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2022年10月13日 第140回先進医療技術審査部会 議事録
(1)日時:令和4年10月13日(木)16:00~
(2)場所:TKP新橋カンファレンスセンター「ホール14D」(オンライン)
(3)出席者
竹内座長、北川座長代理、天野構成員、一家構成員、伊藤構成員、上村(尚)構成員、上村(夕)構成員、掛江構成員、後藤構成員、坂井構成員、真田構成員、戸高構成員、飛田構成員、平川構成員、平田構成員、松山構成員、山本構成員、渡辺構成員
(事務局)
医政局研究開発政策課長
医政局研究開発政策課 治験推進室長
医政局研究開発政策課 課長補佐
医政局研究開発政策課 先進医療係長
保険局医療課 先進・再生医療開発戦略専門官
医薬・生活衛生局医薬品審査管理課 審査調整官
【議題】
1.総括報告書の評価について
2.試験実施計画の変更について
3.協力医療機関の追加について
4.その他
【議事録】
○医政局研究開発政策課長補佐
定刻となりましたので、第140回先進医療技術審査部会を始めさせていただきます。御多用の折、お集まりいただきありがとうございます。本日は、オンラインでの開催となります。
今回、先進医療技術審査部会構成員について改選が行われ、新たに5名の先生方が構成員として任命されました。お一人ずつ御紹介させていただきますので、一言ずつ御挨拶を頂ければ幸いに存じます。まず、国立がん研究センターより、一家綱邦構成員です。
○一家構成員
国立がん研究センターの一家と申します。生命倫理学の分野で研究をしておりまして、人文社会科学の立場の人間でございます。本部会でお役に立てますよう努めますので、御指導を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
○医政局研究開発政策課長補佐
よろしくお願いします。ありがとうございます。続きまして、先進医療会議の構成員でもいらっしゃる埼玉医科大学の竹内勤構成員です。よろしくお願いします。
○竹内構成員
埼玉医科大学の竹内勤でございます。私の専門はリウマチ膠原病、臨床免疫領域でして、2018年10月から先進医療会議の構成員を務めさせていただきました。今回、新たに技術審査部会の構成員も務めさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○医政局研究開発政策課長補佐
よろしくお願いします。ありがとうございます。続きまして、東京医科歯科大学より、平川晃弘構成員です。よろしくお願いします。
○平川構成員
東京医科歯科大学臨床統計学分野の平川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。大学では、いわゆるAROのような業務であったり、がん研究等をしております。どうぞよろしくお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
よろしくお願いします。ありがとうございます。続きまして、広島大学病院より、平田泰三構成員です。よろしくお願いします。
○平田構成員
この度新たに構成員を拝命いたしました広島大学の平田と申します。私は現在、臨床研究を推進するセンターにおりますが、バックグラウンドとしては、乳癌や肉腫などのがん薬物療法を専門としている、いわゆる腫瘍内科でございます。この度、分野としては腫瘍内科として参加させていただくことになりました。微力ではございますが、どうぞ御指導のほどよろしくお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
よろしくお願いします。ありがとうございます。最後に、横浜市立大学より、山本紘司構成員です。よろしくお願いします。
○山本構成員
御紹介ありがとうございます。横浜市大の山本です。私は生物統計を専門としておりまして、微力ながらお力になれればと思いますので、是非御指導のほどよろしくお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
よろしくお願いします。ありがとうございます。それでは、皆様どうぞよろしくお願いします。
本日の構成員の出欠状況ですが、御欠席の御連絡を頂いている構成員はいらっしゃいません。なお、技術専門委員として御審査をお願いしている村田満委員からは、御欠席の連絡を頂いております。本日は、18名の構成員のうち、18名の構成員にお集まりいただいていることから、本会議が成立していることを申し添えます。また、竹内勤構成員には、会場にて御出席いただいております。
次に、会議を進めるに当たりまして、座長の選出をお願いしたいと存じます。先進医療会議の開催要綱の4ページの3 組織の(3)にありますとおり、「座長は、それぞれ各構成員の中から互選により選出する。」となっております。どなたか、構成員の方から御推薦を頂ければと存じます。真田構成員、よろしくお願いします。
○真田構成員
