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2022年3月10日 第130回先進医療技術審査部会 議事録

 
 


(1)日時:令和4年3月10日(木)16:00~

(2)場所:TKP新橋カンファレンスセンター「ホール13A」(オンライン)

(3)出席者
山口座長、一色座長代理、天野構成員、伊藤(澄)構成員、伊藤(陽)構成員、上村(尚)構成員、上村(夕)構成員、掛江構成員、神村構成員、坂井構成員、佐藤構成員、真田構成員、柴田構成員、田島構成員、飛田構成員、藤原構成員、松山構成員

(事務局)
医政局研究開発振興課長
医政局研究開発振興課 治験推進室長
医政局研究開発振興課 課長補佐
医政局研究開発振興課 先進医療係長
保険局医療課 先進・再生医療開発戦略専門官


【議題】

1.新規申請技術の評価結果について
2.試験実施計画の変更について
3.協力医療機関の追加について
4.申請医療機関からの報告について
5.その他

【議事録】
○山口座長
 定刻となりましたので、第130回先進医療技術審査部会を始めます。御多忙のところ、お集まりいただきありがとうございます。本日はオンラインの開催となります。
 本日の構成員の出欠状況ですが、後藤弘子構成員より御欠席の連絡を頂いております。また、伊藤澄信構成員は、本日は会場に御出席いただいております。本日は18名の構成員のうち、現在16名の構成員にお集まりいただいていることから、本会議が成立していることを申し添えます。それでは、配布資料と本日の審査案件の確認を事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 よろしくお願いいたします。傍聴者の方の撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 配布資料につきまして確認をさせていただきます。議事次第から、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿となります。続きまして、新規申請技術の評価結果についてが資料1-1~資料1-5、試験実施計画の変更についてが資料2、協力医療機関の追加についてが資料3-1及び資料3-2、先進医療合同会議の審議結果についてが資料4、申請医療機関からの報告が資料5-1及び資料5-2、会議資料の最終ページは190ページとなります。お手元の資料に乱丁、落丁等ございましたら事務局までお知らせください。
 続きまして、利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業について、事務局から事前に確認させていただいております。今回、整理番号124の技術、国立国際医療研究センターからの新規申請技術について、上村夕香理構成員におかれましては、自施設からの申請であり、また、当該研究の分担者ということで、審議の際は一時御退席いただければと思います。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がございましたら、この場で御報告をお願いいたします。
 それでは、該当なしということで承知いたしました。
また、今回は資料を事前にメールでお送りしております。会議資料と区別して、構成員・事務局限りの届出書類等を「タブレット資料」と御案内します。なお、会議資料とタブレット資料の内容は異なっておりますので、発言者は会議資料の何ページ、又はタブレット資料の何ページと、あらかじめ御発言を頂けますと議事の進行上助かります。
 本日はオンラインでの開催となり、構成員の先生方には大変御不便をお掛けいたします。御発言いただく際には、初めにお名前をおっしゃっていただくようにお願いいたします。その他、途中で接続トラブル等ございましたらお知らせいただけますようお願いいたします。また、Web会議ソフトには、手挙げ機能が付いておりますので、適宜こちらも御活用いただければと存じます。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。議事に入りたいと思います。では、新規申請技術の評価結果につきまして、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。資料1-1、15ページを御覧ください。先進医療技術として新規に御評価いただく技術は、整理番号124の「慢性膵炎等に対する膵全摘術に伴う自家膵島移植」です。申請医療機関は、国立国際医療研究センター病院です。審査担当構成員は、主担当が松山構成員、副担当が佐藤構成員、伊藤陽一構成員となっています。なお、冒頭に申し上げたとおりですが、上村夕香理構成員におかれましては、御所属の医療機関等との関係で、本議題の審議に際し、御退席いただきたく存じます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 
  (上村(夕)構成員退室)
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料1-5、27ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について事務局より御説明いたします。まず、Ⅰ.実施責任医師の要件です。診療科は、肝胆膵外科又は消化器外科が必要。資格は、日本再生医療学会認定医又は日本移植学会認定医が必要となっています。当該診療科の経験年数は不要。当該技術の経験年数は1年以上が必要。経験症例数は不要。その他(上記以外の要件)の欄において、補足として、「経験年数は、同種死体膵島移植でも可」となっております。
 Ⅱ.医療機関の要件です。診療科は、肝胆膵外科又は消化器外科・消化器内科・糖尿病内科が必要。実施診療科の医師数は、日本外科学会指導医1名及び常勤の日本外科学会専門医(認定登録医を含む)2名以上が必要。他診療科の医師数は、麻酔科常勤医師1名、日本糖尿病学会糖尿病専門医1名以上、日本消化器病学会消化器病専門医1名以上が必要。その他医療従事者の配置は、常勤薬剤師・常勤臨床工学技士・常勤臨床検査技師・常勤放射線技師各1名以上が必要。病床数は、400床以上が必要。看護配置は、7対1看護以上が必要。当直体制は、外科系及び内科系それぞれ1名以上が必要。緊急手術の実施体制が必要。院内検査は、24時間実施体制が必要。他の医療機関との連携体制は不要。医療機器の保守管理体制が必要。医療安全管理委員会の設置が必要。医療機関としての当該技術の実施症例数は、1例以上、又は同種死体膵島移植1症例以上、又は日本膵・膵島移植研究会の認定する膵島分離・移植施設であることが必要です。
 Ⅲ.その他の要件としては、頻回の実績報告は不要となっております。事務局からは以上です。
 
