ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 先進医療技術審査部会> 第132回先進医療技術審査部会(議事録)

 
 

2022年4月18日 第132回先進医療技術審査部会 議事録

 
 


(1)日時:令和4年4月18日(月)16:00~

(2)場所:TKP新橋カンファレンスセンター「ホール13A」(オンライン)

(3)出席者
山口座長、一色座長代理、天野構成員、伊藤(澄)構成員、伊藤(陽)構成員、上村(尚)構成員、上村(夕)構成員、掛江構成員、神村構成員、後藤構成員、坂井構成員、佐藤構成員、真田構成員、柴田構成員、田島構成員、戸高構成員、飛田構成員、藤原構成員、松山構成員、北脇技術専門委員

(事務局)
医政局研究開発振興課長
医政局研究開発振興課 治験推進室長
医政局研究開発振興課 課長補佐
医政局研究開発振興課 先進医療係長
医政局研究開発振興課 主査
保険局医療課 先進・再生医療開発戦略専門官


【議題】

1.新規申請技術の評価結果について
2.先進医療の継続の可否について
3.試験実施計画の変更について
4.協力医療機関の追加について
5.先進医療Bの試験終了に伴う取下げについて
6.再生医療等安全性確保法が適用される先進医療B医療技術に係る審査過程の迅速化について
7.申請医療機関からの報告について
8.その他

【議事録】
○山口座長
 それでは、定刻となりましたので第132回先進医療技術審査部会を始めさせていただきたいと思います。御多忙の折、お集まりいただきありがとうございます。本日はオンラインでの開催となります。まず、先進医療技術審査部会の新しい構成員の方がお出でになりますので、事務局から御紹介をお願いいたします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 先進医療技術審査部会構成員に異動がございましたので御紹介させていただきます。本日より、北川雄光構成員、戸高浩司構成員が着任されております。なお、北川構成員は、残念ながら御都合により本日は御欠席と伺っております。
 
○山口座長
 それでは、戸高構成員から御挨拶をお願いいたします。
 
○戸高構成員
 九州大学の戸高と申します。先進医療の会議に出させていただくのは、かなり久しぶりで、随分前に一度、オブザーバーで参加したのみでございます。新参者でございますが、よろしくお願いいたします。
 
○山口座長
 よろしくお願いいたします。北川構成員には、御出席いただいた機会に御挨拶を頂きたいと思います。続いて、事務局に交代があったということで、御説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 4月1日付けで事務局員の異動がありましたので、御紹介いたします。保健局医療課から、米澤先進・再生医療開発戦略専門官です。どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
 
○山口座長
 よろしくお願いいたします。本日の構成員の出席状況でございますが、本日は、北川雄光構成員より御欠席の御連絡を頂いております。また、本日は技術専門委員として、北脇城委員に御出席いただいております。北脇先生、どうもありがとうございます。
 本日は20名の構成員のうち、現在18名の構成員にお集まりいただいていることから、本会議が成立していることを申し伝えます。それでは、配布資料と本日の審査案件の確認を事務局からお願いいたします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 よろしくお願いいたします。傍聴者の方の撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 配布資料につきまして確認させていただきます。議事次第から、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。続きまして、新規申請技術の評価結果について資料1-1~1-5、先進医療の継続の可否について」資料2~資料3-2、試験実施計画の変更について資料4、協力医療機関の追加について資料5-1及び5-2、先進医療Bの試験終了に伴う取下げについて資料6、先進医療合同会議の審議結果について資料7、再生医療等安全性確保法が適用される先進医療B医療技術に係る審査過程の迅速化について資料8、申請医療機関からの報告として資料9-1及び9-2です。会議資料の最終ページは、130ページとなります。お手元の資料に乱丁、落丁等がございましたら事務局までお知らせください。
 続きまして、利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業または競合企業について、事務局から事前に確認させていただいております。今回、整理番号126の技術、国立成育医療研究センターからの新規申請技術について、掛江直子構成員におかれましては、自施設からの申請ということで、審議の際は一旦御退席いただければと思います。また、資料9の案件について、柴田構成員におかれましては御所属の医療機関、藤原構成員におかれましては非常勤職員として御所属の医療機関ということですので、一時御退席いただければと思います。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がありましたら、この場で御報告をお願いいたします。
 それでは該当なしということで承知いたしました。また、今回は資料を事前にメールでお送りしております。会議資料と区別して、構成員・事務局限りの届出書類等を「タブレット資料」と御案内します。なお、会議資料とタブレット資料の内容は異なっておりますので、発言者は会議資料の何ページ、またはタブレット資料の何ページと、あらかじめ御発言いただけますと、議事の進行上助かります。本日はオンラインでの開催となり、構成員の先生方には大変御不便をおかけいたします。御発言いただく際には、初めにお名前をおっしゃっていただくようにお願いいたします。その他、途中で接続トラブル等がありましたらお知らせいただきますようお願いいたします。また、Web会議ソフトには手挙げ機能が付いておりますので、こちらも適宜、御活用いただければと存じます。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。では早速、議事に入りたいと思います。新規申請技術の評価結果について、事務局から説明お願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。資料1-1、15ページを御覧ください。先進医療Bとして新規に御評価いただく技術は、整理番号126「不妊症患者に対するタクロリムス投与療法」です。申請医療機関は国立成育医療研究センター病院です。審査担当構成員は、主担当が真田構成員、副担当が佐藤構成員、上村夕香里構成員で、技術専門委員が北脇委員となっております。なお、冒頭に申し上げたとおりですが、掛江構成員におかれましては御所属の医療機関との関係で、本議題の審議に際し、御退席いただきたく存じます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 
(掛江構成員一時退席)
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料1-5、35ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療実施可能とする保険医療機関の要件について事務局より御説明いたします。まず、Ⅰ.実施責任医師の要件です。診療科は、産婦人科、産科、婦人科または女性診療科が必要で、資格は不要となっております。当該診療科の経験年数は5年以上、当該技術の経験年数は1年以上で、別の施設でタクロリムスを投与し妊娠した患者を受け入れ、出産までの対応をした経験を含むとなっております。当該技術の経験症例数は不要となっています。
 Ⅱ.医療機関の要件です。診療科は、産婦人科、産科、婦人科または女性診療科が必要。実施診療科の医師数は、常勤の日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医が1名以上配置されていることが必要。他診療科の医師数は不要。その他医療従事者の配置は、胚を扱うことができる技術者が必要。病床数は不要。看護配置は不要。当直体制は不要。緊急手術の実施体制及び院内検査の24時間実施体制は不要。他の医療機関との連携体制は、緊急の場合その他当該療養について必要な場合に対応するため、他の保険医療機関との連携体制を整備していることが必要。医療機器の保守管理体制は不要となっております。また、医療安全管理委員会の設置は必要。医療機関としての当該技術の実施症例数は不要。その他として、医療機関としての当該技術の実施症例数が10例以上、又は当該技術の実施症例数が10症例以上の医療機関との連携体制を整備していることとなっております。
 Ⅲ.その他の要件ですが、3症例までは、医政局研究開発振興課に毎月報告することが必要となっております。事務局からは以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。これらの要件につきまして何か御意見はございませんか。特にないようですので、様式第9号については、このままの形でお認めするということといたします。
 次に、技術の概要と実施体制の評価について、主担当の真田構成員より御説明をお願いいたします。
 