この先進医療技術審査部会は、先進医療会議の下に設置された部会ですので、先進医療会議で長きにわたり構成員をされ、御経験や御実績も豊富な竹内構成員を座長に御推薦申し上げたいと思います。
○医政局研究開発政策課長補佐
ありがとうございます。ただいま、真田構成員から、竹内構成員にお願いしてはどうかという御提案がありました。竹内構成員に座長をお願いするということでいかがでしょうか。
(異議なし)
○医政局研究開発政策課長補佐
ありがとうございます。異議なしということですので、竹内構成員に座長をお願いすることといたします。ただいまより、竹内座長に議事進行をお願い申し上げます。
○竹内座長
どうも御承認いただきましてありがとうございました。座長を仰せつかりました竹内でございます。微力ながら座長としての役割を務めてまいりたいと思います。
先ほどの先進医療会議開催要綱の3 組織の(5)におきまして、「座長は、それぞれ各構成員の中から座長代理を指名する。」との記載があります。私からは、専門領域等を勘案して、北川構成員に座長代理をお願いしたいと思っておりますが、北川構成員、よろしくお願いします。
○北川座長代理
北川でございます。消化器外科領域を専門にしております。御指名いただけましたのであれば、座長代理を務めさせていただきます。よろしくお願いします。
○竹内座長
ありがとうございます。それでは、本日の配付資料、審査案件の確認を事務局からお願いしたいと思います。
○医政局研究開発政策課長補佐
傍聴者の撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願いいたします。
配付資料について確認させていただきます。議事次第から、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿とございます。続きまして、総括報告書の評価についてとして資料1-1~資料1-3、試験実施計画の変更についてとして資料2、協力医療機関の追加についてとして資料3-1及び資料3-2、その他として資料4です。会議資料の終了ページは40ページとなります。お手元の資料に乱丁、落丁等がありましたら、事務局までお知らせください。
続きまして、利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業について、事務局から事前に確認をさせていただいております。今回、告示番号51の技術、京都大学医学部附属病院からの総括報告に関して、北川座長代理から御報告がありまして、500万円以上の該当がありました。つきましては、議事の取りまとめを含む検討及び事前評価に加わることができませんので、当該技術に関わる審議の際は、一時御退席いただければと存じます。
また、当該技術について、竹内座長、上村夕香理構成員、山本構成員からも御報告がありましたが、いずれも50万円以上500万円未満でしたので、議事の取りまとめのみ加わることができません。また、当該技術について、平川構成員からも御報告がありましたが、50万円以下でしたので、当該技術の議事取りまとめ及び事前評価に加わることができます。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がありましたら、この場で御報告をお願いいたします。それでは、該当なしということで承知いたしました。
今回は資料を事前にメールでお送りしております。会議資料と区別して、構成員・事務局限りの届出書類等をタブレット資料と御案内します。なお、会議資料とタブレット資料の内容は異なっておりますので、発言者は会議資料の何ページ又はタブレット資料の何ページとあらかじめ御発言を頂けますと、議事の進行上助かります。
本日はオンラインでの開催となり、構成員の先生方には大変御不便をおかけいたします。御発言いただく際には、初めにお名前をおっしゃっていただくようにお願いいたします。その他、途中で接続トラブル等がございましたら、お知らせいただきますようお願いいたします。また、Web会議ソフトには手挙げ機能が付いておりますので、こちらも適宜御活用いただければと存じます。以上です。
○竹内座長
それでは早速ですが、議事に入りたいと思います。総括報告書の評価結果について、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発政策課長補佐
事務局でございます。御説明いたします。資料1-1の15ページを御覧ください。先進医療Bの総括報告書に関する御評価を頂くのは、告示番号51、マルチプレックス遺伝子パネル検査です。申請医療機関は京都大学医学部附属病院です。審査担当構成員は、主担当が真田構成員、副担当が伊藤構成員、技術専門委員が村田委員となっております。なお、冒頭で申し上げたとおりですが、北川座長代理におかれましては、利益相反の関係で、本議題の審議に際し御退席いただきたく存じます。御協力のほど、よろしくお願いします。
(北川座長代理 退席)
○医政局研究開発政策課長補佐