○山口座長
 これらの要件につきまして、何か御意見はございませんか、いかがでしょうか。特にありませんので、様式第9号については、これでお認めすることといたします。
 次に、技術の概要と実施体制の評価につきまして、主担当の松山構成員より説明をお願いします。
 
○松山構成員
 ありがとうございます。よろしくお願いします。配布資料の17ページの所から簡単に読み上げさせていただきます。1型糖尿病患者に対する同種の死体移植に関しましては、既に保険収載を受けたところです。世界的に、御自身の膵臓を摘出された患者さんは、そのままではインスリンが分泌されないので、インスリン依存性の糖尿病と同じ状況で、なかなか治療に難儀することが多かったということで、この試験で行われるような疼痛コントロール困難な慢性膵炎及び膵動静脈奇形という膵全摘術が適応となる膵良性疾患に対して膵全摘術を行って、併せてその膵臓から膵島を単離して移植する自家移植を行うという技術が開発されてきました。世界的にはClinical Trials.govを見させていただいても、イタリアのサンラファエル大学で、2019年まで同じようなプロトコールが行われ、非常に有効なデータが得られているところでございます。今回、先行研究として行われた結果の安全性をもって、先進医療として有効性を示していくことになります。
 主要評価項目としましては、治療半年後の評価において血糖コントロールの良好な患者の割合が10例中の割合となっております。副次評価項目としましては、膵臓に起因する疼痛、患者さんは痛みがあるために膵摘に同意されますので、これがしっかりと改善されたかどうか、そのほかにしっかりとインスリンが分泌されているかどうかを見させていただくというところです。
 予定試験期間は、告示日から2027年3月31日までで、目標症例数は10例となっております。実施体制の評価に進ませていただいてもよろしいでしょうか。実施責任医師等の体制に関してですが、国立国際医療研究センターは、やはり日本でも非常にレベルの高い移植をやっているチームで、しかも膵島移植は通常ドクター3人ぐらいが張り付いて膵島を分離することがあり、プラス、オペの人数、それからその後の術後管理を含めて、かなり大きな病院でないと難しいと考えております。それを踏まえて、このチームであればできると考え、実施責任医師等の体制は「適」とさせていただきました。
 実施医療機関の体制としては、移植した後、同種の膵島移植は免疫抑制剤等が不要になるのですけれども、しっかりと代謝的に綿密にコントロールが必要ということで、国立国際医療研究センターのこのチームでは可能であると考えます。加えまして、医療技術の有用性に関しましては、先行のデータ並びにClinical Trials.gov、WHOを含めたポータルサイトに登録されているデータを見ると、かなり有用であると思われます。患者さん自身は、インスリンを使うことによる低血糖発作とかが、かなりエスケープできているようですので、有用性を「適」と、今回はさせていただきました。一旦、お返しいたします。
 
○山口座長
 ありがとうございました。続いて、副担当の佐藤構成員より、倫理的観点からの御評価について説明をお願いします。
 
○佐藤構成員
 よろしくお願いいたします。指摘事項の質問を先に見たいと思いますので、会議資料の21ページを御覧ください。説明同意文書には、いつでも同意が撤回できますというように書いてあります。膵臓を摘出して膵島移植をした後でも撤回はできるのか、その場合には、摘出や移植自体は元に戻せないということの説明が必要ではないかということを先方にお聞きしましたところ、摘出移植後の撤回も可能で、その場合には元に戻せないという旨を説明同意文書に追加するという回答がありました。
 評価表のほうに戻っていただいて、会議資料の19ページですが、説明同意文書について先ほどのようなやり取りをしまして、ほかの点は特に問題がないと思いました。また、相談窓口、臨床研究保険による補償の内容も適切だと判断いたしました。なお、この研究は18歳以上の人が対象になるとされています。現在のデザインでは、18歳や19歳の人は本人の意思と、プラス代諾者の同意によって行うことになっていますが、あと20日ぐらいで、4月以降は成人年齢が18歳に引き下げられ、そうすると、組み入れられる18歳以上の人は全て成人ということになりますので、この場合には代諾はないですねと確認しましたところ、4月以降については、そのように対応するという御回答がありましたことを付言させていただきます。ですので、評価としては「適」といたしました。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。続きまして、副担当の伊藤陽一構成員より、試験実施計画等の評価について説明をお願いします。
 