○真田構成員
 真田でございます。よろしくお願いいたします。今回、先ほど御紹介いただいた不妊症治療、不妊症患者に対するタクロリムス投与療法ということで御申請いただいています。概略については、先ほど御説明があったとおりなのですが、先生方お手持ちの資料33ページの所にございます。
 対象患者としては、形態が良好であることが確認できる受精卵(新鮮胚、凍結胚、初期胚、胚盤胞を問わない)を用いて胚移植を3回以上行って、かつ移植に用いた胚が合計4個以上であっても生化学的な妊娠に至らなかった症例となっています。生化学的妊娠というのは、hCGが陽性になることだと定義されていますが、それに至らない重症な不妊症患者に対して、胚移植の2日前からタクロリムスを2ドーズ、これはプラセボではなく、実薬2ドーズを投与して16日間で生化学的妊娠や胎嚢、嚢胞が見られるということ、いわゆる臨床的妊娠の確認等を行うということで、妊娠の成立がどの程度行われるかということについて見る試験です。
 背景としては、この届出書や研究計画書にも御記載いただいていますが、研究計画書はタブレット資料39ページの所をお開けいただくと、不妊症の原因には、排卵因子と卵管因子、子宮因子、子宮頸管因子、免疫因子などがあって、排卵因子や卵管因子に男性因子を加えたものが3大原因なのだけれども、今回、着目するのは、母体と胎児の免疫反応の異常によると思われる着床又は妊娠の障害、つまり免疫因子によるものについて、今まで有効な治療がなかった所に対する1つの新しい治療法の提案という位置付けだというように理解をしております。
 このタクロリムスは、先生方はよくよく御存じかと思いますが、抗がんにも使われているとは理解していますが、移植にも使われていて、副反応が割と少ないといわれている免疫抑制剤であります。この使用の実績なのですが、本資料の34ページのロードマップの所を見ていただくと、よくまとまっていると思います。まず、欧米での承認はありません。ガイドラインの記載についても、本邦の生殖医療ガイドラインにおいては推奨度Cと評価されているという記載がありますが、これが臨床試験のデータに基づいているというよりは、このようなコンセプトについて推奨することもあり得るということで、まだ臨床研究データの集積がない、足りないということで、推奨度Cになっているということです。
 進行中の臨床試験はないのですが、自由診療のフェーズでは、ある程度の使用成績が蓄積しているというように理解しています。今回の先進医療では、先ほど申し上げたように、2用量を単群で比較する試験ですが、後から統計の先生から詳しい御説明があるかと思いますが、この2群を比較するというデザインではありません。被験者数は26例、主要評価項目が胚移植後3週時の臨床的妊娠の有無で、胎嚢確認の割合は超音波となっており、副次評価項目が胚移植後2週間時の生化学的妊娠の有無ということになります。
 私の評価については、本資料18~20ページにかけての所に、私の評価と総評がございます。総評は後ほど御説明差し上げますが、私の評価の所としては、指摘事項として後ろにあります本資料21ページからで、そのうちの24、25ページの回答3及び27、28ページの回答5の所で、主に同意の取得の方法と、先ほど申し上げた異所性妊娠の扱い方、高用量と低用量の比較の仕方、あるいはプラセボを置くか置かないかという所について、幾つか御指摘を差し上げましたが、私の所では、最終的には全てを妥当に修正していただいたというように理解をしておりますので、私の判断としては「適」とさせていただいております。
 一方で、私が指摘をさせていただいた所の一部のプラセボ群を置くか置かないか、2用量の設定及び比較の仕方、あるいは同意の取得の方法という所については、後ほど、佐藤先生や上村先生からも御指摘を頂いた所で詳しい御説明を頂けるかと思いますので、そちらにお譲りしたいと思います。一旦、私のほうからは以上になります。
 
○山口座長
 ありがとうございました。続いて、北脇技術専門委員より実施体制の評価について御評価をお願いいたします。
 
○北脇技術専門委員
 実施体制の評価は、今説明があったところですが、特に問題はございませんでしたので「適」とさせていただきました。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。続いて、副担当の佐藤構成員より、倫理的観点からの評価について御説明をお願いいたします。
 
○佐藤構成員
 佐藤でございます。よろしくお願いいたします。まず、評価の結果に入る前に、先方に対する問合せ事項を御覧いただきたいと思います。通しページの21ページ目からです。回答1は、北脇先生から問合せしていただいた件ですが、タクロリムスの副作用について、もう少しきちんと説明をすべきではないかという御指摘に対するものです。また、回答3、4、5は、今、真田先生からもお話があったところですが、女性からは対面で同意が取れるのですが、そのパートナーの同意というのをどう取るのかというところで、少しやり取りがありました。というのは、パートナーが必ず来院するとは限らないので、当初は、説明同意文書を持って帰ってもらって、女性の人にその同意文書を次に持って来てもらうというデザインになっていたのですが、それですと、誰かが代筆してしまうということもあり得るので、原則としては対面か、それができなければオンラインで本人確認をした上で、パートナーの同意を確認するということになりました。
 評価表のほうに戻っていただき、通しページの18ページですが、今の点について対応していただきましたので、同意に係る手続き、同意文書、それから補償内容を、ともに「適」というようにさせていただきました。以上です。
 
(後藤構成員 入室)
 
○山口座長
 ありがとうございました。続いて、副担当の上村夕香里構成員より、試験実施計画書等の評価について御説明をお願いいたします。
 
○上村(夕)構成員
 上村です。よろしくお願いします。真田構成員より御説明いただきましたとおり、本試験は、重症不妊症患者さんに対するタクロリムスの有効性・安全性を評価する試験となっております。2用量を設定し、2群にランダム割付けをされておりますが、対照群を設定しないコンセプトとしては単群試験となり、各用量群の主要評価項目である胚移植後3週間の臨床的妊娠の割合を、それぞれ閾値として設定した5%と比較して、97.5%信頼区間の下限がその閾値を超えた場合に帰無仮説を棄却するという試験デザインになっております。この対照群を設定していないという点が、本試験薬の有効性の適切な評価には限界を伴う懸念点になるというように考え、複数回の照会事項を出させていただいております。その照会事項に対する回答者の見解を踏まえ、結果的には「適」と判定しております。
 その理由として、まず1点目として、本試験はPOCの取得を目的とした位置付けであり、配布資料33枚目の資料1-4のロードマップで示しているとおり、本試験において、一定の有効性、安全性を確認できた場合、医療上の必要性が高い未承認適応外薬検討会議の未承認薬迅速実用化スキームへ要望を行い、それを経て、薬事申請に向けては次期試験にて、プラセボ対照のPhaseⅡb相当のRCTを計画しているという点になります。また、2群設定しておりますが、症例数の問題であれば無治療群を対照として、2用量をまとめて比較するという試験でさえも取り得るのではないかというような照会事項も上げております。それに対して、次の試験でプラセボ対照を計画はしているのですが、その試験においては、1回目の治療がなかった場合に、そういった対象者に対しては実薬を投与するというレスキュー治療を検討しておりますが、今回の試験においては予算の関係上それが難しいということから無治療群の設定をした場合においては、無治療群にランダム割り付けされた対象者から同意撤回されてしまう可能性が高く、そのような無治療群を設定したランダム化臨床試験の実施可能性が低いという回答をされております。
 また今回、対照群として5%の閾値を設定しておりますが、本試験の適格基準としては、先ほど御紹介があったとおり、胚移植を3回以上行い、かつ移植に用いた胚が合計4個以上であっても一度も生化学的妊娠に至らない対象者になっております。そのような対象者における妊娠割合に関しては、ガイドラインを含めて公表されているデータはないということですが、そのような重症不妊症患者の妊娠割合は極めて低いと考える蓋然性が高く、ヒストリカルコントロールとして閾値5%は決して低い数字ではないということが、専門委員のプロトコール委員会の中で判断されたという点を上げていただいております。以上を踏まえて、今回の対照群を置かない設定について「適」としております。その他、選択基準を含めて複数の照会事項に関しても適切に回答いただき、試験実施計画書への修正がなされたので、いずれの判定についても「適」としております。以上になります。
 
○山口座長
 ありがとうございました。では、1~16の総評について、主担当の真田構成員よりお願いいたします。
 
○真田構成員
 真田です。1ないし16の総評としては、本資料20ページの所にあるように「適」とさせていただいております。今、先生方から御説明いただきましたように、試験群の設定や同意の説明、あるいは安全性の評価等に、当初的には懸念がありましたが、評価委員の先生方とのやり取りの中で、全て妥当な修正がなされたと判断されたため、私としても「適」という総評とさせていただきました。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。それでは、御討議をお願いいたします。何か、御質問や御発言はありませんか。
 