それでは、資料に沿って御説明いたします。がん遺伝子パネル検査は、Precision Medicineのコンセプトからは、初回治療の段階から症例毎にがん細胞の遺伝子異常に合わせた治療を選択したほうが、より効果が期待できたり、無駄な治療を回避できる可能性がある。本研究では、全身化学療法未施行の切除不能進行・再発癌(消化器・肺・乳腺・婦人科・悪性黒色腫)症例において、薬事既承認のがん遺伝子パネル検査(FoundationOne® CDxがんゲノムプロファイル,以下F1CDx)を用いて、がん関連遺伝子の変異、挿入/欠失、増幅、融合などの解析を行い、コンパニオン診断を含むActionable/Druggableな遺伝子異常を有する症例の割合を求めることで、初回治療法選択における遺伝子プロファイリング検査の臨床的有用性を検証する。
主要評価項目は、コンパニオン診断を含むActionableな遺伝子異常を有する症例の割合。副次評価項目は、1)エキスパートパネルによる推奨治療が提示できる症例の割合、2)遺伝子異常に基づく推奨治療のマッチングスコアなど、こちらに記載のとおりです。目標症例数は180例で、登録症例数は183例でした。
なお、本議題の審議に際し、竹内座長におかれましては、利益相反上の関係がございますので、進行を上村尚人構成員にお願いいたします。よろしくお願いします。
○上村(尚)構成員
ありがとうございます。本技術の評価については、主担当の真田構成員から御説明をお願いいたします。
○真田構成員
真田でございます。今回、総括報告書が提出されましたが、今回の総括報告書については、先進医療Bに関する主たる解析結果に係る評価となっておりますので、この試験計画に記載された全ての結果が判明してから、最終的な総括報告書が改めて提出されるものと理解をしております。そのような位置付けであるということを予め御留意いただければと思います。
まず、がん遺伝子パネル検査ですが、2019年からいくつかのパネル検査が保険診療でも実施されるようになりました。先進医療でも、従前から数種類のパネル検査が先進医療Bで評価をされ、あるいは薬事承認を取得、一部のものは保険収載をされ、既に臨床診療に寄与しているわけですが、現在の保険診療に係るがん遺伝子パネル検査の適応と申しますのは、標準治療がない、いわゆるノーオプションであるもの、若しくは標準治療が終了した、あるいは終了見込みという症例に限られているという認識をしております。
一方で、先ほどの御説明にもありましたが、初回治療の段階から、このパネル検査を用いて症例ごとにがん細胞の遺伝子異常に合わせた治療を行うのはどうかというニーズや、そのような流れというのは、一定程度、従前から要望があったということを認識しております。そこでこの研究では、システム自体としては薬事で既に承認されているF1CDxシステムを用いて、更に現在の適応から先んじて、初回治療の段階から適応することに対する有用性を検討している試験であると認識をしております。
この試験の概要ですが、本研究では腫瘍組織の検体から作成されたホルマリン固定パラフィン包埋検体を用いて、これをアメリカに送って解析をしてもらって、その解析結果のレポートを得て、そのレポートをもとにエキスパートパネルで検討をする。それで、Actionableな遺伝子、Druggableな遺伝子の異常の割合等を求めるという試験でした。
その概要についてですが、資料の29ページ(資料1-3)に技術の概要図があります。この29ページの概要図に、今回得られた結果から、このフロー図に基づいて、該当する患者の数についても加えて記載を行っていただいております。この図の点線から右側が、解析レポートに基づいて機械的に分けられた結果でして、左側がこのActionableな遺伝子の変異があった症例です。これが結果的には、全例そこに該当したということですので、遺伝子解析が成功した全例にかかっているわけですが、そのエキスパートパネルが出した結論ということになります。このように概要を記載していただいております。
主要評価項目は、コンパニオン診断を含むActionableな遺伝子異常を有する症例の割合です。副次評価項目の所に、エキスパートパネルによる推奨治療が提示できる症例の割合や、エキスパートパネルによる推奨治療を実際に受けた症例の割合というような評価項目を含むいくつかの評価項目が設定されていたということになります。
この技術についての評価ですが、私からの評価については、今日の資料の17ページ(資料1-1)に挙げております。今回は、先ほども申し上げましたように、主たる解析についての評価ですので、一部まだ結果が得られていない評価項目もあります。ですから、そのようなことを踏まえた上での現時点での評価ということになりまして、現時点での評価は、Eのその他としております。
これなのですが、私が今回の評価を仰せつかったのは、令和3年3月にこの技術が新規に申請されたときに、同じく私及び伊藤陽一先生が評価を仰せつかったという流れで承っているという理解ですが、その新規申請時に、この事象についてはあらかじめ御指摘を申し上げたところ、すなわち、現在までに得られた主要評価項目、Actionableな遺伝子を保有する割合及び一部の評価項目について、この主要評価項目以外に、実際の治療にこれが結び付いたというところが重要なのですが、今回提出された主たる解析に関する報告書では、その結果はまだ示されていないわけです。よって現時点で有効性を直ちに総合的に評価するのはにわかに困難と考え、Eという判定をしました。
