該当した場合、またGrade4の場合はメトホルミン開始基準を満たし再開後の用量レベルを1レベル減量としていたものを、変更後は、休止基準/減量基準は<1,000、メトホルミン開始基準を満たし再開後の用量レベルは減量なしとしています。
 次に血小板数については、休薬/減量基準をGrade2は(5.0×104≦、<7.5×104)、もしくはGrade3-4は(<5.0×104)、いずれかに該当した場合とし、Grade3-4ではメトホルミン開始基準を満たし再開後の用量レベルを1レベル減量としていたものを、変更後は休止基準/減量基準は<7.5×104、メトホルミン開始基準を満たし再開後の用量レベルは減量なしとしています。
 次にAST、ALTに関しては、休止基準/減量基準は120を超えた場合もしくは上限値の5倍以上とし、上限値の5倍以上の場合は1レベル減量としていたものを、変更後は休止基準/減量基準は150を超えた場合、メトホルミン開始基準を満たし再開後の用量レベルは減量なしとしています。eGFRについては、変更後にメトホルミン2,250mg投与症例数は、eGFR60未満を休止基準/減量基準に加えています。
 (8)「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)時の対応」に関する記載を追加。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)時の対応として、COVID-19、PCR陽性が判明した段階でテモゾロミドおよびメトホルミンを休薬する。発熱などの症状がありCOVID-19感染が疑われた場合は、PCR検査未施行であってもテモゾロミド及びメトホルミンの休薬を許容する。COVID-19、PCR陰性が確認された後もしくは発症日から6週間経過後に、テモゾロミドおよびメトホルミン開始基準を確認して治療を再開する。COVID-19、PCR陽性時には新型コロナウイルス感染症としてEDCに入力する。
 (9)登録前評価項目の変更として、登録前90日以内を120日以内に変更。また、5)登録前頭部MRIについて、原則テモゾロミド併用放射線治療終了後、登録前14日以内MRIを用いるが、MRI検査タイミングにより登録前14日以内にMRI施行できない場合は、登録前21日以内のMRIで多発病変や播種病変がないことを確認し登録を許容する。登録前15日から21日までのMRIを用いる場合は、登録後7日以内にMRIを行いベースラインMRIとして用い、多発病変や播種病変がないことを確認する。登録後7日以内MRIで多発病変や播種病変を認める場合は登録を除外することで対応するとしています。
 (10)プロトコール治療開始後の安全性評価項目の追加。
 (11)プロトコール治療終了後の安全性評価項目について、下痢を追加しています。
 (12)スタディカレンダーの変更として、(9)の変更を反映。
 (13)研究期間の変更として、2年と設定していた登録期間を3年とし、総研究期間を5年に変更しています。
 (14)付録2:測定可能病変の定義の追加として、造影T1強調画像を追加。
 (15)その他、記載整備です。
 変更申請する理由としては、(1)検査値について、CTCAEの基準にてGrade3に相当しテモゾロミドの投与規準にも矛盾せず、研究対象者の安全性には影響を及ぼさないと判断したため修正した。
 (2)重複がんの期間の明示が必要と判断し追記した。
 (3)許容範囲を設定した。
 (4)テモゾロミド維持治療のコース開始/投与規準において、血小板数は≧10×104としているが、スキップ/減量規準が<7.5×104となっており、齟齬があったため<10×104未満に修正した。
 (5)は、(1)に従い反映を行い、誤記の修正を行った。
 (6)メトホルミンによる好中球減少及び血小板減少の影響は少ないと考え、開始規準を変更した。
 (7)好中球減少及び血小板減少の原因はテモゾロミドであるため、整合性をとった。
 (8)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染時の対応について、記載が必要と判断したため追記した。
 (9)登録前検査期間の延長及び登録前頭部MRIの許容範囲を追記した。
 (10)想定される有害事象として追記した。
 (11)想定される有害事象として追記した。
 (12)変更を反映させる記載整備を行った。
 (13)先進医療として告示され、jRCT公開日とあわせるよう記載整備を行った。また、これまでの約17か月(2022年6月15日時点)での登録症例数が10例と予定を下回ったため、登録期間を12ヶ月延長することにより、約19か月の残りの登録期間にて予定症例数である22例の達成が可能であると判断し延長を行った。
 (14)測定可能病変とされる画像診断法について、記載漏れのため追記した。以上です。
 
