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2022年7月14日 第136回先進医療技術審査部会 議事録

 
 


(1)日時:令和4年7月14日(木)16:00~

(2)場所:TKP新橋カンファレンスセンター「ホール14D」(オンライン)

(3)出席者
山口座長、一色座長代理、天野構成員、伊藤(澄)構成員、上村(尚)構成員、上村(夕)構成員、掛江構成員、後藤構成員、坂井構成員、真田構成員、柴田構成員、戸高構成員、飛田構成員、藤原構成員、松山構成員、谷川原技術専門委員

(事務局)
医政局研究開発政策課長
医政局研究開発政策課 治験推進室長
医政局研究開発政策課 課長補佐
医政局研究開発政策課 先進医療係長
保険局医療課 先進・再生医療迅速評価専門官
医薬・生活衛生局医薬品審査管理課 審査調整官


【議題】

1.総括報告書の評価について
2.新規申請技術の評価結果について
3.試験実施計画の変更について
4.協力医療機関の追加について
5.その他

【議事録】
○山口座長
 定刻となりましたので、第136回先進医療技術審査部会を始めます。御多忙のところ、お集まりいただきありがとうございます。本日はオンラインでの開催でございます。最初に事務局から御連絡をお願いします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 事務局でございます。弊省の組織再編に伴いまして、本部会の事務局である医政局研究開発振興課の名称が、6月28日付けで医政局研究開発政策課に変更となりましたので御報告いたします。
 
○山口座長
 続いて、事務局に交代があったということで説明をお願いします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 6月28日付けで事務局員の異動がありましたので御紹介いたします。医政局研究開発政策課から、荒木裕人課長です。医薬・生活衛生局医療機器審査管理課から、安藤麻里子先進医療機器審査調整官です。どうぞよろしくお願いします。以上です。
 
○山口座長
 よろしくお願いいたします。本日の構成員の出欠状況ですが、本日は、伊藤陽一構成員、神村裕子構成員、北川雄光構成員、佐藤雄一郎構成員、田島優子構成員より御欠席の御連絡を頂いております。本日は技術専門委員として、谷川原祐介委員に御出席いただいております。また、一色高明座長代理には、本日は会場にて御出席いただいております。どうもありがとうございます。現在のところ、本日は20名の構成員のうち14名の構成員にお集まりいただいておりますので、本会議が成立していることを申し添えます。
 それでは、配布資料と本日の審査案件の確認を事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 傍聴者の方の撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 配布資料について確認します。議事次第から座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。総括報告書の評価についてとして資料1-1~資料1-3、新規申請技術の評価結果についてとして資料2-1~資料2-5、試験実施計画の変更についてとして資料3~資料5、協力医療機関の追加についてとして資料6-1及び資料6-2と続きまして、会議資料の最終ページは82ページになります。お手元の資料に乱丁、落丁等がありましたら、事務局までお知らせください。また、構成員の皆様には本日送付いたしましたが、資料1に関する差し替え資料もありますので、併せて御確認ください。
 続きまして、利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業について、事務局から事前に確認させていただいております。今回、告示番号旧25の技術、横浜市立市民病院からの総括報告に関して、飛田構成員から、御家族が対象企業の職員である旨の御報告がありました。つきましては、議事の取りまとめを含む検討及び事前評価に加わることができませんので、当該技術に係る審議の際は一時御退席いただければと思います。
 また、当該技術について、上村尚人構成員からも御報告がありましたが、50万以上500万円未満でしたので、議事の取りまとめのみ加わることができません。また、当該技術について、谷川原技術専門委員からも御報告がありましたが、50万円以下でしたので、当該技術の議事取りまとめ及び事前評価に加わることができます。
 事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がありましたら、この場で御報告をお願いします。それでは、該当なしということで承知いたしました。
 今回は資料等を事前にメールでお送りしております。会議資料と区別して、構成員・事務局限りの届出資料等を「タブレット資料」というように御案内します。また、会議資料とタブレット資料の内容は異なっておりますので、発言者は会議資料の何ページ又はタブレット資料の何ページというように、あらかじめ御発言を頂けますと議事の進行上助かります。なお、差し替え資料もありますので、そちらを用いる場合は差し替え資料の何ページと御発言ください。
 本日はオンラインでの開催となり、構成員の先生方には大変御不便をお掛けいたします。御発言いただく際には、最初にお名前をおっしゃっていただくようお願いいたします。その他、途中で接続トラブル等ありましたら、お知らせいただきますようお願いします。Web会議ソフトには手挙げ機能が付いておりますので、こちらも適宜御活用いただければと存じます。以上です。
 
(後藤構成員入室)
 
○山口座長
 ありがとうございました。早速、議事に入りたいと思います。総括報告書の評価結果について、事務局から御説明をお願いします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 資料1-1の15ページを御覧ください。先進医療Bの総括報告書に関する御評価を頂きますのは、告示番号旧25「ニボルマブ静脈内投与及びドセタキセル静脈内投与の併用療法」です。申請医療機関は横浜市立市民病院です。審査担当構成員は、主担当が一色座長代理、副担当が柴田構成員、技術専門委員が谷川原委員となっております。
 また、冒頭でもお知らせしましたが、資料1に関する当日差し替え資料及び改訂資料についても、併せて御確認いただければと存じます。
 なお、冒頭で申し上げたとおり、飛田構成員におかれましては、利益相反の関係で、本議題の審議に際し御退席いただきたく存じます。御協力のほどよろしくお願いします。