ちなみに、新規申請時のコメントとして、私が記載させていただいた内容としては、この先進医療B技術は、ファーストラインにおいてどのような成績を示すかというそのものの科学的重要性は理解して、それがオープンな場で公正に実施されてこのようなデータが得られることに対しては肯定されるべきものと理解しますが、本研究を制度上、保険収載を目指すということを主旨としている先進医療Bを選択することで実施する場合に、本研究で主要評価項目のみ、あるいは副次評価項目のみがポジティブな評価基準を達成した場合においても、そのいずれかのみの事象では直ちに保険収載に資するデータとは判断し難いことに留意すべきと記載をした上で、この研究を開始していただいていると理解をしております。そのようなこともありまして、私からはこのような判断とさせていただきました。
一方、安全性ですが、今回の技術は、システム自体は既に薬事で既承認ということになっておりますし、用いるものも検体をパラフィン包埋にしたものですので、体外診断技術ということで、安全性には問題ないと認識して、Aと判定をしております。
次に技術的成熟度ですが、このシステムそのものの技術というのは、薬事既承認でもありますし、成熟していると理解しておりますが、有用性の成立については、やはりこの結果を解釈する十分な経験を有するエキスパートパネルと密接に連動することは間違いないと思いますので、その存在が必要不可欠ということで、Bの当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できると判定しております。
続く総合的なコメント及び薬事承認申請の効率化に資するかどうかについての意見については、他の構成員の先生方の御評価を伺ってからにさせていただきたいと思いますので、一旦お返しいたします。よろしくお願いします。
○上村(尚)構成員
ありがとうございました。続きまして、副担当の伊藤構成員より御評価をお願いしたいと思います。
○伊藤構成員
副担当をしております伊藤です。有効については、Eのその他という評価をいたしました。コメント欄について述べさせていただきたいと思います。F1CDxの臨床的有用性を検証するためには、(1)としてF1CDxの結果に基づいて標準治療とは異なる推奨治療が実施され、(2)として推奨治療によって全生存期間の延長が観測される必要があるというように考えられます。しかし問題点として、(1)では、たとえ推奨されたとしても、治験や臨床試験が行われていないなど治療できないことがあること。(2)として、推奨治療といっても、そのエビデンスにはばらつきがあることが挙げられると思います。
そこで本研究では、主要評価項目として、Actionableな遺伝子変異ありの割合を設定しており、F1CDxによって推奨治療を検討するために必要な情報が得られているかどうかということを検討しています。しかし、この指標は臨床的有用性に必ずしも直結してはおらず、むしろ副次評価項目に設定された「エキスパートパネルによる推奨治療が提示できる症例の割合」のほうが、臨床的有用性としては本研究の中では適切だと思われます。「エキスパートパネルによる推奨治療が提示できる症例の割合」は172名中105例で、その内訳としては、治験・臨床試験が58例、コンパニオン診断に基づく保険治療のみが4名、上記2つとも保有する症例23例、適用外使用20例ということになっていて、「コンパニオン診断に基づく保険治療のみ」であった4例以外に関しては、治療の選択肢が増えたと言えると思います。ただ、推奨された治療が必ずしも実施されるわけではないことと、また、標準治療と比較して推奨治療のほうが全生存期間を必ずしも延ばすわけではないことを鑑みると、本研究のデータをもって、F1CDxの臨床的有用性が「検証」されたと判断するのは難しいと考えます。
もともとこの研究の目的は、臨床的有用性を検証するということでしたが、どういった判断基準を達成すれば検証されたという判断基準に関しては、特に述べられることなく研究が進められていますので、事前に宣言された基準を達成しているという意味での検証ということはされていないと考えております。有効性については以上です。
安全性については、体外診断薬でありますので、こちらについては問題ないということでAと評価しております。
技術的成熟度については、相応な経験を積んだ医師によるエキスパートパネルが必須であるということでBとして、当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できるという評価にしております。以上です。
○上村(尚)構成員
ありがとうございました。続きまして、村田技術専門委員が本日御欠席ですので、事務局より御評価の代読をお願いします。
○医政局研究開発政策課長補佐
