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2022年6月16日 第135回先進医療技術審査部会 議事録

 
 


(1)日時:令和4年6月16日(木)16:00~

(2)場所:TKP新橋カンファレンスセンター「ホール15C」(オンライン)

(3)出席者
山口座長、一色座長代理、天野構成員、伊藤(澄)構成員、伊藤(陽)構成員、上村(尚)構成員、上村(夕)構成員、掛江構成員、神村構成員、北川構成員、坂井構成員、真田構成員、戸高構成員、飛田構成員、松山構成員

(事務局)
医政局研究開発振興課長
医政局研究開発振興課 治験推進室長
医政局研究開発振興課 課長補佐
医政局研究開発振興課 先進医療係長
医政局研究開発振興課 主査
保険局医療課 先進・再生医療迅速評価専門官
医薬・生活衛生局医薬品審査管理課 審査調整官


【議題】

1.総括報告書の評価について
2.先進医療の継続の可否について
3.試験実施計画の変更について
4.協力医療機関の追加について
5.先進医療Bの試験終了に伴う取下げについて
6.その他

【議事録】
○山口座長
 定刻となりましたので、第135回先進医療技術審査部会を始めさせていただきたいと思います。御多忙のところ、お集まりいただきましてありがとうございます。本日はオンラインでの開催となります。
 本日の構成員の出欠状況ですが、本日は佐藤雄一郎構成員、田島優子構成員、藤原康弘構成員より御欠席の御連絡を頂いております。また、一色高明座長代理には、本日は会場にて御出席いただいております。どうもありがとうございます。本日は20名の構成員のうち、今のところ15名の構成員にお集まりいただいていることから、本会議が成立していることを申し添えます。
 それでは、配布資料と本日の審査案件の確認を事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 傍聴者の方の撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 配布資料について確認いたします。議事次第から、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門員名簿と続きます。続きまして、総括報告書の評価について資料1-1~資料2-2、先進医療の継続の可否について資料3、試験実施計画の変更について資料4~資料7、協力医療機関の追加について資料8-1及び資料8-2、先進医療Bの試験終了に伴う取下げについて資料9、先進医療合同会議の審議結果について資料10、会議資料の最終ページは、119ページとなります。お手元の資料に乱丁、落丁等がございましたら、事務局までお知らせください。
 続きまして、利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業について、事務局から事前に確認させていただいております。今回、告示番号旧23の技術、東京大学医学部附属病院からの総括報告に関して、北川構成員から御報告がありましたが50万円以上500万円未満でしたので、議事の取りまとめのみ加わることができません。また、当該技術について、一色座長代理からも御報告がありましたが、50万円以下でしたので当該技術の議事取りまとめ及び事前評価に加わることができます。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がございましたら、この場で御報告をお願いいたします。
それでは、該当なしということで承知いたしました。また、今回は資料を事前にメールでお送りしております。会議資料と区別して、構成員・事務局限りの届出書類等を「タブレット資料」と御案内します。また、会議資料とタブレット資料の内容は異なっておりますので、発言者は、会議資料の何ページ、又はタブレット資料の何ページとあらかじめ御発言いただけますと、議事の進行上助かります。
 本日はオンラインでの開催となり、構成員の先生方には大変御不便をおかけいたします。御発言いただく際には、はじめにお名前をおっしゃっていただくようにお願いいたします。その他、途中で接続トラブル等がございましたら、お知らせいただきますようお願いいたします。また、Web会議ソフトには手挙げ機能が付いておりますので、こちらも適宜御活用いただければと存じます。
 
(神村構成員 入室)
 
○山口座長
 それでは、議事に入ります。総括報告書の評価結果について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料1-1の15ページを御覧ください。先進医療Bの総括報告書に関して御評価いただきますのは、告示番号旧23のFOLFIRINOX療法です。申請医療機関は東京大学医学部附属病院です。審査担当の構成員は、主担当が上村尚人構成員、副担当が伊藤陽一構成員となっております。資料に沿って御説明いたします。
 試験の概要については、資料1-2、21ページの概要図も併せて御覧ください。胆道癌は世界的には稀な疾患であるが、我が国では比較的罹患率が高く、罹患者数及び死亡者数が増加傾向にある。切除不能又は術後再発胆道癌に対する標準化学療法は、ゲムシタビン+シスプラチンの併用療法である。また、我が国で開発されたS-1も胆道癌に対する高い抗腫瘍効果が示され、これら3剤をKey drugとして化学療法が組み立てられている。
 本試験は、切除不能・再発胆道癌(肝内・肝外胆管癇、胆嚢癌、乳頭部癌を含む)に対し、FOLFIRINOX療法を施行し、有効性と安全性を評価する。主要評価項目は無増悪生存期間、副次評価項目は有害事象の発現等、お示しするとおりです。目標症例数は35例で、登録症例数も35例となっております。試験の概要については以上です。
 