○天野構成員
 御説明ありがとうございました。私からは2点、質問がございます。まず1点目ですが、公開資料21ページの所で、同意説明文書について事前に指摘がありました。いわゆるタクロリムスが胎盤を通過し、様々なリスクがあるということが記載されていて、これに対して、被験者の方は当然抱くであろう疑問に対して、より詳しい説明が必要ではないかということで修正していただいたということが書いてあるのですが、具体的にどのような修正をしていただいたかを、ちょっと教えていただければというのが1点目です。
 2点目の質問になりますが、海外のガイドラインで記載がないということ、国内のガイドラインでは記載があり、海外のガイドラインでは記載がないというような御説明を頂きましたが、その理由が、もし分かれば教えていただければと思います。そもそも試験がないからというような御説明だったかと思うのですが、このことについて、もし理由があれば教えていただきたいことと、これに関連して、海外のガイドラインに記載がないということについては、説明文書に記載が必要ではないかというように考えます。これも御検討いただければと思います。私からは以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。今、2つの御質問が出ましたが、最初の安全性に関する説明の仕方がどうなっているかということなのですが、いかがでしょうか。実は私も、全く同じことを考えていました。安全性については、相当きっちりとしたデータがあるのか、もしないとしたらどのように説明をするのか、自由診療でやっていて大丈夫そうだということだけなのかなど、その辺りはいかがですか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 それでは、事務局のほうから該当箇所について御紹介いたします。同意説明文書に関するタブレット資料67ページになりますが、こちらに新旧対照表がありまして、具体的に読み上げますと、まず、タクロリムスの添付文書に基づいて、変更箇所は臨床試験の目的と意義という所に、「おなかのお子さんに対するタクロリムスの安全性について」とあります。そちらの変更後の所で、「タクロリムスの添付文書には、『妊婦又は妊娠している可能性のある女性は治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。』と記載されています。これは動物実験(ウサギ)で催奇形作用、胎児毒性が報告されていること、ヒトで胎盤を通過することが報告されており、妊娠中にタクロリムスを投与された女性において、早産及び児への影響(低出性体重、先天奇形、高カリウム血症、腎機能障害)が報告されているためです。このため、以前、タクロリムスは妊娠中の方への使用は禁忌でした。」。しかし、その後、現在のことについて、もともとの同意文書にある記載に加えて、次の68ページに移ると、こちらに「この研究でのタクロリムスの投与期間は胚移植前2日と胚移植後14日までであり、催奇形性に影響する絶対過敏期での投与はいたしません。投与量に関しては高用量でも、現在、タクロリムスが適応をもつ臓器移植後に用いる投与量より少ない量です。」という変更がなされております。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。今の点について、天野構成員、いかがですか。
 
○天野構成員
 その部分は修正されたということは理解しました。よく読めば安全性についての説明が追記されたということはよく理解したのですが、どうでしょうか。一般の患者さんは、これを読まれて、どう思われるのかというのは、ちょっと一般の方の患者さんの理解が微妙なのかなと。しかし、具体的に、これ以上どのような追記をすればいいのかというのかはなかなか難しいところだなと思います。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。これは理屈の上では大丈夫そうだということにすぎないのであって、安全かどうかということを検証されたわけではないということでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 事務局の理解ですが、研究実施計画書のほうにございますが、タクロリムスの催奇形性等について検討が以前なされていて、現在のプロトコールで、提供する理論的根拠が、試験実施計画書の1-3(タブレット資料41ページ)にあります。読み上げます。「タクロリムス療法の妊娠中のタクロリムス使用とその催奇形性の評価に関しては肝移植、腎移植後の妊娠出産例を中心とした報告がなされており、これらの中で最も副反応の少ない治療法であると評価されている。Medlineで抽出された256論文及びDrugs in Pregnancy and Lactation9th Editionで引用されている35論文の中で、タクロリムス曝露胎児473例中にみられた主要先天性奇形合併は13例(2.7%)で、その異常は特定の疾患に偏る傾向は認められていない。」。これらの情報は、自然発生的にみられる頻度より妊娠中のタクロリムスの投与による先天奇形の発生頻度は、有意に上昇することはないことを示唆していると。海外では、タクロリムスの妊娠中使用は禁忌ではなく、むしろ移植後の患者への使用が推奨されており、国内でも2018年7月に禁忌を外されたというような理解をしています。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。この辺りについて、北脇先生、何かコメントはありませんか。
 
○北脇技術専門委員
 すみません。北脇でございます。ちょっと資料を探しておりましたので、遅くなって申し訳ございません。
 当初、変更前は添付文書というものが、患者さんも容易に閲覧することができるのに、その添付文書を全く言及していなかったということがあるので、やはり添付文書に関することを引用しながら、正確に書いてくださいと申し上げました。これに関しましては、事務局から御説明もありましたように、添付文書の中身は、かなり催奇形性のことなどをうたってありますので、患者さんがそれを容易に閲覧しますと非常に不安になるでしょうということです。それに対して、今回の申請案では、その部分を十分言及しているのではないかと判断いたしました。
 また、研究計画書の所に、低用量と高用量を、2mgと4mgを投与するとありますが、それもいずれにしても絶対過敏期に投与すると記載がありますが、その部分をやはり患者さんにも説明したほうがいいのではないかというのも、こちらから指摘いたしまして、その部分も追記していただきました。今、御説明ありましたように、それ以上の安全であるとかということに関しては、必ずしも証明されているわけではありませんが、現在は妊娠中でも使用されているということを記載しているので、ほぼこの内容で理解していただけるのではないかと判断して「適」とさせていただいたところでございます。
 
○山口座長
 ありがとうございます。天野構成員、いかがでしょうか。
 
○天野構成員
 私自身は拝読して納得していますし、今の御説明でも納得したのですが、患者さんが理解できれば、それでいいと考えておりますが。どうでしょうか。これを理解できるかなと、ちょっと感じるところではありますが。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございます。この点について、どなたか御意見ございませんか。確かにちょっと分かりにくいと思いますが。
 
○神村構成員
 低用量と高用量に割り付けるというところ辺りの説明について、もう少し具体的に、どのような説明がなされたかを教えていただければ有り難いのですが。
 
○北脇技術専門委員
 今の新旧対照表(タブレット資料68ページ)の右下の所にアンダーラインが引いておりますが、読み上げますと、「この研究でのタクロリムスの投与期間は胚移植前2日と胚移植後14日までであり、催奇形性に影響する絶対過敏期での投与はいたしません。投与量に関しては、高用量でも、現在、タクロリムスが適応をもつ臓器移植後に用いる投与量より少ない量です。」という記載があります。
 
○神村構成員
 ありがとうございます。やはり患者さんからすると、いくらでも少ないほうがいいというふうにお考えになることが多いのではないかと思いますので、どうして私は高用量に割り付けられるのかとか、そういうことはあるのかも知れませんが、患者心理から言うと、その辺は納得を十分にできかねるかなという感じはいたします。
 
○山口座長
 その点についてどなたか、御意見はございませんか。確かに、患者さんが読むと、このままの形で本当に理解できるかどうか疑問な点があります。専門家の方は容易かもしれませんけれども、私から見ても、なかなか分かりにくいなという印象があったので、こういった議論が出てきたのだと思いますが、この点についていかがでしょうか。
 安全性に関しては、副次評価項目の中で安全性をきちんと見るということは書いてあるので、その辺りは余程慎重にやってもらいたいと思います。というのは、2つ目の質問に関係ありますが、海外でガイドラインに書いていないというのは、世界でアクセプトされたものではないということだと思います。したがって十分な安全性についても検討されているとは言い難いという印象を受けます。この2つ目の質問ですが、海外のガイドラインに掲載されていなかったり、よく行われていないのはどういう理由なのか。もし分かりましたら、これも北脇先生からコメントをしていただけますか。
 
○北脇技術専門委員
 先ほど事務局のほうから御説明いただいた部分以外は、それほど資料がなかったように思っておりますので、正確に、これ以上エビデンスとして出すというのはなかなか難しいかもしれないと感じておりました。
 
○山口座長
 海外で、何でやられていないのかは、よく分からないということでよろしいですか。この辺りについて何か御意見がありますか。天野構成員から、何かコメントありますか。
 
○天野構成員
 専門の先生でも分からないということであれば、分からないということでしょうがないかと思うのですけれども、そうであれば、やはり海外のガイドラインに記載がないという事実は患者さんの意思決定に影響がある可能性もあるので、それは説明文書に何らかの形で追記が必要かと感じた次第です。以上です。
 
○山口座長
 私もその点が気になっております。日本が諸外国に先がけて先立ってやるということは、もちろんいいのですが、なぜ海外で行われないのかということは少し触れておいていただいたほうが良いと思います。日本が最初に業績を出したのだという話でもいいと思います。そうしないと、世界中で行われていないのに、なぜ日本で突然、安全性も本当にパーフェクトではない時点でやっていいのかという話にもなりかねません。やはり説明する必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、一応きっちり読めば説明はしてあるということで、今のような御意見があったので、患者さんへの説明文書に関しては、もう少し分かりやすいように書いていただくということを付記したいと思いますが、そういうことで、天野構成員もよろしいですか。
 