事務局でございます。それでは代読いたします。資料1-1、20ページを御覧ください。有効性はB、従来の医療技術を用いるよりも、やや有効である。コメントとしまして、「従来の医療技術との直接比較が行われた訳ではない為、評価は容易ではないが、ほぼ研究計画通りに患者がエントリーされ、主要評価項目と大部分の副次評価項目で良好な結果が得られた点は評価に値する。ただ、最終的に患者のメリットに直結する「エキスパートパネルによる推奨治療を実際に受けた症例の割合」や「全生存期間」についての評価がされていないため、有効性については現時点では限定的であると判断した」とございます。
安全性はA、問題なし(ほとんど副作用、合併症なし)で、コメントとしましては、体外診断であり安全性に大きな問題はない。
技術的成熟度はBでして、当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できる。コメントとしまして、「技術的には成熟している。当該分野を専門としたエキスパートパネルの存在が必須である」とございます。以上でございます。
○上村(尚)構成員
ありがとうございました。それでは、主担当の真田構成員から、何か追加のコメントなどございましたらお願いいたします。
○真田構成員
真田でございます。先ほど一旦お返ししたところで御説明しました総合的なコメント等につきましては、本日の資料の18ページ(資料1-1)にございます。今回評価した「主たる解析に関する報告書」においては、現在までに得られた主要評価項目及び一部の副次評価項目については、先ほどの伊藤先生からの御説明にもありましたように、良好な結果を得ていると考えられました。また、医療技術そのものの成熟度については問題ないと考えられます。一方、従来技術との比較などについては、本先進医療にて直接比較はされていませんし、また、本先進医療の事前評価の指摘時にも申し上げましたように、医学的・科学的な評価の対象である「Actionableな遺伝子を保有する割合」と、保険診療上の評価である「標準治療以外のオプション治療を実際に受けられる割合」との相違につきましては、これは開始時の議論でもあったところですけれども、その時々のon-goingな治験の状況、あるいは地理的アクセス等で、実際に示唆された治療へ患者さんがアクセスできるかというところの状況については不確定な要素が大きいというところもございましたので、それを勘案するとはいえ、先進医療として従来の医療技術と比較した保険診療に資する有用性を検討する段では、伊藤先生や村田先生の御指摘にもございましたように、本研究の主要評価項目である「Actionableな遺伝子異常が検出される患者の割合を算出する」という事象に加えて、やはり「標準治療以外のオプション治療を実際に受けられる割合」の結果を待って、最終的に標準治療に代えて、より良いオプション治療を提供されるという真の患者さんのメリットということを、現時点では直ちに評価できない状況があると判断いたしました。
薬事未承認の医薬品等を伴う医療技術の場合、薬事承認申請の効率化に資するかどうかということですが、今回は保険収載という意味合いが強いかと思いますけれども、技術の成熟度自体には問題ないと考えられます。成熟したエキスパートパネルと連動して実施される範囲においては、本技術の薬事承認を妨げるようなデータというものは得られていませんけれども、その効率化に資するかどうかという判断は、先ほど総合的なコメントに申し上げたとおりということになります。私からは以上です。
○上村(尚)構成員
ありがとうございました。本件につきまして、何か構成員の先生方から質問等があればお願いいたします。天野構成員、どうぞ。
○天野構成員
ありがとうございました。質問というか、確認を2点させていただきます。1点目ですが、先程来、いわゆる標準治療以外のオプション治療を実際受けられる割合も現時点で出ていないということで、これは結局、最終報告までには提示されるという理解でよろしいでしょうかというのが1点目です。
2点目が、パネル検査に関しましては、多くのがん患者さんが初回治療からの保険適用を切望しているという状況があるわけですが、今後保険収載等が検討されるためには、どういった評価項目がしっかりと提示されれば、そういった保険収載についての議論に資するのかということだけ改めて教えていただければと思います。以上です。
○真田構成員
主担当をいたしました真田でございます。まず、1つ目の御質問については、この結果が提示されますかということですけれども、これは副次評価項目にしっかり入っていますので、最終報告書では提示されるものと認識しています。
2つ目は、どのような評価項目がということなのですけれども、これは一口で申し上げるのは難しいのですが、先ほど申し上げましたように、先進医療の主旨としては、標準治療と同等以上に患者さんに実際のメリットがあるかというところが非常に重要な観点の1つだと認識していますので、実際にこの結果を反映して、標準治療というか、この結果なかりせばの治療以外のオプションが提示されるということがまず1つでしょうし、ここから先はどの程度データが得られるか分かりませんが、理想的には、やはりそれが標準治療よりも良い結果を提供できたかというところは、究極の目標としては提示されるといいのではないかとは思いますが、現実的にそれまでのデータがどれほどクリアに出てくるか、あるいは先ほど申し上げたような地政学的な不安定さや治験が実施されているかという不安定さを勘案して、それが評価できるかどうかというところの不安定性もありますので、それらを総合的に勘案してということになるのかなと最終的には考えています。以上です。