○山口座長
 本技術の評価について、主担当の上村尚人構成員から御説明をお願いします。
 
○上村(尚)構成員
 資料1-2に、概要を図示したものがあります。この技術ですが、切除不能、術後再発胆道癌に対するFOLFIRINOX療法です。対象患者は測定可能病変を有する切除不能、又は術後再発胆道癌で、切除以外の前治療がない、年齢は20歳から75歳、ECOG performance Statusは0-1の方です。FOLFIRINOX療法にはイリノテカンが治療薬の中に入っています。イリノテカンは体内でグルクロン酸抱合という形の代謝を受けます。そこに責任のある酵素であるUGT1A1というものですが、これに遺伝子の変異のある方は副作用が起きやすいということがあります。特に、そういう機能が低下するような遺伝子の変異を両親からもらってしまっているようなタイプの患者については、リスクが高いという配慮があったのだと思いますが、今回は除外されています。
 化学療法については、ここに書いているとおりで、1日目にオキサリプラチン、レボホリナート、イリノテカンを投与しています。その後、フルオロウラシルにスイッチして、持続をしていくということを繰り返すものになります。期間としては、登録期間が4年間で、後観察は1.5年ということで、予定症例数は35例です。今回、35例をしっかりと組み入れが可能でした。この部会でも、いろいろな先進医療で組み入れが苦戦される中で、この試験では9つの非常にしっかりとした施設が参加されて、参加されたPIの先生方も日本を代表するような方々で、9施設で35例をしっかりと組み入れられたという試験になります。
 主要評価項目としては、先ほど事務局から説明があったとおりで、無増悪生存期間、副次的な評価項目に奏効率、あと全死亡率等になります。
 この試験ですが、ステップ1で、最初に3症例を入れて、DLTがなければ、何か副作用が出て用量を上げられないとか、この治療法が続けられないというような事案がなければ、その後、トータルで35名を入れるというような試験でした。この部会の構成員の先生方で、覚えていらっしゃる方もいるのではないかと思うのですが、最初の3人が入った段階で、この試験については1例、コリン作動性の副作用が出ました。ゆえに、その患者に、この治療法を完了することができませんでしたので、結果的には3人入ったのですが、1名は適切な評価ができないということになりました。コリン作動性の症候群というのは、恐らくイリノテカンに起因するものであると、皆さんがそう思っていると思うのですが、これは必ずしもDLTということではないという判断もありまして、効果・安全性評価委員会でその辺をしっかり見るようにというような議論がなされたと記憶しています。
 その結果、もう1例をしっかりと見て、4人を入れて、少なくとも3人はDLTの評価をしっかりとできるようにして次のステップに進むようにという勧告がなされたと記憶しています。それについては、この部会にも報告が上がってきて、そういった安全性については適切にかつ慎重に進めていらっしゃるということを確認した上で、報告を承って次に進んだと思います。
 トータルでいくと、ステップ1で1例の有害事象が出た方も含めて、4人が入って、ステップ2も含めて、35人が入ったという試験になっています。
 有効性の評価ですが、主要評価項目である無増悪生存期間の中央値が7.4か月で、これは統計的には数が少ない試験ですので、80%信頼区間で区切っていますけれども、それの信頼区間の下限、ここで言うと80%信頼区間が5.5年から7.5年となっていますが、この下側の5.5というところです。これが6か月を越えれば、真の無増悪生存期間が少なくとも6年は越えるだろうという話であったかと思います。そこは最初の研究者が期待していた閾値を超えることができなかったということで、事前に設定していた第Ⅲ相へ進むという基準には、残念ながら満たさなかったということだったと思います。
 副次的な評価項目については、全生存期間中央値は14.7か月ということです。ただ、信頼区間は比較的広くて、9.7~18.2か月ということになります。これについては、比較が非常に難しいと思うのですが、先ほど事務局からもありましたように、ゲムシタビンを主体としたプラチナ、あるいはS-1との組合せといったもので、今まで幾つかの臨床試験が行われていまして、それの全生存期間の中央値が、およそ11か月ぐらいだと報告されていたと思います。それなので、単純に数字だけで見れば、劣っていないようにも見えますが、統計学的には、ものが言えるというところには達していませんが、数字としては、そういった数字が出ているということかと思います。
 一方で、完全奏効例というのが1例あるということです。これについては、総括報告書(CSR)の中にはあまり詳しいことは書いていないのですが、1例そういった方が出ていますので、ひょっとしたら一部で、この治療法が非常に奏効するケースが一部の患者さんにいらっしゃる可能性はあるということを示唆するものかと思います。
 安全性については、CTCAEのGrade3以上というところで見ると、有害事象については、好中球減少はかなり頻度が高いということです。それから、白血球の減少、γ-グルタミントランスフェラーゼ(GTP)の増加、発熱性の好中球減少症、胆管炎、血小板減少等です。それから、プロトコール治療との因果関係が否定できない重篤な有害事象が9例報告されていますが、その全例ともに、「入院又は入院期間の延長したもの」ということで、いずれも回復はしているということです。1例は現病悪化のための未回復ということでした。死亡例は2例ということですが、試験治療との因果関係はないと判断されたということです。その他の症例については、適切な処置により回復し、治療に関連した死亡は認めなかったということになります。有害事象の発生としては、重篤なもの、あるいはGrade3以上のものというのが、比較的高頻度で出ていますが、これについては、ほぼ予想どおりの反応であったかというように思います。ここについては、また後で議論が必要かと思います。
 結論としては、登録された35例、全例が適格性を満たすことが確認され、安全性及び有効性の解析対象となったということです。登録症例としては、年齢の中央値が66歳、男性が23名、女性が12名、そのうち肝内胆管癌が21例、肝外胆管癌が10例、胆嚢癌が2例、乳頭部癌が2例ということで、切除不能は26名、術後の再発が9例ということです。主要評価項目等については、先ほど申し上げたとおりです。治療自体は予想どおりの安全性のプロファイルでしたので、これについては、そういうオンコロジーの、腫瘍を専門に御覧になっている先生方の下で実施することについては、安全に実施可能であったと考えられるということかと思います。
 伊藤先生からも追加の御発言があると思いますが、私の評価として、有効性については、少し保守的に見積もらせていただいて、従来の技術と同程度と評価をしました。まず1つには、主要評価項目のところが、もともと設定していた閾値を超えられなかったということは、1つ事実としてあると思います。既に申し上げましたけれども、全死亡率等については、ほかの試験との直接的な数字の比較というのは大変難しい問題かと思います。もともと違う試験を比べること自体が、非常に難しいことだと思いますので。ただ、このデータだけを見て、この治療法が、点推定の数字だけを見て、優越性を論じるのは極めて難しいと思います。なので、保守的に見積もって、ほぼ同じぐらいと見ておいたほうがいいのではないかと考えまして、同程度と評価いたしました。研究者の結論の中で言われているように、少なくとも、この結果をもって、そのまま第Ⅲ相試験に進むというような結果ではないと判断したと。そこは私もそのように感じております。
 安全性については、比較的重い副作用等が出ております。そこだけを切り取ると、問題ありとなってしまうのですが、これは問題ありと言うよりも、この治療法自体が、もともと比較的強めの治療法ですので、重篤な副作用も含めて出てくるものだと理解しています。なので、安全性という意味では、新たな問題というのは発生していないと理解しています。決して問題がないということを言っているわけではないのですが、これまでの既存の治療法と比べて、安全性という意味で優れているかということを言われると、多分それはなくて、従来どおりの安全性プロファイルが確認できているということに過ぎないということだと思いますので、一応「その他」ということにさせていただいております。
 技術的成熟度は、化学療法について、しっかりと経験を積んで実施されている施設であるとか、先生方の所でやっていただくのには、十分に対応できるような技術だと思っています。
 そして、総合的なコメントとしては、FOLFIRINOX療法として予想される範囲の有害事象が発生しているのだけれども、そのリスクを上回るようなベネフィットとしての有効性、そこでの優越性というのは確認できていないので、現時点では、既存の治療法と比べて何か差別化できているかと言うと、そういう状態には至っていないと考えました。
 今後、この技術に関して薬事承認申請の効率化に資するかどうかについてのコメントですが、この試験は非常に素晴らしい結果を得られたと思いました。臨床試験の結果をもって、しっかりと次のステップに対するディシジョンメイキングをするというのは、承認申請に至るまでのプロセスの中で、非常に大事なのですが、「No Go」という決定というのは、「Go」と等しいぐらいの非常に重要な決定になると思います。そういう意味では、この薬事申請の効率化というプロセスの中で、次のステップに至らないという決定をしたというところに関しては、非常に有意義な試験の結果であったのかと思っております。先進医療の中で、しっかりとした臨床的なクエスチョンに対して明確な答えを出して、技術の確認をして、薬事申請等の効率化を目指すというのは、もともとの概念だと思いますので、そういった意味では、これは非常に先進的な取組だったのかなと思います。研究者の皆さんも、CSRの特に考察の部分などは、非常にニュートラルかつscientificに、非常にしっかりとした議論をされています。割としっかりと事実として、第Ⅲ相試験にこのままいくのは難しいというような御判断をされていて、それに関して私もそうではないかなと思いました。
 ただ、一方で、考察の中でも述べられていますが、非常に一部ではありますが、非常に効いている人がいたというのも事実ですので、そういった方がどういう背景で効いていたのかとか、そういったことをしっかりと研究レベルでもう少し調べていかれるということは、当然されるとは思いますけれども、ただ、これをこのままフェーズⅢで、次のステップとしていけるかと言うと、それはちょっと違うのかなというように考えました。私からは以上になります。
 