(飛田構成員退席)
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 それでは、資料に沿って御説明いたします。従来は、プラチナ製剤を含む治療後の非小細胞肺癌再発例に対する標準治療はドセタキセルであった。しかし、近年、プラチナ製剤を含む化学療法無効又は奏効後に再発した非小細胞肺癌患者を対象としたニボルマブの第Ⅲ相試験が報告されている。その結果から、プラチナ製剤を含む治療後の不応ないし再発例に対する非小細胞癌の化学療法として、従来のドセタキセルに代わって、ニボルマブが標準治療として確立された。本研究は、試験治療B群(ニボルマブ+ドセタキセル併用療法)の有用性を標準治療A群(ニボルマブ単剤療法)との比較にて検討するとあります。
 第Ⅱ相部分についてですが、主要評価項目は6ヶ月無増悪生存割合、Grade3以上肺臓炎発生割合(12週以内)で、副次評価項目は奏効割合、有害事象発生割合です。
 第Ⅲ相部分についてですが、主要評価項目は全生存期間、副次評価項目は無増悪生存期間、奏効割合、有害事象発生割合です。目標症例数は350例で、登録症例数は131例となっております。以上でございます。
 
○山口座長
 ありがとうございました。本技術の評価について、主担当の一色座長代理から説明をお願いします。
 
○一色座長代理
 資料1-3、39ページを御覧ください。本研究は、既治療の進行・再発非小細胞肺癌患者を対象に、ニボルマブとドセタキセルの併用療法の有効性・安全性を検討し、将来の併用療法の薬事手続きにつなげるデータを得ることを目的として行われたものです。標準治療としてニボルマブ単独療法、試験治療としてニボルマブ+ドセタキセル併用療法で比較をしております。
 先ほど事務局から御説明がありましたが、本研究は海外を含めてこれらの薬剤の併用療法の先行データがないことから、安全性と有効性を確認する目的で第Ⅱ相と第Ⅲ相の2段階に分けて行われました。
 第Ⅱ相では両群で50例ずつの登録が行われた時点で中間解析が行われております。これらの結果の詳細は割愛しますが、効果・安全性評価委員会にて、第Ⅱ相部分の安全性、有効性ともに問題ないと判断されたことを受けて、第Ⅲ相に移行されました。
 第Ⅲ相については、当初の目標症例数は350例とされていましたが、研究開始時には禁止されていたニボルマブの初回投与が承認されて以後、症例登録が進まなくなったことを受けて、効果・安全性評価委員会から中止勧告が発せられ、最終的に計131例、単独群66例、併用群65例で登録終了となっております。また、統計的な検出力不足が発生したことを理由にして、追跡期間も当初は2年を計画されておりましたが、1年に短縮されております。
 結果に移ります。第Ⅲ相の解析の結果ですが、有効性は治療非施行例及び不適格例を除いたそれぞれ64例ずつで評価をされました。主要評価項目の全生存期間は、ニボルマブ単独群ではイベント数42例で中央値14.7か月、併用群ではイベント数33例で23.1か月と、有意差をもって延長することが示されました。副次評価項目である無増悪生存期間では、それぞれイベント数54例3.1か月、55例6.7か月、奏効割合では8例14.0%、23例41.8%と、双方ともに併用群で有意に改善することが示されました。
 安全性については、それぞれ1例ずつの治療非施行例を除いた65例と64例で評価されました。有害事象としては、両群で低アルブミン血症、倦怠感、貧血、その他多数のものが報告されましたが、重篤のものの頻度は標準治療群で11例16.9%、併用群で14例21.9%に発生しており、Grade3以上の肺臓炎は両群ともに2例に認められました。治療と関連した死亡は、両群に1例ずつ認められ、標準治療群では肺臓炎にて、併用群では重症筋無力症を合併した心筋炎の症例で死亡しております。これらの有害事象については、併用群で明らかに頻度が増加しておりまして、有害事象によりプロトコル治療が継続不可となった割合は、標準治療群9.4%、併用群39.1%であったことなど、本併用療法は安全面ではリスクが大きい治療法であることが示唆されております。
 以上を踏まえて、評価をさせていただきました。当日差し替え資料1-1の5ページを御覧ください。私の評価が記載されております。有効性については、主要評価項目、副次的評価項目を含め、有意差をもってニボルマブ・ドセタキセル併用群で予後改善効果が示されたことは十分評価できるものと考えました。ニボルマブの承認条件の変更に伴って、当初の予定よりも少ない症例かつ早期登録が中止になったという点におきましては、試験としての信頼性は必ずしも十分とは言えませんが、登録症例の80%の患者が2年間の追跡を完了していることを踏まえて、Aとしてよいのではないかと考えました。
 安全性に関してですが、個々の合併症の項目については、概ね既知の事象と考えられましたが、死亡例や肺臓炎などの重篤な副作用があることや、併用により合併症の頻度が増加することが示唆されていることなどから、Cと判定しました。本療法に際しては、安全性を考慮した十分な合併症対策が必要と思われます。なお、本報告書における安全性に関する記載については、全体像が把握しにくく、また、一部には不適切と考えられる部分もあったことから、記載の修正を求めて対応していただいているところです。この点については、後ほど柴田構成員及び谷川原技術専門委員からコメントを頂けると思います。
 技術成熟度については、想定される合併症が多彩であること、一旦発症すると重篤となりうるものが含まれていることなどを踏まえ、数多くの経験を積んだ医師の関与の下で、関連する診療科との連携を確立して行うべき治療法と考え、Bとしました。
 総合コメントですが、本試験の対象は、既治療の進行・再発非小細胞肺癌という予後不良の疾患ですので、ニボルマブとドセタキセルの併用によって、一定の予後改善効果が示されたことは、意味のあることと思っております。
 しかしながら、本併用療法でFAS64例中62例で、治療無効あるいは有害事象のあることを理由に試験中止を余儀なくされていることや、この治療によってコンプリートレミッションが得られたのは1例のみと延命効果は限定的であるということを踏まえますと、本治療を適用する場合は、期待される有効性と合併症発生時のリスクを慎重に評価して行うべきではないかと考えます。なお、従来の治療法と比べて予後改善効果が示されていることから、本研究の結果は、薬事手続き上の資料として一定の価値があるものと考えております。そのためには、安全性に対する評価を確立することが重要と思われます。私からは以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。続いて、副担当の柴田構成員より御評価をお願いいたします。
 