○上村(尚)構成員
ありがとうございます。戸高構成員、いかがですか。
○戸高構成員
1つ教えていただきたいのですけれども、両御担当の先生から、安全性については体外診断薬であるので全く問題ないという御発言があったのですけれども、考え方を教えていただきたいのですが、御存知のように、体外診断薬はリスク分類が国際分類でされており、特にがん関係の体外診断薬はハイリスクに分類されていると思うのです。その診断が正確でなかった結果としてその患者さんに与える影響ということで、安全性が議論されていると思うのですけれども、その辺りはどちらかというと、このケースですと有効性のほうに分類されるというようなお考えになるのでしょうか。その辺、余りうるさいことを言うつもりはないのですが、考え方を教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○真田構成員
真田です。少なくとも私の理解としては、今回評価した安全性というのは、その技術そのもののハードな部分が患者さんに及ぼす影響としてどうかというところを議論したと理解しております。先生が御指摘のようにエキスパートパネル等々を含めた、要は最後に供される診断としてのリスクということになりますと、これは誤った治療が提供される可能性があるという面においてリスクが高いということは先生の御指摘のとおりだと思いますが、それは有効性のところで議論したと今回については申し上げられるのが適切かなと考えています。以上です。
○上村(尚)構成員
ありがとうございます。ほかに何かございませんでしょうか。確認なのですけれども、先ほど技術の概要図を真田構成員から説明を頂いたと思いますけれども、事務局、もう一度それを出していただけますか。29ページ(資料1-3)だったと思います。この図、数字が右と左に分かれていて、数字をどうやって読めばいいのか私は若干理解に苦しむところがあったのですが、エキスパートパネルでの評価をしなければ右側に落ち着いたところなのだけれども、この研究体制の中で設置されたエキスパートパネルでの評価を行った結果が、この左側の緑色にハイライトされた数字に落ち着きましたという、そういうお話なのですか。
○真田構成員
ありがとうございます。本技術については、恐らくパネル検査は一般的にはそうだと私は認識しているのですけれども、出てきた解析レポート上の結果について、エキスパートパネルにおいて、その結果を再検討して的確解を出すという、1セットの診断プロセスだというように認識をしていて、少なくとも本技術については、もともと全例エキスパートパネルにかかるということを最初から試験計画としてうたっておられましたので、このような結果になるということです。
そのレポートをそのまま返すというところと、エキスパートパネルを経た結果を提示するというところでは、当然その結果は異なるということがありますので、その異なりようについても、今回は総括報告のところで議論されるということになっていて、その一部を、先ほど伊藤先生から御検討結果を御公表いただいたところだと認識しています。ですから、これは必ずしも同じことにならずに、どちらかというと、やはりエキスパートパネルの結果が、最終的な結果として患者さんに返されるのではないかということで、この技術自体、全体の有用性については、やはりエキスパートパネルのファンクション、エキスパートパネルの能力というのが非常に大きく影響するということは、最終的には間違いないと考えています。
○上村(尚)構成員
なるほど。ですので、確認としては、左側の数字、エキスパートパネルに基づく治療というのが105名分あって、例えば治験・臨床試験58例という数字が出ていますけれども、これはあくまでもエキスパートパネルが、こういったものを推奨できますということを言っているのだけれども、いろいろな事情で実際にその治療にたどりつくかどうかというのが1ステップ、もう1ステップあって、仮にその治療をした結果、標準的な今までの治療と比べて患者さんにベネフィットが得られたかというのは、これから精査していく必要があって、そのデータについては、今回はまだまとめられる状況にはないということですよね。
○真田構成員
私としてはそのような認識なのですけれども、どなたか御専門の先生で、いや、それは違うとおっしゃるようであれば、是非御指摘いただければと思います。
○上村(尚)構成員
なかなかActionableとかDruggableという言葉の定義が難しいかなと思って読んでいまして、一応書いているのですけれども、遺伝子変異があれば、Actionableと言ってしまえばActionableなのかもしれないけれども、結局やはり重要なのはDruggableであり、かつavailableでないといけないので、それは恐らく、米国の抗がん剤等の承認の状況と国内の状況が違っていたり、あるいは治験の実施の状況が違っていたり、それがまた時間軸で変化していきますので、ある瞬間にDruggableでなかったものが、明日からDruggableになったりすることがあるわけです。だから、評価としてはすごく複雑かなとは思いました。