○竹内座長
 ありがとうございました。大変、多項目にわたる研究の変更の申請でした。御意見等はありますか。渡辺構成員、お願いいたします。
 
○渡辺構成員
 日本医師会の渡辺です。変更点の1番、適格規準の修正という所なのですが、今まで19症例が登録されて、予定症例数が22例ということは、あと3例ということになった段階で、対象症例の規準を変えるということになると、母集団の構成が変わるのではないでしょうか。つまり、あえてこの時点で変えて、一連の研究として一緒に解析することに矛盾はないのかという疑問が1点です。
 それから120から150に変えるというのは、この試験が始まって1年数ヶ月の間に有害事象がないから、変更してもいいだろうというお考えなのか、それとも150という数値が何かほかの理由で安全性を担保できるというふうに判断されたのか、150という数値の根拠に少々疑問があるのです。この2点を教えていただけたらと思います。
 
○竹内座長
 事務局のほうでわかりますか。少なくとも75ページ(資料7)の変更申請する理由というところを読みますと、この文言だけではこのCTCAEの基準のGrade3の上限がこの150であったということで、多分、症例のエンロールを促進するためにここまで引き上げたのかなと判断されますが、何か追加の情報等はありますか。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 事務局でございます。御指摘ありがとうございます。情報提供させていただきます。こちらについてですが、まずはこの150という数字について、JCOG共用基準範囲一覧のCTCAEのバージョン5.0の対応版では、計算上では男女でASTのGrade2は90から150です。一方、ALTは男性で120から210、女性で69から115です。これまで膠芽腫に対するテモゾロミド療法の効果を検証したJCOG 0911、JCOG 1703においては、ALT、ASTの120以下が投与基準であったということです。日常診療では、ASTのGrade2の範囲である150未満、これはぎりぎりのところなのですが、150未満というところを目安としてテモゾロミドを投与することが多く、ALTについてもASTに合わせて150以下であればテモゾロミドを継続することが多く、今回より日常診療での投与方法に合わせて改訂したと情報提供があります。
 それから、もう1点ですが、適格規準の変更についてのコメントですが、テモゾロミドあるいはメトホルミンによる重篤な肝機能障害は、実は経験していないものの、テモゾロミド又はメトホルミンのこのプロトコールの維持療法の安全性を担保しながら、間違いのないように投与するというもののために、適格規準や維持療法をいわゆる統一しているという御回答でした。以上です。
 
○竹内座長
 ありがとうございました。渡辺構成員、いかがでしょうか。
 
○渡辺構成員
 母集団が多少基準が違うグループが2つできるということに少々疑問を感じたのです。維持療法とプロトコールが統一できているからいいのだというお話かもしれないのですが、そもそも選択した対象者の構成が変わってしまうことに対しては、理解しがたいところがあります。以上です。
 
○竹内座長
 ありがとうございます。貴重なコメントだと思います。ほかに御意見等はありますか。よろしいでしょうか。
 1点確認なのですが、現在のところ登録された症例は19例と書いてあって、先ほどの御説明のところでは、特に76ページ(資料7)の(13)の所では、「登録症例数が10例と予定を下回ったため」と書いてあって、ここの所がちょっと10例と19例というのはどういう差なのかと、今、思ったのですが、これは何か事務局で把握されていますか。もし10例だとすると、予定症例数22例のところ、いろいろな理由があって登録が進まなかったという背景があって、今回のようないくつかの規準を変更したいというお申し出だと思いますが、この点は何か確認されていますか。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 御指摘ありがとうございます。10例の登録の速度という意味で、こちらではお示ししている状況ですので、現在の登録の数については、最初にお示ししたとおり、2022年11月1日現在では19症例ということで事務局では理解しています。ですので、どちらかというとこちらの情報提供させていただいた肝障害の件に関して、リクルートを増やすという目的ではありませんで、できるだけ治療に入れる患者さんを適正に増やすという御回答でした。以上です。
 
○竹内座長
 はい、そういう御説明ですが、よろしいでしょうか。真田構成員、どうぞ。
 
○真田構成員
 真田です。やはり試験を運営している途中で、症例の集積に悩むという場面はよくあることで、それに伴う増加なのかなと思って、当初、拝見はしていたのですが、今、ここ数箇月の登録スピードが回復していて、あと3例という状況までやってきたというところで、そこで試験期間を延ばすということで達成が可能であるという判断をされたということと、かなり多彩な変更理由で大幅な条件の改訂を加えているというところで、やはり先ほど渡辺先生もおっしゃいましたように、この必要性というのが必ずしも担保されるのだろうかというところについては、若干、疑問を持ったというところは私も同じ認識でいます。ただ、これを科学的に否定するというわけではありませんが、なぜ今に至ってこれだけたくさん出てきたのかということについては、少し疑義を持ったというところはコメントさせていただきたいと思います。以上です。
 