○柴田構成員
 柴田です。今、映っている資料1-1の6ページを御覧ください。まず、有効性はBとしました。3点のコメントを記しておりますので、順を追って御説明いたします。
 有効性に関しては、事前に定めた判断基準に照らしてエビデンスが示されており、結果の点推定値からはハザード比は0.63です。Aとの判断も下しうる状況で、Aに近いBという趣旨ですので、お二方の先生の御判断と本質的に差があるものではないと御理解ください。ただ、検出力がかなり低いことと、先ほど一色先生からも御指摘があったように、80%の方は2年追跡されているのですが、1年に短縮されているということも踏まえてBといたしました。
 コメントの2点目です。本試験の結果は今後、添付文書の改訂等に使われる可能性があると理解しております。適応拡大のための一部変更承認申請が必要になるのか、単に添付文書の使用上の注意の記載の改訂でとどまるのかという論点はあり得まして、私の理解では後者を選択しうるものと認識しております。ただ、いずれの場合であっても、臨床試験の結果に対して一定の信頼性の確認が必要で、一変申請をするのであれば、コメント欄にも示したように、今年3月31日に発出された厚労省の医薬品審査管理課の事務連絡「特定臨床研究で得られた試験成績を医薬品の承認申請に利用する場合の留意点・考え方の例示について」を参考に判断されることになると思います。
 また、先ほどお話した選択肢の後者ですけれども、PMDAの医薬品添付文書改訂相談に基づく添付文書改訂を行う場合には、一般に製造販売後臨床試験等の結果に基づいて行われるわけですが、必ずしも製販後臨床試験に限定されている制度でもないはずですし、申請資料に用いる場合の論点整理が事務連絡として出されているわけですから、やはりこの事務連絡で取り上げられている事項への適合状況を確認しておくべきかと思い、あらかじめ申請医療機関に確認いたしました。
 読み上げることは省略いたしますが、資料1-2の6、7ページに結果が記されております。ここでは、事務連絡に示されている「特定臨床研究で得られた試験成績を医薬品の承認申請に利用する場合の留意点・考え方の例」の各論点に関してお伺いしました。本臨床試験の実施状況として、PMDAの方が見られる書類とは一致してないと思いますが、現時点で私どもで確認できた範囲では、資料や事前の照会事項の回答の情報から判断する限りは、基本的に対応されていると解釈しております。
 補足をしますと、海外におけるICH-GCP準拠の臨床試験の実施状況は、ある程度多様性があり、その範囲内に収まっているというように理解しております。改めて、評価表に書いてない情報を更に少し補足しますと、例えば英国で行われているRECOVERY Trialというプラグマティックトライアルがあります。その結果は、欧州の薬事承認申請とか、日本においても参考資料でしたけれども薬事承認申請資料に使われているという実績がある、そういう臨床試験なのですが、その試験ではいろいろな点で、一般的に日本でイメージされている治験の管理とは違うやり方がされています。例として、被験薬の管理記録について取り上げますと、臨床試験のための特別の管理をせずに医療機関の手順に従うと規定されているというものもあります。ICH-GCPに準拠していることという条件を考える際に、あたかも世界中で画一的な手順によって臨床試験が行われているかのように誤解してしまいがちですが、実際にいろいろなものを調べてみるとそうではなくて、それぞれの臨床試験の置かれた状況において、被験者保護と科学性の担保をするための手立てを様々な水準で実装しているということを認識した上で議論されることが必須だと思いますので、あえて補足させていただきました。
 3点目ですが、最後はテクニカルな話です。片側5%水準を設定することの是非について、論点を整理して記しました。ICH-E9では、両側5%水準での検定が推奨されていますけれども、本試験は片側5%で行われています。一般に、両側5%よりも片側5%のほうが緩い基準と言われますし、実際にそうなのですが、その妥当性を検討する上で、ここでは論点を2つ取り上げて評価しました。まず、両側検定か片側検定かの選択の是非です。次に、片側2.5%を片側5%に緩めることの是非の2つです。
 本試験は、標準治療のニボルマブ単剤療法と、明らかに副作用が増えるであろう試験治療のニボルマブ+ドセタキセル併用療法を比較する試験で、後者が前者に劣っていることのエビデンスを統計学的有意に示すべき状況にはありません。表現を変えますと、本試験における登録期間中の中間解析は群間比較によらない方法に基づいて行われているので違うのですが、通常、無効な治療に患者さんが割り付け続けられることを回避する設定として、一般的に設定されるときの考え方を御説明しますと、一定の時間経過を伴いつつ被験者の登録を行う臨床試験では、仮に群間比較を伴う中間解析の段階で試験治療の効果が不十分であったことが分かったときに、毒性の強い試験治療が毒性の弱い標準治療に統計学的に有意に劣っていることが確認されるまで患者の登録を続けるということはあり得ません。つまり、不可逆的な転帰を伴う疾患や重篤な疾患を対象に、副作用の負担が明確に異なる、新治療のほうが明らかに副作用が増えるであろう状況下で比較を行うという試験の設定、今回の試験がこのような設定なのですが、それを踏まえますと、片側検定を選択していることは妥当だと思います。
 一方で、2つ目の論点については、立場によって判断が変わり得ると思いますし、受け入れるべきでないとおっしゃる方もおられるかと思います。これについては、ICH-E9ガイドラインの通知、平成10年の11月30日に出た古い通知なのですけれども、それに添えられている「「臨床試験のための統計的原則」に関する質疑応答」という文書の中では、次のように書いてあります。「ただし、適切な説明ができるのであれば(略)稀少疾病用医薬品にみられる例のように十分な被験者を集めることが困難な場合は有意水準を緩くする、などの措置をとってもよい。」とされていますので、形式的に否定されるべきではないということだと考えております。評価者の私の立場では、対象集団の設定に鑑みて、有意水準を緩くしていることは本試験の場合は許容し得ると判断いたしました。
 次に、安全性についてです。こちらはCとしております。重篤な免疫関連有害事象として重症筋無力症、筋炎・心筋症を生じて死亡された方も1名おられますし、現時点で、本併用療法に伴うこれらの発現頻度を、現時点で正確に推定することは難しいわけですけれども、65例中1例と、既知の発現頻度よりも高い可能性があり、倦怠感やその他の事象の発現率も上昇していますので、一定の注意が必要だと思います。こちらにコメントとして書いたことですが、先ほど一色先生からも御指摘がありましたけれども、申請医療機関における副作用や有害事象、重篤な有害事象等に関する考察は、少し理解に苦しむところがあります。詳細は照会事項のやり取りの記録を見ていただければよいかと思いますが、不適切なところもありましたので、その部分はしっかりと書き直していただくということを念頭に改訂していただいております。ここは以上です。最終的には改訂がなされましたので、問題はないかと思います。
 最後の技術的成熟度はBとしております。副作用の頻度増加に加え、その中でも取り分け免疫関連事象として重篤・致死的なものが生じ得ることですとか、近年、対象集団の治療成績も向上し、予後が改善しつつあるということも踏まえると、単に統計学的に有意に生存期間の延長が示されたことのみをもってよしとするのではなく、示されている有効性のエビデンスと副作用などとの比較衡量、リスク・ベネフィットバランスの慎重な検討が必要だと思います。
 特に、免疫関連事象は注意が必要だと思いますし、先ほどお話したように、重症筋無力症を例として挙げますと、既存の添付文書上は0.1%未満という書き方ですが、今回の試験の登録患者数の中で1例発現しています。これがたまたまなのか、併用療法等によって発現頻度が上昇しうるのかについては、今後も慎重に情報収集をして、リスク・ベネフィットバランスを考慮した上で、治療の選択肢としての妥当性を検討していただく必要があると考えております。このようなこともありますのでBとした次第ですが、今後、本併用療法が臨床導入されるのであれば、副作用等に関する患者さんへの情報開示、世の中に対する情報開示というのが重要になるものと考えております。私からは以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。続いて、谷川原技術専門委員より御評価をお願いします。
 