○伊藤(陽)構成員
 試験実施計画書等の評価を行いました。コメント欄の所を見ていただくと、症例数の設定の根拠について、記載不十分な点があったので、照会事項を出しました。それが資料の22ページになります。少し専門的になるのですけれども、本試験のデザインとしては、ベイズ流の試験デザインを採用しています。ベイズ流の試験デザインというのは、事前情報として何例分の症例の情報がもう既にあるということを想定して、今回の10例を積み上げて有効性の検証をしようというデザインになっています。症例数の設定の根拠の所に書かれているように、事前分布Beta(14,21)のパラメータを足してあげると35になるので、事前の情報として35症例分の情報があることを想定した分布を使っていますけれども、この35例がどこからきたか分からなかったので、問合せをいたしました。回答のほうでは、膵島研究のほうで、Staufferらの研究47例を対象とした後ろ向き研究があるけれども、ちょっと割り引いて35とし、期待値が40%になるようにパラメータを2対3として、事前分布をBeta(14,21)にしたということです。この情報はプロトコールのほうに記載がなかったので、本来はこういうことも、きちんとプロトコールに書いたほうがいいのですが、申請者は現時点では、そのプロトコールの改訂を特にしませんという回答をしております。この回答以外にも、別添で様々な検討もされているので、検討自体は十分されているかと思います。別に現時点で、すぐに改訂しなければいけないというものではないと思いますので、今後プロトコールを改訂する際に、こうした情報を反映して書いていただければいいかと思いまして、評価を「適」としております。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。1~16の総評につきまして、主担当の松山構成員よりお願いします。
 
○松山構成員
 ありがとうございます。今回、「適」とさせていただきました。佐藤先生、伊藤先生からの御指摘に、しっかりと速やかに対応していただいて感謝しております。他家膵島移植については、技術的な成熟もあって有用性が認められて保険収載されております。本申請は、慢性膵炎等で摘出される自己膵臓から膵島を単離して他家膵島移植と同じ技術で患者さんに自己移植するものです。他家膵臓あるいは他家膵島と異なり、慢性膵炎などで摘出された膵臓から膵島を単離するのは技術的にはかなりハードルが高いと考えられますが、この技術の有用性が確認されれば、慢性膵炎などで膵臓を摘出しなければならない多くの患者さんにとって福音となると期待しているところです。以上でございます。ありがとうございます。お返しいたします。
 
○山口座長
 はい、ありがとうございました。それでは御討議をお願いいたします。何か御質問、コメントはございませんか。大体、適切に直されたように思いますが、何かございますか。特にないようですので、整理番号124につきましては、「適」ということにいたします。
 では、上村夕香理構成員にお戻りいただくことといたします。
 
  (上村(夕)構成員入室)
 
○山口座長
 続きまして、試験実施計画の変更につきまして、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。今回、試験計画等の変更申請が1件提出されております。資料2、29ページを御覧ください。東京西徳洲会病院からの申請で、大臣告示番号B48「腎悪性腫瘍手術により摘出された腎臓を用いた腎移植」です。適応症は末期腎不全(慢性維持透析が困難なものに限る。)です。御審議いただく主な変更内容については、29ページの下方を御覧ください。(1)研究実施上の手続きの一部変更、(別添図参照)、(2)ドナー適格条件について一部変更、(3)ドナーの検査項目及び許容期間の見直し、(4)その他記載整備です。
 次のページに移り、変更申請する理由です。(1)研究実施上の手続きの一部変更です。日本移植学会から、同学会倫理指針の「[2]生体臓器移植(4)日本移植学会における審議」に基づき、本件は非血縁者間の移植に該当することから同学会倫理委員会の審議を受けるべきとの提案を受け、ドナー及びレシピエントが決定した後に日本移植学会倫理委員会へ関連書類を提出し、移植の適切性について確認いただくこととなった。そのため、研究実施上の手続に関して整理し、新たなシェーマを追加したとあります。従来の手続は、「1)ドナーとレシピエント、その他関連施設との関係」の図のように、追加部分は、「2)ドナー及びレシピエント決定後の日本移植学会倫理委員会による関連資料確認」として、次のページの図のように記載されています。(2)ドナー適格条件について一部変更です。これまでの進捗状況を鑑みて、最新の泌尿器科腹腔鏡ガイドライン、腎癌診療ガイドライン及び国内の複数のがんセンターや大学病院等が公開している小径腎腫瘍の手術療法に関する説明文書を参照して、ドナー選択基準を変更した。具体的には、ドナー適格基準の2)及び3)が該当しています。下方の変更後の下線部ですが、2)腎部分切除術が適応とならないと判断される症例については、(1)腎腫瘍4cm以下(T1a)の場合、以下の理由(マル1、マル2、あるいはマル3)により腎部分切除は困難であると判断される症例、次のページの(2)腎腫瘍が4cmを越え、7cm以下(T1b)の症例となっております。3)は、40歳以上となっています。設定の根拠につきまして、2)については、下線部のように、手術療法が第1選択の標準治療とされて多くの経験が蓄積されてきたことから、単発性のT1a(4cm以下)腫瘍であり、かつ形態的に切除可能の場合は部分切除が選択され、その治療成績は根治的腎摘と同等と認められ、推奨されている。国内の大学病院などの約20施設において公開されている腎がん治療の最新の方針を比較してみると、この推奨どおりで4cm以下の腫瘍は切除困難な場合を除き部分切除を実施している。多数症例での合併症などの経験を踏まえて、部分切除は3cm以下の腫瘍としているがんセンターもある。一方で、T1b腫瘍(4cm~7cm)の部分切除は推奨している施設が少ないことから、選択基準を設定した。3)については、下線部のように、40歳を越えてくると腎腫瘍の発生が増え始め、40歳未満の発生は稀であるが、40歳を越えてくると腫瘍発生が増加傾向へ転じることを踏まえて、最新(2020)の日本人の平均寿命(84.69歳)を考慮したとあります。 (3)ドナーの検査項目及び許容期間の見直しです。1つ目のポツですが、研究計画書等において、感染症のスクリーニング検査については、登録時と手術前までで、2回検査が必要であるような記載であったため、患者負担軽減の観点から菌種・ウイルス種別に過去の検査結果を参照できることとした。2つ目のポツは、研究計画書等において、ドナー登録時及び手術前までに必要なデータとして、便潜血検査も2回必要であるような記載であったため、患者負担軽減の観点から、実際には必要時に実施する検査として、その具体的な条件を設定した。3つ目のポツは、画像診断検査については、患者負担の軽減及び必要な検査項目を明確にするため、腫瘍部分の大きさが判る検査、腎血流量の左右差が判る検査及び、その他患者状態により主治医が必要と思われる検査について記載内容を整備した。4つ目のポツは、手術前までに実施すべき検査の許容期間が2週間以内であったが、この場合、登録時から手術日までが2週間以上の間隔がある際には、ドナー候補患者に対して再度検査が必要になることとなり、患者負担の観点からも一般的に考えられる病勢進行の観点からも適切ではないと考えられる。また、本研究の手続き上、必要な期間が2週間以内で実施することは困難であることと、院内がん登録データを参考に、c0~Ⅰ期で腎腫瘍の診断から手術までの平均日数が63日程度であることから、登録時からの検査データの有効期間を実施可能と想定される6週間と設定した。(4)その他記載整備とあります。以上です。
 