○天野構成員
 はい、よろしくお願いいたします。
 
○山口座長
 ありがとうございました。藤原先生、御発言ありますか。
 
○藤原構成員
 これは、そもそも論で非常におかしいなと思っているので、コメントさせていただきたいのですが、質問でもいいのですが、22ページと34ページを御覧いただきたいのですが、この研究者の方々はとても真面目な方々で、多分この22ページの質疑応答を見ていますと、もともとはプラセボ対照で治験を医師主導治験でやろうと考えていたところが、このタクロリムスを提供する企業側の協力が得られなかったから、恐らくプラセボも作ってもらえないしということで、プラセボがない中で低用量と高用量を比較するという苦肉の策で、今回の試験を組まれたのだと思うのです。
 34ページを見ていただくと、この試験が先進医療で終わった後に、「未承認薬・適応外薬検討会議」で企業への開発要請をして、企業への開発要請をするということは薬価上の恩恵をこの薬が受けるので、それを何とか企業さんの説得材料にも使って企業治験に持っていきたいと。
 ただ、22ページの回答を見ると、企業の協力は今のところ得られてないので、この道が本当にうまくいくかどうかも分からないという状況であると。本来ならば、今回の令和4年3月末の様々な不妊治療の薬とか手技の保険収載あるいは公知申請に当たって、これが載っていて、それで流れていけば、そんなにこういう流れを使わなかったのかもしれませんが、北脇先生にも御確認させていただきたいのですが、中医協の議論の中で、ガイドラインで推奨度Cだったら、今回の保険収載あるいは公知申請から外れていたように、おぼろげながらしか記憶がないのですが、これはCだったために、こういう医師主導治験を組もうとしたけれども、結局それにも載らずに、先進Bに載っていると。しかも、企業がやりたくないところを開発要請で薬価を理由に、企業を後押ししようという流れになっていると思うので、研究者の人は可哀想だし、しかも今後これをやったとしても本当に申請・承認までいくのかというのも、まだ今のところ見えないというところが困るなと思いました。先進医療会議の話かもしれませんが、一応コメントと懸念です。
 
○山口座長
 ありがとうございます。北脇先生、何かコメントはございますか。
 
○北脇技術専門委員
 御指摘ありがとうございます。おっしゃるとおりで、まさしくそのとおりで、しっかりした研究をしようと思うと、必ずそういうコントロール群を置いてやるべきだろうということです。ただ、この妊娠に関する薬剤の場合は、企業の協力というのはほとんど得られないということが多くございます。どうしても企業のほうは腰が引けている状態で、そういうリスクを負いたくないということがあるかと思いますので、他の薬剤に関しましても、積極的に企業が協力するというケースはあまりなかったように記憶しております。それと、この群が重症不妊症ということで、これだけ3回も駄目だった人の症例数を集めるというのも非常に大変でございます。しかも免疫異常の部分だけの要因という群になりますと、やはり全体のn数が少なくなってまいりますので、その中で統計的な有意差を出そうとして、コントロールを置くということ自体も、かなり非常に難しい問題です。それ以外の交絡因子も非常にありますので難しいのではないかということで、現実的に一定の期間で、あるエビデンスを出そうということで、この試験を組まれたという部分に関しましては、私としましても、理想的とは言えないまでも、ある程度の理解はできるところでございますので、その点に関しましては是非、御理解いただければと、こちらからもお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 
○山口座長
 ありがとうございました。藤原先生、よろしいでしょうか。
 
○藤原構成員
 北脇先生のおっしゃるとおりで、これは研究者が悪いのではなくて企業がおかしいなと思っているので、しっかり頑張っていただければなと思います。
 
○山口座長
 ありがとうございました。ほかにございませんか。
 
○上村(尚)構成員
 すみません。また、プロトコールの所に戻らせてもらって申し訳ないですが、気がついたところで、タクロリムスは、もともと免疫抑制剤でよく使われている薬とありますが、ものすごく安全な薬かというと、そんなこともなくて、特にこのお薬は、主要な薬物代謝酵素でありますチトクロムP450の3A4タイプで、この名前は専門的な話になりますが、それの基質なのです。なので、そこに対する阻害薬が入ってくると、血中濃度が極端に上がる可能性があるということで、添付文書にも、特に3A4の阻害薬については、併用注意ということで但し書きがあると思います。今のプロトコールの中にそういった注意喚起みたいなものがなされていないと、こういったお薬を余り使われていらっしゃらない先生方でもお使いになるということでしょうから、そういったリスクの同定はされておいたほうがいいかなと思います。その上で、それでも今そういったお薬を注意して使えるようにできるようになった背景としては、タクロリムスは血中濃度を臨床で測ることができるのです。血中濃度の測定をやります。Therapeutic Drug Monitoringという概念で、TDMという概念ですが、それについてはプロトコールの中でも使用開始前とか、胚移植時とか、要所要所で測るということになっているのですが、特に薬物有害反応、いわゆる副作用が疑われる場合であるとか、先ほど申し上げたような併用注意になっていて、血中濃度を上げてしまう可能性、あるいは逆に下げるようなことですけれども、そういったようなものが使われている場合に、必要に応じて血中濃度をしっかりモニタリングしながらリスクを回避する。極端に血中濃度が上がっている場合には、投与自体を休薬とか、減らすとか、そういったリビジョンを臨床の中でやっていく必要があるかなと思います。やはり患者さんの安全性を確保する上で、それは非常に重要なところかと思いますので、その辺を少し工夫されたほうがいいかなと思います。
 同時に、患者さんに対しても、ものすごくたくさんの薬があってなかなか難しいのですが、併用されているお薬については、しっかりと主治医の先生と御相談して変えられるものもあります。他の、タクロリムスに影響しないものに変えるとか、いろいろな方法がありますので、リスク管理をしっかりされていくということが必要かなと感じました。以上になります。
 
○山口座長
 貴重な御指摘ありがとうございました。何か、これに対してコメントありますか。
 1つは、併用薬に対する注意が重要だということで、これがきっちり書かれている必要があること。もう1つは、副作用が疑われた場合には血中濃度を測れるようにするというのがいいのではないかという御指摘があったと思いますが、いかがですか。
 いずれも、ごもっともな御意見だと思います。よろしいでしょうか。それについても、先ほどのことと付加していただくようにしたいと思います。ほかにございませんか。
 
○真田構成員
 真田です。今、上村尚人先生から御指摘いただいたのは、私も全くそのとおりだと思っていまして、ちょっとそこは視点が漏れていたなと思うので、恐縮する次第です。
 それと届出書の、タブレット資料16ページの普及性の所を読んでいたのですが、このタクロリムスは開発から10年以上たっていて、有用性、安全性の情報が蓄積されているけれども、安全性の懸念から研究開発が遅れ、その間に自費診療による臨床での使用が先行していて、令和2年度の調査研究事業によって、回答した医療機関の約2割が使用しているとの回答結果があるということが書いてあるのですが、このときの使用成績等が蓄積されている、あるいは集積されているのであれば、そういう情報があっても、患者さんの判断の資料にはなるのかなと。これは公式なデータで全くないのですが、研究班レベルのということで、もしあれば、それは参考になるのかなと思いながら拝見をしていました。すみません。指摘し切れず、申し訳ありません。
 
○山口座長
 ありがとうございました。北脇先生、その辺りはいかがでしょうか。なし崩し的に使われていて、そのデータというのは一部あるのでしょうか。
 
○北脇技術専門委員
 御指摘のとおりかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 
○山口座長
 なし崩し的のような、例えば自由診療で行われたり、いろいろなことが行われたものに関して、行われているから安全ということではなくて、むしろ野放し状態になっていて安全性が担保されていないのではないかと、ちょっと懸念もあるので、安全性について、皆さんから意見が出たのだと思います。
 
○北脇技術専門委員
 私も同感でございます。それ以外のことも、山口先生がいつも御指摘になっておられるとおりでございまして、なし崩し的にやっているところを、むしろ頭ごなしに規制するということはなかなか難しいことがありますので、逆にこういったようなエビデンスを、しっかりしたものを出して、そして認めていくというような方針で、それ以外の部分もやり出しておりますので、今回も、是非その方針でやっていただければと考えております。
 
○山口座長
 多分、良い治療だろうということでやっておられるのだと思うのですが、せっかくやられたのだったら、少なくとも安全性だけでも、データを学会で取るように指導するとか、学会サイドでの旗振りが必要なのではないかと思います。でないと、このままだと勝手にやっているということになってしまうので、せっかくやったのにデータが眠ってしまうということになると思います。この会議とは直接関係ありませんが、学会のほうでも是非一度御検討いただきたいと思います。よろしくお願いします。
 
○北脇技術専門委員
 承知いたしました。
 
○山口座長
 ほかにございませんか。それでは議論は出尽くしたと思いますので、整理番号126につきましては、「条件付き適」としたいと思います。幾つか検討すべき点があって、1つは、同意書が分かりにくいので、少し分かりやすく書いていただいて、天野先生に見てもらうなど、確認した上でお認めしたいと思います。それから、先ほど上村(尚)先生から御指摘のありました併用薬に関する十分な注意、副作用が疑われた場合もやはり濃度測定が必要ではないかという御指摘、その辺りも併せて、適正に対応していただいいた上でお認めするということでいかがでしょうか。
 よろしいですか。それでは、「条件付き適」ということにいたします。北脇技術専門委員につきましては、以後は御退席いただいても結構でございます。本日は御多忙のところ本当にありがとうございました。
 