単純にパネルの検査の話だけではなくて、システムの話になってしまっているので、このシステムをどう評価するかみたいな話ですよね。ですので、今までの何というか、ある特定のがん、ターゲットに対して新しい薬が出てきて、その薬があるがん種に対して効きますかという話は、比較的分かりやすい評価でできたのかもしれませんけれども、この技術の評価をすることに関していうと、今のお二人の評価、技術専門委員からの評価からもありましたけれども、今後そういったところを考えていく必要があるのかなということと理解しました。
最初に遺伝子パネルの検査が出てきたときに、問題点として、遺伝子の変異が見付かっても治療法にたどりつかない人たちが多いのではないかという議論があったかと思いますけれども、少なくとも、Actionableな遺伝子というのが見付かってくるということと、Druggable、現時点で考えられている治療法ですけれども、それがある一定数はありそうだということが、このデータからはある程度示唆されているので、1つは進歩しているのかなと思いました。個人的な感想です。
ほかに何か御質問等ありませんでしょうか。それでは、ただいま御審議いただきました告示番号51については、結果を取りまとめて、先進医療会議に御報告いたします。以降の審議につきましては、竹内座長に進行をお戻しいたします。ありがとうございました。
○竹内座長
上村先生、ありがとうございました。それでは、北川先生にお戻りいただきたいと思います。
(北川座長代理 入室)
○竹内座長
ありがとうございます。それでは、続いて試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発政策課長補佐
事務局です。御説明いたします。今回、試験計画等の変更申請が1件提出されております。資料2の31ページを御覧ください。慶応義塾大学病院からの申請で、告示番号46、抗腫瘍自己リンパ球輸注移入療法です。適応症は子宮頸がん(切除が不能と判断されたもの又は術後に再発したものであって、プラチナ製剤に抵抗性を有するものに限る。)です。
御審議いただく変更内容については32ページを御覧ください。主な変更内容として、1.患者登録の一時中断です。変更申請する理由としては、1.本先進医療で用いる特定細胞加工物は、本邦で唯一、テラ株式会社の細胞培養加工施設でのみ製造可能であったが、令和4年8月5日にテラ株式会社が倒産したことに伴い当該施設は閉鎖され、破産管財人のもと、現在譲渡先を選定中となっている。このため、当面は患者登録が不可能であることから、患者登録の一時中断をするに至った。今後については、事業譲渡先やその条件等が判明した時点で、本先進医療が継続可能かどうかを改めて検討することを考えている。なお、倒産時に試験登録中の患者はいなかったため、患者への直接の不利益はなかった。以上です。
○竹内座長
ありがとうございました。ただいまの説明ですが、御意見等はありますか、よろしいでしょうか。天野構成員、どうぞお願いします。
○天野構成員
ありがとうございます。1点確認でございます。倒産時に試験登録中の患者さんはいなかったということで、患者さんへの直接の不利益はないというような記載をしていただいているのですけれども、既に登録されて投与されている患者さんが1人いらっしゃるかと思うのですが、その患者さんには説明等は行われたのかを確認していただけますでしょうか。というのは、御自身が受けられた治療の会社が倒産されているということで、精神的な不安を感じていらっしゃるかもしれませんし、また、プロトコルは存じ上げないので何とも言えませんが、例えば増悪等をした場合に、再投与をするとかといったプロトコル等になっている場合はいろいろな問題が生じるかと思いますので、既に投与されている患者さんに対しても適切なケア等をお願いできればと思います。以上です。
○竹内座長
事務局からお願いします。
○医政局研究開発政策課長補佐
事務局でございます。貴重な御指摘をありがとうございます。申請医療機関のほうに申し伝えさせていただきますので、どうぞよろしくお願いします。
○竹内座長
ありがとうございました。大変重要な御指摘でございました。よろしくお願いします。後藤先生、お願いいたします。
○後藤構成員
後藤でございます。ちょっと教えていただきたいのですが、例えばこのような細胞培養加工施設を経営していらっしゃる所が倒産するというのは、どのぐらいの頻度で起こり得ることなのでしょうか。もしお分かりになれば、事務局の方で構わないので教えていただければと思います。そのようなことがよくあるのであれば、何かそういう対応、バックアップなどもしなければいけないですし、そんなにはなくて、これは本当に珍しいことであるならば、バックアップは必要ないかなというように思った次第です。よろしくお願いいたします。