(藤原構成員入室)
 
○山口座長
 本変更内容につきまして、何か御質問と御意見はございませんでしょうか。変更4つほどありますが、これは、まだ登録はゼロですよね。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 レシピエントはあるのですが、ドナーの方の登録はゼロです。
 
○山口座長
 いかがでしょうか。何か御質問ございませんか。よろしいですか。それでは、ないようですので、告示番号48の変更については、お認めすることといたします。
 続きまして、先進医療Bの協力医療機関の追加につきまして、事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料3-1、35ページを御覧ください。告示番号36について1件、告示番号65について1件、告示番号76について3件の協力医療機関の追加申請がありました。資料3-2、37ページ以降を御覧ください。事務局において、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件(様式第9号)を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加として御了承を頂きたく存じます。特に御意見がなければ、手続を進めさせていただきます。以上です。
 
○山口座長
 よろしいでしょうか。それでは、事務局は手続を進めてください。
 続きまして、先進医療合同会議の審議結果につきまして、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。資料4、43ページを御覧ください。令和4年3月3日に行われました先進医療合同会議におきまして、3件の先進医療B技術について審議が行われ、いずれも最終的に「適」の御評価を頂いております。
 整理番号156番、技術名は「ラメルテオンを用いたせん妄発症抑制療法」です。申請医療機関は、国立がん研究センター中央病院です。審査の主担当は伊藤澄信構成員、副担当は田島構成員、上村夕香理構成員に御担当いただきました。
 整理番号157番、技術名は「重症未熟児網膜症に対する抗VEGF薬の硝子体注射療法」です。申請医療機関は、神戸大学医学部附属病院です。審査の主担当は一色構成員、副担当は後藤構成員、柴田構成員に御担当いただきました。
 整理番号158番、技術名は「反復経頭蓋磁気刺激による治療抵抗性うつ病の維持療法」です。申請医療機関は、国立精神・神経医療研究センター病院です。審査の主担当は坂井構成員、副担当は掛江構成員、飛田構成員に御担当いただきました。
 なお、整理番号157番については、会議からの指摘事項に対する回答及び改訂内容を125ページにお示ししております。条件に従って研究計画等が適切に改訂されたことを確認できたため、最終的にはいずれも「適」の評価を頂いております。
 また、整理番号158番については、175ページにお示しのとおりですが、会議からの御指摘事項に対して適切に回答されたことを担当構成員に確認しております。今回、御評価いただき、また先進医療合同会議に御出席いただきました先生方におかれましては、御協力いただきまして誠にありがとうございました。報告は以上です。
 