○谷川原技術専門委員
 谷川原です。まず、画面に出ている有効性についてです。既に、一色先生、柴田先生が御指摘のように、有効性については一定の効果が得られていると考えられます。ただし、信頼性にはやや疑問が残るという評価になりました。
 次に安全性です。安全性はCという評価にさせていただきました。実際に資料を拝見する限り、併用治療群はニボルマブによるirAEとドセタキセルによる副作用が重積して発現することが明白であり、ニボルマブ単独治療に比べて、併用治療は副作用が大幅に増加いたします。明らかにリスクは増大しているにもかかわらず、申請者による副作用に関する考察並びに整理が不十分のため、再三の照会事項に対して差し替え資料が提出されたわけですが、やはり現段階では131例という限られた症例数でありますし、検討不十分という評価にならざるを得ないと考えております。
 一般的に併用治療の安全性評価として考慮すべきは、それぞれ個別の薬剤の安全性プロファイルは分かっているとしても、第1に、併用によって未知の副作用が発現したか、あるいは既存の副作用が重なるだけなのかという点、第2に、既知の副作用の程度がより重篤になったかという点、第3に、既知の副作用の頻度が増えたかという点、この3つの視点から考察する必要があると考えています。
 本試験で、まず第1の視点ですが、併用治療で報告された未知の副作用として、ニボルマブによる敗血症、あるいはドセタキセルによる心筋炎、注入に伴う反応、高血糖、重症筋無力症、紫斑が報告されておりますが、いずれも相手方の併用薬の副作用として既知でありますから、全くの未知の副作用が現れたわけではないと言えます。しかしながら、131例という範囲内での結果で、未知の副作用なしと結論付けることはできないというのは言うまでもありません。
 第2に、併用により既知の副作用の程度がより重篤になったかという視点で、本総括報告書をレビューしましたが、この報告書では、そういう視点からの検討はしておりません。そこで、内容を精査したところ、例えばドセタキセルによるDLTについては、過去の日本人におけるドセタキセル単独治療時の安全性情報に比べて、B群(併用群)のグレード3/4の好中球減少の頻度が89.1%と、やや高い傾向はありますが、これまでは概ね80%程度と報告されておりますので、大きく変わらないのではないかと考えます。一方で、発熱性好中球減少症20%については、単独治療時と大きな違いはないように考えられます。また、一般的にドセタキセルの血液毒性は、高齢者でよりリスクが高くなるとされておりますが、本試験の結果でグレード3/4の好中球減少やFNを来した症例の年齢分布は、全症例の年齢分布と違いがなく、特に高齢者でリスクが高まったことを示すものではないと解釈できます。しかしながら、現在のニボルマブの添付文書の記載内容は、本剤とカルボプラチン、パクリタキセル、ベバシズマブとの併用で、FNが15.8%という注意喚起がなされているのですが、それに比べて本試験では20.3%と高い毒性発現率を示しているため、注意喚起が必要であると考えられます。
 第3の視点、既知の副作用の頻度が増えたかについても、本報告書では検討しておりません。この総括報告書の中で、A群(単独群)とB群(併用群)で、様々な副作用を列記していますが、群間比較などの統計学的検討がなされていないため、その考察はなされておりません。最も注目していた肺臓炎ですが、最新のニボルマブの添付文書では3.6%という報告があります。今回は、それに対して、A群ではオールグレードで9例、グレード3以上は2例で3.1%、B群でもグレード3以上は2例で3.1%とのことですので、これまでのニボルマブの安全性情報と類似した傾向を示していると考えられます。ただ、オールグレードで見れば、添付文書記載の発現頻度より高いということはありますが、A群とB群で比較をしたところ、その違いは認められませんでした。
 総括報告書では考察されていないのですが、低アルブミン血症の発現が随分高く、ニボルマブの添付文書の記載では1%未満と示されているのですが、本試験では単独群で50%、併用群で67%と、発現頻度は大幅に上がっております。これがどういうことを意味するかということに関しても、総括報告書では触れられておりません。この解釈や考察が望まれると思います。
 以上のように、安全性に関する検討・考察が十分になされていないにもかかわらず、「安全性は容認できる程度であった」と結論付けたことは不適切であると報告しました。ただ、本日の会議直前の差し替えによって、今提出された総括報告書を確認したところ、この表現は変更されております。概観して、発現頻度や重篤度のリスク増大を示す積極的な兆候は認められないものの、131例とデータが限定的なため、注意深い対応が望まれると考えられます。
 最後に、技術的成熟度です。再三申し上げていますように、ニボルマブによるirAEとドセタキセルによる副作用が重積して発現します。両者は決して単独時より減っておりません。ですから、がん免疫療法及びがん化学療法に精通した医師の指導下で実施することが望ましいと考えられます。また、ニボルマブ単独よりは優れた有効性が期待できると評価できる一方で、副作用も経験豊富な医療者の下であればマネジメント可能な範囲内と考えられます。そのためには、本併用治療の安全性情報について十分な注意喚起を行って、適切に副作用管理ができる体制下で実施するならば、新たな治療選択肢になり得ると考えております。
 最後に、本試験は適格基準が化学療法既治療例の2次治療で、かつ、免疫チェックポイント阻害薬及びドセタキセルの両剤ともに未治療に限るという制約があるため、臨床応用されたときでも治療対象は多くないのではないかと考えられます。加えて、欧米での薬事承認がない、ガイドラインにも記載がないということも資料の中に書かれておりますので、国際的にはまだ認知されていないことが伺えます。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。それでは、一色座長代理から、もし何か追加のコメントがありましたらお願いします。
 