○竹内座長
事務局のほうでお答えいただけますか。
○医政局研究開発政策課長補佐
事務局でございます。この2年ぐらいの間に、このような倒産というようなことになった案件というのは、当局としては承知しておりませんが、過去に遡ってどうかまではデータがありません。よろしくお願いいたします。
○後藤構成員
分かりました。今ご説明のバックアップというのは、必ずここが倒産したら違う所に行くというものではなく、一旦中断して、新たに施設を探すということを意味していらっしゃるという理解でよろしいのでしょうか。
○医政局研究開発政策課長補佐
こちらについてのルールですが、先進医療を申請する際に、持続可能性については審査の中に入っていて、そちらのほうについて必ずバックアップの体制が整っているかどうかは審査されることです。本件についてはやむなしということで、逆に言うと、中断に至った場合に、そちらの報告を必ずしていただいて、これを変更申請にかけ、かつ、こちらに記載があるように、適正な対応をされているかどうかについても御報告を頂くという形になっております。
○後藤構成員
ありがとうございました。確認なのですが、通常はバックアップ体制もちゃんとしているかも含めて審査対象になっているけれども、この場合にはそれがなかったという理解でよろしいのでしょうか。
○医政局研究開発政策課長補佐
正確な理解としては、最善を尽くしたけれども、事前の新規評価時の状況よりも別の事象が生じて、どうしようもなくなったということです。ただし、どうしようもなくなったということは必ず報告が必要でして、いろいろと前例もありまして、この際には必ず事務局にて状況を把握して、患者様に不利益がないかどうかという確認をさせていただいております。
○後藤構成員
ありがとうございました。
○竹内座長
それ以外に御質問等はございますでしょうか。よろしいですか。この一時中断、そして譲渡先を選定中ということで、これは見付からないというケースもあろうかと思いますので、様々なことは事務局のほうで調べていただきたいというように思います。よろしいでしょうか。告示番号46の変更については、以上のことを調べていただいた上でお認めいただくということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。
続いて、先進医療Bの協力医療機関の追加について、事務局から説明いただきます。
○医政局研究開発政策課長補佐
事務局でございます。資料3-1の33ページを御覧ください。告示番号66について、7件の協力医療機関の追加申請がありました。
資料3-2の35ページ以降を御覧ください。事務局において、先進医療実施可能とする保険医療機関の要件(様式第9号)を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加として御了承いただきたく存じます。特に御意見がなければ、手続を進めさせていただきます。以上です。
○竹内座長
ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは、事務局のほうで手続を進めていただきたいというように思います。
次に、その他ということで事務局からお願いします。資料4です。よろしくお願いします。
○医政局研究開発政策課長補佐
事務局でございます。御説明いたします。資料4の37ページを御覧ください。こちらについて、第137回の先進医療技術審査部会における腹腔内投与化学療法に関する藤原構成員の御指摘を踏まえて、この度、先進医療Bで行われた腹腔内投与化学療法のまとめを公表資料として御提示することといたしましたので、御報告を申し上げます。以上です。
○竹内座長
ありがとうございました。この資料には、これまで行われた腹腔内投与化学療法が一覧として記載されていて、研究者あるいは患者さんにとっても便利な資料になるかなというように思います。何か御意見等はありますでしょうか。これまで余りこのような試みというのはされてこなかったということで、非常に良い取組なのではないかなというように思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、本日の議題は以上で終了でございます。構成員の皆様、全体を通して何か追加の御意見や御質問等はございますでしょうか。よろしいですか。では、次回の日程を事務局から御案内いたします。よろしくお願いします。
○医政局研究開発政策課長補佐
事務局でございます。次回は令和4年11月17日木曜日の開催とさせていただきます。時間は16時~18時までの予定で、詳細については別途、御連絡させていただきます。
また、本日の議事録については作成次第、先生方に御確認をお願いし、その後公開をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
○竹内座長
それでは、これをもちまして第140回先進医療技術審査部会を終了させていただきます。どうも御協力ありがとうございました。
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