○北脇技術専門委員
 ありがとうございました。
 
(北脇技術専門委員 退室)
 
山口座長
 では、掛江直子構成員にお戻りいただくことといたします。
 
(掛江構成員 入室)
 
○山口座長
 では、続きまして先進医療Bの継続の可否に係る審議結果の報告について、事務局から説明をお願いいたします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 それでは説明させていただきます。資料2の59ページを御覧ください。慶應義塾大学病院からの申請で、告示番号36「イマチニブ経口投与及びペムブロリズマブ静脈内投与の併用療法」です。なお、実施中の先進医療について本年4月より告示番号が改定されていることを申し添えます。
 本技術は、本申請医療機関が臨症使用実績の効率化要件に該当するため、使用実績のない状態で申請され、承認・告示されたものです。適応症は、進行期悪性黒色腫(KIT遺伝子変異を有するものであって、従来の治療法に抵抗性を有するものに限る。)です。研究の概要として、KIT遺伝子変異を有する進行期悪性黒色腫患者のうち、既存治療に抵抗性を示す患者に対してKIT阻害薬(イマチニブ)、抗PD-1抗体(ペムブロリズマブ)を併用した治療を行い、ペムブロリズマブ投与量を固定した際のイマチニブの用量を検討し、推奨用量を決定する(第Ⅰ相試験)。さらに、推奨用量の併用療法の症例集積を継続し、その有効性と安全性を検討する(第Ⅱ相試験)。22例を対象とした単群・オープン試験である。なお、無効でない症例に関しては継続投与を許容するとあります。
 60ページです。この試験は、2020年2月に開始されており、令和4年4月時点で3名の症例が登録されております。継続の可否の評価に必要な評価項目につきまして、本試験では、第Ⅰ相Level 2部分へ進む前に、第Ⅰ相Level 1の安全性評価結果と効果安全性評価委員会の意見を踏まえて、先進医療技術審査部会へ報告し、試験の継続について承認を得ることとされております。
 61ページ、継続の可否に係る独立した委員会の審議結果です。研究責任医師の報告によると、第Ⅰ相試験Level 1に登録され試験治療を受けた3例は、プロトコールに準ずるといずれもが安全性解析対象となり、また、用量制限毒性(DLT)に相当する有害事象を生じていない。これに基づき、効果安全性評価委員会の審議及び厚生労働省への報告を経て、Level 2に移行するべきであると考えられている。一方で、1例においては、原疾患の増悪による試験中止に伴いイマチニブの服薬期間が28日間であったことに関する検討と対応が必要であるとし、「安全性解析対象集団」のうち、ペムブロリズマブ2回の投与、イマチニブは21日以上の服薬を受けた被験者を「DLT解析対象集団」とするという基準を新たに追加し、これを試験実施計画書及び統計解析計画書に反映させることが検討されている。
 効果・安全性評価委員会での審議の結果、試験の継続は妥当と判断された。試験実施計画書等の改訂についても妥当であり、説明・同意文書の改訂については不要と判断されております。その結果を受けて、先進医療技術審査部会から、申請時の主担当である真田先生、副担当の柴田先生に事前に御審議を頂いた結果、先進医療継続可との御評価を得たため、新規症例登録が再開されております。以上ご報告です。
 
○山口座長
 よろしいでしょうか。報告です。
 特に、質問はないようですので、告示番号36につきましては、ただいま御報告いただいたとおりに試験を継続いただきたいと思います。
 それでは続きまして、次の先進医療Bの継続の可否に係る審議結果の報告について、事務局から説明をお願いいたします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。では、資料3-1、63ページを御覧ください。国立がん研究センター中央病院からの申請で、告示番号47「メトホルミン経口投与及びテモゾロミド経口投与の併用療法」です。本技術についても、本申請医療機関が臨床使用実績の効率化要件に該当するため、使用実績のない状態で申請され、承認・告示されたものです。
 適応症は、膠芽腫(初発のものであって、テモゾロミド経口投与及び放射線治療の併用療法後のものに限る。)です。研究の概要としては、初発膠芽腫に対する開頭腫瘍摘出術後の初期治療であるテモゾロミド併用放射線治療終了後のテモゾロミド維持療法にメトホルミンを併用する。メトホルミン併用テモゾロミド維持治療6コース施行後、メトホルミン単独治療をメトホルミン投与開始から365日まで継続する。本試験は、phaseⅠ部分でメトホルミンの推奨用量を決定し、phaseⅡ部分ではphaseⅠで決定された推奨用量で症例数を重ね、安全性と有効性のデータを収集するとあります。
 次のページに移ります。こちらの試験ですが、2021年2月より開催されており、令和4年3月時点で7例の症例が登録されています。継続の可否の評価に必要な評価項目として、本試験は、実施医療機関での設定用量での投与経験がないため、phaseⅠ部分は同療法の臨床使用経験がない医療機関でも先進医療として申請可能な医療機関である臨床研究中核病院で行う。PhaseⅠは2つの用量レベルを設定し、各レベル3例~6例、計6例~12例で評価する。PhaseⅠ終了時に効果・安全性評価委員会による評価を経て、先進医療技術審査部会への報告を行い、本試験の継続に関して承認を得た後、phaseⅡ部分から他の実施予定医療機関に施設を拡大する。なお、phaseⅠ部分の完了に至らない時期においても各レベルで重篤な有害事象が出現する等の安全性上の懸念がある場合は、その時点で効果・安全性評価委員会を開催し、必要に応じて先進医療技術審査部会へも報告を行うこととされております。
 継続の可否に係る独立した委員会の審議結果として、研究代表者及び研究事務局の報告によると、3例について最初の用量レベル1の投与が行われ、用量制限毒性(DLT)に相当する有害事象はなく、用量レベル2に進むこととなった。用量レベル2の第一例目は、grade 2の食欲不振の報告があったが、試験実施計画書「2.4.2.2.DLTの定義」に規定している手順に従い、効果・安全性評価委員2名に諮ったところ、テモゾロミドとの併用前のメトホルミン単独投与時の食欲不振の報告であるという理由で、DLT評価対象例としないこととなった。その他の用量レベル2に登録された3例において事前投与期間を含むメトホルミン併用テモゾロミド維持治療2コース目開始までの観察が終了し、データが収集・確認された。
 効果・安全性評価委員会での審議の結果、「用量制限毒性(DLT)もしくは用量制限毒性(DLT)に類する有害事象の発現はなく、用量レベル2でphaseⅡへ移行する」と判断された。その結果を受けて、先進医療技術審査部会から、申請時の主担当である上村尚人先生、副担当の伊藤陽一先生、技術専門委員の村垣先生に事前に御審議いただいた結果、先進医療継続可との評価を得たため、新規症例登録が再開されております。
 なお、資料3-2に村垣委員からの照会事項に対する申請医療機関からの回答をお付けしております。以上、御報告でございます。
 
○山口座長
 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 特にないようですので、告示番号47につきましては、ただいま御報告いただいたとおりに試験を継続いただきたいと思います。
 では、続きまして試験実施計画の変更について事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。今回、試験計画等の変更申請が1件提出されております。資料4の69ページを御覧ください。横浜市立大学附属病院からの申請で、告示番号52「自家骨髄単核球移植による血管再生治療」です。適応症は、全身性強皮症(難治性皮膚潰瘍を伴うものに限る。)です。御審議いただく主な変更内容につきまして、69ページ下方を御覧ください。主な変更内容としましては、(マル1)横浜市立大学附属病院からの申請では、骨髄から単核球を分離する際に用いる医療材料として、フレゼニウスカービジャパン社の遠心型血球分離装置『COM.TEC』を使用することとしており、『COM.TEC』とともにディスポーザブル製品として『白血球セット(P1Y)F02-011』及び『BMSC骨髄バッグセットF02-0132』を薬事適応外使用することとしていた。
 他方で、本試験に参加する予定の4つの医療機関では、骨髄から単核球を分離する際に用いる医療材料として、テルモBCT社の遠心型血球分離装置『スペクトラオプティア』を使用することとしており、『スペクトラオプティア』とともにディスポーザブル製品として『スペクトラオプティア用血液回路IDLセット』及び『スペクトラオプティア用血液回路BMPセット』を使用するため、いずれの医療材料も使用可とする。なお、テルモBCT社のディスポーザブル製品は、当該使用方法について薬事適応を有しているとあります。
 変更申請する理由としましては、(マル1)テルモBCT株式会社のディスポーザブル製品(薬事適応内)とフレゼニウスカービジャパン株式会社のディスポーザブル製品(薬事適応外)に関して、性能が表記された資料はないが、血液成分分離装置本体の性能については、テルモBCT株式会社のSpectra Optiaとフレゼニウスカービジャパン株式会社のCOM.TECにおける単核球分離の性能について比較した文献がある。前者製品において後者製品と比較してリンパ球が少なく単球が多めであることや、血小板や赤血球の混入が少ないといった点に有意差はあるが、単核球数は同等との結果であった。
 血液成分分離装置本体については両社製品とも薬事適応内であり、本医療技術を施行するに当たっては、必要な単核球細胞数を特定細胞加工物標準書において規定し、単核球細胞数を測定する。従って、分離過程で使用される医療機器及び医療材料が異なっていたとしても、期待される効果は同等と考えられるとあります。マル2については、記載整備等でございます。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。本変更内容につきまして、何か御意見、御質問はございませんか。これも特にないようですので、告示番号52の変更についてはお認めすることといたします。
 続きまして、先進医療Bの協力医療機関の追加につきまして、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料5-1、73ページを御覧ください。告示番号47について3件、告示番号56について8件の協力医療機関の追加申請がありました。
 資料5-2、75ページ以降を御覧ください。事務局において、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件(様式第9号)を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加として、御了承いただきたく存じます。
 