○山口座長
 では、本技術の評価につきまして、副担当の伊藤陽一構成員より、御評価をお願いいたします。
 
○伊藤(陽)構成員
 統計の観点から評価をしました。有効性については、上村先生は「C」ということでしたけれども、主要評価項目の無増悪生存期間の中央値は7.4か月という観測値だったのですが、症例数の設計の根拠のところでは、期待値として10か月ということで、もう2.6か月長いものと設定していて、かつ80%信頼下限ということなので、片側10%の有意水準で検定していることに相当するのですが、それで6か月という閾値を設定していたということです。その閾値の6か月より、提出された中央値としては7.4か月ということで上回っているのですが、期待値として設定した10か月に観測値が届かなかったので信頼下限が6か月を超えなかったというように考えております。
 期待値がちょっと高めなのか、10か月と6か月で、いわゆる4か月の無増悪生存期間の中央値を延ばすことをもって有効というように判定するということをしていると思います。その期待値をもって35例という症例数を設定していたというところなのですが、実際のところ、多分その症例数では少なすぎるということで、このような結果が得られたのではないかと思っています。
 無増悪生存に関しては、従来の医療技術、GEM+CDDP併用療法と、今回の結果をもってすれば同程度というように判定されるだろうなと思います。
 ただ、一方で、全生存期間の中央値は、上村先生は既報の11.1か月と直接比較するのはどうなのかということなのですが、点推定値の上では14.7か月ということで、下回っているわけではなく、プラス3か月となっています。この14.7か月が、どの程度の精度で推定されているかというところは35例ということなので、若干そこが怪しいというところはあるのですが、とは言っても点推定値で3か月以上の延長を見ているというところで、これを捨てるのは惜しい気もするなとは思っています。
 なので、一応、今回の判断としては、既法において示されている有効性を下回っているわけではないということ、今回の治療法の有効性として、期待される有効性の再確認が、全生存期間の上ではあったというように考えられるのではないかなと思います。ただ、検証をされていないというスタンスでよいと思うのですが、かと言って、ものすごくネガティブな結果であったというわけではないということなので、なかなか判定は難しいところなのかなと思います。有効性については以上です。
 安全性については、先ほどの上村先生の御意見と同じで、抗がん剤治療なので、当然のことながら有害事象が出るし、頻発するので、問題がないというわけではないのですが、本治療法の既知の有害事象の範囲内でありますし、対処可能で、かつ治療関連死亡が認められなかったということなので、特に、この治療法と、この疾患との組合せで、何か新しい安全性に懸念が起こったわけではないというようには考えられると思います。
 技術的成熟度についても、上村先生と同じ意見で、広く行われている抗癌剤療法なので、技術的成熟度は問題がないというように思います。以上です。
 
○山口座長
 それでは、上村尚人構成員から何か追加のコメントがございましたらお願いします。
 
○上村(尚)構成員
 特に追加というのはないのですが、今の伊藤先生のお話と私の話が大きくずれているわけではないということだと思います。どこかに評価を付けなければいけないので付けさせていただきましたが、特に安全性のところは、今、伊藤先生がおっしゃったとおりで、この治療法に特有のものが確認されたということなので、新たに何か問題が出ているということではありませんので、そこはしっかりと理解していただきたいと思いました。
数が35人の中で、信頼区間で推定していて80%と、若干甘めの判定をしているので、場合によっては、ものすごく数を増やしていくと、もしかしたら、特にOSなどについては、もう少ししたら良い結果になる可能性が捨てきれないとは思いますけれども、どこかで判断をしなければいけないので、そういう意味では、先ほど申し上げたとおりで、どういった方に効いているのかというのをもう少し検討する必要があるのかなと思いました。
 なかなか、この疾患自体の厳しさというのは、数字を見ても実感するようなレポートではありました。日本を代表するような治療施設でされていて、35人で数が少ないとは言え、大変だったと思います。そしてこういったしっかりとしたデータを出されたということは、非常に評価されるべきデータだと思います。
 