○一色座長代理
 私から追加のコメントはございません。
 
○山口座長
 ありがとうございました。ただいまの御説明について、何か御質問などはありませんか。では、私のほうからですが、差し替え版の資料1-1の3ページの一番下の結論の手前の所に、有害事象でプロトコル治療が継続不可となった割合が、A群では9.4%、B群では39.1%と、40%近い数字です。これだけ高いと、このままの形で実臨床に取り入れるということはなかなか難しいように思うのですが、その辺りについて御意見はありますか。
 
○一色座長代理
 これは、谷川原先生、御経験からいかがでしょうか。
 
○谷川原技術専門委員
 継続不可が40%というのは、おおむね2人に1人が治療を継続できなくなるということで、それだけ副作用が強いことを意味します。治療を継続できないということであれば、延命効果や予後に対するベネフィットを得られる方は、限られてくるのではないかという感触です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。
 
○一色座長代理
 追加させていただきますが、先ほど私のコメントの中でも申し上げましたが、結局、併用群の64例中62例がプロトコル中止に至っており、その中の39.1%がこういう理由だったということで、残りは治療無効と判断されているのです。ですので、予後の非常に悪い疾患を対象に行われて、死亡率も非常に高いという環境の中でのスタディということで、道はなかなか厳しいのではないかというのが私の印象でした。
 
○山口座長
 ありがとうございました。39.1%で継続不可となった理由が、例えば低アルブミン血症などということであれば、ひょっとしたら続けてもよかったのではないかと、そうすればもっと成績がよくなるのではないかという印象があったので伺ってみました。
 
○一色座長代理
 そこまでは報告からは読み取れませんでした。
 
○山口座長
 ありがとうございました。ほかにございませんか。それでは今、皆様から詳しく御説明いただいたとおり、成績は割といいのですけれども、副作用に関しては、十分に検討しなくてはいけない問題点が幾つか出てきました。従来の報告よりも合併症の率が高いとか、死亡例が出ているということも重大に取り扱わなければいけないことだと思いますので、皆様にまとめていただいた結果を取りまとめて、告示番号旧25については先進医療会議に御報告いたします。谷川原技術専門委員におかれましては、大変分かりやすい説明を頂きまして、ありがとうございました。
 
○谷川原技術専門委員
 どうもありがとうございました。それでは失礼いたします。
 
(谷川原技術専門委員退席)
 
○山口座長
 それでは、飛田構成員にはお戻りいただくことといたします。
 
(飛田構成員入室)
 