○竹内座長
 ありがとうございます。この点は、やはり皆さん、少し疑問に思われるところかもしれません。この辺りをもう少し詳しく御説明いただいた上で、先ほどのようにここで適格規準を変更することで、今、19例まできていて残り3例でこの試験が終了するにもかかわらず、この時点で様々な多岐にわたる変更をする理由というもの、あと試験期間を1年延長するということになりますので、その辺りの御説明を頂いた上で、一応、お認めするという方向でよろしいでしょうか。もう一度、少し詳しい御説明を頂きたいということです。よろしいですか。ありがとうございました。
 それでは、御説明を頂いた上で、ここでは承認という形にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。告示番号B47についての御説明は今のとおりです。
 続きまして、次の試験実施計画の変更について御説明をお願いいたします。
 
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 次に告示番号B56の説明をさせていただきます。それでは御説明します。資料8、77ページを御覧ください。京都府立医科大学病院からの申請で、告示番号B56「アスピリン経口投与療法」です。適応症は、家族性大腸腺腫症です。
 御審議いただく主な変更内容について、78ページを御覧ください。1)治療計画<方法>における試験登録の手順について、変更前は、①大腸内視鏡検査にて5.0mm以上の腺腫がすべて摘除できた患者に対して、大腸内視鏡検査終了後3か月以内に参加を呼びかけて、同意を得て、登録する。変更後は、①参加を呼びかけ説明し同意を得て、大腸内視鏡検査にて5.0mm以上の腺腫が全て摘除できた患者に対して、大腸内視鏡検査終了後3けヶ月以内に登録を行う。
 2)治療計画<方法>における試験薬シートの数について、変更前は、⑥8ヶ月目に低用量アスピリンを1年分(12シート、1シート:31錠)渡すを、変更後には⑥8ヶ月目に低用量アスピリンを1年分(13シート、1シート:31錠)渡す。
 3)治療計画<方法>における24ヶ月目の大腸内視鏡における実施期間範囲及び動画撮影。変更前は、⑦・大腸内視鏡検査は、8ヶ月目、16ヶ月目、24ヶ月目の±3か月以内に実施する。・試験参加中の大腸内視鏡検査は全て動画を撮影するを、次のページに移りまして、変更後では、⑦・大腸内視鏡検査は、8か月目、16か月目の±3か月以内に実施する。24ヶ月目の大腸内視鏡検査は、試験薬服用開始から23ヶ月以降36ヶ月末までに実施する。(動画撮影の削除)とあります。
 変更申請する理由としては、1)登録前の大腸内視鏡検査も評価項目となるため、同意を検査前に行うように手順を修正した。
 2)参加者は月初めに登録されるとは限らないが、シートには日付を記載しており、日付通りに服用した場合、開始するまでの日数分を服用しないので最終的に1か月分不足する可能性があるため1シート追加し、12シートから13シートお渡しすることに変更した。
 3)24ヶ月目の内視鏡検査について齟齬があったため修正した。動画については評価不要であるため削除した。以上です。
 