○山口座長
 本件について御意見、御質問はございませんか。いかがでしょうか。特にないようですので、続きまして、申請医療機関からの報告について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 それでは御説明いたします。資料5-1、177ページを御覧ください。九州国際重粒子線がん治療センターから、告示番号B28「重粒子線治療」に関する報告です。申請医療機関からの報告(逸脱及び重篤有害事象の発生事案における指摘事項及びそれに対する回答について)、1つ目の○、告示番号B28「重粒子線治療」(適応症:非小細胞肺がん(ステージが I期であって、肺の末梢に位置するものであり、かつ肺切除術が困難なものに限る。))については、平成28年7月より先進医療Bとして実施されているが、申請医療機関である九州国際重粒子線がん治療センターから、協力医療機関である量子科学技術研究開発機構QST病院における「逸脱及び重篤な有害事象に関する原因分析・再発防止策の報告」がなされました。
 2つ目の○ですが、令和3年10月14日開催の第123回先進医療技術審査部会において、当該事案に対する対応方針について議論いただき、概要としては、1つ目のポツとして、医療事故としての検討の妥当性と医療安全管理委員会の関わりについて、2つ目のポツとして、患者の治療経過や死因、死亡時の御家族への説明に係る詳細について確認が必要との指摘がありました。
 3つ目の○は、令和3年11月12日開催の第125回先進医療技術審査部会において、第123回での指摘事項に対する回答について報告をしましたが、追加の指摘事項についても医療機関に確認をすることとなりました。
 4つ目の○は、これらの指摘に対する回答を確認した上で、QST病院における症例登録再開の可否について判断することとなっており、今般これらの回答が提出されたため、QST病院における症例登録再開の可否も含め、御確認・御議論を頂ければと思います。
 資料5-2(179ページ)を御覧ください。第125回先進医療技術審査部会の指摘事項に対する回答をお示ししております。なお、回答における別添資料、参考資料をタブレット資料としてお付けしておりますので、併せて御覧ください。資料に沿って御説明させていただきます。
 1.当初から医療事故としての検討がなされなかったのは問題である。その観点から、医療安全管理委員会の日常の活動についてレビューを行い、医療事故の取り扱いについて改善点を御報告いただきたい。また、今回の事案を踏まえ、医師や看護師等の関係者に対する講習会などの開催を御検討いただきたい。
 回答として、本事案発生前の当院の医療安全管理体制並びに日常の活動としましては、医師、看護師、放射線技師、臨床検査技師、事務職員による医療安全カンファレンスを週1回開催し、事前に登録されたインシデントの検証や事案への対応について検討しておりました。参考資料1及び参考資料2と3です。
 医療安全カンファレンスで収集した1か月分の事案を病院内各部署にて選定しているリスクマネージャーによる部会で事前に整理した上で、全ての事例について、その上位の委員会となる医療安全管理委員会(以下、当委員会)で、患者影響度レベルの確認と対策についての議論を行っておりました。その結果については、レベルごとのインシデント発生数や重要な事例を内部ホームページに掲載するとともに、病院会議で当委員会を含め、各種委員会へ報告を行って、周知に努めておりました。また、病院全職員を対象とする医療安全講習を毎年実施し、受講を義務化しておりました。今回、担当医からの当委員会への報告が遅延したこと及び、その後の当委員会での審議が誤った結論となったことも、主に医師における医療安全に対する認識が十分ではなかったことが要因の1つと考えられ、まずはその強化・徹底が重要と考えました。特定機能病院に係る基準を参考にQST病院医療安全管理規則を改正し(別添資料1)、まずは、当委員会の体制の強化として、2020年6月より副病院長を医療安全管理責任者として配置し医療安全管理室、並びに当委員会の業務を統括するとともに、より多くの医師が医療安全に関する議論に日常的に参加することで医療安全に対する認識が高められるよう、当委員会の委員(全員16名)の医師の数を4名~5名(放射線科医3名、外科専門医1名、内科専門医1名)に増員しました。さらに、医療安全カンファレンスの構成として医師を2名から3名(放射線科医2名、内科医1名)に増員しました。強化した当委員会は月1回定期開催することに加え、週1回開催する医療安全カンファレンスで、早急な審議の必要があると判断された場合は、医療安全管理責任者が臨時で当委員会を開催することとしています。また、迅速な報告の徹底に向けて、最終経過が他院となった場合も含めて死亡を確認した全患者についての速やかな当委員会への報告を義務化することとしました。
 報告された死亡事例について、多少とも事故性が疑われる場合には、病院幹部職員全員と当該事例に関与した職員(医療チーム)を招集し、医療安全管理責任者が議長を務める医療安全推進委員会を開催して、実施した医療と死亡との因果関係及びその予見可能性について慎重に検討し、病院長に医療事故該当性の判断を求めることとしました。さらに日々の診療グループのミーティングでもインシデント事例の情報共有や報告の指導を行っています。これらの対応により、インシデント報告は医師からの報告を中心に、一昨年度の年間200件から昨年度には年間226件に増加するなど、全体として医療安全に対する認識の改善が進んでいると考えています。また、当事者ではなくても報告すべき事案を認知した場合の報告として、医療安全管理委員会だけでなく、2021年7月に機構本部に設置された内部通報窓口や外部弁護士事務所への相談や通報も行えるよう機構の監査・コンプライアンス室とも協議を開始しました。
 また、特に先進医療や臨床試験の対象患者については、情報を管理している臨床研究支援室のCRCを当委員会の委員に加えました。これにより、逸脱事例や重篤な有害事象の発生など臨床試験登録患者に問題が起こった場合には、速やかに当委員会に報告され、また、臨床試験の規則の遵守という観点でも医療事故該当性等を検討できる体制を整備いたしました。本件を受け止めた上での医師や看護師など、関係者に対する講習会としましては、既に日本医療安全調査機構の研修受講者(参考資料4)による院内講習会を開始しており(参考資料5)、引き続き、複数の講習実施を計画しております。(参考資料6)
 これらを通じて、医療事故に対する正しい理解、事故発生時の検証の実際、医療事故報告制度の整備についての周知、医療安全の観点からのあるべき患者さんのケア、臨床研究におけるコンプライアンスなどについて、病院内で高い意識の醸成と持続を図って参ります。
 次のページに移り、2.定期ビジットの段階で既に深刻な低酸素の状態であり、なぜそのような状態に至るまで適切な臨床的管理がなされていなかったのか。治療開始時に肺炎の反復があったことを把握していたと見受けられ、治療適応はあったとしても、臨床的にかなり重点的な管理を要したはずである。反省点を分析し、今後同じようなことを繰り返さないために、どのように患者指導、外来管理を行っていくのかご報告いただきたい。
 回答としては、まず、御説明していた内容について検証しました。治療前から、肺機能が低下しており、細菌性肺炎の合併が致死的になり得るリスクが高いことを認識し、御本人、御家族へも重ねて説明しておりました。拡大医療安全検討委員会による調査結果報告書(以下、報告書)にも記載のとおり、カルテにも2019年9月3日(当院初診日)に「右肺癌の治療後で左肺に新たに発生した第2癌で左肺下葉に3.4cm大の病巣があり、転移は認められない。右肺の機能が著しく低下していて、1秒量が900mL程度であるが、重粒子線治療を行うと更に残っている肺機能の1/4ほどが失われると予測され、肺炎を併発すると致死的となる可能性があること、在宅酸素導入は必至であることを患者さん及び御家族に説明した」と記載されております。また、2019年9月27日には、各種検査が終わった後のインフォームドコンセントとして、説明同意文書を用いて、御本人と御家族に病状、一般的な副作用、手術やX線治療などの他の治療選択肢などについての説明に加え、重粒子線治療の適応はあると判断するが、肺炎を併発すると致死的となる可能性があることを再度説明したとの記載を確認いたしました。