○山口座長
 よろしいでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 特に御意見がなければ、手続を進めさせていただきます。以上でございます。
 
○山口座長
 ありがとうございました。それでは、事務局は手続を進めてください。
 続きまして、先進医療Bの試験終了に伴う取下げについて事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。資料6、79ページを御覧ください。先進医療Bの試験終了に伴う取下げとして、告示番号1、告示番号6、告示番号18の3件、申請がございました。取下げ理由の所に記載があります。告示番号1につきましては、本試験は全ての症例において追跡期間が終了したため、先進医療に係る届出を取り下げる。なお、総括報告書については、提出準備中である。
 告示番号6につきましては、最終組入患者の追跡期間が終了し試験期間が終了したため、当該研究に係る先進医療の届出を取り下げる。なお、総括報告書については、提出に向けて現在準備中である。
 告示番号18につきましては、2020年以降、COVID-19診療の最前線に立ち、かつ救急医療が限界を超えてひっ迫する現況で症例の組入れを行うことは、実務的・倫理的に困難になった。さらに、COVID-19のまん延に伴い、救急蘇生についても気管挿管を優先するなどの治療上の変化があり、更に面会制限等から書面での同意取得に難渋するなど、医療環境が劇的に変化した。このため、予定症例数360例に対して、登録症例数73例ではあるが、研究実施計画書に定めた中止基準、「研究対象患者の組み入れが困難で、予定症例数に達することが困難であると判断された場合」に該当すると判断し、認定臨床研究審査委員会において、中止が承認された。よって、本先進医療を取り下げる。なお、これまでに登録済みの73例については観察期間が終了しており、総括報告書は提出準備中であるとあります。
 以上について、特に御意見がなければ手続を進めさせていただきます。
 
○山口座長
 よろしいでしょうか。藤原先生、どうぞ。
 
○藤原構成員
 藤原です。この告示番号6の腹膜偽粘液腫の先進医療ですが、自由診療でやっているクリニックも結構あり、なかなか難しい疾患ですが、早急に総括報告書をまとめていただき、この治療法の有効性・安全性がはっきりしたほうが、これを受けていらっしゃる患者さんへの恩恵は大きいので、国立国際医療研究センターの方々に、総括報告書を早く準備するようにプッシュしていただきたいと思います。
 
○山口座長
 いかがですか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御指摘ありがとうございます。事務局としましても、申請医療機関のほうに申し伝えさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 
○山口座長
 ありがとうございました。ほかにございませんか。
 ないようですので、事務局は手続を進めてください。
 続きまして、先進医療合同会議の審議結果につきまして、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。資料7、81ページを御覧ください。令和4年4月14日に行われました先進医療合同会議におきまして、1件の先進医療B技術について審議が行われ、「適」の御評価を頂いております。
 技術名は、「人工呼吸管理を要するARDS患者に対するセボフルラン鎮静療法」です。申請医療機関は、神戸大学医学部附属病院です。審査の主担当は伊藤澄信構成員、副担当は田島構成員、飛田構成員に御担当いただきました。先進医療技術審査部会及び先進医療会議ともに、「適」の評価を頂いております。今回御評価いただき、また、先進医療合同会議に御出席いただいた先生方におかれましては、御協力いただき大変ありがとうございました。御報告は以上です。
 