○竹内座長
 ありがとうございます。告示番号B56です。この変更内容について、御意見はありませんか。よろしいでしょうか。それでは告示番号B56の変更について、お認めしたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、続きまして試験実施計画の変更について御説明をお願いいたします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明します。資料9、81ページを御覧ください。国立成育医療研究センターからの申請で、告示番号B63「タクロリムス投与療法」です。適応症は、不妊症(卵管性不妊、男性不妊、機能性不妊又は一般不妊治療が無効であるものであって、これまで反復して着床又は妊娠に至っていない患者に係るものに限る。)です。
 御審議いただく主な変更内容について、82ページを御覧ください。1. 2022年8月25日開催の臨床研究審査委員会への申請分について、研究計画書および同意説明文書において、下記の変更を行った。1)ペプチドーム解析の削除、尿検査における沈渣の削除、明確化。2)登録期間及び観察期間の修正。9月からに変更。3)実施体制の追記、記載整備。
 2. 2022年10月27日臨床研究審査委員会への申請分について、研究計画書および同意説明文書において、下記の変更を行った。1)異所性妊娠を確認する記載への修正と定義の追加。2)登録期間及び観察期間の修正。12月からに変更しています。3)胚移植14日目に生化学的妊娠判定が陰性の場合でも、28日までは有害事象評価は行うこととし、「胚移植14日目に行う生化学的妊娠判定が陰性の場合には、観察期間は設けず、試験終了となる。」の記載は削除とした。同意説明文書の予定参加期間の説明について、研究計画書と齟齬がないよう記載整備。4)全体的な記載整備と明確化。5)は、1)に伴うスケジュール表の修正。
 変更申請する理由として、1. 2022年8月25日開催の臨床研究審査委員会への申請分について、1)ペプチド―ム解析を依頼していた企業の吸収合併等により創薬やコンパニオン試薬の開発は行わない方針となったため、ペプチドーム解析が困難となった。従って、当該箇所を削除した。なお、ペプチドーム解析は母体胎児間の状況を反映するバイオマーカーとなり得るが、現時点では探索的な項目であるため、この解析を実施しないことで被験者の安全性評価及び有効性評価に大きな影響を与えることはないと判断している。また、尿検査における検査内容を整理、明確化した。
 2)先進医療の協力医療機関手続きが完了していない施設があるため。また、試験開始の諸準備が整う時期に修正を行った。
 2. 2022年10月27日臨床研究審査委員会への申請分について。1)異所性妊娠についての定義の追加とそれに伴うスケジュール変更については、主要評価項目として臨床的妊娠を判断する際に、生化学的妊娠から確実に異所性妊娠を除外することが必要である。この場合、本研究における異所性妊娠を定義することが必要であるため、今回の変更を行った。
 2)登録期間と観察期間については、EDC構築が完了し症例登録が可能となる時期に修正を行った。
 3)患者利益および統計学上のデータ収集期間の統一のため。以上です。
 
○竹内座長
 ありがとうございます。本変更について、何か御意見はありませんか。よろしいですか。それでは告示番号B63番の変更について、お認めしたいと思います。それでは、続きまして次の試験実施計画の変更について、御説明をお願いいたします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明します。資料10、85ページを御覧ください。名古屋大学医学部附属病院からの申請で、告示番号B64「ネシツムマブ静脈内投与療法」です。適往症は、切除が不可能なEGFR遺伝子増幅陽性固形がん(食道がん、胃がん、小腸がん、尿路上皮がん又は乳がんに限る。)です。
 御審議いただく主な変更内容について、86ページを御覧ください。1.(研究実施計画書)バイオマーカー研究における、腫瘍検体解析のアッセイの変更(FoundationOne CDxからGuardant360 TissueNext)とPD-L1測定の追記。
 2.(研究実施計画書)腫瘍検体と血液検体がGuardant Health社にて研究終了後10年間保管されることの明記。
 3.(説明文書)個人情報保護法改正で求められている説明内容の追記。
 4.(研究実施計画書)実施計画書の試験実施期間(誤記)の削除、WJOG承認日の追記、(説明文書)研究責任医師変更、研究責任医師の所属・職名変更、誤記修正(試験薬管理手順書)1箱に納められるバイアル数の変更、CROの社名変更、誤記修正。
 変更申請する理由ですが、1.同等性の確認されている、より安価で測定可能なアッセイへ変更した。
 2.説明文書には記載されているが、研究実施計画書においては記載が不十分であると判断し、明記したため。
 3.改正個人情報保護法において説明文書に記載することが求められている内容を追記したため。
 4.記載整備、誤記修正、所属・職名、社名変更など。
なお1.の同等性の確認のされているというものは、申請医療機関からそのような情報提供がありましたが、省内より指摘があり、同等性があるかどうかについては、弊省にて確認する予定です。以上です。
 
○竹内座長
 ありがとうございます。御意見はございますか。よろしいでしょうか。それでは、この同等性については省内で確認していただいた上、この告示番号B64の変更については、ここでお認めしたいと思います。ありがとうございました。
 本日の議題は以上です。構成員の皆様、全体を通して何か御意見、御質問、あるいは追加のコメント等はありますでしょうか。よろしいですか、たくさんの貴重な御意見を頂戴しまして、ありがとうございました。 それでは、次回の日程を事務局から御案内していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 事務局です。次回は令和4年12月15日、木曜日の開催とさせていただきます。時間は16時から18時までの予定で、詳細については別途御連絡させていただきます。また本日の議事録については、作成次第、構成員の皆様に御確認をお願いし、その後、公開させていただきますのでよろしくお願いいたします。
 
○竹内座長
 ありがとうございました。それでは、これをもちまして第141回先進医療技術審査部会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
 

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