○山口座長
 ただいまの御説明について、何か御質問はありませんか。結果としては第Ⅲ相に進まないということになるわけですが、そこが明確にされたという意味では、非常に質の高い研究だという御見解かと思います。
 あと、一部で有望な結果もあるのだというお話でした。今後は症例を増やして、第Ⅲ相にいく前に、もう一度何かやってという方向になるのでしょうか、あるいは、もう少し解析した後で考慮すべきなのでしょうか。その辺りは何かコメントはございますか。
 
○上村(尚)構成員
 なかなか難しい問題だと思うのですが、研究者がディスカッションの中で述べられていますけれども、もしかしたら、いわゆるレスポンダーのような方が、がん種であったりとか、そういったところで、もしかしたらあるのかもしれないので、そういった絞り込みをすれば、ひょっとしたら、いろいろな展開もあり得るのかもしれません。少なくとも、ファーストラインで、今の形で、これをそのまま保険適用でOKというようにはならないだろうし、フェーズⅢにいくのも少し厳しいかなということでの御判断ではないかと思います。
 
○山口座長
 伊藤先生は何かございますか。
 
○伊藤(陽)構成員
 個人的には、もう少し症例が入ったら、もう少しちゃんとしたことが言えるのになと。最初の見積りの甘さだったのだろうなと。ただ、症例が少なくて、実施期間の中で可能な症例数のほうに合わせたのではないかなとは思いますけれども、そういう意味で、もう少し登録期間を延長するとか、何かしらの手立てで症例数を増やせたら、もっとクリアな結果になったのではないかということで、そういう意味では、個人的には残念だなというように思っています。
 
○山口座長
 ほかに何か御質問はございませんか。
ないようですので、告示番号旧23については、ただいま御審議いただいた結果を取りまとめて、先進医療会議に御報告いたします。
 続きまして、次の総括報告書の評価結果について、事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。資料2-1の23ページを御覧ください。第133回先進医療技術審査部会で御審議いただいた告示番号旧24「内視鏡下手術用ロボットを用いた腹腔鏡下広汎子宮全摘術」の総括報告書の評価に関する御報告です。
 それでは、資料に沿って御説明いたします。資料2-2の49ページ以降に、第133回先進医療技術審査部会からの指摘事項に対する回答をお付けしておりますので御参照ください。
 まず、49ページの1.事前照会事項2-1に対する回答において、登録症例数の多い4施設における比較表をお示しいただきましたが、再発率、平均手術時間、出血量に大きな差があります。このような施設間差等についても含めた、本医療技術の標準化・均てん化に向けた観点からの考察を追記してください。
 50ページの下方に、2.先進医療開始当初と比べて内視鏡手術も大きく変化しているようですが、本来は、本医療技術の評価として、開腹術のヒストリカルコントロールだけではなく腹腔鏡下手術(保険適用済み)のヒストリカルコントロールとも比較するべきであったのではないかということも考えられます。この点に関する考察についても、追記してください。
 53ページの3.LACC studyなどの海外の研究結果も踏まえながら、本研究の成果に基づき、本医療技術の術者基準、施設基準、対象症例が、腹腔鏡手術とも比較しどうあるべきか、考察を追記してくださいという指摘事項でした。これらについてそれぞれ御回答を頂き、総括報告書に追記していただいております。また、資料2-1に、参考資料として、32ページ以降に修正前の評価表等をお付けしておりますので併せて御参照ください。
 それでは、第133回先進医療技術審査部会からの指摘事項に対する回答を総括報告書へ反映いただいた結果、技術専門委員の榎本委員の評価につきまして変更がございますので、変更部分を事務局にて代読いたします。
 資料2-1の28ページを御覧ください。有効性については、「B」から「A」に変更されております。コメントとしては、主要評価項目である出血量は大幅に減少している。開腹術による広汎子宮全摘術は、基靭帯の処理や膀胱子宮靭帯の処理中に、時に思わぬ出血を起こすことを経験する。術野を拡大して観察できるロボット支援下手術は出血のリスクを下げるだけで大きな利点と考える。副次評価項目である手術完遂率も100%で開腹移行例もなかった。先進医療技術審査部会からの指摘後に改訂された総括報告書で再発症例の詳細が明らかにされ、ⅠB2期以下の症例に対しては、再発率も、開腹術・腹腔鏡下手術と比して優るとも劣らないことが示されたことにより「A」としたとあります。
 安全性については、「B」から「A」に変更されております。登録数の多い4施設において、再発率や平均手術時間等に大きな差があると指摘された点について、この先進医療が開始された頃は、ⅠB3期、腫瘍径4cm以上や、ⅡB期の子宮頸がんに対しても広汎子宮全摘術が治療として選択されていたが、最近はこのような症例に対してはCCRTを治療として選択することが増えている。実際に登録数の多い4施設で再発している症例はⅠB3期以上の症例がほとんどで、ⅠB3期以上の症例を多く登録した施設Dの再発率が高くなっている。ⅠB2以下の症例で見ると、施設Dの再発率が14.3%とやや高いが、再発した3例のうち2例が病理的に再発の中リスクであったことにもかかわらず追加治療を拒んだとのことを考慮すると、ⅠB2期以下の症例では施設間の再発率に差があるとは言えない。
 また、ⅠB2期以下の症例の再発率は腹腔鏡手術や開腹術と比較して、ほぼ同等である。手術時間に関しては、術者基準を厳しく規定することでばらつきがなくなると考えられる。よって、「A」とした。ただし、保険診療に移行する場合には、術者基準だけでなく施設基準、対象疾患の進行期を学会等で厳しく規定することが必要と考えられるとあります。以上が御報告です。
 なお、本技術については、山口座長に御評価をいただいておりますので、一色座長代理に進行をお願いいたします。以上です。
 