○山口座長
 本件についての御意見、御質問はありますでしょうか。
 続きまして、再生医療等安全性確保法が適用される先進医療B医療技術に係る審査過程の迅速化について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。資料8、111ページを御覧ください。1.現状と課題です。1つ目は、再生医療等安全性確保法施行5年後の見直しの検討に係る中間整理の中で、「先進医療として臨床研究を実施する場合で、かつ、一定の要件を満たした認定再生医療等委員会の審査を経た場合における、先進医療技術審査部会及び先進医療会議の審査過程の簡略化について、臨床研究法に基づく臨床研究の取扱いも参考にしつつ、先進医療会議等において検討すべき」と今後の対応の方向性が示されたところです。
 2つ目は、臨床研究法に規定する臨床研究として認定臨床研究審査委員会(CRB)で承認された先進医療Bに係る審査を行う場合であって、一定の要件を満たす場合においては、先進医療会議における科学的評価の迅速化(先進医療会議及び先進医療技術審査部会の合同開催)が行われているところです。
 3つ目は、認定臨床研究審査委員会及び認定再生医療等委員会における研究に関する審査事項については、概ね一致していることから、再生医療等の臨床研究についても、一定の要件を設けることにより審査過程の迅速化を図ることが可能ではないかと御提案させていただくものです。
 4つ目は、再生医療等評価委員会(令和4年3月10日)において、審査過程の迅速化について先進技術審査部会で検討していただくことについての了承を得ており、当該再生医療等評価部会資料の一部について別紙1として添付しております。
 2.今後の対応案です。1つ目、再生医療等安全性確保法に規定する臨床研究として、認定再生医療等委員会で「適」とされた先進医療Bに係る審査を行う場合であって、一定の要件(マル1、マル2)をいずれも満たす場合においては、先進医療会議における科学的評価の迅速化を行うこととしてはどうかと御提案させていただくものです。一定の要件としては、(マル1)先進医療実施届出書を提出できる保険医療機関は、臨床研究中核病院とする。(マル2)対象となる認定再生医療等委員会はア、イ共に満たし、先進医療会議が認めたものとする。アとして、臨床研究中核病院に設置された認定再生医療等委員会、イとして、審査を行った第一種再生医療等計画が、再生医療等評価部会において「適」となった実績を有する認定再生医療等委員会としております。
 2つ目は、現状、対象となる認定再生医療等委員会の一覧と、その審査実績は124ページの別紙3のとおりとし、現時点で5つの委員会が該当しております。
 112ページにお戻りください。3つ目として、なお、上記の例外として、迅速化の対象となる認定臨床研究審査委員会の取扱いと同様に、迅速化の対象となった認定再生医療等委員会であっても、審査を経た再生医療等(先進医療B)が先進医療技術審査部会にて「不適」又は「継続審議」と評価された場合は、当該認定再生医療等委員会については、当該認定再生医療等委員会で新たに審査を行った再生医療等が先進医療Bとして「適」又は「条件付き適」と評価された実績が認められるまで、迅速化の対象から除外してはどうか。補注として、「条件付き適」と評価されたものであっても、条件等に対して適切な対応がされず、再審議が必要となったものは除くとしております。
 4つ目は、今後、迅速化の対象となる認定再生医療等委員会の実績が蓄積された段階で、先進医療会議及び先進医療技術審査部会に改めて報告することとし、必要に応じて、迅速化案の見直しを行うこととしてはどうかと御提案させていただくものです。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。ただいまの御説明について、何か御意見、御質問はございませんか。よろしいでしょうか。それでは、特にないようですので、御提案のとおりに先進医療会議にお送りしたいと思います。
 続きまして、申請医療機関からの報告について事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。資料9-1、125ページを御覧ください。国立がん研究センター中央病院から告示番号2「経皮的乳がんラジオ波焼灼療法」に関する報告です。なお、冒頭で申し上げましたとおり、柴田構成員、藤原構成員におかれましては、御所属の医療機関との関係で、本議題の審議に際し、一時御退席いただきたく存じます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 
(柴田構成員、藤原構成員退席)
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 それでは、資料に沿って御説明させていただきます。告示番号B2「経皮的乳がんラジオ波焼灼療法」については、平成25年8月より先進医療Bとして実施されているが、申請医療機関である国立がん研究センター中央病院から、同院及び協力医療機関である国立がん研究センター東病院における同意取得に関する不適切事案の報告がなされた。上記報告に関し、当該医療機関に確認・指摘すべき事項がないかを御確認、御議論いただければと存じます。
 127ページに移りまして、先進医療B告示番号2「経皮的乳がんラジオ波焼灼療法」における国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院での同意取得に関する不適切事案の御報告です。
 1.経緯です。経皮的乳がんラジオ波焼灼療法(以下、RAFAELO試験)は先進医療として2013年8月1日から研究を開始し、予定症例数372例に対して372例の登録が2017年11月29日に完了し、現在は追跡調査中である。RAFAELO試験では、CRF(EDC)に入力されたデータに基づいて、中央モニタリングをデータセンターにて年2回実施していた。薬事承認申請に向け、試験計画に基づく監査を2021年1月8日より国立がん研究センター中央病院における163例、国立がん研究センター東病院における39例、岡山大学病院における30例、群馬県立がんセンターにおける23例、広島市民病院における49例の304例について実施した。監査の結果、国立がん研究センター中央病院において163例中3例、国立がん研究センター東病院の39例中2例の患者について同意取得に関する不備が確認された。なお、岡山大学病院、群馬県立がんセンター、広島市民病院については監査の結果、同意書の保管が確認でき、適切に同意説明、同意取得が行われたことが確認された。本不適切事案は特に重大なものと判断したため、臨床研究法施行規則第15条に基づき、認定臨床研究審査委員会に報告を行い、2021年6月24日に審議が行われた。同意取得に関する不備が確認されたため、薬事承認申請のための監査を行わなかった協力医療機関に対し同意書の保管状況についての追加の監査を計画し、実施した。その結果、北海道がんセンターにおける24例、千葉県がんセンターにおける26例、四国がんセンターにおける17例、岐阜大学医学部附属病院における1例の全例において、適切に同意説明、同意取得が行われたことが確認されたとあります。
 次のページに移りまして、2.事実の概要としまして表にまとめております。1例目につきましては、高度医療下の試験の同意書を保管しており、2例目から4例目については実施機関における保管がなされておりませんでした。5例目については実施試験の同意書が保管されておりました。なお、全例において本先進医療とは別に、ラジオ波焼灼療法(RFA)に関して別途説明と同意がなされており、こちらの同意書は適切に保管されていることが確認されております。また、患者の試験内容の理解についても、再同意の取得とともに問題がなかった点は確認済みでございます。
 3.発生の要因です。1つ目として、同意書は医師が患者から受領後、同意書の内容を確認し、電子カルテへの取り込み依頼を行った後、病院スタッフが電子カルテへ取り込み、紙カルテへの保管を行うという手順になっていた。その過程で適切に対応ができなかった。2例目から4例目は実施機関で保管すべき同意書が保管されていなかった。2つ目として、第三者が同意者の再確認を行う体制がなかった。3つ目として、1例目について、高度医療制度下の試験は第Ⅱ相試験として2009年12月から2011年12月までの2年間、RAFAELO試験に先行して実施した試験である。両試験の同意説明文書は同じ研究班の研究者らにより作成されたため、表紙のフォントの字体や大きさが同一であり、表紙の記載が異なっている点は、版数、作成日、同意説明文書のタイトルの後半部分のみであり、さらに表紙に研究課題名や試験略称が記載されていないため、違いは非常に見分けにくい形式となっていた。4つ目としては、5例目について取得されていた同意文書は、同時期に実施されていた内容の全く異なるランダム化比較第Ⅲ相試験であった。説明同意文書はRAFAELO試験とともに外来診察室に保管されていたが、表紙の記載も異なるため、別試験の同意文書を渡したことは、研究者の人為的過誤の要素が大きい。しかし、本例の最大の発生要因は、試験同意書を受領し電子カルテへと取り込む過程で、第三者が再確認する体制になっていなかったことである。5つ目として、本不適切事案の発生当時は、説明同意文書や試験実施計画をサーバー上のシステムで研究者が共有する体制とはなっておらず、研究者の個人のパソコンや外来診察室で説明同意文書の保管や管理を行っていた。
 4.対処の内容です。本不適切事案について各患者に説明と謝罪を行い、試験について十分な理解を頂いた上で再同意を頂いた。再同意を頂いた際に、本試験の内容について御理解の上で御参加いただいていることが全例について確認できた。また、薬事承認申請のための監査を行わなかった北海道がんセンターにおける24例、千葉県がんセンターにおける26例、四国がんセンターにおける17例、岐阜大学医学部附属病院における1例について、同意書の保管状況についての追加の監査を行った。
 5.認定臨床研究審査委員会の意見です。本報告は国立がん研究センター中央病院の3名、国立がん研究センター東病院の2名の対象者について、インフォームド・コンセントのプロセスの適切性が損なわれた、若しくは損なわれたことが疑われる事案であり、臨床研究法が規定する重大な不適合に該当すると当委員会は判断した。本委員会意見は、臨床研究法第29条に基づき、地方厚生局経由で厚生労働大臣へ報告を行う。
 6.今後の対応策です。以下のような対応策を講じる。1.同意取得後、同意取得を行った医師以外の第三者が、医師による同意取得後、速やかに患者から受領した同意書の確認を行う。2.説明同意文書を作成する場合は、同意書の表題に加えて研究課題名、研究課題番号、明確に区別できる試験略称名、制度名を記載して、誤って他の試験と混同して同意説明に用いることを防止する。3.研究責任医師もしくは研究分担医師は、説明を行った臨床研究名、同意説明を行った旨と、その日付、同意を取得した旨と同意書に記載されている同意日を明確にカルテに記載する。4.研究責任医師もしくは研究分担医師は、同意書受領後に臨床研究への登録を行うよう徹底する。5.研究責任医師もしくは研究分担医師は、入院時に上記の同意取得関連のカルテ記載と電子カルテ内に保管されている同意書の確認を行う。6.研究責任医師もしくは研究分担医師は、同意書受領後は電子カルテの取り込み依頼の申請を当日中に確実に行う。7.全実施医療機関参加のもと会議を開催し、他の協力医療機関に本不適切事案の内容と対応策を共有し、臨床研究関連文書の管理に関して、注意喚起を行った。8.国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院内において本不適切事案について周知した。
 このような重大な不適切事案を起こさないよう、同意書の保管を含む臨床研究の関連文書の管理、確認を適切に行うことを徹底しますとあります。以上でございます。
 
○山口座長
 ありがとうございました。ただいまの御説明について、何か御質問・御意見はございませんか。天野構成員、どうぞ。
 
○天野構成員
 御説明ありがとうございました。あくまで印象論なのですけれども、国立がん研究センターであれば、多くの臨床試験を実施しているかと思うのですが、中央的なセンター的な施設で、こういった基本的な不備が生じたというのは、若干不思議な感じがいたします。もちろん、どのような医療機関にあっても、こういったことはあってはならないことだと思うのですけれども。その上で1点質問なのですが、今回の不適切な事案を起こした当該診療科について、ほかの試験についても追加で、検査とかチェックは院内でなされているのか、確認させていただければと思います。
 
○山口座長
 事務局から、何かありますか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 事務局でございます。おそらくは、記載のとおりに検討等、情報の共有がされておりますが、まずはその実施体制につきましては、この臨床研究開始後2015年4月より、臨床研究支援部門というものが設置されておりまして、それ以降、また、臨床研究法の施行に伴って、体制は順次きちんと整理されているというような御報告を受けております。
 それから本試験につきまして、関連している患者申出療養制度を用いたPO-RAFAELO試験についても、実はこの件を受けまして、全例できちんと同意書が保管されているかということを確認されております。これは、この試験が終わった後の試験でございますが、これに関しては97例が登録されておりますけれども、全例についてきちんと説明同意文書が保管されていることは確認済みでございますので、事務局としては当時に比べると体制が整備されていると判断しております。
 
○天野構成員
 この後、当該診療科は、この試験においてのみ、このような不適切な事例が生じたという理解でよろしいということでしょうか。ほかの臨床試験も実施して行われているという理解でよろしいのでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 事務局でございます。御指摘ありがとうございます。ほかの臨床試験につきましては、全てを調べているわけではございませんが、それにも関連している研究に関して、きちんと説明同意文書に関しては保管されているということを調べておりますので、そのように推察される状況であるという認識でございます。
 
○山口座長
 今の御質問は、同意書の取得について、こういう不備があったのだけれども、そこだけを見ていいのかと、同じ施設で、ほかのもので同じようなレベルにあるのではないかという疑問だと思うのですけれども、それを全部調べるかどうかは別にして、この試験に限ったことかどうかという懸念があったということを伝えていただけますか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 承知しました。それでは事務局から申請医療機関と、それから関連医療機関のほうにも申し伝えさせていただきます。ありがとうございます。
 