○山口座長
 では、新規申請技術の評価結果について、事務局から御説明をお願いします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明します。資料2-1、41ページを御覧ください。先進医療Bとして新規に御評価を頂く技術は、整理番号129、切除不能な肝門部領域胆管癌に対する生体肝移植です。申請医療機関は熊本大学病院です。審査担当構成員は、主担当が山口座長、副担当が田島構成員、飛田構成員となっています。
 資料2-5、63ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について、事務局より御説明します。こちらは様式第9号として左上に記載していますが、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件として考えられるものとしてお示しさせていただいています。
 1番目、実施責任医師の要件ですが、診療科は肝胆膵外科もしくは移植外科が必要。資格は、日本肝胆膵外科学会認定高度技能指導医もしくは専門医が必要。当該診療科の経験年数は5年以上が必要。当該技術の経験年数は5年以上が必要で、補注として、ここでの「当該技術」は生体肝移植全般を指すとあります。当該技術の経験症例数は、実施者「術者」として20例以上が必要で、補注として、ここでの「当該技術」は生体肝移植全般を指すとあります。
 2番目、医療機関の要件ですが、診療科は肝胆膵外科もしくは移植外科が必要。実施診療科の医師数は、経験年数5年以上の外科医師2名以上が必要となっています。他診療科の医師数は、麻酔科医及び病理診断医それぞれ2名以上が必要。その他医療従事者の配置は不要です。病床数は400床以上が必要。看護配置は10対1看護以上が必要。当直体制は実施診療科の外科医1名以上が必要。緊急手術の実施体制は必要。院内検査の24時間実施体制は必要。他の医療機関との連携体制は不要。医療機器の保守管理体制は必要。倫理審査委員会による審査体制は、審査委員会開催の条件として試験開始時及び重大な有害事象発生時となっています。医療安全管理委員会の設置は必要。医療機関としての当該技術の実施症例数は90症例以上必要で、補注として、ここでの「当該技術」は生体肝移植全般を指すとなっています。
 その他、A)日本肝移植学会の定める下記の生体肝移植実施施設基準を遵守すること。1.肝切除術が年間20例以上あること、又は小児科及び小児外科の病床数が合わせて100床以上の保険医療機関については肝切除術及び胆道閉鎖症手術が合わせて年間10例以上であること。2.当該手術を担当する常勤医師数が5名以上で、このうち少なくとも1名は肝移植の臨床経験を有すること。3.生体部分肝移植の実施にあたり、厚生労働省「臓器の移植に関する法律」の運用に関する指針(ガイドライン)、世界保健機関「ヒト臓器移植に関する指針」、国際移植学会倫理指針、日本移植学会倫理指針、日本肝移植研究会「生体肝提供手術に関する指針」、日本移植学会「生体肝移植ガイドライン」を遵守していること。
 B)日本肝胆膵外科学会の定める高度技能専門医修練施設Aであること。C)日本肝移植学会の「切除不能な肝・胆道がんに対する生体肝移植」検討委員会において成人肝移植の実績及び地域性(患者の利便性)に基づき、本先進医療の移植実施施設として承認されていること。
 3番目、その他の要件ですが、頻回の実績報告は不要。以上です。
 なお、本技術の審議については山口座長に御評価を頂いていますので、一色座長代理に進行をお願いいたします。以上です。
 
○一色座長代理
 ありがとうございます。それでは、ただいま御紹介いただいた要件について、構成員の皆様から御意見がありますでしょうか。ないようですので、それでは、様式第9号についてはお認めすることとします。
 次に、技術の概要と実施体制の評価について、主担当の山口座長より御説明をお願いいたします。
 
○山口座長
 資料2-2、43ページを御覧ください。今回の評価の対象は、熊本大学病院から申請された切除不能な肝門部領域胆管癌に対する生体肝移植です。
 技術の概要が資料2-4にスキームで書かれていますので、それをもとに御説明します。61ページを御覧ください。まず、肝門部と申しますのは、いわば扇の要のような所で、真ん中の図にありますように、ちょうどいろいろな脈管が肝臓に入って交差している場所です。したがいまして、静脈や胆管を時には切除する必要があったりという極めて難しい手術です。時には脈管の再建を伴うということになりますので、手術は通常10時間前後、場合によってはそれ以上かかる大変高度な技術を必要とする手術です。ただ、大変苦労して切除しますと、膵臓がんと違いまして、5年生存率は比較的いいので、かなり頑張って切除しているという状況です。一方で、切除できない場合は、5年生存率は10%以下と予後が極めて厳しい病気でもあります。
 裏のページの右下の所を御覧いただけますか。そこに海外での状況が書いてありますが、Mayo Clinicで肝門胆管癌に対して肝移植を行うということが報告されまして、70%という大変すばらしい成績が報告されて、米国のNCCNのガイドラインでは、肝門部領域胆管癌に対しては肝移植が適応するというように記載がされています。
 それから、生体肝移植は日本で開発された技術なのですが、既に毎年400例ぐらい行われていて、保険適用もされているわけですけれども、残念ながら肝門部胆管癌に関しては保険適用されていないということが今回のこういう研究が行われた大きな理由です。
 資料2-2の43ページをもう1回御覧ください。本研究は、肝細胞癌と肝芽腫にしか適応とされていなかった生体肝移植を、肝門部領域胆管癌にも拡大しようとする試みで、登録期間は5年、20名の登録と生体肝移植実施12名以上を目指しています。
 主要評価項目は3年生存率です。3年生存率が42%を上回った場合に、生体肝移植の有効性が確認されたと判断することになっています。副次評価項目は、そこに記載されていますように、短期の成績や再発形式等々が挙げられています。
 44ページを御覧ください。実施体制の評価ですが、責任医師の体制を適としました。それから、実施医療機関の体制も適、医療技術の有用性も適と考えました。以上です。
 
○一色座長代理
 ありがとうございました。続きまして、倫理的観点からの評価について、副担当の田島構成員が欠席ですので、事務局より代読をお願いいたします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 事務局です。資料2-2、44ページの中程を御覧ください。倫理的観点からの評価として、4.同意に係る手続、同意文書については適。5.補償内容については適。コメントとして、「説明文書及び同意文書に疑義があり、照会した結果、総ての点について所用の修正がなされたので、適としました。補償については、臨床研究保険に加入して所要の手当がなされています」とあります。以上です。
 