 次に、治療後の経過を検証しました。試験計画後の規定どおり2019年11月26日、2020年2月4日に定期受診していただいており、2020年2月4日のカルテ記載によれば、PS=0、SpO2=92%、白血球数7,140で血痰等の呼吸器症状もなく、担当医は治療前と比較して症状はむしろ改善している状態で経過良好と判断しておりました。同日の胸部CTでは右肺は変化なく、左下肺に26mmほどの浸潤影と周辺のスリガラス状陰影を認め、放射線肺炎を疑うが、2019年11月26日のCT所見と変化はないと記述されています。2021年12月23日に行った担当医への再ヒアリング(別添資料2)にて、これらの定期受診の際にも、発熱や呼吸器症状など風邪症状が出現した場合には、早めに受診するようにお話ししていたことを口頭で確認しました。また、同時に経過観察をしていた国立千葉医療センターに確認したところ、同センターでは当院の通院の間を埋める形で2020年1月8日、3月18日に定期受診を行っており、1月8日SpO2=93%、白血球数7,000、呼吸音正常、3月18日SpO2=89%、白血球数7,700、呼吸音ほぼ正常で症状の悪化を認めないとカルテ記載がありました。2020年4月7日の当院カルテでは3月下旬から呼吸困難感が出現し、4月7日朝に呼吸苦が出現したと記載されており、検証の結果、増悪のタイミングとしては3月18日以降に肺炎を合併し急速に状況が悪化したと考えております。以上を踏まえた今後の対応として、症状に変化があったときに、ためらわずに御連絡いただくように患者指導を徹底することが最も重要と考えております。日頃から治療後の感染予防について指導を行った上で、症状が悪化した場合には紹介元病院並びに当院へもいつでも御連絡いただくように繰り返し説明し、症状悪化に対して当院で受け入れた後、高度に専門的な治療が必要となった病状に紹介元病院では対応が難しい場合には、連携している千葉大学医学部附属病院を紹介できる体制(別添資料3)を整えていましたが、重粒子線治療後約半年で亡くなるという残念な結果となりました。本事例を再度教訓として、これまれ以上に細やかな対応を徹底する必要があると考えております。具体的には、感染予防としての生活指導や、兆候になりうる症状があった場合に速やかに御連絡いただく必要があることについて、口頭だけでなく説明文書(別添資料4)等を使用して説明を行う。看護師からの日常生活のケアの指導の中でも異常があればためらいなく御連絡いただきたいことを伝える。さらに、高リスク症例については治療後6か月間の受診間隔の短縮(2週ごと)に加え、紹介元との連携強化として重症化の兆候となり得る軽微な変化について事前に情報提供を行うとともに受診時の検査結果並びに、その解釈の報告を必須として、重症化の可能性がある変化を認めた場合の対応方針の共有などを実践していますとあります。
 3.患者や御家族には、定期ビジットの段階で深刻な状態にあることを適切に説明したのか。カルテ記載等の根拠も含め、具体的な説明内容をお示しいただきたい。また、2.と同様の観点で、深刻な状況になるまで患者又は御家族とは何らかのやり取りがあったのか、あった場合は、どのようなやり取りであったのか、検証し、御報告いただきたい。
 回答としてですが、この点については、当時の担当医に12月23日に再度ヒアリングを行いました(別添資料2)。2.の回答の繰り返しとなりますが、2020年2月4日の外来受診では、呼吸機能は低下しておらず、担当医は、症状は改善している状態で経過良好と判断しておりましたが、発熱や呼吸器症状が出現した場合には、御本人のみならず御家族にも早めに受診するように繰り返しお話しておりました。しかし、結果的に、2020年2月4日以降4月7日までは当院とのやり取りはございませんでした。4月7日の受診時のカルテには、3月下旬から呼吸困難を自覚していましたが、4月7日朝から呼吸苦が出現した旨の記載がされておりますので、結果として説明・指導が行き届かなかったと深く反省しております。同日受診時に高度のSpO2低下が判明したのちは、細菌性肺炎合併による重症の低酸素状態にあること、すぐに入院のうえ酸素投与、抗生物質による治療が必要であることを口頭で御本人、御家族に御説明し、当院への入院も提案したことを担当医へのヒアリングにて確認いたしました。御本人は、長く診ていただいている紹介元の主治医の病院への入院をご希望されましたので、専門的な呼吸管理を必要とする可能性が高いとの判断もあり、すぐに紹介元の国立病院機構千葉医療センター呼吸器内科の担当医に電話にて状況を報告し、受け入れの御了解をいただいて、受診していただきました。亡くなられた後の御家族への御説明については、2020年6月15日に御家族に対して口頭で、まず本試験への登録が誤りであったことについて説明と謝罪を行いました。加えて、重粒子線治療後約半年で亡くなるという残念な結果であったことを謝罪し、さらに、死亡の主な原因は細菌性肺炎と判断されているものの、重粒子線治療によって肺機能が更に低下したことも亡くなられたことに影響している可能性が否定できないことも御説明しております。その後、2021年1月の拡大医療安全検討委員会の開催時に、外部委員を含む同委員会を開催して、治療適応の判断が正しかったのか、医療事故に該当するかといったことを判断するための検証を行うことを、御家族に口頭で御説明しております。同委員会の報告書作成時の2021年4月には、報告書に記載された事実経緯や担当医からの説明内容が御家族の記憶と食い違いがないことを御確認いただきました。報告書が完成した直後の2021年9月には、お手紙を添えて報告書を送付しておりますとあります。
 4.日本医療安全機構での検討結果と、それを踏まえた再発防止策について御報告いただきたい。この回答としては、既に御報告申し上げましたとおり、日本医療安全調査機構へは2021年11月4日に医療事故として報告票を提出し、11月8日に報告書と関連資料(別添資料5)を匿名化した上でお送りしました。11月9日に同センターより受領の御連絡をいただいております。その後、11月18日に再審議の進捗について問い合わせた結果、本件については、文書上は水準を満たしており、そのため再審査については依頼主体がないと困難である旨の回答を頂きました。したがいまして、再発防止策について報告書に記載したものに同センターからの指示によって新たに付け加えるものはございませんが、肺がんに対する重粒子線治療における症例において、臨床試験への誤登録を行った上、早期の死亡という結果になったことを深く反省しております。その対応として、貴部会でのご指摘も踏まえた上で、独自に本事案について、呼吸器専門医への調査などを含む形で外部委員とともに検証することにより、既報告に加えて、1.に記載したような体制の整備・強化を実施し、院内での医療安全に関する意識の徹底を図っております。加えて、肺癌診療全体について、2.で記載したような関連病院との連携強化やチームとしての診療体制、診療方法の見直しをマニュアル、文書化も含めて行って、これまで以上に細やかな診療が実施できるように取り組んでいるところです。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。本件について何か御意見、御質問はありませんか。昨年の10月から何回か出てきましたが、いかがですか。
 