○一色座長代理
 ありがとうございます。ただいま事務局から報告がございましたが、主担当の山口座長から、何か追加のコメントはありませんか。
 
○山口座長
 今御説明いただいたとおりなのですが、ちょっと幾つかコメントしたいと思います。1つは、この報告書の評価のうち、根治性に関しては1年の結果で出していることです。その後、配布資料の41~43ページに症例のフォローアップが一例一例載っていますが、死亡例も再発例もかなり出ている状態で、更に解析が進められる予定です。
 お手元の資料の50ページを見てください。症例を出したA、B、C、Dの4つの施設の結果が出ているのですが、例えば、このBとCを見ますと、ⅠB2期以下、つまり早期のものについては、両方とも1例(1/15)と0(0/8)で、再発率に差はありません。ところが、比較的進行した「ⅠB3期以上」について見ると、Bの施設では、1/16例、Cでは8/16例が再発しているのです。ということは、必ずしも差がないとは言えないと思うのです。これはかなり厳重にフォローアップすべき数字だと思います。
 もう1つ。出血に関しては、恐らくは多くの腹腔鏡手術は開腹に比べて少ないというのは大体分かっていて、これが確認されたということは当然の結果で今回の大きな成果だと思うのです。しかし、遠隔成績を含む根治性に関する点がはっきり出ないと、なかなか最終的な評価は難しいと思います。
 もう1つの点は、施設間格差のことです。今言ったような遠隔成績に関する格差がある可能性はありますし、そのほか例えば、平均手術時間が600分と300分、つまり、10時間と5時間と大きな差があります。普通はそんな大きな差が出ることはあり得ないので、術式に本当に均一性があるのか、やり方はみんなきちっとした同じようなことをやっているのかどうか、あるいは技術の成熟度に対して非常に疑問があります。つまり、ある施設では、経験が少なくて時間が掛かっているのではないかとか、いろいろなことが考えられます。この辺りはもう少しきっちりと、榎本先生もおっしゃっていますが、施設基準や適用の原則をきちんと決めなければいけないということは全くそのとおりです。その点をしっかりと明確にしていただいてやっていただかないと、これをそのまま全国に広げるというのは大変危ないと私は思いました。以上です。
 
○一色座長代理
 ありがとうございました。ただいまの御意見について確認させていただきます。榎本委員のこの技術的成熟度「A」というのは、若干甘いような印象を持ちますがいかがでしょうか。表現が適切ではないかもしれませんが。
 
○山口座長
 エビデンスはないと思いますね。ですから、均てん化された技術であるとするのだったら、そういうエビデンスをきちんと出していただく必要があると思います。というのは、海外でも、腹腔鏡手術と開腹手術、子宮がんについてはRCTが行われましたが、予想に反して、鏡視下の手術は悪いというデータも出ています。理屈の上で、良いだろうという話だけでは済みません。特に、婦人科の腫瘍に関しては低侵襲手術は始まったばかりであり、やはり慎重な態度が必要かと思います。
 
○一色座長代理
 ありがとうございます。ほかに、御意見等はありませんか。
 
○天野構成員
 今の山口座長の御意見に関連して、私も同感の意見でございます。資料53ページを拝見しますと、研究者の方からも、「術者要件としては、十分な内視鏡手術の経験に加え、開腹手術における経験を十分に積んだ婦人科腫瘍専門医によって行われることが適切と考える」というような御指摘が出ているかと思います。
 また、資料31ページを拝見しますと、専門委員自らのコメントとして、先ほども御紹介いただいたように、施設基準及び術者基準を厳しく規定することは必要だということを、示されていらっしゃいます。にもかかわらず、技術的成熟度が「A」というのは、これらの意見とあまりにも乖離が激しいというか、どうなのかとも思います。また、この資料が公開された場合、委員の間で技術的成熟度に対して「C」を付けている委員がいる一方で、「A」を付けている委員がいるというのはミスリードしかねないと考えますので、何らかのコメントが必要かというように考えた次第です。以上です。
 
○一色座長代理
 ありがとうございます。この辺、事務局はいかがでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 事務局でも議事録等に反映させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 
○一色座長代理
 ほかに、御意見はありませんか。
 
○天野構成員
 天野です。追加です。議事録に反映していただけるというのは、それはもう当然かと思うのですが、資料だけで読む方が多分いらっしゃると思うのです。それで、これが「A」という形で出てしまうのは問題がないのかということで指摘させていただいた次第です。議事録を全部丁寧に読むという方は、残念ながら、そうそういらっしゃるというわけではないので、このまま資料として出して大丈夫なのか、誤解を招かないのかという指摘でございました。
 
○一色座長代理
 主担当の山口座長、この点はいかがでしょうか。
 
○山口座長
 今回の試験ではっきりしたのは、開腹手術に比べて、腹腔鏡の手技のダヴィンチ手術のほうは出血量が少ないという点です。しかし、根治性に関しては、十分フォローアップが終わっていません。しかも現時点でのデータを見ると、かなり危ないと読めますので、根治性に関してはそこまで本技術は有効であるということを言っていないということを分かるようにすべきではないかと思います。
 
○一色座長代理
 天野構成員の御意向としては、どういうように、これをまとめるべきだということでしょうか。この点について、何か御意見はありますか。
 
○天野構成員
 はい。もし可能であれば、総括報告書の中に何らかの形で、今の議論が分かるような指摘があれば、尚いいのかなというように感じた次第でございます。
 
○一色座長代理
 ありがとうございます。この点はどうでしょうか。総括報告書にはそれなりに記載されているように思うのですが。改めて、更に強く記載すべきであるというお考えになりますか。
 
○天野構成員
 少なくとも議論があったということは、どこかに記載が可能であればお願いできればというように考える次第ですが。ただ、そもそも様式にそういった記載をする余地がないということであれば、そこまではこだわりませんが。ただ、これを見てみると、誤解を生じる可能性はあるなということを危惧する次第です。
 
○一色座長代理
 私としては、山口座長の最後のコメントの所に、その辺を追記していただくのが一番よろしいように思いますが、それではいかがでしょうか。
 
○天野構成員
 はい。もちろん、それで大丈夫です。
 
○一色座長代理
 それでお願いできますでしょうか。
 
○山口座長
 かしこまりました。
 
○一色座長代理
 ほかには、何か御意見はありますか、よろしいでしょうか。
それでは、告示番号旧24については、本日の報告内容及び、ただいま御審議いただいた結果を取りまとめて、先進医療会議に御報告いたします。
 それでは、以降の審議については、山口座長に審議の進行をお戻しいたします。よろしくお願いします。
 