○一色座長代理
 ありがとうございました。続きまして、副担当の飛田構成員より、試験実施計画書等の評価について御説明をお願いいたします。
 
○飛田構成員
 飛田です。よろしくお願いします。私の評価は、先ほどの続きに記載させていただいています。今回の研究計画に関しては、適切に計画されており、いずれも適とさせていただきました。コメントとしては、先ほど山口先生からもデザインのお話をされていましたが、切除不能な肝門部領域の胆管癌に対する生体肝移植の保険収載を目的として、主要評価項目である移植後3年生存率を、既存の報告から設定した閾値10%と比較する単群試験を予定登録症例20例で、実際に移植実施例としては12例程度を目標として実施し、かつ、本試験の登録症例のうち移植に至らない非移植例からもデータを収集して、自然歴との比較等にも利用しようという計画になっています。
 この評価技術である移植に関して、本試験の無効中止基準として、研究者の先生方は移植後60日以内の死亡例が3例を超えないということで設定をしています。あと、かなり高度な技術が必要ということなので施設間でのばらつきや、移植実施例の症例数も12例程度、計画書では移植例が7例以上であれば十分だというような記載がありましたので、評価に与える影響について照会をさせていただき、資料2-3、47ページ以降にその回答があります。
 施設間の影響、術者の影響、施設の違いによるばらつきに関しては、先ほどの事務局からの説明にもありましたように、今回の実施施設が日本肝胆膵外科学会の定める高度技能専門医修練施設で実施するということになっていますので、施設間及び術者間の違いが、今回の試験の有効性、安全性の評価に与える影響はほとんどないと考察されています。
 また、予定登録症例数20例については、最大8例の非移植例を見込み、8例を超える非移植例が参加された場合には、研究の継続の可否を判断する計画となっています。また、生体肝移植群が少数にとどまった場合でも、移植患者が7例以上であれば、検出力はかなり下がるのですが、実施可能性の観点、10%の閾値との比較の観点から許容できる範囲であろうと考察されています。
今回の研究に関しては計画書としては適切に計画されていましたので、いずれも適と評価しています。以上です。
 
○一色座長代理
 ありがとうございました。それでは、1から16の総評について、主担当の山口座長よりお願いいたします。
 
○山口座長
 45ページ、総合評価ですが、適といたしました。コメントとしては、高度に進行した肝門部領域胆管癌に新しい治療選択肢を示すということで、非常に新しい試みだと思います。また、既に京都大学をはじめ、幾つかの施設から治療例が4例ほど出ていましたが、一応、短期の成績では安全に行えたという結果でした。ですが、今まで述べましたように、高度な技術や万全な体制が必要な移植医療ですので、ドナー及びレシピエントの安全性を確認しつつ慎重に進めていただきたいと思います。以上です。
 
○一色座長代理
 ありがとうございました。それでは、御討議をお願いいたします。どなたか御意見、コメント等はありませんか。天野先生、どうぞ。
 
○天野構成員
 天野です。御説明ありがとうございました。非常に細かい指摘かと思うのですが、タブレット資料に説明文書が掲載されていまして、その中で例えば472ページ
などを見ますと、「一旦、ご同意いただいた後であっても、いかなる理由であれ、参加を中止することはいつでも可能です」という文章が書かれていて、一般的にはそのとおりだと思いますが、ただ移植医療ということの特殊性を考えた場合、いつでも可能かというと、そうではないのではないかと考えるのですが、もしそうではなく、いつでも可能だということであれば、このままでいいのですけれども、本当にこのままの記述で大丈夫かどうかだけ確認していただければと思って指摘する次第です。以上です。
 
○一色座長代理
 これについてはいかがでしょうか。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 それでは、申請医療機関に問合せをさせていただき、必要に応じて修正をしていただくように申し伝えさせていただきます。ありがとうございます。
 
○一色座長代理
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。御意見はないようです。それでは、整理番号129については適ということにいたします。以降の審議については、山口座長に進行をお戻しします。
 
○山口座長
 どうもありがとうございました。続きまして、試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いいたします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 事務局でございます。御説明いたします。今回、試験計画等の変更申請が3件提出されております。資料3、65ページを御覧ください。富山大学附属病院からの申請、告示番号11、ハイパードライヒト乾燥羊膜を用いた外科的再建術です。適応症は再発翼状片(増殖組織が角膜輪部を超えるものに限る。)です。
 御審議いただく主な変更内容につきましては、66ページを御覧ください。1)説明同意文書(ドナー)の説明文及び添付資料、同意書(ドナー用)に新たなテーマを追加し、記載整備。2)誤記修正、更新などとなっております。
 変更申請する主な理由としましては、1)新たなテーマ「救急領域及び難治性皮膚潰瘍のハイパードライヒト乾燥羊膜(HD羊膜)を用いた外科的再建(探索的臨床研究)」は、本先進医療とともに一括で同意を取ることに伴い、記載の追加が必要なため。2)誤記の修正、人事異動による変更を反映したため。以上でございます。
 
○山口座長
 ありがとうございました。本変更内容につきまして御意見はございませんでしょうか。いかがですか。特にないようですので、それでは告示番号11の変更につきましては認めることといたします。
 続きまして、次の試験実施計画変更につきまして、事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料4、67ページを御覧ください。医療法人徳洲会、東京西徳洲会病院からの申請で、告示番号29、腎悪性腫瘍術により摘出された腎臓を用いた腎移植です。適応症は末期腎不全(慢性維持透析が困難なものに限る。)です。
 御審議いただく主な変更内容につきまして、67ページを御覧ください。次のページに別添の添付図がありますが、こちらにありますように、1.研究実施体制の変更、2.レシピエントからの収集情報の修正、3.誤記修正、記載整備とあります。
 変更申請する理由としましては、1.協力医療機関(湘南鎌倉総合病院)の移植実施医療機関から腎摘実施医療機関への変更。2.レシピエントの観察及び検査項目を抗凝固療法の有無から抗血栓療法の有無へ変更した。また、1年毎の登録更新時(ただし、新たな抗体産生がないと考えられる場合は除く)及び輸血等をした場合にはフローサイトメトリーによる抗HLA抗体の解析を実施することを明記した。3.その他記載整備、1.に伴う記載整備、個人情報保護法改正及び人を対象とする生命・医学系研究に関する倫理指針の一部改正に伴う記載整備、レシピエント登録手順の記載整備、人事情報の更新等。以上でございます。
 
○山口座長
 ありがとうございました。本変更内容について、何か御意見はございませんでしょうか。まだ1例も登録はされていないのですね、今のところ。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 ドナー側はない状況でございます。
 