○藤原構成員
 事例に関しては、御遺族の方のほうが多分、千葉の医療センターとかの主治医を信頼しているので、訴訟になるようなもつれというのはないと思うのですが、この資料5-2のQST病院の医療安全管理体制の変更を見ますと、インシデント報告が、医師からの報告を中心にという記載は確か、一昨年度が200件で、昨年度が226件で増加と書いてあります。通常の特定機能病院では、看護師さんからのインシデント報告は非常に多数にあって、これは確か年間ベッド数当たり何パーセントか忘れましたが、QST病院が何床か分かりませんが、200件ぐらいしかインシデント報告がないというのは、病院全体おかしいのではないかという気がいたします。
 あと、研修受講で、院内講習会を開始していますが、大事なのは、全職員、事務系も含めて、全員がこれを受けて、しかもミニテストを受けるとか、受けたことを必ず確認して、100%受講を義務付けるとか、そういうところまで医療安全管理マニュアルとかを全部改正するはずなのですが、その辺もできているのか、できていないのかはっきりしなくて、相変わらず体制が大丈夫かという不安は覚えます。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。これは医療安全委員会がきちんと動いていないのではないかという疑問があるということで、お問い合わせをしたわけです。一応、答えは返ってきたということですが、今、藤原先生が御指摘されたように、まず医師以外のインシデントがどれぐらい出ているのか分からないのです。今回も医師の所で通り抜けてしまっていますが、放射線技師さんや看護師さんが、適応の間違いに気が付かなかったということから考えますと、やはり、医師以外のメディカルスタッフのコメディカルスタッフの意識も非常に低いことが疑われますので、インシデントレポートの数を増やすように努力すること、特に医師以外のコメディカルの教育をきちんとしてくださいということを、是非、申し伝えたいと思います。そういうことでよろしいですか。
 