○山口座長
 ありがとうございます。続いて、先進医療Bの継続の可否に係る審議結果の報告について事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 それでは御説明させていただきます。資料3の57ページを御覧ください。国立がん研究センター中央病院からの申請で、告示番号48「シクロホスファミド静脈内投与療法」です。本技術は、本申請医療機関が臨床使用実績の効率化要件に該当するため、使用実績のない状態で申請され、承認、告示されたものです。適応症は、成人T細胞白血病(末梢血幹細胞の非血縁者間移植が行われたものに限る。)です。
 研究の概要として、本試験は、成人T細胞白血病(ATL)に対する移植後シクロホスファミド(PTCY)を用いた非血縁者間末梢血幹細胞移植(PBSCT)の有効性及び安全性を検討するための第Ⅱ相試験である。主要評価項目は、移植後100日までの無GradeⅢ-Ⅳ急性移植片対宿主病(GVHD)生存割合である。GVHD予防を目的として非血縁ドナーから提供された末梢血幹細胞の輸注後3日目及び4日目にシクロホスファミドを投与する。また、輸注後5日目からタクロリムス及びミコフェノール酸モフェチルの投与を開始すると、記載があります。
 次のページ、この試験は2021年3月に開始されていて、令和4年6月時点で3例の症例が登録されています。継続の可否に必要な評価項目についてですが、実施医療機関で、ATLに対する非血縁者間PBSCTにおけるPTCYの使用経験はないため、試験開始3例までは同療法の臨床使用経験がない医療機関でも先進医療として申請可能な医療機関である臨床研究中核病院(国立がん研究センター中央病院と九州大学病院の2施設)で行う。3例の初期安全性確認期間30日が終了後、効果・安全性評価委員会による評価を経て先進医療技術審査部会へ報告を行い、本試験の継続に関して承認を得た後、他の実施予定医療機関に施設を拡大し、4例目以降の登録を再開することとされている、と記載があります。
 継続の可否に係る独立した委員会の審議結果としては、研究代表医師の報告によると、3例とも適格性に問題はなく、プロトコール治療からの逸脱、急性GVHDの発生は認めなかった。Grade3以上の有害事象及び感染症の発生については、第3例目において口腔粘膜炎(Grade3)、下痢(Grade3)が認められたが、どちらも同種造血幹細胞移植後早期に起こる比較的頻度の高い有害事象であり、予期されるものであった。なお、本試験の初期安全性確認期間以降ではあるが、第2例目は移植前に既往があった中枢神経病変が移植後day29に増悪と判断されたため、プロトコール治療中止となっている。中止理由は移植後100日以内の原病の増悪であり、プロトコール治療に関連した有害事象ではなかった。当該患者は移植前に行っていた化学療法に対する治療反応性が良好であり、中枢神経病変も非常に良くコントロールされていたため、移植後早期の増悪を事前に予測することは困難であったが、移植後の再発の多いATLにおいては原病の増悪は移植後早期であっても起こり得る現象であり、安全性の観点から、4例目以降の試験の継続について問題はないと考えているとのことであった。
 効果・安全性評価委員会での審議の結果、全員一致で、4例目以降の本試験の継続は可能であると判断された。その結果を受けて、先進医療技術審査部会から申請時の主担当である伊藤澄信先生及び、副担当であった山中先生が御退任済みのため、御所属機関の関係で柴田先生を除く生物統計家として、伊藤陽一先生、上村夕香理先生、飛田先生によって御審議(メール稟議)いただいた結果、先進医療継続可との評価を得たため、新規症例登録が再開されています。以上、御報告です。
 