○山口座長
 待機している方はおられるということですね。何か御質問はございませんか。特にないようですので、告示番号29の変更につきましてはお認めすることといたします。
 続きまして、次の試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料5、71ページを御覧ください。神戸大学医学部附属病院からの申請で、告示番号59、ベバシズマブ局所注入療法です。適応症は重症未熟児網膜症です。
 御審議いただく主な変更内容につきまして、72ページ以降を御覧ください。1.選択基準の追記と、それに伴うプロトコル治療開始基準、プロトコル治療日の定義の詳記。2.観察項目の追加。3.は、1.と2.に伴う独立データをモニタリング委員会の検討項目の追加。4.同意説明文書に1.と2.を反映。5.その他記載整備です。
 変更申請する理由としまして、1.本研究の治療は眼単位で行われる一方、症例登録は個人単位で行われることになっているため、同一症例について、左右眼で治療開始のタイミングが異なる場合についての取り扱いを、選択基準については「左右少なくとも1眼」と追記し、プロトコル治療開始基準については各眼で個別に判定することを明記、治療開始日の定義についても、各眼についてDay0を設定して管理することを詳記し、より明確に判別できる記載とした。2.片眼のみが治療対象の場合でも、未熟児網膜症の病状は概ね両眼で進行することが知られており、他眼の病状を確実に記録する必要があるため、観察項目として「他眼の確認」を明確に追加することとした。3.他眼の病状の変化につき、先行する片眼の治療の影響によるものか、原疾患の悪化によるものかを特異的に判断する必要があり、未熟児網膜症に対し既に片眼が加療されており、遅れて他眼が本研究の登録基準を満たした場合の「他眼病変の臨床研究との関連性」「他眼登録の可否」につき、独立データモニタリング委員会に新たに検討を依頼する事項とした。4.は、1.と2.の事項を同意説明文書に理解しやすいように反映した。5.担当者の更新、誤記修正など。以上でございます。
 
○山口座長
 ありがとうございました。本変更内容につきましては、何か御意見、御質問はございませんか。
 
○一色座長代理
 最後の所なのですが、「同意説明文書に理解しやすいように反映した」ということなのですけれども、これについては何らかのクロスチェックは必要ないのでしょうか。理解しやすいようになっているかどうかについて、いかがでしょうか。新規の場合は必ず内容の確認をされていると思いますので、こういう変更の記載が本当に妥当かどうかということについては、確認しないままスルーしてよろしいのかなと純粋に思った次第です。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 先進医療技術審査部会に変更申請をお出しする場合は、タブレット資料として新旧対照表をお出ししていますので、事務局でも確認しておりますけれども、こちらで御指摘があった場合、基本的には御確認いただきまして、それで問題がないということであれば、基本的にはお通しすると。もともとの記載よりも更に詳しくはなっておりますが、確かにクロスチェックのレベルについて十分な担保がなされているかは検証が必要ですので、この回のタブレット資料の御確認をもちまして、これまでの審議のやり方ですと、そこでお認めいただいているという形ですので、そのような形で了承いただいた形にしております。
 
○山口座長
 では、まだこれは確認はされていないということでしょうか。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 同意説明文書を特異的に確認しているという作業はしておりませんので、事務局としての確認となっております。ですので、本会で確認していただきたい事項ではございます。
 
○山口座長
 これは確かに難しい内容を説明しなければいけないので、これを審査したときの方に見ていただいて、これでよいかということを一度伺った上で、了承ということでいかがでしょうか。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 承知いたしました。事務局として進めさせていただきます。
 
○山口座長
 それでよろしいですか。何か御意見はございますか。多分問題ないのではないかと思います。確かに難しそうなので、見ていただいたほうがいいかもしれません。
 
○一色座長代理
 今回は内容が複雑だったものですから、気になりました。
 
○山口座長
 貴重な御意見をありがとうございました。他にございませんか。それでは、告示番号59の変更につきましては、今言ったようなことを確認した上でお認めすることといたします。
 続きまして、先進医療Bの協力医療機関の追加について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 事務局から御説明いたします。資料6-1、75ページを御覧ください。告示番号20について1件、告示番号48について3件、告示番号56について1件、整理番号126について1件の協力医療機関の追加申請がありました。資料6-2、77ページ以降を御覧ください。事務局において、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加について、追加として御了承いただきたく存じます。特に御異議がなければ、手続を進めさせていただきます。以上でございます。
 
○山口座長
 よろしいでしょうか。それでは、事務局は手続を進めてください。次に、その他ということで、事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 それでは御説明いたします。タブレット資料も併せて御覧ください。第122回先進医療技術審査部会におきまして、山口座長、天野構成員より、「告示削除済みの先進医療Bの一覧」において、患者さんに分かりやすく先進医療の成果や内容を示す更なる工夫が必要であるとの御指摘を頂きました。また、審議の結果に関する注意点につきましても、柴田構成員より、分かりやすくお伝えできる工夫をしてはどうかとの御指摘も頂いております。遅くなりましたが、構成員の皆様には御案内のとおり、厚生労働省のホームページにて「告示削除済みの先進医療Bの一覧」の技術名にリンクする形で、タブレット資料にあるような形で掲載させていただきたく存じますので御報告申し上げます。以上でございます。
 
○山口座長
 ありがとうございます。本件につきまして何か御意見はございませんか。よろしいでしょうか。大幅な進歩だと思います。どうもありがとうございました。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 よろしくお願いいたします。
 
○山口座長
 それでは、御報告のとおりに進めていただくことにいたします。本日の議題は以上ですが、構成員の皆様から、全体を通して何か御意見や御質問はございませんか。ないようですので、最後に、神村構成員が今回をもって御退任となります。残念ながら、今回御出席がかないませんで、御挨拶いただくことはできないのですけれども、事務局に連絡がございましたので御報告いたします。
 それでは、次回の日程を事務局からお願いいたします。
 
○医政局研究開発政策課長補佐
 次回は令和4年8月18日(木)の開催とさせていただきます。時間は16時から18時までの予定で、詳細につきましては別途御連絡させていただきます。また、本日の議事録については作成次第、先生方に御確認をお願いし、その後公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 
○山口座長
 それでは、第136回先進医療技術審査部会を終了いたします。皆様、どうもありがとうございました。
 

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