○藤原構成員
 はい、ありがとうございます。
 
○山口座長
 ほかにありませんか。あと、これで問題になったのは、説明がきちんと行われていないのではないかという疑問があったのですが、何回か回答が返ってきて、一応、記載があったことが確認され、ある程度行われているということかと思います。
 もう1つは、これは医療事故として最初からスタートしたらよかったのですが、医療事故に該当するものか否か、日本医療安全機構のほうで判定してもらうようにこちらから意見を出したのですが、実際に行われたのは、機構に登録をしただけで、これを検討してくれという依頼は出されておりませんでした。その代わりに、外部委員を交えた委員会を立ち上げて自分の所がやっているということで、そちらがきちんと動けばいいのではないかということで、御回答を頂いているという経緯です。この点に関して何か御質問、御意見はありますか。
 あと、この回答を見ていますと、今回は適応を間違ってやってしまったが、これは先進医療Aの枠組みであれば適応になっていたので問題はないのだという見解でした。だとしたら非常に大きな問題であって、先進医療Aのほうで、もしこういう症例に対してどんどん行われているのであれば、むしろ、それこそ非常に危険な可能性があるのではないかと思うのです。実際、この方には1秒量が900ccしかないこと、また本療法によって、さらに肺機能が4分の1は失われる可能性があると説明しているのです。ということは、1秒量が675ccしか残らないと、これは非常に厳しい状態だと思うのです。ICのときに、患者さんの家族が希望されたから適応としたと言うのですが、実際にこういう治療をした後の生活はどのようになるかとか、死亡する確率はどのぐらいあるのかということを本当にどのように説明したか、非常に疑問に感じました。これを機会に、先進医療Aでやっている中で同様の事例がないか、つまり、先進医療Aの適応が緩すぎないかということも再検討されるべきではないかと感じました。こういう亡くなった事例が出たわけですから、そういう経験を生かしていかないと、検討している意味がないのではないかと少し感じましたが、いかがですか。何か、特に御発言はありませんか。
 要するに、これはもしきちんと適応外として対応されていたとしても、先進医療Aとしてはできるのだから、結果は同じだったという論法なのです。むしろ、それは逆さまで、実は先進医療Bとしての縛りを無視したら、死亡例が出たということを重く見て、先進医療Aのほうが、むしろ危ないのではないかということで示唆している事例だと思いますので、ここで検討すべき事項ではないかもしれませんが、先進医療会議のほうにも、一度こういうことがありましたということを報告したいと思います。
 
○保健局医療課先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局です。今、座長のほうから大変貴重な御指摘を頂きまして誠にありがとうございます。今回の医療機関の御回答の中に、先進医療Aであれば通ったのではないかというお話があったかと思います。先進医療Aの事務局としては、そもそも今回の先進医療Bと先進医療Aの枠組みは全く違う枠組みという認識で、先進医療Aであれば通ったというのは、それは必ずしも正しくないのではないかと考えているところです。
 先進医療Aについては、学会のほうが全例症例登録を行っておりまして、定期的にモニタリングや訪問調査を行いまして、年に1回先進医療会議のほうに御報告を頂いているというところです。他方で、今回本部会で御議論いただいた内容というのは、重粒子線治療自体の安全性だったり、適格基準に関わる重要な点だと認識しておりますので、今回御議論いただいた内容は、しっかりと学会のほうにもお伝えさせていただこうと考えております。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。よろしくお願いします。ほかにありませんか。特にないようですので、このQST病院での登録については、再開したいということを申し出てきているわけですが、今回、お認めすることとしたいと思いますが、いかがですか。もう少し聞きたいとか、何か疑問が残ることがありましたら、どうぞ。
特になければ、一応、こちらの投げかけに対しては真摯に答えていただきましたし、先ほどの藤原先生の御指摘は申し伝えることにしても、登録の再開をお認めしたいと思いますが、いかがですか。よろしいですか。
どうもありがとうございます。それでは、登録再開についてはお認めすることといたします。本日の議題は以上です。構成員の皆様、全体を通して何か御意見、御質問はありませんか。
 
○柴田構成員
 審議のときに確認すべきだったことに気が付いたので、事務局に質問をさせていただきます。資料2に関する実施計画の変更についての要件ですが、よろしいでしょうか。
東京西徳洲会病院から出ている腎移植の件ですが、今回、適格条件が変更になっています。資料の31~32ページの所で、変更後に「(2)腎腫瘍が4cmを越え、7cm以下(T1b)の症例」という要件が追加されています。念のために確認したいのですが、この症例は自動的に適格になると判断されるのですか。それとも4cmを越え、7cm以下だけれども、部分切除の適応になる方は対象外になるという判断のプロセスが残っているのでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 申請医療機関に確認をさせていただきますが、もともとの設定としては、一応こちらは適応にはなるのですが、別の担当医の判断というのもありますし、かつ日本移植学会の倫理委員会の判断もありますので、そこのところについては先生の御指摘のように、自動的に(2)に当てはまると適応になるという建て付けにはなっていないと理解しております。
 
○柴田構成員
 それであればいいのですが、懸念点は、従来は7cm以下で、(1)の1、2、3などが挙げられていて、部分切除ができない患者さんが対象になるという形になっていたのですが、この書き方になると、あたかも4cmから7cm以下の患者さんは自動的に適格になるかのごとく読めてしまうので、今御指摘いただいたように、それであっても部分切除の対象になるよう方は対象にならないということが普通に担保されるような形の書き方にしたほうがよいと思った次第です。
 
○山口座長
 ありがとうございます。その点は確認してください。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 承知いたしました。
 
○山口座長
 ほかにありませんか。ないようでしたら、次回の日程を事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 次回は令和4年4月18日(月)に開催させていただきます。時間は16時から18時の予定で、詳細については別途御連絡させていただきます。また、本日の議事録については、作成次第、先生方に御確認をお願いし、その後、公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 
○山口座長
 それでは第130回先進医療技術審査部会を終了いたします。どうも皆様、ありがとうございました。
 

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