○山口座長
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。いかがでしょうか。
それでは、告示番号48については、ただいま御報告いただいたとおりに試験を継続いただきたいと思います。
 では、続いて試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。今回、試験計画等の変更申請が4件提出されています。資料4の61ページを御覧ください。横浜市立大学附属病院からの申請で、告示番号8「LDLアフェレシス療法」です。適応症は、閉塞性動脈硬化症(薬物療法に抵抗性を有するものであり、かつ、血行再建術及び血管内治療が困難なものであって、Fontaine分類ⅡB度以上のものに限る。)です。
 御審議いただく主な変更内容について、62ページを御覧ください。研究実施期間を5か月延長とあります。変更申請する理由としては、本試験は、症例登録期間終了時点で研究計画書に記載の必要症例数29例を満たし、全32例について、現在、遺伝子発現解析中である。この遺伝子発現解析に要する時間及び全体の解析までのスケジュール等を見直した結果、現実的なスケジュールとして5か月の延長が必要という判断となった。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。本変更内容について、何か御意見はありませんか。よろしいでしょうか。
特にないようですので、告示番号8の変更についてはお認めすることといたします。
 続いて、次の試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。資料5、63ページを御覧ください。関西医科大学附属病院からの申請で、告示番号20「S-1内服投与及びパクリタキセル静脈内及び腹腔内投与の併用療法」です。適応症は、膵臓がん(遠隔転移しておらず、かつ、腹膜転移を伴うものに限る。)です。
 御審議いただく主な変更内容については64ページを御覧ください。まず、1)除外基準の追加です。「変更後」の所に、11)登録時に同時活動性の重複がんを有する患者(除外条件あり)とし、1)~17) の各基準の下部に除外条件を追記しています。5年相対生存率が95%以上相当の以下(マル1)~(マル3)のがんの既往は、無病期間が5年未満であっても同時活動性の重複がんに含めない。(マル1)臨床病期I期の前立腺癌、(マル2)放射線治療により完全奏効となった臨床病期0期、I期の喉頭癌、(マル3)完全切除された、以下の病理病期のがんとして、以下に記載のとおりです。
 次に、2)観察・検査・調査項目及びその時期の修正です。S-1+パクリタキセル経静脈・腹腔内併用療法、及びゲムシタビン+アブラキサン併用療法のスケジュール表での後観察期間、終了(中止)後の項目「胸部X線検査」について、予定記載を削除しています。3)は更新などです。
 変更申請を行う理由としましては、1)本試験の主要評価項目は全生存期間としており、試験参加患者が重複がんにより死亡した場合、治療効果の差が正しく評価できなくなることから、原則として、全生存期間に影響を及ぼし得る重複がんを有する患者は除外することとしてきた。しかしながら、無病期間が5年以内の重複がんであっても、5年相対生存率が95%以上という予後が極めて良好ながんが全生存期間に影響を及ぼす可能性は小さいと考えられる。そのため原則として、「がんの統計2021」に基づき、5年相対生存率が95%以上のがん(病期はUICC-TNM第7版に基づく病理病期)は無病期間が5年以内であっても対象から除外しないこととした。
 上記変更内容については、2022年4月9日に開催された「膵癌腹膜転移治療研究会2022」に議題として取り上げ、効果・安全評価委員会および参加施設から同意・承認を得た。
 2)観察・検査・調査項目およびその時期の訂正ですが、スケジュール表では後観察期間、終了(中止)後に胸部X線検査を施行する印となっていたが、「8.4試験治療中止時の検査・観察項目」には胸部X線検査の記載はなかった。試験は「8.4試験治療中止時の検査・観察項目」にのっとって検査が行われており、スケジュール表を訂正した。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。本変更内容について、何か御意見はありませんか。これは、どれぐらいの数があるか分かりませんが、最近は大腸がんも胃がんも食道がんも内視鏡治療が進歩して、かなり根治性の高い例が確かにあるので、内容的にはいいのではないかと思います。何か御意見はありませんか。よろしいでしょうか。
それでは、告示番号20の変更についてお認めすることといたします。続いて、次の試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。資料6、67ページを御覧ください。東京都立小児総合医療センターからの申請で、告示番号50「腫瘍治療電場療法」です。適応症は、膠芽腫(当該疾病が発症した時点における年齢が十八歳未満の患者に係るものであって、テント上に位置するものに限る。)です。
 御審議いただく主な変更内容については、68ページを御覧ください。(1)対象疾患の再定義(適格基準への追加記載を含む。)。小児膠芽腫を対象とする試験であり、従来は成人膠芽腫と同様の病理学的所見を有する悪性神経膠腫を膠芽腫として扱うこととしていたが、これに加え、新しい病理分類(脳腫瘍の国際分類であるWHO Classification of Tumors, Central Nervous System Tumorsの2021年改訂第5版)でGrade4の悪性度と規定された(マル1)びまん性正中膠腫、H3 K27変異型、(マル2)びまん性半球性膠腫、H3 G34変異型、又は、(マル3)びまん性小児高悪性度膠腫と診断される患者を適格とすることとした。(2)試験機器管理の手順。試験機器管理者を指名する手順であったが、研究責任医師・分担医師が実際の業務を担うこととした。(3)プロトコール治療中止時の情報収集。有害事象や併用薬剤について情報収集する期間を明示した。具体的には以下のとおりとしている。有害事象 [因果関係なし]は、プロトコール治療中止まで。有害事象 [因果関係あり]は、Grade1以下に回復するまで。併用薬剤は、プロトコール治療中止時の評価を開始した時点まで。(4)用語に関する記載整備。一般用語である「有害事象」と臨床研究法上の用語である「疾病等」を厳密に分けて運用するように記載整備した。(5)軽微な記載整備です。
 次に、変更申請する理由です。(1)脳腫瘍の国際分類であるWHO Classification of Tumors、Central Nervous System Tumorsの2021年改訂第5版が、2022年2月に出版され、この改訂によって従来用いられていた小児膠芽腫(pediatric glioblastoma)という用語が用いられなくなったため、新分類に基づく対象疾患の明確化のためにGrade4の悪性神経膠腫を全て包含するように再定義した。(2)研究責任医師・分担医師以外に試験機器管理者を設定するよりも、試験機器を使用して治療する医師が直接管理責任を負う方が、運用上簡略で過誤も生じにくいと考えたため。(3)プロトコール治療中止時の情報収集期間の記載が曖昧であったため。(4)臨床研究法上の用語を重視するため。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。本変更内容について、何か御意見、御質問はありませんか。よろしいでしょうか。
これも特にないようですので、それでは告示番号50の変更についてお認めすることとします。続いて、次の試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明します。資料7、69ページを御覧ください。神戸大学医学部附属病院からの申請で、告示番号61「セボフルラン吸入療法」です。適応症は、急性呼吸窮迫症候群(従来の治療法に抵抗性を有するものに限る。)です。
 御審議いただく主な変更内容については、70ページを御覧ください。1.プロトコール治療におけるセボフルラン投与速度設定量の変更。2.副次評価項目における喀痰検査の削除です。
 変更申請する理由は、1.現行の記載は「目標呼気終末セボフルラン濃度はACD(アナコンダ)の開発者が推奨する、0.5%とする。液体セボフルランの投与速度は0.5~5ml/hrで投与し、目標呼気終末セボフルラン濃度に達するように調節する。呼気セボフルラン濃度が安定した時点でRASS scoreを確認し、RASSが -2~-3になるよう、セボフルラン投与速度を調節する。」となっている。
 一方、本研究の対象者となる程度の大きな呼吸を繰り返す症例において、現行の液体セボフルランの投与速度0.5~5ml/hrにて、添付文書上の目標呼気終末セボフルラン濃度の下限0.5%に必ずしも到達できず、本研究における適切な麻酔深度の目標となるRASS -2~-3に到達しない症例があると考えられるため、セボフルランの投与速度の上限が5ml/hrを超える場合を容認し、添付文書上の目標呼気終末セボフルラン濃度(0.5%~5%)の範囲で、本研究における適切な麻酔深度RASS -2~-3への到達をICUにて慎重にモニタリングすることでセボフルラン投与速度を調整することとした。
 なお、セボフルランを使用した際に、想定外に強い麻酔効果により、自発呼吸が仮に減弱しても、人工呼吸器が自動的に換気をサポートするため、患者への危険性はごく最小限となる。また、ICU内では、呼吸循環変動に即座に対応できる状況にあるため、本剤の使用は安全に施行できると考える。
 2.本検査は研究的検査項目であり、検体の前処理が未経験であることと検出できない可能性が考慮され、委託予定先の業者にて、検査精度を保証できないため受託できなくなったとのことで、当該項目を削除した。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。本変更内容について何か御意見ありませんか。では、こういう病態で0.5%に達しないものがあったということですね。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御質問ありがとうございます。申請医療機関のほうから具体的にCOVID-19の患者さんにおいて、そういう経験があったという御報告がありました。
 