○山口座長
 ほかにございませんか。後藤先生、どうぞ。
 
○後藤構成員
 この発覚の経緯について、何か分かれば教えていただきたいです。あとは同意文書の保管の話はされているのですけれども、同意文書の適切性に関して、適切な同意が得られたかどうかまでは確認していないということでよろしいのか。この2つについて伺えればと思います。
 
○山口座長
 事務局、いかがですか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 経緯につきましては、127ページにございますけれども、まずは、なぜ監査を行ったかという過程につきましては、薬事承認申請に向けて試験計画に基づく監査を行ったということでございます。今回の発覚の経緯は、まずはそこに起点があるというところでございます。
 
○後藤構成員
 薬事承認申請のための監査で、たまたま見付かったという理解でよろしいのでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 今回の試験の臨床試験実施計画書においては、もともと中央モニタリングを年2回していたのですけれども、これに関しまして同意書の本体を確認するということはなされていなかったということで、残念ながら中央モニタリングに関しては、この同意書の有無に関してチェックが抜けていたわけでございます。ですので、御指摘のように、この件については監査で初めて見付かったという御理解で正しいかと存じます。
 
○後藤構成員
 本来だったら中央モニタリングがからんでいるのであれば、そこで見付かるべきだと考えていらっしゃるということなのでしょうか。ほかの臨床試験もそうですけれども、今後こういうことが起こらないための方策として、その発生が、たまたまの発見という形ではなく、発見のためのシステムの構築がされていると理解していいのでしょうか。先ほど御指摘があった2015年でしたか、新しいシステムとして監査室みたいなものを作ったということで、今後はたまたま見付かるというような形ではない発見が促進される、という理解でよろしいでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 事務局でございます。御指摘ありがとうございます。臨床研究法施行に伴って、臨床研究支援部門というものが、当該病院も含めて立ち上がっておりまして、御指摘の内容につきましては、きちんと院内の周知がなされているというような理解をしております。
 
○山口座長
 よろしいですか。
 
○後藤構成員
 はい、分かりました。
 
○山口座長
 今のことに関して、私もちょっと懸念があるので。やはりモニタリングを2回やっているのに、何を見ていたのかということです。例えば別の試験の同意書を渡していたりしていることがあるわけですけれども、そういうこともチェックできないようなモニターだったのかなということは、ちょっと不安になります。対策の中では、モニタリングについて何も言及されていないので、是非その辺りを御確認いただいたほうがいいのではないかなと思いました。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御指摘ありがとうございます。この試験計画書に記載があるモニタリングというものが中央モニタリングで、同意書本体を確かめにいくような規定がもともとなかったために起こったものと理解しておりまして、このことに関しましても、この試験実施の品質管理において申請医療機関が反省しているところで、その点については申し伝えるとことといたしております。
 
○後藤構成員
 保管だけではなくて、今、違うものを渡して説明していたというご説明もあったので伺っています。今日のお話ですと、保管だけという印象があったのですが、きちんと同意が説明文書に基づいてなされているかということまでは確認していないという理解でよろしいのでしょうか。それでいいのかどうかについても、併せて伺えればと思います。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御指摘ありがとうございます。特に1例目に関しては書類を間違えたという点もあるのですけれども、5例目に関しましては、申請医療機関からの御回答によりますと、当該の担当の医師も同定している状態で、その医師によれば説明する際にちゃんと文書を用いずに、口頭で説明をされているということです。5例目につきましては、試験実施の説明をされていて、同意文書についても署名をする際の文脈をきちんと確認せずにされていたということで、これ以上申し開きのないような状況で、担当の先生もそのように認識しております。間違ったやり方で、文書に即さずに説明しているという状況であることは、お認めいただいているということです。
 
○後藤構成員
 そうしますと、保管の問題というよりも、きちんとした説明同意がなされないで行われたというところのほうが問題だと思うのです。何か今日の御説明だと、その辺が若干、伝わってこなかったような気がいたしますので、その点について、この問題の核心がどこにあるのかということを、もう一回確認していただければと思います。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 貴重な御指摘をありがとうございます。医療機関のほうに、きちんと申し伝えさせていただきまして問題点を認識いただくようにいたします。
 
○山口座長
 ほかにございませんか。佐藤先生、どうぞ。
 
○佐藤構成員
 ありがとうございます。今の後藤先生の御質問と、それに対する回答で、1例目は分かったのですが、5例目について、口頭での説明と同意は取られていたようなのですけれども、口頭での説明と同意、それからラジオ波の焼灼について、きちんとした文書による説明と再同意というものの前後関係というか、日にちについて、これから確認されるようであれば、聞いていただきたいと思いました。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 承知いたしました。別添資料のほうに日付等が、5例目についても記載がありますので、そちらも御確認いただけたらと思いますけれども、大体の経緯につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。
 各RFA自体に関しましては、説明同意文書を再度、全例について取り直しておりますので、本試験とはまた別に取り直しているという点においては、患者さんの御理解に関しては、何とかそこまでずれていないという確認がとれているという状況です。以上でございます。
 
(後藤構成員 退室)
 
○佐藤構成員
 タブレット資料のほうに説明があるのを、今、気が付きました。すみません、分かりました。
 
○山口座長
 ほかにございませんか。この申請医療機関は、やはり臨床経験も非常に豊富で、臨床試験については模範になるべき施設ですし、協力医療機関は東病院以外、全部きちんとやっていたということ自体は、恥ずかしいうえ大変な問題だと思います。今、皆さんから御指摘いただいたことは、必ず問い合わせて確認したいと思います。
 
○神村構成員
 すみません、神村ですけれども。
対応策として、基準あるいはシステムというところで、随分いろいろ講じていただいているということは分かりました。ただ、やはり個々の研究者や医師がこれをきちんと自覚して、全ての研究者が重要性をきちんと認識しなければ、どこかで漏れてしまうというような疑いもありますので、対応策の一番の根幹は、研究者の認識と自覚というところを少し強調していただければと思いました。
 
○山口座長
 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御指摘ありがとうございます。医療機関のほうに申し伝えさせていただきます。
 
○山口座長
 ほかにございませんか。飛田先生、どうぞ。
 
○飛田構成員
 すみません、ちょっと1点だけ確認させていただきたいのですけれども、今回の病院の問題が監査で発覚したのが、資料を見ていくと、2021年1月8日ということになっていて、それに関しての認定臨床研究審査委員会で報告されて審議が行われたのが2021年6月24日となっているのですが、ここへの報告というのが大分遅いのかなという気もしなくはなくて、発覚から実際に、この医療機関が、どういう調査をどのタイミングで行ったのかという、その時系列的な行動というか対応と、その辺りを少し詳細にお教えいただきたいなと思ったのですが、いかがでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 事務局でございます。御指摘をありがとうございます。まず最初に、先ほど薬事申請に向けた監査で、同意文書の問題が発覚したと。その後、報告があるまでに、問題があることを認識した上で全例についてお調べすると、ほかの協力医療機関につきましても、全例について同意書の確認とカルテの記載を全て詳細に調べるということをした上で、どのようにするかということをCRBが最終的に判断しているというような状況でございます。その辺りのコミュニケーションと、それから手順にかなり時間が掛かって、カルテも含め全例調べ上げるということになっておりますので、事務局としては、その辺りに大分時間が掛かっているという認識でございます。
 
○飛田構成員
 その監査の結果報告に関して、事務局のほうには連絡というか、情報というのは伝わっていたという理解でよろしかったでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 ご理解のとおりです。
 
○飛田構成員
 分かりました。
 
○山口座長
 ほかにございませんか。それでは、皆様から頂いた御意見を基に、国立がん研究センターのほうに申し述べたいと思います。それでは、申請機関からの報告については以上とします。では、柴田構成員と藤原構成員にお戻りいただくことといたします。
 
(柴田構成員、藤原構成員ともに退室済みで戻られないことを確認)
 
○山口座長
 それでは、本日の議題は以上ですが、構成員の皆様、全体を通して、何か御意見、御質問はございませんか。ないようでしたら次回の日程を、事務局からお願いいたします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 次回は令和4年5月19日(木曜日)の開催とさせていただきます。時間は16時から18時までの予定で、詳細につきましては別途御連絡させていただきます。また、本日の議事録については作成次第、先生方に御確認をお願いし、その後に公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 
○山口座長
 それでは、第132回先進医療技術審査部会を終了いたします。活発な御議論をありがとうございました。

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 先進医療技術審査部会> 第132回先進医療技術審査部会(議事録)

ページの先頭へ戻る