○山口座長
 ありがとうございます。何か御意見はありませんか。
これも特にないようですので、告示番号61の変更についてはお認めすることといたします。続いて、先進医療Bの協力医療機関の追加について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料8-1、71ページを御覧ください。告示番号22について2件、告示番号36について1件、告示番号52について1件、告示番号58について2件の協力医療機関の追加申請がありました。
次に、資料8-2、73ページ以降を御覧ください。事務局において、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件(様式第9号)を満たしていることを確認しました。協力医療機関の追加として御了承いただきたく存じます。特に御意見がなければ手続を進めさせていただきます。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは、事務局は手続を進めてください。続いて、先進医療Bの試験終了に伴う取下げについて事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明します。資料9、83ページを御覧ください。先進医療の取下げとして告示番号13、告示番号15、告示番号21、告示番号28の4件の申請がありました。取下げ理由ですが、告示番号13については、令和4年度診療報酬改定に伴い、最大径4cm以上の肝細胞癌(切除が困難なもの)に対する重粒子線治療が保険適用となった。本試験は切除不能かつ穿刺局所療法不適の肝細胞癌を対象として計画・実施されているが、これにより本試験の組み入れ対象となる症例の大部分が保険適用となり、先進医療Bとして引き続き組み入れ可能な症例は最大4cm未満、かつ切除が困難な肝細胞癌のみに限られる。予定症例数に達することが極めて困難となったこと、保険適用となったことで本試験の目的の大半が達成されたと考えられることから、研究実施計画書の規定に基づき研究を中止することとした。研究中止後は6か月の後観察期間、1年の解析期間を経て研究を終了し、総括報告書を提出する。
 告示番号15については、令和4年度診療報酬改定に伴い当該技術が保険適用になったため、先進医療に係る届出書を取り下げます。試験実施計画書を改訂の上、臨床研究法下で試験を継続し、試験終了後に総括報告書を提出いたします。
 告示番号21については、症例登録及び全症例のプロトコール治療、観察期間が終了したため、当該先進医療の取下げをいたします。総括報告書については現在、作成中となっております。
 告示番号28については、令和4年度診療報酬改定に伴い当該技術が保険適用になったため、先進医療に係る届出書を取り下げます。試験実施計画書を改訂の上、臨床研究法下で試験を継続し、試験終了後に総括報告書を提出いたしますと記載があります。以上について、特に御意見がなければ手続を進めさせていただきます。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。よろしいでしょうか。いかがでしょうか。これも特に御意見はないようですので、事務局は手続を進めてください。続いて、先進医療合同会議の審議結果について事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。資料10、85ページを御覧ください。
令和4年6月9日に行われました先進医療合同会議におきまして1件の先進医療B技術について審議が行われ、「適」の御評価を頂いています。技術名は「EGFR遺伝子増幅陽性切除不能食道・胃・小腸・尿路上皮・乳がんに対するネシツムマブ療法」で、申請医療機関は名古屋大学医学部付属病院です。審査の主担当が真田構成員、副担当が上村夕香理構成員、佐藤構成員で、技術専門委員として長瀬委員に御担当いただきました。先進医療技術審査部会及び先進医療会議ともに、「適」の評価でした。今回御評価いただき、また先進医療合同会議に御出席いただいた先生方におかれましては、御協力いただきまして大変ありがとうございました。御報告は以上です。
 
○山口座長
 本件について何か御意見や御質問はございませんか。よろしいでしょうか。
それでは、本日の議題は以上です。構成員の皆様、全体を通して何か御意見、御質問はありませんか。
 
○神村構成員
 よろしいでしょうか。先進医療の審議に直接は関係のないことではあると思いますけれども、ちょっと伺いたいことが1点あります。29ページ(資料2-1)の「安全性」についてのコメント欄の中ほどに、「再発した3例のうち2例が病理学的に再発の中リスクであったにもかかわらず追加治療を拒んだ」という記載がありますが、このようなことは、こういう症例は結構あるものなのか、あるいは今回についてはどういう理由だったか分かるのか、何が追加治療というか治療をためらわせるような要因であったのかというのは、今後の医療の進展について大事な点かと思いますので、お分かりになることがありましたら教えていただければと思いました。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 事務局です。こちらの2例ですが、申請医療機関から情報提供がありまして、両方とも30代の女性で、卵巣温存を希望されているという状況でした。ですので、CCRTをなかなか積極的に行えなかった背景はあるかと存じます。そのうち1名は御存命と伺っていまして、1名は再発後、それでもCCRTをされず、亡くなられています。以上です。
 
○山口座長
 よろしいですか。
 
○神村構成員
 ありがとうございます。気持が分からないでもないと思いまして、大変痛ましいと思いました。ありがとうございました。
 
○山口座長
 ちょっと今のことに関連して、これはたまたま再発した人についてはこうだったという説明なのですけれども、ほかの施設でも、そういう例はあるのでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 では、事務局のほうでお問い合わせいたします。
 
○山口座長
 ちょっと気になったので、問い合わせてください。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 承知いたしました。お問い合わせいたします。
 
○山口座長
 ほかにありませんか。
それでは、ないようですので、次回の日程を事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 次回は令和4年7月14日(木曜日)の開催とさせていただきます。時間は16時から18時の予定で、詳細については別途、御連絡させていただきます。また、本日の議事録については作成次第、先生方に御確認をお願いし、その後、公開させていただきますのでよろしくお願いいたします。
 
○山口座長
 それでは第135回先進医療技術審査部会を終了いたします。皆様どうもありがとうございました。
 

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